注目トピックス 日本株
レカム Research Memo(2):グローバル専門商社構想を掲げ、シナジー効果の追求により利益成長を加速
配信日時:2022/07/21 15:12
配信元:FISCO
■事業概要
レカム<3323>は、2021年9月期において事業構造の見直しとともにグループ会社の再編を進め、中期経営計画策定を契機に事業セグメントの区分を見直した。グローバル専門商社構想を掲げ、「海外ソリューション事業」「国内ソリューション事業」「BPR事業」の3セグメントに括り直し、連結各社を基礎とした区分となっている。海外ソリューション事業は中国、インド及びマレーシア等ASEAN地域の子会社から成り、国内ソリューション事業は直営店、FC加盟店、代理店の販売チャネルにより構成されている。BPR事業は業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。
(1) 海外ソリューション事業
タイ、ベトナム、インドネシア等ASEAN地域や中国、インドにおいて、海外に進出している日系製造業を中心に、LED照明や業務用エアコン等を用いたカーボンニュートラルソリューションや「ReSPR」等の感染症対策ソリューション、コストダウンソリューションを提供している。また、M&Aによる企業獲得により事業を拡大させている。2021年6月にシンガポールローカル企業Greentech International(GI)を持分法適用関連会社化したほか、2021年10月にマレーシアローカル企業Sin Lian Wah Lighting(SLW)を完全子会社化する等、積極的にM&Aを進めている。アライアンスを含めた戦略的パートナーシップを進めることにより事業拡大を推進。タイやインドネシア、マレーシアではローカルマーケットへの進出を本格的に実施している。
(2) 国内ソリューション事業
直営店、FC加盟店※、代理店のチャネルを通じてカーボンニュートラルソリューションとしてLED照明(約5万点の商品アイテム)や省エネ性能が高い業務用エアコン等を含めたソリューション提案や、コストダウンやサイバーセキュリティに対するソリューション提案を行っている。また、ウイルス除菌装置「ReSPR」等の感染症対策ソリューション等のソリューションを合わせて実施している。
※同社は無店舗型フランチャイズシステムの形態を採っている。これは、販売店舗による店頭販売でなく営業員組織による訪問販売を主体とするフランチャイズシステムであり、同社の事業展開の根幹となっている。
(3) BPR事業
グループ企業からの管理業務の受託及び外部顧客からの業務アウトソーシング受託、及び業務プロセスの提案コンサルティングを行っている。主として、国内企業から業務委託を受け、業務(バックオフィス業務から名刺入力業務、データエントリー業務等)の内容に応じて中国のレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司(以下、大連レカム)、レカムビジネスソリューションズ(長春)有限公司、レカム騰遠ビジネスソリューションズ(大連)有限公司、ミャンマーレカム株式会社の4業務センターに振り分けている。海外BPOセンターによるオペレーションやRPAやAI-OCR等の活用による業務自動化によりコストメリットを実現している。また、顧客企業のDX推進に寄与するコンサルテーション提案を強化している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<ST>
レカム<3323>は、2021年9月期において事業構造の見直しとともにグループ会社の再編を進め、中期経営計画策定を契機に事業セグメントの区分を見直した。グローバル専門商社構想を掲げ、「海外ソリューション事業」「国内ソリューション事業」「BPR事業」の3セグメントに括り直し、連結各社を基礎とした区分となっている。海外ソリューション事業は中国、インド及びマレーシア等ASEAN地域の子会社から成り、国内ソリューション事業は直営店、FC加盟店、代理店の販売チャネルにより構成されている。BPR事業は業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。
(1) 海外ソリューション事業
タイ、ベトナム、インドネシア等ASEAN地域や中国、インドにおいて、海外に進出している日系製造業を中心に、LED照明や業務用エアコン等を用いたカーボンニュートラルソリューションや「ReSPR」等の感染症対策ソリューション、コストダウンソリューションを提供している。また、M&Aによる企業獲得により事業を拡大させている。2021年6月にシンガポールローカル企業Greentech International(GI)を持分法適用関連会社化したほか、2021年10月にマレーシアローカル企業Sin Lian Wah Lighting(SLW)を完全子会社化する等、積極的にM&Aを進めている。アライアンスを含めた戦略的パートナーシップを進めることにより事業拡大を推進。タイやインドネシア、マレーシアではローカルマーケットへの進出を本格的に実施している。
(2) 国内ソリューション事業
直営店、FC加盟店※、代理店のチャネルを通じてカーボンニュートラルソリューションとしてLED照明(約5万点の商品アイテム)や省エネ性能が高い業務用エアコン等を含めたソリューション提案や、コストダウンやサイバーセキュリティに対するソリューション提案を行っている。また、ウイルス除菌装置「ReSPR」等の感染症対策ソリューション等のソリューションを合わせて実施している。
※同社は無店舗型フランチャイズシステムの形態を採っている。これは、販売店舗による店頭販売でなく営業員組織による訪問販売を主体とするフランチャイズシステムであり、同社の事業展開の根幹となっている。
(3) BPR事業
グループ企業からの管理業務の受託及び外部顧客からの業務アウトソーシング受託、及び業務プロセスの提案コンサルティングを行っている。主として、国内企業から業務委託を受け、業務(バックオフィス業務から名刺入力業務、データエントリー業務等)の内容に応じて中国のレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司(以下、大連レカム)、レカムビジネスソリューションズ(長春)有限公司、レカム騰遠ビジネスソリューションズ(大連)有限公司、ミャンマーレカム株式会社の4業務センターに振り分けている。海外BPOセンターによるオペレーションやRPAやAI-OCR等の活用による業務自動化によりコストメリットを実現している。また、顧客企業のDX推進に寄与するコンサルテーション提案を強化している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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アーレスティ Research Memo(10):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(3)
*14:10JST アーレスティ Research Memo(10):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(3)
■アーレスティ<5852>の中長期の成長戦略(e) 生きいきと働ける職場づくり、国内アーレスティのダイバーシティ推進生きいきと働ける職場づくりに向けては、健康経営を推進しており、経済産業省ならびに日本健康会議が共同で運営する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に3年連続認定された。また、時間外業務の見直し、育児休暇取得の奨励、働き方の多様化に対応した育児中の短時間勤務制度、時間有給制度、フレックス勤務制度、テレワーク勤務(在宅勤務)、介護休暇制度等も導入し、ワークライフバランスを実現できる職場づくりに取り組んでいる。育児休業取得率は女性100%、男性43.2%であり、育児休業後の復職率は100%を確保している。ダイバーシティ&インクルージョンについては、女性が活躍できる職場・職域の拡大、女性従業員比率の向上、女性リーダーの育成を進めている。新卒女性採用比率は、2023年度は前年度比35.2ポイント引上げ51.9%とし、2024年度は54.5%を確保した。国内グループの2023年度の女性従業員比率は14.7%、女性管理職比率は2.5%であり、2030年度目標の20%以上、10%以上を目指すには女性管理職比率の引き上げのためのリーダー育成が急務であろう。また、2023年12月には国内各拠点の女性従業員12名が参画する「D&I Community」を設立した。ダイバーシティ推進の理解促進や女性従業員と会社の双方向コミュニケーションの場としてカンファレンスを開催し、ディスカッションを交えながら女性視点で会社におけるキャリア形成の課題やその解決策を模索していく取り組みを進めている。女性活躍企業として、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」において最高評価である3つ星認定も取得している。さらに、経営のダイバーシティを推進し、女性に加えて多様な国籍の人財が経営幹部として活躍できる体制づくりに取り組んでいる。2224中期経営計画期間中はフェイズ1として、海外スタッフと直接経営理念、グループ目標、グループ戦略を共有できるガバナンス、マネジメント体制の強化、候補人財を常時把握できる体制の構築、候補人財の育成体制、本社部門での英語教育強化を進めている。なお、顧客満足度の評価については、デンソー<6902>の信頼賞、トヨタ汽車(常熟)部品有限公司、トヨタ汽車研究開発センター(中国)の2023年度品質優良賞、日産自動車<7201>の優良品質感謝状-FY22SSCトップランク、Nissan North America, Inc.の2023 Regional supplier quality award finalist、ジヤトコ(株)のJATCO Supplier Award 2023リージョナル特別賞など主要顧客から数々の賞を授与されている。また、2023年度顧客満足度アンケート調査結果においては、総合的な評価で満足という回答は27%、やや満足63%、その他10%という結果であり、2021年度調査結果と比べると、それぞれ9ポイント、30ポイント、-39ポイントと改善が進展していると言えよう。■株主還元策2025年3月期の配当は1株当たり13.0円増配し28.0円を堅持同社は、継続的な企業価値の増大が最も重要な株主還元と位置づけている。利益配分については、中長期的な事業発展のための財務体質の健全性を棄損しない範囲で、適正な利益還元を行うことを基本方針とし、中長期の企業成長に必要な投資額及び配当性向を勘案したうえで、連結業績の動向も十分考慮した配当を行っている。また、2023年5月には「10年ビジネスプラン」の財務戦略として、株主還元目標として配当性向35%以上の確保と自己株式の機動的な取得を掲げた。なお、同社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としている。同社では過去最終利益で損失を計上しても基本的に配当を継続してきており、2024年3月期は1株当たり配当金を5.0円増配し15.0円(中間配当10.0円、期末配当5.0円)とした。また、2024年2月~8月には自己株式600千株を434百万円で取得するなど、財務戦略に基づいた株主還元策を実施している。2025年3月期の当期純利益は期初計画の2,000百万円から100百万円に下方修正したが、配当は1株当たり13.0円増配し28.0円(中間配当10.0円実施済、期末配当18.0円)とする期初計画を堅持した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
2025/01/23 14:10
注目トピックス 日本株
アーレスティ Research Memo(9):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(2)
*14:09JST アーレスティ Research Memo(9):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(2)
■アーレスティ<5852>の中長期の成長戦略(2) 2224中期経営計画の進捗状況(a) 低コストで生産性の高いものづくりの確立低コストで生産性の高いものづくりの確立に向けては、デジタル技術を活用した開発リードタイムの短縮、リーンな生産体制の拡大を進めている。開発工程においては、ロボット動作プログラムを事前にシュミレーションすることによる試作現場での準備作業時間の85%削減、設計時の解析結果と実際の鋳造結果のCAE解析による精度向上による試作回数・評価工数の削減、グローバルで保有する設備の使用状況の見える化による仕様決定に関わる工数削減などを進めリードタイムの短縮を実現している。工場においては、従来は生産工程内での自動化・省力化が中心であったが、現在は、生産工程間の自動化・省力化に着目して、AGV(Automated Guided Vehicle:自動搬送車と呼ばれる無人搬送システム)/AGF(Automated Guided Forklift:自動フォークリフト)の利用、ビッグデータやAIを活用した自動外観検査装置の導入などリーンな生産体制整備を進めている。また、業務・技術の標準化により同一品質・同一生産性を確実なものにし、「ワンプリントマルチロケーション」の強みをさらに強化しているほか、グローバルで地域の受注変動に対応するために製品、生産設備の補完を進めている。日本、中国、メキシコから、労務費が高騰し慢性的な人手不足に陥っている米国への製品補完拡大、日系自動車の需要の低下により生産余力の生まれた中国からインドへの生産設備の移管、米国からメキシコへの金型移管などを進めている。(b) CO2削減活動の推進同社の製品の97%はアルミスクラップからリサイクルされたアルミニウム二次合金を使用しており、再生アルミのCO2排出量はアルミ新塊の約1/8と元々環境優位性を有しているが、そのほかにCO2排出量削減に向けた新たな取り組みを進めている。溶解炉のエネルギーを重油から単位熱量当たりのCO2排出量を約29%削減できるLNGへの切替えを進めているほか、アルミニウムをインゴットではなく直接溶湯で購入し溶解エネルギーを50%削減している。また、天然ガス炉に比べてCO2排出量を65%削減するとともに、エネルギーコストも40%低減する電気溶解炉を米国で導入し、2024年10月から稼働している。さらに、高い延性を必要とするためアルミ新塊を使用する車体系部品について、延性の低いリサイクル材を活用した高延性アルミ合金の製造技術を開発し、車両の軽量化、CO2の排出量削減で地球環境に貢献している。太陽光発電も国内拠点に順次導入し、2024年度末までに設置可能な拠点にはすべて導入予定だ。(c) 電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフト電動車搭載部品の売上高は順調に増加しており、2023年度上期に活動した2026年度受注分の売上高比率は36%まで上昇している。世界の自動車生産台数は堅調に増加していくことが見込まれており、長期的には自動車パワートレインの電動化が進んでいくと同社では考えている。なお、直近では充電インフラの未整備、バッテリーコストの上昇、HEVの技術的な進歩などからBEVの普及スピードが鈍化し、HEV、PHEVが注目されるようになってきている。同社においては、電動車搭載部品を中心とした受注を継続する方針であり、電動車が増加する米国市場及び同市場に対する「ニアショアリング」の投資先として優位性の高いメキシコ市場において、E-Axle関連部品を重点受注部品として営業している。その結果、米国工場では欧米Tier1※向けE-Axleケースを2025年1月から量産予定であり、メキシコ工場では米国Tier1向け大型ピックアップトラック用トランスファーケースを2024年11月より量産している。また、インドは世界第3位の自動車市場であり、今後も電動車を中心に市場が成長すると同社では判断している。現時点ではICEが中心であり、地域のPTミックス(パワートレイン(動力系統)の構成比率)に応じた既存部品ビジネスを強化していく。すでにインド工場において日系Tier1向けE-Axleケースを2025年より量産予定であり、バッテリーケースも2024年9月より量産している。中国においてもBEVが鈍化し、PHEVが増加している。従来価格面において取引が難しかった中国資本系OEM/Tier1とのビジネスにおいても、同社の高い品質が評価され信頼を得られており、広州工場において、複数の顧客からPHEV用ブロックの受注が拡大しているなど、PHEVのマーケットは期待できる。他地域で受注実績が出始めているE-Axle部品領域と併せて、製品難易度から品質が武器になる領域で行き過ぎた価格競争を回避する方針だ。※ 自動車メーカー(OEM)に直接部品やシステムを供給するサプライヤー(d) 需要創出技術・生産性向上技術開発での売上高貢献電動化に伴い重量化する車両の軽量化ニーズに応える技術として、SWAD※、ジーテクト<5970>と共同開発したマルチマテリアルボディなど車体系部品へのダイカスト採用を提案している。ダイカストには鋼板を直接スポット溶接できず、特殊な設備(SPR)でリベット接合しなければならないため新たな設備投資が必要であり、車体にダイカストの導入が進まない一因となっていた。同社では、これを既存のスポット溶接設備を利用して、中継鋼板を介してスポット溶接できる技術を開発した(特許登録番号7270056)。※ スワッド:Spot Weld Able Diecastの略でスポット溶接が可能なダイカストまた、超大型のダイカストマシン(一般的には6,000トン以上の型締力を持つ大型ダイカストマシン)を使用したアンダーボディの一体成形であるギガキャストは、生産場所の制約やアルミ使用によるコスト増などのデメリットもあり、同社では鉄プレスとダイカスト部品が混在するマルチマテリアルボディのコンセプトモデルを開発・提案している。プレス36部品を2部品へと大幅な部品削減を実現し、ギガキャスト・鉄プレスよりも軽量・低コストで環境性能も優れ、すでに2028年以降の量産を見据えたOEMとの先行開発フェーズに入っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
2025/01/23 14:09
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アーレスティ Research Memo(8):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(1)
*14:08JST アーレスティ Research Memo(8):車体軽量化、CO2排出量削減、循環型社会の形成に貢献する(1)
■中長期の成長戦略1. 「2040年ビジョン」と「10年ビジネスプラン」アーレスティ<5852>は2038年に創業100周年を迎えるが、100年を超えてさらなる発展・成長する企業となるために、2040年に向けた同社グループの進むべき方向として「2040年ビジョン」を定めた。「期待を超える2040」を目指して「軽量化で地球の未来に貢献する」「Ahrestyで良かった!を実現する」「技術探求を続け、唯一を生み出す」ことを「ありたい姿」として掲げた。加えて、ビジョンを実現するために、2022年度より2030年度を目標とする長期経営計画「10年ビジネスプラン」を策定し、「電動車向け部品・車体系部品群中心へシフトしていく」「技術探究を続け、唯一を生み出す」「Ahrestyで良かった!の実現」「信頼の獲得と事業を通じた社会課題の解決による持続的成長」「財務体質と経営基盤の強化」を掲げている。「軽量化で地球の未来に貢献する」ビジョンの実現には、ダイカスト事業の事業ポートフォリオを電動車向け部品・車体系部品群中心にシフトし、電動車売上比率55%、車体系製品売上高40億円を目標に掲げている。そのシフトを円滑に実行していくために、ものづくり企業として、製品開発のDXによる開発リードタイムの短縮、工法・技術・素材の各分野で将来の事業に貢献する先駆的な技術探求を続け、新規需要の創出を目指す。また、製品製造の際のCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルダイカストの開発に挑戦していくことで地球環境に貢献するとともに、同社の競争力向上を図る。「Ahrestyで良かった!の実現」のためには、顧客からの最上位評価獲得、従業員エンゲージメントの向上・ダイバーシティの実現を目指す。経営幹部の多様化、国内女性従業員比率20%以上、国内女性管理職比率10%以上を目標として、ダイバーシティ&インクルージョンに対する理解を深める意識改革、多様な人材が活躍できる職場の拡大、人事戦略・運営とキャリア支援を実施していく。また、ステークホルダーからのさらなる信頼の獲得と事業を通じた社会課題の解決による持続的成長を目的として、同社では2020年3月よりサステナビリティ会議を開催し、「アルミダイカスト製品供給によるクルマのエネルギー消費効率向上」と「エネルギー効率の改善等による使用化石燃料資源の低減」を重要取り組み課題とし、マテリアリティ(重要課題)分析に基づくサステナビリティ戦略を推進している。カーボンニュートラル項目においてはScope1,2における2030年度CO2排出量50%削減(2013年度比)を目指している。財務体質と経営基盤の強化に向けては、1) 2030年度の売上高1,600億円(2224中期経営計画策定時の為替相場、地金価格で1,800億円に補正)、営業利益率6%を目標に、2) 収益構造改善(固定費削減)、3) 収益確保(原価低減)、収益管理(投資効率等)の3つの観点より各施策の取り組みを進めている。また、財務戦略としては、健全なバランスシートとROE目標達成を両立できる最適な財務レバレッジを追求する目標として、ROE9%、自己資本比率40.0%以上を設定している。また、営業キャッシュ・フローを1,600億円創出し、成長のための設備投資1,400億円と配当・自己株式の取得による株主還元180億円、ネット有利子負債20億円削減に充てるキャッシュアロケーション目標を設定している。配当性向は早期に35%以上の確保を目指している。2. 2224中期経営計画と進捗状況(1) 2224中期経営計画の概要同社では、現在「10年ビジネスプラン」の最初のマイルストーンとなる2224中期経営計画(2022~2024年度)を推進している。自動車の電動化の加速やカーボンニュートラルなどの外部環境変化を踏まえ、「期待を超える2040」に向けて「低コストで生産性の高いものづくりの確立」「CO2削減活動の推進」を事業戦略の柱としている。そして、「2040年ビジョン」の各ビジョンに対応する戦略を設定している。「軽量化で地球の未来に貢献する」ための「電動車向け部品中心の事業ポートフォリオへの着実なシフト」、「技術探求を続け、唯一を生み出す」ための「需要創出技術・生産性向上技術開発での売上高貢献」、「Ahrestyで良かった!を実現する」ための「生きいきと働ける職場づくり」「国内アーレスティのダイバーシティ推進」を実践している。数値目標としては、2025年3月期の売上高170,000百万円、営業利益6,500百万円、営業利益率3.8%、ROA3.3%、ROE7.8%、自己資本比率42.8%を設定していたが、2024年10月に公表した修正業績予想は、売上高160,200百万円、営業利益3,050百万円、営業利益率1.9%と目標を下回る見込みである。また、電動車売上比率は2026年3月期で30%、2028年3月期で45%を目標としており、2024年3月期実績は21%と順調に推移している。CO2排出量原単位削減目標は、2025年3月期で2013年度比29%削減を目標と設定したが、2024年3月期では28.9%の削減を実現し、2030年度50%削減を次のターゲットとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:08
注目トピックス 日本株
アーレスティ Research Memo(7):2025年3月期中間期は営業損失計上(2)
*14:07JST アーレスティ Research Memo(7):2025年3月期中間期は営業損失計上(2)
■アーレスティ<5852>の業績動向3. 財務状況2025年3月期中間期末の資産合計は前期末比2,583百万円増加の134,346百万円となった。流動資産は同1,085百万円減少し60,692百万円であった。現金及び預金が947百万円、売上債権が97百万円、棚卸資産が68百万円それぞれ減少した。固定資産は有形固定資産がインドの工場拡張などにより4,544百万円増加し、その他に含まれる繰延税金資産が593百万円減少した。これは、メキシコ工場の会計上の機能通貨である米ドルに対し税務基準額計算上の現地通貨であるペソが安くなり、法人税等調整額が増額となったことによる。負債合計は、同1,699百万円増加の81,845百万円となった。仕入債務が271百万円、その他に含まれる未払消費税等が217百万円、預り金が125百万円減少した一方、有利子負債が630百万円増加したほか、その他に含まれる設備債務が863百万円、未払金が857百万円増加した。純資産合計は、52,500百万円と同883百万円増加した。利益剰余金が2,823百万円、その他有価証券評価差額金が145百万円減少した一方、為替換算調整勘定が4,104百万円増加した。その結果、自己資本比率は38.9%と前期末を0.2ポイント下回った。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純損失が1,466百万円あったものの、売上債権の減少1,219百万円により必要運転資金が減少したほか、減価償却費5,718百万円、特別退職金1,005百万円などの資金増加要因があり、5,602百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得に伴う支出が8,064百万円と膨らんだため8,554百万円の支出となり、フリーキャッシュ・フローは2,952百万円の支出となった。これを長短借入金のネット借入1,205百万円と現預金の取り崩し1,556百万円で賄った。ネット有利子負債(=長短借入金合計-現金及び預金、リース負債を除く)は29,981百万円と前期末より1,781百万円増加した。■今後の見通し2025年3月期は国内需要の回復、海外工場の生産安定化により増収増益、各段階とも黒字化見込み1. 2025年3月期の業績見通し2025年3月期通期の連結業績は、売上高160,200百万円(前期比1.2%増)、営業利益3,050百万円(同33.1%増)、経常利益2,860百万円(同11.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円(前期は7,699百万円の損失)と増収、増益を見込む。売上高は期初計画を0.8%上方修正したが、損益は各段階で期初計画を2ケタ台下方修正した。期初計画比で、営業利益は23.8%減、経常利益は18.3%減、親会社株主に帰属する当期純利益は95.0%減とした。売上高は、ダイカスト事業の日本、アジア市場における下期の回復を見込み、期初計画を上方修正した。国内の需要が中間期より回復基調にあること、中国において中国資本系OEMから適正価格での受注が順調に推移していること、インドにおける生産の安定化などを織り込んでいる。損益面では、国内において工場の原価低減活動及び希望退職による固定費削減、適正な価格転嫁活動の推進などにより下期に大幅な改善が見込まれ、期初計画を上方修正した。また、米国、インドにおける生産安定化などにより下期の北米、アジア市場での回復を見込むが、上期の損失をリカバリーするまでには至らず、期初計画には及ばない見通しだ。また、中国のダイカスト工場の分工場を売却し売却益約7億円を特別利益に計上する予定であり、当期純利益は黒字を確保する見込みだ。2. 事業セグメント別業績見通し(1) ダイカスト事業 日本国内のダイカスト事業の売上高は前期比1.1%増の62,720百万円、セグメント利益は同137.0%増の1,410百万円を見込む。国内では自動車生産が回復基調にあり、下期の売上高は上期の7.9%増を見込み、通期では期初計画を1.7%上方修正した。損益は、2025年3月期より製造・販売・管理の合同チームで取り組んでいる収益改革プロジェクトによる製品の不良率改善による損失低減、検査の自動化などによる生産コスト低減、内製化による委託費用低減、並びにエネルギー費、労務費、物流費などの高騰分の販売価格への適正な転嫁の推進などにより、下期で1,000百万円の利益改善を見込む。さらに上期に実施した国内2工場(東海・栃木)での希望退職158名の実施により下期450百万円の固定費削減を見込む。その結果、下期は1,559百万円の利益を見込み、通期では期初計画を101.4%上方修正した。(2) ダイカスト事業 北米北米のダイカスト事業の売上高は前期比4.4%増の50,080百万円、セグメント利益は同83.9%減の200百万円を見込む。北米市場(米国、メキシコ)においては、主要顧客のHEVの生産拡大により受注は堅調に推移しており、下期の売上高は上期の2.7%減を見込むも、通期では期初計画並みの売上高を見込む。また、米国工場において上期に悪化した損益については、日本、中国からの生産補完を進め現地生産体制への依存度を低減するとともに、教育プログラムの確認、見直しなど日本からの支援を強化し現場マネジメントを立て直すことで生産の正常化に取り組み、下期は619百万円の利益を見込む。通期では収支均衡レベル(200百万円)まで改善するも、上期の損失の影響が大きく通期の期初計画を87.5%下方修正した。(3) ダイカスト事業 アジアアジアのダイカスト事業の売上高は前期比1.5%増の35,630百万円、セグメント利益は1,020百万円(前期は650百万円の損失)を見込む。中国市場においては、日系OEMが苦戦する中で、品質と安定供給面が評価され適正な利益を確保できる価格での取引が進んでいる中国資本系OEMからの受注が増加しており、第4四半期からはPHEV向け新規製品の量産が開始される予定である。また、インドにおいても上期の生産拡大に伴う混乱は収束し、電動車搭載部品の量産は安定化するとともに、2024年12月には新工場が稼働し売上は増加する見込みである。そのため、下期の売上高は上期の6.9%増を見込み、通期では期初計画を1.5%上方修正した。損益では、中国の工場の人員適正化による固定費削減、インド工場への日本からの支援強化、現場マネジメント強化に加えて、地金市況の変動に対する価格改定期間の短縮化の実現などにより下期は764百万円の利益を見込み、通期では期初計画並みの着地としている。(4) アルミニウム事業アルミニウム事業の売上高は前期比3.0%増の7,270百万円、セグメント利益は同13.5%増の160百万円を見込む。下期はアルミニウム地金市況が落ち着き、販売重量増により上期に対して増収増益を見込み、売上高は期初計画並み、セグメント利益は期初計画を60.0%上方修正した。(5) 完成品事業完成品事業の売上高は、前期に半導体関連の大型受注の引渡しがあったため、前期比26.5%減の4,500百万円、セグメント利益は同49.5%減の450百万円を見込む。下期の売上高は、クリーンルームやデータセンターでの受注が戻ってきており、上期の31.4%増の2,555百万円を見込むが、通期では期初計画を2.2%下方修正した。下期のセグメント利益は上期の51.4%増を見込むが、通期では期初計画を10.0%下方修正した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<HN>
2025/01/23 14:07
注目トピックス 日本株
アーレスティ Research Memo(6):2025年3月期中間期は営業損失計上(1)
*14:06JST アーレスティ Research Memo(6):2025年3月期中間期は営業損失計上(1)
■アーレスティ<5852>の業績動向(b) ダイカスト事業 北米底堅い北米自動車生産による受注量の増加と為替相場の影響により、売上高は25,389百万円(同10.5%増)となった。損益面においては、米国工場における生産性の悪化、人件費などの製造コストの上昇により906百万円減益となったほか、地金市況の高騰により197百万円の減益などが加わり、セグメント損益は1,112百万円悪化し419百万円の損失を計上した(前年同期は693百万円の利益)。米国工場の受注は好調であったが、高い離職率が理由で必要な力量を有する作業者を確保できず生産が不安定となった。米国では慢性的な人材不足から定着率が悪化し、賃金も高騰した。さらに現場スタッフの離職率が高く、経験の浅い作業者が増加し、監督者の力量も不足している。(c) ダイカスト事業 アジア中国工場において主要顧客の販売不振により受注量が減少したが、インド工場においては電動車搭載部品の量産開始による受注量の増加と為替相場の影響により売上高は17,221百万円(同5.6%増)となった。損益面においては、インド工場において生産拡大に伴う生産体制の混乱がありコスト増につながったが、中国工場における生産体制の合理化による固定費の削減などによる製造コストの減少が689百万円の増益につながり、前期の減損損失計上による減価償却費の減少609百万円も加わって、セグメント損益は1,244百万円改善し256百万円の利益を計上した(前年同期は988百万円の損失)。(2) アルミニウム事業・完成品事業アルミニウム事業は、アルミ地金の販売単価が上昇したが販売重量が前年同期を10.5%下回り、売上高は3,466百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は70百万円(同20.1%減)となった。完成品事業は、半導体関連企業の期中の大型物件の引き渡しが前年同期から減少し、売上高は1,945百万円(同47.2%減)となり、セグメント利益も減収の影響により179百万円(同63.1%減)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:06
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アーレスティ Research Memo(5):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(3)
*14:05JST アーレスティ Research Memo(5):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(3)
■アーレスティ<5852>の事業概要(2) アルミニウム事業ダイカスト向けや鋳物向けから特殊用途向けのアルミニウム合金地金など約40種類の地金を同社熊谷工場で生産している。全国から集まるアルミ缶、サッシ、自動車の解体スクラップなどのほかに、アルミニウム新塊や添加材などの原材料をもとに合金地金を生産しており、強度・耐性など原材料の知見を活かし、用途に合わせた材料提案を可能にしている。また、合金地金生産においては、特にScope3 category1(原材料調達)の観点から、CO2排出量の多い新塊を減らし、リサイクル材料の使用比率の拡大を進めている。そのために、高い延性を必要とするためアルミ新塊を使用している車体系部品について、延性の低いリサイクル材を活用した高延性アルミ合金の製造技術を開発するなど、独自の配合技術を進化させ、各品種の合金生産において新塊をリサイクル材に置き換えられる「CO2排出量の少ない合金地金」の開発・製造に取り組んでいる。(3) 完成品事業主要製品はフリーアクセスフロア(配線・配管を床下に収める二重床システム)の「モバフロア」で、クリーンルーム向けフリーアクセスフロアでは国内シェア約47%(同社推計)を占める。全国各地のクリーンルーム、データセンター、コンピュータールーム、工場、オフィスなどに幅広く納入されており、東京スカイツリー、東京都庁舎、横浜ランドマークタワーでも採用されている。また、中国の大手半導体装置メーカーなど中国・東南アジアなどでも売上を拡大している。日本ではアーレスティ栃木が製造、同社が製品企画・施工・販売を行っているほか、中国では同社の指導を受けて合肥阿雷斯堤が製造している。アルミダイカスト単一材なので100%リサイクルであり、軽量化により輸送に伴うCO2排出量削減効果、建築躯体への重量負担減による長寿命化に貢献できる。■業績動向2025年3月期中間期はアルミ地金の高騰、海外工場の生産性悪化などで営業損失計上1. 2025年3月期中間期の業績概要2025年3月期中間期の連結業績は、売上高78,195百万円(前年同期比0.6%増)、営業損失253百万円(前年同期は601百万円の利益)、経常損失536百万円(前年同期は938百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失2,696百万円(前年同期は900百万円の利益)と微増収減益となった。国内自動車生産の落ち込みや中国における一部主要顧客の販売不振などにより受注量が前年同期を3%程度下回ったが、売上高は期中為替レートが円安で推移した影響もあり同0.6%の増収となり、期初計画も1,195百万円上回った。損益は、受注量の減少に対して固定費などの圧縮や価格是正にも継続的に取り組んだが、原料となるアルミ地金価格の高騰による調達コストの増加、米国工場での生産性悪化、原材料価格、人件費など製造コストの上昇などにより営業損失を計上した。増減要因別にみると、前期の中国工場(広州・合肥)の減損損失約90億円の計上により減価償却費は717百万円低減したが、販売量で197百万円、製造コストで136百万円、地金市況の影響で690百万円、アルミニウム事業及び完成品事業で325百万円、その他で224百万円がそれぞれ減益となった。加えて、外貨建て債権・債務の評価替えに伴い円高進行よる為替差損(308百万円)を営業外費用に計上したほか、生産体制の合理化を目的とした特別退職金1,005百万円(国内東海工場及びアーレスティ栃木における希望退職にかかる特別退職金670百万円、中国市場での今後の需要動向を睨んだ広州阿雷斯提、阿雷斯提精密における早期退職者への特別退職金335百万円)、メヒカーナ社における会計上の機能通貨(米ドル)と税務基準額計算上の現地通貨(メキシコペソ)が異なるため、為替相場の変動による繰延税金資産の取り崩し発生(約7億円)などにより親会社株主に帰属する中間純損失が2,696百万円まで膨らんだ。2. 事業セグメント別動向(1) ダイカスト事業(a) ダイカスト事業 日本国内自動車生産の落ち込みなどにより受注量が減少し、売上高は30,172百万円(前年同期比3.5%減)となった。損益面においては、受注量の減少に対して原価率改善と販管費の圧縮を推進し109百万円の改善があったが、アルミ地金価格上昇に伴う原材料価格高騰により339百万円の減益、販売量の減少による184百万円の減益もあり、セグメント損益は330百万円悪化し149百万円の損失を計上した(前年同期は181百万円の利益)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:05
注目トピックス 日本株
アーレスティ Research Memo(4):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(2)
*14:04JST アーレスティ Research Memo(4):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(2)
■事業概要2. 事業概要アーレスティ<5852>は事業をダイカスト事業、アルミニウム事業、完成品事業の3セグメントに分けている。これらのグローバルに展開する事業を支えているのは人材であり、同社は人材育成に力を入れている。グローバル各拠点で同一水準の技能や知識を受講できる教育体系としてグローバルRSTラーニング(RST学園)を開催し、創業時から蓄積してきたものづくりのノウハウを伝承している。また、全拠点で技術力・技術水準を向上させるために、全拠点の技術者が一堂に会して事例発表やグループディスカッションを行いながら問題の改善点を探るグローバルKaizenミーティングの開催、QCサークル活動など、品質や生産性を高めるための改善活動を推進している。現場の製造工程では、グローバルで個別改善や体質改善ができる力量を有し、そのプロセスを監督者に教えることができるGトレーナー(育成期間3年)、自拠点で個別改善ができる力量を有し、そのプロセスを部下に教えることができるEトレーナー(育成期間1年)を育成しているほか、次世代のアーレスティを担う幹部候補生を育成する場として期間1年間の「ものづくり塾」も開催している。また、技能を身につけるだけでなく、現場で起きていることを観察し、CAE(Computer-Aided Engineering:コンピュータ支援工学)を活用したデータ収集・解析・分析により現状把握することや、回帰分析、直交配列、応答曲面解析などの統計的手法を活用した改善活動に取り組んでいる。現在、海外拠点での受注増、生産拡大が進んでいるが、コロナ禍でグローバルなミーティングや教育訓練の場を設営しづらかったこと、雇用の流動化が激しい海外では育成したリーダーがすぐに転職してしまうことなどから、現場のリーダー不足による生産の不安定化がネックになっている。ここにきて、今まで蓄積した人材育成力の活性化が大いに期待される。(1) ダイカスト事業自動車向けを主とするダイカスト製品、ダイカスト用金型、ダイカスト周辺機器を製造・販売する。ダイカスト製品は、製品設計(湯流れ、強度等の解析含む)、金型製作、試作、量産(ダイカスト鋳造、機械加工など)というプロセスを踏むが、グループ会社の過半がその量産に至るプロセスや量産工程の一部を担うか、またはそのプロセスにおいて使用する設備装置の提供などを行っている。また、アルミニウム事業ではダイカスト用二次合金、鋳物用二次合金を製造しており、グループ内で原料から製品まで一気通貫生産できる体制を整えている。そのため、同社においては、良品だけを次工程に送るというアーレスティプロダクションウェイを徹底することができ、センシング技術を活用して各種データ(鋳造工程では流量、温度、速度、圧力などのパラメーター)を計測・収集・分析し、最適な良品製造条件を追究し、生産性向上・品質改善を行うOPCC(Optimal Process Condition Control:良品製造条件管理)活動は全工場で行っている。重点製品においては鋳造工程で2Dコードを付与し、各種製造パラメータ計測値と製品の品質を紐付け、統計的手法による品質管理を行っている。また同社は、より高い品質、高効率な生産が可能な独自ダイカスト工法の研究、開発を進めており、その技術力には定評がある。T7熱処理※が可能で、自動車のボディ部品等に要求される伸びや強度(0.2%耐力)を改善し、より高品質な大型肉薄製品への適用が可能なHiGF法(High GF Casting)、極めて機械的性質に優れた「桁違い品質」を生み出し、足回り製品を中心に適用範囲を大きく広げた独自工法として経済産業大臣賞を受賞したNI法(New Injection Casting)などの工法がダイカストの自動車部品への適用範囲を拡大している。※ アルミニウム合金における熱処理の状態(Temper)を示し、T7は耐腐食性、寸法安定性、耐熱性向上を目的とした熱処理グローバル展開している同社の最大の強みは、各工場において生産性と品質に関わるノウハウを共有し、製品、金型、生産設備の相互補完体制を整えているため、図面1つで各工場において同一品質の製品の生産・供給を可能とする「ワンプリントマルチロケーション」にある。国内の顧客が海外展開する場合も、海外で新たなサプライヤーを探す必要はなくなる。また、電動車に搭載されている「E-Axle」※1や「X in 1」※2は、駆動用モーターとインバーター、減速機など複数の部品を一体化しているため大型で複雑な形状・構造となるが、同社は4,000トンクラスの大型ダイカストマシンをはじめ200台以上のマシンを国内外に保有し、エンジンやトランスミッションを主力製品としているため、大型で複雑形状の製品を得意としていることも強みとなっている。※1 イーアクスル:電動車両に使用される駆動用部品を統合したユニット。電動モーター、インバーター、ギアボックスを一体化している※2 電動パワートレインの部品統合や効率化を図るシステムさらに、アルミダイカストと異素材を最適に組み合わせ、重量や強度要求を満たす接合技術、また熱処理プロセスのCO2排出量を1/10に低減するレーザ熱処理技術やマルチマテリアルボディを実現する接合技術など車体軽量化、地球環境の未来に貢献する技術を保有していることも強みの1つだ。日本では同社がダイカスト製品を製造・販売するほか、子会社3社(アーレスティ栃木、アーレスティ熊本、アーレスティ山形)が製品を製造し顧客の自動車メーカー等に供給している。海外では、北米において米国ウィルミントン社及びメヒカーナ社が製造・販売している。アジアにおいては、中国の広州阿雷斯提、合肥阿雷斯提及びインディア社が製造・販売している。金型鋳物製品は、高圧で溶融金属を金型に射出するダイカストと異なり、低圧力で金型に流し込んで製造される高い強度や耐久性を持つ製品で、同社の東海工場が製造・販売している。ダイカスト用金型は、同社が設計・販売を行うほか、日本ではアーレスティダイモールド浜松が製造している。北米ではメヒカーナ社が製造しており、アジアではタイエンジニアリング社が同社の金型設計の一部を行い、タイダイ社が製造・販売している。ダイカスト周辺機器では、アーレスティテクノサービスが金型冷却装置国内シェアNo.1のジェットクールシステムなどを製造、販売している。ジェットクールシステムは、鋳造工程において焼付き、ひけ巣、圧漏れの発生しやすい金型部分の冷却制御をする装置で、金型の細い中子ピンに高圧水を流して間欠冷却する(国際特許取得済)。また、水環境の悪い地域でも使用できるクローズドジェットクールシステムを開発し、ゴミなどの堆積によるトラブル防止が可能、錆やスケールを軽減、さらに繰り返し水を循環するため排水が少なく、環境に優しいシステムとなっている。海外でも多くのダイカストメーカーで利用され、評価されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:04
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アーレスティ Research Memo(3):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(1)
*14:03JST アーレスティ Research Memo(3):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(1)
■事業概要1. 経営環境アーレスティ<5852>の主要販売先である自動車業界は100年に一度の大変革期とも言われており、各国の産業政策や燃費規制、モビリティとしての自動車の役割の変化などによりCASE※が進展している。特に同社の事業に大きく影響してくるのが、深刻化する地球温暖化対策としてマストとなるCO2削減に向けた自動車の電動化だ。2015年の国連気候変動枠組条約締約会議(COP21)で採択されたパリ協定では、世界平均気温上昇を産業革命以前と比べて「2℃より十分低く、できれば1.5℃に抑える」という目標を掲げた。また、2021年のCOP26のグラスゴー気候合意では、「+1.5℃」に抑えるために、世界のCO2排出量を「2030年に2010年比45%削減」「2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)」にする必要が確認され、主要先進国では2050年カーボンニュートラル達成の法定化などを進めている。※ CASE:「Connected(コネクティッド)」「Autonomous/Automated(自動化)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった造語で、自動車産業の今後の方向性を示すキーワード。自動車メーカー各社は電動車(BEV・HEV・PHEV・FCV)※1への転換を加速しており、今後はICE※2が減少しBEVが大幅に増加しながら世界の自動車生産は順調に増加すると同社では捉えている。足元では、充電インフラの整備状況、バッテリーのコスト面などからBEVの増加が鈍化し、HEVやPHEVが好調に増加しており、同社では、BEVへの完全移行が進むまでの過渡期はHEV、PHEVが増加すると考えている。HEVやPHEVは同社の主力とするエンジンやトランスミッションに加え、インバーターやコンバーターなど電気制御関連部品等が追加されるため、使用するダイカスト重量は従来のICEの約120%に増大する。※1 BEV(Battery Electric Vehicle):ハイブリッド車と異なりエンジンを使用せず電気を唯一の動力源とする自動車HEV(Hybrid Electric Vehicle):内燃機関と電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(外部充電は不可)PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):外部充電が可能なハイブリッド車FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle):水素をエネルギー源とする燃料電池車※2 ICE(ICE(Internal Combustion Engine):内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)を使用する自動車一方でBEVやFCVにおいては、エンジンや関連部品が不要になるためダイカスト使用量はICEの約80%に減少する一方で、電動化に伴い電気制御関連部品、モーターハウジングや減速機、バッテリーケースなど新たな部品需要が発生するとともに、エネルギー消費効率を向上させるためには軽量化が必至となる。アルミニウムの比重は2.71と鉄の約1/3であり、自動車部品にアルミの採用を増やすことで軽量化に貢献できる。同社の製品の97%はアルミスクラップからリサイクルされたアルミニウム二次合金を使用しており、二次合金の生産に生じるCO2排出量は鉄の約1/4、アルミ新塊の約1/18であることから、車の軽量化とともに気候変動対策にも大きく貢献できる。同社においては、今後2030年までは世界の自動車需要の増加によりダイカストの需要も伸長すると捉えており、電動車向けの部品受注により成長を確保していく戦略だ。内燃系を持つ自動車(ICE、HEVなど)向けも一定割合で持続すると考えており、既存の顧客基盤、ビジネス領域を活かしながら電動化のニーズを取り込み、成長を確保する。加えて、足元では自動車メーカーが自社工場内で内製していた独自仕様の部品を、電動化の進展によりアウトソーシングする動きも出てきており、そうした受注増加の機会も捕捉していく。現状では、同社の新規受注製品や量産化する製品の多くは電動車搭載部品であり、2025年度の電動車搭載部品売上比率はダイカスト事業売上高の30%を見込み、2030年度には55%まで引き上げる計画だ。また、2030年以降に向けて、従来のパワートレイン系部品だけでなく、電動化関連部品や足回り部品など構造部品分野といった、これまでダイカスト化が進んでいない領域での需要の創出と受注確保を着実に進めていく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:03
注目トピックス 日本株
アーレスティ Research Memo(2):グローバル展開する自動車部品向けダイカストのリーディングカンパニー
*14:02JST アーレスティ Research Memo(2):グローバル展開する自動車部品向けダイカストのリーディングカンパニー
■会社概要1. 会社概要アーレスティ<5852>は、国内11拠点に加え、米国、メキシコ、中国、インド、タイの5ヶ国8拠点に海外展開している。同社を含めて国内7社と海外8社でグループ経営を推進する。ダイカスト専業メーカーとして国内ならびにグローバルにおいてもトップシェアに入るリーディングカンパニーである。主力の自動車向けダイカスト製品のほかダイカスト用金型やダイカスト周辺機器を製造・販売するダイカスト事業、ダイカスト用アルミニウム二次合金地金を製造・販売するアルミニウム事業、フリーアクセスフロア(建築用二重床)などを製造・販売・施工する完成品事業を展開している。Research、Service、Technologyの追求と統合によって豊かな社会の実現を目指すことを企業理念として掲げ、それぞれの頭文字RST(アール・エス・ティー)を続けて読んだ社名を冠する。Researchとは絶えることのない新技術・新市場・新しい販売方法の開発・研究調査、Serviceとは人と人とのふれあいのなかでの本当に行き届いた温かいサービス、Technologyとは世の中に役立つ真によいものをハードもソフトも含め作ってゆく技術を意味するものとして、それぞれを独立して捉えるのではなく、それぞれがお互いに深く支えあい利用しあいながら、互いをよりすばらしいものへと磨きあっていくという有機的な関係として捉え、また、タグラインを「Casting Our Eyes on the Future」と定め、社名に込められた企業理念を実現すべく、同社で働く者すべての視線が、常に顧客、地球環境、そして同社自身の未来へ向けられ、Research、Service、Technologyにおいて常に主導的リーダーに立ち前進しようという企業姿勢を示している。2024年3月期売上高の91.7%をダイカスト事業が占め、アルミニウム事業が4.4%、完成品事業が3.9%を占める。また、売上高の52.5%がダイカスト事業の海外売上高であり、そのうち約6割が北米、残りをアジア(国内を除く)が占める。主力となるダイカスト製品は9割以上が四輪自動車の部品であり、自動車のエンジンやトランスミッションなどに多く使われている。そのほか発電機や船外機部品なども含めて年間約3,729万個を生産し顧客に製品を提供している。主力製品が自動車部品であることから、同社の業績は自動車産業の動向に大きく影響される。2019年末からの新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)時および半導体のサプライチェーンが遮断され自動車の生産台数が大きく落ち込んだ際には同社もその影響を受け、2020年3月期より売上高は大きく減少し、2021年3月期の売上高は929億円と、コロナ禍前の2019年3月期の売上高1,454億円の約6割の水準まで低迷した。2023年3月期には1,409億円まで売上高は回復したが、この間国内外の工場の減損を大きく計上し、2020年3月期から2023年3月期まで当期純損失の計上を継続した。2024年3月期は売上高が回復したが、主要顧客である日系自動車メーカーの販売不振等により中国での需要が大きく落ち込み約90億円の減損を実施し、当期純損失の計上が続いた。一方で、減損による償却負担の軽減、生産体制の合理化、リーンな生産体制の構築などの取り組みにより生産性は改善し、受注変動への耐性が強化されてきていること、フリーキャッシュ・フローも2022年3月期から収入に転じており、円滑な融資も受けられていることから資金繰りにも懸念はなく、今後は新たな成長ステージに転じていくことが期待される。2. 沿革同社は、1938年に東京都板橋区に前身となる志村アルミニウム(株)を創立し、アルミニウム合金地金、ダイカスト製品、アルミニウム砂型鋳物の製造を開始した。1943年には扶桑軽合金株式会社(現 (株)アーレスティ)を設立した。1960年には(株)日本精密金型製作所(現 (株)アーレスティダイモールド浜松)を設立し金型の製造を開始、同年に扶桑軽合金浜松工場の操業も開始し、1961年には東証第2部に株式を上場した。1962年には東海精工(株)(その後(株)アーレスティプリテックに社名変更)を設立し、日本初フリーアクセスフロア「モバフロア」を発売するなど完成品事業にも進出している。以降は、京都ダイカスト工業(株)豊橋工場(その後アーレスティと合併し、東海工場となる)、栃木フソー(株)(その後(株)アーレスティ栃木に社名変更)、(株)ダイテック(その後(株)アーレスティダイモールド栃木に社名変更)、熊本フソー(株)(その後(株)アーレスティ熊本に社名変更)、(株)ダイテック熊本工場(その後(株)アーレスティダイモールド熊本に社名変更)と各地にダイカスト製品製造子会社と金型製造子会社を国内に次々と設立し業容を拡大した。1984年には熊谷工場(アルミニウム合金地金生産)、東松山工場の操業を開始し、1985年にはダイカスト周辺機器を製造・販売するパスカル販売(株)(現 (株)アーレスティテクノサービス)を設立した。1988年には社名をアーレスティに変更し、1989年には「89年度デミング賞実施賞(中小企業賞)」を受賞した。2017年には、国内ダイカスト工場7拠点でIATF16949認証を取得している。また、1988年には米国にダイカスト製造を行うアーレスティウィルミントンCORP.(以下「米国ウィルミントン社」)を設立し海外進出を開始した。1997年には金型製造のタイアーレスティダイCO.,LTD(以下「タイダイ社」)を、2002年には設計を行うタイアーレスティエンジニアリングCo., Ltd.(以下「タイエンジニアリング社」)を設立した。中国においては、ダイカスト製造を行う広州阿雷斯提汽車配件有限公司(以下「広州阿雷斯提(アーレスティ)」)、合肥阿雷斯提汽車配件有限公司(以下「合肥阿雷斯提」)を2003年と2010年に設立し、金型製造を行う阿雷斯提精密模具(広州)有限公司(以下「阿雷斯提精密」)を2005年に設立した。また、メキシコには2006年にアーレスティメヒカーナS.A.de C.V.(以下「メヒカーナ社」)を、インドには2007年にアーレスティインディアプライベートリミテッド(以下「インディア社」)を設立し、海外展開の拠点網を整備した。なお、タイエンジニアリング社以外は、同社100%出資の連結子会社である。2013年には本社をテクニカルセンターのある豊橋市に移転し、東京都中野区にある旧本社を東京本社とした。2014年には、東京証券取引所市場第2部から同市場第1部に移行し、2022年には東証プライム市場に移行した。同年には、アーレスティダイモールド浜松、アーレスティダイモールド栃木、アーレスティダイモールド熊本が、アーレスティダイモールド浜松を存続会社として合併、またアーレスティプリテックも同社が吸収合併した。なお、国内子会社はすべて同社100%出資の連結子会社である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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2025/01/23 14:02
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