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注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は6日続伸、ファーストリテとファナックが2銘柄で約31円分押し上げ
7月21日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり137銘柄、値下がり78銘柄、変わらず10銘柄となった。日経平均は6日続伸。20日の米株式市場でダウ平均は47ドル高と小幅続伸。6月中古住宅販売件数が2年ぶりの低水準となり、景気減速を警戒した売りから寄り付き後下落。イタリアのドラギ首相率いる政権の崩壊リスクが高まったとの報道も投資家心理を悪化させた。一方で旅行関連株の買いやハイテク株の買い戻し継続が支援要因となり、主要株価指数はプラス圏で終了。ナスダック総合指数は+1.57%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は+2.49%と続伸。他方、前日に700円高と急伸していた日経平均は52.38円安からスタート。前場は短期的な過熱感を冷ます売りが優勢で、もみ合いが継続するも、27500円より上での底堅い動きが続いた。日銀が金融政策決定会合で現状の大規模緩和の維持を表明したことで、円安・ドル高が進むと、後場の日経平均は上昇転換。その後も27700円台での堅調推移が続いた。大引けの日経平均は前日比122.74円高の27803.00円となった。東証プライム市場の売買高は9億7053万株、売買代金は2兆5079億円だった。セクターでは水産・農林、海運、精密機器が上昇率上位となった一方、鉄鋼、電気・ガス、空運が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の71%、対して値下がり銘柄は24%となった。値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約16円押し上げた。同2位はファナック<6954>となり、ダイキン<6367>、TDK<6762>、KDDI<9433>、テルモ<4543>、NTTデータ<9613>がつづいた。一方、値下がり寄与トップは塩野義薬<4507>となり1銘柄で日経平均を約18円押し下げた。同2位は東エレク<8035>となり、アドバンテ<6857>、信越化<4063>、任天堂<7974>、ブリヂス<5108>、アサヒ<2502>などがつづいた。*15:00現在日経平均株価 27803.00(+122.74)値上がり銘柄数 137(寄与度+190.35)値下がり銘柄数 78(寄与度-67.61)変わらず銘柄数 10○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 80020 470 +16.52<6954> ファナック 22530 435 +15.29<6367> ダイキン工 23525 430 +15.11<6762> TDK 4225 95 +10.02<9433> KDDI 4435 44 +9.28<4543> テルモ 4499 65 +9.14<9613> NTTデータ 1980 41 +7.20<2413> エムスリー 4018 74 +6.24<6971> 京セラ 7420 80 +5.62<4704> トレンド 7540 140 +4.92<2801> キッコマン 8150 120 +4.22<4519> 中外薬 3768 36 +3.80<7832> バンナムHD 10135 105 +3.69<6645> オムロン 7445 103 +3.62<6988> 日東電 8950 100 +3.51<9766> コナミG 7550 100 +3.51<3659> ネクソン 2990 49 +3.44<6098> リクルートHD 4640 30 +3.16<7733> オリンパス 2886 21 +2.95<7951> ヤマハ 5750 80 +2.81○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<4507> 塩野義薬 7024 -516 -18.13<8035> 東エレク 44660 -440 -15.46<6857> アドバンテス 7480 -80 -5.62<4063> 信越化 16755 -105 -3.69<7974> 任天堂 61660 -580 -2.04<5108> ブリヂス 5230 -45 -1.58<2502> アサヒ 4539 -45 -1.58<8001> 伊藤忠 3897 -42 -1.48<8031> 三井物産 2927.5 -32 -1.12<7269> スズキ 4380 -32 -1.12<8766> 東京海上 7888 -54 -0.95<8058> 三菱商事 3994 -25 -0.88<7267> ホンダ 3523 -12 -0.84<3382> 7&iHD 5348 -22 -0.77<1925> 大和ハウス 3233 -20 -0.70<7272> ヤマハ発 2579 -19 -0.67<8591> オリックス 2290.5 -17.5 -0.62<1963> 日揮HD 1631 -16 -0.56<9022> JR東海 15245 -150 -0.53<8002> 丸紅 1228.5 -13.5 -0.47
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2022/07/21 16:12
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神戸物産 Research Memo(11):収益拡大とともに連続増配を継続中、株主優待内容はJCBギフトカード
■株主還元策株主還元策として、神戸物産<3038>は経営成績に応じた配当金のほかに、株主優待制度を導入している。また、個人投資家が取得しやすいように、株式分割も適宜実施しており、直近では2020年11月に1:2の株式分割を実施している。配当金に関しては事業拡大のための資金を確保しつつ、経営成績に応じた安定配当を行っていくことを基本方針としており、2022年10月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の21.0円(配当性向23.0%)を予定している。配当性向基準は設けていないものの、今後も現在の水準以上の配当性向を維持していく方針となっている。また、株主優待の内容については2021年10月末の株主より、利便性の向上と偽造防止等のセキュリティ対策などを総合的に勘案し、贈呈品を「業務スーパー商品券」から「JCBギフトカード」に変更している。保有株式数及び継続保有年数によって異なるが、100株以上1,000株未満保有で継続保有年数が3年未満の株主に対しては1,000円分のJCBギフトカードが贈呈されることになる。なお、「業務スーパー」のうち約8割の店舗でJCBギフトカードが利用可能となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
2022/07/21 15:31
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シナネンHD Research Memo(10):配当性向30%以上が目安
■株主還元策シナネンホールディングス<8132>は、株主に対する利益還元を経営の最重要施策として位置付け、連結配当性向30%以上を目安に、安定的な配当を基本とした株主還元を実施していく方針である。また、内部留保資金については、事業領域拡大の原資及び事業基盤強化に向けた設備投資等に充当していく予定である。以上から、同社は2022年3月期の1株当たり配当金を75円とした。また、2023年3月期の1株当たり配当金は75円を予定している。■情報セキュリティ各種規程の制定、規格の取得でリスクを低減同社は、エネルギー事業に係るLPガス・都市ガスの消費者データ、及びガソリンスタンド利用者のカード決済用データに関する個人情報等を保有している。これら個人情報等を保護するために、リスク・コンプライアンス委員会において、従業員等に向けた個人情報保護に関する教育プログラムの実施、生体認証システム及び暗号化等の情報セキュリティシステムの導入、各種規程の制定等を行っている。さらに同社は、個人情報保護方針、個人情報保護規程を制定し、個人情報の取扱いに関するリスク低減に取り組んでおり、システム事業のミノスはプライバシーマーク認定事業所であるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC27001:2013・JISQ27001:2014」を取得している。また、同社は、リモートワークの増加に伴う情報漏洩防止の観点から、セキュリティソフトの更改やネットワークの見直しを実施するなど、継続的に情報セキュリティ対策を実行している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
2022/07/21 15:30
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神戸物産 Research Memo(10):業務スーパー出店は当面1,200店舗、長期目標1,500店舗掲げる(2)
■今後の見通し4. ESGの取り組みについて神戸物産<3038>はESGに関して以下の取り組みを推進している。(1) 環境 (E)環境への取り組みについては、プラスチックごみやフードロスの削減のほか、クリーンエネルギー事業や砂漠の農地化事業などによる地球規模の問題解決に取り組んでいる。具体的な取り組みとしては、プラスチックごみ問題の配慮から業務スーパーオリジナルのエコバッグを作成し、2003年以降、無料配布を行っている。また、フードロス削減を目的として、品質に問題は無いが印字不良等により店舗で販売できない商品を認定NPO法人フードバンク関西に寄贈しているほか、2021年11月より「神戸クック・ワールドビュッフェ」においてランチ・ディナー各時間帯のラストオーダー後に50%Offで販売する取り組みを開始し、現在は8店舗まで導入している。クリーンエネルギー事業では、国内で太陽光発電所を17ヶ所、木質バイオマス発電所を1ヶ所運営しており、再生可能エネルギーによってCO2排出削減に貢献している。そのほか、国際社会貢献事業として、エジプトの砂漠地域でセンターピボット※農場を竣工し、2014年以降、小麦の栽培・収穫を行っており、援助を必要とする地域に寄付した。※センターピボットとは、乾燥地域で大規模に作物を栽培するためにくみ上げた地下水に肥料を添加し、自走式の散水管に圧送して水をまく灌漑農法のこと。比較的低コストで効率良く灌漑できることが特徴である。(2) 社会 (S)同社は「食」を通じた社会貢献活動を推進している。2012年以降、ハラール商品の充実を図り、現在は200アイテム以上の商品を取り扱っている。また、家庭の事情での孤食や食事を十分取ることができない子どもたちに、無料または低価格で食事を提供する子ども食堂への支援として、食材の提供だけでなく社員による調理支援などを2018年以降、開始している。ただ、コロナ禍で同様の支援の継続が難しくなったことから、子ども食堂への商品配送に形を変えている。そのほか、母子世帯を支援する団体「子ども元気ネットワークひょうご」を通じて、母子世帯への食品寄贈を継続的に行っている。また、従業員満足度の向上を図るため、ワークライフバランス実現のための支援制度(リフレッシュ休暇、資格検定受験支援等)を整備しているほか、優秀な人材を確保していくため、人材採用において積極的な情報発信に取り組んでいる。(3) ガバナンス (G)企業として健全な発展を続けるとともに、社会のサステナビリティ実現に寄与するため、ガバナンスの充実を図ることを目的に、2022年10月期より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行したほか、2022年2月に取締役会の任意の諮問機関として、「指名・報酬委員会」を設置した。今後も引き続きコンプライアンス体制や品質管理体制の充実・改善などに取り組んでいく方針となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
2022/07/21 15:30
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シナネンHD Research Memo(9):石油差益の低下、IT投資などにより23年3月期は微増益
■業績動向3. 2023年3月期の業績見通し中期経営計画最終年度となる2023年3月期の業績見通しについて、シナネンホールディングス<8132>は売上高310,000百万円(前期比7.1%増)、営業利益2,500百万円(同0.8%増)、経常利益2,800百万円(同14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,900百万円(同16.6%増)を見込んでいる。引き続きコロナ禍やウクライナ情勢による原燃料高などが日本経済の重しとなっている。石油価格の高騰は同社マージンへの影響は大きくないが、中長期化すれば、販売価格上昇に伴う消費者の使用抑制や少エネ機器普及の加速といった間接的なリスクとなって顕在化する可能性がある。長期的には、人口減少や省エネ機器の普及、ライフスタイルの変化などによりエネルギー需要の減少傾向が続いており、同社の主力事業である石油・ガス事業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にある。また、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まりに加えて、国内でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速するなか、エネルギーサービス企業としての責任ある対応が強く求められている。こうした環境下、今期も、第三次経営計画の基盤固めとして、3つの定性目標を着実に進めていく計画である。なかでも、既存事業の選択と集中や低効率資産の活用・売却による資本効率の改善、シェアサイクル事業や再生可能エネルギー事業など成長が見込まれる新規事業への戦略投資を推進する方針である。2023年3月期の売上高は、足もと2014年以来の高値水準にある原油価格やプロパンCPを前提に、大幅に増加する予想となっている。ボラティリティの高い状況のため、期中で急激に水準が下落する可能性もあり、その際は必要に応じて売上高予想を修正する方針である。営業利益については、経営基盤整備に向けたIT投資や在庫利益消滅の一方、仕入価格上昇分の販売価格転嫁やシェアサイクル事業の利益貢献などにより、若干だが増益の見通しとなっている。経常利益については、営業外損益で前期に計上したデリバティブ評価益や保険返戻金の減少などが見込まれるため減益予想となっている。親会社株主に帰属する当期純利益については、2020年に開示している東京都品川区の土地売却に伴い21億円の特別利益が発生するため増益を予想している。セグメント別では、BtoC事業は石油事業が在庫利益の消滅など厳しい状況だが、灯油やLPガス、住設機器などの増販でカバーして増益を見込んでいる。BtoB事業は電力事業の増販は期待できるものの、石油事業の採算悪化で減益となりそうである。こうした石油事業をカバーするのが、非エネルギー事業となる。非エネルギー事業では、シェアサイクル事業が、稼働の拡大やドミナント効果、機動的な配車による効率化が進むなか、2022年4月の価格改定の効果もあって黒字化を目指す条件が揃ったといえる。仕入れコストの上昇で苦戦していた自転車事業も、有利な為替予約に加え、5月の値上げにより黒字化する見込みとなった。大手メーカーが6月から値上げ予定のため、同社の値上げも取引先のホームセンターなどでスムーズに通ったようだ。また、収益化を機に、小型自転車店のFC化にも進出する意向である。ファシリティマネジメントなど強みを背景に業容拡大中の建物維持管理事業は、タカラビルメンを軸に子会社の一部を統合する計画で、事業エリアの拡大やシナジー、スケールメリットによる収益拡大を目指す方針である。また、中長期的にはM&Aを含め、首都圏・中京圏を中心に「総合建物メンテナンス会社」へと育成する考えである。ROE6%以上は第三次中期経営計画での達成を期待4. 中長期成長イメージ現行の第二次中期経営計画は、コロナ禍の影響により進捗に遅れが生じていると思われる。このため、第二次中期経営計画中に定量目標として掲げた持続的に「ROE6%以上」を生み出す事業構造の確立の達成は難しい状況といえる。そこで、創業100周年(2027年度)に向けてさらなる飛躍・躍進を遂げる次の第三次中期経営計画に期待がかかる。第三次中期経営計画においても、収益の大きな柱は引き続き石油・LPガスになり、足もとではガソリン販売が厳しいものの、建設重機向け軽油やホームセンターと連携した灯油販売が好調である。一方、ROE向上・安定化のため、長期経営構想では石油事業への依存を引き下げる方針であるため、第三次中期経営計画をけん引するのはLPガスと新規事業ということになろう。そのうち新規事業は、サブセクターそれぞれの収益貢献が見込まれており、なかでもシェアサイクル事業と建物管理事業、再生可能エネルギー事業への期待が引き続き大きい。一方、コロナ禍で十分投資ができなかったため、第三次中期経営計画の前半は投資先行になると思われる。特に再生可能エネルギーは、エネルギー事業者として特に伸ばしていきたい領域であり、既存の太陽光による再生可能エネルギー事業から、風力発電やバイオマス発電へと裾野を広げていく考えである。DX投資も強化される見込みだが、基幹システムの導入など守りのDXから、新規事業創出をサポートする攻めのDXへと投資の視点を変えていく考えである。このため、第三次経営計画の中盤まではやや先行投資的となり、持続的にROEが6%以上となるのは、第三次中期経営計画の後半となりそうである。ただし、新規事業が収益事業として打ち揃ってくるため、中期的には定性目標を想定通りに推進し、2027年の創業100周年には持続的にROE6%以上を達成するだけでなく、投資家が一定の目安とするROE8%も視野に入ってくると思われる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:29
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神戸物産 Research Memo(9):業務スーパー出店は当面1,200店舗、長期目標1,500店舗掲げる(1)
■今後の見通し3. 重点施策の取り組み状況について(1) 店舗運営のDX化の取り組み状況「店舗運営のDX化」の取り組みとして、神戸物産<3038>は2021年8月にAI技術を活用した次世代型スーパーの実験店舗「業務スーパー天下茶屋駅前店(大阪市西成区)」をオープンしており、主に3つのソリューションの実証実験に取り組んでいる。第1に、顧客が選んだ商品をもとにおすすめ商品やレシピをショッピングカートに装備したタブレット上に表示する「タブレット付きカート」を導入している。商品のバーコードをカートに装備してあるスキャナーで読み取ることで、同社が保有する販売実績データ等をもとに、AIが導き出したおすすめ商品やレシピを表示する仕組みとなっている。AIによる提案が顧客の購買行動にどのように影響するか検証作業を進めている。また、購入する商品のバーコードをスキャナーで読み取ることで、購入商品一覧をタブレット上で確認できるため買い忘れの防止や、その時点での買い物合計金額を確認できる。また、店舗のセルフレジと連携することで自動精算も可能となるため、レジ待ち時間の短縮による顧客満足度の向上や店舗人件費の削減効果も期待できる。同システムについては効果を確認次第、FC店舗への導入提案を進めていく予定にしている。「業務スーパー」でも繁忙時には駐車場待ちになる店舗も多く、同システムの導入によるレジ待ち時間の短縮などで売上増効果が期待される。第2に、AIカメラで陳列棚の映像を解析して品切れ商品を自動検知し、店舗スタッフに通知するソリューションとなる。同システムを導入することで、最適なタイミングで商品の補充が可能となり、販売機会ロスの削減と店舗スタッフの業務効率向上による人件費の抑制効果が期待される。現在、データを収集しながら実用化に向けたシステム改善を行っている段階にある。第3に、店内に設置したカメラ映像をもとに、入店人数やレジの待機人数、精算に掛かる時間などをAIで分析し、レジの待機人数を予測して、曜日や時間帯ごとのレジの稼働台数並びにスタッフ配置の最適化を実現するシステムの開発に取り組んでいる。適正な台数のレジを稼働させることで、顧客の待ち時間削減とオペレーション効率の最適化が可能となる。こちらについてもデータを収集しながら、実用化に向けた開発に取り組んでいる段階であり、しばらく時間が掛かる見通しとなっている。そのほか、自動発注システムの開発も進めている。従来は仕入担当者が日々、状況に応じて商品発注を行うなど属人的な業務で経験年数が必要とされていたが、自動発注システムの導入で発注業務が簡素化される。直営店舗で導入したところ、担当者の業務負担が大幅に軽減するなど具体的な効果も確認できており、今後、利用料金を確定したのちに、FC店舗へ導入を進めていく予定にしている。そのほかにも店内の顧客の動線分析やデジタルサイネージでの情報配信、利用者の属性分析など様々な取り組みを順次進めていく予定で、顧客満足度の向上とローコストオペレーションを両立した次世代型店舗の構築を目指していく。次世代型店舗の実用化が進めば、さらなる店舗収益力の強化と既存店舗の売上拡大が可能になると見られる。なお、これらの取り組みの一部はソフトバンク<9434>などが企画・開発したAIソリューションを活用しているものもあり、共同で検証作業を行っている。(2) 販売チャネルの拡大による新たな販路確立販売チャネルの拡大による新たな販路として、ECサイトの立ち上げを計画している。「業務スーパー」が近隣になく、商品を購入したくてもできない潜在顧客は全国に多い。こうした潜在顧客に対してECサイトを通じで商品を販売していくことにしている。課題としては、FC加盟企業の店舗売上にマイナスの影響を与える可能性があること、物流コストが高くなることの2点が挙げられる。同社の物流システムはケース単位を基本とし、個配には対応していないため個配作業のコストもかかる。こうした課題に対して、同社はECの販売価格を店舗価格よりもやや高めに設定することや配送方法の工夫で解消したい考えだ。顧客ターゲットとしては「業務スーパー」が近隣にない顧客、または近隣にあっても利便性の点からECサイトで購入する顧客となる。既にECサイトの開発は終わっているようで、現在は配送費や値付けなどの最適化に向けたシミュレーションを社内で行っている段階にあり、これら作業が完了次第オープンするものと予想される。(3) 店舗数拡大業務スーパー事業の成長戦略の1つである店舗数の拡大については、従前、1,000店舗の早期達成を目標として掲げていたが、2022年10月期中にも達成する見込みとなっており、次の目標として1,200店舗、長期目標として1,500店舗を視野に入れ始めている。域別の人口構成比と業務スーパー店舗数の構成比を比較した場合、地盤となる関西圏は人口構成比で16.3%となっているのに対して、店舗数は26.6%と高い。一方、ここ数年で出店を強化してきた関東圏については人口構成比で29.0%、店舗数で27.0%とほぼ拮抗してきたが、店舗数そのものは関西地域とほぼ変わらないことを考えれば、出店余地は依然大きいと見ることができる。また、九州や北海道のほか東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)についても人口比での店舗数が少なく、出店余地が大きいエリアとなる。関西エリアについては人口78千人当たりに1店舗を出店している計算となり、仮にほかのエリアでも同様の比率で店舗展開できたとするならば、1,600店舗までは出店できる計算となる。商圏の違いや出店条件に適う不動産物件の有無などで実際の上限値は変わってくるが、関西エリアでもまだ店舗数が増加し続けていることを考えると、出店拡大による成長は続くものと予想される。既存のFCオーナーの出店意欲が旺盛なほか、最近では「業務スーパー」の集客力の高さを評価して、新規加盟を希望する企業も増えてきている。同社では既存FCオーナーとの関係構築もあるため審査基準は厳しくしているが、既に店舗を運営している企業であれば新規に出店候補地を探す手間が省けることもあり、FC化を進めていくことにしている。また、既存店向け商品出荷額の拡大施策としては、顧客に選ばれる魅力的なPB商品を継続的に開発していくことが重要で、今後もグループ会社における商品開発を強化していくほか、M&Aも活用しながらPB商品の構成比率を引き上げていく方針となっている。こうした取り組みに加えて、店舗運営のDX化やTV、SNS等への露出によって集客力の維持向上を図っていく戦略となっている。(4) ベンチャー投資ファンド組成新たな取り組みとして2022年5月に米国のペガサス・テック・ベンチャーズと共同でベンチャー投資ファンドを組成することを発表した。ペガサスの優れたグローバルネットワークを活用して、同社グループの企業価値向上に貢献するパートナーとなりえるベンチャー企業への投資を行っていく予定だ。候補企業として世界各国から数百社を選定し、そのなかから数社を選定して企業調査や条件交渉などを行い、投資先を決定する。投資先のベンチャー企業とは業務提携を締結し、同社グループとのシナジー創出を図っていく。例えば、「業務スーパー」で取り扱いできる植物肉の開発企業や、店舗運営、物流、製造分野における効率化に資するITシステムを開発している企業などが候補となる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:29
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シナネンHD Research Memo(8):非エネのシェアサイクルと建物維持管理(ビルメンテナンス)が成長
■シナネンホールディングス<8132>の業績動向2. 2022年3月期のセグメント別業績動向2022年3月期のセグメント別業績は、BtoC事業が売上高73,152百万円(前期比16.1%増)、営業利益1,039百万円(同7.9%増)、BtoB事業が売上高197,715百万円(同45.4%増)、営業利益573百万円(同35.8%減)、非エネルギー事業が売上高18,097百万円(同1.8%増)、営業利益201百万円(同17.3%減)となり、BtoC事業が増益、BtoB事業と非エネルギー事業が減益と、まちまちな業績となった。また、非エネルギー事業のサブセグメントも事業によって対照的な業績となった。セグメント別業績の詳細は以下に述べる。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が前年より高く需要が低調に推移したことから春先と晩秋を中心に販売数量が減少したが、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したため売上高が増加した。利益面では、販売数量の減少に加え、LPガスなどで仕入価格上昇を販売価格に転嫁することが遅れたため差益が低下、人件費など販管費も増加したが、プロパンCPの変動に対応して安値で仕入れた在庫利益が顕在化したことで増益となった。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格高騰に伴い販売単価が大幅に上昇、また、既存の石油販売施設から軽油出荷能力を増強したオイルスクエアにシフトしていることなどにより軽油を中心に販売数量が増加、電力事業でも契約電力量が伸びたため、売上高は全般的に好調に推移した。利益面では、石油事業において在庫利益を確保、また、世界的なLNG高騰のなかで電力調達の多様化を進めたが、人件費や新型マイクロ風車の開発投資などコスト増加により減益となった。なお、在庫利益の発生は石油価格急騰の影響が大きかっただけで、本来回転が早い商売のため差益狙いの在庫は持たない方針となっている。なお、新規事業に関しては、新型マイクロ風車関連事業は、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めているところで、今期中にマーケティング活動に入る予定である。韓国における大型陸上風力発電事業は、コロナ禍などにより開発許可の取得が当初想定より遅れているが、引き続き開発許可取得に注力しており、今期中の許可取得を目指している。非エネルギー事業では、成長の見えてきたシェアサイクル事業で、埼玉県ふじみ野市など新たな地方自治体と実証実験を始めたことに加えて、相模鉄道(株)と連携を開始するなど事業活動も順調に発展した。また、駅近用地の開拓など高稼働が見込めるエリアを中心にドミナント展開を推進する一方、曜日や時間帯別の稼働をデータ化・分析することで設置台数を機動的に変えるなど稼働向上にも取り組んだ。この結果、2022年3月末現在、シェアサイクルサービス「ダイチャリ」のステーション数が2,200カ所、設置自転車数も10,000台に達した。利便性向上によりユーザー数も着実に増加、2021年11月には過去最高の月間利用回数(60万回超)になるなど業況も好調に推移、大幅に収益が改善した模様である。環境・リサイクル事業は、コロナ禍による建築廃材減少の影響による木質チップの需給変動がプラスに作用、主力の「木くずリサイクル」取引高が増加した。また、金属スクラップ取引などその他事業も好調に推移し、千葉と白岡2工場の稼働率が高水準となっている。このため、増強投資や新たな事業展開を検討している模様である。抗菌事業は、コロナ禍における抗菌需要の拡大を追い風に国内・海外ともに好調な販売を維持したほか、大手メーカーとのサンプル試作を開始するなど新規顧客の開拓も推進した。システム事業は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が大幅に伸長したため増益となった。なお、足もとではLPガス基幹業務システムの次世代化に向けて動き出している。タカラビルメン(株)を中核とする建物維持管理事業は、不動産管理事業の管理物件数は減少したものの、マンションなど集合住宅の定期管理業務が堅調に推移したほか、医療施設などにおける感染消毒清掃の新規受注の増加や、集合住宅におけるメンテナンスのコロナ禍からの反動増などにより微増益を確保した。安定収益確保に向けて感染消毒清掃をフックに強みを生かした営業活動を推進しており、複数の医療機関での年間契約の獲得や公営斎場の運営の新規受託、マンション管理会社大手からの受注も入るなど着実に成果が表れた。自転車事業は、プライベートブランド車の開発を進めるなど収益力の改善に努めたが、コロナ禍で需要が増加した反動減に加え、パーツメーカーの供給不足、海外輸送費や原材料価格の高騰、円安傾向などが重なり減収減益となった。このほか、ブラジル事業の閉鎖コストも発生した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
2022/07/21 15:28
注目トピックス 日本株
神戸物産 Research Memo(8):2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を目指す
■今後の見通し2. 中期経営計画神戸物産<3038>は3ヶ年の中期経営計画を策定しており、最終年度となる2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を業績目標として掲げている。3ヶ年の年平均成長率は売上高で4.2%、営業利益で5.4%と着実な成長を見込んでおり、営業利益率も7.8%と2021年10月期実績の7.5%から若干ながらも上昇する見通しだ。ROEについては毎期20%以上の水準を計画している。前提となる「業務スーパー」の店舗数については2022年10月期の60店舗増に対して、2023年10月期以降は30~35店舗の増加、また、既存店向け出荷額については引き続き2021年10月期比で若干増ペースを見込んでいる。中期経営計画の基本方針としては以下の6項目を掲げている。(1) PB商品を強化し、基幹事業である業務スーパー事業の拡大を目指す(2) 少子高齢化や女性の社会進出等に対応すべく、中食事業の拡大を目指す(3) 多様化する食のニーズに対応した外食事業の拡大を目指す(4) 「食」を通じた社会貢献活動及び環境問題に配慮した事業を推進する(5) 優秀な人財の確保と人財育成に注力するとともに、従業員の満足度向上により企業の生産性を高める(6) ESGやSDGsなどへの取り組みを強化し、企業価値の向上に努めるまた、重点課題と施策については、以下の13項目に取り組み、計画の達成を目指していく方針だ。(1) 業務スーパーの既存店売上の継続的な成長とさらなる店舗拡大を目指す(2) 「食の製販一体体制」を強化するため、積極的なM&Aの推進と自社グループ工場への投資を行い、PB商品を拡充する。また、同時に自社グループ工場の売上・利益の拡大を目指す(3) 「世界の本物を直輸入」にこだわった輸入商品の商品開発を強化する(4) 店舗運営におけるDXなど、新たな取り組みによる運営の効率化を推進する(5) 販売チャネルの拡大などで新たな販路を確立し、より多くのお客様に商品を届ける(6) 品質管理体制をより充実させ、食の安全安心の取り組みを強化する(7) 食文化の違いによる様々なニーズや課題に対応すべく、ハラール商品などのさらなる充実を図る(8) 外食・中食事業において「食の製販一体体制」を生かした商品力や、オペレーションのさらなる効率化で差別化を進め、事業拡大を目指す(9) 適正な業務執行と監督機能の厳格化によりガバナンス体制の強化を推進する(10) 支援を必要とする方々の一助となるよう、食品提供などを継続的に実施する(11) フードロスや包材の削減、再生エネルギーの活用に努め、サステナブルな経営を推進する(12) 人財採用において当社の魅力を積極的に発信し、優秀な人財の確保に努める(13) 従業員教育を強化し、企業と従業員がともに成長できる体制を整備する(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:28
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シナネンHD Research Memo(7):石油価格やプロパンCPの高騰にもかかわらず、期初計画を超過達成
■業績動向1. 2022年3月期の業績動向シナネンホールディングス<8132>の2022年3月期の業績は、売上高289,340百万円(前期比※33.3%増)、営業利益2,480百万円(同15.5%減)、経常利益3,272百万円(同8.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,487百万円(同8.4%減)となった。期初計画比では売上高で45,340百万円、営業利益で380百万円、経常利益で1,572百万円、親会社株主に帰属する当期純利益では987百万円の超過達成となった。なお、同社は前期比増減を決算短信に表示していないが、これは2022年3月期初より収益認識会計基準等を適用したためである。収益認識会計基準等を適用したことで売上高が10,137百万円減少、営業利益、経常利益もそれぞれ4百万円減少しているため、実質的には売上高で前期比37.9%増、営業利益で15.4%減、経常利益で8.4%増となり、親会社株主に帰属する当期純利益は変わらない。※売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利の前期比はフィスコ算出。日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束が繰り返されるなか、経済活動への厳しい制限が徐々に緩和され、社会活動や個人消費に持ち直しの動きが見られた。しかし、ウクライナ情勢など地政学的リスクの高まりに加え、世界的な半導体不足や資源価格の高騰などにより、景気の先行きは予断を許さない状況が依然として続いている。国内エネルギー業界においては、年度初めより上昇基調にあった原油価格・プロパンCPが、地政学的リスクの顕在化による供給不足の懸念が強まり、2014年以来の高値水準での推移となった。一方、石油・ガスの国内需要は、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化などにより全体としては減少傾向が続いている。また、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画を弾みに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する見込みとなった。このように同社を取り巻く事業環境が大きく変化するなか、第二次中期経営計画の定量目標とするROE6.0%以上に向け、引き続き3つの定性目標を達成するための取り組みを推進した。具体的には、「資本効率の改善」に向けて埼玉県川口市の固定資産を譲渡、「持続的成長を実現する投資の実行」では、再生可能エネルギーやシェアサイクルなど新規事業への戦略投資に加えDX推進に向けたIT関連投資を実行し、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備を進めた。また、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」に向けた風土改革・働き方改革も引き続き推進した。この結果、売上高は、原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価の上昇を受けたBtoC事業とBtoB事業がともに好調に推移、非エネルギー事業も、ステーション数などインフラを拡充したシェアサイクル事業、医療施設向けの感染消毒清掃が好調だった建物維持管理事業がけん引して増収を確保した。利益面では、市況上昇による増収だったため売上総利益への効果が限定的だったうえ、新規事業に向けた戦略投資やIT関連投資、中途採用に伴う人件費の増加などにより販管費が増加、営業減益となった。一方、保険返戻金の増加や貸倒引当金繰入額の減少により営業外損益が改善して経常利益が増益に、有価証券売却益はあったものの固定資産売却益の減少やのれん償却の発生により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となった。なお、業績が期初計画から超過達成した要因は、売上高が原油価格やプロパンCPの高騰のほか、BtoB事業のオイルスクエア拡充策による増販などが挙げられる。また、営業利益については、BtoB事業の増販に伴う差益確保やシステム事業で電力CISが順調に推移したことによる。バランスシートに関しては、今般の原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価の上昇によって、売上債権が大幅に増加したが、親会社株主に帰属する当期純利益の増加によって自己資本も拡大したため、自己資本比率は50%超を確保、健全な状態を維持することができた。しかしながら、ROEが4.7%と、中期経営計画における進捗としてはやや物足りない結果となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:27
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神戸物産 Research Memo(7):原材料価格の上昇を値上げ効果で吸収し、22年10月期も増収増益が続く見通し
■今後の見通し1. 2022年10月期の業績見通し神戸物産<3038>の2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円、経常利益で同0.4%増の29,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.1%増の19,800百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で52.1%、営業利益で51.2%、経常利益で56.1%とそれぞれ順調に推移している。第3四半期以降も原材料価格の高騰や円安が進んでおり、市場環境は引き続き厳しいものの、状況を見ながら値上げを適宜実施することでコスト増を吸収していくことにしている。(1) 業務スーパー事業業務スーパー事業の業績前提としては、店舗数で前期末比60店舗増の1,010店舗を計画しており、既存店向け出荷額については若干の増加を見込んでいる。第2四半期末で19店舗増と進捗はやや低いものの、9~10月に新規出店が集中する見通しとなっており、店舗数については計画の達成がほぼ見えている。半導体不足による冷凍庫など設備の不足が懸念されたが、出店予定分については確保できたようだ。店舗数だけで見ると前期末比で6%の増加となるため、既存店向け出荷額が下期も前年同期の水準を上回れば増収率で1ケタ台後半は可能と見られる。一方、利益面では原材料や運賃コストの上昇、円安の影響などを値上げの実施や物流体制の見直しによるコスト低減等により吸収していくことにしている。値上げについては、競合の食品スーパーの状況も見ながら販売数量に影響を与えない範囲で実施していくことにしている。弊社では、食料品の値上げが業界全体で拡がるなかで「業務スーパー」の優位性が維持され、第3四半期以降も既存店向け出荷額は1ケタ台前半の伸びが続くものと弊社では見ている。一方、物流面では福岡や仙台の物流センターを増強したほか、2022年6月には四国に3PLセンターを開設し、納期の短縮を図るなど、各拠点にて物流の効率化を図ることでコスト低減に取り組んでいる。また、同社は新たな計画として関東に物流機能を有する生産拠点を建設することを明らかにした。土地は既に確保済みで、現在は同拠点での生産品目なども含めて計画を策定している段階にある。2023年10月期中にも着工する見通しで、設備投資額としては200億円規模になる見通しだ。現状、関東エリアについては外部の物流センターを活用していたが、同拠点の開設によりコスト低減が進む見通し。開設初年度は減価償却費が増加するものの、コスト削減効果のほうが大きいため、稼働初年度から利益増に貢献すると見られる。さらに、関西物流センターでは2023年10月期に商品の仕分を行うソーターシステムの更新を予定している。既存のシステムは老朽化しており、1ヶ所トラブルが発生してストップすると全体のラインがストップするなど生産性が低かった。新たなソーターシステムは仕分け処理スピードのアップに加えて、トラブルが発生した際にも全体のラインがストップしないような安全システムも導入する予定になっており、生産性の向上が見込まれる。自社グループ工場の設備投資計画は通期で50億円程度を見込んでいる。生産能力を増強する主な品目としては、宮城製粉(株)のチルド惣菜シリーズ、豊田乳業(株)の牛乳パック、(株)神戸物産エコグリーン北海道のコロッケ、パン粉、秦食品(株)の冷凍讃岐うどん、ポテトサラダ等のチルド食品が挙げられる。引き続き生産能力が不足している工場では能力増強投資を進めていくことにしており、年間50億円程度の設備投資が続く見通しだ。(2) 外食・中食事業外食・中食事業は売上高で2ケタ増収となり、営業損失も縮小する見通しだ。「神戸クック・ワールドビュッフェ」については、通常営業体制に戻ったこともあり既存店については増収が見込まれるものの、店舗数が前期末の15店舗から9店舗に減少したことにより、同事業全体では減収減益となる見通し。収益改善施策として2022年5月より全店舗でメニューのリニューアルを実施している。なお、退店した北陸・中部の一部について現在、引き継ぎを検討しているFCオーナーがいるようで、市場環境が好転するようであれば営業が再開される可能性がある。一方、好調が続いている「プレミアムカルビ」の店舗数は、前期末比で8店舗増の18店舗を計画していたが、出店基準を見直したことにより、計画をやや下回る可能性がある。5月、6月で2店舗を出店しており、現状は15店舗となっている。時短営業等の制限がなければ、1店舗当たり年間2~3億円の売上が見込めることから、売上高は大幅増収となる見通し。2022年4月以降はフルタイムで営業しており売上も好調に推移している。6月に開催した「Thailand Fair(タイフェア)」も好評だったようで、今後も定期的に世界各国のアレンジを加えた期間限定メニューを提供していくことで、集客力の維持向上に取り組んでいく。なお、FC化の時期については直営で30店舗程度まで展開し、店舗運営の人材が揃ってきた段階で開始することを視野に入れており、当面は首都圏での出店拡大を進めていくことにしている。また、「馳走菜」については出店計画を作っていないものの、「業務スーパー」との同時出店を計画しているFCオーナーが増えている。第2四半期末までに前期末比で16店舗増加しており、通期では30店舗以上の増加が見込まれ、80店舗を越えてくるものと予想される。同社では2025年までに100店舗を目指していたが、現状のペースが続けば2023年にも達成できる勢いとなっている。(3) エコ再生エネルギー事業エコ再生エネルギー事業では、2021年5月に稼働した大阪府泉南郡岬町の太陽光発電所(約9.9MW)がフルに寄与するほか、2022年6月下旬に稼働開始している福島県の西白河発電所(約19MW)が約4ヶ月分寄与することから、売上高で4億円程度の増収となる見通しだ。西白河発電所の設備投資額は約68億円で下期に減価償却費が増加するため、営業利益率は低下するものの増益が続く見通しとなっている。そのほか、太陽光発電所では最後の開発案件となる宮城県での東松島発電所(約30MW、総工費約92億円)の準備が、2024年3月頃の稼働開始に向けて進んでいる。これら発電所がフルに寄与する2025年10月期には、エコ再生エネルギー事業の売上規模は約45億円と2021年10月期実績の1.7倍まで拡大することになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:27
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シナネンHD Research Memo(6):第二次中期経営計画を着実に進展させる方針
■中期経営計画4. 第二次中期経営計画の進捗第二次中期経営計画の進捗は、コロナ禍の影響で想定より緩やかということができる。一方で、ウクライナ情勢などによる外部環境変化や脱炭素社会に向けた動きに対して、的確な対応も急がれている。シナネンホールディングス<8132>は、足もとのコロナ禍の規制緩和を機に、2027年の創業100周年に向けてペースを上げ、第二次中期経営計画の残りと第三次中期経営計画のなかで基盤整備や新規事業開発、M&Aなどをより着実に進展させていくことになると思われる。以下では、第二次中期経営計画の進捗について述べる。(1) 資本効率の改善「資本効率の改善」においては、低効率資産の活用・売却、既存事業の選択と集中を進めてきた。投資基準をクリアした資本効率の高い事業などに投資する一方、低収益・低成長の事業で収益性や資本効率を向上できないと認められる事業については撤退・売却を検討した。この結果、東京都品川区や埼玉県川口市に保有していた固定資産に加えて、ミライフが所有していた大阪府の貯蔵施設などの固定資産も売却し、シナネンが運営する一部事業の清算も実行した。また、ミライフ西日本が運営する愛媛の営業拠点を営業権ごと譲渡し、飛び地になっている拠点の整理も進めた。さらに、ブラジルで進めていたバイオマス事業も撤退した。ブラジルでは多年草植物「CAPIM」を原料にした民生用炭の製造を行い、循環型バイオマス燃料事業への発展を目指していたが、投資基準を上回る収益を確保することが困難と判断されたためである。コロナ禍で、ブラジル国内が混乱したことも影響したと思われる。しかし、「CAPIM」を活用する知見は得られており、後に若干触れるが、日本で新たに事業展開する可能性もあると考えられる。定量目標の持続的なROE6%以上については、売上高の多くを占める石油事業が固定マージンのため原油高やコスト高によって収益性が低下するという特徴があり、一方で現在50%以上ある自己資本比率の水準へのこだわりもあって、達成には想定よりやや長い時間がかかりそうだ。(2) 持続的成長を実現する投資の実行「持続的成長を実現する投資の実行」では、新規事業への戦略投資や基幹システムの整備などIT関連の投資を進めている。そのなかでもシェアサイクルの事業化が急ピッチである。シェアサイクル事業は、前述したように、ソフトバンクグループ企業のシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を利用した、「ダイチャリ」ブランドで展開する電動アシスト自転車のシェアリングサービスである。現在、首都圏を中心にコンビニ大手3社や地方自治体、主要駅、地域小売店などと連携しながらサービスを拡大している。シェアサイクルビジネスは、世界に先行した中国で乗り捨て問題や参入過多による競争激化といった課題が生じたが、ステーション密度を高くした欧米では普及が進んでいる。このため同社も、首都圏で高密度なステーション開発を戦略的に進めている。2022年3月期は、埼玉県ふじみ野市などと新たな実証実験を進める一方、首都圏私鉄や地域企業などとも新たな事業展開を推進した。同社のシェアサイクル事業は、ノウハウの蓄積やコロナ禍の3密回避ニーズもあって、ユーザー数や利用回数が着実に増加しており、第3の交通インフラとして定着傾向にあるようだ。効率性を意識しスクラップ&ビルドしながら事業拡大を進めてきたが、現在ではシェアサイクル事業者として国内有数の規模となり、収益化も見えてきた。同社は再生可能エネルギー関連の新規事業にも注力している。発電効率・静音性・安全性に優れた技術で注目される、新型マイクロ風車の開発・設計・製造などを行っている。新型マイクロ風車は、電源の確保が難しい場所でも小規模な工事で設置が可能で、防犯カメラやLED照明、Wi-Fi基地局など様々な機能を搭載できる上、独立型電源としてBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にも対応している特徴を持つ。現在は、2023年3月期中の販売開始を目指し、2022年3月期に進めた実証実験や風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めている。当面は国内展開が優先するが、将来はグローバルな展開も見据えており、非常に有望な事業ということができる。また、韓国における大型陸上風力発電事業についても2023年3月期中に開発許可を取得したい考えだ。ほかにも、家庭向け環境配慮型電力プラン「シナネンあかりの森でんき」の販売も展開しており、環境意識の高いユーザーへの販売を促進している。また、同社は基幹システムの整備を進めており、次世代のIT基盤では、自社内サーバーからクラウドベースに移行してあらゆる作業をオンライン化、テレワーク環境を整備して多様な働き方改革に対応、繁忙期でも事務の効率化や業務負担の軽減が可能になるなど生産性の向上が見込まれている。AIやIOT、RPA、ビッグデータの活用、他社クラウドサービスとの連携などメニューは多いが、現在データを整備中で、第三次中期経営計画以降には、生産性向上のみならずビジネスモデルの変革へとDXのレベルを引き上げていく計画である。また、中央電力やGMOと共同開発・運用しているポイントモールでは、同業他社を巻き込んだ各種キャンペーンなどによって会員を獲得し、当面、LPガスの顧客網65万人を中心に100万人の会員数を目指す計画である。なお、2021年12月に「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業として同社の取り組みが評価され、経産省の認定する「DX認定事業者」に選定された。(3) 社員の考え方・慣習・行動様式の変革「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」では、従来の人事部ラインのプロジェクトからステイタスを引き上げ、代表取締役の直下にグループ改革推進室を設け、組織風土改革と働き方改革を強力に推進する体制を2020年に構築した。これまで、従業員とのFace To Faceミーティングで社長が約350人の社員と直接対話を実施、全社ミーティングでは1,000人以上の社員がリアルタイムで参加、グループ全社を対象にした職場座談会を全国で100回以上開催するなど、風土改革プロジェクトは順調に進展している。定量評価は難しいが、風通しが着実によくなっているようで、指示命令系統もトップダウンからボトムアップが増えるなど社員の意識改革は進んだようだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:26
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神戸物産 Research Memo(6):高水準の設備投資が続くものの、高い収益力により財務体質は改善傾向が続く見通し
■業績動向3. 財務状況と経営指標神戸物産<3038>の2022年10月期第2四半期末の資産合計は前期末比15,186百万円増加の171,923百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では設備投資資金として長期借入を実施したことにより現金及び預金が10,086百万円増加したほか、在庫も399百万円増加した。在庫水準に関しては2021年10月期より販売機会ロスを防ぐために通常よりもやや多めに保有する方針としているが、足元の売上が順調に伸びていることもありもう少し積み上げたい意向を示している。固定資産では、国内自社グループ工場の設備増強や新規太陽光発電所の建設等により有形固定資産が2,035百万円増加した一方で、投資その他の資産が628百万円減少した。負債合計は前期末比7,497百万円増加の86,015百万円となった。有利子負債が5,531百万円増加したほか、買掛金が2,698百万円増加した。また、純資産合計は前期末比7,689百万円増加の85,907百万円となった。配当金の支払額4,363百万円があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益11,037百万円の計上により利益剰余金が6,674百万円増加した。また、資本剰余金が411百万円、新株予約権が228百万円それぞれ増加した。経営指標を見ると、自己資本比率は前期末比横ばいの48.8%、有利子負債比率は同2.6ポイント上昇の48.0%とほぼ横ばい水準で推移した。有利子負債については大型太陽光発電所の建設資金等に活用するため、5年ぶりに増加したものの、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は、前期末比4,556百万円増加の27,666百万円と増加傾向が続いており、財務の健全性は維持されているものと判断される。なお、2022年10月期の設備投資計画は120億円と期間利益で賄える水準であるが、2024年春に稼働を予定している宮城県のメガソーラー発電所(総工費約92億円)に加えて、関東に物流機能を有する生産拠点を開設する計画を立案中で、同拠点の設備投資額として100~150億円程度を見込んでいる。たた、これらの設備投資額については営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内で賄うことが可能と見られ、財務体質は今後も徐々に改善傾向が続くものと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:26
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シナネンHD Research Memo(5):創業100周年へ向け、中期経営計画を推進
■中期経営計画1. 長期経営構想エネルギー産業、とりわけシナネンホールディングス<8132>が主力とする石油・ガス産業は、ここまで指摘してきたように厳しい環境にある。そして同社もまた、世界的な脱炭素やSDGsへの意識の高まり、気候変動への対応などから、エネルギーサービス企業として責任ある対応が求められている。当然ながら同社もこうした状況を十分理解しており、2027年の創業100周年に向けた長期経営構想のなかで、「人財」と既存事業という経営基盤を強化しつつ、新規事業を開発し、持続的成長と企業価値向上を目指すとしている。なお、長期経営構想は第一次から第三次の中期経営計画として実行計画に落とし込まれており、第一次中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)で事業の選択と集中、資本の効率化に着手、第二次中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)では、創業100周年や第三次中期経営計画に向けたマイルストーンとして、選択と集中及び資本の効率化によって収益力を強化して事業基盤を整備、第三次中期経営計画(2024年3月期~)でさらなる飛躍・躍進を目指し、2027年の創業100周年を迎えるというシナリオになっている。第二次中期経営計画は創業100周年へ向けての基礎固め2. 第二次中期経営計画繰り返しになるが、2020年4月にスタートした第二次中期経営計画は、第三次中期経営計画でさらに飛躍・躍進するための、そして、創業100周年に持続的な成長を続ける組織となるためのマイルストーンという位置づけである。そこで、スローガンとして「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking~大胆な発想で新しい世界への挑戦」を掲げ、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標を設定した。「資本効率の改善」では、既存事業の利益率向上策に加え、低効率資産の活用・売却や事業の選択と集中を強力に推進する。「持続的成長を実現する投資の実行」では、M&Aによる既存事業の収益基盤強化、関東での建物維持管理事業のM&A、国内外での再生可能エネルギー事業の推進、シェアサイクル事業など優先実行する事業の明確化を進める。一方で、既存のエネルギー事業の競争力の維持・強化のため、環境変化に対応した高度な基幹システムの構築やLPWA※などITを駆使した業務の効率化を目指してDXを推進する。「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」では、職を楽しむ働き方改革、適材適所の人材配置、自由闊達な社内風土の醸成、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持った多様な社員の育成によって、予測不能な時代にも対応できる企業風土・企業体質への改善を目指している。一方、定量目標も掲げており、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立を目指している。営業利益などその他の定量目標はないが、その理由は、第二次中期経営計画が、創業100周年を臨む第三次中期経営計画においてさらなるROE向上や成長性を確保するためのマイルストーン(中間達成目標)として位置付けられている、つまり、収益や成長の基盤を構築する先行投資期間になるためである。※LPWA(Low Power Wide Area):省電力かつ広域対応の通信技術(IoT技術)。エネルギー業界では、LPガスのメーターに応用することでリアルタイムの自動検針が可能となる。このため、検針や配送作業などのコスト削減や新たなサービスの創出などが期待されている。中期成長をけん引する新規事業を育成3. 第二次中期経営計画のセグメント別施策BtoC事業では、M&Aによるシェア拡大や新規商材による顧客深耕によって経営基盤を強化する戦略である。石油・ガス事業では、営業権の買収やガス事業者のM&Aなどにより顧客基盤を拡大・強化、自社営業により直販顧客の獲得も進める。また、物流アライアンスやLPWAなどを活用して業務の効率化も行う。電力事業では、ガス・灯油とのセット販売や登録店・取次店方式・パートナーなどを活用して「ミライフでんき」の拡販を図る。住まいと暮らしその他の新規事業では、水回りリフォーム専門店やアフターFIT商品※の拡充による顧客層の拡大、顧客管理システムを利用した効果的な営業の仕組みづくり、石油からガス、電気、住まいと暮らしまでのワンストップサービスの確立、空き家管理サービスなど不動産関連サービスの拡充などを進める方針である。※アフターFIT商品:FIT(Feed-in Tariff)とは、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取る固定価格買取制度のこと。アフターFITとは買取期間終了後の課題を指し、現在は買い取りの新制度化や自家消費としての有効利用などが課題解消の候補。いずれにしろ、同社にとっては蓄電池やメンテナンスなど新たな需要が期待される。BtoB事業は、既存事業の安定的な成長に加え新規事業の開発により高い収益を目指す戦略である。石油事業では、物流機能の強化、グループ会社と連携した拠点の開発・整備に加え、好採算の川下分野の軽油販売や灯油宅配でホームセンターなどと協働して収益力の向上を図る。電力事業では、取次店開拓のほか、法人向け低CO2電力など環境配慮型料金メニューの拡充や、太陽光発電関連のメンテナンス事業で製販一体化した新商材・新販路の開発を進める。新規事業では、風力などの再生可能エネルギー事業への投資、新型マイクロ風車関連事業の開発促進を推進する計画である。非エネルギー事業では、各事業の環境や特性に応じた成長戦略を展開する考えである。建物維持管理事業では、事業エリアの関東全域への拡大と設備工事・保守事業への展開に加え、集合住宅メンテナンスのワンストップサービスの推進を図っていく。自転車事業では、プライベートブランド開発による顧客開拓と収益力強化に加え、「ダイシャリン」店舗の構造改革を図る。シェアサイクル事業では、ステーションの設置エリアをドミナント化することによる運営の効率化や、自治体・コンビニ・不動産会社などとの連携を推進する。環境・リサイクル事業では、木質チップ工場の安定稼働と効率化による収益安定化、新商材やバイオマス燃料事業の開発を図る。抗菌事業では、抗菌・消臭の総合ソリューション事業への進化を目指す一方、鉛吸着剤など製品開発も進める。システム事業では、機能強化やサービス拡大による顧客獲得とIoTを活用した新規事業開発を推進する。こうしたなかで、創業100周年へ向けて中期成長をけん引することが期待される注目事業がいくつかある。詳しくは後述するが、BtoB事業の韓国再生可能エネルギー事業、新型マイクロ風車関連事業、シェアサイクル事業、建物維持管理事業などである。特にシェアサイクル事業は、2022年3月期も着実な進展があった。そのほか、東京都港区の旧本社ビルを活用して2020年にスタートしたシェアオフィス「seesaw」では、単なるシェアオフィスというだけでなく、新規事業創出のシーズを発掘するという役割も担っており、スタートアップ企業の支援を積極化する方向性である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:25
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神戸物産 Research Memo(5):外食・中食事業も「プレミアムカルビ」の出店効果で売上高が約2倍に
■神戸物産<3038>の業績動向2. 事業セグメント別の動向(1) 業務スーパー事業業務スーパー事業の売上高は前年同期比11.5%増の193,532百万円、営業利益は同3.5%増の16,620百万円と増収増益基調が続いた。売上高は新規出店効果に加えて、既存店向け商品出荷額伸び率が前年同期比4.1%増と伸長したことが増収要因となった。既存店向け出荷額については期初計画で微増と想定していたが、各種メディアやSNSなどで取り上げられた商品の販売が好調に推移したことや、値上げを実施したことも増収要因となった。値上げの効果については商品によって値上率や実施時期が異なるため、具体的に示すことは困難だが、2022年6月時点の全商品の平均値を調べたところ、前年同期と比べて約3%上昇している。2021年秋以降、不定期に値上げを実施してきたが、値上げによって販売数量が落ち込むこともなく、価格戦略については上手くコントロールできたようだ。また、PB商品の売上比率は前年同期の33.01%から34.74%に上昇した。上昇分の大半は輸入商品によるもので、値上げがスムーズに浸透したことも売上比率の上昇につながった。2022年10月期第2四半期累計における「業務スーパー」の出店状況は、新規出店で34店舗、リロケーションなどによる退店で15店舗となり、前期末比19店舗増の969店舗、前年同期末比では47店舗増となった。前期末比の増加内訳を見ると、九州直轄エリアが11店舗増と最も多く、次いで関東直轄エリアで5店舗増、関西直轄エリア及び北海道エリアで各3店舗増となった。また、地方エリアについては3店舗減となったが、これは2021年11月に一部加盟店の脱退があったことによる。「業務スーパー」の既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移は、2021年4月~5月は前年の巣ごもり消費の反動減によりマイナスとなったものの、6月以降は再びプラス基調が続いている。食品スーパー業界全体では前年同月比で若干のマイナス傾向となっており、業界平均と比べて「業務スーパー」の強さが際立っている。これはベストプライスで提供する魅力的なPB商品を揃えていることに加えて、食料品価格の値上げが業界全体で進んだことにより、一般消費者の低価格指向が強まったことも一因と弊社では見ている。ヒット商品としては、台湾特産フルーツの「パイナップル釈迦頭」やインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」のほか、レモネードベース、冷凍玉ねぎなどが挙げられる。「パイナップル釈迦頭」は従来、台湾メーカーから中国への輸出品だったが、中国が輸入禁止措置を取ったことから同社で取り扱うことになった。TVで取り上げられたこともあり売り切れとなる店舗が相次いだ。また、「テンペ」についても国内での認知度は低かったが、納豆のように健康に良い食材ということでメディアに取り上げられ、ヒットにつながった。冷凍玉ねぎについては、上海のロックダウンの影響で中国から玉ねぎの輸入がストップしたことで、玉ねぎの価格が高騰したことが追い風となった。自社グループ会社の収益については全体で前年同期比4億円程度の減益になったと見られる。原材料コストの上昇が主因で、特に小麦や食用油などを多く使う会社の収益が悪化した。なお、2020年より新たに開始した牛・豚加工製品の製造販売については、順調に出荷額が伸び収益化した。神奈川県の工場で製造しており、現在は首都圏の「業務スーパー」のなかでも配送可能なエリアに絞って出荷している。ガスパック包装により、消費期限が5日程度と通常よりも長期保存できることが特徴となっている。今後は物流体制をどのように構築し、配送エリアを拡大していくことができるかが課題となっている。(2) 外食・中食事業外食・中食事業の売上高は前年同期比102.2%増の3,238百万円、営業損失で89百万円(前年同期は156百万円の損失)となった。売上高は「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大により増収となった。一方、利益面では「プレミアムカルビ」がまだ立ち上げ期の投資段階ではあるものの、増収効果で損失額は縮小しており、同事業全体の損失額縮小につながった。「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況について見ると、出店が1店舗(臨時休業中だった伊勢崎店のリニューアルオープン)、退店が7店舗となり、前期末比6店舗減の9店舗となった。コロナ禍対応としてテイクアウトサービス等の取り組みを強化したこともあり、既存店ベースでは若干の増収となったものの、全体では店舗数の減少により減収減益となった。焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」については3店舗を出店し、前期末比3店舗増の13店舗となった。営業時間の短縮の影響があったものの、店内手作りのジェラート&デザートの充実したメニューが女性客を中心に人気となっており、売上高は順調に拡大している。また、牛肉の仕入価格が高騰したが、メニューを改定するなど対応策を実施したことにより売上総利益率が改善したほか、販管費率も増収効果で低下した。中食業態である「馳走菜」については16店舗を出店し、前期末比で16店舗増の65店舗となった。中食需要の拡大や「業務スーパー」の来店客数増加に加えて、メニューの改廃や調理オペレーションの効率化に取り組み、価格優位性を維持していることが好調な要因となっている。一方で、食材コストの上昇により営業利益は横ばい水準にとどまった。今後はメニューの改廃に合わせて価格改定も行うことで、営業利益を伸ばしていく計画となっている。(3) エコ再生エネルギー事業エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比12.4%増の1,388百万円、営業利益は同8.0%増の244百万円となった。売上高は2021年5月に大阪府で太陽光発電所1ヶ所(約9.9MW)が稼働したことによる発電量の増加が増収要因となった。営業利益率が前年同期の18.3%から17.6%と低下したが、これは新規発電所稼働に伴う減価償却費の増加が要因となっている。2022年10月期第2四半期末における太陽光発電所は合計17ヶ所で約32.1MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW、合計で約38.3MWの発電能力となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:25
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シナネンHD Research Memo(4):非エネルギー事業:シェアサイクル、抗菌、システムなど多角展開
■事業内容5. 非エネルギー事業シナネンホールディングス<8132>は先述のエネルギー事業以外にも、ビジネスや人々の生活を豊かにすることを目的に、多角的に事業を展開している。(1) 自転車事業シナネンサイクル(株)が展開している。国内有数の自転車輸入商社として、安価で高品質な自転車や「DAHON」など海外有名ブランドの自転車を輸入販売しているほか、法人向けにOEM自転車の開発も行っている。また、卸売にとどまらず小売にも進出しており、サイクルプラザ「ダイシャリン」は関東・東北に38店舗(2022年3月末現在)を有している。(2) シェアサイクル事業シナネンモビリティPLUS(株)が運営している。ソフトバンクグループ<9984>のOpen Street(株)が提供するシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を活用し、首都圏を中心に自治体やコンビニエンスストアと提携、シェアサイクル「ダイチャリ」を展開している。後述するように、ステーション数や自転車保有台数で国内トップクラスの運営実績を誇るなど、収益化が急速に進んでいる事業である。(3) 環境・リサイクル事業シナネンエコワーク(株)が事業運営している。千葉県千葉市と埼玉県白岡市にリサイクルセンターを有し、廃木材(木くず)から発電用や建材用の木質チップをリサイクル製造しているほか、廃プラスチックや紙くずなどからRPF※を供給している。今後、バイオマス発電事業への参入も視野に入れている。※RPF(Refuse derived paper and Plastics densified Fuel):リサイクルが難しい古紙や廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料。(4) 抗菌事業(株)シナネンゼオミックが展開している。世界初の銀系無機抗菌剤「ゼオミック」のほか、消臭・吸着剤「ダッシュライト」、ハイブリッド防カビ剤「エッセンガード」などを製造販売している。優れた抗菌効果や高い安全性、樹脂・繊維・塗料など用途の幅広さといった特徴から、日用品メーカー、繊維製品メーカーなど国内外の多くの企業から高い評価を得ており、無機系抗菌剤では業界2位となっている。コロナ禍では需要が急増した。(5) システム事業(株)ミノスが運営している。LPガスに欠かせない基幹業務システムや口座振替収納代行サービス、集中監視システムなどを開発、外販も行っている。電力自由化に対応してクラウド型の「電力CIS※」も提供している。※CIS(Customer Information System):顧客情報の管理から契約形態に合わせた料金計算、請求までの業務を一括で管理できる顧客情報システム。(6) 建物維持管理事業タカラビルメン(株)を中心に4社が、建物の維持・管理・運営から清掃、警備、各種工事までを行っている。中核となるタカラビルメン(株)では、オフィスビル・工場・病院・ショッピングセンターなど、建物用途に合わせた幅広いサービスをワンストップで提供しており、特に病院や斎場の運営などのファシリティマネジメントに強みがある。コロナ禍では感染対策の消毒清掃で注目を集めた。また、(株)インデスでは、アパート・マンションの管理人派遣、清掃、設備メンテナンスから原状回復工事に至るサービスを展開している。現在、グループシナジーやスケールメリットを求めて建物維持管理事業4社の統合に向けた取り組みを進めている。エネルギー事業の強みを活かしつつ、非エネルギー事業を育成6. 強みを効果的に活かすこのように同社は、3つのセグメントを展開することで収益力の向上と収益源の多角化を進めている。BtoC事業とBtoB事業における既存のエネルギー事業は、収益改善の余地は大きいものの、成熟した業界環境を考えると簡単に成長できるとも言いづらい。したがって再生可能エネルギー事業や非エネルギー事業といった成長事業に目が向くが、こうした事業は育成に時間がかかる。もちろん、再生可能エネルギー事業や非エネルギー事業を伸ばしていくことは重要だが、短中期的にはエネルギー事業で成長を図ることも必要と考える。同社の強みは、2022年3月末現在において、全国に25か所あるLPガス充填基地や約1,000社にのぼる販売店ネットワークに加えて、82か所あるオイルスクエア(灯油センター)など既存のエネルギー事業の拠点網にある。拠点の多さから全国の販売店や消費者へのリーチが短くなり、サービスが厚くなる。その分、販売店から同社への信頼も厚くなる、という好循環があるためである。ところが、近年、経営者の高齢化などにより販売店の集約化が進み始めている。これに対して同社は、販売店の営業権を買収することで、効率化とシェア拡大による収益拡大を進めている。一方、消費者との直接的な接点が増えることで、消費者に密着した非エネルギーのサービス(リフォームなど)も強化している。このように同社は、エネルギー事業の強みを効果的に活かすことで、エネルギー事業の収益改善と化石燃料依存からの脱却による新たな事業の成長という異なるベクトルを持つ戦略を同時に進めることができるのである。なお、同社は現在、従来の石油出荷施設「灯油センター」に関して、軽油出荷能力を増強し災害時対応能力を高めた高効率の新たな石油出荷施設「オイルスクエア」へのバージョンアップを進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:24
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神戸物産 Research Memo(4):原材料価格の上昇を増収効果で吸収し、22年10月期2Q累計は増収増益を達成
■業績動向1. 2022年10月期第2四半期累計の業績概要神戸物産<3038>の2022年10月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比12.3%増の198,161百万円、営業利益で同2.4%増の14,733百万円、経常利益で同7.8%増の16,380百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同8.9%増の11,037百万円となり、いずれも過去最高を更新した。ウクライナ情勢の悪化による原材料価格や海上運賃の高騰、為替の円安進展※などにより仕入コストが上昇したが、値上げ効果も含めて「業務スーパー」の既存店向け出荷額が増加したことや新規出店による増収効果でカバーした。社内計画に対して見ると、売上高営業利益率は若干下回ったものの、売上高や各利益は計画を上回ったようだ。※平均為替レートは前年同期の120円/米ドルから131円/米ドルになった。売上総利益率は前年同期の12.2%から12.0%と0.2ポイント低下した。このうち、原価率の低い「プレミアムカルビ」の影響を除くと実質0.5ポイントの低下となっている。期中に商品価格の改定を実施したものの、原材料価格上昇によるグループ会社の収益悪化や円安の影響を吸収しきれなかった。販管費が前年同期比25.1%増、金額で約18億円の増加となったが、主な内訳を見ると運賃の増加で約7億円(大半は業務スーパー事業)、人件費の増加で約5億円(過半はプレミアムカルビの出店拡大に伴う人員増)となっており、その他の増加要因として「プレミアムカルビ」の出店費用や地代家賃、光熱費の増加等が挙げられる。販管費の増加によって営業利益の増益率は2.4%にとどまったが、営業外収支で為替差益及びデリバティブ評価益が合わせて628百万円増加したことにより、経常利益の増益率は7.8%となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:24
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シナネンHD Research Memo(3):BtoC、BtoB、非エネルギーの3事業を展開
■事業内容1. 事業セグメントシナネンホールディングス<8132>の事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)、非エネルギー事業の3つにセグメントされる。持株会社である同社が傘下子会社を通じて事業展開しているが、BtoC事業では、家庭や小売業者向けにLPガス、各種燃料、ガス機器の販売、リフォームサービス、都市ガス供給などを手掛けている。BtoB事業では、大口需要家向けに石油製品、各種燃料を販売するほか、ガソリンスタンドの運営、電源開発・電力小売事業、太陽光発電システムの販売なども行っている。非エネルギー事業では、自転車販売事業やシェアサイクル事業、環境・リサイクル事業、抗菌事業、システム事業、建物維持管理事業などを展開している。2022年3月期の売上高構成比はBtoC事業25%、BtoB事業68%、非エネルギー事業6%となっている。なお、エネルギー別の売上高構成比で石油6割、LPガス2割強と化石燃料の構成比が高くなっている。地球温暖化は世界的喫緊の課題2. 業界環境地球温暖化が進み、世界中で異常気象など異変が相次いでいる。世界の経済発展を支えてきた石油やガスなどの化石燃料だが、地球温暖化の主因であるCO2の発生源として使用の中止や削減が求められている。このため、風力やバイオマス、太陽光など環境負荷の小さい再生可能エネルギーへの代替や、自動車など機器・機械の省エネ化が進められている。一方で、安価で確実な化石燃料に対する世界のニーズはいまだ根強く、石油製品への依存はなかなか小さくならない。国内でも、ガソリンの代替として電気が注目されているが、コストや使い勝手の面で代替が難しい軽油や灯油のニーズは一定程度続くと見られている。しかしながら、地球温暖化は世界的喫緊の課題であるため、化石燃料は徐々にだが確実に再生可能エネルギーに置き換わっていくと予測されている。こうした地球温暖化防止に加え、国内的には少子高齢化や人口減少、オール電化の流れも無視できない。こうした事業環境のなかで同社は、主力のエネルギー事業の収益を維持・改善しつつ、再生可能エネルギー事業の開発や非エネルギー事業の拡充など、多角化を推進している。BtoC事業:東日本を中心に事業展開、約90の拠点網3. エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)同社は、国内を北海道、東北、関東、中部以西の4エリアに区分、エリアごとにエネルギー供給や機器販売、サービス提供を行っている。各エリアでは子会社が「ミライフ」ブランドの店舗を拠点に、LPガスや灯油など様々なエネルギーを、直売のほか地域に密着した販売店などへの卸売を通じて家庭や小売店などに供給している。最近では「ミライフでんき(電気)」も販売しており、ガスとのセット販売など既存顧客のクロスセルやアップセル、新規顧客獲得のフック商材として急成長している。また、エネルギーを安定供給するための配送や保安点検は(株)シナネンひまわりサービスセンターなどが行い、都市ガスの供給を日高都市ガス(株)が行っている。さらに、エネルギーを供給する事業のほかにも、少子高齢化や女性の社会進出などライフスタイルの変化に対応した住まいと暮らしの事業を展開しており、光熱費やCO2排出の削減に効果のあるゼロエネルギー・省エネ住宅や、高齢化に伴うバリアフリーなどへのリフォーム、家事代行やハウスクリーニングといったサービスを提供しており、最近では水回りのリフォームにも参入した。BtoB事業:主力の石油事業に加え、再生可能エネルギー事業も積極展開4. エネルギーソリューション事業(BtoB事業)同社は、石油やガス、電力と多彩なエネルギーラインナップを有していることから、各部門が連携することで法人顧客のニーズに即したサービスとソリューションを効果的に提案することができる。主力の石油事業では、充実した供給・販売ネットワークを各地で展開しているため、全国の法人顧客へ向けて安定的に石油製品を供給している。扱っているエネルギーは、ガソリン・灯油・軽油・重油、LPガスで、宅配灯油の販売サポートから船舶やサービスステーションなど高度で専門性の強い分野まで豊富な供給実績を誇る。また、電力事業では、小売電気事業者として、法人向けを中心に低価格で安定した電力の供給や再生可能エネルギー(太陽光発電)の電源開発などを行っている。ソリューション事業では、エネルギーコストやCO2排出量の削減、各種省エネ設備に関するコンサルティングなどを行っており、特定のエネルギーやメーカーにとらわれない、中立的な立場で最適なソリューションサービスを提供することができる。再生可能エネルギーに関しては、太陽光発電以外でも、国内外で事業開発を進めている。海外では、韓国全羅南道で90メガワットの大型風力発電設備の建設を準備中で、現在、開発許可を待っているところである。現地の大規模発電事業者に対して長期固定した価格で電力を販売する予定になっているため、収益計画が立てやすいという特徴がある。また、国内では、新型マイクロ風車の開発・製造事業にも参入しており、埼玉県と北海道で実施した実証実験、及び、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを、現在進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:23
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神戸物産 Research Memo(3):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長(2)
■神戸物産<3038>の事業概要2. 外食・中食事業外食・中食事業は、「業務スーパー」で構築された原材料の仕入調達から商品販売に至るまでのローコストオペレーションのノウハウを活かして、現在3つの業態を展開している。外食業態は、世界の様々な料理をバイキング形式で提供する「神戸クック・ワールドビュッフェ」(2022年10月期第2四半期末:9店舗、うち直営1店舗、平均顧客単価は1,200~1,300円)と、焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」(同13店舗、直営のみ)で、中食業態は、自社グループで製造された食材などを店舗で組み合わせて調理し、でき立ての惣菜やお弁当を提供する惣菜店「馳走菜」(同65店舗、うち直営4店舗)がある。「馳走菜」は2018年より開始した業態で、特徴としてはパック詰め商品をメインに販売し、提供する商品も売れ筋商品に絞り込むなど、効率性と人手不足に対応したイージーオペレーションを重視した店舗形態になっている点が挙げられる。店舗当たりの月商は5百万円程度だが、20坪程度あれば出店できるため収益化しやすい。また、業務スーパー内に出店することで集客力もアップする効果が過去の事例から確認されており、業務スーパーの新規出店と合わせて出店するケースが増えている。また、2018年より開始した「プレミアムカルビ」の特徴は、焼肉オーダーバイキング&デザートビュッフェとして、女性客を意識した店舗づくりになっている点が挙げられる。特にジェラートは店内で作っていることもあり好評で、オープン当初から客足も順調に推移しており、店舗当たりの月商は2~3千万円となっている。現在は、首都圏で直営店舗の運営を行っているが、店舗運営プロセスの標準化と人材の育成が進んだ段階でFC展開を進めていく予定にしている。3. エコ再生エネルギー事業2012年より開始したエコ再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業(2022年10月期第2四半期末の発電能力約32.1MW)を展開しているほか、2018年8月より北海道で木質バイオマス発電(発電能力約6.2MW)による売電を開始している。4. その他各事業セグメントに分類されないその他には、観光事業等がある。観光事業については現在、北海道で観光果樹園の開園に向けた準備を進めている段階にある。2022年夏にサクランボの生育に成功したことにより、2023年夏頃を目途に無料で試験的に開園することを検討している。有料化するまでには複数種類の果樹を育成する必要があり、本格的なオープンまでにはあと数年かかる見通しだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:23
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シナネンHD Research Memo(2):総合エネルギーサービスグループへの進化を目指す
■会社概要1. 会社概要シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する燃料卸売業者の大手である。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠な業界だが、競争が激しいうえ、再生可能エネルギー事業などカーボンニュートラルなどの観点から新たなアプローチが求められている。同社は上記の業界環境の中、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」を企業理念に掲げ、時代の変化に応える総合エネルギーサービスグループへの進化を目指している。このため、現在推進中の第二次中期経営計画のなかでは、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標に向かって事業基盤を整備しているところである。2027年に創業100周年を迎える2. 沿革同社は、1927年に朝鮮平壌無煙炭の販売を目的に合資会社電興無煙炭商会として創業、1937年に豆炭の製造販売及び豆炭燃焼器具販売を目的に1934年に設立された品川豆炭(株)と合併し、煉炭の製造販売、石炭の販売業務及び煉炭燃焼器具販売へと業容を拡大した。1952年には灯油・ガソリン・重油・軽油など石油製品と石油製品関連器具の販売を開始、1955年にはLPガスとLPガス関連器具の販売を開始した。2000年以降、地方に広がったLPガスの販売拠点などを再編、2015年に社内の組織体制を再編して持株会社体制に移行、現社の社名へと変更した。このように同社の歴史は、エネルギーの変遷に沿って、変革と拡張を繰り返しており、現在では第二次中期経営計画に沿って、次の第三次中期経営計画での飛躍と2027年の創業100周年に向け、既存のエネルギー事業の効率化、再生可能エネルギー事業の開発、非エネルギー分野の拡張を推進し、高い収益力で持続的に成長する事業構造の確立を目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:22
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神戸物産 Research Memo(2):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長(1)
■事業概要神戸物産<3038>は、食品スーパーの「業務スーパー」を全国にFC展開するだけでなく、食材となる農畜産物の生産や製造加工なども自社グループで手掛ける国内トップの食の製販一体企業である。事業セグメントとしては、主力の業務スーパー事業のほか、外食・中食事業、エコ再生エネルギー事業の3つの事業セグメント及びその他で開示している。2022年10月期第2四半期累計の売上構成比で見ると業務スーパー事業が97.7%を占めており、連結業績の動向は業務スーパー事業とほぼ連動する格好となっている。1. 業務スーパー事業業務スーパー事業では、同社が「業務スーパー」のFC本部として商品の企画・開発及び調達等を行っており、「業務スーパー」で販売するPB商品の一部を国内外の自社グループ工場で製造している。2008年以降、M&Aにより食品工場を積極的に自社グループ化しており、現在、国内における自社グループ工場数は25拠点と、食品スーパーとしてその所有数は国内最大級となっている。「業務スーパー」は業務用をメインとした商品開発・販売からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入や店舗運営の徹底した効率化により、「品質の良い商品をベストプライス」で提供することにより顧客からの支持を集め、2000年の開業以降、成長を続けている。既存店の収益成長が続いていることからFCオーナーの出店意欲も旺盛で、店舗数は年間数十店舗ペースで拡大を続けており、2022年4月末時点で969店舗(うち、直営店舗は3店舗)となった。主なFC企業としてはG-7ホールディングス<7508>の子会社である(株)G-7スーパーマートのほか、オーシャンシステム<3096>などがある。食品スーパー業界全体と業務スーパー事業の2012年以降の売上成長率を比較すると、業務スーパー事業は常に業界全体の成長率を上回っており、とくに2019年以降は10%以上の開きが出るなど、同社の成長率が際立っていることがうかがえる。また、株式を上場している大手食品スーパー5社との業績を2017年度から2021年度の実績で比較してみても、主要5社合計では売上高で14.3%増、営業利益で34.7%増となったのに対して、業務スーパー事業は売上高で63.8%増、営業利益で96.9%増と大幅に上回っている。主要5社のなかではヤオコー<8279>やベルク<9974>の成長率が比較的高くなっているものの、同社の成長率ほどではなく、業績面でも「業務スーパー」の成長力の高さが裏付けられている。業務スーパー事業の売上高のうち、FC本部としてのロイヤリティ収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業のなかでは低い料率となっている。これは同社の経営方針として、FC加盟企業の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えに基づくもので、ロイヤリティ収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略としているためだ。なお、FC加盟店はエリアによって直轄エリアと地方エリアに分類しており、契約内容も若干異なっている。直轄エリアの場合で見ると、加盟金220万円(税込)、保証金1,000万円の一時金のほか発注システム使用料で月額31,428円(税込)を徴収している。業務スーパーの取扱商品総数はPB商品、NB商品合わせて約5,300点に上る。PB商品に関しては、国内外の自社グループ工場27工場(うち中国2工場)に加えて、海外の協力工場から調達している。PB商品の売上比率は2022年10月期第2四半期累計で34.74%となっており、ここ数年は上昇傾向が続いている。このうち、国内の自社グループ工場で製造した商品が約11%で、輸入品が残り約23%となる。輸入品のうち約半分は中国からで、残り半分を欧米、ASEAN、中南米地域から直輸入しており、輸入先数は45ヶ国に上る。特徴としては、各国の代表商品となるような製品の品ぞろえに注力している。例えば、イタリアならパスタやピザ、ベルギーではワッフルやフライドポテト、ベトナムではフォーなどが挙げられる。また、ウクライナからもハチミツやクラッカーなどを輸入しており、現在はウクライナ産商品の売上の一部を公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて寄付している。同社の強みの1つとして、消費者にとって魅力のある商材を自社グループで開発、製造できるだけでなく、45ヶ国にわたる国とのネットワークを生かしていち早く発掘し、大量に仕入れることができる調達力を有する点が挙げられる。なお、生鮮食料品については自社で仕入調達せず各FC店舗の裁量に任せている。また、同社は自社グループ会社で農畜産物の生産といった第1次産業も手掛けている。農業に関しては北海道でジャガイモなどを生産しPB商品の原料として使用しているほか、JA(農業協同組合)を通して市場に出荷している。養鶏業に関しては岡山県で「吉備高原どり」、群馬県で「上州高原どり」の養鶏を行っている。処理された鶏肉を新鮮な状態で近畿圏や関東圏の「業務スーパー」に出荷しているほか、ウインナーなどの加工品にして出荷している。為替変動の影響に関して、同社は輸入の仕入れ決済の大半を米ドル建てで行っているため(残りはユーロ、円建て)、円安は仕入れコスト高要因(1円/米ドルの円安で年間約4億円)となるが、為替変動リスクを軽減するため、一部為替予約によるヘッジを行っており、ヘッジ部分の損益に関しては営業外収支に計上している。一方、為替変動に伴うFC加盟店への卸価格の変更はタイムラグが生じるため、急激に為替が変動した場合などは、収益に与える影響も一時的に大きくなる可能性がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:22
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シナネンHD Research Memo(1):2027年の創業100周年をターゲットに中期経営計画を推進
■要約1. 総合エネルギーサービス企業への進化を目指すシナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業では、シェアサイクル事業や抗菌事業など多様な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化に応えるため、総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。2. 強みは全国にある供給基地と販売ネットワーク同社の強みは、全国にあるLPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)などの供給基地、及び販売店のネットワークにある。同社から販売店や消費者へのリーチが短くなることでサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなるからである。一方、競争の激しい石油製品の依存度抑制や新たな時代へのアプローチといった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに第一次~第二次の中期経営計画を策定、課題を解消し持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現在同社は、創業100周年に向けたマイルストーンとして第二次中期経営計画を進行中で、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」の3つを定性目標に、事業基盤を整備しているところである。3. 新規事業ではシェアサイクル事業と建物維持管理事業に注目2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による足踏みはあったが、第二次中期経営計画の定性目標の達成に向けて施策を進めているところである。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却などを進めた。持続的成長を実現する投資の実行では、新型マイクロ風車の開発で埼玉県さいたま市や北海道札幌市における実証実験の実施などの進展があったほか、韓国の大型風力発電については、引き続き、開発許可を待つ状況が続いている。また、シェアサイクル事業は、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設などを巻き込んだステーション開発を推進、2023年3月期の収益化が見えてきた。建物維持管理事業は、病院や斎場の運営などファシリティマネジメントや消毒清掃といった強みを背景に受注を伸ばしており、今後、グループ内再編によってシナジーやスケールメリットを追求する計画になっている。4. 創業100周年に向け持続的にROE6.0%以上を生み出す事業構造を確立へ2022年3月期の業績は、売上高289,340百万円(前期比33.3%増)、営業利益2,480百万円(同15.5%減)となった。売上高は原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価上昇で大きく伸びたが、IT関連や新規事業の戦略投資が先行して営業減益となった。2023年3月期業績見通しについて、同社は売上高310,000百万円(同7.1%増)、営業利益2,500百万円(同0.8%増)を見込んでいる。売上高は高水準の原油価格を前提に増収の予定だが、経営基盤整備に向けたIT投資などを引き続き継続するため、営業利益は横ばい圏にとどまる見込みである。コロナ禍でペースが緩やかになったと思われる定量目標だが、先行投資の効果により中期的にキャッチアップできれば、2027年の創業100周年に向けてROE6%以上の達成だけでなく、投資家が一定の目安とするROE8%も視野に入ってくると思われる。■Key Points・大手燃料卸売業者、再生可能エネルギー事業など脱炭素社会につながる事業を積極推進・好調のシェアサイクル事業や建物維持管理事業などを中心に非エネルギー事業の収益拡大が進む・投資先行の中、2027年の創業100周年に向け、ROE6%以上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/07/21 15:21
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神戸物産 Research Memo(1):食品価格高騰による生活防衛意識の高まり捉え、業務スーパー事業のさらなる拡大へ
■要約神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開しているほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も手掛けている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。1. 2022年10月期第2四半期累計の業績概要2022年10月期第2四半期累計(2021年11月-2022年4月)の連結業績は、売上高で前年同期比12.3%増の198,161百万円、営業利益で同2.4%増の14,733百万円と過去最高業績を連続更新した。主力の業務スーパー事業が売上高で前年同期比11.5%増、営業利益で同3.5%増となり、業績をけん引した。第2四半期末の店舗数が前年同期末比47店舗増の969店舗に拡大したほか、メディアやSNSへの露出効果並びに値上げ効果によって、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が同4.1%増と堅調に推移したことが増収要因となった。営業利益の伸びが鈍化したのは、原材料価格の上昇によりグループ会社の収益が悪化したことに加え、物流コストも上昇したことが要因だ。適宜値上げを実施したものの、コスト上昇分をすべてカバーしきれなかった。ただ、食品スーパー業界全体の既存店売上高が前年同期比約1%減となるなかで、「業務スーパー」は4.1%増と増加基調を維持しており、引き続き商品力や集客力の高さが確認される結果となった。※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。2. 2022年10月期の業績見通し2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円と期初計画を据え置いた。2022年5月以降も原材料価格の高騰や円安進展といった収益圧迫要因が続いているものの、適宜値上げを実施していくことでコスト増を吸収していく方針となっている。「業務スーパー」の店舗数は前期末比60店舗増の1,010店舗を計画している。9月~10月にかけて新規出店が集中する見込みで、計画達成の目途はついているようだ。既存店向け商品出荷額については期初計画で前年同期比微増を見込んでいたが、下期も値上げ等が実施する予定となっていることから、計画を若干上回るものと予想される。値上げについては販売数量に影響を与えない範囲で進めていくことにしている。食材価格の上昇によって一般消費者の低価格志向が一段と強まると考えられることから、下期も業務スーパー事業の優位性は変わらず順調に売上高を伸ばしていくものと予想される。3. 中期経営計画同社は中期経営計画の業績目標として、2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円の達成を目指している。3ヶ年の年平均成長率は売上高で4.2%、営業利益で5.4%と堅実な計画となっており、引き続き業務スーパー事業における店舗数拡大とPB商品の拡充による持続的な成長を見込んでいる。また、新たな取り組みとして販売チャネル拡大(EC販売)の検討を進めているほか、ITを活用した次世代型店舗の開発も進めている。EC販売については業務スーパーが近隣にない地域における潜在顧客の掘り起こしが狙いとなっており、現在収益モデルを固めるためのシミュレーションを行っている。一方、次世代型店舗については2021年8月より「業務スーパー天下茶屋駅前店」を直営で出店し、データ収集とシステム改善を実施している。商品の自動発注システムや、セルフレジとの連携によりレジ待ち時間を削減できるタブレット端末付きショッピングカートの実用化に向けた効果検証等を行っている。効果を確認後、FC店舗への導入を進めていきたい考えだ。また、物流コストの低減を図るため、関東エリアに物流機能を有する生産拠点を開設する計画を立てている。現在、関東エリアについては外部の物流センターを活用しているが、同拠点が稼働すれば物流コストの改善に寄与することになる。順調に進めば2025年頃には稼働できるものと弊社では予想している。なお、「業務スーパー」の出店余地は依然大きく、FCオーナーの出店意欲も旺盛なことから、今後も年間60店舗前後のペースで拡大を続けていく可能性は十分あると弊社では見ている。■Key Points・原材料価格の上昇を増収効果で吸収し、2022年10月期第2四半期累計は増収増益を達成・出店拡大に加えて店舗運営のDX化と販売チャネル拡大により2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を目指す・業務スーパーの出店余地は依然大きく、当面は1,200店舗、長期目標は1,500店舗を掲げる(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2022/07/21 15:21
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レカム Research Memo(5):連結売上CAGR30%以上、海外ソリューション事業の営業利益シェア50%以上へ
■今後の成長戦略● 中期経営計画(2022年9月期~2024年9月期)レカム<3323>は、2022年9月期より新たな中期経営計画(2022年9月期~2024年9月期)を策定している。新中期経営計画の基本戦略では「グローバル専門商社構想の加速化」を掲げており、時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みのダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューション提案し、グローバル事業の成長を加速させる。2024年9月期の定量目標は以下の3つとなっている。1) 連結売上CAGR(年平均成長率)30%以上2) 海外ソリューション事業の営業利益シェア50%以上3) 株式時価総額300億円超(2022年5月末時点56億円)合わせて、下記2つの定性目標の達成も目指している。1) 最終年度(2024年9月期)に東証プライム市場への移行基準達成2) 新三板上場企業である大連レカムにおいては、最終年度に北京証券取引所昇格基準達成グローバル専門商社構想については、今後の事業展開を4つのステージに段階分けしており、「Stage1」=現地日系企業へのLED照明販売、「Stage2」=既存顧客企業へのワンストップ・ソリューションの提供、「Stage3」=ローカル企業向けにワンストップ・ソリューションを展開、「Stage4」=各国のニーズに対応した新たな事業の開発&展開としている。ソリューションを展開するというステージを駆け上がっていくことで事業を急拡大させる戦略である。グローバル専門商社構想のキーワードとして、1)海外ソリューション事業の拡大、2)DX、カーボンニュートラル、感染症対策商材の推進、3)ストック収益の拡大の3つが挙げられる。なお、年度別の売上収益・営業利益は最終年度の2024年9月期に売上収益150億円、営業利益15億円を計画している。海外ソリューション事業の拡大のための具体的な取り組みについては、戦略的パートナーシップの拡大を挙げている。前期、及び今期に入って実行した2件のクロスボーダーM&Aにより、海外各国でローカル市場攻略に向けたパートナーづくりに取り組む。また、フィリップスブランドLED等商品ラインナップの拡充や業務用エアコン等を含めたトータルソリューション提案により顧客のカーボンニュートラル活動へのソリューション提案を実施する。これらの施策により、海外ソリューション事業の営業利益シェアを2024年9月期に50%以上(2021年9月期は17%)を目指す。DX推進のための具体的な取り組みについては、BPR分析を活用した顧客のDX推進支援である。グループの主力事業の1つであるBPR事業は、「ビジネスプロセスリエンジニアリング」つまり、企業のあらゆる社内業務の再構築であり、まさにDXである。顧客企業のDX推進支援に取り組むほか、日本企業向けコストダウンソリューションで培った13年のノウハウを活用し、巨大市場である中国企業向けのBPR事業に取り組むことより、大連レカムの成長の加速を目指す。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/21 15:15
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レカム Research Memo(4):下期は国内ソリューション事業の巻き返し図る。BPO事業は中国企業向けに注力
■今後の見通し1. 2022年9月期通期業績予想レカム<3323>の2022年9月期の業績予想は、売上収益が9,600百万円(前期比44.8%増)、営業利益は480百万円(同127.9%増)、税引前利益は450百万円(同192.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は260百万円(前期は316百万円の赤字)を見込んでおり期初計画は据え置いている。なお、第2四半期における通期計画に対する進捗率は営業利益、税引前利益は約5割、親会社の所有者に帰属する当期利益は約8割の進捗となるため上期については計画通りに進捗していることが窺える。国内外において企業のカーボンニュートラルへの取り組みに対するソリューション提案を強化しており、自社ブランドLED照明「RENTIA」等の高性能な省力化商材等、環境負荷を極力下げるソリューションの提案や国内においてはサイバーセキュリティ対策やDX推進ソリューションの提案にも注力することにより、グローバル専門商社構想の実現を目指す。これらの展開と合わせて、ウイルス除菌装置(「ReSPR」シリーズ)等の感染症対策ソリューション提供にも継続して取り組む。感染予防商品として「ReSPR」シリーズは、経済活動が正常化に向かうなか新たな生活様式として感染症対策が必須になると見られ、ラインナップ拡充による拡販が期待できる。また、マレーシア最大のフィリップスブランド照明器具ディストリビューターであるSLWの買収効果により、LEDを中心としたカーボンニュートラルソリューションの販売拡大等も期待されると弊社では考えている。同社子会社であるレカムビジネスソリューションズマレーシア(RBM)(株)の、日系企業向けソリューションとSLWによる代理店網を通したローカル企業向けのソリューションのすみ分けにより、日系企業とローカル企業の市場を深掘りしていく。また両社のシナジーにより自社開発LEDや「ReSPR」の販売加速等も期待されるところだ。2. 事業セグメント別通期予想(1) 海外ソリューション事業海外ソリューション事業は売上収益が前期比129.6%増の3,100百万円、セグメント損益は200百万円(前期は66百万円の赤字)の黒字転換を見込んでいる。SLWによる売上げが寄与するほか、RBMとの横展開による相互販売といった形での相乗効果が見込まれ、LEDを中心としたカーボンニュートラルソリューションの拡大が期待されると弊社では考えている。また、RBMはカーボンニュートラル製品において、日本ブランド・日本規格の商品を提供している。高価格に見合うだけの高品質な製品を販売しており、価格よりも品質・性能を求める現地優良企業の需要を取り込んでいる点は強みである。(2) 国内ソリューション事業国内ソリューション事業は売上収益が前期比20.5%増の5,700百万円、セグメント利益は同36.8%増の130百万円を見込む。ニューノーマルな働き方を狙って増加するサイバー攻撃が脅威となるなか、これまでの簡易的なセキュリティから本格的なサイバーセキュリティへの需要が引き続き高まると弊社では考えている。デジタル複合機のコストダウンソリューションに関しては、同社独自の「Ret’sCopy」というサービスプランで提供しているが、新しいサービスプランを投入することにより強化する。5月から導入したセールスフォースの活用による営業生産性の向上に取り組むことで、国内ソリューション事業の巻き返しを図る。(3) BPR事業BPR事業は売上収益が前期比10.0%増の800百万円、セグメント利益は同2.3%減の150百万円を見込む。下期の取り組みとしては、日本企業向けにコストダウンソリューションで培ったノウハウにより、新規顧客の営業開拓を強化するとともに既存顧客からの受託業務の拡大を図る。また、中国企業に対するBPR営業を開始している。中国のBPO市場は日本の5倍(中国の企業数も5倍)と推測されている莫大な市場があり、この需要を取り込むことで成長を加速させる計画だ。同社の中国子会社は、ベンチャー企業を対象とする中国の「新三板」に上場している信用力も使えるため、中長期的に成長が見込まれる分野であると弊社では考えている。足元は、人民元に対して円安が進行している影響によって減益を見込んでいる。3. 配当予想同社は、配当性向30%(配当金総額=親会社の所有者に帰属する当期利益×30%)を基準に業績に連動した配当を実施するという基本方針を掲げている。2020年9月期は、有価証券売却益を計上することによって年初計画通りの1株当たり2.0円の配当を行った。2021年9月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益が大幅な損失となったことから無配となった。なお、経営責任を明確にするため、役員報酬の減額を発表。2022年9月期においては1株当たり1.0円の早期復配を計画している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/21 15:14
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レカム Research Memo(3):2022年9月期第2四半期は海外事業の売上高が前期比約3倍
■業績動向1. 2022年9月期第2四半期決算の業績概要レカム<3323>の2022年9月期第2四半期業績は、売上収益が前年同期比20.2%増の4,181百万円、営業利益は同12.5%増の224百万円、税引前利益は同36.8%増の254百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同211.7%増の202百万円だった。売上高は3四半期ぶりに20%を超える増収だったほか、営業利益、税引前利益、四半期利益の各段階利益においては、前期の通期業績(2021年9月期)の数値を上回り、四半期利益の通期計画に対する進捗率は77.8%だった。海外事業において売上高は約3倍となり、特にマレーシアにおけるSLWのM&Aが大きく寄与し、セグメント利益については3つのセグメントの中で利益貢献度がトップとなった。2. 事業セグメント別の動向(1) 海外ソリューション事業海外ソリューション事業の売上収益は前年同期比2.8倍の1,673百万円、セグメント利益は120百万円(前年同期は59百万円の損失)だった。半導体不足の影響により業務用エアコン等の納期遅れがあったが大幅増収で着地。子会社化したSLWの売上収益が10億円強だったが、これを除く既存事業においても増収に転じている。また、SLWの売上収益が好調に推移したことで利益を押し上げ、セグメント損益は黒字に転換した。各国で行動制限が緩和されてきたことから、中国以外の拠点では通常の事業環境に戻りつつある。第2四半期売上の伸長率では、中国は前年同期比47.8%だったものの、タイは同144.7%、ベトナムが同172.3%、マレーシアは同397.7%、インドネシアは同95.8%だった。なお、業務用エアコンについては半導体不足の影響は引き続き警戒されるところではあるが、多くの受注残を抱えているほか、電気使用量削減によってCO2の排出を抑制するカーボンニュートラルの取り組みの高まりにより買い替え需要も多いと見られる。このため、半導体企業の増産の動きによって需給が緩和してくる局面においては、業績の伸びが加速する可能性はあると弊社では考えている。なお、1月にはグループのさらなる収益力の向上を目指すため、2019年6月に子会社化したタイ、インドネシア、アジアの3社について、エフティグループ<2763>及び同社子会社である(株)ジャパンTSSより株式を追加取得した。(2) 国内ソリューション事業国内ソリューション事業の売上収益は前年同期比14.3%減の2,210百万円、セグメント利益は同59.4%減の65百万円だった。直営店チャネルにおいては、半導体不足の影響からLED照明等の仕入に苦戦したことで3.8%の減収。ウイルス除菌装置「ReSPR」については、新型コロナウイルス感染症対策の助成金効果の反動により前年同期比で減少した。代理店チャネルでは、取扱商品の拡充及び新たな代理店開拓に注力したものの、こちらも半導体不足の影響により主力商品のLED照明等、発注に応じられない商品アイテムが数多く生じたことから3割超の減収だった。FC加盟店チャネルにおいては、直営店の販売手法を水平展開し、加盟店へ販売手法の共有や販売支援を実施した効果が見られ、売上収益は前年同期とほぼ同額だった。(3) BPR事業BPR事業の内部取引を含む売上収益は前年同期比9.2%増の356百万円、セグメント利益は同13.0%減の80百万円だった。新規顧客開拓に注力するとともに、コンサルティング営業を通じてRPAやAI-OCR、BPOサービスの獲得に取り組んでおり、既存顧客からの業務受託量の増加に加え、新規受託も増加した。セグメント利益については人民元に対して円安が進行したことで費用が増加した。同社のBPOセンターは中国とミャンマーにあるが、為替の影響は2021年10月から2022年3月までで人民元が円に対して11.5%高くなった一方でミャンマーチャットは13.8%安くなっている。ミャンマーチャットのプラス要因があるものの、同社の場合は圧倒的に中国が大きなセンターとなっているため、為替の影響を大きく受けた格好である。3. 財務状況と経営指標2022年9月期第2四半期の資産合計は、前会計年度末より1,000百万円増加し、9,251百万円となった。マレーシアのSLWが連結対象に加わったことにより営業債権371百万円、棚卸資産が561百万円増加したこと等によるものである。負債合計は799百万円増加し、4,873百万円となった。これはSLW株式の取得代金の一部を借入、連結対象となった同社の借入金が加わったことによるもの。資本合計については200百万円増加し、4,377百万円となった。四半期利益等により利益剰余金が216百万円増加したほか、自己株式の取得により自己株式が26百万円増加したことによるものである。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/21 15:13
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レカム Research Memo(2):グローバル専門商社構想を掲げ、シナジー効果の追求により利益成長を加速
■事業概要レカム<3323>は、2021年9月期において事業構造の見直しとともにグループ会社の再編を進め、中期経営計画策定を契機に事業セグメントの区分を見直した。グローバル専門商社構想を掲げ、「海外ソリューション事業」「国内ソリューション事業」「BPR事業」の3セグメントに括り直し、連結各社を基礎とした区分となっている。海外ソリューション事業は中国、インド及びマレーシア等ASEAN地域の子会社から成り、国内ソリューション事業は直営店、FC加盟店、代理店の販売チャネルにより構成されている。BPR事業は業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。(1) 海外ソリューション事業タイ、ベトナム、インドネシア等ASEAN地域や中国、インドにおいて、海外に進出している日系製造業を中心に、LED照明や業務用エアコン等を用いたカーボンニュートラルソリューションや「ReSPR」等の感染症対策ソリューション、コストダウンソリューションを提供している。また、M&Aによる企業獲得により事業を拡大させている。2021年6月にシンガポールローカル企業Greentech International(GI)を持分法適用関連会社化したほか、2021年10月にマレーシアローカル企業Sin Lian Wah Lighting(SLW)を完全子会社化する等、積極的にM&Aを進めている。アライアンスを含めた戦略的パートナーシップを進めることにより事業拡大を推進。タイやインドネシア、マレーシアではローカルマーケットへの進出を本格的に実施している。(2) 国内ソリューション事業直営店、FC加盟店※、代理店のチャネルを通じてカーボンニュートラルソリューションとしてLED照明(約5万点の商品アイテム)や省エネ性能が高い業務用エアコン等を含めたソリューション提案や、コストダウンやサイバーセキュリティに対するソリューション提案を行っている。また、ウイルス除菌装置「ReSPR」等の感染症対策ソリューション等のソリューションを合わせて実施している。※同社は無店舗型フランチャイズシステムの形態を採っている。これは、販売店舗による店頭販売でなく営業員組織による訪問販売を主体とするフランチャイズシステムであり、同社の事業展開の根幹となっている。(3) BPR事業グループ企業からの管理業務の受託及び外部顧客からの業務アウトソーシング受託、及び業務プロセスの提案コンサルティングを行っている。主として、国内企業から業務委託を受け、業務(バックオフィス業務から名刺入力業務、データエントリー業務等)の内容に応じて中国のレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司(以下、大連レカム)、レカムビジネスソリューションズ(長春)有限公司、レカム騰遠ビジネスソリューションズ(大連)有限公司、ミャンマーレカム株式会社の4業務センターに振り分けている。海外BPOセンターによるオペレーションやRPAやAI-OCR等の活用による業務自動化によりコストメリットを実現している。また、顧客企業のDX推進に寄与するコンサルテーション提案を強化している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/21 15:12
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レカム Research Memo(1):2022年9月期第2四半期の当期利益の進捗率は約8割
■要約レカム<3323>はオフィスや工場、その他施設等に対する様々なソリューションビジネスを展開している。国内においては、情報通信に関するカーボンニュートラルソリューション、コストダウンソリューション、サイバーセキュリティソリューションを実施している。海外においては、中国、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドにおいて、LED照明、業務用エアコン等やサービスを通じてCO2排出量を抑制するカーボンニュートラルソリューションや物価高騰対策として電気代等の経費削減を実現するコストダウンソリューションを行っている。また、新型コロナウイルス等の感染対策や脱臭等のソリューション提案を実施している。このほか、業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。同社の事業セグメントは、2021年11月に策定した中期経営計画にて事業ドメインを見直し、国内事業を集約したことから、従来の「ITソリューション事業」「エネルギーソリューション事業」を「国内ソリューション事業」へ事業セグメントを変更している。これに伴って「海外法人事業」を「海外ソリューション事業」へ名称変更、「BPR事業」を合わせて事業セグメントを3セグメントとした。1. 2022年9月期第2四半期決算の業績概要2022年9月期第2四半期(2021年10月〜2022年3月)業績は、売上収益が前年同期比20.2%増の4,181百万円、営業利益は同12.5%増の224百万円、税引前利益は同36.8%増の254百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同211.7%増の202百万円だった。売上高は3四半期ぶりに20%を超える増収だったほか、営業利益、税引前利益、四半期利益の各段階利益においては、前期の通期業績(2021年9月期)の数値を上回り、四半期純利益の通期計画に対する進捗率は77.8%だった。2. 2022年9月期通期業績予想2022年9月期の業績予想は、売上収益が9,600百万円(前期比44.8%増)、営業利益は480百万円(同127.9%増)、税引前利益は450百万円(同192.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は260百万円(前期は316百万円の赤字)を見込んでおり期初計画は据え置いている。3. 中期経営計画(2022年9月期〜2024年9月期)同社は、今期より新たな中期経営計画(2022年9月期〜2024年9月期)を策定している。新中期経営計画の基本戦略では時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みのダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューション提案する「グローバル専門商社構想の加速化」を掲げている。グローバル専門商社構想では、事業展開を4つのステージに分け、「Stage1」=現地日系企業へのLED照明販売、「Stage2」=既存顧客企業へのワンストップ・ソリューションの提供、「Stage3」=ローカル企業向けにワンストップ・ソリューションを展開、「Stage4」=各国のニーズに対応した新たな事業の開発&展開としている。各国の事業会社が4つのステージを推進し、最終的には各国でその国にとって、なくてはならない企業を目指す。■Key Points・海外ソリューション事業は、ローカル企業のM&Aにより売上は約3倍・通期計画に対する第2四半期の当期利益の進捗率は約8割・マレーシアSin Lian Wah Lighting(以下、SLW)が大きく売上に寄与・グローバル専門商社構想の加速化・自社ブランドLED照明「RENTIA」開発等カーボンソリューション商材に注力(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/21 15:11
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ダイコク電 Research Memo(10):2023年3月期は年間40円配を予定。利益成長に伴う増配余地に期待
■ダイコク電機<6430>の株主還元配当については安定配当を基本とし、業績に応じて特別配当を実施する方針である。2022年3月期の期末配当については、利益面で大きく上振れたことから、期初予想より5円増額修正し、前期比20円増配の1株当たり年間60円(中間25円、期末35円)を実施した。2023年3月期は、現時点で1株当たり年間40円(中間10円、期末30円)を予定しているが、今後も利益成長に伴う増配の余地は十分に期待できる。また、同社株式への投資の魅力を高め、中長期保有の促進を目的とする株主優待制度についても、2022年3月期より再開した※。毎年9月末時点の株主に対し、保有株式及び継続保有期間に応じてQUOカードを贈呈する内容となっている。※2021年3月期については、先行き不透明な事業環境の継続が想定されるなか、コロナ禍の影響により大幅な減益となったことから、株主優待制度を一旦廃止していた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/07/21 15:10
注目トピックス 日本株
ダイコク電 Research Memo(9):業界が転換期を迎えるなかで、将来を見据え、持続的な成長基盤を整備
■過去の業績推移過去の業績を振り返ると、個人消費の冷え込みと東日本大震災の影響とが重なった2011年3月期に業績の落ち込みがあったが、その後はパチンコホール業界が縮小傾向にあるなかでも、ダイコク電機<6430>の業績は順調に回復した。特に高い市場シェアを誇る「情報システム事業」は、2015年3月期まで3期連続で過去最高の売上高を更新しており、同社の業績を支えてきた。ただ、2016年3月期以降は、業界におけるマイナス材料(自主規制や「回収・撤去」の影響、「新規則」に伴う先行き不透明感など)に加え、2020年に入ってからのコロナ禍の影響等も重なり、売上高は低調に推移している。また、利益面では、「情報システム事業」が同社の収益源となっており、業績の回復とともに高い利益率が維持されてきた。2014年3月期から2017年3月期までは次世代製品群向けの研究開発費の増加等により低下しているが、その分を考慮すれば、高い水準を確保してきたと言える。ただ、2018年3月期以降は、次世代製品群向けの研究開発費が一巡したものの、売上高の低迷等により利益率も過去の高い水準には戻り切っていない。一方、MGサービスの伸長などストック型ビジネスモデルへの転換は着実に進んでおり、その点は収益の下支え要因となっている。財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は、内部留保の積み上げ等により上昇傾向にあり、2022年3月期は75.1%の高い水準となっている。また、短期の支払能力を示す流動比率についても、潤沢な現金及び預金を中心に284.1%の水準を確保しており、盤石な財務基盤は、今後の成長に向けた原動力としても強みと言える。一方、資本効率性を示すROEは2015年3月期以降、低調に推移してきた。いずれも最終損益の落ち込みによるものであり、2015年3月期は取引先メーカーの自己破産に伴う損失、2016年3月期は自主規制の影響に伴う専用部材(パチスロ遊技機関連)の評価替えに伴う損失が原因となっている。今後は利益成長とともにROEの改善にも取り組む。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/07/21 15:09
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ダイコク電 Research Memo(8):ヒット機種の登場や今後のスマート遊技機導入も見据え、市場環境は活性化の兆し
■ダイコク電機<6430>の業界環境ここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコホール業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感が広がり、しばらく混沌とした状況が続くとともに、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、厳しい環境に拍車をかけた。※今回の「新規則」で、一例として遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、2021年には2022年1月末を期限とする「新規則」機への段階的な入れ替えが進むとともに、2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」※など)を有する遊技機がリリースされたことで、パチンコ遊技機ではヒット機種が複数登場しており、遊技機入れ替え需要による市場活性化が顕在化してきた。また、今後は「スマート遊技機」の導入に注目が集まっており、遊技機市場やパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。一方、当面のリスク要因としては、新たな変異株の出現を含む、コロナ禍の再拡大のほか、半導体不足による納期遅延などの影響が懸念されている。※「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2012年から2021年の間で年平均3.9%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2021年12月末のパチンコホール数は8,458店舗(前年末比577店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数はシェア37.1%に上り、年々高まる傾向にある。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特長※がある。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これからスマート遊技機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。※大型店舗(501台以上)におけるシェアは61.4%とさらに高くなっている。また、遊技機の市場設置台数については減少傾向で推移(特に、パチスロ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
2022/07/21 15:08