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神戸物産 Research Memo(7):原材料価格の上昇を値上げ効果で吸収し、22年10月期も増収増益が続く見通し
配信日時:2022/07/21 15:27
配信元:FISCO
■今後の見通し
1. 2022年10月期の業績見通し
神戸物産<3038>の2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円、経常利益で同0.4%増の29,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.1%増の19,800百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で52.1%、営業利益で51.2%、経常利益で56.1%とそれぞれ順調に推移している。第3四半期以降も原材料価格の高騰や円安が進んでおり、市場環境は引き続き厳しいものの、状況を見ながら値上げを適宜実施することでコスト増を吸収していくことにしている。
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の業績前提としては、店舗数で前期末比60店舗増の1,010店舗を計画しており、既存店向け出荷額については若干の増加を見込んでいる。第2四半期末で19店舗増と進捗はやや低いものの、9~10月に新規出店が集中する見通しとなっており、店舗数については計画の達成がほぼ見えている。半導体不足による冷凍庫など設備の不足が懸念されたが、出店予定分については確保できたようだ。
店舗数だけで見ると前期末比で6%の増加となるため、既存店向け出荷額が下期も前年同期の水準を上回れば増収率で1ケタ台後半は可能と見られる。一方、利益面では原材料や運賃コストの上昇、円安の影響などを値上げの実施や物流体制の見直しによるコスト低減等により吸収していくことにしている。値上げについては、競合の食品スーパーの状況も見ながら販売数量に影響を与えない範囲で実施していくことにしている。弊社では、食料品の値上げが業界全体で拡がるなかで「業務スーパー」の優位性が維持され、第3四半期以降も既存店向け出荷額は1ケタ台前半の伸びが続くものと弊社では見ている。
一方、物流面では福岡や仙台の物流センターを増強したほか、2022年6月には四国に3PLセンターを開設し、納期の短縮を図るなど、各拠点にて物流の効率化を図ることでコスト低減に取り組んでいる。また、同社は新たな計画として関東に物流機能を有する生産拠点を建設することを明らかにした。土地は既に確保済みで、現在は同拠点での生産品目なども含めて計画を策定している段階にある。2023年10月期中にも着工する見通しで、設備投資額としては200億円規模になる見通しだ。現状、関東エリアについては外部の物流センターを活用していたが、同拠点の開設によりコスト低減が進む見通し。開設初年度は減価償却費が増加するものの、コスト削減効果のほうが大きいため、稼働初年度から利益増に貢献すると見られる。
さらに、関西物流センターでは2023年10月期に商品の仕分を行うソーターシステムの更新を予定している。既存のシステムは老朽化しており、1ヶ所トラブルが発生してストップすると全体のラインがストップするなど生産性が低かった。新たなソーターシステムは仕分け処理スピードのアップに加えて、トラブルが発生した際にも全体のラインがストップしないような安全システムも導入する予定になっており、生産性の向上が見込まれる。
自社グループ工場の設備投資計画は通期で50億円程度を見込んでいる。生産能力を増強する主な品目としては、宮城製粉(株)のチルド惣菜シリーズ、豊田乳業(株)の牛乳パック、(株)神戸物産エコグリーン北海道のコロッケ、パン粉、秦食品(株)の冷凍讃岐うどん、ポテトサラダ等のチルド食品が挙げられる。引き続き生産能力が不足している工場では能力増強投資を進めていくことにしており、年間50億円程度の設備投資が続く見通しだ。
(2) 外食・中食事業
外食・中食事業は売上高で2ケタ増収となり、営業損失も縮小する見通しだ。「神戸クック・ワールドビュッフェ」については、通常営業体制に戻ったこともあり既存店については増収が見込まれるものの、店舗数が前期末の15店舗から9店舗に減少したことにより、同事業全体では減収減益となる見通し。収益改善施策として2022年5月より全店舗でメニューのリニューアルを実施している。なお、退店した北陸・中部の一部について現在、引き継ぎを検討しているFCオーナーがいるようで、市場環境が好転するようであれば営業が再開される可能性がある。
一方、好調が続いている「プレミアムカルビ」の店舗数は、前期末比で8店舗増の18店舗を計画していたが、出店基準を見直したことにより、計画をやや下回る可能性がある。5月、6月で2店舗を出店しており、現状は15店舗となっている。時短営業等の制限がなければ、1店舗当たり年間2~3億円の売上が見込めることから、売上高は大幅増収となる見通し。2022年4月以降はフルタイムで営業しており売上も好調に推移している。6月に開催した「Thailand Fair(タイフェア)」も好評だったようで、今後も定期的に世界各国のアレンジを加えた期間限定メニューを提供していくことで、集客力の維持向上に取り組んでいく。なお、FC化の時期については直営で30店舗程度まで展開し、店舗運営の人材が揃ってきた段階で開始することを視野に入れており、当面は首都圏での出店拡大を進めていくことにしている。
また、「馳走菜」については出店計画を作っていないものの、「業務スーパー」との同時出店を計画しているFCオーナーが増えている。第2四半期末までに前期末比で16店舗増加しており、通期では30店舗以上の増加が見込まれ、80店舗を越えてくるものと予想される。同社では2025年までに100店舗を目指していたが、現状のペースが続けば2023年にも達成できる勢いとなっている。
(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業では、2021年5月に稼働した大阪府泉南郡岬町の太陽光発電所(約9.9MW)がフルに寄与するほか、2022年6月下旬に稼働開始している福島県の西白河発電所(約19MW)が約4ヶ月分寄与することから、売上高で4億円程度の増収となる見通しだ。西白河発電所の設備投資額は約68億円で下期に減価償却費が増加するため、営業利益率は低下するものの増益が続く見通しとなっている。
そのほか、太陽光発電所では最後の開発案件となる宮城県での東松島発電所(約30MW、総工費約92億円)の準備が、2024年3月頃の稼働開始に向けて進んでいる。これら発電所がフルに寄与する2025年10月期には、エコ再生エネルギー事業の売上規模は約45億円と2021年10月期実績の1.7倍まで拡大することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年10月期の業績見通し
神戸物産<3038>の2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円、経常利益で同0.4%増の29,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.1%増の19,800百万円と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で52.1%、営業利益で51.2%、経常利益で56.1%とそれぞれ順調に推移している。第3四半期以降も原材料価格の高騰や円安が進んでおり、市場環境は引き続き厳しいものの、状況を見ながら値上げを適宜実施することでコスト増を吸収していくことにしている。
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の業績前提としては、店舗数で前期末比60店舗増の1,010店舗を計画しており、既存店向け出荷額については若干の増加を見込んでいる。第2四半期末で19店舗増と進捗はやや低いものの、9~10月に新規出店が集中する見通しとなっており、店舗数については計画の達成がほぼ見えている。半導体不足による冷凍庫など設備の不足が懸念されたが、出店予定分については確保できたようだ。
店舗数だけで見ると前期末比で6%の増加となるため、既存店向け出荷額が下期も前年同期の水準を上回れば増収率で1ケタ台後半は可能と見られる。一方、利益面では原材料や運賃コストの上昇、円安の影響などを値上げの実施や物流体制の見直しによるコスト低減等により吸収していくことにしている。値上げについては、競合の食品スーパーの状況も見ながら販売数量に影響を与えない範囲で実施していくことにしている。弊社では、食料品の値上げが業界全体で拡がるなかで「業務スーパー」の優位性が維持され、第3四半期以降も既存店向け出荷額は1ケタ台前半の伸びが続くものと弊社では見ている。
一方、物流面では福岡や仙台の物流センターを増強したほか、2022年6月には四国に3PLセンターを開設し、納期の短縮を図るなど、各拠点にて物流の効率化を図ることでコスト低減に取り組んでいる。また、同社は新たな計画として関東に物流機能を有する生産拠点を建設することを明らかにした。土地は既に確保済みで、現在は同拠点での生産品目なども含めて計画を策定している段階にある。2023年10月期中にも着工する見通しで、設備投資額としては200億円規模になる見通しだ。現状、関東エリアについては外部の物流センターを活用していたが、同拠点の開設によりコスト低減が進む見通し。開設初年度は減価償却費が増加するものの、コスト削減効果のほうが大きいため、稼働初年度から利益増に貢献すると見られる。
さらに、関西物流センターでは2023年10月期に商品の仕分を行うソーターシステムの更新を予定している。既存のシステムは老朽化しており、1ヶ所トラブルが発生してストップすると全体のラインがストップするなど生産性が低かった。新たなソーターシステムは仕分け処理スピードのアップに加えて、トラブルが発生した際にも全体のラインがストップしないような安全システムも導入する予定になっており、生産性の向上が見込まれる。
自社グループ工場の設備投資計画は通期で50億円程度を見込んでいる。生産能力を増強する主な品目としては、宮城製粉(株)のチルド惣菜シリーズ、豊田乳業(株)の牛乳パック、(株)神戸物産エコグリーン北海道のコロッケ、パン粉、秦食品(株)の冷凍讃岐うどん、ポテトサラダ等のチルド食品が挙げられる。引き続き生産能力が不足している工場では能力増強投資を進めていくことにしており、年間50億円程度の設備投資が続く見通しだ。
(2) 外食・中食事業
外食・中食事業は売上高で2ケタ増収となり、営業損失も縮小する見通しだ。「神戸クック・ワールドビュッフェ」については、通常営業体制に戻ったこともあり既存店については増収が見込まれるものの、店舗数が前期末の15店舗から9店舗に減少したことにより、同事業全体では減収減益となる見通し。収益改善施策として2022年5月より全店舗でメニューのリニューアルを実施している。なお、退店した北陸・中部の一部について現在、引き継ぎを検討しているFCオーナーがいるようで、市場環境が好転するようであれば営業が再開される可能性がある。
一方、好調が続いている「プレミアムカルビ」の店舗数は、前期末比で8店舗増の18店舗を計画していたが、出店基準を見直したことにより、計画をやや下回る可能性がある。5月、6月で2店舗を出店しており、現状は15店舗となっている。時短営業等の制限がなければ、1店舗当たり年間2~3億円の売上が見込めることから、売上高は大幅増収となる見通し。2022年4月以降はフルタイムで営業しており売上も好調に推移している。6月に開催した「Thailand Fair(タイフェア)」も好評だったようで、今後も定期的に世界各国のアレンジを加えた期間限定メニューを提供していくことで、集客力の維持向上に取り組んでいく。なお、FC化の時期については直営で30店舗程度まで展開し、店舗運営の人材が揃ってきた段階で開始することを視野に入れており、当面は首都圏での出店拡大を進めていくことにしている。
また、「馳走菜」については出店計画を作っていないものの、「業務スーパー」との同時出店を計画しているFCオーナーが増えている。第2四半期末までに前期末比で16店舗増加しており、通期では30店舗以上の増加が見込まれ、80店舗を越えてくるものと予想される。同社では2025年までに100店舗を目指していたが、現状のペースが続けば2023年にも達成できる勢いとなっている。
(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業では、2021年5月に稼働した大阪府泉南郡岬町の太陽光発電所(約9.9MW)がフルに寄与するほか、2022年6月下旬に稼働開始している福島県の西白河発電所(約19MW)が約4ヶ月分寄与することから、売上高で4億円程度の増収となる見通しだ。西白河発電所の設備投資額は約68億円で下期に減価償却費が増加するため、営業利益率は低下するものの増益が続く見通しとなっている。
そのほか、太陽光発電所では最後の開発案件となる宮城県での東松島発電所(約30MW、総工費約92億円)の準備が、2024年3月頃の稼働開始に向けて進んでいる。これら発電所がフルに寄与する2025年10月期には、エコ再生エネルギー事業の売上規模は約45億円と2021年10月期実績の1.7倍まで拡大することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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