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芙蓉リース Research Memo(4):成長領域がけん引、事業分野別で堅調な展開が進む
配信日時:2025/07/15 12:04
配信元:FISCO
*12:04JST 芙蓉リース Research Memo(4):成長領域がけん引、事業分野別で堅調な展開が進む
■芙蓉総合リース<8424>の決算動向
4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ/ロジスティクス(RT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は2,311億円(前期末比372億円増)、ROAは2.9%(前期は3.5%)、経常利益は61億円(前期比2億円減)。国内における調達コスト増を戦略的な資産の積み上げや海外子会社の業績の伸びによりカバー、経常利益はほぼ横ばいを確保した。非財務目標である「EV・FCV保有比率」については、日本におけるEV普及率の緩やかな状況を鑑み、目標項目を「新規成約台数におけるEV・FCV比率」に見直した。活動面ではEV領域における協業を通じた取り組み※1が拡大したほか、ロジスティクス領域においても、M&A※2やアライアンス先との連携により事業基盤の拡充※3を図った。
※1 丸紅とBanpu NEXTと3社でタイに新会社を設立し、商用EV向けフリートマネジメントサービスを開始したほか、ヤマトグループとの協業によるEVライフサイクルサービスの提供開始など、国内外でEVワンストップサービスの機能拡充を進めた。
※2 2025年3月に物流機器の販売・レンタルを手掛けるワコーパレットを連結子会社化したほか、2025年4月にはレンタルパレットサービスを展開する日本パレットレンタルを持分法関連会社化した。
※3 物流機器・資材の「導入」・「所有」・「共有」に関する最適かつ持続可能なソリューションを提供し、新たな物流インフラを支えていく方向性を目指している。
(2) エネルギー環境(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は2,176億円(前期末比356億円増)、ROAは0.9%(前期は1.1%)、経常利益は18億円(前期比1億円増)。海外再エネを中心に営業資産を積み上げ、外貨コスト増はピークアウトしたものの、経常利益はほぼ前期並みにとどまった。国内外のアライアンス先との協業案件が順調に拡大したほか、開発型案件においても順調に推移し、非財務目標である再エネ発電容量1,000MW達成に向けてハイペースで進捗している。蓄電池領域においては、多種多様な企業とのパートナーシップの構築を進めるとともに、2024年12月にはグローバルエンジニアリング※を持分法関連会社化し、さらなる事業拡大に向けた機能強化を図った。
※ 蓄電池の運用・制御や遠隔監視、保守などを一気通貫で提供し、電力需給を安定させる事業を手がけている。
(3) BPO/ICT(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は558億円(前期末比47億円増)、ROAは2.8%(前期は2.5%)、経常利益は47億円(前期比3億円増)。人手不足等を背景に顧客ニーズは旺盛であるものの、人材の流動性向上や人件費を中心としたコスト増により、経常利益は微増にとどまった。一方、非財務目標である「お客様の業務量削減時間(2022年3月期比)」については81万時間(前期比32万時間増)と順調に進捗している。また、活動面では、パートナーとの連携を通じたサービス基盤拡充※1やデータセンター事業※2などへの事業領域の拡大を進めた。
※1 インボイスによるCO2排出量算定支援「OneVoiceエナジーデータ」の提供を開始、三菱UFJファクター(株)とFOCとの決済サービスBPOや、静銀総合サービスとFOCとのBPO事業(給与計算業務)における業務提携などで成果をあげることができた。
※2 国内外で市場拡大が見込まれるデータセンター領域への投資加速に向け、その第1弾として米国データセンター開発型ポートフォリオへ出資を実行。
(4) ヘルスケア(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は945億円(前期末比71億円増)、ROAは2.2%(前期は2.1%)、経常利益は20億円(前期比2億円増)。アクリーティブによる診療・介護報酬ファクタリングを中心に資産残高は増加基調に反転するも、経常利益の伸びは微増。ヘルスケア事業施設については、非財務目標である「高齢者介護施設(新規提供室数)」が1,011室(前期末比248室増)と増えたほか、非ファイナンス領域の強化に向けて、CBホールディングス※を完全子会社化するなど、事業領域の拡大に取り組んだ。
※ 医療・介護・福祉業界に特化した専門性の高い経営ソリューションサービス(経営支援、承継支援等)を提供。
(5) 不動産(GP分野)
2025年3月期末の営業資産残高は1兆1,077億円(前期末比139億円増)、ROAは2.5%(前期は2.9%)、経常利益は275億円(前期比36億円減)。収益性やポートフォリオのバランスを意識したアセットコントロールを継続するなかで、前期計上した大口売却益の剥落により減益となったが、その影響を除けば、着実な成長を実現しており、中期経営計画策定時の経常利益目標を前倒しで達成した。パートナー企業との協働を含め、幅広いディールソースからの引き合いにより、案件パイプラインも十分に確保しているようだ。また、アライアンス先との協業を通じて海外不動産にも取り組んでいる。
(6) 航空機(GP分野)
2025年3月期末の営業資産残高は3,954億円(前期末比875億円増)、ROAは3.2%(前期は1.9%)、経常利益は114億円(前期比63億円増)。エアラインの旺盛な機体ニーズを背景に自社保有機の積上げが進んだ。また、非正常先からのリース料回収促進や効果的なリマーケティング活動、機体売却による収益寄与に加え、円安効果もあり大幅な増益となり、中期経営計画策定時の経常利益目標を前倒しで達成した。活動面でも、マーケット環境に応じた回転型ビジネスの推進やヤマトホールディングス向けフレイター(貨物専用機)などへの事業領域の拡大にも取り組んだ。
5. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、特徴的な動きとして資金原価が大きく増加したことに加え、大口売却益(不動産)の剥落といった特殊要因があったものの、成長領域の伸びにより打ち返し、増益基調を維持できたところは評価すべきポイントと言える。業績の中身を見ると、事業ごとにばらつきがあるものの、全体の伸びでカバーしたところは、同社の収益ポートフォリオの強さや安定性を示すものとして捉えることもできる。将来に向けても、「モビリティ/ロジスティクス」におけるEV領域(EVライフサイクルサービス等)やロジスティクス領域(物流インフラを支えるソリューション)、「エネルギー環境」における新領域(蓄電池関連等)、「ヘルスケア」における非ファイナンス領域の強化など、次世代の成長軸となり得るビジネスが具体的に動き出した。「エネルギー環境」では海外における再生可能エネルギー事業のさらなる拡大が見込まれる。足元の業績と将来利益の両にらみでバランスよく成果をあげることができたと評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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4. 事業分野別の業績及び活動実績
(1) モビリティ/ロジスティクス(RT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は2,311億円(前期末比372億円増)、ROAは2.9%(前期は3.5%)、経常利益は61億円(前期比2億円減)。国内における調達コスト増を戦略的な資産の積み上げや海外子会社の業績の伸びによりカバー、経常利益はほぼ横ばいを確保した。非財務目標である「EV・FCV保有比率」については、日本におけるEV普及率の緩やかな状況を鑑み、目標項目を「新規成約台数におけるEV・FCV比率」に見直した。活動面ではEV領域における協業を通じた取り組み※1が拡大したほか、ロジスティクス領域においても、M&A※2やアライアンス先との連携により事業基盤の拡充※3を図った。
※1 丸紅とBanpu NEXTと3社でタイに新会社を設立し、商用EV向けフリートマネジメントサービスを開始したほか、ヤマトグループとの協業によるEVライフサイクルサービスの提供開始など、国内外でEVワンストップサービスの機能拡充を進めた。
※2 2025年3月に物流機器の販売・レンタルを手掛けるワコーパレットを連結子会社化したほか、2025年4月にはレンタルパレットサービスを展開する日本パレットレンタルを持分法関連会社化した。
※3 物流機器・資材の「導入」・「所有」・「共有」に関する最適かつ持続可能なソリューションを提供し、新たな物流インフラを支えていく方向性を目指している。
(2) エネルギー環境(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は2,176億円(前期末比356億円増)、ROAは0.9%(前期は1.1%)、経常利益は18億円(前期比1億円増)。海外再エネを中心に営業資産を積み上げ、外貨コスト増はピークアウトしたものの、経常利益はほぼ前期並みにとどまった。国内外のアライアンス先との協業案件が順調に拡大したほか、開発型案件においても順調に推移し、非財務目標である再エネ発電容量1,000MW達成に向けてハイペースで進捗している。蓄電池領域においては、多種多様な企業とのパートナーシップの構築を進めるとともに、2024年12月にはグローバルエンジニアリング※を持分法関連会社化し、さらなる事業拡大に向けた機能強化を図った。
※ 蓄電池の運用・制御や遠隔監視、保守などを一気通貫で提供し、電力需給を安定させる事業を手がけている。
(3) BPO/ICT(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は558億円(前期末比47億円増)、ROAは2.8%(前期は2.5%)、経常利益は47億円(前期比3億円増)。人手不足等を背景に顧客ニーズは旺盛であるものの、人材の流動性向上や人件費を中心としたコスト増により、経常利益は微増にとどまった。一方、非財務目標である「お客様の業務量削減時間(2022年3月期比)」については81万時間(前期比32万時間増)と順調に進捗している。また、活動面では、パートナーとの連携を通じたサービス基盤拡充※1やデータセンター事業※2などへの事業領域の拡大を進めた。
※1 インボイスによるCO2排出量算定支援「OneVoiceエナジーデータ」の提供を開始、三菱UFJファクター(株)とFOCとの決済サービスBPOや、静銀総合サービスとFOCとのBPO事業(給与計算業務)における業務提携などで成果をあげることができた。
※2 国内外で市場拡大が見込まれるデータセンター領域への投資加速に向け、その第1弾として米国データセンター開発型ポートフォリオへ出資を実行。
(4) ヘルスケア(AT分野)
2025年3月期末の営業資産残高は945億円(前期末比71億円増)、ROAは2.2%(前期は2.1%)、経常利益は20億円(前期比2億円増)。アクリーティブによる診療・介護報酬ファクタリングを中心に資産残高は増加基調に反転するも、経常利益の伸びは微増。ヘルスケア事業施設については、非財務目標である「高齢者介護施設(新規提供室数)」が1,011室(前期末比248室増)と増えたほか、非ファイナンス領域の強化に向けて、CBホールディングス※を完全子会社化するなど、事業領域の拡大に取り組んだ。
※ 医療・介護・福祉業界に特化した専門性の高い経営ソリューションサービス(経営支援、承継支援等)を提供。
(5) 不動産(GP分野)
2025年3月期末の営業資産残高は1兆1,077億円(前期末比139億円増)、ROAは2.5%(前期は2.9%)、経常利益は275億円(前期比36億円減)。収益性やポートフォリオのバランスを意識したアセットコントロールを継続するなかで、前期計上した大口売却益の剥落により減益となったが、その影響を除けば、着実な成長を実現しており、中期経営計画策定時の経常利益目標を前倒しで達成した。パートナー企業との協働を含め、幅広いディールソースからの引き合いにより、案件パイプラインも十分に確保しているようだ。また、アライアンス先との協業を通じて海外不動産にも取り組んでいる。
(6) 航空機(GP分野)
2025年3月期末の営業資産残高は3,954億円(前期末比875億円増)、ROAは3.2%(前期は1.9%)、経常利益は114億円(前期比63億円増)。エアラインの旺盛な機体ニーズを背景に自社保有機の積上げが進んだ。また、非正常先からのリース料回収促進や効果的なリマーケティング活動、機体売却による収益寄与に加え、円安効果もあり大幅な増益となり、中期経営計画策定時の経常利益目標を前倒しで達成した。活動面でも、マーケット環境に応じた回転型ビジネスの推進やヤマトホールディングス向けフレイター(貨物専用機)などへの事業領域の拡大にも取り組んだ。
5. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、特徴的な動きとして資金原価が大きく増加したことに加え、大口売却益(不動産)の剥落といった特殊要因があったものの、成長領域の伸びにより打ち返し、増益基調を維持できたところは評価すべきポイントと言える。業績の中身を見ると、事業ごとにばらつきがあるものの、全体の伸びでカバーしたところは、同社の収益ポートフォリオの強さや安定性を示すものとして捉えることもできる。将来に向けても、「モビリティ/ロジスティクス」におけるEV領域(EVライフサイクルサービス等)やロジスティクス領域(物流インフラを支えるソリューション)、「エネルギー環境」における新領域(蓄電池関連等)、「ヘルスケア」における非ファイナンス領域の強化など、次世代の成長軸となり得るビジネスが具体的に動き出した。「エネルギー環境」では海外における再生可能エネルギー事業のさらなる拡大が見込まれる。足元の業績と将来利益の両にらみでバランスよく成果をあげることができたと評価する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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