注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 Veritas In Silico---mRNA標的核酸医薬品自社パイプライン特許出願 *14:25JST Veritas In Silico---mRNA標的核酸医薬品自社パイプライン特許出願 Veritas In Silico <130A>は22日、自社で開発を進めているmRNAを標的とした核酸医薬品(ASO)に関して、物質特許の出願を行ったと発表した。今回の特許出願は、2025年6月16日付で公表した自社パイプライン対象疾患決定の続報であり、非公開としていた対象遺伝子「p53」の情報も開示された。対象疾患は、心臓血管手術後に惹起される虚血性の急性腎不全であり、対象者は心臓血管手術患者のうち、急性腎不全の発症リスクが高いとされる65歳以上とされている。想定される国内市場規模は約150億円/年、開発期間は8~10年と見込まれている。本件は、同社の成長戦略においてKPIとして設定されていた「自社パイプライン創出(2025年度分)」の達成に該当する。なお、開発に伴う研究開発費のうち2025年度分については、2025年10月14日付で公表された2025年12月期の業績予想に織り込み済みである。 <NH> 2025/12/24 14:25 注目トピックス 日本株 上新電機---DOのリフォームの株式取得(子会社化)を決議 *14:14JST 上新電機---DOのリフォームの株式取得(子会社化)を決議 上新電機<8173>は23日、DOのリフォームの全株式を取得し、子会社化することを発表した。DOのリフォームは、And Doホールディングス<3457>の子会社であるハウスドゥ・ジャパンのリフォーム事業を吸収分割により承継する会社である。ハウスドゥ・ジャパンのリフォーム事業は約30年の業歴を有し、京都・奈良地域を中心に地元に密着した営業を行い、高い売上高を維持している。上新電機は関西地域を中心にドミナント戦略を展開しており、当該リフォーム事業とのシナジー効果により、事業拡大が期待されている。上新電機は、本年11月4日に発表した2028年度を最終年度とする新中期経営計画「JT-2028 経営計画」においてリフォームを成長事業と位置付け、事業領域の拡張を掲げている。今後は、当該リフォーム事業が有する大規模リフォームやリノベーションに関する高度なノウハウと、上新電機が有する顧客基盤を融合させることで、新たな需要の創出やリフォーム事業の成長を図るとしている。契約締結日は2025年12月23日、吸収分割の効力発生日は2026年2月1日、株式取得実行日は同年2月5日を予定している。 <NH> 2025/12/24 14:14 注目トピックス 日本株 BRUNO---創業30周年記念の特別株主優待の内容を発表 *14:12JST BRUNO---創業30周年記念の特別株主優待の内容を発表 BRUNO<3140>は23日、創業30周年を記念した特別株主優待の概要を発表した。対象は2025年12月31日時点で株主名簿に記載または記録されている株主のうち、400株以上を保有する者となる。優待内容は、同社ECサイト内に開設予定の特設ページで利用できるクーポン券の贈呈である。具体的には、400株以上600株未満保有の株主には18,000円相当、600株以上1,000株未満保有の株主には24,000円相当、1,000株以上保有の株主には30,000円相当のクーポン券が提供される。クーポン券は12,000円券と6,000円券の組み合わせで構成され、贈呈は2026年3月末までに行われる予定としている。利用にあたっては、クーポン券1枚につき1回の会計での利用となり、会計額が券面額を超えた場合は差額を株主が負担し、券面額未満でも残額は返金されない。利用にあたり、同社ECサイトへの会員登録が必要で、電話による申込みは不可、使用期間は2026年4月から6月中旬までを予定している。特設ページでは、キッチン家電、美容家電、トラベルグッズなど、税込1,000円から15,000円程度の価格帯の商品を80型以上取り揃える予定であり、数量には限りがある。 <NH> 2025/12/24 14:12 注目トピックス 日本株 タイミー---群馬県千代田町・千代田町商工会と包括連携協定を締結 *14:09JST タイミー---群馬県千代田町・千代田町商工会と包括連携協定を締結 タイミー<215A>は18日、群馬県千代田町、千代田町商工会との包括連携協定の締結を発表した。同社が群馬県内の町および商工会と連携を結ぶのは、今回が初めてとなる。群馬県千代田町は、利根川中流域の左岸に沿って東西に細長く延び、東京から60キロメートル圏内の場所に位置している。人口は2007年度より緩やかな減少傾向にあり、少子高齢化が進んでいる。また、現在町内の中小企業数は約500事業所で年々減少傾向にあり、労働力や後継者の不足といった問題も生じている。今回の連携協定では、同社と千代田町、千代田町商工会の3者が連携しながら、町内事業者および町内の働き手に対して、商工会加盟事業者向け説明会等を通じた、スポットワークの導入・活用支援や、地域住民を対象としたセミナー等の実施による多様な働き方の推進などのサポートを行う。また、スキマバイトサービス「タイミー」の活用によって、千代田町に所在する企業の人手不足の解消や、スポットワークを通じたスキマ時間の活用による多様な働き方の推進等を目指す。同社は「『はたらく』を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」のミッションのもと、千代田町の地域課題の解決やさらなる産業の活性化に向けて尽力する。 <NH> 2025/12/24 14:09 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(6):CAGR12%成長で2029年9月期売上高800億円へ *13:46JST 富士製薬 Research Memo(6):CAGR12%成長で2029年9月期売上高800億円へ ■中長期の成長戦略1. 中期経営計画の枠組み富士製薬工業<4554>は、「長期ビジョン2035ー“女性医療で新たな価値を創出し続け、誰もがwell-beingを実感できる社会へ貢献する”ー」達成に向けた中期経営計画(2025年9月期〜2029年9月期)において、持続的な成長と企業価値の向上を目指している。同中期経営計画の枠組みは、中期の成長ドライバー、長期の成長ドライバー、経営基盤の強化により構成されている。成長戦略は時間軸に応じて検討されており、実行する組織にも目配りがされているバランスのとれた中期経営計画である。2. 中期の成長ドライバー中期の成長ドライバーは以下3つの軸から構成されている。(1)女性医療の拡大による国内およびASEANでのプレゼンスの強化(2)バイオシミラーの本格事業化(3)グローバルCMOによる収益の安定化まず、女性医療では、月経困難症治療薬や更年期治療薬、経口避妊薬などで確立したポジションをさらに拡大し、「女性のライフステージすべてを支えるトータル・ウィメンズヘルスケア企業」への進化を目指す。新薬アリッサ(R)配合錠の投入で100億円の増収、タイを中心とした海外展開で20億円の増収を見込み、未充足ニーズの高い領域で新製品を投入し、2029年に女性医療事業売上高380億円を目標とする。次に、バイオシミラーでは、国産バイオシミラーの供給責任を担うリーディング企業として、製造・品質保証の一貫体制を生かしつつ、パイプラインを拡充中だ。ウステキヌマブBSを含む5製品の貢献などが130億円の増収効果をもたらし、2029年には同事業の売上を150億円規模に拡大させる計画である。同社としてはバイオシミラー事業を収益の新たな柱として育成を進めており、高収益が見込まれる女性医療とバイオシミラーで事業ポートフォリオの3分の2程度を占める構成を目指す。さらに、グローバルCMO事業では、富山工場とOLIC (Thailand)を両輪とした国際製造ネットワークを拡充し、国内外の製薬企業からの受託拡大を図る。特にホルモン剤や注射剤など、高付加価値製剤での受託比率を高め、安定したキャッシュ・フローの確保を狙う。2029年には同事業の売上を90億円に成長させる予定である。こうした取り組みにより、2029年9月期の売上高目標はCAGR12%を想定し800億円、営業利益100億円、ROE10.0%を目標としている。3. 長期の成長ドライバー(1) シーズ探索と研究開発強化同社は、後発品中心の事業構造から脱却し、次の成長を支える新薬創出型企業への転換を図っている。その中核に据えられているのがシーズ探索力の強化と研究開発投資の拡充である。2019年時点で年間30件程度だった新規シーズ創出件数は、2024年には100件超へと拡大した。これは、専任チームによる他社との提携強化、外部ニーズ調査、社内外のアイデア収集を組み合わせた成果である。探索体制は、創薬・事業開発・経営企画を横断する形で再編され、迅速な評価と意思決定を実現している。また、研究開発投資も中期経営計画期間中に大幅拡充される予定であり、無形資産投資(研究開発費・販売権・ライセンス取得費等)は前中期経営計画期間比で約96億円増となる計画。この資金を用いて、社内研究体制の拡張とともに、アカデミアやベンチャーとの共同研究、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じた外部シーズ投資も推進する。これにより、同社は「自前+外部連携」による新薬創出力の持続的拡大を目指している。(2) 新薬シーズ候補のポートフォリオ最適化現在、同社は25の新薬シーズ候補を保有しており、これらを売上規模・治療インパクト、開発段階、治療領域のバランスから最適化している。従来のホルモン剤中心から、女性医療に関連する多様な領域にも視野を広げ、開発ステージごとにリスクとリターンの調整を図る。また、開発ステージが前期段階の案件は売上規模・治療インパクトより探索テーマの多様化を図り、リスクを抑制する。一方、後期案件は売上規模・治療インパクトを優先し、上市に向けたプロセスを強化していく。こうした一連の取り組みは、短期的な収益案件と中長期的な成長種を両立させる「探索×最適化」の研究開発戦略として位置付けられ、2030年以降に向けた同社の持続的成長を支える基盤となっている。4. 経営基盤の強化加えて、これら中長期の成長ドライバーを支える基盤として、「人財・組織」「デジタル」「グローバル」への投資を重点強化する。研究開発への積極投資を継続しつつ、生産効率の高度化、営業のデジタル化、海外展開体制の再構築を進め、2030年以降の長期成長に備える。(1) 人財の強化まず「人財・組織」面では、女性が働きやすく活躍できる会社にするための様々な制度設計を行っている。たとえば、不妊治療特別有給制度や低用量ピル・更年期障害治療薬の費用補助、婦人科検診などの費用補助制度である。また、女性のみのチームを組成するなどし、女性社員の活躍の場を広げている。(2) 組織機能の高度化次に組織機能の高度化を図る。シーズ探索や研究開発基盤の強化を行い、持続的な研究開発体制を構築する。これにより、長期の成長ドライバーに向けたインフラを整える。また、安定供給基盤を従来以上に強化するほか、LCM(Life Cycle Management)推進基盤も強化する。既存医薬品のライフサイクルを延長し、収益性と医療貢献を持続させるための仕組み・体制を整備する。(3) デジタル「デジタル」分野では、デジタル変革(DX)を担う部門・体制面の整備により業務効率化と価値創出を推進する。併せて、デジタル人財の育成や風土改革を行うことにより、デジタル基盤を全社的に強化していく方針である。■株主還元策配当性向30%以上を堅持し、持続的成長と還元のバランスを追求同社は、税引後営業利益ベースで配当性向30%以上を堅持する方針の下、安定かつ継続的な利益還元を経営の重要方針の1つとして位置付けている。配当データによれば、年間配当金は2020年9月期の29.0円から一貫して増加しており、2025年9月期は45.5円、2026年9月期も47.0円を予想している。これにより、5期連続の増配を実現する見通しである。配当性向(税引後営業利益ベース)は、2020年9月期41.5%、2021年9月期33.5%、2022年9月期32.4%、2023年9月期33.6%、2024年9月期38.4%と推移しており、いずれも30%を上回る水準を安定的に維持している。この水準は、業績変動の中でも株主還元を重視する同社の姿勢を反映しており、事業成長と財務健全性の両立を意識したバランスのとれた配当政策と言える。中期的には、女性医療及びバイオシミラーの成長による収益拡大を背景に、さらなる増配余地も見込まれる。同社は今後も内部留保を成長投資へ振り向けつつ、安定的なキャッシュ・フローを原資とした持続的な株主還元を継続していく構えであり、安定成長型スペシャリティファーマとしての信頼性を高めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:46 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(5):成長加速により売上高・営業利益ともに2ケタ増を達成 *13:45JST 富士製薬 Research Memo(5):成長加速により売上高・営業利益ともに2ケタ増を達成 ■業績動向1. 2025年9月期業績動向富士製薬工業<4554>の2025年9月期連結業績は、売上高・営業利益ともに2ケタ増収増益となり、好調な推移を示した。売上高は前期比12.0%増の51,677百万円、営業利益は同28.6%増の4,999百万円を計上した。経常利益は44,459百万円(同0.3%増)とほぼ横ばいで推移した一方、親会社株主に帰属する当期純利益は3,000百万円(同51.2%減)と減益となった。増収要因としては、主力の女性医療分野における新薬や主力製品の販売が堅調に推移したことに加え、バイオシミラー事業の拡大や田辺三菱製薬(株)(現 田辺ファーマ(株))から承継した製品群の寄与が挙げられる。特に、2024年12月に発売した新薬アリッサ(R)配合錠や、天然型黄体ホルモン製剤『エフメノ(R)カプセル100mg』、経口避妊薬『ファボワール(R)錠』などが業績をけん引した。また、2024年5月に上市した乾癬治療薬『ウステキヌマブBS皮下注45mg「F」』が寄与し、バイオシミラー事業の成長が加速した。加えて、富山工場及びタイ子会社OLIC (Thailand)によるグローバルCMO事業も計画通り進捗し、全体の売上増に貢献した。一方、営業利益の増加は売上高の拡大に加え、製品ミックスにより売上総利益額・利益率ともに改善したことが寄与した。研究開発費は期ずれや開発中ジェネリック品の効率的な進捗により抑制された。ただし、販管費では人件費や減価償却費の増加が見られた。経常利益は為替評価損等の影響で横ばいとなったが、最終利益は前期にあった投資有価証券売却益など一過性要因の剥落により減益となった。2. 領域別業績動向同社は医薬品事業の単一セグメントであるが、「女性医療」「バイオシミラー」「グローバルCMO」の3事業領域を展開している。(1) 女性医療女性医療については、売上高22,372百万円(前期比5.7%増)となった。更年期障害治療薬エフメノ(R)カプセルが前期比35.5%増と大幅に伸長し、女性医療事業をけん引した。国内のHRT(ホルモン補充療法)服薬率は依然として低水準であるが、徐々に理解度が向上し市場が拡大している。経口避妊薬ファボワール(R)錠、ラベルフィーユ(R)錠」もオンライン診療市場での採用拡大が寄与した。新製品アリッサ(R)配合錠は発売初年度で売上高512百万円となり、2026年9月期第一四半期の処方制限解除を控えて来期以降の成長加速が期待される。(2) バイオシミラーバイオシミラーについては、売上高1,973百万円(前期比7.4%増)となった。乾癬治療薬ウステキヌマブBSが販売初年度ながら223百万円を計上し、好調に推移した。G-CSF製剤フィルグラスチムBSは薬価改定の影響により微減となったが、2025年11月に製造販売承認を取得したアフリベルセプトBS、ゴリムマブBS、デノスマブBSの3製品により、来期以降の成長ドライバーが揃う。3製品の先行品市場規模は合計1,500百万円と大きく、国内での販売拡大余地は極めて高い。またウステキヌマブBSは現在、先行品市場の約10%の市場である乾癬の適応のみでの販売だが、中期経営計画期間中にはクローン病、潰瘍性大腸炎の適応追加を見込んでおり、大きな成長が期待される。(3) グローバルCMOグローバルCMOについては、売上高8,342百万円(前期比4.9%増)となった。富山工場及びOLIC (Thailand)による受託生産が安定推移した。国内受託は新規案件増により13.9%増、海外受託は一部製品の生産調整で3.4%減となったものの、総じて堅調に推移している。ホルモン剤・注射剤といった高付加価値製剤の比率を高め、国際的な製造ネットワークの強化を進めている。3. 財務状況と経営指標2025年9月期末の同社の総資産は93,405百万円(前期末比3,404百万円増)となり、資産規模は拡大した。内訳では、売上増に伴う運転資金需要の増加や新製品投入に伴う費用計上を背景に、流動資産は47,913百万円(同5,445百万円増)に増加した。一方、固定資産は45,491百万円(同2,040百万円減)と減少し、減価償却の進行や設備投資の一服が影響した。現金及び預金は7,245百万円(同2,660百万円増)となったが、これは営業活動によるキャッシュ創出に加え、有利子負債の増加による資金調達の影響が大きい。負債合計は46,496百万円(同2,059百万円増)となり、このうち有利子負債は26,233百万円(同2,250百万円増)に拡大した。新製品開発や研究開発体制の強化に伴う投資資金の確保が主因である。一方、純資産は46,908百万円(同1,345百万円増)となり、自己資本比率は50.2%(前期は50.6%)と引き続き高水準を維持した。収益性面では、売上高営業利益率が9.7%(前期は8.4%)へ上昇し、製品ミックスの改善とコスト効率化の成果が見られた。現預金回転期間は1.68ヶ月(前期は1.19ヶ月)と長期化したが、これは資金調達と営業キャッシュ・フローの増加を反映したものと見られる。総じて、同社は積極的な成長投資を進めながらも健全な財務基盤を維持しており、今後の女性医療及びバイオシミラー事業の拡大に向けた資金体制は良好である。■今後の見通し増収増益を継続、株主還元も強化し増配へ1. 2026年9月期業績見通し2026年9月期の同社は、前期に続き売上高・営業利益ともに2ケタ成長を見込んでいる。売上高は57,490百万円(前期比5,813百万円増、11.2%増)、営業利益は5,520百万円(同530百万円増、10.6%増)を計画し、2期連続で過去最高を更新する見通しである。売上総利益率は41.2%(前期は40.2%)へ上昇する見込みで、製品ミックスの改善と高付加価値品の構成比拡大が寄与する。経常利益は5,240百万円(同17.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,810百万円(同27.0%増)を予想している。2. 領域別業績見通し女性医療では、同社の収益基盤を支える柱として引き続き堅調な成長を見込む。売上高は25,280百万円(前期比13.0%増)を計画しており、新製品『アリッサ(R)配合錠』が投薬制限解除後に本格拡販となり、3,100百万円規模まで成長する見通しである。更年期障害治療薬『エフメノ(R)カプセル』の継続的な成長により、女性のライフステージ全体を支える医薬品群としての地位を強化する。バイオシミラーは、前期比88.5%増の3,720百万円を計画しており、複数の新製品が薬価収載・販売開始となる見通しである。既存品の安定供給に加え、複数の新製品群が収益成長をけん引し、事業規模拡大に寄与する。グローバルCMOは8,500百万円(同1.9%増)と堅調を維持する予想である。富山工場及びOLIC (Thailand)を活用した受託生産が安定して推移し、収益の下支えとなる。これら3領域のうち、女性医療とバイオシミラーが全体売上の約5割を占める構造へ移行しつつあり、中期経営計画で掲げる「売上高800億円・ROE10%」の実現に向けた基盤を固めている。2026年9月期も設備投資を3,471百万円(同45.1%増)、研究開発費を4,600百万円(同37.6%増)と積極化し、次世代バイオシミラー及び女性医療での新薬開発に向けた布石を打つ計画である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:45 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(4):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(2) *13:44JST 富士製薬 Research Memo(4):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(2) ■事業概要2. 経営戦略の評価(1) 女性医療に特化した差別化集中戦略富士製薬工業<4554>の経営戦略は、医薬品業界において明確な差別化軸を有するものであり、「女性医療に特化したスペシャリティファーマ」としての地位を確立している点に特徴がある。同社は創業当初から、他社が市場規模や製造難易度の高さを理由に敬遠してきた婦人科領域に一貫して取り組んできた。その姿勢は、単なる製品供給にとどまらず、医療現場のニーズを的確に捉え、ホルモン剤や不妊治療薬といった高専門性領域で確かな信頼を築いてきた結果である。この“難易度の高い領域へのコミットメント”こそが、同社が中長期的に持続的成長を遂げるうえでの最も重要な経営資産と言える。(2) 独自の歴史的経路と模倣困難な競争優位性特に、日本市場においては、女性医療の潜在的成長余地が極めて大きい。欧米諸国と比較すると、月経随伴症状や更年期障害、不妊治療といった疾患の認知度は依然として低く、ホルモン治療の受診率も著しく限定的である。この「未充足市場(Unmet Needs)」に対して、同社は創成期から継続的に教育・啓発・処方支援を展開しており、医療従事者及び患者双方の意識変化を促してきた。こうした地道な活動が、今後の市場拡大フェーズにおいて同社の優位性をさらに高めると考えられる。過去半世紀にわたる専門領域への集中と、現場浸透力に裏打ちされた独自の歴史的経路をたどって形成されている。まさに、他社が容易に模倣することが困難な競争優位性を有している。(3) 女性医療事業は女性活躍推進社会を促進また、同社の女性医療事業は、単に女性の身体的健康の改善を目指すにとどまらず、社会的な文脈においても大きな意義を有している。2016年に女性活躍推進法が施行されて以降、企業や行政を挙げて女性の社会進出を支援する動きが加速しているが、女性の健康問題はその前提条件であり、同社の事業はまさにその基盤を支えるものである。月経困難症、更年期障害、不妊といった課題の改善は、働く女性の生活の質(QOL)と就労継続性を直接的に高めるものであり、同社の製品は社会的インフラとしての機能を果たしているとも言える。この点で、同社の経営戦略は医薬品産業における経済合理性と、ジェンダー平等を支える社会的使命の双方を兼ね備えた稀有なモデルである。さらに、女性医療という専門領域に集中しながらも、同社はバイオシミラーやグローバルCMOといった周辺事業を展開することで、事業ポートフォリオの多様化を図っている。これにより、研究開発の知見や製造技術の相互活用が進み、経営リスクを分散しながら持続的な成長基盤を構築している点も高く評価できる。総じて、同社の経営戦略は、ニッチ市場における専門性を深化させ、社会的価値と企業価値の両立を実現する経営モデルとして、今後のスペシャリティファーマの理想形を提示していると言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:44 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(3):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(1) *13:43JST 富士製薬 Research Memo(3):女性医療への特化と新薬開発への取り組みにより、独自の競争優位性を構築(1) ■事業概要1. 事業概要(1) 女性医療女性医療は、富士製薬工業<4554>の成長をけん引する中核事業であり、「未解決・未充足の女性の健康課題を解決する」という企業理念の体現である。世界的に女性医療市場は拡大基調にあり、2023年から2033年にかけて年率約4.8%の成長が見込まれる。特に日本では、疾患認知度やホルモン治療率が欧米諸国に比べて著しく低く、今後の成長余地が大きいことが示されている。この環境下で同社は、月経困難症治療薬『アリッサ(R)配合錠』を中核とした新製品群の展開により、女性医療市場でのシェア拡大を目指す。同薬品は天然型エストロゲン「エステトロール(E4)」を有効成分とする国内初の新規治療薬であり、2029年には年間売上高100億円規模に成長する見込みである。また、ヘルスリテラシー向上を背景に、既存主力の経口避妊薬や更年期障害治療薬『エフメノ(R)カプセル』なども伸長が期待されている。さらに、月経困難症治療薬(LEP)市場は2019年から2023年の5年間で約2倍に拡大し、2023年時点で使用シート数は1,000万を超える。同社は2029年までに『アリッサ(R)配合錠』で200万シートのシェア獲得を目標とし、女性医療の専任MR90名体制の営業力強化と、エムスリー<2413>との協業によるデジタルプロモーションを推進する。同社は、月経困難症・避妊・更年期・不妊といった女性のライフステージに寄り添う医薬品の総合提供を通じ、国内外で女性医療No.1ブランドの確立を目指している。現時点においても女性医療向け薬品の品揃えは40種類を超える。(2) バイオシミラーバイオシミラー領域は、同社にとって次世代の成長を担う戦略的事業であり、高付加価値型スペシャリティファーマへの進化を象徴する取り組みである。バイオシミラーとは、先行するバイオ医薬品の特許が切れた後に、先行バイオ医薬品と同等/同質の品質・有効性・安全性を備えた生物由来の後発医薬品であり、化学合成医薬品に比べて開発・製造の難易度が格段に高い分野である。日本では、国民医療費の増大を背景に、国が医療費抑制を目的として後発医薬品の普及を強力に推進しており、既に一般医薬品では処方全体の約9割がジェネリックに置き換わるまでに浸透している。こうしたなか、今後の医療費構造改革のカギを握るのがバイオ医薬品のコスト低減であり、バイオシミラーの普及は国策として極めて重要な位置付けにある。こうした環境下、同社は国内で5品目のバイオシミラーを上市している国内トップ企業として、医療費抑制と品質確保の両立を実現し、国の医療政策にも合致した役割を果たしている。同社は2013年にバイオシミラー事業に参入して以降、製造・分析・品質保証の一貫体制を構築してきた。さらに近年では、アイスランドのAlvotechとの戦略的提携を通じて、抗体医薬品を含む複数の開発パイプラインを確保しており、開発ポートフォリオの拡充とスピードアップを図っている。Alvotechのグローバルな開発・製造ノウハウを活用することで、同社は国内での開発力と競争力を一段と高めている。同社のバイオシミラー戦略は、過去からのジェネリック事業の拡張ということではなく、医療費抑制という社会的課題と、高品質な医療提供という使命を両立させる取り組みである。技術力、国際連携、政策適合性の3つを兼ね備えた同社は、バイオシミラー市場におけるリーディングポジションを確固たるものとし、持続的な成長軌道を描いている。(3) グローバルCMOグローバルCMO事業は、国内外の製薬企業からの製造受託を通じて収益の安定化と事業の国際展開を図る戦略的事業である。富山工場を中心に、高度な品質管理と柔軟な生産対応力を強みとし、注射剤やホルモン剤など、高難度製剤分野での受託実績を積み重ねてきた。また、2012年に子会社化したタイのOLIC (Thailand)を海外生産拠点として活用し、ASEANを中心とするグローバル展開を加速させている。中期経営計画では、「富山×タイ」の2拠点生産体制を軸に、国際的な製造ネットワークの構築を推進している。富山工場ではホルモン剤や注射剤の製造を中心に、高付加価値領域に特化した受託案件の拡大を進める。一方、OLIC (Thailand)はアジア最大級の医薬品受託製造企業として、外資系製薬企業を含む約40社と取引実績を有し、固形剤・液剤・注射剤など幅広い製品形態に対応している。これにより、同社は国内外双方で受託機能を補完し合う体制を確立している。さらに、今後はバイオシミラーや高薬理活性製剤の受託を視野に入れ、開発段階から製造・品質保証までを一貫支援する“フルスコープ型CMO”への進化を目指す。グローバルCMO事業は、医薬品の安定供給体制を支える社会的インフラとしての役割を担いながら、同社の中長期成長を下支えしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:43 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(2):高い独自性を持つ女性医療特化のスペシャリティファーマ *13:42JST 富士製薬 Research Memo(2):高い独自性を持つ女性医療特化のスペシャリティファーマ ■会社概要1. 会社概要富士製薬工業<4554>は、医療用医薬品の開発・製造・販売を主事業とする日本の製薬メーカーである。1965年4月に設立され、本社を東京都千代田区三番町に置く。子会社及び海外拠点を含むグループ体制で運営されており、2025年9月末時点での連結従業員数は1,760名(うち富士製薬工業969名、OLIC (Thailand)791名)に上る。1995年6月に株式を店頭登録し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。販売・流通拠点は、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の主要都市に展開し、富山県には製造工場及び研究拠点である富山研究開発センターを有する。また、グローバル展開の一環として、タイの子会社OLIC (Thailand)を通じた海外での製造・販売体制も整備しており、アジアを中心に事業基盤を拡大している。設立以来、同社は一貫して女性医療領域に注力してきた。当初は約45年間にわたり後発医薬品(ジェネリック)を中心に事業を拡大してきたが、2008年に月経困難症治療薬『ルナベル(R)配合錠』の新薬の発売を転機として、同社は単なる後発品メーカーから新薬を手掛ける企業に転換し、ホルモン剤や不妊治療薬、経口避妊薬、更年期障害治療薬など、女性のライフステージに寄り添う幅広い医薬品を提供するスペシャリティファーマとしての地位を確立した。現在は、「女性医療」を中核として、バイオ後発品の開発・販売を担う「バイオシミラー」、そして富山工場及びOLIC (Thailand)を中心とする製造受託事業「CMO」の3つの事業領域を展開し、専門性の深化と事業ポートフォリオの拡張を通じて、国内外の医療現場に持続的な価値を提供している。2. 沿革同社は、1954年に東京都豊島区で創業した富士薬品商会を起源とし、1959年に富山県水橋町(現 富山市水橋地区)に製剤工場を設け、有限会社富士製薬工業として設立された。1965年には株式会社へ改組し、本格的に医療用医薬品の開発・製造・販売を開始した。1974年には婦人科領域向けホルモン剤を発売し、女性医療分野へ本格的に参入した。創業者・今井精一(いまいせいいち)氏は、創業当初より「多くの人が必要としていながらも支援の行き届いていない分野に貢献したい」という信念を抱いており、女性医療こそその理念を体現する領域であると考えていた。女性医療は市場規模が小さく、ホルモン剤など管理が難しい高専門性領域であったため、他社が参入をためらう分野であったが、同社は「満たされていないからこそ挑戦する」という方針を掲げ、独自の技術開発と製品供給に取り組んだ。この決断が、後のスペシャリティファーマとしての独自性と専門性を確立する礎となった。その後、診断用医薬品(造影剤)の発売などを通じて事業領域を拡大し、1995年には株式を店頭登録。2005年には設立40周年を機にコーポレートアイデンティティを刷新し、企業ブランドの再構築を進めた。2012年にはタイの医薬品製造受託会社OLIC (Thailand)を子会社化し、海外展開とグローバルCMO事業を強化。翌2013年には富山研究開発センターが竣工し、研究開発体制を拡充した。現在は、長年培った女性医療を中核に、バイオシミラー及びグローバルCMO事業を成長の柱として位置付け、東京証券取引所プライム市場上場企業として、専門性と国際競争力を兼ね備えたスペシャリティファーマへと進化している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:42 注目トピックス 日本株 富士製薬 Research Memo(1):女性医療への特化により、独自の競争優位性を構築するスペシャリティファーマ *13:41JST 富士製薬 Research Memo(1):女性医療への特化により、独自の競争優位性を構築するスペシャリティファーマ ■要約1. 会社概要富士製薬工業<4554>は、医療用医薬品の開発・製造・販売を主事業とする日本の医薬品メーカーである。1965年4月に設立され、本社を東京都千代田区三番町に置き、海外拠点を含めたグループ体制で運営されている。2025年9月末時点で、連結従業員数1,760名に上る。1995年6月に株式を店頭登録し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。同社は設立以来、女性医療に特化してきた歴史を有する。当初は後発医薬品(ジェネリック)の提供により業容を拡大してきたが、近年は月経困難症治療剤、不妊治療剤、更年期障害治療薬など「女性医療」向け医薬品の圧倒的な品揃えと永年の知見により、新薬の開発・製造・販売を行うスペシャリティファーマとしての地位を確立している。また2013年から国内でいち早くバイオシミラー(バイオ医薬品の後続品)に取り組み、現在では国内トップクラスの製造販売承認数を保有している。販売・流通拠点は日本国内における複数の事業所(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)を核とし、富山県には製造工場及び研究所(富山研究開発センター)を有する。また、グローバル展開の一環として、タイの子会社OLIC (Thailand) Limitedを通じた海外取引及び製造販売も実施しており、国内外での事業基盤を持つ。2. 2025年9月期業績概要2025年9月期は、売上高・営業利益ともに2ケタ増収増益となり、好調な決算となった。売上高は前期比12.0%増の51,677百万円、営業利益は同28.6%増の4,990百万円を計上。経常利益は4,459百万円とほぼ横ばいで推移したが、親会社株主に帰属する当期純利益は3,000百万円(同51.2%減)と一時的な減益となった。女性医療領域では、新薬『アリッサ(R)配合錠』や『エフメノ(R)カプセル、経口避妊薬『ファボワール』などが堅調に推移し、業績をけん引した。加えて、乾癬治療薬『ウステキヌマブBS皮下注45mg「F」』の寄与により、バイオシミラー事業の成長が加速した。さらに、富山工場及びOLIC (Thailand)によるグローバルCMO(contract Manufacturing Organization:医薬品製造受託)事業も計画通り進捗し、全体の増収に寄与した。一方、営業利益は売上増に加え、前期に発生した契約一時金の反動減が研究開発費を抑制したことも寄与したが、最終利益は投資有価証券売却益の剥落により減益となった。3. 2026年9月期業績見通し2026年9月期業績は、前期に続き売上高・営業利益ともに2ケタ成長を見込んでいる。売上高は57,490百万円(前期比11.2%増)、営業利益は5,520百万円(同10.6%増)を予想し、2期連続で過去最高を更新する見通しである。売上総利益率は41.2%(前期は40.2%)へ上昇する見込みで、製品ミックスの改善と高付加価値品の構成比拡大が寄与する。経常利益は5,240百万円(同17.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,810百万円(同27.0%増)を予想している。4. 中長期成長戦略同社は10年後のありたい姿を定めた長期的な目標として「長期ビジョン2035ー“女性医療で新たな価値を創出し続け、誰もがwell-beingを実感できる社会へ貢献する”ー」を策定し、中期経営計画(2025年9月期〜2029年9月期)はこの「長期ビジョン2035」を達成するための前半5年間と位置づけ、、持続的な成長と企業価値の向上を目指している。同中計の枠組みは、中期の成長ドライバー、長期の成長ドライバー、経営基盤の強化により構成されている。こうした取り組みにより、2029年9月期は売上高800億円、営業利益100億円、ROE10.0%を目標としている。■Key Points・女性医療に特化してきたスペシャリティファーマ・外部環境は、女性医療への認知度向上や女性活躍推進社会の浸透などにより当面の間フォローが続く・医療費適正化の観点からバイオシミラー事業への飛躍的な需要増も期待できる・処方箋を書く医師にとっては女性医療分野の薬品は同社が第一想起(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/12/24 13:41 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(10):利益成長とともに配当水準の向上を目指す *13:10JST ククレブ Research Memo(10):利益成長とともに配当水準の向上を目指す ■株主還元策ククレブ・アドバイザーズ<276A>は株主への利益還元を経営上の重要課題として位置付けている。収益基盤の多様化や収益力強化のための事業資金への活用と内部留保の充実を最優先しつつ、株主利益最大化と内部留保のバランスを図りながら配当を行うことを基本方針としている。配当については実質初年度に当たる2020年8月期から実施し、2025年8月期まで連続増配を継続している。今後も業績や財務状況・事業環境等を総合的に勘案し、利益成長とともに配当水準の向上を目指す。2025年8月期の1株当たり配当金は、前期比5.0円増配の22.0円(上場記念配当2.0円含む)を実施した。2026年8月期も同5.0円増配となる27.0円を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:10 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(9):不動産テック×CREソリューションで高成長を目指す *13:09JST ククレブ Research Memo(9):不動産テック×CREソリューションで高成長を目指す ■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の中期経営計画2. 成長戦略(1) CREソリューションビジネスCREソリューションビジネスの成長戦略として、CREプラットフォーマーとしての確固たる地位確立に向け、事業・エリアに強みを持つパートナーとの戦略的アライアンスの取り組みを加速する。既述の地主やエムエル・エステート以外にも大手デベロッパーや不動産ファンド運用会社など多くの企業とアライアンスを進めており、相互のリソースを活用することで効率的に事業を拡大する。また、資本効率向上やサプライチェーン再構築などのCRE対応ニーズの高まりを背景に、CREマーケットにおいて増加する投資機会を継続的に捕捉する。従来のボリュームゾーンである5億円~20億円の案件を拡大するほか、20億円超の案件についてもパートナー企業との共同出資やファンド組成で獲得する。また、5億円未満の案件については「CCReB CREMa」を活用し、仕入から売却までの早期回転を継続し、キャッシュ効率を高める戦略である。重要なデータベースとなる「CCReB CREMa」の情報登録件数については、毎期20%強の拡大を想定し、2025年8月期末の6,867件から2028年8月期は13,300件を見込む。情報登録件数の照会率は2025年8月期の実績に基づき25.0%を前提とし、商談率は営業人員の増加により2025年8月期の5.5%から、2028年8月期は7.0%と緩やかな上昇を想定している。成約率は、2025年8月期の実績に基づき20.0%の水準が続く前提とした。これらを前提とすると、成約件数は2025年8月期の20件から2028年8月期は45件に拡大する。1件当たりの成約平均単価については、情報登録件数の増加とともに上昇トレンドが続く見通しで、成約件数と掛け合わせた変動売上高は2025年8月期の2,058百万円から2028年8月期は10,800百万円に拡大することになる。一方、ストック型ビジネス(不動産テックビジネスや賃料収入など)の売上高も事業規模の拡大に応じて、2025年8月期の497百万円から2028年8月期は1,200百万円への成長を見込む。なお、2028年8月期におけるCREソリューションビジネスの売上構成比は約85%(2025年8月期は93.3%)、不動産テックビジネスは約15%(同6.7%)を想定している。CREソリューションビジネスの各サービスの売上構成比については大きな変化はないと見込んでいる。CREソリューションビジネスでは、引き続きCREアドバイザリー、不動産仲介、B/Sを活用した不動産投資・賃貸、プロジェクトマネジメントの各サービスを強化する。加えて、新規ビジネスとして2027年から開始するマスターリース事業についても、危険物倉庫を皮切りに、新たなマスターリース対象となるアセットの探索を行う。(2) 不動産テックビジネス不動産テックビジネスについては、既存サービスの機能拡充を図り、同業他社に対する競争優位性を確保する。加えて、他社からのシステム受託開発も受注し、収入源の多様化を図る。すでに地主向けにAIを活用した不動産テックシステムについて共同開発を進めており、大手製造業やメーカーの管財部門からシステム開発依頼を数多く受けている。2028年8月期には、不動産テックビジネス売上高の約3分の1まで受託開発収入を拡大する計画である。(3) 新たな取り組み(M&A・アライアンス戦略)新たな取り組みとしてM&A戦略をCREソリューションビジネス、不動産テックビジネスでそれぞれ推進する。CREソリューションビジネスでは、企業価値20億円弱の中堅・中小企業の事業承継案件から、CREの潜在価値を引き出す案件を厳選して投資を実行する。その後、子会社化したのちに当該企業の事業部分を切り離し、残った不動産部分についてバリューアップを行い、資産価値を最大化した後に売却するスキームである。事業承継を課題としている中堅・中小企業で、遊休不動産を抱えている企業は多く、潜在ニーズは大きいため、2027年9月期以降、徐々にM&Aの実績を積み重ねながら、ノウハウを蓄積していく。一方、不動産テックビジネスに関しては、不動産テック事業や関連テック事業を展開する企業を対象にM&A・アライアンス戦略を推進する。両社のプロダクトを連携することでシナジーが期待できる企業や、顧客基盤を持つ企業、地方銀行向けにプラットフォームサービスを展開する企業などが対象となる。特に、主要ターゲットである中堅・中小企業の顧客を多く持つ地方銀行向けについては、顧客獲得の重要なルートとして位置付け、従来から「CCReB CREMa」だけでなく、不動産情報をオープンにせず自行内に利用を限定する機能を持つ「CCReB MB(マッチングボックス)」の導入に注力してきた。しかし、2025年8月末時点の導入銀行数は9行にとどまっているため、既にビジネスマッチングなどのプラットフォームサービスで多くの銀行に導入実績を持つ企業とのアライアンスを推進している。当該企業の提供するサービスの1メニューとして加えることで、導入ペースを加速させる狙いで、既にアライアンス候補先企業との協議も進行中である。そのほか、東証の上場基準厳格化に伴い、不動産テックなどのベンチャー企業に出資するVCからの紹介案件が増加しており、条件に適合する企業があれば前向きに検討していく。同社はM&A・アライアンス戦略の推進にあたり、2025年10月に経営企画室を新設し、M&Aをはじめ、ビジネスマッチングの経験豊富な人材を1名採用した。また、中堅・中小規模のM&A案件(企業価値30億円以下)を手掛けるファイブ・アンド・ミライアソシエイツ(株)と業務提携契約を締結した。今後、ファイブ・アンド・ミライアソシエイツの独自の案件ソーシング力や広範なネットワークと、同社の不動産テック及びCREソリューションを活用し、同社独自のCRE×M&Aを推進する。3. 人的資本戦略社内業務のDX活用による生産効率のさらなる向上と、人的リソースの拡充を両立する。採用計画については、リファラル採用や人材サービス会社を活用し、優秀な人材を採用する。2028年8月期の従業員数は30名と、3期で2倍増を計画している(2028年以降は新卒採用も視野に入れる)。また、優秀な人材を確保するため、各種インセンティブ制度の導入や、本社オフィスの移転(2026年9月予定)による職場環境の整備、社員エンゲージメント向上に取り組む。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:09 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(8):2028年8月期に売上高120億円、営業利益32億円を目指す *13:08JST ククレブ Research Memo(8):2028年8月期に売上高120億円、営業利益32億円を目指す ■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の中期経営計画1. 中期経営計画の概要同社は2025年10月に3ヶ年の中期経営計画「A Tech-Driven Platform Strategy」を発表した。不動産テックを起点としたCREソリューションの高い「質」と「成長性」を通じたビジネス展開の加速により、CREプラットフォーマーとしての地位確立を目指す。CREソリューションビジネスでは、戦略的アライアンス、各サービスの強化、CRE×M&A(事業再生と資産価値の最大化)戦略を掲げ、ネットワーク拡大を通じたCREプラットフォーマーとしての事業成長を推進する。また、不動産テックビジネスでは、不動産テックシステムの機能強化と利用拡大を推進し、さらには不動産テック関連企業とのM&Aやアライアンスによる事業拡大も目指す。業績目標としては、2028年8月期に売上高12,000百万円、営業利益3,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,080百万円を掲げた。年平均成長率では売上高で67.5%、営業利益で73.6%、親会社株主に帰属する当期純利益で67.2%と高成長トレンドが続く見通しである。営業利益率は、不動産テックを活用した「質」の高い案件に取り組むことで25〜30%のレンジを目指す。なお、同社は2025年11月に公募及び第三者割当増資により約24億円の資金調達を実施した。ただし、今回の中期経営計画は、これら増資による資金調達を前提とせずに策定されている。今回の資金調達の結果、投資余力が想定以上に大きくなったことで、中期業績計画達成の蓋然性は高まったと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:08 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(7):2026年8月期もCREソリューションに対する需要は旺盛で高成長が続く見通し *13:07JST ククレブ Research Memo(7):2026年8月期もCREソリューションに対する需要は旺盛で高成長が続く見通し ■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の業績動向3. 2026年8月期の業績見通し2026年8月期の連結業績は、CREソリューションビジネスに対する旺盛な需要を背景に、売上高で前期比83.9%増の4,700百万円、営業利益で同79.4%増の1,100百万円、経常利益で同74.4%増の1,044百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同57.1%増の700百万円と、大幅増収増益が続く見通しである。計画策定時点のパイプラインの売上計上予定時期と過去からのトレンドをベースに、四半期ベースでの業績見込みを開示している。2025年8月期は上期に収益が偏重していたが、2026年8月期は下期偏重型となる見通しのため、第2四半期までの営業利益は前年同期比で2ケタ減益が続く点には留意が必要である。2026年8月期は、B/S活用による不動産投資の大型売却案件が予定されている第3四半期がピークとなり、売上高で2,231百万円、営業利益で434百万円となる見通しである。足元のCREソリューションビジネスにおける需要は活発で、パイプラインも順調に積みあがっていることから、会社計画を達成する可能性は高い。なお、実際の案件計上時期が顧客事由などにより前後することで、各四半期の計上額は会社計画から変動する可能性がある。(1) 新規事業の始動2026年8月期はCREソリューションビジネスの新たな取り組みとして、HAZMAT※1倉庫等を含めた開発やマスターリースなどのプロジェクトを推進する。具体的には、取得済みの北海道北広島市の土地において、8棟で構成される賃貸型危険物倉庫の開発プロジェクト※2に事業法人2社と共同で着手する。2026年3月頃に、開発主体となる特定目的会社(開発TMK)に土地を売却する予定である。その後、開発TMKから開発に関するプロジェクトマネジメント業務を受託するほか、HAZMAT倉庫のマスターリース事業を展開する。竣工後は、REITまたは私募ファンドへの売却を想定している。同社にとっては、1つのプロジェクトで複数の収益ポイントが発生する。現在、兵庫県・福岡県・熊本県の3つの物件でも提案活動を進めており、2027年8月期以降の収益貢献を見込んでいる。※1 HAZMATとは危険物(Hazardous Materials)を指す。HAZMAT倉庫は関連法規に準拠し、これらの物質を安全に保管・取り扱うために設計された倉庫で、具体例として半導体・蓄電池などの材料が挙げられる。※2 土地面積2.1万平方メートル、建物面積約8,500平方メートル(計画段階)で、2026年4月に着工、2027年4月に竣工予定。危険物倉庫の供給は、面積ベースで年々増加傾向にあるものの、自社所有の倉庫が多く、賃貸型の危険物倉庫の供給はまだ少ない。今後は国策として半導体や蓄電池等の産業の育成が進み、危険物倉庫の賃貸需要の拡大も予想されるため、同領域における成長余地は大きいと見られる。(2) 不動産テックシステムの付加価値向上具体的な取り組みとして、「CCReB AI」では、不動産売買動向予測のさらなる精度向上に向け、2025年9月よりアルゴリズム研究の第一人者である兵庫県立大学の加藤特任教授と共同研究を開始した。新たな分析手法を加えることで、様々な観点から資産効率の良い企業を分析し、対象企業の資産効率面での評価や参考にすべき類似企業を特定したうえで、不動産売買予測ロジックに組み込むことを想定している。また、生成AIによる「壁打ち機能」を搭載し、提案書自動作成の高度化にも取り組む予定である。「CCReB CREMa」は2025年9月に3つの機能を追加した。1つ目は地図連携機能であり、登録された物件及びニーズ情報を地図上にマッピングできるようになった。従来はExcelなどで管理していた拠点情報を地図上で可視化し、一元管理できるようになった。2つ目は出力機能で、登録済み物件の詳細情報をPDFやPowerPointへ出力できるようになった。3つ目は外部サービス連携機能で、物件概要の詳細画面から、外部企業が提供する不動産テックサービス(登記情報取得サービス、全国地価マップなど)へ直接アクセスできるようになった。同社は今後もこれらツールの機能を拡充して利便性を高め、利用者数の拡大、重要なデータベースの役割を果たす「CCReB CREMa」の登録物件数を拡大し、収益拡大につなげていく。(3) 資本業務提携について同社はCREプラットフォーマーとして戦略的なアライアンスを強化する方針を打ち出すなかで、2025年10月に地主及びエムエル・エステートとの資本業務提携を発表した。地主とは2025年5月に業務提携を発表し、提携後すぐに相互に不動産取引を実行するなど成果も出始めているが、今後の両社の一層の事業成長及びシナジー創出を目的に、資本関係を含むより強固な関係を構築した。今回の提携により、相互の不動産案件情報を連携し、共同投資や仕入強化による事業拡大を目指す。また、地主に対してAIを活用した不動産テックシステムの受託開発も行う。システム開発は、子会社のククレブ・マーケティングで行う予定である(実際の開発の大部分は外部リソースを活用する)。資本提携については、同社が同年11月に実施した第三者割当増資により108,400株(発行済株式(自己株式除く)比率で2.17%)を地主が取得した。エムエル・エステートとは2021年12月に資本業務提携契約を締結しており(2025年8月末時点の保有株式数90,919株)、従来から親会社のみずほリースの顧客向けにCRE戦略提案の共同実施や、不動産投資のためのファイナンス機能の提供などを行ってきた。今回の提携は、中期経営計画で掲げたさらなる成長戦略として、一定の投資金額を超えるCRE案件においてパートナー企業との共同出資やCREファンド組成を行うなかで、パートナーの1社として協業し、両社の事業成長及びシナジー創出を企図している。また、新規ビジネスの創出や人材相互交流などの連携も強化する方針で、すでに人材の受け入れが始まっている。資本提携の内容としては、同じく第三者割当増資により、46,500株をエムエル・エステートが取得した(発行済株式(自己株式除く)比率0.93%であり、既存保有株式と併せて2.75%)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:07 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(6):2025年8月期はB/S活用不動産の売却などにより、大幅増収増益を達成 *13:06JST ククレブ Research Memo(6):2025年8月期はB/S活用不動産の売却などにより、大幅増収増益を達成 ■ククレブ・アドバイザーズ<276A>の業績動向1. 2025年8月期の業績概要2025年8月期の連結業績は、売上高で前期比101.2%増の2,555百万円、営業利益で同45.6%増の612百万円、経常利益で同43.8%増の598百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同54.5%増の445百万円と、大幅増収増益となった。ただし、2025年7月に上方修正した会社計画に対しては、一部案件の期ズレが発生したことにより、計画を下回る結果となった。売上高のうち、CREソリューションビジネスは前期比112.7%増の2,383百万円と大幅な増収となった。これは、B/Sを活用した不動産投資が約4倍増の1,540百万円と急増したことが主因である。B/Sを活用した不動産賃貸収入も、保有資産の増加に伴い同9.3%増の294百万円と堅調に推移した。そのほか、CREアドバイザリーが同139.6%増の203百万円、CREファンド組成が同40.9%増の77百万円と順調に増加した。一方で、不動産仲介が同4.7%減の268百万円と減少したほか、プロジェクトマネジメントは同期間での案件はなく売上は発生しなかった。不動産テックビジネスは同15.0%増の171百万円と好調に推移した。これは「CCReB AI」のユーザー数の増加と、「CCReB CREMa」のユーザー数が前期末比54.5%増の502アカウントに増加するなか、有料会員のユーザー数が増加したことで、課金収入が順調に積み上がったことが主因である。なお、「CCReB CREMa」の情報登録件数についても同25.4%増の6,867件と増加基調が続いている。売上総利益率は、B/S活用による不動産投資の売上構成比が上昇したことにより、前期の66.9%から43.8%へ低下した。一方、販管費は同18.2%増の506百万円となった。人員増(前期末比3名増の15名)に伴い人件費が増加したものの、増収により販管費率は前期の33.7%から19.8%に低下した。この結果、営業利益率は前期の33.2%から24.0%に低下したが、不動産業界全体の収益性を上回る水準を維持している。なお、ハワイ所在の賃貸不動産を売却したことにより、固定資産売却益23百万円を特別利益として計上した。販売用不動産の取得及び取得資金の借入により資産・負債が増加2. 財務状況と経営指標2025年8月期末の資産合計は前期末比2,280百万円増加の3,791百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では株式上場に伴う新株発行や借入による資金調達などにより現金及び預金が1,376百万円増加したほか、販売用不動産が759百万円増加の1,475百万円となった。固定資産では、有形固定資産が42百万円増加の320百万円となったほか、ストックオプション行使に伴う費用負担補助を資金使途とする従業員に対する長期貸付金69百万円を計上した。負債合計は前期末比1,157百万円増加の1,696百万円となった。不動産取得資金として短期借入金が1,230百万円増加の1,450百万円となった。純資産合計は同1,122百万円増加の2,095百万円となった。配当金支出58百万円があった一方で、新株発行等に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ367百万円増加したこと、また親会社株主に帰属する当期純利益445百万円を計上したことによる。経営指標では、経営の安全性を示す自己資本比率が前期末の64.2%から55.2%に低下したが、ネットD/Eレシオは-0.09倍と同社が目標とする1.0倍以下の水準を維持した。ネットD/Eレシオについては今後も1.0倍以下の水準であれば借入金も活用しながら販売用不動産を取得する方針だ。また、2025年4月に(株)みずほ銀行との間で借入限度額500百万円のコミットメントライン契約を締結し、金融機関との取引関係を強化した。収益性に関しては営業利益率で24.0%、ROEで29.1%といずれも前期と比較して低下したものの、売上構成比の変化が主因でいずれも不動産業界の平均と比較すれば高い水準にある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:06 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(5):参入障壁の高いコンパクトCRE市場で独自のポジショニングを確立 *13:05JST ククレブ Research Memo(5):参入障壁の高いコンパクトCRE市場で独自のポジショニングを確立 ■会社概要3. 市場規模と同社のポジショニングククレブ・アドバイザーズ<276A>は企業の保有する不動産のなかでも、簿価でおおむね20億円以下の工場・物流施設・研究開発施設などのコンパクトCREに注力している。この市場は、不動産に限らず経営や産業に関する知識・ノウハウが必要となるため、参入障壁が高い。大手不動産会社は業務効率や採算性の観点からコンパクトサイズの資産の取り扱いは限定的であり、中堅・中小不動産会社なども取り扱いの難しさから参入しにくい状況にあるため、競合企業が少ないブルーオーシャンマーケットと位置付けられる。上場企業及び非上場企業が保有する簿価20億円以下の不動産ストックは、同社推計で60兆円規模(うち、上場企業で約12兆円)※と、CREの有効活用に関する潜在ニーズは大きい。特に、東証が2023年よりプライム市場及びスタンダード市場の上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現」を要請した結果、各企業がROEやROICの向上施策を策定するなかで遊休不動産に関する有効活用ニーズが高まった。同社は、こうしたニーズを不動産テックで効率的に掘り起こし、プロジェクトを成功に導くことで顧客からの信頼を獲得している。※ 上場企業に関しては、2023年に開示された全上場企業の有価証券報告書において、「主要な設備の状況」に記載された土地・建物及び構築物のうち、1件当たり帳簿価格20億円以下の不動産の合計値を同社で集計した。非上場企業に関しては、2022年6月時点で20億円以上の有形固定資産を保有する企業の土地・建物及び付帯設備の合計額を同社が集計。同社は、高い収益性と財務健全性を両立しながら、不動産テックを活用した生産性の高い独自のビジネスモデルにより、営業利益率は創業来20%超の水準を維持している。また、B/Sを活用した不動産投資・賃貸について、一定規模以上の案件ではCREファンド組成を活用して資金負担を軽減しており、ネットD/Eレシオ((有利子負債-現金及び預金)÷株主資本)で1.0倍以下と適切なレバレッジ水準を維持している。今後も1.0倍以下の水準で事業投資を進めていく。なお、直接の競合ではないものの、同社が意識している企業として、不動産投資プレイヤーでは霞ヶ関キャピタル<3498>、不動産テック企業ではSREホールディングス<2980>を挙げている。不動産テック活用により高い成長性・収益性を実現、不景気にも強い事業構造を構築4. 同社の強み同社は、不動産テックを活用した業務プロセスの確立による業務の大幅な効率化と高い成長率の実現に加えて、景気変動の影響を受けにくい事業構造も強みとしている。(1) 不動産テック活用による業務効率化一般的なCRE提案のプロセスでは、顧客ターゲティング選定に1ヶ月から数年単位、営業・交渉に1ヶ月、CREの売買などのマッチングに1ヶ月から数年単位、エグゼキューション(実行・管理)に2ヶ月程度の期間を要する。これに対し、同社は「CCReB AI」の活用によりターゲット企業の選定を数日から1ヶ月以内へ、「CCReB CREMa」の活用によりマッチング期間も数日から1ヶ月程度へ短縮できる。顧客側から見ると、従来6ヶ月から数年単位で実行されていたプロジェクトを、3〜6ヶ月で実行できるため、活用メリットは大きい。同社側から見ると、プロジェクト期間の短期化により、他社と比較してプロジェクト当たりの人件費を低く抑えられるほか、同一期間で数多くのプロジェクトを処理できるため、高い生産性・収益性を実現する要因となっている。また、「CCChat」を用いることで、経験・ノウハウが不足している営業社員でも顧客に最適な提案が可能となり、早期戦力化を実現している点も強みである。(2) 景気変動の影響を受け難い事業構造2つ目の強みは、景気変動の影響を受けにくい事業構造を確立している点にある。企業のCREソリューションに対するニーズは景気の変動にかかわらず常に存在している。好況時には、不動産価格の上昇による売却ニーズが増えるほか、新規投資のための不動産取得ニーズが増大し、不動産仲介案件が増加する。一方、不況時には、企業収益が悪化した場合に本業の収益を補完する目的で保有資産の売却や有効活用を行う意向が強まり、CREファンド組成やプロジェクトマネジメントなどのソリューションニーズが増大する。金利上昇局面では不動産投資マインドが冷え込むものの、CREニーズは常に存在しており、多様なソリューションを提供している同社が受ける影響は軽微であると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:05 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(4):コンパクトCRE市場を対象にソリューションサービスを提供(2) *13:04JST ククレブ Research Memo(4):コンパクトCRE市場を対象にソリューションサービスを提供(2) ■会社概要(2) CREソリューションビジネスの概要企業のCRE戦略をサポートするため、ククレブ・アドバイザーズ<276A>は顧客(企業・不動産プレイヤー)のニーズに合わせ、CREアドバイザリー、CREファンド組成、プロジェクトマネジメント、B/Sを活用した不動産投資・賃貸、不動産仲介といったソリューションサービスを提供している。2025年8月期の売上構成比は、B/Sを活用した不動産投資が64.6%と最も高く、B/Sを活用した不動産賃貸が12.3%、不動産仲介が11.3%と続く。3つのソリューションで9割弱を占めている。そのほか、CREアドバイザリーが8.5%、CREファンド組成が3.3%となり、プロジェクトマネジメントは売上は発生しなかった。CREアドバイザリーでは、企業に対してCREの有効活用(売買・賃貸・その他取引)に関するソリューションの提案・助言に加え、不動産プレイヤーに対してCRE営業戦略の助言なども行っている。これらのコンサルティングに関する固定報酬やアドバイザリー報酬を売上に計上しているため、売上総利益率は9割程度と高い。なお、この売上総利益率はあくまで目安であり、個別案件によって変動する可能性がある。CREファンド組成は、資産の売却意向を持つ企業に対し、SPC※などを活用してほかの不動産プレイヤーとともにファンドを組成し、ファンドの資産取得から運用・売却までをマネジメントするサービスである。同社単独で固定資産を取得するケースもあるが、20億円以上の大型案件は資金負担が大きくなるため、ファンド組成(パートナー企業との共同投資を含む)により顧客ニーズに応えている。サービス対価として、ファンド運営に伴うアセットマネジメント報酬やプロパティマネジメント報酬、出資金に応じた配当収入を売上として計上している。売上総利益率は7~8割程度となる。なお、大型物件に関しては大手不動産会社に紹介することで、仲介手数料を獲得するケースもある。※ 企業が保有する資産の流動化や資金調達などを目的に設立される特別目的会社。プロジェクトマネジメントでは、資産の保有意向を有する企業に対して、CREの有効利用に関する提案及び実施、テナント誘致・建物プラン策定・ゼネコン選定などのコンサルティングサービスを提供し、その報酬などを売上に計上している。プロジェクトごとの期間は比較的長く、売上総利益率は7割程度となる。B/Sを活用した不動産投資・賃貸は、売却意向を持つ企業の資産を同社が取得し、賃貸収入や売却収入を得るビジネスである。売却時の売上総利益率は3~5割となり、賃貸収入に関しては修繕工事や維持費用などが発生するため2割程度である。売却に伴う利益率は、入札ではなく直接取引先から相対取引で物件を取得できるため、一般的な不動産売却における利益率よりも高い水準にある。不動産仲介は「CCReB CREMa」を利用した不動産売買・賃貸の仲介サービスである。媒介手数料収入を売上に計上し、売上総利益率は9割程度である。「CCReB CREMa」は、物流施設や工場など事業用不動産に特化したマッチングシステムであり、秘匿性を保ちながら全国のユーザー(企業、不動産会社、金融機関、設計・建築会社)との物件情報のマッチングを行っている。物件の所在地(市町村レベル)、用途地域(工業地域・住居専用地域など)、資産の規模などいくつかのデータを登録し、マッチングエンジンを使ってスコアリングし、マッチング確率のランキング表示を行っている。スコアが一定以上の案件についてアプローチするため、成約までの期間短縮を実現している。(3) 不動産テックビジネスの概要不動産テックビジネスでは、自社で開発し社内でも利用している「CCReB AI」や「CCReB CREMa」を、サブスクリプション型の外部販売サービスとして提供している。a) CCReB AI「CCReB AI」は、不動産会社・資産運用会社・金融機関・建設会社・不動産調査会社など、CREに関わる幅広い企業に導入されている。CRE営業を効率化するための支援ツールとしてだけでなく、企業分析などにも活用されている。サービス提供にあたり、分析対象範囲や利用可能機能により複数のサービスプランを用意しており、月額利用料を収受している。導入企業数は非開示だが、数十社程度と見られ、契約継続率は98.9%(2020年3月~2024年8月)と高水準で推移している。同ツールを外部に販売した場合でも、同社が注力している市場で競合することはほとんどないため、CREソリューションビジネスへのマイナス影響は生じない。b) CCReB CREMa「CCReB CREMa」は、工場や倉庫などの事業用不動産の売却・購入、あるいは有効活用施策を検討している企業、不動産プレイヤーや金融機関など、BtoB向けの不動産情報・ニーズのマッチングを提供するシステムである。2020年10月に成功報酬型のサービスとして運用を開始したが、2023年9月からは月額料金型のサブスクリプションサービスとして、自らが登録した不動産情報・ニーズへのマッチング状況を自身で把握できる「CCReB CREMa+(ククレブクレマプラス)」や、不特定の外部とのマッチングを制限し、利用ユーザー社内専用の情報管理・マッチング機能に特化した「CCReB MB(ククレブマッチングボックス)」を展開している。「CCReB CREMa」は、CREソリューションビジネスの案件獲得につなげるために、重要なデータベースの役割を果たしている。同システムに多くの不動産情報やニーズの登録が進むにつれて、受注件数の増加につながるためである。利用ユーザー数(無料会員を含むアカウント数)や情報登録数は、サブスクリプションサービス開始以降、順調に拡大しており、2025年8月末時点でユーザー数は502アカウント、情報登録数は6,867件※となっている。2025年8月期は、年間の紹介件数が1,688件、このうち93件が商談に結び付き、20件が成約に至った。商談件数に対する成約率は21.5%となる。※ 情報登録から2年経過した物件/ニーズは対象外としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:04 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(3):コンパクトCRE市場を対象にソリューションサービスを提供(1) *13:03JST ククレブ Research Memo(3):コンパクトCRE市場を対象にソリューションサービスを提供(1) ■会社概要2. 事業内容ククレブ・アドバイザーズ<276A>は、CREのなかでも大手不動産企業が金額規模や効率性の面から取り扱わないコンパクトサイズ(数億円~おおむね20億円)の工場・物流倉庫・研究所等の物件に注力し、不動産テックを活用しながら企業間の不動産ニーズのマッチングやソリューションを提供している。同社の社名「CCReB(ククレブ)」は、「Compact CRE for Reborn」の頭文字を取ったものであり、今あるストック(不動産)を大切に再生するという想いを示している。(1) ビジネスモデル同社は、不動産テックを自社で活用してCREソリューションビジネスを効率的に展開する一方、不動産テックを外部販売することでサブスクリプション収入も獲得している。事業はCREソリューション事業の単一セグメントであるが、実質的にはCREソリューションビジネスと不動産テックビジネス(外部販売)の2つのビジネスを展開している。2025年8月期の売上構成比は、CREソリューションビジネスが93.3%、不動産テックビジネスが6.7%となっている。CREソリューションビジネスのサービス提供フローにおいて、「CCReB AI」と「CCReB CREMa」は、新規案件探索のための情報入手ツールとして活用されている。「CCReB AI」では、上場企業を中心に約2.5万社に及ぶ企業の有価証券報告書・中期経営計画書・各種IR資料・財務データを蓄積し、これらの定性・定量情報をAIエンジンで分析、企業の潜在的な不動産ニーズを可視化・スコアリングしている。同社は、一定以上のスコアとなった企業に対して、CREアドバイザリーをはじめとした各種CREソリューションサービスを提案し、成約につなげている。「CCReB CREMa」にはCREに関する6千件超の売買・賃借案件(所在地域や規模、業種など簡易な属性データ)が登録されており、不動産売買のマッチングに活用されている。登録データの拡大によってマッチング確率や案件数が増加するため、同社では「CCReB CREMa」の登録データを収益成長のための重要なデータベースと位置付けている。そのほか、不動産テックとして、業界の最新情報を収集・分析・発信するBtoBポータルサイト「CCReB GATEWAY(ククレブゲートウェイ)」や、各種テックシステムとCRE提案ノウハウをベースデータに生成AIを活用したCRE提案サポートシステム「CCChat(ククチャット)」を開発・運用している。「CCChat」は社内システムとしてCREアドバイザリー業務に活用されており、業務経験が少ない営業社員でも効果的な営業提案が可能になる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:03 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(2):不動産テックを活用したCREソリューションサービスで高成長 *13:02JST ククレブ Research Memo(2):不動産テックを活用したCREソリューションサービスで高成長 ■会社概要1. 会社沿革ククレブ・アドバイザーズ<276A>は、創業者で現 代表取締役である宮寺 之裕氏が2019年に設立した。宮寺氏は、前職の不動産投資運用会社におけるCRE投資業務において、新規案件探索が人力であった点から、デジタル技術による生産性向上の着想を得た。2010年代後半のAI技術の普及を受け、システム開発企業との協議を経て事業化実現の可能性を確認し、同社を設立した。設立当初は前職時代につながりのあった企業へのCREコンサルティングサービスからスタートし、2020年2月にCRE営業支援システム「CCReB AI(ククレブエーアイ)」、同年10月に工場・物流倉庫・研究所等の事業用不動産マッチングシステム「CCReB CREMa(ククレブクレマ)」の提供を相次いで開始した。そして、コロナ禍を機にリモートワーク化が進むなかで、CREビジネスを展開する複数の大手不動産会社が新規案件探索ツールとして「CCReB AI」を導入し、対面営業が制限される状況下で自動マッチングシステムとして「CCReB CREMa」を利用する企業が増加したため、同社のビジネスは伸長した。さらに、企業収益悪化に伴う遊休不動産の有効活用ニーズの高まりから、鉄道会社などからコンサルティング案件やプロジェクト案件を受注した。同社は、増加する需要の対応を進めた結果、同社の売上高は2020年8月期の112百万円から2021年8月期は418百万円と約4倍に急拡大した。2021年10月に、データマーケティング及び不動産テックシステムの企画・開発を担う子会社としてククレブ・マーケティング(株)を設立した。2023年2月には事業用不動産の保有及び賃貸を目的に、子会社として各務原プロパティ(株)を設立し、2022年8月期より連結決算を開始した。各務原プロパティは将来的に売却する意向であるが、賃貸借の権利関係が複雑な案件については、売却を円滑に進めるため、子会社として組織を分離する方針を採用している。今後も同様のケースでは、子会社化して運営する場合がある。直近では2025年10月に、不動産投資事業を展開する地主<3252>、みずほリース<8425>の子会社で建物リースや不動産ファイナンスサポートを行うエムエル・エステート(株)とそれぞれ資本業務提携契約を締結した。株式の上場は2024年11月で、東証グロース市場に設立から5年6ヶ月で上場を果たした。従業員数は、2025年8月末時点で15名(営業部門7名、管理部門8名)である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:02 注目トピックス 日本株 ククレブ Research Memo(1):CREのプラットフォーマーとして確固たる地位確立を目指す中期経営計画を策定 *13:01JST ククレブ Research Memo(1):CREのプラットフォーマーとして確固たる地位確立を目指す中期経営計画を策定 ■要約ククレブ・アドバイザーズ<276A>は、企業が保有する工場や倉庫などの事業用不動産(以下、CRE)に関する課題を、不動産テックシステムで可視化し、有効活用施策の提案、不動産売買・賃貸、仲介、プロジェクトマネジメントなどの各種ソリューションサービスを展開している。不動産テックによる業務効率化と、簿価でおおむね20億円以下と大手不動産プレイヤーが参入しないコンパクトCRE市場に注力することで、2019年の会社設立以来、業績は高成長を続けている。2024年11月に東京証券取引所(以下、東証)グロース市場に株式上場を果たした。1. 2025年8月期の業績概要2025年8月期の連結業績は、売上高で前期比101.2%増の2,555百万円、営業利益で同45.6%増の612百万円と大幅増収増益となった。増収増益の要因は、主にCREソリューションビジネスの売上高が同112.7%増の2,383百万円と大きく伸長したことにある。これは、販売用不動産の売却に伴うバランスシート(以下、B/S)を活用した不動産投資案件の売上計上やCREアドバイザリー収入の増加などによるものである。また、不動産テックビジネスの売上高も契約件数の増加に伴い同15.0%増の171百万円と順調に拡大した。営業利益率が前期の33.2%から24.0%に低下したのは、B/S活用による不動産投資案件の売上高が同4倍増の1,540百万円となり、全体に占める構成比が上昇したことによる。2. 2026年8月期の業績見通し2026年8月期の連結業績は、売上高で前期比83.9%増の4,700百万円、営業利益で同79.4%増の1,100百万円と大幅増収増益が続く見通しである。企業の遊休不動産を有効活用する動きが活発化するなか、同社は不動産テックを活用して潜在的な案件の掘り起こしを効率的に進めており、前期に引き続きCREソリューションビジネスが大きく伸長する見込みである。四半期ベースではB/S活用による不動産投資の大型売却案件が予定されている第3四半期に2,231百万円の売上高を見込んでいる。前期は上期に収益が偏重していたため、第2四半期までは前年同期比で2ケタ減益が続く見込みだが、足元の需要は引き続き旺盛で、パイプラインも順調に積み上がっていることから、会社計画は十分に達成可能と弊社では見ている。3. 中期経営計画と株主還元策同社は2025年10月に2028年8月期までの中期経営計画を発表した。不動産テックを起点とした、CREソリューションの高い「質」と「成長性」を通じたビジネス展開の加速により、CREプラットフォーマーとしての地位確立を目指す。さらなる成長に向けて戦略的アライアンスを加速し、不動産テックを活用しながらCREソリューションの各種サービスをさらに強化する。また新たな取り組みとして、中堅・中小企業の事業承継ニーズに対応した不動産M&A案件への投資や、不動産テック企業のM&A・アライアンス戦略を推進する。なお、同社は2025年11月に公募及び第三者割当増資により約24億円の資金調達を実施した。ただし、今回の中期経営計画は、これら増資による資金調達を前提とせずに策定されている。2028年8月期の業績目標は、売上高120億円、営業利益32億円を設定し(年平均成長率は売上高で67.5%、営業利益で73.6%)、営業利益は5倍増を目指す。60兆円規模となるコンパクトCRE市場は、情報の非対称性や秘匿性の高さから難易度の高い市場であり、大手不動産会社もほとんど手掛けていないブルーオーシャン市場と位置付けられる。今後も不動産テックを活用した独自のビジネスモデルを推進することで、高成長が継続する可能性が高いと弊社は見ている。なお、株主還元については、事業資金への活用、内部留保の充実を最優先としながらも、株主利益最大化と内部留保のバランスを見ながら配当を行うことを基本方針としている。2025年8月期の1株当たり配当金は、前期比5.0円増配の22.0円(上場記念配当2.0円含む)を実施した。2026年8月期の1株当たり配当金は前期比5.0円増配となる27.0円と6期連続の増配を予定しており、今後も利益成長とともに配当水準の向上を目指す。■Key Points・2025年8月期はB/S活用不動産の売却などにより大幅増収増益を達成・2026年8月期もCREソリューションに対する需要は旺盛で高成長が続く見通し・2028年8月期に売上高120億円、営業利益32億円を目指す中期経営計画を策定(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/12/24 13:01 注目トピックス 日本株 リアルゲイト---譲渡制限付株式を発行、取締役・従業員ら30,250株を割当 *12:56JST リアルゲイト---譲渡制限付株式を発行、取締役・従業員ら30,250株を割当 リアルゲイト<5532>は23日、譲渡制限付株式としての新株式発行を決議したと発表した。今回の発行は、同社の企業価値の持続的な向上および株主との価値共有を図ることを目的とした報酬制度の一環で、同日開催の取締役会において承認された。発行株式数は普通株式30,250株で、1株あたりの発行価額は2,260円、総額は6,836万5,000円となる。割当予定先は、社外取締役を含む取締役4名に21,200株、執行役員および従業員26名に9,050株が割り当てられる。払込期日は2026年1月23日。当制度は、社外取締役を含む取締役に対しては払込期日から退任まで、従業員らには2028年10月9日までを譲渡制限期間とし、その間は譲渡・担保権設定などの処分が禁止される。譲渡制限の解除には、各対象者が一定期間在籍することが条件とされている。また、解除されなかった株式は無償で取得される契約内容となっている。なお、払込金額は取締役会決議日の前営業日である2025年12月22日の東京証券取引所における終値2,260円を基準としており、恣意性を排除した合理的な価格とされている。 <NH> 2025/12/24 12:56 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は4日続伸、アドバンテストが1銘柄で約96円分押し上げ *12:50JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は4日続伸、アドバンテストが1銘柄で約96円分押し上げ 24日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり101銘柄、値下がり121銘柄、変わらず3銘柄となった。日経平均は続伸。68.55円高の50481.42円(出来高概算8億8873万株)で前場の取引を終えている。前日23日の米国株式市場は続伸。ダウ平均は79.73ドル高の48442.41ドル、ナスダックは133.01ポイント高の23561.84で取引を終了した。金利高を嫌気し、寄り付き後、軟調に推移。その後、7-9月期の国内総生産(GDP)で消費が支援し2年ぶりの高成長となった結果を受け、景気に楽観的な見方が広がり相場を押し上げた。ハイテクも強く、終盤にかけ上げ幅を拡大し、終了。セクター別では半導体・同製造装置が上昇した一方、消費者サービスが下落した。米株式市場の動向を横目に、24日の日経平均は62.61円高の50475.48円と続伸して取引を開始した。寄付き後は前日の米国株高を受けて買いが先行し、午前中の取引では一段の上値追いも見られたものの、薄商いの中で上値・下値を探る展開となった。為替市場では円相場がやや円安圏で推移し、輸出関連株の支援材料となった。セクター別では素材、電機など景気敏感株に買いが入り、需給面でも大型株中心に堅調な動きが見られた。ただ、年末を控えたポジション調整の動きも一部に散見されたため、マーケット全体の方向感にはやや慎重さが残った。個別では、アドバンテスト<6857>、東エレク<8035>、スクリン<7735>、イビデン<4062>、ファナック<6954>、フジクラ<5803>、信越化<4063>、京セラ<6971>、住友鉱<5713>、富士フイルム<4901>、中外薬<4519>、安川電<6506>、イオン<8267>、第一三共<4568>、太陽誘電<6976>などの銘柄が上昇。一方、ソフトバンクG<9984>、TDK<6762>、ソニーG<6758>、KDDI<9433>、ダイキン<6367>、トヨタ<7203>、コナミG<9766>、ネクソン<3659>、東京海上<8766>、バンナムHD<7832>、豊田通商<8015>、ベイカレント<6532>、セコム<9735>、三菱商<8058>、MS&AD<8725>などの銘柄が下落。業種別では、非鉄金属や石油・石炭製品、医薬品が堅調に推移した一方、輸送用機器や情報・通信業、保険業などが軟調となり、業種間で明暗が分かれる展開となっている。値上がり寄与トップはアドバンテスト<6857>となり1銘柄で日経平均を約96円押し上げた。同2位は東エレク<8035>となり、スクリーンHD<7735>、イビデン<4062>、ファナック<6954>、フジクラ<5803>、信越化<4063>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約65円押し下げた。同2位はTDK<6762>となり、ソニーG<6758>、KDDI<9433>、ダイキン<6367>、トヨタ<7203>、コナミG<9766>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価    50481.42(+68.55)値上がり銘柄数   101(寄与度+293.30)値下がり銘柄数   121(寄与度-224.75)変わらず銘柄数    3○値上がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<6857> アドバンテ      20035   360  96.27<8035> 東エレク       33630   630  63.17<7735> SCREEN     14845  1285  17.18<4062> イビデン       13000   425  14.21<6954> ファナック      5956    65  10.86<5803> フジクラ       18145   305  10.19<4063> 信越化        4933    41  6.85<6971> 京セラ        2205  23.5  6.28<5713> 住友金属鉱山     6413   364  6.08<4901> 富士フイルム     3414    36  3.61<4519> 中外製薬       8375    35  3.51<6506> 安川電機       4675   102  3.41<8267> イオン        2458  30.5  3.06<4568> 第一三共       3362    30  3.01<6976> 太陽誘電       3583    80  2.67<6098> リクルートHD     9129    24  2.41<6361> 荏原製作所      3695    69  2.31<4523> エーザイ       4612    57  1.91<5714> DOWA       7335   250  1.67<6841> 横河電機       5084    44  1.47○値下がり上位銘柄コード 銘柄       直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG    17410  -325 -65.18<6762> TDK        2219   -50 -25.07<6758> ソニーG        4010   -59  -9.86<9433> KDDI       2713   -22  -8.82<6367> ダイキン工業     20160  -190  -6.35<7203> トヨタ自動車     3378   -37  -6.18<9766> コナミG       21435  -180  -6.02<3659> ネクソン       3752   -73  -4.88<8766> 東京海上HD      5815   -87  -4.36<7832> バンナムHD      4247   -37  -3.71<8015> 豊田通商       5335   -35  -3.51<6532> ベイカレント     6608   -98  -3.28<9735> セコム        5612   -44  -2.94<8058> 三菱商事       3539   -29  -2.91<8725> MS&AD      3677   -92  -2.77<6920> レーザーテック    29815  -185  -2.47<9983> ファーストリテ    56960   -30  -2.41<6981> 村田製作所      3169   -30  -2.41<5802> 住友電気工業     6537   -71  -2.37<7733> オリンパス     1979.5   -17  -2.27 <CS> 2025/12/24 12:50 注目トピックス 日本株 LaboroAI Research Memo(5):2026年9月期は前期比30.8%増収、53.6%営業増益を予想 *12:35JST LaboroAI Research Memo(5):2026年9月期は前期比30.8%増収、53.6%営業増益を予想 ■Laboro.AI<5586>の今後の見通し1. 2026年9月期の業績見通し2026年9月期は売上高で2,486百万円(前期比30.8%増)、営業利益で294百万円(同53.6%増)、経常利益で294百万円(同76.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で201百万円(同36.9%増)と予想している。最適化・生成AIの2つの技術的な注力領域にメリハリをつけてリソースを投下し、既存顧客/新規顧客との安定的な関係構築することで、同30.8%の増収を目指す。2. 主な施策と計画(カスタムAIソリューション事業)(1) 最適化・生成AI領域の技術的な強みを活かしたメリハリある事業展開1) AI-SD:最適化・生成AI領域を中心に、技術的なエッジを活かした営業活動を強化ソリューションの顧客へのプッシュ型提案を強化する。2) AGT-X:技術基盤を活用したエージェントAI領域のPJ(プロジェクト)を垂直立ち上げPJから得られた技術基盤や知見を型化/展開することで効率的な営業活動を実施する。3) R&D:最適化/生成AIの技術的な強みを強化するメリハリある研究開発活動の推進最適化、生成AI、知識グラフ等でWGを立ち上げ、グループで連携しながら研究開発を実施する。(2) 成長を支える体制の整備1) 採用:通期で約50名程度の人員拡張に向けた採用活動の加速化(AI-SD/AGT-X)事業推進に必要なスタッフを約15名程度新規採用する。(エンジニア)開発の実務を担うAIエンジニア/システムエンジニアを約20名新規採用2) 育成:採用した人材を早期から立ち上げるための育成の仕組みの充実化(AI-SD)オンボード/育成プログラムの整備・強化(AGT-X)新たなチームの立ち上げの伴う評価・育成の仕組みの整備(エンジニア)組織の急速な拡大を踏まえた、新規入社メンバーのオンボードの仕組みの整備(3) 新たな領域への染み出しの検討1) M&A/協業:補完的な機能を持つ領域への染み出しの検討/推進M&Aや企業提携等の複数の手法を活用し、同社の事業と補完的な領域への進出の機会を探索する。2) 新領域:未来リサーチの事業開発を通じた、新たな事業モデルの実験・検証受託と異なる新領域へのトライによる新たな事業モデルや既存事業とのシナジー創出を検証する。3. 主な施策と計画(システム開発事業)(1) 事業の取り組み方針強みであるグラフデータベースに関する知見やUI/UX開発の知見を活かして事業拡大を目指す。2025年9月期に引き続き、既存顧客との良好な関係を維持しつつ、同社との連携を通じて新規顧客に対してAI×システム開発の切り口での案件を獲得する。同社と連携した基礎研究や、新たな領域への取り組みにも挑戦する。(2) 組織の取り組み方針目標売上を実現するため、プロジェクトマネジメント/営業が可能な人材やUI/UX開発デザイナを採用する。プロジェクトマネジメント/営業が可能な人材を確保することで、新規/既存顧客への営業を加速化する。デザインに専門的な知見のあるUI/UX開発デザイナを採用し、同社との協業案件含めUI/UX開発を加速する。さらに2025年9月期に構築した管理体制をもとに、上場企業の子会社として求められるガバナンスを瑕疵なく運用する。■中長期の成長戦略既存事業の加速に加え、新領域を模索し成長を図る同社は、特に中期経営計画などは発表していないが、市場環境は今後も堅調に推移する見通しであり、2026年9月期以降は既存コア事業を確立するとともに、中期的な成長に向けた新たな機会を積極的に模索して成長を図る計画だ。(1) カスタムAIソリューション事業1) 既存事業の展開2025年9月期までの目標として、市場成長を超えるペースでの収益の安定成長を掲げて、各産業のリーダー企業とのAIの新たな事業価値の共創とそれを通じて得られたノウハウの蓄積・ソリューション化を進めてきた。2026年9月期以降は、同社の強みとする技術テーマが生成AIや最適化に収れんしつつあることから、生成AI/最適化領域でのフルカスタムでのAI開発は引き続き注力しつつ、より汎用的な技術基盤を活用した“セミカスタム”でのAI開発領域(AGT-X)を成長のエンジンと位置付け、メリハリをつけながら事業を加速化させる。具体的には、各エリアで以下のような施策を推進する。・(AI-SD)最適化を中心にした技術的エッジを活かした営業活動の強化・(AGT-X)技術基盤を活用したエージェントAI領域のPJの垂直立ち上げ・最適化・生成AI領域の価値提供に資する研究開発活動の推進2) 成長を支える体制の整備2025年9月期までも「成長を支える体制の整備」として、ソリューションデザイナや機械学習エンジニアの採用の加速化、新規参画メンバー活躍するための育成の仕組みの整備・強化を進めてきた。2026年9月期以降も、基本的にはこの方針を踏襲して、成長を支える体制の整備(特に採用/育成・オンボード)を進めていく。(2) 新領域2025年9月期も非連続な成長に向けた新たな領域への染み出しの検討を進めてきた。特に、カスタムAIと補完的な領域への進出やこれに向けたインオーガニックな手法の活用検討などを進めてきたが、2026年9月期以降もこれを継続していく。■株主還元策現在は将来への投資優先で配当は無配同社は現在、事業がまだ成長過程であることから内部留保・先行投資を優先し、配当は行っていない。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <HN> 2025/12/24 12:35 注目トピックス 日本株 LaboroAI Research Memo(4):2025年9月期は4.4%の営業増益だが、実質はさらに好決算 *12:34JST LaboroAI Research Memo(4):2025年9月期は4.4%の営業増益だが、実質はさらに好決算 ■Laboro.AI<5586>の業績動向1. 2025年9月期の業績概要(1) 損益状況2025年9月期の連結業績は、売上高1,900百万円、営業利益191百万円、経常利益166百万円、親会社株主に帰属する当期純利益146百万円となった。一部案件の進行計画変更に伴い、第4四半期に見込んでいた売上の一部が2026年9月期期にずれ込んだが、おおむね計画どおりの着地となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、合弁解消に伴う関係会社株式の売却により予想を上回った。売上総利益率は66.9%(前期67.0%)とほぼ前期並みとなった。販管費は人員増に加えてM&Aによる子会社取得関連費用等が追加されたことなどから増加している。この結果、営業利益はわずかな増加にとどまった。ただし、下記に述べるように新規連結子会社が営業損失を計上した点を考慮すれば、実質的には見かけの数値以上の好決算であったと言えるだろう。(2) セグメント別状況連結決算の開示に伴い、セグメント別状況も開示されている。以前からの事業である「カスタムAIソリューション事業」の売上高は1,892百万円(前期比24.9%増)、セグメント別は250百万円(同36.6%増)であった。新規連結子会社による「システム開発事業」の売上高は12百万円(前期比較無し)、営業損益は59百万円の損失(前期比較無し)であった。カスタムAIソリューション事業では、一部案件が2026年9月期にずれ込んだものの前期比で25%弱の伸びを達成した。新規連結子会社によるシステム開発事業では、検収を迎える案件が少なく売上高は限定的であった。そのため営業損失を計上したが、この損失のうち41百万円は子会社取得関連費用とのれん償却等であった。以上のような点を考慮すると、実質的な決算結果は見かけの数値よりも良かったと言えるだろう。(3) 「カスタムAIソリューション事業」の顧客別状況a) 規模別構成比2025年9月期における顧客の規模別売上高は、100百万円以上が650百万円(前期比25.3%減)、50百万円〜100百万円未満が575百万円(同162.2%増)、10百万円〜50百万円が607百万円(同85.3%増)、10百万円未満が59百万円(同39.3%減)であった。売上構成比としては、100百万円以上が34%、50百万円〜100百万円未満が30%、10百万円〜50百万円が32%、10百万円未満が3%となっている。また、100百万円以上の顧客数は4社(2024年9月期は6社)となり、安定的な顧客基盤を構築している。売上高上位3社の占める割合は29%(2024年9月期35%、2023年9月期46%)へ低下しており、顧客ポートフォリオの分散も進んでいる。b) 既存/新規顧客種別売上高顧客種別売上高は、既存顧客が1,470百万円、新規顧客が417百万円、プロダクト※が5百万円であった。通期で11社の新規顧客を獲得し、新規顧客からの収益が成長をドライブした。※ 音声コーパス(LaboroTVSpeech)の販売など。c) 従業員数の推移重要な要素である社員数も順調に増加した。2025年9月期末の総従業員数は96名(前期末比18名増)となったが、内訳はエンジニア42名(同11名増)、ソリューションデザイナ25名(増減なし)、その他22名(同7名増)、役員7名(増減なし)となった。従業員数は前期末比では増加しているが、特にソリューションデザイナが計画(9名増)を大きく下回り、全体としても期初計画(107名)を下回った。現金及び預金は20億円超と売上規模に比して豊富2. 財務状況2025年9月期末の財務状況を見ると、流動資産は2,623百万円となった。主要科目は現金及び預金2,048百万円、売掛金及び契約資産552百万円となった。固定資産は189百万円となったが、内訳は有形固定資産が81百万円、投資その他の資産38百万円であったが、投資その他の資産の減少はX-AI.Labo(株)(合弁会社)を含む関係会社株式を売却したことによる。この結果、資産合計は2,813百万円となった。流動負債は265百万円となり、主要科目は買掛金23百万円、未払法人税等66百万円である。この結果、負債合計は265百万円となった。純資産合計は2,547百万円となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加146百万円によるものである。2025年9月期末現在で、現金及び預金が2,048百万円あり、事業規模に比べて資金は豊富といえる。3. キャッシュ・フローの状況2025年9月期のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローは215百万円の収入となった。これは主に税金等調整前当期純利益215百万円、売上債権及び契約資産の減少額39百万円、関係会社株式売却損益48百万円等があったことによるものである。投資活動によるキャッシュ・フローは300百万円の収入となったが、主な支出は子会社株式の取得(株式会社CAGLAの株式取得)による55百万円、主な収入は関係会社株式(グロービング株式会社との合弁会社であるX-AI.Labo株式会社株式)の売却410百万円であった。財務活動によるキャッシュ・フローは8百万円の収入となったが、主な収入は新株予約権の行使による株式の発行による収入9百万円であった。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は2,048百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <HN> 2025/12/24 12:34 注目トピックス 日本株 LaboroAI Research Memo(3):今後はセミカスタムのAI開発・AGT-Xにも注力 *12:33JST LaboroAI Research Memo(3):今後はセミカスタムのAI開発・AGT-Xにも注力 ■Laboro.AI<5586>の事業概要2. 「カスタムAIソリューション事業」の事業内容の続き(2) 提供形態基本的に同社では、各産業を代表する企業や産業の変革に係る難易度の高いテーマに挑み、いち早く成功事例を創出し、そうした成功事例を拡大再生産し、結果幅広いテーマのプロジェクトが拡充されることで強固な顧客基盤を築いている。各プロジェクトの成果物については、基本的に知的財産権として顧客企業に属する。一方で、課題に対する技術的なアプローチ等、汎用的に活用できる部分もあり、同社はこれらを活かして技術的基盤や営業資料として集約/汎用化を行い、他の産業/企業等への面展開を行っている。したがって長期的な視点からは、同社の技術・営業的な資産を増やしていく取り組みと、蓄積した知見を活用して効率的な成長を図る取り組みの両方が必要であり、それぞれがバランスよく伸長していくことが重要である。前者はAI-SD:AIソリューションデザインと呼称しておりこれまでと同様注力していくが、今後は後者の蓄積した知見を活用して効率的な成長を図る取り組みとして、特にAGT-X:エージェントトランスフォーメーションの領域に注力する。今まで同社が提供してきたカスタムAIは、顧客ごとに仕様・内容が異なる「フルカスタムAI」であったが、AGT-Xは一部の機能が共有化(汎用化)されている。これにより顧客にとっては開発時間が短縮されるメリットがある。同社にとっても原価低減につながる可能性がある。(3) 事業モデルとKPI同社の主力事業は顧客の経営課題や戦略に合わせたオーダーメイドのAI開発であり、案件ごとに投入するコンサルタントや技術者のレベル、工数などを計算して顧客に対価を請求する事業モデルである。そのため、「顧客数」が重要なのはいうまでもないが、同社の場合は顧客あたりの年間売上高は数百万円から1億円超と幅広く、さらに案件が数年間継続する顧客もあれば、単年度で終了する顧客もあり、単純に顧客数だけを見るのはあまり意味がない。重要な指標(KPI)としては、「年間売上成長率」「売上総利益率」「既存顧客売上高成長率」「年間新規顧客獲得数」が挙げられる。(4) 顧客ポートフォリオa) 業界別売上高構成同社の顧客基盤は、様々な業種(業界)及び企業にわたっており特定の業界には偏っていない。このことから、ある特定の業界や企業の影響は少なく、リスクは分散されていると言えるだろう。b) 売上規模別の構成比売上規模別は、2025年9月期実績で100百万円以上が34%、50〜100百万円が30%、10〜50百万円が32%、10百万円未満が3%となっている。売上規模100百万円以上の大手顧客の割合は、2023年9月期の46%、2024年9月期の57%から減少傾向にあり、高額顧客依存度が下がりつつある。(5) 従業員数の推移同社の主要事業は「カスタムAI」の開発・提供であることから、その主役となるのは従業員、特にAIコンサルタント及びエンジニアからなる専門人材である。言い換えれば、これら人材の質と数が同社の競争優位性の源泉ともいえる。過去4年間の従業員の推移を見ると、コアとなるソリューションデザイナと機械学習エンジニアの陣容は順調に拡大している。3. 「カスタムAIソリューション事業」の特色、強み、競合同社の主力事業はオーダーメイドのAI開発であるが、特色としては顧客企業の売上向上/成長に資するAI開発をテーマとしたバリューアップ領域に注力している点だ。AI活用は生産性向上、人手の代替によるコスト削減といったテーマ(ランザビジネス領域)が多い中、より難易度が高く、産業インパクトの大きな領域に軸足を置いている点が特徴である。こうしたバリューアップ領域で「カスタムAI」の開発を行う上では、AIやシステムの知見だけでなく、顧客のビジネスに対する深い理解も求められる。この点において、同社はビジネス・AIの双方の知見を持つ、AIコンサルタント(ソリューションデザイナ・エージェントトランスフォーメーションプロデューサー)の専門人材のチームを組成している。創業者である椎橋氏、藤原氏ともにボストン・コンサルティング・グループ出身であり、かつこのAIコンサルタントのチームには国内外のコンサルティング会社や事業会社の企画部門等でコンサルティングや事業開発に関する経験を積んだメンバーが在籍しており、こうしたメンバーの持つ知見の蓄積及び、各メンバーがプロジェクトでのOJTを通じて技術的知見・業界知見を蓄積することが、新たなAIコンサルタントを育成することにつながっている。このような技術・ビジネス両面の知見を有する専門人材を多く保有していることが同社の強みと言えるだろう。ビジネス競合となるのは、AI開発を主力事業とするスタートアップや戦略・DXに関するコンサルティング会社が多い。コンサルティング会社に対しては、AI開発/実装に関する知見で、AIスタートアップとは注力する領域が「バリューアップ型AIテーマ」により注力しているという点で差別化を図っているといえる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <HN> 2025/12/24 12:33 注目トピックス 日本株 LaboroAI Research Memo(2):主力事業はオーダーメイドによる「カスタムAI」の開発・提供 *12:32JST LaboroAI Research Memo(2):主力事業はオーダーメイドによる「カスタムAI」の開発・提供 ■Laboro.AI<5586>の事業概要1. 沿革同社は、2016年4月に現在の代表取締役である椎橋徹夫氏と同藤原弘将氏を中心に人工知能技術を用いたソリューション開発、人工知能の活用に関するコンサルティングを目的とする会社として設立された。以降、多くの顧客企業とAIを活用した事業変革/新規製品・サービス創出を協働してきた。同社が特に注力している領域は「バリューアップ型AIテーマ市場」と呼ばれる、企業の業務効率化やコスト削減ではなく、新商品/サービスの創出や事業変革等のトップライン向上に向けてAI活用を行う領域である。こうした顧客企業の競争優位性の源泉となる成長投資領域においてAIを開発・実装するうえでは、業務委託を超えたより深い関係性の構築も必要となる。このため、(株)博報堂、(株)SCREENホールディングスをはじめとする主要な顧客と提携等を締結し、より深く長期的な関係性を構築している。株式については、2023年7月に東京証券取引所グロース市場に上場した。2. 「カスタムAIソリューション事業」の事業内容同社の主力事業は、オーダーメイドによるAIソリューション「カスタムAI」の開発・提供である。すなわち、顧客の経営課題や戦略を踏まえ、それぞれの顧客に最適な「カスタムAI」を開発し提供する。同社の事業は主に「カスタムAI」の開発・提供という単一事業であったことから、2024年9月期までは「セグメント別情報」は開示されていなかったが、2025年4月に(株)CAGLA※を子会社化したことで2025年9月期第3四半期から連結決算を発表している。これにより2025年9月期から「カスタムAIソリューション事業」と「システム開発事業」の2つのセグメント情報が開示されているが、2025年9月期における「システム開発事業」の売上高は12百万円(売上構成比0.7%)にとどまっていることから、以下では主に「カスタムAIソリューション事業」の概要について述べる。※ CAGLA社の主な事業は、企業向けデザイン及びシステムの企画・開発、PC・スマートフォン・タブレット向けアプリケーション開発、AI及びUI/UXの研究開発。(1) 提供サービス:「カスタムAI」AIとは言うまでもなく「Artificial Intelligence」(人工知能)の略で、AI自らがデータの特徴を学習して「言語や数値の解析や予測、推論などの知的行動を人間に代わってコンピュータに行わせる技術」のことである。顧客の経営課題や戦略に最適化された同社は「カスタムAI」の開発・提供を行うのが主力事業である。より具体的には、個別企業の戦略や課題、要望などに合わせたソリューションデザイン(AIソリューション設計とAI導入を通した事業変革のためのコンサルティング)とオーダーメイドAI開発(顧客企業固有の成長戦略や事業課題に合わせたAI開発)を通じて、顧客企業のAIイノベーションを共創することが主力事業である。同社には事業変革のためのコンサルティングを行うAIコンサルタント(「ソリューションデザイナ」(SD)・「エージェントトランスフォーメーションプロデューサー」(AX-P))とAIソリューションの開発を担うエンジニア(機械学習エンジニア・システム開発エンジニア)の2つの専門人材のチームが存在する。AIコンサルタントは、ビジネス視点のAI導入・活用支援を行ってプロジェクト全体をまとめ、顧客に提案する立場でありAIの知見と事業に対するコンサル的知見が要求される。一方でエンジニアは、実際に様々なAI関連の技術知見を活かしてAIソリューションの開発を実施する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <HN> 2025/12/24 12:32 注目トピックス 日本株 LaboroAI Research Memo(1):「カスタムAI」の開発・提供に特化したスペシャリスト集団 *12:31JST LaboroAI Research Memo(1):「カスタムAI」の開発・提供に特化したスペシャリスト集団 ■要約Laboro.AI<5586>は、オーダーメイドによるAIソリューション「カスタムAI」の開発・提供及びシステム開発を主要事業としており、AI開発による事業変革のスペシャリスト集団である。AIがその真価を発揮するためには、ビジネス環境や課題に合わせて必要なデータを集め、アルゴリズムを設計し、幾度の検証を行い、最適な形になるまで調整を繰り返すことが不可欠であり、テクノロジーとビジネス双方の知見がなければ、実用に耐えうるAIが実現することはありえない。同社はこの双方の知識を持ち、確実にAIをビジネスに適用することで「テクノロジーとビジネスをつなぐ」ことを実践している。1. 2025年9月期の業績概要2025年9月期の連結業績※は、売上高1,900百万円、営業利益191百万円、経常利益166百万円、親会社株主に帰属する当期純利益146百万円となった。一部案件の進行計画変更に伴い、第4四半期に見込んでいた売上の一部が2026年9月期にずれ込んだが、おおむね計画どおりの着地となった。合弁解消に伴う関係会社株式の売却により親会社株主に帰属する当期純利益は予想を上回った。主力のカスタムAIソリューション事業の営業利益は250百万円(前期比36.6%増)と堅調に推移したが、新たに第3四半期から連結に加わったシステム開発事業が59百万円の損失を計上したことで、全体の営業増益は小幅の増加となった。ただし、59百万円の損失のうち約41百万円は子会社取得関連費用とのれん償却等であることから、実質的な内容は数値ほど悪くなかったと言える。※ 前期決算は単体決算であり、2025年9月期より連結財務諸表を作成しているため、対前期増減率については記載していない。2. 2026年9月期の業績見通し2026年9月期は売上高で2,486百万円(前期比30.8%増)、営業利益で294百万円(同53.6%増)、経常利益で294百万円(同76.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で201百万円(同36.9%増)と予想している。最適化・生成AIの2つの技術的な注力領域にメリハリをつけてリソースを投下し、既存顧客/新規顧客との安定的な関係構築することで、30.8%の増収を目指す。3. 中長期の成長戦略同社は、数値目標も含めて中期経営計画などは発表していない。今後の成長戦略として、主力の「カスタムAIソリューション事業」では、最適化/生成AI領域の技術的な強みを生かした事業展開を図るほか、成長を支える体制の整備(特に採用/育成・オンボード)も進めていく。さらに既存事業(カスタムAIソリューション事業とシステム開発事業)に加えて、新領域の模索と開発も積極的に進めていく方針だ。■Key Points・オーダーメイドによるAIソリューション「カスタムAI」の開発・提供が主力事業・2025年9月期は小幅の営業増益となったが、2026年9月期は53.6%の営業増益を予想・中長期の成長戦略として、既存事業の成長に加え、新領域の模索を進める(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <HN> 2025/12/24 12:31 注目トピックス 日本株 BRUNO Research Memo(7):株主還元を重要課題と位置付け、IR活動強化。2025年12月に特別優待実施 *12:07JST BRUNO Research Memo(7):株主還元を重要課題と位置付け、IR活動強化。2025年12月に特別優待実施 ■株主還元策BRUNO<3140>は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の1つと位置付け、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としている。この方針の下、財務基盤の健全性を維持しつつ、将来の事業展開に応じた内部留保の充実を考慮した配当政策を実施している。2025年6月期の期末配当は1株当たり4.0円であり、配当性向は31.8%であった。2026年6月期の配当は前期と同額の1株当たり4.0円(配当性向6.6%)を予定している。今後は、堅調な業績と利益率の改善による収益拡大を考慮のうえ、配当性向を維持しながら、1株当たり10.0円以上の配当を目指す。追加的な株主還元施策として株主優待制度を導入している。毎年6月30日現在の株主名簿に記載された株主を対象に、所有株式数に応じたRIZAPグループ商品を贈呈しており、贈呈基準は9,000円相当から36,000円相当までの段階制となっている。また、同社は従来のIR活動が十分でなかったと認識しており、今後はオンライン説明会やロードショーの開催を通じて株主・投資家との対話を強化し、より透明性の高い情報発信に努める方針である。なお、同社は2025年に創業30周年を迎えたことから、特別株主優待を実施する。2025年12月31日現在の株主名簿に記載された400株以上を保有する株主を対象に、同社ECサイト内の特設ページで利用可能なクーポン券を贈呈する。贈呈額は、400株以上600未満が18,000円、600株以上1,000株未満が24,000円、1,000株以上が30,000円となる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔) <HN> 2025/12/24 12:07 注目トピックス 日本株 BRUNO Research Memo(6):「世界基準の家電/美容/雑貨メーカー」を目指し、収益性の高い事業構造へ転換 *12:06JST BRUNO Research Memo(6):「世界基準の家電/美容/雑貨メーカー」を目指し、収益性の高い事業構造へ転換 ■中長期の成長戦略1. 中期経営計画BRUNO<3140>は、東京証券取引所グロース市場の規定に基づいて「事業計画及び成長可能性に関する事項」を開示し、毎年3ヶ年の中期経営計画をローリング方式で見直している。中期目標として「世界基準の家電/美容/雑貨メーカーへ」を掲げ、2028年6月期に売上高23,000百万円、営業利益3,450百万円、営業利益率15.0%を目標としている。デザイン・品質・収益性・企業価値の4分野で目標を設定しており、特に収益性では業界最高水準の営業利益率を追求し、ベンチマークとしてニトリホールディングス<9843>及びファーストリテイリング<9983>を参考にしている。同社の2025年6月期営業利益率は3.0%であったのに対し、2025年3月期のニトリホールディングスは12.7%、2025年8月期のファーストリテイリングは16.6%と現時点では乖離が大きく、以下の施策によりこの差の縮小を図る方針だ。2. 成長戦略(1) トップライン施策同社は、収益性を伴う持続的成長の実現を目指し、トップライン拡大に向けて4つの重点施策を推進している。a) キッチン家電領域の商品深掘りヒット商品であるホットプレート、ブレンダー、トースターなどの周辺需要を拡大させる関連商品の開発に注力する。課題解決型の商品開発を強化し、商品ラインナップを拡充する。b) トラベルブランド「MILESTO」の拡大国内及びインバウンド需要の回復を背景に販売が好調であることから、「GOOD DESIGN賞」受賞歴を有するデザイン性・機能性を強みに、デイリーアイテムの拡充とブランド認知拡大を図る。c) 美容家電分野への本格参入子会社ジャパンギャルズの美容家電技術と同社のデザイン力・ブランド力を融合し、機能と価格の両面で優位性を持つ商品の開発を推進する。d) ギフト事業の拡大主力商品のギフト需要の高さ(コンパクトホットプレートは販売の約半分を占める)を生かし、「BRUNOカタログギフト」を拡充する。5,000円から20,000円までの4つの価格帯で提供しており、ECサイト及び直営店を通じて、結婚・出産などのライフイベントにおけるギフト需要を的確に取り込む。(2) 販路戦略売上総利益率の高い自社販売チャネルへのシフトを進め、価格コントロール力の強化を図る。直営店舗や自社ECサイトに加え、自社による楽天市場やAmazonなどのECモールでの販売、さらに引き続き卸売業者を通じて専門店や量販店等への販売を行う「マルチ販路戦略」を展開する。自社ECサイトではUI/UXの改善と顧客管理の強化を進め、既存顧客の購買頻度向上を図る。直営店舗はショールーム機能を担い、店舗で商品を体験し、自社ECサイトで購入するモデルを理想形としている。2025年6月期の自社EC売上高は4,667百万円(前期比24.1%増)と好調であり、2028年6月期には7,600百万円を目指す。また、大手商業施設での催事(ポップアップ出店)にも積極的に対応する方針だ。(3) コスト戦略中期経営計画の達成に向け、原価低減と販管費削減を軸にコスト最適化を推進する。a) 原価低減RIZAPグループとの共同購買やSKU削減による在庫管理強化を進める。主に中国にある製造委託先との直接交渉により、ロット削減、発注単価引下げ、支払条件改善などを実施している。塩田社長主導で原価低減に取り組み、さらにコスト競争力を高めていく。b) 在庫削減在庫管理の徹底により、在庫回転日数を短縮している。これにより営業キャッシュ・フローを改善し、物流コストや倉庫コストを大幅に削減した。商品ごとに在庫回転日数を設定し、週次でモニタリングを行っている。在庫の欠品リスクと売れ残りリスクを勘案した追加仕入れの判断は、塩田社長自らが行っている。c) 販管費削減年間約7億円の広告宣伝費を見直し、高効率な広告媒体に特化することで宣伝効果を維持しつつ2~3割の削減を見込む。加えて、生成AIを活用した業務プロセス改革により効率化を進め、オリジナル商品の高収益化と利益拡大を図る。(3) 海外戦略中国をはじめとするアジア市場を重点地域と位置付け、2028年6月期に海外売上高6,300百万円を目標としている。中国市場では、2023年設立の現地法人による直営EC構想から代理店販売へと方針を転換した。ただし、マーケティング、品質管理、売り方などは同社がコントロールしてブランド戦略を展開している。当面はブランドの浸透に注力しつつ、中期的に直営ECや店舗展開を視野に入れ、エリアや販路など既存代理店との棲み分けを検討する。香港では代理店を通じて7店舗を展開しており、深センなど周辺地域への拡大を計画している。また、東南アジアや中東(ドバイ)などからも引き合いがあり、進出を検討している。欧州市場ではデザイン力を生かし、2026年2月にドイツで開催される展示会「Ambiente」に出展予定である。将来的にはグローバル旗艦店を設ける構想を持ち、現地ニーズに対応した商品開発を進める計画だ。海外での販路に関しては、M&Aを通じた拡大も視野に入れている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔) <HN> 2025/12/24 12:06 注目トピックス 日本株 BRUNO Research Memo(5):2026年6月期も大幅な増収増益を見込む。営業利益率は大きく改善 *12:05JST BRUNO Research Memo(5):2026年6月期も大幅な増収増益を見込む。営業利益率は大きく改善 ■BRUNO<3140>の今後の見通し● 2026年6月期の業績見通し2026年6月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の14,850百万円、営業利益で同193.8%増の1,295百万円、経常利益で同236.7%増の1,108百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同345.3%増の857百万円と増収増益の見通しである。売上面では、旅行関連需要の回復を背景に、トラベルブランド「MILESTO」の販売拡大が続く見通しである。ライフスタイルブランド「BRUNO」では、主力のキッチン家電に加え、子会社ジャパンギャルズとの連携による美容家電分野への本格参入・拡大を進め、商品領域の強化を図る。また、「BRUNOカタログギフト」の販売が引き続き堅調に推移し、全体として増収を見込む。セグメント別では、住関連ライフスタイル商品製造卸売事業の売上高は6,842百万円(前期比2.8%減)とし、前期に好調だった海外卸売の反動減を見込んでいる。一方、住関連ライフスタイル商品小売事業は、EC販売を中心に7,908百万円(同6.8%増)と増収の見込みだ。利益面では、引き続き原価低減を図るとともに、生成AIの活用による業務プロセスの効率化など、全社的なコスト削減を進め、増益を見込む。売上総利益率は46.8%(前期比4.2ポイント上昇)、営業利益率は8.7%(同5.7ポイント上昇)と、いずれも大幅な改善を計画している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔) <HN> 2025/12/24 12:05

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