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ランチタイムコメント
日経平均は4日続伸、景気後退と金融引き締め巡る懸念はくすぶる
 日経平均は4日続伸。191.40円高の26851.15円(出来高概算6億6222万株)で前場の取引を終えている。 17日の米株式市場でNYダウは431.17ドル高と大幅に3日続伸。中国上海市の都市封鎖(ロックダウン)解除への期待に加え、4月小売売上高や鉱工業生産など良好な経済指標を背景に世界経済の成長減速懸念が後退。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演も概ね想定内の内容にとどまり、イベント終了とともに買いが再燃し、引けにかけて上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数は+2.75%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+5.01%と大幅反発。こうした流れを引き継いで日経平均は167.07円高からスタート。朝方は買いが先行し、一時27053.18円(393.43円高)まで上昇。ただ、時間外取引のナスダック100先物やアジア市況が弱含むなか、次第に失速していき、26741.34円(81.59円高)まで上げ幅を縮める場面もあった。 個別では、SOXの急伸を受けてレーザーテック<6920>や東エレク<8035>が買われ、ルネサス<6723>はパワー半導体の増産報道も追い風に大幅に上昇。中国経済の底入れや米経済指標を受けた景気後退懸念の緩和で信越化<4063>、川崎汽船<9107>、三井住友<8316>などの景気敏感株の一角も堅調。今期の増益・増配計画が引き続き材料視されている三井松島HD<1518>は3日連続での急伸劇。「ビフィズス菌BB536」が中国の「新食品原料」に登録された森永乳業<2264>も大幅高。ほか、富士通<6702>、SMC<6273>、デンソー<6902>などが高い。一方、ファナック<6954>、ファーストリテ<9983>など値がさ株の一角が小安く、原油先物相場の上昇一服でINPEX<1605>やENEOS<5020>など石油関連が軟調。証券会社の目標株価引き下げでサイバー<4751>は大幅に下落。 セクターではその他製品、空運、精密機器などが上昇率上位となった一方、鉱業、石油・石炭、小売などが下落率上位に並んだ。東証プライムの値上がり銘柄は全体の51%、対して値下がり銘柄は45%となっている。 朝方400円近くまで上げ幅を広げ、節目の27000円を一時回復した日経平均は早々に伸び悩んで同水準をすぐにまた割り込んだ。日足チャートでは長い上ヒゲを付け、下向きの75日移動平均線を明確に超えられず、戻り待ちの売りが根強い様子が窺える。実際、ここ3カ月の累積売買高をみると、27000円処に最も商いが集中しており、この水準を回復し定着するには、戻り待ちの売りを我慢強くこなしていく必要がありそうだ。 また、物色動向も気がかり。中国上海でのロックダウンが解除される見通しとなったほか、前日に発表された米国4月の小売売上高と鉱工業生産はともに堅調な結果となった。しかし、本日の東京市場ではファナックやコマツ<6301>など一部の景気敏感株で冴えないものが散見される。商社関連株も冴えないものが多い。また、前日の米株市場でナスダックが大幅に反発したにもかかわらず、中小型グロース(成長)株の筆頭格ともいえるSHIFT<3697>は2%近くと大きく下落している。物色動向がちぐはぐな中、東証プライム値上がり率上位には、年初来安値圏にある銘柄が多く並んでおり、自律反発狙いの買いくらいしか入っていないかのようだ。 米主要株価指数は5月12日を安値にリバウンドしてきているものの、まだまだ自律反発の域を出ておらず、弱気相場下での短期的な反発(ベアマーケットラリー)にすぎないとの見方も多いなか、依然として様子見ムードを貫いている投資家が多い様子。米VIX指数が13日以降、危険水域とされる30を割り込み、その後も低下基調にあることで、行き過ぎた弱気のセンチメントの巻き戻しが少しは進んでいるのだろうが、原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI6月物)は1バレル=112.40ドル(-1.80ドル)と高止まりしており、インフレ懸念もくすぶるなか、買いを積極的に入れる向きは少ないようだ。 景気の先行きについても、米小売売上高などは良好だったが、先週末に発表された5月のミシガン大学消費者マインド指数は現況指数、期待指数がともに悪化し、2011年以来の低水準だった。また、今週初に発表された5月NY連銀景気指数は予想外のマイナス転換で大幅な悪化。そして、前日に発表された5月NAHB住宅市場指数は2020年4月以来の低下幅で、20年6月以来の低水準まで落ち込んだ。どうやら実体ベースではまだ落ち込みは確認されていないようだが、景況感や消費者心理といったセンチメントベースでは相当に悪化が進んでいる様子。こうしたセンチメントの方が先行性は高いと推察され、今後、まだ堅調を保っている実体ベースの指標が悪化してくる可能性はあろう。本日の東京市場で景気敏感株が思いのほか冴えないのはこうした背景を見透かした上でのことかもしれない。 前日、ウォールストリート・ジャーナル主催のイベントで、FRBのパウエル議長は6、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)でも5月と同じ0.5ptの利上げが適切になるだろうと従来通りの見解を強調。一方、明確なインフレ圧力沈静化のために政策金利を、中立金利を超える水準にまで引き上げることに「躊躇しない」とし、インフレ沈静化の兆候が見られない場合には、「もっと積極的な動きを検討しなければならないだろう」とも発言。改めてタカ派色も色濃く感じられた。 前回5月3-4日のFOMC以降の高官発言で、6、7月会合までの利上げ幅についてはコンセンサスがかなり形成されつつある。しかし、昨日のパウエル議長の発言を聞く限り、今後の物価指標の高止まり次第では、それ以降の会合でも0.5ptの大幅利上げが続く可能性が想定され、すでにかなり織り込みが進んでいる利上げペースについても、もう一段階、上方修正を迫られる場面が出てきそうだ。この点は、年央までの物価指標を確認するまでは議論が分かれるところであり、今後も、ボラタイル(変動率の激しい)な相場が続こう。 ただ、今後2会合の利上げ幅や、6月からの量的引き締め(QT)のペースについてはすでにほとんど明確になっているため、目先はボラタイルながらも足元たたき売られてきたハイテク・グロース株に短期的には妙味がありそうだ。 一方、半導体関連株については本日、東エレクなど前工程装置関連の銘柄が総じて堅調な一方、四半期ベースで受注鈍化が確認されているTOWA<6315>など後工程装置の銘柄では軟調なものが散見される。前倒し発注の反動減など負の影響が表れていると推察され、半導体関連も一緒くたに何もかもが好調なわけではない。セクター間での物色動向の違いも大事だが、セクター内での銘柄選別も重要な局面と言えそうだ。 後場の日経平均は前引け水準から動意薄でもみ合いとなりそうだ。材料難のなか、時間外取引のナスダック100先物は小動きで材料視しにくい。一方、アジア市況がやや下げ幅を広げてきていることもあり、弱含む可能性に注意したい。全体的に方向感が掴みにくいなか、下半期の業績上振れの可能性や、前期に続き10%を超える配当利回りが好材料視されやすい郵船<9101>など海運株の買いに妙味がありそうだ。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/18 12:10
ランチタイムコメント
日経平均は3日続伸、「それでもインフレ・市場急変懸念は拭えない」
 日経平均は3日続伸。53.98円高の26601.03円(出来高概算6億7000万株)で前場の取引を終えている。 16日の米株式市場でNYダウは小幅に続伸し、26ドル高となった。原油先物相場の上昇とともに関連銘柄が買われたほか、景気の影響を受けにくいディフェンシブ株の上昇も相場を下支えした。ただ、長期の年限の金利低下にもかかわらずハイテク株を中心に売りが出て、NYダウは一時300ドルあまり上昇してから失速。S&P500指数は-0.39%、ナスダック総合指数は-1.20%となった。本日の日経平均もNYダウ同様、8円高と小幅に上昇してスタート。朝方は前日終値を挟んだもみ合いとなり、26440.62円(106.43円安)まで下落する場面もあったが、香港株高などを受けて前場中ごろを過ぎ一時26709.26円(162.21円高)まで上昇するなど、やや方向感に乏しい展開だった。 個別では、郵船<9101>や川崎船<9107>の上昇が目立ち、東エレク<8035>もしっかり。リクルートHD<6098>は決算を好感した買いが先行するもやや伸び悩んでいる。INPEX<1605>は原油高を受けて5%近く上昇し、ENEOS<5020>は連日で年初来高値を更新。また、急反発の日医工<4541>や債務超過解消のレオパレス21<8848>が東証プライム市場の上昇率上位に顔を出し、米社との経営統合に向けた株式公開買付け(TOB)実施が発表されたキトー<6409>はストップ高水準での買い気配となっている。一方、レーザーテック<6920>やトヨタ自<7203>が軟調で、ソフトバンクG<9984>も小安い。アサヒ<2502>は決算を受け原材料高への警戒感が強まり、東証プライム市場の下落率トップ。また、その他の決算発表銘柄では電通G<4324>などが大きく売られている。 セクターでは、鉱業、海運業、石油・石炭製品などが上昇率上位。一方、食料品、銀行業、輸送用機器などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の53%、対して値下がり銘柄は43%となっている。 本日の日経平均は前日終値を挟んで上下100円あまりのレンジでもみ合い、結局小高く前場を折り返した。日足チャートを見ると、5日移動平均線が上向きに転じ値動きもまずまず悪くない印象を受けるが、26700円台に位置する25日移動平均線手前で伸び悩み。個別・業種別では米株と同様に原油を中心とした市況関連株が堅調。一方、ディフェンシブ色の強い食料品はアサヒの決算を受けて原材料高への警戒感が強まっているとみられ、長期の年限の米金利低下により銀行株もさえない。東証プライム市場の下落率上位には成長期待の高い中小型株が目立つ印象だ。前引けの日経平均が+0.20%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.14%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆4000億円あまりとなっている。 新興株ではマザーズ指数が-2.20%と3日ぶり大幅反落。日足チャートを見ると、5日移動平均線を一時的に上回っても戻りに弾みが付かず、値動き改善への期待が持ちづらいか。好決算の小型株が買われているとはいえマザーズ指数の押し上げには力不足で、中小型グロース(成長)株安の流れからメルカリ<4385>などの主力IT株は揃って軟調だ。 さて、16日の米市場では10年物国債利回りが2.88%(-0.04pt)に低下。5月上旬に一時3%台に乗せてから足踏みが続いている。期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.68%(-0.01pt)。こちらも4月下旬に一時3%台まで上昇してから低下に転じている。11日発表の4月消費者物価指数(CPI)などを受け、インフレピークアウトへの期待が広がっているとの見方もある。 もっとも、原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI6月物)は1バレル=114.20ドル(+3.71ドル)まで再び上昇してきた。供給増加が緩慢ななかで中国の経済活動再開などにより需要が回復するとみられ、需給ひっ迫が意識されている。米ハイテク株安もインフレ懸念の根強さを感じさせる動きだろう。このところ米著名投資家や識者らが相次ぎインフレを睨んだ資産配分に言及している点にも触れておきたい。 今回の決算発表シーズンでは、アサヒに限らず、日本を代表する企業であるトヨタ自などでコスト高の逆風が強く意識された。日経平均の予想EPS(1株当たり利益、日本経済新聞社が公表するPERから逆算)は4月15日時点の2085.70円に対し、5月16日時点では2009.62円に減少している。PER13.2倍、PBR1.15倍となっているが、こうしたEPS推移を見る限りバリュエーション向上への期待を持ちにくいだろう。 16日発表の5月のニューヨーク連銀製造業景況指数が-11.6(予想+16.5、前月+24.6)となるなど、このところ世界的に経済指標の悪化も目立つ。相対的に日本株が優位になるとの期待の声もあるが、「世界の景気敏感株」としての位置付けが強いだけに、積極的に持ち高を増やそうとするグローバル投資家が出てくるか見通しづらい。TOPIX先物について、日々の取引手口情報や日本取引所グループの公表する投資主体別売買動向を見ても買い越しの動きは限定的だ。 再び米市場に目を向けると、「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が27.47(−1.40)とじりじり低下。下方ヘッジ(あるいは投機)目的のプットオプション(売る権利)の持ち高解消の動きが窺えるにもかかわらず、米株式相場の上値が重いのは気掛かりだ。買い持ち(ロング)投資家の戻り売り圧力が強いとみられる。ベア・マーケット・ラリー(弱気相場のなかでの株高)での戻りは限られ、再び売り持ち(ショート)が積み上がる場面では下値不安が高まる可能性がある。 その他、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が0.5ptペースでの利上げに再三言及している点に安心感を覚える向きもあるようだが、FRBが9日に公表した「金融安定性評価」では株式等のバリュエーションが依然として高いなどと評価されているようだ。かねて当欄で指摘しているとおり「FRBは市場にフレンドリーではない」と改めて認識すべきだし、仮にFRBが金融引き締めを緩めるようならインフレ懸念は一段と強まるだろう。同報告書で流動性の悪化により金融市場の急変に警鐘を鳴らしているように、日本株もなお不安定な展開が続くとみておいた方がよさそうだ。(小林大純) <AK>
2022/05/17 12:13
ランチタイムコメント
日経平均は続伸、インフレトレードのリバーサル継続か
 日経平均は続伸。64.64円高の26492.29円(出来高概算8億0801万株)で前場の取引を終えている。 先週末13日の米株式市場でNYダウは466.36ドル高と7日ぶり大幅反発。暗号資産市場が持ち直したことで、金融市場に混乱がもたらされるとの脅威が後退し、寄り付き後上昇。ハイテク株も下げ止まったため、主要株価指数は安心感から終日堅調に推移した。ナスダック総合指数は+3.81%と大幅続伸。こうした流れを引き継いで日経平均は先週末比325.72円高からスタートすると、朝方に26836.96円(409.31円高)まで上昇。しかし、先週末に急反発した反動が意識されるなか、時間外取引のナスダック100先物が軟化したことで前場中ごろからは売りに押され失速。前引け間際には一時26438.61円(10.96円高)まで上げ幅を縮める場面があった。 中国経済指標の下振れも投資家心理を悪化させたとみられる。11時頃に発表された中国4月の小売売上高は前年比-11.1%と予想(同-6.1%)を大幅に下振れ、鉱工業生産も同-2.9%と予想(同+0.6%)を大幅に下振れた。 個別では、先週末に急伸したソフトバンクG<9984>やレーザーテック<6920>のほか、ファーストリテ<9983>、OLC<4661>、リクルートHD<6098>などのグロース(成長)株が上昇。第1四半期好スタートだったスノーピーク<7816>や、決算と併せて新中計と自社株買いを発表したKDDI<9433>、市場予想を上回る見通しを公表したSMC<6273>などは東証プライム市場売買代金上位において大幅高となっている。マツダ<7261>は市場予想を上回る営業増益計画や増配などが評価され、自動車株の中では珍しく本決算後に大幅高を見せている。東証プライム値上がり率上位には決算を受けてDmMiX<7354>、上組<9364>、イーレックス<9517>、マツキヨココ<3088>などがランクイン。 一方、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などが小安く、トヨタ自<7203>や任天堂<7974>も軟調。決算後の急伸の反動でオリンパス<7733>が大幅反落。市場予想を大幅に下回るガイダンスを公表したホンダ<7267>が大きく下落し、第1四半期が2ケタ営業減益となったヤマハ発動機<7272>は急落。第1四半期が大幅な赤字となった楽天グループ<4755>、今期2ケタ営業減益計画で市場予想も大きく下回った住友化学<4005>なども売られた。東証プライム値下がり率上位には今期大幅減益のサプライズ計画を受けて先週末にストップ安となったエン・ジャパン<4849>のほか、ギークス<7060>、メルコHD<6676>、朝日インテック<7747>、DOWA<5714>などが並んだ。 セクターでは倉庫運輸、サービス、情報・通信などが上昇率上位となった一方、鉄鋼、非鉄金属、その他金融などが下落率上位に並んだ。東証プライムの値上がり銘柄は全体の28%、対して値下がり銘柄は70%となっている。 日経平均は朝方高く始まった後は伸び悩んで急失速、25日、75日移動平均線に上値を抑えられる格好となっている。東証株価指数(TOPIX)は寄り付き直後から失速すると前引け間際にマイナスに転換し、やや大きめの陰線を形成。先週末に急反発していたことや時間外取引のナスダック100先物の上昇を背景に13日の米株高をある程度織り込んでいたとはいえ、ナスダックが4%近く上昇していたことを踏まえると、今日の東京市場の動きはやや弱い印象を受ける。 対して先週末に+4.5%と急反発したマザーズ指数は+1%半ばと相対的に強い。東証プライム市場でも、先週末に急伸していたソフトバンクGが続伸しているあたり、直近の下落がきつかったハイテク・グロース株には買いが入っているようだ。一方、商社などは先週から軟調な動きが目立ち始めてきている。先週に米国で一連の物価指標の発表を終え、インフレを巡る話題がやや落ち着きを見せるなか、これまでの“コモディティ買い・グロース株売り”といったインフレを見込んだトレードのリバーサル(株価の反転)的な動きが出てきていると考えられる。 気になるところでは、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストが今年と来年の米国経済の成長率予想を引き下げた。連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めを巡る金融市場の混乱を反映させたようで、2022年の成長率見通しを従来の2.6%から2.4%に小幅に下方修正した一方、23年については従来の2.2%から1.6%へと大幅に引き下げた。 米10年債利回りが5月6日の3.14%をピークに足元、3%を下回る推移が続いていることもあり、市場では景気後退に対する懸念を強めるとともに、インフレのピークアウトを意識した動きが根強い様子。結局は、ピークアウトを確かめるには最低でもこの先2、3カ月分の指標は確認する必要があり、それまでは期待と懸念の交錯が続き、物色も循環的な様相の域を出ないだろう。それでも、上述した動きを踏まえる限り、目先的には“コモディティ買い・グロース株売り”のインフレトレードのリバーサルが続くと想定され、これまでたたき売られてきた中小型グロース株などには押し目買い妙味があると考えられる。 今週17日には、パウエルFRB議長がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催会議で講演を行う予定だ。パウエル議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を繰り返した。17日のイベントでも再度こうした見通しを強調すれば、政策金利の引き上げペースがより明確になることで、引き締めを巡る懸念も和らぎ、ハイテク・グロース株のリバウンド機運が高まると期待している。 午後の日経平均は方向感に欠ける展開が続きそうだ。米国市場では指数の振れ幅が激しい展開が続いており、東京市場でも米国市場を睨みながらの動きとならざるを得ない。そうしたなか、時間外取引の米株価指数先物の動きに左右される展開が続きそうだ。ただ、中国での市場予想以上に大きく悪化した経済指標を受けてアジア市況が軟化してきていることもあり、午後はマイナス転換となる可能性があろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/16 12:10
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日経平均は大幅反発、株式市場は債券市場を後追い?
 日経平均は大幅反発。673.12円高の26421.84円(出来高概算7億8753万株)で前場の取引を終えている。 12日の米株式市場でNYダウは103.81ドル安と6日続落。米国経済が景気後退入りするとの懸念を背景に寄り付き後下落。高インフレや連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めへの警戒感も強く、終日軟調に推移。不透明感が強く荒い展開が続くなか、値ごろ感からハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は+0.05%と小幅ながら反発。米株市場はまちまちだったが、前日に500円近く下落していた日経平均は買い戻しが先行するなか170.08円高からスタート。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、値がさのハイテク株の大幅高が押し上げ役となり、寄り付きから値を切り上げる展開が続いた。 個別では、1-3月期税引前損益で2兆円の赤字を計上したソフトバンクG<9984>は、あく抜け感や自社株買い継続への評価もあり、10%を超える急伸。市場予想を上回る今期計画を示した東エレク<8035>は5%高。ファーストリテ<9983>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、ベイカレント<6532>、SHIFT<3697>などグロース(成長)株も大幅に上昇。オリンパス<7733>は好決算が引き続き評価され8%高。決算が好感されたところでトプコン<7732>、日揮HD<1963>、デジハHD<3676>、フジクラ<5803>などが東証プライム値上がり率上位にランクイン。一方、決算を受けてNTTデータ<9613>、日産自<7201>、トレンド<4704>などが大幅に下落。東証プライム値下がり率上位には前日に決算発表したオイシックス<3182>、KADOKAWA<9468>、メドピア<6095>、カシオ<6952>などが並んだ。 セクターでは精密機器、電気機器、情報・通信などを筆頭にほぼ全面高。一方、電気・ガス、倉庫運輸、鉱業の3業種のみが下落となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の84%、対して値下がり銘柄は14%となっている。 前日に発表された米4月卸売物価指数(PPI)は、総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、変動の激しい品目を除いたコアでは予想を下回り、インフレ懸念とインフレピークアウト期待のどちらにも軍配が上がらない結果となった。11日に発表された米4月消費者物価指数(CPI)に続き、インフレ懸念はくすぶる内容だったという印象だ。 しかし一方で、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%と前日比-0.11ptと大幅に低下。4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下しており、明確な低下トレンドを描いている。 前日、FRBのパウエル議長は公共ラジオ番組で、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解をあらためて示した。株式市場でインフレピークアウト期待が後退している中でのこうした発言は、市場の中央銀行に対する不信感を強めかねないとも思われたが、債券市場では、米10年物BEIと並んで米10年債利回りも2.8%台へと低下するなど、低下基調が続いており、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められているもよう。 これまでの株式市場を振り返ってみると、3月中旬からの強烈なリバウンド相場時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し続けていたため、後になってしっぺ返しを食らうのではないかとの懸念があったが、4月以降は実際そうなってしまった。今回は、当時とは反対に、インフレ懸念が強まるなかで米主要株価指数が年初来安値を更新し続ける一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念の後退を表すかのような動きが続いている。 今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。日本については日経平均やTOPIXのPERはすでにヒトリカルで見て十分に安値圏にあるため言わずもがなだが、米国でもS&P500指数などのPERは大分バリュエーション調整が進んできた。 むろん、今後FRBがバランスシートを縮小するなか、コロナショック前に戻したに過ぎない米株市場のバリュエーションにはまだ訂正余地が残ると思われる。ただ、米長期金利がこのまま安定した基調を保つのであれば、米国でもバリュエーション調整が一旦終わっても不思議ではない。米国では、ヘッジファンドの株式の持ち高比率はすでにかなり低く、一方で空売り比率がかなり高い水準にあるという調査もあり、需給的にも目先はリバウンドが来てもおかしくはないだろう。 上値では戻り待ちの売りをこなしていく必要があるだろうが、少なくとも短期的には下値余地は乏しくなっていると考えられる。たたき売られている中小型グロース株などは、現物で長期目線であればそろそろ打診買いを入れてみても面白いかもしれない。 後場の日経平均は堅調もみ合いを予想する。前場は買い戻しの流れが途絶えることなく、一本調子での上昇となったが、後場には買い戻しが一巡して伸び悩む可能性があろう。米主要株価指数が年初来安値圏を脱していないなか、円安進行も一服していることを踏まえると、東京市場だけがこのまま上昇し続けることは考えにくい。後場の追随買いには慎重になった方がよいだろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/13 12:08
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日経平均は反落、インフレピークアウトは期待していいのか?
 日経平均は反落。220.96円安の25992.68円(出来高概算7億0213万株)で前場の取引を終えている。 11日の米株式市場でNYダウは326.63ドル安と5日続落。中国での新型コロナ感染状況が改善したとの報道で世界経済の減速懸念が後退し、寄り付き後上昇。しかし、4月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、高インフレが定着し、景気減速にも繋がりかねないとの懸念が広がり、下落に転じた。ハイテク株の売りも加速し、引けにかけて下げ幅を拡大。ナスダック総合指数は-3.18%と大幅反落。主要株価指数が揃って年初来安値を更新するなか、米株安を引き継いで日経平均は268.60円安と26000円割れからスタートすると、そのまま25688.11円(525.53円安)まで一気に下落。突っ込み警戒感から買い戻しが入り、前場中ごろには26000円を回復したが、その後は目先の戻り一服感で同水準を挟んだ一進一退となった。 個別では、レーザーテック<6920>やソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>などのハイテク・グロース(成長)株が大幅安。ファーストリテ<9983>やSHIFT<3697>など値がさ株も大幅に下落。東証プライム値下がり率上位にはマネーフォワード<3994>やSansan<4443>、ネットプロHD<7383>、ギフティ<4449>、ラクスル<4384>などの中小型グロース株がずらりと並んだ。SREHD<2980>は今期利益ガイダンスが市場予想を下回ったことで急落し、値下がり率トップとなっている。ほか、業績見通しの非開示や堺ディスプレイプロダクト買収の発表が嫌気されたシャープ<6753>が急落し、決算を受けて花王<4452>やソフトバンク<9434>なども大きく売られている。 一方、子会社の不適切行為発覚後に急落が続いていた日本製鋼所<5631>は今期増益計画を受けて一時ストップ高を付けるなど大きく買い戻されている。ほか、決算が好感されたところでシュッピン<3179>、Jパワー<9513>、アシックス<7936>、神戸製鋼所<5406>、ラウンドワン<4680>などが急伸し、東証プライム値上がり率上位に入った。 セクターでは情報・通信、サービス、医薬品などが下落率上位に並んだ一方、ゴム製品、石油・石炭製品、保険などが上昇率上位に並んだ。東証プライムの値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は33%となっている。 米ハイテク株の急落を受けて日経平均は一時500円を超える下落を見せた。米CPIの上振れを受け、3月CPIの発表後から高まっていたインフレピークアウトの期待が削がれたことが要因だ。 注目された米4月CPIは総合が前年比+8.3%と予想(+8.1%)を上回り、変動の激しい食品・エネルギーなどを除いたコアでも同+6.2%と予想(+6.0%)を超過。前月比でも総合は+0.3%、コアは+0.6%とそれぞれ予想(+0.2%、+0.4%)を上回った。ただ、前年比の伸びは総合もコアもそれぞれ前月の伸び(+8.5%、+6.5%)は下回った。 前年比の伸びが前月を下回るのは8カ月ぶりであり、そうした意味では厳密にはインフレピークアウト期待はまだ残っているのかもしれない。しかし、もはやそうした期待にすがるのには危うさを伴いそうだ。 今回のCPIの内訳をみると、今までインフレをけん引してきたガソリンや中古車の価格が前月比で低下するなどモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られる一方、電気や天然ガスを含むエネルギーサービス価格、ホテル滞在費用、航空運賃などサービス分野での価格上昇が目立った。特に、下方硬直性を有し、CPIでの構成比率が高い住居費は3カ月連続で前月比+0.5%と高止まり、帰属家賃については2006年以来の伸びになった。 連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標は個人消費支出(PCE)のコアで+2.0%だが、改めて足元のCPI総合の+6.2%という伸び率は大きすぎる。そして、注目すべきはコアでの前月比が予想を大きく上回ったことだ。今までは原油などコモディティ価格がピークアウトし、世界的な供給網の混乱も解消されれば、インフレはピークアウトするとの考え方にある程度の合理性があった。 しかし、上述したように、今回のCPIの結果から窺えるのは、モノ・財ではなくサービス分野でのインフレ加速だ。先月発表された米4月雇用統計での低い失業率や低下する労働参加率などの結果から、すでに労働市場の逼迫による賃金インフレの長期化が懸念されているが、サービス分野でのインフレ加速が止まらなければ、「価格上昇→消費者による賃上げ圧力増大→企業のコスト転嫁による更なる価格上昇」といったインフレスパイラルが起きかねない。 CPIが発表された11日、アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレが高止まりした場合、経済成長を抑制する水準にまで政策金利を引き上げることを支持する考えを示した。直近の高官発言で、今後3会合での0.5ptの利上げはほぼ100%織り込み済みだ。一方、0.75ptの利上げについては、10日のクリーブランド連銀メスター総裁の発言や前日のボスティック総裁の発言を受けて、足元で再び織り込む動きが出てきているが、確率的にはまだほとんど織り込めていない。今後、高官発言などを通して再び0.75ptの利上げについての織り込みが一段と進むとなれば、金融引き締め懸念によるハイテク・グロース株の下落はまだ続く可能性があろう。 午後も日経平均は26000円を挟んだ一進一退となりそうだ。アジア市況がまちまちな一方、時間外取引のナスダック100先物などが堅調に推移していることは安心感を誘うが、米4月CPI確認後のインフレピークアウト期待の高まり、ハイテク・グロース株の買い戻し進展といったシナリオはあっさりと消失してしまった。当面、積極的に株式を買う理由が見つからず、買い手不在で短期筋の売買が中心ななか、日経平均の戻りは鈍いと見ておかざるを得ないだろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/12 12:07
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日経平均は3日ぶり反発、米ハイテク株高で安心感も実質金利上昇は気がかり
 日経平均は3日ぶり反発。82.73円高の26249.83円(出来高概算6億5575万株)で前場の取引を終えている。 10日の米株式市場でNYダウは84.96ドル安と4日続落。金利低下などを背景に寄り付き後、一時大幅に上昇。しかし、クリーブランド連銀のメスター総裁が0.75ptの利上げも排除しない考えを示すと金融引き締め懸念が強まり、上げ幅を縮小。4月消費者物価指数(CPI)を前にした警戒感も強く、もみ合いの末に下落した。一方、長期金利が低下したことで、ナスダック総合指数は+0.98%と4日ぶり反発。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+2.51%と大幅に反発した。ただ、前日に時間外取引のナスダック100先物の上昇を通じて米株高をある程度織り込んでいた日経平均は121.72円安からスタート。それでもSOXの大幅高などを背景に値がさハイテク株に買いが入るなか、好決算銘柄への買いも下支えし、下げ渋ると、前引けにかけてプラスに転じた。 個別では、SOXの大幅高を追い風にレーザーテック<6920>、東エレク<8035>が大きく上昇。ファーストリテ<9983>、OLC<4661>、ベイカレント<6532>などの値がさグロース株も堅調。郵船<9101>や川崎汽船<9107>など海運株も高い。そのほか主力処では、決算を発表した任天堂<7974>、ソニーG<6758>、日本製鉄<5401>、ダイキン<6367>などが大幅高。任天堂は1対10の株式分割が、日本製鉄はガイダンス非公表も目標値の提示が好感されたもよう。東証プライム値上がり率上位には東邦チタニウム<5727>、レノバ<9519>、デクセリアルズ<4980>、ファイズHD<9325>、丸和運輸<9090>、IHI<7013>などの好決算発表銘柄が並んだ。一方、米長期金利の低下を受けて三菱UFJ<8306>、みずほ<8411>など金融が軟調。住友鉱<5713>、三菱商事<8058>、伊藤忠<8001>、太陽誘電<6976>などは決算が売りに繋がり、大幅に下落。 セクターでは海運、鉄鋼、精密機器などが上昇率上位に並んだ一方、保険、パルプ・紙、銀行などが下落率上位に並んだ。東証プライムの値上がり銘柄は全体の35%、対して値下がり銘柄は61%となっている。 前日の米国市場で主要株価指数はまちまちだったが、ナスダックやSOXが反発したことが売り一巡感を意識させ、目先の安心感に繋がっている様子。一方、今晩に米4月CPIの発表を控えていることもあり、東京市場ではそこまで積極的な動きは窺えない。むしろ、MSOL<7033>やギフティ<4449>、ラクスル<4384>などの中小型グロース株で、本日も下落している銘柄が多いことが気がかり。マザーズ指数も下落しており、グロース市場銘柄ではBASE<4477>、メドレー<4480>などが下落している。 10日、米10年債利回りは2.99%(前日比-0.04pt)へと低下し、5月4日以来、再び3%を割り込んだ。一方、期待インフレ率の指標とされる米10年ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.65%(同-0.10pt)と大きく低下。先週末6日時点では2.86ptであったため、2日間で0.21ptと大幅に低下した格好だ。 今週に入ってから、アトランタ連銀のボスティック総裁やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁など、複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官から今後2~3会合での0.5ptの利上げを支持する発言が出たことや、上述したようにメスター総裁が0.75ptの利上げも排除しない姿勢を見せたことが、こうした期待インフレ率の低下の背景にあると考えられる。5月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル議長は、今後2会合での0.5ptの利上げに前向きな姿勢を見せた一方、0.75ptの利上げには否定的な見解を示していた。これを受けて、市場ではFRBがインフレ対応に後手に回ることで、後々に大幅な利上げを強いられるのではないかという懸念が生じていた。 ただ、直近のFRB高官らの発言で、改めてFRBのインフレファイターとしての姿勢が確認されたため、期待インフレ率の低下に繋がったのだろう。FOMC後、米元財務長官のサマーズ氏やドイツの金融会社アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏など、著名な有識者らがこぞって、パウエル議長が0.75ptの利上げに否定的な見解を示したことについて「無責任」との厳しい評価を下していた。また、早い段階で選択肢を狭めてしまうのはFRBにとっても後々良くないと思われていたため、今回の一連の高官発言でFRBの信頼が回復したと思われることは一先ず安心感に繋がろう。 一方、米国の名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は、10年物で10日に0.35%まで上昇し、新型コロナウイルス・パンデミック後における高値を更新してきた。実質金利がプラス幅を広げてきていることは、より長い将来収益に基づいて株価が決まるグロース株にとってはネガティブだ。今日の東京市場で中小型グロース株が全般冴えないのは、こうした背景が重しになっているのかもしれない。 今晩の米国市場では注目の米4月CPIが発表される。市場予想は総合が前年同月比+8.1%、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアが+6.0%上昇と、いずれも3月(8.5%上昇、6.5%上昇)に比べて減速する見通し。一部のエコノミストは3月CPIでインフレピークアウトの兆候が表れたと指摘しており、モノに対する過剰な需要が弱まりつつあるなか、コアCPIは年内に一段と鈍化すると予想している。 4月CPIでこうした見方が裏付けられることになれば、ヘッジファンドのハイテク・グロース株の持ち高比率が歴史的にかなり低いところまで低下し、空売り比率も高まっている米国市場を中心に、マーケットは反転のきっかけを掴むことになるかもしれない。ただ、米実質金利がじわり上昇してきていることは気がかりで、CPI後に短期的にあく抜け感が強まっても、実質金利の動向には常に注意を払っておいた方がよさそうだ。 後場の日経平均はもみ合いとなりそうだ。時間外取引のナスダック100先物の上昇やアジア市況の上昇は支援要因になるものの、今晩の米CPIを前に様子見姿勢が強まりやすい。また、取引時間中に決算発表を予定しているトヨタ自<7203>の結果を見極めたいとの思惑もある。トヨタ自の決算と株価反応がポジティブなものとなれば、買い気が強まることも想定されるが、やはり本格的な動きは今晩のCPIを終えてからとなるだろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/11 12:05
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日経平均は続落、止まらない米株安受け一時1200円安も短期リバウンド条件が揃い始めた
 日経平均は続落。244.81円安の26074.53円(出来高概算6億9401万株)で前場の取引を終えている。 9日の米株式市場でNYダウは653.67ドル安と大幅に3日続落。連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済の減速などを背景に、景気後退懸念が強まるなか投資家のリスク回避の動きが終日続いた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-4.29%と大幅に3日続落。ほぼ全面安となった米株市場の流れを引き継いで、日経平均は170.28円安からスタート。米株市場と同様、ハイテク株から景気敏感株まで幅広く売りが膨らみ、寄り付き直後に25773.83円(545.51円安)まで下落。ただ、前日からの2日間だけで1200円超も下落しただけに、突っ込み警戒感も台頭し、前場中ごろからは急速に買い戻しが進展、前引けにかけて26000円を回復した。 個別では、米ハイテク・グロース(成長)株の急落を受けてレーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、OLC<4661>、NTTデータ<9613>などが大幅安。原油先物相場の下落を背景にINPEX<1605>が急落しており、住友鉱<5713>、丸紅<8002>などの資源関連株も軒並み下落。エムスリー<2413>はレーティング格下げもあり下落。JAL<9201>、エアトリ<6191>などは国内大型連休明けの新型コロナ感染再拡大への警戒感から大幅に下落。子会社の不適切行為が発覚した日製鋼<5631>は本日も急落。決算を受けてチャームケア<6062>、冶金工<5480>、アウトソーシング<2427>などが東証プライム値下がり率上位に入っている。 一方、前日に今期見通しと併せて1000億円以上の追加的な株主還元策の検討を発表した川崎汽船<9107>が本日も買い優勢。NTT<9432>やKDDI<9433>などディフェンシブ銘柄の一角が堅調。約2年ぶりの自社株買いを発表したキヤノン<7751>、目標株価引き上げのあった山崎パン<2212>、今期見通しが好感されたワールド<3612>などは大幅に上昇。今期増益・増配見通しに加えて自社株買いも発表したリンナイ<5947>は東証プライム値上がり率トップとなっている。 セクターでは鉱業、海運、石油・石炭製品などが下落率上位に並んだ一方、金属製品、電気・ガス、パルプ・紙などが上昇率上位に並んだ。東証プライムの値下がり銘柄は全体の65%、対して値上がり銘柄は32%となっている。 前日の米国市場は全面安商状。幅広い年限で債券利回りが低下するなかではあったが、ハイテク・グロース株の売りは止まらず、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は再び急落した。これまで相場の下支え役だった石油や建設機械といったコモディティ・景気敏感株も、景気後退懸念が強まるなか大きく売り込まれた。ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の価格も足元で厳しい下落トレンドが続いており、今朝には一時1BTC=30000ドルを割り込む場面もあった。ほぼ全ての資産クラスが大幅に下落しており、完全に投げ売りの状態だ。 一方で、こうしたやや乱暴とも言える動きが出てきたことは、短期的にはそろそろ底打ちを期待させてくれる。実際、昨日の米株市場の急落においては、出来高が直近に比してそれなりに大きめの水準まで膨らんでいた。S&P500指数への組み入れ銘柄を対象とした計算では、3月18日以来の出来高水準だった。見境のない投げ売りや出来高を伴った急落により、需給整理が進んだともいえる。 本日の前引け時点での東証プライム市場の売買代金は1兆6000億円超とまずまず大きく膨らんでいる。出来高と値幅を大きく伴った日が先週末6日から3日続いていることで、東京市場でも需給整理が少しは進んだだろう。また、朝方の一時急落により、日経平均は3月16日の高値25824.94円を上端としたマド埋めを完了。昨日からの下落幅も考慮すると、テクニカル的にも値幅的にも短期的には底打ち感が台頭してくるタイミングが近づいていると言えそうだ。明日11日に発表予定の米4月消費者物価指数(CPI)で、3月CPIに続きインフレピークアウトが確認できれば、買い戻しが強まる展開が期待されよう。 一方、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏らストラテジストチームは、前日、米国株の見通しはあまり明るくないと顧客向けリポートで指摘。「インフレの軌道が明確になるまで、値動きが大きい展開は続く」とし、「金融状況の引き締まりや市場の流動性不足を踏まえれば、3月下旬と同様の規模の短期的な上げ相場が到来すると論じるのは難しい」とコメントしたという。 市場関係者の間でも、相場の先行きについては依然として大きく強気派と弱気派に分かれており、相場の見方がある程度収れんしてこない限りは、まだまだボラティリティー(変動率)の高い相場環境が続かざるを得ないだろう。11日の米4月CPIでインフレピークアウトを確認できれば、インフレ対応で後手に回ったのではないかとの見方から疑念が強まっているFRBに対する信任が少しでも回復する可能性がある。弱気派の過度な悲観も後退し、ボラティリティーの低下に寄与してくれるのではないかと期待したい。 さて、後場の東京市場は戻りを試す展開か。上述したように日経平均は3月16日高値を上端としたマド埋めを完了し、値幅的にも調整一巡感が台頭してくる頃合いだ。実際、朝方540円超下落していた日経平均は、前引けにかけて急速に下げ渋り、割ったばかりの26000円を早々に回復してきている。こうした下げ渋りは前日の急落時には見られなかった動きであり、売り一巡を感じさせてくれる。時間外取引のナスダック100先物が堅調に推移していることで、今晩の米株市場での反発も見込まれる。午後の東京市場では、売り方の買い戻しに期待したい。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/10 12:08
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日経平均は大幅反落、各種懸念要素むしろ強まるばかり
 日経平均は大幅反落。593.26円安の26410.30円(出来高概算6億4836万株)で前場の取引を終えている。 先週末6日の米株式市場でNYダウは98.60ドル安と続落。4月雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回った一方、労働参加率が低下したことで、労働市場の逼迫が再確認され、連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感から寄り付き後、下落。金利動向に左右される形で一時上昇に転じる場面もあったが、戻り売り圧力が強く、終日軟調に推移した。米10年債利回りが2018年11月以来の高水準を記録するなか、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-1.40%と大幅続落。こうした流れを引き継いで日経平均は298.24円安からスタート。中国経済の減速懸念も根強く、ハイテク株のほか景気敏感株も広く売られ、朝方に26343.29円(660.27円安)まで下落。その後、下げ渋ったが、戻りは弱く、前引けにかけては再びこの日の安値圏まで下げ幅を広げた。 個別では、ナスダックの下落や出資先の米セレブラルが規制物質法に違反した疑いで調査を受けていることが判明したソフトバンクG<9984>が大幅に下落。ソニーG<6758>、任天堂<7974>、OLC<4661>、東エレク<8035>などの値がさ株が総じて軟調。4月既存店売上高がプラス転換も同業他社比で相対的な弱さが目立ったファーストリテ<9983>は6%安。ガイダンス非公表による不透明感が嫌気されたJFE<5411>が急落し、他の鉄鋼株も連れ安。丸紅<8002>、三菱商事<8058>などの商社株も大きく下落。川崎汽船<9107>など海運株も冴えない。子会社である日本製鋼所M&Eが生産した鉄鋼部材で検査不正があったことが明らかになった日本製鋼所<5631>はストップ安売り気配で終えている。 一方、証券会社の目標株価引き上げを受けてレーザーテック<6920>とブイキューブ<3681>が逆行高。本日13時からNTT<9432>と会見を行うと発表し、思惑が強まっているNTTデータ<9613>は14%高と急伸。高水準の自社株買い実施がポジティブサプライズとなったヤマダHD<9831>はストップ高。大幅営業増益や増配が好感されたノジマ<7419>、ヒロセ電機<6806>なども大幅に上昇。 セクターでは鉄鋼、非鉄金属、卸売などが下落率上位に並んだ一方、電気・ガス、石油・石炭製品の2業種のみが上昇となった。東証プライムの値下がり銘柄は全体の82%、対して値上がり銘柄は15%となっている。 雇用統計の平均賃金の伸びは前月比+0.3%と、3月の同+0.5%から鈍化した。しかし、労働参加率が低下したことで、逼迫する労働市場と今後も賃金上昇圧力がくすぶることが窺える内容となり、米10年債利回りは一時3.14%と3年半ぶりの高水準を記録。これを嫌気し、5日に5%も下落したばかりのナスダックだったが、自律反発も空しく、6日も-1.4%と大幅続落となった。 先週末の東京市場は、円安進行や商品市況の上昇を背景に景気敏感株の買いがけん引する形で上昇に転じるなど、想定以上に底堅い動きを見せた。しかし、不安定さが続く米国株の動きや、3%を超えても上昇一服感が見られない米10年債利回りを前にさすがに警戒感は拭えず、本日は一時660円を超える下落となり、その後の戻りも鈍い。先週末に下支え役となった景気敏感株も、中国経済の悪化懸念がくすぶり、本日は総じて厳しい売りに押されている。 ネットフリックスやアマゾンなどの米大型テック株の下落基調が続くなか、東京市場でも中小型グロース株のきつい下落が続いており、マザーズ指数は本日、2月24日安値の648.20を窺う位置まで下落してきている。金利先高観が拭えず、FOMC通過後に期待された短期的なあく抜け感も裏切られた形となり、個人投資家の見切り売りが続いているようだ。 FOMC後の会見で、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は0.75ptの利上げには否定的な見解を示していたが、その後、リッチモンド連銀のバーキン総裁は、0.75ptの利上げも除外しないべきとの考えを示した。また、債券市場で権威を持つ有識者のモハメド・エラリアン氏は「FRBの信用は失墜した」とも言及しており、厳しい評価を下している。さらに、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、ウクライナ戦争や中国での都市封鎖(ロックダウン)を背景とした供給網の混乱が長期化した場合、米労働市場に一定の減速が生じたとしても一段の引き締めが必要との考えを示した。 FOMCの通過後もむしろ金融引き締め懸念が強まるなか、一方で、米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は、こうした世界的に進む積極的な金融引き締めが世界景気の減速を招くとし、「大いに気がかりだ」と言及。普段、米経済に対して強気な発言が多い、JPモルガン・チェースの最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏も最近は世界経済の減速を懸念した見方を示しており、市場関係者だけでなく、多方面での著名実業家からもこうした弱気な発言が増えてきているのは気がかりだ。 2日の当欄「イベント通過後はあく抜け? 期待の裏に不安要素も」において記述したが、米株式から大量の資金流出を誘発する「臨界点」とも指摘されている、S&P500指数の4000割れが徐々に近づいているのも懸念要素。今週の11日には米4月消費者物価指数(CPI)が発表予定だ。それまでの間、同水準をどうにかキープし、CPIでのインフレピークアウト確認後に買い戻しが強まる展開に期待したいばかりだ。 午後の日経平均は軟調もみ合いとなりそうだ。CPI確認後はあく抜け感が強まることを予想する向きが多いが、発表直前まではヘッジ売りが膨らむ可能性もあり、今晩以降の米株市場の動向が注目される。前場にすでに大きく下落している東京市場だが、時間外取引のNYダウ先物が軟調ななか、押し目買いは期待しにくい。(仲村幸浩)12:10作成 <AK>
2022/05/09 14:11
ランチタイムコメント
日経平均は小幅反発、FOMC通過でも大きな変化なし
 日経平均は小幅反発。32.00円高の26850.53円(出来高概算6億8000万株)で前場の取引を終えている。 日本の連休中、米株式市場では3~4日の連邦公開市場委員会(FOMC)後にNYダウが乱高下した。4日のNYダウは大幅に3日続伸し、932ドル高と今年最大の上げ幅を記録。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長がFOMC後の記者会見で今後数会合での0.5pt利上げを示唆し、0.75ptの大幅利上げを織り込む動きが後退した。しかし、5日のNYダウは1063ドル安と急反落。産油国会合「OPECプラス」の結果を受けて原油先物相場が上昇したほか、1-3月期の非農業部門労働生産性が大幅低下したことでインフレ懸念が強まった。英イングランド銀行(中央銀行)が2ケタ台のインフレ率や英経済のマイナス成長見通しを示したことも投資家心理を冷やした。 連休明けの東京市場ではこうした流れを引き継ぎ、日経平均は34円安からスタート。米金利上昇を受けてグロース(成長)株を中心に売りが出て、日経平均は朝方に26543.29円(275.24円安)まで下落する場面があった。一方、米金利や商品市況の上昇、為替相場の円安推移から関連銘柄には買いが入り、日経平均は前引けにかけてプラス圏に浮上した。 個別では、郵船<9101>、トヨタ自<7203>、商船三井<9104>などが堅調。岸田文雄首相が原子力の活用に言及したことで東京電力HD<9501>などが急伸し、原油高につれてINPEX<1605>も大きく上昇している。三井物産<8031>やコマツ<6301>は連休前に発表した決算を好感した買いが続いているようだ。また、やはり好決算のADWAYS<2489>やTOA<6809>が東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。 一方、売買代金トップのレーザーテック<6920>が5%超の下落。ほかにもソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、東エレク<8035>、ソニーG<6758>といった値がさ株が軟調だ。エーザイ<4523>はアルツハイマー病治療薬関連の損失計上を受けて売られ、資生堂<4911>などの化粧品関連株は米エスティローダーの業績下方修正を受けて軒並み急落。また、キーパー技研<6036>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。 セクターでは、鉱業、電気・ガス業、石油・石炭製品などが上昇率上位。一方、サービス業、情報・通信業、その他製品などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は36%となっている。 連休明けの日経平均は朝方に一時200円超下落したが、その後切り返し小高い水準で前場を折り返した。米金利上昇を受けた値がさグロース株の下落が日経平均を下押しする一方、金融や自動車、市況関連を中心としたバリュー(割安)株には買いが入っており、東証プライム市場全体としても値上がり銘柄の方が多い。前引けの日経平均が+0.12%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.55%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆6000億円あまりとまずまず膨らんでいる。 新興株ではマザーズ指数が-2.53%と大幅に4日続落。日足チャートでは足元じりじりと下落を強いられており、取引時間中としては3月16日以来の安値を付けている。グロース株安の流れが逆風となり、メルカリ<4385>などの主力IT株は総じて軟調だ。 さて、パウエルFRB議長が0.75ptの大幅利上げに消極的な姿勢を示し、4日の米市場は金利低下・株高で反応したものの、翌5日にはそれ以上の幅で金利上昇・株価下落する格好となった。5日の米10年物国債利回りは3.04%(+0.11pt)に上昇。一時3.10%と2018年11月以来の高水準を付けた。米主要株価指数はNYダウ-3.12%、S&P500指数-3.56%、ナスダック総合指数-4.99%と軒並み大幅に下落。原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI6月物)は1バレル=108.26ドル(+0.45ドル)と続伸した。 「OPECプラス」の緩慢な増産、労働生産性の低下や労働コストの上昇を示す米経済指標などからインフレ懸念は拭えない。英中銀は10~12月期にも消費者物価指数(CPI)上昇率が「10%をやや上回る」とし、2023年の経済成長見通しをマイナスに下方修正したこともインパクトのあるニュースだった。 「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)はFOMCと前後して低下する場面もあったが、5日には再び31.20(+5.78)と30台に乗せている。VIXの高止まりは4月28日の当欄「『決算序盤の情勢』と『米市場にくすぶる懸念』」でも懸念材料として触れたが、FOMC後のV字上昇を見ると、やはり下方リスクに警戒する動きは後退しづらいものと考えざるを得ない。 ただ、円安を支えに底堅さを見せる日経平均もさることながら、NYダウも2月24日の取引時間中に付けた安値(32272.64ドル)を割り込んでおらず、「インフレのピークアウト」や「米経済の堅調維持」への期待が根強いことを感じさせる。 結局、パウエル氏の発言で足元の投資論争に決着を見たわけではないと考えると、FOMCを通過して金融市場に大きな変化があったわけでもないだろう。今晩の米国では4月の雇用統計の発表が控えており、来週11日には消費者物価指数(CPI)、翌12日には卸売物価指数(PPI)と重要指標の発表が相次ぐ。引き続き経済指標や要人発言を睨み不安定な相場展開が続くとみておいた方がよいだろう。(小林大純) <AK>
2022/05/06 12:16
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日経平均は反落、イベント通過後はあく抜け? 期待の裏に不安要素も
 日経平均は反落。143.30円安の26704.60円(出来高概算6億1861万株)で前場の取引を終えている。 東京市場が連休中の4月28、29日の米株式市場でNYダウは614.46ドル高、939.18ドル安と乱高下の展開。28日は1-3月期国内総生産(GDP)が予想外のマイナス成長に落ち込んだ一方、個人消費の強さやメタ・プラットフォームズの決算を受けた株高が相場を下支え。ただ、29日は連邦公開市場委員会(FOMC)を控えた警戒感や決算発表したアマゾンの株価急落が重しとなり、ハイテク株主導で大幅反落。ナスダック総合指数は+3.06%、-4.17%と乱高下の末に大きく下落。 FOMC前の連休の谷間で投資家が方向感を見定めかねるなか、週明けの東京市場も方向感に欠ける出足となり、日経平均は3.20円高とほぼ変わらずでスタート。先週末に1ドル=130円を突破し、20年ぶりの円安水準を付けたことが輸出企業の追い風となるなか、好決算銘柄への買いも寄与し、日経平均は取引開始直後に26964.59円(116.69円高)まで上昇する場面があった。ただ、イベント結果を見極めたいとの思惑もあり、間もなく失速すると、マイナス圏に転じ、その後はもみ合いとなった。 個別では、今期見通しが嫌気されたZHD<4689>、アンリツ<6754>、日本M&A<2127>が急落。先週末の米ハイテク株の下落を背景に東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>、ファナック<6954>、ダイキン<6367>などハイテク・グロース(成長)株が大幅安。「ニンテンドースイッチ」の販売計画の報道を嫌気し任天堂<7974>も下落。一方、ガイダンスリスク解消や高配当利回りが再評価された商船三井<9104>を筆頭に郵船<9101>など海運大手が大幅に上昇。決算や自社株買いが好感された村田製<6981>、富士通<6702>、日立<6501>なども大幅高。好調な受注高が確認されたレーザーテック<6920>も逆行高。今期見通しが市場予想を大幅に上回ったアルプスアルパイン<6770>、日本特殊陶業<5334>はそれぞれ急伸。 セクターではその他製品、建設、精密機器などが下落率上位に並んだ一方、海運、空運、ガラス・土石製品などが上昇率上位となった。東証プライムの値下がり銘柄は全体の63%、対して値上がり銘柄は33%となっている。 連休明けの日経平均は朝方に100円超上昇する場面があった。先週末に4%超と大幅に下落したナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の動きに比べてしっかりのスタートを切ったが、75日移動平均線近くで伸び悩むと、下向きの同線に上値を抑えられる形で失速。戻り待ちの売りの根強さを示唆する形となった。前引け時点での売買代金は1超5000億円強と、直近の水準に比べてやや膨らんでいる様子。連休の谷間とはいえ、イベント前の持ち高調整などもあり、取引参加者が限られているわけではないようだ。 東京市場が連休中に発表された注目の海外指標の結果はまちまちだった。米1-3月期GDP速報値が前期比年率換算で+1.4%と予想(+1.0%)に反してマイナス成長となったことには驚きを持って受け止める関係者が多かったようだが、マイナス計算する輸入項目が+17.7%だった影響が大きく、個人消費は+2.7%、設備投資も+9.2%と国内経済の状態を示す部門はいずれも堅調だった。歴史的な高インフレ下においても米GDPの約7割を占める個人消費に力強さが窺えたことは景気減速懸念を和らげ、安心材料だろう。 一方、連邦準備制度理事会(FRB)が注目している1-3月期の雇用コスト指数は前期比+1.4%と、予想(+1.1%)を上回り、四半期の伸びとしては統計上最大だったという。下方硬直性があり、一度上昇すると低下傾向に転じるのに時間がかかる賃金項目で根強いインフレ圧力が確認されたことは、今後のFRBの引き締めスタンスを強めかねず、警戒材料となる。 しかし、中長期的には上値切り下げトレンドの継続が予想されるものの、短期的には3-4日のFOMC通過後にはあく抜け感で相場は反発する可能性が高そうだ。年明けからの米金融政策の動向を振り返ってみると、FRBの市場との対話方法には規則性があるように見受けられる。今となっては根強いインフレ圧力を抑えるために、多少の資産価格の下落は致し方ないとも思っていそうだが、それでもFRBが株価急落など極端な動きに繋がるようなネガティブサプライズを引き起こすことは避けたいと考えていることに変わりはないだろう。 そうした考えを持つFRBは、これまでFOMCイベントがネガティブサプライズにならないよう、事前の高官発言などを通して市場に引き締め加速を織り込ませる一方、FOMC直前には会合結果がほとんど分かり切った状態を作り、実際にFOMCでは既知の内容以外の目新しい内容をあまり発表しないという方法を採用してきた。そして、イベント通過後から、また次回会合に向けた織り込みを、高官発言を通して行っていくという過程を繰り返してきている。今回もこれまでのパターンに倣えば、イベント通過後は短期的にはあく抜け感が台頭しそうだ。 上記を踏まえれば、イベント前の東京市場での最後の取引日にあたる今日は、短期的には買い場になると考えられる。しかし、今回は別の視点で気を付けるべきことがある。先週末の米株市場の急落を受けて、ナスダックは今年に入ってからの安値を更新。多くの機関投資家が運用指標とする代表的な株価指数S&P500も、終値ベースでは今年最安値を記録し、2月24日にザラ場で付けた最安値4114.65を窺う水準にまで下落してきている。 こうしたなか、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらが株式市場からの資金の大量流出を警告している。同行ストラテジストチームによると、株式ファンドには2021年の初めから1兆1000億ドル(143兆円)の巨額資金が流入したが、エントリーポイントは平均で4274だったという。そのうえで、S&P500の4000割れは、米株式から大量の資金流出を誘発する「臨界点」になる可能性があると指摘した。 先週末にかけての米株価指数の乱高下の動きから窺えるように、足元の相場はオプション取引に係る需給要因などでボラティリティー(変動率)が非常に高い状態だ。何らかのきっかけでS&P500がこの臨界点とされる4000を割り込むようなことがあると、売りが売りを呼ぶような非合理的な連鎖反応が起こる可能性もある。今回は、際どい水準にある株価指数が、イベント通過後の短期的なあく抜けといったこれまでのセオリーを覆す余地があることに留意したい。 他方、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハサウェイが4月30日に開催した株主総会では、同社が1-3月期に、四半期ベースでこれまでに例がないほどに大量に株式を購入したことが判明。バリュー投資を徹底する同社のこうした動きは、足元の株式市場がファンダメンタルズに照らして割安であることを示唆しており、心強くもある。ただ、同社が買い増したのは石油大手のシェブロンや石油・天然ガス会社のオキシデンタル・ペトロリアムなどエネルギー関連が大半だ。足元の不安定な相場においても買えるものはあるが、買えるものはかなり限られているようだ。(仲村幸浩) <AK>
2022/05/02 12:05
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日経平均は反発、「決算序盤の情勢」と「米市場にくすぶる懸念」
 日経平均は反発。162.19円高の26548.82円(出来高概算5億9000万株)で前場の取引を終えている。 27日の米株式市場でNYダウは反発し、61ドル高となった。中国経済の減速懸念が和らいだことなどを背景に値ごろ感から買いが入った。ただ、米金融引き締めや景気の先行きへの警戒感も根強く、前の日に809ドル安となった後としては戻りが鈍かった。決算を受けた反応もまちまちで、ビザやマイクロソフトが買われる一方、ボーイングは売られた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-0.01%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-0.49%となったが、時間外取引でメタ・プラットフォームズやクアルコムが上昇。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで43円高からスタートすると、朝方は前日終値を挟んでもみ合う展開だった。その後、3連休を前に売り方の買い戻しが入ったとみられ、前引けにかけて26568.79円(182.16円高)まで上昇する場面があった。 個別では、決算発表のキーエンス<6861>やルネサス<6723>、アドバンテス<6857>が5%超の上昇。キーエンスは順調な業績拡大が続き、アドバンテスも堅調な今期予想が好感されている。ルネサスは決算とともに大株主の売却意向を受けた自社株買い実施を発表した。その他売買代金上位ではレーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>がしっかり。また、フューチャー<4722>などが東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。一方、OLC<4661>が商いを伴って11%の下落。今期業績予想や新たに発表された中期経営計画が市場予想を大きく下回った。エムスリー<2413>も決算で成長鈍化と受け止められて5%近い下落。その他売買代金上位では郵船<9101>が小安い。また、ZOZO<3092>が急落し、ピーシーエー<9629>などとともに東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。 セクターでは、鉄鋼、ガラス・土石製品、その他金融業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、サービス業、陸運業、その他製品など4業種が下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の69%、対して値下がり銘柄は29%となっている。 本日の日経平均は反発し、3ケタの上昇で前場を折り返した。日足チャートを見ると、前日にやや長めの下ひげを付けたこともあって底堅さが感じられる動き。ひとまず前日の下落分の半分は取り戻したが、26600円台に位置する5日移動平均線には届いていない。業種別騰落率を見ると、ここ数日下落の大きかった市況関連セクターなどが堅調で、やはり3連休を前に売り方の買い戻しが相場全体を押し上げている可能性がある。前引けの日経平均が+0.61%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+1.00%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆4000億円あまりとやや膨らんではいるが、決算を受けた個別物色が増えてきた割にはさほど賑わっていない印象だ。 新興株ではマザーズ指数が-1.33%と続落。前日の安値(686.13pt)こそ割り込んでいないが、700pt台を維持できず、じり安基調にムードの悪さを感じざるを得ない。本日、東証グロース市場に新規上場したクリアル<2998>は公開価格比+72.0%という堅調な初値を付け、ペットゴー<7140>は買い気配が続いている。また、前日上場したモイ<5031>は公開価格比+91.9%という初値を付け、その後の株価も大きく上昇。こうしたIPO(新規株式公開)銘柄を中心に、個人投資家による短期の値幅取りを狙った物色は足元でも散見される。ただ、株価指標をあまり意識しない買いには不安もある。主力IT株の軟調ぶりからグロース(成長株)色の強い新興株にはなお厳しい環境と考えざるを得ない。 さて、日経平均の値上がり寄与度上位にはアドバンテスや信越化<4063>がランクインしており、値がさハイテク株の好決算が日経平均を押し上げていることがわかる。電子化進展で関連製品の需要が増えることへの期待を支えそうだ。また、前場の取引時間中に決算発表したデンソー<6902>も急伸しており、自動車生産の正常化や円安効果に期待がかかる。 ただ、全体として決算内容は強弱まちまちといった感もあり、OLCの値幅や出来高の膨らみ方を見るとサプライズの大きさが窺える。入園者数上限、客単価とも物足りないとの声が聞かれたが、このところ経済活動の正常化への期待が高まっていただけに失望されやすかったとも考えらえる。感染抑制の取り組みが長期化しているというだけでなく、インフレ等により消費の先行きに不安がくすぶるかもしれない。また、そうした消費者の置かれた状況を背景に、求める顧客体験のハードルが高まっている可能性もあるだろう。製造業でも原材料や物流のひっ迫といった供給制約の影響が大きい企業が少なからず見られる。 決算発表シーズン序盤のこうした情勢を見ると、今回の決算内容が株式相場全体のトレンドを明確に上向かせるとまでは期待しづらそうだ。 前日の米市場動向も確認しておこう。債券市場では10年物国債利回りが2.83%(+0.11pt)、金融政策の影響を受けやすい2年物が2.59%(+0.07pt)に上昇した。利回り妙味や安全志向の買いで先週末から長期金利はやや低下していたが、連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測を背景に先高観は根強いようだ。5年物国債入札が「やや低調」だったこともこうした見方を裏付けるだろう。期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.88%(+0.03pt)と4日ぶりに上昇。商品では原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI6月物)が1バレル=102.02ドル(+0.32ドル)と小幅続伸した。やはりインフレ観測も根強い。 「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)が31.60(-1.92)と高止まりしている点も気掛かりだ。このところ株式相場が反発する局面でもVIXの低下が鈍く、ボラティリティー(株価変動率)の高まりを織り込む動きが容易に後退しないことが窺える。先行きへの根強い警戒感を背景に、日本株でも積極的に買い持ちを増やす動きは限られるだろう。(小林大純) <AK>
2022/04/28 12:20
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日経平均は大幅反落、金利低下でもグロース株買いは控えるべき?
 日経平均は大幅反落。501.32円安の26198.79円(出来高概算5億7243万株)で前場の取引を終えている。 26日の米株式市場でNYダウは809.28ドル安と大幅反落。都市封鎖(ロックダウン)が強化されている中国経済を中心とした景気後退懸念で投資家心理が悪化。また、ロシア外相が核戦争のリスクに言及したほか、ロシアがポーランドへの天然ガスの供給停止を予告したとの報道も売り材料となった。リスク回避の動きが強まるなか、ナスダック総合指数は-3.95%と大幅反落。こうした流れを引き継いで、日経平均は386.97円安でスタートすると、一時26051.04円(649.07円安)まで下落。節目の26000円手前で下げ止まったが、戻りは鈍く、その後は一進一退の展開となった。 個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>などの半導体関連、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>などの日経平均寄与度の高い銘柄が大きく下落。今期見通しが市場予想を下回ったファナック<6954>は7%安。日東電<6988>はライフサイエンス事業の見通しが嫌気され5%安。シマノ<7309>は第1四半期が市場予想を下回ったことなどから急落し、東証プライム値下がり率上位に入っている。ほか、Sansan<4443>やラクス<3923>などの中小型グロース(成長)株が上位にランクイン。一方、郵船<9101>、住友鉱<5713>、INPEX<1605>など市況関連株の一角が上昇。投資判断の格上げ観測で三菱重<7011>が大幅高。今期見通しが好感されたアマノ<6436>は値上がり率トップ。業績予想を上方修正した三越伊勢丹<3099>、10月からのビール類値上げを発表したアサヒ<2502>も大きく上昇。 セクターでは精密機器、証券・商品先物取引、サービスなどが下落率上位に並んだ一方、海運、鉱業、電気・ガスなどが上昇率上位となった。東証プライムの値下がり銘柄は全体の86%、対して値上がり銘柄は12%となっている。 日経平均は値幅を伴った下落で、日足のローソク足では窓アケを形成。下向きの5日移動平均線からは大きく下放れた。日足一目均衡表でも雲下限を下放れてきている。売買代金は1超4000億円程と、前日までに比べてやや膨らんでいるが、値幅の割にはさほど大きくない。値がさのハイテク・グロース(成長)株の下落が指数の下げを主導しているようだ。 前日のナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅下落を受けて、東京市場でも半導体関連などのハイテク株の下落が目立つ。一方、ナブテスコ<6268>が6%安と急落するなど、中国関連株の一角の下落が厳しく、景気減速懸念も根強い様子。本日買われているのは前日に下落率が大きかった海運や鉱業といった市況関連株くらい。これらは、前日の下落を受けて押し目買いが入りやすいところに、ロシアによる天然ガス供給を巡る報道が伝わったことで、改めて需給逼迫の思惑の強まりが追い風となったようだ。 前日の米国市場では、安全資産である国債が買われ、金利が幅広い年限で大幅に低下するなか、株式には広く売りが広がり、典型的なリスクオフムードの様相となった。「恐怖指数」の呼び名を持ち、将来の株価変動率を表すVIX指数は33.52(+6.50、+24.05%)と急騰し、警戒水準とされる30を大幅に上回った。 金利が低下するなかでも、ナスダックやSOXの下落率は4%前後と、NYダウの2.3%を大きく上回り、両指数ともに今年に入ってからの安値を更新した。景気減速懸念が強まるなかでも、先週のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演での発言から、金融引き締めペースの後退や再緩和への転換は当面期待しにくいとの見方に変わりつつあることが、こうしたハイテク・グロース株の急落の背景にありそうだ。 実際、インフレ懸念はむしろ強まっている。前日は、ロシア産の天然ガス供給を巡る報道で商品市況の需給逼迫への警戒感が再び高まると同時に、住宅価格指標の上振れが目立った。米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した2月FHFA住宅価格指数は前月比+2.1%と、1月の+1.6%からの鈍化予想に反して拡大し、過去最大を記録。同時刻に発表された2月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+20.20%と、1月の+18.94%から予想以上に拡大し、こちらも過去最大となった。ロシアが今後、欧州などに対しても天然ガスの供給停止を再び迫るのか不透明感がくすぶり、商品市況の一段の先高観は拭えない。同時に下方硬直性のある住宅分野での価格指標の上振れも相まって、FRBはますますインフレを抑え込むことに躍起となりそうだ。 むろん、今回発表された住宅価格の指標は1月分でやや情報が古い。足元では米国で住宅ローン金利が大幅に上昇してきており、住宅販売価格も沈静化する兆候が見られている。しかし、それでも、パウエル議長は先週、「インフレはピークアウトした可能性があるが、それは当てにできない」とし、不確かな見通しよりも実績のデータに基づいて政策運営する姿勢を見せた。そのため、今回の住宅価格指標の上振れを軽視することはできない。この先も引き締め懸念は根強くつきまとうだろう。「金利低下故のハイテク・グロース株買い」という安易な投資戦略は危うさを伴いそうだ。 米国市場の取引終了後、注目のマイクロソフトとアルファベットが決算を発表した。結果と株価反応はまちまちで、投資家心理の改善には繋がりにくい形となった。今晩には2月に“メタショック”を引き起こした、Facebookなどソーシャルネットワークサービスを運営するメタ・プラットフォームズの決算が控えている。ネットフリックスのような急落劇を再び引き起こすようなことがあると、ゴールデンウイークの連休入り前、最後の取引となる明日の東京市場では一段と売りが広がりかねない。 急落した直後の今晩の米国市場の動向も含めて、結果を見極めたいの思惑が広がりやすく、後場の日経平均は下げ渋っても、戻りは鈍く、時間外取引の米株価指数先物やアジア市況の動き次第では、再び26000円に向けた下押しが警戒されよう。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/27 12:05
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日経平均は3日ぶり反発、景気懸念による期待インフレ低下は痛しかゆし?
 日経平均は3日ぶり反発。135.87円高の26726.65円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。 週明け25日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、238ドル高となった。中国の新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖(ロックダウン)が世界経済の減速につながるとの懸念が広がり、中国株式相場の大幅下落もあって売りが先行。ただ、原油先物相場の下落や長期金利の低下を受け、決算期待の根強いハイテク株を中心に買いが入った。ナスダック総合指数は+1.28%と4日ぶりに反発。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで152円高からスタートした。朝方に前日終値近辺まで失速すると、香港・上海株の反発スタートを受けて前場中ごろを過ぎ26778.43円(187.65円高)まで上昇する場面があった。しかし、上海総合指数が早々にマイナスへ転じたことで日経平均も伸び悩んだ。 個別では、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が4%上昇し、1銘柄で日経平均を約44円押し上げている。米半導体株高の流れから東エレク<8035>も堅調。その他売買代金上位ではレーザーテック<6920>やファーストリテ<9983>が小高い。前期業績の上方修正と増配を発表した塩野義<4507>は2%の上昇となり、第1四半期決算が好感されたキヤノンMJ<8060>は急伸。また、上期業績を上方修正したインソース<6200>は東証プライム市場の上昇率トップとなっている。一方、郵船<9101>や任天堂<7974>が軟調で、INPEX<1605>は3%超の下落。インドネシアのニッケル製錬所建設中止を発表した住友鉱<5713>や、第1四半期決算が市場予想に届かなかった中外薬<4519>は急落し、キヤノン電子<7739>などとともに東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。 セクターでは、ゴム製品、陸運業、サービス業などが上昇率上位。一方、非鉄金属、鉱業、海運業などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の61%、対して値下がり銘柄は34%となっている。 本日の日経平均は海外市場の動向睨みで上下に振らされつつも、ひとまず3ケタの上昇で前場を折り返した。もっともここ2日で960円あまり下落していただけに、自律反発としても物足りない印象は拭えない。個別・業種別では、中国株の先行き懸念から前日大きく下落したソフトバンクGが買われているほか、中小型を中心としたグロース(成長)株が堅調。一方で原油などの商品相場が下落し、市況関連株に売り。前引けの日経平均が+0.51%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.19%。値がさ株がけん引役とあってTOPIXの伸びは鈍い。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆2000億円あまりで、ここ数日と同様にさほど膨らんでいない。 新興株ではマザーズ指数が+1.61%と9日ぶりに反発している。こちらも朝方伸び悩む場面があったが、中小型グロース株への買いが追い風となってまずまず堅調だ。日足チャートを見ると、700pt割れからすかさず切り返してきた点には安心できるものの、下降する5日移動平均線(710pt近辺)を明確に上抜けできてはいない。なお、明日27日はストレージ王<2997>とモイ<5031>、翌28日はクリアル<2998>とペットゴー<7140>が東証グロース市場に新規上場する。モイはライブ配信サービス「ツイキャス」で知られる。これらの後は5月末までIPO(新規株式公開)がないため、個人投資家の関心を集めそうだ。 さて、25日の米市場動向を見ると、原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI6月物)が1バレル=98.54ドル(-3.53ドル)と続落。期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.91%(-0.07pt)に、10年物国債利回りは2.82%(-0.08pt)にそれぞれ低下した。 米10年BEIは先週、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め観測が強まるなかで一時3%台まで上昇し、「FRBはインフレを退治できない(著名投資家デービッド・アインホーン氏率いる米ヘッジファンド、グリーンライト・キャピタル)」との見方も出ていた。それだけに原油価格の下落とBEI低下は安心材料と受け止められるかもしれないが、その背景がロックダウン拡大による中国経済の減速懸念とあれば素直に喜べないだろう。本日の上海総合指数は前日ほど弱くないものの、一進一退の展開でコロナ禍への懸念に揺れる投資家心理を映しているようだ。 また、世界中の投資家から投資資金を集めていた中国テック株の下落を不安視する向きもある。足元下げ渋っているのに安心感を覚える投資家が多いのはソフトバンクGの反発からも窺えるが、海外メディアの記事では中国ハイテク株の下落による「痛みはこれから(DZバンクのアナリスト、マヌエル・ミュール氏)」との指摘が見られる。 前日の当欄で触れられていたが、日米とも6月限のプットオプション(売る権利)の建玉が増えているようで、「5月に売れ(セル・イン・メイ)」への警戒感が強いことがわかる。また、前日のように相場が大きく動く局面では、カウンターパートとなっている金融機関などからヘッジ目的の先物売りが出やすいだろう。5月3~4日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることもあり、当面落ち着かない展開とみておいた方がいいだろう。 本日も国内ではファナック<6954>、キヤノン<7751>などが決算発表を予定しており、米国でも企業決算とともに経済指標の発表が多い。特に2月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数などはインフレの行方を占ううえで注目されそうだ。(小林大純) <AK>
2022/04/26 12:16
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日経平均は大幅続落、イベント前のヘッジ売りによる一段安に注意
 日経平均は大幅続落。526.56円安の26578.70円(出来高概算4億9817万株)で前場の取引を終えている。 22日の米株式市場でNYダウは981.36ドル安と大幅続落。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が大幅利上げを示唆したことを受けた投資家心理の悪化で、寄り付き後下落。終日、年内の利上げペース加速を警戒した売りが続き、引けにかけて下げ幅を拡大した。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-2.54%と大幅に3日続落。先週末の米株大幅続落劇が投資家心理を悪化させるなか、週明けの日経平均は412.78円安でスタートすると、一時26487.84円(617.42円安)まで下落した。自律反発狙いの買いから下げ渋る場面も見られたが、中国での都市封鎖(ロックダウン)の再強化も嫌気されるなか、時間外取引のNYダウ先物が下げ幅を広げたことも重しとなり、軟調な展開が続いた。 個別では、ソフトバンクG<9984>、日本電産<6594>が6%超の下落で、ファーストリテ<9983>は4%安。レーザーテック<6920>、キーエンス<6861>、ダイキン<6367>なども大幅安で、値がさのハイテク・グロース(成長)株の下落が目立つ。郵船<9101>やINPEX<1605>、住友鉱<5713>などの市況関連株も総じて軟調。業績予想を下方修正したANA<9202>、仏ルノーによる保有株売却が警戒された日産自<7201>は共に4%近い下落。1-3月期の収益伸び悩みが嫌気されたジャフコG<8595>、業績予想を下方修正した東急建設<1720>は揃って東証プライム値下がり率上位に並んだ。一方、東エレク<8035>が小幅ながら逆行高。日立物流<9086>、SHIFT<3697>も大きく上昇。本決算が好感された東京製鐵<5423>やエレマテック<2715>は値上がり率上位に顔を出した。東京製鐵は自社株買いも発表している。 セクターでは鉱業、空運、海運などを筆頭にほぼ全面安。一方、水産・農林のみが小幅ながら上昇。東証プライムの値下がり銘柄は全体の87%、対して値上がり銘柄は11%となっている。 週明けの日経平均はマド空けを伴った下落で大幅続落。25日移動平均線に続き、5日線を下回り、上昇傾向にあった25日線は下向きに転換した。テクニカルの悪化が意識される形で、買いが入りづらい状況だろう。 先週末の米株市場は終日軟調な展開。国際通貨基金(IMF)主催の討論会で、パウエル議長が利上げに積極的な姿勢を示したことを嫌気した売りが続いた。パウエル氏は「インフレは3月にピークがあった可能性があるが、それは当てにならない」、「適切な場合は政策を厳しくするつもりである」などと発言。米国での3月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の結果公表後、インフレはピークを打ったとの見方が強まり、市場では一部で、年央からはFRBの引き締め姿勢が緩和されるのではないかといった期待があった。しかし、先週のパウエル氏の発言でこうした見方は修正を迫られる格好となった。 短期金融市場はすでに5、6月に続いて、7月までの0.5ptの利上げをほぼ織り込み、6月にいたっては0.75ptの利上げまで織り込みつつある。5月FOMCではさすがに0.75ptの利上げの可能性は限りなくゼロに近く、0.5ptの利上げがほぼ確実であり、足元の市場の織り込みペースは急速だ。3月半ばから株式相場がリバウンド基調を強めるなか、特に米国市場を中心に先行きに楽観的な見方が広がっていた背景もあったため、今回の織り込みと、先週末にかけての株式市場の調整をもって楽観の修正もある程度進んだといえる。 一方、日本国内のオプション市場の動向をみると、先週末にかけては、5月限ではプットとコールともに目立った動きはなかったが、6月限では、権利行使価格26000円のプットの建玉が大きく積み上がる動きが見られた。ゴールデンウイーク(GW)前、連休中のFOMCイベントに備えた下方リスクをヘッジする動きが出てきていると考えられる。 ここ数週間は先物手口で海外勢の目立った動きが少なく、方向感も定まっていない様子が窺えた。そうした意味では、直近までの海外勢の持ち高は中立水準にあったとみられ、この先、イベントに備えた売り持ち高の積み上がりが強まる可能性がある。今週、プット買いが更に進むようだと、カウンターパートであるディーラーによる先物を使ったヘッジ売りが膨らむ可能性があるため、注意が必要だろう。 後場の日経平均は軟調もみ合いが継続しそうだ。今週は日米で市場への影響力が大きい主要企業の決算が相次ぐ。これらの結果次第では相場の方向性が決まりかねないため、見極めたいとの思惑から積極的な押し目買いは限られるだろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/25 12:05
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日経平均は4日ぶり大幅反落、やはり「FRBは市場にフレンドリーでなかった」
 日経平均は4日ぶり大幅反落。519.73円安の27033.33円(出来高概算4億9000万株)で前場の取引を終えている。 21日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反落し、368ドル安となった。良好な経済指標や企業決算を受けて朝方300ドル超上昇する場面もあったが、金融当局の要人から利上げに積極的な発言が相次ぎ出て、幅広い年限で金利が上昇。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長も国際通貨基金(IMF)主催の討論会で5月の0.5pt利上げなど金融引き締め加速を示唆し、ハイテク株を中心に幅広い銘柄で売りが広がった。ナスダック総合指数は-2.06%と続落し、終値で3月15日以来の安値を付けた。本日の東京市場もこうした流れを引き継ぎ、日経平均は355円安からスタートすると、朝方には一時26904.38円(648.68円安)まで下落。その後は27000円を挟んで軟調もみ合いとなった。 個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が5%超の下落。米金利上昇がグロース(成長)株の重しとなり、前日の米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-2.66%と大きく下落した。その他売買代金上位でも郵船<9101>、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、川崎船<9107>など全般に軟調ぶりが目立つ。また、テスHD<5074>が東証プライム市場の下落率トップで、中小型グロース株が上位に多く顔を出している。一方、決算が注目された日本電産<6594>は2%超の上昇。市場予想下振れを嫌気した売りが出る場面もあったが、あく抜け感が意識されているようだ。同じく決算発表のディスコ<6146>、再編提案の募集を発表した東芝<6502>は3~4%の上昇。また、米ファンドKKRによる買収が報じられた日立物流<9086>はストップ高水準での買い気配となっている。 セクターでは、非鉄金属、鉱業、サービス業などが下落率上位で、その他も全般軟調。保険業と空運業の2業種のみ上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の88%、対して値上がり銘柄は10%となっている。 前日の米株がパウエルFRB議長ら金融当局の要人によるタカ派的な発言で下落した流れを引き継ぎ、本日の日経平均は朝方に600円超下落する場面があった。その後は27000円水準で踏みとどまろうとする動きも見られるが、戻りの鈍い印象は拭えない。日足チャートを見ると、ここ数日は上昇する5日移動平均線に沿って水準を切り上げていただけに強気の向きがやや増えていた。しかし、本日の下落で同線を割り込んできており、トレンド好転への期待も好転せざるを得ないか。前引けの日経平均が-1.89%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-1.32%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆2000億円あまりで、値幅の割に膨らんでいる印象はない。 業種別騰落率を見ると、非鉄金属や鉱業といった市況関連株が下落率上位で、これは米株と同様の動きだ。原油先物相場が上昇するなど商品市況は大きく下落したわけではないが、ファンドの清算などに伴い関連銘柄に売りが出たのではないかといった見方があった。一方、空運株が逆行高となっているが、米市場ではユナイテッド航空ホールディングスが決算を受けて大きく買われた。直近では米運用大手PIMCOのファンドマネージャー、エリン・ブラウン氏がこれから有望な投資分野の1つとして「娯楽・ホスピタリティ」を挙げているとも伝わっている。 新興株ではマザーズ指数が-2.59%、大幅に7日続落している。こちらも一時700ptを割り込むと同水準で踏みとどまろうとする動きを見せているが、トレンドの悪さが意識されざるを得ないだろう。売買代金上位ではメルカリ<4385>やBASE<4477>の軟調ぶりが目立つ。メルカリは下落基調が続き、2020年4月以来の安値水準だ。前日の当欄でも触れたが、日米でハイグロース(高成長)銘柄の苦境が続いている。 さて、前日の当欄「パウエル氏発言や企業決算を注視」で示唆したとおり、パウエル氏ら米金融当局の要人の発言を受けて株式・債券相場は大きく振れる格好となった。パウエル氏の発言として「5月の0.5pt利上げを検討」などといったものが伝わったが、米債券市場が今後数会合での0.5pt利上げを明確に織り込んでいるだけに、「特段の目新しさはない」といった声も聞かれた。 しかし、このところ当欄で述べていたように、目先の利上げペース以上に焦点となっているのは「インフレの持続性」や「目先の利上げ後の金融政策」だろう。この点について、パウエル氏は「インフレは3月にピークに達した可能性もあるがわからない」と述べたうえで、経済のソフトランディング(軟着陸)に向けて善処しつつも物価の安定回復を優先させるような印象を与えた。 討論会前の20日は米長期金利が低下し、21日の東京市場ではハイテク株や景気敏感色の強い銘柄の上昇が目立ったが、これらはパウエル氏が「経済データに目配りして柔軟に対応する姿勢を示すのでは」といった思惑による持ち高調整の動きだったのかもしれない。前日の当欄で述べたとおり、パウエル氏発言の注目点として「目先の利上げ後について『データ次第』との姿勢が示されるか」などといったことが市場関係者から挙げられていた。結果的にあくまでインフレ対応を重視する姿勢が示されたことで、一部にあった再緩和への期待もさらに後退せざるを得なくなったのだろう。「FRBは市場にフレンドリーでなくなった」ことを再確認したとも言える。 もっとも「インフレは一時的」との見方も根強く残り、引き続き相場が一方向に振れるとまでは言えないだろう。ただ、FRBの積極的な金融引き締め姿勢を受けてリセッション(景気後退)を懸念する声も聞かれ、日米の空運株の上昇などには難しい環境下で買える銘柄を模索する投資家の姿が透けて見える。(小林大純) <AK>
2022/04/22 12:16
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日経平均は3日続伸、パウエル氏発言や企業決算を注視
 日経平均は3日続伸。329.39円高の27547.24円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。 20日の米株式市場でNYダウは続伸し、249ドル高となった。IT大手のIBMや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が好決算を受けて急伸し、NYダウを押し上げた。また、インフレのピークアウト期待が根強いうえ、20年物国債の入札結果が好調だったことから、金利が幅広い年限で低下したことも買いを誘ったようだ。ただ、動画配信のネットフリックスの株価急落でハイテク株に売りが広がり、ナスダック総合指数は-1.22%となった。本日の日経平均は米国でのNYダウ上昇や金利低下を好感して41円高からスタートすると、寄り付き後も上げ幅を拡大。前日下落していた半導体関連などの値がさ株を中心に買いが入り、日経平均は前引けにかけて27571.12円(353.27円高)まで上昇する場面があった。 個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が6%近く上昇し、東エレク<8035>も3%超の上昇。米金利低下で買い安心感が広がったほか、半導体製造装置のオランダASMLホールディングの決算が受注堅調と受け止められたようだ。花王<4452>もP&Gの好決算が意識されているようで3%超上昇している。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>やソニーG<6758>が堅調。一部住宅建材の値上げ実施を発表したLIXILG<5938>が急伸し、新サービスを発表したマイネット<3928>はストップ高を付けている。一方、郵船<9101>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>は小安い。業績観測が報じられたキヤノン<7751>は2%超の下落。また、BEENOS<3328>やグリー<3632>が東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。 セクターでは、金属製品、パルプ・紙、精密機器などが上昇率上位。一方、鉱業、保険業、石油・石炭製品などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は35%となっている。 本日の日経平均は300円超上昇し、27500円台を回復して前場を折り返した。日足チャートを見ると、5日や25日といった短期の移動平均線の上昇に沿った形で、緩やかに下降する75日移動平均線を上抜け。値動きの好転が意識されやすいかもしれない。個別では、米金利低下や海外企業の好決算を受けて半導体・トイレタリー関連を中心に買われているが、値がさ株が多いだけに日経平均の押し上げに寄与している。ただ、ネットフリックスの急落が意識されてか、東証プライム市場の下落率上位にはIT・インターネット関連株が多い。前引けの日経平均が+1.21%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.61%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆2000億円ほどで、さほど膨らんでいる印象はない。 新興株ではマザーズ指数が-0.89%と6日続落。ここ数日と同様に朝方買い優勢となる場面もあったが続かず、日経平均とは対照的に軟調な展開だ。主力株は高安まちまちといったところだが、やはりIT・ネット関連株全般に売り優勢となっているようだ。なお、東証スタンダード市場では新規上場したフルハシEPO<9221>が公開価格比+52.0%という初値を付けた(名証メイン市場にも上場)。木質系廃材のリサイクル・チップ販売等を手掛け、本日の相場全体の地合いではテック系より買いやすかったのかもしれない。また、名証ネクスト市場にはASNOVA<9223>が新規上場した。 さて、20日の米主要株価指数はNYダウ+0.71%、S&P500指数-0.06%、ナスダック総合指数-1.22%とまちまちだった。NYダウは35000ドルを上回り、3月後半の直近戻り高値(35372.26ドル、取引時間中)に迫る動きを見せている。ただ、ナスダック総合指数は高寄り後に失速。納税期限通過で個人投資家に人気のハイグロース(高成長)銘柄が再び買われ、ナスダック総合指数もここ数日のもみ合いから上放れすると期待する向きがあった。「ネットフリックスショック」がこうした期待を腰折れさせてしまった影響は小さくないだろう。世界中の投資家から資金を集めていたネットフリックスは1日で7兆円近い時価総額が消失した。 急ピッチの米金利上昇はひとまず一服し、20日の10年物国債利回りは2.83%(-0.10pt)で終了。節目の3%を前に低下へ転じた格好だ。期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.92%(-0.01pt)にやや低下したが、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は再びマイナスとなった。商品では、原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI5月物)が1バレル=102.75ドル(+0.19ドル)と反発、金先物相場(ニューヨーク商品取引所、COMEX6月物)が1トロイオンス=1955.6ドル(-3.4ドル)と続落し、まちまちだった。 一昨日の当欄「焦点は『利上げペース』より…」で指摘したとおり、先週後半から「インフレ長期化(ひいては金融政策の将来的な再緩和への期待後退)を織り込む動きが強まっていたが、なお金融大手を中心に「インフレは一時的」「債券市場は利上げを過度に織り込み過ぎ」との指摘が根強く聞かれることから、相場は一方向に進みづらいだろう。 そして本日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の討論会参加が予定されており、金融政策の先行きを巡って相場が大きく変動する可能性がある。市場関係者からは(1)目先の利上げ後について「データ次第」との姿勢が示されるか、(2)量的引き締め(QT)について先の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で示された「月950億ドル上限」から増額の余地が示されるか、などに注目したいといった声が聞かれる。 また、国内でも本日から日本電産<6594>などを皮切りに3月期決算発表が本格化するため、企業業績の動向を注視したいところだろう。後場の取引では徐々に様子見ムードが強まる可能性がある。(小林大純) <AK>
2022/04/21 12:20
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日経平均は続伸、コロナ後初の実質金利プラス転換、今晩の米株市場の変調を注視
 日経平均は続伸。154.90円高の27139.99円(出来高概算5億8471万株)で前場の取引を終えている。 19日の米株式市場でNYダウは499.51ドル高と3日ぶり大幅反発。経済指標の上振れなどを背景に上昇スタート。公共交通機関でのマスク着用義務が撤回されたことで経済活動再開への期待が一段と高まったことも支援。2021年分の確定申告の締切を通過し、税還付金による新規投資なども追い風になったとみられ、金利上昇のなかでも個人投資家人気の高いハイテク株も買われ、ナスダック総合指数は+2.15%と大幅反発。米株高に加えて1ドル=129円台まで進んだ円安を追い風に輸出関連企業に買いが先行し、日経平均は225.70円高でスタート。朝方は円安が追い風になる自動車関連のほかグロース(成長)株にも買いが入り、日経平均の上げ幅は一時400円を超えた。一方、急速に進む米金利の上昇などが警戒され、急失速。27000円手前で下げ止まったが、その後はこう着感の強い展開が続いた。 個別では、円安進行を追い風にトヨタ自<7203>、ホンダ<7267>、日産自<7201>が軒並み大幅に上昇。航空会社のユナイテッドやクルーズ運営のカーニバルが買われた米株市場の動向を映し、JAL<9201>やエアトリ<6191>、OLC<4661>などのレジャー関連も上昇。米金利上昇を支援要因に第一生命HD<8750>、三菱UFJ<8306>も堅調。東証プライム値上がり率上位にはシティインデックスイレブンスの大量保有が明らかになった住阪セメ<5232>、業績予想を上方修正したイーレックス<9517>、業績・配当予想の上方修正や中計発表が好感されたジャックス<8584>などがランクイン。一方、レーザーテック<6920>や三井ハイテック<6966>、ルネサス<6723>、キーエンス<6861>、ベイカレント<6532>などのハイテク・グロース株が軟調。INPEX<1605>や住友鉱<5713>など資源関連も本日は一服感。 セクターでは輸送用機器、精密機器、ゴム製品などが上昇率上位に並んだ一方、不動産、鉱業、非鉄金属などが下落率上位に並んだ。東証プライムの値上がり銘柄は全体の67%、対して値下がり銘柄は29%となっている。 前日の米株市場の大幅高に反して、本日の日経平均は上昇してはいるものの、方向感に欠ける動きで強い動きとまでは言えない。一時25日移動平均線を上抜いたものの、その後の失速で、上ヒゲを残し、同線が上値抵抗線として意識される格好となった。明日の日本電産<6594>を皮切りに3月期企業の本決算シーズンが本格化するのを前に、様子見ムードが強く、積極的に買い上がる雰囲気でない状況に変わりはないのだろう。 前日の米国市場では、ハイテク・グロース株が大幅高だったものの、米10年債利回りは2.94%(+0.08pt)まで大きく上昇。一方、期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.93%(+0.01pt)と小幅な上昇にとどまり、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は遂に新型コロナショック後で初めてプラスに転じた。実質金利のプラス転換は時間の問題とは思われたが、一昨日の当欄で指摘してから僅か2日と、想定以上のスピードでの実現となった。 これだけの速いペースでの金利上昇にも関わらず、前日の米株市場ではナスダックが大幅高になるなど、物色動向としてはちぐはぐな印象を受けた。ただ結局、本日の東京市場でハイテク・グロース株の多くが朝高後に失速し、マイナスに転じているのを見る限り、やはり金利に対する警戒感は拭い去ることはできないようだ。実際のところ、前日の米ハイテク株高は、18日の確定申告締切日を通過し、税還付金を手にした短期目線の個人投資家が取引主体だったことが要因として大きいのではないだろうか。上昇率上位の銘柄を見ても、今年に入って大きく売り込まれていたような銘柄が多く、自律反発狙いなど短期目的の買いが中心だった印象だ。中長期目線の投資家が様子見を決め込むなか、最近の取引参加者の多くはこうした短期目線の投資家であると考えられるため、動き方にも整合性がつきそうだ。 そうしたなか、心配なのは今晩。米企業の決算発表も今後本格化していくが、大型テック企業として個人投資家からの人気も高い、動画配信サービスを提供するネットフリックスが前日の米株市場の取引終了後に先んじて決算を発表した。1-3月のストリーミングサービスの会員数は20万人の純減で、2011年以来の会員減少になったという。また、4-6月にはさらに200万人減るとの予想を示した。これを受け、株価は時間外取引で25%急落した。市場の注目度も高い銘柄だけに、投資家心理を悪化させることは避けられないだろう。また、税還付金を手にしてハイテク株に投資した個人投資家が多いとする仮定が正しいとすれば、これら投資家は早々に含み損を抱えることになり、市場の重しにもなりかねない。 本日の東京市場では、グロース銘柄が集まるマザーズ指数が朝高後に急失速し、大幅に5日続落となっている。ローソク足は5日連続の陰線で、水準も切り下げ継続、25日線を明確に下放れる格好となっており、明らかに弱さが目立っている。東京市場では、既にネットフリックスの決算を受けた今晩の米株市場の下落を警戒しているようだ。また、米10年債利回りは東京時間の本稿執筆時点において2.96%まで上昇している。今晩にも3%を軽々突破するとなると、金利上昇の歯止めがかかる水準が分からなくなり、警戒した株式売りなども出そうなため、留意しておきたい。上述した背景から、後場の日経平均は下げ渋ったとしても、前場の高値を抜いていくような展開は期待しにくいだろう。後場は上値の重い展開を想定する。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/20 12:05
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日経平均は3日ぶり反発、焦点は「利上げペース」より…
 日経平均は3日ぶり小幅反発。31.11円高の26830.82円(出来高概算4億1000万株)で前場の取引を終えている。 18日の米株式市場でNYダウは小幅に続落し、39ドル安となった。ウクライナ危機による需給ひっ迫の長期化観測に加え、リビアの政治デモによる産油停止の影響もあり、原油先物相場が4日続伸。セントルイス連銀のブラード総裁がインフレ抑制のため大幅な利上げが必要との見方を示し、長期金利も上昇が続いた。こうした動きが株式相場の重しとなる一方、金融株や半導体関連株などに買いが入り、主要株価指数は方向感に欠ける展開だった。本日の東京市場でもこれら銘柄に買いが先行したほか、円相場が1ドル=127円台まで下落したことも輸出関連株の買いを後押しし、日経平均は296円高からスタート。ただ、経済の先行きへの懸念も根強く、寄り付き直後をこの日の高値に失速すると、前場中ごろにはマイナスへ転じる場面もあった。 個別では、米半導体株高の流れを引き継いでレーザーテック<6920>が4%超の上昇。電気自動車(EV)分野などでの期待が根強い三井ハイテク<6966>はリバウンドを意識した買いが入ったとみられ、やはり4%超上昇している。その他売買代金上位では郵船<9101>、東エレク<8035>、川崎船<9107>などが堅調で、トヨタ自<7203>は小じっかり。自社株買いやアルペン<3028>による株式取得が材料視されたTSI HD<3608>は急伸し、RPA<6572>などが東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。 一方、ソフトバンクG<9984>とファーストリテ<9983>が揃って2%超の下落。中国配車アプリの滴滴出行(ディディ)が米上場廃止へ臨時株主総会を開くと発表し、中国ハイテク株の下落がソフトバンクGの重しとなっているようだ。また、ネットプロHD<7383>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。 セクターでは、海運業、鉱業、非鉄金属などが上昇率上位。一方、サービス業、小売業、医薬品などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の61%、対して値下がり銘柄は34%となっている。 本日の日経平均は米半導体株高や円安進行が好感され、押し目買いが先行する形で300円近い上昇からスタートしたが、早々に失速する格好となった。27000円水準での上値の重さが意識されてくる可能性がある。物色動向は米市場と同様で、市況関連株や半導体関連株が買われる一方、サービス・小売などの消費関連株に売り。金融株が思いのほか伸び悩んでいるのは気掛かりだ。前引けの日経平均が+0.12%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.37%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆円あまり。前日は1日を通じ初の2兆円割れとなったが、本日も引き続き売買低調だ。 新興株ではマザーズ指数が-0.98%と4日続落。こちらも朝方買いが先行したが続かず、軟調な展開を強いられている。メルカリ<4385>などの主力株も全般軟調で、値を飛ばす銘柄は限られている。前日の東証グロース市場の売買代金は1176億円で、4月初めが2000億円規模だったのを踏まると、新興株の売買は急失速してきた感がある。 さて、18日の米市場では原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI5月物)が1バレル=108.21ドル(+1.26ドル)と4日続伸。金先物相場(ニューヨーク商品取引所、COMEX6月物)も1トロイオンス=1986.4ドル(+11.5ドル)と反発した。10年物国債利回りが2.85%(+0.03pt)に上昇する一方、2年物は横ばいの2.45%となり、利回り曲線(イールドカーブ)は傾斜化(スティープニング)。先週後半に当欄で指摘したとおり、3月の米消費者物価指数(CPI)発表を通過し、短期的なリバーサル(相場の反転)を経て商品市況の反騰、長期の年限の金利上昇が顕著になってきた。 セントルイス連銀のブラード総裁は年内にも政策金利を3.5%前後に早急に引き上げる必要があると述べ、0.75ptの大幅利上げの可能性も示唆した。もっとも2年金利の反応を見る限り、金融市場も急速な利上げは相当程度織り込んでいるとの見方には妥当性があるように思われる。 しかし、焦点が「目先の利上げペース」でなく「インフレの持続性(ひいては将来的な金融政策の再転換の可能性)」に移っていると考えれば、先週後半からの一連の動きも整合的なものに見えてくる。ウクライナ危機による世界的な経済圏の分断がインフレの長期化を招くとの懸念は拭えない。「インフレは一時的」「米経済は堅調を維持」といった見方も根強く残り、株式相場を下支えしているが、金融市場全体の方向感は見誤るべきでないだろう。 また、日本では為替相場の円安進行が輸出企業の採算改善に寄与するとの期待も強いが、筆者としてはコロナ禍とウクライナ危機による新環境下で、従来型の経済・金融政策がインフレや円安を加速させているにも関わらず、その恩恵とコスト負担の不均衡が経済全体を下押ししかねないように思われる。実際、製造業全体として株価好調と言いづらいのはこうした懸念があるからではないだろうか。世界全体でも、世界銀行が18日、2022年の経済成長率見通しを従来の4.1%から3.2%に下方修正しており、先行き懸念は拭えない。 引き続きインフレ下で経済が堅調を維持できるかどうか、見方が定まったようには思われない。株式相場は方向感に乏しい展開とならざるを得ないだろう。(小林大純) <AK>
2022/04/19 12:53
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日経平均は大幅続落、「インフレピークアウト・金利上昇一服」に再考の必要性も
 日経平均は大幅続落。496.53円安の26596.66円(出来高概算4億3125万株)で前場の取引を終えている。 先週末15日の米株式市場はイースター休暇に伴い休場。ただ、時間外取引の米10年債利回りが上昇し、ナスダック100先物が軟調ななか週明けの日経平均は261.74円安でスタート。午前中ごろに発表された中国1-3月期国内総生産(GDP)などの主要経済指標の結果は概ね予想並みかそれを上回る結果となったが、同国での都市封鎖(ロックダウン)が続いているなか反応は限定的だった。中国株も軟調ななか日経平均は前引けまで軟調な展開が続き、下げ幅は一時500円を超えた。 個別では、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、信越化<4063>、SHIFT<3697>などのハイテク・グロース(成長)株が総じて大きく下落。武田薬<4502>、味の素<2802>、KDDI<9433>などのディフェンシブ系も軟調。三井物産<8031>や日本製鉄<5401>など資源関連でも弱いものが散見される。ほか、業績予想を下方修正したJAL<9201>が下落。中古車価格の下落報道が嫌気され、関連株のIDOM<7599>が東証プライム値下がり率上位に入っている。一方、郵船<9101>や川崎汽船<9107>のほか、原油先物価格の上昇を背景にINPEX<1605>が上昇。業績予想の上方修正と自社株買いを発表したマルマエ<6264>は大幅高。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスによる株式保有が判明したクレディセゾン<8253>が急伸し、値上がり率トップに躍り出た。 セクターではサービス、食料品、機械を筆頭にほぼ全面安。一方、鉱業と海運の2業種のみが上昇した。東証プライムの値下がり銘柄は全体の90%、対して値上がり銘柄は8%となっている。 週明けの日経平均は値幅を伴った下落で、先週もみ合っていた25日移動平均線を大きく下放れた。先週末の欧米市場が休場で目立った材料がないなか、時間外取引の米金利上昇や株価指数先物の下落が重しになっているのだろうが、それだけにしては下落幅が大きい。いまの相場の脆さを表しているようで、投資家も改めて押し目買いの入れにくさを実感していることだろう。 今週は目立ったイベント少ないため、今後も米金利動向などに神経質な展開が続きそうだ。一時1バレル=100ドルを割っていた米原油先物相場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)5月限が1バレル=106-108ドル近辺で推移するなど、じわりと上昇基調が続いている。もともと、90ドル台へ下落に転じた際も、期先物は下落していなかったため、再びの上昇は時間の問題とも言われていたが、改めて期近物が100ドルを回復してきたことで警戒感が強まっている。 先週、インフレピークアウトの見方の台頭とともに一時低下に転じていた米金利も、10年債利回りが東京時間で、本稿執筆時点、2.86%まで上昇してきている。5月、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ptの大幅利上げについては、短期金融市場ですでに9割程にまで織り込みが完了してきているにも関わらず、金利の上昇が一向に落ち着かないのは気掛かり。 11日の本稿「金融引き締めに“織り込み済み”ない?」で述べたことの繰り返しにはなるが、やはり、歴史的なインフレ高進局面での連続大幅利上げと“かつてないペース”での量的引き締め(QT)の同時進行という、異例の金融引き締めプロセスに向かう今年は、今までのような「織り込み済み」は通用しないのではないか。少なくともそうした可能性も考慮しておかなくてはいけない、非常に難しい相場局面にあることを再認識しておく必要がありそうだ。 連邦準備制度理事会(FRB)がインフレファイターとしてインフレ退治に躍起になるなか、10年物ですでに0.1%台にまでマイナス幅が縮小した米実質金利が、今後プラス圏に転じるのはもはや時間の問題だろう。これを踏まえれば、今後、米10年債利回りが3%を超えてくるのも時間の問題とみられ、3%超えも通過点に過ぎないのかもしれない。 その際には、株式益回りと国債利回りの差、いわゆるイールド・スプレッドの観点からも、株式への投資妙味は薄れてくる。インフレヘッジとしての株式投資への需要はあろうが、その際は、商社やエネルギー・非鉄金属などコモディティ関連くらいしか買われない可能性があり、相場全体の底上げには至らない展開も想定される。年始からの「グロース売り・コモディティ買い」はそろそろ一服と思っている投資家も多いかもしれないが、こうした考えには、今一度再考が必要かもしれない。 後場の日経平均は軟調な展開が続きそうだ。手掛かり材料難のなか、引き続き時間外取引の米金利や株価指数先物を睨んだ動きとならざるを得ない。連休明け今晩の米国市場で、実際に金利と株価がどう反応するかも見極めたいとの思惑もあろう。買い手に乏しいなか、更なる下値模索の可能性にも注意したい。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/18 12:08
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日経平均は3日ぶり反落、やはり「堅調な米経済」と「先行き不安」で綱引き
 日経平均は3日ぶり反落。176.14円安の26995.86円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。 14日の米株式市場でNYダウは反落し、113ドル安となった。朝方300ドル超上昇する場面もあったが、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が5月の0.5pt利上げについて「妥当な選択肢だ」と述べるなど、利上げペースの加速を示唆。金利が幅広い年限で上昇するとともに、ハイテク株を中心に売りが出た。ナスダック総合指数は-2.14%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は-2.92%だった。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで239円安からスタート。朝方に一時26784.92円(387.08円安)まで下落したが、その後ファーストリテ<9983>の大幅上昇や為替相場の円安進行を支えにプラスへ転じる場面もあった。しかし、一段の上値を追う動きは限られ、前引けにかけて再び軟化した。 個別では、レーザーテック<6920>と東エレク<8035>が揃って4%超の下落。台湾積体電路製造(TSMC)が好決算や高水準の設備投資計画の維持を示したが、米金利上昇による半導体株安の流れを引き継いだ。その他売買代金上位ではソフトバンクG<9984>、郵船<9101>、ソニーG<6758>が軟調。ベイカレント<6532>は決算発表による材料出尽くし感もあって9%超の下落。また、サーバーワークス<4434>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。一方、前述のファーストリテは7%超の上昇。上期決算を好感した買いが入っている。トヨタ自<7203>は円安進行を受けてしっかり。決算発表銘柄ではディップ<2379>やクリレスHD<3387>も急伸し、Gunosy<6047>がストップ高を付けている。 セクターでは、精密機器、電気機器、金属製品などが下落率上位で、その他も全般軟調。一方、電気・ガス業、輸送用機器、銀行業など4業種が上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の80%、対して値上がり銘柄は16%となっている。 本日の日経平均は米株安の流れを引き継ぎ、朝方に一時400円近い下落。その後下げ渋るも、一時プラスに転じたところで戻り一服となった。日足チャートを見ると、27000円割れ局面での底堅さも感じるが、27200円台に位置する75日移動平均線が上値を抑える格好。個別・業種別では、米金利上昇やそれに伴う円安進行を受けて関連銘柄に買いが入っているが、半導体関連などのグロース(成長)株の軟調ぶりが目立つ。東証プライム市場の下落率上位には中小型グロース株が多く顔を出している。前引けの日経平均が-0.65%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.87%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆1000億円あまりで、今晩の米市場が聖金曜日で休場とあって、前日以上に低調だ。 新興株ではマザーズ指数が-2.86%と大幅続落。前日は日経平均の堅調ぶりとは対照的にさえない展開だったが、本日は米金利上昇・ハイテク株安を受けて一段と軟調だ。日足チャートでは、750pt台に位置する25日移動平均線水準で煮詰まり感も。メルカリ<4385>などの主力IT株は全般軟調で、ウォンテッドリー<3991>などの好決算銘柄に買いが向かっている。 さて、14日の米10年物国債利回りは2.82%(+0.12pt)、金融政策の影響を受けやすい2年物も2.45%(+0.10pt)に上昇した。米原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI5月物)は1バレル=106.95ドル(+2.70ドル)と3日続伸。一時107.64ドルと2週間ぶりの高値を付けたという。戦略備蓄の放出を受けて調整していたが、足元で需給ひっ迫の長期化を見越して反騰してきている。期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.89%(+0.09pt)と3日ぶりに大きく上昇した。 この日発表された米経済指標では、3月小売売上高が前月比0.5%増と市場予想(0.6%増)を下回る一方、2月分が上方修正された。また、4月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)が市場予想に反し上昇するなど、全般に米経済の底堅さを感じさせる内容だった。3月の消費者物価指数(CPI)を受けてインフレのピークアウトに期待する声も出ていただけに、先行きへの強気な見方を後押しするだろう。 しかし、米著名投資家のジェフリー・ガンドラック氏や米ペンシルベニア大ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授らはインフレの高止まりを予想。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が積極利上げ姿勢を示した。供給制約によるインフレ長期化と急速な金融引き締めが米経済のリセッション(景気後退)をもたらすとの声もなお多く聞かれる。 実際、米消費者心理の改善はガソリン小売価格が下落に転じた影響が大きいとみられているが、原油先物相場の反騰の兆しを見ると先行き警戒せざるを得ないだろう。また、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発表した4月8~14日週の30年固定の住宅ローン金利は、10年以上ぶりに5%に達した。ローン支払額の急増も消費に冷や水を浴びせかねない。 結局のところ米連邦準備理事会(FRB)が景気をソフトランディング(軟着陸)に導けるかどうか、株式相場が通例のサイクルどおり「業績相場」に移行できるかどうかといった議論に早々に決着はつきそうになく、「『先行きの見方』は分かれたまま(前日の当欄タイトル)」である。株式相場はイベント睨みの投資家による売買で短期的に上下に振れつつも、大方の投資家は先行きを見定めるまで様子見と思われ、方向感は出にくいだろう。これを裏付けるように、4月第1週(4日~8日)の投資主体別売買動向で外国人投資家は日経平均先物を2219億円買い越す(順張り的な短期筋による散発的な買いが入ったとの観測がある)一方、TOPIX先物については742億円の売り越しにとどまった。これらを念頭に置いたうえで相場に取り組んでいきたい。(小林大純) <AK>
2022/04/15 12:17
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日経平均は続伸、結局「先行きの見方」は分かれたまま
 日経平均は続伸。339.01円高の27182.50円(出来高概算4億9000万株)で前場の取引を終えている。 13日の米株式市場でNYダウは反発し、344ドル高となった。3月の卸売物価指数(PPI)が前年同月比11.2%上昇と過去最大の伸びを見せたが、インフレのピークアウト期待が台頭し、反発を見越した買いが入った。金利低下も安心感につながり、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は+2.03%と4日ぶりに大幅反発した。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで82円高からスタート。朝方に一時27200円近辺まで上昇すると、戻り待ちの売りが出て高値圏でもみ合う展開となったが、前引けにかけて27200.89円(357.40円高)まで上昇する場面もあった。 個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株やソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>が堅調で、東京電力HD<9501>は6%超の上昇。新型コロナウイルス治療薬の胎児へのリスクが嫌気されて前日急落した塩野義<4507>だが、本日は承認審査に影響なしと伝わって4%超上昇している。決算発表銘柄ではアダストリア<2685>、コシダカHD<2157>、吉野家HD<9861>などが急伸。また、大阪チタ<5726>や邦チタニウム<5727>が東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。一方、売買代金上位ではベイカレント<6532>など成長期待の高い新興・中小型グロース(成長)株の軟調ぶりが目立つ。決算発表銘柄ではマネーフォワード<3994>などに売り。3月度売上高を発表したスノーピーク<7816>は東証プライム市場の下落率トップとなっている。 セクターでは、空運業、鉱業、非鉄金属などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、銀行業、水産・農林業、保険業など4業種が下落した。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の68%、対して値下がり銘柄は28%となっている。 前日に500円あまり上昇した日経平均だが、本日も米株高で投資家心理が上向き、300円を超える上昇で前場を折り返した。日足チャートでは27000円強に位置する25日移動平均線を上回り、次いで27300円手前に位置する75日移動平均線に迫る動き。米消費者物価指数(CPI)発表前の25日線割れによる短期トレンドの悪化懸念はひとまず和らぎそうだ。主力株も景気敏感系セクターを中心に全般堅調。ただ、米金利低下・ハイテク株高の割に、個人投資家に人気の高い中小型グロース株の軟調ぶりが目立つのはやや気掛かりだ。前引けの日経平均が+1.26%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.83%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆2000億円弱で、やや低調な印象を受ける。 新興株ではマザーズ指数が-0.82%と反落。やはり中小型グロース株安が響き、日経平均の堅調ぶりとはかなり様相が異なる。直近上場のサークレイス<5029>やセカンドサイト<5028>が賑わい、大きく上昇しているが、メルカリ<4385>などの主力株は総じて軟調。東証グロース市場の売買代金は4日から6日にかけて1日2000億円台で推移していたのが、12日1262億円、13日1452億円に減少している。時価総額の大きい主力株を避け、値動きの軽い小型株に物色の矛先が向きやすいだろう。 さて、注目された3月の米CPI・PPI発表を通過し、12日の当欄「世界的な物価高が相次ぎ伝わり米CPI発表へ」で示唆したとおり、ひとまず長期債・株売りの反動が出てきた格好だ。株式市況の反発とともに、「インフレはピークアウトしそう」「米経済は堅調を維持する」といった強気の声も再び聞かれる。こうした強気の声を支えるのは、米雇用市場が足元堅調なことなどに加え、長短金利の逆転(逆イールド)発生から景気後退まで通例として1.5~2年程度かかるということだ。また、前提として「金融相場」から「業績相場」へと続く相場サイクルの通例が念頭にあるのだろう。 一方、前日の当欄で触れられていたバンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査結果に見られるように、景気悪化を見込む投資家は非常に多い。食料品やエネルギー等の価格が急騰し、金利上昇により住宅ローン支払い額は増大。筆者も日本のいち消費者として、ここ1~2カ月ほどの支出はかなり増えている印象を受ける。米連邦準備理事会(FRB)による今後の急速な金融引き締めが景気を冷え込ませるとの懸念は拭いづらいだろう。今回は相場サイクルが通例より急速に進行しているとの見方も少なからず聞かれる。 結局のところ、3月25日の当欄「経済の先行きで見方分かれる?」以来度々述べているとおり、米国を中心とした世界経済の先行きに対する見方は大きく分かれたままである。これが短期的な株価変動を大きくしている一因でもあると考えられる。 しかし、(1)異例の金融緩和局面で拡大したレバレッジは縮小傾向にあること(戻り売り目線の投資家が多い)、(2)証券各社の調査を見ると、機関投資家は景気の先行きに慎重な見方を示しつつも、持ち高としては中立水準にあるとみられること(大きく売り持ちに振れているわけではなさそう)、(3)日本株について言うと、コロナショック直後は日銀の上場投資信託(ETF)買いが下値を支え、売り方の買い戻しで株価水準を切り上げる展開となったが、日銀のETF買いがほとんど入らなくなった現在は売り方の買い戻しで高値を取りに行くような展開が期待しづらいこと、などの点から、日経平均は中長期的に上値切り下げのトレンドを維持するとの見方に変わりはない。 投資家はこうした環境とともに自身の投資スタイルやターゲットとする期間、リスク許容度などをよく理解したうえで相場に取り組む必要があると改めて強調しておきたい。(小林大純) <AK>
2022/04/14 12:19
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日経平均は3日ぶり大幅反発、インフレピークアウトで買い転換への好機?
 日経平均は3日ぶり大幅反発。420.07円高の26755.05円(出来高概算5億5956万株)で前場の取引を終えている。 12日の米株式市場でNYダウは87.72ドル安と続落。3月の消費者物価指数(CPI)が40年ぶり最大の伸びを記録したが、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコア指数の伸びが予想を下回ったため、インフレはピークに達したとの見方も浮上し、金利低下を受けて寄り付き後上昇。一方、物価が当面高止まりするとの懸念も根強く、生産者物価指数(PPI)の発表を控えるなか、物価高への警戒感が再燃して下落に転じた。また、決算を控えている銀行株が売られたことも相場の重しとなり、引けにかけて売りが加速した。ただ、前日の日経平均は東京時間の米金利上昇を背景に500円近く下げるなど、事前に大幅な調整を経ていただけに、本日は買い戻しが先行し、101.08円高からスタート。時間外取引のナスダック100先物が堅調ななか、その後も上値を伸ばす展開となった。 個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>の半導体関連、SHIFT<3697>、ベイカレント<6532>、ファーストリテ<9983>などの値がさグロース(成長)株が高い。中国での都市封鎖(ロックダウン)措置を一部緩和する動きを好感し、郵船<9101>、INPEX<1605>、三菱商事<8058>などの市況関連も大幅高。東証プライム値上がり率上位には業績・配当予想を上方修正した日置電機<6866>のほか、ラクス<3923>、マネーフォワード<3994>などの中小型グロース株が並んだ。一方、米金利低下を受けて三菱UFJ<8306>や第一生命HD<8750>などが下落。NTT<9432>やKDDI<9433>、ヤクルト本社<2267>も軟調。今期見通しが失望を誘った竹内製作所<6432>、Jフロント<3086>、イズミ<8273>は大幅安。新株発行を発表したパーク24<4666>、新型コロナ飲み薬に関してネガティブな報道があった塩野義<4507>は急落。 セクターでは鉱業、海運業、精密機器などが上昇率上位に並んだ一方、証券・商品先物取引、銀行、空運などが下落率上位に並んだ。東証プライムの値上がり銘柄は全体の71%、対して値下がり銘柄は25%となっている。 日経平均は前日の米株安に反して大幅反発。前日まで相対的に弱かった半導体関連株や高バリュエーション株の総じて強い動きを見る限り、米CPI前に持ち高調整で売っていたハイテク・グロ−ス株をイベント通過で買い戻しているといったところか。 しかし、日経平均は本日の大幅反発でも、26900円台に位置する25日移動平均線にはまだ遠く及ばない水準であり、短期的なリバウンドの域を出ていない。また、米CPIを通過したことで一時的にあく抜け感が台頭しているのかもしれないが、今晩には米3月PPIの発表が控えている。川下分野の動向を反映するCPIよりも、川上分野の動きを映すPPIの方が先行性は高いと考えられ、CPIの結果だけを受けてインフレピークアウトを判断するのは気が早いだろう。 12日、FRBのブレイナード理事は利上げとバランスシート縮小の「複合的な効果により、年内には速やかに政策スタンスがより中立的なものになる」と発言。また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も、政策金利を、経済を刺激も減速させもしない中立レンジにできるだけ迅速に引き上げるべきだと述べ、さらに、物価圧力が持続する場合にはそれ以上の行動を取る可能性があるとの認識を示したという。 コアCPIの伸びは予想を下回ったとはいえ、前年同月比で+6.5%だ。連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする+2%を3倍も超えており、仮にピークアウトしたとしても、高い物価水準はしばらく長く続く可能性が高い。コア指数の前月比の伸びも+0.3%と予想(+0.5%)を下回ったとはいえ、前月比で伸びていることに変わりはない。また、CPIの構成項目の中で、下方硬直性を有し、インフレ動向を見定めるうえでより重要な、家賃などから成る住居費は前年同月比で+5.0%と2月の+4.7%から伸びが加速し、前月比では2カ月連続で+0.5%と伸びが鈍化していない。 こうしたCPIの結果内容と高官らの発言を踏まえると、FRBの金融引き締め懸念という今年最大のリスク要因を巡っては、何も状況が改善していないとも言える。日々相場を見ていれば、一日の動きを巡っていちいち様々な憶測や予想が飛び交うのは致し方ないが、本質的なことは今日と昨日とで何も変わっていないということを認識しておくべきだろう。 バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した4月のファンドマネジャー調査によると、景気悪化を見込む投資家の割合は過去最高となり、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)の予想は2008年8月以来の高水準になったという。興味深いのは、投資家の姿勢が極端に悲観に傾くなか、同社の逆張り指標である買いシグナルが点灯したにも関わらず、同社のストラテジストは、この買いシグナルに乗ずるべきではなく、戻り待ちの売りを推奨しているという。また、今年に入ってからの株価下落は「2022年の前菜」にすぎず、メインコースとも言うべき本格的な下げはこれからやって来るとも指摘したという。 前回、同指標が同じくらいに弱気に至ったのは新型コロナパンデミックが発生した直後の2020年3月だった。この時は、それ以降に実施された世界的な超大規模金融緩和策の影響で、実際、株価は記録的な上昇を見せ、結果として、BofAの逆張り指標は有効に機能した。しかし、今はFRBが超大規模緩和策を急速に巻き戻そうとしており、状況が正反対だ。同社ストラテジストの「買いシグナルに乗ずるべきでない」との指摘は的を射ていると考えるのが合理的か。 後場の日経平均は戻り一服か。今晩の米3月PPIを控えて改めて警戒感が強まる可能性もあり、次第に上値が重くなりそうだ。堅調推移が続いたとしても、25日移動平均線に近づく場面では戻り待ちの売りが上値を抑えよう。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/13 12:05
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日経平均は大幅続落、世界的な物価高が相次ぎ伝わり米CPI発表へ
 日経平均は大幅続落。365.55円安の26455.97円(出来高概算5億9000万株)で前場の取引を終えている。 週明け11日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに大幅反落し、413ドル安となった。インフレ・金融引き締め観測を背景に金利上昇が続き、ハイテク株を中心に売りが出た。中国で新型コロナウイルス感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)が継続していることも景気悪化懸念につながった。ナスダック総合指数は-2.18%と大幅続落。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで214円安からスタートすると、寄り付き後も下げ幅を拡大する展開となった。今晩の米3月消費者物価指数(CPI)発表を前に警戒感から売りが広がり、前場中ごろを過ぎると26407.84円(413.68円安)まで下落する場面があった。 個別では、郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎船<9107>といった海運株が大幅に下落。前日急伸した東京電力HD<9501>は買いが一巡すると反落し、レーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>もさえない。第3四半期決算が市場予想を下回ったコスモス薬品<3349>は急落。また、公募による自己株式の処分を発表したブックオフGHD<9278>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。一方、NTT<9432>やOLC<4661>はしっかり。今期大幅増益見通しのローツェ<6323>は商いを伴って急伸し、東証プライム市場の上昇率トップとなっている。その他の決算発表銘柄でも高島屋<8233>などが買われ、アークランド<9842>やSansan<4443>が急伸している。 セクターでは、海運業、精密機器、医薬品などが下落率上位。一方、空運業、パルプ・紙、その他金融業などが上昇率上位だった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の79%、対して値上がり銘柄は17%となっている。 本日の日経平均も前日と同様、米国の金利上昇によるハイテク株を中心とした相場下落を受けて、売りが先行する展開となっている。日足チャートを見ると、26800円台に位置する25日移動平均線水準を下抜け。ここ3日ほど25日線水準で踏ん張りを見せていたため「値固め」との解説も散見されたが、一段の下落により短期トレンドの悪化が意識されやすいだろう。前引けの日経平均が-1.36%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-1.14%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆3000億円弱で、前日並みといったところか。 個別・業種別では海運株に加え、値がさグロース(成長)株やこのところ逃避資金が流入していた(景気の影響を受けにくい)ディフェンシブ株の一角で軟調ぶりが目立つ。ただ、ローツェやSansanの好決算が他の関連銘柄の期待を支え、買い戻しを誘っている印象も受ける。 新興株ではマザーズ指数が-0.76%と続落。前日に-4.01%という大幅下落を強いられた反動から朝方プラスに転じる場面もあったが、買いは続かず失速する格好となっている。時価総額トップのメルカリ<4385>は小安いが、ソニーネットワークコミュニケーションズとNFT(非代替性トークン)事業で共同出資会社を設立したサンアスタリスク<4053>が商いを伴って急伸。材料株物色が手控えられているわけではないようだ。本日、東証グロース市場に新規上場したサークレイス<5029>はここまで買い気配が続いている。 さて、8日の当欄「やはり米金利水準の上昇には懸念」で述べたとおり、その後の日米株式市場では米金利の更なる上昇を受けてグロース株を中心に軟調な展開を強いられている。11日の米市場では10年物国債利回りが2.78%(+0.08pt)に上昇。一時2.79%と2019年1月以来の高水準を付けたという。インフレ・金融引き締め観測に加え、アマゾン・ドット・コムの大型起債という需給要因もあったようだ。金融政策の影響を受けやすい2年物は2.49%(-0.03pt)に低下し、利回り曲線(イールドカーブ)は傾斜化(スティープニング)したが、やはり長期の年限を中心とした金利上昇は将来収益に基づき株価形成されるグロース株に逆風となっている。 また、期待インフレ率の指標とされる10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.91%(+0.04pt)と足元上昇しているが、金利の上昇ピッチがより速いため、結果的に名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利のマイナス幅は縮小傾向にある。 今晩発表される米3月CPIは市場予想のコンセンサスで前年同月比8.4%上昇と、2月(同7.9%上昇)から伸びが加速するとみられている。これに先立ち、世界的な物価高を示すニュースも相次ぐ。国連食糧農業機関(FAO)が8日発表した3月の世界の食料価格指数は159.3と2カ月連続で過去最高値を更新。『前月比』で12.6%の大幅上昇である。また、中国国家統計局が11日発表した3月の卸売物価指数(PPI)は資源高の影響で前年同月比8.3%、前月比1.1%上昇した。これらのニュースに加え、米ホワイトハウスがCPIについて「非常に大きく上昇する」との見方を示しており、発表を前に警戒感が先行するのもやむを得ないだろう。 発表後は短期的に悪材料出尽くし感が意識される可能性もあるが、引き続き各種経済指標や金融当局者を中心とした要人発言を睨み神経質とならざるを得ず、戻りは限定的とみておきたい。 東京市場の動向にも少々触れておくと、3月第5週(3月28日~4月1日)の投資主体別売買動向で外国人投資家はTOPIX先物を8566億円、日経平均先物を2590億円売り越した。それまでの買い越しは配当再投資等を睨んだ一過性のものだったと受け止めざるを得ない。また、1日申込み時点の市場全体の信用買い残高の合計(東名2市場、制度・一般合計)は2兆9569億円(+66億円)と4週ぶりに増加したが、昨年11月に3.7兆円規模まで膨らんだのをピークに減少傾向が続く。金融引き締め局面でのレバレッジ縮小は当然の動きだろう。 従前に当欄で予想したとおり、日経平均の直近の戻りは昨年9月からの戻り高値を結んだライン上にある28000円台で一服した。戻り売り目線の投資家が減らない限り、中長期的には上値切り下げトレンドにならざるを得ないだろう。(小林大純) <AK>
2022/04/12 12:18
ランチタイムコメント
日経平均は反落、安川電機の決算好感できず、金融引き締めに“織り込み済み”ない?
 日経平均は反落。192.34円安の26793.46円(出来高概算5億4645万株)で前場の取引を終えている。 先週末8日の米株式市場でNYダウは137.55ドル高と続伸。10年債利回りが2.7%台と3年ぶりの高水準に達し、金利高を警戒した売りから寄り付き後下落。その後、景気に不透明感が広がるなか、ディフェンシブ銘柄に投資資金が向かい、ダウは上昇に転じた。一方、ハイテク株は終日軟調に推移し、ナスダック総合指数は-1.34%と大幅反落。米ハイテク株安を引き継いで日経平均は108.20円安でスタート。円安・ドル高の進展などを背景に下げ渋ると、一時は27004.50円(18.70円高)と上昇に転じる場面があった。しかし、心理的な節目の回復とともに目先の戻り達成感が台頭すると、騰勢が一服。中国株・香港株の大幅下落も嫌気され、その後は前引けにかけて再び下げ幅を広げる展開となった。 個別では、米ハイテク株安に加え、市場再編に伴う東証株価指数(TOPIX)構成銘柄の浮動株比率の見直しの影響が引き続き重しとなったソニーG<6758>、キーエンス<6861>、ダイキン<6367>が大幅下落。米長期金利の上昇を警戒し、Sansan<4443>やラクスル<4384>、JMDC<4483>などの中小型グロース(成長)株が東証プライム値下がり率上位に並んでいる。市場予想を上回る今期見通しを発表した安川電機<6506>は朝高後に失速し、マイナス転換。一方、先週末の岸田首相の記者会見を受けて原発再稼働への期待が高まり、東京電力HD<9501>が急伸。郵船<9101>や三菱UFJ<8306>、INPEX<1605>、三菱商事<8058>、日本製鉄<5401>、三菱重工業<7011>などの景気敏感株も堅調。決算が評価されたサカタのタネ<1377>、カーブスHD<7085>などは大幅に上昇した。 セクターでは精密機器、電気機器、情報・通信などが下落率上位に並んだ一方、電気・ガス、鉱業、銀行などが上昇率上位に並んだ。東証プライムの値下がり銘柄は全体の72%、対して値上がり銘柄は25%となっている。 週明けの日経平均は朝方に下げ幅を一時200円超にまで広げた後、急速に下げ渋ると、先週末に続き、25日移動平均線が下値支持線として機能する形に見えたが、前引けにかけては大きく失速し、同線を割り込んできている。米金利の先高観が警戒されるなか、東証グロースコア指数は4.6%安と大きく下落しており、5日の高値をピークに、その後は本日まで4日連続で陰線を形成し、高値と安値を同時に切り下げてきている。マザーズ指数は再び75日線を割り込んできた。3月半ばからの中小型グロース株のリバウンドは早くも一服し、再び相対的な弱さが目立つ地合いとなっている。 さて、製造業決算の前哨戦として注目される安川電機の本決算は、今期見通しが市場予想を上回り、受注動向の好調さも確認され、総じて良い内容だった。しかし、本日の同社株価は朝方に大幅高で始まった後はマイナスに転じるなど冴えない動き。部品調達難の影響などで前期実績が会社計画を下振れたこともあり、今期見通しに懐疑的な向きも少なくないようだ。また、米金融引き締めやウクライナ情勢に加え、ロックダウン(都市封鎖)に伴う中国経済の動向など、懸念要素が多くくすぶるなか、好決算でも投資家はなかなか積極的にはなれないとも捉えられる。今月下旬からは3月期企業の本決算が始まるが、どうやら先回り買いなどは期待できないようだ。 8日時点での米10年債利回りは2.71%、期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.87%となった。これに伴い、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は-0.16%までマイナス幅の縮小が進んだ。新型コロナパンデミック以降、実質金利の大幅なマイナスがグロース株を中心に株式市場全体の押し上げに寄与してきたことを踏まえれば、実質金利のマイナス幅がこれだけ縮小されてくれば、足元の株式市場でグロース株を中心に相場の上値が抑えられるのも仕方のないことだろう。 米国では、明日12日に3月消費者物価指数(CPI)、13日には3月生産者物価指数(PPI)が発表される。CPIは総合で前年比+8.4%と2月の+7.9%から更に伸びが加速し、40年ぶりの最高を更新する見込み。足元、原油先物相場をはじめエネルギー・非鉄金属価格の上昇が一服していることもあり、高い伸びが出ても、過去の時点を映したに過ぎないバックミラーとして捉え、むしろインフレのピークアウトを織り込みにいく可能性が指摘されている。 しかし、相場の関心事が再び金融引き締めに移ってきているなか、予想比の上振れ次第ではマイナスに反応するリスクは高い。実際、連邦準備制度理事(FRB)のブレイナード理事のタカ派発言や連邦公開市場委員会(FOMC)議事録公表以降も、ナスダック総合指数やフィラデルフィア半導体株指数(SOX)の下げは止まっておらず、あく抜け感は強まっていない。 米10年債利回りも急ピッチでの上昇が続いており、これまで、株式市場よりは早く織り込みが進んできたと言われてきた債券市場でも、FRBのタカ派スタンスの織り込みはまだ完了していない様子。また、米10年BEIは8日に2.87%と、7日の2.82%からむしろ上昇した。市場はまだインフレのピークアウトを信じ切れていないか、FRBの一段のタカ派化リスクを恐れている様子。 実際、短期金融市場は5月、6月FOMCでの利上げ幅として0.5ptをそれぞれ8割程にまで織り込んできているが、セントルイス連銀のブラード総裁は今下半期の間に政策金利を3.00-3.25%まで引き上げるべきとも発言しており、FRBの一段のタカ派化は確かに否めない。FRBのスタンスが刻々とタカ派し続けるなか、今年は金融政策について「織り込み済み(だから相場は上昇)」と判断することは難しく、今後も高官発言や金利動向に神経質な動きが予想されよう。インフレ退治に躍起になっているFRBの姿勢を踏まえれば、実質金利が今後プラスに向かっていくことは時間の問題とみられ、金利の一段の上昇に対しては警戒しておいた方がよいだろう。 後場の日経平均は前場の安値を割り込んでくる可能性がある。中国上海総合指数や香港ハンセン指数が大幅下落でスタートした後も下げ止まっていない。また、時間外取引で米10年債利回りが2.76%まで上昇してきており、これに伴い、時間外取引のナスダック100先物などが下げ幅を広げてきている。海外市場の動向次第では、短期筋の仕掛け売りなどにも注意が必要だろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/11 12:07
ランチタイムコメント
日経平均は3日続落、やはり米金利水準の上昇には懸念
 日経平均は3日続落。68.20円安の26820.37円(出来高概算6億3000万株)で前場の取引を終えている。 7日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、87ドル高となった。引き続き急ピッチの金融引き締めへの懸念が相場の重しとなった。一方で週間の新規失業保険申請件数が予想以上に減少したことや、長短金利の逆転が解消方向に動いたことが投資家心理を支え、ディフェンシブ色の強い(景気の影響を受けにくい)ヘルスケア・日用品セクターを中心に買いが入った。ここ2日で大幅下落していた日経平均も本日は米株高を好感して208円高からスタートすると、朝方には一時27185.23円(296.66円高)まで上昇。しかし、世界経済の先行きへの懸念は根強く、前場中ごろを過ぎるとマイナスへ転じ、26764.36円(124.21円安)まで下落する場面があった。なお、日経平均オプション4月物の特別清算指数(SQ)は概算で27122.37円となっている。 個別では、トヨタ自<7203>や7&iHD<3382>が4%前後の下落。豪裁判所がトヨタ車の欠陥を認めたなどと伝わり、決算発表の7&iHDは今期予想が想定より弱いと受け止められたようだ。その他売買代金上位ではレーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>が小安く、ファーストリテ<9983>や三菱商<8058>は軟調。また、決算発表のUSENNEXT<9418>や乃村工芸<9716>、ほかに京阪HD<9045>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。一方、郵船<9101>や川崎船<9107>はしっかり。NTT<9432>は3%超上昇しているが、東証株価指数(TOPIX)の浮動株比率見直しによる資金流入が大きいとの見方が出ている。また、業績上方修正のSHIFT<3697>などが東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。 セクターでは、輸送用機器、卸売業、ゴム製品などが下落率上位。一方、精密機器、情報・通信業、石油・石炭製品などが上昇率上位だった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は35%となっている。 本日の日経平均は朝方に一時300円近く上昇したが続かず、一転して3ケタの下落となる場面もあった。ここ2日でおよそ900円下落した後の反発としては弱く、上値の重さが改めて意識されざるを得ないだろう。日足チャートでも連日で陰線を引いており、目下25日移動平均線水準での攻防といった様相。SQ値に対しては朝方に上回る場面もあったが、その後下回っての推移が続いている。 業種別ではITなどのハイテクセクターの堅調ぶりが目立つが、一部企業の好決算や証券各社の強気の投資判断が支援材料となっているのだろう。一方、京阪HDやH.I.S.<9603>の下げが大きく、前日と同様に新型コロナウイルス感染再拡大への警戒感が窺える。前引けの日経平均が-0.25%なのに対し、TOPIXは-0.31%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆5000億円あまりで、オプションSQの影響を除けばここ数日とさほど変わらない水準だろう。 新興株ではマザーズ指数が+0.03%と3日ぶりに小幅反発。こちらはかろうじてプラス圏をキープしているが、やはり朝方の買いが一巡すると伸び悩んでいる。時価総額上位や売買代金上位は高安まちまちだが、今週上場したばかりのセカンドサイト<5028>や今週半ばまで戻り歩調だったウェルスナビ<7342>の下げ幅の大きさを見ると、投資資金の逃げ足の速さを感じざるを得ない。 さて、米国ではセントルイス連銀のブラード総裁がインフレ抑制のため「政策金利は下期に3.5%に達する必要がある」などと講演で述べたことが話題となった。年内残り6回全ての連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptの大幅利上げを行うべきと主張しているようなものだ。ブラード氏はタカ派として知られる点を考慮する必要はある。ただ、前日の当欄「『米金融引き締め』と『コロナ禍』懸念」で3月FOMC議事要旨を確認しても更なる引き締め加速への懸念は拭いづらいと述べたが、ブラード氏の発言はそうした見方を裏付けるものだろう。 もっとも、米国債利回りは7日、10年物が2.46%(-0.01pt)に低下する一方、10年物が2.66%(+0.06pt)に上昇した。3月FOMC議事要旨の公表前に中期債売り・長期債買いが強まっただけに、その巻き戻しが生じているもよう。利回り曲線(イールドカーブ)の傾斜化(スティープニング)に失業保険申請の減少も加わり、経済の先行きへの懸念が和らいだことが米株を支えたとみられている。 しかし、金利水準の上昇は実体経済や金融市場に大きな影響を与えるだろう。米不動産仲介業者レッドフィンによると、ここ1カ月に米国で販売中の不動産の12%が値下げしたという。金利急騰でローン支払額が大幅に増加し、買い控えにつながっているようだ。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発表する30年固定の住宅ローン金利は3月末に平均4.67%まで上昇している。数十年という長い期間で見れば決して高水準ではないとの指摘もあるが、問題は「消費者が低金利に慣れ切ってしまっていた」ことだろう。これは緩和的な環境下でレバレッジを拡大させてきた金融市場も同様と考えられる。 金融引き締め観測が一段と強まるとともにコロナ禍やウクライナ危機の長期化懸念も浮上し、先行きへの楽観的な見方は後退せざるを得ないだろう。目先の株価トレンドは悪化方向に傾くとみておきたい。なお、本日は国内で安川電<6506>の決算発表が控えており、製造業の皮切り役として注目される。(小林大純) <AK>
2022/04/08 12:21
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日経平均は大幅続落、「米金融引き締め」と「コロナ禍」懸念
 日経平均は大幅続落。546.96円安の26803.34円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。 6日の米株式市場でNYダウは続落し、144ドル安となった。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表を前に急ピッチの金融引き締めが警戒され、10年物国債利回りが一時2.66%まで上昇するとともにハイテク株中心に売りが出た。FOMC議事要旨では保有資産の削減ペースや年内数回の0.5pt利上げ実施が示唆され、公表直後に一段と売りが広がる場面もあったが、その後おおむね想定内との受け止めから下げ渋った。ナスダック総合指数は-2.22%と大幅続落。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで317円安からスタートすると、前場中ごろには一時26801.79円(548.51円安)まで下落した。コロナ禍でロックダウン(都市封鎖)を強いられる中国経済の悪化懸念に加え、新たに変異株・亜型が相次ぎ確認されていることもあり、積極的な押し目買いの動きは限られた。 個別では、米ハイテク株安の流れを引き継いでレーザーテック<6920>が5%超、東エレク<8035>が4%超の下落。その他売買代金上位も郵船<9101>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、ソニーG<6758>など全般軟調で、ホンダ<7267>の下落が目立つ。エアトリ<6191>など旅行関連株の一角は新型コロナウイルス感染再拡大の警戒感から急落。また、ファーマF<2929>などが東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。一方、アステラス薬<4503>が4%超上昇し、武田薬<4502>や任天堂<7974>は小じっかり。決算発表のベルシス24<6183>や業績上方修正のビックカメラ<3048>は好感した買いが優勢だ。また、ピアラ<7044>が連日の大幅高で東証プライム市場の上昇率トップとなっている。 セクターでは、鉱業、電気機器、非鉄金属などが下落率上位で、その他も全般軟調。上昇したのは医薬品のみだった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の94%、対して値上がり銘柄は5%となっている。 本日の日経平均は大幅続落し、500円を超える下落で前場を折り返した。朝方下げ幅を広げると26800円台での軟調もみ合いが続き、押し目買いの動きが乏しい印象を与えるだろう。日足チャートでは、前日に27400円近辺に位置する75日移動平均線を割り込むと、本日の大幅続落で26700円台に位置する25日移動平均線近くまで調整。売買代金上位では半導体関連などの値がさグロース(成長)株、業種別騰落率では市況関連セクターを中心に軟調ぶりが目立つ。グロース株、景気敏感株ともに手掛けづらく、逃避資金がディフェンシブ色の強い(景気の影響を受けにくい)医薬品株に向いた格好だろう。前引けの日経平均が-2.00%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)も-2.00%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆3000億円あまりで、ここ2日とおおむね同水準となっている。 新興株ではマザーズ指数が-3.66%と大幅続落。こちらも節目の800ptや同水準に位置する75日移動平均線を割り込んできた。前日の後場には押し目買いが入り下げ渋る動きを見せたが、本日はここまで弱含みの展開となっている。時価総額トップのメルカリ<4385>が-3.96%、売買代金トップのJTOWER<4485>が-8.62%となるなど全般軟調で、物色の矛先が向いている銘柄は限られる印象だ。 さて、3月FOMC議事要旨では量的引き締め(QT)について月950億ドルを上限として資産縮小していくことや、0.5ptの利上げについて年内1回以上の実施が正当化されるとの見方が示された。ただ、金融市場ではQTについて月1000億ドル規模、利上げについても複数会合で0.5ptとなることが見込まれていたうえ、直前にはブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事らからタカ派的な発言が出ていたため、想定内と言えば想定内の内容と言えるだろう。実際、米国債市場では6日、10年物国債利回りが2.60%(+0.06pt)に上昇する一方で、金融政策の影響を受けやすい2年物については2.47%(-0.04pt)に低下。10年金利も一時2.66%まで上昇してからは伸び悩んだ。 もっとも、急ピッチの金融引き締めが想定されているのに変わりはない。また、「QTに上限を設けるべきでない」との意見も出てきており、更なる引き締め加速への懸念も拭いづらいだろう。なにより、急ピッチの金融引き締めをかなり織り込んでいた債券市場と比べ、株式市場では直近、新興グロース株が賑わうなどやや楽観に傾いていた面もある(5日の当欄「米『ミーム株』と日本の新興株」などを参照頂きたい)。「長短金利の逆転より、スティープニング(傾斜化)しつつも長期金利が切り上がる方が米株にはネガティブでは」といった声が聞かれたが、将来収益に基づき株価形成される新興グロース株の賑わいに水を差すという点では頷ける指摘である。 このタイミングで新型コロナ感染再拡大に警戒せざるを得ない報道が相次いで出ているのも、短期の株価トレンドを悪化させそうだ。前日開催された厚生労働省の専門家会合では新規感染者数の増加に伴い「療養者数も増加傾向に転じている」との分析が示された。一部専門家は「第7波が既に開始している」とも指摘しているという。また、英国で確認された新変異株「オミクロンXE」は強い感染力を持つとされており、ロックダウンを強いられている中国でも新たな亜型が見つかったもようだ。しかし、コロナ禍による経済減速懸念が広がっても、FRBの姿勢を踏まえると金融引き締めの緩和期待は持ちにくいだろう。財需要や供給制約が持続し、インフレ圧力を強めるとの懸念が拭えない。 前引けのTOPIX下落率が2%に達し、後場は日銀による上場投資信託(ETF)買い実施観測が相場の下支えとなるだろう。それでも世界経済の先行き懸念は拭えず、戻りは限定的とみておきたい。なお、本日は小売企業を中心に決算発表が多くあるため、これらの内容も注視しておく必要があるだろう。(小林大純) <AK>
2022/04/07 12:18
ランチタイムコメント
日経平均は3日ぶり大幅反落、金利急伸で株式売り膨らむ、相場は下がりたがっている?
 日経平均は3日ぶり大幅反落。525.93円安の27262.05円(出来高概算5億4627万株)で前場の取引を終えている。 5日の米株式市場でNYダウは280.70ドル安と3日ぶりに反落。欧米諸国が6日に対ロ制裁の強化を発表する計画が明らかになり、景気への影響懸念が重しとなった。また、連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事が5月連邦公開市場委員会(FOMC)での量的引き締め(QT)開始の可能性を示唆したことで、金利が急伸し、ハイテク株を中心に大きく売られた。主要株価指数は終日軟調に推移し、引けにかけて下げ幅を拡大。ナスダック総合指数は-2.25%と3日ぶりの大幅反落。米株安を引き継いで日経平均は254.10円安でスタート。時間外取引のナスダック100先物が軟調ななか、断続的な売りが入り、日経平均は前場終盤ころには一時27214.61円(573.37円安)まで下落した。 個別では、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)の大幅下落もあり、東エレク<8035>、アドバンテスト<6857>などの半導体関連や、イビデン<4062>、太陽誘電<6976>などの電子部品関連が大幅下落。東証プライム値下がり率上位にはSansan<4443>、ラクスル<4384>、ギフティ<4449>などの高バリュエーション株が並んだ。ほか、日本郵船<9101>などの海運株も大幅安。ダイセキS<1712>、スギHD<7649>は決算が売りに繋がった。一方、米金利高を追い風に三菱UFJ<8306>、第一生命HD<8750>が上昇。旧村上ファンド系投資会社シティインデックスイレブンスの株式保有が明らかになったコスモエネHD<5021>は急騰し、富士石油<5017>も急伸。業績予想を上方修正したマニー<7730>、VTHD<7593>、山田コンサル<4792>なども大幅高。ほか、任天堂<7974>やシスメックス<6869>などディフェンシブ系が堅調。 セクターでは海運業、金属製品、機械などを筆頭にほぼ全面安。石油・石炭製品、銀行業の2業種のみが上昇となった。東証プライムの値下がり銘柄は全体の85%、対して値上がり銘柄は12%となっている。 前日の米株市場ではナスダック総合指数が久々に2%を超える大幅下落となった。FBRの中でもハト派とされるブレイナード氏からのタカ派発言とあって、影響が大きくなった面もあろうが、市場は敏感に大きく反応した。米10年債利回りは5日、2.55%(+0.15pt)へと急伸し、3年ぶりの高値を記録(なお、米10年債利回りは時間外取引において、本稿執筆時点で2.60%まで上昇してきている)。一方、期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はほぼ横ばいで2.80%。名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は−0.25%までマイナス幅を縮小した。 3月上旬には実質金利のマイナス幅は1%を超えていたため、縮小ペースは急速だ。2020年の新型コロナウイルス・パンデミック以降、長らく資産価格の上昇を後押ししてきた実質金利のマイナスが解消されようとしていることを背景に、デュレーション(投資回収期間)の長いグロース(成長)株が大きく売られたことは道理だろう。 しかし、ブレイナード氏の発言内容には既知の内容が多く、目新しい内容は少なかった。それにも関わらず、これだけ過剰な反応が見られたのは、相場が下げたがっているような印象を与える。相場のリバウンドが一服し、手掛かり材料難だったなか、これまで買い手の中心だった短期筋が、目の前に現れた格好の売り材料に対して素直に売りで反応したということだろう。改めて、足元の相場の脆さが立証されたといえる。 ブレイナード氏は前日の講演で、インフレ圧力を低下させる取り組みが「最優先」だと強調。また、「インフレは高過ぎる状況で、上振れリスクにさらされている」と指摘し、更なるインフレ高進が確認されれば「一段と強力な行動をとる用意がある」とも言及した。そのほか、ブレイナード氏は、QTは過去の回復局面よりも「かなり急速なペースで」行うこと、2017-19年と比較して縮小額の上限は「かなり大きくなる」ことなども示した。 一方、そうしたなか、中国では新型コロナ新規感染者数に歯止めがかかっておらず、現在上海市などで実施中のロックダウン(都市封鎖)の延長が決定された。ロシアへの制裁に加えて、中国でのロックダウンも相まって、インフレ要因の一つである物流網の混乱がさらに長期化するリスクが高まっている。パウエル議長は3月の議会証言にて、QTについて「3年程度かけて行う」などと発言していたが、インフレ高進の長期化リスクを背景に、縮小ペースを加速化する可能性もあろう。上述のブレイナード氏の発言を踏まえると、市場はFRBの一段のタカ派化リスクを織り込んでいく必要性に迫られることを覚悟しておいた方がよいだろう。 後場の日経平均は引き続き軟調な展開となろう。今晩の米国市場で発表されるFOMC議事録(3月15-16日開催分)の内容に対しての警戒感は一段と高まったといえ、内容を見極めたいとの思惑から押し目買いは入りにくい。日経平均はこれまで下値支持線になってきた75日移動平均線をも割り込んできているため、売り方優勢の地合いが継続しやすい。安易な押し目買いは避ける場面だろう。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/06 12:08
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日経平均は小幅反落、米「ミーム株」と日本の新興株
 日経平均は小幅反落。28.17円安の27708.30円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。 4日の米株式市場でNYダウは続伸し、103ドル高となった。ロシア軍によるウクライナの民間人虐殺疑惑を受けて欧米諸国の対ロ制裁強化が懸念されたほか、金融大手JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が世界経済の先行きに懸念を示したことも相場の重しとなった。ただ、中国企業の米上場を巡る警戒感が和らいだことなどを支援材料として、ハイテク株を中心に買いが入った。ナスダック総合指数は+1.90%と大幅続伸。本日の日経平均も米株高の流れを引き継いで229円高からスタートした。ただ、積極的に上値を追う動きは限られ、寄り付きをこの日の高値に失速。その後は前日終値を挟んでもみ合う場面が多かった。 個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株が揃って反落。東京海上<8766>などの保険株も海運株と同様に軟調ぶりが目立った。その他売買代金上位ではレーザーテック<6920>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>などがさえない。また、3月既存店売上高が4カ月連続の減収となった良品計画<7453>は売りがかさみ、東証プライム市場の下落率トップとなっている。一方、東エレク<8035>やソニーG<6758>は小じっかり。ソフトバンクG<9984>は中国ハイテク企業を巡る懸念後退で買いが続き、3%上昇している。ファーストリテ<9983>は3月の国内「ユニクロ」既存店売上高が8カ月連続の減収となったが買い優勢。しまむら<8227>は決算が好感され、イマジカG<6879>などとともに東証プライム市場の上昇率上位に顔を出している。 セクターでは、保険業、海運業、銀行業などが下落率上位。一方、鉱業、陸運業、小売業などが上昇率上位だった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の44%、対して値上がり銘柄は52%となっている。 本日の日経平均は米株高の流れを引き継いで200円あまり上昇して始まったが、結局前日終値を挟みもみ合う展開となっている。日足チャートを見ると、27400円台に位置する75日移動平均線を明確に割り込むことなく底堅い印象だが、本日陰線を引く格好となって28000円前後での上値の重さも拭いづらいだろう。 物色傾向としては米株と同様に値がさグロース(成長)株や消費関連株に買い。一方で海運株や金融株に売り。東証プライム市場全体としては値上がり銘柄の方が多いが、業種別では値下がりセクターの方が多い。規模別では大型が軟調で、小型が堅調。前引けの日経平均が-0.10%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.35%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆3000億円ほどで、旧東証1部市場と単純比較できないが、前日からやや低調な印象を受ける。 新興株ではマザーズ指数が+1.94%と6日続伸。前日にはおよそ2カ月ぶりに800pt台を回復し、同水準に位置する75日移動平均線を上回ってきたが、本日も買いが先行する展開となっている。ただ、ここ数日陽線を付けていたのに対し、本日は上値で利益確定売りも出ているようだ。個別では時価総額トップのメルカリ<4385>などが堅調で、ウェルスナビ<7342>は大幅高。東証新市場「グロース」でのIPO(新規株式公開)第1号となったセカンドサイト<5028>は上場2日目の本日、公開価格比+129.5%という高い初値を付け、前引けではストップ高水準での買い気配となっている。足元の新興株高を追い風にIPO銘柄への物色意欲も高まっているようだ。 さて、前日の米主要株価指数の動向を見ると、NYダウ+0.29%、S&P500指数+0.80%、ナスダック総合指数+1.90%だった。ハイテク株の堅調ぶりが目を引くが、とりわけ電気自動車(EV)のテスラが+5.61%、ゲーム専門店のゲームストップが+3.47%などと、いわゆる「ミーム株(はやりの株)」がけん引役となっている印象を受ける。昨年1月にゲームストップ株の乱高下が話題となったとおり、これらミーム株はコロナショック後の緩和相場で個人投資家の投資マネーが流入した。とりわけ米個人はオプションの取引も活発化させ、株価変動を大きくしているとの指摘がある。 昨年末ごろから米インフレとそれに伴う金融引き締め観測が強まり、さらに年が明けてウクライナ危機が深刻化するなど弱気材料が相次いだことで、これらミーム株はプットオプション(売る権利)の買いが活発になったという。しかし、1日の当欄「経済の先行き懸念も『過度に悲観』か疑問」で触れたとおり、直近の米個人投資家向け調査では「弱気」との意見が後退しており、ミーム株は売り持ちの解消を巻き込んで大きくリバウンドしているものと考えられる。上述したような懸念材料は払しょくされていないが、新規の弱気材料が出てきているわけでなく、先行きに強気の見方が少なからずあることも個人投資家のセンチメントを支えている可能性がある。 もっとも、先の米個人投資家向け調査(全米個人投資家教会(AAII)の週間調査)についてもう一点付け加えると、「中立」との意見が2020年1月以来の水準に上昇し、「弱気」との意見が21年11月以来の水準に低下したが、「強気」との意見はほぼ横ばい(若干の低下)にとどまっている。金融引き締め観測が足元むしろ強まっているだけに、米個人投資家のミーム株物色は短期と割り切ってのものかもしれない。 日本の新興株も主力大型株の様子見ムードやミーム株物色に刺激されて投資資金が流入しているが、個人投資家の信用取引が中心とみられ、昨年末以来の値動きを見てもミーム株同様に株価変動は大きい。5月には次の米連邦公開市場委員会(FOMC)が控えており、注意して取り組む必要があるだろう。(小林大純) <AK>
2022/04/05 12:20
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日経平均は小幅に4日続落、活発化する中小型グロース株物色の賞味期限は?
 日経平均は小幅に4日続落。39.21円安の27626.77円(出来高概算4億7202万株)で前場の取引を終えている。 先週末1日の米株式市場でNYダウは139.92ドル高と3日ぶりに反発。3月雇用統計が労働市場の強さを裏付けたことで寄り付き後上昇。一方、賃金の伸びが予想を上回ったことで、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測が強まったほか、長短金利の逆転で景気後退懸念も浮上し、一時下落に転じた。しかし、第2四半期入りに伴う新規投資が下支えとなり再び上昇。引けにかけて上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数も引けにかけてプラスに転じ、+0.28%と3日ぶりの反発。米株高を引き継いで週明けの日経平均は19.67円高でスタート。ただ、円安・ドル高が一服するなか、先週見られたリバウンド基調の一服が今週も続き、一時27578.81円(87.17円安)まで下落する場面があった。その後は下げ渋ったが、積極的に買い上がる向きは少なく、前日終値を挟んだもみ合いが続いた。 個別では、商船三井<9104>などの海運大手が堅調。中国当局が米市場上場の中国企業の大半について監査報告書への米規制当局のアクセスを認める方針と伝わり、ソフトバンクG<9984>が高い。1日に新事業を担う「ソニーモビリティ」を設立したソニーG<6758>も上昇。米雇用統計の発表後も動きが落ち着いている長期金利を支援要因に、東証プライム値上がり率上位にはMSOL<7033>やラクス<3923>、Sansan<4443>などの中小型グロース(成長)株が並んでいる。ほか、決算が好感された象印マホービン<7965>、月次動向が評価されたKeePer技研<6036>などが急伸。一方、クアルコムのレーティング引き下げなどもあり連日で大幅安となったフィラデルフィア半導体株指数(SOX)を嫌気し、東エレク<8035>やスクリン<7735>などが大幅安。三菱商事<8058>や日本製鉄<5401>など資源関連の一角も軟調。 セクターではその他金融業、陸運業、空運業などが下落率上位に並んでいる一方、海運業、医薬品、鉱業などが上昇率上位に並んでいる。東証プライムの値下がり銘柄は全体の38%、対して値上がり銘柄は59%となっている。 週明けの日経平均は先週の流れを引き継いで軟調な展開が継続。新年度相場入りに伴う新規資金の流入や、4月は海外投資家が買い越す傾向にあるというアノマリーなども期待されているが、3月半ばからの急速リバウンドで日経平均の上げ幅は一時3000円も超えていただけに、上昇一服感が強い。 配当落ち日を過ぎて高配当利回り株の物色も一巡するなか、今月末からは3月期決算企業の本決算シーズンが始まる。外部環境の不透明感が強いなか、業績見通しが市場予想比で弱いものになるガイダンスリスクなどが懸念されているため、今は、主力大型株は積極的に手掛けにくい。本日の東証全体の売買代金上位にはHENNGE<4475>やJTOWER<4485>など新興市場の中小型株が大型株と並んで上位にランクインしている。手掛かり材料難のなか、個人投資家を中心に値動き重視の売買が主体となっている様相が窺える。今週末には製造業決算の前哨戦と位置付けられる安川電機<6506>の決算なども控えているため、こうした主力大型株よりは新興中小型株が主体の相場展開が続きそうだ。 一方、先週末にかけて相対的に強い動きが続いている新興市場も、今週は6日には連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表予定のことを踏まえると、近いうちに上昇一服も想定される。市場は既に5月、6月会合での0.5ptの利上げをも大方織り込んでいるため、無難通過の確率が高い。ただ、バランスシートの縮小、いわゆる「量的引き締め(QT)」が早ければ5月にも開始されると予想されるなか、QTに関する内容への注目度は高く、相場の動きに変化をもたらすきっかけにもなり得る。 足元、ウクライナ情勢を巡る不透明感やインフレ高進、連邦準備制度理事会(FRB)による急激な利上げ観測などを背景に景気後退懸念が高まっていることで、米10年債利回りの上昇は一服。先週末からは再び10年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」も発生している。こうした長期金利の低下は、2023、24年まで利上げを続けるとするFRBの計画に反して、市場は来年半ばにはFRBは早くも利下げに転じざるを得ない状況に追い込まれると予想していることが背景にある。足元の中小型株を中心としたグロース株の大幅なリバウンドは、年始からの下落を受けた自律反発に過ぎないとも言える一方、こうした将来の利下げを早くも織り込みにいっている可能性がある。 しかし、大幅な利上げを行いつつ、QTもかつてない速いペースで行うという今回の引き締めプロセスは異例なもので、相場への影響は計り知れない。足元の中小型グロース株のリバウンドがいつまでも続くとは想定しにくいだろう。相場が急速リバウンドしていた3月半ば以降、この間、米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は急速にそのマイナス幅を縮小していた。グロース株はこの実質金利の上昇を無視してテクニカル要因主体で大きく上昇していたため、リバウンド余地はほぼ解消したとも言えそうだ。 本年のFOMCで投票権を有するカンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、QTを速やかに行えば利回り曲線がスティープニング化すると主張している。FOMC議事録内でQTの議論が一段と進んでいることが確認されれば、米国債需給の実質的な悪化が懸念され、足元、落ち着いている長期金利が再び2.5%突破を窺う可能性もあろう。その際には一段と実質金利のマイナス幅が縮小することが予想され、グロース株の調整要因に繋がる可能性がある。グロース株が相対的に強い足元の物色動向は速ければ、6日の議事録公表をきっかに賞味期限が切れる可能性に留意したい。 後場の日経平均は引き続き冴えない動きが予想される。手掛かり材料難のなか、時間外取引のNYダウ先物が軟調に推移しているほか、米長期金利もやや上昇しており、週明けの米国市場の動きが気になるところ。また、ウクライナ情勢を巡っては、民間人がロシア軍に殺害されたとの報告を受け、ロシアへの追加制裁懸念がくすぶっている。全体的に模様眺めムードが支配的となるなか、短期筋の売り仕掛けなどに注意したい。(仲村幸浩) <AK>
2022/04/04 12:08
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日経平均は3日続落、経済の先行き懸念も「過度に悲観」か疑問
 日経平均は3日続落。203.16円安の27618.27円(出来高概算5億7000万株)で前場の取引を終えている。 3月31日の米株式市場でNYダウは大幅続落し、550ドル安となった。2月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+6.4%と前月の6.0%から伸びが加速し、インフレへの警戒が高まった。また、ロシアによるウクライナへの攻撃の勢いは弱まらず、停戦期待が後退したほか、引けにかけて月末や四半期末特有の持ち高調整売りも広がった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-1.53%。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで197円安からスタートすると、朝方には一時27399.48円(421.95円安)まで下落した。その後押し目買いが入り下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。なお、日銀が取引開始前に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が7期ぶりに悪化したが、市場予想は上回った。 個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株が大幅に下落している。レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、トヨタ自<7203>も軟調。また、日本フエルト<3512>や前述の海運株などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、任天堂<7974>が2%超上昇し、キーエンス<6861>も堅調。米ファンドによる買収検討が報じられた東芝<6502>は6%超上昇している。今期(決算期変更で13カ月あまり)増益見通しを示したニトリHD<9843>は売りに押される場面もあったが、前引けでは小高い。スクエニHD<9684>などゲーム関連株の上昇が目立ち、乃村工芸<9716>は前期業績の上方修正を発表して急伸。また、やはり業績上方修正のオリジン<6513>が東証1部上昇率トップとなり、スターマイカHD<2975>はストップ高を付けている。 セクターでは、海運株、石油・石炭製品、パルプ・紙などが下落率上位。一方、その他製品、その他金融業、銀行業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の56%、対して値上がり銘柄は38%となっている。 名実ともに新年度相場入りした本日の東京株式市場だが、日経平均は連日で200円あまりの下落となっている。なお、東証の現市場区分における最後の売買でもあり、週明け4日から新市場区分がスタートする。日経平均の日足チャートを見ると、27400円台に位置する75日移動平均線水準で下げ渋る一方、5日移動平均線が下降に転じ上値の重さも拭いづらい。業種別では海運業などの市況関連セクターが下落率上位に並び、東証1部下落率上位にシチズンHD<7762>が顔を出しているあたり、上海市西部でロックダウン(都市封鎖)が始まったことにより中国経済への懸念が強そうだ。前引けの日経平均が-0.73%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は-0.29%。ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円あまりと前日よりやや多い程度だ。 新興市場ではマザーズ指数が-0.12%と4日ぶり小幅反落。下値で押し目買いが入り下げ渋るのは前日と同様で、期末配当絡みの需給イベントを通過し、個人投資家の物色が小型株にシフトしている印象を受ける。米金融引き締め観測で大きく株価調整した中小型グロース(成長)株は手掛けやすいということもあるのだろう。もっとも、プラス圏で積極的に上値を追う動きは見られない。個別では売買代金トップのJTOWER<4485>が反発し、時価総額トップのメルカリ<4385>は小じっかり。 さて、前日の米株の下落は月末や四半期末特有の売りによるものという面もあるだろうが、金融市場を見渡すとインフレ高進やそれに伴う金融引き締め、中国や欧州の景気悪化などへの懸念が感じられた。10年物国債利回りが2.34%(-0.01pt)に低下する一方、金融政策の影響を受けやすい2年物は2.33%(+0.02pt)に上昇し、景気後退のサインとされる「逆イールド」が再び発生する場面もあったという。石油備蓄の放出が発表されて原油先物相場が急反落する一方、金相場は安全逃避的な買いで続伸した。米金融大手ゴールドマン・サックスのストラテジストなど「米株がさらに大きく反発することはない」との市場関係者の見解が相次ぎ出ていた。 一方、「過度に悲観に傾き過ぎている」として先行きに強気な声も少なからず聞くが、こうした見方には疑問がある。全米個人投資家教会(AAII)が実施している個人投資家のセンチメントに関する週間調査では、「株に中立」との意見が2020年1月以来の水準に上昇すると同時に、「弱気」との意見が21年11月以来の水準に低下したという。個人投資家の悲観が後退してきているのは、マザーズ銘柄に根強い押し目買いが入る日本でも同様と考えられる。この点はかねて当欄で「今後の経済・株式相場の見方は大きく割れている」と指摘しているとおりだ。株式相場は上にも下にも振れうる位置とみておいた方がよいだろう。 2月の米個人消費支出は物価変動の影響を除く実質ベースで減少し、物価の伸びは一段と加速。3月の日銀短観では大企業・製造業の業況判断が市場予想ほどではなかったにしろ悪化に転じた。こうした流れを受け、今晩の米国で発表される3月の雇用統計やサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数も注目を集めるだろう。また前日の当欄で触れたが、日経平均構成銘柄の入れ替え(4日付で新生銀<8303>からオリックス<8591>に変更)に伴い、本日の引けで既存の構成銘柄にリバランスによる売り需要が発生するとみられている。足元で円相場が下落しており、これに伴い日経平均は後場下げ渋る可能性もあるが、重要経済指標の発表や需給イベントを前に戻りは鈍いとみておきたい。(小林大純) <AK>
2022/04/01 12:17