注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(3):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中 *12:03JST 三井松島HD Research Memo(3):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中 ■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容同社の祖業であった石炭事業について、豪州における既存鉱区の終掘に伴い、エネルギー事業のうち石炭の生産及び販売分野を2024年3月期で終了したが、これまでに実行したM&Aにより事業ポートフォリオの多様化が進んだことから、事業の実態をより適切に示すために報告セグメントを2025年3月期より変更している。従来「生活関連事業」として一括していた領域については、その事業内容の特性に応じて「生活消費財」及び「産業用製品」の2つのセグメントに分けた。また、「エネルギー事業」のなかに含めていた「再生可能エネルギー分野」及び「その他の事業」、さらに2024年7月1日に株式を取得したエム・アール・エフについては、「金融その他」セグメントに区分することとした。加えて、これまで各報告セグメントに配分せず、セグメント利益の調整項目として処理していた全社費用についても、今後は各セグメントの利益に按分して計上する方針とした。1. 生活消費財(1) 日本ストロー2014年2月に株式取得した日本ストローは、大手乳業・飲料メーカー等に向けて伸縮ストロー等の製造販売を行っているほか、プラスチック製品・包装資材をはじめとする飲食用資材の仕入れ販売を行っている。日本ストローは1983年に伸縮ストローを開発して以来、業界の先駆者として独自の技術・ノウハウを蓄積し、ストローの国内リーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内伸縮ストローの市場シェアは第1位である。大手乳業・飲料メーカーなど優良顧客からの高い信頼と評価による安定的な取引基盤を構築し、安定した業績を挙げている。2021年に海洋生分解性プラスチック伸縮ストローを商品化(世界初)した。2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、環境対応素材ストロー(バイオマスプラスチック、海洋生分解性プラスチックが主流)への移行が加速しており、コンビニエンスストア・大手コーヒーチェーンへの販売やスムージー系飲料での使用など、販売先と用途が拡大している状況だ。優良顧客基盤を有する日本ストローは今後も、既存のプラスチックストローからの切り替えを促進しつつ、技術優位性を生かしてさらなるシェアのアップ、単価・収益性のアップに注力する方針である。市場環境の見通しは良好だ。消費者庁が実施した「令和6年度消費生活意識調査」によると、エシカル消費※に関する認知度は令和元年度の12.2%から27.4%まで上昇している。また、エシカル消費について説明した後、興味の度合いについて聞いたところ「非常に興味がある」「ある程度興味がある」と回答した割合は44.9%であった。エシカル消費に関する消費者の興味・関心が高まるなかで、環境対応素材ストローに対するニーズも好調に推移するものと弊社は見ている。※ 消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。(2) 明光商会2019年4月に株式取得した明光商会は、シュレッダーを中心とする事務用設備の製造・販売・保守を行っている。1960年に日本初のシュレッダー製造販売を開始して以来、独自の技術・ノウハウを蓄積し、シュレッダーのリーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内オフィス用シュレッダーの市場シェアは第1位である。代表的な製品としては、用途に応じたラインナップが豊富な「MSシュレッダー」のほか、全国の自治体等への導入実績を持つ受付順番案内システム「MSボイスコール」などがある。また、営業・サービス拠点が日本全国をカバーしていることも強みとなっている。総務省「令和2年版情報通信白書」によると、日本企業がパーソナルデータの収集にあたって最も重視する点として「収集するデータのセキュリティの確保」と回答する割合が高まっている(2017年の15.7%に対して2020年は28.7%)ことからも、情報セキュリティに対する意識が高まっていることが窺える。明光商会のシュレッダーには、細断サイズが10mm2以下と世界最小の商品もあり、昨今のセキュリティ対策に対応できていると言える。(3) ケイエムテイ2020年4月に株式取得したケイエムテイは、予防医学に基づいた高品質プレミアムペットフードの企画・販売を行っている。ヒューマングレードの原材料を使用し、添加物・着色料・副産物不使用などペットの健康に配慮した商品を展開している。全国のペットブリーダーや動物病院からも高い支持を得ており、高品質な健康プレミアムペットフード市場において強いブランド力と高いシェアを有している。市場環境については、底堅く推移すると弊社では見ている。2人以上世帯のペットフードへの支出額は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の2021年に7,787円と前年比微減(375円減)となったものの、2022年には増加傾向に回帰し、2024年は前年比1.7%増の9,957円と伸びている。また、ホームセンターにおけるペット・ペット用品の販売額は2022年に前年から減少したものの、2023年には増加に転じるなど安定して推移している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) <HN> 2025/07/03 12:03 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(2):祖業の石炭関連事業からの撤退を経て、独自のM&A戦略に基づき再成長 *12:02JST 三井松島HD Research Memo(2):祖業の石炭関連事業からの撤退を経て、独自のM&A戦略に基づき再成長 ■会社概要1. 会社概要三井松島ホールディングス<1518>は、1913年に松島炭鉱(株)として長崎県に設立され、2023年に創業110年を迎えた歴史ある企業である。創業時より松島炭鉱、大島炭鉱、池島炭鉱を順次開発・運営し、1991年にはMitsui Matsushima Australia Pty Limitedを通じて豪州NSW(ニューサウスウェールズ)州リデル炭鉱のジョイント・ベンチャーに参入した。創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきた同社であるが、32.5%の権益を保有していた豪州NSW州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期をもって終掘となった。これを受け、石炭関連事業も2024年3月期をもって終了している。石炭関連事業が終了する以前から同社は、世界規模で環境保全意識が高まっていることや、本格的な脱炭素社会の到来が見込まれることなどを受け、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立を推進してきた。2013年に現 代表取締役社長である吉岡泰士(よしおかたいし)氏の入社を機に内部にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)チームを組成し、新規M&A投資を着実に実行している。2014年2月の日本ストローを皮切りに、2017年2月にクリーンサアフェイス技術(株)(現 CST(株))(2023年4月に社名変更)、2019年4月に明光商会、2020年4月に(株)ケイエムテイ及び三生電子、2021年2月に(株)システックキョーワ、2022年5月に日本カタン(株)、2023年2月に丸紅オフィス・サプライ(株)(現 MOS)、同年8月に(株)プラスワンテクノ、同年12月にジャパン・チェーン・ホールディングス、2024年1月にSaunders & Associates, LLC(連結子会社の三生電子を通じた子会社化)、同年7月にエム・アール・エフを子会社化してきた。また、2018年10月に純粋持株会社体制に移行するとともに、社名を現在の三井松島ホールディングスに変更している。直近では、2024年8月に、子会社のMM Investmentsを通じて株式投資事業を開始した。2. M&A戦略の特長社長の吉岡氏は一貫して金融機関でキャリアを積んできた。2007年に入社したGCA(株)(現 フーリハン・ローキー(株))にてM&Aアドバイザーとして同社と関わりを持ち、その縁もあり入社した。吉岡氏がデューデリジェンス(以下、DD)の早い段階から案件に直接関与し、買収の意思決定を行うことで確実かつ迅速なM&Aが可能となっている。(1) 投資方針同社はM&Aの方針を「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」とし、ブレない投資軸でM&Aを実行している。市場環境などを元に将来の需要動向を見極め、競争環境が比較的穏やかなニッチ市場で事業展開している企業、オンリーワン技術を保有し市場で高いシェアを獲得している企業等を対象としている。(2) M&A推進体制の構築同社は、M&A経験が豊富な金融業界出身者によるFAチームを内部に構築しており、長年の実績により獲得したM&A業者や投資ファンドとの広いネットワークにより、効率的な情報集約や共有ができる。また、FAチームを内製化することで投資基準にブレが生じにくくなるほか、迅速な判断、ノウハウ蓄積、目利き力が向上し、投資方針に合致する案件発掘が可能となる。当初、吉岡氏1人体制であったが、2018年にGCA(株)時代の同僚である阿部氏を引き入れ、現在は上席執行役員経営企画部担当の阿部のもと経営企画部においてM&Aの検討を行っている。吉岡氏と阿部氏がM&A専門家としてFAチームを指揮することで、迅速な案件検討の推進だけでなく、好機を逃さない現場との連携ができる。DDやバリュエーションを自社ハンドリングの下で行うことで、M&A後に期待リターンを実現する強固なコミットメントを構築している。(3) 適正価格での買収同社は、適正価格でのM&Aを実行している。M&A実績の積み上げや知名度の向上により、ソーシングチャネル(銀行、証券会社、M&A仲介、投資ファンド、企業・個人株主など)からの案件紹介が増加しているが、入札案件を避けてM&Aを実行することで適正価格での買収を可能としている。案件紹介の場合は、買収意向書の提出から買い手企業の決定までのスパンが短く、DDに迅速に入ることができるため、買収後のキャッシュ・フローを最大化できるという利点もあると、弊社は考えている。(4) 社内人材によるハンズオンPMIとコストシナジー買収後は、社内人材によるハンズオンPMI※のノウハウを活用している。一例を挙げると、同社人材をグループ会社に派遣するなどの経営支援、グループ会社間での技術・ノウハウの共有によるコスト削減、人材交流による新製品開発、グループ会社間での部材供給などがある。PMIノウハウの蓄積や経営資源の効率化、グループ間のシナジー等も生まれつつあり、グループ全体としてコングロマリットプレミアムを創出している。※ Post Merger Integrationの略で、買収後の統合プロセスのこと。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) <HN> 2025/07/03 12:02 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(1):2025年3月期はM&A投資等の着実な実行により成長加速 *12:01JST 三井松島HD Research Memo(1):2025年3月期はM&A投資等の着実な実行により成長加速 ■要約三井松島ホールディングス<1518>は、2023年に創業110年を迎えた歴史ある企業である。創業以来、祖業である石炭関連事業を継続してきたが、同事業に関しては、同社が権益を持っていた鉱区が終掘になったことを受け2024年3月期をもって終了した。石炭関連事業の終了が決定する以前から同社は、世界規模で環境保全に対する意識が高まっていることや、脱炭素社会の到来が見込まれることを受け、事業ポートフォリオの組み替えによる石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立を推進してきた。2025年3月期からは、新たな収益基盤として確立してきた「生活消費財」「産業用製品」「金融その他」の各セグメントにおいて利益を積み上げるとともに、引き続きM&Aを中心とした成長戦略を推進し企業価値の向上を目指す。1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比21.8%減の60,574百万円、営業利益が同69.7%減の7,615百万円、経常利益が同67.5%減の8,448百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.8%減の8,645百万円となった。売上高は、(株)ジャパン・チェーン・ホールディングス(産業用製品)及び(株)エム・アール・エフ(金融その他)の子会社化が寄与した一方、主力事業の1つであった石炭事業の終了により全体として減収となった。営業利益は、売上高と同様に石炭事業の終了が影響し減益となった。同社にとって、2025年3月期は大きな転機となる期であった。石炭事業からの撤退が完了したことにより、新たな収益基盤の確立に向けた構造転換を進めてきたが、結果としてその歩みは当初想定よりも速いスピードで進展し、収益の柱となる事業が短期間で整った。特に、ジャパン・チェーン・ホールディングス及びエム・アール・エフという大型M&A案件が大きく寄与しており、今後は祖業からの収益構造の転換が加速していくと弊社では見ている。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比8.1%増の65,500百万円、営業利益で同7.7%増の8,200百万円、経常利益で同4.1%減の8,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同32.9%減の5,800百万円としている。売上高・営業利益ともに増収増益が見込まれている。主な要因は、2025年3月期第2四半期から連結対象となったエム・アール・エフの業績が、通期で寄与する点にある。また、日本ストロー(株)やMOS(株)、三生電子(株)など、主要グループ会社が引き続き好調な受注環境を維持していることも追い風となっており、すべての事業セグメントで前期を上回る売上げが見込まれている。これにより、連結ベースでの事業拡大に対する強固な支えが形成されている。一方、生活消費財セグメントにおいては、(株)明光商会で研究開発費が増加しており、利益面では前期を下回る見通しである。しかしながら、産業用製品及び金融その他セグメントでは、売上げの増加が利益面にも好影響を与える見通しであり、セグメント間でバランスの取れた成長が期待される。なお、経常利益と純利益は、前期にリデル炭鉱の譲渡に伴って計上された特別利益の反動減等により減益が見込まれている。ただし、これは一過性の要因によるものであり、本業の収益力は順調に拡大していると弊社では見ている。3. 中長期の成長戦略前中期経営計画2024年3月期に石炭関連事業を終了したことを受け、同社は2025年3月期以降、「生活消費財」「産業用製品」「金融その他」の3セグメントに変更した。2027年3月期までの3年間を成長戦略の計画期間とし、既存事業の拡大とM&Aを通じて、当期純利益50億円超を安定的に計上できる収益構造の確立を目指している。M&Aにおいては、「安定収益」「ニッチ市場」「わかりやすい」という基準を重視し、数を追わずに資本コストを上回るリターンが見込める案件に厳選して取り組む。「経営戦略2024」では、PBR1倍以上、ROE8%以上の目標を掲げ、資本効率を意識した経営を実践している。既に2025年3月期には、当期純利益50億円超を達成し、2026年3月期も同水準が見込まれるなど、計画は前倒しで進捗している。資本政策では、2024年3月期末のネット現預金216億円を、今後3年間でのM&Aや株主還元に積極投入する方針を示しており、実際に2025年3月期にはM&Aと株主還元に150億円を充当。さらに、2024年8月にはMM Investments(株)において投資事業を開始し、2025年3月末には既投資額が230億円に達した。今後も、PBR1倍超の実現に向けて株主還元を強化するとともに、M&Aを軸に成長戦略を継続していく。■Key Points・2025年3月期は減収減益も、着実なM&A投資により収益基盤を拡充・2026年3月期はエム・アール・エフの通期業績寄与等により増収・営業増益見込み・経営戦略2024は早期達成の見込み、M&Aと株主還元を主軸とした成長戦略に注力(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) <HN> 2025/07/03 12:01 注目トピックス 日本株 アダストリア---大幅反落、6月の既存店はマイナスに転じる *11:08JST アダストリア---大幅反落、6月の既存店はマイナスに転じる アダストリア<2685>は大幅反落。前日に6月の月次動向を発表している。既存店売上高は前年同月比0.2%減となり、前月の4.2%増から2カ月ぶりにマイナスに転じている。客単価が同0.5%上昇した一方、客数が同0.7%減少した。月初の夏物商品の動き出しが鈍かったこと、前年に比べて休日が1日少なかったことで1.8ptのマイナス影響があったと試算されることが背景。Uアローズなど他社との比較でネガティブに捉えられている。 <ST> 2025/07/03 11:08 注目トピックス 日本株 日ハム---大幅反落、株式売出による目先の需給悪化を警戒 *11:07JST 日ハム---大幅反落、株式売出による目先の需給悪化を警戒 日ハム<2282>は大幅反落。953万5900株の株式売出を実施すると発表している。売出人は、農林中央金庫、三菱UFJ銀行、三井住友銀行など、金融機関9社となっている。売出価格は7月15日から17日までの間に決定される。短期的な需給の悪化を警戒する動きが優勢となっているもよう。株式の円滑な売却機会を提供しながら、機関投資家層の拡大や多様化による流動性向上を推し進めることが重要と意識する中、売出人からの売却意向も確認できたとしている。 <ST> 2025/07/03 11:07 注目トピックス 日本株 クエスト Research Memo(5):セプト子会社化で若いエンジニアリソースを獲得。さらなる成長へ加速 *11:05JST クエスト Research Memo(5):セプト子会社化で若いエンジニアリソースを獲得。さらなる成長へ加速 ■今後の見通し● 2026年3月期業績見通しクエスト<2332>は中長期ビジョン「Quest Vision 2030」の第2期中期経営計画(2024~2026年度)に基づき、「高収益体質への変革」及び「成長に向けた未来投資の実行」を2本柱として各種施策を展開している。その具体的施策として、2026年3月期第1四半期よりセプトを完全子会社化した。セプトはソフトウェア開発及び保守管理業務、ネットワークエンジニアリング業務を展開する企業であり、2025年4月現在で従業員106名を擁する。この取り組みにより、エンジニアリソースの拡充を図り、特にコアビジネスの領域において、定型的ビジネスや付加価値のあまり上がっていない領域をシフトすることを念頭に置いている。さらに、同社はより高度な顧客課題の解決に向けた体制を強化する。なお、2026年3月期の連結業績予想は、売上高16,860百万円(前期比12.9%増)、営業利益1,180百万円(同11.8%増)、経常利益1,240百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益845百万円(同10.1%増)を見込んでいる。■中長期の成長戦略売上200億円、時価総額250億円への着実な打ち手1. 長期ビジョン「Quest Vision 2030」の描く未来像同社は中長期ビジョンとして「Quest Vision 2030」を掲げ、2030年度(2031年3月期)までに売上高200億円超、企業価値250億円超という目標を設定している。本ビジョンは、社会と企業の双方に価値をもたらす「QCSV(Quest Creating Shared Value)」の考え方を中核に据えたものであり、企業の持続的成長と社会課題の解決を両立させる姿勢が鮮明である。この目標達成に向けて、同社は6つのコミットメントを定めている。(1) さらなる探究・探求新技術の獲得や創意工夫を通じて顧客とともに新たな価値を創出する。(2) 働きがいにあふれる職場従業員同士が学び合い、称え合う文化を通じて組織力を高める。(3) 最も信頼される企業へ顧客一人ひとりに寄り添ったサービス提供を徹底し、信頼性の高い企業としての地位を確立する。(4) 持続可能な未来社会の実現公共インフラや社会課題解決に貢献する。(5) 売上高200億円超への挑戦事業構造と組織体質の改革を通じて達成を目指す。(6) 企業価値4倍(250億円超)への挑戦企業資産の有機的連携によって高付加価値を創出する。これらのコミットメントは、成長性・組織力・信頼性・財務成果の4つの観点を戦略的に連動させるものであり、実現に向けた整合性と実効性のある構造となっている。既に第1期(2021~2023年度)においては、目標売上130億円に対し実績が142億円と上回っており、計画遂行力の高さが確認されている。現在進行中の第2期(2024~2026年度)では高収益体質への転換が進められており、その後の第3期(2027~2029年度)を経て、最終フェーズにおける成長の加速が期待される。以上から、同社の長期ビジョンは、明確な目標設定と段階的な施策展開により、持続的な企業価値向上の実現可能性を十分に有していると評価できる。2. 第2期中期経営計画(2024~2026年度)2020年度(2021年3月期)に策定した中長期計画「Quest Vision 2030」の下で、2025年3月期より第2期となる中期経営計画を始動させた。第1期ではM&Aを通じた事業基盤の拡張とともに、売上目標を上回る成果を上げたが、資本コストや株価を意識した経営の点では課題も残った。第2期では、資本効率を踏まえた収益性の向上を図りつつ、事業の変革と企業体質の強化、さらには人財及び技術への積極投資を進める方針である。同社はこれまで、顧客とともに価値を創造するICTソリューションの提供を通じて多様な産業に貢献してきたが、今後はこのコアサービスの深耕に加え、知的資産を活用したソリューションサービスによってビジネスボリュームを拡大し、成長エンジンとする構えである。既に、2025年4月にセプトを買収したことによりリソース面の確保が進んだことから、ソリューションサービスへの傾注に期待がかかる。第2期中期経営計画においては「2030年度の飛躍に向けた基盤の強化と着実な成長」を主眼に据えている。これを実現するために3つの重点戦略を設定した。(1) 顧客産業・ポートフォリオ戦略重点強化領域(半導体、製造業)と安定成長領域(金融、情報通信、エンタテインメント)、社会課題解決領域(公共・社会、移動・物流、ヘルスケア・メディカル)の3領域を最適に配分し、需給動向に即した柔軟なリソース運用を行う。(2) 事業構造戦略工数提供型サービスからプロフェッショナルサービスやマネージドサービスへとシフトし、付加価値の高いビジネスモデルの構築を図る。(3) 人財戦略多様な人財が活躍できる職場環境の整備と、人的資本価値の向上に向けた制度改革・育成投資を強化する。以上の3つの戦略を軸に、持続的成長と資本市場からの信頼確保を両立する経営体制の確立を目指し、2027年3月期における売上高168億円、営業利益率8.0%、ROE11%超といった財務目標を立てている。なお、第1期中期経営計画が好調に推移したことを踏まえ、第2期中期経営計画策定と同時に中長期ビジョンと「Quest Vision 2030」の営業利益率目標を1.5ポイント上積みし10.0%にするとともに、ROE目標を3.0ポイント上積みし14.0%に上方修正した。■株主還元策連結配当性向35%以上、DOE4.0%以上を目安に安定的に配当を実施する方針同社は、株主還元を経営の重要施策の1つと位置付けており、業績成長に伴う利益配分と将来成長に向けた投資、並びに不測の事態への備えとのバランスを重視した資本政策を採用している。配当方針においては、財務健全性を損なうことなく内部留保を適切に確保したうえで、連結配当性向35%以上、DOE4.0%以上を目安に、持続可能かつ安定的な配当水準の維持・向上を図る姿勢を明確にしている。過年度においても安定的な事業の成長、高い財務健全性、収益性を背景に安定的な配当を実施してきており、同社の還元策への信頼性は高い。今後も市場との対話を通じて、資本コストを意識した資本政策を強化し、企業価値向上と株主リターンの両立を目指す経営が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/07/03 11:05 注目トピックス 日本株 クエスト Research Memo(4):売上高は12期連続、営業利益は7期連続過去最高を更新し安定成長が続く *11:04JST クエスト Research Memo(4):売上高は12期連続、営業利益は7期連続過去最高を更新し安定成長が続く ■クエスト<2332>の業績動向1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期における連結業績は、売上高14,936百万円(前期比5.0%増)、営業利益1,055百万円(同5.8%増)、経常利益1,112百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は767百万円(同10.3%増)であった。売上高・営業利益・経常利益は過去最高を更新、売上高は12期連続、営業利益は7期連続過去最高を更新している。重点強化領域である主要顧客の半導体分野顧客(イメージセンサ、メモリ)、社会課題解決領域の顧客である移動・物流分野顧客及び公共・社会分野顧客における新規案件受注の拡大等が寄与した。明確なねらいにより注力すべき領域を定義2. 顧客産業別売上高の動向同社の顧客産業別ポートフォリオは、重点強化領域と安定成長領域、並びに社会課題解決領域の3つの分類に基づいている。重点強化領域には半導体及び製造業が含まれ、収益性の高い成長ドライバーとして位置付けられている。一方、金融・エンタテインメント・情報通信は安定成長領域に、公共・社会及び移動・物流、さらに、ヘルスケアといった分野は社会課題解決領域として整理されている。直近のポートフォリオ構成では、重点強化領域が48%と前期比で5ポイント減少しているが、これは同社が中期経営計画において重点強化領域の比率を50%前後にコントロールする方針を採っていることに起因する。特に半導体分野は限界利益率が高く、好況時には収益貢献が大きいものの、市況変動により利益率が急激に悪化するリスクを内包している。したがって、特定産業への過度な依存を避けるバランス重視の戦略が図られている。半導体領域に関しては、シリコンサイクルの影響が懸念されるものの、メモリ分野において案件回復の兆しが、見られることはポジティブな要素である。ただし、製造分野の一部顧客におけるシステム開発案件の減少が総体としての縮小要因となった。また、安定成長領域については、39%と前期比3ポイント増加、社会課題解決領域が11%と前期比で5ポイント増加した。公共部門におけるインフラ関連サービスの拡大、並びに移動・物流分野におけるシステム開発需要の増加が寄与し、ポートフォリオ全体の安定的な分散と収益のマネジメントに資する結果となっている。全体として、事業環境の変動に応じた柔軟なポートフォリオ運営が同社の収益安定性を支えていると評価される。3. 財務状況と経営指標2025年3月期末の資産合計は9,818百万円となり、前期末比で358百万円増加した。これは主に現金及び預金の416百万円増加、並びに退職給付に係る資産の263百万円増加等によるものである。一方、負債合計は2,565百万円となり、前期末比で107百万円減少した。これは買掛金が81百万円増加したものの、役員退職慰労引当金の55百万円減少や未払法人税等の42百万円減少等が要因である。純資産合計は7,253百万円となり、前期末比で465百万円増加した。これは主に利益剰余金の505百万円増加が寄与した一方で、その他有価証券評価差額金が127百万円減少したことによるものである。これらの結果、自己資本比率は73.9%となった。また、有利子負債がゼロであるにもかかわらず、現預金回転期間は月商の2.7月分保持しており、資金繰りも安定している。他方、売上高営業利益率は7.1%、ROEが10.9%となっており、収益性及び効率性についても高水準である。以上のことから同社は高い財務健全性を誇り、収益性・効率性にも優れていると言えよう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/07/03 11:04 注目トピックス 日本株 クエスト Research Memo(3):コアサービスの深化とソリューションサービスへの進化 *11:03JST クエスト Research Memo(3):コアサービスの深化とソリューションサービスへの進化 ■事業概要1. 主な事業領域クエスト<2332>は顧客の産業別に8つの事業領域においてサービスを提供している。(1) 半導体データエンジニアリングサービス、アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守を行う。半導体業界において、24時間365日稼働する生産システムの運用保守を長年にわたり担い、安定稼働の維持と運用信頼性の向上に貢献してきた。顧客に伴走する形で最新技術の習得と導入に努め、効率的かつ合理的な運用体制の構築を推進している。模倣困難な強みを有しており、最も参入障壁の高い領域である。(2) 製造業アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、Dynamics 365保守サービス、Microsoft Azure構築・運用サービス、クラウド対応型リモート監視・運用を行う。製造業向けには、生産管理、サプライチェーン、経営管理の分野に対しては20年以上の知見を持ち、顧客の内情に沿ったリアルタイムな提案、業務上のトラブル発生防止などに貢献している。(3) 金融アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、ITサービスマネジメントを行う。銀行・証券・保険などの金融業界において50年を超えるシステム運用保守業務や社員代替の実績がある。メインフレームのハードウェア、アプリケーションのほか、情報系のオープンシステムについては法改正や制度改定に素早く対応し、高い可用性とセキュリティを実現する運用保守業務を行っている。(4) 情報通信アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、「Amazon Redshift」導入・運用、クラウド対応型リモート監視・運用を行う。「ネットワーク」「セキュリティ」「データセンター」「クラウド」「エンドユーザー環境」の5分野においてICTソリューションを提供している。クラウド導入支援や運用保守、高度なセキュリティ対策を通じて、情報通信業界の課題解決に取り組んでいる。データセンター移転支援やIT自動化による業務効率化、次世代ファイアウォールの導入によるセキュリティ強化、AWS等の活用による基盤整備とコスト削減にも貢献している。(5) エンタテインメントアプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、クラウド対応型リモート監視・運用を行う。日本を代表する音楽配信企業のインフラをフルアウトソーシングにより受託し、業務効率化に貢献している。耐震性とセキュリティに優れた自社データセンターへのサーバー移行を実施し、顧客の情報システム部門のコア業務時間を大幅に拡大した実績を有する。今後は、会計領域への展開やオンサイトでの顧客支援、オフサイトでの運用保守の強化を通じて、顧客ビジネスの成長を一層支援する方針である。(6) 公共・社会アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、ITサービスマネジメント、IT基盤サービス、クラウド対応型リモート監視・運用を行う。公共社会領域では、電力会社の基幹IT基盤に対する運用保守サービスを提供し、ICTと電力業務の両面に精通する体制を構築している。IoTやAIなど新技術の探究を通じて、電力業界のデジタル化に備え、持続可能なエネルギー社会の実現に寄与する。これにより、SDGsへの貢献も果たしている。(7) 移動(自動車・鉄道)・物流アプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、ネットワーク設計・構築を行う。大手物流企業のインフラ構築・運用・保守を担い、オンプレミス環境からAzureやAWSへのクラウド移行、ネットワーク・サーバー・PC・社内ツールの統括管理を行っている。具体的には、運用保守コストを27.5%削減した事例や、RFID導入プロジェクトに参画し、郵送状況の見える化や積載率の向上、荷主へのサービス改善を実現した。今後はクラウドによる再構築の加速と現場知見の深化を通じ、アプリ保守など支援領域の拡大を目指す。(8) ヘルスケア・メディカルアプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守、「Amazon Redshift」導入・運用、AWS設計構築・運用サービスを行う。高度先進医療病院向けに、がん治療機器の予約システムを2年以上かけて開発し、治療条件や空き状況に応じた高機能かつ使いやすいUX設計で高く評価されている。また、健診データをクラウド経由で安全に授受する仕組みも構築し、国のセキュリティ基準を遵守しつつ病院とのデータ連携を実現した。今後もモバイル、IoT、クラウドを活用した次世代医療ICT基盤の構築に注力する方針である。2. コアサービスとソリューションサービス同社はこれまで培ってきた強みを有するサービスを「コアサービス」とし、新たな強みとして伸ばすサービスを「ソリューションサービス」と定義している。(1) コアサービスアプリケーション開発・運用・保守、インフラ構築・運用・保守がコアサービスである。要件定義から設計、構築、運用・保守からインフラ連携までをワンストップで提供する点に強みがある。同社が永年にわたり培ってきた参入障壁の高いサービス領域であり、引き続き専門性向上に努め競争優位を確立する。(2) ソリューションサービス顧客の事業戦略やニーズと社外情勢を考慮し、コアサービスで培った業務ノウハウが活用できる領域を事業の柱としての確立を目指す。社会課題解決にも貢献することで、より高付加価値なサービスを提供している。主なサービスとしては以下が挙げられる。・ERP/CRMサービス:Dynamics 365・Microsoft 365:グループウェア開発・保守・運用・PLM:製品ライフサイクル管理・セキュリティ:Cybereason(エンドポイントセキュリティ)、AIセキュリティ、SOC(パロアルト/ウォッチガード)、ログ監視(パロアルト)、暗号化(ファイナルコード)・IT基盤:ITサービスマネジメント、クラウド対応型リモート監視・運用、ネットワーク設計・構築・データエンジニアリング:BI(TIBCO Spotfire(R))、AWS Redshift導入・運用・クラウド:AWS設計・構築・運用、リモート環境構築、Azure構築・運用・IT自動化:AI/チャットボット、RPA導入・運用(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/07/03 11:03 注目トピックス 日本株 クエスト Research Memo(2):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー *11:02JST クエスト Research Memo(2):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー ■会社概要1. 会社概要クエスト<2332>は、システム開発及びITインフラサービスを中核とする独立系の情報サービス企業である。半導体分野や製造分野、金融やエンタテインメント分野、情報通信分野の顧客を中心とした多様な業種に対し、ソフトウェア開発、システム運用や保守、IT基盤構築といったサービスを提供している。特に半導体の製造に関する領域やエンジニアリングソリューション、設計プロセスに関する領域に強みを持つ点が特徴である。企業理念として「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」を掲げ、「技術と創造力で人と社会の安心と幸せを支え続ける」ことをパーパスとしている。品質と安全性を重視したサービス提供を徹底しており、ISMSやプライバシーマークなどの各種認証を取得するなど、情報セキュリティ対策にも注力している。設計から開発、運用・保守までをワンストップで対応できる体制を有しており、顧客のIT戦略をトータルに支援できる点が大きな競争優位性となっている。2002年には東証JASDAQ市場に株式を上場し、現在は東証スタンダード市場に上場している。創業以来60年間にわたり連続黒字決算を継続しており、極めて高い財務安定性と堅実な経営基盤を有する点も特筆される。近年はアラインアンスやM&Aを通じた事業基盤の強化と事業拠点の拡大を進めており、サービス提供体制をより盤石なものとしている。2023年には東京都港区芝浦のmsb Tamachi田町ステーションタワーNに本社を移転し、従業員の働きやすさや業務効率の向上、エンゲージメント向上にも注力している。今後も社会と顧客の期待に応える持続可能なITソリューションカンパニーとして、安定した成長が見込まれる企業である。2. 沿革同社は、1965年に(株)京浜計算センターとして東京都日本橋で創立し、データエントリー業務を開始した。1967年にはソフトウェア開発と運用サービスに進出し、1980年には本社を港区芝に移転、資本金を5,000万円に増資した。1982年には仙台にグループ会社(株)システムテクノロジーを設立し、1988年には現在の社名である「株式会社クエスト」へと改称した。1990年代には事業拡大を進め、名古屋や大分など各地に拠点を開設するとともに、資本金の増資も実施。1999年にはグループ会社を吸収合併し、仙台営業所として再編した。2000年代にはプライバシーマークやISMS認証の取得を通じて情報セキュリティ体制を強化し、2002年には東証JASDAQ市場へ上場、資本金も4億6,000万円まで拡大した。2003年には本社を芝浦に移転し、以降、SCSK<9719>やユニリタ<3800>などとの業務・資本提携を進めるなど、戦略的なパートナーシップを構築した。2007年には(株)ドラフト・インを子会社化し、2009年には(株)ジップスからシステム開発事業を譲り受けて東北地域での基盤を強化した。2010年代以降は支社の再編やM&Aを通じた体制強化を進め、2017年には子会社を吸収合併することで統合を図った。さらに、2022年には東証の市場再編により東証スタンダード市場へ移行し、同年には(株)エヌ・ケイを子会社化。翌2023年には本社をmsb Tamachi田町ステーションタワーNへ移転し、事業体制の刷新を図った。2025年4月にはセプトを子会社化し、引き続きグループ体制の強化を進めている。3. 同社の特徴同社の特徴を人財面、事業面、財務面から見ると次のように評価できる。(1) 人財面ITソリューションビジネスの中核となるのは人財である。同社の経営陣はプロパー人財のほか、東芝<6502>、ソニーグループ<6758>といった我が国を代表するメーカー出身者で占められている。高度な専門性を有することはもちろん、社会課題解決に向けたサステナビリティ経営への意識が高い点、さらには社員を真に「人財」として扱っている点が際立つ。例えば、現在の本社であるmsb Tamachi田町ステーションタワーNへ移転したのは、社員からの希望を尊重して決定したとのことである。そのほか、人的資本価値を高めるための処遇改善やキャリア開発などは常にアップデートしており、社員の満足度は高い。その証左として、2024年度における社員の平均勤続年数は11.4年と極めて長い値となっている。また、同社によると社員に占める中途入社社員の割合は45%とのことである。そうしたことを踏まえると、より一層平均勤続年数の長さが際立つ。また、女性管理職比率も高く、2024年度で10.9%となっている。多様な社員のロイヤルティを高めつつ長期安定的な事業展開を可能としている。(2) 事業面同社は1965年設立で、今年60周年を迎えた。これまで我が国を代表する半導体・製造業・金融などの重要産業に属する企業を顧客としてサービスを提供し、社会の変革に対応してきた。当然、重要産業に属する顧客の要求水準は高く、そうした要求に応え続けてきたからこそ現在まで存続し、成長していることは言うまでもない。また、自社に足りない機能は相互補完可能なアライアンスパートナーとの相互補完で対応する体制を整えている。こうした取り組みにより60年間の長きにわたりあらゆる環境変化に対応し、組織を進化させる学習メカニズムを形成してきたものと思われる。(3) 財務面同社は無借金経営を可能とする安定した収益と効率性を併せ持っており、このことから配当性向35%以上、自己資本配当率(DOE)4%以上という高い株主還元を実現するとともに、人財や事業に再投資を行うという好循環が生まれている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/07/03 11:02 注目トピックス 日本株 クエスト Research Memo(1):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー *11:01JST クエスト Research Memo(1):創業以来60年連続黒字のITソリューションカンパニー ■要約1. 会社概要クエスト<2332>はシステム開発及びITインフラサービスを中核とする独立系の情報サービス企業であり、半導体・製造・金融・エンタテインメント・情報通信など多様な業種に向けてソフトウェア開発やシステム運用、IT基盤構築を提供している。特に半導体製造や設計プロセス領域に強みを持ち、エンジニアリングソリューションにも注力している。企業理念は「技術を探究し、価値を創造し、お客様とともに成長する」、パーパスは「技術と創造力で人と社会の安心と幸せを支え続けます」である。ISMS認証やプライバシーマーク取得など情報セキュリティにも力を入れており、設計から運用までを一貫して提供できる体制が競争力の源泉となっている。2002年に東京証券取引所(以下、東証)JASDAQ上場後、現在は東証スタンダード市場に上場し、創業以来60年にわたる連続黒字経営により高い財務安定性を維持している。アライアンスやM&A、拠点拡大により体制を強化しており、2023年には本社をmsb Tamachi田町ステーションタワーNに移転した。今後も持続可能なITソリューション企業としての安定成長が期待される。2. 2025年3月期の業績概要2025年3月期における連結業績は、売上高14,936百万円(前期比5.0%増)、営業利益1,055百万円(同5.8%増)、経常利益1,112百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は767百万円(同10.3%増)であった。売上高・営業利益・経常利益は過去最高を更新、売上高は12期連続、営業利益は7期連続過去最高を更新している。重点強化領域の主要顧客である半導体分野顧客(イメージセンサ、メモリ)、社会課題解決領域の顧客である移動・物流分野顧客及び公共・社会分野顧客における新規案件受注の拡大等が寄与した。3. 2026年3月期業績見通し同社は中長期ビジョン「Quest Vision 2030」の第2期中期経営計画(2024~2026年度)に基づき、「高収益体質への変革」及び「成長に向けた未来投資の実行」を2本柱として各種施策を展開している。その具体的施策として、2026年3月期第1四半期より(株)セプトを完全子会社化した。セプトはソフトウェア開発及び保守管理業務、ネットワークエンジニアリング業務を展開する企業であり、2025年4月現在で従業員106名を擁する。この取り組みにより、エンジニアリソースの拡充を図り、より高度な顧客課題の解決及び安定したサービスの供給体制を確立する。なお、2026年3月期の連結業績予想は、売上高16,860百万円(前期比12.9%増)、営業利益1,180百万円(同11.8%増)、経常利益1,240百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益845百万円(同10.1%増)を見込んでいる。4. 第2期・中期経営計画の公表同社は、2020年度(2021年3月期)に策定した中長期計画「Quest Vision 2030」に基づき、2024年度(2025年3月期)より第2期中期経営計画を始動させた。第1期(2021年度~2023年度)ではM&Aを通じた事業基盤の拡大により売上目標を上回る成果を上げた一方で、資本コストや株価を意識した経営には課題が残された。第2期では、資本効率を踏まえた収益性の向上、事業構造の変革、企業体質の強化に加え、人財及び技術への投資を通じて成長を加速する方針である。従来からのICTソリューションによるコアサービスの深耕に加え、知的資産を活用したソリューションサービスによるビジネスボリューム拡大を成長ドライバーと位置付ける。2025年4月のセプト子会社化により、成長戦略の下支えとなるリソース確保が進んだことでソリューションサービスへの展開にも期待がかかる。第2期では、「2030年度の飛躍に向けた基盤の強化と着実な成長」を主眼とし、3つの重点戦略を掲げている。第1に、半導体・製造を中心とする重点強化領域、金融や情報通信などの安定成長領域、公共や移動・物流などの社会課題解決領域にリソースを最適配分する「顧客産業・ポートフォリオ戦略」。第2に、工数依存型から高付加価値型への転換を図る「事業構造戦略」。第3に、多様な人財が活躍できる制度改革と育成投資を進める「人財戦略」である。これらを軸に、持続的な成長と資本市場からの信頼確保の両立を図り、2027年3月期には売上高168億円、営業利益率8.0%、ROE11%超の達成を目指す。■Key Points・創業以来、60期黒字決算の優良企業で直近12期連続増収中・半導体中心に幅広い産業・社会課題に対応するサービスを展開・中長期ビジョンで企業価値250億円を目指し着実な戦略実行(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲) <HN> 2025/07/03 11:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(10時台)~トウキョベース、Abalanceなどがランクイン *10:36JST 出来高変化率ランキング(10時台)~トウキョベース、Abalanceなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月3日 10:32 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード   銘柄名   出来高   5日平均出来高   出来高変化率   株価変化率<3856> Abalance  1267000  150103.18  198.1% 0.1489%<3843> フリービット    332100  91257.8  177.95% -0.0219%<3671> ソフトマックス   4358600  334092.5  159.25% 0.0425%<5715> 古河機       432900  234430.6  156.15% 0.0531%<4412> サイエンスアーツ  136900  42062.52  143.01% -0.0009%<5602> 栗本鉄       99500  163092  141.42% 0.0685%<4594> ブライトパス    10734500  145063.44  140.26% 0.0217%<1398> SMDAMJリ   201610  121926.606  92.92% 0.0005%<9613> NTTデータG   6444100  12031483.64  90.12% -0.001%<6232> ACSL      3596700  1792256.94  84.99% -0.0075%<7238> 曙ブレーキ     1438600  63677.82  81.68% 0.0693%<7694> いつも       1579300  430500.14  78.75% 0.1492%<5563> 新日電工      754900  95691.3  71.77% 0.0201%<5246> ELEMENTS  2789600  1396182.86  68.42% 0.0746%<5411> JFE       5425700  4714522.4  61.56% 0.0549%<5805> SWCC      511700  2159425.2  60.92% 0.0101%<7130> ヤマエGHD    123500  153804.3  52.61% 0.0343%<2753> あみやき      61800  57339.82  36.53% -0.0308%<3920> アイビーシー    101900  60953.48  31.77% -0.0324%<5406> 神戸鋼       2479100  2858047.22  29% 0.0438%<2248> iF500H有   60569  111566.173  26.75% 0.0017%<7794> イーディーピ    179400  63026.06  24.48% -0.0836%<2586> フルッタフルッタ  26042000  4504892.82  24.33% 0.1522%<2743> ピクセル      1209200  71571.46  18.11% -0.024%<141A> トライアル     3139300  5299214.62  17.79% 0.0555%<3415> トウキョベース   754100  256041.18  16.56% 0.0239%<6786> RVH       2873100  167413.56  14.55% -0.0526%<6787> メイコー      225100  1210207.6  13.29% 0.0804%<5027> AnyMind   918700  406215.06  12.78% 0.0075%<5401> 日本製鉄      5416800  13967856.9  12.46% 0.036%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/07/03 10:36 注目トピックス 日本株 ダイセキ---大幅反落、第1四半期営業減益で計画比未達 *10:36JST ダイセキ---大幅反落、第1四半期営業減益で計画比未達 ダイセキ<9793>は大幅反落。前日に第1四半期決算を発表している。営業利益は38.3億円で前年同期比1.9%減益となり、据え置きの上半期計画79億円、同7.8%増に対して進捗がスローとのネガティブな見方が先行している。会社側でも、売上高は計画を若干上振れも、利益は計画比未達に終わったとしている。鉱工業生産指数の伸び悩みでダイセキが計画を若干未達、ダイセキMCRは鉛相場や為替の影響で、システム機工も工事後ろ倒しの影響でそれぞれ減益に。 <ST> 2025/07/03 10:36 注目トピックス 日本株 アドバンクリエ---ストップ安売り気配、業績下方修正と株主優待の休止を発表 *10:35JST アドバンクリエ---ストップ安売り気配、業績下方修正と株主優待の休止を発表 アドバンクリエ<8798>はストップ安売り気配。前日に25年9月期の業績下方修正を発表している。営業損益は従来予想の0.5億円の黒字から一転、5.6億円の赤字に下方修正している。保険代理店事業における先行指標のアポイント取得数が下振れ、これに伴って新規保険面談数が減少しているもよう。また、資本増強施策等の実行に向けた検討を進めており、その関連費用も想定より増加するようだ。加えて、25年9月期末に予定していた株主優待も一時休止するとしている。 <ST> 2025/07/03 10:35 注目トピックス 日本株 英和:創業77年の独立系技術商社、DX・GXなど追い風に成長するPBR1倍割れの割安成長銘柄 *09:54JST 英和:創業77年の独立系技術商社、DX・GXなど追い風に成長するPBR1倍割れの割安成長銘柄 英和<9857>は独立系技術商社として78年の歴史を持ち、計測制御・産業機械を核にDX、GXなどの需要に対してソリューションを提供している。製造業の高度化や脱炭素化を支援する“現場起点の技術商社”である。同社事業は、工業用計測制御機器、産業機械、環境計測・分析機器、測定・検査機器の四本柱。工業用計測制御機器は売上高の46%を占めるが、定期的な更新需要があるため収益安定化に寄与している。近年は、DX化が追い風になり収益拡大を牽引している。産業機械は売上高の40%を占め、ポンプ、バルブ、道路インフラ向け特殊車両などがあり、定期的な更新需要も見込める。また、足元では造船業界向けバルブの需要が非常に強い。環境計測・分析機器は売上高の8%を占めるが、大気、水質、粉塵などの法令上の規制に伴う需要が旺盛。商品の定期メンテナンスが必要になるため、同社にとっても長期的な収益源となっている。測定・検査機器は売上高の4%と割合は小さいが、他の製品と比べて単価が高く、数千万円規模にもなる。同社は、単なる商材卸にとどまらず、現場密着の提案営業を行い、顧客課題を解決する「コト売り」によってクロスセリングや収益性の強化を図り、長年にわたり売上高および収益性の向上を成し遂げている。営業拠点は全国37拠点あり、いずれも顧客生産拠点に近く、柔軟な対応を行っているのが特長。次に、長年の業歴から幅広い業界と取引しており、ノウハウも豊富であるため、同社の総合的なソリューションは顧客から高い信頼を得ている。また、幅広い業界と取引を行うことで、業績の安定化につながっている。事業環境については、国内では設備の老朽化や人材不足を背景に自動化・省力化投資が続いている。また、カーボンニュートラルやBCP強化に向けた投資需要も堅調で、中長期での追い風が継続している。国土強靭化法に基づく上下水道、道路インフラ更新や災害対策需要も商機といえよう。加えて、足元ではサステナビリティの観点から製造現場の安全対策も継続しており、産業機械を中心に注力分野となっている。2025年3月期の業績について、売上高は前期比8.9%増の47,136百万円、営業利益は同19.8%増の2,786百万円、当期純利益は同17.2%増の1,954百万円となった。化学業界や電力業界において、更新需要や生産性向上に向けたDX需要を取り込んだ。加えて、産業用装置・重電設備業界、製造用機械・電気機器業界、建設・プラント業界向けの販売も堅調に推移している。また、生産設備の高稼働状況を背景に、造船業界向けの販売が好調であり、収益幅の拡大に寄与した。2026年3月期の見通しについて、売上高は前期比2.9%増の48,500百万円、営業利益は同2.6%増の2,860百万円、当期純利益は同0.3%増の1,960百万円としている。DX、GX、国土強靭化などに関連する投資需要は中長期テーマであり、同社業績は底堅く推移すると見込む。また、近年の右肩上がりの業績推移や同社の適切に分散された顧客ポートフォリオを鑑みるに、本見通しは保守的にも見える。米国による関税政策の間接的な影響については、不透明感があるものの、業績上振れ余地は相応にあると考える。同社は、前期に中期経営計画(FY24〜26)を前倒しで達成したことから、中計期間を2027年まで1年延長している。同時に、定量目標も見直しており、売上高50,000百万円、経常利益3,060百万円、ROE11%以上としている。重点施策は、DX、GX、国土強靭化、現場密着営業によるクロスセリングの推進である。「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた取り組みの中で、PBR(0.8倍程度で推移)に加え、認知度や株式の流動性・出来高が低く、時価総額も相まって機関投資家の投資対象になりにくいことを問題意識として挙げている。成長性の向上(M&Aを含む)や投資家との対話など、ステークホルダー・エンゲージメントの強化を今後の対応としている。株主還元については、事業展開を総合的に勘案したうえで、業績向上に伴う利益配当の増額を実施し、株主への利益還元の向上に努めることを基本方針としている。2026年3月期の年間配当予想は、1株当たり80円(配当性向25.8%、予想配当利回り3.60%)としている。同社を取り巻くマクロ環境は追い風であり、業績も右肩上がりが続いている。ROEは11%前後、実質無借金で財務健全性も高い。PBR0.8倍台は依然として割安であり、ROEの維持により市場評価の見直し余地があろう。今期の業績計画は保守的であり、業績拡大が確認できるにつれて株価も上昇していく可能性がある。 <HM> 2025/07/03 09:54 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(9時台)~JCRファーマ、Abalanceなどがランクイン *09:40JST 出来高変化率ランキング(9時台)~JCRファーマ、Abalanceなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月3日 9:32 現在](直近5日平均出来高比較)銘柄コード   銘柄名   出来高   5日平均出来高   出来高変化率   株価変化率<3843> フリービット    323200  5日平均出来高  174.65% -0.0197%<3856> Abalance  859200  91257.8  149.78% 0.1473%<5602> 栗本鉄       76400  150103.18  108.83% 0.0527%<5715> 古河機       295300  163092  108.63% 0.0619%<4594> ブライトパス    7842400  234430.6  104.2% 0.0217%<5563> 新日電工      541900  145063.44  36.23% 0.0161%<7694> いつも       1060800  95691.3  35.87% 0.1194%<2248> iF500H有   60543  430500.14  26.71% 0.0025%<7130> ヤマエGHD    91600  111566.173  22.64% 0.0198%<5805> SWCC      345900  153804.3  22.12% 0.0341%<6232> ACSL      1972100  2159425.2  19.98% -0.0404%<2630> MXS米株ヘ    6234  1792256.94  9.35% 0.0029%<5027> AnyMind   872000  81735.746  8.24% 0.0056%<7238> 曙ブレーキ     683200  406215.06  5.54% 0.0495%<7571> ヤマノHD     316100  63677.82  -1.35% -0.0112%<3698> CRI・MW    50800  27745.88  -4.54% -0.0086%<3920> アイビーシー    65300  82791.76  -6.66% -0.0254%<5851> リョービ      117800  60953.48  -8.91% 0.0452%<7709> クボテック     575800  311424.56  -9.22% -0.1316%<9386> 日コンセプト    202400  130478.54  -11.87% 0%<5411> JFE       2445800  607139.44  -12.51% 0.0379%<3355> クリヤマHD    31100  4714522.4  -14.21% 0.0027%<2743> ピクセル      776600  51009.54  -16.49% 0.012%<2753> あみやき      32100  71571.46  -17.59% -0.0134%<7595> アルゴグラフ    25700  57339.82  -18.02% -0.0077%<5955> ワイズHD     729700  155077.2  -18.99% -0.0128%<6740> JDI       83498700  77570.06  -20.08% 0.0526%<3150> グリムス      42200  2020121.8  -20.3% -0.0096%<4552> JCRファーマ   508500  123363.22  -21.6% 0.0377%<1547> 上場米国      15907  366089.74  -21.95% 0.001%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2025/07/03 09:40 注目トピックス 日本株 レーザーテック、キオクシアHD◆今日のフィスコ注目銘柄◆ *09:11JST レーザーテック、キオクシアHD◆今日のフィスコ注目銘柄◆ レーザーテック<6920>6月30日につけた20630円をピークに調整をみせていたが、昨日はボリンジャーバンドの+1σまでの調整を経て、買い戻されていた。2日の米国市場ではエヌビディアなど半導体株の一角が買われており、半導体関連の手掛かり材料になりそうである。6月27日時点の信用倍率は2.27倍と前週の3.29倍から取り組みは改善傾向にあるため、足もとのリバウンドで売り方の買い戻しの動きも意識されやすいだろう。キオクシアHD<285A>6月25日につけた2689円を戻り高値に調整を継続しているが、前日は25日線までの調整を経て切り返しており、リバウンド狙いのスタンスに向かわせそうである。一目均衡表では雲上限を割り込んだ後の切り返しで、雲を上回って終えている。遅行スパンは実線を上回っての推移で上方シグナルを継続。 <CS> 2025/07/03 09:11 注目トピックス 日本株 ADR日本株ランキング~ソフトバンクGなど全般やや売り優勢、シカゴは大阪比75円安の39715円~ *08:39JST ADR日本株ランキング~ソフトバンクGなど全般やや売り優勢、シカゴは大阪比75円安の39715円~ ADR(米国預託証券)の日本株は、対東証比較(1ドル143.58円換算)で、ゆうちょ銀行<7182>、ソフトバンクG<9984>、日本郵政<6178>、ダイキン工業<6367>、富士通<6702>、テルモ<4543>、三菱電機<6503>などが下落し、全般やや売り優勢。シカゴ日経225先物清算値は大阪日中比75円安の39715円。米国株式市場はまちまち。ダウ平均は10.52ドル安の44484.42ドル、ナスダックは190.24ポイント高の20393.13で取引を終了した。ADP雇用統計が予想外に減少したため、景気減速が警戒され寄り付き後、下落。その後、半導体のエヌビディア(NVDA)などの反発がけん引しナスダックは上昇に転じた。通商交渉進展やトランプ政権の大型減税成立期待にダウも下げ止まり。トランプ大統領がベトナムと関税政策を巡り合意に達したと明らかにすると、相場は一段高、ダウは下げ幅を縮小した。ナスダックやS&P500種指数は過去最高値を更新し終了。2日のニューヨーク外為市場でドル・円は144円20銭から143円49銭まで下落し、143円67銭で引けた。米6月ADP雇用統計が予想外に2年ぶりの減少となったため利下げ観測にドル売りが優勢となった。その後、英国債相場下落に連れ米国債相場が下落したため長期金利上昇に伴うドル買いが強まった。ユーロ・ドルは1.1747ドルの安値から1.1800ドルまで上昇し、1.1796ドルで引けた。NY原油先物8月限は大幅高(NYMEX原油8月限終値:67.45 ↑2.00)。■ADR上昇率上位銘柄(2日)銘柄コード 銘柄名 終値(ドル) 日本円換算価格 日本終値比 騰落率<9107> 川崎汽船   15.36ドル  2205円  (180円)   +8.89%<5020> ENEOS   10.69ドル  767円  (42.1円)   +5.81%<7259> アイシン精機   13.01ドル  1868円  (36円)   +1.97%<9983> ファーストリテ   33.8ドル  48530円  (510円)   +1.06%<6857> アドバンテスト   73.3ドル  10524円  (99円)   +0.95%■ADR下落率下位銘柄(2日)銘柄コード 銘柄名 終値(ドル) 日本円換算価格 日本終値比 騰落率<7182> ゆうちょ銀行   9.42ドル  1353円  (-232円)   -14.64%<9503> 関西電力   5.88ドル  1689円  (-75.5円)   -4.28%<2801> キッコーマン   17.5ドル  1256円  (-48.5円)   -3.72%<8113> ユニ・チャーム   3.61ドル  1037円  (-15円)   -1.43%<8601> 大和証券G本社   6.91ドル  992円  (-13円)   -1.29%■その他ADR銘柄(2日)銘柄コード 銘柄名 終値(ドル) 日本円換算価格 日本終値比<2914> 日本たばこ産業   14.68ドル  4216円  (-19円)<3382> セブン&アイ・HD   15.93ドル  2287円  (-11.5円)<4063> 信越化学工業   16.63ドル  4775円  (1円)<4502> 武田薬品工業   15.42ドル  4428円  (-10円)<4519> 中外製薬   24.68ドル  7087円  (-24円)<4543> テルモ   17.42ドル  2501円  (-17.5円)<4568> 第一三共   22.87ドル  3284円  (-14円)<4661> オリエンランド   22.63ドル  3249円  (-4円)<4901> 富士フイルム   10.57ドル  3035円  (-14円)<5108> ブリヂストン   20.83ドル  5982円  (-35円)<6098> リクルートHD   11.45ドル  8220円  (3円)<6146> ディスコ   28.6ドル  41064円  (134円)<6178> 日本郵政   9.32ドル  1338円  (-11円)<6201> 豊田自動織機   113ドル  16225円  (-60円)<6273> SMC   17.71ドル  50856円  (156円)<6301> 小松製作所   32.53ドル  4671円  (5円)<6367> ダイキン工業   12.17ドル  17474円  (-131円)<6501> 日立製作所   28.82ドル  4138円  (-10円)<6503> 三菱電機   42.62ドル  3060円  (-21円)<6594> 日本電産   4.76ドル  2734円  (25円)<6702> 富士通   23.49ドル  3373円  (-24円)<6723> ルネサス   6.38ドル  1832円  (17円)<6758> ソニー   25.71ドル  3691円  (15円)<6857> アドバンテスト   73.3ドル  10524円  (99円)<6902> デンソー   13.38ドル  1921円  (-7円)<6954> ファナック   13.38ドル  3842円  (-13円)<6981> 村田製作所   7.28ドル  2091円  (-10円)<7182> ゆうちょ銀行   9.42ドル  1353円  (-232円)<7203> トヨタ自動車   172.01ドル  2470円  (4.5円)<7267> 本田技研工業   29.68ドル  1420円  (-1.5円)<7741> HOYA   115.65ドル  16605円  (25円)<7751> キヤノン   28.68ドル  4118円  (-12円)<7974> 任天堂   22.82ドル  13106円  (106円)<8001> 伊藤忠商事   105.77ドル  7593円  (-12円)<8002> 丸紅   203.25ドル  2918円  (-3.5円)<8031> 三井物産   410.21ドル  2945円  (-12円)<8035> 東京エレク   92.85ドル  26663円  (78円)<8053> 住友商事   25.95ドル  3726円  (-5円)<8058> 三菱商事   20.22ドル  2903円  (-5円)<8306> 三菱UFJFG   13.79ドル  1980円  (6.5円)<8316> 三井住友FG   15.11ドル  3616円  (-4円)<8411> みずほFG   5.59ドル  4013円  (29円)<8591> オリックス   22.82ドル  3276円  (-12円)<8725> MS&ADインシHD   21.87ドル  3140円  (-13円)<8766> 東京海上HD   41.7ドル  5987円  (-36円)<8801> 三井不動産   29.7ドル  1421円  (-0.5円)<9432> NTT   26.96ドル  155円  (-0.5円)<9433> KDDI   17.34ドル  2490円  (-9.5円)<9983> ファーストリテ   33.8ドル  48530円  (510円)<9984> ソフトバンクG   36.93ドル  10605円  (-120円) <ST> 2025/07/03 08:39 注目トピックス 日本株 銘柄名<コード>2日終値⇒前日比__NEW_LINE__ フジクラ<5803> 7565 -315__NEW_LINE_ *07:32JST 銘柄名<コード>2日終値⇒前日比__NEW_LINE__ フジクラ<5803> 7565 -315__NEW_LINE_ 銘柄名<コード>2日終値⇒前日比フジクラ<5803> 7565 -3152日はデータセンター関連にも半導体株安が波及。IHI<7013> 15010 -7202日は半導体関連のほか防衛関連にも売り。リガク<268A> 755 -39半導体関連株安の流れが波及へ。バンナムHD<7832> 4796 -260ゲーム関連の一角が2日は弱い。GMOインターネット<4784> 1625 -87人気離散で16営業日続落に。イビデン<4062> 6167 -228半導体関連株として売り対象になる。三菱重工業<7011> 3504 -130主力の防衛関連株は揃って大幅安に。アドバンテスト<6857> 10425 -340米国ハイテク株下落に連れ安へ。DMG森精機<6141> 3220 -127防衛関連株安も逆風に戻り売り強まる。武蔵精密工業<7220> 3095 -1752日はデータセンター関連にも売りが向かう。ローツェ<6323> 1916 -73半導体製造装置関連の一角として売り向かう。東京電力HD<9501> 516.3 -11.7データセンター事業への本格参入伝わり1日にかけ上昇も。ソシオネクスト<6526> 2672 -72.5半導体関連株安に押される。ディスコ<6146> 40930 -1560主力の半導体関連一斉安に押される。アークランズ<9842> 1684 -57第1四半期2ケタ営業減益決算を嫌気。アイフリーク<3845> 109 +3たんなる超低位株の循環物色。ETSグループ<253A> 782 +60データセンター関連の一角として関心か。エス・サイエンス<5721> 155 -80仕手化の反動安続く。クボテック<7709> 243 -80高値もみ合い下放れで見切り売り、6月上昇理由もよくわからず。プラコー<6347> 244 -80何も材料ないまま急騰した反動。フジタコーポ<3370> 470 -100さすがにここまで買われ過ぎ。IMV<7760> 1727 -171防衛関連株安の流れも影響。モンスターラボ<5255> 182 -1825年12月期第2四半期に債務超過を解消する見込みと発表。上昇して始まるが買い続かず。ブルーイノベ<5597> 1638 -73台湾のドローンメーカAeroprobing社とドローンを活用したソリューションの海外販売に関する覚書(MOU)。買い先行するが失速。CANBAS<4575> 1014 -54引き続き米Stemline社とのライセンス契約を解消を嫌気。ノイルイミューン<4893> 179 +15令和7年度やまぐち再生医療等実用化・産業化推進補助金事業に採択。トライアル<141A> 2358 -3西友の株式取得完了。26年6月期第1四半期から連結に組み入れ。インテグループ<192A> 2349 +11営業利益が前期49.5%減・今期0.1%増予想と発表し1日急落。2日は押し目買いも。ナイル<5618> 570 -511日まで3日連続ストップ高。2日上伸するが失速。テラドローン<278A> 4950 -220オランダのドローン代理店と販売契約。上昇して始まるが買い続かず。アイリッジ<3917> 514 -13約9億円の関係株式売却益(特別利益)を計上見込みと発表し1日買われる。2日は人気離散。いつも<7694> 670 +100「TikTok Shop」出店支援サービスを提供。 <CS> 2025/07/03 07:32 注目トピックス 日本株 前日に動いた銘柄 part1日本コンセプト、三井海洋開発、霞ヶ関キャピタルなど *07:15JST 前日に動いた銘柄 part1日本コンセプト、三井海洋開発、霞ヶ関キャピタルなど 銘柄名<コード>2日終値⇒前日比タマホーム<1419> 3440 +14525年5月期営業利益と純利益予想上方修正。売上高と経常利益予想は下方修正。シーラHD<8887> 339 +181回限りの株主優待を実施すると発表。HKS<7219> 2090 +83株主優待制度の変更を発表。TOTO<5332> 3808 +126社長インタビュー報道を材料視。Syns<290A> 1100 +90ヒューリック<3003>が株式の9.95%を保有。ソフトマックス<3671> 400 +80引き続きソフトバンクなどとの医療分野における生成AI技術の社会実装検討が手掛かり。日本コンセプト<9386> 3045 +314TOB価格3060円にサヤ寄せの動きが続く。エアトリ<6191> 864 +29業績上方修正で減益幅縮小見通しへ。SBSHD<2384> 3195 +196ブリヂストン物流の子会社化を引き続き材料視。三井海洋開発<6269> 6550 +280レアアース関連として関心が続く格好か。宮越HD<6620> 1214 +38深センプロジェクトへの期待が続く。象印マホービン<7965> 1762 +125業績上方修正や増配・自社株買いを引き続き評価。フューチャー<4722> 2310 +175大和証券では投資判断を格上げ。鎌倉新書<6184> 570 +25高値圏で2日は買い戻しが優勢か。オリエントコーポレーション<8585> 1047 +71アクティビストの大量保有を材料視。霞ヶ関キャピタル<3498> 14590 +590SMBC日興証券では新規に買い推奨。円谷フィHD<2767> 2042 +17「大怪獣シリーズ」新商品を10日から予約開始と。共立メンテナンス<9616> 3542 +90モルガン・スタンレーMUFG証券では投資判断格上げ。ルネサスエレクトロニクス<6723> 1815 +43GaNパワー半導体の新製品量産を開始とは発表している。イオンフィナンシャルサービス<8570> 1382.5 +50.5オリコの株価急伸が刺激にも。日本駐車場開発<2353> 266 +5自社株買いなどをあらためて買い材料視も。住友不動産<8830> 5659 +148大和証券では目標株価を引き上げ。フジHD<4676> 3691 +234CM放送再開の動きなど強まり始めており。gumi<3903> 590 -616月の真空地帯で下げ幅広げる。コナミグループ<9766> 21115 -1555上昇続いたゲームソフト株の一角に利食い集まる。芝浦メカトロニクス<6590> 10520 -520半導体関連株に2日は売りが集まる。千葉興業銀行<8337> 1418 -75過度な再編プレミアム期待なども後退か。TOWA<6315> 1929 -115半導体株安で利食い売りが優勢となり。日東紡績<3110> 5640 -440半導体・データセンター関連株安で。川崎重工業<7012> 10460 -550防衛力強化「日本が判断」との外相発言などマイナス視か。日本マイクロニクス<6871> 5280 -330半導体関連安で利食い売り強まる。カプコン<9697> 4611 -2945000円大台到達による達成感も強まり。KLab<3656> 112 -9直近ではマッコーリー・バンクの保有比率が低下。 <CS> 2025/07/03 07:15 注目トピックス 日本株 セグエグループ---子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併) *19:28JST セグエグループ---子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併) セグエグループ<3968>は24日、子会社であるジェイズ・ソリューションを吸収合併すると発表した。効力発生日は2025年8月1日を予定しており、セグエグループを存続会社とする吸収合併方式で実施される。同社は従来からグループ内の事業再編による最適化を進めてきている。ジェイズ・ソリューションは、インフラ・セキュリティ製品の販売およびレンタル、ネットワーク・セキュリティサービスやクラウドサービスの提供を行ってきたが、事業内容が重複するためグループ内の事業会社に事業の移管を順次進めてきた。今回の吸収合併はこの一環であり、同社グループ内における重複機能の整理と経営資源の集約を通じて、効率的な事業運営を図ることを目的としている。新株式の発行や金銭等の交付は行われず、合併後はジェイズ・ソリューションが解散する予定である。 <ST> 2025/07/02 19:28 注目トピックス 日本株 ADワークスグループ---不動産小口化商品「ARISTO」2030年年間販売総額600億円へ *19:08JST ADワークスグループ---不動産小口化商品「ARISTO」2030年年間販売総額600億円へ ADワークスグループ<2982>は1日、不動産小口化商品「ARISTO」シリーズの2030年における年間販売総額目標を600億円とする計画を明らかにした。マーケットの成長に伴い、事業戦略上の柱としてARISTOブランドの強化とシェア拡大を図る方針を示している。不動産小口化事業は、マーケットの成長として、相続資産の拡大と不動産小口化市場の可能性、今後「相続資産額増加」「認知向上」に起因して、拡大見込である。また、同社が選ばれる理由として、20年以上の実績のある一棟収益不動産専門会社であり、高い物件仕入れ力による安定的かつ良質な商品供給の実現と、賃貸管理会社との高度な連携により、模倣困難なオペレーションの構築ならびに良好な運用実績、東証プライム上場企業という安心感を挙げている。 <AK> 2025/07/02 19:08 注目トピックス 日本株 ナガイレーベン---3Qも増収、創業110周年記念配当の実施を発表 *18:45JST ナガイレーベン---3Qも増収、創業110周年記念配当の実施を発表 ナガイレーベン<7447>は27日、2025年8月期第3四半期(24年9月-25年5月)連結決算を発表した。売上高が前年同期比5.7%増の133.66億円、営業利益が同6.9%減の29.15億円、経常利益が同5.9%減の29.95億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同5.9%減の20.66億円となった。メディカルウェアは消耗品かつ実用品であることから、更新が遅れていた案件の発生により市場は回復傾向を示した。これにより、当第3四半期累計期間における同社グループの売上高は増収となった。主力のコア市場では、前期からの期ズレ案件が高機能商品を中心に順次更新され、予定していた大口案件も順調に納入が進んだことにより、前年同期比で5.1%の増収を達成した。周辺市場においては、高付加価値商品の拡販が進んだ患者ウェアが11.1%の増収となり、さらに手術市場でも新規案件の獲得が進展した結果、8.3%の増収となった。一方、海外市場では、予定していた大口案件の納入が第4四半期にずれ込んだ影響に加え、売上規模が小さいこともあり、前年同期比で11.6%の減収となった。利益に関する状況としては、海外生産比率の上昇によるシフト効果にてコスト削減を図ったが、原材料費の価格改定、国内人件費の増加、円安水準での為替レートおよび、海外工場移転による一過性の物流費増加等により、当第3四半期累計期間の売上総利益率は、前年同期比3.6ポイント減となり、39.6%となった。販売費及び一般管理費においては、賃金引き上げや採用活動の強化等による人件費の増加等により、前年同期比1.9%増となった。2025年8月期通期の連結業績予想については、売上高が前期比6.6%増の175.00億円、営業利益が同1.9%増の40.82億円、経常利益が同2.5%増の41.75億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.2%増の28.83億円とする期初計画を据え置いている。また、2025年8月期の期末配当金について、1株当たり60.00円の期末配当に、1株当たり40.00円の創業110周年記念配当を加え、合計100.00円の配当を実施することを発表した。 <NH> 2025/07/02 18:45 注目トピックス 日本株 ナガイレーベン---配当予想の修正(創業110周年記念配当) *17:48JST ナガイレーベン---配当予想の修正(創業110周年記念配当) ナガイレーベン<7447>は27日、2025年8月期の期末配当予想を修正し、1株あたり60円の普通配当に加え、創業110周年を記念して40円の記念配当を実施することを発表した。これにより、年間配当は前期比および前回予想比で40円増の1株あたり100円となる。同社は、大正4年に永井商店として創業し、2025年に創業110周年を迎える。これを機に、株主への感謝の意を込めて記念配当を実施する。なお、本件は2025年11月開催予定の定時株主総会に付議される予定である。 <NH> 2025/07/02 17:48 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(10):収益拡大により2026年3月期は大幅増配を予定、株主優待制度も継続 *17:10JST クオールHD Research Memo(10):収益拡大により2026年3月期は大幅増配を予定、株主優待制度も継続 ■クオールホールディングス<3034>の株主還元方針株主還元については、将来の事業展開や経営基盤強化のための内部留保の確保を考慮しつつ、株主への安定した利益還元を継続していくことを基本方針としており、配当額については公約配当性向などの基準は特に設けていないが減配は行わず累進配当を継続する意向だ。こうした基本方針を踏まえて、2025年3月期の1株当たり配当金については、前期比4.0円増配の34.0円(配当性向24.6%)を実施した。2026年3月期は収益拡大を見込んでいることから前期比12.0円増配の46.0円(同24.6%)とする予定だ。また、株主優待制度も導入している。100株単元株主の例で見ると、毎年3月末の株主を対象に1年未満の保有なら3,000円相当、1年以上の保有なら5,000円相当のカタログギフトを贈呈している。5月29日の終値(1,933円)で、配当金と株主優待を合わせた単元当たり投資利回りを計算すると、1年未満保有で3.9%、1年以上保有で5.0%となる。そのほか、機動的な資本政策の遂行を図るため、自己株式の取得についても必要であれば適宜検討していく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:10 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(9):第一三共エスファは2028年3月期に営業利益で前期比2倍増を目指す *17:09JST クオールHD Research Memo(9):第一三共エスファは2028年3月期に営業利益で前期比2倍増を目指す ■クオールホールディングス<3034>の今後の見通し2. 事業別成長戦略(1) 薬局事業薬局事業の成長戦略として、「戦略的出店による規模の拡大」「医療DXの推進」「調剤報酬以外の収益拡大」「高付加価値な薬局サービス」の4点に取り組み、持続的な成長を目指す。a) 戦略的出店による規模の拡大店舗数については自社出店で年間10~20店舗を行い、M&Aにより年間20~30店舗を獲得することで拡大を続ける。出店ターゲットは3大都市圏を中心に人口の多いエリアで、ドミナント出店による効率的な店舗数拡大と高収益が期待できる店舗の開発を進める。M&Aについても同様で、主要都市部において地域連携を取りやすいところを対象に進める方針だ。前期末で948店舗だったので、2026年内には1,000店舗に到達する見通し。調剤薬局数は2023年度末で約6.2万店と緩やかながら増加傾向にあるが、ここ数年はドラッグストアの出店拡大により競争が激化するなかで、大手企業によるM&Aが進む格好となっている。直近では2025年5月にアインホールディングス<9627>が、国内で約800店舗を展開する「さくら薬局グループ」の買収を発表するなど大型M&A案件も出始めており、今後も大手企業の寡占化が進むことが予想される。このため市場規模が今後も頭打ちの状況で推移したとしても店舗数の拡大によって持続的な成長は可能と弊社では考えている。なお、M&Aの基準について、同社は売上規模やシナジー効果の有無、投資回収期間など、社内で厳格な基準を定めて可否を判断している。b) 医療DXの推進(オンラインサービスの拡充)医療DXの推進について、同社は店舗運営のDX化による生産性向上とオンラインサービスの拡充による顧客獲得の両面で進めている。オンラインサービスに関してはオンライン専門薬局「クオールどこでも薬局」の増設を検討しているほか、オンライン服薬指導の規制緩和※に備えて協業先であるローソンとの連携を進める。コンビニ内に設置されたオンラインブースから遠隔地の薬剤師とオンライン通話し、服薬指導を受けることで店舗内にて一般用医薬品(市販薬)の販売が可能となる。※ 医薬品医療機器法(薬機法)改正法案が2025年の通常国会で通過し、2年以内に施行される。c) 調剤報酬以外の収益拡大調剤報酬以外の収益拡大施策として、健康・未病領域での新規事業を育成する。現在、サントリーウエルネス(株)など食品メーカーと共同で健康食品等の開発販売を行っており、規模は小さいながらも2025年3月期は前期比で50%成長となった。健康食品市場は健康意識の高まりや超高齢化社会が進む中で安定成長が見込まれており、同社も同事業に注力することで収益拡大につなげていく。d) 高付加価値な薬局サービス高度な薬剤師教育をもとに、医薬品のスペシャリストとして需要が旺盛な在宅調剤事サービスの取り組みを強化する。大手介護施設運営事業者との連携により介護施設向けの開拓に注力している。在宅調剤の実績は地域のかかりつけ薬局としての評価ポイントにもなっており、同取り組みを推進することで技術料の加算点も引き上げていく。(2) BPO事業BPO事業では、各子会社のオーガニック成長により年率2ケタ成長を目指すほか、シナジーが見込める周辺領域のM&Aも進める。アポプラスステーションでは、CSO事業においてオンコロジーなどスペシャリティ領域のMR人材の育成に注力し、将来的にCMR数1,000名体制を目指す。また、CRO事業は大手食品メーカーからの受託試験を中心に伸ばしていく。アポプラスキャリアでは、薬剤師だけでなく医療事務や産業医、医師、看護師など医療職種を拡大することで取引先を広げるほか、医師・看護師のスポットバイトのマッチングサービスを提供する子会社のオンコールとも協業しながら多様なニーズに対応し高成長を目指す。(3) 製薬事業第一三共エスファの3ヶ年目標として、2028年3月期に売上高1,000億円(前期比1.3倍増)、営業利益110億円(同2倍増)を掲げている。2023年3月期業績が売上高で787億円、営業利益で128億円、営業利益率16.3%の水準だったことから、達成可能な目標値であると弊社では考えている。今後も毎年2~4品目のAG製品を発売し、既存製品も含めてグループの調剤薬局での取扱いを増やすことで売上成長は可能と見られる。利益率の改善施策として、原価面では製品ごとの価格政策見直しや卸政策・流通経費の見直しに着手しており、経費面でもゼロベースで見直す方針を打ち出していることから、早ければ2026年3月期からその効果が顕在化するものと予想される。今後想定されるグループシナジーの1つとして、同社の調剤薬局を通じて患者や薬剤師、医師などの声を反映した製品開発が可能になる点が挙げられる。同取り組みを推進することで、先発品や競合する後発医薬品よりも利便性の高い製品を開発でき、高いシェアを獲得できる可能性が高まり、これらをグループの薬局で販売し収益を拡大していくことができれば理想と言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:09 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(8):2026年3月期は3事業すべて増収増益を目指す *17:08JST クオールHD Research Memo(8):2026年3月期は3事業すべて増収増益を目指す ■クオールホールディングス<3034>の今後の見通し1. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績は売上高で前期比6.1%増の280,000百万円、営業利益で同15.1%増の15,500百万円、経常利益で同12.8%増の15,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同35.5%増の7,000百万円を計画している。グループシナジーを高めながらゼロベースでの経費見直しを行い、3事業すべてで増収増益、利益率の向上を目指す。特に、第一三共エスファを中心とする製薬事業と全国に900店舗を超えるネットワークを構築している薬局事業とのシナジーを創出する考えだ。製薬企業と薬局の間には医薬品卸が入っているが、現状はそれぞれ取引先が異なっており、流通面でのシナジーは活かせていない。ここにメスを入れることができれば、前期まで両事業でそれぞれ抱えていた経営課題も解消し、収益性向上につながるものと期待される。2025年4月に同社は第一三共エスファの株式を追加取得し、出資比率を51%から80%に引き上げた(取得額72.5億円は手元キャッシュから拠出)。経営面でのグリップを今まで以上に強化することで、こうしたグループシナジーを早期に創出する考えだ。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が経常利益よりも高くなるのは、前期に計上した特別損失が無くなることや、第一三共エスファの出資比率引き上げにより非支配株主に帰属する当期純利益が減少することによる。(1) 薬局事業薬局事業の売上高は前期比3%増の1,772億円、営業利益は同14%増の114億円(経営管理料控除前ベース)を見込む。出店計画は、自社出店とM&Aにより合わせて35~50店舗を見込んでいる。また、処方箋枚数は前期比3%増、処方箋単価は薬価改定によるマイナス影響(平均3%程度の下落を想定)を技術料単価の上昇でカバーし、ほぼ横ばい水準を想定している。技術料単価については、2024年6月から新設された医療DX推進体制整備加算や同年10月より導入された選定療養制度によるGE医薬品調剤体制加算の底上げ効果が通年で寄与すること、大手介護施設事業者との連携による在宅調剤の推進などが上昇要因となる。このため、売上高は蓋然性の高い見通しになっていると弊社では見ている。利益面では、仕入環境の厳しさが続くものの、増収効果に加えて店舗の生産性向上と経費の抑制に取り組むことで増益を見込む。店舗の生産性向上に関しては、2年前から段階的に導入を進めている新型電子薬歴システムが大半の店舗で導入された効果が出てくると見ている。新型システムでは、薬歴等の自動入力や患者のフォローアップ機能があり、生産性向上や顧客サービスの向上によるリピート率アップといった効果が期待されている。また、現在は店舗スタッフが入力している処方箋情報を遠隔地の入力センターにオンラインで送信しリモート入力する「入力サポートプロジェクト」を拡大し、医療スタッフの効率化を進める。ローソン内店舗で5年前から行っていた取り組みを、2026年3月期から一般店舗にも広げていく。電子処方箋やオンライン服薬指導の普及が進む中で、ICT活用による生産性向上の取り組みを強化する方針だ。そのほか、クオールおくすり便(LINE処方箋送信&オンライン服薬指導)やクオールどこでも薬局(オンライン専門薬局)などICTを活用したサービスを展開することで、顧客数の拡大(処方箋枚数の増加)につなげていく。クオールどこでも薬局については2024年に出店した1号店の処方箋受付枚数が月3~4千枚と大型店舗並みの規模になっていることから、店舗の増設を検討していく。(2) BPO事業BPO事業の売上高は前期比の17%増の174億円(内部取引高含む)、営業利益は同35%増の23億円と2ケタ成長を見込む。CSO事業については需要が旺盛なオンコロジー分野を中心にCMRの採用・育成を強化することで増収増益を目指す。CMR数については前期末の約650名に対して2年内に約750名まで増員することを目標としている。また、新たな取り組みとして、パートナー企業と共同で異職種の人材をMR人材として育成するビジネスも開始する。CRO事業では先進的IT技術を持つ企業とのアライアンスやM&Aを行うことで差別化を図り、食品分野における新規顧客・領域の開拓を進める。医療系人材紹介派遣事業では、育成カリキュラムを仕組み化し、人材のスキルアップに注力することで競合他社との差別化を図るほか、短期間のスポット派遣の需要も掘り起こしながら2ケタ増収増益を目指す。(3) 製薬事業製薬事業の売上高は前期比11%増の873億円、営業利益は23%増の65億円を見込んでいる。このうち第一三共エスファについては、薬価引き下げの影響があるものの、前期に発売した新製品や2026年3月期に発売予定の新製品(2~3製品)の寄与により2ケタ増収を見込んでいる。利益面では、原価低減施策として原材料コストの上昇によって不採算となった製品の整理を進めるほか、医薬品卸政策や流通経費を見直していく。また、システム統合費用等の独立化コストの最適化を図るほか、すべての経費をゼロベースで見直し収益性の回復を目指す考えだ。一方、藤永製薬は体外診断キットの拡大や不採算製品の薬価再算定に伴う利益改善が見込まれており、今後も経営の安定化と持続的成長に向けた成長基盤の構築に取り組んでいく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:08 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(7):薬局事業は増収を維持、BPO事業は医療系人材紹介派遣事業が好調(2) *17:07JST クオールHD Research Memo(7):薬局事業は増収を維持、BPO事業は医療系人材紹介派遣事業が好調(2) ■クオールホールディングス<3034>の業績動向改定の主なポイントとしては、医療従事者の賃上げに対応する形で調剤基本料が3点引き上げられたほか、医療DX推進体制整備加算(マイナンバーカード利用実績や電子処方箋応需体制の整備)4点が新設された。また、新興感染症対策や災害発生時の医薬品供給など、医療機関との連携体制整備に係る連携強化加算についても、従来の2点から5点に引き上げられ、逆に地域支援体制加算が7点引き下げられた。今回の改正では在宅調剤など、地域のかかりつけ薬局としての機能をさらに強化することが求められ、要件項目についても新規項目が追加されるなど細分化されている。2025年3月期の技術料単価が上昇した要因としては、調剤基本料の引き上げのほか、GE医薬品調剤体制加算が選定療養制度の導入により最高点となる30点取得店舗の比率が大幅上昇したこと(2024年3月の48.4%から9月は54.3%、2025年3月は82.6%に上昇)、医療DX推進体制整備加算や連携強化加算の取得店舗数が増加したことなどが挙げられる。なお、地域支援体制加算については一律7点の減算に対して、在宅調剤やかかりつけ機能の強化など点数取得の取り組みを推進したことで2025年3月末時点の1店舗当たり平均取得点数は前年同期並みの水準まで回復している。(2) BPO事業BPO事業のうち、主力のCSO事業は製薬企業からのCMRの引き合いが旺盛で派遣数が増加したことで増収となったが、採用・教育コストも増加した。CMR数については前期末の約620名から約650名と順調に増加している。一方、CRO事業については食品試験を中心に受注が増加した。医療系人材紹介派遣事業は、人手不足を背景に薬剤師の紹介派遣が伸張したほか、ドラッグストア向け登録販売者の紹介派遣も好調に推移した。2024年4月以降、営業フローの分業化※に取り組んだ成果が出ているようで、特に紹介案件が増加したことにより利益率が上昇した。※ 営業フローの分業化の主な内容としては、各事業拠点で求人サイトの運営を行いリアルタイムで新規案件の入力などをできるようにするなど、業務分担を細かく見直し整理した。(3) 製薬事業第一三共エスファの業績は売上高で770億円、営業利益で56億円(のれん償却9.1億円控除前)となった。前期の業績と比較して売上高は57億円の増収となったものの、営業利益は8億円の減益となった。売上高は2024年6月に発売したGE医薬品「ゾニサミドOD錠(先発品名 トレリーフ(R)OD錠)」や同年12月に発売した3つのAG製品※が寄与し増収となった。なかでも血栓塞栓症治療薬の「リバーロキサバン錠(先発品名 イグザレルト(R)錠)」及び「リバーロキサバンOD錠(先発品名 イグザレルト(R)OD錠)」は、複数の後発医薬品が発売されたなかでもAG製品としての信頼性の高さや、適応範囲が他の後発医薬品より広かったことが評価されトップシェアを獲得、増収に大きく貢献した。ただ、利益面では薬価改定による既存品の原価率悪化やPMIコストの増加が響いて減益となった。※ 「リバーロキサバン錠(先発品名 イグザレルト(R)錠)」、「ロキソプロフェンNaテープ(先発品名 ロキソニン(R)テープ)」、「ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠(先発品名 プラケニル(R)錠)」を発売した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:07 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(6):薬局事業は増収を維持、BPO事業は医療系人材紹介派遣事業が好調(1) *17:06JST クオールHD Research Memo(6):薬局事業は増収を維持、BPO事業は医療系人材紹介派遣事業が好調(1) ■クオールホールディングス<3034>の業績動向2. 事業セグメント別の動向(1) 薬局事業a) 出退店とM&Aの状況2025年3月末の店舗数は948店舗となり、前期末比28店舗増となった。自社出店(売店を除く)で18店舗、M&Aによる取得で26店舗、売店1店舗の合計45店舗を出店し、17店舗を退店した。2024年11月にKDDI<9433>との協業による同社初のオンライン専門薬局「クオールどこでも薬局」(埼玉県川越市)を出店し、順調に稼働している。また、M&Aでは山梨県内に18店舗展開する(有)ダイナを子会社化し、同県へ初進出を果たしたほか、JR山手線沿線に店舗を展開し、365日開局など利便性の高い薬局を運営する(株)行徳ファーマシー及び(株)ボトムハートを子会社化した。b) 調剤売上高の状況薬局事業の売上高は、調剤薬局の調剤売上高と売店やECなどの商品売上高で構成される。2025年3月期の売上内訳を見ると、調剤売上高が前期比3.9%増の159,434百万円、その他売上高が同4.6%増の12,207百万円といずれも増収となった。調剤売上高の内訳を出店期・タイプ別で見ると、自社出店店舗のうち既存店が同2.8%増の50,641百万円、新店(売店を除く)が同30.7%増の1,327百万円となり、M&Aなどで取得した店舗が既存店、新店合わせて同4.2%増の107,465百万円となった。調剤売上高を処方箋応需枚数と処方箋単価に分解すると、処方箋応需枚数は前期比3.6%増の17,067千枚、処方箋単価は同0.3%増の9,342円となった。これらも出店期やM&Aなどの影響を受けているため、以下ではそれぞれについてもう少し詳細に見る。処方箋応需枚数の実態に近いと考えられる既存店の増減率は前期比1.8%増となった。在宅・施設調剤の取り組みを推進したことが増加要因である。また、M&Aなどによる店舗の応需枚数も同3.9%増となったが、M&Aによる新規取得店舗数が前期の17店舗から26店舗に増加し、店舗数の増加分が既存店伸び率との差異要因になったと考えられる。処方箋単価は全体で前期比0.3%増となった。このうち既存店は同1.0%増となり、M&A店舗が同0.3%増となった。薬剤料単価は薬価改定の影響で若干低下したものの、2024年6月に実施された調剤報酬改定や同年10月に導入された選定療養制度※により、技術料単価が上昇した。※ 患者が、後発品のある医薬品に関して先発医薬品を選択する場合に、後発品との価格差分の1/4相当を自己負担する制度。後発医薬品の利用促進を目的に導入された。店舗の付加価値分に相当する調剤技術料に関しては、定められた基準の達成度に応じて点数が加算される仕組みで、主に調剤基本料(応需枚数や特定医療機関への集中率などで分類)、GE医薬品調剤体制加算(GE医薬品の取扱比率で分類)、地域支援体制加算(在宅調剤など地域医療への貢献体制によって分類)がある。なかでも、GE医薬品調剤体制加算や地域支援体制加算については各薬局の取り組み状況で点数が変わる差別化ポイントとなる。調剤報酬改定は隔年で実施され、今回は2024年6月に改定された。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:06 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(5):2025年3月期はM&A効果で売上高、営業・経常利益で過去最高を更新 *17:05JST クオールHD Research Memo(5):2025年3月期はM&A効果で売上高、営業・経常利益で過去最高を更新 ■クオールホールディングス<3034>の業績動向1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比46.6%増の263,972百万円、営業利益で同61.8%増の13,465百万円、経常利益で同49.4%増の13,831百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.8%増の5,164百万円となり、売上高、営業利益、経常利益で過去最高を大きく更新した。第一三共エスファの連結子会社化により製薬事業の業績が大きく伸張したことが要因だ。ただ、特別損失や第一三共エスファの株式段階取得に係る差損を計上したこと、また、非支配株主に帰属する当期純利益2,312百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は微増益にとどまった。また、会社計画比では売上高がおおむね計画どおりとなったものの、薬局事業や製薬事業の下振れにより、営業利益で10.2%、経常利益で9.0%下回った。事業セグメント別の業績を見ると、薬局事業は売上高で前期比4.0%増の171,641百万円、営業利益で同6.5%減の10,028百万円となり、営業利益率は同0.7ポイント低下の5.8%となった。売上高は、M&Aも含めた新規出店効果などによる処方箋枚数の増加と処方箋単価の上昇により増収となった。ただ、仕入コストや人件費などの店舗運営コストの増加を増収効果で吸収しきれず減益となった。仕入環境については、後発医薬品の供給不足が続いていることや、外資系製薬企業を中心に医薬品の卸先を1品目1社に絞る傾向のなかで、医薬品卸会社との価格交渉において厳しい状況が続いたものと見られる。一方、BPO事業は売上高で前期比2.0%増の13,603百万円、営業利益で同10.1%増の1,706百万円となった。売上高が伸び悩んだように見えるが、CSO事業の顧客先であった第一三共エスファを子会社化したことで、内部売上高が前期の397百万円から1,271百万円に増加したことが一因だ。内部取引高も含めた増収率は8.4%増であった。CSO事業が堅調に推移したほか、医療人材紹介派遣事業も薬剤師紹介派遣を中心に好調に推移した。特に、紹介案件が伸張し利益率の上昇要因となった。製薬事業は第一三共エスファの連結子会社化により売上高で78,726百万円(前期は1,621百万円)、営業利益で5,272百万円(同412百万円の損失)となった。ただ、薬価改定による既存品の原価率悪化や新製品の販売好調等による販売経費の増加により、期初計画に対して未達となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:05 注目トピックス 日本株 クオールHD Research Memo(4):CMR派遣や薬剤師紹介派遣の業界シェアはトップクラス *17:04JST クオールHD Research Memo(4):CMR派遣や薬剤師紹介派遣の業界シェアはトップクラス ■クオールホールディングス<3034>の会社概要3. BPO事業BPO事業には、主にアポプラスステーションで展開するCSO事業(CMR派遣)やCRO※事業(治験支援サービス)、アポプラスキャリアで展開する医療系人材(薬剤師、登録販売者、保健師、看護師等)の紹介派遣事業、メディカルクオール(株)で展開する医療系出版事業が含まれる。2025年3月期の売上構成比はCSO/CRO事業が7割、医療系人材紹介派遣事業が2割強、医療系出版事業が1割弱となっている。※ CROとはContract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略で、臨床試験等の支援業務等を指す。(1) CSO事業及びCRO事業CSO事業とは、MRを採用・育成し、契約先の製薬企業に対して派遣する事業である。MRとは、販売する薬についての知識や情報を医師や薬剤師などに提供する営業担当者を指す。ここ数年、製薬企業では新薬の開発対象を顧客ターゲット(医療施設や医師)の多いプライマリー薬(生活習慣病治療薬等)から、顧客ターゲットが限定されるスペシャリティ薬(抗がん剤等)にシフトしており、自社で抱えるMR人材を削減しCMRに切り替える動きが広がりつつある。実際、(公財)MR認定センターが発行している「2024年版MR白書」によれば、2023年度末のMR数は46,719人(前年度末比6.0%減)と10年連続で減少している。CMR数については4,353人(同1.3%減)と微減となったものの、2017年度末の3,667人と比較すれば緩やかながらも増加トレンドとなっている。こうしたなか、同社は採用力と教育力を強みにCMR人材の増員を進めており、2025年3月末時点でCMR数が約650名と業界シェアで14%程度、取引先企業数で50~60社と業界トップクラスとなっている。一方、CRO事業では医療用医薬品、OTC薬品、機能性食品、ヘルスケア商品などの領域において、治験・臨床研究に関して企画からパブリケーションまでトータルソリューションを提供している。同社は食品分野での治験に強みを持つほか、医薬品分野では皮膚科、眼科領域で実績がある。(2) 医療系人材紹介派遣事業医療系人材紹介派遣事業では、薬剤師や保健師、登録販売者などの紹介派遣を行っているが、なかでも薬剤師の紹介派遣が主になっている。薬剤師の派遣者数ランキングでは業界トップ10に入っており、また、保健師についても同様にトップ3に入る実績を持つ。そのほかアポプラスキャリアでは、薬局の事業承継・経営支援サービスや企業向けに健康経営コンサルティングサービスなども提供している。第一三共エスファはAG製品を主力とする後発医薬品のファブレス企業大手4. 製薬事業製薬事業は、藤永製薬と第一三共エスファの2社で構成されるが、大半は第一三共エスファで占められる。第一三共エスファは、第一三共が後発医薬品市場への参入を目的に2010年に設立した企画と販売に特化したファブレスメーカーで、後発医薬品で国内第3位の売上規模を誇り、AG製品では2022年度で約26%とトップ企業である。売上高の約75%がAG製品で占められ、第一三共以外にも複数の製薬企業とAG製品の開発販売権許諾契約を結び製品化しており、2025年3月末時点で22製品を販売している。生産委託先は国内の製薬企業である。藤永製薬は1941年設立(創業は1924年2月)の製薬企業で、精神科・皮膚科を主な事業領域とし、製造品目としては抗てんかん薬のフェノバールやヒダントール(いずれも先発薬)、睡眠障害やうつ病などを適応症とした炭酸リチウム「フジナガ」(後発医薬品)などがある。また、2022年12月より対外診断用医薬品としてSARSコロナウイルス抗原検査キット「テガルナ(R)スティックSARS-CoV-2 Ag」を製造販売している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <HN> 2025/07/02 17:04

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