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Jストリーム Research Memo(5):中長期成長が期待される動画配信市場
配信日時:2025/12/03 11:05
配信元:FISCO
*11:05JST Jストリーム Research Memo(5):中長期成長が期待される動画配信市場
■市場環境と強み
1. 市場環境
動画配信市場と言っても、Jストリーム<4308>のような様々な動画配信にトータルで対応できる専業企業はほとんどない。しかし、部分的に類似する企業として、動画共有・配信プラットフォームでは米Brightcove Incや米Vimeo Inc、CDN事業者では米Akamai Technologies, Inc.やAmazon CloudFrontを提供する米Amazon.com Inc.といったグローバルな巨大企業が挙げられる。副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども一部同社と類似した事業を行っているほか、医薬領域のWeb講演会に限ると木村情報技術(株)やエムスリーデジタルコミュニケーションズ(株)といった企業と重なる。なお、近年の円安傾向から、外資系は国内での価格競争力を失いつつあるようだ。
一方、スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになり、Wi-Fi環境の整備や5Gの普及もあって、インターネット動画の視聴環境は年々強化されており、子供から高齢者までどの世代もインターネットで動画を視聴するようになった。また、動画配信の環境も、SNSや社内ポータルなどでの動画利用の増加、動画利用による販促や費用削減の効果に対する認知度向上などにより一層充実している。コロナ禍をきっかけに急速に拡大した反動から短期的に調整期を迎えたが、利便性や利用価値の高さから、動画配信市場は中長期的に伸びていくと予測されている。こうした市場でパイオニアかつ専業として長年蓄積してきたノウハウを持ち、常に先端技術を取り入れている同社も、踊り場から成長トレンドへと回帰する動きが見えてきたようだ。
自社製の商品とワンストップサービスに強み
2. 同社の強み
動画配信市場において、「J-Stream Equipmedia」と「J-Stream CDNext」がともに自社製であるという強みに加え、足元でさらなる強化を図っているライブ配信やオンデマンド配信、動画配信の周辺製品・サービス、動画の企画・制作、動画広告、Webサイト制作・システム開発、Webサイト運用といった、動画を活用する際に必要となる様々な機能をワンストップで提供できる体制を構築している点も強みである。また、多種多様な業界・業種のニーズに応じて一部機能からフルパッケージまで提供できる幅広い対応力、パイオニアとしての豊富な実績とノウハウ、新たな技術や顧客のニーズ・ウオンツを素早く取り入れる開発力、専任スタッフと営業による柔軟で安心できる体制、技術力や営業体制に裏打ちされたサービス品質なども強みといえる。この結果、同社のKPI(重要業績評価指標)である主力商品「J-Stream Equipmedia」の累計導入アカウント数が4,500件を突破したほか、年間取引企業は1,200社以上、「J-Stream CDNext」は1,400アカウント以上、ライブ配信は年間2,400件以上といった導入実績・開催実績を誇っている。
■業績動向
減益は前期大口納品の反動など一時的要因
1. 2026年3月期中間期の業績動向
2026年3月期中間期の業績は、売上高5,711百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益361百万円(同12.3%減)、経常利益384百万円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益202百万円(同18.7%減)だった。微減収減益となったが、要因は前年同期にあった大口機器納品の反動など一時的なもので、これを除けばおおむね順調に推移した。また、通期業績予想に対する進捗率(前年同期は実績対比)も、売上高で47.1%(前年同期48.7%)、営業利益で38.8%(同45.1%)とやや厳しい状況だったが、もともと下期の比重が高い傾向があるため、十分取り戻せる範囲だと考えられる。
日本経済は、緩やかな回復基調を維持したものの、世界的な金利高止まりや中国経済の減速、ウクライナ情勢などの地政学的リスクが企業活動や消費者心理に影響を及ぼし、先行き不透明な状況が続いた。インターネット業界においては、生成AIの活用が進展し、コンテンツ制作や業務効率化を含む、DXによる新たな価値創出が期待される一方、IT人材の不足やレガシーシステムの更新といった課題も依然として残されている状況である。こうした環境下、同社は顧客企業の情報発信ニーズに応えるため、インターネットライブ配信、オンデマンド動画配信、関連するシステム開発・運用受託など動画ソリューションサービスの提供を継続、なかでも主力サービスである「ライブ配信サービス」や「J-Stream Equipmedia」を中心に、多様なニーズに対応した提案活動を強化した。
この結果、売上高は、前年同期に受注した大口機器納品や様々なスポーツイベントなど一時的案件(計200百万円弱)の反動影響を受けてわずかながら減収となった。しかし、既存案件は堅調に推移しており、コロナ禍における需要の急拡大からの調整期にあるなか、一時的案件を除けば増収となるなど減収幅を小幅に抑えられた。利益面では、サービス開発に伴うソフトウェアを中心とした償却費やクラウドサービスの利用拡大に伴うロイヤリティ支出は増加したものの、新卒を除く採用の抑制や外注の内製化など経費節減、組織運営の効率化、ライブ関係の合理化といった原価低減策に加え、グループ会社を中心に内製比率の高い制作・サービス売上高が順調でミックスも改善し、売上総利益率は改善した。一方、営業支援にかかる費用、販売促進費、社内業務システムのライセンス料、グループ会社のオフィス関連費用といった先行的な費用がかさんで販管費率が上昇、利益を押し下げた。子会社に関しては、動画マニュアルSaaSのVideoStepが好調だったが、前年同期の大口納品に関わった制作系のイノコスと、Web講演会が伸び悩んだ医薬系のビッグエムズワイが苦戦した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
1. 市場環境
動画配信市場と言っても、Jストリーム<4308>のような様々な動画配信にトータルで対応できる専業企業はほとんどない。しかし、部分的に類似する企業として、動画共有・配信プラットフォームでは米Brightcove Incや米Vimeo Inc、CDN事業者では米Akamai Technologies, Inc.やAmazon CloudFrontを提供する米Amazon.com Inc.といったグローバルな巨大企業が挙げられる。副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども一部同社と類似した事業を行っているほか、医薬領域のWeb講演会に限ると木村情報技術(株)やエムスリーデジタルコミュニケーションズ(株)といった企業と重なる。なお、近年の円安傾向から、外資系は国内での価格競争力を失いつつあるようだ。
一方、スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになり、Wi-Fi環境の整備や5Gの普及もあって、インターネット動画の視聴環境は年々強化されており、子供から高齢者までどの世代もインターネットで動画を視聴するようになった。また、動画配信の環境も、SNSや社内ポータルなどでの動画利用の増加、動画利用による販促や費用削減の効果に対する認知度向上などにより一層充実している。コロナ禍をきっかけに急速に拡大した反動から短期的に調整期を迎えたが、利便性や利用価値の高さから、動画配信市場は中長期的に伸びていくと予測されている。こうした市場でパイオニアかつ専業として長年蓄積してきたノウハウを持ち、常に先端技術を取り入れている同社も、踊り場から成長トレンドへと回帰する動きが見えてきたようだ。
自社製の商品とワンストップサービスに強み
2. 同社の強み
動画配信市場において、「J-Stream Equipmedia」と「J-Stream CDNext」がともに自社製であるという強みに加え、足元でさらなる強化を図っているライブ配信やオンデマンド配信、動画配信の周辺製品・サービス、動画の企画・制作、動画広告、Webサイト制作・システム開発、Webサイト運用といった、動画を活用する際に必要となる様々な機能をワンストップで提供できる体制を構築している点も強みである。また、多種多様な業界・業種のニーズに応じて一部機能からフルパッケージまで提供できる幅広い対応力、パイオニアとしての豊富な実績とノウハウ、新たな技術や顧客のニーズ・ウオンツを素早く取り入れる開発力、専任スタッフと営業による柔軟で安心できる体制、技術力や営業体制に裏打ちされたサービス品質なども強みといえる。この結果、同社のKPI(重要業績評価指標)である主力商品「J-Stream Equipmedia」の累計導入アカウント数が4,500件を突破したほか、年間取引企業は1,200社以上、「J-Stream CDNext」は1,400アカウント以上、ライブ配信は年間2,400件以上といった導入実績・開催実績を誇っている。
■業績動向
減益は前期大口納品の反動など一時的要因
1. 2026年3月期中間期の業績動向
2026年3月期中間期の業績は、売上高5,711百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益361百万円(同12.3%減)、経常利益384百万円(同11.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益202百万円(同18.7%減)だった。微減収減益となったが、要因は前年同期にあった大口機器納品の反動など一時的なもので、これを除けばおおむね順調に推移した。また、通期業績予想に対する進捗率(前年同期は実績対比)も、売上高で47.1%(前年同期48.7%)、営業利益で38.8%(同45.1%)とやや厳しい状況だったが、もともと下期の比重が高い傾向があるため、十分取り戻せる範囲だと考えられる。
日本経済は、緩やかな回復基調を維持したものの、世界的な金利高止まりや中国経済の減速、ウクライナ情勢などの地政学的リスクが企業活動や消費者心理に影響を及ぼし、先行き不透明な状況が続いた。インターネット業界においては、生成AIの活用が進展し、コンテンツ制作や業務効率化を含む、DXによる新たな価値創出が期待される一方、IT人材の不足やレガシーシステムの更新といった課題も依然として残されている状況である。こうした環境下、同社は顧客企業の情報発信ニーズに応えるため、インターネットライブ配信、オンデマンド動画配信、関連するシステム開発・運用受託など動画ソリューションサービスの提供を継続、なかでも主力サービスである「ライブ配信サービス」や「J-Stream Equipmedia」を中心に、多様なニーズに対応した提案活動を強化した。
この結果、売上高は、前年同期に受注した大口機器納品や様々なスポーツイベントなど一時的案件(計200百万円弱)の反動影響を受けてわずかながら減収となった。しかし、既存案件は堅調に推移しており、コロナ禍における需要の急拡大からの調整期にあるなか、一時的案件を除けば増収となるなど減収幅を小幅に抑えられた。利益面では、サービス開発に伴うソフトウェアを中心とした償却費やクラウドサービスの利用拡大に伴うロイヤリティ支出は増加したものの、新卒を除く採用の抑制や外注の内製化など経費節減、組織運営の効率化、ライブ関係の合理化といった原価低減策に加え、グループ会社を中心に内製比率の高い制作・サービス売上高が順調でミックスも改善し、売上総利益率は改善した。一方、営業支援にかかる費用、販売促進費、社内業務システムのライセンス料、グループ会社のオフィス関連費用といった先行的な費用がかさんで販管費率が上昇、利益を押し下げた。子会社に関しては、動画マニュアルSaaSのVideoStepが好調だったが、前年同期の大口納品に関わった制作系のイノコスと、Web講演会が伸び悩んだ医薬系のビッグエムズワイが苦戦した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
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