みんかぶニュース コラムニュース一覧
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=内田洋行、オフィス関連事業が好調
内田洋行<8057.T>に注目したい。24年7月期の連結純利益は前の期比9.9%増の69億9600万円と最高益を更新した。オフィス関連事業は、出社とテレワークを合わせたハイブリッドワークに対応した需要が拡大。情報関連事業では、大手企業向けライセンス事業が好調だった。25年7月期の同利益は前期比2.9%増の72億円と前期に続き最高益が見込まれているが、市場には業績の上振れ期待も出ている。
公共関連事業は全国の児童・生徒に1人1台の学習端末を配る「GIGAスクール構想」が端境期にあるが、オフィス関連事業と情報関連事業が業績を押し上げている。株価は、配当利回り3%台の水準にあり8000円台回復が見込める。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/11 10:00
みんかぶニュース コラム
11日の株式相場見通し=反落、目先利食いで上昇一服局面へ
11日の東京株式市場は主力株中心に利益確定の動きが優勢となり、日経平均株価は反落し3万9000円台前半で推移する展開となりそうだ。前週は週間で1400円以上も上昇したが、目先的にはその反動からスピード調整の地合いが想定される。前週末は欧州株市場で主要国の株価が総じて軟調な値動きとなったが、米国株市場では景気敏感株や金融株を中心に買いが流入し、NYダウが史上最高値を更新した。週間の上げ幅は1900ドルを超え、2022年5月以来約2年半ぶりとなる大幅な上昇を記録している。米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、強力な財政政策に期待したリスク選好の地合いが継続した。この日に発表されたミシガン大学の11月の米消費者態度指数(速報値)が事前コンセンサスを上回り7カ月ぶりの高水準となったことも、米経済のソフトランディングに対する期待につながり全体相場の押し上げに寄与した。なお、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方も4日続伸し最高値更新基調が続いているが、この日の上げ幅はわずかにとどまっている。個別ではテスラ<TSLA>の上げ足の強さが際立った。東京市場では米株高に追随する形で、前週は日経平均が3万9000円台半ばまで急速に水準を切り上げたが、きょうはその反動が見込まれ、上昇一服となる可能性が高そうだ。外国為替市場では1ドル=152円台半ばの推移と、ひと頃よりはドル安・円高方向に振れていることも輸出セクターへの買い手控えにつながる。また、今後は石破首相とトランプ次期大統領の会談などに対する思惑がマーケットの値動きに反映されそうだ。
8日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比259ドル65セント高の4万3988ドル99セントと反発。ナスダック総合株価指数は同17.318ポイント高の1万9286.777だった。
日程面では、きょうは日銀金融政策決定会合(10月30~31日開催分)の「主な意見」、10月の景気ウォッチャー調査、特別国会召集など。海外では中国独身の日。なお、ベテランズデーで米債券市場・外為市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/11 08:01
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=トランプ流の「優勝劣敗相場」に突入か
8日の東京市場は、日経平均株価が一時400円を超える上昇となり4万円に接近した。しかし上値では売りに押され結局、前日比118円高の3万9500円で取引を終えた。
東京市場は中間決算の発表がピークを迎えつつあるが、7日時点では日経平均採用銘柄の連結PERは約16.1倍と割高ではないが、割安とも言いにくい水準。騰落レシオ(25日移動平均)も94%前後とこちらも中立的な水準にある。4万円が上値の節として意識されつつあるなか、大幅な円安進行による業績押し上げ効果などがなければ「相場の見通しに強弱感は対立しており、当面は高値圏での一進一退が続く」(市場関係者)との見方が出ている。
共和党トランプ氏が16年の米大統領選に勝利した後の「トランプ相場再来」が期待されているものの、「8年前とは景気サイクルが異なる」(アナリスト)との見方もある。当時は15年にチャイナショック、それに16年に英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)などがあり米国の景気は底から立ち上がる状況だった。しかし、今回は「米国は景気拡大の最終局面にあり、ここから大型の財政刺激策はインフレという形でしか吸収できないのではないか」(同)とも指摘されている。トランプ氏の財政拡大策は遠からず米金利上昇を伴うとの警戒感が強い。
トランプ氏の経済政策は、米国経済の「アニマルスピリッツ」を取り戻すこととも捉えられ、すでにナスダック指数の上昇などにそれは表れつつある。ただ、そこでは優勝劣敗が鮮明となる。16年のようにあまねく相場が上昇する「トランプ相場」が期待しにくいとなると、全体の中から恩恵銘柄を物色することになる。三菱重工業<7011.T>や川崎重工業<7012.T>のような防衛関連、フジクラ<5803.T>や古河電気工業<5801.T>のような電力設投関連は「勝ち組」となる一方、日産自動車<7201.T>やマツダ<7261.T>など自動車株は厳しい局面も予想される。長い目での優勝劣敗相場を勝ち抜くための眼が試されそうだ。
来週は経済指標では13日の米10月消費者物価指数(CPI)が注目されるほか、15日の米10月小売売上高なども関心を集めそうだ。また、14日にアプライド・マテリアルズ<AMAT>が決算発表を行う。国内企業の半導体関連では12日の東京エレクトロン<8035.T>、同日にはソフトバンクグループ<9984.T>が決算を発表する。14日には600社近い企業の決算発表が行われピークを打つ。
上記以外では、海外では12日にはドイツZEW景況感指数、13日に米10月財政収支、15日に米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数が発表される。国内では11日に10月開催分の日銀金融政策決会合の「主な意見」、12日に10月工作機械受注、15日に7~9月期国内総生産(GDP)が公表される。
11日にリクルートホールディングス<6098.T>、ブリヂストン<5108.T>、12日にINPEX<1605.T>、住友金属鉱山<5713.T>、13日に楽天グループ<4755.T>、TOPPANホールディングス<7911.T>、14日に三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、電通グループ<4324.T>などが決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8800~4万200円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/08 17:43
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=マネックスG、“トランプ銘柄”として物色人気に
マネックスグループ<8698.T>の出直り局面についていきたい。同社はネット証券大手だが、傘下に仮想通貨(暗号資産)取引所「コインチェック」を持つ。仮想通貨に好意的な姿勢を示すトランプ氏が米大統領選で勝利したことを受け、ビットコイン価格はここ数日で急上昇しており、取引所での売買活発化による業績への好影響が期待される。
先月下旬に上期決算とあわせて特別配当の実施を発表し、これが材料視され株価は急動意。その後底堅く推移していたが、前述のビットコイン価格上昇を背景に物色人気が加速。特別配当発表前の600円台半ばから800円台まで一気に水準を切り上げており、3月につけた年初来高値(972円)が視野に入りつつある。(イ)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/08 10:00
みんかぶニュース コラム
8日の株式相場見通し=続伸、米ハイテク株高好感も円高で上値重い
8日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し、3万9000円台後半まで上値を伸ばしそうだ。前日の欧州株市場では英国を除き独DAXや仏CAC40など主要国の株価が総じて反発した。また、米国株市場ではハイテク株を中心にリスク選好の地合いが続き、ナスダック総合株価指数は3連騰となった。直近3営業日合計で同指数は1000ポイント以上の上昇をみせるなど上げ足の強さが目立つ。NYダウの方は上値が重くわずかながらマイナス圏で引けた。ただ、S&P500指数は高く、ナスダック指数とともに史上最高値更新を続けている。注目されたFOMCではFRBが政策金利の0.25%引き下げを決定した。想定通りとはいえ2会合連続の利下げで、これがポジティブ視されている。東京市場でも米株高を受け引き続き上値を指向しそうだ。ただ、米長期金利の低下を背景に外国為替市場では急速に円高方向に振れており、これが輸出セクターを中心にマイナス材料となる可能性もある。日経平均は前日に小反落したものの、今週に入ってから1300円以上も水準を切り上げており、買い一巡後は短期筋の利益確定売りも誘発しそうだ。
7日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比59セント安の4万3729ドル34セントと3日ぶり小反落。ナスダック総合株価指数は同285.993ポイント高の1万9269.459だった。
日程面では、きょうは株価指数オプション11月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、9月の家計調査、9月の特定サービス産業動態統計、9月の景気動向指数速報値など。海外では11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)のほか、ボウマンFRB理事が米大学主催討議に参加し発言内容が注目される。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/08 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=トランプ台風で大手金融と海運株に潮流
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比99円安の3万9381円と小反落。前日は良い意味でトランプ台風がマーケットを席巻した。自国の石破新総裁誕生では急落した東京市場だが、米国のトランプ新大統領誕生に際しては諸手を挙げての株高歓迎というアイロニカルな展開である。もっとも前日に先物主導ではしゃぎ過ぎたきらいもあり、きょうは上値が重かった。とはいえ値上がり銘柄数がプライム市場全体の77%を占めるなど物色意欲は旺盛で、TOPIXの方は3連騰と気を吐いている。
前日の欧州株市場は主要国の株価が軒並み売られる展開となった。トランプ氏の大統領選勝利で少なくとも欧州は警戒ムード一色だったことが分かる。関税強化や安全保障面での不透明感というのはグローバルで一致する懸念材料だが、トランプ政権だった2019年10月に貿易協定を締結している日本と、対米貿易で先鋭的に対立したままの関係にある欧州とでは事情が違う。だが、日本もそれほど楽観的な状況とはいえない。当時の日本は安倍政権であり、トランプ氏との信頼関係を個人レベルで築き上げた安倍元首相の功績が大きい。石破首相がトランプ大統領の不興を買うとは言わないが、トランプ氏ならではのディールに翻弄される可能性は十分にあり、今後の展開を注視したい。
ともあれ、相場の潮流に大きな変化が出ていることは間違いがない。トランプトレードの東京市場への波及という点では確かな方向性が見えているわけではないが、一つ言えるのは米長期金利の上昇圧力が今後更に強まるという流れだ。国内でも新発10年債利回りが1%台に乗せてきた。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクや第一生命ホールディングス<8750.T>などの大手生保株は押し目買いを念頭に継続注目の対象となる。このほか、高配当利回りが際立ち、円安進行も追い風材料となる川崎汽船<9107.T>や商船三井<9104.T>など海運大手に改めて目を配っておきたい。
一方、“暴落時の赤札銘柄に注目”というが、株価が先物主導で乱高下するような乱調相場でも、全体の地合いに関係なく淡々と我が道を行く上昇株は、その銘柄固有の評価ポイントが必ず存在する。全体相場がムード先行で右往左往している時に、チャート面から強さを発揮している個別銘柄をチェックしておくことは肝要である。
直近紹介した銘柄では、愛知製鋼<5482.T>が目を見張る陽線の連打で新値圏を快走している。足もとの業績は低調ながらトヨタ系の自動車向け特殊鋼大手として確固たる地位をキープしているが、PBRが依然として0.3倍台にあることは自社の株式価値に無頓着と思われても仕方がない。そこに旧村上ファンド系アクティビストが着目し、株式買い増しに動いていることが株価を突き動かす原動力となった。仮にPBR1倍復帰を目指すのであれば、前期実績ベースの1株純資産1万2700円程度まで買われてもよい理屈だ。ともあれ、株主還元の強化や成長投資への取り組みは必須課題ということになる。また、トヨタ系で自動車部品を手掛ける住友理工<5191.T>も連日の年初来高値更新。時価はリーマンショック前の08年2月以来16年9カ月ぶりの高値圏を走る。
このほか、ITソリューション大手のJBCCホールディングス<9889.T>は2000年春先のITバブル期以来の高値水準で実質的な青空圏を舞う展開にある。システムインテグレーターとしては草分け的存在だが、収益体質向上になお前向きに取り組んでいる。また、決済サービス大手のウェルネット<2428.T>も強いチャートを形成中。こちらは10年タームでみるとまだ底値ゾーンと言ってもよく、配当性向をベースに株主還元に前向きで1000円未満は押し目買いで報われそうだ。番外になるが、内需の消費関連株では飲食やホテル事業などを手掛けるDDグループ<3073.T>をマーク。株価は中段で目先調整モードにあるが、1300円台は打診買いを入れて面白い水準といえる。
あすは株価指数オプション11月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、9月の家計調査、10月上中旬の貿易統計、対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に発表され、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。午後取引時間中には9月の特定サービス産業動態統計、9月の景気動向指数速報値のほか、日銀から消費活動指数が開示される。海外では11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、ボウマンFRB理事が米大学主催討議に参加し発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/07 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ファイズHD、ECソリューションサービス好調
ファイズホールディングス<9325.T>は、主にEC(電子商取引)ビジネスを手掛ける企業を対象としたサードパーティー・ロジスティクス(荷主が第三者であるロジスティクス業者に対し、物流業務全般を長期間一括して委託すること)事業である「ECソリューションサービス」が好調だ。
物流センターの運営受託事業は、大手ネット通販会社向けセンターや流通業向けセンター、配送センターの業務請負や人材派遣が引き続き堅調。輸配送の領域では配車プラットフォームサービス事業の取引先数及び成約件数が増加しており、10月31日に公表した25年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結営業利益は前年同期比13.7%増の6億1500万円で着地した。
株価は810円近辺での下値の堅さを確認したあと、足もとでは上放れの動き。日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線が接近してきており、戻りを試す展開が見込まれる。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/07 10:00
みんかぶニュース コラム
7日の株式相場見通し=続伸、日経平均4万円大台を意識
7日の東京株式市場はリスクオンの流れが続くなかも、日経平均の上値は重い展開となりそうだ。前日に1000円あまりの急騰を演じたが、きょうは利益確定売りの動きも表面化しそうだ。前日の米国株市場では、大統領選でトランプ前大統領が勝利を確実としたことをマーケットは好感し、1500ドル超の上昇を示した。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数や機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数も大きく水準を切り上げた。米議会選挙の方は上院で共和党が過半数を確保し、下院でも共和党が優勢という状況で「トリプルレッド」となる可能性が高まっており、財政政策拡大への期待感がリスク選好ムードに拍車をかけている。米10年債利回りは一時4.4%台後半まで上昇したほか、トランプ氏による暗号資産の振興への思惑からビットコインが最高値をつけている。もっとも、これに先立って欧州株市場は独DAXや仏CAC40など主要国の株価指数は軒並み下落した。トランプ政権下で関税が引き上げられることなどへの警戒感が売りを誘導している。東京市場では米国株に連動する傾向が強く、外国為替市場では米長期金利上昇を受けて急速にドル高・円安が進んでいることもあり株高誘導が見込まれるが、日経平均は前日に急騰した反動もあり、強気一辺倒とはなりにくい面もある。FOMCとパウエルFRB議長の記者会見を日本時間明朝に控えていることで、上値ではポジション調整の売りも顕在化し、フシ目の4万円大台には届かない可能性が高い。
6日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比1508ドル05セント高の4万3729ドル93セントと大幅続伸。ナスダック総合株価指数は同544.295ポイント高の1万8983.466だった。
日程面では、きょうは9月の毎月勤労統計など。海外では10月の中国貿易統計、英中銀の政策金利発表、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/07 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「トランプ相場再開」で買われる株・売られる株
6日の日経平均株価は前日に比べ1005円高と急伸した。世界中が固唾をのんで見守った米大統領選は共和党のトランプ氏優勢の報道が続き、これを受けた東京市場も「トランプ・トレード」再開で大幅な上昇となった。
東京市場では、開票序盤に激戦州のジョージア州でトランプ氏が優勢と伝わるとドル高・円安が進行し、それとともに日経平均株価も急伸。昼にかけて為替市場では一時1ドル=154円台に乗せ、日経平均株価も午後0時50分には前日に比べ1100円超高の3万9600円台まで上昇する場面があった。
トランプ氏優勢の流れは一貫して続き、米議会選挙も共和党が上院の多数派を奪還したと報じられ、大統領と上下両院の議会選も共和党が制する「トリプルレッド」に対する期待も高まった。トランプ氏は午後4時過ぎに勝利宣言を行った。
公式的なトランプ氏に対する勝利宣言は行われていないが、市場からは「状況次第では勝敗が確定するのに、数日かかるかもしれないとの警戒感もあった。その懸念が無くなっただけでも相場にはプラス材料だろう」(アナリスト)と評価する声が出ている。米下院選の結果を確かめる必要があるものの、「米財政赤字拡大などの懸念材料を織り込むのはまだ先で、当面はトランプ相場が続くとみていいのではないか」(同)ともみられている。日経平均株価は再び4万円乗せが期待できそうだ。
物色対象は、トランプ関連として以前から指摘される三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など銀行関連、三菱重工業<7011.T>など防衛関連、INPEX<1605.T>などエネルギー関連、それにマネックスグループ<8698.T>やセレス<3696.T>、SBIホールディングス<8473.T>など仮想通貨関連株だろう。一方で米国の関税引き上げの影響が懸念されるトヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>、マツダ<7261.T>など自動車株には逆風も予想される。
そんななか、この日に最も注目を浴びた銘柄のひとつがIHI<7013.T>だ。同社は午後1時に25年3月期業績予想の増額修正と増配を発表。トランプ氏優勢で防衛関連株が人気を集めるなか、更なる買い材料が好感され株価はストップ高に買われた。トランプ氏は、米国に頼らない各国独自での防衛力強化を主張しており、防衛関連予算は一段の上積みも予想される。IHIのように物色テーマの追い風を捉え、更に業績拡大が見込める銘柄を探すことが「トランプ相場再開」に乗るポイントとなりそうだ。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/06 17:53
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=IGポート、版権事業が利益成長を牽引
IGポート<3791.T>は、9月20日に年初来高値2234円をつけたあと調整していたが、ここにきて再騰機運を高めている。
同社は映像(アニメーション)制作と出版事業、版権事業などを展開する。10月11日に発表した第1四半期(6~8月)連結決算は、制作期間の長期化や人件費高騰などで映像制作事業は大幅減益となったものの、「怪獣8号」や劇場版「ハイキュー!!」などの新作に加え、過去シリーズ作品が好調に推移した版権事業が大幅増益となり、営業利益は4億4400万円(前年同期比34.9%増)で着地した。
今後も版権事業は、有力アニメIPを有していることを背景に、過去シリーズによる権利収入をベースにして、新作による積み上げで利益拡大が見込まれる。日本アニメ専門の動画配信事業者クランチロールが新興国へ配信地域を拡大していることは追い風となろう。また、オリジナルグッズ販売を行うその他事業では、劇場版「進撃の巨人」の11月8日の公開を控えてIP活性化によるグッズ販売の拡大が期待できる。
25年5月期通期業績予想は、会社側では営業利益17億3700万円(前期比41.8%増)を見込むが、前述の版権事業の好調とグッズ販売の貢献で上振れの可能性は高い。また、26年5月期以降は、映像制作事業の収益性改善に向けた取り組みも進むとみられ、増益基調が継続しそうだ。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/06 10:00
みんかぶニュース コラム
6日の株式相場見通し=神経質な展開、米大統領選の開票状況受けた先物売買で振幅へ
6日の東京株式市場で、日経平均株価は神経質な展開が見込まれる。前日の欧州市場ではイギリスのFTSE100種総合株価指数が下落したのに対し、ドイツ株価指数(DAX)は上昇するなど高安まちまち。米株式市場ではNYダウとナスダック総合株価指数がともに反発した。米国の大統領・議会選挙の投開票日となり、選挙結果に対する関心が一段と強まるなかで、10月の米ISM非製造業景況感指数が前月から上昇し、市場予想を上回った。雇用指数も上昇し、米国景気の底堅さと中央銀行による利下げが両立する米国経済のソフトランディング期待が膨らんだ。外国為替市場でドル円相場は1ドル=151円台へ円高方向に振れてはいるものの、6日朝方の日経平均株価は米国株高を支えとして上昇して始まる公算が大きい。
米大統領選では民主党候補のハリス氏と共和党候補のトランプ氏が激しく競り合っている。議会選挙も重要なポイントとして考えられており、トランプ氏が勝利し、上下両院が共和党となる「トリプルレッド」となる可能性が高まったとの見方が広がった場合の米金利上昇と円安・株高を見込む声もある。ハリス氏が勝利した際は、バイデン大統領の路線が継続されることへの安心感が台頭するとの指摘がある。一方で「トランプ氏勝利を見込んだ『トランプトレード』は選挙前にすでに先走りしていたところもあって、ハリス氏勝利の場合の失望感の台頭とトランプ氏勝利のケースでの『噂で買って事実で売る』展開の両方のリスクには留意が必要」(国内証券ストラテジスト)との声も出ている。僅差となれば再集計に乗り出す州が現れるケースが想定され、最終的な結果が判明するのに時間を要するシナリオも横たわる。いずれにせよ開票状況を受けた先物売買により、日経平均は上下に揺れる展開となる見通しで、3万7800円から3万9800円という広めのレンジを想定したいところである。国内では午後1時55分にトヨタ自動車<7203.T>が9月中間期の決算を発表する。市場の予想に比べて底堅い決算を示し、同社の株価が堅調に推移した場合は、投資家心理には一定のプラス効果をもたらす可能性が高い。
5日の米株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比427ドル28セント高の4万2221ドル88セントと反発。ナスダック総合株価指数は同259.187ポイント高の1万8439.171だった。
日程面では、きょうは国内では9月19~20日開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表される。企業決算はトヨタのほか、日本郵船<9101.T>や伊藤忠商事<8001.T>、NTTデータグループ<9613.T>、ニトリホールディングス<9843.T>などが開示を予定している。海外ではドイツの9月製造業新規受注や、ユーロ圏と米国の10月サービス業PMIが発表される予定。クアルコム<QCOM>やアーム・ホールディングス<ARM>の決算発表も控えている。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/06 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=決算発表済みの銘柄に金剛石は眠る
3連休明けとなった5日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比421円高の3万8474円と大幅反発。米大統領選の投開票を目前に、相変わらず先物に振り回され猫の目のように変わるハイボラ相場である。そうしたなか、きょうから取引時間が30分延長になった。違和感を覚える投資家も多かったと思われるが、注目はクロージングオークションであり、売買が成立しない注文受付時間を15時25分から5分間設けた後、15時30分に板寄せを行うもの。例えば売買代金首位のディスコ<6146.T>を例に挙げると、15時24分に4万4600円で値をつけたのを最後に6分間値が付かず、15時30分に4万4540円で終値を形成。株価的に大きな変動はなかったほか、売買代金についてはこの間にほぼ11万株をこなし、1分間あたり平均約1万8000株をこなした勘定で、これは平常ペースとそれほど差はない。なお意外だったのはプライム市場全体の売買代金で4兆円強にとどまり、30分取引時間を延長したものの前週末(4兆4900億円)より約10%減となった。もっとも、きょうは初日で参戦を控えた機関投資家も多かった可能性はある。
個別株の物色の流れは決算プレーオンリーといってもいいような状態だ。テーマ買いの動きは鳴りを潜めている。例えば、最近では高市トレードのリバイバルで助川電気工業<7711.T>などが買われたが、単発的で横に広がらない。また、ひと頃は石破内閣発足を受け三菱重工業<7011.T>などが物色人気に沸いたが、これも頭打ちとなり、ほどなく人気前の水準まで往って来いとなった。防衛関連は何も石破政権だから買われるというわけではなく、グローバルな視点で今後の日本の方向性を示唆したものであるはずだが、そういう理屈では売り圧力を抑制できないようだ。結果として、政策テーマに乗る銘柄を中期投資で溜め込むような、実需買いをベースとした動きは後退を余儀なくされている。
今月中旬くらいまでしばらくの間は、決算発表後にボラティリティが極大化する銘柄をターゲットとした短期トレードがマーケットを席巻することになろう。とはいえ、決算跨ぎの買いは丁半博打に近い。仮に予想通り好決算を発表したとしても、事前のコンセンサスに届かないという理由で、理不尽なほど売りの砲火を浴びるケースもある。
当該銘柄の決算内容の良し悪しだけでなく、事前のマーケットの熱量も考慮しなければならず、ここまで読み切るのは至難の業だ。では、この時期に博打的トレードではなく、もう少し時間軸の長い投資を考えた場合、どういうスタンスをとるべきか。これは「好決算を発表済みの銘柄」の中から順張りで取れそうな銘柄を探すことが有効といえる。
候補を挙げると、工業炉トップシェアを誇る中外炉工業<1964.T>、製造・開発分野の技術者派遣を行うジェイテック<2479.T>、工具や補修部品などのネット通販を手掛けるMonotaRO<3064.T>、消防車のトップメーカーのモリタホールディングス<6455.T>などが強い動きで、順張りの流れに乗っている。カタログ通販を祖業にネット通販にも傾注し、インバウンド特需の取り込みも進むスクロール<8005.T>も面白いチャートを形成している。これらの銘柄はすべて10月末に好決算を発表済みである。
このほか番外編として、同じく10月末に決算発表を行った銘柄の中で愛知製鋼<5482.T>の強力な下値切り上げ波動も刮目に値する。トヨタ系の自動車向け特殊鋼大手だが、業績は原料コスト高騰に抗えず24年4~9月期は営業3割減益と厳しい状況にある。トップラインは堅調ながら利益は減速が顕著。しかし、株価は上値指向が鮮明だ。他社と一線を画す加工技術を持ちながらPBR0.3倍台と何と解散価値の3分の1の水準に放置。そこに目をつけたのが旧村上ファンド系のアクティビストで、共同保有で株式買い増しを続けている。決算通過で怖いものがなく、追随買いも誘導されやすくなっている。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(9月19~20日開催分)、11月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に開示される。海外ではマレーシア中銀の政策金利発表、ブラジル中銀の政策金利発表のほか米国では30年物国債の入札が予定される。国内主要企業の決算発表ではJFEホールディングス<5411.T>、ダイキン工業<6367.T>、IHI<7013.T>、トヨタ自動車<7203.T>、日本郵船<9101.T>、NTTデータグループ<9613.T>、ニトリホールディングス<9843.T>などがある。海外主要企業ではクアルコム<QCOM>、アーム・ホールディングス<ARM>の決算に注目度が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/05 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=キャリアL、高配当利回り魅力で中計も評価材料に
キャリアリンク<6070.T>は2400円から2600円のゾーンでのボックス圏往来が続いているが、早晩ここを上放れる公算が大きい。大手企業や官公庁などを主要顧客に業務プロセスを一括して受注するBPO事業で力を発揮するほか、コンタクトセンター向け人材や事務系人材の派遣サービスなどにも積極展開している。取引を行っている地方自治体の数が170(前の期から58の増加)まで拡大しており、業務テリトリーの拡大効果もあって25年3月期の業績はトップライン、利益ともに増勢にある。
25年3月期営業利益は前期比7%増の34億9500万円予想と回復基調が鮮明となる見通しだ。今期年間配当は前期と並びの120円を計画しており、時価予想配当利回りは4.7%台と高い。中期経営計画では、27年3月期に売上高605億4300万円、営業利益50億1300万円を数値目標に掲げていることもポジティブ視される。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/05 10:00
みんかぶニュース コラム
5日の株式相場見通し=反発、不透明環境も目先リバウンド狙いの買い優勢
5日の東京株式市場は主力株中心に幅広く買い戻される展開で、日経平均株価が反発に転じそうだ。前週末に1000円超の下落で3万8000円トビ台まで売り込まれたが、先物主導で下げ過ぎの感も否めず、きょうはそのリバウンドが見込まれる。前日の欧州株市場は高安まちまちながら、独DAX、仏CAC40はいずれも反落している。今週は米国で大統領選の投開票やFOMCなどのビッグイベントを控えており、欧州でもこの結果を見極めたいとの思惑が買いを手控えさせた。ただ、下値を売り込むような動きも見られず全体指数の下げ幅は限定的なものにとどまっている。一方、米国株市場ではNYダウが一時400ドルを超える下げに見舞われるなど不安定な展開となった。米国大統領選の投開票を5日に控え、機関投資家のポジション調整の売りが優勢だった。共和党のトランプ前大統領と共和党のハリス副大統領の支持率は拮抗した状態で接戦が見込まれるなか、結果判明には時間を要するとの観測も強く、目先見送りムードが拭えない状況にある。直近の一部世論調査の結果ではトランプ氏が必ずしも優勢とは言えず、大手銀行株などトランプトレードで買われた銘柄を売り急ぐ動きも出ている。ただ、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方は底堅さを発揮し下げは小幅にとどまった。そのなか、8日からNYダウの構成銘柄に採用されるエヌビディア<NVDA>が上昇し、全体相場を支えた。東京市場では米株市場でNYダウが下値を試す展開となったことは逆風材料だが、前週末の急落の反動から目先自律反発の地合いとなる公算が大きい。外国為替市場では一時1ドル=151円台半ばまで円高に振れる場面もあったが、その後は円安方向に押し戻されており、マーケットのセンチメントへの影響は限定的といえそうだ。
4日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比257ドル59セント安の4万1794ドル60セントと反落。ナスダック総合株価指数は同59.933ポイント安の1万8179.984だった。
日程面では、きょうは10月のマネタリーベース、10月の財政資金対民間収支など。また、きょうから東証が取引時間を延長(大引けが15時30分に変更)する。海外では豪中銀の政策金利発表、10月の財新中国非製造業PMI、9月の米貿易収支、10月のISMサービス業景況感指数のほか、米大統領選の投開票が行われる。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/05 08:01
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=米大統領選の本番迎え「不透明感」は一巡するか
1日の日経平均株価は前日比1027円安と大幅続落。後場に入り下げ幅が拡大し、一時3万8000円台を割り込んだ。東京市場は明日から3連休となることもあり、来週のビッグイベントを控えポジション調整の売りも膨らんだ様子だ。今晩は米10月雇用統計が発表されるほか、ついに5日に米大統領選を迎える。また、6~7日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
なかでも市場の関心を集めるのが、米大統領選だ。今後の世界情勢の流れを決定づけることになるだけに、6日の東京市場は米大統領選の開票結果を横目に一喜一憂することになる。民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏の決選となるが、足もとではトランプ氏が優勢との見方が多い。そんななか、まず市場が気にしているのは「早い段階で結果が判明するのか」(市場関係者)だ。もし、混戦となり勝敗が分かるまでに時間がかかれば「市場は不透明感を嫌気するかもしれない」(同)という。
また、同時に実施される議会選挙がどうなるかも焦点だ。大統領に加え、連邦議会上下両院も共和党がとる「トリプルレッド」となった場合、トランプ氏の唱える減税や規制緩和が一気に進みインフレ的な政策が予想されるなか、銀行株やエネルギー株などに買いが入る展開も見込まれている。ただ、「トランプ氏の財政拡張策に対して債券市場がどう反応するのかが大きなポイント」(アナリスト)だ。米長期金利が上昇基調を強めることになれば、株高に水が差されることも起こり得る。
ハリス氏が勝利した場合、足もとのトランプトレードの巻き戻しも考えられる。ただ、ハリス氏も財政拡張策を打ち出しており、やはり債券市場の動向が注目されている。いずれにせよ、来週は米大統領選の行方を固唾を飲んで見守ることになる。
更にFOMCでは0.25%の利下げが予想されている。12月も同様に0.25%の利下げを見込む声が多いが、今後の米金融政策を巡りパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見などが注目されそうだ。
上記以外のイベントでは、米国では5日に米10月ISM非製造業景況感指数、8日に米11月ミシガン大学消費者マインド指数が発表される。6日にアーム・ホールディングス<ARM>とクアルコム<QCOM>が決算発表を行う。
国内では、4日は文化の日の振替休日で休場。5日からは東証の取引時間が午後3時30分まで30分間延長される。6日には9月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公表される。5日に任天堂<7974.T>、三菱重工業<7011.T>、6日にトヨタ自動車<7203.T>、伊藤忠商事<8001.T>、7日に日本製鉄<5401.T>、フジクラ<5803.T>、8日にソニーグループ<6758.T>、三井不動産<8801.T>が決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは3万7000~3万9500円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/01 17:24
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ニッケ、ユニフォーム生地の値上げ効果発現に期待
日本毛織<3201.T>は4月以降、学校や企業向けユニフォーム生地の値上げに踏み切ったが、本格的な効果発現はこれからとみられている。災害備蓄用の毛布などの需要が増加すれば、一段の業績上振れが期待できそうだ。
同社は羊毛紡織の名門で、産業機材や不動産賃貸など事業の多角化を進めてきたことでも知られる。24年11月期の売上高は前期比2.2%減の1110億円、経常利益は同0.3%減の116億円、最終利益は同0.7%増の77億円の見通し。4月以降、ユニフォーム生地の価格を段階的に引き上げたが、流通在庫の関係などで、上期(23年12月~24年5月)はその効果を満喫するまでに至らなかったようだ。少子高齢化が加速しているとはいえ、特に学校制服向けの生地は一定の需要が存在するだけに、この先は利益の拡大基調が強まっていくと期待される。更に、全国各地で防災体制を強化する取り組みが広がるなか、災害用毛布の需要が好調に推移していることも注目ポイントとなる。
直近ではM&Aによる成長を図っており、買収企業の収益貢献も顕著となっている。同社株は10月24日の1231円を底に株価は再び戻り局面に入っている。PBR(株価純資産倍率)は0.7倍台と低水準とあって、資本効率の向上に向けたアクションがあれば、株価はポジティブに反応しそうだ。(碧)
出所:MINKABU PRESS
2024/11/01 10:00
みんかぶニュース コラム
1日の株式相場見通し=大幅続落、欧米株全面安でリスク回避ムード強まる
1日の東京株式市場は主力株から中小型株まで広範囲に売りがかさむ展開となり、日経平均株価は大幅続落を余儀なくされそうだ。海外では欧米株市場のリスクオフの流れが止まらない状況となっている。前日の欧州株市場ではドイツ、フランス、英国など主要国をはじめ連日の全面安商状となった。米長期金利が上昇傾向を強めていることが引き続き嫌気されているほか、ユーロ圏でもECBが想定よりも利下げに慎重との見方が広がり買いが手控えられた。米国株市場では、米長期金利が4.3%台前半まで上昇しハイテク株を中心に利食い急ぎの動きが表面化した。この日発表された9月のPCEデフレーターはエネルギー・食品を除くコア指数が市場コンセンサスを上回りインフレ圧力が再び意識された。翌日に10月の米雇用統計の発表を控えていることもあり、ポジション調整の売りが全体指数を押し下げている。特にハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下落率は2.8%に達し、エヌビディア<NVDA>が4.7%安に売り込まれたのをはじめ半導体関連の下げもきつく、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も4%強の急落で投資家心理を冷やした。このほか決算発表を嫌気されマイクロソフト<MSFT>やメタ・プラットフォームズ<META>などが大きく下値を探る展開となった。東京市場では米ハイテク株の急落を受けてリスク回避目的の売りに晒されそうだ。10月の米雇用統計の発表を控えた3連休前ということに加え、3連休明けの5日は米大統領選の投開票が行われることで、持ち高を減らす動きが加速すれば、日経平均は3万8000円大台近辺まで一気に水準を切り下げる可能性もある。
31日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比378ドル08セント安の4万1763ドル46セントと3日続落。ナスダック総合株価指数は同512.780ポイント安の1万8095.151だった。
日程面では、きょうは10月の新車販売台数・軽自動車販売、3カ月物国庫短期証券の入札など。海外では10月の中国財新製造業PMI、10月の米雇用統計、10月の米ISM製造業景況感指数、9月の米建設支出など。
出所:MINKABU PRESS
2024/11/01 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=米国債暴落のシナリオにうごめく資金
きょう(31日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比196円安の3万9081円と4日ぶり反落。ここまで順調に戻り足をみせていた日経平均だが、きょうはリスク回避目的の売りに下値を試す展開を余儀なくされた。時計の針を戻すと前日の欧州時間からリスクオフの波が立っていた。欧州株市場はドイツやフランス、英国など主要国の株価をはじめ全面安に売り込まれた。しかも独DAX、仏CAC40など安く始まった後も漸次下値を切り下げる味の悪い値運びで米国株市場にバトンを渡す形に。米株市場でも前場は頑強な地合いで踏ん張ったが、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに午後に入ってから利食い急ぎの動きが顕在化した。久し振りの欧米株全面安である。
もっとも日本株は相対的に強いタームに入っているようだ。総選挙で与党が大敗を喫し、政局不安の只中にあって、皮肉にも日経平均は3営業日で1300円以上も水準を切り上げた。きょうは欧米株全面安の中で、アドバンテスト<6857.T>が昨日のディスコ<6146.T>に代わって投資マネーを呼び込み、一時8.3%高の大立ち回り。売買代金も3000億円を超える水準をこなし存在感を際立たせた。アドテストの貢献もあって日経平均の下げ幅は200円弱にとどまり、しかも大型株全般の下げを横目に小型株に強調展開が相次ぎ、値上がり銘柄数は全体の7割を占めた。トランプトレードの余熱が東京市場には残っていて、トリクルダウン(大型から中小型への資金シフト)の傾向が読み取れる。
しかし、米株市場の動向には注意も必要で、大統領選の結果次第でリスク回避ムードが台頭する可能性がある。背景には米国債に対する売り圧力、言い換えれば米長期金利高騰への警戒感がくすぶっている。そうしたなか、東京市場ではきょう昼ごろに日銀金融政策決定会合の結果が発表され、日銀は金融政策の現状維持を決め、追加利上げは見送られた。これは事前にほぼ100%に近い形でマーケットには織り込まれており、直接的な相場の反応は軽微だった。関心の対象は日銀が今の物価動向をどう評価し先行きをどう見ているかということ。また、再燃している円売り(円安)にどういう姿勢をみせるかに耳目が集まっている。今回の会合について市場関係者からは、「日銀は米大統領選を控えた米経済の不確実性の高まりに言及したが、これが今までにはない項目でやや違和感を覚えた」(中堅証券ストラテジスト)という声も聞かれた。天下分け目の米大統領選の結果が、米経済に何らかの波紋を及ぼすことを予期しているかのようなスタンスである。
来週11月5日に投開票が行われる米大統領選ではトランプ前大統領がハリス副大統領に勝利するという見方が強まっている。接戦と言われながらもスイングステート7州のうちトランプ氏がミシガン州を除く6州で優位に立っているとの観測があり、こうなるとトランプ氏大統領再選の可能性が高いとみるのが自然ではある。
それだけではなく、米議会選挙では上院、下院共に共和党が制し「トリプルレッド」が実現するとの思惑も高まっている。トランプ氏が返り咲けば積極的な財政出動が行われ、結果として米長期金利の急上昇を招くという説が囃(はや)されるが、ねじれ議会であれば歯止めが利く。しかし上下両院を共和党で占めれば政策決定への制約は生じない。「大統領選後に投機マネーが狙っているのは米債券市場で、既にヘッジファンドなどの米国債への売り仕掛けの舞台装置は出来上がっている」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘もある。もちろん、トリプルレッドになる確率はそれほど高くはないが可能性は十分だ。
米国債に対する売り仕掛けには伏線がある。米中対立激化を背景に中国が米国債を売って金(ゴールド)を買う、ゴールドシフトの動きが継続していることだ。これは中国だけでなく、他の新興国も右に倣えの動きで、金市況高騰の背景にもなっている。本来は逆相関がセオリーだが、今は金市況上昇と米長期金利上昇が連動する仕組みになっている。この流れを利用した仕掛けが入れば米10年債は5%台まで時間がかからないという声もある。その場合、株式市場も予期せぬ横殴りの突風に見舞われることは避けられない。
あすのスケジュールでは、10月の新車販売台数・軽自動車販売、3カ月物国庫短期証券の入札など。国内主要企業の決算発表では村田製作所<6981.T>、三菱商事<8058.T>、サンリオ<8136.T>、日本航空<9201.T>などが予定。海外では10月の中国財新製造業PMI、10月の米雇用統計、10月の米ISM製造業景況感指数、9月の米建設支出など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/31 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=スギHD、I&H買収によるシナジーを期待
スギホールディングス<7649.T>は調剤併設型ドラッグストアのスギ薬局を展開。調剤薬局事業を展開するI&Hを買収したことで、シナジーによる更なる成長が期待される。
足もと業績は堅調で、9月24日に発表した25年2月期第2四半期累計(3~8月)の連結営業利益は前年同期比17.3%増の202億8600万円で着地。物販領域ではアプリを活用したセグメント販促とインバウンド需要の取り込みが寄与したほか、調剤領域では専門性の強化によって単価が上昇した。なお、9月の既存店売上高も前年実績を上回っている。
株価は10月4日に年初来高値2844円をつけ、その後は上げ一服商状。ただ、中期トレンドを示す75日移動平均線は上昇基調を維持しており、押し目は積極的に拾ってみたい。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/31 10:00
みんかぶニュース コラム
31日の株式相場見通し=反落、欧米株全面安で利食い優勢に
31日の東京株式市場は主力株を中心に目先利益確定の動きが優勢となりそうだ。日経平均株価は3万9000円大台ラインを巡る攻防か。前日は欧州株市場が全面安商状となったほか、米国株市場でも週末発表される米雇用統計や来週の米大統領選を前に持ち高調整の売り圧力が表面化しNYダウが続落、前日に史上最高値を更新したナスダック総合株価指数も5日ぶりに反落した。前日の決算発表を受けアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>が10%超の急落となったほか、エヌビディア<NVDA>やインテル<INTC>、マイクロン・テクノロジー<MU>といった半導体関連株が軒並み軟調で、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も3.4%安と急落、マーケットのセンチメントを悪化させた。東京市場では日経平均が直近3営業日で合計1300円以上の上昇をみせており、前日はフシ目の3万9000円台を回復したが、きょうは欧米株全面安を受けて半導体関連などを中心に目先スピード調整の売りが優勢となる公算が大きい。日銀金融政策決定会合の結果発表や引け後の植田日銀総裁の記者会見を控え、神経質な地合いとなりそうだ。決定会合では金融政策の現状維持を決める可能性が濃厚だが、12月以降の金融政策の方向性に市場の関心が高く、外国為替市場の動向なども横にらみに日経平均は上下に不安定な値動きが予想される。
30日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比91ドル51セント安の4万2141ドル54セントと続落。ナスダック総合株価指数は同104.817ポイント安の1万8607.931だった。
日程面では、きょうは日銀の金融政策決定会合の結果発表と引け後の植田日銀総裁の記者会見が行われる。また、朝方取引開始前に9月の鉱工業生産速報値、9月の商業動態統計、9月の自動車輸出実績、9月の建機出荷、9月の住宅着工統計など。海外では中国製造業PMI、10月の中国非製造業PMI、7~9月期の香港GDP、7~9月期の台湾GDP、週間の米新規失業保険申請件数、9月の米個人所得・個人消費支出・PCEデフレーターなど。
出所:MINKABU PRESS
2024/10/31 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=トランプ効果でディスコ怒涛の上げ潮相場
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比373円高の3万9277円と3日続伸。トランプトレードは海を渡って東京市場にも押し寄せた。TOPIX構成銘柄のリバランスがあったとはいえ、いきなり8兆円近い売買代金をこなしたのは特筆に値する。その底流ではトランプ効果が作用したと見る市場関係者も多い。
圧巻だったのはディスコ<6146.T>で、かつてのレーザーテック<6920.T>の全盛時を想起させるような目を見張る売買代金をこなし、株価も一時13%を超える上昇率で気を吐いた。テクニカル的には4万円大台近辺で上向きの5日移動平均線を大陽線で一気に上放れたことから、ショート筋の狼狽売りならぬ“狼狽買い戻し”を誘っている。株価は9月9日に目先底入れを果たしたものの、高水準の戻り売りを浴びて底値圏からの離脱がままならない状況だったが、ホルダーにすればようやく溜飲を下げる状況となった。
このディスコへの投資マネー流入は生成AI相場の復権が本格化していることの証左でもある。なぜなら半導体精密加工装置で圧倒的世界シェアを誇る同社は、その強みを生成AI分野というカテゴリーで全面開花させる成長シナリオを標榜していたからだ。米国ではGPUを手掛けるエヌビディア<NVDA>が生成AIの象徴株であるならば、日本では後工程の半導体製造装置で断トツの競争力を誇るディスコとアドバンテスト<6857.T>がツートップといえる。この2銘柄は人気化する時期が決して一緒ではなく、これまで株価は交互にビッグウェーブに乗るような格好となっていた。しかし、今は足並みを揃えて上値を追っている。短期的にはひと息入れる場面があったとしても、きょうみせたディスコの上昇パフォーマンスは潮目の変化を暗示しているといってもよさそうだ。上場来高値圏を舞い上がるアドテストにディスコがキャッチアップする姿がイメージされる。
濃淡の差はあっても半導体製造装置関連株が動き出したことは、投資マインドにも大きな影響を与えそうだ。この物色の流れは源流をたどると米国で活発化するトランプトレードに行き着く。僅差とはいえトランプ氏がハリス氏に大統領選で勝利する、という見方が強い。スイングステートとされる7つの州では、ウィスコンシン、ネバダ、ペンシルベニア、ジョージア、ノースカロライナ、アリゾナの6州でトランプ氏優勢が伝わる。ジョージア州などでは既に支持率に結構差が出ているという指摘もある。一方、ハリス氏は残るミシガン州で若干優位とみられているが、全体で言えば7分の1に過ぎない。勝者総取り方式を採用していることもあり、トランプ氏の地滑り的な大勝を予想する向きもある。
トランプ氏が株式市場の見地から好感されやすいのは、財政出動に意欲的な姿勢をみせているからにほかならない。これは債券市場では長期金利上昇にも反映されているが、直近のナスダック総合株価指数の最高値更新にも示されるように、金利上昇局面でハイテク株高という本来なら不自然な構図もトランプ効果という観点で見れば腑に落ちる。トランプ減税の恒久化や、法人税率を21%から15%に引き下げるという案が株式市場には心地良いほか、トランプ氏は規制緩和に前向きで金融業界やAI関連分野には福音となる。これがAI用半導体とその周辺株が活気を蘇らせた背景の一つとなっている。
一方、ハリス氏の掲げる政策は法人税率を逆に21%から28%に引き上げるほか、キャピタルゲイン課税も年間所得100万ドル超の家計を対象に負担を大きくするという。これについては、金融所得課税の強化は富裕層をターゲットにするとした石破首相とオーバーラップする。こうなると、株式市場の側からどちらの勝利を歓迎するかは言うまでもない。最大のリスクは「接戦と伝わるなかで、あたかもトランプ勝利が決まったかのようなムード。逆の目が出た時が非常に怖い」(ネット証券アナリスト)という指摘も。トランプ氏の大統領再選を見届けてからでも、個別株を絞り込むのは十分に間に合う。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と引け後の植田日銀総裁の記者会見。また、朝方取引開始前に9月の鉱工業生産速報値、9月の商業動態統計などが開示。午後取引時間中には9月の自動車輸出実績、9月の建機出荷、9月の住宅着工統計などが発表される。海外では10月の中国製造業PMI、10月の中国非製造業PMI、7~9月期の香港GDP、7~9月期の台湾GDP、週間の米新規失業保険申請件数、9月の米個人所得・個人消費支出・PCEデフレーターなど。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/30 17:01
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=JINSHD、国内牽引役に増益基調続く
ジンズホールディングス<3046.T>は、10月16日に年初来高値6440円をつけたあと短期の調整局面にあったが、再騰機運を高めつつある。国内売り上げの伸長や海外展開加速で業績は拡大局面入りが見込まれるだけに、更なる上値を目指す展開が期待できる。
同社は、「JINS(ジンズ)」ブランドで、アイウェアの企画・生産・流通・販売までを一貫して行っており、24年8月末時点で国内495店舗、海外241店舗(中国167店舗、台湾61店舗、香港9店舗、米国4店舗)を展開している。10月11日に発表した24年8月期決算は、営業利益が78億3600万円(前の期比61.7%増)と大幅増益を達成。可視光調光レンズなどのオプションレンズやサングラスといった季節性商品への需要が増えた国内アイウェア事業が牽引役となった。
25年8月期は営業利益85億円(前期比8.5%増)を見込む。引き続き国内アイウェア事業が牽引役となる見通し。既存店売上高は前期比4.5%増(前期12.6%増)を計画しているほか、出店を加速させ、前期の22店舗を上回る31店舗を出店(純増ベース)する予定。ただ、9月の既存店売上高が前年同月比22.7%増と20カ月連続で前年実績を上回ったことを考慮すると、保守的な計画とみられる。
また、今期はグローバル成長加速のため、売上高の巡航速度以上の投資を実施する方針で、台湾の出店加速、米国での出店再開などを計画。更に9月に現地法人を設立したベトナムをはじめ、新たな国・地域から出店の引き合いがあるとのことであり、グローバル展開の加速にも注目したい。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/30 10:00
みんかぶニュース コラム
30日の株式相場見通し=続伸、米ハイテク株高受け上値指向
30日の東京株式市場は買い優勢の展開が見込まれ、日経平均株価はフシ目の3万9000円台を回復する可能性が高そうだ。前日の欧州株市場では世界的な金利上昇傾向に対する警戒感が広がりドイツ、フランス、英国など主要国の株価が総じて下落したが、米国株市場ではハイテク株を中心に買い意欲の強さが確認された。この日は米10年債利回りが4.3%台に突入するなど一段と上昇、株式の相対的な割高感が意識されたことでNYダウは下値を模索する展開に。発表された9月の雇用動態調査(JOLTS)は非農業部門の求人件数がコンセンサスを下回ったことで、米労働需給の緩みに対する警戒感も景気敏感株などの買い手控えにつながった。今週は31日に9月のPCEデフレーターが開示されるほか、週末11月1日には10月の米雇用統計発表が予定されており、この結果を見極めたいとの思惑も上値を押さえた。しかし、ハイテク株には根強い買いが続きナスダック総合株価指数は4連騰でついに史上最高値を更新した。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>など半導体関連株も買われ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が2.3%高と上値を指向し投資家心理を支えた。東京市場では前日に日経平均が300円近い上昇で続伸し、直近2営業日合計で1000円近く水準を切り上げている。きょうは目先筋の利食い圧力も意識されるが、米株市場の地合いを引き継いだ半導体関連株への買いが全体相場の押し上げに寄与しそうだ。
29日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比154ドル52セント安の4万2233ドル05セントと反落。ナスダック総合株価指数は同145.559ポイント高の1万8712.48だった。
日程面では、きょうは10月の権利落ち日、10月の消費動向調査など。海外では9月の豪消費者物価指数(CPI)、7~9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)、10月の独CPI速報値、10月のADP全米雇用リポート、7~9月期米GDP速報値、9月の米仮契約住宅販売指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/10/30 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=高値引けでも燻(くす)ぶる政局の火種
きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比298円高の3万8903円と続伸。朝方こそ軟調なスタートとなったが、その後は前日ほどではないがすぐに買い板が厚くなり、日経平均は上昇に転じた。結局、終わってみれば3万8900円台で着地。先物主導のインデックス買い特有の高値引けとなった。海外ヘッジファンド系のショートカバーが続いていることをうかがわせる。買い手は海外投資家でも実需の買いとは意味合いが違うようだ。米国株市場ではNYダウが下げ止まり、ナスダック総合株価指数の方はザラ場に7月につけた史上最高値を上回る場面があった。とりあえず、日本株買いはリスク許容度の高まりに従ったもので、日本の政局は後回しという印象である。
石破首相は自説を曲げ総裁選の約束を破棄する形で解散総選挙に踏み切った。野党の足並みが揃わず奇襲作戦が有効という判断であり、それは政治という戦いの場において大義に反するとしても戦略として否定し得ないが、そこには首相としての大きな責任を背負ったはずだ。しかし結果として、とんでもなく負けてしまった。議席数については与党(自公合算)で衆議院定数の過半数維持という勝敗ラインに言及し、自らかなり低いハードルを設定したにもかかわらず、そこにも全く届かなかった。六曜の先負が日柄の悪さを暗示していたが、杞憂とはならず「急いては事を仕損じる」の典型となった。
そして、意図せぬところとはいえ2000万円支給問題がとどめを刺す形で旧安倍派議員は6割が戻ってこれなかった。こうした一連の経緯から、小泉進次郎氏の選対委員長辞任で今回の与党大敗の幕引きとはならないとは思うのだが、永田町の常識はそうではないらしい。今回の総裁選でキングメーカーとなった岸田前首相としても、ここでの石破下ろしは自民党分裂のトリガーを引いてしまうことにもなりかねず、「今辞めてもらっては困る」ということなのかもしれない。すべてが「国民不在」の世界である。ところが、相場は難しい。石破政権の弱体化が、増税路線からのフェードアウトを示唆するものとしてプラスの思惑を生んでいるという。
石破首相と森山幹事長は辞任しない代わりに野党との連携に向け全力を注いでいるもようだが、泥縄的で先行きに光は見えない。視線の先にあるのは今回躍進した国民民主党だが、連立政権への参加は玉木代表が完全否定している。パーシャル連合、つまり「政策ごとに良いと思えるものには協力する」という形での参加には必ずしも難色を示していないとも伝わっているが、果たしてどうか。「これについては非常に微妙な意味合いで、結局自民党に巻かれてしまうパターンになりがち」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もある。
「引き潮の逆目に張れ」とは古代ローマに伝わる格言である。「一日にして成らず」の文言通り、かの大帝国は長い時の流れの中でさまざまな曲折を経て築き上げられた。その過程においては、必ずしも力ずくの戦争ということではなく、むしろ外交戦略による合従連衡などが重要な要素を占めた。そして、その勢力を伸ばす途上では「落ち目、負け癖のついている国とは、そこにいかなる材料があろうとも決して組んではいけない」という鉄のルールが掲げられていたという。目の前の利益にこだわって大局を失うことの怖さを百戦錬磨の帝国は熟知していたわけだが、国民民主党の玉木代表の目に石破政権はどう映っているのか。もし泥舟なら一緒に沈み、今回躍進した貯金を吐き出すことにならないとも限らない。
一方、自民党の側からは、減税に始まる「手取りを増やす」政策を第一義に掲げる国民民主党に秋波を送るということは、いち早く金融所得課税強化に言及した石破首相もそれを封印ではなく、抹消する必要に迫られそうだ。与党過半数割れという試練も、前言を改めることに慣れている首相にとっては難しいことではないのかもしれない。
あすは10月の権利落ち日となる。このほか午後取引時間中に10月の消費者動向調査が開示。海外では9月の豪消費者物価指数(CPI)、7~9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)、10月の独CPI速報値のほか、米国では10月のADP全米雇用リポート、7~9月期GDP速報値、9月の仮契約住宅販売件数などが発表される。国内主要企業の決算発表ではエムスリー<2413.T>、住友化学<4005.T>、オリエンタルランド<4661.T>、日立製作所<6501.T>、アドバンテスト<6857.T>などが予定されている。米国ではメタ・プラットフォームズ<META>、マイクロソフト<MSFT>、キャタピラー<CAT>などが決算を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/29 17:01
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=オカアイヨン、好業績・高配当で底値買い好機に
オカダアイヨン<6294.T>の2000円近辺は底値買いのチャンスといえる。特殊建設機械の大手で、油圧ショベルの先端に装着する建築物解体用アタッチメントで業界トップシェアを有する。北米などをはじめ海外事業も育成しており、前期実績ベースで海外売上高は全体のほぼ4分の1を占めている。国内での再開発ニーズの高まりや、老朽建築物の解体需要が旺盛となるなか収益環境への追い風が強い。24年3月期の営業38%増益に続いて、25年3月期も同利益は前期比7%増の29億円予想と過去最高益更新基調が続く見通しにある。
株主還元にも積極的で、配当性向30%をメドにしており24年3月期の年70円配当は前の期比で84%増の大幅増配となりマーケットの視線を集めた。25年3月期についても前期比4円増配の74円を計画し、配当利回りは3.6%前後と高い。PERも8倍台で割安感が強く、早晩見直し買い機運が高まりそうだ。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/29 10:00
みんかぶニュース コラム
29日の株式相場見通し=強弱観対立、米株高も上値重い展開に
29日の東京株式市場は強弱観対立のなか前日終値近辺の狭いゾーンでもみ合う展開が想定される。前日の欧州株市場は高安まちまちだったもののドイツやフランス、英国などの主要国の株価は堅調だった。独DAXは10月下旬に入って調整色をみせていたが、この日は上げ幅こそ限定的ながら3日続伸と戻り足を強めている。米国株市場でも直近までNYダウが5日続落し、この間に1000ドル以上も水準を切り下げるなど変調だったが、前日は終始堅調で目先下げ止まる展開となった。また、ダウと入れ替わって好調な値動きを続けているナスダック総合株価指数は3日続伸と上昇基調を堅持、サイコロジカルラインは10勝2敗とハイテク株への物色意欲の強さを反映している。中東での地政学リスクは引き続き警戒されるものの、イスラエルのイランに対する報復攻撃が石油施設などを標的としなかったことで、原油価格が急落しており、これがリスク選好の地合いを後押ししている。ただ、今週は9月のPCEデフレーターや10月の米雇用統計発表も控えており、この内容を確認したいとの思惑がダウやナスダック指数の上値を重くした。米長期金利は一時4.3%近辺まで上昇しており、これも積極的な買いを手控えさせる背景となっている。東京市場では米株高が追い風となるほか、外国為替市場で1ドル=153円台前半の円安水準でもみ合っていることがポジティブ材料として相場の下支え要因となりやすい。一方、衆院総選挙後の政局不安は足かせとなっている。前日に日経平均が先物主導で買い戻され700円近い上昇をみせたが、きょうはその反動もあり、利食い急ぎの動きが出れば下値を探る地合いとなることも予想される。
28日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比273ドル17セント高の4万2387ドル57セントと6日ぶり反発。ナスダック総合株価指数は同48.583ポイント高の1万8567.189だった。
日程面では、きょうは9月の有効求人倍率、9月の失業率、2年物国債の入札など。海外では8月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、9月の米雇用動態調査、10月の米消費者信頼感指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/10/29 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=自民党大敗は「裏金問題」にあらず
週明け28日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比691円高の3万8605円と急反発。きょうは市場関係者の誰もが全体指数は波乱含みで下値を探るという見立てであった。自公連立で衆議院定数の過半数を下回る状況に陥ったことで、政局を嫌う海外投資家の売りを浴びることは避けられないと考えるのが当然である。しかし、現実は朝方に日経平均が安く始まったのも束の間、開始後わずか2分でプラス圏に切り返し、その後は問答無用の垂直上昇であっという間に3万8000円台後半へと浮上した。
ひとつ確かなことは、事前に与党の大苦戦が伝わっていたことから、前週末時点で先物絡みの空売りが高水準に積み上げられていたということ。一方、実需面では前週末に持ち高を減らしはしても、増やすような動きは機関投資家の間ではほぼ皆無に近かったと思われる。結果としてショートカバーを入れたくても、ぶつけてくる売り玉が無いという構図が描かれた。これが想定外の上値を演出した背景にある。
しかし、相場が反転したといっても今の時間軸で大勢トレンドが変わる道理はない。政権の枠組みが「ご破算で願いましては」の状態で、なおかつ次の体制が皆目分からない段階にあって海外投資家が実需で日本株を買い増すことはない。国民民主党の躍進が、同党と連携を探る自民党の政策に変化を与えるという見方も一部で示されていたが、あまりにも取ってつけたような材料で、実際に玉木代表は連立政権への参加はないと言い切っている。ここで石破首相に倣って前言を翻せば、一夜にして信頼失墜となることは分かり切っている。
何と言っても、批判の集中砲火を浴びながら、総裁選での約束を破り捨ててまで解散総選挙に踏み切った石破新首相が、自ら言及した「与党で過半数維持」という勝敗ラインすら大きく下回った以上、首相の椅子にしがみつくのは半ば滑稽でもある。市場筋は「(辞意を示さないのは)おそらく、歴代最短内閣の首相として記録されるのは御免被るという思いに尽きるのだろう」(国内投資顧問系ストラテジスト)という指摘があった。ちなみに、このまま首相の座を降りると、1945年の第二次世界大戦終戦直後の東久邇宮内閣の54日間を更新することになる。今回、小泉選対委員長は即刻辞表を提出したが、森山幹事長がもしこれに続いた場合は、石破首相の続投は状況的にほぼ不可能といえたが、示し合わせたかどうかは別として(現時点で)そうならなかったことは、石破氏の「謙虚に他党との政策連携を探る」スタンスで場を持たせる路線に現実味が帯びている。
しかし、ほぼ全面高様相となるなかも、“ポスト石破”をイメージさせる物色の流れが株式市場にはくっきりと刻まれている。三菱重工業<7011.T>が冴えなかったほか、川崎重工業<7012.T>、IHI<7013.T>、日本製鋼所<5631.T>といった防衛関連が軒並み安、能美防災<6744.T>など防災関連も売られた。一方で核融合のテーマに乗る助川電気工業<7711.T>が一時16.7%高と急騰を演じるなど、高市トレードでスポットライトを浴びた銘柄が変化を察知し、動兆しきりとなった。石破首相の退陣をマーケットは読み始めている。
きょうの日経平均の急騰劇は需給面では空売りの買い戻しだが、外部環境面では為替の円安加速が好感された。企業の決算発表が本格化するなか、足もとの円安による収益上乗せ効果が株式市場には追い風として意識される。だが、これは短絡的なロジックでもある。今週の日銀金融政策決定会合では「現状維持」がほぼ決定的だが、この円安環境では音無しの構えを続けられるはずもなく、12月以降の決定会合では利上げ局面への移行が明確化する可能性があるからだ。原点に戻って、今回の自民党の敗北は本当に「裏金問題」に対する国民の怒りがもたらしたものか、それも疑問である。強烈な逆風を吹かせたのは、かつて欧米が頭を悩ませたインフレの加速度的な進行、こちらが本丸であるという見方を示す市場関係者は少なくない。この局面で増税案などチラつかせること自体論外で、利上げが必要ならなおのこと、いかに国民の生活を楽にするかを考えるのが政治の責務である。
あすのスケジュールでは、9月の有効求人倍率、9月の失業率、2年物国債の入札など。また、東証グロース市場にSapeet<269A.T>が新規上場する。海外では8月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、9月の米雇用動態調査、10月の米消費者信頼感指数など。なお、海外主要企業の決算発表ではマクドナルド<MCD>、アルファベット<GOOGL>、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>などに注目度が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/28 17:00
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=アダストリア、業績最高益基調で上昇余地
アダストリア<2685.T>に注目したい。同社は20~30代の女性向けを中心に複数のブランドを擁するカジュアル衣料大手。第2四半期(3~8月)の連結営業利益は前年同期比3.8%減の99億1500万円だったが、会社計画は上回り堅調だった。主力ブランドの「グローバルワーク」や「ニコアンド」などが堅調だった。25年2月期の同利益は前期比5.5%増の190億円と最高益更新が予想されている。
カジュアル衣料には外出需要の増加も追い風に吹いており、同社の今期業績には増額期待も強い。株価は17日に4055円の年初来高値をつけた後、調整局面にあるが業績は好調であり、先行き5000円を目指す展開が見込める。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/28 10:00
みんかぶニュース コラム
28日の株式相場見通し=下値模索か、与党大敗だが目先底堅い可能性も
28日の東京株式市場は、日経平均は下値模索の動きが予想されるが、売り一巡後は下げ渋り前日終値近辺で強弱観を対立させる可能性がある。前日に投開票された衆院選挙は自民党と公明党の両党を合わせた議席数が総定数465議席の過半数を大きく下回り、政局不安が一段と色濃くなった。ただ、株式市場は与党の過半数割れは事前に織り込みが進んでいた部分もあり、きょうは空売り筋の買い戻しなども想定され底堅さを発揮しそうだ。石破政権は支持率のこれ以上の低下を防ぐため拡張的な財政政策を打ち出す可能性があり、マーケットはこれを買いの拠りどころとするケースも想定される。一方、前週末の米国株市場では、米長期金利の上昇を背景に株式の相対的な割高感が意識され景気敏感株を中心に売りがかさみ、NYダウは5日続落と下値模索の動きを強めている。ただ、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の方は強さを発揮し続伸しており、直近8営業日で7勝1敗と上値指向が強い。ダウも堅調な経済指標を受けてプラス圏で推移する場面があるなど押し目買い意欲も観測された。日本株にとっては外国為替市場で足もと円安が急激に進んでいることは注目材料で、これが輸出セクターを中心にポジティブに作用すれば、日経平均に浮揚力が加わりプラス圏に浮上する場面もあり得る。取引時間中は為替動向とリンクした日経平均先物の値動きが全体相場の方向性を左右しそうだ。
25日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比259ドル96セント安の4万2114ドル40セントと5日続落。ナスダック総合株価指数は同103.120ポイント安の1万8518.606だった。
日程面では、きょうは特に目立ったイベントは見当たらないが、東証グロース市場にHmcomm<265A.T>が新規上場するほか、さくらインターネット<3778.T>や日東電工<6988.T>の決算発表が予定されている。
出所:MINKABU PRESS
2024/10/28 08:00
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=衆院選後の“政局流動化”意識の相場に突入か
来週の株式市場は、日米選挙を意識する展開となりそうだ。27日投開票の衆院選に関しては「自民・公明与党が過半数ライン巡り攻防」との報道が流れ、過半数割れも意識されるなか市場には一気に緊張感が高まった。
もし、与党が過半数割れとなった場合、部分連合を含め新たな政権の枠組みを模索することになり、「政局流動化を市場は警戒する状況が続く」(市場関係者)ことになる。株式市場では「選挙は買い」というアノマリー(経験則)が過去半世紀にわたり有効だったが、今回は衆院解散から投開票日直前までの株価上昇パターンが崩れた。非公認組などを引き込んでも与党が過半数を割り込むなら、石破政権の基盤は揺らぎかねない。
一方、自公与党が過半数を維持したとすれば、いったん相場は反発することもあり得そうだ。しかし、予想外の与党の健闘がない限り、来年夏には参院選があり石破政権の行方を含め政局不安が続く展開が予想される。
更に、週後半にかけては11月5日と目前に迫った米大統領選へと市場の関心は向かいそうだ。民主党候補のハリス氏と共和党候補のトランプ氏による激戦が続き、直近ではトランプ氏がやや有利ではとの観測もあるが、やはりその結果には不透明感が強い。
加えて、来週は週末11月1日に米10月雇用統計が予定されるなど注目経済指標が発表されるほか、米テック大手「GAFAM」の決算も明らかになる。日本企業の決算発表も本格化し、30~31日には日銀の金融政策決定会合が開催される。ビッグイベントが相次ぐだけに気の抜けない相場が予想される。
上記以外のスケジュールでは、海外では29日に米9月JOLTS求人件数、30日に米10月ADP雇用統計、米7~9月期GDP速報値、31日に米9月個人消費支出(PCE)物価指数、中国10月製造業PMI、1日に米10月ISM製造業景況指数が公表される。また、29日にアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>、アルファベット<GOOG>、30日にメタ・プラットフォームズ<FB>、マイクロソフト<MSFT>、31日にアップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、1日にエクソン・モービル<XOM>が決算発表を行う。
国内では、28日に塩野義製薬<4507.T>、日東電工<6988.T>、29日にキーエンス<6861.T>、コマツ<6301.T>、30日にアドバンテスト<6857.T>、日立製作所<6501.T>、31日にレーザーテック<6920.T>、デンソー<6902.T>、1日に野村ホールディングス<8604.T>、三菱商事<8058.T>が決算発表を行う。28日にHmcomm<265A.T>、29日にSapeet<269A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは、3万7400~3万8600円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/10/25 17:25