注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(9):「連続増配」が基本方針。創立25周年を記念し、記念株主優待の実施を発表
*13:09JST ロボペイ Research Memo(9):「連続増配」が基本方針。創立25周年を記念し、記念株主優待の実施を発表
■株主還元策ROBOT PAYMENT<4374>は、2024年12月期より「連続増配」を基本とし、安定的かつ継続的な株主価値向上を目指すことを株主還元の基本方針とした。同方針に基づき、2024年12月期には1株当たり15.0円の配当を初めて実施した。2025年12月期も業績好調を受けて、期初計画の20.0円から22.0円に上方修正した。また、主要株主の売却意向を受けて、2025年2月には自己株式取得(121,800株、319百万円)も実施した。2025年10月に創立25周年を迎えるにあたり、記念株主優待の導入も新たに発表した。2026年3月末時点で100株以上保有の株主に対し、一律3千円分のデジタルギフト※を贈呈する。今回の株主優待は記念優待となるが、今後も継続保有株主には株主還元を検討しているようだ。※ 対象となる交換先は、ビットコイン、Amazonギフトカード、QUOカードPay、PayPayマネーライト、dポイント、auPAYギフトカード等で、株主が交換先を選べる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:09
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(8):増益を維持しながら売上高成長加速を目指す、長期経営戦略を策定
*13:08JST ロボペイ Research Memo(8):増益を維持しながら売上高成長加速を目指す、長期経営戦略を策定
■ROBOT PAYMENT<4374>の今後の見通し2. 長期経営戦略(1) 長期経営戦略の概要同社は2025年10日10日付で長期経営戦略を発表した。2023年以降、営業利益を重視した経営方針に転換したことで利益成長は続いているものの、事業拡大への新たな取り組みを実施できず、結果として売上高成長率が鈍化傾向にあった。新たな戦略では連続増益を前提とし、注力度合いを売上高70%、営業利益30%として成長をねらい、CPS※の実現を目指す方針を打ち出した。※ CPS(Corporate Purpose Statement:企業が社会的課題を解決するために行う活動や目標)として、「商取引を自由にする決済インフラで再び日本を強くする」をビジョンに掲げている。お金をつなぐ革新的なサービスを通じて社会課題を解決し、中小企業や基幹産業が持つ本来の力を発揮できるよう、お金の流れを潤滑にすることで商取引の円滑化と新たな価値の創出を目指す。具体的には、前年営業キャッシュ・フローの金額をもとにした資本配分基準を新たに設定し、新規事業の育成、既存事業のさらなる拡大、M&AやCVCへの投資を実施することで成長を加速化する。前年営業キャッシュ・フローの金額をもとにした資本配分基準として、純資産50億円までは前年営業キャッシュ・フローの金額の15%を事業投資に充当(うち、20%を新規事業、80%を既存事業)し、純資産50億円を超えた段階で前年営業キャッシュ・フローの金額の20%を目安に投資を実施する。新規事業領域の選定基準は、成長市場でかつ先行する競合先が少ないかどうかで判断する。既存事業への投資は、新たなマーケティング手法やサービスの機能拡張のための開発投資、営業領域の拡大、人材獲得・教育費用などが含まれる。従来は成長投資の実行基準を明確に定めていなかったため、前年営業キャッシュ・フローの金額に対する事業投資の配分はわずか2%の水準にとどまっていた。今回の投資ルールの明確化により積極的な成長投資が可能となり、既存事業の成長加速と新規事業の開発・育成スピードが加速するものと見られる。M&A、CVC資金については、純資産50億円以下で前年営業キャッシュ・フローの金額の65%、50〜100億円で50%、100億円超で30%を内部留保し、大型M&A案件や有望なCVC投資の機会に備える。株主還元については、純資産の増加に伴い還元率を段階的に引き上げる方針で、純資産が50億円となるまでは前年営業キャッシュ・フローの金額の20%、50〜100億円で30%、100億円超で50%を目安に配分する。還元率については目安の水準を下回る場合もあり、基本的には「連続増配」を目指す方針だ。なお、新規事業、既存事業、M&A、CVCの回収期間を明確にした投資判断基準もそれぞれ設定した。新規事業は、単年度営業キャッシュ・フローが5年以内に黒字化、累計営業キャッシュ・フローが10年以内にプラス転換を達成できない場合は撤退も検討する。既存事業は、単年度営業キャッシュ・フローが3年以内に黒字化、累計営業キャッシュ・フローが5年以内にプラス転換とする。M&Aは、営業黒字でのれん負けしない(単年度営業利益>のれん償却額)企業を対象に検討してきたが、明確な投資ルール設定をしていなかったこともあり、実行できずにいた。新たに設定した投資基準では、M&A後の累計営業キャッシュ・フローがのれんを上回る期間が償却年数以内(基本5年間)で、のれん金額が純資産の40%未満となる企業を対象に検討する。これにより、直近で黒字化していなくても成長が見込める企業であればM&Aが可能になった。同社は既存事業の周辺領域を展開し、グループシナジーの創出が見込める企業を対象に検討する考えだ。CVCも同様に、既存事業とシナジーが見込める企業を対象とし、投資から5年以内に、含み益の金額が投資金額を上回る企業を対象とする。(2) 業績目標事業投資※を実施した場合に見据える業績目標として、2035年12月期に売上高150億円、営業利益24億円を目指す。10年間の年平均成長率は、売上高で17%、営業利益で13%となる(M&A効果は織り込まず)。売上高成長率については、今後5年間は新規事業の育成期間と重なるため10%台半ばの水準を維持し、2031年12月期以降は成長率を加速し、2035年12月期時点では20%台に乗せる考えだ。同社は、従来の投資方針を継続した場合、2035年12月期の成長率は6%台に減速すると試算している。※ 前年営業キャッシュ・フローの金額をもとにした資本配分基準による事業投資。新規事業については2026年に未収金管理・自動回収サービス、レベニューベースドファイナンス事業を立ち上げる計画であり、海外送金DXサービスについてもリリースに向け開発を進めている。既存事業のさらなる拡大とこれら新規事業立ち上げへの積極的な投資に加え、周辺事業のM&Aなども検討することで、加速度的な成長を目指す。なお、プライム市場への移行時期は、経常利益で約12.5億円、純資産で約40億円を達成した段階(2031〜2032年頃の見込み)で準備を開始し、それから2〜3年後に移行する計画である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:08
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(7):上方修正した2025年12月期業績はなお上振れ余地あり
*13:07JST ロボペイ Research Memo(7):上方修正した2025年12月期業績はなお上振れ余地あり
■ROBOT PAYMENT<4374>の今後の見通し1. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の業績は、売上高で前期比15.9%増の3,200百万円、営業利益で同42.8%増の685百万円、経常利益で同42.7%増の685百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同39.4%増の447百万円と期初計画から上方修正した。ペイメント事業、フィナンシャルクラウド事業ともに新規顧客の獲得が順調で、既存顧客のアクティビティも想定以上に増加し顧客単価の上昇が続いていること、さらには2025年7月より料金改定を実施※した効果も加わり、売上高は当初計画から49百万円増額修正した。一方、利益面でも事業拡大を見据えた投資を継続するものの、各種費用の節減に取り組んでいることや増収効果により、営業利益・経常利益で73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で25百万円の増額修正を行った。※ 「サブスクペイ(クレジットカード)」で月額1,500円、請求管理ロボで月額3,000円の値上げを実施した。なお、既存顧客に関しては契約内容や利用状況等を踏まえて個別に判断している(契約開始1年未満の顧客や、売上単価の大きい顧客等は対象外とした)。値上げが適用される顧客の割合は、2025年第1四半期末時点の顧客アカウント数の50%程度となる。通期計画に対する中間期の進捗率は売上高で48.8%、営業利益で56.1%となり、直近2期間の平均(売上高46.9%、営業利益47.3%)と比較すると、なお保守的な印象を受ける。半期ベースで見ると中間期に対して下期は売上高で76百万円の増加見込みであるのに対して、営業利益は83百万円の減少を計画している。販管費の主要項目では、広告宣伝費が横ばいとなる一方で、人件費が60百万円強、開発費が約20百万円増加する計画で、下期に営業利益が落ち込む要因となっているためだ。しかし、料金改定によるMRRへのプラスの影響額は、同社試算で約690万円(うち、サブスクペイで約560万円、請求管理ロボで約130万円)とされ、下期は料金改定効果で41百万円程度の増収増益要因となる。同社が毎月中旬に開示している月次売上高資料によると、2025年7月の売上高は前年同月比17.4%増の275百万円(うち、サブスクペイ166百万円、請求管理ロボ108百万円)となった。前月比では3百万円の増加にとどまり、料金改定効果が6.9百万円あったことを考慮すると、増加額は少ないように見える。これは6月に通常より多い4百万円のショット売上があったことが影響したと見られる。この要因を除けば、料金改定効果分はほぼ同社の試算通りに反映されたようだ。また、8月についても同15.9%増の278百万円と順調に推移した。下期の修正後売上計画は前年同期比12.5%増であるため、2025年7~8月の滑り出しは順調だと言える。同社の業績計画は過去実績から保守的に出す傾向があるため、今後市場に急激な変化がなければ、修正計画をやや上回るペースで推移する可能性が高いと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:07
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(6):自己資本比率は実質60%台で財務内容は健全
*13:06JST ロボペイ Research Memo(6):自己資本比率は実質60%台で財務内容は健全
■ROBOT PAYMENT<4374>の業績動向2. 財務状況と経営指標2025年12月期中間期末の資産合計は前期末比862百万円増加の7,469百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では預り金の増加に伴い現金及び預金が2,216百万円増加し、前渡金が1,365百万円減少した。固定資産ではソフトウェア資産の償却が進んだことで無形固定資産が42百万円減少したほか、投資有価証券の時価が下落したことにより投資その他の資産が39百万円減少した。負債合計は前期末比960百万円増加の6,421百万円となった。主にペイメント事業における顧客からの預り金が947百万円増加したことによる。純資産合計は同97百万円減少の1,048百万円となった。中間純利益268百万円を計上した一方で、2025年2月に自己株式121,800株を319百万円で取得したことによる。経営指標では、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の17.2%から13.9%に低下したが、この数値には「サブスクペイ」の資金フローによる影響が反映されており、実質的な自己資本比率よりも低い水準になっている点には留意する必要がある。これは、顧客企業の売上代金が、各決済事業者から同社に入金された後に最大50日間同社に滞留するためである。各決済事業者と同社の間では15日締め当月末払い、末締め翌月15日払いという入金サイクルが設定されているのに対し、同社からの顧客企業への出金サイクルは主に末締め翌月末払い、末締め翌々月20日払いであるためだ。顧客への売上代金は預り金として流動負債に計上され、相当する額を流動資産の現金及び預金に計上している。「サブスクペイ」の事業拡大とともに預り金の額も増加するため、自己資本比率が見かけ上、低い水準に抑えられている。こうした預り金の影響を除いた場合の自己資本比率は61.4%と高く、また無借金経営である。さらに、毎月継続的に収入が見込まれるリカーリング収益が売上高の98%を占めており、主力サービスが既に収益化していることなどから、財務の健全性は高いと弊社では判断している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:06
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(5):2025年12月期中間期業績は2ケタ増収増益と高成長持続
*13:05JST ロボペイ Research Memo(5):2025年12月期中間期業績は2ケタ増収増益と高成長持続
■ROBOT PAYMENT<4374>の業績動向1. 2025年12月期中間期の業績概要2025年12月期中間期の業績は、売上高で前年同期比19.6%増の1,561百万円、営業利益で同65.6%増の384百万円、経常利益で同66.0%増の385百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同67.0%増の268百万円となり、中間期として過去最高業績を更新した。「サブスクペイ」「請求管理ロボ」ともに顧客アカウント数、顧客売上単価が順調に伸長したことにより、売上総利益は同20.7%増の1,420百万円となった。人件費や広告宣伝費を中心に販管費は同9.7%増の1,036百万円と増加したが、増収効果により販管費率は前年同期の72.4%から66.4%に低下し、この結果、営業利益率も同17.8%から24.6%と過去最高水準に達した。(1) ペイメント事業ペイメント事業の売上高は前年同期比18.8%増の954百万円、セグメント利益は同52.0%増の483百万円となった。EC市場拡大の追い風を受け、「サブスクペイ」の既存顧客の取扱高が拡大したことや、新規顧客の獲得が順調に進んだことによりリカーリング収益が同18.8%増の933百万円と、過去最高水準に積み上がった。利益率はコストのかからない従量課金収入の伸びが高かったこともあり、前年同期の39.6%から50.7%に上昇した。なお、2025年6月時点のARRは同19.5%増の1,933百万円となっている。主力サービスとなる「サブスクペイ」の四半期ベースのKPIを見ると、2025年12月期第2四半期の売上高※は前年同期比19.5%増の499百万円となった。顧客アカウント数が同4.9%増の8,661件と順調に増加したほか、顧客単価が同13.3%増の18,511円と伸長したことが増加要因となった。顧客単価の上昇分の5割強は従量課金収入の伸びによるもので、残りは2024年7月に価格改定を実施したことや低料金プランの顧客比率が低下したことによる固定料金単価の上昇によるものとなっている。※ ペイメント事業のうち、CAT端末(クレジットカード決済端末)経由の決済売上高を除いたもの。決済取扱高は前年同期比10.8%増の59,607百万円となり、アカウント当たりの決済取扱高も上昇した。2024年12月期第3四半期以降、2四半期連続で前四半期比微減が続いていたが、新規顧客の寄与により2025年12月期第2四半期は再び増加トレンドに転じた。一方で、決済処理件数は同6.3%減の3,883千件と、前年同期比で減少に転じた。前四半期比では3四半期連続で減少したことになる。これには2つの要因がある。1つ目は、2024年第4四半期にクレジットカード会社の顧客審査基準が厳格化され、当該審査基準を満たさない顧客※の強制解約が2025年12月期第1四半期まで発生したことである。2つ目は、2025年に入ってセキュリティ対策強化のため、協会のルールで3Dセキュア機能の利用が必須化された際に(従来、オプション機能として提供していた)、顧客企業側での新機能実装の初期対応や、消費者による認証操作がスムーズでないケースが見られたため、一時的に決済件数が抑制されたことである。ただ、これらのマイナス要因は第2四半期で一巡したと見られ、第3四半期以降は上向く見通しとなっている。※ たとえば、カード決済利用契約の申請内容とは異なるサービスを行っていた事業者等で強制解約が発生した。(2) フィナンシャルクラウド事業フィナンシャルクラウド事業の売上高は前年同期比21.6%増の607百万円、セグメント利益は同4.7%増の111百万円となった。DXによる業務効率向上に取り組む企業が増えるなか、バックオフィス業務の効率化に寄与する「請求管理ロボ」も新規顧客の獲得、並びに顧客の事業拡大による請求金額・件数の増加による顧客単価の上昇などによって、リカーリング収益が同22.1%増の596百万円と高成長が続いた。利益面では、営業体制強化による人件費増や新規顧客獲得のための広告宣伝費用の増加等により、利益率が前年同期の21.3%から18.3%に低下したものの、増収効果により増益を確保し、半期ベースで過去最高を更新した。なお、2025年6月時点のARRは同20.0%増の1,231百万円となっている。「請求管理ロボ」の四半期ベースのKPIを見ると、2025年12月期第2四半期の売上高は前年同期比21.4%増の313百万円となった。顧客アカウント数が同6.1%増の970件と順調に増加したほか、顧客単価が同12.0%増の104,850円と伸長したことが主因である。顧客単価の上昇は、2024年7月に価格改定を実施したことや大企業向けのサービスとなる「請求管理ロボ for Enterprise」の顧客数が増加したことによる固定料金単価の上昇、顧客の請求金額や請求書発行枚数の増加による従量課金収入の増加によるものである。請求金額は前年同期比40.1%増の258,300百万円と大幅増となった。第1四半期に請求金額の大きい新規顧客を獲得したことが主因である。請求書発行枚数は同17.1%増の1,336千枚となり、顧客数の増加や既存顧客の事業拡大に伴い順調に増加した。請求書1枚当たりの請求金額は前年同期の16.2万円から19.3万円と19.6%上昇したが、第1四半期に獲得した大手顧客の寄与によるものと見られる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:05
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(4):参入障壁の高いビジネスで顧客拡大と顧客単価上昇により2ケタ成長を続ける(2)
*13:04JST ロボペイ Research Memo(4):参入障壁の高いビジネスで顧客拡大と顧客単価上昇により2ケタ成長を続ける(2)
■ROBOT PAYMENT<4374>の会社概要(1) ペイメント事業ペイメント事業では、主に消費者向けにインターネット上で販売等を行う事業者やBtoBビジネスを行う事業者向け決済サービスとなる「サブスクペイ」を提供している。加盟店(以下、顧客)に代わり同社が一元して金融機関やカード会社など各決済事業者との契約手続きや決済情報連携を行うことで、顧客がこうした手続きの手間や時間を割くことなく、クレジットカード決済やコンビニ収納、口座振替、銀行振込等の様々な決済手段を利用できるようになる。サービスは、サブスクビジネスで求められる柔軟な課金設定(課金周期や契約期間、課金日、無料お試し期間等の任意設定・変更)機能を実装し、これら設定作業を容易に行えるよう設計されたUI/UXを特長としている。これにより、顧客の決済関連業務の負担を大幅に軽減できる。さらに、顧客のサービスを利用する会員の解約防止やリピート促進など、LTV最大化を図る施策を講じることができる顧客管理機能を搭載している。料金体系は、月額固定のシステム利用料やオプション料金に加え、従量課金として決済取扱高に応じた決済手数料(2.65%~)、決済処理件数に応じた手数料(5円/件)があり、顧客の事業が拡大することで同社の売上も増加する仕組みを構築している。2025年6月時点のKPIを見ると、顧客アカウント数は8,661件、顧客単価※1は18,511円、解約率※2は0.44%となっている。顧客単価のうち月額固定料金は9千円程度で、クレジットカード決済機能も利用できる標準的な料金は1.2~1.3万円だが、口座引き落としのみ利用可能なプランは3~4千円となっている。2020年6月時点の顧客アカウント数4,868件、顧客単価10,661円からいずれも右肩上がりに上昇している。※1 1アカウント当たりの月間リカーリング収益(月間売上高から初期費用を除いたもの)。※2 金額で算出した解約率。「当月解約した顧客から発生していたリカーリング収益÷前月の全顧客のリカーリング収益」の2025年4月~6月までの各月の平均値。サブスクに特化した競合サービスはいくつかあるものの、機能の充実度や安定性、操作性、サポート体制などの点において顧客から高い評価を受けており、サブスク管理市場においてトップシェア製品となっている。解約率も0.4~0.5%と低く、解約理由も顧客のサービス終了など、顧客事由によるものがほとんどだ。新規参入障壁の高さも、高い収益性を維持できる一因となっている。特に、クレジットカード会社との包括加盟店契約の締結が非常に困難な点が挙げられる。契約締結には、各決済事業者とのシステム接続(ゲートウェイシステムの構築)、24時間体制のシステム保守、セキュリティ対応、安定した運用体制、法律や業界ルールへの対応が必須要件となり、通常は3~5年の時間を要するためだ。顧客の業種別構成比については、上位からスクール・eラーニング11.7%、組合・協会8.7%、募金・寄付8.3%、イベント・学会6.3%、フィットネスジム5.7%となっている。そのほか、定期購入サービスを提供する各種物販や不動産賃貸、メディアなどの業種にも利用されている。特定の業種や顧客に偏っていないため、景気変動の影響を受け難く持続的成長を実現している一因となっている。そのほかのサービスとして、「サブスクペイ」に対してさらに高度な顧客分析やアクションのレコメンド機能、顧客データの統合を可能とする「サブスクペイ Professional」を提供している。また、2022年には、事業者間の取引において請求書の支払いをカード払いにより最大60日間延長できるサービス「1click後払い」を開始し、2024年12月には最短3営業日で売掛金を回収できるサービス「1click早マール」の提供を開始するなど、決済関連サービスを拡充している。(2) フィナンシャルクラウド事業フィナンシャルクラウド事業は、請求書発行・送付から集金・入金消込・債権管理まで、毎月発生する請求管理業務を一気通貫で自動化・効率化するクラウドサービス「請求管理ロボ」を主力サービスとしている。そのほかにも、同社が請求管理業務をすべて代行し、売掛債権の保証も行う「請求まるなげロボ」や、2024年9月よりSaaS事業者の資金繰りを支援する「ファクタリングロボ for SaaS※」の提供も開始した。※ SaaS事業者が毎月請求するSaaS利用料を最短5営業日で、最大1年間分まとめて現金化できるサービス。与信審査から請求書の発行・送付、入金消込、督促などの請求業務を一括請負い、売掛金を100%保証する。顧客は「請求管理ロボ」を導入することで請求関連業務の負担を大幅に軽減することが可能となる。料金体系は、月額固定のシステム利用料やオプション料金のほか、従量課金として請求金額に応じた決済収益や請求件数に応じた手数料(100件ごとに課金)、まるなげ債権金額に応じた手数料(債権金額の2%~)が設定されている。顧客の事業が拡大することで同社の売上も増加する仕組みとなっている。2025年6月時点のKPIを見ると、顧客アカウント数は970件、顧客単価は104,850円、解約率は0.74%である。2020年6月時点の顧客アカウント数395件、顧客単価63,574円からいずれも右肩上がりに上昇している。顧客単価のうち月額固定料金は7~8万円程度で、競合サービス※と比較するとやや割高だが、サービス範囲の広いことが要因である。「サブスクペイ」同様、顧客満足度が高く、一度導入すると顧客事由による解約を除けば継続率はほぼ100%となっている。※ ラクス<3923>が提供する「楽楽請求」は月額3.5万円~。顧客の業種別構成比については、上位から不動産12.7%、SaaS11.4%、人材紹介8.8%、士業事務所7.4%、医療・美容5.7%と幅広い。なかでも、バックオフィスのリソースが不足しているベンチャー企業や、大企業のグループ傘下にある新規事業会社、コンサルティング会社などが比較的多い。「サブスクペイ」同様に特定の業種や顧客に偏っていないため、景気変動の影響を受け難く持続的成長を実現している一因となっている。(3) 同社の強み同社の強みは、毎年獲得した顧客がもたらす売上総額が減らずに永続的に積み重なる収益構造を確立していること(リカーリング収益比率で98%)、競合の新規参入が難しいため新規顧客を継続的に獲得できていること、顧客の業種が多岐に広がっているため、特定業種の好不況の影響を受けにくいことの3点が挙げられる。これらが持続的な収益成長を支えている要因となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:04
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(3):参入障壁の高いビジネスで顧客拡大と顧客単価上昇により2ケタ成長を続ける(1)
*13:03JST ロボペイ Research Memo(3):参入障壁の高いビジネスで顧客拡大と顧客単価上昇により2ケタ成長を続ける(1)
■ROBOT PAYMENT<4374>の会社概要2. 事業内容同社の事業セグメントは「サブスクペイ」を主力とするペイメント事業と、「請求管理ロボ」を主力とするフィナンシャルクラウド事業で構成されている。2020年12月期以降の業績推移を見ると、売上高は両事業とも年率2ケタ成長で拡大しており、年平均成長率ではペイメント事業が23.1%、フィナンシャルクラウド事業が33.0%となっている。安定して高成長を続けている要因として、両市場ともに潜在市場が大きく顧客獲得が順調に進んでいることに加えて、参入障壁の高いビジネスモデルを背景に、固定利用料金や従量課金収入といったリカーリング収益比率が高く、安定的な収益基盤を持つ点が挙げられる。さらに、顧客基盤の拡大に加え、顧客単価(固定利用料及び従量課金収入)の着実な上昇が収益成長を後押ししている。これは、従量課金額に影響する決済取扱高や決済処理件数、請求金額や請求件数などが顧客企業の成長と連動して増加する仕組みとなっているためだ。一方、セグメント利益の推移を見ると、ペイメント事業は2022年12月期に人員の大幅増強(前期末比24名増の43名)で減益となった以外は安定して伸びている。利益率は2024年12月期で43.0%と高水準となった。一方、フィナンシャルクラウド事業は2022年12月期まで損失が続いたが、2023年12月期以降に収益化して以降は増益基調にある。ただし、2024年12月期の利益率は17.3%とペイメント事業と比較して低水準となっている。リカーリング収益比率は両事業とも約98%と同水準である。「サブスクペイ」がコストのかからない従量課金の比率が5割強であるのに対して、「請求管理ロボ」は2割弱と相対的に低くなっていること、また、両事業部門の人員数はともに53名と同じ水準であり、人件費比率が高いことも一因と見られる。「請求管理ロボ」は企業の請求関連業務のワークフローを刷新するため、システムの安定稼働が必要であり、コンサルタントが導入から3ヶ月ほど伴走支援している。人手がかかるものの、一旦稼働するとほかのシステムへのリプレイスは難しくなり、解約率の低さ(2025年12月期中間期で0.74%)につながっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:03
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(2):2000年創業のIT企業。「サブスクペイ」「請求管理ロボ」で成長
*13:02JST ロボペイ Research Memo(2):2000年創業のIT企業。「サブスクペイ」「請求管理ロボ」で成長
■ROBOT PAYMENT<4374>の会社概要1. 会社沿革同社は米国IT企業の日本法人として、インターネット決済業務を目的に2000年10月に設立された。当時はEC市場が立ち上がりつつあったが、既にインターネット決済サービス事業者としてGMOペイメントゲートウェイ<3769>やデジタルガレージ<4819>の子会社である(株)DGフィナンシャルテクノロジー(旧 ベリトランス(株))が参入し、一定のポジションを確立していた。同社はECの中でも定額課金などサブスクサービスを提供するEC事業者向けに特化した製品を開発し、市場に参入する方針を固めた。米国本社からエンジニアを招き、アジャイル開発手法を用いて「サブスクペイ」の原型となる製品を開発し、2001年5月にサービス提供を開始した。サブスクサービスに必要な機能(料金プランの変更、課金タイミングの設定等)を充実させたことで競合サービスとの差別化を図り、使い勝手の良いシステムとして認知度が徐々に広まり顧客を獲得していった。特に、2020年のコロナ禍を契機として、オンライン型の教育サービスやフィットネスジム、ヨガスクールなどの市場が拡大し、個人事業主など対象顧客が広がったことで成長スピードも加速した。一方で、第2の柱を育成すべく「サブスクペイ」とのシナジーが見込める新規サービスとして、請求・債権管理システム「経理のミカタ(現 請求管理ロボ)」を開発し、2014年8月にサービス提供を開始した。月間の請求書発行枚数が100枚以上となるBtoB事業者を主なターゲットとしたサービスで、請求書発行から決済(集金)、入金消込、債権管理までの毎月の請求管理業務を一気通貫で自動化し、バックオフィスの管理業務効率化を支援するサービスとして徐々に顧客を獲得していった。こちらも2020年以降、企業のDX投資が活発化するなかで普及が進み、さらに2023年のインボイス制度導入によって請求書の電子保存が義務付けられるようになったことで、需要が一段と拡大した。同社では「サブスクペイ」「請求管理ロボ」を主力サービスに据え、これらとシナジーが見込める周辺サービスを拡充しながら事業拡大に取り組んでいる。2021年9月には東京証券取引所マザーズ(現 東証グロース市場)に株式上場を果たし、今後企業価値の向上に取り組むことで、最終的にはプライム市場への上場を目指す意向である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:02
注目トピックス 日本株
ロボペイ Research Memo(1):「サブスクペイ」「請求管理ロボ」がけん引し、2ケタ増収増益基調が続く
*13:01JST ロボペイ Research Memo(1):「サブスクペイ」「請求管理ロボ」がけん引し、2ケタ増収増益基調が続く
■要約ROBOT PAYMENT<4374>は、サブスクリプション(以下、サブスク)ビジネスに特化したインターネット決済サービス「サブスクペイ」と請求管理業務(請求書発行、決済、入金消込、債権管理)を自動化する「請求管理ロボ」を主力サービスとして展開している。システム利用料や従量課金収入など継続的に収入が発生するリカーリング収益の比率が全体の約98%を占め、顧客数の積み上げと顧客当たり売上単価の上昇により、持続的な成長を続けている。2021年9月に東京証券取引所マザーズ(現 東証グロース)市場に株式上場した。1. 2025年12月期中間期の業績概要2025年12月期中間期(2025年1月~6月)の業績は、売上高で前年同期比19.6%増の1,561百万円、営業利益で同65.6%増の384百万円と2ケタ増収増益となった。サブスクビジネスの市場拡大を追い風に「サブスクペイ」の新規顧客獲得及び既存顧客の取扱高が順調に増加したほか、「請求管理ロボ」もバックオフィス業務の効率化やインボイス制度の開始など請求書を電子化して保存するニーズの高まりを受け、新規顧客の獲得が進んだ。2025年6月末時点の顧客アカウント数は「サブスクペイ」が同4.9%増の8,661件、「請求管理ロボ」が同6.1%増の970件、顧客単価は「サブスクペイ」が同13.3%増の18,511円、「請求管理ロボ」が同12.0%増の104,850円といずれも過去最高を更新し、全体のARR※は同19.6%増の3,164百万円となった。※ ARR:Annual Recurring Revenueの略で、2025年6月単月のリカーリング収益×12で算出。2. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の業績は、売上高で前期比15.9%増の3,200百万円、営業利益で同42.8%増の685百万円と期初計画(売上高3,150百万円、営業利益611百万円)から上方修正した。新規顧客獲得が順調に進んでいるほか、既存顧客のアクティビティ増加により顧客単価が想定を上回るペースで伸びていること、また2025年7月より価格改定を実施したことが増額要因となる。価格改定により約40百万円の増収増益要因となる見込みだ。中間期の通期計画に対する進捗率は売上高で48.8%、営業利益で56.1%となっており、直近2期間の実績(売上高46.9%、営業利益47.3%)※と比較するとやや保守的な計画となっている。下期に人件費や開発費の増加を見込んでいるが、市場環境に大きな変化がなければ、売上高・営業利益ともに上振れする可能性が高いと弊社では見ている。※ 2023年12月期と2024年12月期を合算した中間期÷通期業績で算出。3. 長期経営戦略と株主還元方針同社は2025年10月10日付で、長期経営戦略を発表した。2023年以降、利益重視の経営を推進してきたことで売上高成長率が鈍化するといった課題が浮き彫りとなった。こうした状況を打破するため、明確な成長投資の実行基準を設けて成長投資を実施し、増益を維持しながら売上高成長を加速させる戦略である。前年営業キャッシュ・フローの金額をベースに事業投資、株主還元、M&A・CVC(Corporate Venture Capital)資金の資本配分基準を定めて成長投資を実行する。従来の投資方針を継続した場合、売上高成長率は10年後に6%台の水準まで減速する見込みだが、新たな投資方針の実行により、当面は10%台半ばの成長率を維持し、2035年には20%台を見据える。同戦略により、2035年12月期の業績は売上高で150億円、営業利益で24億円とそれぞれ2024年12月期の約5倍を見据える(M&A効果を織り込まず)。株主還元方針は「連続増配」を基本とし、2025年12月期の1株当たり配当金は前期比7.0円増配の22.0円を予定している。また、2025年10月に創立25周年を迎えるにあたり、記念株主優待の導入も発表した。2026年3月末時点で100株以上保有の株主に対し、一律3千円分のデジタルギフトを贈呈する。今後も継続保有株主には株主還元を検討しているようだ。■Key Points・2000年創業のIT企業。「サブスクペイ」「請求管理ロボ」で成長・2025年12月期中間期業績は2ケタ増収増益と高成長持続・増益を維持しながら売上高成長加速を目指す、長期経営戦略を策定・「連続増配」が基本方針。創立25周年を記念し、記念株主優待の実施を発表(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
2025/10/20 13:01
注目トピックス 日本株
ジャパン・ティッシュエンジニアリング:再生医療等製品の適応を拡大し成長フェーズへ
*12:58JST ジャパン・ティッシュエンジニアリング:再生医療等製品の適応を拡大し成長フェーズへ
ジャパン・ティッシュエンジニアリング<7774>は、日本で初めて再生医療等製品の商用化を実現した企業であり、再生医療分野を牽引する存在である。同社は「再生医療製品事業」「再生医療受託事業」「ラボサイト事業」の3事業を展開する。前者では重症熱傷治療に用いる自家培養表皮「ジェイス」や、変形性膝関節症などを対象とする自家培養軟骨「ジャック」、メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」などの製品群を持ち、患者自身の細胞を用いた治療を提供している。こうした製品はこれまでの医薬品や医療機器で治療が難しかった一部の傷病にとっての新たなソリューションとなる。再生医療受託事業では、培った技術を活かし他社製品の開発・製造を受託。さらにラボサイト事業では動物実験代替として研究用培養組織を提供し、化粧品や創薬分野の試験ニーズに応えている。これら複数事業の相乗効果により、同社は再生医療の社会実装を推進している。同社の強みは、第一に、再生医療のパイオニアとして自家培養表皮「ジェイス」の国内第1号の承認取得をはじめとする豊富な開発実績とそのノウハウを持つことである。累計3,000例を超える治療提供実績があり、高度な再生医療を保険適用を見据えながら展開できる数少ない企業である。保険適用の対象となることは非常にハードルが高いこととされているが、現時点で同社の5製品がすでに保険適用となっている。第二に、再生医療に関連する各機関との深いネットワークを持つ点である。黎明期から医療機関や規制当局と深く連携して日本の再生医療の仕組みをつくってきた同社は、常に医療現場や政府からの恒常的なフィードバックを得ており、それらを活かした高度なソリューション設計が可能である。第三に、プラットフォーマーとして製造から薬事、販売後対応までを自社で一貫して担う体制を構築しており、品質の安定化とコスト効率の向上を同時に実現している点である。再生医療等製品は使用期限などもシビアであるため、配送まで総合的にコーディネートすることで高い規格を満たす生産体制を構築することができている。2026年3月期第1四半期の業績は、売上高426百万円(前年同期比3.6%減)、営業損失244百万円(前年同期は193百万円の損失)となった。再生医療製品事業のうち、皮膚領域では「ジャスミン」の売上は進捗したものの、「ジェイス」の熱傷症例の一時的な減少で減収となった。軟骨領域「ジャック」も一部施設での利用が停滞したが、変形性膝関節症への保険適用の手続きが進展しており、その進捗次第で今後の急拡大が期待できる。再生医療受託事業は100百万円(同16.3%増)と増収となり、帝人との協業や他社からの受託が拡大した。またラボサイト事業も欧州での需要増を受け63百万円(同17.1%増)と大きく成長している。通期では売上高2,900~3,100百万円、営業利益100~200百万円の黒字転換を計画している。「ジャック」の保険適用は12月頃を想定しており、実現すれば大きく業績に寄与するものとみられる。また「ジャスミン」については広報や導入医療機関の増加を加速させており、これらの主力製品の売れ行きが計画通りに伸びれば同社は新たな収益拡大フェーズに突入する。今後の成長見通しとして、中期経営計画では2028年3月期に売上高50億円、営業利益率10%の達成を掲げる。重点施策として、「ジャック」の変形性膝関節症適応拡大、同種培養表皮「Allo-JaCE03」の2027年3月期上市などを成長ドライバーと位置づける。特にジャックの保険適用が実現すれば普及速度が大幅に上がることが見込まれ、すでに導入済みの医療機関を起点にしながら積極的に拡販を進めていく。こうした主力製品の売上が安定成長期に入ると、同社としてのプロモーション施策、他の再生医療企業との連携、海外展開などがさらなる成長のためのオプションとなる。海外展開においては、再生医療のプラットフォーマーとして海外患者の日本での治療・海外医療現場での活用という双方向の導入を拡大していくこととしている。株主還元については、2026年3月期も無配を予定しているものの、黒字転化後には配当を開始する方針を示している。配当開始後も中期的には成長フェーズが続くため、まずは研究開発や設備投資を通じて長期的な収益基盤の確立を優先しつつ、業績向上に応じた株式還元を継続的に実施していく。総じて、同社は再生医療製品事業における新規製品の上市や適応拡大を軸に成長ドライバーを確立しつつ、受託事業・ラボサイト事業の拡大で収益基盤を多角化し、また積極的な海外展開も見据えている。これまで築いてきたパイオニアとしての信頼・プラットフォーマーとしての生産体制を武器に、再生医療でこれまでになかった治療法を創出し続け、またより一層の成長を目指す姿勢は明確であり、今後の黒字転換と再生医療市場の成長に向けた進捗に注目したい。
<HM>
2025/10/20 12:58
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅反発、ソフトバンクGとファーストリテの2銘柄で約427円押し上げ
*12:48JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は大幅反発、ソフトバンクGとファーストリテの2銘柄で約427円押し上げ
20日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり216銘柄、値下がり8銘柄、変わらず1銘柄となった。日経平均は大幅反発。1388.25円高の48970.40円(出来高概算8億3361万株)で前場の取引を終えている。17日の米国株式市場は反発となった。ダウ平均は46190.61ドルと前日比238.37ドル高、ナスダック総合は22679.98と117.44ポイント高で引けた。背景には、ドナルド・トランプ米大統領が対中通商協議に前向きな姿勢を示したことで貿易摩擦への警戒が後退したほか、地銀決算の想定超えも買い戻しを誘ったとの見方がある。米株式市場の動向を横目に、20日の日経平均は750.56円高の48332.71円と反発して取引を開始した。東京株式市場の寄付き後は、米中通商懸念のいったん緩和に加え、円相場の対ドルでおおむね149円台半ばからの上げ幅を維持する中、投資家心理が改善。主力ハイテク関連および輸出関連が買われる一方で、地政学リスクや米長期金利上昇の警戒も残存したが、堅調な値動きのまま前場終値に至った。需給面では寄付き直後の買い先行から、利食い・ポジション調整も交えた循環物色の様相が窺えた。値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位はファーストリテ<9983>となり、2銘柄で日経平均を約427円押し上げた。また、日経平均構成銘柄の上昇率トップは安川電機<6506>で8.00%高、同2位はファナック<6954>で6.27%高だった。一方、値下がり寄与トップは良品計画<7453>、同2位はベイカレント<6532>となり、2銘柄で日経平均を約12円押し下げた。また、日経平均構成銘柄の下落率トップも良品計画で3.96%安、同2位は住友鉱<5713>で2.57%安だった。*11:30現在日経平均株価 48970.40(+1388.25)値上がり銘柄数 216(寄与度+1404.41)値下がり銘柄数 8(寄与度-16.16)変わらず銘柄数 1○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG 24315 1285 259.60<9983> ファーストリテ 53660 2080 168.08<6857> アドバンテ 17370 500 134.68<8035> 東エレク 31400 1320 133.34<6762> TDK 2359.5 104 52.53<6954> ファナック 4730 279 46.97<6098> リクルートHD 7770 354 35.76<6988> 日東電工 3771 123 20.71<6758> ソニーG 4422 122 20.54<9766> コナミG 22375 570 19.19<5803> フジクラ 16965 520 17.51<4543> テルモ 2538.5 61.5 16.57<7832> バンナムHD 4824 162 16.36<7974> 任天堂 12930 460 15.49<6920> レーザーテック 21650 1130 15.22<6971> 京セラ 2047 55 14.82<9433> KDDI 2402 34 13.74<4519> 中外製薬 7005 124 12.53<4568> 第一三共 4112 116 11.72<6506> 安川電機 4507 334 11.25○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<7453> 良品計画 3007 -124 -8.35<6532> ベイカレント 7437 -130 -4.38<5713> 住友金属鉱山 5308 -140 -2.36<6723> ルネサスエレクトロ 1905 -17 -0.57<6526> ソシオネクスト 2897 -8 -0.27<5714> DOWA 5663 -28 -0.19<9503> 関西電力 2252 -9.5 -0.03<9502> 中部電力 2117.5 -3 -0.01
<CS>
2025/10/20 12:48
注目トピックス 日本株
共同印刷:非印刷分野への拡大で収益基盤を強化
*12:33JST 共同印刷:非印刷分野への拡大で収益基盤を強化
共同印刷<7914>は、情報コミュニケーション、情報セキュリティ、生活・産業資材を主要事業とする総合印刷会社であり、出版印刷から商業印刷、パッケージ、セキュリティ関連製品まで幅広い分野を展開している。長年培った印刷・加工技術を基盤に、近年は非印刷領域への事業シフトを進め、知的財産を活用したコンテンツビジネスやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を拡大している。特にカードや乗車券、セキュリティ印刷など公共性の高い分野で高い信頼を獲得しており、社会インフラを支える企業としての位置付けを強めている。同社の強みは、(1)長年培ってきた高度な印刷・セキュリティ加工技術により、金融・交通・公共向けの高信頼製品を安定的に供給できる点、(2)パッケージや軟包装分野での強固な顧客基盤と材料加工技術を活かした新製品開発力、(3)BPOやデジタル制作といった非印刷事業を育成し、収益源を多様化しつつ既存の印刷事業とのシナジーを生み出している点、(4)財務面では自己資本比率が50%を超える健全性を確保し、持続的成長のための投資余力を有している点にある。これらの強みは景気変動や業界構造変化に対しても事業基盤の安定性を高め、長期的な競争力を下支えしている。2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高23,872百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益463百万円(同154.1%増)と増収増益なった。特に、中期的に進んでいた原材料費の高騰に対して、それに応じた適正な価格改定を進めたことが増益につながった。セグメント別では、情報コミュニケーション部門が定期刊行物やカタログの減少で売上7,197百万円(同5.8%減)、営業損失361百万円と厳しい環境が続いた。一方、情報セキュリティ部門は訪日外客増による乗車券や交通系ICカードの伸長で売上7,817百万円(同3.8%増)を確保したが、材料費転嫁の遅れ等で営業利益は462百万円(同15.2%減)となった。生活・産業資材部門は即席麺向けフィルム包材や化粧品向けチューブが好調で、売上8,297百万円(同2.5%増)、営業利益466百万円(同45.1%増)と大幅な増益を実現した。通期予想については、売上高103,500百万円(前期比3.5%増)、営業利益2,800百万円(同20.1%増)を据え置いている。進捗率を見ると、営業利益は1Q時点で16.5%程度と低水準に見えるが、元々下期偏重型であることに加え、政策保有株式売却益の計上や価格是正が進展していることから、計画達成の蓋然性は高いとみられる。加えて、生活・産業資材分野の安定成長や交通関連需要の拡大が通期を下支えする見込みである。同社は2025年に新たな長期ビジョン「NexTOMOWEL2034」を策定し、2034年度に連結営業利益120億円を達成することを目標として掲げる。その第一フェーズである3カ年(2025~2027年度)の中期経営計画では営業利益45億円、ROE8%などを定量目標とし、既存事業の基盤強化と成長領域における事業期の拡大の足場固めを進めている。非印刷領域の拡大や海外展開の強化を通じ、印刷依存型から高付加価値型ビジネスモデルへの転換を加速させており、特に成長ドライバーとして(1)パッケージ事業を東南アジアを中心とする海外市場で展開する「海外パッケージ」の拡大、(2)「機能性材料」を医療分野向けなどに広げ多角化していくこと、(3)「産業用包材」を半導体・精密機器分野で伸ばすことを計画しており、既存事業の強みを応用しつつ長期的な戦略に沿って着実に事業領域を広げている。株主還元については、DOE3.5%を目安とした安定配当を掲げており、今期予想配当額は1株当たり76円となっている。自己資本比率50.9%と財務の健全性は高く、M&Aなどの積極的な成長投資と株主還元の両立が可能な余力を持つ。また直近のPBRは約0.7倍、配当利回りは約4.8%となっており、投資妙味が高いと言える。総じて、同社は安定した財務基盤と強固な顧客基盤を活かし、パッケージやセキュリティ関連を中心とした事業の成長を推進しており、今後の業績拡大と持続的な成長シナリオに注目していきたい。
<HM>
2025/10/20 12:33
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(9):2025年12月期も1株当たり30円配当予定。今後DOE2%以上目標に増配図る
*12:09JST 井関農 Research Memo(9):2025年12月期も1株当たり30円配当予定。今後DOE2%以上目標に増配図る
■株主還元策井関農機<6310>は、株主に対する安定的な配当を重要政策の1つとしている。持続的な事業活動の前提として、財務の健全性の維持向上を図りつつ、収益基盤や今後の事業展開、経営環境の変化などを総合的に勘案したうえで、安定的な配当を継続していくことを基本方針としている。なお、剰余金の配当は期末配当の年1回としており、配当の決定機関は株主総会としている。以上から、同社は毎期1株当たり配当金30.0円を継続しており、2025年12月期の1株当たり配当金も30.0円を予定している。また、プロジェクトZのなかで、DOE2%以上を目標に徐々に増配を図る考えで、特に2028年12月期以降は株主還元を強化する方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:09
注目トピックス 日本株
INEST---子会社エフエルシープレミアムがKDDIとの代理店業務委託契約による一次代理店業務開始
*12:08JST INEST---子会社エフエルシープレミアムがKDDIとの代理店業務委託契約による一次代理店業務開始
INEST<7111>は9日、子会社のエフエルシープレミアムがKDDI<9433>と代理店業務委託契約を締結し、一次代理店として業務を開始したことを発表した。同社グループは2025年6月26日に公表した「INESTグループ中期経営計画(FY24~FY28)」において「ストック利益の最大化」を重点戦略として掲げている。その達成の中核の一つである「店舗販売×ライフコンサルティング」ではFY2028までに店舗数を2倍以上に拡大する計画を推進している。昨今、店舗の収益性が低下し、統廃合が進行している中、初回来店を起点としたライフイベントごとの価値提供や、定期的なリアル接点を持つ店舗網の拡充を通じて、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指している。その基盤となるのは、同社の企業理念を体現する「信頼資産」であり、他社との差別化要因として持続的成長を支える競争力となっている。今回の一次代理店契約は、KDDIとの直接的なパートナーシップを通じて販売展開力・サービス提供力の強化に直結する。これにより、同社グループがFY2028において掲げる売上収益250億円・営業利益20億円という中期経営計画の目標達成に向けた成長基盤がさらに強固なものになるとしている。同社グループは、「通信のその先へ」を見据え、店舗販売を起点としたライフコンサルティング事業の深化を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指す。
<NH>
2025/10/20 12:08
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(8):2025年12月期の通期予想を上方修正
*12:08JST 井関農 Research Memo(8):2025年12月期の通期予想を上方修正
■井関農機<6310>の業績動向3. 2025年12月期の業績見通し2025年12月期の業績については、売上高が175,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益が3,500百万円(同82.3%増)、経常利益が2,600百万円(同64.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,800百万円(前期は3,022百万円の損失)を見込んでいる。中間期業績が好調だったことから、通期見通しを売上高で5,000百万円、営業利益で900百万円、経常利益で800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で500百万円、それぞれ上方修正した。エリア別の通期売上高予想は、中間期の業況を考慮し、国内が6,500百万円の上方修正により120,000百万円、海外が1,500百万円の下方修正により55,500百万円とした。国内において、「大型」「先端」「畑作」「環境」という成長戦略により引き続き事業強化を図る。このうち「先端」では、最終的にはロボット化がカギとなるが、足元で実需が期待できるアシスト機に注力する。「畑作」では、作業機を軸とし、特に北海道で得意とする輸入大型作業機を本州以南に横展開する。「環境」では、差別化の進んでいる可変施肥田植機やアイガモロボを軸に販売を強化する。また、成長戦略の一環として国内草刈市場の開拓を進め、欧州で好評の乗用草刈機などの景観整備商品を国内市場へ投入していく。海外は下方修正となったが、欧州とアジアが貢献して通期では前年比増収に転じる見込みだ。欧州ではPTC社の連結を機に、製品販売に加えサービス収入を取り込むとともに、景観整備でプロやコンシューマー向けの潜在的需要を捉えた商材・ラインナップを拡充し売上拡大を図る。また、連結子会社3社をコアとして新たな地域への事業展開を図る一方、在庫の一元管理や効率化などによりサプライチェーン全体の最適化を進め、コスト削減と迅速な商品の供給を進める。米国では、OEM供給先であるAGCO社と連携して新商品の投入など各種施策を強化するとともに、中長期的な視点に立った戦略を検討する。市場は引き続き厳しいが、北米減収の全体業績への影響は軽微と見ている。アジアは、人口が増加するインドネシアで引き続き受注の獲得を推進する。韓国は農業自体が厳しい状況だが、同社の製品が大型高性能機のため影響は小さいと見ている。同社は、もともと上期偏重のうえ2025年12月期上期の業況が強く、また2025年7月の価格改定の前倒し需要もあったため、上方修正後も2025年12月期の業況をやや厳しく見ていた。しかし、上期の受注残が多かったうえ、新米価格が高水準を維持する見込みとなったため農家の投資意欲は引き続き高い状況にある。加えて、2025年7月の実績が前倒し需要の反動も小さく手応えは順調だったようだ。2026年12月期については、前倒し需要の影響が残ることを慎重に見るべきかもしれないが、米価が引き続き強めに推移していること、2025年12月期上期の受注残の一部が売上として計上されること、プロジェクトZの効果がより大きくなること、北米以外の海外で順調な業況が予想されることから、増収増益、特に米価次第ではプロジェクトZの目標へさらに近づいていくと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:08
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(7):米価上昇を機に国内農機関連が急拡大
*12:07JST 井関農 Research Memo(7):米価上昇を機に国内農機関連が急拡大
■井関農機<6310>の業績動向1. 2025年12月期中間期の業績概要2025年12月期中間期の業績は、売上高が100,868百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益が4,356百万円(同97.1%増)、経常利益が3,792百万円(同53.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が3,273百万円(前年同期は644百万円の損失)となった。通期業績予想に対する進捗率は売上高で59.2%、営業利益で167.5%と、上期偏重とはいえ前期の54.1%、115.1%と比べて高くなったことから、通期業績予想を上方修正した。なお、主に固定資産売却益の計上と前年同期に発生した構造改革に伴う減損損失がなくなったことで、親会社株主に帰属する中間純利益の増益幅が大きくなった。日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続いた。一方で、米国関税政策の変化や地政学リスクの継続、物価上昇による景気下押しリスクなど、先行きは依然として不透明な状況にあった。国内の市場動向については、2021年以降の米価下落や生産資材費高騰により農家の農機への購買意欲は減退し続けていたが、2024年6月以降、減反政策のなかインバウンド向けなど需要が増加したことを背景に米価が急上昇、2025年は新米概算金が高値となるなど、米価は一定以上の水準を維持する見込みとなった。このため2025年は、農家の主食用米作付意向が大きく拡大、過去5年間で最大の生産量となる見込みだ。足元では、農政も需給ギャップの反転を中長期的なトレンド変化と捉え、実質的に減反から、需要に応じた生産へと舵を切った。こうした状況は、「大型」「先端」「畑作」「環境」という成長戦略を進める同社の戦略とマッチしており、国内では成長市場に経営資源を集中させ、海外では主力市場の需要を着実に捉えることで、収益性向上と事業拡大の同時進行を図った。この結果、国内の売上高が、原価高騰に対応した2025年7月の価格改定による前倒し需要を含め農機製品が大きく伸びて65,840百万円(前年同期比20.0%増)となり、為替影響もあって35,027百万円(同3.4%減)にとどまった海外売上高をカバー、全体で2ケタの増収を達成した。利益面では、2022年以降毎年続けてきた価格改定の効果は顕在化したものの、農機製品が大きく伸びたことによるミックス変化の影響などにより売上総利益率は低下した。一方、増収効果に加え構造改革を背景に販管費の伸びを抑制できたため、販管費率は大きく改善した。なお、プロジェクトZの効果については、合併や生産移管など一時費用の発生により、1億円と少額だったものの、一時費用は2025年のみ発生する見込みのため、効果は2027年12月期へ向けて時間とともに広がる見込みだ。コストダウンについては、変動費の削減や設計段階からの見直しなどを通じ、今後一層本格化する見通しである。なお、営業外損益は為替差益が為替差損に転じたため経常利益の伸びが低くなったが、特別損益で熊本地区の不動産売却に伴う固定資産売却益が発生し、前年同期の構造改革に伴う減損損失(熊本)がなくなったことなどから、親会社株主に帰属する中間純損益は大幅な増益となり黒字転換した。国内大幅増収、海外は堅調維持2. セグメントの状況エリア別では、国内で大幅増収、海外は主戦場の欧州で為替影響による悪化はあるものの堅調を維持した。国内の農機製品は、前述のとおり、米価上昇を背景に農家の投資意欲の高まりが続いたこと、さらに7月の価格改定を前にした駆け込み需要もあって、大幅な増収となった。なかでも機械の買い替え投資が多く、トラクタや耕うん機など整地用機械、田植機や野菜移植機といった栽培用機械、コンバインなど収穫調製用機械、ロータリーなど作業機が軒並み大きく伸びた。なお、駆け込み需要の反動については、2025年産新米価格の動向から投資意欲がさらに高まっていることなどから、会社想定より大きくないようだ。一方、収支構造改革の柱である補修用部品・修理整備などのメンテナンス収入が着実に伸長しており、大型物件の完工があった施設工事は政府による共同利用施設の再編集約・合理化支援もありベースとして堅調な動きである。海外は、欧州が現地通貨ベースでは増収となったものの為替影響で減収、米国は市場環境の悪化で減収、アジアは大幅な増収となった。欧州については、一部地域で高温・少雨の影響はあったが、物価上昇が一段落して需要が回復傾向となり、小売店の在庫レベルも調整が進んで資金繰りが改善してきたため、今後の販売増が期待される。ドイツでは前年の仕入れ商材における特需が剥落したものの、フランスで顧客ニーズを捉えて投入した電動新商材の販売が堅調に推移し、加えてイギリスPTC社の連結化によって物流や在庫一元管理の面でシナジーも発揮しつつある。北米の減収は、一部で米国関税問題の影響があるかもしれないが、コロナ禍で急増したコンパクトトラクタの需要一巡による市場の弱含みが要因だ。アジアは韓国とインドネシアが2ケタ増収をけん引した。韓国は、在庫調整が完了したことで輸入を再開できるようになったため、販売代理店が展示会を開催するなど販促策を強化した。大規模農業の進展に伴い、大型機械へのニーズは引き続き強いようだ。インドネシアは、食料安全保障や自給率の改善へと農業政策が見直されるなか、同社工場がインドネシアにある地の利を生かし、増加する政府・地方の入札を着実に確保できた。一方タイは、稲作市場とサトウキビ市場がともに低迷するなど厳しい環境にあったが、新製品投入や品揃え拡大など外部環境の影響を受けにくい法人向け営業を強化した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:07
注目トピックス 日本株
扶桑電通---ストップ高買い気配、業績予想を再度大幅上方修正
*12:06JST 扶桑電通---ストップ高買い気配、業績予想を再度大幅上方修正
<ST>
2025/10/20 12:06
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(6):2025年12月期の計画達成は射程圏。プロジェクトZは順調
*12:06JST 井関農 Research Memo(6):2025年12月期の計画達成は射程圏。プロジェクトZは順調
■井関農機<6310>の中期経営計画3. プロジェクトZの進捗2025年12月期中間期において、プロジェクトZによる利益発現効果は5億円、販売会社の統合費用や熊本から松山への生産移管費用など一時費用が4億円、ネットで1億円のプラスと計画どおりだった。2025年12月期通期では、効果発現が加速し利益発現効果は15億円で、一時費用は8億円にとどまり、ネットで7億円のプラスと効果が拡大する見込みだ。生産拠点再編では、国内製造所の建屋の新設(松山、重信、新潟)などに着手し、熊本から松山へのコンバイン移管作業は想定どおりで、販売会社の統合と在庫の圧縮も順調だった。開発の効率化は削減する機種・型式の選定が終了し実行フェーズに入り、経費削減は一部遅れているものの2025年12月期の計画達成は射程圏にある。成長戦略への基盤づくりでは、販社統合して設立したISEKI Japan、大規模企画室、在庫圧縮など計画以上に進捗した。経費削減では、想定していた人件費水準を確保したほか、業務仕分けを実行した。成長戦略に関して、海外では、英国代理店PTC社の連結を完了した欧州で、子会社3社の連携を強化しシナジー創出を推進している。また、商材・ラインナップの拡充や未開拓市場への進出にも着手した。国内では、販売会社の統合を契機に、欧州で好評の乗用草刈機を中心とする景観整備商品の展開を強化する。人手不足や作業者の高齢化、気候変動による草刈り回数の増加、熱中症リスクの拡大といった課題のある農家や自治体、公園等緑地、ゴルフ場などに向けた販売が本格的にスタートし、2030年に国内草刈関連売上高で2024年12月期比2.5倍の100億円を目指す。このようにプロジェクトZは順調で、2027年12月期の目標達成の可能性は高まったと言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:06
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(5):2027年12月期までに75億円以上の営業利益を積み上げる
*12:05JST 井関農 Research Memo(5):2027年12月期までに75億円以上の営業利益を積み上げる
■井関農機<6310>の中期経営計画1. プロジェクトZ同社は、2021年2月に2025年12月期を最終年度とする中期経営計画を策定したが、資産効率と収益性向上を目的とした事業構造改革への取り組みが不十分だったため、途上の2023年11月に聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」をスタートし、資産効率と収益性の向上を加速させている。具体的には、強靭な企業体質へ生まれ変わるために、製造所再編を中心とした生産をゼロから見直す「生産最適化」、設計をゼロから見直す「開発最適化」、売り方やサービスの提供方法をゼロから見直す「国内営業深化」という3つの抜本的構造改革と経費削減を実行している。さらに海外では地域別戦略を展開し、国内では「大型」「先端」「畑作」「環境」といった成長セグメントに経営資源を集中して成長を加速する計画だ。特にプロジェクトZ立ち上げ期の2024年12月期から2025年12月期において抜本的構造改革を短期集中で実施すると同時に成長戦略に取り組むことで、2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上、PBR1倍以上の実現を目指している。さらに、2030年に「食と農と大地のソリューションカンパニー」になるという長期ビジョンを掲げ、2024年12月期~2027年12月期の4年間で累計500億円、2028年12月期~2030年12月期の3年間で累計520億円の営業キャッシュ・フローを創出する計画だ。2027年12月期は、抜本的構造改革や成長に向けた投資を行うため株主還元としてDOE2%以上を想定しているが、2028年12月期以降は、創出したキャッシュをさらなる株主還元の拡充に充当するほか、有利子負債の圧縮に振り向ける。これらにより、2030年12月期に海外で2023年12月期比約1.5倍の売上高を確保し、国内では成長分野にフォーカスした収益性の高い体制の構築を図る。加えて、PBR1倍以上を実現するため、プロジェクトZによる業績改善と並行して、株主還元の拡充、投資家との接点拡大、情報開示の強化、経営のスリム化、意思決定の迅速化、ガバナンス体制の強化なども推進する。抜本的構造改革と成長戦略で成長を目指す2. 構造改革と成長戦略(1) 抜本的構造改革生産最適化では、効率化と平準化を進めて生産性を向上するため、製品組み立て拠点を集約して棚卸資産と固定資産の圧縮を実行する。既に2024年7月に井関松山製造所と井関熊本製造所を経営統合※し、これまで井関熊本製造所で生産していたコンバイン、続けて井関新潟製造所で生産していた田植機の生産を井関松山製造所に移管する。また、油圧機器の生産を井関松山製造所から井関新潟製造所に移管、松山製造所で生産していた中小型トラクタなど海外向け製品の生産をPT.ISEKI INDONESIAへ移管する。こうした製造拠点の集約と海外生産拠点の増強を2030年までに完了する計画だ。開発最適化では、開発の効率化と製品利益率の改善を目的に、成長率と市場規模の2つの軸によって開発する機種・型式を30%以上削減するとともに、グローバル共通設計の強化を図る。需要が減少傾向にある小規模農家向けに関しては、製品の安定供給を目的に、ヤンマーアグリ(株)との間で、山間地や小規模区画向けの小型農業機械を相互にOEM供給するアライアンスを締結した。なお、生産最適化と開発最適化による営業利益の増益効果として、2027年12月期までに約35億円(2023年12月期比)を見込んでいる。※ 経営統合後の新社名をISEKI M&Dとし、井関熊本製造所での生産は2025年12月期末に終了する予定。国内営業深化では、在庫拠点の最適化や物流体制の見直しによる経営効率の向上、ノウハウ共有の強化による顧客拡大と提案力強化などを目的に、国内広域販売会社の経営統合を行った※。販売会社統合に伴うコスト削減などにより、2027年12月期までに15億円程度(2023年12月期比)の営業利益の創出を見込む。こうした経営統合のなかで目玉となるのが、農業の大規模化に対応するための専門部署として新設された「大規模企画室」で、効率化とシナジー創出の加速による成長戦略の基盤づくりを目的としている。経費削減では、抜本的構造改革と並行して、間接部門のスリム化や希望退職の募集などにより人員構成の最適化を図る。また、成長分野への人材配置や市場競争力を高めるための教育研修の充実など、人的資本投資も進めている。組織や業務の統合も進め、運営経費を徹底して削減する予定だ。一方で、ワークライフバランスの充実やダイバーシティの確保などにより、従業員のエンゲージメント向上を図る。人員構成の最適化と人的資本投資により、2027年12月期までにネット10億円程度(2023年12月期比。3つの抜本的構造改革の内数)、経費削減により10億円程度(同)の営業利益の創出を見込んでいる。※ 2025年1月に、ヰセキ北海道、(株)ヰセキ東北、(株)ヰセキ関東甲信越、(株)ヰセキ関西中部、(株)ヰセキ中四国、(株)ヰセキ九州の国内販売会社6社及び三重ヰセキ販売(株)、井関農機営業本部を統合し、ISEKI Japanに社名を変更した。(2) 成長戦略海外では地域別戦略と商品戦略を推進し、特に収益性・成長性の高い欧州市場をけん引役に業績を拡大し、2030年12月期までに売上高800億円、売上高の年平均成長率10%、営業利益の年平均成長率20%の達成を目指す。なかでも景観整備市場においてNo.1ブランドとしての地位を確立した欧州に経営資源を集中し、ラインナップの拡充、在庫の一元管理、多様な人材交流を図り、2030年12月期までに欧州の売上高400億円超の達成を目指す。さらに、欧州を軸に相対的にシェアが低いあるいは未開拓の周辺市場への進出を進めるが、現地代理店などのM&Aも検討する。北米では、地域特性に応じた商品供給などにより、グローバル戦略パートナーであるAGCOのシェアアップを図る。アジアでは、タイから周辺国への拡大を図るとともに、東アジア地域でもニーズが強い先端技術や大型農機などを提供していく。こうした戦略によって、海外では2027年12月期までに10億円程度(2023年12月期比)の営業利益を上乗せする考えだ。国内では、成長分野でニーズの強い「大型」「先端」「畑作」「環境」へ経営資源を集中して販売を伸ばすとともに、ノウハウの共有によってメンテナンスなど高収益事業を拡大し、中長期的に安定した利益を確保する計画だ。そのためにグループの強みと経営資源を生かし、ロボットトラクタやアイガモロボ、可変施肥田植機など「大型」「先端」「畑作」「環境」に対応した付加価値の高い農業ソリューションを提供していく。同時に大規模企画室の強化や大型農機・畑作酪農に強い人材の育成などによって、大規模農業におけるニーズに迅速に対応できる体制を構築・強化する。これにより、2027年12月期までの営業利益創出効果として5億円程度(2023年12月期比)を見込む。さらに、2030年までに同社製品売上高に占める大型機種の割合を50%以上に高めるほか、先端技術を取り入れた商品の売上高を年平均7.9%で成長させることも計画している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:05
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(4):強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
*12:04JST 井関農 Research Memo(4):強みは「技術力」「営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」
■井関農機<6310>の事業内容3. 同社の強み国内の農業機械の販路は、販売子会社による直接販売と全国の農家をカバーするJAグループ経由、地域に密着した販売店経由に分けることができ(このほか若干だが小型耕うん機を中心にホームセンタールートもある)、同社の販路は、直接販売が主軸となっている。海外の販路は各社各様で、同社は北米がAGCO Corporation向けOEM生産、欧州は主に子会社による直接進出、アジアは子会社IST Farm Machinery Co., Ltd.(元は三菱商事<8058>との合弁)や代理店と組んだ販売となっている。製造については、国内では内外向けに、ISEKI M&D(愛媛県松山市)をはじめ、(株)井関新潟製造所や(株)井関重信製作所(愛媛県東温市)など、海外では海外向けに、子会社のPT.ISEKI INDONESIAが行っている。同社の農業機械の国内シェアは、クボタ<6326>、ヤンマー(株)に次いで第3位と言われている。クボタのシェアは高く、海外でもDeere and Company、CNH Industrialに次いで3位と存在感は大きい。同社は海外進出の面でやや出遅れた印象があるが、その分、海外の巨大なマーケットを成長領域として捉え強化している。また、農業ソリューションという世界的な潮流のなかで、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携し付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」といった3つの強みを発揮し、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。(1) 技術力技術力は、自脱型コンバインや田植機などで業界初や世界初といった製品を、創立以来市場に多数投入してきた実績に裏打ちされている。また、知的財産戦略の一環として特許の取得を積極的に進めており、特許の分野別公開数や登録数で常に上位にあるという実績も同社の強みを表している。こうした技術力の背景にあるのは、報奨金など発明提案活動を活発化する制度や、若手技術者への伝承や研究開発の成果などを共有する仕組みにある。さらに、他社の開発体制が分業制になっているのに対して、同社にも分業制があるとはいえ、設計者自らが企画から図面、圃場でのテスト、フィードバックまで関与することで、顧客の声や様々な場面の経験を製品開発に反映しやすい体制であることも、高い技術力の理由だと考えられる。(2) 営農提案・サポート力営農提案・サポート力では、製品そのものや補修用部品、メンテナンスの優位性に加え、ソフト面でも営農ポータルサイト「Amoni」を使った情報発信や、地域に密着した全国販売網を生かした顧客支援などを強みとしている。また、離農の裏側で増加傾向にある大規模農家に対する販売を強化している。全国6社に分かれていた販売子会社がISEKI Japanとして統合されたことで、既に北海道で実績のあるアマゾーネ(ドイツ)などの輸入大型作業機を、本州以南のニーズが強い大規模農家に対して販売するなど、強みを横展開する施策を進めている。(3) 連携によるイノベーション自社の技術力に頼るだけでなく、行政や研究機関、大学、ベンチャーを含む様々な企業と連携した研究開発活動を積極的に行っている。自社になかった技術や視点が加わることで、研究開発活動のスピードが速くなり、画期的なイノベーションにつながっているようだ。こうしたなか、特に環境保全型スマート農業の実現という目標を掲げ、化学肥料の削減に向けて自動可変施肥技術を搭載したスマート農機を開発したほか、業務提携しているスタートアップ企業の(株)NEWGREEN(旧 有機米デザイン(株))に出資して水稲用自動抑草ロボット「アイガモロボ」の開発・販売を強化している。2023年に発売した「アイガモロボ」は、太陽光発電で稼働し、田んぼの中を自律走行して土を巻き上げ、その土が雑草の種子や芽の上に堆積することで雑草の発生を抑制できる商品だ。発売から2年で約500台を販売するなど人気があり、第11回ロボット大賞で「農林水産大臣賞」を受賞した。2025年3月にフルモデルチェンジした「アイガモロボ2」は、価格が1台27.5万円と従来のほぼ半額で、素材や内部構造を見直して軽量・コンパクト化を達成したうえ、走破性や稼働の安定性なども大幅に向上しており、ジャンボタニシの抑制やメタンの減少も実現した。2025年は早々に予定販売台数を完売するなど好評で、Forbes JAPANが主催する「Xtrepreneur AWARD 2025」においてはグランプリを受賞した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:04
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(3):ホビーからプロ向けまで幅広くラインナップ
*12:03JST 井関農 Research Memo(3):ホビーからプロ向けまで幅広くラインナップ
■井関農機<6310>の事業内容1. 事業概要同社は、農業機械の総合専業メーカーとしてホビー向けからプロ向けまで商品を幅広くラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系を構築している。同社の製品は、トラクタなどの整地用機械、「さなえ」ブランドの田植機などの栽培用機械、コンバインなどの収穫調製用機械といった高精度・高能率・高耐久の農機製品のほか、トラクタのアタッチメントとなる作業機、補修用部品の製造販売、さらに修理・メンテナンスや施設工事などを行っている。近年、農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題を背景に、ロボットやICTなど先端技術を活用したスマート農機などによって、農業を労働集約的な作業から解放する農業ソリューションを提供する動きがあり、同社も先端技術の活用を強化している。また、海外にも進出しており、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人などの大規模農家に向け、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。なお、同社の景観整備向け製品の評価が高い欧州では販売網の強化に努めており、2025年1月に英国代理店のPTC社を子会社化、これでISEKI France S.A.S.(ISEKIフランス)、Iseki-Maschinen GmbH(ISEKIドイツ)含め3子会社体制となった。海外の売上高は日本の約半分の規模に達しているが、海外の農業機械市場の規模を考えると、同社にとっては成長領域といえる。農業機械の製造販売やメンテンスの提供を行う2. 製品別事業内容(1) 整地用機械整地用機械とは、農業において作付け前の整地などに使用するトラクタや耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などのことである。欧米では、土木作業や景観整備などに使用されるコンパクトトラクタや乗用草刈機などの販売をメインに行っている。なかでもトラクタは、アタッチメントをつけることで年間を通じて様々な作業をこなせる汎用性の高い機械で、同社では直進アシストやマップデータとの連動への対応のほか、無段階変速機構や座り心地の良いサスペンションシートの搭載、シートベルト・リマインダの採用など居住性・操作性・安全性を追求した製品をラインナップしている。ICTも一部で導入しており、農機の情報を収集できるほか、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールを装備している農機もある。同社のトラクタは14~300馬力前後まで取り揃えており、2024年5月には、120馬力クラスで国内初となる有人監視型ロボットトラクタを販売した。(2) 栽培用機械栽培用機械とは、田植機や野菜移植機といった製品のことである。田植機は稲の苗を水田に移植するための専用機で、田植え作業を大幅に省力化できる。田植機は同社の得意とするカテゴリーで、「さなえ」は強力なブランドとなっており、歩行型2条植~乗用型10条植とラインナップは幅広い。高精度・高能率・高耐久に加え、GPS技術を用いた操舵アシストシステム搭載や、土壌の肥沃度に応じて施肥量を自動で調整する可変施肥仕様、有人監視型ロボットのものもある。野菜移植機は、葉茎菜類やじゃがいも、たまねぎなど野菜の種類ごとに、それぞれ歩行型・乗用型/半自動・全自動などがラインナップされている。(3) 収穫調製用機械収穫調製用機械とは、コンバインやハーベスタ、乾燥機、籾すり機などのことである。コンバインは穀物の収穫に使用され、稲作向けには稲の刈り取りや籾の脱穀、裁断などわらの処理までを行う自脱型コンバイン、大豆やそば向けには汎用(普通型)コンバインが使用される。ICTにより効率的に作業管理や機械管理ができるモデルや、疲労を軽減する直進アシストシステムを導入したモデルなどがある一方、資材高騰のなか機能を厳選したシンプルかつ低価格のモデルもある。刈り取り専用のバインダ、脱穀専用のハーベスタは、コンバインが入れない山間地などで使われている。このほか乾燥機は収穫した籾を乾燥させ、籾すり機は籾殻を取り除き玄米に仕上げる機械である。(4) 作業機・補修用部品・修理収入、施設工事作業機とは主にトラクタに取り付けるアタッチメントのことで、田水面を均平に整えるハロー、土を耕すロータリー、土を盛り上げて畝を立てる畝立機などがある。作業機のほか、オイルやケミカルなどの補修用部品の販売や、販売した農機のメンテナンスや故障対応を全国の整備拠点で行っている。万全なメンテナンス修理によって故障の発生を防ぐことで顧客からの信頼を獲得しており、天候不順など外部環境に左右されない安定した収益の確保が可能で収益性も高いため、補修用部品と修理・メンテナンスについては10年にわたる収支構造改革の柱として取り組んでおり、引き続き強化していく。また、乾燥や育苗、集出荷など農業用施設の施工を行うほか、肥料など農業用資材の販売、コイン精米事業、炊飯事業なども行っている。(5) 農業ソリューション同社は、農業の省力化や効率化のため、ロボットやICTなどの先端技術を積極的に活用している。トラクタなど農業機械に直進アシストシステムや自動操舵システム、スマート追肥システムなどを導入しているほか、営農管理システム「ISEKIアグリサポート」や遠隔監視サービス「ISEKIリモート」などを提供している。また、生育管理関連として、ドローンで撮影した農地の画像をクラウド上で保存する「いろは」、ドローン・人工衛星による画像解析を活用し農作業の効率化を実現する「天晴れ」などのサービスも提供している。営農ソリューションポータルサイト「Amoni」では、最新の技術動向に関する情報などを積極的に発信しており、大規模農家を中心に好評のようだ。こうしたICTを活用したスマート農機の開発や営農支援に対するニーズは強く、中長期的に成長余地の大きい分野である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:03
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(2):農業機械の総合専業メーカー
*12:02JST 井関農 Research Memo(2):農業機械の総合専業メーカー
■会社概要1. 会社概要井関農機<6310>は、2025年に創立100年目を迎えた老舗で、トラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。日本やアジアでは一般農家や大規模農家などに向け、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の製造販売やアフターサービスの提供といった事業を行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用草刈機などの景観整備用機械の評価が高い。近年、大規模農家を中心にロボットやICTといった先端技術を活用する動きがあり、同社もそうした技術を取り入れた農機の開発を強化している。「食と農と大地のソリューションカンパニー」という長期ビジョンに向け、短期集中の構造改革と成長戦略で構成されるプロジェクトZ、及び資本コストや株価を意識した経営を推進している。数多くの製品開発で業界をリード2. 沿革1926年に創業者の井関邦三郎氏が「井関農具商会」を創立、自動籾すり選別機の製造を開始した。1936年に株式会社化して同社を設立し、ヰセキ式籾すり機及び自動選別機の製造を開始した。1946年に愛媛県松山市に、1949年には熊本県熊本市に工場を建設した。1959年5月に大阪証券取引所の店頭銘柄に株式を一般公開(1961年東京証券取引所上場、2022年東京証券取引所プライム市場へ移行)し、これを機に全国で販売会社の設立を推進するとともに農業機械の開発を強化、1966年に世界初の自脱型コンバインを開発、1967年には田植機、コンバイン、バインダの生産を開始してトラクタを含めた稲作機械化一貫体系を確立した。その後も、1988年に同社初の乗用草刈機、2009年に業界最速の自脱型コンバイン(6条刈り)を開発するなど、業界をリードする製品を数多く開発してきた。海外へは1971年にベルギーに子会社を設立して進出後、2003年以降は中国、インドネシア、タイ、フランス、ドイツと次々に子会社を設立、2025年には英国の販売代理店PREMIUM TURF-CARE LIMITED(以下、PTC社)を子会社化した。足元ではプロジェクトZに基づき、2024年に(株)井関松山製造所と(株)井関熊本製造所を合併して(株)ISEKI M&Dへ社名を変更し、2025年には(株)ヰセキ北海道など国内販売会社6社他を合併して(株)ISEKI Japanに商号変更した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:02
注目トピックス 日本株
井関農 Research Memo(1):プロジェクトZが好進捗、2025年12月期の通期予想を上方修正
*12:01JST 井関農 Research Memo(1):プロジェクトZが好進捗、2025年12月期の通期予想を上方修正
■要約1. 幅広い商品ラインナップを国内外に提供する農業機械専業メーカー井関農機<6310>は、稲作や畑作に用いられるトラクタやコンバインなど農業機械の総合専業メーカーである。ホビー向けからプロ向けまで幅広い商品をラインナップしており、稲作や畑作において機械化一貫体系※を構築、また農業人口の減少や少子高齢化といった社会問題に対して、ロボットやICTなどの先端技術を活用した農業機械の投入も進めている。海外展開も積極的で、売上高は日本国内の約半分の規模に達し、アジアでは日本と同様に一般農家や農業法人など大規模農家に向けて、欧州や北米では景観整備業者、ホビー農家、一般消費者などに向け、自社製品の販売やアフターサービスの提供をメインに、仕入商品やOEM製品の販売も行っている。国内では「さなえ」ブランドの田植機が有名で、欧州では乗用草刈機などの景観整備用機械の評価が高い。※ 機械化一貫体系:育種・育苗~耕うん・畝立て~移植~管理・防除~収穫・調整・運搬といった農業プロセス全体を体系化した機械(群)。安定生産、収穫量増加、品質向上、省人化、時間短縮など生産性向上につながる。2. 強みの相互作用でシナジーを創出同社の農業機械市場の国内シェアは第3位と言われ、販売子会社を通じた直販をメインに事業を展開している。海外については、売上高が市場規模に対して大きいといえないことから、同社は成長領域と捉えている。こうした市場において同社は、画期的な農業機械を開発してきた「技術力」、ハード(農業機械)とソフト(営農情報)の両面から顧客を支援する「営農提案・サポート力」、国内外で様々なパートナーと連携して付加価値を生み出す「連携によるイノベーション」を強みとし、それぞれの強みの相互作用により大きなシナジーを生んでいる。このため、大規模農家を中心にニーズが高まっているロボットやICTといった先端分野は、同社が強みを発揮しやすい領域である。3. 生産拠点の再編や販売会社の統合などプロジェクトZは順調に進捗同社は2023年11月に、次の100年に向けて「変革」の土台を整えるため、聖域なき事業構造改革に向けて「プロジェクトZ」を発足させた。「生産最適化」「開発最適化」「国内営業深化」の3つの短期集中の抜本的構造改革及び経費削減によって強靭な企業体質へ生まれ変わるとともに、欧州を中心とした海外事業及び国内の「大型」「先端」「畑作」「環境」といった成長セグメントに経営資源を集中して成長を加速させる計画だ。2027年12月期までに2023年12月期比で75億円以上の営業利益を積み上げ、営業利益率5%以上、ROE8%以上、DOE2%以上の実現を目指すとともに、PBR1倍以上へ引き上げを図る。足元では、生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減など順調に進捗している。4. 米価上昇を背景に農家の投資意欲が高まり、2025年12月期通期予想を上方修正2025年12月期中間期の業績は、売上高が100,868百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益が4,356百万円(同97.1%増)と好調だった。大幅な営業増益の主因は、プロジェクトZや2022年以降続けてきた価格改定の効果と米価上昇を背景とした農家の投資意欲の高まりにある。2025年12月期通期の業績については、売上高175,500百万円(前期比4.2%増)、営業利益3,500百万円(同82.3%増)を見込んでいる。中間期業績が好調だったため上方修正したが、下期を中心にプロジェクトZの効果がさらに見込まれるため、やや保守的な予想と言える。2026年12月期については米価が引き続き強めで推移し、加えて構造改革の効果もより大きくなるなど、プロジェクトZの目標へさらに近づいていくと予想される。■Key Points・「技術力」や「営農提案・サポート力」などに強みを持つ農業機械の総合専業メーカー・生産拠点の再編や販売会社の統合、経費削減などプロジェクトZが順調に進捗・米価水準の高止まりや価格改定効果などにより2025年12月期の通期予想を上方修正。2026年12月期も順調予想(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
2025/10/20 12:01
注目トピックス 日本株
クリーク・アンド・リバー社---人と生成AIが協働する業務フロー構築を目指す~AI利用に向け、概念検証を開始
*12:00JST クリーク・アンド・リバー社---人と生成AIが協働する業務フロー構築を目指す~AI利用に向け、概念検証を開始
クリーク・アンド・リバー社<4763>とAI開発を行うKiei(本社:東京都港区)は17日、生成AIを活用して、エージェンシー(人材紹介・人材派遣)事業のDXを推進する協業プロジェクトの開始を発表した。人材業界では、候補者の発掘、企業とのマッチング、面談対応、入社後フォローに至るまで、多くの工程が人に依存しており、高い業務負荷と属人性が課題とされている。生成AIやAIエージェントの進化により、こうしたプロセスの分解や再構築が行われ、AIによる業務改革が実現し始めている。このプロジェクトは、同社が35年以上にわたりプロフェッショナル・エージェンシーとして蓄積してきた業務ノウハウや知見と、建設業や製造業、人材業界などでAI開発の実績を積み重ねてきたKieiが有する生成AIに関する高い実装力を掛け合わせることで、プロフェッショナル・エージェンシーにおける課題の解決と新たな業務スタイルの創出を目指す。現在、双方で考察するアイデアや技術が実現可能かを確認するPoC(概念実証)を実施している。このプロジェクトを通じてC&R社とKieiは、「AIを前提とした、人と組織の最適な融合の仕組み」の確立を目指す。将来的には「企業カルチャーと人材の相性可視化アルゴリズムの開発」「マッチングの精緻化」、「マッチングを超えたマッチング」など、より本質的な価値創出に向けた取り組みへと進化させていく予定。同社とKieiは、この取り組みをプロフェッショナル・エージェンシーにおけるAI実装のリーディングプロジェクトとして、実務を起点とした変革を推進する。
<NH>
2025/10/20 12:00
注目トピックス 日本株
安永---ストップ高買い気配、業績・配当予想を上方修正へ
*11:33JST 安永---ストップ高買い気配、業績・配当予想を上方修正へ
安永<7271>はストップ高買い気配。先週末に業績予想の上方修正を発表している。26年3月期営業利益は従来の8.5億円から14億円、前期比84.7%増に引き上げている。主としてエンジン部品事業において、国内及び北米市場向け需要が想定を上回っているもよう。新製品のスマホ向けベイパーチャンバー用ウィックについても想定比上振れのようだ。業績上振れに伴い、年間配当金も従来計画の10円から12円に引き上げ。
<ST>
2025/10/20 11:33
注目トピックス 日本株
JFEホールディングス:足元は減収も中長期成長への布石着々、配当利回り4%越えで再評価余地大
*11:19JST JFEホールディングス:足元は減収も中長期成長への布石着々、配当利回り4%越えで再評価余地大
【我が国を代表する鉄鋼グループ】JFEホールディングス<5411>は、2002年に日本鋼管(NKK)と川崎製鉄(川鉄)の経営統合によって誕生した我が国を代表する鉄鋼大手グループである。NKKと川鉄は長年にわたり国内外で鉄鋼業を展開し、統合によって規模の経済と競争力強化を図った。その後もグループ経営体制の整備を進め、持株会社としてグループ各社を統括しながら事業ポートフォリオを発展させてきた。現在、同社は大きく三つの事業セグメントを展開している。第一に、鉄鋼事業ではJFEスチールを中心に、高炉事業を基盤とした幅広い鋼材製品を国内外に供給し、自動車・建設・造船など多様な産業の需要に応えている。第二に、エンジニアリング事業ではJFEエンジニアリングがエネルギー・環境・社会インフラ分野で事業を展開し、再生可能エネルギー設備や都市インフラ整備を通じて社会的課題の解決に貢献している。第三に、商社事業ではJFE商事が鉄鋼製品や原材料のトレーディング、物流、調達機能を担い、グローバルな供給網を通じてグループ全体の事業を支えている。これら三つの事業は相互に補完し合い、収益の多様化と事業基盤の安定化を図っている。加えて、グローバル競争の激化や脱炭素社会への移行といった構造変化に対応するため、研究開発や設備投資にも積極的であり、鉄鋼業にとどまらず幅広い事業領域で持続的成長を目指す企業体である。【足元の事業環境は楽観視できず減収見込み】2026年3月期第1四半期(4-6月)の売上収益は11,153億円(前期比7.9%減)と大幅な減収となった。市況軟化や円高の影響が収益を圧迫した。事業利益は162億円(同71.4%減)、税引前利益は103億円(同73.8%減)、四半期利益は71億円(同74.1%減)と大幅減益となった。セグメント別売上収益は、鉄鋼事業が7,612億円(前期比994億円減)、エンジニアリング事業が1,353億円(同115億円増)、商社事業が3,387億円(同196億円減)となった。鉄鋼事業が全体の減収要因となる一方、エンジニアリング事業は受注増加を背景に増収を確保した。セグメント利益は鉄鋼事業が121億円の赤字(前期は315億円の黒字)と赤字に転落、棚卸資産評価差等を除くと169億円(同196億円減)であった。円高による輸出採算の悪化や棚卸資産評価差が大きく影響した。また、エンジニアリング事業は57億円(同17億円増)、商社事業は126億円(同11億円増)と増益を確保した。調整額を含めた全社ベースのセグメント利益は103億円(同414億円減)、棚卸資産評価差等を除いたベースでは393億円(同174億円減)であった。同社は既に公表している通期業績予想を据え置いており、売上収益は47,500億円(前期比2.3%減)、事業利益は1,400億円(同3.4%増)、税引前利益は1,100億円(同23.8%減)、当期利益は750億円(同18.4%減)を計画している。足元の事業環境は米国の関税リスクや中国における内需低迷など国内外ともに楽観視できない状況である。原料市況も大幅な上昇は期待できないため、減収計画となっている。一方、鉄鋼事業における棚卸資産評価差については上期に集中しているとのことである。こうした点を踏まえ、計画している利益水準の達成を見込んでいる。なお、株主還元については年間配当は80円(中間配当40円、期末配当40円)下限、配当性向を30%としている。通期の利益水準次第では配当性向30%を維持したまま一株80円を超える水準となれば増配する方針である。【中長期的な成長軌道に向けて戦略的に施策を推進】同社の今後の重点実施事項としては、まず、高付加価値製品の比率を現在より高め、54%まで引き上げる計画を進めている点が挙げられる。あわせて、成長分野である再生可能エネルギー市場への対応として、洋上風力向け製品の商業生産を年内に開始する予定である。さらに、国内の生産体制については効率化を進め、2027年までに高炉1基を休止する方針を打ち出しており、競争力強化と構造改革を両立させていく。海外展開では、インドにおいてJSWとの合弁による電磁鋼板製造事業を推進し、成長市場での事業基盤拡大を図る。加えて、長期的には2035年までにカーボンニュートラルを実現するため、同社は総額4兆円規模の投資が必要と想定し、脱炭素社会に向けた技術革新と設備投資を積極的に進める方針であり、グローバルな事業環境の変化を注視しつつ、戦略的に施策を推進している。こうした点を踏まえれば、足元の事業環境は決して良好ではないものの、中長期的な成長に向けて大きな懸念は見られない。PBR0.5倍前後、配当利回り4%越えは大幅に割安と言え、再評価余地は大きいと言える。
<HM>
2025/10/20 11:19
注目トピックス 日本株
セグエ Research Memo(9):配当性向50%程度を基準に、2025年12月期も増配を予定
*11:09JST セグエ Research Memo(9):配当性向50%程度を基準に、2025年12月期も増配を予定
■セグエグループ<3968>の株主還元策同社は、内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資を積極的に行う一方、株主への利益還元を重要な経営課題であると認識している。配当については、連結業績、財政状態の健全性、将来の事業展開のための内部留保の水準などを総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的に行うことを基本方針としている。2023年12月期より配当方針を大きく変更し、利益還元の姿勢をより明確にし、かつ充実させるために、中間配当を開始するとともに配当性向の基準を従来の30%から50%程度に引き上げた。2024年12月期は、1株当たり中間配当は5.0円、期末配当は6.0円、年間配当は11.0円(前期比1.0円増)を実施し、配当性向は69.8%に達した。2025年12月期は、1株当たり中間配当は6.0円、期末配当は7.0円、年間配当は13.0円(前期比2.0円増)として、配当性向は52.9%になる見通しだ。同社では、収益力の向上に伴い配当金額は一度も減配することなく増配を続けている。今後も収益水準に見合った配当を継続的かつ安定的に行うほか、今後の株価動向や財務状況等も見ながら、自己株式の取得についても機動的に実施していく。また、2024年12月期から株主優待を導入しており、12月末を基準日としQUOカード贈呈金額も年間10,000円(直近の半年前(6月末)から継続保有の場合は10,000円を追加し計20,000円)を贈呈するとしている。同社では、これらの株主還元策に加えて、中期経営計画の業績目標達成に向けた重点施策を着実に推進しており、IR活動にも注力している。弊社では、こうした株主重視の経営姿勢は投資家から高く評価されると考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
2025/10/20 11:09
注目トピックス 日本株
セグエ Research Memo(8):長期ビジョンの達成に向けて、中期経営計画を推進(2)
*11:08JST セグエ Research Memo(8):長期ビジョンの達成に向けて、中期経営計画を推進(2)
■セグエグループ<3968>の中長期の成長戦略2. 中期経営計画の業績目標と達成に向けた取り組み中期経営計画「Segue300」(2024年12月期~2026年12月期)では、最終年度である2026年12月期の業績目標として売上高26,000百万円、営業利益1,800百万円、経常利益1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,050百万円を目指す。売上高は2023年12月期実績比1.5倍(年平均成長率14.2%)、営業利益は同1.7倍(同18.3%)、経常利益は同1.8倍(同21.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.6倍(同16.7%)という大幅な増収増益を達成すべく、営業を中心とした人材投資、「RevoWorksクラウド」などのセキュリティ系の伸長、セグエセキュリティの黒字化などを推進している。また、「Segue300」のネーミングは、売上高300億円を目指すという同社の強い意思表示であり、M&Aを実現した場合のチャレンジ目標として、売上高30,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,178百万円を掲げている。その実現に向けたビジネス別売上高として、VADビジネスで130億円、システムインテグレーションビジネスで90億円、自社開発ビジネスで18億円、海外ビジネスで22億円、M&Aチャレンジ目標で40億円を計画している。2024年12月期には、M&Aによって2社(First One Systems、テクノクリエイション)の子会社化を実現し、今後の業績寄与が期待される。IT業界は人材不足が続いているが、2社の子会社化もあり付加価値の源泉である従業員数は計画を上回るペースで増加している。2025年12月期は業績見通しを上方修正するなど、中期経営計画の業績目標の超過達成に向けて順調に推移している。中期経営計画では、(1)基盤となる技術者の大幅増員、(2)既存ビジネスの成長、(3)変化、改革、(4)企業価値の向上に取り組み、業績目標の達成を目指す。(1)基盤となる技術者の大幅増員では、2024年12月期には技術者採用と育成のさらなる強化に取り組み、2025年12月期からはIT技術者のセキュリティ技術者への転換を図り、セキュリティ技術者数100名以上を目標とする。また、(2)既存ビジネスの成長、(3)変化、改革では、2024年12月期にセグエセキュリティの事業拡大により、より高度なセキュリティサービスの提供とセキュリティ技術者の育成加速を図るとともに、タイの2社(ISS Resolution、First One Systems)を中心に海外ビジネスを推進する。2025年12月期より、トータルセキュリティソリューション展開を目指して、セキュリティプラットフォーム展開、中央省庁サイバーセキュリティ対策、Wi-Fi製品需要(Wi-Fi6E/7)、GIGAスクール構想「NEXT GIGA」、RevoWorks新製品リリース、自社サービスの提供拡大などに取り組む。さらに、(4)企業価値の向上では、中期経営計画の期間を通じて、配当性向50%の継続(増配)、株主優待、株主・投資家とのコミュニケーションの充実などに取り組む。以上の計画を実現するための第1のポイントはサイバーセキュリティニーズの拡大である。サイバー攻撃の急増によって、各省庁ではセキュリティガイドラインに準拠するための予算が増大しており、中小企業もセキュリティ対策投資の実施を迫られていることは、同社が中期経営計画を実現するための大きな追い風になる。第2のポイントは海外ビジネスの確立である。主力ビジネスに従来の3ビジネスに加えて、新たに「海外ビジネス」を追加し、まずはタイでの事業拡大を図る。ISS Resolutionは保守などサービス中心の会社で、2024年5月に加わったFirst One Systemsはサービスも提供するが、政府系や学校などに物を納めるプロダクト中心の会社である。両社が協力することで、タイ国内の顧客が満足できるプロダクトとサービスを提供し、シナジー創出により大きく成長する計画だ。そして、将来は海外ビジネスのASEAN全域への拡大を目指している。2025年12月期中間期における、目標達成に向けた取り組み状況は以下のとおりである。(1) 基盤となる技術者の大幅増員同社グループの人員は約7割が技術者であり、技術者は取り扱い商材の新規検討や品質確保、自社製品の開発、各種サービスの提供など、事業の基盤として欠かせない存在である。国内では熟練技術者の不足が続くなか、2024年12月期にはテクノクリエイションの子会社化に伴い技術者数が大幅に増加した。2025年12月期も技術者の採用は順調で、中間期の時点で40名を採用している。(2) 既存ビジネスの成長VADビジネスでは、サイバーセキュリティやDX需要により、受注高が好調に推移している。また、営業、プリセールス強化、製品ポートフォリオの拡充、組織体制の強化を進めている。システムインテグレーションビジネスでは、DXインフラ、クラウドソリューションの大型案件獲得を推進し、エンドユーザー向け大型案件を獲得した。自社開発ビジネスでは、2025年4月には新製品RevoWorks ZONEの販売を開始した。また、セグエセキュリティでは2025年1月よりエンドポイントセキュリティとデータ保護をセットで実現するマネージド EDRサービスの提供を開始するなど、セキュリティマネジメントサービスは順調に伸長している。(3) 変化、改革2024年10月にGSS推進部署を新設し注力した結果、2025年12月期中間期にはGSSの超大型案件を受注した。同案件の売上計上は大部分が下期以降となり、2026年12月期以降も売上計上が続く見通しだ。また、自社開発の開発部門、品質管理部門の強化に加え、開発責任者・開発者若干名の採用により開発部門も強化することで、開発スピード及び品質の向上を図る。また、事業ポートフォリオの構造改革としては、2024年にM&A2件(タイのFirst One Systemsと国内のテクノクリエイション)、2025年にカーブアウト1件(ジェイズ・ソリューション)、事業の譲渡(ネットファームズ)1件を実施した。加えて、セキュリティアセスメントAI、サポートAIなど、AIソリューションの新たな取り組みが始まっている。中期経営計画は折り返し点であるが、以上で見たとおり、着実に実績・成果を積み上げている。弊社では、引き続き、今後の進捗状況に注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
2025/10/20 11:08
注目トピックス 日本株
アスクル---大幅続落、ランサムウェアでシステム障害と伝わり
*11:07JST アスクル---大幅続落、ランサムウェアでシステム障害と伝わり
アスクル<2678>は大幅続落。ランサムウエアに感染し、システム障害が発生したと発表している。現在のところシステムの復旧見通しは立っておらず、法人・個人向けの通販では受注・出荷業務を停止したもよう。19日に受けた注文はキャンセルするようだ。個人情報や顧客データなどの外部への流出については調査を進めている状況とされている。信用力の低下、並びに、目先の業績に対する悪影響などに警戒感が先行へ。
<ST>
2025/10/20 11:07
注目トピックス 日本株
セグエ Research Memo(7):長期ビジョンの達成に向けて、中期経営計画を推進(1)
*11:07JST セグエ Research Memo(7):長期ビジョンの達成に向けて、中期経営計画を推進(1)
■セグエグループ<3968>の中長期の成長戦略1. 事業環境と長期ビジョンサイバー攻撃関連通信を観測している国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のレポートによれば、2023年に観測されたサイバー攻撃関連通信は前年比18%増加し、5年前との比較では約3倍に増加している。サイバー攻撃の増加に伴うサイバーセキュリティ対策の需要も拡大しており、国内セキュリティ市場は2022~2027年の年平均成長率(CAGR)が7.2%になると予測されている。一方、内閣サイバーセキュリティセンター:サイバーセキュリティ2023(年次報告・年次計画)では、サイバー空間を巡る昨今の状況変化と情勢について、様々な分野・組織における情報システムの利用拡大によってサプライチェーンの多様化・複雑化が進展し、生成AIなど新たな技術の普及に伴うサイバー攻撃の侵入口の増加、セキュリティ対策の不備などによるシステム障害・情報漏えいのリスクの高まりが予想されている。さらに、安全保障環境が厳しさを増すなかで、国家を背景としたサイバー攻撃が平素から行われるようになっているという分析のもと、各省庁での施策決定や関連予算の計上が行われている。具体的には、防衛省の「防衛産業サイバーセキュリティ基準」や厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」といったセキュリティ基準の改定・厳格化によって、関連機関・取引先企業などはこれらに沿った対応が求められている。同社では、こうした事業環境を前提に長期ビジョン「Segue Vision 2030」を策定し、「セキュリティ分野での多様な機能を提供する唯一無二の存在」になることをグループの目指す姿とした。今後ますます増加・多様化するデジタルネットワークのセキュリティ脅威を排除するために、技術・プロダクト・サービスで支える顧客の最良のパートナー企業として情報セキュリティ&ITインフラを統合した『トータルセキュリティソリューションカンパニー』となるべく、セキュリティサービス、セキュリティプロダクト、ITインフラ及びIoTプロダクト、システムインテグレーション、クラウド基盤サービスなどをワンストップで提供し、売上高500億円、営業利益率10%超を2030年の業績イメージに掲げている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HN>
2025/10/20 11:07