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注目トピックス 経済総合 ドル円今週の予想(11月17日)サンワード証券の陳氏 *17:45JST ドル円今週の予想(11月17日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について、『米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通し後退から、堅調に推移しそうだ』と述べています。続いて、『FRBが12月9、10日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の引き下げを見送るとの観測が広がっている』と伝え、『利下げで景気を刺激するとインフレ加速を招くとの懸念から、FRB高官が相次いで据え置き支持を示唆。米政府機関の一部閉鎖が解除されても重要物価統計は発表されておらず、追加利下げへの慎重な見方が強まっている』と説明しています。また、『過去最長の43日間で政府閉鎖は終了し、9月分の雇用統計は20日に発表される予定だが、10月分の米消費者物価指数(CPI)は発表されない公算が大きい。一連の高官発言を受け、市場の利下げ観測も後退している』と述べています。一方、『日本銀行の植田和男総裁は13日、政策判断で重視する基調的な物価上昇率について、物価安定目標である「2.0%に向けて緩やかに上昇している」との見解を示した。日銀は10月29、30日の金融政策決定会合で、6会合連続で政策金利を据え置いた』と伝えています。陳さんは、『利下げしにくくなったFRBと、利上げしにくくなった日銀の対比から、ドル買い・円売りが優勢となりそうだ』。ドル円の今週のレンジについては、『152.00円~156.00円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月18日付「ドル円今週の予想(11月17日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/19 17:45 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円今週の予想(11月17日)サンワード証券の陳氏 *16:47JST 南アフリカランド円今週の予想(11月17日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の南アフリカランド円について、『格付けの引き上げを受けて堅調に推移しそうだ。今週の南アフリカ中銀会合では、利下げが予想されているが、弱材料にはならないだろう』と述べています。続いて、『南アフリカは12日、インフレ目標を従来の3-6%から3%プラスマイナス1%ポイントに引き下げた。25年ぶりの調整となり、即日実施される』と伝え、『これで今週20日の南アフリカ中銀会合では、利下げする余地が整ったといえよう』と述べています。次に、『格付け会社S&Pグローバルは14日、南アフリカの外貨建て長期ソブリン格付けを「BBマイナス」から「BB」に引き上げた。格上げは約20年ぶりで、成長見通しの好転、財政見通しの改善、国営電力会社エスコムの業績好転に伴う偶発債務の減少を根拠に挙げた』と伝えています。また、『南アフリカ政府は13日、2036年または40年の五輪・パラリンピック招致を目指すと発表した』と伝え、『南アフリカのケープタウンは過去に04年大会の招致に臨んだが、投票で3位に終わり実現せず。今回の招致に成功すれば、アフリカ大陸初の五輪開催となる。ケープタウンは世界的な観光地としての知名度の高さから、開催候補地としてより現実的な選択肢と見られている。南アフリカは1995年のラグビーワールドカップ(W杯)、2003年のクリケットW杯、そして10年にはサッカーW杯を成功させている』と解説しています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.70円~9.00円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月18日付「南アフリカランド円今週の予想(11月17日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/19 16:47 注目トピックス 経済総合 中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:29JST 中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換:成長のナラティブから安全保障を基軸とした統治へ(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。※この論考は11月6日の<The Political-Economic Turn in China’s 15th Five-Year Plan Proposal: From Growth Narratives to Security Governance>(※2)の翻訳です。III. 台湾の戦略的・制度的リスク回避とサプライチェーン主権このように戦略がシフトする中、台湾はインド太平洋地域において、安全保障を基軸とする統治と開かれた制度が持つレジリエンスがせめぎ合う最前線の実験場となっている。中国政府は主権の問題と見なしているが、国際社会の多くは、対立する統治モデルの耐久試験だと捉えている。そのため台湾の戦略は国家の存続を超え、開かれた制度と技術的専門性が、安全保障を掲げる強大な競争相手の引力に耐えられるかどうかの試金石となる。台湾にとって、中国の安全保障重視への転換は、分断や譲歩ではなく制度的リスク回避とサプライチェーン主権の必要性を高めている。台湾政府は、経済地理、技術的非対称性、強制手段が交錯する戦略的環境で舵取りをしている。中国政府が安全保障のロジックを強化すれば、台湾の行動範囲を狭めるだけでなく、台湾の制度上の優位性(法の支配の信頼性、テクノロジーの透明性、同盟と整合する規制枠組み)を活用して信頼できる経済・安全保障構造に加わろうとする動きを後押しすることになる。台湾の重要性は、中国の安全保障化された発展型国家を模倣することではなく、規制面での差別化とバリューチェーンに不可欠な存在になることにある。つまり、半導体で主導権を確立し、強靭なサプライチェーンガバナンスを制度化し、インド太平洋・欧州全域で戦略的パートナーシップを拡大することだ。これはイデオロギーによる連携ではなく機能的な主権であり、半導体エコシステム、重要インフラ、サイバーセキュリティ、人材交流、データガバナンス全体にレジリエンスを組み込むことである。台湾は規模で競うのではなく、システムの信頼性と明朗な制度で勝負している。二極化するインド太平洋地域で、究極の戦略的通貨は規模ではなく信頼性だ。中小国が二者択一の圧力に直面するこの地域で、台湾政府の姿勢は第三の道を体現している。それは、開放されていながら安全保障を確保する道であり、国際社会に組み込まれていながら主権を手放さない道だ。課題は、技術的資産と民主的正当性を、地域にとって恒久的に意義あるものへと転換することだ。戦略的同調だけでなく、統治能力と規範をともに構築する中でこれを行う。中国が安全保障を基軸とした現代化を体系化する中、台湾は対抗するビジョン(透明性のあるイノベーション、信頼される接続性、制度的多元主義)を明確にして運用化するとともに、そうしたビジョンをルール化、標準化し、協調安全保障体制に転換する必要がある。IV. 地域への影響:日本、ASEAN、そして安全保障の波及効果この方針転換は地域に重大な影響をもたらす。新興国にとって、中国との関与には制度的な整合性と安全保障上のゲート設定がますます必要となっている。多国籍企業にとっては、市場参入は単なる商業的選択ではなく政治的立場の表明となる。小国にとっては、中国の存在は資本や貿易だけでなく、規範、制度、安全保障上の動向にも影響する。日本はすでに対応している。中国が自らの位置付けを安全保障優先の現代国家に転換する中、日本政府は同盟中心の戦略、技術連合、重要サプライチェーンの強化、制度的レジリエンスにさらに注力している。中国のシフトによって、日本の「安全保障・テクノロジー・同盟関係の三位一体」が加速し、日米の経済安全保障協力が深まっている。一方、東南アジア諸国ではより重層的な対応が見られる。中国との関係はもはや純粋に経済的な問題ではなく、安全保障を外部に握られることにもなる。その結果、ASEANの中堅国は選択的関与という道を取っている。つまり貿易や生産では関係を維持しつつ、デジタルガバナンス、重要インフラ、新技術の導入においては統制を強化している。これはイデオロギー的なリスク回避というより、制度の二極化という状況下で自律性を維持するための現実的な選択だ。V. 新たなKPI(重要業績評価指標)を掲げる体制:政治的・制度的実績第15次5カ年計画の建議は、技術官僚的なロードマップではなく、中国の統治モデルの憲法的宣言として読むことができる。現代化は数値的拡大ではなく、統制・安定・政治的指揮という枠組みで語られる。中国は自らを新興市場の巨人というより安全保障を重視する主権国家と位置付けており、長期的な競争と制度の自衛に備えている。中国と主要国との競争はもはや「どこが速く成長するか」ではなく、どの体制が逆境に耐え、指揮系統を統制し、テクノロジーを支配し、ナラティブの権威を維持できるかという問題になっている。これは国際秩序の今後を再定義するものであり、インド太平洋地域で舵取りをする国々にとって構造的な課題だ。中国の道筋は、現代化が開放性や市場ではなく、レジリエンス・隔離・中央集権的政治権力で規定される未来を示唆している。今後の見極めのポイントは、世界がこのモデルを受け入れるかどうかだけでなく、中国が複雑な地政学的リスクや国内問題の圧力に直面し、断片化した世界経済で長期的な競争が予想される中で、このモデルを維持できるかどうかにある。成功の基準はGDPの数字ではなく、安全保障を基軸とする中国の現代化が、恐れなきイノベーションと、市場の信認なき繁栄を実現し、相互の開放がないままでも世界に影響力を行使できるかどうかにある。要塞型の安定と柔軟なバイタリティとの間に未解決のまま横たわる緊張が、中国の次の10年とそれを取り巻く地政学的構図を決定づけることになるだろう。要するに、第15次5カ年計画は単なる発展計画ではなく、中国が21世紀をどう生き延びようとしているのか、そしてその方針に地域がどう適応すべきと考えているかを宣言したものなのだ。2025年 中国共産党 第20期中央委員会第4回総会(4中総会)(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6871 <CS> 2025/11/19 10:29 注目トピックス 経済総合 中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:23JST 中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。※この論考は11月6日の<The Political-Economic Turn in China’s 15th Five-Year Plan Proposal: From Growth Narratives to Security Governance>(※2)の翻訳です。10月28日、新華社は「国民経済・社会発展第15次5カ年計画の策定に関する中共中央の建議」の全文を配信した。国際的な混乱が加速し、国内でも複雑な逆風が吹く中で公表されたこの建議で、中国政府は自国の発展状況に関する政治的見解を示している。産業の高度化や技術的自立から国家安全保障に至るまで、構造的課題に対する指導部の認識を示し、今後5年間の望ましい統治の道筋を概観している。ただし、改革・成長・効率が中国発展のナラティブを支えていた過去40年間と比べると、この文書には顕著な軌道修正が表れている。経済拡大は依然として重要ではあるものの、政治的安全保障、制度的安定、技術的主権、言説支配よりも下位に置かれるようになった。言い換えると、中国の現代化はもはや成長実績だけで測られるのではなく、国家が安全保障を統制し、秩序を維持し、統治システムを動揺から守れるかどうかで評価される。これは戦術的調整ではなく、地政学的競争の激化、国内の構造的緊張、そして国家安全保障を広い視点で捉えようとする時代の中で築かれた統治哲学を制度化するものだ。I. 成長よりガバナンス:安全保障のロジックの優位建議の文言自体、示唆に富む。「安全保障」「自立」「質の高い発展」「統治」といった言葉が目を引く一方で、「改革」「市場」「開放」など、かつて主流だった表現は安全保障の文脈の中に組み込み直された。並行する政策(プラットフォーム経済の是正、データセキュリティ法、反スパイ法の施行、輸出管理体制の再構築)からは、経済、資本、テクノロジーを国家安全保障ガバナンスという柱と一致させる明確なロジックが見て取れる。これは単なる発展方針の転換ではなく、安全保障を中心とした現代化と制度的ナラティブの登場であり、長期にわたる体系的な競争に備えるものだ。この転換は突発的でも偶発的でもない。国外からの戦略的圧力、国内経済の調整、そして中央集権体制の持続に対する指導部の信念が重なった結果だ。この枠組みの中では、経済成長は基盤ではなく手段である。体制のレジリエンス、政治的安全保障、戦略的持続性を実現する手段であって、それ自体が目的というわけではない。第14次5カ年計画からの重要な転換点として、成長目標や所得水準、2035年の数値目標はあえて明記されなかった。国外のアナリストは「中進国」の一人当たり所得としてよく2万5000米ドルという数字を引用するが、中国政府はそのような目標を明文化しなかった。中国の政治言語において、省略は意図的なものだ。中国政府は不確実性を認識しており、政治的余地を制約しかねない実績指標を拒否した上で、数値的な説明責任よりもナラティブの主権を優先している。内需、双循環、テクノロジーの進歩といった経済のテーマは残しつつも、政治的ロジックは市場の信認から国家の統制へとシフトした。不動産サイクルに起因する家計のバランスシート圧迫、地方財政の制約、社会福祉負担の偏り、若年層の雇用ミスマッチ、民間部門の不安定な景況感など、構造的摩擦は根強い。市場のダイナミズムに代わって導入されたのは、「国家戦略」「産業指針」「科学技術のブレークスルー」だ。しかし、こうした置き換えは政治化のリスクを高める。今では従来の効率指標より、政策へのアクセス、セキュリティ指定、サプライチェーンに組み込まれることが重視視されるようになった。II. 発展技術戦略からリスクガバナンスへこうした環境下でテクノロジーは再定義され、生産性の原動力だったものが、国家安全保障とイデオロギー統一の手段になった。重視されるのは単にイノベーションを起こすだけではなく、技術的従属を回避することだ。自律性は競争力であると同時に生き残るための力になる。イノベーションは、安全保障が確保された政治的境界内で起こす必要がある。国家が求めるのは新たなテンセントやアリババではなく「ボトルネックの排除」であり、これはダイナミズムを犠牲にしてでも実現しなければならない。したがって、「開放」という言葉は残されているが、その使い方は変化している。新たなモデルは選択的、保護的、主権中心であり、グローバルに参画しつつも防衛上の境界と体制の隔離は維持する。「世界から学ぶ」と同時に、「世界を選別する」ようになったのだ。中国はかつて「成長+効率」を国力の基盤としていたが、今では「統制+安定」を重視している。正当性は発展の実績から安全保障の実績へとシフトしている。これは守りでもあり自己主張でもある。中国政府は自らが「100年に一度の重大な世界的変化」の決定的局面にあると見ている。この変化の中で、外部環境は以前ほど寛容ではなくなり、サプライチェーンの信頼性は低下し、技術協力は政治利用され、地政学的な不信感がはびこるようになった。国家は今や、経済サイクルに従って政治を律するのではなく、政治的安全保障の基準を満たすために経済を律するようになった。グローバル化は条件付きとなり、武装化され、選別され、選択的なものとなった。これは事後的な危機管理ではなく、中国が統治のロジックを体系的に再設計したことを示す。中国政府はその場しのぎで動いているわけではない。レーニン主義的な組織統制、技術産業の主権獲得、安全保障優先の統治に根差した体制の維持という理論を運用しているのだ。実際、これによって中国の道筋は長期にわたる「要塞型の現代化」、つまり中央集権による政治の指揮、イノベーションチェーンの隔離、世界との選択的な関与というパラダイムに沿ったものになる。中国政府は自給自足に回帰するというより、安全保障回廊(資本チャネル、信頼できる技術パートナー、同盟関係によって選別された供給網、政治的に選別された情報フロー)を通じた開放を描こうとしている。これは、長期化する制度的対立を見据えた現代の権威主義的レジリエンスを示すものだ。「中国の第15次5カ年計画の建議に見る政治経済の転換:成長のナラティブから安全保障を基軸とした統治へ(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。2025年 中国共産党 第20期中央委員会第4回総会(4中総会)(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6871 <CS> 2025/11/19 10:23 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米雇用状況引き続き冴えず *08:05JST NYの視点:米雇用状況引き続き冴えず 米政府機関再開に伴い経済指標も少しずつ発表されている。労働統計局がウェブ上で発表した先週分新規失業保険申請件数(10/18)は23.2万件と、9月の中旬から水準はあまり変わらず。失業保険継続受給者数(10/18)は195.7万人と8月来の高水準となった。ただ、労働市場が急速に減速している証拠ではない。一方、調整前の週ベースの申請件数では増加が見られる。特に、ワシントンDC、ヴァージニア州、メリーランド州での増加が目立つ。チャレンジャー・アンド・クリスマスの10月人員削減数が加速したこともすでに明らかになっている。民間のADPが発表した民間部門雇用者数の11月1日までの4週にわたる週平均は2500人減少だった。前回10月25日までは、11250人の減少だった。労働市場は引き続き冴えないが、前回からは大幅回復で、新規雇用も増えていることが指摘されている。ADPによると、10月の新規に採用された従業員は全従業員の4.4%を占めた。前年の3.9%から加速。通常、雇用の加速は、消費や経済動向に連動していたが、最近は必ずしもそうとは言えない。退任した従業員のポジションを新たな従業員が埋めたことがその原因のひとつになっている可能性が一部で指摘されている。雇用の回復とは言えないと懐疑的見解も少なくない。 <CS> 2025/11/19 08:05 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米11月NY連銀製造業景気指数は1年ぶり高水準、労働市場持ち直した可能性も示唆、ADPで確認へ *07:47JST NYの視点:米11月NY連銀製造業景気指数は1年ぶり高水準、労働市場持ち直した可能性も示唆、ADPで確認へ 米11月NY連銀製造業景気指数は+18.7と、10月+10.7から低下予想に反し上昇し、昨年11月以降1年ぶり高水準となった。2カ月連続のプラス。11月3日から10日の間に調査は実施された。政府機関再開により11月の指標として初めての指標のひとつとなった同指数は経済が堅調な証拠となった。重要項目の新規受注や出荷の著しい伸びが指数を押し上げ。強い需要で雇用も改善した。物価は低下基調にあるものの、引き続き高止まりとなった。平均労働時間は7.7と年初来で最高となった。3カ月ぶりのプラスと、労働市場の持ち直しの可能性も示唆された。一部、連邦準備制度理事会(FRB)高官が労働市場よりもインフレ対処に焦点を置きたいとしている見解を後押しする結果となった。明日18日には民間指標となるADP週次雇用者の暫定数が発表されるため、労働市場の最新の状況をさらに確認していく。◇米11月NY連銀製造業景気指数:18.7(10月:10.7)新規受注:15.9(3.7)仕入れ価格:49.0(52.4)販売価格:24.0(27.2)出荷:16.8(14.4)雇用:6.6(6.2)受注残:-5.8(-3.9)週平均就業時間:7.7(-4.1)入荷遅滞:7.7(3.9)在庫水準:6.7(-1.0)6か月先景況指数:19.1(30.3)仕入れ価格:62.5(65.0)販売価格:41.3(43.7)新規受注:23.3(34.9)出荷:23.3(31.6)入荷遅滞:1.0(5.8)在庫水準:8.7(7.8)受注残:1.0(5.8)雇用者数11.9(7.5)週平均就業時間:5.8(9.7) <CS> 2025/11/18 07:47 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、加、英、日本のCPI *07:40JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC議事録、加、英、日本のCPI 今週は12月連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げの行方が不透明となる中、10月28-29日に開催されたFOMC会合の議事要旨に注目される。さらに、9月の雇用統計も発表されるため、注目される。10月28-29日に開催分FOMC会合の議事要旨で、追加利下げを巡る当局者の考えをさらに明らかにする。連邦準備制度理事会(FRB)はこの会合で25ベーシスポイントの利下げを決定、バランスシートの解消(償還に伴う保有証券減少)を12月1日で終了すると明らかにした。米国の労働市場の減速を受け、市場は12月の利下げを確実視していたが、会合後の会見でパウエルFRB議長は、12月の利下げを巡り「決定事項ではない」としたため、利下げ確率が急速に低下した。その後も、労働市場のリスクよりもインフレリスクが上回るとのFRB高官の発言が目立つ。FRBはすでに「鉱工業生産統計の18日発表を延期する」と発表。一方、労働統計局が20日に発表予定の9月分で労働市場の減速が示されると、利下げ観測が再び強まる可能性も残る。そのほか、カナダや英国、日本の物価統計も注目材料となる。10月の日本の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアCPIが3.1%上昇と、前月の3.0%から加速したと予想されている。日銀の12月利上げ観測を正当化すると、円買いが優勢となる可能性がある。■今週の主な注目イベント●米国17日:NY連銀製造業活動指数、ウォラーFRB理事、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ウィリアムズ米NY連銀総裁が講演18日:バーキン米リッチモンド連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁が講演19日FOMC議事録、ウィリアムズ米NY連銀総裁講演20日:9月雇用統計、中古住宅販売、グールズビー米シカゴ連銀総裁が講演21日:ミシガン大消費者信頼感、製造業PMI●加17日:CPI、住宅着工21日:小売売上高●日本17日:GDP、鉱工業生産19日:貿易収支、機械受注21日:CPI、製造業PMI●欧州17日:デキンドスECB副総裁が講演19日:ユーロ圏CPI21日:ユーロ圏製造業PMI●英国19日:CPI21日:製造業PMI、小売売上 <CS> 2025/11/17 07:40 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:7-9月期の日本経済は大幅なマイナス成長に *14:42JST 国内外の注目経済指標:7-9月期の日本経済は大幅なマイナス成長に 11月17日-21日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■17日(月)午前8時50分発表予定○(日)7-9月期国内総生産-予想:前期比年率-2.4%アメリカの高関税政策による輸出の減少と、法改正前の駆け込み需要の反動による住宅投資の大幅な落ち込みによって大幅なマイナス成長となる見込み。ただ、輸出については自動車関税引き下げにより、10月以降はある程度持ち直す可能性がある。■19日(水)午前8時50分発表予定○(日)10月貿易収支-9月実績は-2374億円参考となる10月上中旬の貿易収支は-3076億円で赤字幅は前年同期比-27.1%。前年10月の貿易収支は-4723億円であったことから、今年10月についてはこの水準を下回る赤字額となる可能性が高い。■20日(木)午後10時30分発表予定○(米)9月雇用統計-8月実績:非農業部門雇用者数は前月比+2.2万人、失業率は4.3%8月時点で労働市場の減速が進んでいることが確認されており、9月時点でもこの状況は変わらないとみられる。非農業部門雇用者数は8月実績を上回る可能性があるものの、10月以降は再び悪化しているとみられる。■21日(金)午前8時30分発表予定○(日)10月全国消費者物価コア指数-予想:前年比+3.0%参考となる9月実績は前年比+2.9%。食料や通信料金の値上がりが要因。10月もこの状況は変わらないため、物価上昇率は9月実績と同水準または上回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・19日(水):(英)10月消費者物価指数、(米)10月住宅着工件数・20日(木):(米)10月中古住宅販売件数・21日(金):(欧)11月ユーロ圏製造業PMI、(米)11月製造業PMI <FA> 2025/11/15 14:42 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米金利とドルは逆行、12月FOMC利下げ確率は50%まで低下 *07:50JST NYの視点:米金利とドルは逆行、12月FOMC利下げ確率は50%まで低下 本年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つコリンズ米ボストン連銀総裁は、金利を当面据え置くことを支持するとしたほか、「追加利下げの壁は高い」と利下げに慎重姿勢を表明した。同じく、本年の投票権を有する米セントルイス連銀のムサレム総裁は金利が中立水準に近づくに連れ、注意深さが必要と主張。米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も、「米国経済に注意深く楽観的」との見解で、12月FOMCの利下げ判断は「時期尚早」で「オープンマインドだ」とした。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はインフレが高過ぎ、経済には柔軟性があり、10月の利下げは支持しなかったと指摘。12月利下げを巡り強い見解はまだないと加えた。連邦準備制度理事会(FRB)高官が軒並み追加利下げに消極的な見解を示し、一時100%近く織り込まれていた12月利下げ確率が50%割れまで低下した。12月FOMCの政策判断で重要な消費者物価指数(CPI)の10月分は発表されない公算。雇用統計は、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長によると、「10月雇用統計で、家計調査が実施されず統計の半分しか得られていない。雇用者数は公表されるが失業率は公表されない。これは1カ月分だけの措置」「9月分の雇用統計は来週公表される可能性がある」と指摘。労働統計局のスケジュール発表待ちとなる。政府機関再開により、12月9日、10日に開催される前、11月雇用統計や11月CPIは公表される。ドル指数は年内の利下げ観測後退に11月初旬に一時心理的節目の100を突破し100.31まで上昇。200日移動平均水準(DMA)に達した。その後は、心理的節目や200DMAが強いレジスタンスとなり、伸び悩んでいる。 <CS> 2025/11/14 07:50 注目トピックス 経済総合 金は週明けに大幅上昇で押し目完了 サンワード証券の陳氏 *17:53JST 金は週明けに大幅上昇で押し目完了 サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は週明けに大幅上昇で押し目完了』と述べています。続けて、『先週のNY金(12月)は、米政府機関の一部閉鎖の長期化などを背景に安全資産として買われ、底堅く推移した。週終値は1オンス=4009.80ドルと大台を回復して引けた』と伝えています。また、『米経済指標も芳しくなく、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げが想起された』と述べています。そして、『11日のNY金は、米政府再開後の経済指標発表を控えて利益確定売りが強まり3営業日ぶりに反落。前日比5.70ドル安の4116.30ドル。米上院は10日、つなぎ予算案の修正案を可決し、下院に送付した。下院での再可決後にトランプ大統領の署名を経て成立する見通し。史上最長となった米政府機関の再開に向けて前進が見られる中、市場は再開後の経済指標発表に向かった』と伝えています。一方、『政府機関再開のニュースが出ても金の現物需要は堅調。金ETFは先週6日から増加傾向にあり、11日には前日比4.3トン増の1046.36トンとなった』と伝えています。陳さんは、『NY金(12月)は3500ドルを上値抵抗線とするもち合いが4月中旬から8月下旬までおよそ4か月続いた後に、わずか2か月余りで900ドル(およそ25.7%)も上昇した。10月20日高値4398ドルと28日安値3901.3ドルにフィボナッチ比率を当てはめると、戻りの目安は、0.38倍=4090ドル、0.5倍(半値)=4150ドル、0.62倍=4210ドルが算定される。11日には4155ドルの高値を付けており、半値戻しは達成された。4150ドルに水準が切りあがれば4200ドルに向けて上昇しよう』と考察しています。また、『ドル円は1ドル=155円が目前に迫り、片山財務相から円安牽制発言が出て、円安進行にブレーキがかかった。ただ、ドルの地合いは強く153~154円で推移している。』と述べ、『OSE金は、10月20日高値22288円と28日安値19413円にフィボナッチ比率を当てはめると、戻りの目安は、0.38倍=20506円、0.5倍(半値)=20850円、0.62倍=21200円が算定される。既に20850円に達しているため、半値戻しを終えて、21000を目指す展開から、22000円に向けて上昇する可能性が高まろう』と述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月12日付「金は週明けに大幅上昇で押し目完了」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/13 17:53 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米インフレは低下軌道維持か、燃料価格下落に加え関税軽減策が支援へ *08:01JST NYの視点:米インフレは低下軌道維持か、燃料価格下落に加え関税軽減策が支援へ 米国政府機関の閉鎖終了のめどがついた。議会上院がつなぎ予算案を可決、下院は12日夜の採決で案が可決される見込みで政府機関の再開に一歩近づいた。しかし、一連の経済指標の発表は引き続き遅れる可能性がある。今週は13日に連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策決定において重要視しているインフレ指標のひとつ10月消費者物価指数(CPI)が発表予定だったがホワイトハウスは同指数と10月雇用統計の発表されない可能性が高いと明らかにした。統計局は政府機関閉鎖中にもかかわらず連邦公開市場委員会(FOMC)前であったこともあり10月24日に特別に9月CPIを発表した。現状で、中間のエコノミスト予想によると10月総合CPI前月比で+0.2%と、9月+0.3%から伸び鈍化予想。特にFRBが注視しているコア指数は前月比+0.3%と、+0.2%から加速が見込まれている。ただ、前年比では総合、コア両方とも+3.0%と、9月と同様の伸び予想で、インフレの大幅な加速は予想されておらず、12月の利下げを正当化すると見られている。ベッセント米財務長官は12日のインタビューで、アフォーダビリティ、手頃感を改善するためトランプ大統領が2、3日中にコーヒーやバナナなどに対し関税軽減策を発表することを明らかにした。来年の第1四半期、第2四半期には物価が下がり、アフォーダビリティーが改善するはずと主張した。トランプ大統領就任以降、ガソリン価格は23%下落、ガス代も下がっている。今後のディスインフレをさらに助長すると見られる。 <CS> 2025/11/13 08:01 注目トピックス 経済総合 中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:28JST 中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。※この論考は11月3日の<China’s Linguistic Offensive Against Taiwan: When Words Become Sovereignty>(※2)の翻訳です。V. 文明論的レトリックとAI時代の言葉の力中国政府のナラティブ戦略は、「文明国家」を標榜するようになったことと切り離せない。習近平体制下では、言葉は単なる道具ではなく、体制を正当化する柱である。共産党は今や「中国式現代化」を、自由民主主義に代わる道徳的・統治的パラダイムとして組み込もうとしている。こうしたイデオロギーの再定義には次の3つの目的がある。1.文明的正当性 - 中国共産党を多くの政府の一つではなく、西洋の規範的批判を超越した文明秩序の守護者と位置付ける。2.解釈の支配 - 解釈そのものを主権の領域として扱い、歴史とアイデンティティの定義を支配の一形態とする。3.技術政治的な増幅 - AIを活用したメディアのエコシステム、レコメンデーションアルゴリズム、合成ペルソナを展開し、国内外でナラティブの支配を運用化する。したがって「鍾台文」の活動は、文明的ナショナリズム、制度的安定、デジタル権威主義の融合という、より大規模な戦略の一環に位置付けられる。このモデルでは、言葉は単に何かを伝えるものではなく、統治だ。台湾をめぐる争いは単なる領土問題ではなく、認識論的な争いである。すなわち、現代性、正当性、そして中国語圏の未来を誰が定義するかという争いなのである。情報エコシステムはAI時代に入り、ナラティブの主権が国家安全保障の最前線となっている。台湾や他の民主主義国にとって、真実を守ることはもはやジャーナリズムや広報外交だけの問題ではなく、戦略的生存の問題だ。VI. 地域への影響とナラティブの防衛中国政府によるナラティブの攻勢は台湾だけを標的としたものではない。東アジアの戦略的言説を書き換えようとする広範な試みの一環だ。中国は「主権競争」を「共同発展」に置き換え、制度の浸透を「運命共同体」というレトリックで覆い隠そうとしている。東南アジアでは、インフラ資金調達や経済外交が地政学的影響力の行使ではなく「ウィンウィンの協力」と位置付けられている。インド太平洋地域では、日米主導の民主主義的な連携に対抗して、「平和的台頭」というナラティブが使われている。日本などその他の地域の民主主義国にとって、その戦略的危険性は明らかだ。平和をめぐる中国の語彙が広く受け入れられるようになれば、民主主義的な安全保障のナラティブは追いやられるおそれがある。したがって、台湾と日本は協力関係を軍事的な相互運用性や技術に限定することはできない。以下3つの具体的な次元で「ナラティブの防衛」にも拡大する必要がある。1.制度 - ルールに基づく多国間主義を守り、一義的な政治言語が国際環境を支配することを防ぐ。2.メディアや知識のネットワーク - ジャーナリズムやシンクタンクが国境を越えて連携し、偽情報や言説の支配に対抗する。3.文化的ストーリーテリング - アジアの経験に根差した民主的近代性のナラティブを推進し、この地域に適しているのは「中国式現代性」だけだとする虚構に対抗する。中国は、平和の旗印を掲げて支配を進めることに長けている。しかし民主主義には独自の対抗能力がある。それは多様性だ。台湾の経験は警告であり、教訓でもある。主権は戦車ではなく言葉によっても脅かされる。VII. 結論:言葉の境界で現実を防衛する「鍾台文」の出現は偶然ではない。これは中国の政治手法における転換点を示している。つまり、「力による外交」から「意味論的統治」への移行だ。この新たなパラダイムでは、概念が強制に取って代わり、言説の常態化が制度上の併合に先行する。しかし言葉での勝利と政治的勝利は同じではない。体制が言葉による独占に固執するのは、往々にして正当性への不安からであることを歴史が教えている。台湾の存在そのもの、すなわち多元的で民主的かつ自治的な存在は、中国が押し付けようとする覇権的ナラティブを崩壊させるものだ。したがって民主主義を守るには、反論するだけではなく発信し続けることが必要だ。台湾が自らのストーリーを自らの言葉で明確に語り続ける限り、言葉の境界線は開かれたままであり、主権は生き続ける。台湾の課題は軍事的圧力に耐えることだけでなく、言語と現実が交わる境界で声を上げることだ。力が未来を書き換え、過去を塗り替えようとするとき、唯一の真の抵抗は真実を語ることだ。それも繰り返し、何度も。国家を守ることはその語彙を守ることだ。民主主義を守ることはその言語を守ることだ。台湾は他者のナラティブの対象となるだけでなく、自らも自身のナラティブを紡いでいかなければならない。台湾・台北 中正紀念堂で国旗掲揚式(写真:AP/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6850 <CS> 2025/11/12 10:28 注目トピックス 経済総合 中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:22JST 中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。※この論考は11月3日の<China’s Linguistic Offensive Against Taiwan: When Words Become Sovereignty>(※2)の翻訳です。ここ数週間、中国政府は「台湾光復節」の制定を発表し、新華社通信を通じて「鍾台文」という筆名で「中華民族の復興」「平和的再統一」「共通の文化的ルーツ」などのテーマを取り上げた一連の論考を配信した。一見するとこれらの文章は冷静かつ理性的で、融和的な印象を与える。しかし実際には、はるかに戦略的な意味があり、慎重に計画された「ナラティブ戦争」の一翼を担っている。この戦いの武器はミサイルではなく、言葉だ。その目的は説得ではなく定義にある。中国政府の考えでは、現代において権力は強制力によってのみではなく、言葉で現実を操ることでも行使できる。I. 言葉を利用した政治:「光復」から「再統一」へ中国の政治用語において、言葉は決して中立ではない。中国政府は「台湾光復」を政治日程に組み込むことにより、「言葉の上での支配権獲得」とも言える行為に出ている。こうしたナラティブの再構築は、主権への野心を柔らかい言葉で包み込んでいるのだ。つまり、「統一」を「光復」に置き換えることで、歴史的に正当性があるように思わせ、未来を併合ではなく「自然な回帰」として描こうとしている。この戦略は、まさに香港で起きたことを思わせる。1997年以降、「港人治港(香港人による香港統治)」の原則は、次第に「愛国者治港(愛国者による香港統治)」に置き換えられていった。まず政治言語が書き換えられ、次に制度が続き、ナラティブが常態化した後で統治構造が変容したのだ。中国政府は今、これと同じやり方を台湾にも適用しようとしている。言葉を通じて現実の政治条件をあらかじめ整えようとしている。台湾にとって、これは歴史の解釈をめぐる議論ではない。主権を侵害する行為だ。「光復」という言葉が国際的な言説として受け入れられるようになれば、台湾の存在そのものが、中国文明の延長線上に連なるものとして再定義されてしまうおそれがある。ナラティブ戦争が巧妙なのは、まさにこの点にある。強制するわけではないのに、認知的境界が微妙にシフトするのだ。服従を強いるのではなく、想定しうる境界を再定義することで力を行使する。II. ペースと目的:国家が仕込むナラティブの急増「鍾台文」の論文はメディアのエコシステムの中で自然発生したものではない。新華社とCCTVで連動して配信されたということは、国家レベルの広報活動であることを示している。内容は「世論」や「平和」といった言葉で包まれているが、以下で説明するように、その対象者と目的に二面性があるのは間違いない。国内ではナショナリズムの信念を強化し、「再統一」を歴史の必然的な道筋として常態化する。国際的には、中国政府を合理的で平和を求める当事者として位置付けつつ、台湾の民主的な訴えを常軌を逸した行為、または不安定化要因としてその正当性を否定する。これは単なるプロパガンダではない。それは「政策に先行する工作」だ。「平和的再統一」「運命共同体」「血のつながりと伝統」といった言葉を繰り返し発信することで、中国政府は「先延ばしにされている必然性」という心理的枠組みを構築している。つまり、統一は突然でも強制でもなく、歴史の自然な成り行きというわけだ。その論理は単純で、すでに聞き慣れたナラティブなら、いずれ政策が実行に移されても抵抗は弱まる。同じ言葉を繰り返すのは、レトリックの多用ではなく政治的な地ならしだ。III. 平和のレトリックと分断の論理中国政府にとって最も効果的な政治的ツールは「平和」の呼びかけであることが多い。「鍾台文」の文章は「平和的発展」や「対話とウィンウィンの協力」を強調しており、冷静な合理性を演出している。だがこれは、「まず言葉、次に制度」という体系的な順次戦略の一環だ。「平和的統一」は強制の放棄を意味するわけではない。むしろ、それは「認知的な分割統治の戦術」だ。仮に台湾が中国が求める条件での政治対話を拒否すれば、中国は台湾を平和を妨げる側として描く一方で、自らを対話を求める理性的な側として演出できる。このようにレトリックを反転させることで、国際社会を偽りの道徳的同等性、つまり「どちらの側も挑発は避けるべき」と思わせる罠に誘い込む。台湾の大陸委員会が簡潔に指摘したように、中国政府のいわゆる「愛国者による台湾統治」は、「正当性を欠いた見せかけの香港モデル」だ。重要なのはうわべの言葉ではなくその実像だ。「鍾台文」のレトリックは和解ではなく服従を、対話ではなく支配を目的としている。IV. 戦略的意図:言説主権を再び国家の管理下に「鍾台文」事象には、中国政府が「言説主権」を改めて国の管理下に置こうとしているという、より深い意味がある。これは長期的な政治プロジェクトで、中国、台湾、そして世界が両岸問題を理解する上で語られる言葉への支配を取り戻そうとしているのだ。この取り組みは、相互に連動する次の3つのメカニズムで機能する。1.認知的な先手。行動を起こす前に、意味論的な領域を掌握する。「統一」を「光復」に、「分離主義」を「誤解」とすることで、中国政府はすでに心理戦の場を形成している。2.制度的演出。言葉によって政治の基盤を整える。ナラティブが定着すれば、その後の法的手段や行政措置に対する抵抗が和らぐ。3.世界規模の共鳴操作。中国政府は、外交ルート、友好的シンクタンク、メディア網の影響力を通じて、解釈の枠組みを世界に発信している。時間の経過に伴い、台湾は民主的なパートナーではなく「一つの中国」という枠内の「国内問題」として、言葉の上で位置付けが再定義されるおそれがある。この枠組みでは、言葉によって統治が行われる。国境は地図上ではなく人々の意識の中で引き直される。中国政府はもはや支配権を主張するために領土を独占する必要はない。つまり、心理的な独占をはかっているのだ。台湾にとって、最前線はすでに言葉の領域に移っている。主権は法と安全保障の能力だけでなく、現実を定義する権利にも宿る。ナラティブの主権が崩壊すれば、制度的主権もすぐに崩壊してしまう。「中国の台湾に対する言論攻勢:言葉が主権になるとき(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。台湾・台北 中正紀念堂で国旗掲揚式(写真:AP/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6850 <CS> 2025/11/12 10:22 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米民間の10月雇用データ、雇用の急速な悪化示唆、FRBの年内の利下げ正当化 *07:43JST NYの視点:米民間の10月雇用データ、雇用の急速な悪化示唆、FRBの年内の利下げ正当化 米民間ADPが発表した統計で、10月25日までの4週間の民間雇用は週ベース平均11250人減だった。急速に雇用ペースが減速した証拠となった。ADPが5日に発表した10月の月次雇用統計では4.2万人増と、8月0.3万人減、9月2.9万人減と2カ月連続減少後、プラスに回復していた。ADPとStanford Digital Economy Labが週ベースのデータを最近開始した。毎週火曜に暫定的な4週平均の民間雇用を発表。より最新の民間の労働市場の動向を反映すると説明している。Stanford Digital Economy Labは民間従業員2600万人以上または、米国内で6人に1人の匿名給与データを扱うという。ADP雇用統計と1カ月遅れで週ベースのデータを発表。連邦職員の雇用状況は反映されないが、政府機関閉鎖のため週次失業保険申請件数などの最新データが限定的となる中、民間のデータに注目が集まる。ADPの週次データが雇用削減を示したほか、チャレンジャークリスマスが発表した10月の人員削減数も前年比175.3%と急増。約20年で最多に達するなど10月の雇用は急激に悪化した可能性が示唆された。連邦準備制度理事会(FRB)の年内の利下げも正当化する。 <CS> 2025/11/12 07:43 注目トピックス 経済総合 ドル円今週の予想(11月10日)サンワード証券の陳氏 *17:47JST ドル円今週の予想(11月10日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について、『上昇してもドル買いは長続きせず、上値の重い展開になりそうだ』と述べています。続いて、『パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」と言明し、想定よりもタカ派寄りと受け止められた』と伝え、『ただ、FRB内部では、利下げに関しては意見が分かれており、政府閉鎖による経済指標発表の遅れは、市場に不透明感をもたらしている。CMEグループのデータによると、金利先物市場が織り込むFRBが12月の次回会合で0.25%の追加利下げを行う確率は70%前後で推移しており、10月のFOMCの90%超えから低下している』と述べています。一方で、『10月30日の日銀会合では、政策金利の据え置き(0.5%)が決定されたが、植田日銀総裁の記者会見は、ややハト派的と受け止められた。ただ、週明け10日に好評された「主な意見」では、政策委員から追加利上げの時期が近づいているとする意見が相次いでいたことが判明した』と伝え、『次回12月会合での利上げに言及する声はなかったものの、正常化に向けた前向きな意見が増えており、市場の早期利上げ観測を後押ししそうだ』と見解を述べています。そして、『ドル円は、FOMC後に上昇し、一時は節目の155円に迫ったが、片山さつき財務相が、円相場の動向について「一方向で急激な動きがみられている」との見解を示し、さらに「過度な変動や無秩序な動きについて、高い緊張感を持って見極めている」と述べて円安を牽制したことで、上値が重くなっている』と示唆しています。また、『先週発表された民間による米経済指標は、10月の米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が8カ月ぶりの高水準だったが、雇用状況は強弱入り混じっていた』と伝えています。陳さんは、『利上げに踏み出す日銀と追加利下げを模索するFRBとの対比からドル円は上値の重い展開になりそうだ』と考察しています。ドル円の今週のレンジについては、『151.50円~155.50円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月10日付「ドル円今週の予想(11月10日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/11 17:47 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月小売は堅調な伸び=NRF/CNBC調査 *07:43JST NYの視点:米10月小売は堅調な伸び=NRF/CNBC調査 米政府機関閉鎖に向け、進展が進んでいる。しかしながら、14日に発表予定の米10月小売売上高は延期される可能性が強い。エコノミスト予想では前月比-0.2%と5月来のマイナスに落ち込んだ見通し。一方、全米小売連盟(NFR)とCNBCが最近の小売り売上活動をベースにした独自調査で、自動車、ガス、レストランなどでの出費を除いたコアの小売りが前月比+0.6%、前年比+5.0%が想定されている。関税による値上げが影響した可能性もあるが、特にデジタル製品、衣料、アクセサリーの伸びが目立つ。電化製品もプラス改善した。センサスビューローの予想と違い、実質的、匿名でのクレジットカードやデビットカードの取引をもとに調整なしで換算したもの。企業は新規従業員の雇用に消極的であると同時に、削減も躊躇している。ドルは一方向に下げにくい環境と見られる。 <CS> 2025/11/11 07:43 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】米政府機関閉鎖の行方、米国債入札、英GDPなど *07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】米政府機関閉鎖の行方、米国債入札、英GDPなど 今週は引き続き米国政府機関閉鎖の行方に焦点が集まる。米国で地方知事、市長選挙が終了。民主党が大勝利しレバレッジ拡大で、閉鎖の長期化も警戒される。同時に、経済への影響も出始め組合がつなぎ融資の合意を議会に要求。共和党は拒否も民主党が政府機関閉鎖の要求緩和を提案したと報じられ、今後の進展にも期待される。米政府機関の閉鎖で連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策判断で重要なインフレ指標の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、小売り売上高などの指標発表は延期される見通し。米財務省は3年債、10年債、30年債の入札を予定しており、結果を受けた米国債相場を睨む展開となる。雇用統計の発表が見送られたが、民間指標でミシガン大消費者信頼感指数が3年ぶりの低水準に落ち込んだほか、米10月チャレンジャー人員削減数は10月として22年ぶりの高水準に達するなど、消費や雇用の減速の兆候が明らかになりつつあり、12月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが正当化するとの見方も根強くドルの上値を抑制すると見る。英国では、第3四半期国内総生産(GDP)速報で成長鈍化も緩やかな成長継続が見込まれている。労働市場のデータは、賃金上昇圧力が一段と緩和されたことを示すと見られている。■今週の主な注目イベント●米国10日:米3年債入札11日:ベテランズデー祭日、国債市場休場12日:10年債入札13日:30年債入札、(新規失業保険申請件数、CPI、14日:(小売売上高、PPI)●中国14日:小売売上高、鉱工業生産●日本10日:景気先行指数、日銀10月会合の議事要旨公表13日:PPI●欧州11日:独ZEW調査12日:独CPI14日:ユーロ圏GDP、雇用●英国11日:失業率、失業保険申請件数13日:GDP、鉱工業生産 <CS> 2025/11/10 07:39 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:日本の9月経常黒字額は減少予想 *13:54JST 国内外の注目経済指標:日本の9月経常黒字額は減少予想 11月10日-14日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■11日(火)午前8時50分発表予定○(日)9月経常収支-予想:+2兆4784億円8月実績は+3兆7758億円で黒字額は前年同月比でやや縮小。第一次所得収支の黒字額は減少した。9月については第一次所得収支の黒字額は減少する見込み。貿易収支の改善は期待できないため、経常黒字額は減少する可能性が高い。■13日(木)午後7時発表予定○(欧)9月ユーロ圏鉱工業生産-9月実績は前月比-1.2%参考となる9月実績は前月比-1.2%で資本財の減少などが要因。9月については資本財の生産はやや持ち直す可能性があるが、ドイツの工業生産の急回復は期待できないため、小幅な伸びにとどまる見込み。■14日(金)午前11時発表予定○(中)10月小売売上高-予想:前年比+2.8%参考となる9月実績は前年比+3.0%。今年1-9月期の売上高は前年同期比+4.5%であったことから、個人消費は減速している。このため、10月については9月実績を下回る可能性がある。■14日(金)午後7時発表予定○(欧)7-9月期域内総生産改定値-予想:前年比+1.3%ドイツ経済の停滞が続いているが、速報値は前期実績を上回った。改定値については修正される項目が少ないため、速報値と同水準となる可能性が高いとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・11日(火):(英)10月失業率・13日(木):(英)7-9月期国内総生産速報値、(米)10月消費者物価指数・14日(金):(中)10月鉱工業生産 <FA> 2025/11/08 13:54 注目トピックス 経済総合 混乱極める英国の対中政策(2)【中国問題グローバル研究所】 *16:59JST 混乱極める英国の対中政策(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。※この論考は10月29日の<The UK’s Shambolic China Policy>(※2)の翻訳です。余波起訴できなかったことで特に苛立ちを覚えるのは、検察庁と政府が嘘をついていなくとも、真実を隠しているように感じられることだろう。中国がこの裁判を望んでいなかったことは間違いない。中央統一戦線工作部の役割や中国の影響力が公の議論で取り上げられるたびに、中国政府の宣伝機関が動き出し、中国と13億人の中国人民がいかに被害を受けているかという主張を展開する。そして経済成長と対内投資を望む英国政府が、中国という潜在的に重要な巨大投資家を怒らせたくないと考えるのも理にかなっている。だからこそ、閣僚や政権スタッフが起訴を取り下げるよう検察庁に圧力をかけたのではないかという疑念が生じるのも不思議ではない。何が起きたのか、誰が誰と話したのかが明確になっていないばかりか、明らかな不手際があったとしても、誰も処分されていない。誰も解雇されておらず、辞任もしていない。代わりに各当事者は、入念に組み立てた理屈を持ち出して他者に責任をなすりつけている。このような茶番は誰も喜ばない。英国政府が直面する大きな問題はこれだけではない。2018年、中国政府はロンドン塔に隣接する旧王立造幣局の敷地を購入した。中国は同地を新たな大使館に改築する申請を行っている。計画によると現大使館の20倍の大きさで、大使館としては欧州最大級の規模になるという。当然ながら中国は、なぜこれほど巨大な建物が必要なのか一切説明しようとせず、計画申請書に広大な空白領域があることから、地下に秘密の尋問室や拘置所が設けられるのではないかとの懸念が生じている。より現実的な懸念は、この敷地がロンドンの金融街シティと新金融街カナリー・ワーフを結ぶ多くの通信ケーブルの上に位置しているとされる点だ。つまり、これらのケーブルの上に大使館を建設することで、中国が何らかの方法で情報をハッキングして監視できるようになる可能性があるということだ。中国は計画の詳細を一切明かそうとせず、計画が承認されなければ相応の措置を取ると警告している。英国政府は判断を繰り返し先送りする対応を取っている。では、労働党のマニフェストに掲げられた対中政策のスローガン「協力できるところは協力し、競争すべきところは競争し、挑戦すべきところは挑戦する」とは、実際のところ何を意味するのだろうか?首相も閣僚たちもおそらく理解していない。まるで、中国人を含めすべての人を喜ばせる大衆受けしそうな対中外交キャッチコピーをChatGPTで生成したかのようだ。しかし残念ながら、現実の政策決定には通用しない。中国政府は英国企業から営業秘密を盗む活動に積極的に関与しており、政策立案者への影響工作を活発に行い、経済制裁を使って公然と他国の政治判断に影響を与えようとしている。こうした活動は英国にとって明らかに重大な脅威だ。「敵」とは呼ばない人もいるだろうが、ウクライナ戦争でロシアの最大の後ろ盾が中国である事実を忘れてはならない。官僚や政治家が外交上の丁寧な言葉で中国をどう表現しようと、迎合する姿勢や慢心は禁物だ。英国政府をはじめ他のいかなる民主主義国家も、中国を怒らせないことが政策となるようであってはならない。英首相は国家安全保障が意思決定の最優先事項だと述べている。首相と財務相は、国内の経済成長拡大が目標だとも述べている。中国に関して言えば、これら2つの問題は切っても切り離せない。労働党政権は今も、中国が英国にまたとない成長の機会をもたらしてくれると考えているが、過去数十年を見ればそうならないことは明らかだ。中国国内で英国の成功事例はほとんどなく、中国による対英投資は小規模でありながら、リスクは概して大きい。前政権は英国の5Gネットワークからファーウェイ(華為)を締め出すほど断固とした姿勢を示したが、その一方で、今やどの主要都市にも中国系のEV(電気自動車)販売店が少なくとも1つはある。英国内における中国の浸透と支配というリスクへの対応は、よく言っても場当たり的だ。中国企業が投資を望む分野は一般に、風力タービン、太陽光、原子力などの発電関連で、いずれも国家安全保障上の問題が明白な重要インフラだ。ベリー氏とキャッシュ氏の裁判が頓挫した真相がいずれ英国民に明らかにされることを願うしかないが、どうなるかは分からない。政府の方針として英国の国益を最優先し、中国を怒らせないか心配するのをやめる転換点になるならば、それは有益な遺産となるだろう。しかし最近の状況を見ると、中国が開かれた民主主義国家にもたらす極めて現実的な脅威について、多くの政府は理解するのがあまりに遅すぎる。皮肉なことに、中国自身が、外国の技術を獲得してテクノロジーなどの産業で自給率を高めたいという願望を隠していない。最新の中国の五カ年計画はまさにそれを示している。スターマー首相は、中国の政策決定の一側面、つまり自国を最優先する姿勢から学ぶべきだろう。時に中国からの怒りを買うかもしれないが、彼は英国の首相であって、中国の首相ではないのだから。英国のアンドリュー王子(写真:AP/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6823 <CS> 2025/11/07 16:59 注目トピックス 経済総合 混乱極める英国の対中政策(1)【中国問題グローバル研究所】 *16:54JST 混乱極める英国の対中政策(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)フレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。※この論考は10月29日の<The UK’s Shambolic China Policy>(※2)の翻訳です。収束しない騒動昨年12月、英国ではアンドリュー王子と中国人スパイの話題がメディアを賑わせた。アンドリュー王子の最も親しい知人の1人が、中国共産党の中央統一戦線工作部(UFWD)と深い関わりを持つ中国人だったことが明らかになったからだ。UFWDは、中国と海外団体の積極的な関係構築を通じて共鳴者のネットワーク拡大を目指す組織で、英国政府がまたしても国内での中国による影響工作を抑えられなかったことが浮き彫りになった。ここ数週間の報道で、これら2つの話題は再び注目を集めている。アンドリュー王子はジェフリー・エプスタイン元被告と長年交流があったことで今も渦中の人だ。一方で、中国に情報を流した疑いのある英国人2人に対する「確実に勝てる」はずの裁判が頓挫し、英国政府は根底から揺さぶられている。政府も、起訴を取り下げた英国検察庁(CPS)も、裁判が始まるわずか数週間前になって起訴を取り下げた理由について、一貫した説明を提供できていない。その弁明と説明を聞いた英国内の政治評論家や法律専門家、中国観測筋は、なぜこれほど重要な裁判を進められなかったのか、困惑と苛立ちを感じている。起訴できなかったことは、政府への信頼に深刻な打撃を与えただけでなく、中国への対応とのバランスがいかに難しいかを露呈することにもなった。「確実に勝てる」裁判2023年3月、クリストファー・ベリー氏とクリストファー・キャッシュ氏は、「敵」にとって有益になり得る情報を収集したとして、公務機密法(OSA)違反の容疑で逮捕された。1年後の2024年4月、2人は正式に起訴された。長年にわたり中国を批判してきた元保守党党首のイアン・ダンカン・スミス氏や、前保守党政権で安全保障担当大臣を務めたトム・トゥーゲンハット氏など多くの議会議員は、当時の治安当局から受けた説明に基づき、この訴訟を「確実に勝てる裁判」と表現した。起訴内容は、2021年12月から2023年2月までの活動に関するものだ。ベリー氏とキャッシュ氏は中国で出会い、キャッシュ氏が英国に戻った後も連絡を取り合っていた。キャッシュ氏は、中国と中国共産党の行動に広く批判的な議員グループChina Research Group(中国研究グループ)で、議会調査員として働いていた。キャッシュ氏はさまざまな内部情報(ただし、必ずしも秘密情報ではない)をベリー氏に渡し、ベリー氏は一連の報告書を作成して、検察が中国の情報工作員だとする「アレックス」という名前の中国側の連絡先に渡していた。情報はその後、習近平氏の右腕とも言われる事実上の首席補佐官、蔡奇氏に渡された。検察によると、蔡氏は2024年7月にベリー氏とも面会したという。これは紛れもなく、あらゆる面で最高レベルの注意を払うべき注目度の高い事件だった。2022年、英国情報局保安部は、現職および立候補予定の議員らに資金援助を行っていたクリスティン・リーという人物が中国の工作員であると議員たちに警告していた。そして昨年、アンドリュー王子と中国の接触が露見し、中国政府がいかに深く入り込んでいるかがさらに明らかになった。政治家も官僚も、中国のスパイ活動に関する疑惑を軽視するわけにはいかなくなった。2025年8月になって、検察庁は1年以上かけて立件したこの事件の訴訟を進めないことを発表したが、説明が必要なのは当然だ。不起訴とする決定が「最高レベル」で下されたと証人らは伝えられたが、それが検察庁内部なのか、それとも政府内部なのかは明らかにされなかった。弁明英国の公務機密法(OSA)の制定は1911年に遡る。それ以降、世界は変わったと言うのは、控えめに言っても大げさではない。この法律では現代の国家安全保障上の課題に対処するのは十分ではないことを踏まえ、2023年新たに国家安全保障法が制定された。OSAの下では、情報を「敵」に渡されなければならないという要件が定められている。であるなら中国は英国の敵ということだろうか?通常の言葉の定義に従えば、両国は明らかに戦争状態にはない。しかし、2024年5月、高等法院での別の訴訟で、「敵」という言葉は国家安全保障上の脅威と解釈できることが明確にされた。検察がマシューから受け取った3件の証言書では、中国について、多くの分野で英国にとって脅威であると極めて明確に述べられていたが、「敵」という言葉は使われていなかった。この特定の言葉が抜けていたことが、検察庁が起訴を取り下げた理由のようだ。しかし、裁判が破棄された後に議員らに示された証言の中で、不起訴になったとの発表に驚いたとコリンズ氏が述べたのに対し、検察庁のスティーヴン・パーキンソン長官は、「敵」という言葉が含まれていなければ裁判は破棄されることをコリンズ氏は認識していたと主張した。両者の主張は矛盾する。コリンズ氏の声明だけでは不十分だと検察庁が感じたのであれば、中国専門家や安全保障の専門家など、他の参考人に証言してもらう時間は十分にあったはずだが、すべてコリンズ氏の陳述のみに依存しているように見えた。英首相は、この訴訟に政治的圧力がかけられた事実はないと主張しているが、疑問は残る。コリンズ氏の声明が2024年の労働党のマニフェスト「協力(cooperate)できるところは協力し、競争(compete)すべきところは競争し、挑戦(challenge)すべきところは挑戦する」を直接引用していたからだ。この3つのC政策が労働党の対中方針だが、スローガンとは異なり一貫した政策に発展させることはできていない。では、どこに責任があるのか?これほど注目度の高い事件が、なぜこんなにずさんに処理されたのか?本稿では答えは出ず、今も新たな事実が明らかになっているが、ほぼすべての論点は、裁判を開き関連事実をすべて明らかにすることで適切に対処できたはずだ。しかしそうはならず、代わりにこの件はメディアで追求されている。ベリー氏とキャッシュ氏は無実を主張し、裁判所は正式に無罪判決を下したものの、2人の名誉が傷つけられたのは間違いない。ベリー氏は自身が作成した報告書について、英国への投資を検討する中国企業に向けたものとの認識だったと主張し、自身もキャッシュ氏もセキュリティ・クリアランスを保有していなかったため、内容は時には議会内の噂話程度だったとも述べている。「混乱極める英国の対中政策(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。英国のアンドリュー王子(写真:AP/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6823 <CS> 2025/11/07 16:54 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月チャレンジャー人員削減数は10月として20年ぶりの高水準 *08:03JST NYの視点:米10月チャレンジャー人員削減数は10月として20年ぶりの高水準 米10月チャレンジャー人員削減数は前年比+175.3%の153074人となった。前年同月からほぼ3倍近くとなった。2003年10月以降22年ぶり最大を記録した。テクノロジーや物流関連での削減が目立った。チャレンジャー氏はレポートの中で、一部の産業ではパンデミック後の採用ブームの調整に入っていると同時に、人工知能(AI)導入、消費者や法人支出の鈍化に加え、コストの上昇で採用凍結などが目立つとした。職を失った労働者が速やかに新たな職を見つけるのも困難となり、労働市場をさらに弱める可能性を警告した。年初来の雇用削減は100万を上回っており、パンデミック以来で最大。米国ベースの雇用計画も2011年以来の低水準。10月までの季節的な雇用計画も同社が統計を開始した2012年移行で最低に達したという。一方で、連邦準備制度理事会(FRB)高官は依然利下げに慎重。2026年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有する米クリーブランド連銀のハマック総裁は「インフレは、労働市場よりも懸念」「高インフレが単に一時的とは思わない」とし、「現在の金利はほとんど引き締まっていない」「現状で、金融政策で追加対応が必要であることは明確ではない」と追加利下げに懐疑的。米シカゴ連銀のグールズビー総裁も労働市場が「緩やかに冷え込んでいる」と認めたが、「指数は労働市場の安定を示している」「インフレデータがない中の利下げはより不安」と、追加利下げに消極的な姿勢を見せた。FRBが利下げを見送った場合、労働市場や成長悪化をさらに加速させる可能性も除外できない。 <CS> 2025/11/07 08:03 注目トピックス 経済総合 金は値固め局面か サンワード証券の陳氏 *17:43JST 金は値固め局面か サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は値固め局面か』と述べています。続けて、『先週のNY金(12月)は、米金融政策の先行きに不透明感が広がる中、利益確定売りが膨らみ、4000ドルの大台を下回って週を終えた。週間では141.30ドル(3.41%)下落した一方、月間では123.30ドル(3.18%)上伸した』と伝えています。また、『米連邦準備制度理事会(FRB)は29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2会合連続で0.25%の政策金利引き下げを決定した。一方、パウエルFRB議長は会合後の会見で、「12月の利下げは規定路線ではない」と述べ、年内の追加利下げに慎重な姿勢を示したことは、金に失望売りが広まった』と示唆しています。さらに、『トランプ大統領と中国の習近平国家主席は30日、韓国南部・釜山で会談し、関税協議を進展させた。米中貿易摩擦激化への懸念が和らいだこともリスク回避で買われていた金には売り要因となった』と述べています。一方、『日銀は30日の金融政策会合で政策金利の据え置きを決定した。記者会見では植田和男総裁が利上げに前向きな姿勢を示さなかったと受け止められ、円売り・ドル買いが進んだ。円安の影響を受けて、OSE金は、NY金ほどには下落せず、週の終値は2万円の大台を維持した』と述べています。そして、『週明け3日は反発したものの、4日は対ユーロでのドル高から割高感が強まり反落した。1トロイオンス=3960.50ドル。中心限月の清算値ベースで10月上旬以来約1カ月ぶりの安値水準を付けた。前週末比17.50ドル高の4014.00ドル』と伝えています。陳さんは、『NY金(12月)は3500ドルを上値抵抗線とするもち合いが4月中旬から8月下旬までおよそ4か月続いた後に、わずか2か月余りで900ドル(およそ25.7%)も上昇した。半値押しの3950ドルと節目の3900ドルがサポートゾーンになりそうだ』と考察しています。一方で、ドル円については、『1ドル=155円が目前に迫り、片山財務相から円安牽制発言が出て、円安進行にブレーキがかかった。ただ、日米の金融政策の違いからドル円はじり高で推移しよう』と考察し、OSE金予想レンジは、『1万9400~2万0400円』と予想しています。。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月5日付「金は値固め局面か」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/06 17:43 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月ADP雇用統計は増加に改善、先行指標は依然雇用の低迷を示唆 *07:49JST NYの視点:米10月ADP雇用統計は増加に改善、先行指標は依然雇用の低迷を示唆 米国政府機関閉鎖が継続しており、9月に続き10月雇用統計の発表も延期される可能性が濃厚となった。そんな中、最近の労働市場の状況を判断するうえで注目されていた雇用統計の先行指標のひとつ民間雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は+4.2万人と、3カ月ぶりの増加に回復した。9月分は-2.9万人と、-3.2万人から上方修正された。米国経済の7割が消費で占めるため注目される米供給管理協会(ISM)が発表したISM非製造業景況指数の雇用は48.2と、9月の47.2から予想以上に上昇。しかし、5カ月連続の50割れで活動の縮小圏を継続した。また、ISM製造業景況指数雇用も46と、9月45.3から改善した。しかし、9カ月連続の50割れ。製造業も非製造業も雇用の鈍化は一段落したものの、依然活動縮小圏にある。また、コンファレンスボードが発表した10月消費者信頼感指数で労働市場動向を反映するとエコノミストが注目している「雇用は十分27.8%」と「仕事を見つけるのが困難18.4%」の差は9.4と、9月の8.7から回復したものの、依然冴えない水準で推移した。連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ軌道を正当化する結果と思われる。■10月雇用先行指標●米・10月ADP雇用統計:+4.2万人(予想:+3万人、9月:-2.9万人←-3.2万人)●ISM製造業景況指数雇用:46(9月45.3)●ISM非製造業景況指数雇用:48.2(予想47.6、9月47.2)●コンファレンスボード消費者信頼感指数雇用十分:27.8(26.9)不十分:53.8(54.9)困難:18.4(18.2)6か月先増加:15.8(16.6)減少:27.8(25.7)不変:56.4(57.7)所得増加:17.9(18.2)減少:12.5(11.7)不変:69.6(70.1) <CS> 2025/11/06 07:49 注目トピックス 経済総合 メキシコペソ円今週の予想(11月4日) サンワード証券の陳氏 *17:49JST メキシコペソ円今週の予想(11月4日) サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、メキシコペソ円について、『メキシコ中銀の利下げ見通しが重石だが、円キャリートレードを背景に押し目買いが継続しよう』と述べています。続けて、『30日に発表された第3四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%のマイナス成長となった。前年比でも0.2%縮小し、コロナ禍だった2021年初め以来のマイナスとなった』と伝え、『メキシコ中央銀行が11月6日の金融政策決定会合で追加利下げを行うとの観測が高まった。利下げは冴えないメキシコ経済を後押しすることになり、ペソの下押し要因にはなりにくいだろう』と見解を述べています。次に、『米連邦準備制度理事会(FRB)は、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、市場予想通りに政策金利を引き下げたが、パウエルFRB議長は、12月会合での利下げについては先走り観測を戒める姿勢を見せた。そのため、ドルは堅調に推移しており、メキシコ中銀が今週、利下げとなれば、ペソは対ドルで上値が重くなる可能性が高い』と述べ、しかし、『先週の日銀会合では政策金利が据え置きとなり、利上げに対しても積極的な姿勢が見られなかったことで円売りが進んだ。ドル円は8か月半ぶりの円安となり、ペソ円も下値を切り上げる展開となった。円キャリートレードが活発化する可能性があり、ペソ円は押し目買いが優勢となろう』と考察しています。また、『メキシコのシェインバウム大統領は10月27日、トランプ米大統領と25日に電話会談し、米国との懸案の問題を巡り協議するために、両国は貿易交渉の期限を「さらに数週間」延長すると明らかにした。米墨の貿易協議の進展が期待されている』と伝えています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.20円~8.50円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月4日付「メキシコペソ円今週の予想(11月4日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/05 17:49 注目トピックス 経済総合 豪ドル円今週の予想(11月4日)サンワード証券の陳氏 *16:51JST 豪ドル円今週の予想(11月4日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、豪ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の豪ドル円について、『4日の豪中銀会合で政策金利が据え置きとなったことから堅調に推移しよう』と述べています。続いて、『オーストラリア準備銀行(豪中銀)は4日、政策金利を予想通り3.60%に据え置いた。コアインフレ率の上昇、個人消費の拡大、住宅市場の回復を踏まえ、追加緩和に慎重になっていると表明した』と伝えています。次に、『豪統計局が29日に発表した7-9月消費者物価指数(CPI)によると、変動の大きい品目を除いた消費者物価の指標であるトリム平均は前期比1.0%上昇した。市場予想の0.8%上昇と4-6月(第2四半期)の0.7%%上昇(上方改定)を超える伸びとなった』と述べています。また、『トランプ大統領は10月20日、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相とホワイトハウスで会談し、レアアース(希土類)の共同開発に向けた合意文書に署名した』と伝え、『ホワイトハウスによると、両政府は今後半年以内に30億ドル(約4500億円)を投資し、530億ドル(約8兆円)規模の資源を開発する。詳細は不明だが、日本も関与するという。豪州で資源開発ブームが高まる可能性があり、豪ドルには支援要因となろう』と考察しています。豪ドル円の今週のレンジについては、『97.00~100.00円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月4日付「豪ドル円今週の予想(11月4日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/11/05 16:51 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米ADP雇用統計で労働市場動向を探る、プラス改善予想 *07:51JST NYの視点:米ADP雇用統計で労働市場動向を探る、プラス改善予想 米政府機関閉鎖が過去最長記録更新の軌道にあり、連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策決定において、重要な政府発表の雇用関連指標が不足している。9月分に続き10月雇用統計の発表も見送られる可能性が出てきた。インフレは、統計局が政府機関閉鎖にもかかわらず10月消費者物価指数(CPI)を発表。パウエルFRB議長は民間の雇用関連指標や州政府の週次の失業保険申請件数などを参考にしていくことを明らかにした。5日に発表予定の10月ADP雇用統計は、雇用統計の先行指標の一つとして注目されているが、雇用関連指標が不足する中、等に重要度が増す。10月ADP雇用統計は予想+4万人と、3カ月ぶりの増加に改善が見込まれている。連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定当局者は、10月連邦公開市場委員会(FOMC)後、労働市場よりもインフレへの懸念を強めているが、米国政府機関閉鎖の長期化で、連邦政府職員の削減などが増え今後労働市場の重しにもなり得る。 <CS> 2025/11/05 07:51 注目トピックス 経済総合 台本どおりの中国政治と「新質生産力」(2)【中国問題グローバル研究所】 *16:22JST 台本どおりの中国政治と「新質生産力」(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「台本どおりの中国政治と「新質生産力」(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。※この論考は10月24日の< China’s Scripted Politics and the New Quality Productive Forces >(※2)の翻訳です。V. 統治論理に国家主導路線が復活:政策調整から技術的支配まで中国共産党の主要会議で差し迫った外交問題が取り上げられることは稀だ。4中全会は、米中関税紛争やAPEC首脳会議、開催が見込まれている習主席とトランプ大統領の会談と時期が重なったにもかかわらず、こうした問題は意図的に議題から外された。これは党の長年の原則である「内外分離」を反映している。つまり、国内政策は党の機構内で調整される一方、外交と宣伝は並行するルートで処理される。この仕組みを通じて「一時的な安定」が維持され、政治的シナリオが突発的な事象に左右されることも、国際的摩擦によって国内の信頼が損なわれることもないようにしている。中国政府は制度的安定を通じて「大国統治」を制御できることを示そうとしており、不安定な外交の動きは対処可能な雑音として扱っている。4中全会で発信された重要なシグナルは、国家主導の発展統治の復活だ。これまでのサイクルでは、国家、市場、社会が補完し合うことが強調されていたが、新たな第15次五カ年計画では、テクノロジー、データ、エネルギー、金融における国家の主導的役割が再確認された。この傾向は「党が国家を指導する」政策領域を超え、デジタル規制やAI支援意思決定システムを通じて、統治のミクロな次元にまで浸透している。アルゴリズムやデータインフラにより国家権力の境界が再定義される中、このような「技術を活用した統治」が政治領域と経済領域の境界線を曖昧にしている。この転換は、「共同富裕」後の言説を拡張し、公平性、効率性、安全保障を一つの統治論理に統合するとともに、「安定」を政治的正当性の中核をなす言葉に変えるものだ。腐敗対策や軍の規律から債務処理、データ規制に至るまで、中国共産党は統治を、技術に裏付けされた政治支配という形に転換し、台本どおりの政治が制度的に持続可能であるようにしている。VI. 台湾問題の戦略的先送り4中全会のコミュニケでは、両岸問題に明確に言及し、「両岸関係の平和的発展の促進と祖国統一の大業の推進」という目標を再確認した。この表現は統一の放棄を意味するわけではなく、むしろ戦略的な先送りを示している。短期的なナショナリズムの動員よりも、「発展を第一に、安定を最優先」する現実的な選択をすることで、外部からの圧力と国内問題に対処する中で柔軟性と政策の継続性を維持するという中国政府の姿勢を反映している。台湾の大陸委員会は、金門島が大陸の発展計画に組み込まれるとの予想が現実にならなかったことに注目した。台湾当局は金門島の主権について、中華民国に属しており「交渉の余地はない」と改めて表明し、政治と経済が交錯するこの計画がいかにセンシティブなものであるかが浮き彫りになった。特に注目すべきは、2023年以降の習近平の演説では「統一」への明示的な言及が次第に減少し、「中華民族の偉大な復興」や「現代化」など、より広範なナラティブに組み込まれるようになったことである。2019年の「台湾同胞に告げる書」記念談話や2021年の中国共産党創立100周年記念談話では「完全な統一」を強調していたが、こうした強硬なレトリックとは対照的に、現在の言説では経済的レジリエンスや技術的進歩というテーマを重視している。こうしたレトリックの修正は方針の放棄ではなく、計算された先送りを意味する。国内の問題と国外からの逆風に直面する中国政府にとって、当面の急務は国内の秩序と国外の平静であり、これこそが「新質生産力」と産業構造の転換を推進する上で必要な条件なのである。したがって、台湾に対する控えめな姿勢は、国家統一の緊急性より現実の経済を戦略的に重視したことを示している。VII. 結論:管理下での安定という政治哲学4中全会の意義は、あっと驚く政策ではなく政治的継続性の再確認にある。いわば制度的パフォーマンスとしての儀式の場であり、安定という言葉を通じて権威の正当性強化をはかった。中国共産党は発展をめぐる議論に「新質生産力」を組み込むことで、イデオロギーによる動員を、テクノロジーと安全保障を融合させた論理に置き換えた。同時に、軍再編と一時的な原則を通じて、不確実性の中でも体制の秩序を維持している。この枠組みの中では、後継問題は語られず、台湾問題は先送りされ、外交での変化は取り沙汰されない。代わりに現れたのは、制度の安定を最重要視する統治哲学だ。中国政府にとって「安定」はもはや手段ではなく、究極の目的となった。何のサプライズもない4中全会が、逆説的に中国共産党政治の本質を示している。つまり、台本に従って不確実性に対処し、信念の維持を制度により管理する体制である。「台本どおりの中国政治と「新質生産力」(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。2025年 中国共産党 第20期中央委員会第4回総会(4中総会)(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6791 <CS> 2025/11/04 16:22 注目トピックス 経済総合 台本どおりの中国政治と「新質生産力」(1)【中国問題グローバル研究所】 *16:15JST 台本どおりの中国政治と「新質生産力」(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。※この論考は10月24日の< China’s Scripted Politics and the New Quality Productive Forces >(※2)の翻訳です。中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)が2025年10月20日から23日にかけて北京で開催され、「国民経済・社会発展第15次五カ年計画の策定に関する中共中央の建議」(2026~2030年)が採択された。米中間の緊張が高まり、世界経済が減速する中で開催された今回の議題と政策の文言は、国内政治だけでなく、外部圧力に対して、制度化された対応策を構築しようとする中国政府の試みも反映していた。4中全会は政策見直しというより、制度の継続性と政治の安定を象徴する儀式となった。外部の論評の多くは後継問題や派閥政治に焦点を当てていたが、真の核心は別のところにあった。中国共産党は「新質生産力」(新たな質の生産力)というナラティブを通じて、「中国式現代化」の政治的基本原理と正当性を改めて明確にしようとしたのだ。この概念が特に重要視されたことは、中国の経済運営の転換を意味する。つまり、要因主導からテクノロジー主導の成長へ、量的拡大から構造転換への移行だ。これは単なる経済戦略ではなく、政治的宣言でもある。対外的な封じ込めと国内の建て直しという二重の圧力下で、技術的自律性と制度的信頼性を通じて発展の正当性を保とうとする党の取り組みを象徴している。政治的に見れば、4中全会は審議の場ではなく、「台本どおりの政治」を入念に演出するもので、制度の表明と儀式的パフォーマンスによって党の中央権力と発展の方向性を再確認するものであった。会議のコミュニケでは、「実体経済の強化、グリーン化の推進、ハイレベルな対外開放の拡大」を強調し、テクノロジーの管理と社会の安定を両立させる統治方針を示した。また、「5つの安定」(経済、雇用、企業、市場、期待の安定)に繰り返し言及し、地方政府に対し財政リスクの抑制と行政の結束維持を求める党の姿勢が浮き彫りになった。成長鈍化と国際競争激化の中、中国はこれらの措置全体を戦略的基軸として、制度的レジリエンスと技術的ナラティブにより体制の安定を維持しようとしているのである。I. 台本どおりの政治から体制のパフォーマンスまで:儀式化した会議中国共産党の全体会議を理解するには、まずその「台本どおり」という性質を理解する必要がある。4中全会は政策論議や交渉の場ではなく、事前に決められた方針を公に承認する場であった。議題、文書、さらにはレトリック上の表現に至るまで、すべては会議のずっと前に非公開の協議で決まっていた。会議は開催される前からもはや話し合いの場ではなく、パフォーマンスの場となっていた。欧米メディアはこうした会議を後継問題や派閥争いの視点から解釈しがちだが、その見方は本質を捉えていない。第19回党大会以降、中国共産党の権力継承メカニズムは「後継者指名」モデルを放棄した。憲法改正、制度再編、中枢の強化を通じて、習近平は個人の権威と体制構造を融合させた。この体制下では、指導部の後継問題は話題にされなくなり、政治の安定と政策の継続性が優先されるようになった。そのため、今回の4中全会の政治的役割は、この統治パラダイムの正当性を再確認することにあった。II. 政治サイクルの短期化の影響第3回全体会議が丸1年延期されたことで、第4回と第5回の全体会議は異例の短期間で開催しなければならなくなった。慣例的に、次期五カ年計画は5中全会で審議することになっていたが、今回、党は第15次五カ年計画の議論を第4回に前倒しした。この対応は時間調整という受動的な事情だけではなく、政治の時宜や政策のタイミングを再び管理下に置こうとする指導部の積極的な姿勢の表れでもある。中国共産党の政治サイクルでは、これまでは5中全会で経済計画に焦点を当ててきたのに対し、4中全会では統治や制度改革を取り上げている。これらの議題を2025年に融合したことは、制度設計と発展戦略を一体化させ、統治の安定を経済成長の軌道と結びつけようとする習近平の意図を示している。この調整は2026年3月の「両会」とも歩調を合わせている。「両会」では国家発展計画要綱が議題になる予定で、「党が政府を指導し、政府が法律を推進する」という党・国家の階層構造が強化されることになる。III. 「新質生産力」:中国式現代化の中核をなすナラティブ第14次五カ年計画のテーマが「質の高い発展」だったのに対し、新たな第15次計画は技術的自立と産業高度化を中心とした新しい国家的ナラティブを形成している。4中全会では、独自のイノベーション、中核技術での画期的成果、そして技術革新と産業革新の深い融合を通じて、「新質生産力」を育成することを強調した。これは2023年に習近平が初めて提唱し、2024年に政府活動報告に正式に盛り込まれた概念で、今や国家戦略レベルに格上げされている。中国が「質の高い成長」から「テクノロジー主導」の発展に移行することを示すものであり、単にイノベーションを求めるだけでなく、生産性の論理そのものを再定義している。この変革を形成する5つの分野が、AIを活用した生産、デジタル産業化、ハイエンド製造、グリーンエネルギー転換、そして安全保障を重視したレジリエンスである。この構想は米国によるテクノロジー封じ込め策への対応であると同時に、ある種の制度的意味合いをも含んでいる。つまり、「イノベーション主導の発展」をイデオロギー的正当性として政治利用するものだ。このナラティブの下では、第15次五カ年計画は単なる経済の青写真ではなく、政治宣言となる。中国政府は「技術的自立」と「制度的イノベーション」を並行して推進することで、国外からの衝撃に耐え得る国内循環型システムの構築を目指している。中央経済工作会議が「過剰生産につながるイノベーションを回避」するよう警告したことは、資源配分の一元管理とデータガバナンスを通じて産業政策を主導し、「新質生産力」をスローガンから統治メカニズムに進化させる意図を浮き彫りにしている。IV. 軍部粛清と制度的安定:党による軍部支配の再確認過去半年にわたり、中国では特に軍部で高官の間に異例の混乱が見られた。4中全会の前日、中央軍事委員会(CMC)の何衛東副主席や苗華委員ら複数の軍幹部が「重大な規律違反と法律違反」の疑いで捜査対象となった。会議のわずか2日前には、さらに9人の軍幹部が解任され、中央軍事委員会の委員は7人から4人に、政治局員は24人から23人に減少した。この動きは反腐敗運動の一環とされているが、政治的粛清の特徴が明確に見て取れる。国外では「大規模な人事異動」が行われるとの憶測もあったが、政治局常務委員会のレベルでは何の変化もなかった。習近平の後継者問題や胡春華の最高指導部入りに関する噂は根拠のないものだった。唯一の調整人事として張升民氏が中央軍事委員会副主席に任命されたが、これは権力再編ではなく組織構造の微調整にすぎない。したがって、今回の軍再編は運用上の調整というより、体制支配を象徴的に再確認するものだ。「党が軍部を指揮する」という長年の原則が改めて強化され、軍の規律と忠誠心が再び政治化された。中央軍事委員会の縮小は、習近平による防衛上の意思決定の継続的な中央集権化を示しており、潜在的な派閥の自律性を排除し、党が政治と軍の両方を指揮するという原則を強化している。この集約型統治モデルは、政治的安全保障の枠組みの中で制度の安定を強固にするものである。「台本どおりの中国政治と「新質生産力」(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。2025年 中国共産党 第20期中央委員会第4回総会(4中総会)(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6791 <CS> 2025/11/04 16:15 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米10月ISM製造業景況指数は予想外に低下、8カ月連続の活動縮小、価格も1月来で最低 *07:46JST NYの視点:米10月ISM製造業景況指数は予想外に低下、8カ月連続の活動縮小、価格も1月来で最低 米供給管理協会(ISM)が発表した10月ISM製造業景況指数は48.7と、9月49.1から上昇予想に反し低下した。8カ月連続で活動の縮小となる50割れを記録した。生産は48.2と、9月の活動拡大圏から縮小圏に再び落ち込み指数の重しとなった。在庫も45.8と47.7からさらに低下し、全体指数を押し下げた。製造業者は引き続きトランプ政権による関税政策を巡る不透明感に直面している。重要項目の新規受注は49.4と、48.9から上昇も2カ月連続で50割れ。製造業の雇用は46.0と、45.3から上昇し全体指数を押し上げたが、9カ月連続の50割れで活動縮小圏となった。企業は需要を巡る不透明感に従業員削減加速に焦点を当てていると、ISM製造業景況指数調査委員会のスペンス委員長が声明で明らかにした。支払い価格は58.0と、予想外に61.9から低下し1月来で最低となった。トランプ大統領が相互関税を発表し69.8まで上昇し22年6月来で最高を記録した4月から11.8ポイント低下した。連邦準備制度理事会(FRB)高官のインフレ懸念をよそに、ディスインフレの可能性が示唆された。◇10月ISM製造業景況指数:48.7(9月49.1)新規受注:49.4(48.9)雇用:46.0(45.3)支払い価格:58.0(予想62.5、61.9)生産:48.2(51.0)受注残:47.9(46.2)入荷遅延:54.2(52.6)在庫:45.8(47.7)顧客在庫:43.9(43.7)新規輸出:44.5(43.0)輸入:45.4(44.7) <CS> 2025/11/04 07:46 注目トピックス 経済総合 注目の米経済指標:10月ADP雇用統計は改善の可能性 *13:35JST 注目の米経済指標:10月ADP雇用統計は改善の可能性 11月3日-7日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■3日(月)日本時間4日午前0時発表予定○(米)10月ISM製造業景況指数-予想:49.29月実績は49.1。8月実績を上回ったものの、7カ月連続で節目の50を下回った。新規受注と雇用は低調。10月も状況は変わらないとみられており、若干の改善はあるものの、50を下回る可能性が高い。■5日(水)午後10時15分発表予定○(米)10月ADP雇用統計-予想:+2.5万人参考となる9月実績は前月比-3.2万人。教育・医療サービスなどの分野は雇用増を記録したが、ビジネスサービス、金融、建設、製造などにおいて雇用の減少が確認された。雇用の増加が見込まれるセクターは多くないため、10月の雇用者数はわずかな増加にとどまる可能性がある。■5日(水)日本時間6日午前0時発表予定○(米)10月非製造業ISM景況指数-予想:51.0参考となる9月実績は50.0で市場予想を下回った。新規受注がさえない結果となった。10月については事業活動がある程度持ち直す可能性があるため、9月実績を上回る見込みだが、雇用や新規受注の改善は期待薄。■7日(金)午後10時30分発表予定○(米)10月雇用統計-予想:未確認参考資料となるADPリサーチ・インスティテュートとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出した9月の民間部門雇用者数は前月比-3.2万人と減少。米雇用情勢は10月にかけて悪化している可能性があるため、失業率は小幅な上昇にとどまる見込みだが、連邦政府機関の一部閉鎖が続いているため、非農業部門雇用者数は8月時点から減少している可能性が高い。○その他の主な経済指標の発表予定・4日(火):(豪)豪準備銀行政策金利発表、(米)9月貿易収支・5日(水):(NZ)7-9月期失業率、(欧)9月ユーロ圏生産者物価指数・6日(木):(豪)9月貿易収支、(英)英中央銀行政策金利発表・7日(金):(中)10月貿易収支、(加)10月失業率 <FA> 2025/11/01 13:35

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