注目トピックス 経済総合ニュース一覧
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米2年債入札、外国需要はSBV破綻以降で最低
*07:40JST NYの視点:米2年債入札、外国需要はSBV破綻以降で最低
米財務省は690億ドル規模の2年債入札を実施した。結果で最高落札利回りは3.795%と、テイルはプラス0.6ベーシスポイント(bps)。過去6回入札平均はマイナス0.4bpsだった。応札倍率は2.52倍と、過去6回入札平均の2.65倍を下回り需要は弱かった。外国中銀や大手機関投資家を含む間接入札者の比率は56.2%。過去6回入札平均の73%を大幅下回った。シリコンバレー銀破綻があった2023年3月の入札来で最低。明日は5年債入札で引き続き他国の米国債離れの状況を確認していく。トランプ大統領は世界の準備通貨としてのドルの地位を維持したいとの考えだが、関税政策をめぐり、外国の米資産売却の思惑が台頭している。
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2025/04/23 07:40
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NYの視点:米3月景気先行指数は予想以上に低下、今後の成長減速を示唆
*07:39JST NYの視点:米3月景気先行指数は予想以上に低下、今後の成長減速を示唆
コンファレンスボードが発表した米3月景気先行指数は100.5と、前月比-0.7%と、2月-0.2%から予想以上に悪化し、4カ月連続のマイナスとなった。過去39カ月間で36カ月間がマイナス。コンファレンスボードは、この結果が今後の経済活動の鈍化を示唆しているとし、3月の指数は、3つの項目に押し下げられたと指摘。関税発表を前に経済を巡る不透明感が増大した。1.消費者の期待が一段と悪化。2.株式相場が月ベースで2022年来の大幅な下落を記録。3.製造業の新規受注の鈍化、を挙げた。同時に、データは景気後退が始まった、または、始まることを示唆してはいない。コンファレンスボードは2025年の国内総生産(GDP)成長見通しを1.6%に下方修正。潜在的な水準を下回る。貿易戦争の深刻化により、インフレが再び高まりサプライチェーンが混乱、さらに、投資、消費の減速や労働市場の鈍化につながる可能性が成長見通し引き下げにつながったと説明した。トランプ大統領は連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長に速やかな利下げを要請している。市場は年内4回利下げ予想を維持している。ドルの上値の重い展開が続く可能性があるものの、データを睨み神経質な展開が予想される。
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2025/04/22 07:39
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欧米の注目経済指標:4月ユーロ圏製造業PMIは悪化の可能性
*14:03JST 欧米の注目経済指標:4月ユーロ圏製造業PMIは悪化の可能性
4月21日-25日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■23日(水)午後5時発表予定○(欧)4月ユーロ圏製造業PMI -予想は47.8参考となる3月実績は48.6。4月については米国による相互関税措置が欧米経済に与える影響が警戒されており、4月実績はやや悪化する可能性がある。■23日(水)午後10時45分発表予定○(米)4月サービス業PMI -予想は53.0参考となる3月実績は54.4。4月については米国による相互関税措置はインフレ持続など経済全般に悪影響を及ぼす可能性があるため、サービス業における業況は悪化する可能性がある。■24日(木)午後9時30分発表予定○(米)3月耐久財受注-予想は前月比+1.5%参考となる2月実績は前月比+1.0%。関税による価格上昇を想定して前倒し発注を行ったことによって減少予想に反して増加した。3月についても前倒して発注するケースが増えているため、前月比プラスとなる可能性が高い。■24日(木)午後11時発表予定○(米)3月中古住宅販売件数-予想は413万件2月実績は減少予想に反して増加。住宅供給の増加や天候の回復が追い風となったようだ。3月については住宅供給が一定の水準を維持しているものの、2月実績を下回る可能性が高い。○その他の主な経済指標の発表予定23日(水):(欧)4月ユーロ圏サービス業PMI、(米)4月製造業PMI25日(金):(英)3月小売売上高
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2025/04/19 14:03
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金はリスクオフの買いが続くだろう サンワード証券の陳氏
*17:40JST 金はリスクオフの買いが続くだろう サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金はリスクオフの買いが続くだろう』と述べています。続いて、『先週末11日、NY金は1オンス=3244.60ドルと、中心限月の清算値ベースで史上最高値を更新した。米中の貿易合戦がエスカレートしていることが背景』と伝えています。また、『為替のドル安も金を押し上げた。これまで、世界的な景気後退局面では、決済需要でドルが上昇していたが、今回はトランプ米大統領の政策への反応としてドルが売られ、代わりに金が買われた』と述べています。そして、『週明け14日は5営業日ぶりに反落したものの、終値は3200ドル台を維持した』と伝えています。陳さんは、『二転三転する方針に市場の信頼感は薄れており、リスクオフムードの払拭には至っていない。米中の関税交渉は長期間に及ぶ見込みで、リスク回避手段として金投資が継続しよう』と示唆しています。また、『金ETF(スパイダー・ゴールド)も増加傾向を強め、先週末には953.15トンと年初来の最大量を更新した。950トン超えは2022年9月22日以来のこと。トランプ関税を背景に金は押し目買いが継続しよう』と述べています。NY金(6月)予想レンジは、『3000~3300ドル』と想定しています。一方、OSE金は、『節目の1万5000円を達成したものの、押し目買いに地合いは強く、値固め局面が続きそうだ。予想レンジは、1万4500~1万5500円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月16日付「金はリスクオフの買いが続くだろう」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/18 17:40
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NYの視点:FRBの独立性に懐疑的見方広がる、米資産市場のリスクに
*07:39JST NYの視点:FRBの独立性に懐疑的見方広がる、米資産市場のリスクに
トランプ米大統領はソーシャルメディア投稿でパウエル議長の対応が常に遅れ、政治的に動いており、その仕事に満足していないと非難した。パウエルFRB議長は16日の講演で、関税でFRBの目標達成が遅れ、インフレ長期化の可能性を示唆し、利下げに慎重な姿勢を見せた。一方で、欧州中央銀行(ECB)はディスインフレが軌道上にある一方で、関税による景気悪化への対処で7回目の利下げを決定した。ウォールストリートジャーナル紙によると、トランプ大統領は数カ月、非公式に議長解任を協議してきたという。次期FRB議長として指名するとみられている元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏に起用する可能性について打診。これに対し、同氏は議長の任期全うさせるべきだと大統領を説得したと報じられた。また、ベッセント財務長官も度々、FRBの独立性が不可欠だとの考えを示しているほか、議長の解任は「悪いアイディアだ」と反対したと報じられている。ホワイトハウス関係者によると、投稿がトランプ大統領は解任を脅かす意図はなく、不満を表明しただけと説明。パウエル議長の任期はあと1年あまり。実際に解任した場合、裁判などが絡むことを考えると任期全うするまで、現職を維持させるほうが、理に適うとの見解が大半となっている。FRBの独立性が失われることは米国資産への信頼失墜にもつながるため、行方に注目が集まる。
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2025/04/18 07:39
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NYの視点:パウエルプット後退、利下げを急がない姿勢を再表明、今年の利下げは先送り
*07:42JST NYの視点:パウエルプット後退、利下げを急がない姿勢を再表明、今年の利下げは先送り
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は16日の講演で、金融政策が明確化するまで様子見する良い位置にあると繰り返し、当面政策金利を据え置く姿勢を表明した。また、準備も豊富で必要とあれば各国中銀にドルを供給する用意があるとし、一部の懸念を払しょくさせた。関税に関してはインフレにつながる可能性が強いとの考えを繰り返し、長期化の可能性への懸念も表明した。さらに、関税による、インフレや雇用目標達成が遅れる可能性にも言及。インフレ期待抑制が鍵になると指摘した。景気に関しては、不確実性の高さにもかかわらず経済が強いとの見方。成長は減速もプラス成長を維持すると見ている。労働市場も最大雇用水準を維持、良い位置にあるとの判断。議長は金融政策判断において、現状で景気、雇用よりもインフレに焦点をあてていることが示唆された。年内の利下げ観測も後退。市場が期待していたパウエルプットやトランププットが後退しつつある。
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2025/04/17 07:42
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南アフリカランド円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
*17:50JST 南アフリカランド円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の南アフリカランド円について、『上値の重い展開が続きそうだ』と述べています。続けて、『アメリカは南アフリカに対して「相互関税」を30%とした。そのため、9日には関税発動を嫌気して、南アランドは一時対ドルでは過去最安値を更新したが、90日間の関税延期が発表されると急反発に転じた。ただ、90日後に上乗せ分の20%が発動されるとなることを考えると、戻り売りは継続しよう』と述べています。次に、『アメリカと南アフリカの外交関係がぎくしゃくしているが、南アフリカがイスラエルに対し国際司法裁判所(ICJ)に訴えを起こしたことが原因しているようだ』とし、『トランプ政権になってからは、米国内でも「反イスラエル」の姿勢に対しては厳しくなっている。トランプ大統領は南アフリカの土地収用法などを巡って「差別」等と批判した。南アの駐米大使が強制送還になるなど、友好的な状況にはない』と伝えています。また、『先週11日には、トランプ大統領が、南アフリカで11月に予定される20カ国・地域(G20)首脳会議には出席しないとの投稿をした。議長国の南アが白人の土地を収奪していると改めて一方的に非難した。南ア国内的にも、連立している野党が分裂するなど政治情勢が悪化していることも嫌気されている』と述べています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『7.30円~7.70円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月15日付「南アフリカランド円今週の予想(4月14日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/16 17:50
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トルコリラ円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
*17:37JST トルコリラ円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『トルコリラ円は、戻り売りが続きそうだ』と述べています。続けて、『3月20日に汚職やテロ組織支援などの容疑で主要野党の共和人民党(CHP)の次期大統領選候補であり、エルドアン大統領の最大の政敵イマモール・イスタンブール市長が逮捕された。同氏は次期大統領選の有力候補であることから、当局の専制的な手法への抗議が激化した。トルコの通貨、株価、債券が下落するトリプル安となり、リラは史上最安値を記録した。しかし、トルコ中央銀行の為替介入により持ち直した』と伝えています。また、『トルコ中銀は、20日の会合で、1週間物レポ入札の停止と、翌日物貸出金利の42.5%から46%への引き上げを決定した。市場に資金供給する際の適用金利が高まるため、事実上の金融引き締め措置となった』とし、『この影響が続いているため、今週17日のトルコ中銀会合では、政策金利を42.5%に据え置くだろう。3月の消費者物価指数(CPI)は前年比38.10%と高止まりしていることも据え置きの背景にあろう』と見解を述べています。そして、『米国とロシアが10日にトルコのイスタンブールで2回目となる協議を実施した。協議はイスタンブールのロシア総領事館で行われたようだ』と伝えています。トルコリラ円の今週のレンジについては、『3.50円~4.00円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月15日付「トルコリラ円今週の予想(4月14日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/16 17:37
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ドル円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
*09:21JST ドル円今週の予想(4月14日)サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について『戻り売りが続きそうだ。日米交渉の結果次第では円高が加速する可能性もありそうだ』と述べています。続けて、『トランプ米政権は9日に、各国に対する一律10%の「相互関税」を発動したが、翌10日には、中国を除く対象国への上乗せ分を90日間停止した。中国に対しては145%まで引き上げた。これに対して中国は、12日からアメリカからの輸入品にあわせて125%の追加関税を課すことを決定し、これ以上の関税合戦には加わらないとした』と伝え、また、『11日には、相互関税の対象から除外すると発表したスマートフォンなどの電子機器について、国の安全保障に悪影響を及ぼすかどうかを調べ、別の関税を課す方針を明らかにした。中国政府は除外措置について米国が過ちを正すための小さな一歩と述べていたが、市場の楽観的な見方は空振りとなった。中国は、週明け14日に米国へのレアアースの輸出を禁止した。米中のデカップリング(分断)に伴う世界景気の後退が意識されており、リスクオフムードの払拭にはほど遠く、ドル円は戻り売りが続きそうだ』と述べています。次に、『今週17日、アメリカの関税措置をめぐり、ワシントンでベッセント財務長官らと初めて会談する予定で、日米交渉が始まる。日本の巨額の投資がアメリカの経済や雇用に貢献していることを説明したうえで措置の見直しを求める方針。ただ、難しい交渉になると見られている』と述べています。陳さんは、『今回の交渉では、為替分野が協議のテーマの1つとなる見通し。トランプ政権は、貿易赤字の解消を目指していて、特に大きな貿易赤字を抱える日本に対して、円安・ドル高を是正するため、為替分野の協議を持ちかけているとみられる。『第2のプラザ合意』の声も出てきている。円安是正策で合意する可能性があるのか、アメリカ側の出方次第の交渉となるため、為替市場への影響も大きなものになろう』と考察しています。今週のドル円の予想レンジは『140.00円~146.00円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月15日付「ドル円今週の予想(4月14日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/16 09:21
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メキシコペソ円今週の予想(4月14日) サンワード証券の陳氏
*09:10JST メキシコペソ円今週の予想(4月14日) サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、メキシコペソ円について、『トランプ関税が重石となる中、上値の重い展開が続くだろう』と述べています。続けて、『関税問題を巡る米中の対立は、世界経済の低調を招き、コモデティティ需要の減退が懸念される』とし、『ホワイトハウスは、トランプ大統領が9日発表した一部関税の90日間停止措置について、メキシコとカナダからの輸入品には適用されないと明らかにした。メキシコ、カナダからの輸入品のうち、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の対象外の製品に対する25%の関税と、エネルギーとカリに対する10%の関税は引き続き有効だと説明した。USMCAの対象となっている輸入品の大部分は米国の広範な関税措置から除外されている』と解説しています。陳さんは、『トランプ政権の通商政策を巡り、中南米諸国は他の地域と比べてより有利な条件で交渉できるとの期待が高まった。トランプ大統領が「相互関税」の大半を90日間停止したことでリスク環境が徐々に改善しており、中南米諸国が恩恵を受ける可能性が高いとの見方が強まっているが、米中の緊張の高まりや今後の米貿易政策、世界経済への影響を巡る不安は根強く、相場の重しとなっている。中南米地域の多くの国々にとって中国は最も重要な貿易相手国であることを考えると、中国の成長鈍化はこれらの国々にも重しとなろう』と見解を述べています。また、『メキシコは米国の隣国ゆえに関税以外の問題も噴出している』と述べています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『6.90円~7.40円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月15日付「メキシコペソ円今週の予想(4月14日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/16 09:10
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NYの視点:ECBの利下げ論拠一段と強まる
*07:38JST NYの視点:ECBの利下げ論拠一段と強まる
ユーロ圏の4月ZEW景気期待指数は3月の39.8からマイナス18.5に急速に落ち込み22年12月来で最低となった。欧州で最大経済のドイツの4月ZEW期待指数もマイナス14と、3月51.6から大幅悪化。23年7月来で最低となった。ドイツの防衛費拡大が成長を押し上げるとの期待も欧米貿易戦争の悪化懸念が相殺した。ドイツIFO研究所はドイツの2025年の経済成長見通しを0.1%に下方修正し、一段の下方修正も警告した。万が一マイナス成長に落ち込んだ場合、輸出依存の同国経済が3年連続でのマイナス成長を記録することになる。米国のみならず、欧州でも関税を巡る不透明性が経済に影響している証拠となった。欧州中央銀行(ECB)は今週開催の理事会で利下げの論拠が強まりつつある。加えて、欧米の関税協議が難航し、進展が見られずトランプ政権は欧州連合(EU)に対する関税を維持する可能性を示唆していることも、成長を長期にわたり抑制するリスクとなり、ユーロの上値を抑制すると見る。
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2025/04/16 07:38
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遠藤教授の記事を受けて【中国問題グローバル研究所】
*10:14JST 遠藤教授の記事を受けて【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。中国の「反外国制裁法」は近年、台湾とその経済、特にハイテク産業に影響を及ぼすとして大きな議論を呼んできた。遠藤教授の記事「習近平が睨んでいるのは『台湾統一』か 中国の『反外国制裁法実施規定』」(※2)では、この法的枠組みが台湾経済の将来に及ぼす影響について興味深い分析がなされている。教授の考察は中国の制裁措置がもたらす経済損失に焦点を当てているが、私のこの記事では若干異なる視点に立ち、台湾の柔軟な経済戦略と地政学的緊張への対応力にスポットを当てたい。以下では遠藤教授の記事の要点を整理し、それとは対照的な私の見解を紹介するとともに、台湾の産業の将来という文脈で「反外国制裁法」がもたらす幅広い影響を読み解いていく。遠藤教授の考察の要点遠藤教授は記事の中で、中国の「反外国制裁法」の要点と、台湾に及ぼしうる影響を取り上げている。外国の制裁措置に対し中国の報復を可能にする同法は、半導体などハイテク製造業を中心とした台湾の産業に多大な影響を及ぼす。台湾経済は中国市場と深く結びついており、主力産業を対象とした制裁措置は台湾経済に深刻なダメージを与えかねないというのが教授の考えだ。また台湾が世界有数の半導体製造国であることから、台湾企業への中国の報復がもたらすリスクも指摘している。教授はさらに、特に習近平政権下における中国の幅広い地政学的戦略と同法を結びつけ、中国のこの法的枠組みが外国企業を標的とするだけでなく、宿願である台湾統一に向けた地固めかもしれないと示唆している。台湾は制裁を受けるおそれがあることで中国との経済関係を見直さざるをえず、最終的に域内での台湾の影響力が低下し、政治的、経済的に中国への依存度を高めざるをえなくなる可能性がある。中国の強引な経済政策を前にした台湾の脆弱性を指摘する遠藤教授の考察は、強い説得力を持つ。教授は、ハイテクセクターをはじめとする台湾産業がこうした法的制裁の影響に苦しみ、ひいては企業が台湾と関わることに後ろ向きになりかねないというもっともな懸念を示している。またこうした状況を、台湾の将来の地政学的情勢や、経済的・政治的独立性を維持する上で直面する課題などとも広く結びつけている。別の視点:台湾の適応力とグローバルなサプライチェーン台湾が中国に経済依存していることに伴うリスクをはじめ、いくつかの点では私も遠藤教授と同意見だ。ただ視野を広げ、グローバルなサプライチェーンにおける台湾の戦略的適応力にも目を向けていれば、教授の分析にさらに役立ったのではないだろうか。台湾経済、特に半導体産業は中国と密接に結びついているだけでなく、世界の技術エコシステムにも不可欠になっている。実際に台湾は先を見越して、中国市場への依存から脱却すべく貿易関係の多角化を図っている。1. グローバルなサプライチェーンにおける台湾の役割台湾経済はグローバルなサプライチェーンにますます組み込まれつつあり、業界も世界情勢の変化に対応できる体制を整えている。半導体産業は台中関係で重要であると同時に高度にグローバル化しており、台湾積体電路製造(TSMC)など台湾の巨大企業は米国や日本などで生産能力の増強を図ってきた。こうした動きは、中国など1つの市場への依存を減らす台湾の取り組みを物語っている。ITセクターを中心に米中間の緊張が続いていることを受けて、台湾企業は生産拠点の移転と新たな市場への投資を進めてきた。例えばTSMCによるアリゾナ州での工場建設計画は、米国におけるプレゼンス向上と、中国の報復措置がもたらすリスクの軽減に向けた台湾の戦略的シフトを反映している。そのため、台湾経済で中国が依然として重要な役割を果たしているとはいえ、グローバルな連携の多角化が、台湾の今後の経済成長を左右する鍵となってきている。2. 「中国製造2025」と台湾への対抗意識遠藤教授は「中国製造2025」がもたらすリスクを取り上げているが、私はこれを台湾産業の将来の存続を直接脅かす脅威ではなく、中国の対抗意識の表れと見ている。台湾の産業は非常に革新的で、世界の需要の変化に対応し続けてきた。例えば、中国が技術分野で目を付けている台湾の半導体セクターは、技術力と生産能力の面で依然として世界をリードし続けている。また、台湾企業は研究開発に多大な資金を投じて技術的な優位性を保ち、グローバルなサプライチェーンに欠かせない存在となっている。中国による技術的自給自足実現に向けた取り組みは、一部の市場で台湾を脅かすかもしれないが、同時に、台湾がイノベーションをさらに進め、新規市場を開拓するきっかけにもなる。このように、競争は必ずしも台湾経済の衰退を示すものではない。引き続きイノベーションを進め、ビジネス関係の多角化を図ることで、ハイテク産業での優位性を台湾が再確認するチャンスにもなる。3. 「反外国制裁法」の法的枠組みとその戦略的影響「反外国制裁法」が地政学的な力を行使する中国のツールであることは間違いない。だが、同法が台湾産業に及ぼす長期的な影響を、同法は過大評価しているのではないだろうか?台湾経済は回復力に富み、適応力も高い。企業はすでにサプライチェーンの多角化や新規市場への進出を図り、同法がもたらすリスクを最小限に抑えるべく取り組んでいる。また、グローバルなテクノロジー環境におけるキープレーヤーとしての台湾の重要性は、今後も貿易交渉を有利に進める力となり、中国の制裁の影響を軽減できるだろう。台湾政府は先を見越して、米国や日本など世界の大国との新たな貿易協定の締結も目指している。こうした取り組みは、中国の報復措置により台湾産業が受ける影響を和らげる一助となるはずだ。米中間の地政学的競争は間違いなく台湾に課題を突きつけているが、同時に、中国以外の大国との経済関係を強化して、中国の法的枠組みから生じるリスクを軽減するチャンスも台湾にもたらしている。4. 「反外国制裁法」が台湾の企業と産業に及ぼす影響中国の「反外国制裁法」で注視すべき点は、特に先ごろ発布された「実施規定」から分かるように、対象範囲の拡大である。実施規定は同法の適用範囲を拡大しており、中国で事業を展開する台湾企業に加え、台中間の技術・文化交流に関与する産業に影響を及ぼす可能性がある。同法がもたらす法的リスクは中国国内での企業活動を複雑化させかねず、ITセクターや文化セクターを中心に、台湾企業が受ける影響は大きい。中国に投資している台湾企業の経営者にとっては、同実施規定により不確実性がさらに高まった。半導体などハイテクセクターを中心に台湾の産業はグローバルなサプライチェーンに欠かせない存在になったとはいえ、中国経済とも密接に結びついている。実施規定により、何を「外国の制裁措置」とするかについて幅広い解釈が可能になる。台湾企業は多くが外国企業と密接に連携し国際基準を順守しているため、その活動が中国の地政学的利益に反するとみなされれば報復措置の対象になるかもしれない。特に、中国で事業を大規模に展開している台湾企業にとっては由々しき事態である。規制の枠組みが急速に変化するITなどのセクターを中心に法的・経済的リスクが高まり、中国への投資を見直したり変更したりする台湾企業が出てくるかもしれない。遠藤教授が指摘するように、こうしたシフトは台湾経済に広範囲に影響を及ぼすだろう。台湾企業に対する中国の報復措置は、企業の収益だけでなく台中経済関係を広く悪化させかねない。文化産業にとってもリスクは大きい。歴史的に相互理解とソフトパワーの手段となってきた台中文化交流を阻む障害になりかねない。台湾の文化事業者は、その活動が外国の利益に沿っており報復に値すると中国にみなされれば、緊迫する政治情勢に巻き込まれる可能性がある。それにより、映画やメディア、芸術など、台湾の国際的なプレゼンスに不可欠なセクターの創造性や協調が抑圧されかねない。そのため、台湾のグローバル社会との融合が強みとなる一方で、新たな実施規定により、中国で事業を展開する台湾企業や文化団体が直面しうる法的リスクが浮き彫りになった。これらセクターは今後も台湾経済を中心となって担うため、中国での活動と国際法順守の両立を目指す台湾企業にとって、こうしたリスクの把握と対応が今後極めて重要となる。まとめ:世界が多極化する中での台湾の将来遠藤教授の記事には、中国の「反外国制裁法」がもたらすリスクと台湾経済への影響を詳細に分析した結果が示されているが、台湾経済の将来を左右するのは台中関係だけではない。台湾の産業は回復力・革新力に優れ、多角化が進んでおり、国際貿易とサプライチェーンの変化に国(台湾)は対応することができる。「反外国制裁法」は台湾に課題を突きつけているものの、台湾の産業の将来を左右する要因になる可能性は低い。長期的な経済安全保障を形作るのはむしろ、台湾の適応力と革新力、そして強固な国際協力関係を構築する力だろう。中国の報復がもたらす差し迫ったリスクを注視する遠藤教授の視点も、台湾の適応力とグローバル社会との融合を重視する私の視点も、台湾を巡る地政学的・経済的論議の重要なポイントに光を当てている。こうした異なる視点を理解することは、世界が急速に変化する中で台湾が今後進む道筋を政治家や企業、学者がより的確に予想する一助となるだろう。台湾・基隆港(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/(※2)https://grici.or.jp/6154
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2025/04/15 10:14
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米NY連銀3月調査、中長期期待インフレは安定、消費者の雇用への不安は強まる
*07:39JST NYの視点:米NY連銀3月調査、中長期期待インフレは安定、消費者の雇用への不安は強まる
NY連銀は3月の消費者調査の結果を発表した。1年のインフレ期待は3.58%と、2月3.13%から予想以上に上昇し、23年9月来で最高となった。前月からの上昇は0.5%ポイントで、過去2年間で最大を記録。トランプ政権による関税策がインフレにつながるとの懸念が根強い。一方、3年先のインフレは3%と2月から変わらず、5年のインフレ期待は2月の2.98%から2.86%へ低下し連邦準備制度理事会(FRB)の指摘通り、中長期のインフレ期待が安定している証拠となった。消費者は現状で、関税による混乱が短期的にとどまると見ている可能性が強い。ミシガン大消費者信頼感の1年、5-10年期待が大幅上昇したため、一時インフレの再燃が警戒された。調査対象となった消費者のほぼ3分の1は来年の金融状況の悪化すると予想している。予想は2023年10月来で最高。賃金が下がり、融資枠などクレジットの獲得がより困難になると悲観的な見通しを強めた。失業率が上昇する確率は上昇し、パンデミックによる経済封鎖直後の2020年4月来で最高に達した。今後、1年間に失業する可能性が高いとの回答率も上昇した。ただ、今後3カ月で債務の返済が怠るとの回答は、1%低下し13.6%。食品価格は1年先、5.2%上昇、24年5月来で最高となった。賃貸は7.2%上昇を予想している。一方、ガス価格は3.2%下落予想。FRBのウォラー理事は関税で2つのシナリオがあり、交渉により関税率が引き下げられた場合、経済の混乱が最小限にとどまり、政策対応を急ぐ必要がないと見ている。一方で、大幅な関税が長期化した場合、景気後退入りの可能性に言及し、利下げを支持するとした。経済、インフレの先行きは今後の関税の行方次第となる。
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2025/04/15 07:39
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】パウエルFRB議長、米小売売上高、ECB理事会、加中銀、中国GDP
*07:45JST NYの視点:【今週の注目イベント】パウエルFRB議長、米小売売上高、ECB理事会、加中銀、中国GDP
今週は引き続きトランプ政権の関税策を受けた他国による米資産売却を睨む慎重な展開が予想される。また、市場が神経質な動きとなる中、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が市場支援も除外しない姿勢を見せると、ドル売りやリスク回避の動きが後退する可能性がある。また、米中貿易摩擦の行方に焦点が集まる。中国の3月の貿易収支や国内総生産(GDP)に注目。中国の経済が引き続き弱いことが示唆されると、貿易を巡り米国に歩みよる可能性もある。米中貿易摩擦問題に解決の兆しが見られると、リスク回避の動きが後退する。逆に緊張が続いた場合、米資産売りを警戒しドル売り圧力になると見る。金融政策では欧州中央銀行(ECB)が定例理事会やカナダ中銀が金融政策決定会合を開催する。カナダ中銀は金融政策決定会合で政策金利を据え置く見通しだが、3月の消費者物価指数(CPI)次第で、0.25%の利下げを決定する選択肢も残ると見られている。欧州中央銀行(ECB)は理事会で、関税により域内経済が損なわれるとの見方に0.25%の利下げ決定の可能性も指摘されている。ラガルドECB総裁の会見で、関税による景気やインフレ見通しに注目が集まる。米国では、小売売上高に注目。景気後退入り確率が5割以上織り込まれつつある中、経済の7割を占める消費動向を探る。関税発動前に消費者が自動車などの購入を急いだことで押し上げられた可能性が指摘されている。ただ、関税発動や相互関税発表により、4月のミシガン大消費者信頼感指数も予想以上に落ち込み、3月の結果にもかかわらず、今後の小売りが弱まる可能性が警戒され、ドルは引き続き上値が抑制される可能性がある。18日はグッドフライデーで株式市場は休場となる。今週はさらにイースター、ユダヤ教の祭日を控え、参加者が限定的となる。■今週の主な注目イベント●IMF17日IMF世銀会合、ゲオルギエバ専務理事講演●米国14日:ウィリアムズ米NY連銀総裁、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁講演15日:NY連銀製造業、輸入物価指数、クックFRB理事講演16日:パウエルFRB議長、ハマック米クリーブランド連銀総裁、シュミッド米カンザスシティ連銀総裁講演17日:住宅販売、新規失業保険、フィラデルフィア連銀製造業指数、バーFRB副議長講演18日:デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が司会●中国14日:貿易収支、中国習国家主席がベトナム、マレーシア、カンボジア訪問16日:GDP、小売、鉱工業生産●日本14日:鉱工業生産16日:機械受注17日:貿易収支18日:CPI●カナダ15日:CPI16日:加中銀金融政策決定会合●欧州15日:ユーロ圏、独ZEW調査、鉱工業生産16日:ユーロ圏CPI17日:ECB定例理事会、ラガルドECB総裁会見●英国15日:失業率、失業保険申請件数16日:CPI
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2025/04/14 07:45
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国内外の注目経済指標:ECBは0.25ptの追加利下げを行う見込み
*14:14JST 国内外の注目経済指標:ECBは0.25ptの追加利下げを行う見込み
4月14日-18日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■16日(水)午前10時30分発表予定○(中)1-3月期国内総生産-予想は前年比+5.2%直近の景気は底入れしつつあり、生産活動は活発化しているが、1月、2月の生産活動は活発ではなかった。成長率は昨年10-12月期の+5.4%を下回る見込み。■17日(火)午前8時50分発表予定○(日)3月貿易収支-予想は+2344億円参考となる3月上中旬時点の貿易収支は822億円の黒字で黒字額は前年同期比で5倍超となった。2024年3月の貿易収支は+3499億円だったことから今年3月の貿易収支は黒字となる可能性が高い。■17日(木)午後9時15分発表予定○(欧)欧州中央銀行政策金利発表-予想は0.25ptの利下げ米国の相互関税措置がユーロ圏のインフレ見通しに与える影響は無視できないが、ユーロ圏の生産活動は低下しており、経済成長率の鈍化が予想されていることから、今回の理事会では政策金利の引き下げが決まる可能性がある。■18日(金)午前8時30分発表予定○(日)3月全国消費者物価コア指数-予想は前年比+3.2%参考となる2月実績は前年比+3.0%。食料の伸びが加速したが、電気・都市ガス代の支援策再開により、伸び率は3.0%にとどまった。3月については食料品の値上げが続いてることから、上昇率は2月実績を上回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定14日(月):(中)3月貿易収支16日(水):(中)3月小売売上高、(中)3月鉱工業生産、カナダ中銀政策金利発表17日(木):(米)3月住宅着工件数
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2025/04/12 14:14
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NYの視点:米トリプル安を警戒、安全資産に逃避
*07:38JST NYの視点:米トリプル安を警戒、安全資産に逃避
米トランプ政権の関税政策を受け、報復として各国が米国資産を手放すとの懸念も強まった。トランプ大統領が2日に相互関税を発表して以来初めてとなる米国債入札の結果では、10年債、30年債とも、順調な買い手が見られ強い結果となり、安心感につながった。ただ、ドル指数は100.70まで下落し、昨年10月来の安値を更新。また、米国株式相場も年初来下落基調となる。米国債相場も下落し、米国資産市場はトリプル安となっていることは市場に警鐘を鳴らしている。このため、投資資金は安全資産に向かった。もはやドルは安全資産ではなくスイスフランや金が買われた。安全通貨として知られるスイスフランは対ドルで2015年1月来の高値を更新。スイスは債務も少なく、経済も強く、質への逃避先と考えられている。金価格も連日で過去最高値を更新している。クレジット市場に注目が集まる。
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2025/04/11 07:38
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金は下げ止まりから値固めへ サンワード証券の陳氏
*17:55JST 金は下げ止まりから値固めへ サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は下げ止まりから値固めへ』と述べています。続いて、『先週のNY金(6月)は、トランプ大統領の「相互関税」が予想以上に強いものになったことを受けて、中心限月の清算値ベースでは3166.20ドルと史上最高値を更新。米高関税政策の詳細が発表されると、時間外取引では一時3200ドル台を付けた』と伝えています。次に、『週明け7日は、3営業日続落。前週末比61.80ドル(2.04%)安の1オンス=2973.60ドル。中心限月の清算値ベースで3000ドルの節目を割り込むのは3月13日以来、約1カ月ぶり』と述べ、『トランプ米大統領は7日、SNSへの投稿で、中国が米国産品に対する報復措置を撤回しない場合、中国からの輸入品に50%の追加関税を9日から課すと警告した。資金の逃避先としてドル買いが先行し、ドル建て金は売りが優勢となった』と伝えています。また、『ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は6日、トランプ政権が打ち出した一連の関税政策を巡り、50カ国以上が減免措置などの交渉を求めて、米国に接触してきていると述べた。関税交渉への楽観的な見方を背景に米長期金利が上昇し、金相場を圧迫した』と述べています。そして、『トランプ米大統領は6日、中国に対し「貿易赤字が解決しない限り、取引はしない」と話しており、関税問題は6月の開催に向けて協議が進む米中首脳会談まで続く可能性がある。中国が米国に報復を宣言したため、50%の追加関税が課せられる可能性がある』と示唆しています。陳さんは、『今後、多数の国が米国と交渉し、関税が減免されるとの見方から、8日のアジア時間ではリスクオフムードが一服し、金の換金売りの圧力が弱まっている。換金売り一巡となれば、米中貿易戦争激化を背景に金は買われよう。目先は3000ドル前後で保ち合いになると予想する』と考察しています。NY金(6月)予想レンジは、『2900~3100ドル』と想定しています。一方、『OSE金は1万4000円代での値固めとなろう』と考察、予想レンジは、『1万4000~1万4500円』と想定しています。また、『ロイター通信は7日、ドイツ銀行が投資家向けのメモで、2025年の金の平均価格見通しを従来の2725ドルから3139ドル、26年は2900ドルから3700ドルに引き上げたと報じた。今月3日以降の調整にもかかわらず、世界経済の混乱や地政学リスクで、引き続き強気相場が続くとしている』と伝えています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の4月9日付「金は下げ止まりから値固めへ」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
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2025/04/10 17:55
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NYの視点:FRBはスタグフレーション懸念も、政策判断困難に、関税で
*07:39JST NYの視点:FRBはスタグフレーション懸念も、政策判断困難に、関税で
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)を公表した。トランプ政権が相互関税を発表する前、当局者は関税により今年のインフレが押し上げられる可能性を指摘したことが、明らかになった。大半の当局者はインフレ長期化への懸念も表明。もし、インフレが長引いた場合、困難に直面する可能性を指摘した。労働市場に関しては、「広範に均衡している」との見方を維持。ただ、高い不透明性が消費、雇用、投資の鈍化につながる可能性に言及した。また、大半の当局者は、インフレに上方リスク、雇用に下方リスクが見られると、スラグフレ―ション懸念を強めたことも明らかになった。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「経済の減速に直面も利下げへの壁は一段と高くなった」と指摘。「FRBは利上げ、利下げ両方でより注視が必要」と強調した。今年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有している米セントルイス連銀のムサレム総裁は「高インフレリスク」を指摘。基本的な見通しは景気後退ではないと主張した。一方、ゴールドマンサックスのチーフエコノミストは、トランプ政権が発表した関税策を受けて、米国経済が今後12カ月間で景気後退入りする確率を65%予想している。トランプ政権が速やかに追加関税を覆すとは考えにくいが、もし、関税策が撤回された場合、景気後退確率は低下すると加えた。25年度の国内総生産(GDP)はマイナス1%成長予想。失業率は5.7%まで上昇を予想。ただ、直近の景気後退程落ち込まないとした。民間部門の財務が強く、主要な金融不均衡が想定されないためだと説明した。FRBは金融政策の判断が、さらに困難となる。
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2025/04/10 07:39
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NYの視点:米中小企業の3月楽観指数は大幅悪化、景気の減速を示唆
*07:42JST NYの視点:米中小企業の3月楽観指数は大幅悪化、景気の減速を示唆
全米自営業連盟(NFIB)が発表した3月中小企業楽観指数は97.4と、2月100.7から予想以上に低下し、昨年10月来で最低となった。3カ月連続の低下となった。同指数の10項目のうち7項目が低下した。向こう6カ月に事業環境が好転すると予想する中小企業オーナーの割合は16ポイント低下。インフレ調整後の販売増加を見込む企業の割合は11ポイント低下し、24年1月以来の大きな下げとなった。売上に悲観的な見方も一段と強まり、在庫拡大を計画していない。米トランプ政権の関税を巡る不透明感に企業は、今後の新規従業員の採用や設備投資を控える可能性が強まった。経済の成長減速を示唆する結果となった。
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2025/04/09 07:42
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NYの視点:米経済のリセッション懸念強まる、他国の米国債売却を警戒
*07:37JST NYの視点:米経済のリセッション懸念強まる、他国の米国債売却を警戒
エコノミストは、トランプ米政権の関税措置により経済が景気後退入りする確率が高まったとの見解を強めている。JPモルガンのエコノミストは顧客向けのレポートの中で、トランプ大統領が発表した相互関税率の大幅引き上げが経済の勢いに混乱をもたらし、短期的に景気後退入りするリスクを引き上げると警告。関税措置による収入は対国内総生産(GDP)比1.3%増、4000億ドルと、1968年以降、大幅増税に相当すると指摘した。また、関税措置が第2、第3四半期の物価圧力を引き上げ、2025年の個人消費支出(PCE)を1.0%から1.5%引き上げると算出。また、急激な物価上昇は消費購買力を弱め、年半ばには潜在的に可処分所得がマイナス域に落ち込む可能性があると指摘した。実質消費支出も活動が縮小し、経済が景気後退の状況に落ち込むリスクを警告した。CNBCが市場関係者を対象に実施した調査によると、回答平均で景気後退の確率は56%と、前回の33%から大幅上昇。2025年の国内総生産(GDP)予想は+0.7%と、前回から1.7%ポイント引き下げられた。著名投資家は関税の90日の延期を要請したが、トランプ大統領は計画を弱める姿勢は見せていない。特に34%報復関税を含め、対応措置を発表した中国に対しては8日に関税を撤回しなければ9日には追加で50%の関税を賦課すると強気。米国債券市場では中国などが関税措置への対処で、保有している米国債を売却するとの警戒感も浮上し始めた。
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2025/04/08 07:37
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NYの視点:【今週の注目イベント】米トランプ関税、米CPI・PPI、FOMC議事録、EU貿易相
*07:35JST NYの視点:【今週の注目イベント】米トランプ関税、米CPI・PPI、FOMC議事録、EU貿易相
今週はトランプ政権が5日に全輸入品に一律10%関税賦課したほか、9日には50諸国・地域に相互関税賦課を計画している。想定より厳しい関税策を受け世界経済の悪化懸念が強まった。各国との交渉などの行方に焦点が集まる。JPモルガンは米国経済が年内にリセッション入りする確率を60%に引き上げ。連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利下げ観測でドル売りや金利安、金融資産市場の下落につながった。トランプ政権による相互関税を受け、カナダや中国は報復措置を発表。EU貿易相は会合で、トランプ政権の相互関税対策を協議する。各国が断固として対抗する姿勢を示した場合、貿易戦争悪化懸念にリスク回避の動きが一段と加速する可能性がある。一方、FRBのパウエル議長は関税がインフレ要因となるリスクを警戒、今後数四半期のインフレを押し上げる可能性を警告した。不透明感が台頭する中、米国経済は良い位置にあり、金融政策調整を急がない姿勢を再表明し金利やドルもいったん下げ止まった。米国ではFRBの金融政策の行方を判断するうえで重要な主要インフレ指標に注目。3月消費者物価指数(CPI)統計では、コアのインフレが前年比で鈍化基調が続く見通しで、FRBの利下げを正当化する。さらに、FRBは3月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を発表。この会合でも、政策を据え置き利下げを急がない姿勢を表明。今後の政策の行方を探るために関税によるインフレや景気への影響を巡る判断、見通しに注目される。ただ、パウエル議長は関税による価格の上昇が根強いインフレにつながらないよう、注視が必要と利下げに慎重な姿勢を安易に転換するとは考えにくく、ドルの下値も限定的と見る。■今週の主な注目イベント●米国8日:デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が討論会参加9日:FOMC議事録(3月開催分)、卸売り在庫、トランプ政権は50諸国・地域に相互関税賦課、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演10日:CPI、失業保険申請件数11日:PPI、ミシガン大消費者信頼感、ウィリアムズ米NY連銀総裁が講演●NZ準備銀8日:金融政策会合●欧州7日:ユーロ圏小売売上高、独鉱工業生産、貿易収支、EU貿易相、トランプ大統領の関税への対応策を協議11日:独CPI11-12日:EU財務相・中銀総裁が非公式会合●豪州8日:消費者、企業信頼感●日本8日:経常収支10日:PPI●中国10日:PPI、CPI●英国11日:鉱工業生産
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2025/04/07 07:35
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国内外の注目経済指標:3月米CPIは2月実績を下回る可能性
*13:49JST 国内外の注目経済指標:3月米CPIは2月実績を下回る可能性
4月7日-11日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■8日(火)午前8時50分発表予定○(日)2月経常収支-予想は+3兆7718億円1月実績は-2576億円で2年ぶりの赤字。中国の旧正月の影響で日本からの輸出が鈍化し、輸入額が増えたことが要因。2月については貿易収支の改善が予想されること、第一次所得収支は高水準の黒字が予想されることから、経常収支は大幅な黒字となる見込み。■10日(木)午前10時30分発表予定○(中)3月消費者物価指数-予想は前年比+0.1%2月実績は前年比-0.7%。旧正月の春節の大型連休が去年と比べて早く終わったことで旅行関連の価格が下落したことなどが要因。3月については個人消費の回復は遅れているため、インフレ率は低い伸びにとどまる見込み。■10日(木)午後9時30分発表予定○(米)3月消費者物価コア指数-予想は前年比+3.0%2月実績は前年比+3.1%。3月についてはサービス価格や帰属家賃の伸び率は鈍化しているため、コアインフレ率は2月並みの水準にとどまる可能性がある。■11日(金)午後11時発表予定○(米)4月ミシガン大学消費者信頼感指数-予想は55.0参考となる3月実績は大幅に悪化。トランプ米大統領の関税措置によってインフレ再燃が警戒されたことが要因。4月については、物価高と経済の弱体化が引き続き警戒されており、信頼感の改善は期待薄。○その他の主な経済指標の発表予定7日(月):(欧)2月小売売上高9日(水):(NZ)NZ準備銀行政策金利発表11日(金):(米)3月生産者物価指数
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2025/04/05 13:49
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NYの視点:米3月ISM非製造業景況指数の雇用は予想外に活動縮小域、雇用削減数は20年5月来で最高、雇用統計に警戒感
*07:34JST NYの視点:米3月ISM非製造業景況指数の雇用は予想外に活動縮小域、雇用削減数は20年5月来で最高、雇用統計に警戒感
米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM非製造業景況指数は50.8となった。2月53.5から予想以上に低下し、昨年6月来で最低となった。ただ、9カ月連続で、拡大と縮小の境目となる50を上回り、拡大域を維持した。重要な項目である新規受注は50.4とやはり昨年6月来で最低となり、指数を押し下げた。ただ、9カ月連続で50を上回った。仕入れ価格は60.9と、2月62.6から低下したことは連邦準備制度理事会(FRB)にとり朗報となる。2017年5月以降50を上回る水準にある。一方、雇用は46.2と、予想外に昨年9月来の活動の縮小域に落ち込んだ。23年12月来で最低となった。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した3月の雇用削減数は前年比204.8%増277.524万人と、20年5月来で最高に達した。2月の103.2%増に続き、2か月連続で大幅な増加となった。23年8月来で最大の伸びを記録した。政府効率化省(DOGE)関連の削減で政府職員の削減は過去2カ月で28万人を上回った。また、直近の新規失業保険継続受給者数が190.3万人と、2021年11月来で最大に達し、失業者が新たな職を得るまでにより時間が要することも明らかになり、労働市場の減速の可能性を示唆。米国経済の7割が消費を占めるためISM非製造業指数の雇用の減速を受け、労働省が発表する3月雇用統計で雇用者数の伸び減速が想定以上に加速した可能性が警戒される。■米3月ISM非製造業景況指数:50.8新規受注:50.4(2月52.2)仕入れ価格:60.9(2月62.6)雇用:46.2(53.9)
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2025/04/04 07:34
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金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか サンワード証券の陳氏
*17:51JST 金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか』と述べています。続いて、『先週のNY金(6月)は、トランプ政権の高関税政策がインフレと景気減速を招くとの警戒感が高まり、内外で最高値を更新した。NY金は初の3100ドルに上昇した。中心限月の清算値ベースでは、4週連続のプラスとなった。OSE金はNY金高に加え、為替の円高が一服したこともあって1万5000円の大台を示現した』と伝えています。次に、『週明け31日は、米高関税政策が景気や物価動向にもたらす不確実性が引き続き警戒されて続伸。前週末比36.00ドル高の1オンス=3150.30ドル。中心限月の清算値ベースで最高値を3営業日連続で塗り替えた。四半期ベースでは1986年以来の強気相場となる』と伝えています。また、『トランプ大統領は30日夜、4月2日に発表を予定している相互関税について、全世界が対象になり得るとの考えを表明。米国の高関税賦課によりリセッション(景気後退)やインフレの再上昇を招く可能性が高まるとの先行き不透明感が強まる中、安全資産としての金買いが加速した。金ETF(スパイダー・ゴールド)も933.38トンと年初来最大保有量を更新した。株式市場が不安定となる中、金現物投資が復活している』と見解を述べています。そして、『ベッセント財務長官は31日、FOXニュースの番組の中で相互関税の詳細について、日本時間の4月3日午前5時にトランプ大統領が発表すると明らかにした』とし、『当初より緩やかな内容となれば、買われ過ぎ感が強まっている中で、利益確定売りが膨らむ可能性がある。ただ、トランプ大統領の二転三転する発言や不透明感を背景に、押し目は買われやすい展開が続くだろう』と考察しています。NY金(6月)予想レンジは、『3000~3300ドル』と想定しています。一方、『OSE金は節目の1万5000円を達成したものの、押し目買いに地合いは強く、値固め局面が続きそうだ』と考察、予想レンジは、『1万4700~1万5500円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。
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2025/04/03 17:51
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NYの視点:米3月雇用統計:先行指標は底堅い
*08:35JST NYの視点:米3月雇用統計:先行指標は底堅い
米労働省が発表する3月雇用統計の先行指標となる民間部門の雇用者数、ADP雇用統計は+15.5万人と伸びは2月+8.4万人から拡大し、労働市場が底堅いあらたな証拠となった。ただ、全米の製造業活動を示す全米供給管理協会(ISM)製造業の雇用は44.7と、2月47.6から予想以上に低下し、昨年9月来で最低となるなど、製造業の雇用は冴えず。エコノミストの平均予想で非農業部門雇用者数が+14万人と、伸びは2月+15.1万人から伸びが小幅鈍化を予想。失業率は4.1%と、歴史的にも低い水準を維持する見込み。労働市場の急速な悪化の兆候は依然見られない。コンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数で、エコノミストが労働市場動向を判断するうえで注視している雇用が「十分」33.6と「困難」50..7の差は2月から拡大し17.9と労働市場の安定を示唆した。■3月雇用先行指標●ADP雇用統計:+15.5万人(予想:+12万人、2月:+8.4万人←+7.7万人)●ISM製造業雇用:53.0(2月53.9)●コンファレンスボード消費者信頼感指数現在の業況雇用十分:33.6(2月33.6、前年同月41.7)不十分:50.7(50.4、46.1)困難:15.7(16.0、12.2)6カ月後雇用:増加:16.7(18.8、14.3)減少:28.5(26.6、18.8)不変:54.8(54.6、66.9)所得増加:16.3(18.8、18.6)減少:15.5(12.8、11.7)不変:68.2(68.4、69.7)■市場予想・米・非農業部門雇用者数:予想:+14万人、2月:+15.1万人)・米・失業率:予想:4.1%、2月4.1%)・米・平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%、2月:+0.3%、+4.0%)
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2025/04/03 08:35
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中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】
*16:26JST 中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。国際貿易のダイナミクスが変化し続けるなか、中国が先日、反外国制裁法の実施規定を公布したことに国際関係専門家と業界リーダーの注目が集まっている。2025年3月24日に李強首相が正式に署名し発効したこの実施規定は、米国など外国の制裁圧力の高まりを受けた中国の戦略的動きにほかならない。反外国制裁法は外国の制裁に対する中国の対抗措置に法的な裏付けを与えることを目的としているが、同時に、台湾政府と台湾ハイテク産業に与える影響や、国際貿易に及ぶ幅広い影響について、数々の疑問を生じさせてもいる。今回の記事では、中国の新たな実施規定のポイントや、台湾に与える影響、関税と制裁措置を中心にした幅広い意味での米国の貿易政策との関係を掘り下げていく。反外国制裁法実施規定の背景と主要条項反外国制裁法は、主に米国など西側諸国が中国に科す国際的な制裁措置の増加を受けて導入された。こうした制裁措置は中国の経済、技術、安全保障のさまざまな側面を対象としており、特に貿易不均衡や知的財産権、5Gや人工知能など先端技術に関する制限に重点を置いている。同法は、中国に制裁を科す外国の企業や個人に対して報復措置を講じる権限を中国政府に付与する。その実施規定に盛り込まれた措置には、中国の利益を侵害したとみなされる外国企業や外国政府に対して実施できる資産凍結、貿易や投資の制限、その他の経済制裁などがある。特に注目すべきは、同規定が金融、技術、教育、文化など幅広いセクターを対象としているほか、外国の圧力に対抗するために中国が講じる具体的な措置を示している点である。この法的枠組みにより、中国は、不当な制裁や貿易制限だと自らが考える措置に対し、より体系的かつ強力に対応することができる。台湾への影響:政府とハイテク産業の主な懸念材料台湾にとって、この新たな実施規定の導入は重要な動きであり、ハイテク分野を中心に慎重な検討が必要となる。半導体産業をはじめ、台湾経済は中国と密接に結びついており、中国の規制環境の変化・変更は台湾企業に大きな影響を与えかねない。1.ハイテク産業への影響台湾は、台湾積体電路製造(TSMC)など世界をリードする半導体メーカーの本拠地である。中国は技術的独立性の強化を図っており、同国が課すいかなる制限や報復措置も台湾のIT企業に深刻な影響を与えるおそれがある。新たな実施規定の導入をきっかけに、中国は自国に制裁を科す諸国と歩調を合わせているとみなした外国IT企業との協力を制限し、場合によっては禁止するようになるかもしれない。台湾のハイテク産業が中国市場と密接に結びついていることを考えると、台湾企業は事業戦略と中国市場への依存を見直す必要が出てくる。2.対中投資制限の可能性同規定は外国投資を制限または禁止する権限も中国に付与しており、中国で事業を展開する台湾企業がその標的になることも考えられる。これは特に、製造や研究開発で、あるいは自社製品の市場として中国に依存してきた企業にとって大きな懸念材料となる。中国がこうした投資に制限を設けることを決定すれば、台湾企業の業務に多大な支障が生じかねない。台湾の政治家はリスクを慎重に見極め、台湾の経済関係の多角化を図り、中国市場への依存軽減を検討しなければならない。3.学術・技術・文化交流への影響同規定の文化・技術・教育協力の制限に関する条項もまた、台湾の懸念材料となっている。台湾は工学、人工知能、社会科学などの分野を中心に、中国と長年にわたり学術・技術交流を重ねてきた。同規定がこうした交流を標的としていることから、台湾の大学や研究機関、企業は中国側との連携を続けることが難しくなるおそれがある。それにより台湾が地域からの孤立を深め、イノベーションや国際的な学術協力に長期的な影響が及ぶかもしれない。抑制的なアプローチ?中国の戦略と米国を標的としたその内容反外国制裁法実施規定の制定により、中国は国際的な制裁への対抗措置に大きく踏み出したように思えるが、同規定の条項は当初の予想に比べると抑制的だと感じられる。同規定はあからさまに米国など特定の国を対象としておらず、外的圧力に中国が柔軟に対応できるようにした幅広い法的枠組みと言える。米国を中心とした西側諸国の制裁に対する中国の不満は高まっているものの、同規定により直ちに緊張が高まり全面的貿易戦争に発展するという事態には至っていない。むしろ、中国は米国やその同盟国に対し、より慎重かつ計画的なアプローチを取っているようである。こうしたアプローチは、同法が外的圧力に対抗するためのものであるとはいえ、中国が依然として米国をはじめとした世界の主要国との関係悪化を回避しようと努めていることを示唆する。中国のこうした慎重な対応は、米国との全面的な貿易紛争が全世界に及ぼす影響を認識してのものである。貿易戦争は両国の経済にダメージを与え、グローバルなサプライチェーンを混乱させる可能性が高い。そのため同規定は、中国が必要に応じて制裁措置に対応する態勢を整えながらも関係悪化を回避しようという、幅広い戦略の一環とみなすべきである。米国の関税と貿易戦争:国際貿易への影響反外国制裁法実施規定は、国際貿易を大きく揺り動かす米国の新たな貿易政策が、特に米中貿易戦争とのからみで次々と打ち出されるタイミングで制定された。ドナルド・トランプ大統領は1期目に、「米国第一主義」の一環として中国製品に何十億ドルもの関税を課した。その目的は、貿易不均衡、知的財産の盗難、不公正な取引慣行への対処であった。ただ、協議を重ねて緊張緩和がある程度図られたものの、米国は貿易問題で中国などの諸国に圧力をかける手段として関税を利用し続けてきた。1.中国などの諸国に対する米国の関税関税の賦課は技術、製造、農業などのセクターを中心に、世界貿易の流れに混乱を生じさせている。台湾のハイテク企業はグローバルなサプライチェーンに深く組み込まれているため、集中砲火にさらされるおそれがある。米国と中国が関税戦争を続けるなか、台湾は貿易面で不確実性の高まりとコストの上昇に直面するかもしれない。2.世界的な貿易摩擦の高まり関税を利用し続けるトランプ大統領の姿勢を受け、各国が徐々に保護主義的措置に訴えるようになる「貿易戦争」シナリオを懸念する声が上がっている。これが、グローバルなサプライチェーンの再編や、関税回避を目的とした企業の生産移転、ひいては世界経済の成長減速につながるおそれもある。台湾企業は半導体産業を中心に、さらなる関税や制限が課せられるリスクを軽減するため、代替の市場や生産施設を検討する必要があるかもしれない。3.米国の制裁措置と技術貿易米国はファーウェイ(華為)など中国のIT企業も標的にし、米国企業の重要な技術やコンポーネントへのアクセスを禁じてきた。米国の輸出制限が、米国と中国の両方に高度半導体を供給するという台湾の役割を阻害する可能性があり、ITセクターはTSMCなどの企業を含め、こうした政策の影響を直接受けるかもしれない。これにより、相反する政治的圧力にうまく対応してきた台湾企業が直面する複雑さが増している。反外国制裁法実施規定が及ぼす影響と台湾の戦略的対応中国による反外国制裁法実施規定の導入で、台湾はいくつかの課題を突きつけられている。中国が外国の制裁に対抗する法的枠組みを強化するにつれ、台湾政府・企業は同規定がもたらしうるリスクとチャンスを常に慎重に評価する必要があるだろう。台湾は、特に今も続く貿易摩擦を念頭に、中国など世界の大国との関係を慎重に検討しなければならない。この新たな実施規定と幅広い地政学的変化がもたらすリスクを軽減するために台湾が注力すべきは、貿易関係の多角化である。今後は、中国以外のアジア諸国に加え、欧州連合など国際市場との連携の強化が中国市場への依存軽減の鍵を握る。これに加え、台湾のハイテクセクターはイノベーションを進めて、急速に変化する国際貿易環境にうまく適応し、地政学的緊張が増しても競争力を確実に維持する態勢を整えなければならない。まとめ:国際貿易環境の変化に対応する中国と西側諸国、特に米国との間で貿易摩擦が続くなか、反外国制裁法実施規定の導入は大きな転換点となる。台湾のハイテク産業は中国の法的・経済的環境の影響を直接受けることから、同規定は台湾に課題とチャンスの両方をもたらすだろう。また同時に、米国の関税政策など幅広い貿易摩擦が現在進行中であることを思い出させる役目も果たす。国際貿易環境は変化し続けており、台湾は今後、柔軟に戦略を変えつつ競争力を維持し、米中対立が生む複雑な状況をうまく乗り切る必要がある。貿易関係の多角化と技術・経済連携の強化を進めることで、台湾は世界の二極化が進むなかにあっても繫栄を続ける態勢を整えられるだろう。中国の李強首相(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 16:26
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中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:20JST 中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。中国のグローバルカンパニーか否かトランプ氏の怒りの矛先は当初、パナマ運河の支配権に向けられた。彼はこの運河を中国が支配し、米国の船舶に法外な運航料を課していると間違った主張をしていた。後者の部分は完全な勘違いだが、前者の部分にはわずかながら根拠がある。香港に本拠を置くCKハチソンが運河沿いの2つの港を支配していたため、これを中国国家による支配ととらえたのである。CKハチソンは香港で最も著名な実業家の李嘉誠氏が所有する企業である。李嘉誠氏は世界で最も目端の利く実業家の一人だ。香港の大物実業家の多くがそうであるように、李氏も香港の不動産業でまず財を成し、江沢民元国家主席と親密な間柄になったが、江氏が退任し香港で緊張が高まると、香港や中国関連の資産を売却し、海外のインフラや電気通信分野へと進出し始めた。パナマ運河についてのトランプ氏の脅しを受けて、李氏が23カ国にまたがる43カ所の港湾を、米国の資産運用大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することに同意したのは、現在の世界的な緊張の高まりと、国際貿易が打撃を受ける可能性を認識してのことに違いない。中国政府は激怒し、中国政府寄りの香港紙も解説記事でこの合意を厳しく非難した。香港の中国行政機関がこれをリポストしており、この解説記事に正式なお墨付きが与えられたことは明らかである。香港政府もこの合意に対して、すべての法令に従う必要があると公に警鐘を鳴らしたが、少なくとも書面上は企業同士の単純な国際資産取引であるこの合意にいかなる法令の違反があったのかについては、一切触れてない。トランプ氏により中国企業が港湾の売却を余儀なくされ、中国政府が激怒していることは間違いないが、それはすなわち、中国がCKハチソンを実質的に中国国家の出先機関とみなしているということだ。CKハチソンは国営企業ではなく民間企業であり、国際的な資産を幅広く保有する李嘉誠氏が株式の過半数を所有している。中国は、同社が民間企業ではないと言おうとしているのであろうか。それとも、民間企業ではあるが、必要に応じて中国共産党の意向に従い行動すると言おうとしているのか。他国は今後、李嘉誠氏による投資を実質的に共産党のフロント企業としての活動としてとらえるべきなのか。そしてそれはすべての香港企業のみならず、中国国民が創業したあらゆる企業に当てはまるのか。自国企業に対する規制や監視を激しく非難する際、中国はおそらく米国を模倣しているにすぎない。欧州の訴訟での米国系IT企業に対する制裁金と規制について、これら企業が国営企業ではないにもかかわらず、ヴァンス副大統領が欧州の規制当局を激しく非難したのはほんの数週間前のことである。中国はこれと同じことをしているだけではないだろうか。CKハチソンが保有していたというだけで、中国が実際にパナマ運河や他の港湾の支配権を有していたと言えるのか。公開されている情報からは真偽が定かではない。ただ、トランプ氏が世界の舞台から撤退することで生じた隙間に中国が入り込もうとしている今、こうした中国の反応が香港企業を難しい立場に立たせ、国営と民営の区別をさらに混乱させたことは明らかである。米国の失点が必ずしも中国の得点にはならない平和の維持に大きな役割を果たし、過去80年間にわたり領土戦争を確実に抑えてきた国内外の枠組みや制度を廃止しようと、トランプ氏とそのチームは日々取り組んでいる。冷戦終結と約30年にわたる中国の隆盛で、従来の秩序のもろさが露わになっているとはいえ、新しい秩序を考えずに古い秩序を破壊することは愚の骨頂である。中国は米国主導の秩序をしばしば激しく非難し、異なる秩序を求めてきたが、それがどのような秩序で、自らがそこでどのような役割を果たすかについては明言してこなかった。トランプ氏が世界の舞台から降りたからといって、中国が入り込むのは容易ではない。トランプ政権は依然として中国製品に関税を課し、中国企業を対象とした新たな制裁措置を導入しつつあり、政権の閣僚の多くが対中強硬派だ。米国が失点しても、中国が労せずして利益を得る状況にはなっていない。多くの国々は、トランプ氏の行動を受けて自国の問題の統制を強化し始めたが、同時に、中国の世界的な影響力の強まりにも懸念を抱いている。安全保障上の懸念が著しく高まり、中国が国営企業と民間企業の境界線を相変わらず曖昧にするなか、中国は、古い秩序が崩壊しても求めていたような秩序が新たに生まれるわけではないことに気づくかもしれない。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 10:20
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中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:10JST 中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信しているフレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。下り坂が続く2期目を開始して2カ月となるドナルド・トランプ氏は、依然としてマスコミを日々賑わせており、新たなドラマや非常識な言動を毎日世に発する様子はまるで昼ドラのようだ。大統領を影で支えるチームは人々を情報の洪水に巻き込む戦略を展開しているが、これは偶然の結果ではなく、憲法違反や大統領の越権行為だと判断されうる行動に反対するだろう人たちを混乱させ、押さえつける企てである。援助プログラムやバイオメディカル研究、政府機関全体の変更や閉鎖であれ、何千名もの連邦政府職員の違法な解雇であれ、トランプ政権がもたらした変化の規模の大きさを考えると、野党の政治家や従来型メディア、裁判所が後れを取り、阻止できなかったことは間違いない。三権分立の一角を担う裁判所が先日ようやく行政府の権力掌握に抵抗し始めたが、メディアコメンテーターだけでなく閣僚の間でも、裁判所の判決を無視するよう求める声が強まっている。またトランプ氏自身も判事の判断に不満を抱き、弾劾されるべきだと判事を非難した。これは米国における法の支配の崩壊にほかならず、米国は民主主義国家から、大統領の意に沿わない法律には従わない独裁国家へと向かっている。米国と同盟を結んでいる国にとってこれは由々しき事態であり、米国は信頼できないパートナーとなりつつある。大口を叩いていたにもかかわらず、トランプ氏はウクライナ戦争を終わらせることができていない。また大統領就任時には自身の成果だと主張していたガザの停戦すら、イスラエルがガザへの攻撃と軍派遣を再開したことで行き詰まっている。彼がこれまでに実行しうまくいったことといえば、近隣諸国や同盟国を脅して従わせることである。すでにカナダとメキシコ、そしてもちろん中国にも関税を課したほか、鉄鋼・アルミニウムにも関税を課しているが、4月2日には欧州連合を中心とするほぼすべての貿易相手国を対象とした相互関税を発表する予定である。トランプ氏は自分とヴァンス副大統領がゼレンスキー大統領を公の場で非難すればとても面白いテレビ番組になると冗談めかして言っていたが、そのとおりの展開となった。しかしウクライナに対する今回の裏切りは実のある結果をもたらしていない。ゼレンスキー大統領はこの会談に向けた準備がしっかりできていなかったようだが、最終的に停戦に同意する意欲を示したことで、戦争を終結させるために歩み寄るかどうか、ロシア側にボールが投げられたことになる。ロシアとプーチン氏をよく知る人であれば、彼らがトランプ氏に調子を合わせるはずがないことは明らかであり、実際そのとおりの結果となった。トランプ氏が成し遂げたことといえば、彼の下で米国はまったく信頼できない国になったことを欧州の(元)同盟国に示し、米国に頼らないポストNATOの安全保障秩序への着手を余儀なくさせたこと以外にはない。トランプ氏が自国の政府を骨抜きにし、同盟関係や友好関係を台無しにする今、中国が不安感を抱く必要などあるのだろうか。米国主導の世界秩序の崩壊は、中国が望んでいることではないのか。「欧州の戦争」における中国の立場トランプ氏が条約を破棄したり、グローバルな協定から離脱したりするたびに、自ずと中国が勝者になると考えてしまう人もいるだろう。確かにWHO脱退やパリ協定離脱で米国にメリットはなく、雑な解釈をすれば、空いた席に中国がつくとも考えられる。実際そうなる場合もあるかもしれないが、それは、中国が世界のリーダーとなる態勢を整えていることを前提とする。中国とロシアがこれまで掲げてきたグローバルビジョンの大部分は、自らが世界に何を提案するかではなく、米国の提案を否定することに終始してきた。ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアが戦争を遂行できるかどうかの鍵を握っていたのは中国の反応である。おそらくプーチン氏は事前にこの特別な軍事行動を習近平氏に知らせていたはずだが、プーチン氏同様、習氏も数日か数週間で決着がつくと考えていた。3年が経っても中国は相変わらずロシア側につき、対ロシア貿易を大幅に増やし、軍事以外の技術と物資の主要な提供国であり続け、ロシア産炭化水素の最大の購入国となっている。他国の問題に介入しないという中国の神聖な理念は、ウクライナの主権問題になると都合よく忘れ去られてしまうようだ。プーチン氏の世界観では、ウクライナは正式な国家ではなく、ロシアを弱体化させる手段として米国が支えるある種の傀儡政権であった。そのため、ロシアは表面的にはウクライナ国民と闘いながら、実際には米国と戦争をしているのである。この歪んだロジックが、まずイランがロシアにドローン技術を積極的に提供し、北朝鮮がロシアの軍事行動に兵士を派遣するという流れを生んだ。そしてこの歪んだ世界秩序は、CRINK(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)が、ウクライナへのいわれのない攻撃の支援というより米国への間接的な攻撃としてこれらの行動を正当化することにつながっている。直接的な攻撃は狂気の沙汰としか言えないが、米国がウクライナ問題にかかりきりになれば、それ以外の地域から米国の注意をそらすことができる。だが、トランプ氏のせいでこうした計算全体に狂いが生じた。トランプ氏が実質的にウクライナ側からロシア側へと寝返る中、EUなど欧州諸国は、自分たちが中心となって戦時下と戦後のウクライナを支えなければならないこと、またウクライナ戦争は今もこれまでも米国に対する代理戦争ではないということを徐々に受け入れつつある。欧州の国であるウクライナへの攻撃であり、欧州諸国がウクライナの主たる支援者となるのである。そうなると、中国は欧州諸国との関係で極めて好ましくない立場に立たされてしまう。米国第一主義の貿易政策を取る米国への対抗勢力としてアピールし、欧州諸国との協力の緊密化を図る一方で、欧州の国への攻撃を認め実質的に支援していることになるからだ。グリーンエネルギー化で欧州と連携する安定した確かな貿易相手国として、欧州にとって信頼できるパートナーとなる準備を万全に整えていると中国が自認していることは間違いない。そうしたナラティブがいまだに響く相手がいるかもしれないが、トランプ政権発足前には欧中貿易関係が非常に不均等かつ不平等であることにEUは気づき始めていた。トランプ氏がウクライナに背に向けたことで、他の国々は自国の防衛について今まで以上に真剣に考えることを余儀なくされており、中国の脅威に対抗するため、新たな同盟関係やパートナーシップの構築を目指しているはずだ。アジアでは韓国と日本がその顕著な例である。米軍が駐留し、歴史的に米国と強固な同盟関係にある両国も、米国が向かう先と、安全保障を米国に依存することの現実的なリスクを憂慮しているに違いない。また忘れてならないのは、米国は欧州との同盟関係や約束を台無しにしているが、中国に神経を集中させたいというのもその理由の一つだという点だ。それが何を意味するのか、現時点では誰にも分からない。トランプ氏のチームの中国に関する発言は驚くほど少なく、追加関税を課したとはいえ、具体的な対中政策のようなものは一切打ち出されていない。トランプ氏は習氏が訪米すると述べているものの、詳細についてはまったく触れていない。中国と取引(ディール)すると話しているが、現在までのところ彼の取引は概ね期待外れの結果に終わっている。戦争は終結せず、平和は実現せず、経済成長も見られない。「中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 10:10
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NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か
*07:53JST NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か
米国労働統計局が発表した2月JOLT求人件数は756.8万件と、1月776.2万件から予想以上に減少し、12月来で最低となった。昨年の同月844.5万件から87.7万件減少した。トランプ政権の関税策を巡る不透明性が台頭し、企業は事業計画の決定を保留にしていると見られ、雇用削減や新規採用を控え、現状を維持している兆候が見られる。ただ、連邦職員求人件数は13.8万件と、前月の13.2万件から増えた。求人件数は総失業者数の705.2万人を依然51.6万上回っている。しかし、その差は縮小しつつあり、コロナ以降で最小。ただ、求人件数が失業者数を上回っている限り、景気後退を予想するのは困難と見られる。採用者数は539.6万人と、1月の537.1万人から増加し昨年年10月来で最高に達し、労働市場の急激な悪化の気配は見られず。採用率は3.4%で1月と同水準。従業員の労働市場への自信を示す自主的退職者数は319.5万人で、前月の325.6万人から減少し雇用者の労働市場への自信が軽減したことが示唆された。自主的退職率は2.0%と1月から変わらず。ただ、2022年のピーク3%からは低下基調にあり、労働市場のひっ迫緩和の証拠となった。退職者数は530万人。退職率は3.3%で1月から変わらず。地方政府は3.2万人、連邦政府は1.1万人。雇用削減者数は180万人。昨年同月の168万人からは増加した。雇用削減率は1.1%で変わらず。連邦政府職員の削減数は2.2万人と2010年10月来で最高となった。今後、公務員が民間の職に就き、トランプ政権が模索している政府を縮小し民間部門を拡大する構想達成が順調に進むかに焦点が集まる。■2月労働市場ダッシュボード求人件数:4.5%(予想4.5%、1月4.7%)雇用削減率:1.1%(1月1.1%)自主的退職率:2.0%(1月2.0%)採用率:3.4%(1月3.4%)失業率:4.1%(1月4.0%)不完全雇用率(U6):8.0%(1月7.5%)非農業部門雇用者数:+15.1万人(1月+12.5万人)平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%(1月+0.4%、1月+3.9%)
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2025/04/02 07:53
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NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ
*07:39JST NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ
米3月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は47.6となった。2月45.5から低下予想に反し上昇し、23年11月来で最高となった。ただ、16カ月連続で活動の縮小となる50割れとなった。生産は50を上回り、拡大域に改善。雇用の減少ペースや新規受注の減少ぺースが改善し、指数を押し上げた。関税を巡る特別な質問では、25年の販売価格を巡る計画で、回答者の25%は引き続き価格安定を維持するとした。35%は2-4%の値上げを計画しているとした。14%が2%以下の値上げ、14%は4-7%、11%が7%以上の値上げを計画している。ゴールドマンサックスは、貿易緊張や弱い消費者信頼感を受け、米国経済が今後12カ月に景気後退入りするリスクを従来の20%から35%に引き上げた。政策を進めるために短期的な経済の減速を容認するトランプ政権の姿勢を指摘。2025年の国内総生産(GDP)見通しは1%へ引き下げ。連邦準備制度理事会(FRB)は7月、9月、11月、3回の利下げを予想している。年末のインフレ率は3.5%。そのほか、JPモルガンは景気後退確率を40%と見ている。米国経済は引き続き低迷ながら一段の悪化の兆しはまだ見られない。
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2025/04/01 07:39