注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は大幅に4日ぶり反落、アドバンテストやファーストリテが2銘柄で約242円押下 *16:29JST 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は大幅に4日ぶり反落、アドバンテストやファーストリテが2銘柄で約242円押下 5日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり42銘柄、値下がり181銘柄、変わらず2銘柄となった。前日4日の米国株式市場はまちまち。ダウ、ナスダックともに寄り付き直後にマイナスに転じ、その後前日終値を挟んだ値動き。目立った材料がない中、年内の追加利下げ観測が引き続き相場を下支えしたものの、ここまでの上昇を受けた利益確定の売りも出て小動きとなった。米株市場を横目に、本日の日経平均は498.08円安の50530.34円と4日ぶり反落して取引を開始。その後は50400円を挟んで、終日マイナス圏で軟調もみあい展開となった。国内長期金利の上昇や日銀の利上げ観測が引き続き意識され、投資家心理を慎重にさせた。また、昨日の日経平均が1100円を超す大幅高となったことから短期的な利益確定売りや戻り待ちの売りが優勢となったほか、手掛かり材料に乏しく週末要因も相まって下げ幅を縮小する展開は想定しにくかった。ただ、テクニカル面では節目として意識されていた25日移動平均線を上回って推移した。大引けの日経平均は前営業日比536.55円安の50491.87円となった。東証プライム市場の売買高は20億8922万株、売買代金は5兆4041億円だった。業種別では、ゴム製品、その他製品、証券・商品先物取引業など幅広い業種が下落した一方で、非鉄金属、情報・通信業、銀行業などが上昇した。東証プライム市場の値上がり銘柄は19.3%、対して値下がり銘柄は77.3%となっている。値下がり寄与トップはアドバンテスト<6857>となり1銘柄で日経平均を約133円押し下げた。同2位はファーストリテ<9983>となり、東エレク<8035>、TDK<6762>、中外薬<4519>、トレンド<4704>、ダイキン<6367>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約217円押し上げた。同2位はイビデン<4062>となり、フジクラ<5803>、レーザーテック<6920>、ディスコ<6146>、住友鉱<5713>、ニトリHD<9843>などがつづいた。*15:00現在日経平均株価    50491.87(-536.55)値上がり銘柄数   42(寄与度+290.17)値下がり銘柄数   181(寄与度-826.72)変わらず銘柄数    2○値上がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG    19285  1085 217.60<4062> イビデン       12705   815  27.24<5803> フジクラ       17250   300  10.03<6920> レーザーテック    32600   400  5.35<6146> ディスコ       46100   640  4.28<5713> 住友金属鉱山     5499   174  2.91<9843> ニトリHD       2752    27  2.26<5631> 日本製鋼所      9115   303  2.03<4911> 資生堂        2345  54.5  1.82<9433> KDDI       2675   4.5  1.80<2802> 味の素        3575    25  1.67<5706> 三井金属鉱業     17985   460  1.54<4385> メルカリ       2893  39.5  1.32<7013> IHI        3019    52  1.22<7011> 三菱重工業      4083    35  1.17<7741> HOYA       23900    60  1.00<6506> 安川電機       4796    27  0.90<6753> シャープ       795.6    26  0.87<8331> 千葉銀行      1692.5  23.5  0.79<8316> 三井住友FG      4949    49  0.49○値下がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<6857> アドバンテ      20200  -500 -133.70<9983> ファーストリテ    56740  -1360 -109.10<8035> 東エレク       33140  -680 -68.19<6762> TDK        2433   -48 -24.07<4519> 中外製薬       8233  -239 -23.97<4704> トレンドマイクロ   7167  -702 -23.46<6367> ダイキン工業     19710  -540 -18.05<6098> リクルートHD     8249  -173 -17.35<4543> テルモ        2369   -54 -14.44<6758> ソニーG        4332   -86 -14.37<7974> 任天堂        12500  -375 -12.53<7203> トヨタ自動車     3032   -71 -11.87<4568> 第一三共       3456  -116 -11.63<5108> ブリヂストン     7000  -344 -11.50<9766> コナミG       22395  -315 -10.53<9735> セコム        5325  -153 -10.23<8267> イオン        2522 -100.5 -10.08<4063> 信越化        4808   -60 -10.03<6902> デンソー      2001.5  -72.5  -9.69<8058> 三菱商事       3744   -94  -9.43 <CS> 2025/12/05 16:29 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:ユカリアは反発、ELEMENTSは続伸 *15:52JST 新興市場銘柄ダイジェスト:ユカリアは反発、ELEMENTSは続伸 <286A> ユカリア 881 +33反発。阿蘇医療センターの経営改善支援業務の受託を発表し、好材料視されている。受託した経営改善支援業務は、「阿蘇医療センター経営強化プラン」を踏まえつつ、経営状況や診療機能、病床運用、人員体制などについて多角的な調査・分析を行い、地域医療構想と整合性を図りながら、機能分化や再編、最適化の方向性を明確化することを目的としている。同業務では、阿蘇医療センターの経営改善に向けて中長期的な視点に立った経営改善策の提案と実行支援を通じて、持続可能な地域医療体制の確保を目指すとしている。<4576> DWTI 103 -4反落。4日受付でSBI証券が財務省に変更報告書(5%ルール報告書)を提出したことを受け、これを嫌気した売りに押されている。報告書によれば、SBI証券のデ・ウエスタン・セラピテクス研究所株式保有比率は5.49%から4.45%(2,479,718株)に減少したことが判明した。報告義務発生日は11月28日。<3989> シェアリングT 1115 -7もみ合い。4日受付でアセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドが財務省に変更報告書(5%ルール報告書)を提出した。報告書によれば、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドのシェアリングテクノロジー株式保有比率は17.71%から19.02%(4,645,700株)となったことが判明した(取得資金は4,264,791,000円(1株918円))。報告義務発生日は11月27日。保有目的は純投資及び重要提案行為等を行うこととしている。<1444> ニッソウ 2871 +19反発。新たな事業「クロス家さん」の開始を発表し、好材料視されている。需要に対する職人不足という問題を解決すべく、また「職人さん」という新たな働き方を提案することを目的として、リフォーム事業における一つのフランチャイズ事業として「クロス家さん」を開始することとした。同フランチャイズ事業では、加盟店にクロス(壁紙)施工業で独立・起業できるようクロス職人としての技術に関する指導のほか、集客に関する営業ノウハウや、経営に関しても必要に応じて指導・支援していくサービスとなっている。<3624> アクセルM 89 ±0もみ合い。スマートフォン用アプリ『らぶいーず メモリアルコレクション』の配信日が決定したことを発表した。100%子会社であるスパイラルセンスが、SNSでZ世代やα世代に人気のキャラクターシリーズ『らぶいーず』を用いた基本無料iOS・Android向けアプリゲーム『らぶいーず メモリアルコレクション』の配信日が12月18日に決定した。また、本作の配信に向けて、公式TikTokアカウント『らぶいーず メモリアルコレクション【公式】』を開設したことも発表した。<5246> ELEMENTS 571 +26続伸。子会社Liquidがオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」で、iPhoneのマイナンバーカードを利用した本人確認機能実装に対応した。iPhoneのウォレット機能「Appleウォレット」にあらかじめ設定されたマイナンバーカード情報を活用し、犯罪収益移転防止法(犯収法)に準拠した本人確認を可能にするソフトウエア開発キット(SDK)を開発、事業者はiPhoneの生体認証(Face ID・Touch ID)のみで手続きが完了できる仕組みを自社サービスに実装できる。 <NH> 2025/12/05 15:52 注目トピックス 日本株 エスケーエレクトロニクス:高付加価値フォトマスクの世界シェア2位、PBR1倍接近かつ配当利回り4.9% *15:07JST エスケーエレクトロニクス:高付加価値フォトマスクの世界シェア2位、PBR1倍接近かつ配当利回り4.9% エスケーエレクトロニクス(SKE)<6677>は、フラットパネルディスプレー(FPD)製造に不可欠な大型フォトマスクの専業メーカーであり、世界シェア28%で国内1位・世界2位というポジションを確立している。海外売上高比率90.7%。FPDは、スマートフォン、テレビ、タブレット、パソコンなどデジタル製品に欠かすことができない。印刷業を起源としながら、他社に先駆けて大型フォトマスク市場に参入。長年のノウハウ蓄積と高精細加工技術、電子技術、化学・光学技術をダイナミックに転換し、フラットパネルディスプレーの製造用原版となる大型フォトマスクの製品化をいち早く実現した。セグメントは、大型フォトマスク事業が主力だが、そのほかソリューション事業とスクリーンマスク・メタルマスク事業で構成されている。2025年5月にアサヒテック株式会社を連結子会社化したことに伴ってスクリーンマスク・メタルマスク事業を新たに報告セグメントとして追加した。2025年9月期のフォトマスク事業における地域別売上高は、中国62%、韓国16%、台湾13%、日本9%。また、分野別では有機EL47%・液晶53%に分かれている。同社の強みを語るうえで欠かせないのが中立性である。世界大手フォトマスクメーカーが特定地域・特定顧客に軸足を置く中、同社は製造拠点を日本・台湾に構え、フラットパネルディスプレー工場のある地域すべてにおいて安定的に取引実績を持つ数少ない企業である。この「どこにも属さないポジション」が、各国のパネルメーカーに対し公平かつ柔軟に対応できる背景となり、同社の顧客層を広げている。材料メーカーやフォトマスク装置メーカーが日本に集積し、SKEがその近傍で開発・製造のフィードバックループを高速回転できる体制を整えている点も優位性を強固にする。また、同社は高付加価値製品でシェアを獲得しているが、生産性の指標である従業員一人当たり売上高や営業利益は国内競合・類似企業と比較して際立っている。2025年9月期の連結業績は、売上高29,187百万円(前期比13.4%増)、営業利益3,854百万円(同26.0%増)で着地した。事業構造の中心は大型フォトマスク事業では、中国市場でスマートフォン向け有機ELパネル用の需要が増加したほか、テレビおよび車載パネル向けの液晶パネル用の需要が、日本市場ではVRデバイス向けの液晶パネル用需要が増加。同社が得意とする高精細・高難度レイヤーの案件が増加したことが業績を大きく押し上げた。2026年9月期の計画は、売上高30,500百万円(前期比4.5%増)、営業利益4,600百万円(前期比19.4%増)を計画している。有機ELパネル用フォトマスクが、パネルメーカーから高精度・高精細な技術への期待がさらに高まり、新たな第8世代有機ELパネル工場向けもあわせて需要が増加すると見込んでいる。市場環境について、フラットパネルディスプレー市場の成長は有機ELパネル(年平均成長率(数量)5%成長)が牽引していく想定となっている。スマートフォンでは有機ELパネル搭載機種の主流化、高機能化が継続し、IT製品では新サイズ・高機能化が進み、有機ELパネル搭載機種が拡大。車載パネルでは採用箇所が増加しつつ、画面の大型化・多機能化が加速していく。つまり、IT製品(ノートPC、タブレット)やVR・XRデバイスの高精細化が進むことで、フォトマスクの大型化・高難度化が進行し、市場全体として開発需要は中長期的に底堅く推移することとなる。ただ、取材では市場の伸び率だけでは評価しきれない「技術開発の複雑さ」がフォトマスク需要を押し上げるという見立てもうかがえた。市場規模の視点では有機ELが液晶の需要を減らしていくトレンド予想があった。しかし、フォトマスクの視点では、液晶パネルの需要も継続して堅調に存在している。これは、有機ELでの新機能開発に加え、液晶においても、サイズ変化や多機能化に向けた技術開発が継続しているためだ。この通り、有機EL・液晶の両方で業界全体の開発需要は依然旺盛であり、FPD市場規模の伸び率だけでは見えないフォトマスク市場のポテンシャルがあることは頭に入れておきたい。中期経営計画では、2028年9月期の売上高342億円。中長期的なKPI目標として営業利益率20%以上、ROE15%以上を掲げている。これは今後のM&Aを含まない計画となっている。重要施策では、積極的成長投資によるフォトマスク事業の拡大に向けて生産能力強化、ソリューション事業の黒字化、M&Aを通じたグループ企業の拡大の3点が挙げられた。実際、新規事業であるソリューション事業(RFID・ヘルスケア)は、顧客でのトライアル段階を経て実証フェーズに入りつつあり、単年度黒字化を狙っていくフェーズとなっている。スクリーンマスク・メタルマスク事業は自動車・半導体パッケージ向けの原版として成長余地があり、今後の事業ポートフォリオ拡大に貢献する見通しである。M&Aについては随時検討しながらも、既存製品の高付加価値化を軸に業績貢献を目指す姿勢が明確だ。株主還元は、配当性向50%、2025年9月期の年間配当は130円と大幅増配となった。PBRは1倍に接近している。今後も、経営基盤の強化と積極的な成長投資を行い、継続的な企業価値の向上と株主への安定的かつ継続的な利益配分を実現することを基本方針としている。総じて、エスケーエレクトロニクスは液晶と有機ELの両輪で進むFPD市場における技術進化の中心に位置し、難度上昇・大型化の深化に伴ってフォトマスク需要を確実に取り込めるポジションにある。高付加価値領域での圧倒的優位性、ノウハウ蓄積、中立性を活かした顧客基盤の広さに加え、旺盛な設備投資に裏打ちされた将来需要の取り込み力は大きな強みとなるため、同社の今後の動向に注目しておきたい。 <HM> 2025/12/05 15:07 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~JMACS、ノーリツなどがランクイン *15:03JST 出来高変化率ランキング(14時台)~JMACS、ノーリツなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月5日 14:32 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード   銘柄名   出来高   5日平均出来高   出来高変化率   株価変化率<5817> JMACS     2624100  125487.98  312.35% 0.1686%<5970> ジーテクト     708900  131394.14  255.5% -0.0381%<219A> ハートシード    3919000  866068.54  224.14% 0.1949%<268A> リガク       5808500  909109.18  212.02% 0.101%<5943> ノーリツ      443600  172178.22  174.27% 0.0217%<7229> ユタカ技研     28900  23631.3  141.45% 0%<4116> 大日精       115300  119262.1  138.46% -0.0316%<354A> iF高配50    71384  47782.647  133.15% -0.0053%<2962> テクニスコ     130300  17773.74  132.19% -0.0871%<163A> 半導体       9136  33661.716  125.41% -0.0089%<7779> サイバダイン    14004000  720777  125.19% 0.0312%<3415> トウキョベース   2524700  331616.32  120.69% 0.0547%<202A> 豆蔵        1541500  1763429.8  120.43% 0.004%<3444> 菊池製作      7142500  1097398.38  114.76% 0.1937%<8699> HSHD      122900  49201  111.71% 0.0108%<9412> スカパーJSA   2427600  2052763.16  103.32% 0.0716%<7711> 助川電       658200  2550168.8  100.08% 0.0526%<6664> オプトエレクト   5030200  645958.88  99.04% 0.1374%<3688> CARTAHD   26400  29804.26  98.85% 0.0009%<6081> アライドアーキ   9288800  800455.66  96.95% -0.2129%<1965> テクノ菱和     109200  266876  95.7% 0.0706%<213A> 上日経半      334610  26859.542  91.02% -0.006%<290A> Syns      3123400  1567884.12  90.22% 0.0716%<3913> GreenBee  97200  49791.1  87.25% -0.0125%<6629> テクノHR     4809300  1188721.84  84.55% 0.0044%<4316> ビーマップ     429900  158967.76  84.26% 0.0507%<4704> トレンド      1313900  4205444.56  78.32% -0.0918%<4875> メディシノバ    147000  15922.36  76.9% 0.0262%<330A> TalentX   133100  51287.3  73.84% -0.0367%<2842> iFナ100ベ   6152  35821.338  72.11% -0.0017%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/12/05 15:03 注目トピックス 日本株 日水コン:水インフラ特化で安定成長を続ける建設コンサルティング企業 *14:46JST 日水コン:水インフラ特化で安定成長を続ける建設コンサルティング企業 日水コン<261A>は、水インフラに専門特化した建設コンサルタントであり、上水道・下水道・河川に関する調査・計画・設計から維持管理、工事監理まで、水循環全体を一気通貫で支援する総合技術体制を有する。主要顧客は中央省庁や地方自治体など公共分野で、近年は建築・設備、機械電気、DX領域にも対象を広げ「水のインパクトカンパニー」の実現を掲げている。事業は単一セグメントだが、上水道・下水道・河川その他の3分類でPPP/PFIや災害復旧、老朽化更新など高度な行政課題に対応している。水専業コンサルとして国内でも大手クラスに位置し、安定した公共投資と国土強靭化に伴う需要増を背景に、受注高・受注残高・売上高のいずれも複数年にわたり増加基調を続けている。同社の強みは、第一に、水インフラに特化した専門領域における卓越した技術と実績である。全国上下水道コンサルタント協会など水専門コミュニティでの存在感は大きく、水道・下水道・河川を一体で設計できる点は総合建設コンサルとは異なる価値を持つ。水専業の領域ではNJS<2325>などが競合とされるが、同社は専門性と提案力で優位性を確立している。第二に、高度な有資格者を多数擁する技術者集団であることである。同社は「中央官庁・地方自治体との信頼」「総合力と人材」「技術力」を強みとして掲げ、とりわけ技術士を中心とした専門資格者の多さが品質と提案力の裏付けとなり、全国の高度案件や国土交通省案件を数多く任されている。第三に、PPP・PFIなど事業設計や経営支援まで踏み込むビジネスモデルである。技術ベースのみならず、官民連携における制度設計やアドバイザリーにも対応し、会計・経営コンサルタントと連携して官側・民側双方から関与できる。2025年12月期第3四半期累計業績は、売上高18,033百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益1,889百万円(同8.8%増)と増収増益を確保した。売上総利益率の改善や採算性の高い案件の増加により営業利益率は9.9%から10.5%へ上昇した。サービス別には、上水道6,391百万円(同2.7%増)、下水道9,613百万円(同6.2%増)と中核領域が堅調であった一方、河川その他は2,028百万円(同9.3%減)と減収となった。これは砂防エンジニアリング子会社での案件発注遅れや新規事業進捗の遅延による影響であるが、会社は受注遅れの挽回を進め、水インフラ主力領域の伸長で全体としての増収を維持した。また、連結受注高は23,456百万円(同15.1%増)、受注残高は28,077百万円(同11.6%増)と高水準で推移。ウォーターPPP案件(事業期間10年)の受注により、受注計画を達成し、上記を除いた計画進捗率は87.4%となっている。一方、第3四半期単体では季節性に加え業務補償損失引当金200百万円を計上した結果、営業利益率はマイナスとなった。ただ、官公庁を顧客にしている特性から第1四半期に利益が集中し、第3四半期は売上計上が少なくなる季節変動性のもと固定比率が高まり利益率が低下したが、あくまで一過性であり累計では堅調な増益基調を保っている。通期計画は、売上高24,700百万円(前期比5.0%増)、営業利益2,300百万円(同5.7%増)を見込んでいる。市場環境は、防災・減災や老朽化設備更新、気候変動対応、水質問題など構造的な追い風が続く。民主党政権下で抑制された投資の反動に加え、近年の水道施設事故を契機に各地で予算配分が見直され、案件が複雑化・高度化する中で提案力を持つ同社に案件が集中する状況が続いている。今後の成長見通しでは、国土強靭化の継続を前提に既存領域の安定成長、人材拡充、官民連携の深化が軸となる。採算性の高い大型案件を中心に受注件数の積み上げを図っていくほか、官民連携促進の政府方針を背景に同社では官側・民側2つの立ち位置から参画していく。また、海外技術との連携による産業廃水分野の開拓や、海外展開では東南アジアの有望案件を選別しながら収益化を図る。半導体やEVバッテリー、製薬など気候変動に伴う水リスクを軽減する水リサイクル技術の提案・装置の提供を行っていくようだ。トピックとして、リアルタイム雨水管理システム「Blitz GIS」をベトナムで実証予定であり、DX技術の活用で気候変動・都市浸水といった社会課題にも対応しており、今後の事業拡大余地は大きい。一方で、受注キャパシティが成長の制約となる懸念があり、質・量両面での人材強化が急務となっている。株主還元は、配当性向50%を目安とした安定的な配当方針を掲げる。2025年12月期の年間配当は1株当たり64.00円を予定し、配当性向は50.6%と高水準である。利益成長と株主還元を両立する姿勢を明確にしているほか、役員向けの株式交付信託を導入し、中長期的な企業価値向上と株主価値の方向性を一致させる制度設計も進めている。総じて、日水コンは水インフラに専門特化した技術力と提案力、そして高水準の受注残高を強みに、社会インフラ更新と気候変動対応を背景とした中長期の成長が期待できる企業である。「日水コングループビジョン2030」を策定中であるが、老朽化施設の更新需要やPPPの進展で安定的な事業環境が続くなか、同社には着実な成長と企業価値向上が期待されよう。 <HM> 2025/12/05 14:46 注目トピックス 日本株 福山通運:全国ネットワークと「特積み」の強みを再定義し、運賃適正化で収益回帰へ *14:24JST 福山通運:全国ネットワークと「特積み」の強みを再定義し、運賃適正化で収益回帰へ 福山通運<9075>は、国内391カ所の自社拠点を基盤に、企業間物流(BtoB)を中核とする総合物流企業である。同社のビジネスモデルの根幹は、不特定多数の荷物を混載して運ぶ「特別積合せ(特積み)事業」にある。北海道から沖縄まで網羅する自社ネットワークを活用し、小口から大口まで多様な貨物を効率的に配送できる体制を構築しており、車両を1台丸ごと手配する「貸切」に比べて圧倒的なコストメリットを顧客に提供している。現在は、この強固な基盤を武器に、流通加工や国際事業への多角化を進めるとともに、業界全体の課題である「2024年問題(ドライバー不足)」を追い風に変える戦略を推進している。同社の強みは、第一に全国391カ所を自社で繋ぐネットワーク力と、長距離・重量物への対応力である。2024年問題により長距離輸送が困難になる中、全国に点在する拠点で中継輸送を行う同社の体制は、安定供給の最後の砦となっている。 第二に、3PL(物流一括受託)にも対応可能な流通加工事業と貸切事業の成長性である。単に運ぶだけでなく、全国に広がる拠点で保管・加工・配送を一貫して請け負うことで付加価値を高めている。 第三に、需給逼迫を背景とした潜在的な価格交渉力である。現状では事業者数が多く顧客優位な状況が続き、この2年間の単価上昇率は限定的な数値にどどまっているが、労働時間規制が厳格化される2030年に向けて輸送力は確実に減少する。希少化する「運べる業者」としての地位を確立することで、中長期的には主導権を持った価格転嫁が可能となるポジションにある。2026年3月期第2四半期(累計)は、売上高153,573百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益3,612百万円(同19.5%減)の増収減益となった。 増収要因は、特積み事業で重量+2.0%、単価+2.4%と数量・価格ともに伸ばしたことによる。一方の減益は、将来の輸送力確保に向けた「先行投資」の色彩が濃い。人件費の引き上げや外注費の上昇、車両更新に伴う減価償却費の増加が響いたが、これらは計画の範囲内である。輸送粗利ベースでは回復基調にあり、事業の基礎体力は向上している。通期業績予想は、売上高316,300百万円(前期比4.6%増)、営業利益8,100百万円(同10.0%増)を据え置いた。 下期は重量+1.6%、単価+1.5%を見込む。労働時間規制の強化に対応した外注人員の増員と傭車台数の増車も2025年3月期には概ね完了しており、コスト増のペースは鈍化する見通しだ。また、減価償却費も落ち着きを見せ始めることから、増収効果でコストを吸収し、利益目標を必達する構えである。数年続いた減益トレンドからの脱却へ向け、正念場の年となる。第6次中期経営計画「Change & Growth 2026」については、現状で計画値との乖離が生じており、来期の目標達成はハードルが高い状況にある。しかし、戦略の方向性は明確だ。最重要課題は「特積み事業の回復」であり、まずは物量をしっかりと確保した上で、来期は3%以上の単価アップを目指して交渉を進める。また、ドライバー確保に加え、他社との共同輸送など外注を柔軟に活用することで、どのような労働環境下でも輸送網を維持する。輸送業者の淘汰が進む中、「運べる」という価値をテコに、貸切・流通加工事業とともに持続的な成長を図る。株主還元については、総還元性向50%以上を目標とし、1株当たり70円を下限とする安定配当を維持する方針である。足元では業績連動での還元拡大が足踏みしているが、政策保有株式の縮減を進め、その資金を原資とした機動的な自己株式取得(中間期に約93億円実施)を行うなど、資本効率向上への意識は高い。取得した自社株はM&Aや従業員インセンティブへの活用も視野に入れている。足元のPBRは0.5倍となっており、投資妙味が高いといえる。総じて、福山通運は先行投資によるコスト負担のピークを越えつつあり、収益回復のフェーズに入ろうとしている。「物を運べなくなる」時代において、全国自社ネットワークを持つ同社の希少性は高まる一方であり、物量確保と適正運賃収受の両立による業績反転に期待したい。 <HM> 2025/12/05 14:24 注目トピックス 日本株 システム ディ---秋田県教育委員会が「School Engine Web出願システム」を導入 *14:03JST システム ディ---秋田県教育委員会が「School Engine Web出願システム」を導入 システム ディ<3804>は3日、同社が提供する「School Engine Web出願システム」を秋田県教育委員会が導入し、2025年12月に本格稼働したことを発表した。「School Engine Web出願システム」は、出願手続きをインターネット上で完結できるクラウド型のシステムである。このシステムは校務支援クラウドサービス「School Engine」の一機能として提供している。秋田県教育委員会では、これまで願書の作成・提出に紙媒体を使用していた。中学校から高等学校への願書提出に際して、志願者及びその保護者においては、入学願書の作成が負担となっており、また、中学校及び高等学校の教職員においては選抜関係書類の入力、作成及び点検等が大きな負担となっていた。「School Engine Web出願システム」の導入により、対面での願書提出が不要となり、志願者はPC・スマートフォン・タブレットを用いてWEBで願書の提出から合否の確認までが可能となり、中学校・高等学校における出願事務もWEBで完結することが可能となる。また、入学検定料の納付手続きもクレジットカード・コンビニ払いなどのキャッシュレス決済に対応している。選抜に必要なデータをこのシステムにて一元管理することで、業務の効率化と負担軽減が期待できる。こうした利便性と業務効率化の観点から、本システムの導入に至った。同社は校務支援システムのクラウドサービス事業者として、今後も教員の業務負担を軽減し、児童生徒と向き合う時間を創出することで、教育の質向上を全力で支援する。 <AK> 2025/12/05 14:03 注目トピックス 日本株 フォーバル---テレクトが北陸地域初となる「ESGマーク認証」を取得 *14:01JST フォーバル---テレクトが北陸地域初となる「ESGマーク認証」を取得 フォーバル<8275>は4日、グループ会社であるテレクトが、一般社団法人中小企業個人情報セキュリティー推進協会(SP2)の「ESGマーク認証制度」において、北陸地域初となる「ESGマーク認証ブロンズ」を取得したと発表した。テレクトは「お客様と伴走し、地域の未来を創る」という理念のもと、ESG経営の自社実践に取り組み、環境・社会・ガバナンスの視点から事業活動を洗い出した。具体的には、CO2排出量削減計画の策定、従業員エンゲージメント向上を目的とした研修制度の強化、取引先とのコンプライアンス確認プロセスの整備などを実施。ESGアドバイザーの伴走支援を受けることで改善点を明確化し、社内意識の改革も進めた。この取り組みは単なる認証取得にとどまらず、企業体質の見直しと持続可能な経営への第一歩として位置づけられている。今後は、認証基準の維持・強化にとどまらず、地域企業との対話やノウハウ共有を通じて、北陸地域におけるESG経営の普及を推進する。 <AK> 2025/12/05 14:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~ジーテクト、ノーリツなどがランクイン *13:49JST 出来高変化率ランキング(13時台)~ジーテクト、ノーリツなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [12月5日 13:32 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<5817> JMACS      2624100  125487.98  312.35% 0.1686%<5970> ジーテクト      672800  131394.14  250.08% -0.035%<219A> ハートシード     3394000  866068.54  207.13% 0.2015%<268A> リガク        4554100  909109.18  182.27% 0.156%<5943> ノーリツ       424600  172178.22  168.93% 0.0238%<7229> ユタカ技研      26700  23631.3  131.59% 0%<4116> 大日精        105000  119262.1  126.91% -0.0265%<7779> サイバダイン     13363200  720777  119.58% 0.0416%<3444> 菊池製作       7142500  1097398.38  114.76% 0.1937%<3415> トウキョベース    2287600  331616.32  108.80% 0.0913%<8699> HSHD       113800  49201  102.32% 0.0208%<7711> 助川電        608200  2550168.8  90.88% 0.0672%<213A> 上日経半       332900  26859.542  90.41% -0.0078%<6081> アライドアーキ    8390600  800455.66  86.25% -0.1548%<2962> テクニスコ      87700  17773.74  85.74% -0.0512%<1965> テクノ菱和      99300  266876  84.23% 0.0741%<290A> Syns       2837800  1567884.12  79.08% 0.0772%<163A> 半導体        6099  33661.716  76.95% -0.0114%<6664> オプトエレクト    4096000  645958.88  75.14% 0.1752%<4875> メディシノバ     144000  15922.36  74.55% 0.0305%<354A> iF高配50     42979  47782.647  72.37% -0.0037%<2842> iFナ100ベ    6112  35821.338  71.38% -0.001%<9412> スカパーJSA    1792700  2052763.16  67.38% 0.0679%<2901> ウェルディッシ    1394100  221786.2  66.39% -0.1746%<4316> ビーマップ      358600  158967.76  64.04% 0.0706%<6078> バリューHR     72000  61607.06  62.61% 0.0258%<6629> テクノHR      3908900  1188721.84  62.16% 0.0134%<4704> トレンド       1101000  4205444.56  59.15% -0.0895%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/12/05 13:49 注目トピックス 日本株 イビデン---大幅続伸、シンガポール政府投資公社が大株主に浮上 *13:33JST イビデン---大幅続伸、シンガポール政府投資公社が大株主に浮上 イビデン<4062>は大幅続伸。前日に提出された大量保有報告書によると、GICプライベート・リミテッド(GIC)が5.07%の大株主に浮上したことが明らかになっている。保有目的は純投資とし、経営権を取得する予定および支配について提案を行う予定はないとしている。GICはシンガポール政府投資公社であり、世界でも有数の投資会社とされている。長期保有目的の海外投資家の資金流入を受け、先高期待など高まる展開になっているもよう。 <HM> 2025/12/05 13:33 注目トピックス 日本株 ノーリツ---続伸、コスト低減で収益予想を上方修正へ *13:23JST ノーリツ---続伸、コスト低減で収益予想を上方修正へ ノーリツ<5943>は続伸。前日に25年12月期の業績修正を発表している。営業利益は従来予想の30億円から40億円、前期比67.0%増に上方修正。中国の市況低迷によって海外事業の売上高が下振れる形となる一方で、生産性の改善や販売費及び一般管理費の抑制などが奏効する形となっているようだ。第3四半期累計営業利益は8.1億円の水準にとどまっていたため、ストレートにポジティブな反応が先行しているようだ。 <HM> 2025/12/05 13:23 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(9):2025年9月期は、最高益記念配当を含み前期比15.0円の増配を実施 *13:09JST CSSHD Research Memo(9):2025年9月期は、最高益記念配当を含み前期比15.0円の増配を実施 ■株主還元策CSSホールディングス<2304>は、株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして認識しており、配当を実施している。業績・連結配当性向及び同社配当性向と今後の経営における施策などを総合的に勘案し、継続的かつ安定的に利益配分を行うことを基本方針としている。2025年9月期の1株当たり配当金は、中間配当15.0円、期末配当30.0円(普通配当20.0円と最高益記念配当10.0円の合計)の計45.0円となり、前期比で15.0円の増配となった。2026年9月期は、中間配当15.0円、期末配当20.0円で、年間配当35.0円(普通配当ベースで前期と同額)を予想する。配当性向は29.6%となる見通しで、東証プライム・スタンダード・グロース市場に上場する2025年3月期における全産業平均の34.6%を下回る水準である。しかし、株主還元に前向きである同社の経営姿勢を考慮すると、業績次第では期末配当の上乗せもありうると弊社では見ている。また同社は、IR活動に積極的に取り組んでいる。投資家説明会では、会場参加とWebによるライブ配信を組み合わせたハイブリッド開催を実施している。さらに、投資専門YouTubeチャンネルや投資家ラジオ番組への出演、資産運用EXPOへの参加などを通じ、投資家との対話機会を拡充している。こうした多様なチャネルを活用して、同社の事業内容や成長戦略を幅広い層に発信している。これらを通じて、既存投資家との関係深化や新たな投資家層の拡大を目指している。東証ではPBR1倍割れが約半分を占める日本株へのテコ入れとして、プライム市場及びスタンダード市場の全上場会社に対し、資本コストや株価を意識した経営への取り組みを要請している。同社グループは2025年9月期も増収増益決算となり、2025年11月14日時点のPBRは1.55倍、ROEは20.3%と、目安となるPBR1倍、ROE8%の基準を大きく超える水準にある。弊社では、今後も中期経営計画に従ってさらなる業績向上を目指し、各セグメントで十分な利益水準を確保することで、安定的にROE8%以上を計上し、PBR1倍を超える企業価値を維持できると見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:09 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(8):X-valueユニットを推進し、M&Aや提携で事業領域の開拓・拡大を図る *13:08JST CSSHD Research Memo(8):X-valueユニットを推進し、M&Aや提携で事業領域の開拓・拡大を図る ■CSSホールディングス<2304>の中長期の成長戦略3. 事業開発戦略同社は、2023年10月にX-valueユニットを新たに立ち上げ、推進すべき内容をモニタリングしてきた。その成果を踏まえ、中期経営計画ではX-valueの推進によるグループシナジーの創出及び、既存の発想にとらわれない外部リソースの積極活用による提携やM&Aなどを模索する。これにより、各事業の拡大にプラスα(上乗せ)を目指す方針である。具体的には、今後の事業開発を既存事業組織の推進エンジンとX-valueユニットの推進エンジンの双方向から進める。特に、特命特化するX-valueユニットが既存組織を巻き込む形で「開拓」「開発」を強化する。そして、2024年9月期末時点で所有していた現金及び預金9億円に不動産・投資有価証券の時価30億円を加えた合計約40億円の資産を、収益性の高い事業において競争優位を高める分野(スチュワード事業、フードサービス事業)、同社の顧客資産に対して高い付加価値を追加提供できる分野、ROE・総資産回転率に大きく貢献する分野(空間プロデュース事業、シェアードサービス事業)へ投資し、有効活用する計画である。中期経営計画は、既存の3事業を核として、事業領域を安定領域から開拓領域、そして開発領域へと拡大を図る。これに加えて、X-valueユニットからの戦略的なアプローチによっても事業領域の拡大を目指すことで、目標達成を実現する方針である。4. グループ全体としての取り組みグループ全体の取り組みとして、「人材育成の強化」「ESG課題への取り組み推進」に注力する。X-valueユニット活動支援、外国人を含む採用強化、社会保障環境の動向を踏まえた働き方改革の推進、業務のスリム化及び効率アップのためのBPR活動、ESG課題への取り組みを実施する。これにより、グループ全体の人材開発力や社会課題解決力及び事業価値の向上を推進する。「人材育成の強化」では、現場ファーストの働きやすい職場環境づくりとして、手続き書類やフローの必要性の見直しと、デジタル化・ワークフロー化などに取り組む。また、教育研修や適材適所人事による能力開発として、次世代幹部育成研修や営業・マーケティング戦略メソッドなどを実施する。さらに、多様な人材の活躍をサポートするため、ダイバーシティ支援グループの組織化や海外における社員採用活動などに取り組む計画である。「ESG課題への取り組み推進」では、「環境」に対する取り組みとして、食品廃棄量削減や再資源化を推進する。「社会」に対する取り組みとしては、従業員の労働現場環境の巡回と問題抽出、従業員の健康や安全に配慮した連絡会と指示徹底などを推進する。「ガバナンス」に対する取り組みとしては、グループ各社連携のリスクマネジメント強化やIR活動における投資家との対話機会などに取り組む計画である。欧州投資家を中心に、世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した株式投資が拡大しており、日本でも近年はESG投資が急拡大している。こうした背景から、同社グループのESGへの取り組みは今後注目される。弊社では、経営方針を明確化し投資家や従業員が同社グループの将来像を共有するためにも、中期経営計画の発表・推進は非常に有意義であると考えている。今後も、公表された業績推移と成長戦略への取り組み状況を引き続き注視していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:08 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(7):全事業で2024年9月期比20%台とする大幅な増収増益を掲げる *13:07JST CSSHD Research Memo(7):全事業で2024年9月期比20%台とする大幅な増収増益を掲げる ■CSSホールディングス<2304>の中長期の成長戦略2. 事業別成長戦略同社は、中期経営計画の最終年度達成に向け、全3事業において高い成長目標を設定した。具体的には、2027年9月期までに全事業で2024年9月期比20%台という大幅な増収増益を目指す。なかでも空間プロデュース事業は同40%台の増益目標を掲げている。各事業がそれぞれ「基軸事業の強化」と「X-valueユニットによる新たな価値創出」という成長の両輪として戦略を実行することで実現を目指す。(1) スチュワード事業2027年9月期の売上高は10,800百万円(2024年9月期比27.3%増)、営業利益は698百万円(同29.5%増)を目指す。営業利益率は6.5%となり、同0.2ポイントの上昇を見込んでいる。高まる委託需要に対応するため、人材開発への投資や注力により人材の育成・輩出を進める。同時に、ホテル業界のバックヤードを幅広くサポート・改善・コンサルティングできるパートナー力の強化を図る。同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。2025年には訪日外国人数が4,200万人に、消費額が8.5兆円に達すると予想され、新規開業ホテルや外資の積極的参入による大型ホテルの開業が多数見込まれる。また、インバウンド・円安・インフレなどの影響により、宿泊や食事の単価が想定を上回って推移している。加えて、賃金水準上昇の受託費への価格転嫁も、売上アップの要因となる。さらに、ロボティクスの進化によって清掃・ロジ・仕分けなどの業務の自動化や省力化が現実的な状況となりつつあり、バックヤード環境の設計や運用に関する助言機会が増加している。以上の市場環境を踏まえ、「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、従業員の生産性を高める投資を積極的に実施する。具体的には、教育研修、職場エンゲージメント強化、海外における社員採用、業務プロセスの再構築(業務BPR)などを推進する。また、後発参入したホテル客室清掃業務では、同社独自のスタイル確立に向けて、他社ノウハウの積極的な学習を行う。さらに、働き方や社会保障環境の潮流を反映し、事業コスト影響の試算、営業的対策、及び従業員啓蒙に向けたコミュニケーションを推進する。「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、自動化・ロボット・AIなどの先進分野に明るいパートナーとの提携関係を実現し、コンサルティング業務や共創事業を展開する。加えて、業務サポートを実現できていない地方への進出を図り、同社にとって開拓余地の大きい業務分野でM&Aを検討する。さらにベテランが率先して特命特化でX-valueユニットと連携することで新しい取り組みを推進し、「スチュワード人材」の可能性を広げる。(2) フードサービス事業2027年9月期の売上高は5,000百万円(2024年9月期比27.6%増)、営業利益は127百万円(同21.3%増)を目指す。営業利益率は2.5%となり、同0.2ポイントの低下を見込んでいる。従業員食堂と朝食レストランの2大カテゴリーに加え、ライフケアフードを第3の柱として確立する。また、他社との差別化を図る個性を維持しつつ、調理の世界の変化を柔軟に取り入れることで、生産性の向上を図る。同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。業界活況の基盤はスチュワード事業と同様であり、宿泊観光需要の伸びに伴い、朝食レストラン受託マーケットは引き続き拡大を見込んでいる。高齢者向けライフケアマーケットも拡大基調であり、超高級施設サービスなど新たな商品開発も進捗している。ロボティクスの進化によって、調理などの自動化・省力化が現実的な状況となりつつある。さらに、完全調理済食品の品質向上に伴い、調理オペレーション設計の柔軟性が高まっている。しかしながら、ホテルにおいては、コロナ禍以降、調理部門の恒常的な人材不足という課題を抱えている。以上から「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、安定したニーズがある従業員食堂と朝食レストランの新規開拓営業の強化(人材開発への投資を含む)を図る。また、クライアント実績の増加を見据え、ライフケアフード分野におけるビジネスマネジメント体系を確立する。さらに、食材や労務関連コストの上昇対策として、モニタリング・原因分析・打ち手のサイクルのスピードアップを推進する。「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、同社の特徴や強みを生かし、完全調理済食品等の積極的な活用を進めることで、より高いコストパフォーマンス評価の獲得を目指す。また、ロボットや調理の自動化によって生まれる新たなニーズの開発と営業・販促活動に取り組む。さらに、産学連携、食や環境に対する多様な取り組み、あるいはテクノロジーとの接点を通じて顧客・業界の次世代課題の発掘に努める。(3) 空間プロデュース事業2027年9月期の売上高は6,535百万円(2024年9月期比24.8%増)、営業利益は329百万円(同46.7%増)を目指す。営業利益率は5.0%となり、同0.7ポイントの上昇を見込んでいる。AV機器コンサルタントや代理店、施工会社との連携を強化し、顧客との営業接点を拡大を図る。加えて、産学連携やデジタルワークプレイスソリューションなどの新しい分野において価値の見える化を推進する。同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。音響設備及び監視カメラは、堅実な更新需要に加え、AI機能など期待されるソリューションの裾野が広がっている。設計・施工の現場は、顧客提案の活性化のため、先進性やソリューションの多様性を実現できる取扱製品のフレキシビリティを求めている。ニーズは、忠実さや迫力ある再生を実現する音響機器から、映像効果を含めたエンターテインメントとしての感動を演出するトータル空間演出システムへと拡大している。また、ミーティングや仕事の質及び生産性に寄与するコミュニケーションを実現するシステム導入ニーズも高まっている。さらに、産学連携プロジェクトを契機として、時代に即した社会的価値に対する関心が高まっている。以上から、「基軸事業の強化による収益力の向上」では、業界や競合ベンチマークなどによるマーケティングの多様化と、収益マネジメントの強化を図る。また、ビジネスパートナーとの連携強化による顧客営業接点の強化と販促営業活動の多様化を目指す。さらに、マルチベンダーと設計から施工・保守までトータルでプロデュースできる強みを生かし、事業を補完し合うパートナー開発を推進する。「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、スチュワード事業やフードサービス事業の顧客基盤を最大限に生かし、生産性向上のソリューションを提案する。また、これを実現するためのビジネスパートナーとの関係性の積極的な開発を図る。さらに産学連携の推進による、学習と集客に影響力を発揮する「環境」をコンテンツ化するような空間プロデュース価値の実現を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:07 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(6):3年間の年平均成長率として売上高で15.3%、営業利益で16.8%を計画 *13:06JST CSSHD Research Memo(6):3年間の年平均成長率として売上高で15.3%、営業利益で16.8%を計画 ■CSSホールディングス<2304>の中長期の成長戦略1. 中期経営計画の概要同社グループでは、新たに「資本効率を高める投資の強化」をテーマとして、2025年9月期~2027年9月期の3ヶ年の中期経営計画「Go Beyond! Next20」を推進している。「基軸事業の強化による収益力の向上」「人材育成の強化」「ESG課題への取り組み推進」「X-valueユニットによる新たな価値創出」の4つに取り組むことで、2027年9月期の連結業績目標として、売上高27,000百万円(2024年9月期比53.1%増)、営業利益950百万円(同59.4%増)、ROE15%以上を目指す。3年間の年平均成長率は売上高で15.3%、営業利益で16.8%と、意欲的な業績目標である。業績計画では、当初、初年度の2025年9月期はおおむね横ばいと見込み、本格的な事業拡大は2期目の2026年9月期からを見込んでいた。これは、2025年9月期に、人材のX-value活動への投入、外国人を含む採用強化、働き方改革の推進、業務のスリム化と効率アップのためのBRP活動など、積極的な先行投資を計画していたためである。しかし、期初の業績予想を大きく上回る過去最高の決算となり、初年度は好スタートとなった。中期経営計画では「基軸事業の強化による収益力の向上」「X-valueユニットによる新たな価値創出」を成長の両輪として位置付け、バランス良く推進することを最重要課題としている。これにより、最終年度の業績目標達成を目指す。加えて、グループ全体の方針として、「人材育成の強化」「ESG課題への取り組み推進」にも注力する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:06 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(5):2026年9月期は小幅の増収増益を見込むも、期初予想は保守的 *13:05JST CSSHD Research Memo(5):2026年9月期は小幅の増収増益を見込むも、期初予想は保守的 ■CSSホールディングス<2304>の今後の見通し● 2026年9月期の業績見通し今後の見通しとして、同社グループの主たるマーケットであるホテル・レストラン・観光・レジャー等の業界においては提供役務に対するニーズが高まっており、事業環境は追い風である。競争環境を含めて、引き続き好調な事業展開と収益の確保を想定している。一方で、事業拡大に伴う従業員増加に対応するため、教育研修等の能力開発に積極的な投資を行い、人材リテンションや組織能力の活性化を企図している。人手不足が全産業に及ぶなか、業務委託需要は強まっている。この需要に持続可能な体制で応えるため、現場の従業員のモチベーションを支えるマネジメント力の強化を最優先課題として取り組む。また、社会保険労務費や最低賃金の上昇といったトレンドを単なるコスト上昇要因とせず、人的資本への投資として積極的に予算化する方針を継続する。さらに、事業価値の拡張に向けた積極的な投資を推進し、これらを株主還元とバランス良く計画することで、増収増益を基調とした増配の継続的な実現を目指す。2026年9月期の連結業績は、売上高で前期比3.6%増の20,200百万円、営業利益で同11.5%増の800百万円、経常利益で同7.8%増の800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.5%増の590百万円の見通しである。営業利益や経常利益に比べて親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が小さいのは、前期に少なかった法人税等が2026年9月期において2024年9月期並みの水準に戻ることを想定するためである。事業別には、スチュワード事業は増収増益、フードサービス事業は増収と小幅増益、業績予想が難しい空間プロデュース事業は横ばいと置いている。2025年9月期の実績に比べると2026年9月期の増収率・増益率は小幅の予想にとどまるが、例年どおり保守的な業績予想であり、達成する可能性が高いと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:05 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(4):自己資本比率48.9%の高水準、高い財務の健全性を維持 *13:04JST CSSHD Research Memo(4):自己資本比率48.9%の高水準、高い財務の健全性を維持 ■CSSホールディングス<2304>の業績動向3. 財務状況と経営指標2025年9月期末の財務状況は、資産合計は前期末比386百万円増加の6,317百万円となった。流動資産は239百万円の増加となり、主な要因は、現預金232百万円の増加によるものである。固定資産については146百万円の増加となった。主な要因は、有形固定資産12百万円の減少、無形固定資産9百万円の減少、投資有価証券74百万円の増加及び繰延税金資産96百万円の増加によるものである。負債合計は前期末比28百万円減少し、3,227百万円となった。流動負債は14百万円の減少であった。主な要因は、短期借入金150百万円の減少、支払手形及び買掛金79百万円の増加、未払金63百万円の増加によるものである。固定負債については14百万円の減少となった。主な要因は、リース債務7百万円の減少、長期未払金9百万円の減少によるものである。純資産合計は同414百万円増加し、3,089百万円となった。主な要因は、利益剰余金407百万円の増加によるものである。結果として、借入金及びリース債務の合計は前期末比165百万円減少の314百万円となった。長期借入金はなく、同社は子会社を含め、短期借入金で事業運営を行っている。安全性の指標では、自己資本比率は48.9%の高水準を維持している。これは、2025年3月期のプライム・スタンダード・グロース市場に上場する全産業平均34.1%、サービス業平均5.8%を大きく上回る水準である。D/Eレシオも0.10倍と、有利子負債は自己資本を大きく下回っており、極めて高い財務の健全性を示している。収益性の指標では、ROAは12.1%、ROEは20.4%に上昇した。2025年3月期のプライム・スタンダード・グロース市場に上場する全産業平均の4.5%及び9.4%や、サービス業平均の0.8%と8.6%を上回り、収益性も極めて高いと評価できる。2025年9月期における現金及び現金同等物は前期末より232百万円増加し、1,138百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が751百万円となり、減価償却費74百万円、利息配当金の受取17百万円等により、得られた資金は708百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入15百万円、有形固定資産の取得による支出44百万円等により、使用した資金は58百万円となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の150百万円の純減少、配当金の支払178百万円等により、使用した資金は418百万円となった。以上から、企業が自由に使える現金の流れを示す指標であるフリー・キャッシュ・フローは649百万円となった。同社が安定して利益を計上し、十分な資金を保有していることを示している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:04 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(3):2025年9月期は、期初の減益予想を大幅に上回る過去最高業績を達成 *13:03JST CSSHD Research Memo(3):2025年9月期は、期初の減益予想を大幅に上回る過去最高業績を達成 ■CSSホールディングス<2304>の業績動向1. 2025年9月期の業績概要2025年9月期における日本経済は、地政学リスクの高まりや原材料・労務費の高騰、米国の関税政策の影響など、先行き不透明な状況が継続した。一方で、企業努力や各種政策の効果により雇用・所得環境が改善し、緩やかに回復した。レジャー・観光・飲食業界においては、新規ホテル開業が依然として継続し、関西・大阪万博開催に伴う特需が発生した。また、外食、宿泊・温泉施設、遊園地・テーマパークなど外出を伴うレジャーの参加人口が増加し、訪日客のインバウンド需要も好調に推移した。加えて、物価や消費単価の上昇もマーケットの拡大に寄与した。同社グループの2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比10.6%増の19,499百万円、営業利益で同20.4%増の717百万円、経常利益で同17.8%増の742百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同36.8%増の587百万円となった。期初には積極的な投資などを理由に減益を予想していたが、中間決算時には想定を上回る新規受託や観光業界の活況による売上の増加、現場の生産性改善努力と稼働率の高まりに伴う原価率の低下に伴い、通期予想を上方修正した。しかし、決算では空間プロデュース事業の上振れを主因に、売上高及び各段階利益は修正予想をさらに上回り、過去最高となった。事業環境の改善や同社の取り組みが反映された好決算であったと弊社では評価している。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の前期比増加率が高いのは、法人税等調整額(益)を138百万円計上したためである。スチュワード事業は堅調、空間プロデュース事業が大幅増益2. 事業セグメント別動向(1) スチュワード事業売上高は9,374百万円(前期比10.5%増)、営業利益は555百万円(同3.0%増)、営業利益率は5.9%(同0.4ポイント低下)となった。ホテル業界の好業績に伴い売上高は好調で、営業利益は人手不足・離職防止のための一時金支給に伴い小幅増益にとどまったものの、同社の主力事業として堅調な決算であった。2025年9月期は15件の新規事業所を開業しており、地域別では東日本8件、西日本7件となった。従来の顧客に加え、神社や病院、イベントのグラス・リユースカップ洗浄といった幅広い顧客からの受注や引き合いを獲得した。社内では営業グループの再編・人材投入を実施し、新規顧客開拓の推進や既存顧客のさらなるサービス向上に努める体制を整備した。これにより、顧客ニーズへの迅速かつ的確な対応を可能とし、2026年9月期の受注案件の積み上げに注力している。また、既存の顧客との契約更改時には、人件費等のコストアップ要因を反映した適正利益の確保を図り、売上高の底上げを実現した。また、海外からの外国人正社員の育成や、SaaS(クラウドサービス)導入による従業員エンゲージメント強化やシフト業務・労務関係業務プロセスの再構築、社内資格取得の推進、責任者人材育成の強化などの各施策に注力し、職場環境及び業務フローの改善による事業基盤強化を図り、収益力の向上につなげた。ただしパート・アルバイトの純増人数は、人手不足の環境も影響し、2025年9月期は362名と前期実績比で483名減少した。同社は引き続き、リテンションを支えるコミュニケーション、教育・人材開発、及び労働安全衛生に配慮したマネジメントに注力する方針である。(2) フードサービス事業売上高は4,598百万円(前期比17.3%増)、営業利益は91百万円(同12.2%減)、営業利益率は2.0%(同0.7ポイント低下)となった。増収となったが、食材価格の高騰や従業員への決算一時金・教育費増加といったコスト増が影響し、営業利益は減益となり、営業利益率は低下した。2025年9月期においては、年間で17件の新規事業所を開業し、例年の実績(14~15件)を上回った。内訳は、従業員食堂5件、ホテル内レストラン6件、高齢者施設6件である。大阪・関西万博の開催に伴い、万博で大手食品メーカーが提供するレストランブース運営への参画に加え、万博需要で盛況となった宿泊特化型ホテルにおける朝食レストランの需要が増加した。しかし、米を筆頭に食材価格の急激な高騰が収益を圧迫する要因となっており、契約更改時には顧客からの理解を得ながら適正な利益の確保を図っている。また、2025年9月期は、子会社のセンダンが提供する宿泊特化型ホテルや従業員食堂での朝食やランチがテレビやYouTubeで紹介される事例が増え、ブランド力向上に貢献した。社内においては、社内体制の強化と従業員エンゲージメントの向上を目的に、新卒・中途社員向けの衛生教育強化及び調理実習研修を実施した。加えて、人手不足への対応策として、特定技能人材の外国人雇用の受入れを積極的に行った。(3) 空間プロデュース事業売上高は5,542百万円(前期比5.8%増)、営業利益は313百万円(同39.6%増)、営業利益率は5.7%(同1.4ポイント上昇)となった。大手銀行向けの案件が寄与し、大幅な増収増益となった。同事業は、同社全体の決算が上方修正となった主因である。ただし、施工型ビジネスであるという特性上、期初における業績予想は困難である。東洋メディアリンクスは、主に大手金融機関向けのITV(監視カメラ/Industrial TV)及び周辺装置・業務放送設備・モニター等の更新需要が、収益の改善に大きく寄与した。一方、Mood Media Japanは、Mood Mediaヘッドクオーターと連携し、独自の販促施策を展開した。その結果、商談機会を拡大し、大型の受注案件の取り込みに成功した。さらに、音響特機は、前期の大型案件の反動等により減収減益となったが、東洋メディアリンクスとの連携強化を図り、同社の強みである利益率の高い輸入品ブランド機器の販売に注力した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:03 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(2):「スチュワード」「フードサービス」「空間プロデュース」を展開 *13:02JST CSSHD Research Memo(2):「スチュワード」「フードサービス」「空間プロデュース」を展開 ■会社概要及び事業概要1. 会社概要CSSホールディングス<2304>は、東証スタンダード市場に上場する純粋持株会社である。同社の名称は、「Central Service System」の頭文字に由来する。連結子会社7社を擁し、「スチュワード」「フードサービス」「空間プロデュース」の3つの事業領域を展開している。同社グループでは「質の高い“おもてなし”の創造」を理念とし、「最高の“おもてなし”」を実現するための「最適なサービス」を提供している。同社グループはホスピタリティ業界を中心に、顧客の個々のニーズに最適な“おもてなし”を提供するバックサポートのプロフェッショナル集団である。事業を通じて“Happy & Hospitality”を提供することで、グループ全体の成長を目指している。同社グループでは、ミッションに“Support the Hospitality”を、ビジョンに“Create Together”を、そしてバリューに“Go Beyond!”を掲げている。2025年9月期末時点で連結従業員数7,448人、うちパート・アルバイト6,820人であり、正社員がマネジメントや顧客折衝を担い、現場の作業はパート・アルバイトが中心となって担っている。2. 沿革同社は1984年12月にスチュワード業務の業務請負を目的とする(株)セントラルサービスシステムを設立し、その後フードサービス事業、空間プロデュース事業へと事業領域を拡大してきた。2008年4月には会社分割により純粋持株会社に移行し、現社名へ商号変更した。現在は傘下にスチュワード事業を行う(株)セントラルサービスシステム及び(株)セントラルホテルサービス、フードサービス事業を行う(株)センダン、空間プロデュース事業を行う東洋メディアリンクス(株)、音響特機(株)及びMood Media Japan(株)、グループの人事や総務などの事業を担当している(株)CSSビジネスサポートの7社が連結子会社である。設立当初は東京都品川区に本社を構えたが、事業拡大とともに数度の移転を経て、2012年7月には東京都中央区日本橋小伝馬町に移転し、現在に至る。2002年6月に東証JASDAQ市場に上場し、2022年4月より東証スタンダード市場に移行した。2024年12月には創業40周年を迎えた。3. 事業概要(1) スチュワード事業グループの祖業であり、ホテル・レストランにおける食器洗浄を中心としたスチュワード業務や、ホテル・レストランの客室・パブリックスペース・厨房等の清掃も手掛けている。特にスチュワード業務では、高価な食器や銀器が使われることがあるため、専門的な管理が求められる。同社グループの従業員は、ホテル・レストランのバックヤード業務にチーム体制で常駐し、シフトに基づき業務を一括して遂行している。このため同社グループでは採用・教育・組織化に注力しており、その結果、年間1,000人程度の従業員が入社している。そのうち1割を外国人が占めるため、言語マニュアルを活用している。また、6割が女性である。同事業はグループの中核事業として全国展開しており、特にホテルでは売上高で上位30社のうち約半数と取引実績がある。顧客は固定客であり、契約は単年または複数年を区切りとして見直される形態である。2025年9月期の同事業は、売上高48.0%、営業利益57.8%(「その他」や「調整額」を含まない。以下、同)を占めている。(2) フードサービス事業ホテルの朝食レストラン運営、従業員食堂運営及び高齢者施設の食事提供など、フードサービスに関わる総合給食事業を全国展開している。国内では観光客の活発化に伴い需要は大幅に拡大し、コロナ禍前の水準を大きく上回っている。なかでも宿泊特化型のホテルにおける朝食サービスの需要が拡大している。食材コストの高騰に対しては、調理企画部門がメニュー開発及び無駄の排除や調理の工夫を推進する一方、開発企画部門は顧客との提供価格の交渉及びコスト管理の強化などに取り組んでいる。スチュワード事業と同様に顧客は固定客で、契約は単年または複数年を区切りとして見直される形態である。2025年9月期の同事業のシェアは、売上高23.6%、営業利益9.6%である。(3) 空間プロデュース事業防犯カメラやAV機器等の販売・保守、BGM・香りのサブスクリプション、BGM・映像によるブランディング支援、大型・プロ仕様音響機器の卸販売等を、幅広い顧客層に展開する事業である。案件は、施工会社の営業活動に則って、設計や調達・施工に関わり、納品をもって完了する。一方で、その後の管理・メンテナンス・コンテンツ制作など、継続性を伴うサービスも提供している。同事業はコロナ禍における設備投資の冷え込みによって業績が縮小したが、執行体制の刷新、大規模イベントや展示会の活用再開などにより復調傾向にある。特に、監視カメラ関連や音響設備の更新需要が堅調である。2025年9月期の同事業のシェアは、売上高で28.4%、営業利益で32.6%である。なお、同事業では3月決算の顧客が多いことから中間期に利益が集中する傾向にあり、通期の営業利益シェアは中間期に比べて低下する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:02 注目トピックス 日本株 CSSHD Research Memo(1):2025年9月期は過去最高業績を達成。2026年9月期も増収増益を予想 *13:01JST CSSHD Research Memo(1):2025年9月期は過去最高業績を達成。2026年9月期も増収増益を予想 ■要約CSSホールディングス<2304>は、東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場する純粋持株会社である。傘下のグループ会社によって、「スチュワード」「フードサービス」「空間プロデュース」の3つの事業を展開している。スチュワード事業では、ホテル・レストランを中心に食器洗浄及び厨房管理業務を全国で提供している。フードサービス事業では、従業員食堂・レストラン運営の受託や外食事業を展開している。空間プロデュース事業では、BGMに加え映像・音響・放送・セキュリティに関する設計・販売・施行・管理・メンテナンスなどの事業を展開する。同社は、中期経営計画に基づき、グループのさらなる成長を目指す。1. 2025年9月期の業績概要2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比10.6%増の19,499百万円、営業利益で同20.4%増の717百万円、経常利益で同17.8%増の742百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同36.8%増の587百万円となった。期初には積極的な投資などを理由として減益を予想していたが、想定を上回る新規受託や観光業界の活況による売上の増加、現場の生産性改善努力と稼働率の高まりに伴う原価率の低下に伴い、中間決算時に通期予想を上方修正した。しかし、決算では売上高及び各利益は修正予想をさらに上回り、過去最高となった。事業別には、スチュワード事業はホテル業界の好業績に伴い売上高は好調ながら、営業利益は人手不足・離職防止のための決算一時金支給に伴い小幅増益にとどまった。フードサービス事業は増収となったが、営業利益は食材価格高騰や決算一時金の影響を受けて減益となった。空間プロデュース事業は、大手銀行向けの案件が寄与し、大幅な増収増益となった。以上から自己資本比率は48.9%、ROEは20.4%の高水準を維持した。1株当たり年間配当金を45.0円(過去最高益記念配当の10.0円を含む)と前期比15.0円増配し、株主還元にも前向きである。2. 2026年9月期の業績見通し2026年9月期の連結業績は、売上高で前期比3.6%増の20,200百万円、営業利益で同11.5%増の800百万円、経常利益で同7.8%増の800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.5%増の590百万円の見通しである。営業利益や経常利益に比べて親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が小さいのは、前期に少なかった法人税等が2026年9月期において2024年9月期並みの水準に戻ることを想定するためである。事業別には、スチュワード事業は増収増益、フードサービス事業は増収と小幅増益、業績予想が難しい空間プロデュース事業は横ばいと見込んでいる。例年どおり保守的な業績予想であり、達成する可能性が高いと弊社では見ている。1株当たり配当金は年間合計35.0円と、普通配当ベースでは前期と同額を予想する。ただ、株主還元に前向きな同社の姿勢を考えると、業績次第で期末配当の上乗せもありうると弊社では考える。3. 中期経営計画現在推進中の中期経営計画(2025年9月期~2027年9月期)では、売上高27,000百万円、営業利益950百万円、ROE15%以上を目標に掲げる。年平均成長率は、売上高は15.3%、営業利益は16.8%と意欲的な業績目標である。業績目標達成のための成長戦略では、3事業において「基軸事業の強化による収益力の向上」を目指すとともに、「X-value(クロスバリュー)ユニットによる新たな価値創出」として新しい事業分野を開発することで各事業の業績に貢献することを見込んでいる。初年度の2025年9月期は、「人材育成の強化」「ESG課題への取り組み推進」に積極的に投資するため営業利益は横ばいにとどまる予想であったが、大幅な増益決算となる順調なスタートとなった。2026年9月期からは投資の効果が表れ、成長が加速する見通しである。■Key Points・2025年9月期は、期初の減益予想を大幅に上回る過去最高業績を達成。スチュワード事業は堅調、空間プロデュース事業が大幅増益・2026年9月期は小幅の増収増益を見込むも、期初予想は保守的・中期経営計画の3年間の年平均成長率として売上高で15.3%、営業利益で16.8%を計画(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) <HN> 2025/12/05 13:01 注目トピックス 日本株 積水ハウス---反落、8-10月期の下振れ決算をマイナス視へ *12:46JST 積水ハウス---反落、8-10月期の下振れ決算をマイナス視へ 積水ハウス<1928>は反落。前日の前引け後に第3四半期の決算を発表、売り先行後に下げ渋る展開となっていたが、本日は地合いの悪化も重なり、売りが優勢の展開となっている。8-10月期営業利益は554億円で前年同期比26.6%減となっており、市場予想を100億円強下回っている。米国戸建事業が引き続き厳し状況となっており、据え置きの通期計画3400億円、前期比2.6%増達成へのハードルは高まる状況に。 <HM> 2025/12/05 12:46 注目トピックス 日本株 ジーテクト---大幅反落、ホンダの株式売出による需給悪化を警戒視 *12:40JST ジーテクト---大幅反落、ホンダの株式売出による需給悪化を警戒視 ジーテクト<5970>は大幅反落。350万株の株式売出、並びに、上限52万5000株のオーバーアロットメントによる売出の実施を発表している。売出人はホンダとなる。売出価格は12月15日から18日までの間に決定する。コーポレートガバナンスの充実や政策保有株式の見直しなどが売出の目的となるようだ。なお、株式売出後も、同社はホンダの持分法適用会社であり、事業面での連携は継続としている。 <HM> 2025/12/05 12:40 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅に4日ぶり反落、アドバンテストが1銘柄で約104円分押し下げ *12:37JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅に4日ぶり反落、アドバンテストが1銘柄で約104円分押し下げ 5日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり26銘柄、値下がり197銘柄、変わらず2銘柄となった。日経平均は反落。563.28円安の50465.14円(出来高概算10億7342万株)で前場の取引を終えている。前日4日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は31.96ドル安の47850.94ドル、ナスダックは51.05ポイント高の23505.14で取引を終了した。ダウ、ナスダックともに寄り付き直後にマイナスに転じ、その後前日終値を挟んだ値動き。目立った材料がない中、年内の追加利下げ観測が引き続き相場を下支えしたものの、ここまでの上昇を受けた利益確定の売りも出て小動きとなった。米株市場を横目に、12月5日の日経平均は498.08円安の50530.34円と4日ぶり反落して取引を開始。その後は50400円を挟んで、マイナス圏で軟調もみあい展開となった。国内長期金利の上昇や日銀の利上げ観測が引き続き意識され、投資家心理を慎重にさせた。また、昨日の日経平均が1100円を超す大幅高となったことから、短期的な利益確定売りや戻り待ちの売りが出やすかった。個別では、ソフトバンクG<9984>、イビデン<4062>、レーザーテック<6920>、フジクラ<5803>、ディスコ<6146>、ニトリHD<9843>、日製鋼<5631>、資生堂<4911>、メルカリ<4385>、味の素<2802>、住友ファーマ<4506>、IHI<7013>、コムシスHD<1721>、シャープ<6753>、三井金属<5706>などの銘柄が上昇。一方、アドバンテ<6857>、ファーストリテ<9983>、東エレク<8035>、TDK<6762>、リクルートHD<6098>、トレンド<4704>、中外薬<4519>、ソニーG<6758>、ダイキン<6367>、任天堂<7974>、ファナック<6954>、テルモ<4543>、トヨタ自動車<7203>、バンナムHD<7832>、セコム<9735>などの銘柄が下落。業種別では、ゴム製品、その他製品、証券・商品先物取引業など幅広い業種が下落した一方で、情報・通信業、非鉄金属の2業種のみが上昇した。値下がり寄与トップはアドバンテスト<6857>となり1銘柄で日経平均を約104円押し下げた。同2位はファーストリテ<9983>となり、東エレク<8035>、TDK<6762>、中外薬<4519>、トレンド<4704>、リクルートHD<6098>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約148円押し上げた。同2位はイビデン<4062>となり、フジクラ<5803>、レーザーテック<6920>、ディスコ<6146>、メルカリ<4385>、ニトリHD<9843>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価    50465.14(-563.28)値上がり銘柄数   26(寄与度+203.65)値下がり銘柄数   197(寄与度-766.93)変わらず銘柄数    2○値上がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG    18940   740 148.41<4062> イビデン       12600   710  23.73<5803> フジクラ       17130   180  6.02<6920> レーザーテック    32550   350  4.68<6146> ディスコ       45930   470  3.14<4385> メルカリ       2942  88.5  2.96<9843> ニトリHD       2756    31  2.59<5631> 日本製鋼所      9163   351  2.35<2802> 味の素        3579    29  1.94<4911> 資生堂        2339  48.5  1.62<4506> 住友ファーマ    2469.5    34  1.14<1721> コムシスHD      4230    33  1.10<6753> シャープ        797    27  0.90<7013> IHI        3002    35  0.82<5706> 三井金属鉱業     17745   220  0.74<4004> レゾナックHD     6286   141  0.47<5214> 日本電気硝子     6348    32  0.32<7012> 川崎重工業      10740    60  0.20<6506> 安川電機       4774    5  0.17<7731> ニコン        1851    3  0.10○値下がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<6857> アドバンテ      20310  -390 -104.29<9983> ファーストリテ    56890  -1210 -97.07<8035> 東エレク       33000  -820 -82.23<6762> TDK        2438   -43 -21.56<4519> 中外製薬       8268  -204 -20.46<4704> トレンドマイクロ   7262  -607 -20.29<6098> リクルートHD     8228  -194 -19.45<6367> ダイキン工業     19800  -450 -15.04<6758> ソニーG        4340   -78 -13.04<4543> テルモ        2377   -46 -12.30<7974> 任天堂        12510  -365 -12.20<7203> トヨタ自動車     3033   -70 -11.70<7832> バンナムHD      4301  -107 -10.73<5108> ブリヂストン     7031  -313 -10.46<9735> セコム        5323  -155 -10.36<8267> イオン        2525  -97.5  -9.78<4568> 第一三共       3478   -94  -9.43<6988> 日東電工       3766   -47  -7.86<7267> ホンダ        1512  -35.5  -7.12<6902> デンソー       2022   -52  -6.95 <CS> 2025/12/05 12:37 注目トピックス 日本株 トレンド---大幅反落、前日にIRデイを開催しているが *12:34JST トレンド---大幅反落、前日にIRデイを開催しているが トレンド<4704>は大幅反落。前日にIRデイが開催されているもよう。2026年の業績期待値として、売上高の5-7%成長、営業利益率17-19%などとしている。中心値で見ると営業利益は25年12月期並みの水準にとどまっており、コンセンサスは10%程度の増益であることから、ネガティブな反応が先行しているようだ。R&Dの増加、新サービスの立ち上げ、マーケティング費用など費用の増加を想定しているもよう。 <HM> 2025/12/05 12:34 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(8):連結配当性向30%を目安に配当する方針 *12:08JST CRI・MW Research Memo(8):連結配当性向30%を目安に配当する方針 ■株主還元策CRI・ミドルウェア<3698>は、事業拡大と企業価値の向上こそが株主に対する最大の利益還元であると考えている。剰余金の配当については、成長投資と株主還元のバランスを総合的に勘案のうえ、連結配当性向30%を目安に決定する方針である。剰余金の配当を行う場合、期末配当の年1回を基本的な方針とする。以上の方針及び業績を踏まえ、2025年9月期の1株当たり配当金は、当初予想から5.0円増配し、1株当たり25.0円とした。2026年9月期の1株当たり配当金は27.0円を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:08 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(7):「ADXAT」と「CRI Glassco」がモビリティの成長をけん引 *12:07JST CRI・MW Research Memo(7):「ADXAT」と「CRI Glassco」がモビリティの成長をけん引 ■CRI・ミドルウェア<3698>の中期経営計画2. コア事業の成長戦略(1) モビリティ事業モビリティ事業では、音声製品「ADXAT」及び「CRI SOLIDAS」と映像製品「CRI Glassco」を中心に、M&Aや業務受託による成長も想定する。音声製品の成長戦略では、日系メーカーだけでなく海外メーカーとも関係を構築し、2030年までに四輪車の世界生産台数の20%強(2,000万台)への採用を目指す(年間の採用台数は3倍強を目標とする)。また、機能展開先については、現在はメータークラスタが中心だが、今後は車両接近通報装置やETCなどへと拡張するとともに、カーオーディオや統合コックピットへの「CRI SOLIDAS」の採用も推進し、車両1台当たりの収入増加を目指す(1台当たり収入1.5倍増を目標とする)。グラフィック製品の成長戦略では、「CRI ADXAT」で構築してきた大手メーカーなどとの関係を糸口に、「CRI Glassco」でメーターグラフィック分野へ進出する。低スペックマイコンでも高品質なグラフィックを提供できる強みを生かし、まずは二輪市場を中心に展開し、2030年までは二輪・四輪車の世界生産台数の10%(1,500万台)への採用を目指す。特に、世界最大の二輪市場であるインド二輪市場では、萩原エレクトロニクスのインド海外子会社と連携して様々なメーカーでの採用を進め、市場シェアで約50%(1,000万台)の採用を目指す。このため、注目度の高い南西アジア最大級の業界専門展示会「electronica India 2025」に既に出展した。(2) ゲーム事業世界のゲームコンテンツ市場は、日本の12倍、30兆円以上の規模でありながら、これまで成長にあまりベットしてきたとは言いづらい状況だったが、今後は国内、海外ともに一層の成長戦略を展開する。国内ミドルウェア事業は同社の主力事業にして利益の稼ぎ頭であるため、自社の新製品/新機能や他社製品との連携による既存ミドルウェアの機能強化、製品ラインナップ拡充、一括許諾の推進により、シェアの拡大を目指す。また、「CRI LipSync」などの新製品を市場に継続して投入することで、「CRIWARE」ブランドの市場浸透を推進する。海外ミドルウェア事業(中国)では、顧客とのつながりをタイトル単位から会社単位に引き上げる計画である。これにより、顧客のニーズに寄り添うアカウント営業体制を強化し、同社の技術力やサービス品質を再認識させることで売上の拡大を目指す(売上高で2倍を目標とする)。また、HarmonyOSの拡大をバネに、「CRIWARE」許諾ビジネスの拡大を図る(売上高で1.5倍を目標とする)。海外ミドルウェア事業(欧米)では、GDC(Game Developers Conference)など世界的なゲームイベントへの出展を通じて「CRIWARE」の認知度向上を図るとともに、現地販売代理店を2~3社に増やして市場での影響力を拡大、2028年までに米国子会社の立ち上げも視野に入れる。また、「Destiny」や「Hitman」シリーズなどビッグタイトルへの導入実績から、「CRI Sofdec」や「CRI Clovis」などの映像関連ミドルウェアをドアノック商材に拡販を進める。これにより、2030年度に中国で6億円、欧米で4億円の売上高を目指す。音響制作事業では、技術力やサービス品質を背景に業界内での評判を高め、既存顧客からのリピートオーダーを確実に取り込むとともに、新規顧客の取り込みを図る。また、CRI Chinaと緊密に連携し、需要旺盛な中国現地企業の「日本人声優によるボイス収録需要」の取り込みを強化する。2030年度には6億円の売上高を目指す。(3) オンラインコミュニケーション事業オンラインコミュニケーション事業では、新製品の検討を進めることも考えられるが、当面は「CRI TeleXus」とクラウドソリューションを2本柱に成長戦略を展開していく。「CRI TeleXus」については、オンラインコミュニケーションミドルウェアであるがゆえ、コロナ禍収束後にメタバースブームが縮小したことで出足が鈍かったが、大人数同時会話や立体音響・空間演出、AI通訳の進歩により没入感や臨場感を再現できるようになり、将来性は高まった。ゲーム向けでは、「CRIWARE」で培った音声や映像技術に対する実績を背景に、ボイスチャットの採用実績を積み上げるとともに、新機能リリースにより他のボイスチャットとの差別化を図り、ユーザーの利用を増やして売上増加を目指す。アプリケーションの動作を阻害しない低遅延、低負荷が評価され、すでにVR対戦アクションゲーム「ブレイゼンブレイズ(2024年7月リリース)」などに採用されている。非ゲーム向けでは、特に「モビリティ」「イベント」「教育」の3市場に注力、M&Aやアライアンスを駆使して新市場の開拓も推進する。低遅延に加えて空間オーディオや多人数ボイスチャットが評価され、3Dバーチャルオフィスサービス「NTT XR Lounge」などに採用された。2030年度にゲーム向けで3億円、非ゲーム向けで7億円の売上高を目指す。クラウドソリューション事業では、様々な機器がAI化し、パーソナライズされたコミュニケーションに進化すると予測されている。複雑化するニーズに対して、オンライン上でのリアルタイム処理技術に動画や画像の軽量化技術などを組み合わることで、顧客に最適なソリューションを提供する計画である。このため、2026年3月までは研究開発期間と定め、リアルタイム処理技術と動画及び静止画に関する処理技術を中核にした新製品の開発に注力する予定である。2030年度に10億円の売上高を目指す。5年間で成長投資は約31億円を予定3. 基本方針同社は中期経営計画策定に合わせて、サステナビリティ、人財、M&A/アライアンス、株主還元、キャッシュアロケーションに関して基本方針を公表した。とりわけ新技術や新製品の開発にかかる時間の短縮や、それを実現するための社内リソース不足を補うため、M&A/アライアンスを積極的に活用する方針である。このため、中期計画の達成状況に応じて、2030年度までに15億円程度のM&A投資を予定しており、特にモビリティ事業では、音声や映像周りの技術や専門技術者の取り込みを強化する考えである。キャッシュアロケーション及び財務方針として、2030年度の目標達成に向け、成長のための投資(研究開発投資、海外投資、M&A投資など)と安定経営に資金を配分し、余剰資金は継続的に株主へ還元していく。財務方針としては、手元資金を売上高の4ヶ月分を目安に保有(現状の手元資金と同水準の30億円)し、財務健全性を考慮して自己資本比率は65%以上を維持する。これに従い、2030年度までのキャッシュインを約44億円と想定、キャッシュアウトを成長投資約31億円、株主還元約13億円、手元資金約30億円とする計画である。また、成長投資の内訳としては、新製品や新技術への研究開発投資が約10億円、海外展開推進への投資や事業設備、事務所拡張への投資が約6億円、事業領域拡大やシナジー効果期待のM&A投資が約15億円を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:07 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(6):モビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションが3本柱 *12:06JST CRI・MW Research Memo(6):モビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションが3本柱 ■CRI・ミドルウェア<3698>の中期経営計画1. 基本方針同社は、基本方針における従来の各事業の成長戦略に、主に事業面以外の戦略や方針などを追加した「CRIグループ中期経営計画(2026-2030)」(中計2030)を、初の中期経営計画として策定した。ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金を、エンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下することで事業領域を拡げ、グループ全体で飛躍的な成長を目指す。そのなかで、音と映像という得意分野を一層突き詰めるとともに、ゲーム依存の事業構造を、中期的にモビリティ、ゲーム、オンラインコミュニケーションの3本柱をコア事業とする事業構造へ変革する計画である。これにより、これまでやや漠然としていた成長戦略を、コア事業を中心に一層意図的・戦略的にすることで成長を促進し、2030年9月期までに売上高100億円(2025年9月期34億円)、営業利益率20%(同16%)、許諾売上高比率60~70%(同66%/M&A分を除外)、ROE15%以上(同11%)を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:06 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(5):欧米ゲーム市場開拓加速、モビリティ分野はインドでの新たな市場開拓に期待 *12:05JST CRI・MW Research Memo(5):欧米ゲーム市場開拓加速、モビリティ分野はインドでの新たな市場開拓に期待 ■CRI・ミドルウェア<3698>の業績動向3. トピックス2025年9月期のトピックスは、ゲーム事業で欧米市場の開拓加速及び「CRI LipSync」の次世代バージョンの開発、エンタープライズ事業ではインドの二輪車市場への展開及びSDV体験のシミュレーション環境「MESH」開発への参画が挙げられる。ゲーム事業では、同社を高く評価するドイツのDICOと、欧州及び米国向けの販売代理店契約を締結した。DICOはゲーム開発のほか、世界中のゲーム会社に対して開発支援やローカライズ、品質保証、パブリッシング支援など多岐にわたるサービスを提供しているため、DICOの持つ幅広いネットワークを利用して「CRIWARE」の導入を進められる。今後さらに、他の販売代理店との契約も検討するようだ。また、同社は東京ゲームショウ(2025年9月25日~26日)にて「CRI LipSync」次世代バージョンのデモなどを行った。解析精度の圧倒的向上や子音対応などを施した新しいリップシンク技術で、異言語にも対応できるため、今後、ゲームのみならず様々な場面で使われることが想定される。エンタープライズ事業のモビリティ分野では、新市場となるインドでの「CRI Glassco」展開を目指し、萩原電気ホールディングス<7467>の子会社である萩原エレクトロニクス(株)のインド海外子会社とサポート体制の構築を進める。「CRI Glassco」はノーコード開発で開発コストが削減できるため、インドでの普及・拡大が期待されている。また、名古屋大学発の産学共創プロジェクト「Open SDV Initiative」が提唱するSDV体験のシミュレーション環境「MESH」の開発に参画した。「MESH」はSDVが創造する未来の移動体験を実感できるシミュレーション環境で、同社は開発者の多様なアイデアを体験できるシナリオやシナリオ全体のコントロール機能の開発、解説やステップの表示機器の制御、機器間連携のためのネットワーク構築などを担当する予定である。初の中期経営計画初年度は増収増益予想4. 2026年9月期の業績予想2026年9月期の業績予想について、同社は売上高3,910百万円(前期比13.4%増)、営業利益600百万円(同8.2%増)、経常利益616百万円(同8.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益462百万円(同9.8%増)と増収増益を見込んでいる。初の中期経営計画初年度(後述)となるが、そのなかで全世界展開を見据えたモビリティの技術開発投資、グローバル対応の強化、新たな収益源に向けて「CRI TeleXus」など新製品・新技術開発投資を重点施策として注力していく。日本経済は、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、各国の通商政策などの影響を受けて海外経済が減速、日本企業の収益なども高水準ながら下押しされ、成長ペースが伸び悩むと考えられている。また、設備投資は、緩和的な金融環境が下支え要因として作用するなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靱化に向けた投資は継続されると見込まれるものの、海外経済減速の影響を受けて伸び率は鈍化すると見られている。こうした環境下、同社は引き続き今後の成長が見込める事業と市場を見据えた研究開発体制を整備するとともに、事業基盤の拡大、グループシナジーの創出に注力する。売上高は、ミドルウェア/ツール分野、モビリティ分野を中心に引き続き拡大する見込みである。一方、営業利益は、前期にあった大型の一括許諾契約がなくなることや受託開発の増加に伴う収益性の低下に加え、前期を上回る研究開発投資など先行的費用により、増益ながら売上高の増加率を下回る見込みである。セグメント別では、分野によって増減はあるが、ゲーム事業、エンタープライズ事業ともに2ケタ増収を見込んでいる。ゲーム事業のミドルウェア/ツール分野では、国内は、次世代バージョンの「CRI LipSync」を市場に投入し、新たな収益源とする考えである。また、営業を強化して一括契約を進めることで、多くのタイトルで「CRIWARE」が採用される状況をつくり、シェアの拡大につなげる方針である。海外は、欧米、中国ともに今後の飛躍に向けて足場固めを行う予定で、中国ではテンセントやネットイースなど大手ゲームメーカーとの関係を強化し、一括契約やソリューションの提供を進める。欧米では代理店のDICOの営業力と出張ベースの直販を組み合わせるが、特に欧州は代理店中心に新規顧客獲得に注力、既存顧客を抱える北米は直販中心に顧客との関係深化を図る。音響制作分野では、2025年9月期に続いて中国企業の旺盛な需要を着実に取り込み、中国ビジネスの拡大に注力する。そのため、CRI Chinaとの連携を強化、日本からの訪問を増やして顧客との関係構築に努め、音響監督による仕切りなどサービス品質の高さを訴求する。エンタープライズ事業のモビリティ分野では、将来の全世界展開に向けて製品のグローバル化を推進する計画である。特に「CRI ADXAT」と「CRI Glassco」を中心に成長を持続、そのため「CRI ADXAT」は国内外でメーカー・車種の採用実績を積み上げ、「CRI Glassco」は国内メーカーに加えてインド市場での実績作りに注力する。また、SDVへの対応や品質の均一性を強みに、自動車メーカーとの関係構築にも努める。組込み分野では、高音質と省電力・低発熱が強みの「D-Amp Driver × GaN」を2026年1月のCESに出展、また事業領域の拡大に向けて次世代の映像ソリューションの開発にも着手する予定だ。継続して許諾売上を含めた受託案件の獲得にも注力するが、カラオケの一括許諾がなくなるため減収予想となった。クラウドソリューション分野では、前期より開発してきた「LiveAct/SmartJPEG」の次世代新製品を下期に市場投入する予定で、R&Dフェーズから受託フェーズへ転換する見込みである。これにより許諾売上や保守運用を含め、継続して受託案件が積み上がり始めるが、その時期は2026年9月期の終盤になるため、本格回復は2027年9月期となる見込みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:05 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(4):2025年9月期業績は好調、期初予想を大幅に超過 *12:04JST CRI・MW Research Memo(4):2025年9月期業績は好調、期初予想を大幅に超過 ■CRI・ミドルウェア<3698>の業績動向1. 2025年9月期の業績動向2025年9月期の業績は、売上高3,448百万円(前期比8.9%増)、営業利益554百万円(同50.5%増)、経常利益566百万円(同47.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益420百万円(前期比38.2%増)で大幅増益となった。期初予想との比較でも、売上高で88百万円、営業利益で170百万円の超過達成で好業績となった。日本経済は、各国の通商政策などの影響を受けて一部に弱めの動きも見られたが、企業収益が全体的に高水準を持続、業況感も良好な水準を維持するなど、緩やかに回復した。同社を取り巻く事業環境については、モビリティ業界でSDV※の開発が注目を集めており、ゲーム業界におけるミドルウェアで培った同社の技術と知見を活用できる環境やタイミングが整いつつある。また、「2025大阪・関西万博」では、リアル会場での盛り上がりと同時に、併設されたバーチャル万博のオンライン空間上で大勢の人がコミュニケーションを行うなど、オンラインコミュニケーションはリアルとバーチャルのハイブリッドという形で着実に進展している。※ SDV(Software Defined Vehicle):販売後もソフトウェア更新によって機能や価値が更新される自動車。こうした環境下、同社は、モビリティやオンラインコミュニケーションなど今後成長が見込める市場と事業を見据えた研究開発体制を整備するとともに、新製品の創出や海外展開の推進など事業基盤の拡大、グループシナジーの創出に注力した。この結果、売上高はモビリティ分野が急伸、主力のミドルウェア/ツール分野も海外を中心に大きく伸びた。利益面では、好業績を背景に賞与引当金など人件費が増加したものの、許諾売上が増えたことから売上総利益率が改善し、営業利益は大幅増益を達成できた。期初予想との比較で業績が超過達成となったのは、モビリティで新製品、組込みでカジノ向け、音響制作で中国向けなどが想定を大きく上回ったことが要因で、中間決算発表時に通期業績予想を上方修正している。モビリティと海外ミドルウェアが大きく伸長2. セグメントの動向セグメント別の業績は、ゲーム事業が売上高1,807百万円(前期比7.8%増)、セグメント利益186百万円(同59.5%増)、エンタープライズ事業が売上高1,641百万円(同10.1%増)、セグメント利益368百万円(同46.3%増)といずれの事業も好調に推移した。分野別では、組込み分野とクラウドソリューション分野が減収となったが、特にモビリティ分野とミドルウェア/ツール分野の海外が業績をけん引した。(1) ゲーム事業ミドルウェア/ツール分野の国内は、提案営業の強化により新規顧客を含む複数の一括許諾契約を獲得したことで増収となった。なお、一括許諾契約とは、従来のタイトルごとの許諾契約を変更し、数タイトルを一括して許諾する効率のよい契約方法で、音声系ミドルウェアに強い同社は積極的にシェア拡大を目指している。海外向けは、中国において第3のOS(HarmonyOS)がローンチ・急拡大していることから追加契約が発生、新規契約については2機種(アンドロイド、iOS)から3機種分の契約が一般的となった。また欧州ではドイツのDICO Deutschland GmbH(DICO)と代理店契約(台湾、韓国に続き3社目)を締結したほか、かつて本格的に進出していた米国では既存顧客の開拓を推進するなど、欧米における拡販も進んでいる。音響制作分野においては、日本市場を本国に次いで重視する中国企業からの大型の日本語ボイス収録業務を複数受注したことに加え、既存顧客からのリピートオーダーも堅調に推移した。このように順調な業績を反映して、各KPIはライセンス数が10,020(前期末比14.5%増)、スマホゲーム採用率が36%(同1ポイント上昇)、家庭用ゲーム採用率が30%(同6ポイン上昇)と好調に推移した。利益面では、海外ミドルウェア/ツール分野と音響制作分野の好調が寄与、中国では現地法人(CRI China)を通じた手厚いサービス提供が好評、欧米では海外ミドルウェアの許諾ライセンスが回復している模様である。なお、オンラインコミュニケーションミドルウェア「CRI TeleXus」への研究開発投資は、同セグメントにおいて継続して行っている。(2) エンタープライズ事業モビリティ分野は、「CRI ADXAT」の採用数が順調に増加、二輪車向けの好調を背景に新製品「CRI Glassco」の採用数も年間を通して想定を大きく上回り、大幅増収となった。組込み分野は、前期に計上した大型許諾売上の反動で減収となったが、中間期にカラオケの一括許諾やリアルカジノ向けの年間許諾の売上高が想定以上に計上された。クラウドソリューション分野の売上高は、R&Dフェーズ入りするため受託量を計画的に減らしており、おおむね予定どおりの減収となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:04 注目トピックス 日本株 CRI・MW Research Memo(3):ミドルウェアの許諾や受託開発、音響制作を展開 *12:03JST CRI・MW Research Memo(3):ミドルウェアの許諾や受託開発、音響制作を展開 ■CRI・ミドルウェア<3698>の事業概要1. 事業内容同社グループは、同社及び音響制作の(株)ツーファイブと中国事業の上海希艾維信息科技(CRI China)の子会社2社で構成されており、「CRIWARE」などのブランドで、ソフトウェア製品の許諾ビジネスや許諾ビジネスに関連する受託開発、音響制作などを行っている。同社の事業内容は、以下のように様々な角度から見ることができる。(1) 事業セグメント事業セグメントはゲーム事業とエンタープライズ事業に分けられる。ゲーム事業では同社及び子会社2社が、ゲーム業界向けにゲーム開発をスムーズかつ効率的に行うための音声・映像関連ミドルウェアや画像最適化ソリューションを提供、音響制作事業ではゲームキャラクターの音声収録や楽曲制作などを行っている。「CRIWARE」のロゴは多くのゲームのパッケージやスマホゲームの起動画面に描かれており、ゲーマーの間では有名なミドルウェアである。エンタープライズ事業では同社が、ゲーム事業で培った音声・映像関連の技術を生かし、ゲーム以外の業界向けに、音声・映像関連ミドルウェアやソリューションの提供、関連する受託開発などを行っている。なかでも現在ターゲットとしているのは、車載機器などモビリティ分野、家電・IoT機器など組込み分野、Web動画や静止画などに関わる技術を取り扱うクラウドソリューション分野の3分野である。(2) ゲームで培った要素技術同社は長年にわたり、音声や映像など多くのデジタル信号処理技術を独自で研究開発し、顧客とともに技術検証を繰り返してきた。こうして蓄積された経験やノウハウと、その実績に基づく顧客からの信頼が、同社の技術評価や企業価値、ひいては「CRIWARE」ブランドを向上させてきた。特に音声に関しては、デジタルフィルタ処理などを用い、音に対して様々なエフェクトをリアルタイムに適用する音声信号処理、独自開発した音声圧縮技術によりマルチプラットフォームで展開できる音声コーデック※のほか、音声分析やサウンドオーサリングなど多くの技術を有している。映像/グラフィックスについては、ゲーム機やデバイスの特徴を考慮したうえで描画やデコード(解凍)のタイミングを調整する動画再生技術、単純な圧縮ツールでなくエンコード(圧縮)ライブラリとしてリアルタイム処理する動画圧縮技術のほか、映像解析や動画ストリーミングなど様々な技術を持っている。このほか、Web API開発や先読み/遅延ロード、ネットワーク技術、Webアプリケーション開発、UI/UX設計・開発、マイコン制御やOS/ドライバーの開発、電断対応などの組込み技術なども開発している。また、近年は様々な分野においてAIの活用を積極的に進めている。※ コーデック(CODEC):音声や映像などのデジタルデータを圧縮・復元する技術、またはそのためのプログラム。(3) 製品サービスとソリューションゲームで培ったこうした音声や映像などの高度な要素技術を、製品サービスやソリューションとして顧客に提供している。製品サービスとしては、遊技機やカラオケ、バーチャルキャラクター、VR/AR機などのエンターテインメント、家電やIoT、PC、サイネージなどの組込み、車載メーターやAVAS(Acoustic Vehicle Alerting System)、DMS(Driver Monitoring System)などのモビリティ、ECサイトやオンライン展示会などのクラウドソリューションといった分野で利用されている。ソリューションとしては、VR機器や有名ゲームタイトル向けアニメーションオーサリングツール、カラオケ会社向けキャラクターコンテンツ、自動車会社向けメータークラスタ用サウンドミドルウェア、自動車メーカー向け画質最適化システム、アパレルのビデオブログシステム、オンライン展示会のシステムなどの開発に活用されている。統合型サウンドミドルウェア「CRI ADX」などを開発2. 同社の製品とサービスゲーム事業では、20以上の機種や様々なOSに対応し、ハイクオリティなゲーム制作を支援している。主な製品は、主力の統合型サウンドミドルウェア「CRI ADX」、高画質・高機能ムービーミドルウェア「CRI Sofdec」、ネットワーク動画再生ミドルウェア「CRI Clovis」、オンラインコミュニケーションミドルウェア「CRI TeleXus」などである。また、子会社ツーファイブは、著名な声優を使った音声やイメージに合ったサウンドを作りたいというニーズに対し、声優のキャスティングから演出など音響監督による仕切り、収録、加工、編集、データ化までのサービスをワンストップで提供している。エンタープライズ事業では、クリアな音声、ブザー音から音声ガイドへの変更、部材点数の減少、状況に応じた音声の組み替えなどのニーズに対し、ワンチップマイコンで低負荷・高音質な音声の再生などを実現している。主な製品は、組込み分野の省回路型高出力サウンドミドルウェア「CRI D-Amp Driver」、フルデジタルオーディオソリューション「CRI SOLIDAS」、高圧縮トランスコードシステム「CRI DietCoder」、モビリティ分野のサウンド開発ソリューション「CRI ADX Automotive(CRI ADXAT)」、グラフィック開発ソリューション「CRI Glassco」、クラウドソリューション分野のWeb動画ソリューション「CRI LiveAct」、画像軽量化ソリューション「OPTPiX SmartJPEG」などである。独自開発したデジタル信号処理技術などに強み3. 同社の強み同社には技術面の強みに加え、各分野ごとにそれぞれ強みがある。技術面では、高音質で24分の1という高い圧縮率の音声コーデックや、高画質で1,000分の1という高い圧縮率の映像圧縮技術といったデジタル信号処理技術に強みがある。加えて圧縮技術のツールや方式は自社で持っているため、コスト面などの制約があるなかでも、きれいに響かせたり、リアルタイムで映像とシンクロさせるなどの開発を積極的に進めることができた。こうした取り組みが価格と品質の面での優位性につながり、国内ゲーム向けにおいて高いシェアを獲得するに至った。さらに市場や顧客のニーズにマーケット・インして活用を進めた結果、ゲーム以外の幅広い分野でも利用されるようになった。また、分野ごとでは、ミドルウェア/ツールでは対応機種の多さ、音響制作では声優のキャスティングからデータ化までのワンストップサービス、組込み分野ではワンチップマイコンによる低負荷・高音質な再生、モビリティ分野では対応力や品質の均一性、クラウドソリューション分野ではスマホブラウザでの動画表現が強みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光) <HN> 2025/12/05 12:03

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