注目トピックス 日本株
神戸物産 Research Memo(5):外食・中食事業も「プレミアムカルビ」の出店効果で売上高が約2倍に
配信日時:2022/07/21 15:25
配信元:FISCO
■神戸物産<3038>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前年同期比11.5%増の193,532百万円、営業利益は同3.5%増の16,620百万円と増収増益基調が続いた。売上高は新規出店効果に加えて、既存店向け商品出荷額伸び率が前年同期比4.1%増と伸長したことが増収要因となった。既存店向け出荷額については期初計画で微増と想定していたが、各種メディアやSNSなどで取り上げられた商品の販売が好調に推移したことや、値上げを実施したことも増収要因となった。値上げの効果については商品によって値上率や実施時期が異なるため、具体的に示すことは困難だが、2022年6月時点の全商品の平均値を調べたところ、前年同期と比べて約3%上昇している。2021年秋以降、不定期に値上げを実施してきたが、値上げによって販売数量が落ち込むこともなく、価格戦略については上手くコントロールできたようだ。また、PB商品の売上比率は前年同期の33.01%から34.74%に上昇した。上昇分の大半は輸入商品によるもので、値上げがスムーズに浸透したことも売上比率の上昇につながった。
2022年10月期第2四半期累計における「業務スーパー」の出店状況は、新規出店で34店舗、リロケーションなどによる退店で15店舗となり、前期末比19店舗増の969店舗、前年同期末比では47店舗増となった。前期末比の増加内訳を見ると、九州直轄エリアが11店舗増と最も多く、次いで関東直轄エリアで5店舗増、関西直轄エリア及び北海道エリアで各3店舗増となった。また、地方エリアについては3店舗減となったが、これは2021年11月に一部加盟店の脱退があったことによる。
「業務スーパー」の既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移は、2021年4月~5月は前年の巣ごもり消費の反動減によりマイナスとなったものの、6月以降は再びプラス基調が続いている。食品スーパー業界全体では前年同月比で若干のマイナス傾向となっており、業界平均と比べて「業務スーパー」の強さが際立っている。これはベストプライスで提供する魅力的なPB商品を揃えていることに加えて、食料品価格の値上げが業界全体で進んだことにより、一般消費者の低価格指向が強まったことも一因と弊社では見ている。ヒット商品としては、台湾特産フルーツの「パイナップル釈迦頭」やインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」のほか、レモネードベース、冷凍玉ねぎなどが挙げられる。「パイナップル釈迦頭」は従来、台湾メーカーから中国への輸出品だったが、中国が輸入禁止措置を取ったことから同社で取り扱うことになった。TVで取り上げられたこともあり売り切れとなる店舗が相次いだ。また、「テンペ」についても国内での認知度は低かったが、納豆のように健康に良い食材ということでメディアに取り上げられ、ヒットにつながった。冷凍玉ねぎについては、上海のロックダウンの影響で中国から玉ねぎの輸入がストップしたことで、玉ねぎの価格が高騰したことが追い風となった。
自社グループ会社の収益については全体で前年同期比4億円程度の減益になったと見られる。原材料コストの上昇が主因で、特に小麦や食用油などを多く使う会社の収益が悪化した。なお、2020年より新たに開始した牛・豚加工製品の製造販売については、順調に出荷額が伸び収益化した。神奈川県の工場で製造しており、現在は首都圏の「業務スーパー」のなかでも配送可能なエリアに絞って出荷している。ガスパック包装により、消費期限が5日程度と通常よりも長期保存できることが特徴となっている。今後は物流体制をどのように構築し、配送エリアを拡大していくことができるかが課題となっている。
(2) 外食・中食事業
外食・中食事業の売上高は前年同期比102.2%増の3,238百万円、営業損失で89百万円(前年同期は156百万円の損失)となった。売上高は「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大により増収となった。一方、利益面では「プレミアムカルビ」がまだ立ち上げ期の投資段階ではあるものの、増収効果で損失額は縮小しており、同事業全体の損失額縮小につながった。
「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況について見ると、出店が1店舗(臨時休業中だった伊勢崎店のリニューアルオープン)、退店が7店舗となり、前期末比6店舗減の9店舗となった。コロナ禍対応としてテイクアウトサービス等の取り組みを強化したこともあり、既存店ベースでは若干の増収となったものの、全体では店舗数の減少により減収減益となった。
焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」については3店舗を出店し、前期末比3店舗増の13店舗となった。営業時間の短縮の影響があったものの、店内手作りのジェラート&デザートの充実したメニューが女性客を中心に人気となっており、売上高は順調に拡大している。また、牛肉の仕入価格が高騰したが、メニューを改定するなど対応策を実施したことにより売上総利益率が改善したほか、販管費率も増収効果で低下した。
中食業態である「馳走菜」については16店舗を出店し、前期末比で16店舗増の65店舗となった。中食需要の拡大や「業務スーパー」の来店客数増加に加えて、メニューの改廃や調理オペレーションの効率化に取り組み、価格優位性を維持していることが好調な要因となっている。一方で、食材コストの上昇により営業利益は横ばい水準にとどまった。今後はメニューの改廃に合わせて価格改定も行うことで、営業利益を伸ばしていく計画となっている。
(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比12.4%増の1,388百万円、営業利益は同8.0%増の244百万円となった。売上高は2021年5月に大阪府で太陽光発電所1ヶ所(約9.9MW)が稼働したことによる発電量の増加が増収要因となった。営業利益率が前年同期の18.3%から17.6%と低下したが、これは新規発電所稼働に伴う減価償却費の増加が要因となっている。2022年10月期第2四半期末における太陽光発電所は合計17ヶ所で約32.1MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW、合計で約38.3MWの発電能力となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
2. 事業セグメント別の動向
(1) 業務スーパー事業
業務スーパー事業の売上高は前年同期比11.5%増の193,532百万円、営業利益は同3.5%増の16,620百万円と増収増益基調が続いた。売上高は新規出店効果に加えて、既存店向け商品出荷額伸び率が前年同期比4.1%増と伸長したことが増収要因となった。既存店向け出荷額については期初計画で微増と想定していたが、各種メディアやSNSなどで取り上げられた商品の販売が好調に推移したことや、値上げを実施したことも増収要因となった。値上げの効果については商品によって値上率や実施時期が異なるため、具体的に示すことは困難だが、2022年6月時点の全商品の平均値を調べたところ、前年同期と比べて約3%上昇している。2021年秋以降、不定期に値上げを実施してきたが、値上げによって販売数量が落ち込むこともなく、価格戦略については上手くコントロールできたようだ。また、PB商品の売上比率は前年同期の33.01%から34.74%に上昇した。上昇分の大半は輸入商品によるもので、値上げがスムーズに浸透したことも売上比率の上昇につながった。
2022年10月期第2四半期累計における「業務スーパー」の出店状況は、新規出店で34店舗、リロケーションなどによる退店で15店舗となり、前期末比19店舗増の969店舗、前年同期末比では47店舗増となった。前期末比の増加内訳を見ると、九州直轄エリアが11店舗増と最も多く、次いで関東直轄エリアで5店舗増、関西直轄エリア及び北海道エリアで各3店舗増となった。また、地方エリアについては3店舗減となったが、これは2021年11月に一部加盟店の脱退があったことによる。
「業務スーパー」の既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移は、2021年4月~5月は前年の巣ごもり消費の反動減によりマイナスとなったものの、6月以降は再びプラス基調が続いている。食品スーパー業界全体では前年同月比で若干のマイナス傾向となっており、業界平均と比べて「業務スーパー」の強さが際立っている。これはベストプライスで提供する魅力的なPB商品を揃えていることに加えて、食料品価格の値上げが業界全体で進んだことにより、一般消費者の低価格指向が強まったことも一因と弊社では見ている。ヒット商品としては、台湾特産フルーツの「パイナップル釈迦頭」やインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」のほか、レモネードベース、冷凍玉ねぎなどが挙げられる。「パイナップル釈迦頭」は従来、台湾メーカーから中国への輸出品だったが、中国が輸入禁止措置を取ったことから同社で取り扱うことになった。TVで取り上げられたこともあり売り切れとなる店舗が相次いだ。また、「テンペ」についても国内での認知度は低かったが、納豆のように健康に良い食材ということでメディアに取り上げられ、ヒットにつながった。冷凍玉ねぎについては、上海のロックダウンの影響で中国から玉ねぎの輸入がストップしたことで、玉ねぎの価格が高騰したことが追い風となった。
自社グループ会社の収益については全体で前年同期比4億円程度の減益になったと見られる。原材料コストの上昇が主因で、特に小麦や食用油などを多く使う会社の収益が悪化した。なお、2020年より新たに開始した牛・豚加工製品の製造販売については、順調に出荷額が伸び収益化した。神奈川県の工場で製造しており、現在は首都圏の「業務スーパー」のなかでも配送可能なエリアに絞って出荷している。ガスパック包装により、消費期限が5日程度と通常よりも長期保存できることが特徴となっている。今後は物流体制をどのように構築し、配送エリアを拡大していくことができるかが課題となっている。
(2) 外食・中食事業
外食・中食事業の売上高は前年同期比102.2%増の3,238百万円、営業損失で89百万円(前年同期は156百万円の損失)となった。売上高は「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大により増収となった。一方、利益面では「プレミアムカルビ」がまだ立ち上げ期の投資段階ではあるものの、増収効果で損失額は縮小しており、同事業全体の損失額縮小につながった。
「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況について見ると、出店が1店舗(臨時休業中だった伊勢崎店のリニューアルオープン)、退店が7店舗となり、前期末比6店舗減の9店舗となった。コロナ禍対応としてテイクアウトサービス等の取り組みを強化したこともあり、既存店ベースでは若干の増収となったものの、全体では店舗数の減少により減収減益となった。
焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」については3店舗を出店し、前期末比3店舗増の13店舗となった。営業時間の短縮の影響があったものの、店内手作りのジェラート&デザートの充実したメニューが女性客を中心に人気となっており、売上高は順調に拡大している。また、牛肉の仕入価格が高騰したが、メニューを改定するなど対応策を実施したことにより売上総利益率が改善したほか、販管費率も増収効果で低下した。
中食業態である「馳走菜」については16店舗を出店し、前期末比で16店舗増の65店舗となった。中食需要の拡大や「業務スーパー」の来店客数増加に加えて、メニューの改廃や調理オペレーションの効率化に取り組み、価格優位性を維持していることが好調な要因となっている。一方で、食材コストの上昇により営業利益は横ばい水準にとどまった。今後はメニューの改廃に合わせて価格改定も行うことで、営業利益を伸ばしていく計画となっている。
(3) エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比12.4%増の1,388百万円、営業利益は同8.0%増の244百万円となった。売上高は2021年5月に大阪府で太陽光発電所1ヶ所(約9.9MW)が稼働したことによる発電量の増加が増収要因となった。営業利益率が前年同期の18.3%から17.6%と低下したが、これは新規発電所稼働に伴う減価償却費の増加が要因となっている。2022年10月期第2四半期末における太陽光発電所は合計17ヶ所で約32.1MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW、合計で約38.3MWの発電能力となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<ST>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況