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みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=来年の潮流は「リアル防衛関連」と「IP」
きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比27円高の3万9276円と小幅ながら3日続伸。後場切り返したものの上値も重く終盤に値を消したが、しぶとくプラス圏で着地。ただ、値下がり銘柄数が全体の約8割を占めており、体感温度としては13ポイント弱の下落をみせたTOPIXよりも更に弱い地合いだったといえる。日銀の12月利上げ見送りの可能性を一部通信社が報じたが、結果的に反応薄だった。
11月相場は米国株市場ではNYダウが月間で3000ドル超も水準を切り上げたが、東京市場では11月の日経平均は月間で873円の下落となった。意外なことに月別にみると11月は過去10年間で9勝1敗と最強の月だが、今年はそのアノマリーが不発だった。もっとも月初(11月1日)に1027円安と急落しているため、月初の終値と月末の終値で比較すると陽線が立つという微妙なポジションにある。そして12月については、「掉尾の一振」という常套句からは強いイメージがあるが、直近10年間は5勝5敗とイーブンだ。更に付け加えれば、1月は直近10年間で6勝4敗である。つまり株式市場のアノマリーとしては、年末年始はイメージするほど強くはないという実態がある。
だが、今年の12月相場は週明けから日経平均がスタートダッシュを決めた。前日までの2営業日合計で早くも1000円超の上昇となり、きょうは利益確定売りで前場は下値を探ったものの、前述のように持ち直しプラス圏で引けている。ただ、個人投資家にとって決して与しやすい相場ではない。個別株ベースではなかなかテーマ買いの動き(物色の流れ)が定着せず、短期スタンスで機動的な対応を怠れば、すぐに積み上げた利益を吐き出すような状況に陥る。目先の上げ下げにこだわるほどに前方は視界不良となり、結果として参戦しない方が賢明ということにもなる。どんな銘柄も一本調子には上がらない。腰を据えて有力テーマに沿う銘柄を投資対象とすることが結局は勝利への近道となる。投資マネーの流れがどこに向かっているか全体観を把握することが大切だ。
この時期は来年の株式市場で何がテーマ性を発揮するかということを念頭に置きつつ、個別株の動向に目を凝らすことが肝要。まず、一つの流れは今年の大躍進銘柄となった三菱重工業<7011.T>に代表される防衛関連株だ。きょうは防衛関連の三羽烏と言ってもよい三菱重、川崎重工業<7012.T>、IHI<7013.T>の総合重機3社が物色人気に沸いた。リアル防衛関連として東京計器<7721.T>なども動意急となった。笛吹けど踊らずの半導体関連主力銘柄との値動きの違いは株式需給関係に尽きる。また、石破政権は不人気内閣のレッテルを貼られてはいるが、国防族で固められており、その観点では地政学リスクにシフトする世界の潮流に乗っている。米国では来年1月下旬からトランプ政権に移行するが、日本の防衛コスト負担が高まることは間違いない。財源の問題で増税懸念などもつきまとい株式市場にネガティブな側面もあるが、防衛関連に位置付けられる銘柄群にとっては株価刺激材料に事欠かない相場環境となる。
防衛関連では継続注目のIMV<7760.T>が上昇加速、きょうはフシ目の4ケタ大台を突破し上場来高値を更新した。目先過熱気味ではあるものの11倍前後のPERに割高感はなく、押し目買いを基本に一段の上値余地を堪能することは可能だろう。また、人工衛星などで防衛省向け受注実績を積み上げるキヤノン電子<7739.T>に意外性がある。業績も24年12月期第3四半期(1~9月期)営業利益は前年同期比79%増と急拡大しており、通期上振れ着地の可能性を内包している。
このほか、前日の続きとなるが任天堂<7974.T>などを中心とするIP(知的財産)関連が強い。ここにきて、ソニーグループ<6758.T>の株高もテーマ物色の流れが本物であることを示唆する。コナミグループ<9766.T>やバンダイナムコホールディングス<7832.T>などを併せてマーク。インバウンド関連でもあるハピネット<7552.T>も継続注目したい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前取引時間中に11月の輸入車販売、11月の車名別新車販売、11月の軽自動車販売などが発表される。海外では10月のユーロ圏小売売上高が開示され、米国では週間の新規失業保険申請件数にマーケットの関心が高い。このほか10月の米貿易収支も発表される。なお、タイ市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/04 17:30
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<注目銘柄>=フジミインコ、先端ロジックデバイス向けなど好調
フジミインコーポレーテッド<5384.T>は、9月9日につけた年初来安値2150円を底に緩やかに戻り歩調をたどっているが、いまだ2000円台前半にとどまっている。業績回復局面にあることを考慮すると上値余地は大きいだろう。
同社は、半導体製造用CMP(化学的機械的研磨)製品大手。11月5日に発表した9月中間期決算で、営業利益は57億200万円(前年同期比44.4%増)となった。顧客の稼働回復に伴いシリコンウエハー向け製品(ラッピング材、ポリシング材)が伸長したほか、CMP製品もAI関連の先端ロジックデバイスやメモリ向けの販売が増加。データセンター向けHDD(ハードディスクドライブ)の需要増加を受けてハードディスク基板向け製品も好調だった。
会社側では、9月20日に中間期・通期業績予想を上方修正したが、中間期営業利益はその修正計画52億5000万円を上回って着地した。会社側が収益性や費用前提を慎重に織り込んでいたことが上振れの要因とみられている。会社側では下期の状況を引き続き慎重にみており、通期予想については営業利益106億5000万円(前期比29.1%増)の9月修正値を据え置いたが、慎重すぎるとの見方もある。調査機関によっては120億円前後を見込むところもあり、上振れへの期待は高い。
来期以降についても、同社は先端用途を中心にロジック半導体用途のウエートが高いことを考慮すると、業績減速リスクは限定的とみられ、連続2ケタ増益が期待されている。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/04 10:00
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4日の株式相場見通し=強含みもみ合いか、円高含みの為替動向は警戒材料
4日の東京株式市場は主力株中心に強弱観対立の地合いとなり、日経平均株価は前日終値近辺でもみ合う展開となりそうだ。前日の欧州株市場ではドイツ、フランスなど主要国をはじめ総じて上値を指向した。この日はアジア株市場もリスクオンで、中国上海総合指数や香港ハンセン指数が揃って上昇したことなどが安心材料となり、独DAXは連日で最高値を更新している。一方、米国株市場では引き続き買い意欲旺盛な中も、景気敏感株などを中心に利益確定売り圧力も観測され、NYダウは小幅ながら続落となった。注目された10月の米雇用動態調査(JOLTS)は非農業部門の求人件数が市場予想を上回ったことで、労働市場の堅調さが確認されたが、今週末に発表予定の11月の米雇用統計を控え、この内容を見極めたいとの思惑からポジション調整の売りが上値を押さえている。NYダウは11月に月間で3000ドル強も水準を切り上げており、急ピッチな上昇に警戒感もくすぶっている。ただ、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数はここにきて強さを発揮し、この日も小幅ながら3日続伸で連日の最高値更新となった。東京市場では、米ハイテク株高が続いていることは追い風材料となるも、前日に日経平均株価は700円を超える大幅な上昇をみせており、きょうは強含みで推移しながらも上値は限定的となりそうだ。外国為替市場で不安定な動きが続いており、足もとで一時1ドル=148円台後半まで円高が進む場面があるなど、輸出セクターには神経質な相場環境となることも予想される。日経平均3万9000円台前半の比較的狭いゾーンで売り買いを交錯させる地合いが想定される。
3日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比76ドル47セント安の4万4705ドル53セントと続落。ナスダック総合株価指数は同76.963ポイント高の1万9480.911だった。
日程面では、きょうは12月の日銀当座預金増減要因見込みなど。海外では11月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月のADP全米雇用リポート、10月の米製業受注、11月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など。また、パウエルFRB議長が米メディア主催の討議に参加予定で、そこでの発言内容が注目される。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/04 08:00
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明日の株式相場に向けて=「サンリオ復活」と「任天堂界隈」に思惑
きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比735円高の3万9248円と大幅続伸。マーケット関係者も今朝の取引開始前の時点では、日経平均の急騰劇を予測した向きはほとんどいなかったのではないか。前日の米国株市場でナスダック総合株価指数が満を持して史上最高値を更新したことは強力な追い風には違いないが、NYダウの方は上昇一服となり、為替も1ドル=149円台まで円高が進んでいたことを考慮すれば、引き続き神経質な地合いが想定された。しかし実際は見ての通り、一時900円高を演じる大活劇相場で、売買代金も久しぶりに5兆円台に乗せた。
これだけ急激な上げ潮が発生したのは日経平均先物のショートカバーに火が付いたこともあるが、個別では半導体製造装置関連株への買い戻しが一気に顕在化したことが背景にある。この理由としてバイデン米政権はAI用半導体やハイスペックの半導体製造装置の輸出規制(エンティティリスト)を発表、140社の中国系企業を追加した一方で、日本やオランダは外れたことを好感したという解釈もあった。しかし、考えてみれば今回は日本やオランダだけではなく、約30カ国が対象外である。また、関税強化などトランプ次期政権の政策が俎上に載っている時間軸において、今バイデン政権が駆け込みで打ち出す政策がどれほどの意味があるのかという疑問もある。半導体株へのショートが想定以上に積まれていたという株式需給面の現実が浮き彫りになったことは確かだが、少なくとも半導体セクターへ実需の買いを誘導するインパクトには乏しい。
きょうは先物主導の全面高商状で逆に個別株の方向性がつかみにくい部分もあったが、テーマ買いの動きとしては知的財産絡み(キャラクタービジネス周辺)の銘柄に照準が合っている。特に今はソニーグループ<6758.T>のKADOKAWA<9468.T>買収の動きが示唆するように、アニメキャラクターを人工知能(AI)との融合でストーリーのシナリオ作成段階から縦横無尽に動かすことが可能で、権利関係さえしっかりしておけば人的コストがほとんどかからない時代が訪れようとしている。株式市場におけるトレードもしかりだが、既に“AIが人類の知能の総和を超える”というシンギュラリティが、さまざまな分野で現実化しているようにも見える。
以前にも触れたが本命格はサンリオ<8136.T>や任天堂<7974.T>で、両銘柄がツートップとして存在感を現してきた。サンリオは前週27日に大手金融機関及び同社社長の大量売り出し発表を受け700円を超える急落をみせたのだが、わずか4営業日で全値戻しの上を行き、上場来高値を更新した。この動きには驚くよりないが、大口の買い手がいたということ。もとより増資ではないため既存株主が保有する株式価値の劣化も生じない。
そして、任天堂もポケモンやマリオで世界に名を馳せるなど、知的財産の塊のような企業で、改めてスポットライトが当たっている。任天堂の場合はサウジ系ファンドの持続的な売りが観測されていたが、直近関東財務局に提出された変更報告書で同ファンドの保有が5%強まで低下したことが判明、ここで保有株売却はいったん打ち止めという観測が広がるなか、株価の戻り足に弾みがついた。
任天堂については「ニンテンドースイッチの後継機が来年1月にも発表され、3月には販売開始という観測も一部で浮上」(ネット証券アナリスト)していることもあって、足もとで買いの勢いが強まっている。気が付けばきょうで7連騰、7月につけた上場来高値9170円クリアも射程圏に入ってきた。こうなると、スイッチ絡みで自然と周辺銘柄にも視線が向く。電子部品やLSI関連としてホシデン<6804.T>、メガチップス<6875.T>などの動兆が著しい。更に、エレコム<6750.T>あたりに動きが出る可能性がある。
あすのスケジュールでは、12月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に開示される。また、この日はIPOが1社予定されており、TMH<280A.T>が東証グロース市場と福証Qボードに新規上場する。海外では11月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月のADP全米雇用リポート、10月の米製造業新規受注、11月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などにマーケットの関心が高い。このほか、パウエルFRB議長が米メディア主催の討議に参加予定で、そこでの発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/03 17:30
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3日の株式相場見通し=続伸、ナスダック最高値が追い風も円高は警戒材料
3日の東京株式市場は幅広い銘柄に買いが続き、日経平均株価は3万8000円台後半で頑強な値動きが予想される。前日の欧州株市場は主要国の株価が総じて堅調だった。そのなか、独DAXは3日続伸し10月中旬以来約1カ月半ぶりに史上最高値を更新している。米国株市場ではNYダウが上昇一服となったものの、ハイテク株に強い動きをみせる銘柄が目立ち、相対的に出遅れていたナスダック総合株価指数は終始高値圏で売り物をこなし、11月11日以来3週間ぶりに最高値圏に突入した。トランプ次期米政権下での関税引き上げなどの政策によるインフレ圧力の再燃が警戒され、ダウは目先ポジション調整の売りに押される展開だった。ダウは11月に月間で3000ドル強の上昇を示していることで過熱感も意識されやすい。ただ、この日に発表された11月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は50を下回ったものの前月から改善傾向を示し、コンセンサスも上回ったことで米経済の底堅さに対する安心感が押し目買いを誘導した。一方、米長期金利は4.1%台まで低下しており、ハイテク株への追い風が意識された。特に半導体セクターへの買い戻しが強まり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は続伸し戻り足を強めている。東京市場では米ハイテク株高を受け、前日に続きリスク選好の地合いが想定される。ただ、足もと外国為替市場で一時1ドル=149円台前半まで再び円高方向に振れており、これが自動車やハイテクセクターの上値を重くする可能性がある。3万9000円近辺では戻り売りが優勢となる状況も予想される。
2日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比128ドル65セント安の4万4782ドル00セントと反落。ナスダック総合株価指数は同185.782ポイント高の1万9403.948だった。
日程面では、きょうは11月のマネタリーベース、10年物国債の入札、11月の財政資金対民間収支など。海外では10月の米雇用動態調査(JOLTS)など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/03 07:59
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明日の株式相場に向けて=地銀株に師走の上昇旋風吹くか
名実ともに師走相場入りとなった2日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比304円高の3万8513円と反発。12月に入っても相変わらず五里霧中の相場展開で、きょうも朝方取引開始前に日経平均先物はプラスマイナスゼロの水準で、どっちに振れるか皆目見当がつかなかった。そして、寄り付きは前週末終値とほぼ同水準でスタートしたが、その数分後に160円ほど上昇したところで急反転、一気に下値を探る展開に変わった。取引開始後40分ほどで3万8000円台を割り込み、マーケットに緊張感が走ったものの、前場中盤を境に今度は急速な巻き戻しが入った。日経平均の5分足でみると朝方につけた大陰線と後場早々につけた大陽線が対比的であり、システマチックだが明確な理由が見当たらない。至近距離で相場と対峙すればするほどAIトレードに振り回される。後講釈で理屈を探す前に、もう次の動きが来るという感じでとにかく目まぐるしい。
為替市場の方は午前8時過ぎから一貫して円安方向に押し戻されており、ひと頃のような円安・株高のセットではなくなっていることが、最近の相場の特徴である。ひとつ言えるのは、半導体主力株はボリューム面ではディスコ<6146.T>とレーザーテック<6920.T>の順位が入れ替わったくらいで、依然として売買代金上位を占める銘柄が多いのだが、値動き自体は敗戦処理的なムードが拭えなくなっている。
対中国の半導体輸出規制がネックとなっているという見方だが、そもそも東京エレクトロン<8035.T>やレーザーテック、ディスコ、アドバンテスト<6857.T>といった銘柄が順繰りに最高値をつけに行く過程で、対中規制など耳にタコができるくらい聞かされてきた話である。株価が上がる時は少々の悪材料はノイズに過ぎず、地合いが悪くなると理由にされる。これは半導体関連に限ったことではないが、今は買い方が白けた状態で、売り方の動き(上値での空売りと下がったところでの買い戻し)が上げ下げの主動力となっている。
きょうはファーストリテイリング<9983.T>が朝方に大きく売られ日経平均押し下げ効果をもたらしたほか、資生堂<4911.T>なども下落が顕著で、中国関連株への逆風が意識された。日産自動車<7201.T>の最近の崩れ足も中国関連の側面で嫌気されている要素が大きい。例えば不買運動といっても、銘柄によっては多分に思惑先行の部分もあり、中国関連に位置付けられる銘柄で大きく値を下げたものの中には、買い場を提供しているケースも多いはずだ。しかし、日産自が会社解散価値の4分の1以下、PBR0.2倍台で買いが入ってこないという現実は、仮にイレギュラーであるとしても薄ら寒さを覚える。
一方、きょうの相場で光を放ったのは金融セクターだ。業種別値上がり率で33業種中1位が保険、2位が銀行であった。12月の日銀金融政策決定会合での利上げ観測が強まっており、分かりやすく金利上昇期待で物色の矛先が向いた。もっとも、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>や第一生命ホールディングス<8750.T>などの大手を買うのが王道としても、短期トレード対象として妙味があるとすれば地銀セクターであろう。
きょうは地銀株も全面高商状に買われたが、地銀株で値幅を取るうえでポイントとなるのは押し目買いを基本とすることだ。高値をつかむと引かされることも多く、陰線形成時に拾う方が有効なケースが多い。銘柄数が多く、株価も皆同じ背景で十把一絡げ(ひとからげ)で動くと言ってしまえば語弊もあるが、ファンダメンタルズよりも投資のタイミングに焦点を当てる方が実践的である。ただ、値ごろ感だけで選ぶと思わぬ落とし穴にはまるため、当然ながら業績内容は常にチェックしておかなければならない。個別では、堅実経営で知られる栃木銀行<8550.T>、大阪地盤でスタートアップにも傾注する池田泉州ホールディングス<8714.T>、福島県内2位の資金量を有し中小企業や個人向けで実績の高い大東銀行<8563.T>、同じく千葉県内2位で個人向けに強みを発揮する京葉銀行<8544.T>などを投資対象として目先マークしてみたい。
あすのスケジュールでは、11月のマネタリーベースが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、午前中に10年物国債の入札が予定される。また、午後取引時間中(取引終盤)に11月の財政資金対民間収支が発表される。海外では10月の米雇用動態調査(JOLTS)が注目される。この日はクグラーFRB理事の講演が予定されており、その内容にマーケットの関心が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/02 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=モノタロウ、業績最高益基調を評価
MonotaRO<3064.T>に注目したい。同社は作業場向けの間接資材をネット通販している。第3四半期累計(1~9月)の連結営業利益は前年同期比18.0%増の270億4000万円だった。大企業顧客とのシステム連携を通じた販売などが奏功した。24年12月期通期の同利益は前期比14.4%増の358億2000万円と最高益を更新する見込みだが、360億円台に上振れて着地するとの見方が出ている。
同社が手掛ける作業場向け間接資材の市場規模は5兆~10兆円と言われるが、そのうちネット通販の比率はなお小さく成長余力は高い。業績好調を評価し、株価は先行き11月11日につけた年初来高値2805円更新から3000円を目指す展開が見込める。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/02 10:00
みんかぶニュース コラム
2日の株式相場見通し=強弱拮抗、欧米株上昇も一段の円高が重荷
2日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前営業日近辺でもみ合う展開が想定される。前週末の欧州株市場は高安まちまちながら、ドイツやフランスなど主要国の株価は総じて強さを発揮した。そのなか独DAX指数は1%を超える上昇で続伸し、10月中旬につけた史上最高値以来の株価水準まで浮上している。ユーロ圏の景気全般に対する警戒感は拭えないものの、ECBによる次回会合での利下げ観測がマーケットのセンチメント改善につながっている。また、米国株市場では感謝祭の翌日で半日取引となるなかも旺盛な買い需要が反映され、NYダウが反発し史上最高値を更新。機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数も最高値を更新した。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も上げ足を鮮明とし1万9200台まで上昇、最高値更新まであと100ポイント未満に迫っている。米長期金利の低下を背景にエヌビディア<NVDA>が2%超の上昇をみせるなど半導体関連に物色の矛先が向き、全体相場に浮揚力を与える格好となった。この日は年末商戦の入り口である「ブラックフライデー」にあたり、個人消費が刺激されることへの期待感も小売セクターなどに買いを誘導している。東京市場では堅調な欧米株の動向を引き継ぎ、リスク選好の相場環境が意識されるところ。しかし、外国為替市場でドル売り・円買いの動きが一段と進み、1ドル=150円台を下回る円高に振れていることが自動車やハイテク株に重荷となりそうで、日経平均の上値は限られそうだ。3万8000円台前半でのもみ合いが予想され、ドル円相場の動向や米株価指数先物の値動きなどを横目に売り優勢となれば、3万7000円台に水準を切り下げる場面も想定される。
29日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比188ドル59セント高の4万4910ドル65セントと反発。ナスダック総合株価指数は同157.690ポイント高の1万9218.166だった。
日程面では、きょうは7~9月期の法人企業統計調査、11月の新車販売台数など。海外では11月の財新中国製造業PMI、10月のユーロ圏失業率、10月の米建設支出、11月の米ISM製造業景況感指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/02 08:00
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=再び日米欧「中銀会合」にフォーカス当たる
29日の東京市場で日経平均株価は前日比141円安の3万8208円と反落した。為替の円高が進行するなか、一時3万7900円台に下落。「3万8000円割れの水準では値頃感からの買いが入ってくる」(市場関係者)ものの、市場の関心は3万8000円ラインを巡る攻防に集まっている。
来週からいよいよ24年相場の締めくくりとなる12月相場が始まる。今秋の日本と米国での選挙を経て、年内のビッグイベントはほぼ一巡か、ともみられていたが、今年も残すところわずかとなるところで「日米欧の中央銀行の金融政策決定会合が、再び大きな焦点となりそうだ」(アナリスト)とみられている。
具体的には12月12日に欧州中央銀行(ECB)理事会、17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、18~19日に日銀金融政策決定会合が予定されている。ECB理事会では0.25%の利下げが予想されているが、ドイツを中心に欧州景気に先行き不安が台頭するなかECBの判断が注目されている。12月のFOMCでは、一時は政策金利据え置き観測も台頭したが足もとでは再び0.25%利下げの見方が強まっている。日銀決定会合では追加利上げの有無が焦点となりつつある。
特に、米国ではトランプ次期政権下での財政拡張によるインフレ懸念を背景にドル高が進行したが、財政規律重視派と言われるスコット・ベッセント氏が新政権の財務長官に就任することとなり、「相場の流れが変わった」(市場関係者)。米国で再び利下げ機運が強まり、日本では追加利上げとなれば、1ドル=150円を割り込んだ為替相場は一段の円高もあり得る。
そんななか来週の米国では重要経済指標が目白押しだ。6日の米11月雇用統計が最大の焦点となるが、2日に米11月ISM製造業景況指数、3日に米10月JOLTS求人件数、4日に米11月ADP雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数が予定されている。4日にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長に発言機会がある。
足もとでの円高が警戒されるなか、東京株式市場では円高メリット関連のニトリホールディングス<9843.T>やサイゼリヤ<7581.T>、吉野家ホールディングス<9861.T>などを中心に内需関連株が注目されそうだ。
上記以外のイベントでは、海外では4日に米ベージュブック(米地区連銀経済報告)、5日に米10月貿易収支、6日に米12月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。3日にセールスフォース・ドット・コム<CRM>、4日にダラーツリー<DLTR>、シノプシス<SNPS>が決算発表を行う。
国内では2日に7~9月期法人企業統計、6日に10月家計調査、10月毎月勤労統計調査が発表される。2日に伊藤園<2593.T>、ピープル<7865.T>、3日に内田洋行<8057.T>、5日に積水ハウス<1928.T>、6日にロック・フィールド<2910.T>が決算発表を行う。4日にはTMH<280A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7700~3万8800円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/29 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=HENNGE、セキュリティー需要追い風に成長加速へ
HENNGE<4475.T>は企業の情報セキュリティー対策ニーズの高まりを背景に順調な業容拡大が期待でき、25日移動平均線に接近しつつある足もとの株価は押し目買いの好機に映る。同社が主力とするクラウド型セキュリティーサービス「HENNGE One」は、複数のシステムIDの管理や、情報漏洩防止、サイバー攻撃からの防御といった機能を持ち、国内トップのシェアを持つという。
25年9月期は売上高が前期比24.8%増の104億4100万円、最終利益が同34.1%増の11億900万円と2ケタの増収増益の計画で、連続で過去最高益を更新する見通し。今期の年間配当は4円と前期の初配3円から1円増配を計画する。契約企業数やユーザー数を順調に積み上げるなかで、前期の平均月次解約率は前の期からやや上昇したとはいえ、0.54%と極めて低水準。今期も契約企業数の増加とARPU(1契約当たりの平均収入)の向上を狙う。加えて、海外でのイベント開催を含め広告宣伝活動を積極的に展開するといい、国内だけでなく海外企業向けの契約数の拡大にも期待が膨らみつつある。(碧)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/29 10:00
みんかぶニュース コラム
29日の株式相場見通し=もみ合い、米株休場で手掛かり材料難
29日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前日終値近辺でもみ合う展開が想定される。前日の欧州株市場では主要国の株価が総じて上値を指向した。トランプ次期米政権下での関税強化など通商政策に対する警戒感が、各国株式市場の上値を押さえていたが、この日はその反動で買い戻しが優勢となった。欧州での政局不透明感もマーケットへの織り込みが進み、独DAXや仏CAC40など終始強調展開を維持した。そのなか、ドイツ、フランスともに金融セクターに株価を上昇させる銘柄が目立っている。一方、米国株市場は感謝祭の祝日で休場だった。きょうの東京市場では前日の米株市場が休場だったこともあり手掛かり材料に乏しく、売り買いともに一方向にポジションを傾ける動きは出にくい面がある。きょうは週末かつ月内最終商いということもあって、売買代金なども盛り上がりを欠きそうだ。前日に臨時国会が召集され、きょうは石破首相の所信表明演説が予定されており、この内容が株式市場にも影響を与える可能性がある。ここ外国為替市場では急速にドル売り・円買いの動きが進んでいたが足もとでは円高が一服しており、ハイテク株や自動車株など輸出セクターにはポジティブに作用しそうだ。また、国内でもインフレ圧力が強まるなか、朝方取引開始前に発表される11月の都区部CPIの結果にもマーケットの視線が集まりそうだ。
日程面では、きょうは11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の有効求人倍率、10月の失業率、10月の鉱工業生産速報値、10月の商業動態統計、10月の自動車輸出実績、10月の住宅着工統計、11月の消費動向調査など。海外では、11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、インドの7~9月期GDPなど。なお、米国では年末商戦が本格スタートするブラックフライデーとなる。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/29 08:02
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=静かなる奔流「インバウンド関連」に刮目
きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比214円高の3万8349円と3日ぶりに反発。前日の欧米株安と急速な円高を受け東京市場も朝方は売りが先行、リスク回避モードのスイッチが入ったかと思われたが、3万8000円台を割り込むと、どこからともなく買い注文が集まってくる。これが水鳥の羽音なのかは定かではないが、売り方が慌て気味に買い戻すというパターンが10月初旬以降繰り返されてきた。
図らずして“勝手に踏み上げ相場”の色を帯びてくる。今回もそのケースが当てはまるかは今後を注視するよりないのだが、買い方の立場から押し目買いを入れる一つのモノサシとなるのは、日経平均の3万8000円近辺を横に走る75日移動平均線だ。ここを下回ると、ビリビリっと電気に打たれたかのようにリバウンド相場に転じる。逆にこの75日線が上値抵抗ラインとして機能するような状況に陥ると、売り方の仕掛けが炸裂する可能性がある。振り返れば今年7月末、日経平均は戻り局面を75日線で阻まれたが、その後は周知の通り8月初旬に史上最大の下げ幅を交えた暴落局面に遭遇した。
今はまだ75日線を絡めた攻防であり、その意味で波乱相場の機は熟していないという見方もできる。買い方の視点では、75日線を下抜けた後の戻り局面で、同移動平均線に再び弾き返されるような状況となったら深追いは禁物となる。これを需給面で裏付けているのが同移動平均線とシンクロする価格別の累積売買高だ。滞留出来高が際立って多いのが3万8000~3万9000円のゾーンであり、ここが上昇相場と下落相場の分水嶺となっている。年末高への期待はひと頃よりは大分しぼんではいるが、弱気に傾くのは時期尚早。仮に東京市場が本当の意味でリスクオフに傾くとしても、時間軸的には来年1月20日のトランプ氏の米大統領就任までモラトリアム期間と考えておいてよいのではないか。
足もと外国為替市場では荒れた値動きで、円高への警戒感が拭えない。しかし、これはプラスの側面もある。12月の日銀金融政策決定会合で追加利上げを読む市場関係者も多いなか、「1ドル=150円を切るような円高に振れれば、利上げ見送りの可能性が出てくる」(ネット証券アナリスト)という声もある。事前のアドバルーンをマーケットが好感すれば、年末は内需株中心に物色の矛先が向く可能性が出てくる。急速に円が買われているとはいえ、9月中旬時点で1ドル=140円近辺までの円高を経験しており、いくらトランプ次期米大統領がドル安肯定論者であっても、その水準に再アタックするような経済的背景は見当たらない。円高への行き過ぎた警戒は必要なさそうだ。
物色対象として、半導体関連株は値ごろ感こそあるものの戻り売りの壁が厚い。きょうはブルームバーグ通信が「バイデン政権が中国に対する半導体規制強化を検討しているが、以前想定されていたほど厳しくはない」と伝えたが、何とも奥歯に物が挟まったような証文の出し遅れのような報道で、東京エレクトロン<8035.T>が反応したもののショートカバーの域を出ず、レーザーテック<6920.T>やアドバンテスト<6857.T>が引き続き売り圧力に凌駕されたところをみても綾戻し(あやもどし)の材料にとどまっている。
一方、あまり目立たないがインバウンド関連に強い動きをみせる銘柄が増えている。トランプ次期大統領のSNS砲に振り回されにくいという面も、投資資金の流入を助長しているようだ。候補としてはホテル関連で共立メンテナンス<9616.T>やベルーナ<9997.T>に着目。とりわけ後者は穴株的要素を内包し、PERやPBRなど指標面の割安さも目立つ。このほか、カプセルトイやトレカを手掛けるハピネット<7552.T>、羽田空港ターミナルの家主である日本空港ビルデング<9706.T>、宿泊施設向け予約管理システムの開発・販売を手掛ける手間いらず<2477.T>なども物色対象として面白い。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の有効求人倍率、10月の失業率、10月の鉱工業生産速報値、10月の商業動態統計のほか、3カ月物国庫短期証券の入札と2年物国債の入札が行われる。午後取引時間中には10月の自動車輸出実績、10月の住宅着工統計、11月の消費動向調査が開示。また、この日はグロービング<277A.T>とTerra Drone<278A.T>の2社が東証グロース市場に新規上場する。海外では11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、インドの7~9月期GDPなど。なお、米国株市場は感謝祭の翌日で短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/28 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=極東貿易、M&Aに積極的で更なる成長を期待
極東貿易<8093.T>は産業向けが主力の機械商社。関連事業のM&Aに積極的で更なる成長が期待される。
足もと業績は好調で、11月8日に発表した25年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結営業利益は前年同期比2.3倍の7億9600万円となり、通期計画12億円に対する進捗率は66.3%に達した。産業設備関連部門は国内外の重化学工業向け設備事業を中心に順調で、産業素材関連部門も北米向け自動車部品用樹脂・塗料事業が堅調に推移。機械部品関連部門で特殊スプリング関連事業の収益性が改善したことも寄与した。
株価は11月12日に戻り高値1625円をつけたあとは一服商状となっているが、日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線とのゴールデンクロスが実現。PBRには割安感があり、ここは仕込み好機と捉えたい。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/28 10:00
みんかぶニュース コラム
28日の株式相場見通し=続落、米株安や急速な円高警戒で3万8000円台割れ
28日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に売り優勢の地合いが続き、日経平均株価は引き続き下値を試す展開で3日続落となりそうだ。前日の欧州株市場では主要国の株価が総じて軟調な値動きを強いられ、仏CAC40は約3カ月半ぶりの安値圏に沈んだほか、独DAXも小幅ながら続落した。トランプ次期米政権下での関税引き上げに対する警戒感が根強い。一方、米国株市場ではNYダウが6日ぶりに反落。朝方強調展開にあったがその後に軟化、午後の取引では終始マイナス圏での推移となった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は朝方から軟調で5日ぶりに反落し、史上最高値更新はお預けとなっている。この日に発表された週間の米新規失業保険申請件数は事前コンセンサスを下回り、労働市場の堅調な実態が示された。また、その後に発表された10月の米個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は市場予想と概ね合致し、全体相場への影響は限られている。個別株ではパソコン関連機器の製造販売を手掛けるデル・テクノロジーズ<DELL>が急落し、市場センチメント悪化につながった。東京市場では欧米株市場が売りに押される展開だったことや、外国為替市場で一時1ドル=150円台半ばまで一段とドル安・円高が進んでいることが警戒され、買い手控えムードが続きそうだ。日本時間今晩の米株市場が感謝祭の祝日に伴い休場ということもあり、商いも盛り上がりを欠くなか日経平均は3万8000円台を割り込む公算が大きい。
27日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比138ドル25セント安の4万4722ドル06セントと6日ぶり反落。ナスダック総合株価指数は同115.101ポイント安の1万9060.476だった。
日程面では、きょうは週間の対外・対内証券売買契約、10月の建機出荷、臨時国会の召集日。海外では韓国中銀の政策金利発表、11月の独消費者物価指数(CPI)速報値など。米国株市場はサンクスギビングデー(感謝祭)の祝日で休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/28 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「トランプ2.0」で危険水域の銘柄群
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比307円安の3万8134円と続落。きょうは11月相場の権利付き最終売買日となるが、引き続き冴えない値動きに終始した。あすからの実質12月相場入りで掉尾の一振を期待したいのはヤマヤマだが、投資マインドが冷え切っているため、年末高のシナリオもウォーミングアップから仕切り直す必要に迫られている。問題は助走がいつ始まるかだ。きょうは日経平均が一時400円を超える下げとなったものの、終値でフシ目の3万8000円大台ラインをキープしたことはポジティブに評価することもできる。しかし、プライム市場の値下がり銘柄数が全体の82%強に及んでおり、やはり投資意欲の落ち込みは覆うべくもない。
米国株市場に目を向ければトランプラリーはなお活発で、その証拠に前日はNYダウが5日続伸し、なおかつ5陽連を形成して最高値街道を邁進中だ。この日は機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数も最高値をつけた。更にハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は両指数に若干遅れてはいるが、それでも25日移動平均線をサポートラインに下値切り上げ波動を継続、あと120ポイントあまりの上昇で最高値水準に到達する。トランプ米次期政権下での財政政策への期待が膨らむ一方、FRBが利下げに前向きな姿勢を維持している状況は、かつてのゴルディロックス相場のパワーアップバージョンを思わせる。12月17~18日開催のFOMCでは6割以上の確率で0.25%の利下げ実施がコンセンサスとなっている。前日発表された11月の米消費者信頼感指数は事前予想を上回り、米景気の底堅さが示された。その一方で同日午後に開示された11月のFOMC議事要旨はFRBの緩和的スタンスを確認させる内容だった。
日本時間きょう深夜に発表される10月の米PCEデフレーターに対するマーケットの関心が高いが、市場では「前月と比較してコア指数の伸び率加速が見込まれているものの、大方マーケットには織り込まれている」(生保系エコノミスト)という。10月のPCEコアデフレーターは前年比で2.8%増がコンセンサスで、9月の2.7%増を上回る伸びが予想されている。「これが3%まで上振れるような結果となれば話は別だが、基本的に波乱要因とはなりにくい」(同)という声が聞かれた。
ではFOMCに1日遅れで開催される12月の日銀金融政策決定会合のほうはどうか。こちらは日銀が追加利上げに動く可能性が高いとみる向きが市場関係者に多い。食品スーパーなどで買い物をすれば実感できるが、最近の物価高は看過できないレベルだ。「植田日銀総裁がいかに慎重でも、ここで0.25%利上げのカードを切ることに全く違和感はない」(中堅証券ストラテジスト)状況といえ、こうなるとほぼ同じタイミングで米国では利下げ、国内では利上げというベクトルの向きが真逆の金融政策が採られることになる。
方向性としてFRBの利下げと日銀の利上げはマーケットに織り込まれているが、それでもほぼ同時にカードを切るとなると相応のインパクトがある。足もとドル・円相場で1ドル=152円台前半まで急速に円高が進んだが、振り返って9月中旬には140円近辺まで円が買われたことを考えれば、今の円高はまだ序の口かもしれない。きょうの自動車や機械セクターへの売りは「関税引き上げ」と「円高」がダブルでのしかかったことによる。
個別では、まずアドバンテスト<6857.T>の崩れ足が半導体株復活への期待を萎えさせている。また、このほかに安川電機<6506.T>が8月初旬の暴落相場でつけたザラ場安値を終値で大きく下回ってきたことに警戒感を強める声が多く聞かれる。比較的底堅かったキーエンス<6861.T>やファナック<6954.T>にも売りを仕掛けているフシがあり、機械セクターは注意が必要だ。きょうは上海総合指数や香港ハンセン指数は自律反発したが、両市場の動きを横にらみに、中国関連の位置づけにある銘柄への押し目買いは慎重に考慮する必要がある。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に週間の対外・対内証券売買契約が開示されるほか、午後取引時間中に10月の建機出荷が発表される。また、この日は臨時国会の召集日となる。個別にIPOが1社予定されており、東証グロース市場にククレブ・アドバイザーズ<276A.T>が新規上場する。海外では韓国中銀の政策金利発表、11月の独消費者物価指数(CPI)速報値が発表される。なお、米国株市場はサンクスギビングデー(感謝祭)の祝日で休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/27 17:30
みんかぶニュース コラム
27日の株式相場見通し=軟調か、米株高も円高進行などに警戒感
27日の東京株式市場はポジション調整の売り圧力が続く可能性が高い。日経平均株価は3万8000円台前半で弱含みに推移しそうだ。前日は欧州株市場がほぼ全面安商状となった。トランプ次期米大統領が25日にSNSを通じて中国・メキシコ・カナダに対し関税強化の方針を示したことで、次期政権下での外交政策を警戒するムードが欧州各国でも強まっている。一方、米国株市場ではNYダウが安く始まったものの、午前中に切り返す展開となり、それ以降は一貫して下げ渋る動きで午後の取引でプラス圏に浮上した。この日は上げ幅こそ鈍化しているが、5日続伸で最高値街道を走っている。発表された11月の米消費者信頼感指数が事前予想を上回り、米経済の底堅さに対する期待感が投資家心理を支え、大手IT株や景気敏感株などに根強い買いが入った。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は終始堅調な値動きで4日続伸となり、史上最高値更新が再び視界に入ってきた。なお、機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は最高値を更新している。東京市場では前日に日経平均が先物主導で大きく下値を探る場面があり、一時750円超の下落を示したが、その後は戻り足をみせ大引けは1%未満の下げにとどまった。ただ、トランプ次期政権による関税強化など、各国に負担を求める政策に対しての警戒ムードは強く、足もと外国為替市場でドル安・円高方向に振れていることも投資家のセンチメント悪化につながりそうだ。日本時間深夜に発表が予定される10月の米PCEデフレーターの内容を見極めたいとの思惑も買い手控え要因となりやすい。一方、機関投資家による配当再投資の買いなどが全体株価を下支え、日経平均の下げ幅も限定的なものにとどまりそうだ。
26日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比123ドル74セント高の4万4860ドル31セントと5日続伸。ナスダック総合株価指数は同119.462ポイント高の1万9174.297だった。
日程面では、きょうは40年物国債の入札が行われる。海外ではニュージーランド中銀が政策金利発表、24年1~10月期の中国工業利益、10月の米耐久財受注額、24年7~9月期米実質GDP改定値、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米シカゴ購買担当者景気指数(PMI)、10月の米個人所得・個人消費支出、PCEデフレーター、米7年国債の入札など。なお、インドネシア市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/27 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=トランプSNS砲の衝撃と中小型株戦略
きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比338円安の3万8442円と反落。ザラ場も含め予測不能、翻弄されっぱなしで至近距離で相場と向き合うほどに方向感がつかめなくなるような地合いだ。例えば前日は思惑に反し朝方から日経平均は値を飛ばし、取引時間中は不安定に揺れたとはいえ、ほぼ高値ゾーンでのもみ合いに終始した。しかし、きょうは欧米株高を引き継いで強い動きが期待されたものの、フタを開ければ寄り付きから急速に下値を切り下げ、一時750円を超える波乱含みの下落に見舞われた。
AIアルゴリズムが作動するなか、先物主導のジェットコースターに乗るような相場が続く。“生身の人間”の予測を外すのがAIの仕事といわんばかり。おそらく足もとの相場にトレンドは発生していないと思われるが、日々の波の高さには、たじろぐケースが多い。前日は米財務長官人事(ベッセント氏の指名)をポジティブ視した流れが形成され日経平均は大幅高に買われたものの、きょうはそれを吐き出す展開を余儀なくされた。朝方取引開始前の午前8時半過ぎにトランプ米次期大統領がSNSで中国、カナダ、メキシコを対象とした追加関税に言及。日本は特に名指しされたわけではないが、この先そのリスクに怯えるような状況を意識させ、取引開始までの30分弱の間にセンチメントは急速に弱気に傾いた。
トランプ氏の「ツイッター砲」がしばしば相場の撹乱要因となった頃を想起させるが、ちなみに現在トランプ氏は独自SNSとして立ち上げた「トゥルース・ソーシャル」を活用している。一方、大統領選でトランプ氏が勝利した後、民主党支持者はSNSでは「ブルースカイ」に集結する状況にあり、まさに今の米国は思想の「分断」が色濃くなっている。
いずれにせよ、このSNS経由の“トランプ発言”によってきょうの相場は大時化(おおしけ)模様となった。鶴の一声ならぬトランプの一声で株式マーケット全体にこれだけ影響が生じてしまうのも迷惑な話だが、来年1月20日以降、日本にとってネガティブなトランプ効果に身構える必要があることを、きょうの相場は教えている。また、こうしたケースではAIアルゴリズムの持つ優位性が今後一段と高まっていきそうだ。突発的な情報発信を感知してトレードに反映させるまでのスピードで、AIに人間が勝てる道理はなく、同じ土俵に立っては勝負にならない。決算プレーなどもその要素をはらんでいる。
ただ、人間の知恵で流れを捉えることは可能だ。きょうは全体指数は日経平均、TOPIXいずれも下値を探る展開を強いられたが、個別株ベースでは中小型株の一角に買いが向かった。前日の米国株市場は内需系中小型株で構成されるラッセル2000が3年ぶりの高値圏に浮上した。東京市場でも全体相場が先物主導で荒れやすくなれば、その影響を受けにくい銘柄でテーマ物色の流れに乗ろうとする動きも顕在化しやすい。きょうは地合い悪のなかもペロブスカイト太陽電池関連の銘柄群にお鉢が回ってきた。「経済産業省が2040年に原発20基分に相当する20ギガワットまで高める目標を検討している」と伝わり、発電層の主原料に使われるヨウ素関連であるK&Oエナジーグループ<1663.T>や伊勢化学工業<4107.T>のほか、ヒラノテクシード<6245.T>、フジプレアム<4237.T>、エヌ・ピー・シー<6255.T>といった銘柄が軒並み動意づいた。
このほか内需の中小型株では、システム開発やセキュリティー関連銘柄などにも動意気配の銘柄が見受けられる。今後テーマ物色の波が及ぶ可能性があり、マークしておきたい銘柄としては、仮想デスクトップ関連製品を展開するアセンテック<3565.T>やSNSで昨今話題となりがちな炎上対策でエルテス<3967.T>。このほか、クラウドサービスで不動産事業者向け業務支援を行う日本情報クリエイト<4054.T>、医療情報分野で自社開発の電子カルテを展開するCEホールディングス<4320.T>、国内最大の企業関連クチコミ情報サイトを運営するオープンワーク<5139.T>などに目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、午前中に債券市場で40年物国債の入札が行われる。海外ではニュージーランド中銀が政策金利を発表するほか、24年1~10月期の中国工業利益が発表される。また、10月の米耐久財受注額、24年7~9月期米実質GDP改定値、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米シカゴ購買担当者景気指数(PMI)などが開示され、特に10月の米個人所得・個人消費支出、PCEデフレーターに対する注目度が高い。このほか、米7年国債の入札が行われる。なお、インドネシア市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/26 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=エニーカラー、高成長路線まい進し今期初配当へ
ANYCOLOR<5032.T>の2100~2250円のもみ合いは買い場と判断される。底値圏からの上放れが近づいている感触で、ここは強気に対処したい。VTuberグループの「にじさんじ」を運営するが、業績は高成長路線をまい進しており、25年4月期の営業利益は前期比20%増の148億円を予想。これは21年4月期の14億5200万円からみて10倍以上の水準だ。VTuberファンの規模拡大に伴いグッズ販売が増勢途上にあり、今後も収益への貢献が見込まれる。今期は初配当を実施(年65円配)する見通しで予想配当利回りは3%近い。
PERは13倍前後で成長株としては割安感が強い。今年2月につけた年初来高値3850円から時価は40%以上も水準を切り下げており、それだけに株価の戻り余地も大きい。当面は8月下旬と9月下旬にダブルトップの形でつけた戻り高値2628円が上値目標として意識される。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/26 10:00
みんかぶニュース コラム
26日の株式相場見通し=もみ合いか、3万8000円台後半で強弱観対立
26日の東京株式市場は強弱観対立のなか前日終値近辺でもみ合う展開が想定される。前日に日経平均株価は一時3万9000円台に乗せる大幅高に買われたが、きょうは3万8000円台後半で上値の重い展開となりそうだ。前日の欧州株市場は高安まちまちの展開だったが、独DAXや仏CAC40など主要国の株価指数は堅調に推移した。経済全般の停滞感は拭えないものの、長期金利の低下に伴い株式の相対的な割安感が強まり下値を支えている。一方、米国株市場ではNYダウが連日の大幅高で最高値圏を走っている。トランプ次期米大統領が新政権の財務長官ポストにヘッジファンド業界で名を馳せたスコット・ベッセント氏を指名、これが好感される形で全体相場を押し上げた。米長期金利が急低下したことを背景に景気敏感株などを中心に買いが集まった。金利低下についてはベッセント氏が財務長官に就任することで、トランプ氏の掲げる減税や関税引き上げなどが想定よりも緩やかなものとなり、インフレ圧力への警戒感が和らいだことが反映された形だ。NYダウは直近4営業日合計で1400ドル以上の上昇を示した。ただ、エヌビディア<NVDA>が続落するなど変調で、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の上げ幅は限定的だった。東京市場では前日に米株価指数先物の値動きなどを横目に、週明けの米株高を事前に織り込む格好で日経平均が500円近い上昇をみせており、その分上値は重くなることが予想される。日本時間あすの早朝に開示されるFOMC議事要旨(11月開催分)の内容などを確認したいとの思惑もあり、3万9000円近辺では利益確定売り圧力も意識されそうだ。
25日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比440ドル06セント高の4万4736ドル57セントと4日続伸。ナスダック総合株価指数は同51.184ポイント高の1万9054.835だった。
日程面では、きょうは10月の企業向けサービス価格指数、「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」が開示される。海外では9月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、9月のFHFA住宅価格指数、10月の米新築住宅販売件数、11月の米消費者信頼感指数、FOMC議事要旨(11月6~7日開催分)など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/26 08:05
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=米財務長官人事でAIアルゴが急速始動
週明け25日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比496円高の3万8780円と大幅続伸。前週末は欧州株市場が全面高商状となったほか、米国株市場でもNYダウが400ドルを超える上昇で史上最高値を更新しており、この流れを東京市場も引き継ぐ格好となった。ただ、朝方取引開始前は、日経平均は上昇してもおそらく3万8000円台半ばで戻り売りに押され、上げ幅は限定的なものにとどまるであろうという見方が支配的であった。これは早朝6時時点の日経平均先物にも反映されていた。
しかし、寄り付きから大方の思惑を良い意味で裏切り、日経平均は400円近い上昇でスタートし、その後も漸次上値指向を強め、取引開始後約1時間弱が経過した午前10時前には3万9000円の大台ラインをクリアした。注目すべきは、この日経平均の上昇パフォーマンスの裏側で、早朝から急速な円高が進んでいたことである。ドル売り・円買いが加速するのと同じ時間軸で、日本株を買い進む動きが強まるケースは比較的稀なことである。
この背景にはトランプ米次期政権下での財務長官人事にかかわる動きが関係していた。トランプ次期大統領は財務長官にヘッジファンド業界の大物として名を馳せたスコット・ベッセント氏を指名したことが伝えられている。ジョージ・ソロス氏のマネージャーを務めたことでも知られる人物だ。市場では「ベッセント氏が財務長官になることで、米株市場の先高期待が高まったほか、トランプ氏同様にドル安肯定論者であることが為替市場での目先的なドル売りに大きなバイアスをかける格好となった」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。円高であっても、米株市場が最高値圏を舞い上がるのであればリスク許容度の高まった海外マネーが出遅れ顕著な日本株に買いを入れる、という“いいとこ取り”の論理がきょうの「円高・株高」というセオリー破りの動きに反映されたようだ。
ただ、きょうの値動きは例によって短期的なAIアルゴリズムトレードの影響による部分が大きそうだ。波高が瞬間的に高まったが、これは潮の流れとは別モノでありトレンドとして米株高や円高をサポートするものではないという声が市場関係者からも聞かれた。皮肉にも後場は円安方向へと巻き戻しが入る一方で、全体株価の方は伸び悩むという「円安・株安」のアンワインドが生じた。アノマリー的に年末株高への期待は大きいが、きょうがその号砲となるかといえばそう単純な話でもなさそうだ。日経平均が500円近く上昇するなか、値下がり銘柄数が値上がり数を上回ったことも投資家の体感温度を反映した。
個別株では半導体関連の上値が依然として重い。データセンター建設ラッシュで先端半導体への爆発的な需要が発生しているのは事実だが、米国でエヌビディア<NVDA>が一極集中的に買われている現状をみても、半導体株全般への波及効果は思った以上に限定的であるという認識が定着し、物色の矛先を鈍らせている。データセンター関連では今は半導体関連よりも電線株及びその周辺が旬といえ、先駆したフジクラ<5803.T>が上昇一服となる一方、これにキャッチアップする形で急速人気化している古河電気工業<5801.T>などが引き続きマーケットの視線を浴びている。古河電工は利益率で差をつけられているが、売上高ベースではフジクラを大きく上回っており、時価総額でみるとフジクラのわずか27%に過ぎず、PER面でも相対的に割安感がある。これと併せて古河電工が大株主に入っている電気設備・空調工事会社の富士古河E&C<1775.T>もマークしておきたい。
このほかデータセンター関連の空調設備工事会社で朝日工業社<1975.T>の上げ足の強さが光っている。25年3月期業績予想は大幅上方修正し営業利益段階で前期比31%増の60億円を見込むが、これは91年3月期以来、実に34年ぶりの過去最高利益更新となる。PER10倍未満で配当利回りが5%を超えていることにも着目。また、住友電工系設備工事会社である住友電設<1949.T>もきょうは一時5220円まで買われ上場来高値を更新する場面があった。青空圏で依然として上値余地が意識されやすい。
あすのスケジュールでは、10月の企業向けサービス価格指数や、「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」が開示される。海外では9月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、9月のFHFA住宅価格指数、10月の米新築住宅販売件数、11月の米消費者信頼感指数のほか、FOMC議事要旨(11月6~7日開催分)にマーケットの関心が高い。このほか米5年国債の入札が予定される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/25 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=日製鋼、防衛関連事業に追い風
日本製鋼所<5631.T>に注目したい。同社は総合樹脂機械メーカーの大手で電力向け鋳鍛鋼品や防衛関連などで高実績を持つ。25年3月期の連結営業利益は200億円から220億円(前期比22.1%増)に増額修正された。成形機の市況が回復しているほか防衛関連の売り上げが増加する見込みだ。特に、防衛関連機器の受注高は前期比で6割強の増加が予想されている。今期配当も前期比17円増の76円が見込まれている。
株価は業績の増額修正を受け上昇基調にある。政府の防衛予算の増額で、同社の防衛関連事業には強い追い風が吹いており、配当性向も35%に引き上げ、株主重視の姿勢も強めている。先行き7000円乗せから一段高が見込めそうだ。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/25 10:00
みんかぶニュース コラム
25日の株式相場見通し=続伸か、欧米株全面高で強気優勢の地合い
25日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買いが優勢となり、日経平均株価は続伸する可能性が高い。3万8000円台半ばから後半で強調展開が維持されそうだ。前週末は欧州株市場が全面高商状となった。この日に発表されたユーロ圏の経済指標が弱い内容で投資家心理を冷やしたが、一方で各国の長期金利が揃って低下基調となり、これが株価の下支え材料となった。また、米国株市場ではゴールドマン<GS>やJPモルガン<JPM>など大手金融株や、ボーイング<BA>、キャタピラー<CAT>といった景気敏感株が買われNYダウを押し上げた。ダウは400ドルを超える上昇で今月11日以来の史上最高値更新となっている。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は上値が重かったものの、結局小幅ながらプラス圏で着地した。S&Pグローバルが発表した11月の米PMI速報値は、製造業は好不況の分水嶺である50を下回ったが事前予想と合致、サービス業の方はコンセンサスを上回り、総合で55.3と2年7カ月ぶりの高い水準となったことが好感された。強い米経済の実態が確認された一方、米長期金利は4.4%近辺で比較的落ち着いた動きとなったこともマーケットの強気心理を後押しした。東京市場ではここ日経平均株価が3万8000円台半ばで戻り売りに押し返される展開が続いているが、3万8000円大台近辺は下値抵抗ラインとして底堅さも発揮している。きょうは前週末の欧米株高を引き継ぎ、リスクオンの地合いが想定される。ただ、足もと外国為替市場でドル安・円高方向に振れていることは警戒材料となり、取引時間中もドル・円相場の値動きに神経質となるケースも考えられる。
22日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比426ドル16セント高の4万4296ドル51セントと続伸。ナスダック総合株価指数は同31.231ポイント高の1万9003.651だった。
日程面では、きょうは10月の外食売上高、9月の景気動向指数改定値、10月の全国百貨店売上高など。海外では11月の独Ifo企業景況感指数、米2年物国債入札など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/25 08:01
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=値上げ進む「外食株」は個別株物色を先導するか
22日の東京株式市場は、日経平均株価が257円高と3日ぶりに反発した。一時3万8400円台まで値を上げたが、引けにかけやや売りに押された。NYダウやナスダック指数が最高値近辺で推移しているのに対し、日経平均株価は3万9000円ラインを抜け切れない展開が続く。売買代金も3兆7000億円台と細り気味だ。
東京市場は、今秋の一連の日米政局相場でも上値は重く、足もとでは展開材料不足が目立つ。今後、年末相場へと入っていくが、相場の焦点は来月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と18~19日の日銀金融政策決定会合となる。特に、12月の米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)が注目されるが、「日米ともに金融政策の変更はないかもしれない」(アナリスト)との声も出ている。今年のビッグイベントも、すでにその多くが消化されるなか、展開材料難の相場が続くこともあり得る。
そんななか年末に向けては、個別材料株の物色が続くことも予想されている。為替動向やトランプ政策に左右される輸出株に対し、買い安心感が指摘されるのが内需株だ。例えば、インバウンド需要や値上げ効果で業績拡大基調にある消費関連株、なかでも「外食株」などに見直し余地を指摘する声も出ている。
牛丼の値上げ発表が評価されたゼンショーホールディングス<7550.T>は、この日1年ぶりに最高値を更新した。また、今期最高益が予想されているラーメン関連株のハイデイ日高<7611.T>やギフトホールディングス<9279.T>、丸千代山岡家<3399.T>など。それにクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387.T>や東洋水産<2875.T>、味の素<2802.T>といった食品関連株も注目されそうだ。
来週は、特に26日のFOMC議事録や27日の米個人消費支出(PCE)物価指数などが注目されそうだ。上記以外のイベントでは、25日にドイツ11月Ifo景況感指数、26日に米10月新築住宅販売件数、27日に米7~9月期GDP改定値、米10月耐久財受注、28日は米国が感謝祭で休場となる。29日は米国のブラックフライデーで年末商戦が始まる。
国内では、25日に10月全国百貨店売上高、26日に10月企業向けサービス価格指数、29日に11月東京都区部消費者物価指数(CPI)、10月失業率・有効求人倍率が発表される。25日にタカショー<7590.T>、26日にダイドーグループホールディングス<2590.T>、27日にカシオ計算機<6952.T>、29日にトリケミカル研究所<4369.T>、東和フードサービス<3329.T>が決算発表を行う。28日にククレブ・アドバイザーズ<276A.T>、29日にTerra Drone<278A.T>、グロービング<277A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7800~3万8900円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/22 17:29
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=セレス、好業績・増配見通しの仮想通貨関連株
セレス<3696.T>は年初来高値圏で推移している。同社はポイントサイト「モッピー」の運営を主力に化粧品・健康食品の製造販売、企業向けDX支援を展開。ブロックチェーン事業やベンチャー投資なども手掛ける。持ち分法適用会社に仮想通貨(暗号資産)取引所大手のビットバンクを保有しており、仮想通貨関連株として注目されることが多い。
今月発表した1~9月期連結決算は、純利益が前年同期比7.6倍の8億4500万円と急拡大。モッピーの会員数増加や前年同期に減損損失を計上していた反動が寄与した。通期でも大幅増益を見込む。年間配当は普通配当20円、上場10周年記念配当20円の計40円(前期普通配当20円)の見通しだ。好業績や増配に加え、足もとのビットコイン価格上昇を背景とした仮想通貨関連株物色の流れを追い風に更なる上値が期待できる。(イ)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/22 10:00
みんかぶニュース コラム
22日の株式相場見通し=3日ぶり反発、NYダウ大幅高を好感
22日の東京株式市場は買い優勢の地合いとなり、日経平均株価は3日ぶりに切り返す公算が大きい。日経平均は今月中旬から調整色を強めており、第2週以降(11日以降)の直近2週間で約1500円も水準を切り下げた。足もと値ごろ感が意識されるなかリバウンド狙いの買いを誘導しそうだ。前日の欧州株市場では主要国の株価をはじめほぼ全面高商状となった。ウクライナ情勢の緊迫化に対する警戒感は依然として拭えないものの、米国株市場でNYダウが堅調な動きをみせているのを横目に尻上がりに上げ足を強める格好となった。米国株市場では経済のソフトランディング期待を背景に景気敏感株を中心に上値指向となり、NYダウが大幅高で一時上げ幅は600ドルに達する場面もあった。朝方はやや軟調な場面もみられたが、午前中の取引後半から徐々に株価を切り上げている。この日に発表された週間の米新規失業保険申請件数はコンセンサスを下回り、労働市場の底堅さが意識されポジティブ材料視された。個別ではNYダウ構成銘柄でクラウドソリューション大手のセールスフォース<CRM>が、アナリストの目標株価引き上げを好感して買われ、全体指数の上昇を後押しした。東京市場では米国株市場でNYダウが大幅高に買われたことを受け、リスク選好の地合いとなることが予想される。朝方取引開始前に発表される10月の全国消費者物価指数(CPI)にマーケットの関心が高く、この内容が全体相場に影響を与える可能性もある。
21日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比461ドル88セント高の4万3870ドル35セントと大幅続伸。ナスダック総合株価指数は同6.277ポイント高の1万8972.420だった。
日程面では、きょうは10月の全国消費者物価指数(CPI)、10月の全国スーパー売上高など。海外では10月の英小売売上高、11月の英PMI、11月の独購買担当者景気指数(PMI)、11月の仏PMI、11月のユーロ圏PMI、11月の米PMI、11月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/22 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=再び「材料株繚乱の森」へGO
きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比326円安の3万8026円と続落。朝方こそ強弱拮抗で、日経平均は前日終値と1円のズレもない同値でスタートしたが、その後は軟化。半導体関連株への戻り売りがそのまま全体指数の重荷となった。
世界が注目した米エヌビディア<NVDA>の決算だが、マーケット側から事前コンセンサスとして堆(うずたか)く積み上げられた予想数値を同社は軽々と跳び越えてみせた。8~10月期の売上高は市場予想が331億ドル、これは前年同期比で8割強の伸び。更に最終利益については174億ドルで約9割の成長を見込んでいた。これは高いハードルというよりもはや巨大な跳び箱、モンスターボックス並みの高さである。しかし、発表された決算は売上高が350億ドルで前年同期比94%増、最終利益は193億ドルで同2.1倍という、予想以上の目を見張るよりない業績変貌であった。兆円単位の収益を叩き出すビッグテックが倍増の伸びを続けること自体がクレイジーで、ジェンスン・ファンCEOの「ブラックウェル」に対する“常軌を逸している”という表現も全く誇張されたものではないことを証明している。11~1月期の売上高見通しについても想定の上を行った。
だが、株価はそれでも時間外で売りが優勢となった。おそらく、開示された数字に関係なく同社株の利食いの流れは止められなかっただろう。とはいえ、これは失望売りとか出尽くし売りという類いではない。ブラックウェルの発熱問題は唯一のアキレス腱だが、今回はこの問題が俎上に載っていたことで「早い時期に空売りが入り決算発表前に手仕舞い(買い戻し)が観測された」(ネット証券アナリスト)という。空売りが溜まっていればショートカバーが浮揚力となったはずだが、今回は買い戻す玉が払底していた。おそらく大勢トレンドはなお上値を指向していると判断され、近視眼的に弱気に傾くと間違えそうである。
東京市場ではエヌビディアの時間外での下落を受け、同社と取引実績が豊富なアドバンテスト<6857.T>をはじめ半導体製造装置大手の株価は総じて安くなった。ただし、データセンター関連という切り口では古河電気工業<5801.T>など電線株への買い意欲が健在だった。光電融合技術(光スイッチ)関連で引き続き精工技研<6834.T>やsantec Holdings<6777.T>が値を飛ばした。今週前半に当欄で取り上げた水冷ソリューションで先駆する三櫻工業<6584.T>も商いを伴い人気化。新しいところでは、電力設備周辺の銘柄で電力鉄塔を手掛ける巴コーポレーション<1921.T>などにも動きがあり要マークだ。
決算プレーから解放され、ここ材料株物色の流れが多方面で顕在化している。きょうは利食われたものの、KADOKAWA<9468.T>はソニーグループ<6758.T>による買収思惑で株価を奔騰させた。この背景には映像作品とAIとの融合がソニー側の青写真としてあると言われる。市場筋によると「ソニーは当初はハリウッドに狙いを定めたが、実写版では俳優との間に発生する巨額のフィーが誤算だった。そのため、2次元のアニメに照準をあわせた」(ネット証券アナリスト)という。知的財産にAIが絡む時代となると、日本にとっては面白い流れといえる。サンリオ<8136.T>や任天堂<7974.T>などが本命格といえるが、材料株の視点では、まんだらけ<2652.T>に妙味が漂う。
また、前場取引終了後にキオクシアが12月中旬に上場する方向にあることが伝わった。これが足もと材料株相場に飢えた地合いとマッチングした。後場寄り早々にキオクシアと取引実績の高いティアンドエスグループ<4055.T>が急動意、これと同じ時間軸でクエスト<2332.T>も値を飛ばした。このほかキオクシア関連では半導体向け特殊ガスを展開するジャパンマテリアル<6055.T>にも目を配りたい。25年3月期上期(4~9月)は営業43%増益で通期では100億円(前期比29%増)を見込んでいる。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される10月の全国消費者物価指数(CPI)にマーケットの注目度が高い。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。午後取引時間中には10月の全国スーパー売上高が発表される。また、この日は東証スタンダード市場にガーデン<274A.T>が新規上場する。海外では10月の英小売売上高、11月の英購買担当者景気指数(PMI)、11月の独PMI、11月の仏PMI、11月のユーロ圏PMIなどのほか、米国でも11月のPMIが注目され、11月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/21 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ミマキエンジ、売上原価率改善や前提為替据え置きに注目
ミマキエンジニアリング<6638.T>は産業用インクジェットプリンター大手。11月5日には25年3月期通期の連結営業利益予想を従来の74億円から82億5000万円(前期比50.5%増)に引き上げている。
足もとでは広告や看板などのSG(サイングラフィックス)市場向けや、工業製品や小物といったIP(インダストリアルプロダクツ)市場向けの売り上げが堅調に推移。FA事業ではFA装置や基板実装装置が自動車産業向けに大きく伸びている。高コスト部材を使用した製品の販売がほぼ終結したことで売上原価率が改善しているほか、下期の前提為替レートを1ドル=138円で据え置いていることにも注目したい。
株価は13日に直近高値1644円をつけたあとは上げ一服商状となっているが、日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線が徐々に接近。PERには割安感もある。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/21 10:00
みんかぶニュース コラム
21日の株式相場見通し=売り優勢か、エヌビディア好決算も時間外で下落
21日の東京株式市場は総じて売りに押される展開となり、日経平均株価は続落する公算が大きい。ただ、3万8000円近辺では押し目買いニーズも観測され、下げ幅は限定的となりそうだ。前日のアジア株市場は高安まちまちだったが、欧州時間に入ると地政学リスクが意識され、独DAXや仏CAC40をはじめ主要国の株価指数が揃って下落した。ウクライナとロシア間の紛争激化に対する警戒感が高まるなか、買いポジションを調整する動きが続いている。独DAXは4日続落となった。米国株市場でもウクライナ情勢を警戒し積極的な買いが入りにくかった。また、この日の取引終了後に発表される画像処理半導体(GPU)大手エヌビディア<NVDA>の決算内容を見極めたいとの思惑も上値を押さえる要因だったが、当のエヌビディアの株価はやや軟調ながらも底堅さを発揮したことで、取引終盤にNYダウは急速に買い優勢に傾き上昇に転じた。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数もプラス圏にはとどかなかったものの、下げ幅を縮小して着地している。東京市場ではここ日経平均株価が3万8000円台で一進一退の展開を示しているが、早晩もみ合い離れの動きが想定される。なお、日本時間早朝に発表されたエヌビディアの決算は市場予想を上回る強い内容だったが、時間外取引では強弱観が錯綜するなか売り優勢に傾いており、東京市場にも影響を与えそうだ。
20日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比139ドル53セント高の4万3408ドル47セントと5日ぶり反発。ナスダック総合株価指数は同21.325ポイント安の1万8966.143だった。
日程面では、きょうは週間の対外・対内証券売買契約、10月の白物家電出荷額、10月の食品スーパー売上高など。海外ではトルコ中銀の政策金利発表、週間の米新規失業保険申請件数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、10月の中古住宅販売件数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/21 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「エヌビディア通過後」の投資戦略を考える
きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比62円安の3万8352円と反落。全体相場は方向感の定まらないどっちつかずの相場展開が続いている。3万8000円台前半で収斂(しゅうれん)する13週・26週移動平均線近辺での攻防だが、ここは一つの分岐点ともいえる。そうしたなかも、決算発表シーズンを通過したことで個別株の決算プレーに特化した地合いからは解放され、テーマ買いの動きが戻ってきていることは、投資家サイドにとってはポジティブだ。個別銘柄ごとの丁半博打的な動きに支配されている頃よりは、はるかに相場との距離感がつかみやすくなったとはいえる。
ロシアのプーチン大統領が核ドクトリン改定による戦術核使用の可能性を示唆する動きをみせていることは新たな地政学リスクを想起させるが、一方で表現は悪いが防衛関連株を刺激する切り口が一つ増えたという見方もできる。三菱重工業<7011.T>のほか、防衛省と取引関係のある川崎重工業<7012.T>やIHI<7013.T>、東京計器<7721.T>といった銘柄が投資マネーを誘引した。そして動兆しきりのIMV<7760.T>については、あくまで仮説に過ぎないが、防衛関連として見た場合に、世界首位級の振動シミュレーションのノウハウを持つ時価総額わずか150億円足らずの会社を傘下に収められるとしたら、それに躊躇する企業やファンドは存在しないのではないか。
米国ではエヌビディア<NVDA>決算発表を日本時間あす早朝に控え、東京市場でも思惑が錯綜しているが業績の高変化は疑いのないところで、事前コンセンサスを上回る伸びを示せるか否かで株価のベクトルの向きが決まるという状況に変わりはない。コンセンサスは8~10月期の売上高ベースで前年同期比8割増、データセンター部門の売上高はほぼ100%増、つまり倍増が予想されている。最終利益も9割の伸びが期待されるなど、これだけ高いハードルに足を引っ掛けることなく、エヌビディアが成長ロードを邁進し続けるとすれば凄いの一語に尽きる。
そして、今回のもう一つのヤマは同社の新たなドル箱商品に位置付けられるAI用次世代半導体「ブラックウェル」の動向だ。同社のジェンスン・ファンCEOが常軌を逸しているほど強いという需要を裏付ける見通しが開示されるのかどうか。マグニフィセントセブンの中でも時価総額の伸びで群を抜く同社にとって、ブラックウェルは新たな成長加速装置としてマーケットの視線を独り占めにしている状況だ。しかし、弱点もある。膨大な電力消費とそれに伴うサーバーラックの過熱問題などが取り沙汰されている。エヌビディアにとってはアキレス腱だが、これは前日の当欄で取り上げたように、冷却システムや構造的な電力への依存軽減といったテーマで新たな活躍企業を生むことになる。
このほか、今は好業績株で人気素地を開花させる前段階にある銘柄を探していく作業が大切といえる。候補としてはまずエネルギー関連の一角である丸運<9067.T>が挙げられる。25年3月期上期(24年4~9月)営業利益は前期比2.6倍化を達成し通期では77%増益を見込む。また、トヨタ系自動車部品で防振ゴム世界屈指の住友理工<5191.T>も4~9月期は営業43%増益と好調で株価指標面でも割安さが際立つ。
意外なところでは味の素<2802.T>。同社は先端半導体の製造プロセスで必須の電子材料として注目される「ABF」を手掛けており、半導体関連の位置づけで実需買いが観測される。AI関連ではフィックスターズ<3687.T>が良い動きだが、このほか7~9月期営業66%増益達成で大底からのトレンド大転換を果たしたブレインパッド<3655.T>も目先買い場を提供していると判断したい。防衛関連の新たな穴株としては防衛省との取引関係で実績豊富なアジア航測<9233.T>に着目してみたい。業績は変化率こそ目立たないが増収増益基調を堅持しており、4%近い高配当利回りも魅力だ。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示されるほか、午前中に10月の白物家電出荷額が発表される。また、20年物国債の入札も行われる。午後取引時間中には10月の食品スーパー売上高が発表される。なお、この日はボージョレ・ヌーボーの解禁日となる。海外ではトルコ中銀が政策金利を発表するほか、米国では週間の新規失業保険申請件数、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、10月の中古住宅販売件数などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/20 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ALSOK、機械警備の価格改定効果など注目
ALSOK<2331.T>は、11月8日に年初来高値1136円をつけたあと短期的な調整局面にあるが、ここは狙い場とみてよいだろう。
11月6日に発表した9月中間期連結決算は、営業利益が156億300万円(前年同期比12.5%減)となった。機械警備、常駐警備、警備輸送の各サービスからなるセキュリティー事業を牽引役に売上高は上期として過去最高を記録したものの、3G停波対応の前倒しや貸倒引当金の増加などが響いた。
ただし、これらは一過性の影響が中心で、過度な懸念は不要だろう。人件費上昇の影響も下期には一巡する見通し。一方、同社を取り巻く環境は、最近の相次ぐ強盗事件による体感治安の悪化や25年の大阪・関西万博の開催で需要面での心配はなく、会社予想の営業利益403億円(前期比3.1%増)は十分達成が可能だろう。
また、会社側では決算説明会において、ここ数十年維持してきた機械警備サービスの価格を改定する方針を打ち出しており、今後の業績への値上げ効果も期待できる。26年3月期は営業利益を470億円と見込む調査機関もあり、株価は増益基調継続を織り込む動きへと向かいそうだ。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/20 10:00