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Iスペース Research Memo(5):2025年9月期業績は主力事業の収益力回復が計画達成の鍵を握る
配信日時:2025/07/04 16:17
配信元:FISCO
*16:17JST Iスペース Research Memo(5):2025年9月期業績は主力事業の収益力回復が計画達成の鍵を握る
■インタースペース<2122>の今後の見通し
1. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比13.8%増の9,000百万円、営業利益で同35.0%増の750百万円、経常利益で同52.9%増の750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同572.0%増の400百万円と期初計画を据え置いた。ただ、上期までの進捗率は営業利益で39.0%とやや低くなっており、利益ベースでは下振れする可能性がある。計画の前提として、主力の国内パフォーマンス広告やコンテンツ型メディアについて安定推移に加え、注力領域であるマーケティングソリューションや比較・検討型メディアの増収効果、並びに一部不採算メディアの撤退によるコスト改善を増益要因として見込んでいたが、このうち主力事業が計画を下回るペースとなっており、特に「ママスタ」に関しては下期に回復したとしても通期で前期並みの水準まで戻すにはハードルがやや高いと見られるためだ。とはいえ、同社は主力事業の収益力回復に向けた施策を推進するほか、コストの見直しを進めるなどして業績計画の達成を目指す考えだ。
営業利益の増減要因を見ると、店舗型DXソリューションを中心としたマーケティングソリューションの売上増に伴う売上総利益の増加で760百万円、比較・検討型メディアのジャンル横展開による増収と不採算メディアの撤退による増加360百万円が増益要因となる一方で、マーケティングソリューションの会員獲得に関わる販促費用の増加等で650百万円、比較・検討型メディアの集客コストやUI/UX開発費用250百万円が減益要因となる見込みだ。事業セグメント別では、パフォーマンスマーケティング事業、メディア事業ともに前期比約1億円の増益を計画している。
営業外収支は前期比65百万円の改善を見込むが、ベトナム関連会社の収益回復による持分法投資損益の改善が主因である。前期は持分法投資損失55百万円を計上しており、当期は若干の黒字転換を見込んでいる。上期は7百万円の損失を計上したが、ライブコマースを含めてトータルプロモーションを提供するサービスを開始する予定で、下期に挽回することは可能と見られる。なお、連結従業員数については国内とインドネシアを中心に前期末比で10名程度の増加を予定していたが、収益力強化を図るため国内外ともに採用を抑制する方針としている。特に、海外事業は先行投資として各地域で人材投資を実施した結果、上期末で86人と事業規模からするとやや過剰感があり、営業体制については周辺地域もカバーするなど範囲を拡大することで人員のスリム化を図る方針だ。
(1) パフォーマンスマーケティング事業
パフォーマンスマーケティング事業のうち、主力の国内パフォーマンス広告については第3四半期に入っても基調に大きな変化は見られず、伸び悩みの状況が続いている。金融分野では新NISA口座開設案件の需要が一段落しており、暗号通貨や不動産クラウドファンディング関連など需要が伸びている領域へ注力することで前期並みの売上水準を目指す。EC分野は顧客ポートフォリオの見直しが進んでおり、売上は弱含んでいるもののロングテールの案件が着実に増えており、安定性は向上することが予想される。人材サービスや美容・エステを中心としたサービス分野は、下期の回復を見込んでいたが、第3四半期も回復力に勢いは見られないようだ。
一方で、マーケティングソリューションについては店舗型DXソリューションが引き続き好調で下期も期初計画を上回る成長が見込まれる。引き続き「ポケットバックアップ」や「ダレカナブロック」の会員獲得に向け、販促費を投下しながら収益を拡大する戦略だ。特に、ここ最近はスマートフォンを利用した詐欺被害が多発しており、シニア層を中心に「ダレカナブロック」の成長が期待される。
Webサイト改善ツール「SiteLead」については、「アクセストレード」向けの機能拡充を図り、パートナーサイト向けの導入を促進する。収益への貢献はまだ軽微なものの、同ツールの導入によってパートナーサイトのCVRが向上すれば、パフォーマンス広告の収益増にもつながるため、今後の動向が注目される。損益面では前期に40百万円強の損失を計上したが、のれん償却額28百万円がなくなるため、損失額は縮小するものと予想される。
海外パフォーマンス広告の売上高はインドネシアを中心に年率2ケタ成長を見込んでいたが、中間期が微増にとどまっており、第3四半期についても成長は緩やかな状況が続いている。インドネシアについては主要顧客である大手ECプラットフォーマーの伸長が続いているほか、今後は同プラットフォームを活用するEC事業者への営業を強化し、広告案件の獲得につなげる。また、タイやマレーシアなどでもEC分野や金融分野を中心に広告主の獲得に注力する方針だ。
(2) メディア事業
コンテンツ型メディアのうち、「ママスタ」については広告表示規制等による広告枠の削減が続くなか、下期中に会員向けの有料サービスを開始したい考えだ。有料会員限定のコンテンツ配信サービス、またはコンテンツを読み続けるために必要となる広告視聴を省略できるサービスなどが考えられるが、今後トライアルをしながら進めることになりそうだ。いずれにしても読者にとって関心の高い良質なコンテンツを提供するだけの企画力・制作力が重要になってくると思われる。そのほか、広告主側に対しても、20万人の会員データを活用により広告単価は高くても費用対効果の高い広告配信サービスの提案を進める。また、「4MEEE」や「4yuuu」「saita」などその他のメディアについては、引き続き大手メディアやSNSとの連携を強化し売上を伸ばす考えだ。
比較・検討型メディアについては、ユーザーオリエンテッドなサイト構築に取り組むことでオーガニックによる集客を行い、収益力を高める方針だ。「塾シル」は、有料掲載教室数が1.4万教室を突破し大手学習塾などの顧客獲得も進んだことから、今後はSEO対策やコンテンツ内容を強化することで集客力を高め、送客による成果報酬の拡大に注力する。「塾シル」の特徴は、保護者や生徒の知りたい情報が競合のポータルサイトと比較して充実している点にある。送客ルートは資料請求、体験授業、電話と3つのルートがあるが、なかでも体験授業の申し込みと電話の問い合わせが多く、結果的に送客に対する入塾率の割合が競合サイトに比べて高い点が強みとなっている。このためオーガニックにサイトへの集客を増やすことができれば、成果報酬の拡大につながり収益化も射程内に入るものと予想される。2025年9月期は約20%の増収を目指しており、2026年9月期第3四半期以降の黒字化が射程圏に入っている。一方、「転職派遣サーチ」などは引き続きUI/UXの改善に取り組む。比較・検討型メディアの2024年9月期における事業損失は196百万円であったが、このうち1億円弱は「塾シル」で残りの損失は不採算メディアによるものであった。2025年9月期は不採算メディアの撤退で1億円のコストが削減できるほか、「塾シル」の損失が縮小することから、比較・検討型メディア全体の事業損失も縮小する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2025年9月期の業績見通し
2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比13.8%増の9,000百万円、営業利益で同35.0%増の750百万円、経常利益で同52.9%増の750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同572.0%増の400百万円と期初計画を据え置いた。ただ、上期までの進捗率は営業利益で39.0%とやや低くなっており、利益ベースでは下振れする可能性がある。計画の前提として、主力の国内パフォーマンス広告やコンテンツ型メディアについて安定推移に加え、注力領域であるマーケティングソリューションや比較・検討型メディアの増収効果、並びに一部不採算メディアの撤退によるコスト改善を増益要因として見込んでいたが、このうち主力事業が計画を下回るペースとなっており、特に「ママスタ」に関しては下期に回復したとしても通期で前期並みの水準まで戻すにはハードルがやや高いと見られるためだ。とはいえ、同社は主力事業の収益力回復に向けた施策を推進するほか、コストの見直しを進めるなどして業績計画の達成を目指す考えだ。
営業利益の増減要因を見ると、店舗型DXソリューションを中心としたマーケティングソリューションの売上増に伴う売上総利益の増加で760百万円、比較・検討型メディアのジャンル横展開による増収と不採算メディアの撤退による増加360百万円が増益要因となる一方で、マーケティングソリューションの会員獲得に関わる販促費用の増加等で650百万円、比較・検討型メディアの集客コストやUI/UX開発費用250百万円が減益要因となる見込みだ。事業セグメント別では、パフォーマンスマーケティング事業、メディア事業ともに前期比約1億円の増益を計画している。
営業外収支は前期比65百万円の改善を見込むが、ベトナム関連会社の収益回復による持分法投資損益の改善が主因である。前期は持分法投資損失55百万円を計上しており、当期は若干の黒字転換を見込んでいる。上期は7百万円の損失を計上したが、ライブコマースを含めてトータルプロモーションを提供するサービスを開始する予定で、下期に挽回することは可能と見られる。なお、連結従業員数については国内とインドネシアを中心に前期末比で10名程度の増加を予定していたが、収益力強化を図るため国内外ともに採用を抑制する方針としている。特に、海外事業は先行投資として各地域で人材投資を実施した結果、上期末で86人と事業規模からするとやや過剰感があり、営業体制については周辺地域もカバーするなど範囲を拡大することで人員のスリム化を図る方針だ。
(1) パフォーマンスマーケティング事業
パフォーマンスマーケティング事業のうち、主力の国内パフォーマンス広告については第3四半期に入っても基調に大きな変化は見られず、伸び悩みの状況が続いている。金融分野では新NISA口座開設案件の需要が一段落しており、暗号通貨や不動産クラウドファンディング関連など需要が伸びている領域へ注力することで前期並みの売上水準を目指す。EC分野は顧客ポートフォリオの見直しが進んでおり、売上は弱含んでいるもののロングテールの案件が着実に増えており、安定性は向上することが予想される。人材サービスや美容・エステを中心としたサービス分野は、下期の回復を見込んでいたが、第3四半期も回復力に勢いは見られないようだ。
一方で、マーケティングソリューションについては店舗型DXソリューションが引き続き好調で下期も期初計画を上回る成長が見込まれる。引き続き「ポケットバックアップ」や「ダレカナブロック」の会員獲得に向け、販促費を投下しながら収益を拡大する戦略だ。特に、ここ最近はスマートフォンを利用した詐欺被害が多発しており、シニア層を中心に「ダレカナブロック」の成長が期待される。
Webサイト改善ツール「SiteLead」については、「アクセストレード」向けの機能拡充を図り、パートナーサイト向けの導入を促進する。収益への貢献はまだ軽微なものの、同ツールの導入によってパートナーサイトのCVRが向上すれば、パフォーマンス広告の収益増にもつながるため、今後の動向が注目される。損益面では前期に40百万円強の損失を計上したが、のれん償却額28百万円がなくなるため、損失額は縮小するものと予想される。
海外パフォーマンス広告の売上高はインドネシアを中心に年率2ケタ成長を見込んでいたが、中間期が微増にとどまっており、第3四半期についても成長は緩やかな状況が続いている。インドネシアについては主要顧客である大手ECプラットフォーマーの伸長が続いているほか、今後は同プラットフォームを活用するEC事業者への営業を強化し、広告案件の獲得につなげる。また、タイやマレーシアなどでもEC分野や金融分野を中心に広告主の獲得に注力する方針だ。
(2) メディア事業
コンテンツ型メディアのうち、「ママスタ」については広告表示規制等による広告枠の削減が続くなか、下期中に会員向けの有料サービスを開始したい考えだ。有料会員限定のコンテンツ配信サービス、またはコンテンツを読み続けるために必要となる広告視聴を省略できるサービスなどが考えられるが、今後トライアルをしながら進めることになりそうだ。いずれにしても読者にとって関心の高い良質なコンテンツを提供するだけの企画力・制作力が重要になってくると思われる。そのほか、広告主側に対しても、20万人の会員データを活用により広告単価は高くても費用対効果の高い広告配信サービスの提案を進める。また、「4MEEE」や「4yuuu」「saita」などその他のメディアについては、引き続き大手メディアやSNSとの連携を強化し売上を伸ばす考えだ。
比較・検討型メディアについては、ユーザーオリエンテッドなサイト構築に取り組むことでオーガニックによる集客を行い、収益力を高める方針だ。「塾シル」は、有料掲載教室数が1.4万教室を突破し大手学習塾などの顧客獲得も進んだことから、今後はSEO対策やコンテンツ内容を強化することで集客力を高め、送客による成果報酬の拡大に注力する。「塾シル」の特徴は、保護者や生徒の知りたい情報が競合のポータルサイトと比較して充実している点にある。送客ルートは資料請求、体験授業、電話と3つのルートがあるが、なかでも体験授業の申し込みと電話の問い合わせが多く、結果的に送客に対する入塾率の割合が競合サイトに比べて高い点が強みとなっている。このためオーガニックにサイトへの集客を増やすことができれば、成果報酬の拡大につながり収益化も射程内に入るものと予想される。2025年9月期は約20%の増収を目指しており、2026年9月期第3四半期以降の黒字化が射程圏に入っている。一方、「転職派遣サーチ」などは引き続きUI/UXの改善に取り組む。比較・検討型メディアの2024年9月期における事業損失は196百万円であったが、このうち1億円弱は「塾シル」で残りの損失は不採算メディアによるものであった。2025年9月期は不採算メディアの撤退で1億円のコストが削減できるほか、「塾シル」の損失が縮小することから、比較・検討型メディア全体の事業損失も縮小する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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