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GMOぺパボ:「ロリポップ!」「ムームードメイン」が主力、今後はストック収益基盤強化を図り事業領域を拡大
*14:10JST GMOぺパボ:「ロリポップ!」「ムームードメイン」が主力、今後はストック収益基盤強化を図り事業領域を拡大
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2025/04/02 14:10
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(8):利益増を伴う「質の高い成長」により、企業価値の拡大を目指す(2)
*14:08JST ローランド Research Memo(8):利益増を伴う「質の高い成長」により、企業価値の拡大を目指す(2)
■中期経営計画2. サステナビリティの取り組みローランド<7944>は、音楽・映像文化を通じて社会の持続的発展に貢献する一方で、環境や社会全体の安定と豊かさのもとに事業が成り立っていると認識している。そのため、環境・社会の安定や持続性が損なわれ、音楽・映像文化や同社事業が存続しえなくなる負の連鎖を避けるため、事業と環境・社会の相互の持続可能性を高め合う好循環を生み出す活動を、経営の重要課題に位置付けている。SDGsで掲げる17の目標に対しては「サプライチェーン・マネジメントの高度化」「音楽・映像文化の発展支援」「人材の活力、能力発揮の最大化」「成長(無形資産)への投資」「ガバナンスのたゆみない強化」を重要課題とし、中期経営計画における重点施策として取り組んでいる。女性活躍の推進については、女性エンジニアの採用や女性管理職の登用などに取り組みつつ、「ワークライフバランス」を強化している。女性管理職の比率については、同社が公表している「女性活躍推進に基づく行動計画」で、日本の女性管理職比率を2021年時点の6%から2025年末までに倍の12%にする目標を設定している。また、同社は、芸術文化が育まれる社会環境の維持と脱炭素社会の実現を目指し、事業活動に伴う温室効果ガスの排出量削減に向けた中長期目標を設定している。パリ協定に基づくカーボンニュートラル達成を念頭に、SBT※の考え方に沿って、スコープ1(自社が直接排出する温室効果ガス)とスコープ2(他社から購入した電力、蒸気、熱、冷媒などの使用に伴う間接的な排出)に対する取り組みとして、2030年までにのCO2排出量を2022年比で42%削減する。さらに、スコープ3(自社のバリューチェーンを通じた間接的な排出のうち、スコープ2に含まれないものすべて)に対する取り組みとして、CO2排出量全体の9割以上を占める特定カテゴリーに対しても2030年までに25%削減を目指す。スコープ3までを含む排出量の算定に着手し、具体的な目標を設定したことで、削減に向けた注力ポイントが明確となり、具体性の高い施策の推進が期待される。※ SBT(Science Based Targets、科学的根拠に基づく目標):2015年に採択されたパリ協定が求める水準と整合した企業の温室効果ガス排出削減目標■株主還元策自己株式の取得を決定。2025年12月期の配当金は1株当たり170.0円を予定同社は、事業活動により創出される付加価値の最大化とその適正な分配を通じて、すべてのステークホルダーの共感を得ながら持続的な企業価値の成長を図ることを基本方針としている。株主還元については、持続的かつ安定的な配当を行うとともに、株式市場動向や資本効率などを考慮した機動的な自己株式の取得も適宜行うことで、連結総還元性向は原則50%を、成長投資資金の留保が必要な場合も、連結総還元性向は30%以上を目指す。2024年12月期は1株当たり170.0円(配当性向79.2%)の配当であった。2025年12月期は1株当たり170.0円(配当性向65.7%)の配当を予想しており、株主還元の基本方針に基づき高い配当性向を維持している。また、自己株式の取得が決議されており、その上限は5,800百万円、発行済株式総数に対する割合は6.5%に設定されている。自己株式取得に至ったのは、同社の主要株主であるTaiyo Jupiter Holdings, L.P.(以下「TJH」)より、TJHが保有する同社普通株式について、今後同社株式の直接保有を予定する複数のTJHの長期保有LP投資家に対しては現物償還し、現物償還が困難なLP投資家分については現金での償還を行うために株式を処分する意向が示されたためである。同社では、株式市場における同社株式の需給への影響や、株主還元、資本効率などを総合的に勘案して自己株式の取得を決定した。なお、株主優待は実施していない。同社は最終消費者に対して製品を販売する企業ではあるものの、楽器という商品の性質上、株主優待を実施しても関係する人はごく一部であり、平等な利益還元という観点から実施しておらず、配当や自己株取得などによりすべての株主に平等に還元することを基本としている。同社は中期経営計画で成長方針を明確に打ち出し、安定配当を継続していることから、中長期的な株価向上に対する蓋然性は高いと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:08
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(7):利益増を伴う「質の高い成長」により、企業価値の拡大を目指す(1)
*14:07JST ローランド Research Memo(7):利益増を伴う「質の高い成長」により、企業価値の拡大を目指す(1)
■中期経営計画ローランド<7944>は、2023年2月に中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)を公表した。「Create Fans For Life! ~生涯にわたるファンを生み出し、より多くの音楽愛好家に愛されるブランドになる~」をターゲットとしている。業績目標は、2025年12月期に売上高1,232億円、営業利益179億円、親会社株主に帰属する当期純利益134億円、ROIC20%以上を掲げている。なお、長期ビジョンとして「The World Leader in Music Creation ~音楽創造分野において世界的リーダーとなる~」を掲げ、売上高2,000億円以上、営業利益率15~20%を長期的な目標としている。なお同社は、コロナ需要の反動減や各国の経済状況の変化から、中期経営計画の数値目標達成時期は後ろ倒しになることを、2023年12月期決算発表時に表明している。中期経営計画におけるキャピタルアロケーション方針では、営業キャッシュ・フローは「投資」「株主還元」「借入金返済」にバランス良く配分するとしている。2023年12月期から2025年12月期までの営業キャッシュ・フロー累計額は422億円を見込んでおり、そこから投資へ166億円、株主還元へ159億円、借入金返済へ97億円を充てる。投資では、新製品開発に伴う金型投資などの通常投資に54億円、事業所再編や基幹システム、生産設備などの基盤強化や、Roland Retailの強化といった成長投資に112億円を投資する。また、借入金返済については、財務健全性を向上させ、次の成長投資に向けたデットキャパシティの拡大を意図している。同社では、営業キャッシュ・フローをキャピタルアロケーション方針に基づき適切に配分しており、利益の蓄積に伴って財務基盤も強化されると弊社では見ている。1. 基本戦略中期経営計画では基本戦略として、Game Changerによる市場創造と潜在顧客へのアプローチによる「需要創造」、ポータブルキーボード市場への再参入と新興国での販売拡大、Roland Retail戦略による「シェア拡大」、音楽を生涯楽しんでもらうための仕組みづくりによる「LTV向上」、長期ビジョン実現に向けた人的資源活性化とインフラ投資による「基盤強化」の4つを掲げている。(1) 需要創造Game Changer製品・サービス及び新製品により市場を創造する。新製品は不確実な環境下でも売上と利益に確実に寄与しており、特にGame Changerはより高い利益率が期待できる。具体的な取り組みとしては、ポテンシャル市場(eスポーツ、ポータブルキーボード、ギター・シンセサイザーなど)への新製品投入や、DWとの技術シナジー創出、「Roland Cloud」を通じたサービスやアップデータの提供を挙げている。また、潜在的な顧客獲得によるビジネス拡大も目指す。電子ピアノでは、製品・サービス及び販売機会(チャネル)の拡大に注力する。エントリーモデルでは、新規チャネルの開拓や購入しやすい価格帯の販路限定モデルを発売する。中高価格帯製品は、アコースティックユーザーを狙った新製品やコラボレーションモデルの促進を進める。「Roland Cloud」は、コンテンツやレッスンアプリを充実させる。ドラムでは、DWとのシナジーを創出し、電子ドラムやアコースティックドラム市場の深耕を図るとともに、ハイブリッド・ドラム市場の拡大に注力する。これにより、ドラム市場でのさらなる優位性を確立する。(2) シェア拡大新市場への挑戦と新興国での販売拡大を推進する。このうち新市場については、ポータブルキーボード市場へ本格再参入する。世界のポータブルキーボード市場規模(同社定義)約700億円に対して同社のシェアは3%未満で、成長余地は大きい。製品ラインナップを大幅に拡充するとともに、「Roland Cloud」でのコンテンツ、サービスの提供により差別化を図る。一方で、新興国市場については、膨大な人口を持ち、かつ中間層が増加している中国・インド・インドネシアを注力市場と定めている。新興国専門チームをグローバルに構築し販売拡大を進める。Roland Retailについては、オフライン面では米国、日本、中国、欧州エリアといった主要国への出店を計画しているほか、各国の主要楽器店に、同社専用コーナーを追加設置することで世界重点地域を網羅する。オンライン面では「Roland Direct EC」や3rd Party Platformを活用し、D2Cを強化する。これらの取り組みにより、顧客接点を質・量ともに向上させる。(3) LTV向上「Roland Cloud」を生涯顧客を生み出す仕掛けとし、「いつでも、どこでも、誰でも」楽しめる、パーソナライズされた体験サービスを拡充することで、LTVの向上を目指す。中期経営計画では、2025年12月期のサブスクリプション登録者数50,000人、サブスクリプション登録者数と年度内の単品購入者数の合計200,000人を目標としている。また、「Roland Platform」では、顧客データの一元化、データの見える化、データによって得られた深い顧客理解に基づく製品やサービスの充実、顧客とのコミュニケーションの向上、といったサイクルにより、LTVの向上を目指す。2025年12月期のRoland Account340万人(2022年12月期は230万人)を目指している。このほか、アーティストやインフルエンサーとの関係強化、デジタルソーシャルメディアコンテンツの充実、ターゲティング広告とイベントによりストーリーを拡散することで、ブランド認知度の向上を図る。同社は創業以来のポリシーとして、ミュージシャンと宣伝を目的とした製品使用に関するエンドース契約を結ばないことを基本方針としている。ミュージシャンが自ら手に取り選ばれるような製品を開発することで、製品価値が自然と高まることに加え、同社製品を好んで使っているミュージシャンをサポートすることで、同社とミュージシャンの間でより強固な信頼関係を築いていると弊社では見ている。(4) 基盤強化グローバル人事として、全世界統一人事システムによる人材の最適配置や、株式報酬制度のグローバル展開、従業員のエンゲージメントと生産性スコアの向上に努める。基盤強化としては、ビジネスのさらなる拡大に向けて基幹システムを更新するほか、事業所再編による生産性向上、エンゲージメント強化、イノベーションの加速に注力する。基幹システムについては、ERPのアップデートや、生産管理システムの入れ替えを予定しており、将来の成長に向けた基礎的な投資を進める。また、事業所再編には、本社リニューアルが含まれており、新本社社屋は2024年8月に着工、2025年内の竣工を予定している。サプライチェーンの高度化については、部材の早期確保と共通化により販売機会ロスの低減を図る。また、販売チャネルに適した物流プロセスを構築しリードタイムを短縮する。加えて、オートメーション化の推進や新システムの導入によりアジリティを強化する。具体的には、マレーシア工場とグローバルHUB倉庫のさらなる強化や生産拠点の拡大を進める。DWとは、生産拠点の相互活用や、アコースティックドラムの生産技術を同社の電子楽器生産技術と融合させることで、生産能力及び生産技術の向上を目指す。そのほか、主力製品での半製品の共通化や、自動化・機械化のさらなる推進、外注工程の内製化を進め、利益改善を図る。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:07
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(6):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(3)
*14:06JST ローランド Research Memo(6):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(3)
■業績動向2. 財務状況ローランド<7944>の2024年12月期末の資産合計は前期末比617百万円増加の81,586百万円となった。流動資産では棚卸資産が997百万円減少した一方、現金及び預金が1,595百万円増加した。固定資産では無形固定資産が1,205百万円増加した。負債合計は同5,951百万円減少の34,903百万円となった。主に、借入金が4,392百万円減少した。純資産合計は同6,568百万円増加の46,682百万円となった。主に、配当金の支払いにより剰余金が4,722百万円減少した一方で、主要国通貨に対する円安進行により為替換算調整勘定が4,694百万円増加、親会社株主に帰属する当期純利益を5,976百万円計上したことによる。これらの結果、自己資本比率は前期末の49.2%から56.8%に上昇しており、財務の健全性は高いと弊社では考える。楽器市場は徐々に再成長フェーズへ販売数量増と価格適正化により増収を見込む3. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比1.5%増の100,900百万円、営業利益で同1.5%増の10,100百万円、経常利益で同15.3%増の9,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同20.5%増の7,200百万円を見込んでいる。同社の事業領域におけるコロナ関連の課題は既に解決されているため、再成長フェーズへの移行が着実に進み、為替逆風下でも増収・増益を実現する方針である。楽器市場は徐々に再成長フェーズに入り、主要地域及び各カテゴリーで増収に転換し、為替影響を除いた売上高は前期比4.2%増を計画している。特に管打楽器は、前期に発売した電子ドラム新製品の効果やDWの増収が成長ドライバーとなる見込みである。映像音響機器は方針変更の過渡期にあり一時的にマイナス成長となる可能性があるものの、2026年以降の回復が期待される。中国市場は依然として不透明な状況が続くが、主要地域では再成長フェーズへの移行が進む。欧州ではDW製品の販売ルート変更により代理店業務がグループ内に取り込まれアドオン効果が生じ、その他エリアにおいてはインドや中南米が中国に代わる新興国市場として成長ドライバーとなる。営業利益は、販売数量の増加と価格適正化効果により、通常経費を最小化しつつ成長投資を加速する。為替影響を除いた営業利益は前期比15.3%増を見込んでいる。販売数量がコロナ需要の反動減から徐々に回復し、新製品の効果も相乗して前期から増加するほか、価格適正化効果、原価低減、並びにDWの利益率改善が寄与する見込みである。販管費については、人材採用、Roland Cloud、広告販促、Roland Retailなどへの投資の加速を図り、為替影響を除いた売上総利益率及び営業利益率はそれぞれ44.2%、11.1%に改善、上期・下期ともに増収増益を達成する見込みである。4. 弊社の所見2024年12月期は、ディーラー在庫の調整が大きな課題であった。特に、アメリカ及び中国市場は、コロナ禍からの反動が大きかった。為替の追い風はあったものの、実力ベースでの売上高は全体で前期比8.7%減の成績となった。しかし、2024年の後半からはアメリカ市場におけるセルスルーが進み、実際のデマンドも徐々に回復、年末商戦では2023年並みの水準に戻った。これにより、必要な調整が行われ、市場も底を打った状況である。ディーラーの在庫調整による影響については、足元では懸念材料とはなっていない。2024年末の時点で、アメリカのディーラーにおける同社在庫水準は非常にヘルシーな状態となっており、2025年12月期は需要に応じたセルインが進む見込みである。中国市場においては、特にアコースティックピアノが厳しい状況であり、市場規模はピーク時の約1/4に縮小している。そのため、ヤマハ<7951>や河合楽器製作所<7952>などのメーカーは相当な苦戦を強いられているが、同社は電子楽器を中心に展開しているため、売上は落ち込んでいるものの、2024年12月期を底に、2025年12月期からは横ばいまたは第3四半期以降にプラス成長が期待される。また、インド及び中南米市場においては、今後も旺盛な成長が見込まれている。インド市場においては、専門コーナーを併設したストアインストアの形態で2店舗を出店し、さらなる拡大が期待される。ブラジルやメキシコにおいても、売上規模は着実に大きくなっており、インドと中南米を合わせた市場規模は中国と同程度に達している。製品に着目すると、2025年12月期はドラム製品が成長ドライバーとなることを見込んでいる。DW製品については、欧州市場における販売ルートを、現地代理店経由ではなく同社の100%販売子会社に変更した。従来のDW製品はアメリカ市場での売上が7割近くを占めており、欧州では現地代理店に任せていたため、プロモーションやディーラー教育が十分に行き届いていなかった。しかし、今般の販売ルート変更により、販売やマーケティングの各種施策を強力に推進できるほか、代理店を経由することなく直接ディーラーに販売することで、中間マージンをグループ内に取り込めるため、販売単価の向上が期待される。またDWは、DW以外にも複数のブランドを展開しており、その中にはPDP、LP、グレッチ、スリンガーランドなどが含まれていたが、2024年12月期は、ブランドポートフォリオの見直しの一環として、利益率の低いグレッチを売却し、休眠状態にあったスリンガーランドを復活させた。グレッチはライセンスフィーの支払いが必要であったが、スリンガーランドは自社ブランドであるため、コスト面での優位性を見込んでいる。原材料費については、特に半導体を含む原材料が下落傾向にあり、2025年中盤以降、その影響が原価に反映され始めると見込んでいる。また、海上輸送費については、2024年夏頃に一時的に大幅上昇し、2025年12月期第1四半期までの影響はあるものの、その後は低下していくことを想定している。なお、2025年12月期においては製品価格の値上げを予算に織り込んではいない。しかしながら、同社ブランドの製品には値上げ余地がまだまだ残されており、実際にコロナ禍においては2年間で計4回の値上げを実施した実績がある。そのため、原材料費や物流費の変動に対しては、適正な価格転嫁を行うことで機動的対応ができるものと弊社では見ている。トピックスとしては、原宿に出店した直営店の売上高が順調に伸びている。顧客層は従来の楽器店利用者に加え、普段楽器店に足を運ばない層や外国人観光客が含まれる。店舗では楽器のみならず、アパレル商品も販売されている。また、2025年1月には、アメリカのカリフォルニア州アナハイムで開催された世界最大級の楽器見本市「NAMM Show 2025」へ5年ぶりに出展した。コロナ禍においては出展を見合わせていたが、出展を再開した。NAMMからも高く評価され、ショーの価値向上に寄与した。コロナ禍を要因とした需給バランスの調整の際にも、同社は電子楽器専業メーカーである強みを生かし機動的に増減産に対応した。同社が手掛ける電子楽器は、アコースティック楽器と比較し需要の増減に対応しやすく、稼働損益が発生しづらいという特徴が功を奏した。新製品については全体への影響は大きくないものの、不確実な環境下でも確実に業績に寄与している。2024年12月期に発売された新製品やDWの増収により売上高の再成長が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:06
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ローランド Research Memo(5):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(2)
*14:05JST ローランド Research Memo(5):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(2)
■業績動向(1) 製品別売上高ローランド<7944>の製品別売上高は、主要カテゴリーで実質的に前期比マイナスとなった。最大の要因は、第1四半期から第2四半期にかけてのディーラー在庫調整及びコロナ需要の反動減であり、特に上期において販売が低調だった。映像音響機器に関しては、現在戦略の転換期にあり、2026年からの再成長を計画している。鍵盤楽器の売上高は前期比2.5%減の26,869百万円であった。電子ピアノについては、中国市場の需要減少の影響が継続し、加えて物価高や低価格帯市場における競争激化が響いた。しかし、今期発売された新製品は堅調に推移し、一定の支えとなった。新製品として、ホームピアノでは「LX-5」「LX-6」「LX-9」を発売した。従来のモデリング音源をゼロから刷新した最新のモデリング音源を搭載しているほか、最新技術「ピアノ・リアリティ・テクノロジー」により、音、鍵盤、ペダル、サウンド・システムといった基本性能すべてにおいてクオリティが大幅に向上した。同社オリジナルの無料アプリ「Roland Piano App」にも対応している。ポータブルキーボードに関しては、新製品の投入が奏功し、比較的好調に推移した。中期経営計画においてポータブルキーボード市場への本格的な再参入を掲げており、新製品として「GO:KEYS 3」「GO:KEYS 5」を発売した。パソコンやスマートフォンと連携した演奏や楽曲作りにも対応しており、「Roland Cloud」から豊富な音色と自動伴奏スタイルの追加購入もできる。また、音楽レッスンアプリ「Melodics Essentials for Roland」にも対応している。ポータブルキーボード製品は鍵盤楽器全体への売上貢献は大きくないものの、エントリー層の開拓や新興国でのシェア拡大に向けて中長期的に重要な製品と捉えている。管打楽器の売上高は前期比2.6%減の28,588百万円であった。電子ドラムは、ディーラーの在庫調整の影響を受けたほか、前期に高い需要を誇ったサンプリングパッドが落ち着きを見せた。一方、ドラムセットの実売については競合の影響を受けたものの、9月末から10月上旬にかけて、フラッグシップ・シリーズとして「TD716」「TD713」「VAD716」、新しいラインナップとしてVドラム・クワイエット・デザイン「VQD106」などの大型新製品を投入し、競争力の強化を図った。フラッグシップ・シリーズには、音源モジュール「V71」が搭載されている。約8年ぶりの音源更新であり、「V71」は音の収録手法を一から見直してサンプリングした、リアルでダイナミクスのあるドラム音色を多数内蔵している。「VQD106」は、従来の同社電子ドラムと比べて打撃音と振動の発生を75%軽減した、同社史上最も静かな電子ドラムであり、日本及びヨーロッパ市場を中心に非常に好評を得ている。電子ドラムは打音やキックの踏み込みによる騒音・振動が課題であり、アンケートや顧客の声からも改善すべき点と認識していた。しかし、実際にノイズや振動を大幅に低減することは技術的に困難であり、製品化までには長い期間を要した。電子管楽器については、中低価格帯市場で競争が激化し、苦戦を強いられたが、中国市場では徐々に販売の回復が見られた。ギター関連機器の売上高は前期比2.9%減の24,988百万円であった。ギターエフェクターは、コンパクトエフェクターや新製品の需要が堅調であったものの、ルーパーシリーズやマルチエフェクターの需要に落ち着きが見られた。楽器用アンプについては、ギターアンプの新製品が寄与した一方で、ディーラーの在庫調整が影響し、その他の製品群の販売は全体的に軟調に推移した。新製品として、ポータブルなサイズに上質なサウンドと機能性を凝縮したマルチエフェクター「GX-10」を発売した。「AIRD」テクノロジーによる豊富なプリアンプ、エフェクトを搭載しており、幅広いサウンド・メイクを実現している。クリエーション関連機器&サービスの売上高は前期比0.3%減の12,627百万円であった。シンセサイザーは、高価格帯製品や88鍵盤搭載のステージピアノ型製品の需要がやや落ち着いたが、新製品の寄与により徐々に販売が回復した。ダンス&DJ関連製品については、既存製品の需要が軟調であったが、新製品の投入により回復の兆しが見られた。ソフトウェア/サービス分野では、「Roland Cloud」を中心に、ユーザーのLTVを高めるコンテンツやサービスの提供を継続し、会員数は引き続き増加した。新製品として、ステージピアノ「RD-08」を発売した。表現力豊かなサウンドと演奏性を備えたリーズナブルなステージピアノで、「Roland Cloud」で提供するアップグレード・ソフトにより、サウンドと機能を拡張できる。また、初代モデルの登場から20年という節目のタイミングで、ライブ用シンセサイザーの主力機種である「JUNO-Dシリーズ」を、上位クラスの音源とRoland Cloudによるサウンド・ライブラリの拡張性を備えたモデルへと一新した。加えて、高音質とシンプルな操作性を手のひらサイズで実現した、ゲーム配信者向けオーディオミキサー「BRIDGE CAST ONE」を発売した。プロ・クオリティのサウンドを実現する「BRIDGE CAST シリーズ」の機能を凝縮し、著作権フリーのBGMや効果音を活用できる「Roland Cloud」のサービス「BGM CAST」に対応している。「Roland Cloud」では、「MelodicsTM」とのコラボレーションにより、カジュアルな音楽レッスンアプリとして定評のある「Melodics Essentials for Roland」の提供を開始した。「Roland Cloud」でのレッスンサービスは今後も拡充予定である。映像音響機器の売上高は前期比21.5%減の3,199百万円であった。ビデオ関連製品については、イベント需要がコロナ期から回復する一方、前期に発売された新製品の反動減や受注残出荷の反動減が大きく影響した。新製品として、コロナ禍を経て一般的となったハイブリッド・イベント市場に向けて、リアル・イベントとライブ配信で、高品位な映像演出・音声調整を行える小型のビデオ・スイッチャー「V-80HD」を発売した。(2) 地域別売上高地域別売上高は、主要地域が前期比で実質的にマイナスとなった。主な要因は、第1四半期から第2四半期にかけてのディーラー在庫調整の影響及びコロナ需要からの反動減である。その他のエリアではブラジルやメキシコの販売が好調に推移し、マイナス幅は限定的であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:05
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GMOぺパボ:「ロリポップ!」「ムームードメイン」が主力、今後はストック収益基盤強化を図り事業領域を拡大
*14:04JST GMOぺパボ:「ロリポップ!」「ムームードメイン」が主力、今後はストック収益基盤強化を図り事業領域を拡大
GMOぺパボ<3633>は、主力のウェブサイトの制作に欠かせないレンタルサーバーの「ロリポップ!」、ドメイン取得代行・販売の「ムームードメイン」のほか、「SUZURI」、「minne」、「FREENANCE」等の複数サービスを展開している。セグメントは、ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業(2024年12月期売上高構成比55.8%)、EC支援事業(同27.1%)、ハンドメイド事業(同12.8%)、金融支援事業(同4.1%)の4つの事業セグメントを有する。ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業では、「ロリポップ!」「ムームードメイン」が主力となる。「ロリポップ!」は、主に個人・法人向けに低価格で高性能なサーバーを提供しているサービス。レンタルサーバー市場はレッドオーシャンとなっているが、リーズナブルな価格設定と創業来のブランド力を背景に国内最大級の規模にある。初期費用不要で、料金はサーバー容量などに応じて料金プランが決められており、エコノミー(99円~)/ライト(264円~)/スタンダード(495円~)/ハイスピード(550円~)/エンタープライズ(2,200円~)となる。契約件数と月額料金の掛け算で積み上がっていくストック型ビジネスモデルで、2024年12月末時点の契約件数は約40万件(前期比1.8%減)、顧客単価は520円をわずかに超える水準となる。また、「ムームードメイン」は、400種類以上の豊富なドメインの中から欲しいドメインが取得・管理できるサービス。2024年12月末時点の契約件数は約105万件、顧客単価は190円を超える水準となる。EC支援事業は「カラーミーショップ」と「SUZURI」が属している。「カラーミーショップ」は、個人商店や中小店舗向けに展開、商材や事業規模に関わらず「成長できる」ECサイトが構築できるサービスとなる。利用料金は、フリー(0円~)/レギュラー(4,950円~)/ラージ(9,595円~)/プレミアム(39,600円~)と分かれており、2024年12月末時点の契約件数は約5万件。一方、「SUZURI」は、自分で制作したイラストや写真からTシャツ、スマホケース、マグカップなどの高品質なオリジナルアイテムを手軽に作成・販売できる。クリエイターの制作活動の可能性を広げる支援しており、年間流通額 20億円(2024年実績)、2024年12月末時点でクリエイター数 88万人、会員数 201万人となる。ハンドメイド事業では、国内最大級のハンドメイドマーケットサービス「minne」を展開、「ものづくりの総合プラットフォーム」として、作家・ブランドのものづくり活動の可能性を広げる支援をしている。年間流通額 115億円(2024年実績)、2024年12月末時点で作家・ブランド数 93万人、作品数 1,771万点、アプリダウンロード(DL)数 1,529万DL。金融支援事業では、フリーランス・個人事業主を支えるお金と保険のサービス「FREENANCE」を展開。即日払い(ファクタリング)や損害賠償保険で個人事業主の活動をバックアップしている。主なサービスは、即日払い、GMOフリーランスファクタリング、保険などで、請求書買取可能額 1万円から、手数料率は請求書額面の3%~10%で、請求書買取総額 53億円 (2024年実績)となっている。2024年12月期の売上高は10,922百万円(前期比0.2%増)、営業損益は829百万円の黒字(前期は340百万円の赤字)で11月6日に公表した業績予想に対して上振れて着地した。ストック型ビジネスの売上高は、前期比3.3%増と順調に成長。売上高は金融支援事業の買取基準厳格化による減収とフロー型ビジネスが苦戦した一方で、ドメイン・レンタルサーバー(ホスティング)事業が価格改定効果と高単価プランの契約比率上昇により好調に推移した。AI活用によるカスタマサービスのコストの減少も寄与したようだ。2025年12月期の売上高は同2.4%増の11,184百万円、営業利益は同7.2%増の888百万円を見込む。ストック型ビジネスの価格改定効果や高単価プランの比率上昇を見込むほか、売上成長とAI活用によるカスタマサービスのコスト削減による改善を引き続き見込んでいるようだ。同社は、中期方針を開示、連結売上高は12,600百万円(CAGR5.0%)、連結営業利益は1,260百万円(CAGR15.0%)を目標としている。安定的かつ確実な成長実現のため、ストック売上の比率を上昇(2027年12月期ストック比率70%以上目標)させてストック収益基盤強化を図りつつ、事業領域を広げることで中期成長を目指すようだ。具体的には、「ロリポップ!」「カラーミーショップ」で高単価プランの法人ユーザーの獲得を目指し、ストック収益基盤の強化をはかるほか、新規事業としてお問い合わせ対応AI導入支援サービス「GMO即レスAI」や配信者やVTuber向けの配信画面作成サービス「AliveStudio」にも注力。「GMO即レスAI」は営業強化による法人ユーザーの獲得、「AliveStudio」では配信分野でのユーザー獲得を目指している。株主還元については、配当性向を50%以上から65%以上に変更し、2025年の配当額は67.00円に増配予定としている。ストック収益で底堅い業績推移を想定しつつ、配当利回りは4.6%を超える水準で高配当銘柄としても注目に値する。ストック収益基盤強化を図りつつ、事業領域を広げることで中期成長を目指す同社の今後の動向には注目しておきたい。
<HM>
2025/04/02 14:04
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(4):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(1)
*14:04JST ローランド Research Memo(4):再成長フェーズに向けた需要創造型新製品が進捗(1)
■業績動向1. 2024年12月期の業績概要ローランド<7944>の2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比2.9%減の99,433百万円、営業利益で同16.2%減の9,951百万円、経常利益で同24.6%減の8,411百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同26.7%減の5,976百万円、コロナ禍後のディーラー在庫の調整やコロナ需要の反動減が継続したことにより減収減益となった。ディーラー在庫の調整は第2四半期までにおおむね終息したものの、正常化や価格適正化には想定以上の時間を要した。また、コロナ需要の反動減により、販売数量及び単価の両面で影響を受けた。ただし、コロナ禍後の主要な課題は期中に解決し、年後半からは市況も徐々に回復しつつある。営業利益に関しては、販売数量の減少が大きく影響した。販売数量の変動要因には、ディーラー在庫調整やコロナ需要の反動減に加え、物価高や競争環境の影響が挙げられる。これらを踏まえ、期初計画比で販管費を大幅にコントロールして収益確保に努めた。価格適正化の効果は計画より遅れたが、第4四半期から徐々に発現し始めている。なお、為替差損1,496百万円の発生が、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益に対して一定の影響を及ぼした。基盤強化に向けた取り組みとしては、経営基幹システムとして「SAP S/4HANA」の稼働を開始した。基幹システムを最新化することで、同社のビジネス継続におけるリスクや課題の解決、業務の効率化を見込んでいる。販売機会ロスの低減やリードタイム短縮に向けた新しい生産管理システムの稼働も開始した。さらに、開発部門の集約によるイノベーションの加速、社員エンゲージメント及び生産性の向上を目的とした、研究開発の中核拠点となる新本社についても、2025年末の移転に向けて建設がスタートした。また、新たなテクノロジーがもたらす創造的な可能性を探求し、音楽の未来をデザインするための研究開発部門となる「Roland Future Design Lab」を設立した。2024年12月期の同社業績は、コロナ禍後の市場調整の影響を受け、売上高・営業利益ともに前期を下回る結果となった。ただし、製品カテゴリーごとの状況を見ると、新製品の投入が一定の成果を上げており、今後の成長に向けた戦略の実行が今後の焦点となると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:04
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(3):グローバル楽器市場は安定的に成長。市場トレンドの変化が追い風となる
*14:03JST ローランド Research Memo(3):グローバル楽器市場は安定的に成長。市場トレンドの変化が追い風となる
■会社概要3. 市場環境ローランド<7944>事業を取り巻く市場環境について、グローバル楽器市場は2016年から2021年の年平均成長率(CAGR)が3.8%(出所:Music Trade Magazine)と年度による増減はあるものの、中長期で見れば安定的に成長している。2022年以降は、コロナ需要の反動減、ウクライナ問題や、金利の上昇、需給バランスの崩れによる販売店在庫の調整などが継続しているものの、2025年以降は通常の成長軌道に回帰すると同社では予測している。市場トレンドとしては、新しいライフスタイルが定着し、余暇時間が増加傾向にあるなか、余暇の楽しみ方の1つとして音楽が選ばれるようになっている。これまでの音楽の楽しみ方は「聴く」が中心であったが、動画コンテンツの充実やSNS・Web配信の普及により音楽を「創る」、「発信する」ことが容易になった。同社の電子楽器は、手頃な価格帯、軽量・コンパクト、音量の調節が可能、オンラインで購入しやすい、メンテナンスフリーなどの理由から演奏を始めることが簡単で、インターネットとのコネクティビティや、タブレット・スマートフォンとの連携、レッスン機能などにより、様々な楽しみ方が可能である。このような外部環境の変化は、同社にとって追い風になると弊社では見ている。4. 競争優位性同社の優位性としては、「ゲームチェンジャーマインドセット」「多次元」「Roland Platform」の3つが挙げられる。(1) 「ゲームチェンジャーマインドセット」同社は、Game Changer製品を生み出せる背景として「企画力」「技術力」「経営判断」を挙げている。実際に製品を顧客に届けることで多くのフィードバックを得ることができ、そのフィードバックを元にさらに「企画力」を磨く好循環を生んでいる。創業50年以上にわたる技術の蓄積による、カスタムLSIやDSP技術、センサー技術、サウンドサンプリングなど、ハードウェアとソフトウェアにおける優位性はもとより、タッチやフィーリング、レスポンスなど、音楽的な表現につながる点についても様々な知見を蓄積し、楽器としての完成度を高め続けてきた。これらの技術・ノウハウにより高い品質を実現し、製品価格設定において優位性を持つ。同社は、国産初のシンセサイザー「SH-1000」の発売から、世界初のギター・シンセサイザー、メッシュ・ヘッドを備えた電子ドラムなど、多くの革新的な製品を発売してきた。近年では、アコースティックドラムと電子ドラムどちらでも演奏を楽しめるコンバーチブル・ドラムや、電子管楽器、電子和太鼓などの新製品投入による市場創造にも取り組んでおり、ゲームチェンジャーとしてのマインドセットを体現し続けている。(2) 「多次元」同社は世界に誇るグローバルブランドである。海外売上高比率は約90%を占め、幅広い楽器カテゴリーを世界中の音楽ファンに提供している。近年、同社はハードウェアとインターネットのコネクティビティに注目している。「Roland Cloud」のサービスを拡充し、対象のハードウェアや顧客層を拡大する方針である。同サービスの収益モデルは、サブスクリプション収益・単品販売収益・ハードウェア販促効果からなる。このうちサブスクリプション収益と単品販売収益は、様々なサービスの提供によりLTV(ライフタイムバリュー)の向上が期待できる。また、ハードウェア販促効果としては、クラウドサービスによる差別化で製品競争力が向上する。(3) 「Roland Platform」同社は、「Roland Platform」で顧客データを一元化・見える化し、データによって得られた深い顧客理解に基づき、製品やサービスを充実させている。このサイクルは顧客とのコミュニケーションを向上させることから、マーケティングを最適化するための強力なエンジンと言える。なお、同社はRoland Accountを2022年12月期の230万から2025年12月期に340万まで拡大することを目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:03
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(2):電子楽器メーカーとして幅広い製品・サービスを提供
*14:02JST ローランド Research Memo(2):電子楽器メーカーとして幅広い製品・サービスを提供
■会社概要1. 会社沿革ローランド<7944>は電子楽器メーカーとして、1972年4月に創業者である梯郁太郎(かけはしいくたろう)氏によって設立された。1973年には国産初のシンセサイザー「SH-1000」を、1974年には、世界初のタッチ・センス付き電子ピアノ「EP-30」を発売し、その後もギターエフェクター、アンプ、電子ドラム、電子管楽器、映像関連製品など事業を拡大した。また創業当初から世界展開を進め、海外での売上構成比が90%を超えるグローバルブランドとなっている。1983年には、電子楽器の世界共通規格「MIDI」の誕生に大きく貢献し、後の電子楽器の発展の礎を築いた。1989年には大阪証券取引所(以下、大証)第2部に上場し、1993年に本社を大阪府大阪市北区堂島浜に移転、1998年に東京証券取引所(以下、東証)第2部に上場し、翌年東証・大証1部に上場した。2005年には本社を生産・開発拠点のある静岡県浜松市細江町(現 浜松市浜名区細江町)に移転した。2014年には東証1部上場を廃止し、2015年にローランド ディー.ジー.(株)の保有株式一部売却により、同社を持分法適用の範囲から除外、2018年に子会社であった、ギター関連製品の開発を担うボス(株)を吸収合併した。2020年には東証1部に再上場し、2022年の東証市場区分再編に伴いプライム市場へ移行した。なお、同年にはアコースティックドラム・メーカーDWの全株式を取得。また同社直営店舗の第1号店「Roland Store London」をオープンした。2024年7月には、ゴードン・レイゾン氏の代表取締役社長 CEO辞任に伴い、蓑輪雅弘(みのわまさひろ)氏が就任した。2. 事業内容同社の主な事業内容は電子楽器の製造販売であり、主な製品には鍵盤楽器・管打楽器・ギター関連機器・クリエーション関連機器&サービス・映像音響機器がある。同社の製品は、主要なカテゴリーにおいて高いシェアを保有している。(1) 鍵盤楽器鍵盤楽器では、タッチと音にこだわったデジタルピアノやキーボードなどを展開している。デジタルピアノは、家庭での子どものレッスンに最適なモデルから本格的なグランドピアノまで幅広く、また、コンパクトでスタイリッシュなピアノ、インテリアになじむ家具調のピアノなど、様々なデザインの製品を揃えている。スマートフォンやタブレットとワイヤレス接続して、楽しく練習、演奏できるアプリも提供している。(2) 管打楽器管打楽器では、自然な打感と豊かな演奏表現力の電子ドラム「V-Drums」や、管弦楽器、民族楽器、シンセサイザーなど多彩な音色を内蔵し、いつでも気軽に楽しめる新感覚のデジタル管楽器「Aerophoneシリーズ」などを展開している。「V-Drums」はコンパクトで自宅練習に最適なエントリーモデルから、プロのライブステージで使われる、アコースティックドラムのような外観の高性能モデルまで展開している。メッシュ・ヘッド、サウンド・クオリティ、センシング技術など同社ならではの技術力により、「V-Drums」は電子ドラムの代名詞として市場で高いシェアを維持し続けている。「Aerophoneシリーズ」はリコーダー感覚で楽しめるモデルから、高い演奏表現力を備えたプロ仕様のモデルまでラインナップが充実している。2022年にはアコースティックドラムやパーカッションの世界的なブランドを展開するDrum Workshop, Inc.がグループに加わり、両社の電子とアコースティック技術が融合する次世代のコンバーチブル・ドラムを開発するなど、世界のドラマーに新たな体験価値を提供することを目指している。(3) ギター関連機器ギター関連機器では、ギターやベースの音に多彩な効果を加えるエフェクターをはじめ、楽器用アンプ、ギター・シンセサイザーなどの製品を展開している。エフェクターの「BOSSコンパクト・ペダル・シリーズ」は、現在までに累計130機種を超えるモデルを発売しており、世界的に高いブランド力を誇っている。アンプ製品は、ギターアンプを中心に、キーボード用、電子ドラム用まで様々なモデルを展開している。ギターアンプは、自宅で使用できる小型アンプから、プロのステージでも使用可能な大型アンプまで幅広いラインナップを揃えている。近年では独自のワイヤレス技術により、完全ワイヤレスのギターアンプや、ヘッドホン型のギターアンプ・システムなど、革新的な製品を生み出している。(4) クリエーション関連機器&サービスクリエーション関連機器&サービスでは、初心者でも扱いやすい軽量モバイルタイプから、プロの音楽制作やライブ演奏向けのモデルまで幅広いラインナップを揃えたシンセサイザーのほか、ダンス・ミュージックを1台で作り出す音楽制作ツール、DJコントローラーなどを展開している。クラウド・ベースのコンテンツ・サイト「Roland Cloud」では、高品位なプラグイン音源やソフトウェアやレッスンアプリなど、様々なコンテンツやサービスを提供している。(5) 映像音響機器映像音響機器では、放送や、コンサート、イベント、会議でのプレゼンテーションなど、プロの映像制作の現場で使用される「ビデオ・スイッチャー」や「AVミキサー」を中心に展開している。また、アマチュアでも気軽に動画投稿を行える、低価格のライブ配信向け製品も拡充している。異なる規格のビデオ信号をミックスできるマルチフォーマット技術や、電子楽器の開発で長年培ってきた音響技術により、音と映像を1台で簡単に扱える点が、同社の映像音響機器の特長である。また、DJ向けのヘッドフォンとして定評のあるV-MODAブランドにて、ヘッドフォンやイヤホンも展開している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/04/02 14:02
注目トピックス 日本株
ローランド Research Memo(1):ディーラー在庫調整による影響は終息電子ドラムをドライバーとして再成長へ
*14:01JST ローランド Research Memo(1):ディーラー在庫調整による影響は終息電子ドラムをドライバーとして再成長へ
■要約ローランド<7944>は、電子楽器メーカーとして幅広い製品・サービスを提供している。主な事業内容は電子楽器の製造販売であり、主な製品には鍵盤楽器・管打楽器・ギター関連機器・クリエーション関連機器&サービス・映像音響機器がある。1. 2024年12月期の業績概要2024年12月期の連結業績は、売上高で前期比2.9%減の99,433百万円、営業利益で同16.2%減の9,951百万円、経常利益で同24.6%減の8,411百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同26.7%減の5,976百万円、コロナ禍後のディーラー在庫の調整やコロナ需要の反動減が継続したことにより減収減益となった。ディーラー在庫の調整は第2四半期までにおおむね終息したものの、正常化や価格適正化には想定以上の時間を要した。また、コロナ需要の反動減により、販売数量及び単価の両面で影響を受けた。ただし、コロナ禍後の主要な課題は期中に解決し、年後半からは市況も徐々に回復しつつある。製品カテゴリーごとの状況を見ると、新製品の投入が一定の成果を上げており、今後の成長に向けた戦略の実行が今後の焦点となると弊社では見ている。2. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の連結業績は、売上高で前期比1.5%増の100,900百万円、営業利益で同1.5%増の10,100百万円、経常利益で同15.3%増の9,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同20.5%増の7,200百万円を見込んでいる。同社の事業領域におけるコロナ関連の課題は既にクリアされているため、再成長フェーズへの移行が着実に進み、為替逆風下でも増収・増益を実現する方針である。楽器市場は徐々に再成長フェーズに入り、主要地域及び各カテゴリーで増収に転換、為替影響を除いた売上高は前期比4.2%増を計画している。特に管打楽器は、前期に発売し電子ドラム新製品の効果やDrum Workshop, inc.(以下、DW)の増収が成長ドライバーとなる見込みである。映像音響機器は方針変更の過渡期にあり一時的にマイナス成長となる可能性があるものの、2026年以降の回復が期待される。中国市場は依然として不透明な状況が続くが、主要地域では再成長フェーズへの移行が進む。欧州ではDW製品の販売ルート変更により代理店業務がグループ内に取り込まれることでアドオン効果が生じ、その他エリアにおいてはインドや中南米が中国に代わる新興国市場としての成長ドライバーとなる。3. 中期経営計画同社は、2023年2月に中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)を公表した。業績目標として、2025年12月期に売上高1,232億円、営業利益179億円、親会社株主に帰属する当期純利益134億円、ROIC20%以上を掲げている。Game Changerによる市場創造と潜在顧客へのアプローチによる「需要創造」、ポータブルキーボード市場への再参入と新興国での販売拡大、Roland Retailによる「シェア拡大」、音楽を生涯楽しんでもらうための仕組みづくりによる「LTV向上」、長期ビジョン実現に向けた人的資源活性化とインフラ投資による「基盤強化」の4つを基本戦略としている。また、長期ビジョンとして、売上高2,000億円以上、営業利益率15~20%を長期的な目標としている。なお同社は、コロナ需要の反動減や各国の経済状況の変化から、中期経営計画の数値目標達成時期は後ろ倒しになることを、2023年12月期決算発表時に表明している。■Key Points・2024年12月期はコロナ禍後の市場調整の影響を受け減収減益、足元の市場環境は回復基調にある・2025年12月期は楽器市場が徐々に再成長フェーズへ、販売数量増と価格適正化により増収を見込む・中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)では、2025年12月期に売上高1,232億円、営業利益179億円を目指すが、前提の変化により達成時期は後ろ倒し(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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2025/04/02 14:01
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(13時台)~キッズバイオ、大黒屋などがランクイン
*13:58JST 出来高変化率ランキング(13時台)~キッズバイオ、大黒屋などがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [4月2日 13:32 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<2776> 新都HD 7808900 66855.32 294.86% -0.04%<4978> リプロセル 6468300 89533.32 265.50% -0.0137%<4784> GMOインター 841800 125942.44 243.38% 0.1412%<8699> HSHD 283700 36617.4 203.49% -0.0057%<5595> QPS研究 8371400 1553364.78 170.15% 0.1513%<290A> Syns 4489000 797692.94 166.75% 0.1627%<1811> 銭高組 124800 104417.7 159.25% -0.0167%<4584> キッズバイオ 10963300 313592.32 156.18% -0.1851%<149A> シンカ 640100 207719.5 148.92% -0.1107%<7692> Eインフィニティ 7210400 254249.3 130.12% -0.0194%<8894> REVOLUTI 11354000 242478.6 122.76% -0.0416%<3697> SHIFT 5750700 2402338.51 112.99% 0.0565%<196A> MFS 430800 72412.8 93.40% 0.0581%<6803> ティアック 5337600 139835.84 86.97% -0.0125%<4298> プロトコーポ 312900 281343.68 73.54% -0.0004%<6740> JDI 81526500 765291.96 73.18% -0.0588%<6993> 大黒屋 101044700 1004739.12 71.90% -0.0434%<4598> DELTA-P 418300 124013.58 71.21% 0.0394%<4593> ヘリオス 2402600 303659.08 67.03% -0.0774%<4576> DWTI 3135700 185606.3 65.88% 0%<260A> オルツ 1040700 234268.12 65.38% -0.0684%<2134> キタハマキャピ 7067800 123594.44 64.04% 0%<9070> トナミHD 67500 340568 60.47% 0.0009%<4882> ペルセウス 4449100 1612908.3 55.11% -0.1604%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
<CS>
2025/04/02 13:58
注目トピックス 日本株
インターネットインフィニティー---自己株式の取得
*13:57JST インターネットインフィニティー---自己株式の取得
インターネットインフィニティー<6545>は3月31日、会社法第165条第3項の規定により読み替えて適用される同法第156条の規定に基づき、自己株式の取得を行うと発表した。同社は、2025年4月1日から2025年9月30日までの期間において、東京証券取引所における市場買付の方法により、自己株式の取得を実施する予定である。取得対象は同社普通株式であり、取得する株式の総数は上限150,000株、これは発行済株式総数(自己株式を除く)に対して2.76%に相当する。なお、取得価額の総額は上限1.20億円である。これにより同社は、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行及び株主還元を図る。
<AK>
2025/04/02 13:57
注目トピックス 日本株
Aiロボティクス---新型ドライヤーが楽天家電ランキング1位、初回入荷分完売
*13:55JST Aiロボティクス---新型ドライヤーが楽天家電ランキング1位、初回入荷分完売
Aiロボティクス<247A>は31日、同社の美容家電ブランドBrighte(ブライト)から新発売した次世代型ドライヤー「SHOWER DRYER」が、発売初日の3月28日に楽天市場のデイリーランキング家電カテゴリで1位を獲得し、初回入荷分が即日完売したと発表した。「SHOWER DRYER」は、髪を乾かしながら同時にナノミストを噴射し、髪の深部まで潤いを与える機能を持つ。約357gの軽量ボディでありながら、2.58立方メートル/分の大風量を実現し、素早く髪を乾かすことが可能である。また、グラフェンの遠赤外線、デュアルイオン、赤青LEDといった美髪テクノロジーを搭載している。同製品は、楽天市場のデイリーランキングにおいて、家電カテゴリ1位、美容・健康家電カテゴリ1位、ドライヤー・ヘアアイロンカテゴリ1位など、計6部門で1位を獲得した。
<AK>
2025/04/02 13:55
注目トピックス 日本株
G-7ホールディングス---子会社の新和自動車の本店所在地・商号変更
*13:52JST G-7ホールディングス---子会社の新和自動車の本店所在地・商号変更
G-7ホールディングス<7508>は1日、子会社である新和自動車が2025年4月1日付で本店所在地および商号を変更したと発表した。新和自動車は、2024年10月30日にG-7ホールディングス傘下の事業会社となったことを受け、旧本店所在地である京都府京都市南区上鳥羽城ケ前町247番地から、兵庫県神戸市須磨区弥栄台二丁目1番地の3に本店を移転した。また、商号は「G-7・シンワ・モビリティサービス」へと変更され、英文表記は「G-7 SHINWA MOBILITY SERVICE」となった。なお、変更後の連絡先は京都府京田辺市大住池ノ端44-1(ガイア京田辺店内)に設けられ、電話番号とFAX番号はそれぞれ0774-65-3233および0774-65-3234とされている。
<AK>
2025/04/02 13:52
注目トピックス 日本株
G-7ホールディングス---子会社の新流の本店所在地・商号変更
*13:50JST G-7ホールディングス---子会社の新流の本店所在地・商号変更
G-7ホールディングス<7508>は1日、子会社である新流の本店所在地および商号を、2025年4月1日付で変更したと発表した。新流は2025年1月1日付でG-7ホールディングスの傘下に加わっており、これに伴い本店所在地を大阪府豊中市寺内二丁目13番57号から、兵庫県神戸市須磨区弥栄台二丁目1番地の3へ移転した。また、商号についても従来の「新流」から「G-7新流」へと変更し、英文名は「G-7 NEEL」に改められた。なお、連絡先としての本部所在地は引き続き大阪府豊中市寺内二丁目13番57号の緑地フレックスビル6階に設置され、電話およびFAX番号に変更はない。
<AK>
2025/04/02 13:50
注目トピックス 日本株
H2Oリテイル---大幅続落、3月売上高は3年6カ月ぶり前年比マイナスに
*13:31JST H2Oリテイル---大幅続落、3月売上高は3年6カ月ぶり前年比マイナスに
H2Oリテイル<8242>は大幅続落。前日に3月の月次売上速報を公表している。阪急本店の売上高は前年同月比3.7%減、百貨店全店売上高も同様に同3.7%減となっている。それぞれ、3年6カ月ぶりにマイナス成長となる形に。肌寒い日が多かったことで春物ファッションの動きが鈍かったほか、免税売上は前年高伸した反動と円高傾向の影響が重なり、単価が大きくダウンしているようだ。なお、百貨店各社全般に3月売上は低調推移となっている。
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2025/04/02 13:31
注目トピックス 日本株
アイル---続伸、好業績継続見込み国内証券では目標株価引き上げ
*13:31JST アイル---続伸、好業績継続見込み国内証券では目標株価引き上げ
アイル<3854>は続伸。東海東京インテリジェンス・ラボでは投資判断「アウトパフォーム」を継続し、目標株価を4600円から5200円に引き上げている。販売・在庫管理業務へのフォーカスや「CROSS-OVERシナジー」戦略の成果に期待などとしている。受注環境良好な中で案件規模の拡大が見込めるほか、パッケージ機能の強化などによる利益率の改善で、26年7月期以降も2ケタの営業増益が続くと予想。
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2025/04/02 13:31
注目トピックス 日本株
安川電---反発、業績ボトムで投資妙味として米系証券では格上げ
*13:30JST 安川電---反発、業績ボトムで投資妙味として米系証券では格上げ
安川電<6506>は反発。モルガン・スタンレーMUFG証券では投資判断を「イコールウェイト」から「オーバーウェイト」に格上げ、目標株価も4700円から5000円に引き上げている。業績は過去3四半期連続でボトム水準に推移、これ以上のダウンサイドリスクは乏しいとしている。また、受注回復・生産稼働上昇・在庫評価損の縮小から、今後業績は緩やかに改善していくとみているもよう。市場での期待値が低下していることで、投資妙味は高まっていると指摘。
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2025/04/02 13:30
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(6):2025年12月期は、営業利益4,729百万円と大幅増益を予想
*13:06JST コロンビア・ワークス Research Memo(6):2025年12月期は、営業利益4,729百万円と大幅増益を予想
■今後の見通し、成長戦略・トピック、株主還元策コロンビア・ワークス<146A>の2025年12月期の連結業績は、売上高が前期比88.8%増の39,618百万円、営業利益が同21.5%増の4,729百万円、経常利益が同19.4%増の4,203百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.9%増の2,750百万円と、20%を超える営業増益を予想する。同社グループが属する不動産業界においては、建設資材価格の高騰、金利の上昇といった影響が見られるものの、それに伴う賃料の上昇により、国内不動産の需要は引き続き安定的に推移すると考えられる。同社グループでは、引き続きエリア特性に合わせたQOL向上に貢献するサービスを付加したレジデンス開発、既存建物にサービスを付加したリノベーション型の物件開発、インバウンド需要の増加を見据えたホテル開発の推進、及びM&Aによる事業の多角化や事業拡大にも継続的に取り組む計画である。売上高が前期比88.8%増と大幅に増加するのは、売却件数増とともに、1件あたりの売上が増加する想定するためである。売却件数は22件(前期は16件)、1件あたりの売上は1,801百万円を見込む。四半期ごとの推移では、第4四半期に売上を集中する計画である(大型物件である南麻布案件を含む6件を予定)。開発種別では、マクロ環境の変化や目標とする利益規模の拡大、リスクヘッジの観点などからバリューアップ型(12件予定)やファンド型(2件)などの資産効率の高いタイプにシフトする。それに伴い、売上総利益率で18.4%(前期は27.0%)、営業利益率で11.9%(前期は18.6%)と収益率は低下する。一方で、営業利益額の成長率は21.5%と公約どおりの利益成長を狙う。販管費は、M&A費用や人件費増、システム投資などにより前期比43.0%増と増加する計画である。弊社では、同社の計画が全て仕入れ完了済みのものであり計画の信頼性が高いこと、期初のM&Aによる影響がまだ含まれていないことなどがから、業績の上振れも期待できると考えている。1. 中期的な経営方針同社では、2023年12月期の実績を踏まえて、3ヶ年(2024年12月期〜2026年12月期)の中期的な経営方針を策定した。達成目標としては、営業利益ベースで年率20%成長、同社の総資産にコロンビア・アセットマネジメントの受託資産を加えた資産規模ベースで2026年12月期に1,000億円超を目指す。また、経済状況を鑑みながら海外不動産展開も視野に入れる。戦略としては、1) 1件当たり投資規模拡大、2) M&Aによる規模拡大である。1件当たり投資規模拡大に関しては、2024年12月期に大型案件である南麻布案件に着手した経緯がある。また、M&Aによる規模拡大に関しては、サンクス沖縄(後述)の子会社化(2025年2月)を皮切りに積極化する考えだ。戦略を実行するための構成要素としては、優秀な人材と投資資金が重要となる。アクションプランとしては、独自のノウハウを駆使して、採用と育成および効率的な資金調達を実行する。2. M&A:沖縄地盤のデベロッパーを100%子会社化同社は、2025年2月に、ACSホールディングス(株)(所在地:沖縄県那覇市、代表取締役 神田 哲良、以下ACS社)の株式を取得し、子会社化した。また、ACS社は、サンクス沖縄(所在地:沖縄県那覇市、代表取締役 神田 哲良)を完全子会社として有する持株会社であり、ACS社の子会社化に伴い、サンクス沖縄を子会社化(孫会社)した。サンクス沖縄は、自社マンションブランド「アレイール」、新築戸建ブランド「オリハナシリーズ」の開発・分譲を中心に、外国人向け賃貸アパートの開発・運営、不動産仲介など幅広く事業を展開する不動産デベロッパーである。2009年の創業以来15年の社歴を有し、長年にわたって培った仕入・企画・販売ノウハウに加え、地場の設計業者、施工業者や各種協力会社との強固な関係性を構築している。沖縄県は同社のターゲットエリアの一つであり、ホテル開発や運営を手掛ける機会もあることから、同社の事業規模の拡大に寄与するものと判断し、完全子会社化された。サンクス沖縄との事業シナジーとしては、サンクス沖縄の現地ノウハウを活かした物件仕入、同社の企画・設計ノウハウを活用した付加価値の高い物件開発、サンクス沖縄の地場業者との強固な関係性を基盤とした確実な施工体制などが期待される。3. 仕入の進捗、コロンビア・アセットマネジメント(CAM)の始動資産規模1,000億円(2026年12月期)に向けては仕入の規模拡大が順調に進捗している。新規投資額(売却による減少を含まない投資案件の仕入純額)では、2023年12月期実績で164億円、2024年12月期実績で337億円と順調に伸びてきており、2025年12月期には580億円を予定している。販売用不動産(仕掛含む)も2023年12月期末で179億円、2024年12月期末で353億円と右肩上がりである。資金調達がカギとなるが、2024年12月期以降は、案件利益に加えて子会社のストック収入の増加およびエクイティ調達により自社資金を増やし、銀行借入によるレバレッジを拡大する計画である。2023年4月に設立されたコロンビア・アセットマネジメント(CAM)では、不動産投資顧問業および投資助言業の許認可取得を完了したため、2025年12月期から本格的に稼働する。受託資産金額に応じたアセットマネジメント手数料を得る事業モデルとなり、コロンビア・ワークスおよび他社の開発した不動産のアセットマネジメントを受託することで、加速度的にAUMを成長させることが可能となる。同社では、株主に対する利益還元を経営の重要事項の一つと認識している。配当については、事業環境の変化や将来の事業展開に備えて財務基盤の充実を図りつつ、配当性向は15%~20%を目標として、今後の収益状況の見通しなどを総合的に勘案して決定する。過去の配当実績では2022年12月期が69.60円、2023年12月期が91.00円と利益成長とともに増配してきた。2024年12月期は115円(前期比24円増配)、配当性向17.8%と大幅な増配となった。2025年12月期の配当予想は138円(前期比23円増配)、配当性向17.4%としている。20%を超える利益成長に伴う早い増配ペースが魅力である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:06
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(5):営業利益で前期比43.2%増の3,892百万円(過去最高益)
*13:05JST コロンビア・ワークス Research Memo(5):営業利益で前期比43.2%増の3,892百万円(過去最高益)
■コロンビア・ワークス<146A>の業績動向1. 2024年12月期の業績概要2024年12月期の連結業績は、売上高が前期比45.0%増の20,981百万円、営業利益が同43.2%増の3,892百万円、経常利益が同47.8%増の3,519百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同47.6%増の2,238百万円となり、大幅な増益を達成した。営業利益の期初計画(3,026百万円)からも計画比28.6%増と大幅に上回った。売上高が大幅に増加し過去最高を記録した。要因としては、売却件数が16件(前期は10件)と増加したことが挙げられる。内訳では、自社による不動産開発が7件、バリューアップ案件が5件、他社との協業による不動産開発が4件とバランスの良い開発種別が特徴である。1件あたりの売上では、1,198百万円(前期は1,321百万円)と前期並みの規模であった。東京23区での「LUMIEC(ルミーク)」シリーズのレジデンス1棟売り(20戸~30戸)が代表的な売却物件である。売上総利益率は27.0%(前期比0.4ポイント増)と好調な利益率を維持した。販管費は同57.2%増の1,780百万円と増加したものの計画どおりである。内訳としては、上場に伴う外形標準課税の発生、オフィス移転、人員数増加に伴う人件費増、採用費増などが要因である。結果として、営業利益は同43.2%増と同社が目標に掲げる“営業利益20%増”を大きく上回った。なお、連結子会社で行う不動産運営(賃貸管理、ホテル等運営)も増益に貢献した。2. 財務状況と経営指標2024年12月末の総資産は前期末比20,185百万円増の52,186百万円となった。そのうち流動資産は18,737百万円増であり、販売用不動産の14,354百万円増加および仕掛販売用不動産の3,075百万円増加が主な要因である。固定資産は1,448百万円増であり、有形固定資産の1,365百万円増加が主な要因である。負債合計は前期末比15,224百万円増の40,085百万円となった。そのうち流動負債は165百万円増であり、短期借入金の995百万円減少および1年内返済予定の長期借入金の186百万円増などが主な要因である。固定負債は15,059百万円増であり、長期借入金の15,219百万円増加が主な要因である。有利子負債(短期借入金、社債、長期借入金の合計)の残高は14,384百万円増加して37,648百万円となった。純資産は4,960百万円増の12,101百万円と大幅に増強された。新規上場における一般募集増資及び第三者割当増資による資本金及び資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因である。2024年12月期の経営指標では、流動比率が447.1%(前期末246.1%)、自己資本比率が23.1%(同22.3%)となっており、レバレッジを効かせて成長を志向するなかでも、安全性を維持している。効率性・収益性に関しても、ROE(当期純利益÷自己資本)で23.2%(前期は23.4%)、ROA(経常利益÷総資産)8.3%(前期は8.1%)と高水準を維持しており、同社の事業モデルの卓越性を示していると言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:05
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(4):高収益指標とKPIの好調推移が成長を後押し
*13:04JST コロンビア・ワークス Research Memo(4):高収益指標とKPIの好調推移が成長を後押し
■事業概要3. KPIコロンビア・ワークス<146A>は、各事業の戦略の進捗を把握するためにKPI(重要業績指標)を設定している。不動産開発事業においては、利益成長や総資産の拡大を目指す戦略に向けて、「1件当たり売上(販売した物件の1件当たりの売上金額)」、「売却件数」、「仕入件数」、「総資産(BS上の総資産の金額)」、「ROA(総資産経常利益率)」をモニタリングしている。また、子会社コロンビア・コミュニティが行う賃貸管理事業では「管理戸数」、子会社コロンビア・ホテル&リゾーツが行う運営事業においては、ホテル1室あたり収益(1室あたり単価とX客室稼働率で算出)」をそれぞれ指標とする。各種KPI(重要業績指標)は順調に推移している。1件当たり売上に関しては、2024年12月期はやや下降したものの、既に100億円クラスの物件取得が完了しており、2025年12月期には、1件当たり売上1,801百万円(前期比50%増)に上昇する計画である。総資産に関しても、2024年12月期に500億円を突破し、仕入の好調さをうかがわせる。コロンビア・コミュニティ(賃貸管理)およびコロンビア・ホテル&リゾーツ(運営)に関しても拡大基調でありKPIが好調である。4. ROEに関するベンチマーク同社のビジネスモデルの卓越性は収益性・効率性を表す指標であるROE(自己資本当期純利益率)を比較すると一目瞭然である。直近決算で売上高150億円〜250億円の上場不動産会社で比較すると、同社のROE(23.2%)はトップクラスである。尖がったテーマ型開発により付加価値の高い物件の開発ができること、資本効率を考慮した多様な開発スキームを組み合わせることなどが、高いROEを生み出す源泉になっていると考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:04
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(3):自社開発以外にも多様な開発手法で収益性や資産効率をコントロール
*13:03JST コロンビア・ワークス Research Memo(3):自社開発以外にも多様な開発手法で収益性や資産効率をコントロール
■事業概要1. 強み、特長:テーマ型開発コロンビア・ワークス<146A>の強みは“ユニキュベーション”に根差したテーマ型開発により尖った物件を創出できる点にある。大手中心に大規模な物件開発が行われる不動産業界の中では、担当者に失敗は許されず、会社としてもリスクを回避するために、個性的なコンセプトの不動産開発は難しい。同社では、ミッションに「ユニキュベーションによって想像と体験のサイクルを生み出し 人が輝く舞台を世界につくる」としており、個性豊かな不動産開発を中心に取り組んできた。代表例として“美容”をテーマとした「Blance Beaute KOMAZAWADAIGAKU(世田谷区、36戸)」では、住居者はパーソナルトレーニングやセルフトレーニング、セルフエステを受け放題である。“朝活”をテーマとしたレジデンス「LUMIEC MEGURO」では同社が展開する京都のホテルで提供している朝食やこだわりのコーヒーが毎日無料で提供される。“アート”をテーマとしたホテル「BnA Alter Museum」では、部屋自体がアートになっており、その中に泊まることができる。“車”をテーマとした「LUMIEC CHITOSE FUNABASHI」は、愛車2台を眺めながらお風呂に入り、お酒を飲むことができる、車好きのためのレジデンスである。進行中の物件テーマとしては、“採用”“サンセット”“国際交流”などもあり、ニーズが多様化する時代にピンポイントに対応するテーマが新鮮である。2. 多様な事業スキーム同社の事業スキームは、投資主体による3分類(自社開発型、ファンド型、他社協業型)、開発プロセスによる2分類、3×2の掛け算により6つに分類し、経営管理を綿密に行っている。「自社型×不動産開発型」は自社のBS(貸借対照表)に取り込んで土地取得から建築まで新築の不動産開発を行う手法である。土地購入から竣工まで2年〜2年半程度の時間を要する。相対的に収益性が高いものの、投資期間が長くなるため、資本効率は低くなる。「自社型×バリューアップ型」は、既存建物を取得し、同社のノウハウにてバリューアップ(リノベーション、稼働率向上等)を行った上で売却するスキームである。おおむね半年〜1年程度の時間で投資から売却までが完了する。収益性は相対的に低くなるが、その分短期での資金回収が可能でありリスクを低減でき、資本効率は高くなる。投資主体としては、自社型からファンド型、他社協業型にシフトすることで投資効率の向上が期待できる。同社では、外部環境に対応すべく、6分類の開発手法のポートフォリオのバランスを調整しており、2024年12月期は「自社型×不動産開発型」を主体としていたが、2025年12月期にはバリューアップ型やファンド型にシフトする方針である。(1) 自社による不動産開発同社のこれまでの開発手法の中心は自社による不動産開発であった。テーマを絞った中小規模のマンション「LUMIEC」「Blance」やオフィス「BIASTA」などで多数の実績を積み重ねてきた。“住む・働く・遊ぶ”を結びつけるライフスタイルを提案するために、「ハード」×「サービス」を基本戦略とし、BTS(Build To Suit、オーダーメイド型)型開発を促進している。入居者にピラティスサービスが付与された賃貸マンションや毎日コムネット<8908>と提携した食事付学生マンションなどの開発事例がある。(2) バリューアップ型資本効率の観点から今後成長が期待できる開発手法がバリューアップ型である。土地や建物を購入してリノベーションなどによってバリューアップを施し、その後投資家に売却する。開発用地のみの売却の場合もあるが、この場合でも開発プラン等の事業スキームを付与することで十分に利益が獲得できる。バリューアップ型の手法は、建築コストの上昇や工期の延長などの開発リスクを低減できるメリットが大きい。ホテル(台東区)を賃貸マンションにコンバージョンした事例、他社が開発した既存建物を同社のノウハウを駆使し、リノベーションした事例などがある(LUMIEC unシリーズ)。(3) ファンド型アセットマネジメントへの本格進出とともに、今後成長が期待できる開発手法がファンド型である。土地を購入し、企画を施し、各種建築準備を行った上でSPC(特定目的会社)に売却する。SPCのエクイティ投資家としては、機関投資家やキャッシュリッチな事業会社、富裕層が対象となる。SPCを活用することで、資本効率の良化やBSの最適化が可能となる。2025年12月期から本格稼働するコロンビア・アセットマネジメント(株)(CAM)が業務を担うSPCに不動産を売却することによって、安定した売却先候補を確保するとともに、アセットマネジメント手数料などの収益機会を拡大できる。スモールラグジュアリーホテル(沖縄県)の開発、温泉付きホテルの開発(神奈川県、箱根)などでファンド型スキームが活用され、進行中である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:03
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(2):テーマを絞った個性的な不動産開発を得意とする高収益デベロッパー
*13:02JST コロンビア・ワークス Research Memo(2):テーマを絞った個性的な不動産開発を得意とする高収益デベロッパー
■会社概要1. 会社概要と沿革コロンビア・ワークス<146A>は、東京都渋谷区を本拠地とし、テーマを絞った個性的な不動産開発を得意とする中堅デベロッパーである。パーソナルトレーニングやセルフエステが利用し放題の“美容”マンションや愛車を室内で眺めながら生活できるマンション、アートの中で泊まるホテルなど、ユニークな不動産開発で実績を上げてきた。企業のミッションとしては「ユニキュベーションによって想像と体験のサイクルを生み出し、人が輝く舞台を世界につくる」を掲げる。“ユニキュベーション”とは、ユニークネス(個性)とインキュベーション(育成)を掛け合わせた造語であり、創造性の高いコンセプトを生み出す指針となっている。創業は2013年であり、大手不動産会社で経験を積んだ現経営陣が、多様化の時代にすべての人が自分の人生を楽しめる空間を創ることを目的に設立された。2016年頃から自社レジデンスやホテルの開発、2018年頃からはテーマ型開発をスタートし、その後の急成長につながっている。不動産開発(売却)が主体ではあるが、2014年には賃貸管理に進出し、2018年にはホテル等の運営事業、2023年にはアセットマネジメント事業を行う子会社を設立した。2024年3月に東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場した。2024年12月期の売上高は前期比45.0%増の20,981百万円と急成長しており、営業利益率では18.6%と高収益を誇る。2. 事業内容同社は不動産開発を主体としており、不動産開発事業の単一セグメントである。レジデンスが主体であり、「LUMIEC」「Blance」などのブランドで中・小規模のマンションを展開する。オフィスに関しては「BIASTA」ブランドで展開する。賃貸管理に関しては、連結子会社であるコロンビア・コミュニティが担当する。2024年12月期の売上高は367百万円であり、着実に成長している。ホテル・リゾート・店舗運営事業は、連結子会社のコロンビア・ホテル&リゾーツが担当し、主に同社が開発したホテル等の運営を行っている。2024年12月期の売上高は304百万円であり、着実に成長している。2023年4月設立のコロンビア・アセットマネジメントは、2024年10月に不動産投資顧問業および投資助言業の許認可を取得し、2025年12月期より本格的な稼働が開始される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:02
注目トピックス 日本株
コロンビア・ワークス Research Memo(1):個性的な不動産開発で高成長、営業利益43.2%増で過去最高
*13:01JST コロンビア・ワークス Research Memo(1):個性的な不動産開発で高成長、営業利益43.2%増で過去最高
■要約コロンビア・ワークス<146A>は、東京都渋谷区を本拠地とし、テーマを絞った個性的な不動産開発を得意とする中堅デベロッパーである。パーソナルトレーニングやセルフエステが利用し放題の“美容”マンションや愛車を室内で眺めながら生活できるマンション、アートの中で泊まるホテルなど、ユニークな不動産開発で実績を上げてきた。企業のミッションとしては「ユニキュベーションによって想像と体験のサイクルを生み出し、人が輝く舞台を世界につくる」を掲げる。“ユニキュベーション”とは、ユニークネス(個性)とインキュベーション(育成)を掛け合わせた造語であり、創造性の高いコンセプトを生み出す指針となっている。創業は2013年であり、大手不動産会社で経験を積んだ現経営陣が、多様化の時代にすべての人が自分の人生を楽しめる空間を創ることを目的に設立された。2016年頃から自社レジデンスやホテルの開発、2018年頃からはテーマ型開発をスタートし、その後の急成長につながっている。不動産開発(売却)が主体ではあるが、2014年には賃貸管理に進出し、2018年にはホテル等の運営事業、2023年にはアセットマネジメント事業を行う子会社を設立した。2024年3月に東京証券取引所スタンダード市場に株式を上場した。2024年12月期の売上高は前期比45.0%増の20,981百万円と急成長しており、営業利益率では18.6%と高収益を誇る。1. 事業概要同社は不動産開発を主体としており、不動産開発事業の単一セグメントである。レジデンスが主体であり、「LUMIEC(ルミーク)」「Blance(ブランセ)」などのブランドで中・小規模のマンションを展開する。オフィスに関しては「BIASTA(ビアスタ)」ブランドで展開する。賃貸管理に関しては、連結子会社であるコロンビア・コミュニティ(株)が担当する。2024年12月期の売上高は367百万円であり、着実に成長している。ホテル・リゾート・店舗運営事業は、連結子会社のコロンビア・ホテル&リゾーツ(株)が担当し、主に同社が開発したホテル等の運営を行っている。2024年12月期の売上高は304百万円であり、着実に成長している。2023年4月設立のコロンビア・アセットマネジメント(株)は、2024年10月に投資助言・代理業の許認可を取得し、2025年12月期より本格的な稼働が開始される。2. 業績動向2024年12月期の連結業績は、売上高が前期比45.0%増の20,981百万円、営業利益が同43.2%増の3,892百万円と大幅な増益を達成した。営業利益の期初計画(3,026百万円)からも計画比28.6%増と大幅に上回った。大幅増収の要因としては、売却件数が16件(前期は10件)と増加したことが挙げられる。内訳では、自社による不動産開発が7件、バリューアップ案件が5件、他社との協業による不動産開発が4件とバランスの良い開発種別が特徴である。売上総利益率は27.0%(前期比0.4ポイント増)と好調な利益率を維持した。販管費は同57.2%増の1,780百万円と増加したものの計画どおりである。内訳としては、上場に伴う外形標準課税の発生、オフィス移転、人員数増加に伴う人件費増、採用費増などが要因である。結果として、営業利益は同43.2%増と同社が目標に掲げる“営業利益20%増”を大きく上回った。なお、連結子会社で行う不動産運営(賃貸管理、ホテル等運営)も増益に貢献した。3. 成長戦略同社では、2023年12月期の実績を踏まえて、3ヶ年(2024年12月期〜2026年12月期)の中期的な経営方針を策定した。達成目標としては、営業利益ベースで年率20%成長、資産規模ベースで2026年12月期に1,000億円超を目指す。資産規模とは、同社の総資産にコロンビア・アセットマネジメントの受託資産を加えて算出する。また、経済状況を鑑みながら海外不動産展開も視野に入れる。戦略としては、1) 1件当たり投資規模拡大、2) M&Aによる規模拡大である。1件当たり投資規模拡大に関しては、2024年12月期に大型案件である南麻布案件に着手した経緯がある。また、M&Aによる規模拡大に関しては、(株)サンクス沖縄の子会社化(2025年2月)を皮切りに積極化する考えだ。戦略を実行するための構成要素としては、優秀な人材と投資資金が重要となる。アクションプランとしては、独自のノウハウを駆使して、採用と育成および効率的な資金調達を実行する。4. 株主還元策同社では、株主に対する利益還元を経営の重要事項の一つと認識している。配当については、事業環境の変化や将来の事業展開に備えて財務基盤の充実を図りつつ、配当性向は15%〜20%を目標として、今後の収益状況の見通しなどを総合的に勘案して決定する。過去の配当実績では2022年12月期が69.60円、2023年12月期が91.00円と利益成長とともに増配してきた。2024年12月期は115円(前期比24円増配)、配当性向17.8%と大幅な増配となった。2025年12月期の配当予想は138円(前期比23円増配)、配当性向17.4%としている。20%を超える利益成長に伴う早い増配ペースが魅力である。■Key Points・自社開発以外にもバリューアップ、ファンド活用など多様な開発手法で収益性や資本効率をコントロール・2024年12月期は、営業利益で前期比43.2%増の3,892百万円(過去最高益)。自社開発レジデンス中心に売却件数が増加・2025年12月期は、営業利益4,729百万円と大幅増益を予想。資本効率とリスクヘッジを狙いバリューアップ型案件を増やす方針・中期的に年利益成長率20%以上、資産規模1000億円超を目指す・高い利益成長に伴う早い増配ペースが魅力。2024年12月期は115円(前期比24円増配)の配当を実施、2025年12月期は138円(前期比23円増配)の配当を予想(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2025/04/02 13:01
注目トピックス 日本株
セブン銀行:ATM事業を核に新たなサービスを付加、利益の成長と株主還元がバランス
*12:51JST セブン銀行:ATM事業を核に新たなサービスを付加、利益の成長と株主還元がバランス
セブン銀行<8410>は、「近くて便利」「信頼と安心」を実現する独自の金融サービスを提供している。日本全国を網羅する27,000台以上のATMを、セブン-イレブンをはじめとするセブン&アイグループの各店舗に加え、商業施設や観光地、空港や駅などに展開している。また、海外では、米国、インドネシア、フィリピン、マレーシアの4か国でATMサービスを展開。現金による入出金取引を中核に、キャッシュカード不要かつスマホアプリで入出金が可能な「スマホATM」、コード決済や電子マネーへの現金チャージなどのさまざまなサービスも提供している。そのほか、個人顧客への口座事業や銀行品質の信頼性と利便性の高い法人向け事業なども展開している。同社の収益構造では、国内のATMプラットフォーム事業(2023年度経常収益構成比56%)、リテール事業・法人事業(同11%)、電子マネー・クレジットカード事業(同13%)、海外事業(同20%)と分かれている。2025年3月期第3四半期累計の経常収益は159,490百万円(前年同期比10.1%増)、経常利益は23,106百万円(同0.6%増)で着地。通期の経常収益は215,000百万円(前期比8.6%増)、経常利益は28,000百万円(同8.2%減)を見込んでいる。国内ATMプラットフォーム事業では、日本におけるATM総設置台数が減少傾向にある中、同社は積極的にATMの設置を推進しシェアを拡大。2025年3月期第3四半期(3Q)決算時点で、3Q累計総利用件数は824百万件(前年同期比42百万件増)、平均利用件数は108.8件(同3.3件増)、ATM期末台数は27,848台(同546台増)。コード決済や電子マネーへの現金チャージが増加し、利用件数は増加傾向にある。また、第4世代ATMへの入替を行ってたが、9割以上の入替を完了し、計画どおり2024年度末(2025年3月末)までに全台入替完了する。第4世代ATMで、顔認証での現金入出金サービス「FACE CASH」を2025年2月から開始しており、キャッシュカードやスマートフォン不要で入出金等が可能となった(静岡銀行・セブン銀行口座が対象)。国内事業のリテール部門では、口座数と預金残高が堅調に増加している。2025年3月期第3四半期(3Q)決算時点で、口座数3,266千口座(同302千口座増)、預金残高6,206億円(同170億円増)。消費活動の活発化により個人ローンや後払いを含めて金融サービスへのニーズは高く、同社の個人向けローンサービスや後払いサービスも堅調に増加傾向にあり、今後も拡大が見込める。また、クレジットカード会員数は2024年12月時点で329万人(前年比27万人減少)と大きく減っているように見えるが、「イトーヨーカドー」店舗の閉鎖などに伴い会員数が減少してるほか、現状セブンカードは大量の更新時期を迎えており、一定期間未稼働の方に対しては更新カードを送付していない影響などがある。一過性の要因が大きいため、目標1,000万人に向けて来期以降の回復度合いに注目しておきたい。足元では、クレジットカード会員を対象に大規模なポイント還元を実施しており、新規会員獲得と利用促進を図っている。会員数の増加は道半ばだが、会員属性やカード利用には一定の変化・効果があるようだ。海外事業では、アジア圏は現金ニーズも高く、ATM台数が不足していることから、台数増加の傾向は続いているようだ。3Q累計総利用件数は390.5百万件(80.4百万件増)で、フィリピンでの伸びがけん引している。米国では、件数は横ばいであるものの、2024年度下期から黒字化し、赤字が縮小。インドネシアでもATM設置台数が増加する中、2025年1月からマレーシアでのATMサービスを展開開始している。「Reachful」のブランド名で、2025年前半までにマレーシア3州のセブン-イレブンを中心として100台の紙幣還流式ATMを設置する方針。今後も現地のセブン-イレブンやパートナー企業との関係性がより重要性を増していく。同社は、中期経営計画を開示しており、2025年度の目標数値は連結経常収益2,500億円、連結経常利益450億円、ROE8%以上を掲げている。計画に対してやや乖離が生じているが、主な乖離の原因は、海外事業とクレジットカード事業となっているようだ。海外事業は、金利上昇等により米国事業の赤字が拡大した影響が大きく、クレジットカード事業は会員数を圧倒的に増やすべく戦略的にコストを投入していることが影響している。ただ、海外事業では直近決算でもアジアで堅調に伸びており、今後もさらなる成長が期待できるほか、米国でも採算改善が見込まれる。クレジットカード事業は、前述にもあるように会員基盤の拡大が今後のポイントとなり、現中計の達成は時期がいつかという点が焦点となろう。株主還元については、「実額にも配慮しつつ、配当性向40%以上を維持する」という基本方針のもと、ここ数年は年間11円の配当を続けている(配当利回りは約3.8%)。今後も方針を堅持しつつ、利益成長に合わせて増配できるよう努力していくようだ。配当だけでなくキャピタルゲインも含めた中長期的なTSR(株主総利回り)でも評価されるように努めていくもよう。ATM事業を核に新たなサービスを付加し、さらなる成長を図っていく同社の今後の動向に注目しておきたい。単元当たりの投資金額も3万円以下と、個人投資家にも人気を集めよう。
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2025/04/02 12:51
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は小幅続伸、ファーストリテが1銘柄で約107円分押し上げ
*12:41JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は小幅続伸、ファーストリテが1銘柄で約107円分押し上げ
2日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり51銘柄、値下がり172銘柄、変わらず2銘柄となった。日経平均は小幅続伸。前日比15.33円高(+0.04%)の35639.81円(出来高概算8億4000万株)で前場の取引を終えている。1日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は11.80ドル安の41989.96ドル、ナスダックは150.60ポイント高の17449.89で取引を終了した。4月2日のトランプ政権による相互関税発表を控えた警戒感に売りが先行し、寄り付き後、下落。さらに、ISM製造業景況指数やJOLT求人件数が予想を下回り、成長鈍化懸念も強まり売りに一段と拍車がかかった。ただ、関税措置が流動的との観測に売りも続かずハイテクセクターの上昇が支援し、相場は回復。ナスダックはプラス圏に回復したが、ダウは小幅安のまちまちで終了。米国株が高安まちまちだったことなどから、東京市場も方向感に乏しいスタートとなり、売り買い一巡後の日経平均は前日終値水準での小動きが続いた。引き続き東京時間3日未明のトランプ大統領による相互関税に関する演説を前に積極的な売買は手控えられている。前場のプライム市場の売買代金は1.7兆円に留まった。日経平均採用銘柄では、アジアの医薬品事業の譲渡を発表した住友ファーマ<4506>は買い一巡後に失速し売り優勢となった。また、3月既存店売上高が前年同月比で減少したことから三越伊勢丹<3099>、J.フロント リテイリング<3086>、高島屋<8233>など百貨店株がさえない。このほか、東京電力HD<9501>、楽天グループ<4755>、エーザイ<4523>、NRI<4307>、アステラス製薬<4503>、出光興産<5019>などが売られた。月次発表を控えているファーストリテ<9983>が上昇。指数インパクトが大きい東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>も買われた。また、古河電工<5801>、フジクラ<5803>、住友電工<5802>など電線株が反発。このほか、太陽誘電<6976>、オムロン<6645>、村田製作所<6981>、富士フイルム<4901>、コナミグループ<9766>、アルプスアルパイン<6770>などが買われた。業種別では、非鉄金属、輸送用機器、その他製品、機械、サービスの5セクターのみ上昇した一方、鉱業、電気・ガス、鉄鋼、医薬品、銀行などが下落。値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約107円押し上げた。同2位は東エレク<8035>となり、アドバンテスト<6857>、コナミG<9766>、リクルートHD<6098>、富士フイルム<4901>、京セラ<6971>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約35円押し下げた。同2位はKDDI<9433>となり、中外薬<4519>、ソニーG<6758>、第一三共<4568>、大塚HD<4578>、アステラス薬<4503>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 35639.81(+15.33)値上がり銘柄数 51(寄与度+273.32)値下がり銘柄数 172(寄与度-257.99)変わらず銘柄数 2○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 45790 1350 107.77<8035> 東エレク 20835 585 58.38<6857> アドバンテ 6363 80 21.29<9766> コナミG 17930 505 16.80<6098> リクルートHD 7959 168 16.76<4901> 富士フイルム 2878.5 45.5 4.54<6971> 京セラ 1683.5 15.5 4.12<6762> TDK 1519.5 7 3.49<6981> 村田製作所 2373 39.5 3.15<5803> フジクラ 5325 94 3.13<6645> オムロン 4255 90 2.99<7974> 任天堂 10285 80 2.66<4063> 信越化 4250 15 2.49<6976> 太陽誘電 2512 70 2.33<6367> ダイキン工業 16065 65 2.16<9613> NTTデータG 2636 13 2.16<7203> トヨタ自動車 2643 12.5 2.08<7735> SCREEN 9840 140 1.86<6273> SMC 53150 420 1.40<7270> SUBARU 2694.5 39.5 1.31○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG 7316 -177 -35.32<9433> KDDI 2312.5 -39 -15.57<4519> 中外製薬 6641 -147 -14.67<6758> ソニーG 3692 -73 -12.14<4568> 第一三共 3639 -84 -8.38<4578> 大塚HD 7692 -225 -7.48<4503> アステラス製薬 1419 -42 -6.99<4307> 野村総合研究所 4904 -166 -5.52<6954> ファナック 4057 -32 -5.32<7832> バンナムHD 4976 -49 -4.89<4523> エーザイ 3967 -138 -4.59<8058> 三菱商事 2608 -44.5 -4.44<9735> セコム 5028 -62 -4.12<3382> 7&iHD 2134.5 -36.5 -3.64<8001> 伊藤忠商事 6887 -108 -3.59<8830> 住友不動産 5500 -102 -3.39<3099> 三越伊勢丹HD 2012.5 -99 -3.29<4704> トレンドマイクロ 9923 -97 -3.23<9843> ニトリHD 14160 -185 -3.08<4452> 花王 6488 -92 -3.06
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2025/04/02 12:41
注目トピックス 日本株
アンジェス Research Memo(8):希少遺伝性疾患等を対象に開発。遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す
*12:08JST アンジェス Research Memo(8):希少遺伝性疾患等を対象に開発。遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す
■今後の成長戦略アンジェス<4563>は企業理念として、「生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の力を借りて画期的な遺伝子医薬を開発・実用化し、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献する」ことを掲げ、長期ビジョンとして「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目指している。黒字化の時期に関しては、開発パイプラインの進捗状況次第だ。特に、潜在市場規模の大きい米国でHGF遺伝子治療用製品の販売パートナー契約が決まり、上市に成功した場合には、黒字化の蓋然性が一気に高まるだけに、今後の動向が注目される。また、慢性椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴDNAの国内第2相臨床試験の結果は、2027年前半にも判明する見込みであり、その内容次第で塩野義製薬への導出の可能性も高まる。希少遺伝性疾患の検査事業については、受託先並びに検査領域の拡大によって2025年12月期以降も拡大が見込まれ、新たな開発パイプラインの探索にもつながる取り組みとして期待される。Emendoについてはゲノム編集技術のライセンスビジネスにより収益化を目指す。弊社では、これらの取り組みが順調に進めば2020年代後半には連結業績も黒字化する可能性があると見ている。同社は、グローバル化に向けた組織強化や人材育成、並びにプラットフォーム技術の深化と拡大に取り組みながら、1) HGF遺伝子治療用製品の製品価値最大化、2) パイプラインの継続的拡大、3) 欧米を中心としたグローバル展開の推進、4) 検査事業も含めた希少遺伝性疾患への取り組み強化などによって、収益成長と企業価値向上を目指す方針だ。希少遺伝性疾患の検査事業を行うことで同疾患領域での新たな開発品候補を見出し、EmendoのOMNIプラットフォームを活用して治療薬を開発する好循環を作り出すことができれば、「遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指して」という同社の長期ビジョンも実現の可能性が高まるだけに、今後の展開が注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/04/02 12:08
注目トピックス 日本株
アンジェス Research Memo(7):Emendoののれん減損処理により2024年12月期の純損失は拡大
*12:07JST アンジェス Research Memo(7):Emendoののれん減損処理により2024年12月期の純損失は拡大
■アンジェス<4563>の業績動向1. 2024年12月期の業績概要2024年12月期の事業収益は643百万円(前期比490百万円増)、営業損失は9,109百万円(同2,858百万円減)、経常損失は7,537百万円(同1,886百万円増)、親会社株主に帰属する当期純損失は28,128百万円(同20,691百万円増)となった。事業収益は、希少遺伝性疾患に関するオプショナルスクリーニング検査の手数料収入が前期比196百万円増加の311百万円と順調に拡大したことに加え、HGPS及びPDPL※治療剤として2024年1月に製造販売承認を取得し、同年5月より販売開始した「ゾキンヴィ」で244百万円、Anoccaからのライセンス契約一時金の受領等による研究開発事業収益75百万円を計上したことが増収要因となった。2024年12月期に国内で販売終了した「コラテジェン」は同11百万円減の11百万円であった。※ 乳児早老症とも言われるHGPS(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群)はLMNA遺伝子の突然変異により発症し、深刻な成長障害、強皮症に似た皮膚、全身性脂肪性筋萎縮症、脱毛症、骨格形成不全、動脈硬化の促進などにより、平均寿命は14.5歳と報告されている致死性の高い疾患である。また、PDPL(プロセシング不全性プロジェロイド・ラミノパチー)もLMNAやZMPSTE24遺伝子の変異により、同様の症状が生じ老化を促進する。「ゾキンヴィ」は、HGPS患者の死亡率を72%減少させ平均生存期間を4年程度延長させるという臨床データがある。HGPS及びPDPLの世界における患者数は600人程度で、HGPSは日本でも難病指定され、患者数は数名程度と報告されている。患者1人当たりの年間売上高は薬価ベースで1億円強である。売上原価は前期比262百万円増加の395百万円となった。「コラテジェン」の売上原価は前期に計上した在庫廃棄損がなくなったこともあり同11百万円減少したが、ACRLの売上原価が検査数の増加に伴い113百万円増加したほか、「ゾキンヴィ」の商品売上原価160百万円が増加要因となった。「ゾキンヴィ」の仕入れについては円建て決済のため、為替変動が収益に与える影響はない。売上総利益率は約34%であった。研究開発費は前期比2,389百万円減少の3,783百万円となった。Emendoの事業構造改革に伴う人員の減少により人件費関連が1,152百万円減少したほか、「コラテジェン」の製造関連費用及びEmendoにおける製造費用等の減少により外注費が724百万円減少した。また、「ゾキンヴィ」の導入に関わる費用の減少により支払手数料が156百万円減少した。販管費は前期比240百万円減少の5,573百万円となった。主にEmendoの事業構造改革に伴う人員の減少により人件費関連が244百万円減少したほか、Emendoにおける弁護士やコンサルタント等への報酬減少により支払手数料が137百万円減少した。一方で、為替の円安進行によりEmendoののれん償却額が同241百万円増加の3,322百万円となった。営業外収支は前期比4,744百万円悪化した。為替差益が846百万円増加した一方で、補助金収入が5,522百万円減少した。また、Emendoの事業構造改革を機に今後の事業計画を見直した結果、過去における超過収益力の評価に基づいて計上していた「のれん」を現状に基づく評価に改めるため、「のれん」及び有形固定資産を減損処理することを決定し、「のれん」の減損損失19,936百万円及び使用権資産の減損損失111百万円を特別損失として計上した。2025年12月期の営業損失はのれん償却負担がなくなり大幅縮小する見通し2. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の業績は事業収益で1,350百万円(前期比706百万円増)、営業損失で5,800百万円(同3,309百万円減)、経常損失で5,820百万円(同1,717百万円減)、親会社株主に帰属する当期純損失で5,850百万円(同22,278百万円減)を見込んでいる。事業収益は、ACRLにおける手数料収入や早老症治療剤「ゾキンヴィ」の売上がそれぞれ約2倍に拡大する見込みである。事業費用に関しては、ACRLの売上拡大や能力増強、並びに「ゾキンヴィ」の商品仕入高の増加により、売上原価が増加するほか研究開発費で若干の増加を見込む。一方、販管費はEmendoに関するのれん償却額(前期3,322百万円)がなくなるほか、弁護士及びコンサルタントへの支払手数料の減少を見込んでおり、営業損失は大幅に縮小する見通しだ。営業外収支は前期に計上した為替差益がなくなることで、1,591百万円の悪化を見込む。また、前期に計上した減損損失がなくなることで、親会社株主に帰属する当期純損失は大幅縮小する見通しだ。なお、為替想定レートは前期とほぼ同水準の150円/米ドル、163円/EURとしている。のれんの減損処理により資産がスリム化3. 財務状況について2024年12月期末の財務状況は、資産合計が前期末比24,223百万円減少の4,668百万円となった。流動資産では、「ゾキンヴィ」の仕入れにより商品を224百万円計上した一方で、現金及び預金が2,452百万円減少したほか、使用期限切れによる廃棄が見込まれる材料の評価損計上により原材料及び貯蔵品が264百万円減少した。固定資産は、Emendoののれん21,746百万円がなくなったほか、Emendoの社屋に係るリース資産の減損により使用権資産が267百万円減少した。負債合計は前期末比277百万円減少の2,512百万円となった。Emendoにおいて法人税等を計上した結果、未払法人税等が578百万円増加した一方で、前期の費用の支払いにより買掛金が118百万円、未払金が167百万円減少し、Emendoの事業構造改革費用の支払い等により事業構造改革引当金が391百万円減少した。純資産合計は同23,946百万円減少の2,156百万円となった。新株予約権の行使や無担保転換社債型新株予約権付社債の発行等により、資本金が2,201百万円、資本剰余金が2,078百万円それぞれ増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が28,128百万円減少した。2024年12月期末の現金及び預金の残高が約17億円まで減少しているが、今後の事業活動資金については2024年9月に発行した第三者割当による第45回新株予約権(行使価額修正条項付、潜在株式数12,920万株、当初行使価額63.9円、下限行使価額35.5円)の行使により賄う方針だ。期末の未行使分9,970万株のうち2025年1月〜2月に4,068万株分が行使され、1,956百万円を調達した。残りの未行使分(5,901万株)が平均55円ですべて行使されたとすると約32億円を調達できることになり、2025年12月期の事業活動費用分は賄える計算である。2026年12月期以降は、HGF遺伝子治療用製品の販売パートナー契約や上市時期、OMNIヌクレアーゼに関するライセンス契約の動向等によって変わってくるが、これらに大きな進捗が見られないようであれば、引き続き新株予約権を発行し、事業活動資金を調達することになりそうだ。なお、第45回新株予約権の行使による調達資金の具体的使途としては、HGF遺伝子治療用製品のグローバル展開のための研究開発費用として3,878百万円を見込んでいるほか、「ゾキンヴィ」の製造販売費用、NF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験費用、検査事業の能力増強投資などを予定する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/04/02 12:07
注目トピックス 日本株
アンジェス Research Memo(6):2倍増ペースが続く拡大新生児スクリーニング検査は2025年に能力増強を計画
*12:06JST アンジェス Research Memo(6):2倍増ペースが続く拡大新生児スクリーニング検査は2025年に能力増強を計画
■アンジェス<4563>のACRLの取り組み状況2021年7月よりACRLで開始した希少遺伝性疾患の拡大新生児スクリーニング検査については、検査数が2022年12月期の約1万件、2023年12月期の約2万件から2024年12月期は約5万件と2倍強の拡大ペースが続いた。CReARIDからの検査受託に加えて、2024年8月以降は群馬県や埼玉県、沖縄県などの自治体(またはその関連団体)からも受託を開始したことが増加要因となった。四半期ベースの手数料収入推移を見ても右肩上がりで成長しており、2024年12月期第4四半期は112百万円まで拡大した。通期では2023年12月期の115百万円から311百万円に増加し、売上総利益も1百万円から84百万円に拡大するなど収益増加に貢献した。国内の拡大新生児スクリーニング検査の対象疾患数は9疾患となっているが、すべての疾患に対応していない自治体もあり、同社は9疾患すべて、または検査対象から外れている疾患のみを対象とした検査を自治体から受託することで検査数を伸ばしている。2025年1月からは新たに長野県(長野県立こども病院)から10疾患のスクリーニング検査の受託を開始しており、今後も他の自治体から受託するケースが増加することが予想される。2025年12月期は受託先の拡大と検査対象疾患の拡大により検査数は前期比2倍増の約10万件を見込んでいる。現在の検査所が手狭となってきたことから、2025年12月期には、移転拡張と検査装置の購入並びに増員を図ることにより検査能力を大幅に拡大する予定だ。投資額としては数億円程度を見込んでおり、減価償却費の増加等によって原価率も一時的に上昇することが予想される。また、同社は検査領域拡大の取り組みとして、2024年7月より希少遺伝性疾患の遺伝学的検査(確定診断)も開始したほか、治療効果のモニタリングを行うためのバイオマーカー検査を行う体制も整備し、希少遺伝性疾患検査をワンストップで提供できる体制を構築した。従来、これらの検査をすべて行う検査所はなく、医療機関では異なる検査所に依頼する必要があり手間が掛かっていたため、同社の検査所を活用することで利便性も向上する。同社にとっても、これら希少遺伝性疾患に関する検査を多く行うことで、新たな治療薬候補品を見出す機会が増えるものと考えており、今後も同事業については積極的に取り組む方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/04/02 12:06
注目トピックス 日本株
アンジェス Research Memo(5):OMNIプラットフォームはゲノム編集技術のなかでも安全性の高さに強み
*12:05JST アンジェス Research Memo(5):OMNIプラットフォームはゲノム編集技術のなかでも安全性の高さに強み
■アンジェス<4563>のEmendoBioの開発状況1. ゲノム編集技術とOMNIプラットフォームの特徴ゲノム編集とは、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断するDNA切断酵素(ヌクレアーゼ)を利用して、狙った遺伝子を改変する技術を指す。2012年に従来より短時間で簡単に標的とするDNA配列を切断できるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)と呼ばれる革新的な技術が登場したことで、製薬業界においてもゲノム編集技術を用いて新薬の開発を行う動きが活発化した。米国Vertex Pharmaceuticals Inc.とスイスのCRISPR Therapeuticsが同技術を用いて共同開発した遺伝性血液疾患「鎌状赤血球貧血症※」を適応症とした治療法が、2023年11月に英国、同年12月に米国で初めて承認された。患者から採取した造血幹細胞をゲノム編集技術で遺伝子改変し、それを注射投与で体内に戻すことで治療効果を得る治療法である。※ 鎌状赤血球貧血症とは、赤血球に含まれるヘモグロビン(酸素の運搬に使われるタンパク質)が遺伝子異常によって変形することで赤血球が鎌状となって壊れやすくなり貧血の症状を起こす疾患。症状が悪化すると壊れた鎌状赤血球によって毛細血管が遮断され激痛が生じるほか、長期にわたる場合、酸素供給量が低下することで臓器にも悪影響を及ぼし、腎不全や心不全を惹き起こすケースもある。米国内の患者数は約10万人で黒人に多いと言われている。従来は、白血球の型である「HLA型」が一致するドナーから造血幹細胞の提供を受ける以外に治療の選択肢がなかった。今回承認されたのは、血管閉塞性危機が定期的に起きる12歳以上の患者を対象としている。CRISPR/Cas9技術は狙った遺伝子とは異なる箇所(標的DNA配列と似た配列)を切断してしまう「オフターゲット効果」があり安全性が課題とされてきたが、今回初承認となったことでハードルを1つクリアした格好だ。これに対してEmendoが独自開発したOMNIプラットフォームは、標的のDNA配列を高精度に切り取る独自のヌクレアーゼ(OMNIヌクレアーゼ)を効率的に探索し最適化することで「オフターゲット効果」を回避する安全性の高い技術であることが特徴となっている。自社開発したヌクレアーゼのうち250超については特許を申請している。ゲノム編集技術による医薬品の開発を進める場合には、効率性だけでなく安全性も強く求められるため、OMNIプラットフォームは強みになると弊社では評価する。また、もう1つの特徴としてアレル特異的遺伝子編集が可能な点が挙げられる。アレル特異的遺伝子編集とは、対をなすアレル(対立遺伝子)の一方を傷つけることなく、異常のある遺伝子のみをターゲットにして編集することを言う。ヒトは父型と母型の2つのアレルを一対で持っており、片方のアレルが異常配列になることで発症する遺伝病を優性遺伝(機能獲得型変異/ハプロ不全)、両方のアレルに必要な遺伝子が欠損することで発症する遺伝病を劣性遺伝(複合型ヘテロ接合体/ホモ接合体)、または伴性遺伝(性別によって発症の仕方が異なる遺伝病)と呼ぶ。遺伝性疾患のうち、アレル特異的遺伝子編集の対象は優性遺伝と劣性遺伝のうちの一部であり、遺伝性疾患の過半を占める。これはOMNIプラットフォームを活用したゲノム編集による治療法の開発領域が幅広いことを意味する。Emendoの調べによれば、遺伝性疾患の治療薬の市場規模は全体で約2兆円、このうち約1.1兆円がOMNIプラットフォームの対象領域になり得ると見ており、潜在的な成長ポテンシャルは大きい。ゲノム編集技術を用いた開発が活発化するなかで、OMNIプラットフォームに対する注目度も一段と高まることが期待される。米スタンフォード大学とゲノム編集技術を用いた新規がん治療法の共同研究を開始2. 事業戦略Emendoは2023年まで独自のOMNIヌクレアーゼの開発にあたり、その探索と最適化を労働集約的に行ってきた。しかし、現在はこれまで蓄積した大量のデータベースとコンピューティング技術を活用した知識集約型の研究開発体制に移行しており、ピーク時に100人超まで増員したイスラエルの研究所の人員もスリム化した(一部はパレスチナ紛争で徴兵されたケースもある)。ゲノム編集技術に関する研究者とITエンジニアで現在は20数名程度の体制となっており、今後も同水準を維持する予定だ。事業戦略としては財務状況を鑑み、これまで開発してきた250を超えるOMNIヌクレアーゼやOMNIプラットフォームのライセンス活動に集中し、自社での治療薬の開発は一旦、凍結した。ライセンス契約に関しては、2024年3月にがん免疫療法の一種である遺伝子改変T細胞療法※のなかでも固形がんに効果があるとされるTCR-T細胞療法の開発で業界をリードするスウェーデンのAnoccaと、OMNI-A4ヌクレアーゼの使用権についての非独占的ライセンス契約を締結した。AnoccaはOMNI-A4ヌクレアーゼを用いて、難治性固形がんにおけるKRASタンパク質の変異を標的とした開発を進める計画で、2025年内にも臨床試験入りする見込みである。Anoccaでは、ゲノム編集技術としてOMNIプラットフォームとCRISPR/Cas9の両方の技術を試した結果、OMNIプラットフォームを高く評価し、今回の契約に至っている。この契約締結によってEmendoは契約一時金(50万米ドル)と開発マイルストーンを合わせて総額で最大約100百万米ドルを受領する可能性があり、製品が販売された場合にはロイヤリティも受領する。※ 遺伝子改変T細胞療法とは、患者自身から取り出したT細胞内にがん抗原特異的T細胞受容体(TCR)やキメラ抗原受容体(CAR)を遺伝子改変操作によって発現させ、同細胞を増殖させて体内に戻すことでがん細胞を攻撃する治療法。国内ではCAR-T細胞療法の「キムリア(R)」(ノバルティス ファーマ(株))が2019年に製造販売承認されている。CAR-Tは血液がん領域、TCR-Tは固形がん領域で副作用の少ない治療法として開発が進められている。そのほかの企業との契約交渉についても、特定の開発プロジェクトでOMNI技術を利用したい企業や、複数の開発プロジェクトで包括的に同技術を利用したい企業など複数の企業と進めている。このうち1社は2025年内に契約締結する可能性が高くなっており、今後の動向が注目される。Emendoでは疾患別に非独占的ライセンス契約を締結し、幅広い企業や医療機関等で同技術を活用してもらい、遺伝性疾患の治療技術の進歩に貢献したい考えだ。その一環として、2025年1月には米国スタンフォード大学と、ゲノム編集技術を用いた新規がん治療法の開発に関する共同研究契約を締結した。遺伝性の難治性乳がん治療についてOMNIヌクレアーゼを用いた遺伝子治療の研究開発を進める。研究期間は約2年、研究費は約130万米ドルを予定する。スタンフォード大学が持つ細胞への薬剤送達技術とEmendoのゲノム編集技術を組み合わせることで、がん放射線療法やがん免疫療法の効率を大幅に高める治療法の開発が期待され、良好な研究成果を得ることができれば大手製薬企業とのライセンス契約に発展する可能性がある。なお、今まで自社開発を進めてきたパイプラインについても、ライセンスアウトに向けて候補先企業等の探索を進めている状況だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2025/04/02 12:05