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みんかぶニュース コラム
9日の株式相場見通し=一進一退か、ダウ反発と円安は下支え材料に
9日の東京株式市場は売り買い交錯の地合いとなり、方向感の見えにくいなか日経平均株価は前日終値近辺で一進一退の値動きとなる可能性がある。週明け6日の大発会で大きく水準を切り下げた後、翌7日に800円近い上昇で大きく切り返した日経平均だが、前日は強弱観が拮抗するなか100円あまり下落して取引を終えた。4万円大台ラインを挟んでの攻防がきょうも続きそうだ。前日の欧州株市場は高安まちまちながらドイツやフランスの主要株価は揃って軟調だった。米国に追随して欧州株市場でも長期金利が上昇傾向にあり、積極的な買いが入りにくくなっている。米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともにマイナス圏で推移する時間帯が長かったが、下値では押し目買いが入り、ダウは結局上昇して引けた。ただ、米10年債利回りが4.7%台前半まで水準を切り上げる場面があり、これを背景にハイテク株比率の高いナスダック指数の方は小幅ながら続落で取引を終えている。一部のメディア報道で、今月20日に米大統領に就任するトランプ氏が、関税強化を速やかに進める目的で緊急事態宣言の発令を検討しているとの報道が、マーケット心理を冷やした。また、この日公表された12月のFOMC議事要旨では、参加メンバーがインフレ上振れリスクに言及していたことが判明し、これも買い手控えムードにつながっている。一方、ウォラーFRB理事の講演では一段の利下げを肯定するコメントをしており、過度に不安心理が増幅されることはなかった。東京市場では、米国株市場で主要株価指数が高安まちまちだったことで方向感のつかみにくい環境にあるが、外国為替市場では1ドル=158円台前半でもみ合うなどドル高・円安水準が維持されていることで、下値に対しては底堅さを発揮する公算が大きい。
8日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比106ドル84セント高の4万2635ドル20セントと3日ぶり反発。ナスダック総合株価指数は同10.802ポイント安の1万9478.878だった。
日程面では、きょうは11月の毎月勤労統計、週間の対外・対内証券売買契約、日銀支店長会議、1月の日銀経済報告(さくらリポート)、12月の輸入車販売、12月の車名別新車販売、12月の軽自動車販売、12月のオフィス空室率など。海外では11月の豪貿易収支、11月の豪小売売上高、11月のユーロ圏小売売上高、11月の独鉱工業生産指数、11月の米卸売在庫・売上高など。なお、米国株市場は休場。
出所:MINKABU PRESS
2025/01/09 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=“急騰予備軍”目白押しの半導体セクター
きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比102円安の3万9981円と反落。4万円大台を挟んだ攻防が続くが、相場の景色には大きな変化が見られる。前日に続いて、順位に若干の入れ替わりはあったとはいえ、きょうも売買代金1位から4位までを半導体製造装置大手が独占した。また、昨年12月18日に新規上場したキオクシアホールディングス<285A.T>がプライム市場の値上がり率トップに買われる人気を博した。
日経平均が大発会からの3営業日で勝ち越すとその年は高いケースが多いという。その伝でいくと、きょうはマイナス圏で着地したので1勝2敗ということになるが、中身をみると文字通りの半導体株フィーバーで、全体の74%の銘柄が下げてもあまり負けた気がしない地合いだった。何と言っても米エヌビディア<NVDA>のGPU向けテスターで指名受注を獲得しているアドバンテスト<6857.T>の輝きが秀逸だった。同社株が東京市場でAI用半導体のシンボルストックのポジションを確保していることは間違いないが、きょうは1万円大台ラインをやすやすと突破し昨年11月の高値をクリア、何と上場来高値更新となった。生成AI市場に戦略的に重点を置くディスコ<6146.T>もこれに負けじと大陽線で上値指向を明示、こちらは最高値ではないが11月の戻り高値を払拭している。
半導体関連については、年明け早々に流れが変わったというか、呪縛が解けた感がある。その前兆はあった。それは昨年12月下旬から始まった野村マイクロ・サイエンス<6254.T>の出直り相場だ。同社株は大発会に500円高のストップ高に買われ、日足一目均衡表でも天を衝くような激アツチャートで雲を完全に突き抜ける格好となった。過去にさかのぼると、野村マイクロは2023年から長期上昇トレンドに突入し、昨年4月には修正後株価で6370円の最高値を形成するなど大相場を演じたが、そこからの下げも想定外だった。今度はまるで鏡に映したように株価を切り下げ、上昇相場以前の株価に逆戻りするという状況を余儀なくされた。業績面ではここまで売り込まれる道理はなく、株式需給の恐ろしさを如実に反映したといえる。この背景には貸株市場を通じた空売りなども影響した。しかし、株価は振り子の原理が働く。その巻き戻しが直近の反騰劇をもたらす原動力となった。
そして、これと同じような現象があちらこちらで起こり始めた。半導体セクターはまだ完全に復活したとは言い切れないが、少なくとも売り方は手仕舞いするよりない時間帯で、つまり利食い急ぎの動き(買い戻し)が顕在化している。こうした事情を睨んで買い方が動き出せば、この流れは当然加速することになる。貸株市場経由の空売り買い戻し云々ではなく、実需の買いが株価を押し上げる主役にバトンタッチする。
足の軽い中小型株はまさに草刈り場となる可能性がある。その候補を探す際には、会社側が今期増益もしくは回復を見込む業績が上向きの銘柄で、株価が行き過ぎに売り込まれているものをピックアップしていく手法が効果的だ。例えば、日本電子材料<6855.T>は今3月期営業利益が前期比4倍化する見通しにある。また、A&Dホロンホールディングス<7745.T>の今3月期営業利益は8期連続の増益を見込んでいる。タムラ製作所<6768.T>も増益トレンドの維持が予想され、株価は500円台と値ごろ感がある。主力のトランスやリアクタはデータセンター向けで需要開拓が進んでいる。
3月決算期企業以外では、アドテック プラズマ テクノロジー<6668.T>が今8月期に27%営業増益を見込んでいるが、株価は大底圏を這っている。仕切り直しの動きが突発的に発生しても不思議はない。また、化合物半導体の研究開発型企業で薄膜形成技術を強みとするサムコ<6387.T>は今7月期に営業2ケタ増益を予想している。株価は既に底入れ一服局面にあるが中長期の大底圏に位置していることに変わりはない。
あすのスケジュールでは、11月の毎月勤労統計、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に開示される。また、日銀支店長会議が開催されるほか、1月の日銀地域経済報告(さくらリポート)が公表される。このほか、6カ月物国庫短期証券と30年国債の入札、12月の輸入車販売、12月の車名別新車販売、12月の軽自動車販売、12月のオフィス空室率など。海外では11月の豪貿易収支、11月の豪小売売上高、11月のユーロ圏小売売上高、11月の独鉱工業生産指数、11月の米卸売在庫・売上高など。ボウマンFRB理事の講演も予定される。また、カーター元大統領の追悼の日で米国株市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2025/01/08 17:30
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<注目銘柄>=スマレジ、サブスク売上高順調に拡大
スマレジ<4431.T>の押し目は狙い場だ。株価は昨年12月13日に昨年来高値3370円をつけたあと、決算発表通過による材料出尽くし感もあって調整しているが、時価水準は今期の上振れや業績拡大期待を反映しておらず、上昇余地は大きいだろう。
同社は、スマートフォンを利用した高機能POSシステムをクラウドサービスで提供する企業。昨年12月13日に発表した10月中間期単独決算は、営業利益11億9500万円(前年同期比43.1%増)と大幅増益で着地した。新規有料契約の増加や低解約率によるストック売上高の積み上げ、キャッシュレス決済関連の拡大などが業績を牽引。販管費や広告宣伝費も十分にコントロールされており、好調な上期決算だったといえる。
25年4月期通期業績予想は営業利益20億3300万円(前期比17.2%増)の従来見通しを据え置いた。下期に広告宣伝費が膨らむ見込みだが、中間期の営業利益の進捗率が59%と高いことや、足もとでARR(サブスクリプション売上高)が順調に拡大していることなどを考慮すると上振れの可能性は高い。調査機関のなかには22億円強を見込むところもあり、増額修正期待が強まろう。
また、中間期決算と同時に発表したネットショップ支援室(福井県福井市)の買収にも注目したい。ネットショップ支援室はECに特化した在庫・受注管理システムやBtoBカートシステムなどのソリューションを提供。同社をグループ化することで、POSレジだけでなく決済サービスともクロスセルが可能となり、EC事業者への販路拡大加速が予想される。中期的な成長への貢献が期待できよう。(温羅)
出所:MINKABU PRESS
2025/01/08 10:00
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8日の株式相場見通し=反落、米長期金利上昇を警戒
8日の東京株式市場は売りに押される展開となり、日経平均株価は反落し再びフシ目の4万円台を割り込みそうだ。前日の欧州株市場は主要国の株価が総じて上昇し、英FTSE100はわずかに安く引けたものの、独DAXや仏CAC40は続伸した。日本と同様に半導体関連株への買いが目立つ状況となった。しかし、米国株市場ではリスクオンの流れを引き継げず改めて売りがかさむ展開を強いられ、NYダウは午後の取引で下げ幅を広げる動きとなった。また、半導体関連などハイテクセクターは利益確定を急ぐ動きが顕著となり、ナスダック総合株価指数の下落率は相対的に大きくなった。ここ米長期金利の上昇傾向が強まっている。この日は12月の米ISM非製造業景況感指数や米雇用動態調査(JOLTS)などが事前コンセンサスを上回る内容で、堅調な米経済指標を背景に米10年債利回りが一時4.7%弱まで水準を切り上げ約8カ月ぶりの高水準となった。これを背景にハイテクを中心に株式の相対的割高感が意識された。個別に画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>が大きく利食われる形となり市場センチメントを冷やし、半導体セクター全般に売りを誘導した。米株市場の軟調を受けて東京市場でも売り圧力が意識されやすい。日経平均株価は前日に800円近い上昇を示したが、きょうは主力大型株に利食い急ぎの動きが表面化しそうだ。下値では押し目買いの動きも想定されるが、今週末10日はオプションSQ算出を控えており、先物主導の仕掛け的な動きでボラティリティが高まるケースも考えられる。
7日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比178ドル20セント安の4万2528ドル36セントと続落。ナスダック総合株価指数は同375.301ポイント安の1万9489.680だった。
日程面では、きょうは1月の日銀当座預金増減要因見込み、12月の消費動向調査など。海外では11月の豪消費者物価指数(CPI)、11月のユーロ圏生産者物価指数、11月の独製造業新規受注、12月のADP全米雇用リポート、週間の米新規失業保険申請件数、11月の米消費者信用残高、FOMCの議事要旨(12月17~18日開催分)など。また、ウォラーFRB理事の講演も予定されている。
出所:MINKABU PRESS
2025/01/08 08:01
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明日の株式相場に向けて=「半導体製造装置祭り」が映す潮流の変化
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比776円高の4万83円と3営業日ぶりに急反発。フシ目の4万円台を回復し、大発会の下げ分を帳消しにしてお釣りが来た勘定となった。前日の米国株市場でエヌビディア<NVDA>など半導体関連が買われた流れが波及したという解釈だが、米半導体株高でも東京市場でスルーされることはこれまで何度も繰り返されてきた。今回だけが特別という要素はなく、あくまで個別の株式需給関係に起因するとしか言いようがないが、半導体セクターの主力どころに資金がなだれ込んだことは事実である。値上がり銘柄数が全体の49.5%とわずかながら半分にも届かなかったのは、大型株の物色人気というより先物効果を反映したものだ。
さながら“半導体製造装置祭り”と言ってもいいような地合いだった。225先物主導のインデックス買いによる影響と、日経平均寄与度の大きい半導体製造装置の主力銘柄のハイパフォーマンスが指数を押し上げており、これはTOPIXと日経平均を比較した際の上昇率のカイ離にも映し出されている。日経平均寄与度ランキングトップは売買代金で首位となった東京エレクトロン<8035.T>、寄与度ランキングの2位は売買代金で3位に食い込んだアドバンテスト<6857.T>であった。この2銘柄だけで何と日経平均を390円近く押し上げている。ちなみに、きょうは売買代金ランキングで東エレクとアドテストの間に入った第2位の銘柄がディスコ<6146.T>で、第4位はレーザーテック<6920.T>であった。つまり、売買代金上位4傑を半導体製造装置の主力株が独占した格好となった。最近ではなかったことで、潮流変化を示唆する一つのトピックには違いない。
半導体製造装置関連で言えば、昨年12月下旬から野村マイクロ・サイエンス<6254.T>が目を見張る戻りを演じ、年明け早々にはストップ高に買われた。東証信用残や日証金における空売り(貸株)に加え、それ以外にも貸株市場を通じたショートが積み上がっていたことから、買い戻しによって鮮烈な上昇パフォーマンスが引き出された。この延長線上に、日経平均とリンクしていない半導体製造装置の中小型株で、まだ出遅れている好実態の銘柄が投資マネーのターゲットとなる方向が読める。
候補として、例えば半導体パッケージ製造装置を手掛けるAIメカテック<6227.T>や、パワー半導体向け製造装置で強みを持つワイエイシイホールディングス<6298.T>などは好チャートで食指が動く。とりわけ後者は株式分割した直後で需給面からウネリが生じやすい。このほか、前日に急騰し、きょうも利食いをこなし切ったTOWA<6315.T>も週足トレンドでみれば反騰の緒に就いた段階に過ぎず、上値余地の大きさが意識される。
一方、量子コンピューター関連の人気が凄まじくなってきた。本命格であるエヌエフホールディングス<6864.T>の過激なチャートが、上げ潮に乗ったテーマ物色の威力を見せつける。このセクターに太い資金が流れ込んでいることで、同類項にある銘柄群としてビッグデータや自動運転といったテーマに派生していく可能性も念頭に置くところである。
そのなかタイムリーな話題を提供したのがトヨタ自動車<7203.T>で、後場に入り株価を急動意させる場面があった。これは世界最大級のIT見本市である「CES2025」に先立つ基調講演において、エヌビディアCEOが同社の先端半導体をトヨタが次世代自動車で採用し自動運転技術の開発に傾注する計画にあると伝え、材料視されたもの。エヌビディアといえば生成AI市場の急拡大を背景に業績を飛躍させた印象が強いが、自動運転分野にも並々ならぬ意欲を示している。自動運転関連の切り口で注目されるのは、中小型株ではアイサンテクノロジー<4667.T>などが常連銘柄だが、システム系で目新しい銘柄を探すと、HEROZ<4382.T>やソリトンシステムズ<3040.T>などが関連有力株として浮上する。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に1月の日銀当座預金増減要因見込みが開示される。午後取引時間中には需給ギャップと潜在成長率が日銀から発表される。このほか、12月の消費動向調査も開示。海外では11月の豪消費者物価指数(CPI)、11月のユーロ圏生産者物価指数、11月の独製造業新規受注のほか、米国では12月のADP全米雇用リポート、週間の新規失業保険申請件数、11月の米消費者信用残高が発表される。また、FOMCの議事要旨(12月17~18日開催分)にマーケットの注目度が高い。この日はウォラーFRB理事の講演も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2025/01/07 17:30
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7日の株式相場見通し=反発、米半導体株高などを追い風に買い戻し
7日の東京株式市場は主力株を中心に買い戻しの動きが優勢となり、日経平均株価は反発する公算が大きい。2025年の大発会となった前日は600円近い下落で波乱の出だしとなったが、きょうはその反動で3万9000円台半ばから後半を目指す動きが見込まれる。前日のアジア株市場は高安まちまちの展開だったが、欧州株市場ではドイツやフランスなど主要国の株価が大きく上昇し、リスク選好の地合いを鮮明とした。米メディアの報道をきっかけに今月20日に発足するトランプ次期政権下での関税強化に対する行き過ぎた懸念が後退し、自動車株や半導体関連などへの買いが全体相場を押し上げた。ただ、米国株市場ではNYダウの上値が重く、午前中は4万3000ドル台を回復するなど連日で強調展開を示したが、午後の取引で失速し取引終盤にはマイナス圏に沈んだ。しかし、そうしたなかもエヌビディア<NVDA>をはじめ半導体関連株が上昇し、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は1%を超える上昇で続伸した。半導体関連が買われた背景は、5日に開示された台湾の鴻海精密工業の決算。同社の24年10~12月期の売上高は過去最高を記録するなど好調だったが、その原動力となったのがAI向けサーバーであったことが明らかとなり、AI関連需要の強さが改めて認知される形となった。トランプ次期大統領が関税について従来の一律10~20%に引き上げるとの主張を軟化させているとの観測が、投資家心理に追い風となった面もある。東京市場では米株市場でのハイテク株高を受け、半導体関連などを中心に追い風が意識されやすい。前日は日経平均が先物を絡めた仕掛けでやや行き過ぎに売り込まれたきらいがあり、きょうはその買い戻しが全体指数の上昇を後押しし、上げ幅が大きくなる可能性もある。
6日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比25ドル57セント安の4万2706ドル56セントと反落。ナスダック総合株価指数は同243.304ポイント高の1万9864.981だった。
日程面では、きょうは12月のマネタリーベース、10年国債の入札など。海外では12月の中国外貨準備高、12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、11月のユーロ圏失業率、11月の米貿易統計、11月の米雇用動態調査(JOLTS)、12月のISM非製造業景況感指数など。なお、10日までの日程で「CES2025」が開催される。
出所:MINKABU PRESS
2025/01/07 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=米国発・量子コンピューター爆騰は序章か
2025年の大発会を迎えた6日の東京株式市場では、日経平均株価が前営業日比587円安の3万9307円と大幅安。昨年の大納会の変調を引き継ぐ格好となった。前週末の米国株市場がNYダウ、ナスダック指数ともに大きく切り返したことで胸をなでおろした向きも多かったはずで、事実、今朝の日経平均の寄り付きは先物から買い戻されプラス圏でスタートした。しかし、そこから叩き込まれるような下げに遭遇することになる。アジアに目を向ければ中国株や香港株は軟調気味だったが、ハイテク株の宝庫である台湾株は同じ時間軸で大幅高に買われており、それだけに東京市場の異様さが浮き彫りとなった。
今年は巳年。俗に辰巳天井というが、昨年から高値警戒感は常に意識されながらも売りを仕掛けたショート筋はことごとく踏まされてきた。下向きの流れがどこかで堰を切る可能性はあるが、「売る側も(AIに倣って)人間がその気になってショートを積み上げるとやられる相場」(中堅証券マーケットアナリスト)という。先物主導のハイボラティリティな上下動はすべてAIのご託宣による。
極め付きは昨年8月初旬の“ブラックマンデー超え”ともいえる大暴落。たった3営業日で日経平均は7600円以上も水準を切り下げたのだが、この後に鮮烈なV字リバウンドで下落前の水準をあっという間に取り戻し、悲鳴を上げたのは売り方だったというオチがついた。フラッシュクラッシュは普通に起こり得るが、数日後には何事もなかったように通常モードの値動きと株価水準に戻る。そこに合理的な理由はなくAIアルゴリズムに翻弄されるのみで、後から人間がその値動きに見合った解釈をつけるだけである。
その意味ではきょうの波乱含みの下げも、難しく考えず素直に押し目買いで報われる可能性はそれなりに高い。裏を返せば、AIによる無機質なアンワインド相場が機能して、大勢トレンドが下降転換する蓋然性には乏しいと判断される。もう一段下がれば、そこは嬉々として買い下がる手法で臨む。それは昨年8月の歴史的な暴落局面でも通用した鉄板セオリーだ。今週は週末10日にオプションSQ算出日を控え、同日の日本時間夜には12月の米雇用統計の内容が開示される。今週末を目先のゴールに上下に振り回されることを、むしろ楽しめる境地となれば“人間”の勝ちである。
こうした大荒れの地合いにあっても、中小型の材料株を物色する動きは健在だった。米株市場では量子コンピューター関連のクアンタム<QMCO>が11月下旬から12月末にかけて暴騰を演じ、株価は1カ月あまりで何と20倍以上に化け話題となった。しかし、これは突発的な変異ではない。同関連ではシールSQ<LAES>がわずか半月で14倍化、クオンタム・コンピューティング<QUBT>が約2カ月で16倍化するなど、バブル的要素を多分に含んでいるとはいえ、株価上昇と時価総額の増大化は現実である。東京市場ではフィックスターズ<3687.T>やエヌエフホールディングス<6864.T>、テラスカイ<3915.T>などが直近急騰を演じたが、米株市場で起こっている事象と比べればまだ“おままごと”レベルといってよい。昨年末に当欄で取り上げたインテリジェント ウェイブ<4847.T>は量子コンピューター関連としては新鮮さがあり、業績も好調。なおかつ、量子技術と相性の良い金融分野を主要テリトリーとしていることもプラスαの材料として考慮される。
また、量子コンピューター関連以外でも中小型株に動意含みの銘柄は多い。大株主が保有株を減らす中で上値を慕うシライ電子工業<6658.T>は値動きだけをみると玉移動的な思惑も漂う。また、AI関連では底値離脱ムードのAVILEN<5591.T>や急伸後の一服局面にあるニーズウェル<3992.T>などに目を向けておくところ。穴株では割り切りスタンスが必要ながら、200円台に位置するホットリンク<3680.T>の大底買いも一法だ。また、データセンター関連として水冷ソリューションで先駆する三櫻工業<6584.T>や、業績絶好調の続く八洲電機<3153.T>などが妙味を内包している。
あすのスケジュールでは、12月のマネタリーベース、10年国債の入札などが予定されている。海外では12月の中国外貨準備高、12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、11月のユーロ圏失業率のほか、11月の米貿易統計、11月の米雇用動態調査(JOLTS)、12月のISM非製造業景況感指数などに注目度が高い。なお、この日から10日までの日程で世界最大のテクノロジー見本市であるCES2025が開催される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2025/01/06 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=日産化、今期業績に再増額期待も
日産化学<4021.T>に注目したい。同社は昨年11月に25年3月期の連結営業利益を500億円から530億円(前期比10.0%増)に増額修正した。半導体材料などを含む機能性材料や農業化学品セグメントなどが好調だ。特に半導体材料では、人工知能(AI)絡みでの需要増が追い風に働いている。下期の想定為替レートは1ドル=145円に設定しており、同利益は540億円近辺への再増額修正期待が膨らんでいる。
同社は株主に対する積極的な利益還元方針を掲げており、足もとの株価は配当利回り3.3%前後の水準と魅力的だ。株価は調整局面にあるが、再評価余地は大きく5000円台回復からの本格反発が見込める。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2025/01/06 10:00
みんかぶニュース コラム
6日の株式相場見通し=売り先行か、米株市場の動向横目に不安定な地合いに
2025年の大発会となる6日の東京株式市場は主力株中心に売りが先行しそうだ。前週末の欧州株市場は高安まちまちながらドイツやフランスなどは軟調だった。特にフランスの主要株価指数であるCAC40は1.5%安と下げ幅も大きかった。しかし、米国株市場では昨年下旬から調整色を強めていたNYダウ、ナスダック総合株価指数が揃って反発し、ナスダック指数は340ポイントあまりの上昇で率にして1.8%高と切り返しを鮮明としたことから、過度な不安心理は後退している。もっとも、ダウはそれまでの4営業日で900ドル以上の下落を示すなど利益確定売り圧力が表面化している。米長期金利の上昇に伴い、相対的な株式の割高感が意識されておりハイテク株などの上値が重くなっていることは否めない。年明けの東京市場でも米株市場の動向を横目に、下値リスクの意識されやすい地合いとなることが予想される。金利高に対する警戒感が高まるなか、今週末10日には12月の米雇用統計の発表を控えており、足もとでこのビッグイベントの内容を見極めたいとの思惑が積極的な買いを入れにくくさせている面もある。一方、今月20日には、いよいよトランプ新政権がスタートすることから、共和党政権下での新たな政策期待が米国株市場の下値を支える背景となることも想定され、東京市場でも下値では押し目買いニーズが高まる可能性がある。
3日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比339ドル86セント高の4万2732ドル13セントと5日ぶり反発。ナスダック総合株価指数は同340.884ポイント高の1万9621.677だった。
出所:MINKABU PRESS
2025/01/06 08:00
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来週の株式相場に向けて=新春はAIビッグデータ&量子関連に刮目
2024年の大納会となる30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比386円安の3万9894円と反落。前週末に700円を超える上昇で4万円台乗せを果たした日経平均だが、きょうはあえなく反落し年内最終日に4万円台で着地することはできなかった。年明けの取引は1月6日からで、その前の週にあたる2日と3日は正月三が日で休場となるが、米国株市場ではこの2日間に取引が行われるため、きょうはいったんポジションを軽くしておきたいと考えるのは、投資家心理として仕方がない。
前週末の米株市場ではNYダウが330ドルあまりの下げで4万3000ドル台を割り込んだほか、ハイテク株比率の高いナスダック指数は300ポイント近い下げをみせ下落率でダウを上回った。米10年債利回りが再び4.6%台に上昇し、金利上昇を嫌気するムードがどうにも拭い切れなくなってきた。S&P500ベースのPERは現状30倍程度で、株式益利回りに換算して3.3%に過ぎない。10年債利回りを基準に、本来なら益利回りはリスクプレミアムを考慮して8%程度が妥当。長期金利との逆転現象が広がるなか割高感は覆い隠せず、どこかでフラッシュクラッシュが起こっても不思議はない。
そのトリガーとしては、「債務上限引き上げを巡る判断のリミットが来年1月に迫っている」と喧伝されていることは、売り方のポジショントークの部分を差し引いてもかなりの緊迫感がある。イエレン米財務長官によると上限到達時期は1月14~23日。「とりわけ20日を過ぎたあたりがXデーとなりそうで、そのなかでも23日という線が濃い」(ネット証券マーケットアナリスト)という。トランプ次期政権の発足は1月20日で、新政権発足早々にバイデン政権からの置き土産ならぬ置き爆弾を処理しなければならない。これは結構なプレッシャーだ。更に、日本では図ったように1月23~24日の日程で日銀金融政策決定会合が予定されている。米株市場が荒れた場合は、金融引き締めに及び腰の植田日銀総裁は、追加利上げカードを切ることは到底できないという見方が強い。
ただし、この場合難しいのは、外国為替市場で1ドル=160円台へと波乱モードで円安が進行したとして、株式市場にとっては基本的に株高要因であることだ。例えば米株市場がリスクオフに染まっても、円安を頼りに日経平均やTOPIXは下値抵抗力を発揮する可能性があり、「日本株をターゲットとするのは売り方にすればあまり筋の良くない仕掛け」(同)と指摘する。米株が乱れれば主力どころは円安でも買いにくいが、AI関連周辺の休火山状態にあった中小型株などは、年始相場でも外部環境にとらわれず材料株物色の流れに乗ることが可能。実際、大納会の相場はそうした銘柄群に前倒し的に買いが向かった。
AI・ビッグデータ周辺ではトランプ関連としての認知度が高まってきた共同ピーアール<2436.T>が本領を発揮してきた。会社側のヤル気が伝わってくる中期計画も見逃せないところで、PER12倍の時価はなお上値の伸びしろを感じさせる。真の意味でのビッグデータ関連本命はNTTデータグループ<9613.T>ということになるが、これは機関投資家に任せておけばよい銘柄で、個人好みの中小型では業績好調の続くJTP<2488.T>や穴株として株価が低位に位置するZETA<6031.T>などを挙げておきたい。
また、25年相場前半の主役テーマを考えた場合、米国からの強力なプッシュを念頭に置くと“日米ダブル国策関連”といえる防衛関連は外せないところだ。三菱重工業<7011.T>、川崎重工業<7012.T>、IHI<7013.T>の三羽烏のほか、東京計器<7721.T>や新明和工業<7224.T>などもリアル防衛関連としてチェックしたい。
これ以外ではIP(知的財産権)に絡む銘柄。具体的には任天堂<7974.T>、ソニーグループ<6758.T>、サンリオ<8136.T>などが主力銘柄では軸となる。穴株としてはIPディベロッパー戦略を前面に押し出すブシロード<7803.T>をマークしたい。更に、米国株市場で大人気テーマとなり、東京市場に押し寄せているのが量子コンピューター関連。既にフィックスターズ<3687.T>、エヌエフホールディングス<6864.T>などが株価を大きく浮上させているが、まだ見落とされている銘柄で、上値が期待できそうなのがインテリジェント ウェイブ<4847.T>だ。11月に幕張メッセで開催された量子コンピューティングEXPOでは、量子プログラミング環境とシミュレーターを備えたハードウェア「Qaptiva 800」を出展している。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/30 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=デクセリ、最高益基調で本格上昇余地
デクセリアルズ<4980.T>に注目したい。同社は、ディスプレーなどの光学材料や電子材料の製造、販売を行っている。第2四半期累計(4~9月)の連結純利益は前年同期比52.5%増の158億5600万円だった。ディスプレーと基板の接着に使う異方性導電膜(ACF)などが好調。25年3月期通期の同利益は前期比1.9%増の230億円と最高益見通しだが、市場では270億円前後への増額期待が強い。
下半期の想定為替レートは1ドル=140円に設定されており足もとの円安は追い風だ。株価は7月に上場来高値2768円60銭をつけた後の一服局面にあるが、ここから3000円台での活躍が期待できそうだ。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/30 10:00
みんかぶニュース コラム
30日の株式相場見通し=売り買い交錯、米株安で利食い誘発も下値堅いか
30日の東京株式市場は売り買い交錯のなか、日経平均株価は弱含みに推移しそうだ。前週末に先物主導で700円を超える上昇をみせておりフシ目の4万円大台を回復、前週1週間でみても差し引き1500円近くも水準を切り上げていることから、目先スピード調整の売りが表面化しそうだ。前週末は欧州株市場がほぼ全面高様相となったが、米国株市場では朝方から利益確定の売り圧力が強かった。その前の日までNYダウは5連騰と戻り足を強めるなどサンタクロースラリーの様相を呈していたが、この日は4.6%台に再浮上した米10年債利回りが重荷となり、ハイテクセクターを中心にポジション調整の売りが全体指数を押し下げた。来年1月20日にスタートするトランプ次期政権での財政政策拡大や関税引き上げなどがインフレを再燃させるという思惑から、来年のFRBによる利下げペースが鈍化するとの見方が改めて浮上し、米長期債を売る動きが顕著となっている。長期金利と株式益利回りを比較して、株式の相対的割高感が意識された。なお、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数の下落率は1.5%に達し、NYダウの下落率を大きく上回り、エヌビディア<NVDA>などをはじめ半導体関連株にも売りに押される銘柄が目立っている。東京市場では前週に入って日経平均が急上昇し、4万円大台を回復したことで目先達成感からの売りが先行しそうだ。ただ、下値では押し目買いニーズが活発で大引けで4万円大台はキープされる可能性が高く、米株価指数先物などの動きを横にらみに、展開次第ではプラス圏に浮上する場面も考えられる。
27日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比333ドル59セント安の4万2992ドル21セントと6日ぶり反落。ナスダック総合株価指数は同298.326ポイント安の1万9722.031だった。
日程面では、きょうの東京市場は2024年の大納会となる。海外では11月の米中古住宅販売仮契約など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/30 07:59
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=年末を急襲した「牧野フ」同意なき買収、M&A新時代を象徴か
27日の東京市場は、日経平均株価が前日比713円高の4万281円と急伸し、7月19日以来、約5カ月ぶりに4万円台を回復した。この2日間で1100円強の上昇となり、「掉尾の一振」を実現した。今年もあとは30日の取引を残すのみだが、大幅な下落が無ければ年間終値ベースでは1989年の3万8915円を更新し、史上最高値での年越しとなる。
この日の株価急伸要因には一時1ドル=158円台をつけた円安進行や、実質新年相場入りで個人投資家が活発な買いを入れたことが挙げられる。特に、アルピコホールディングス<297A.T>やvisumo<303A.T>、フォルシア<304A.T>などの直近IPO銘柄が買われ、RIZAPグループ<2928.SP>も大幅高となるなか、中小型株に物色機運が見え始めた。全体相場が物色難となるなか、この中小型株物色が続くかは、新年に向けて注目されそうだ。
更にこの日、市場関係者の関心を一身に集めたのが「ニデック<6594.T>が牧野フライス製作所<6135.T>への同意なきTOB(株式公開買い付け)を発表」したことだ。ニデックは23年にも東証スタンダード市場に上場していたTAKISAWAに対して同意なきTOBを実施し傘下に収めている。ただ、東証プライム市場上場で工作機械大手である牧野フに対して、事前の接触は無しでTOBを仕掛けたとみられることを市場は驚きを持って受け止めた。今後の動向が注視されるが、日本の大手企業同士のM&Aがこれから本格化する、その先駆けと捉えられるだけに「新年に向けた東京市場の株高要因となる」(市場関係者)ともみられている。機械株や再編機運が高まる自動車部品株など、東京市場には連結PBR1倍割れ銘柄は依然として数多く残っているだけに安閑とはしていられず、一段の株高策は急務となりそうだ。
来週は30日が大納会。東京市場は1月6日の大発会まで正月休みとなる。海外市場は30日が米11月中古住宅販売仮契約、31日が中国12月製造業PMI、1月1日はニューイヤーズ・デーで各国が休場。2日は中国財新12月製造業PMI、3日には米12月ISM製造業景況感指数が発表される。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/27 17:30
みんかぶニュース コラム
27日の株式相場見通し=続伸か、米株後半持ち直し一段の円安も追い風に
27日の東京株式市場は主力株を中心に買いが先行し、強気優勢の地合いが続く公算が大きい。外国為替市場ではドル買いの動きが加速、一時1ドル=158円台をつけるなど円安が進んだ。日経平均株価は円安を追い風に3日続伸し、3万9000円台後半での強調展開が予想される。前日は欧州株市場が休場だったが、クリスマス明けで取引が行われた米国株市場では朝方は利益確定の動きが広がり、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともにマイナス圏で推移した。しかしその後は戻り足に転じ、取引終盤はプラス圏に切り返す展開で、ダウは小幅ながら上昇して引けている。この日の取引開始前に発表された週間の新規失業保険申請件数は事前コンセンサスを下回る内容で労働市場の底堅さを反映、FRBによる利下げスピードが鈍化するとの見方が買いを手控えさせた。米長期金利は一時4.6%台半ばまで水準を切り上げ、株式市場の相対的な割高感が強まり市場セントメントを冷やす格好となった。ただ買い意欲は根強く、午後の取引では長期金利の上昇一服を横目に下値を拾う動きが強まる展開に。結局NYダウは小幅ながら上昇して着地し5日続伸。ナスダック指数の方は引け際に値を消し前営業日の終値を下回ったが、下げ幅はわずかにとどまっている。東京市場では前日に日経平均が400円を超える大幅高をみせたこともあり、きょうはその分上値が重くなることが予想されるが、年内に4万円大台回復を意識した強調展開が維持されそうだ。なお、朝方取引開始前に開示される12月の都区部消費者物価指数(CPI)や日銀金融政策決定会合の主な意見の内容が相場に影響を与える可能性がある。
26日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比28ドル77セント高の4万3325ドル80セントと5日続伸。ナスダック総合株価指数は同10.769ポイント安の2万20.357だった。
日程面では、きょうは12月の都区部消費者物価指数(CPI)、11月の有効求人倍率、11月の失業率、日銀金融政策決定会合の主な意見(12月18~19日開催分)、11月の鉱工業生産速報値、11月の商業動態統計など。海外では1~11月期の中国工業企業利益など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/27 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「トヨタ・ファミリー」が株高驀進モードへ
きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比437円高の3万9568円と続急伸。前日の欧米株市場がクリスマスで休場となり手掛かり材料に事欠くなか、きょうも引き続き閑散相場の中で日経平均は狭いレンジでの往来に終始するかと思われた。ところが、先物主導でアンワインドの動きが顕在化して日経平均はほぼ一貫して水準を切り上げ、大引けもほぼ高値圏で着地。年内に4万円台に手が届く可能性も出てきた。
海外投資家不在の相場環境にあって、きょうも全体相場の商いは盛り上がりを欠いたが、手掛かり材料難で様子見ムードの地合いというわけではなかった。ホンダ<7267.T>と日産自動車<7201.T>との経営統合の話が浮上したところから始まった自動車セクターへの投資マネーの攻勢が、ここにきて一気に勢いを強めている。まさに燎原の火のごとく物色人気が周辺銘柄にも燃え広がっている状況だ。
株式市場で自動車セクターは輸出株の位置付けながらハイテク株とは違い、PERやPBRがかなり低い位置に放置されている銘柄が多い。その銘柄群は自動車部品メーカーなどをはじめトヨタ系、ホンダ系、日産自系、あるいは独立系と分かれるが、どこで切ってもおおむね「バリュー株集団」と言って差し支えない割安さが特長だ。しかし、これまではPERやPBR、あるいは配当利回りなどから“お買い得水準”にあっても、なかなか継続的な買いが入ってこない、という状況が長期にわたっていた。
裏を返せば主要指標が格安水準に放置され続けている時点で、「不人気株」のレッテルが貼られているに等しい。東証の鶴の一声によって、1倍に満たない低PBR株の企業価値向上に向けた経営努力をテーマに買い進む動きも一時期はあった。だが、一貫して上値を指向する銘柄は意外に少ない。自動車株は指標面で割安でも、投資資金が食指を動かす対象ではなかった。そうした“万年割安株”の一群が年の瀬に一斉蜂起の動きをみせている。
クリスマス明けで薄商いの続く“低血圧相場”にあって、前々日のホンダに続き、きょうはトヨタ自動車<7203.T>が久しぶりに全上場企業のなかで売買代金首位となった。株価は大陽線を示現して7月中旬以来約5カ月ぶりの高値水準に浮上。トヨタは前日にROEの目標を20%に引き上げる方針が報じられ、「報道は何か唐突な感じも否めなかったが、その具体的な内容を吟味するまでもなく、AIなどによるヘッドライントレードの買いを誘引する材料となった」(中堅証券ストラテジスト)とする。きょうは1日経って同社株への買い攻勢はしぼむどころか激しさを増した。トヨタはグループでの認証不正問題もあって、子会社を含め貸株市場を経由した空売りなども警戒されたが、その買い戻しの動きが株価の上げ足を思いのほか速くしている面もあるようだ。
ホンダと日産自に株価上昇圧力が加わり、特にPBR0.2倍台だった日産自の方は株価の値ごろ感も伴い、きょうの高値まで直近7営業日で64%の上昇を示した。ホンダは最大1兆1000億円規模の巨額の自社株買いを発表したこともあって、きょうまで5連騰を記録し合計24%も水準を切り上げている。そして遂に、最後方から業界の盟主トヨタが怒涛の上げ潮相場に名乗りを上げた。こうなるとトヨタ・ファミリーの銘柄群に物色の矛先が向かう流れが想定される。前述したようにPERやPBRなど投資指標面からは自然体で買い進んで全く違和感のない銘柄が多いが、貸株市場経由の空売りが乗っているとすれば、その買い戻しによって需給面ではロケットを背負っているようなものだ。チャートの強い順張り対象としては愛三工業<7283.T>、愛知製鋼<5482.T>、中央発條<5992.T>などが有力候補。また、逆張り対象としては大豊工業<6470.T>が面白い。同社の25年3月期は大幅減益ながら26年3月期はコスト低減効果で利益のV字回復が視野に入る。このほか、中段でジリジリと水準を切り上げる共和レザー<3553.T>もトヨタ系銘柄の伏兵として要注目だ。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に発表される12月の都区部消費者物価指数(CPI)が注目される。また11月の有効求人倍率、11月の失業率、日銀金融政策決定会合の主な意見(12月18~19日開催分)、11月の鉱工業生産速報値、11月の商業動態統計などのほか、午後取引時間中には11月の自動車輸出実績が開示される。この日は東証グロース市場にビースタイルホールディングス<302A.T>が新規上場する。海外では1~11月期の中国工業企業利益が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/26 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=山王、射出成形技術獲得によるシナジーに期待
山王<3441.T>は電子部品を対象とした貴金属表面処理加工などを手掛けている。11月には幅広い射出成形技術を持つ明王化成(東京都大田区)を子会社化しており、今後のシナジーに期待したい。
足もと業績は堅調で、12月13日に発表した25年7月期第1四半期(8~10月)の連結営業利益は前年同期比44.1%増の3億3800万円で着地。微細めっき技術の追求などによる品質向上、製造工程の自動化、生産拠点管理の効率化などによる生産性向上に積極的に取り組んだことが奏功した。通期業績予想は従来の2億5000万円(前期比7.3%増)で据え置いているが、既に超過していることから保守的といえそうだ。
株価は16日に直近高値830円をつけたあと上げ一服となっているが、日足チャートでは25日移動平均線と75日移動平均線が徐々に接近。ゴールデンクロスの実現をきっかけに戻りを試す展開が見込まれる。(参)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/26 10:00
みんかぶニュース コラム
26日の株式相場見通し=狭いゾーンでのもみ合いか、欧米株休場で手掛かり材料難
26日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は前日終値近辺の狭いゾーンでもみ合う展開が想定される。前日は香港や韓国などアジア株市場や、ドイツ、フランス、英国など欧州株市場、更に米国株市場など世界各国がクリスマスの祝日に伴い総じて休場となったこともあり、手掛かり材料難のなか模様眺めムードが強まりそうだ。前日の東京市場は海外投資家の参戦が見込めないなか薄商いを強いられたが、日経平均株価は取引終盤に買いが厚くなり上げ幅を広げて着地した。きょうは受け渡しベースで年内最終商いとなることから、12月決算企業の配当権利取り狙いの買いなどが駆け込みで入り下値を支える一方、個人投資家の損益通算目的とみられる売りなどが五月雨的に出て、全体指数の上値を重くするという見方もある。前日の植田日銀総裁の講演では、経済や物価情勢の改善が続いた場合は利上げする方針を明示し、利上げが遅れることによって経済にもたらすリスクについても言及した。来年1月の日銀金融政策決定会合で利上げを決定するという見方は現状では五分五分の状況となっているが、前日の外国為替市場では反応が鈍く、ドル・円相場はおおむね1ドル=157円台前半でもみ合う展開に終始した。きょうは、手掛かり材料に事欠くなか、足もとの為替動向なども日経平均の値動きに影響を与えそうだ。
日程面では、きょうは週間の対外・対内証券売買契約、11月の建機出荷、11月の住宅着工統計など。海外では、トルコ中銀の政策金利発表のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数が注目される。また、ボクシングデーのためドイツ、フランスなど欧州圏のほか、香港などアジア株市場の一角が休場。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/26 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=トヨタ巻き込み「企業防衛」のテーマ爆誕
きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比93円高の3万9130円と反発。海外投資家の参戦が限られるなか、相変わらず方向感に乏しい地合いで3万9000円大台ラインを挟んで蛇行する動きを繰り返したが、取引最終盤に上値が軽くなり引け際のクロージングオークションで上げ幅を広げて着地した。
前日の米国株市場では、日本株とは対照的にクリスマス休場前の半日取引ながら買い意欲は旺盛だった。NYダウが4連騰、ナスダック総合株価指数も3連騰と上値指向を明示し、ナスダック総合株価指数はフシ目の2万大台を回復して取引を終えている。米国ではここ長期金利の上昇に対する警戒ムードが再び漂っているが、マーケットの主要株価指数をみる限り、どこ吹く風の強調展開を示している。前日は10年債利回りが4.6%台をつけるなど株式の相対的割高感が意識されやすい環境となったが、朝方こそNYダウがわずかながらマイナス圏に沈むなど若干の躊躇は見られたものの、その後はジングルベルの鈴が鳴り響くがごとくハイテンポの上昇トレンドに乗った。
米株高の援護射撃があっても、俗に言うサンタクロース・ラリーは東京市場には舞い降りなかった。引け際に滑り込みで日経平均は水準を切り上げたが、投資家のマインドが改善する時間帯ではなかった。何を嫌気しているのかがはっきりしないまま、薄商いの東京市場で五月雨的な売りが投資マインドを冷やしている。あすが実質月内最終で12月決算企業の駆け込み配当権利取り狙いの買いなども、相場が強ければハヤされるところだが、それも鳴りを潜めた。また新NISAの枠(成長投資枠)を残している投資家がそれを駆け込みで埋めにいく“枠埋め買いニーズ”も取り沙汰された割には、「実際はあまりそうした動きは観測できていない」(中堅証券アナリスト)という。
一方、個人投資家の損益通算の売りなどが言われている。ただし、「今年は個人投資家で儲かっている向きは少数派で、その類いの売りが頻繁に出るとは思えない」(ネット証券マーケットアナリスト)という声も聞かれる。辰年相場終了を目前に、個人投資家は利益の出ている株と含み損の株を一緒にキャッシュ化する「合わせ切り」、いわゆる手仕舞いによる売り圧力が反映されている可能性はありそうだ。とすれば、米国株が崩れないことを前提に年末相場の一過性の需給要因による売りは買い場かもしれない。“人の行く裏に道あり花の山”で、無理をしない程度に拾っておくのも一つの手である。
こうしたなかで自動車株が前日に続き局地的な物色人気を博した。ホンダ<7267.T>は前日の急騰パフォーマンスの疲れもあってか上値は重かったが、日産自動車<7201.T>の上げ足は鮮烈で、株式需給面でショート筋の建玉解消が作用している。また、「両社の統合はカルチャーが違い過ぎて絵に描いた餅というアイロニカルな見方が依然として根強く、最終的に鴻海との間で日産株式の争奪戦になるという思惑が独り歩きしている」(国内投資顧問系ストラテジスト)という指摘がある。加えて、きょうはトヨタ自動車<7203.T>も負けじと買いを引き寄せた。ROE目標を20%に引き上げるという報道が刺激材料となったのだが、上場企業最大の時価総額45兆円を誇るトヨタにも企業防衛の意識が芽生えているとすると、これは善悪を別として強力な投資テーマに発展する可能性を内包している。
個別株では前日にも触れた自動車部品メーカーなど、ホンダ・日産自の周辺株に思惑買いの動きが加速している。新たなところでは、両社を中心とした自動車ディーラーであるVTホールディングス<7593.T>の500円近辺は狙い目。また、株価低位の日本プラスト<7291.T>や、ホンダ向け売上比率が高く旧日産系企業と合併の経緯があるミツバ<7280.T>なども注目されやすい。このほか、自動車周辺企業ではエンジン用軸受けの製造を手掛ける大同メタル工業<7245.T>。こちらは、データセンター向け発電機用の需要発生という望外の追い風も吹いている。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約、11月の建機出荷、11月の住宅着工統計など。この日はフォルシア<304A.T>、visumo<303A.T>、GVA TECH<298A.T>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では、トルコ中銀の政策金利発表のほか、米国では週間の新規失業保険申請件数が注目される。また、ボクシングデーのためドイツ、フランスなど欧州圏のほか、香港などアジア株市場の一角が休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/25 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=ギフティ、法人向け好調続く
ギフティ<4449.T>は11月26日に直近高値1444円をつけたあと調整しているが、業績拡大期待を背景に先高感は強く、調整局面は拾い場と考えたい。
同社は、オンラインで手軽にギフトを贈ることのできる「eギフト」の発券から流通・販売まで一気通貫で提供する「eギフトプラットフォーム事業」が主な事業。個人間のeギフトのほか、アンケートの謝礼や来店促進、SNSを活用したさまざまな法人のキャンペーンやプロモーションマーケティングに活用できる法人向けの「giftee for Business」サービスを16年に開始しており、今年9月末時点で累計5万2000件を突破するなど好調に推移している。
11月14日に発表した第3四半期累計(1~9月)連結決算は、営業利益が13億8500万円(前年同期比9.7%増)となった。「giftee for Business」が好調で、過去最大規模の大型案件があったのをはじめ、法人からの高い需要が継続しており、DP(利用企業)数、案件数ともに季節性では弱含む傾向のある7~9月期で四半期過去最高を更新。7~9月期の営業利益は同79.9%増となった。
24年12月期通期営業利益予想は17億200万円(前期比34.3%増)の従来見通しを据え置いたものの、上振れ期待は高く、来期についても法人向けが牽引役となり高成長が期待できる。また、第3四半期決算の発表と同時に今期の期末配当予想を従来の無配予想から10円へ引き上げ初配当を実施すると発表。これも業績への自信の表れといえそうだ。(仁)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/25 10:00
みんかぶニュース コラム
25日の株式相場見通し=反発、米株高続き薄商いのなかも堅調推移
25日の東京株式市場は売り買い交錯のなかも強気優勢の地合いとなり、日経平均株価は反発し3万9000円台前半から半ばにかけて堅調な値動きとなりそうだ。前日の欧州株市場は総じて上昇した。ドイツ市場は休場だったが、仏CAC40は4日ぶりに反発し下げ止まる動きをみせている。ただ模様眺め気分は強く、各国いずれも値動きは小幅にとどまっている。米国株市場ではクリスマス前日で半日取引となったが買いが優勢で、NYダウは尻上がりに水準を切り上げ高値引けで4連騰、390ドルあまりの上昇をみせた。また、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も3連騰で上昇率はダウを上回り、フシ目の2万大台を回復している。手掛かり材料に事欠くなかも、NYダウは前週半ばにかけて50年ぶりとなる10日連続安を記録するなど大幅な調整をみせていたこともあって、値ごろ感からの買いが根強く流入した。マグニフィセントセブンをはじめ主力IT株が軒並み上昇したことも全体相場に押し上げ効果をもたらした。ただ、米長期金利は一段と上昇しており、この日は一時4.6%台まで水準を切り上げたことで、朝方にダウはマイナス圏で推移する場面もあった。東京市場では米株市場がハイテク株中心に買われたことを受け、これに追随する動きが予想される。外国為替市場では1ドル=157円台で円安水準がキープされていることもポジティブ材料。もっとも、クリスマスで海外投資家の参戦がまばらとなり日経平均の上げ幅は比較的小幅にとどまる可能性があるほか、薄商いのなか先物主導で不安定な値動きとなる局面も想定される。
24日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比390ドル08セント高の4万3297ドル03セントと4日続伸。ナスダック総合株価指数は同266.241ポイント高の2万0031.126だった。
日程面では、きょうは11月の企業向けサービス価格指数、10月の景気動向指数の改定値、11月の外食売上高など。また、植田日銀総裁が経団連審議員会で講演を行う。海外では、クリスマスの祝日で米国市場が休場となるのをはじめ、アジアや欧州株市場も休場となる国が多い。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/25 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=「ホンダ・日産」サプライズ統合で化ける株
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比124円安の3万9036円と反落。前日の米国株市場では主要株価指数が総じて高く、エヌビディア<NVDA>やブロードコム<AVGO>をはじめ半導体セクターが大きく買われた。これを受け東京市場でも朝方はアドバンテスト<6857.T>を筆頭に時価総額上位の半導体製造装置関連が一斉高に買われたが、打ち上げ花火のように早々に値を消す展開となった。クリスマス休暇で海外マネーの参戦が見込めず、薄商いのなか日経平均は狭いゾーンで弱含みもみ合いに終始した。
そうしたなかも、きょうはホンダ<7267.T>が全市場ベースで断トツの売買代金をこなし、株価もマドを開けて買われる異彩人気となった。これは日産自動車<7201.T>との経営統合の協議に入ったことを正式に開示したことに加え、返す刀で上限1兆1000億円という大規模な自社株買いを発表したことが背景にある。日産自も6%の大幅高。前週18日のストップ高以降も着実に投資資金が流れ込んでいる。
もっともホンダ、日産自の経営統合は素人目にも違和感が強く、果たして補完し合えるようなメリットがあるのか疑問に感じる人も多いはずだ。市場関係者は「日産自に対して台湾の鴻海精密工業が買収に向けた動きを強めていた。経営不振の日産救済というよりは経済産業省主導で買収阻止のために時価総額などの拡大を図った、いわば企業防衛の要素が強いようだ」(ネット証券マーケットアナリスト)と指摘する。産業的観点では意味の乏しい合併でも、企業防衛を目的とした会社規模拡大を第一義とするものであれば合点がいく。
日産自は電気自動車(EV)分野など技術で強みを持っているが、25年3月期は期中2度にわたる業績予想の修正を行い営業利益段階で前期比74%減の1500億円と低迷が見込まれている。同社のPBRはつい最近まで0.2倍台だった。会社解散価値の約4分の1の水準に株価が売り叩かれた状態で、時価総額にして1兆数千億円程度の日産自を買収することは、売上高30兆円規模の鴻海にすれば極めて安い買い物となる。円安進行がアダとなり、ここぞと日本企業や、都心部の土地などを外資に買い漁られてしまう状況は歓迎できるものではない。近未来に次世代自動車という巨大マーケットが想定されるなか、自動車産業の要衝に触手が伸びるとなると、これは由々しき事態といっても過言ではない。
関潤氏といえば日産自時代に現社長とトップの座を争い、結果として会社を追われる形となった元ナンバー3で、ニデック<6594.T>(旧日本電産)に移籍した後、現在は鴻海のEV事業の最高責任者となった人物である。「日産をよく知る人物が巨大外資に鞍替えし、社内派閥争いでガタガタになった古巣へのリベンジ買収をかけている構図」(前出のアナリスト)という状況となった。これを阻止する動きが経産省主導のホンダとのスクランブル合併ということになる。ところが、「この合併もキャッシュリッチの鴻海にすれば買収の妨げにはならない。むしろ日産自のつもりがオマケでホンダもついてきたという状況で渡りに船というオチがつく。しかもオマケの方が商品価値は高い」(同)とする。
今後の自動車業界再編の動きにも注目が集まるが、外堀を越えていきなり本丸でこれだけ大きな動きが生じると、周辺銘柄への株価面への影響もかなりのマグニチュードとなり得る。俗な言い方をすれば変身銘柄の宝庫と化す条件を内在させている。そして、自動車部品セクターにおいては、日産自並みに超低PBRに放置されている銘柄が少なくない。今回三菱自動車工業<7211.T>を引き込む格好となったとしても、センターを務めるのはホンダにほかならず、この場合、「ホンダ系部品メーカー」は要注目となる。PBR0.1倍のエフテック<7212.T>を筆頭に、同0.3倍台のジーテクト<5970.T>、同0.5倍弱のエイチワン<5989.T>は、いずれも有配企業として驚くほど評価不足といってよく、今回の案件で株価の水準訂正に向けた動きが燎原の火のごとく広がるケースも考えられる。
あすのスケジュールでは、11月の企業向けサービス価格指数が朝方取引開始前に開示される。午後取引時間中には10月の景気動向指数の改定値が発表されるほか、11月の外食売上高が開示される。また、植田日銀総裁が経団連審議会で講演を行う予定でその内容に耳目が集まる。また、東証スタンダード市場にMIC<300A.T>と、アルピコホールディングス<297A.T>が新規上場する。海外では、クリスマスの祝日に伴い米国市場が休場となるのをはじめ、アジアや欧州株市場も休場となる国が多い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/24 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=コムシスHD、データセンター関連案件など好調
コムシスホールディングス<1721.T>の3200円台のもみ合いは買いで対処して面白い。通信キャリア向けの電気通信工事大手で、ITソリューション事業やインフラ工事なども手掛ける。NTTグループ向けで高水準の需要を獲得しているほか、データセンター関連の案件獲得が進み足もとの業績は堅調だ。25年3月期の営業利益は前期比2%増の400億円を見込むが保守的で、410億~420億円程度に上振れする可能性がある。年間配当も14年3月期以降毎期増配を続けており、25年3月期は前期実績比5円増配の110円を計画し、時価予想配当利回りは3.4%前後に達する。
株価は早晩上値指向に転じ11月25日の戻り高値3383円をブレークする公算が大きい。今はもみ合い圏だが、中期的には4月30日につけた上場来高値3796円奪回を目指す強調展開が期待でき、目先の押し目を丹念に拾う方針で臨みたい。(桂)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/24 10:00
みんかぶニュース コラム
24日の株式相場見通し=強調展開か、米ハイテク株高と円安が追い風
24日の東京株式市場は強弱観対立のなか、日経平均株価は3万9000円台前半で強含みもみ合いとなる展開が想定される。前日は7日ぶりに450円あまりの大幅反発となったが、前々日までの直近6営業日で1100円以上も下落をみせていたこともあり戻り余地が意識され、リバウンドに乗り遅れた向きの買いが下値を支えそうだ。前日の欧州株市場は高安まちまちでボラティリティも比較的小さかったが、ドイツの主要株価指数であるDAXは続落で3週間ぶりの安値に沈んだ。クリスマス休暇に入る機関投資家も多く、材料不足のなかポジション調整の売りが優勢となった。一方、米国株市場ではNYダウが方向感なく前の日の終値を挟んで一進一退の値動きとなったが、大型ハイテク株が頑強な値動きを示し、ナスダック総合株価指数は相対的に強い動きとなり、終始25日移動平均線を上回る水準で推移した。この日発表された12月の米消費者信頼感指数は市場コンセンサスを下回る数値だったほか、11月の米新築住宅販売件数もマーケットの事前予想に届かなかった。米景気先行きに対する不透明感から、NYダウは午前中に300ドルを超える下げをみせる局面もあったが、その後は持ち直した。東京市場では、米国株が強さを維持したことは投資マインドに追い風となるが、海外投資家の参戦が見込めず積極的に上値を買う動きには発展しにくい。ただ、米株市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇したことや、外国為替市場で1ドル=157円台に入るなど円安方向に振れていることから、半導体関連株には引き続き浮揚力の働きやすい地合いとなることが予想され、全体指数に寄与しそうだ。
23日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比66ドル69セント高の4万2906ドル95セントと続伸。ナスダック総合株価指数は同192.288ポイント高の1万9764.885だった。
日程面では、きょうは日銀金融政策決定会合の議事要旨(10月開催分)、午後取引時間中には基調的なインフレ率を捕捉するための指標、11月の全国スーパー売上高、11月の全国百貨店売上高など。海外では豪中銀理事会の議事要旨(12月開催分)のほか、11月の米耐久財受注額、11月の米新築住宅販売件数など。米5年物国債の入札も行われる。なお、フィリピン、スイス、ドイツ市場が休場。米国市場は短縮取引。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/24 08:01
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=ビッグデータやクラウド周辺株に勝機
週明け23日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比459円高の3万9161円と7日ぶり大幅反発し、3万9000円台を回復した。大引け間際、取引終了6分前に3万9210円とこの日の高値をつけ、下ヒゲの長い陽線を形成した。前週末の米国株市場ではNYダウが一時870ドル強の大幅高となったほか、ナスダック指数も一時380ポイントあまりの上昇をみせた。両指数とも終盤伸び悩んだとはいえ、終始一貫して買いの厚みが勝る展開だった。きょうの東京市場では取引時間中に為替が円安方向に振れたほか、米株価指数先物が強調展開を維持したことで上昇気流に乗った。前週末開示の11月の米PCEデフレーターは事前予想を下回り、センチメント改善に寄与したが、いつの間にか再びインフレ圧力にマーケットの関心が向かい始めた。日本の場合、植田日銀総裁の慎重姿勢が目立つが、物価上昇傾向は来年一段と高まることが濃厚であり、円売り圧力に耐えられず追加利上げのトリガーを引くことになるのではないか。
きょうはアドバンテスト<6857.T>を筆頭に半導体関連の主力どころが軒並み堅調だったことや、日経平均構成比率で断トツのファーストリテイリング<9983.T>、あるいはソフトバンクグループ<9984.T>、リクルートホールディングス<6098.T>といった指数寄与度上位の銘柄が上昇したことで、日経平均の戻りも大きくなった。一方で、海外投資家がクリスマス休暇モードとなるなか、個人投資家の土俵である中小型株物色の動きも健在だった。
個人投資家は正直勝ちにくい地合いである。値を飛ばしていた銘柄についてはショート筋の売りターゲットとなって下値を探るパターンが少なくない。長期投資と割り切ってドタバタしないというのも投資哲学だが、利食い千人力という相場格言もある。今は基本的に欲張らずヒットアンドアウェイの投資作戦で臨むのがマストではないがベターであろう。なるべく高値圏に突入する前の銘柄で勢いの感じられるものに照準を合わせていく。
米国株市場の流れを継いで内需のシステム開発やソリューションなどソフト分野で活躍する銘柄群に物色の矛先が向かいやすくなってきた印象がある。そうしたなか、当欄で前週前半に紹介したSMN<6185.T>の上げ足に弾みがつき、きょうは一時ストップ高となる484円まで上値を伸ばす大立回りを演じた。同社はソニー系のアドテク(ネット広告配信)企業で、ビッグデータや人工知能(AI)を活用したマーケティングで強みを発揮する。最近はデジタル広告・マーケティングのインハウス化、つまりアウトソーシングではなくグループ内で実行できるようにするための支援ビジネス(=デジタルハウスエージェンシー)に重心をシフトさせて成果をあげている。
SMNは年初来高値を更新し綺麗な大勢3段上げトレンドを形成しているが、週足チャートでみると数年来の底値圏を離脱したばかりであることが分かる。400円台という値ごろ感を考慮すれば目先の押し目を拾う姿勢で期待は大きい。ただし、前述したように投資マネーの横への広がりを重視し、相場の若い銘柄に視点を移した方がリスクは少ない。マークしておきたい銘柄として、目先急騰しているサイボウズ<4776.T>の子会社であるトヨクモ<4058.T>は年初来高値更新前の段階で食指が動く。また、クラウド型名刺管理サービスを手掛ける営業DX関連の草分けSansan<4443.T>も前週に上昇一服場面を挟み買いやすさがある。グローバルセキュリティエキスパート<4417.T>はサイバー防衛に関するソリューションやコンサルティングで需要を捉えており、目を配っておきたい。
更にSMN同様、株価3ケタ台のデータセンター関連で拾い場を提供していると思われるのがAGS<3648.T>だ。今年4月18日にはさくらインターネット<3778.T>の背中を追いかける形で人気化し、1488円の年初来高値をつけた経緯がある。時価800円近辺は底値圏到達の感触もあるだけに、リバウンド妙味を内在させている。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(10月開催分)が朝方取引開始前に公表される。また、午後取引時間中には基調的なインフレ率を捕捉するための指標が日銀から開示される。このほか、11月の全国スーパー売上高、11月の全国百貨店売上高など。海外では豪中銀理事会の議事要旨(12月開催分)のほか、11月の米耐久財受注額、11月の米新築住宅販売件数など。米5年物国債の入札も行われる。なお、フィリピン、スイス、ドイツ市場が休場。米国では商品・債券・株式市場が短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/23 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=長瀬産、AI半導体関連の需要好調
長瀬産業<8012.T>に注目したい。化学品の専門商社である同社の第2四半期累計(4~9月)の連結営業利益は前年同期比45.4%増の210億5400万円だった。生成AI市場の旺盛な需要を背景に、変性エポキシ樹脂がハイエンドサーバー用半導体向けに好調で、電子・エネルギー事業などが増益となった。25年3月期の同利益は前期比19.2%増の365億円の最高益予想だが、市場には380億円前後への増額観測が出ている。
今来期と総還元性向を100%とする方針を示すなど積極的な株主還元を打ち出している。株価は3000円近辺での一進一退が続くが、連結PBRは0.8倍台となお割安であり、ここから上昇基調を強める展開が期待できる。(地和)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/23 10:00
みんかぶニュース コラム
23日の株式相場見通し=買い優勢、米株大幅高受け7日ぶり反発
23日の東京株式市場は主力株をはじめ広範囲に買い戻しが進み、日経平均株価は7日ぶりに反発しフシ目の3万9000円台回復を視野に置く強調展開が予想される。前週末の欧州株市場はドイツやフランスなど主要国の株価が総じて安かったが、米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに大きく水準を切り上げた。NYダウは前週18日に1100ドルを超える急落に見舞われ50年ぶりに10営業日連続安を記録するなど、本格的な調整局面にあったが、この日は一時870ドルあまりの大幅高をみせ、大引けは伸び悩んだものの500ドル近い上昇を演じた。注目された11月のPCEデフレーターは前年同月比で事前コンセンサスを下回り、インフレの鈍化が確認されたことが投資家のセンチメント改善につながった。また、FRB高官のハト派寄りの発言内容も加わり米長期金利が下落、株式の相対的な割高感が緩和されている。半導体関連が買い戻され、エヌビディア<NVDA>が3%あまりの上昇をみせたほか、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が4日ぶりに上昇に転じた。これを受け東京市場でも幅広い銘柄に買いが広がりそうだ。日経平均株価は前週末まで6日続落し、この間に1100円以上水準を下げており、値ごろ感からの押し目買いが活発化する可能性がある。もっとも、今週は海外投資家がクリスマス休暇に入り、実需買いが入りにくい相場環境にある。売買代金が盛り上がりを欠くなか、先物主導で不安定な値動きとなることも想定される。一方、年末特有の薄商いのなか、個人投資家を中心に個別材料株への物色人気が高まりそうだ。
20日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比498ドル02セント高の4万2840ドル26セントと大幅続伸。ナスダック総合株価指数は同199.829ポイント高の1万9572.597だった。
日程面では、きょうは11月の白物家電出荷額など。海外では12月の米消費者信頼感指数、米2年物国債の入札など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/23 08:00
みんかぶニュース コラム
来週の株式相場に向けて=年末・年始意識しレジャー・ゲーム関連株が優位の展開か
20日の日経平均株価は前日比111円安と6日続落だった。為替が一時1ドル=157円90銭台まで円安が進んだことも好感され、日経平均株価は3万9000円に乗せる場面もあったが、円安進行が一服すると値を消す展開となった。
暮れも押し迫り、株式市場の立会日もあと6日となった。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合でビッグイベントも一巡。今晩の米11月個人消費支出(PCE)物価指数は注目されるものの、海外投資家はクリスマス休暇に入り国内でも年末休暇を取る向きが増え、これからは市場参加者も限られそうだ。来週は25日がクリスマスで米国や欧州、それに香港やシンガポールなど主要市場が休場。26日も英国やドイツ、フランスなどが休場となる。こうしたなか、東京市場は商いが細る展開も予想されるが、市場参加者が限られるなか、値の荒い展開となる可能性もある。
ポイントとなるのは、FOMCはタカ派的な内容となり利下げは慎重な姿勢が示された一方で、日銀はハト派姿勢で追加利上げには慎重だったことだ。米国は新年1月20日のトランプ大統領就任式が意識されるなか、同氏の関税政策などを巡り外需の動向は見通しづらい。足もとでは円安が進んでいるものの、ハイテク株など輸出株は積極的な買いは入れにくいだろう。加えて、FOMCでは利下げに慎重なタカ派姿勢が示されただけに、「金利低下が好材料視される高PERの米国のテック株などは買いにくい」(市場関係者)。このため東京市場でも「当面はハイテク株よりバリュー系内需株が選好される展開」(同)を予想する見方が出ている。
折しも、今年の年末・年始はカレンダーの日並びもよく、年末年始が9連休となる向きも少なくない。レジャー関連の東宝<9602.T>や東映<9605.T>、任天堂<7974.T>、バンダイナムコホールディングス<7832.T>、コナミグループ<9766.T>、カプコン<9697.T>、ハピネット<7552.T>などは時流にも乗り格好の物色対象となりそうだ。
上記以外のスケジュールでは、海外では23日に米12月消費者信頼感指数、24日に米11月耐久財受注、同新築住宅販売件数が発表される。国内では、24日に11月全国百貨店売上高、10月開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨、27日に東京都区部消費者物価指数(CPI)、12月開催分の日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される。決算発表は、23日にしまむら<8227.T>、象印マホービン<7965.T>、24日に高島屋<8233.T>、25日にJ.フロント リテイリング<3086.T>、26日にクスリのアオキホールディングス<3549.T>、ナガイレーベン<7447.T>、27日にウェザーニューズ<4825.T>、三陽商会<8011.T>が予定されている。
更に、23日に令和アカウンティング・ホールディングス<296A.T>、日本オーエー研究所<5241.NG>、25日にアルピコホールディングス<297A.T>、MIC<300A.T>、26日にGVA TECH<298A.T>、visumo<303A.T>、フォルシア<304A.T>、27日にビースタイルホールディングス<302A.T>が新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万8400~3万9700円前後。(岡里英幸)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/20 17:30
みんかぶニュース コラム
<注目銘柄>=アルファP、独自モデルで業績・株価好調のエンタメ株
アルファポリス<9467.T>の上昇基調が鮮明だ。同社は小説・マンガの投稿サイトを運営し、そこに投稿された作品の中からユーザー評価の高いものを書籍化する独自のビジネスモデルを手掛ける。マンガなど日本のコンテンツに対する海外からの人気が高まるなか、株式市場ではエンターテインメントに関連した銘柄への関心が高まりつつあり、同社もその一角として注目できる。
ヒット作の創出やアニメ化などのメディア展開が奏功し、業績は好調に推移している。25年3月期は売上高、営業利益とも過去最高を見込み、上場来初となる配当も計画する。中期的に海外販売の拡大を進める構えにあり、既に英語やフランス語圏でサービスを展開中だ。また、アニメ製作への出資を通じた収益拡大を目指す方針も掲げている。株価は好業績を背景に年初来高値圏を舞っている。(イ)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/20 10:00
みんかぶニュース コラム
20日の株式相場見通し=売り買い交錯、NYダウ下げ止まるも急激な円安は警戒要因
20日の東京株式市場は売り買い交錯のなかも、日経平均は前日終値近辺で強含みもみ合いとなることが予想される。前日まで日経平均は5日続落していたこともあり、値ごろ感からの押し目買いやショート筋の買い戻しが全体相場に浮揚力を与えそうだ。ただ、3万9000円近辺では戻り売り圧力も強く、上値は限られそうだ。前日は欧州株市場でドイツやフランスなどをはじめ主要国の株価が揃って下値を試す展開となった。その前の日に米国株市場が急落したことを受け、リスク回避目的の売りを誘発した。一方、米国株市場では前の日に大幅安した反動で、主要株価指数がリバウンドに転じたが上値は重く、取引終盤に値を消す展開に。NYダウはわずかながら11日ぶりに切り返したが、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数や機関投資家がベンチマークとして重視するS&P500指数は小幅マイナス圏で着地している。東京市場でも直近5営業日で日経平均が1000円あまり下落していたこともあって戻りに期待した買いが入りそうだが、はっきりしない地合いとなりそうだ。外国為替市場では足もと急激な円安が進んでいる。これは、前日の日銀金融政策決定会合後の植田日銀総裁の記者会見で、ハト派姿勢が強い印象をマーケットに与えたことが背景にある。株式市場にとっては追い風要因とはなるものの、一時1ドル=157円台後半まで進んだ急ピッチの円安に警戒感が浮上する可能性もある。朝方取引開始前に開示される11月の全国消費者物価指数(CPI)や、日本時間今晩に発表される11月の米PCEデフレーターなどへの注目度も高い。
19日の米国株式市場では、NYダウ平均株価が前営業日比15ドル37セント高の4万2342ドル24セントと11日ぶりに反発。ナスダック総合株価指数は同19.925ポイント安の1万9372.768だった。
日程面では、きょうは朝方取引開始前に総務省から発表される11月の全国消費者物価指数(CPI)、3カ月物国庫短期証券の入札、11月の食品スーパー売上高、11月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では12月の中国最優遇貸出金利、11月の米個人所得・個人消費支出物価指数など。
出所:MINKABU PRESS
2024/12/20 08:00
みんかぶニュース コラム
明日の株式相場に向けて=怒涛の中小型株「ビッグデータ関連」に照準
きょう(19日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比268円安の3万8813円と5日続落。5日続落は約3か月ぶりとなるが、それでも前日の米国株市場の波乱を考えれば下値抵抗力を発揮したといえそうだ。押し目買いというよりは、空売り筋がいったん手仕舞いに動いたことが思ったより押し幅が浅くなった背景にあるようだ。
FOMCでは0.25%の利下げが決定されたが、半日遅れの日銀金融政策決定会合では利上げが見送られた。日米ともに中央銀行の政策金利発表を目前に思惑が錯綜してはいたものの、「FOMCの利下げ実施・日銀の利上げ見送り」のワンセットは想定ラインとしては本命だったといえる。だが、前日の米国株市場は波乱展開を余儀なくされた。NYダウは1100ドル強の急落を見せたほか、相対的に強さを発揮していたナスダック総合株価指数もこの日は耐え切れず、下落率は3.6%に達しダウの下落率を大きく上回った。
ドットチャート・ショックというべきか。来年の金融政策見通しで、利下げ回数が前回時点の4回から2回に半減したことが嫌気された。今回の利下げについても12人のうち反対に回ったのは1人のみで、満場一致とはならずとも11対1の圧倒的な利下げ支持だったように見えるのだが、会合後のパウエルFRB議長の記者会見では「(利下げは)紙一重の判断だった」という発言が投資家心理を揺さぶるに十分なインパクトがあった。これはメンバー全員が“迷っていた”という状況を代弁したからにほかならない。
この日のナスダック指数のフラッシュクラッシュもどきの大陰線は、イベントドリブンではありがちだが、NYダウの日足チャートを見ると、それよりは深刻なムードが漂う。この日でダウは10営業日続落となり、これはオイルショック時の1974年以来、実に半世紀ぶりという。また、10営業日すべてが陰線というのも驚かされる。直近10本のローソク足を眺めると急勾配の坂道を転がってきて最後に崖から滑落したような形だ。下値支持ラインとして意識されていた75日移動平均線も踏み抜く格好となった。日経平均の方は日銀が利上げを見送ったが、FRBが示した文脈と足もとの円安進行を考えれば、来年1月の会合まで引き延ばさずに今回決めるべきだったという意見もある。きょうは日経平均の下値を支えた決断も、株取引終了後のドル買い・円売りの露骨な仕掛けが植田日銀総裁に無言のプレッシャーを与えていることはいうまでもない。
米国ではS&P500指数がPERで25倍前後の水準に達している。これは明らかに買われ過ぎの水準であるという主張は市場関係者の間にも少なくない。「PER25倍というのは益利回りに引き直して4%。米10年債利回りが4.5%前後でこれよりも低い。本来なら、株式のリスクプレミアムを考慮すれば益利回りは長期金利を大きく上回っていなければならない」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。この割高感はトランプ減税をはじめとする財政政策に期待した部分で肯定されるとの見方もあるが、トランプ政権が始動する前の段階で拠りどころとするには甚だ心もとない。一方、長期金利は今後さらに上昇傾向を強めることが予想される。
こうした局面での中長期投資は様子をみるところ。来年前半に拾い場がくることを前提にキャッシュ比率を高め、基本的に今はヒットアンドアウェイで対処したい。米株市場はビッグデータやAI、量子コンピューター周辺で中小型株が数倍化するケースが相次いでいる。ミーム株が多数含まれバブル的要素も拭えないが、トランプ新政権が始動する1月20日までに、この流れが東京市場にも押し寄せそうだ。そうしたなか、ビッグデータ関連ではTrue Data<4416.T>が一時ストップ高に買われる人気となった。これに次ぐ銘柄として、トランプ関連でもある共同ピーアール<2436.T>に注目。日本システム技術<4323.T>、ブレインパッド<3655.T>、BIPROGY<8056.T>なども併せてマークしたい。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に総務省から発表される11月の全国消費者物価指数(CPI)に市場の注目度が高いほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。また、午後取引時間中には11月の食品スーパー売上高や11月の主要コンビニエンスストア売上高が開示される。海外では12月の中国最優遇貸出金利が発表される。また、米国では11月の個人所得・個人消費支出物価指数にマーケットの関心が高い。このほか、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)も開示。(銀)
出所:MINKABU PRESS
2024/12/19 17:30