注目トピックス 日本株
CSSHD Research Memo(7):全事業で2024年9月期比20%台とする大幅な増収増益を掲げる
配信日時:2025/12/05 13:07
配信元:FISCO
*13:07JST CSSHD Research Memo(7):全事業で2024年9月期比20%台とする大幅な増収増益を掲げる
■CSSホールディングス<2304>の中長期の成長戦略
2. 事業別成長戦略
同社は、中期経営計画の最終年度達成に向け、全3事業において高い成長目標を設定した。具体的には、2027年9月期までに全事業で2024年9月期比20%台という大幅な増収増益を目指す。なかでも空間プロデュース事業は同40%台の増益目標を掲げている。各事業がそれぞれ「基軸事業の強化」と「X-valueユニットによる新たな価値創出」という成長の両輪として戦略を実行することで実現を目指す。
(1) スチュワード事業
2027年9月期の売上高は10,800百万円(2024年9月期比27.3%増)、営業利益は698百万円(同29.5%増)を目指す。営業利益率は6.5%となり、同0.2ポイントの上昇を見込んでいる。高まる委託需要に対応するため、人材開発への投資や注力により人材の育成・輩出を進める。同時に、ホテル業界のバックヤードを幅広くサポート・改善・コンサルティングできるパートナー力の強化を図る。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。2025年には訪日外国人数が4,200万人に、消費額が8.5兆円に達すると予想され、新規開業ホテルや外資の積極的参入による大型ホテルの開業が多数見込まれる。また、インバウンド・円安・インフレなどの影響により、宿泊や食事の単価が想定を上回って推移している。加えて、賃金水準上昇の受託費への価格転嫁も、売上アップの要因となる。さらに、ロボティクスの進化によって清掃・ロジ・仕分けなどの業務の自動化や省力化が現実的な状況となりつつあり、バックヤード環境の設計や運用に関する助言機会が増加している。
以上の市場環境を踏まえ、「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、従業員の生産性を高める投資を積極的に実施する。具体的には、教育研修、職場エンゲージメント強化、海外における社員採用、業務プロセスの再構築(業務BPR)などを推進する。また、後発参入したホテル客室清掃業務では、同社独自のスタイル確立に向けて、他社ノウハウの積極的な学習を行う。さらに、働き方や社会保障環境の潮流を反映し、事業コスト影響の試算、営業的対策、及び従業員啓蒙に向けたコミュニケーションを推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、自動化・ロボット・AIなどの先進分野に明るいパートナーとの提携関係を実現し、コンサルティング業務や共創事業を展開する。加えて、業務サポートを実現できていない地方への進出を図り、同社にとって開拓余地の大きい業務分野でM&Aを検討する。さらにベテランが率先して特命特化でX-valueユニットと連携することで新しい取り組みを推進し、「スチュワード人材」の可能性を広げる。
(2) フードサービス事業
2027年9月期の売上高は5,000百万円(2024年9月期比27.6%増)、営業利益は127百万円(同21.3%増)を目指す。営業利益率は2.5%となり、同0.2ポイントの低下を見込んでいる。従業員食堂と朝食レストランの2大カテゴリーに加え、ライフケアフードを第3の柱として確立する。また、他社との差別化を図る個性を維持しつつ、調理の世界の変化を柔軟に取り入れることで、生産性の向上を図る。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。業界活況の基盤はスチュワード事業と同様であり、宿泊観光需要の伸びに伴い、朝食レストラン受託マーケットは引き続き拡大を見込んでいる。高齢者向けライフケアマーケットも拡大基調であり、超高級施設サービスなど新たな商品開発も進捗している。ロボティクスの進化によって、調理などの自動化・省力化が現実的な状況となりつつある。さらに、完全調理済食品の品質向上に伴い、調理オペレーション設計の柔軟性が高まっている。しかしながら、ホテルにおいては、コロナ禍以降、調理部門の恒常的な人材不足という課題を抱えている。
以上から「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、安定したニーズがある従業員食堂と朝食レストランの新規開拓営業の強化(人材開発への投資を含む)を図る。また、クライアント実績の増加を見据え、ライフケアフード分野におけるビジネスマネジメント体系を確立する。さらに、食材や労務関連コストの上昇対策として、モニタリング・原因分析・打ち手のサイクルのスピードアップを推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、同社の特徴や強みを生かし、完全調理済食品等の積極的な活用を進めることで、より高いコストパフォーマンス評価の獲得を目指す。また、ロボットや調理の自動化によって生まれる新たなニーズの開発と営業・販促活動に取り組む。さらに、産学連携、食や環境に対する多様な取り組み、あるいはテクノロジーとの接点を通じて顧客・業界の次世代課題の発掘に努める。
(3) 空間プロデュース事業
2027年9月期の売上高は6,535百万円(2024年9月期比24.8%増)、営業利益は329百万円(同46.7%増)を目指す。営業利益率は5.0%となり、同0.7ポイントの上昇を見込んでいる。AV機器コンサルタントや代理店、施工会社との連携を強化し、顧客との営業接点を拡大を図る。加えて、産学連携やデジタルワークプレイスソリューションなどの新しい分野において価値の見える化を推進する。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。音響設備及び監視カメラは、堅実な更新需要に加え、AI機能など期待されるソリューションの裾野が広がっている。設計・施工の現場は、顧客提案の活性化のため、先進性やソリューションの多様性を実現できる取扱製品のフレキシビリティを求めている。ニーズは、忠実さや迫力ある再生を実現する音響機器から、映像効果を含めたエンターテインメントとしての感動を演出するトータル空間演出システムへと拡大している。また、ミーティングや仕事の質及び生産性に寄与するコミュニケーションを実現するシステム導入ニーズも高まっている。さらに、産学連携プロジェクトを契機として、時代に即した社会的価値に対する関心が高まっている。
以上から、「基軸事業の強化による収益力の向上」では、業界や競合ベンチマークなどによるマーケティングの多様化と、収益マネジメントの強化を図る。また、ビジネスパートナーとの連携強化による顧客営業接点の強化と販促営業活動の多様化を目指す。さらに、マルチベンダーと設計から施工・保守までトータルでプロデュースできる強みを生かし、事業を補完し合うパートナー開発を推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、スチュワード事業やフードサービス事業の顧客基盤を最大限に生かし、生産性向上のソリューションを提案する。また、これを実現するためのビジネスパートナーとの関係性の積極的な開発を図る。さらに産学連携の推進による、学習と集客に影響力を発揮する「環境」をコンテンツ化するような空間プロデュース価値の実現を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2. 事業別成長戦略
同社は、中期経営計画の最終年度達成に向け、全3事業において高い成長目標を設定した。具体的には、2027年9月期までに全事業で2024年9月期比20%台という大幅な増収増益を目指す。なかでも空間プロデュース事業は同40%台の増益目標を掲げている。各事業がそれぞれ「基軸事業の強化」と「X-valueユニットによる新たな価値創出」という成長の両輪として戦略を実行することで実現を目指す。
(1) スチュワード事業
2027年9月期の売上高は10,800百万円(2024年9月期比27.3%増)、営業利益は698百万円(同29.5%増)を目指す。営業利益率は6.5%となり、同0.2ポイントの上昇を見込んでいる。高まる委託需要に対応するため、人材開発への投資や注力により人材の育成・輩出を進める。同時に、ホテル業界のバックヤードを幅広くサポート・改善・コンサルティングできるパートナー力の強化を図る。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。2025年には訪日外国人数が4,200万人に、消費額が8.5兆円に達すると予想され、新規開業ホテルや外資の積極的参入による大型ホテルの開業が多数見込まれる。また、インバウンド・円安・インフレなどの影響により、宿泊や食事の単価が想定を上回って推移している。加えて、賃金水準上昇の受託費への価格転嫁も、売上アップの要因となる。さらに、ロボティクスの進化によって清掃・ロジ・仕分けなどの業務の自動化や省力化が現実的な状況となりつつあり、バックヤード環境の設計や運用に関する助言機会が増加している。
以上の市場環境を踏まえ、「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、従業員の生産性を高める投資を積極的に実施する。具体的には、教育研修、職場エンゲージメント強化、海外における社員採用、業務プロセスの再構築(業務BPR)などを推進する。また、後発参入したホテル客室清掃業務では、同社独自のスタイル確立に向けて、他社ノウハウの積極的な学習を行う。さらに、働き方や社会保障環境の潮流を反映し、事業コスト影響の試算、営業的対策、及び従業員啓蒙に向けたコミュニケーションを推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、自動化・ロボット・AIなどの先進分野に明るいパートナーとの提携関係を実現し、コンサルティング業務や共創事業を展開する。加えて、業務サポートを実現できていない地方への進出を図り、同社にとって開拓余地の大きい業務分野でM&Aを検討する。さらにベテランが率先して特命特化でX-valueユニットと連携することで新しい取り組みを推進し、「スチュワード人材」の可能性を広げる。
(2) フードサービス事業
2027年9月期の売上高は5,000百万円(2024年9月期比27.6%増)、営業利益は127百万円(同21.3%増)を目指す。営業利益率は2.5%となり、同0.2ポイントの低下を見込んでいる。従業員食堂と朝食レストランの2大カテゴリーに加え、ライフケアフードを第3の柱として確立する。また、他社との差別化を図る個性を維持しつつ、調理の世界の変化を柔軟に取り入れることで、生産性の向上を図る。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。業界活況の基盤はスチュワード事業と同様であり、宿泊観光需要の伸びに伴い、朝食レストラン受託マーケットは引き続き拡大を見込んでいる。高齢者向けライフケアマーケットも拡大基調であり、超高級施設サービスなど新たな商品開発も進捗している。ロボティクスの進化によって、調理などの自動化・省力化が現実的な状況となりつつある。さらに、完全調理済食品の品質向上に伴い、調理オペレーション設計の柔軟性が高まっている。しかしながら、ホテルにおいては、コロナ禍以降、調理部門の恒常的な人材不足という課題を抱えている。
以上から「基軸事業の強化による収益力の向上」においては、安定したニーズがある従業員食堂と朝食レストランの新規開拓営業の強化(人材開発への投資を含む)を図る。また、クライアント実績の増加を見据え、ライフケアフード分野におけるビジネスマネジメント体系を確立する。さらに、食材や労務関連コストの上昇対策として、モニタリング・原因分析・打ち手のサイクルのスピードアップを推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、同社の特徴や強みを生かし、完全調理済食品等の積極的な活用を進めることで、より高いコストパフォーマンス評価の獲得を目指す。また、ロボットや調理の自動化によって生まれる新たなニーズの開発と営業・販促活動に取り組む。さらに、産学連携、食や環境に対する多様な取り組み、あるいはテクノロジーとの接点を通じて顧客・業界の次世代課題の発掘に努める。
(3) 空間プロデュース事業
2027年9月期の売上高は6,535百万円(2024年9月期比24.8%増)、営業利益は329百万円(同46.7%増)を目指す。営業利益率は5.0%となり、同0.7ポイントの上昇を見込んでいる。AV機器コンサルタントや代理店、施工会社との連携を強化し、顧客との営業接点を拡大を図る。加えて、産学連携やデジタルワークプレイスソリューションなどの新しい分野において価値の見える化を推進する。
同社は、同事業の市場環境を次のように分析している。音響設備及び監視カメラは、堅実な更新需要に加え、AI機能など期待されるソリューションの裾野が広がっている。設計・施工の現場は、顧客提案の活性化のため、先進性やソリューションの多様性を実現できる取扱製品のフレキシビリティを求めている。ニーズは、忠実さや迫力ある再生を実現する音響機器から、映像効果を含めたエンターテインメントとしての感動を演出するトータル空間演出システムへと拡大している。また、ミーティングや仕事の質及び生産性に寄与するコミュニケーションを実現するシステム導入ニーズも高まっている。さらに、産学連携プロジェクトを契機として、時代に即した社会的価値に対する関心が高まっている。
以上から、「基軸事業の強化による収益力の向上」では、業界や競合ベンチマークなどによるマーケティングの多様化と、収益マネジメントの強化を図る。また、ビジネスパートナーとの連携強化による顧客営業接点の強化と販促営業活動の多様化を目指す。さらに、マルチベンダーと設計から施工・保守までトータルでプロデュースできる強みを生かし、事業を補完し合うパートナー開発を推進する。
「X-valueユニットによる新たな価値創出」においては、スチュワード事業やフードサービス事業の顧客基盤を最大限に生かし、生産性向上のソリューションを提案する。また、これを実現するためのビジネスパートナーとの関係性の積極的な開発を図る。さらに産学連携の推進による、学習と集客に影響力を発揮する「環境」をコンテンツ化するような空間プロデュース価値の実現を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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