注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
丸和運輸 Research Memo(3):2025年3月期は増収も、大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少により減益
*14:03JST 丸和運輸 Research Memo(3):2025年3月期は増収も、大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少により減益
■業績動向1. 2025年3月期の業績概要AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の2025年3月期の業績は、売上高で前期比4.9%増の208,370百万円、営業利益で同20.8%減の10,969百万円、経常利益で同19.7%減の11,645百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同20.1%減の7,284百万円となった。計画(売上高207,000百万円、営業利益11,200百万円、経常利益11,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,700百万円)に対しては、売上高は0.7%超過となったが、営業利益は2.1%未達、経常利益は0.5%未達、親会社株主に帰属する当期純利益は5.4%未達となった。売上面では、輸配送事業において大型の1拠点の閉鎖に伴う輸配送数が減少した一方、3PL事業において大型拠点を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加でカバーし、増収で着地した。利益面での経常利益の主な増減要因は、既存物量増加、取引拡大、新規拠点稼働による1,732百万円、生産性改善による702百万円が増益に寄与したが、拠点見直しによる輸送数減少での2,787百万円、新拠点立ち上げなどの一時費用831百万円、社員賃金ベースアップ影響による611百万円、生産性未達やコスト増加による584百万円が減益要因となった。2. 事業セグメント別動向物流事業の売上高は前期比4.9%増の205,598百万円、営業利益は同18.2%減の11,330百万円となり、その他事業の売上高は同7.2%増の2,771百万円、営業利益は同9.1%増の418百万円となった。物流事業セグメントにおける各事業の売上動向は以下のとおり。ラストワンマイル事業の売上高は前期比2.9%増の39,350百万円となった。完全子会社化したルーフィによる増収効果があったものの、アマゾンジャパンのネットワーク拡大が落ち着きを見せたことで、わずかな増収率に留まった。EC常温輸配送事業の売上高は前期比10.3%減の53,371百万円となった。大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が減収要因となったが、新たな輸配送案件の獲得や料金改定効果により、減収幅は4割程度をカバーする形での着地となった。EC常温3PL事業の売上高は前期比18.2%増の64,486百万円となった。大手ネット通販会社向けの大型拠点を中心とした新規物流センターの開設、各取引先における取扱物量の増加により2ケタ成長を維持した。低温食品3PL事業の売上高は前期比9.8%増の24,239百万円となった。新たなスーパーマーケット向け物流センターの開設、各取引先における取扱物量の増加により堅調な成長を示した。医薬・医療3PL事業の売上高は前期比12.0%増の24,151百万円となった。主要取引先であるドラッグストアの業容拡大に対応する新たな物流センターの開設が寄与した。3. 財務状況と経営指標2025年3月期末の資産合計は前期末比3,845百万円増加の138,440百万円となった。主な増減要因は、有価証券が5,000百万円減少、未収還付法人税等が614百万円減少したことにより流動資産が5,924百万円減少したが、有形固定資産が8,233百万円の増加、無形固定資産が688百万円の増加、投資その他の資産が851百万円の増加となり、固定資産は9,770百万円増加したことによる。負債合計は前期末比947百万円増加の78,000百万円となった。主な増減要因は、流動負債は1年内償還予定の転換社債が20,146百万円増加したことにより、18,066百万円増加の50,682百万円となった。固定負債は転換社債が20,366百万円減少したことにより、17,118百万円減少の27,317百万円となった。純資産合計は同2,897百万円増加の60,440百万円となった。利益剰余金は3,091百万円増加した。また、経営指標については、自己資本比率が前期末比0.7ポイント上昇の41.7%となり、財務の健全性は良好であると評価できる。4. キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは8,897百万円の収入(前期は10,798百万円の収入)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益11,944百万円、減価償却費2,923百万円、のれん償却額450百万円、賞与引当金の増加172百万円があったことによる。投資活動によるキャッシュ・フローは、10,606百万円の支出(前期は5,864百万円の支出)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,712百万円、無形固定資産の取得による支出448百万円、敷金及び保証金の差入による支出1,756百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,249百万円があったことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、3,035百万円の支出(前期は8,581百万円の収入)となった。これは主に、長期借入金の返済による支出5,708百万円、配当金の支払いによる支出4,192百万円があったことによる。現金及び現金同等物の減少額は4,744百万円(前期は13,515百万円の増加)となり、期末における現金及び現金同等物の残高は41,136百万円で、前期末の45,880百万円から減少した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
<HN>
2025/07/03 14:03
注目トピックス 日本株
丸和運輸 Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
*14:02JST 丸和運輸 Research Memo(2):物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス業務が主力事業
■会社概要1. AZ-COM丸和ホールディングス<9090>の会社概要同社グループは、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業務を手掛けている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有し(2025年3月期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業では、一般貨物運送、軽貨物運送(当日お届けサービス、ネットスーパーなど)、特別積合せ貨物運送、鉄道利用運送、産業廃棄物の収集運搬など、多様な輸送手段を提供している。また3PL事業では、顧客の販売拠点や輸配送ルートを考慮した物流センターの選定、センター設計、商品の調達・入荷から保管、流通加工、ピッキング、梱包、仕分け、出荷検品までの一連の作業管理手法、輸配送のダイヤグラム設定及びリバースロジスティクス(返品物流)の提案と受託を行っている。2. 沿革同社は、1973年に埼玉県北葛飾郡吉川町(現 埼玉県吉川市)に一般区域貨物自動車運送事業を事業目的に設立された。設立以来、M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは、直近で2024年にルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。事業の多角化については、1995年に医薬・医療物流を全国に拡大、2013年に低温食品物流事業を開始、2019年にはBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)物流を本格稼働させた。顧客は、(株)イトーヨーカ堂、ダスキン<4665>、マツキヨココカラ&カンパニー、アマゾンジャパンなど順次、大口顧客との取り引きを開始した。株式については、2014年に東京証券取引所(以下、東証)市場第2部に上場し、2015年に東証市場第1部銘柄に指定(現 東証プライム市場)された。2022年に純粋持株会社体制へ移行し、AZ-COM丸和ホールディングスに商号を変更した。3. 事業内容同社の事業セグメントは、物流事業、その他事業の2つで開示している。2025年3月期の事業別売上高構成比では、物流事業が売上高の98.7%を占める主力事業となっている。(1) 物流事業物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれている。輸配送事業には、ラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業があり、3PL事業には、EC常温3PL事業、低温食品3PL事業、医薬・医療3PL事業のドメインがある。1) 輸配送事業a) ラストワンマイル事業軽車両、小型車両を活用した配送、生協の個別配送、ネットスーパーの配送、電化製品などの宅配設置などを行っている。アマゾンジャパン、ヤマト運輸、生活協同組合コープみらいが主要取引先である。2017年から開始したアマゾンジャパンとの取り引き拡大を追い風に高成長を遂げてきた事業である。b) EC常温輸配送事業EC常温輸配送事業は、中型~大型車両及び鉄道を活用した拠点間配送・店舗間配送などを行っており、ヤマト運輸、アマゾンジャパンが主要取引先である。同事業は同社の売上高のうち、EC常温3PL事業に次ぐ第2位のシェアを占めており、M&Aによる事業拡大も行っている。2) 3PL事業a) EC常温3PL事業EC常温3PL事業では、大手ECサイトやネット通販会社の専用センター業務、小売業の常温品向けセンター業務を手掛けている。アマゾンジャパン、ダスキンが主要取引先である。同事業は同社の売上高に占める最大シェアの事業であり、2ケタ成長を続けるトップラインのけん引役となっている。b) 低温食品3PL事業低温食品3PL事業では、スーパーマーケット向けのセンター業務、メーカーや卸センターからの調達物流を手掛けている。ベルク<9974>、(株)マルアイ、ヤマザワ<9993>、(株)ベイシア、コープ東北サンネット事業連合が主要取引先である。新たなセンターがオープンするなど安定した成長が続く事業である。c) 医薬・医療3PL事業医薬・医療3PL事業では、ドラッグストア向けのセンター業務、メーカーや卸向けの返品物流を手掛けている。マツキヨココカラ&カンパニーが主要取引先である。主要取引先の経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれている事業である。(2) その他事業その他事業として、各種申込書や契約書など重要書類の原本保管や輸配送などの原本管理、Webアプリケーションを利用したリアルタイムな書類検索や電子データ閲覧、IT技術を活用したドキュメントの電子データ化など、ドキュメントの発生から廃棄までを総合的にサポートし、最適なドキュメント総合管理サービスを提供する「文書保管」と、首都圏を中心として、ビル・駐車場等の賃貸管理業務を行う「不動産賃貸」を手掛けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
<HN>
2025/07/03 14:02
注目トピックス 日本株
丸和運輸 Research Memo(1):小売業に特化し大手顧客を持つ物流事業が主力。M&Aと事業多角化で企業規模拡大
*14:01JST 丸和運輸 Research Memo(1):小売業に特化し大手顧客を持つ物流事業が主力。M&Aと事業多角化で企業規模拡大
■要約AZ-COM丸和ホールディングス<9090>は、物流事業を主力事業として、物流センター業務を中心とするサードパーティ・ロジスティクス(3PL)業務を手掛けている。物流事業は輸配送事業と3PL事業に分かれており、輸配送事業はラストワンマイル事業とEC常温輸配送事業、3PL事業はEC常温3PL事業と低温食品3PL事業及び医薬・医療3PL事業のドメインに分かれている。グループ合計269拠点の物流ネットワークを有しており(2025年3月期末時点)、小売業に特化したEC物流、低温食品物流、医薬・医療物流の事業展開が特徴である。会社設立以来M&Aと事業の多角化を進めてきており、M&Aでは直近で2024年に(株)ルーフィを完全子会社化するなど、これまでに数多くの実績を通じて企業規模を拡大してきた。顧客は、マツキヨココカラ&カンパニー<3088>、アマゾンジャパン(同)、ヤマト運輸(株)など、大口顧客の基盤を有する。1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.9%増の208,370百万円、営業利益で同20.8%減の10,969百万円、経常利益で同19.7%減の11,645百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同20.1%減の7,284百万円となった。売上面では3PL事業において大型拠点を中心とした新規物流センターが複数開設されたうえ、各取引先との取扱物量の増加によって増収で着地した。利益面での経常利益の主な増減要因は、既存物量増加、取引拡大、新規拠点稼働による1,732百万円、生産性改善による702百万円が増益に寄与したが、拠点見直しによる輸送数減少での2,787百万円、新拠点立ち上げなどの一時費用831百万円、社員賃金ベースアップ影響による611百万円、生産性未達やコスト増加による584百万円が減益要因となった。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.6%増の220,000百万円、営業利益で同8.5%増の11,900百万円、経常利益で同3.0%増の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.2%増の7,300百万円と、増収増益を見込んでいる。輸送配送事業においては、ラストワンマイル事業はアマゾンジャパンのネットワーク拡大が落ち着きを見せるなかルーフィの買収効果が寄与する見込みで、EC常温輸配送事業は大型拠点の閉鎖に伴う輸送量の減少が一巡するため、増収に転じるもようである。3PL事業においては、EC常温3PL事業と低温食品3PL事業ともに前期に立ち上げた新拠点の取扱物量の増加が寄与し、医薬・医療3PL事業は主要取引先であるドラッグストアのインバウンド需要の拡大に加え、経営統合に伴う物流センターの統合の進展により、新たなセンター開設による取扱物量の増加が見込まれる。3. 中長期の取り組み同社は、「中期経営計画2028」(2026年3月期~2028年3月期)において、「環境変化に強い高収益企業づくり」の実現を掲げている。数値目標としては、2028年3月期の売上高280,000百万円、経常利益20,000百万円、経常利益率7.1%、ROE15%以上に引き上げる計画である。目標達成に向けて、1) 環境変化に強い高収益企業づくり、2) グループ機能の強化(最大活用・再編)、3) オペレーションの進化(標準化・DX)、4) 新規事業(顧客)開発と既存事業再成長、5) 機能戦略(経営資源)の強化の5つの重点施策を掲げ、推進している。■Key Points・2025年3月期は増収も、EC常温輸配送事業における大型拠点の閉鎖に伴い減益で着地・2026年3月期は新設センターの稼働寄与などで増収増益の見通し・中期経営計画において、環境変化に強い高収益企業づくりの実現を掲げ推進中(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
<HN>
2025/07/03 14:01
注目トピックス 日本株
オプトエレクト---大幅反発、上半期の赤字幅縮小で収益底打ち期待も
*13:59JST オプトエレクト---大幅反発、上半期の赤字幅縮小で収益底打ち期待も
オプトエレクト<6664>は大幅反発。前日に上半期の決算を発表している。営業損益は0.9億円の赤字となったが、前年同期比では1.3億円の損益改善となっている。第1四半期は同0.2億円の損益悪化となっていたため、収益の底打ち期待などにつながっているようだ。大口受注などで国内売上が伸長したほか、コスト削減の進展などで販管費も抑制できているもよう。なお、主要顧客の在庫調整にも改善の兆しがみられる状況などとしている。
<ST>
2025/07/03 13:59
注目トピックス 日本株
ニューテック---一時ストップ高、「Neuseed」の開発・展開に向けた協業を開始
*13:58JST ニューテック---一時ストップ高、「Neuseed」の開発・展開に向けた協業を開始
ニューテック<6734>は一時ストップ高。スタートアップ企業のUnseedと共同で、国産の軽量言語モデル(LLM)による推論特化型ソリューション「Neuseed」の開発・展開に向けた協業を開始したと発表。Unseedが開発する軽量LLMと、同社が取扱うNeuchips社製のLLM専用推論アクセラレータを組み合わせ、オンプレミスでの運用に適した国産軽量LLMソリューション実現を目指すようだ。Neuseedは、医療・監視・アカデミック分野などで高い関心とされている。
<ST>
2025/07/03 13:58
注目トピックス 日本株
マリオン---ストップ高買い気配、業績・配当予想を上方修正
*13:57JST マリオン---ストップ高買い気配、業績・配当予想を上方修正
マリオン<3494>はストップ高買い気配。25年9月期の業績上方修正を発表している。営業利益は従来予想の7.3億円から8億円、前期比15.1%増の引き上げ。不動産賃貸事業および不動産売買事業において、想定よりも売上高が上振れるようだ。上半期は前年同期比32.0%減と大幅減益であったことから、上方修正にはポジティブなインパクトが先行へ。また、年間配当金も従来計画の5.4円から6円、前期比0.8円増に引き上げ。
<ST>
2025/07/03 13:57
注目トピックス 日本株
JCRファーマ---大幅反発、ハンター症候群治療酵素製剤で良好な試験結果と発表
*13:56JST JCRファーマ---大幅反発、ハンター症候群治療酵素製剤で良好な試験結果と発表
JCRファーマ<4552>は大幅反発。JR-141のグローバル臨床第3相試験において、目標症例数の組入れを達成したと発表している。JR-141はハンター症候群治療酵素製剤であり、血液脳関門を通過して作用を発揮する世界で初めての点滴静注による医薬品となるもよう。日本では21年5月より「イズカーゴ点滴静注用10mg」として販売している。なお、ハンター症候群の世界における患者数は2000-3000人と推測されているようだ。
<ST>
2025/07/03 13:56
注目トピックス 日本株
メイコー---大幅反発、米国がベトナム関税20%に引き下げと伝わり
*13:48JST メイコー---大幅反発、米国がベトナム関税20%に引き下げと伝わり
メイコー<6787>は大幅反発。トランプ米大統領が「ベトナムと貿易交渉で合意した」と表明している。米国が相互関税率を原則20%と下げるかわりに、ベトナムは米国からの輸入品を無関税にするもよう。4月の相互関税発表時点では46%を課すとしていたが、半分以下の水準にとどまることとなる。ベトナムを主要な生産拠点としている同社にとっては、過度な警戒感が和らぐ状況となっているようだ。
<ST>
2025/07/03 13:48
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(6):2026年3月期は年間36.0円配当の予定だが、業績によって増配も
*13:36JST ムサシ Research Memo(6):2026年3月期は年間36.0円配当の予定だが、業績によって増配も
■株主還元ムサシ<7521>は株主還元について配当によることを基本としており、「将来の成長のための内部留保の充実」と「業績に応じた利益還元」の2点を基本方針としている。具体的には、株主還元のベースとしての普通配当に、業績に応じた特別配当を組み合わせる方式を採用している。同社は、ベース配当を「年間36.0円」とし、これに業績に応じた金額を上乗せすることを基本としている。2025年3月期は、業績が堅調であったことから年間60.0円配当を行った。2026年3月期は、現時点ではベース配当の年間36.0円の予定だが、今後の業績次第では増配の可能性が高いと弊社は見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:36
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(5):選挙サイクルに左右されない分野を一段と強化し、収益基盤のさらなる安定化を図る
*13:35JST ムサシ Research Memo(5):選挙サイクルに左右されない分野を一段と強化し、収益基盤のさらなる安定化を図る
■中長期成長戦略今後のムサシ<7521>の事業展開では、特に文書のデジタル化事業、業務用ろ過フィルター事業、印刷システム機材、金融・汎用システム機材、選挙システム機材の5分野に注力して業績を伸ばす方針だ。特に以下の分野・製品に注力していく。また同社では、2025年6月27日付で、代表取締役社長がそれまでの羽鳥雅孝(はとりまさたか)氏から小野貢市(おのこういち)氏に交代した。小野氏は初めての創業家以外の出身社長であり、今後の展開が大いに注目される。1. 文書のデジタル化事業今後は以下のような要因で、需要サイドからも文書のデジタル化事業の拡大が期待できる。(1) 民間企業の需要民間企業では、コロナ禍の影響で在宅勤務が急増し、テレワークへの移行が進んだ。テレワークの環境整備が進むにつれて、文書や資料の電子化需要が拡大したが、アフターコロナでもこの流れは継続している。さらに以下のような法的整備の面からも、文書のデジタル化は必須となってくる。同社ではこれらの需要を取り込むべく、営業活動を強化している。(2) 官公庁・自治体の需要官公庁・自治体においても、「デジタル庁」の新設など政府が行政のデジタル化に向けて積極的な取り組みを進めており、文書や図面、資料などの電子化需要の拡大が見込まれている。政府の発表では、2026年度を目途に公文書の管理は全面的に電子化する目標となっている。実際には、官公庁や各自治体の職員が作成する文書はほぼ紙のため、そのまま紙で保存されているが、それらを電子化することで、分類や整理をする手間が大幅に省けるようになるため、大きなメリットがある。よって、行政のデジタル化推進のため、文書などの電子化に対しては優先的な予算が見込まれており、同社としても積極的に営業活動を展開する計画だ。独自開発システム「RoDA」でデジタルアーカイブ分野へも展開(3) デジタルアーカイブへの展開:「RoDA」の活用同社は、文書のデジタル化事業で蓄積した経験と技術を生かしてデジタルアーカイブシステム「RoDA(ローダ)」を独自開発している。この「RoDA」を使うことで、様々なスキャナー・デジタルカメラで作成された高精細な画像を効率的に圧縮し、高精細なままストレスフリーでの閲覧が可能になる。貴重な文化遺産をインターネットに公開することで、一般の利用や研究の連携を促進したいとのニーズは多いが、「RoDA」を使うことで、これらのニーズに対応することが可能になる。さらに資料を電子化することで、スローファイアー(酸性紙劣化)による破損や散逸の危機から守ることができる。また同社では、システム開発から運営管理、コンテンツ作成までを一貫してサポートしており、ワンストップでユーザーの問題解決ができるのも特長だ。また「RoDA」は、美術館や博物館、図書館などで所蔵されている貴重な文化資産だけでなく、災害や身近な生活記録、企業保有のデジタル資産などを「次世代に伝承する」ためのツールとして様々な分野で導入され始めており、今後の展開が楽しみである。2. 業務用ろ過フィルター事業同社は、富士フイルム(株)の業務用ろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業を展開している。富士フイルムの「ミクロフィルター」はこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。同社の事業は2018年1月にスタートし順調に拡大してきた。残念ながら2021年3月期はコロナ禍の影響により売上高は落ち込んだが、2022年3月期の売上高は、647百万円(前期比20.0%増)、2023年3月期は698百万円(同7.9%増)と回復した。2024年3月期は半導体業界の影響を受けて593百万円(同15.0%減)となった。しかし2025年3月期は、再び半導体業界を中心に需要が回復し、売上高は732百万円(同23.4%増)となった。進行中の2026年3月期は、米国関税による半導体・電子部材向けの影響を踏まえ、688億円(同6.0%減)と予想している。需要がこれまでの食品・飲料向け中心から、半導体向けなどのエレクトロニクス業界向けに広がりつつあることは注目に値する。3. 印刷システム機材デジタル化の流れやインターネット通販事業者の台頭などにより、印刷需要低迷と販売価格の下落など厳しい事業環境にあるため、同社は収益力の改善を主眼に置いた業績の回復を図っている。(1) オリジナル商品の販売に注力a) 「多目的プリンター」(T3-OPX)プリンターヘッドの高さが自動で調整されることで様々な厚みに対応し、多種多様な材料に出力が可能である。具体的には、段ボール素材、紙袋、和紙、不織布、木箱など様々な素材や高さがある成型済み素材への印刷が可能となった。ブランドオーナー向けの次世代プリントソリューションとして多くの需要が期待できる。b) カッティングプロッター「FB9000PRO」カッティングプロッターとは、シート状の素材をペン状のカッターで図柄に合わせて自由な形状にカットする機械のことである。パッケージ、POP、シールなどショップの販促物や製箱など様々な用途に活用できる。c) 自社開発 業務管理ソフト(M BOOSTER)見積もりから納品まで印刷業のすべての工程を一貫して管理するソフトウェア。インターネットブラウザ上で作業でき、専用ソフトをインストールせずに使い始めることができる。また、それぞれの工程にかかる原価も管理することができるため、同社はこのソフトによって印刷会社のDXをサポートしていく。4. 金融汎用システム機材(1) 「オペレーションリスク対応」として注力するセキュリティ機器の拡販近年、金融庁は既存のリスク管理や地震などのリスクを想定したBCPだけでは、金融システムにとって重要な業務を提供し続けることができないおそれがあるとして、外部委託業務や連携サービスを含めた業務プロセス全体の包括的な態勢整備によって、オペレーショナルリスクに対応するよう指導をしている。同社は、オペレーショナル・レジリエンスを確保するためのセキュリティ機器の拡販に注力する。特に、「通帳・証書管理機」「精査格納ボックス」「鍵・カード管理機」などの拡販を図る。(2) 「集中処理センター」向け管理システム金融機関の「集中処理センター」向けに、下記のような様々なシステムを開発しており、今後はこれらを総合的に利用した「提案型営業」を推進していく。○ 口座振替システム口座振替依頼書等のイメージ入力を事務センターで行い、営業店クライアントで一括検索する金融機関向けシステム。○ イメージファイリングシステム営業店で受け付けした手形・小切手・伝票・各種申込書など様々な書類のスキャニングデータを集中センターで集約連携するシステム。○ 債権書類管理システムICタグによって書類や書籍など文書の現物を管理するシステム。ポータブルリーダーでタグ情報を読み取ることで、棚卸作業時間を大幅に短縮。(3) 「BPO※サービス」の拡販金融機関向けには、機器類の販売だけでなく、下記のアウトソーシングサービスも積極的に拡販していく。○ 為替集中業務アウトソーシングサービス○ マイクロフィルムをPDFや画像データに変換するサービスやマイクロフィルムスキャナーの拡販※ Business Process Outsourcingの略。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:35
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(4):2026年3月期は43.2%の営業減益予想
*13:34JST ムサシ Research Memo(4):2026年3月期は43.2%の営業減益予想
■ムサシ<7521>の今期の見通し2026年3月期の業績は、売上高37,364百万円(前期比0.1%減)、営業利益1,905百万円(同43.2%減)、経常利益1,924百万円(同59.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,147百万円(同66.6%減)と予想されている。連結セグメント別売上高は、情報・印刷・産業システム機材が18,479百万円(前期比1.6%減)、金融汎用・選挙システム機材が9,466百万円(同0.6%増)、紙・紙加工品が9,112百万円(同2.4%増)、不動産賃貸・リース事業等が307百万円(同2.7%増)と予想されている。(注:セグメント利益の予想は開示されていない。)設備投資額は416百万円(前期は242百万円)、減価償却費は485百万円(同395百万円)、研究開発費は361百万円(同532百万円)となる予定である。サブセグメント別(単体ベース)の見通しでは、情報・産業システム機材の売上高は7,870百万円(同8.5%減)で減収予想となった。金融機関の集中部門向けは堅調ながら、前期から継続していた新紙幣関連の需要が剥落することが要因である。文書のデジタル化事業では、官公庁・自治体からの受注減が予想されることから売上高は4,832百万円(同5.6%減)を予想している。印刷システム機材では、オリジナル商品の販売は堅調であるが、印刷材料の需要が弱含みであることから、売上高は7,580百万円(同0.1%増)と横ばいを見込んでいる。主力の選挙システム機材では、6月に東京都議会議員選挙が、7月に参議院選挙が行われる予定であることから売上高は7,200百万円(同0.2%増)と前期並みを見込んでいる。ただし、クラウド化に向けたシステム開発等が継続し、開発費用等が増加する見込みであることから利益は低下する予想となった。紙・紙加工品については、各種パッケージ用の板紙の販売は堅調に推移するものの、情報用紙等の需要が今後低迷することを想定し、売上高は5,800百万円(同4.6%増)の予想となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:34
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(3):2025年3月期は衆議院選挙の影響で営業利益は211.4%増
*13:33JST ムサシ Research Memo(3):2025年3月期は衆議院選挙の影響で営業利益は211.4%増
■ムサシ<7521>の業績動向1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の業績は、売上高37,391百万円(前期比12.8%増)、営業利益3,354百万円(同211.4%増)、経常利益4,738百万円(同321.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,432百万円(同347.0%増)となった。売上総利益率は28.6%となり前期比で4.2ポイント上昇したが、これは期間中に衆議院選挙が行われ、収益性の高い選挙システム機材の売上比率が上昇したことによる。このため、増収と合わせて売上総利益は同32.0%増の10,677百万円となった。一方で販管費は、経費を抑制したことなどから同4.5%増にとどまり、営業利益は前期比で大幅増益となった。加えて経常利益は、持分法適用会社が有形固定資産を売却し、営業外収益(持分法による投資利益)1,276百万円を計上したことで一層の大幅増益となった。設備投資額(有形固定資産及び無形固定資産)は242百万円(前期は438百万円)、減価償却費は395百万円(同395百万円)、研究開発費は532百万円(同353百万円)であった。注力している文書のデジタル化事業の売上高は、大口案件が一服したことで5,118百万円(同0.8%減)と前期比で微減となったが、依然として高水準を維持している。もう1つの注力商品である「ミクロフィルター」の売上高は、半導体業界向けを中心に堅調に推移して732百万円(同23.4%増)となった。2. 2025年3月期のセグメント別状況セグメント別(連結ベース)及びサブセグメント別(単体ベース)の状況は以下のとおりであった。(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメントセグメント売上高は18,786百万円(前期比1.0%減)、セグメント利益は830百万円(同53.4%増)となった。減収ながら利益率の高い製品の比率が上がったことから増益となった。a) 情報・産業システム機材情報・産業システム機材の売上高(単体ベース)は、8,603百万円(前期比9.5%増)となった。業務用ろ過フィルターは半導体や精密機器向けの販売が好調に推移したほか、飲料向けも堅調であった。工業検査機器の販売は点検業務の需要を取り込み、順調に推移した。文書のデジタル化事業は、大口案件が一服となったことから微減収となったが、おおむね順調に推移していると言える。注目商品の売上高は以下のとおりであった。文書のデジタル化事業の売上高:5,118百万円(前期比39百万円減、同0.8%減)「ミクロフィルター」の売上高:732百万円(同139百万円増、同23.4%増)b) 印刷システム機材印刷システム機材の売上高(単体ベース)は、7,572百万円(前期比9.6%減)となった。印刷機器は、多目的インクジェットプリンターやデジタルダイカッターの販売が堅調に推移したが、印刷材料の販売は低調であった。(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメントセグメント売上高は、9,409百万円(前期比101.3%増)、セグメント利益は2,129百万円(同11.4倍)となった。a) 選挙システム機材選挙システム機材の売上高(単体ベース)は7,189百万円(前期比179.5%増)となった。衆議院選挙や全国の地方選挙向けの投票用紙交付機や読取分類幾などの販売が伸びた。加えて投開票管理システムの販売やサポート業務の受注も堅調であった。b) 金融汎用システム機材金融汎用システム機材の売上高(単体ベース)は2,136百万円(前期比11.1%増)となった。金融機関向けの新紙幣発行の需要が継続したことに加え、金融機関の集中部門向けシステム機器の販売が好調であった。(3) 紙・紙加工品セグメントセグメント売上高は8,895百万円(前期比3.5%減)、セグメント利益は176百万円(同6.9%減)となった。医薬品や化粧品向け紙器用板紙などの販売は順調に推移したが、印刷用紙や情報用紙の販売が低調に推移したことから減収となり、利益も減少した。(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメントおおむね順調に推移し、セグメント売上高は299百万円(前期比12.4%増)、セグメント利益は215百万円(同38.7%増)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:33
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(2):多様な収益基盤、強い営業力と商品開発力が強み
*13:32JST ムサシ Research Memo(2):多様な収益基盤、強い営業力と商品開発力が強み
■会社概要1. 会社概要ムサシ<7521>は、1946年に紙の卸販売会社として創業し、現在では情報関連、印刷関連の商社事業に加え、自社開発した選挙関連機器や金融関連機器の製造販売も行っている。商社とメーカーの両面を併せ持った企業だが、いずれもニッチな市場に焦点を絞っているのが特長だ。2. 事業の概要(1) 事業構成(セグメント別売上高)決算短信で公表されている各セグメント別の売上高(2025年3月期)は、「情報・印刷・産業システム機材」が18,786百万円(対売上高比率50.2%)、「金融汎用・選挙システム機材」が9,409百万円(同25.2%)、「紙・紙加工品」が8,895百万円(同23.8%)、「不動産賃貸・リース事業等」が299百万円(同0.8%)となっている。さらに「情報・印刷・産業システム機材」はサブセグメントとして「情報・産業システム機材」と「印刷システム機材」に、「金融汎用・選挙システム機材」は「金融汎用システム機材」と「選挙システム機材」に分けている。以下は、「サブセグメント」の事業概要である。(2) 情報・産業システム機材文書や図面、マイクロフィルムなどあらゆる形態の情報を電子化する文書のデジタル化事業である。具体的には、ドキュメント・マイクロフィルムスキャナーやデジタルアーカイブシステムの販売及び関連ソフトウェアの開発・販売、非破壊検査に使用される産業用検査機材の販売、感熱式拡大プリンターの製造・販売、機能性材料(業務用ろ過フィルター等)の販売など。主な販売先は、官公庁・自治体、企業・金融機関、学校・図書館、非破壊検査業者である。(3) 印刷システム機材印刷機器・材料・ソフトウェア、印刷業務管理システムやWeb受発注システムの販売など。さらに印刷物の高付加価値化を実現する高性能「レーザー加工機」など印刷後加工分野の商品販売も行っている。主な販売先は、印刷会社、文具・印章店、DPEショップ、一般企業である。(4) 金融汎用システム機材金融機関の出納・両替業務や流通・運輸交通業における現金精算業務の効率化を図る貨幣処理機器、鍵・通帳などの管理機器、セキュリティ機器の開発・製造・販売及び関連したソフトウェア開発、貨幣処理機器等の輸出など。主な販売先は、金融機関、流通業(デパート、スーパー、コンビニエンスストア等)、宅配業、交通機関、公営競技場などである。(5) 選挙システム機材投開票業務の効率化を図る投票用紙読取分類機や計数機・交付機などの各種機器をはじめ、業務管理ソフトウェアの開発・製造・販売、選挙用品・用具の販売、投票率アップを図る選挙啓発プロモーションの支援などの総合サプライヤーとして業界最大手。販売先は各自治体である。(6) 紙・紙加工品印刷・出版・情報・事務用紙、板紙、付加価値の高い特殊紙や紙加工品の開発・販売及び感圧紙の製造・販売。主な販売先は、印刷会社、紙器業者、出版社などである。(7) 不動産賃貸・リース事業等不動産の賃貸・運用、車両リース、各種保険代理店業務など。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:32
注目トピックス 日本株
ムサシ Research Memo(1):選挙関連機器のトップメーカー。商社とメーカーの両機能を併せ持つ
*13:31JST ムサシ Research Memo(1):選挙関連機器のトップメーカー。商社とメーカーの両機能を併せ持つ
■要約ムサシ<7521>は選挙関連機器や金融関連機器の総合メーカーである。また、文書のデジタル化事業やスキャナー、非破壊検査機材、業務用ろ過フィルターなどを取り扱う情報・産業システム機材、印刷システム機材、紙・紙加工品などの商社事業も行っている。特に選挙関連機器においては、投開票業務に必要な各種機器から投票箱等の用品・用具、開く投票用紙など幅広い商品をラインナップし、業界のトップシェアを誇る圧倒的な存在である。また、各種文書やマイクロフィルムのデジタル化を行う文書のデジタル化事業においても国内最大級のドキュメントイメージングセンターを展開し、次の収益柱への育成を図っている。商社機能とメーカー機能を併せ持っているのが特長である。1. 2025年3月期業績(実績)2025年3月期の業績は、売上高37,391百万円(前期比12.8%増)、営業利益3,354百万円(同211.4%増)、経常利益4,738百万円(同321.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,432百万円(同347.0%増)となった。期間中に衆議院選挙が行われ主力の選挙システム機材の売上高(単体ベース)が7,189百万円(同179.5%増)と増加したことから、営業利益は大幅増益となった。経常利益は、持分法適用会社が有形固定資産を売却し、営業外収益(持分法による投資利益)1,276百万円を計上したことで、一層の大幅増益となった。一方で、注力している文書のデジタル化事業の売上高は、大口案件が一服した関係で5,118百万円(同0.8%減)と前期比で微減となったが、依然として高水準を維持した。2. 2026年3月期業績(予想)2026年3月期の業績は、売上高37,364百万円(前期比0.1%減)、営業利益1,905百万円(同43.2%減)、経常利益1,924百万円(同59.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,147百万円(同66.6%減)と予想されている。主力の選挙システム機材では、東京都議会議員選挙や参議院選挙があることから売上高は前期並みの予想だが、システム関連の開発費用等が増加することからセグメント利益は減益を見込んでいる。そのため全体の利益も前期比で減益予想となっているが、かなり控えめの予想で、選挙システム機材の動向によっては上方修正される可能性があると弊社では見ている。配当については、現時点ではベース配当となる年間36.0円(中間18.0円、期末18.0円)の予定だが、今後の業績次第では増配の可能性が高いと弊社は見ている。3. 中長期の成長戦略現在、同社の収益の中心は選挙システム機材となっている。しかしこの分野は、安定成長しているものの国政選挙などの実施の有無によって需要にばらつきが出るため、ある意味でシクリカルな事業とも言える。そのため、同社では文書のデジタル化事業や業務用ろ過フィルター事業等、選挙サイクルに左右されない分野を一段と強化し、収益基盤の安定化を図る計画だ。特に文書のデジタル化事業については、世の中のDXの流れのなか、官公庁・自治体における文書のデジタル化需要だけでなく、民間企業においてもテレワークの浸透などで書類などのデジタル化は必須となっており、中長期ではさらなる成長が見込まれる。これを進めることで、選挙関連の売上高の平準化が可能となり業績の安定化を図る計画だ。同社によれば、「2026年3月期から本格的な寄与が期待できそうだ」とのことであり、その動向を注視する必要がある。■Key Points・選挙システム機材のトップメーカー。印刷関連、紙関連等の販売も行う複合企業・2026年3月期は参議院選挙などがあるものの営業利益は43.2%減予想だが、上振れの可能性も・「業務管理ソフト」(クラウド型)の開発により大型選挙の有無に左右されない体質づくりを推進中(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<HN>
2025/07/03 13:31
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(6):2026年3月期に最終利益19億円、ROE8%以上を目指す
*13:06JST 高島 Research Memo(6):2026年3月期に最終利益19億円、ROE8%以上を目指す
■中長期の成長戦略高島<8007>は2023年3月に中期経営計画「サステナV(バリュー)」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。「カーボンニュートラル社会の実現」に事業活動を通じて貢献しながら、中期的目標として2026年3月期に連結売上高1,100億円(建材セグメント700億円、産業資材セグメント200億円、電子・デバイスセグメント200億円)、営業利益26億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6%以上、総還元性向100%を掲げている。各事業のキャッシュと外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高める方針だ。業績目標は2023年12月に、中期経営計画発表時と比較して売上高で100億円、営業利益で3億円、親会社株主に帰属する当期純利益で2億円、それぞれ上方修正されている。2023年6月に実施した岩水開発のM&Aや足元で好調な建設資材分野、再生可能エネルギー資材分野の業績などを受け、建材セグメントの目標数値を100億円上方修正した格好だ。このほか、成長投資枠として150億円を設けている。売上高成長率(ポテンシャル)と収益性(営業利益)の2軸で各事業を分類し、戦略投資を実行する領域を決定した。具体的には、自社の強みと成長投資により積極的に拡大を狙う「基盤拡大注力事業」領域と、中長期の市場機会があり、将来の基盤事業に育成すべく成長投資を行っていく「将来投資事業」領域に重点的に投資を行う。事業ポートフォリオ強化や多角化を目的としたM&Aのほか、工場・設備、人財、ITなどを投資対象としている。なお、成長投資枠に関しても同社は拡大修正を行っている。中期経営計画策定当初は、成長投資枠として100億円超を設定していたものの、2024年3月期第2四半期終了時点で89.5億円と順調な進捗を見せていたことから、成長投資の目標金額をさらに引き上げた格好だ。2025年3月期はDG Takashimaの設立及びサンワホールディングスの子会社化などにより31.3億円、工場・設備の維持更新及び増強投資として4.3億円、人財やITに関する投資として3.2億円、合計38.7億円の成長投資を実施した。2026年3月期は定量目標の達成を優先するものの、リターンを期待できる投資案件については継続的に検討する予定である。また、中期経営計画「サステナV(バリュー)」では、資本コストや株価を意識した経営を強力に推進することを強調している。これまでも適合計画書において、資本効率性目標の設定や資本配分方針に基づく資本効率と成長性を重視した投資の実行、株主還元の充実を基本方針として掲げるなど、資本コストや株価を強く意識した経営に取り組んできた。今後はさらに「PBR1倍超」を指針として、持続的なROEの向上に加えて、PER(株価収益率)も向上させる方針だ。具体的には、同社の将来的な利益成長に対する株式市場の期待をより強固なものにするために、M&A企業に対するPMIの推進と収益力の強化、戦略領域への新規投資の継続(M&A、工場など)、産業資材セグメントの再編と競争力の強化、成長と株主還元の両立、株主への情報発信のさらなる強化(外国人投資家、個人投資家)、政策保有株式の縮減による資本効率性の向上、などに取り組む方針だ。この方針のもとに利益成長と資本生産性向上を目的とした各種施策が着実に実行されている。■株主還元策2026年3月期の配当性向は81.2%、総還元性向は100%の見通し。積極的な利益還元を継続同社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の1つと位置付けており、積極的な株主還元策を展開している。2024年8月には2年間の限定措置として、従来の配当性向40%以上、総還元性向50%から株主還元方針を大幅に引き上げ、配当性向を80%以上、総還元性向を100%に設定する新たな方針を発表した。収益力向上と財務基盤の強化が進むなか、株主への利益配分を一層重視する姿勢が窺える。この基本方針に基づき、2025年3月期の1株当たり年間配当金は前期比26.0円増の86.0円と大幅な増配を実施した。配当性向は94.1%に達し、新たな基準である80%を大きく上回る水準となった。また、同社は自己株式の取得も実施しており、総還元性向は100.2%と掲げた方針を過達した。続く2026年3月期についても、同社は株主還元姿勢を堅持する構えであり、年間配当金は同4.0円増の90.0円、配当性向は81.2%の計画である。同社の株主還元策は従来と比べて明確に強化されており、株主重視の経営姿勢が一層際立っている。持続的な企業価値の向上を前提としつつ、成長と還元のバランスを図る同社の戦略は、市場における信頼性と存在感を高めるうえで戦略的な取り組みと言えよう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:06
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(5):2026年3月期は、過去最高の営業利益更新へ
*13:05JST 高島 Research Memo(5):2026年3月期は、過去最高の営業利益更新へ
■今後の見通し高島<8007>の2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.4%増の110,000百万円、営業利益で同22.1%増の2,600百万円、経常利益で同28.4%増の2,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.3%増の1,900百万円と増収増益の見通しである。売上高はすべての事業セグメントで2ケタ増収の計画であり、既存事業の拡大に加え、建材セグメントにおいて2025年2月に子会社したサンワホールディングスの連結効果も見込まれる。利益面については、不透明な外部環境を考慮してやや保守的な計画としているものの、営業利益は増収効果や組織再編による業務効率化の進展などにより拡大し、過去最高益を更新する見通しである。事業セグメント別の業績計画を見ると、建材セグメントは売上高が前期比14.7%増の70,000百万円、セグメント利益が同43.6%増の2,400百万円、産業資材セグメントは売上高が同11.1%増の20,000百万円、セグメント利益が同4.3%増の1,100百万円、電子・デバイスセグメントは売上高が同28.9%増の20,000百万円、セグメント利益が同3.8%減の700百万円である。建材セグメントでは、これまで地域別に統括していた組織を廃止し、対象市場へより直接対応できるようにするため、事業分野別の統括組織へ再編している。各事業分野の既存事業の収益力向上を図るとともに、再生可能エネルギー資材分野においては、2025年3月期に連結子会社化したサンワホールディングスとの協業を進めることで、産業用太陽光発電システムへ領域拡大する。グループ会社で住宅用太陽光発電システムの施工機能をもつ新エネルギー流通システムと併せて、太陽光発電市場における材料卸・施工の全領域をカバーすることが可能になり、更なる収益基盤の強化を推進する。産業資材セグメントでは、2025年4月に高島インダストリーズを存続会社、シーエルエス(株)を消滅会社とする吸収合併を実施。これにより、産業資材事業本部内の商社機能を一体化し、繊維事業における注力市場への営業拡大や間接機能の統合を推進している。加えて、高島インダストリーズを親会社とし、タクセル(株)、ハイランド、及び(株)信防エディックスを完全子会社とする株式交換も実施。これは、高島インダストリーズ(株)が産業資材事業における親会社となることで、事業運営の意思決定を迅速化し、人材投資が行いやすい制度・環境の整備を一層推進することを目的としており、事業環境に適した運営体制を構築することで、事業本部の一体経営を推進し、発展を図っていく。これらの再編により、メーカー機能を持つグループの強みを活かしたソリューション提案を実施し、樹脂関連資材分野、繊維関連資材分野の双方において収益拡大を目指す。電子・デバイスセグメントでは、中核企業であるiTak (International) Limitedにおいて、機能強化と役割の明確化を目的に、営業本部を電子デバイス事業本部と電子機器事業本部に組織変更を実施。また、機能強化のため技術本部を開発本部に名称変更し、従来社長直轄組織であった品質管理推進室を品質管理部と改称し、開発本部の下に配置するとともに、技術部を新設した。民生電子機器・白物家電の市場状況は依然厳しく、さらにトランプ関税の影響を考慮し、利益面は保守的な計画としている。このような厳しい環境下ではあるものの、当社の機能をより一層高める取り組みとして、基板実装に使用する電子部品を幅広く開拓するとともに、品質管理体制をさらに強化し、QCD(品質・コスト・納期)における競争優位性を確立を進めており、利益水準の回復を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:05
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(4):売上高・営業利益ともに期初計画を上回って着地、機能強化を着実に推進
*13:04JST 高島 Research Memo(4):売上高・営業利益ともに期初計画を上回って着地、機能強化を着実に推進
■業績動向1. 2025年3月期の業績概要高島<8007>の2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の94,503百万円、営業利益が同21.8%増の2,129百万円、経常利益が同1.0%増の2,024百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同67.6%減の1,566百万円となった。売上高・営業利益ともに期初計画を上回って着地した。売上面は、建材、産業資材、電子・デバイスとすべての事業セグメントが前期比で増収となった。利益面に関しては、中期経営計画「サステナV(バリュー)」で定める各種戦略を着実に遂行するなか、機能強化を推進したこと、産業資材セグメントにおいて連結子会社の工場稼働率が向上したこと、電子・デバイスセグメントのデバイス分野において在庫バランスが改善したことなどにより、営業利益率は前期比0.4ポイント改善した。なお、経常利益に関しては、在外子会社における現地通貨安の影響を受け為替差損が増加したことなどが影響したほか、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、前期に賃貸ホテル及び投資有価証券の売却益を特別利益として計上していたことの反動があった。セグメント別の業績は以下のとおりである。(1) 建材セグメント売上高は前期比4.9%増の61,017百万円、セグメント利益は同15.0%減の1,671百万円となった。売上高を分野別に見ると、建設資材分野は同7.7%増の34,464百万円、住宅資材分野は同0.5%増の3,507百万円、断熱資材分野は同2.5%増の9,013百万円、再生可能エネルギー資材分野は同2.1%増の14,019百万円と拡大した。建設資材分野は、既存事業の案件獲得が堅調であったことに加え、2023年6月に連結子会社化した岩水開発が通期で業績寄与(前期は8ヶ月分)したこともトップラインを押し上げた。住宅資材分野、断熱資材分野、再生可能エネルギー資材分野については、製品やサービスの機能強化を積極的に推進し、いずれの分野も増収を確保した。他方で利益面については、建設資材分野の一部大型案件において収益性が当初の想定を下振れたことに加え、間接経費の増加も響き、減益となった。(2) 産業資材セグメント売上高は前期比4.7%増の17,998百万円、セグメント利益は同49.0%増の1,054百万円となった。売上高を分野別に見ると、樹脂関連資材分野は同8.0%増の9,894百万円、繊維関連資材分野は同1.0%増の8,103百万円だった。樹脂関連資材分野は、自動車、電子機器、精密機器向けの部材や物流資材の受注が増加した。繊維関連資材分野はトラック資材を中心とする重布関連の需要が持ち直し、防衛省向け装備品の案件も増加した。また、同社は2024年1月に高島インダストリーズ(株)を設立し、意思決定の迅速化や経営資源の効率的な配分などを図る体制を整備しており、産業資材セグメントにおけるポートフォリオの選択と集中を着実に進めている。利益面については、増収効果や構造改革による事業運営の質的な転換に加え、連結子会社の工場稼働率が向上したことによりコスト効率が改善し、大幅増益を実現した。(3) 電子・デバイスセグメント売上高は前期比4.9%増の15,514百万円、セグメント利益は同77.0%増の727百万円となった。売上高を分野別に見ると、デバイス分野は同11.0%増の6,812百万円、アセンブリ分野は同0.5%増の8,688百万円だった。日本国内の民生電子機器市場及び白物家電市場は依然として本格的な需要回復には至っていないものの、コロナ禍以降に積み上がっていた部品在庫の出荷が進み、在庫解消が進んだことが増収増益に寄与した。2. 財務状況2025年3月期末時点の資産合計は、前期末比365百万円減の60,044百万円となった。このうち流動資産は同2,526百万円減の41,351百万円となった。これは主に、現金及び預金が3,291百万円、売上債権(受取手形+売掛金+電子記録債権)が2,626百万円それぞれ減少したことによる。固定資産は同2,162百万円増の18,693百万円となった。これは主に有形固定資産が1,684百万円増加したことによる。負債合計は前期末比710百万円減の36,120百万円となった。このうち流動負債は同4,541百万円減の27,808百万円となった。これは主に短期借入債務(短期借入金+1年内償還予定の社債+1年内返済予定の長期借入金)が1,615百万円増加した一方で、仕入債務(支払手形及び買掛金+電子記録債務)が4,565百万円、未払法人税等が2,026百万円それぞれ減少したことによる。固定負債は同3,830百万円増の8,311百万円となった。これは主に長期借入債務(社債+長期借入金)が3,547百万円増加したことによる。純資産合計は同346百万円増の23,924百万円となった。これは利益剰余金が親会社株式に帰属する当期純利益の計上により146百万円、為替換算調整勘定が756百万円それぞれ増加したことによる。安全性については、自己資本比率が39.8%(前期末は39.0%)、流動比率が148.7%(同135.6%)、固定比率が78.1%(同70.1%)となった。固定比率に関しては、前期末から上昇したものの依然として健全な水準であることに変わりはない。流動比率は前期末から改善している。固定比率、流動比率ともに健全な値であり、長短の手元流動性に問題はないと弊社は考える。また、固定比率に関しても、企業価値の向上を目的に戦略投資を積極化していることなどが要因であり、基本戦略を着実に実行している結果である。将来の成長に向けた投資を積極的に行いつつ、財務の健全性を維持していると言えるだろう。自己資本比率に関しては、前期末から改善しており、問題のない水準であると弊社は見ている。2025年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,740百万円の支出となった。主に、税金等調整前当期純利益を計上した一方で、法人税等の支払、仕入債務の減少による。投資活動によるキャッシュ・フローは1,282百万円の支出となった。主に、連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得、貸付けによる支出により減少したことによる。財務活動によるキャッシュ・フローは419百万円の収入となった。主に短期借入金の増加により増加したことによる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:04
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(3):省エネ化・省力化で顧客に貢献する「サステナの先進商社」(2)
*13:03JST 高島 Research Memo(3):省エネ化・省力化で顧客に貢献する「サステナの先進商社」(2)
■会社概要d) 再生可能エネルギー資材1994年から再生可能エネルギー分野に先駆けて取り組み、住宅用太陽光発電システム市場において業界トップクラスの実績を誇る。産業用・住宅用太陽光発電システムや蓄電池・自社開発架台などの創蓄に関わる商材を包括的に取りそろえており、将来的なEV時代の本格的な到来を見据えて、V2H(電気自動車に蓄積された電力を家庭用として有効活用する考え方)やソーラーカーポートの販売にも注力する。2022年12月には、太陽光発電システム及びV2Hの工事施工を全国で手掛ける新エネルギー流通システム(株)を子会社化して、事業機会の拡大を図っている。また、2024年8月に(株)DGキャピタルグループ傘下の事業会社である(株)DGパワーシステムとデジタルグリッド技術の普及に向け、合弁で(株)DG Takashimaを設立した。これまでも高島<8007>は、デジタルグリッド技術の普及を目的にDGキャピタルグループとの資本提携を進めてきたが、今後、同技術をさらに普及させるため、デジタルグリッドルーターの開発及び製造を行っているDGパワーシステムと合弁会社を設立した。「電力のインターネット化」を可能とするデジタルグリッド技術は市場の黎明期にある。今後、需要の高まりが予想されるグリッドフォーミング機能を有するインバーターであるデジタルグリッドルーターの製造及び供給・販売を手掛けることにより、市場を黎明期から普及期、成長期へと拡大し業績向上を目指す。(2) 産業資材セグメント売上高構成比は19.0%で、建材セグメントに次ぐ事業セグメントとなっている。「樹脂関連資材」「繊維関連資材」の2分野で構成されており、バリューチェーンの設計・製造から加工・販売まで幅広い範囲にわたって顧客に価値を提供している。同セグメントの顧客や提供している機能は分野ごとに様々で、自動車メーカーや電機メーカーに対して同社グループで緩衝設計した物流資材(部品輸送用樹脂トレイなど)を提供するほか、官公庁向け繊維製品やアパレル向け機能性繊維・アパレルOEM生産を展開している。a) 樹脂関連資材合成樹脂から環境配慮樹脂まで幅広く原料や製品を取り扱い、製造メーカー向けに製造部品の梱包用樹脂成型トレイ(工程間・出荷時の輸送など)や省エネ化・省力化をキーワードとした鉄道車輌向け内外装部材を設計・組立・複合加工機能を発揮し提供しているほか、耐熱・高強度など高い機能を有した素材・製品を国内外から調達・加工し提供することで、顧客のニーズに合わせたモノづくりに貢献している。また、グループ会社ではタクセル(株)が、樹脂成型品の製造・販売を行っている。近年は自動車や電機向けなどの一般工業品に加え、医療品分野への投資を積極的に推進している。b) 繊維関連資材同社の祖業である重布(合繊帆布・装飾テント・トラック幌などの産業用繊維)などの繊維資材をはじめ、コンテナバッグや防衛省向け繊維製品の販売、国内の大手小売企業に対するアパレル製品のOEM生産提案を行っている。また、グループ会社のハイランド(株)で、縫製加工製品の開発・製造・販売を行っている。(3) 電子・デバイスセグメント売上高構成比は16.4%となっている。香港にヘッドクォーターを構えるiTak (International) Limitedを中心とするiTakグループとして、主にアジアで展開するメーカーより顧客ニーズに沿った電子部品を調達し販売する「デバイスビジネス」、iTakグループ自らがメーカーとしてそれらの電子部品を搭載した基板実装を行う「アセンブリビジネス」を展開している。国内外に事業所7拠点(駐在事務所除く)、自社工場2ヶ所(タイ、ベトナム)を構え、各拠点が強く連携することで1つの事業体としてアクティブに活動し、アジア主要各国をカバーしている。顧客の開発・生産・購買拠点に近接する事業所からモノづくりをグローバルにサポートできる点がiTakグループの特長となっている。「サステナV(バリュー)」では、タイ及びベトナムの自社工場に投資を実行し、チャイナプラスワンとして製造拠点を探している顧客のニーズに対応する方針を掲げている。a) デバイスコンシューマー製品から車載用機器・産業用機器までの幅広い用途の液晶ディスプレイや、音響部品(マイクロホン・スピーカー・レシーバーなど)、半導体やコンデンサ・リレー(継電器)といったパワーエレクトロニクス関連部品などを取り扱っている。アジアを中心としたメーカーより調達し、納期コントロール・在庫管理・部品品質管理などを組織的に行うことで、顧客へのサポート力を生かしたビジネスを展開している。b) アセンブリ2017年に設立した自社工場であるタイのチョンブリ工場を活用し、基板実装を行う製造受託ビジネス(EMS)を設計段階から量産までトータルで提供している。電子部品商社をバックグラウンドとしながらもメーカーとしての機能も持ち、「商社+メーカー」として競争力のある商材を提供できる体制を構築しており、タイの自社工場での生産によって白物家電などの省エネ・インバーター化にアセンブリで貢献している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:03
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(2):省エネ化・省力化で顧客に貢献する「サステナの先進商社」(1)
*13:02JST 高島 Research Memo(2):省エネ化・省力化で顧客に貢献する「サステナの先進商社」(1)
■会社概要1. 会社概要高島<8007>は、「事業を通じて社会に貢献する」という企業使命の下、1915年に創業した機能商社である。機能商社とは「過度に広範な市場展開を追求するのではなく、ターゲット市場における顧客価値の追求を重視する」ことを基本姿勢とし、顧客にとって真に必要な機能・ソリューションをテーラーメイドで提供することで、より高い収益性を実現するビジネスモデルのことである。また、国内・海外ともに多くの事業拠点を構えている点も、顧客への価値提供を実現するうえで重要なポイントとなっている。2025年6月末時点の同社グループは、同社及び連結子会社31社(うち海外6社)、関連会社3社で構成されている。加えて協力工場・パートナー企業なども国内・アジアに多く抱え、顧客のビジネスをグローバルにサポートしている。2. 事業内容同社は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3つで事業を展開している。2025年3月期のセグメント別売上高構成は、建材セグメントが64.5%、産業資材セグメントが19.0%、電子・デバイスセグメントが16.4%となった。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまで幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化・省力化に貢献するとともにサステナビリティ社会の実現に寄与している。(1) 建材セグメント売上高構成比で64.5%(2025年3月期。以下同)を占める中核事業で、「建設資材」「住宅資材」「断熱資材」「再生可能エネルギー資材」の4分野で構成されている。大型・非住宅建築物、住宅建築物向け壁材、基礎杭工法、断熱材、太陽光パネル関連資材、インテリアなど、建設・建装に関わる様々な商材・ソリューションを取りそろえている。全国規模の販売・工事ネットワークを生かして、企画・設計から施工までバリューチェーン全体にわたって顧客をサポートしている。商流をデザインし、顧客価値を創出する事例としては、ハウスビルダー向け断熱材フルプレカットが挙げられる。物件ごとに割付(断熱材の取り付け位置・寸法を決める詳細な図面を作成すること)図に基づく「加工」を行い、加工後の断熱材を施工現場に個別配送する。同社が加工・物流機能まで担うことで、工事現場の省力化と工期の短縮を実現している。また今後は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」の下で、将来的な需要拡大が見込まれる再生可能エネルギー資材に注力する方針だ。具体的には、太陽光発電・EV関連に積極投資していく。その一例として、2022年12月に買収した新エネルギー流通システム(株)、2025年2月に傘下に加えたサンワホールディングスが挙げられる。両社が持つ工事施工機能と高島の持つ販売機能を組み合わせ、ソリューション提供能力をさらに向上していく。a) 建設資材大型物流施設や工場を主とした非住宅建築物で使用する高機能な建設資材(壁材・耐火被覆材など)やパイル・土木資材(基礎杭、地盤改良工法、EDO-EPS工法、プラスチック製地下貯留浸透ブロックなど)をはじめとする各種商材を顧客のニーズに合わせて提供している。全国規模の販売・工事ネットワークを活用し、設計検討段階から工事・施工の段階まで、バリューチェーンのすべての工程で顧客の業務効率化に貢献するソリューションを提供している。2023年6月には、地盤改良・地盤調査に関して、設計・施工まで一貫して対応できるトータルソリューションの提供により、中四国においてリーディングカンパニーの地位を確立している岩水開発(株)を完全子会社化している。このM&Aにより、同社が持つ設計・施工機能が強化され、顧客提供価値がさらに高まっている状況だ。b) 住宅資材ZEHをはじめ、多様化する住宅に対応し、住環境の安全性・快適性・省エネ性の向上に欠かせない商材(外壁材・屋根材・オール電化商材・断熱材)に加え、各種カウンター(キッチンカウンターや洗面化粧台向け人工大理石)の加工や施工、内装に関わる様々な商材を提供している。その他、ハウスビルダー向けに断熱材をフルプレカットし、割付・加工・物流機能を同社が担うことで、工事現場における採寸・カット・廃棄作業の省力化に寄与している。c) 断熱資材断熱分野での長年の実績により培った豊富な知識と経験を生かし、多彩で高機能な断熱材・工法を提案している。具体的には、食品工場・物流倉庫などの非住宅建築物に冷凍・冷蔵空間を実現する断熱パネルを供給しているほか、住宅建築物に多彩で高機能な断熱材・工法を提供し、省エネ化に寄与している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:02
注目トピックス 日本株
高島 Research Memo(1):2026年3月期は営業利益過去最高更新を目指す
*13:01JST 高島 Research Memo(1):2026年3月期は営業利益過去最高更新を目指す
■要約高島<8007>は、建材セグメント、産業資材セグメント、電子・デバイスセグメントの3セグメントで事業を展開している。バリューチェーンの上流工程である企画・設計から下流の施工・サポートまで幅広い範囲にわたって顧客ニーズに合わせて商流をデザインし、顧客の省エネ化、省力化に貢献するとともに、サステナビリティ社会の実現に寄与している「サステナの先進商社」である。直近12年間の親会社株主に帰属する当期純利益は10億円以上と安定した業績で、堅実な収益基盤と財務基盤を構築している。同社は、中期経営計画「サステナV(バリュー)」の下、戦略的投資の実行による持続的成長企業への転換に注力している。同計画においてはROE(自己資本当期純利益率)を8.0%以上、ROIC(投下資本利益率)を6.0%以上と具体的に設定しており、資本コストを意識した事業活動・投資活動を行うなかで、今後のさらなる企業価値向上が期待される。1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の94,503百万円、営業利益が同21.8%増の2,129百万円、経常利益が同1.0%増の2,024百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同67.6%減の1,566百万円となり、売上高・営業利益ともに期初計画を上回って着地した。売上面は、建材、産業資材、電子・デバイスとすべての事業セグメントが前期比で増収となった。利益面に関しては、中期経営計画「サステナV(バリュー)」で定める各種戦略を着実に遂行するなか、機能強化を推進したこと、産業資材において連結子会社の工場稼働率が向上したこと、電子・デバイスのデバイス分野において在庫バランスが改善したことなどにより、営業利益率は同0.4ポイント改善した。なお、経常利益に関しては、在外子会社における現地通貨安の影響を受け為替差損が増加したことなどが影響したほか、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、前期に賃貸ホテル及び投資有価証券の売却益を特別利益として計上していたことの反動が出た。2. 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比16.4%増の110,000百万円、営業利益で同22.1%増の2,600百万円、経常利益で同28.4%増の2,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同21.3%増の1,900百万円と増収増益の見通しである。売上高はすべての事業セグメントで2ケタ増収の計画であり、既存事業の拡大に加え、建材セグメントにおいて2025年2月に子会社した(株)サンワホールディングスの連結効果も見込まれる。利益面については、不透明な外部環境を考慮してやや保守的な計画としているものの、営業利益は増収効果や組織再編による業務効率化の進展などにより拡大し、過去最高益を更新する見通しである。事業セグメント別の業績計画については、建材セグメントは売上高が同14.7%増の70,000百万円、セグメント利益が同43.6%増の2,400百万円、産業資材セグメントは売上高が同11.1%増の20,000百万円、セグメント利益が同4.3%増の1,100百万円、電子・デバイスセグメントは売上高が同28.9%増の20,000百万円、セグメント利益が同3.8%減の700百万円である。3. 中長期の成長戦略同社は2023年3月に中期経営計画「サステナV(バリュー)」(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。超長期的な目標として2050年に「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げ、市場の成長機会を捉えた価値創造により、サステナ社会への適応と持続的成長を同時に実現することを目指している。数値目標としては、2026年3月期に連結売上高1,100億円、親会社株主に帰属する当期純利益19億円、ROE8%以上、ROIC6.0%以上などを掲げている。各事業のキャッシュや政策保有株式売却などにより創出したキャッシュと、外部資金を有効に活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを高める。また、同社は積極的な株主還元策を展開しており、2024年8月に2年間の限定措置として配当性向を80%以上、総還元性向を100%に設定する新たな方針を発表している。2026年3月期の年間配当金は前期比4.0円増の90.0円、配当性向は81.2%の計画である。あわせて自己株式取得を予定しており、総還元性向は100%と、株主に対する積極的な利益還元を継続する見通しである。■Key Points・2025年3月期は売上高・営業利益ともに期初計画を上回って着地、機能強化を着実に推進・2026年3月期は既存事業の強化及びM&A効果により、過去最高の営業利益を目指す・2026年3月期の配当性向は81.2%、総還元性向は100%の見通し。積極的な利益還元を継続へ(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
<HN>
2025/07/03 13:01
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は小幅に3日続落、コナミGが1銘柄で約24円分押し下げ
*12:36JST 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は小幅に3日続落、コナミGが1銘柄で約24円分押し下げ
3日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり104銘柄、値下がり120銘柄、変わらず1銘柄となった。日経平均は小幅続落。29.85円安の39732.63円(出来高概算8億5323万株)で前場の取引を終えている。前日2日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は10.52ドル安の44484.42ドル、ナスダックは190.24ポイント高の20393.13で取引を終了した。ADP雇用統計が予想外に減少したため、景気減速が警戒されたが、エヌビディア(NVDA)などの反発がけん引しナスダックは上昇に転じた。通商交渉進展やトランプ政権の大型減税成立期待にダウも下げ止まり。トランプ大統領がベトナムと関税政策を巡り合意に達したと明らかにすると、相場は一段高、ダウは下げ幅を縮小した。ナスダックやS&P500種指数は過去最高値を更新し終了。米株市場を横目に、本日の日経平均は34.27円高の39796.75円と3日ぶり反発して取引を開始した。ナスダック総合指数・主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇したことが、東京市場でハイテク株や半導体関連株の株価支援要因となった。また、日経平均が昨日までの2日間で720円あまり下落しており、押し目待ちや自律反発狙いの買いが入りやすかった。一方、昨日の海外市場で米長期金利が強含みで推移したことが重しとなったほか、引き続き日米関税交渉の先行き不透明感が意識され、投資家心理を慎重にさせたこともあり、指数は前日終値付近でもみ合う展開となった。個別では、川崎重工業<7012>や三菱重工業<7011>、IHI<7013>などの防衛関連が軟調に推移。また、ソフトバンクグループ<9984>、サンリオ<8136>、良品計画<7453>、ソニーグループ<6758>、日立<6501>などが下落した。ほか、第1四半期営業減益で計画比未達となったダイセキ<9793>が大幅安、フジHD<4676>、日本テレビホールディングス<9404>、シンフォニアテクノロジー<6507>などが値下がり率上位となった。一方、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>などの一部の半導体関連株が堅調に推移。郵船<9101>や川崎汽船<9107>などの海運株が堅調に推移。また、ファーストリテ<9983>、フジクラ<5803>、任天堂<7974>、トヨタ自動車<7203>、ソシオネクスト<6526>、三菱商事<8058>などが上昇した。また、ハンター症候群治療酵素製剤で良好な試験結果と発表したJCRファーマ<4552>が大幅高、曙ブレーキ<7238>、メイコー<6787>、古河機金<5715>などが値上がり率上位となった。業種別では、倉庫・運輸関連業、建設業、情報・通信業などが値下がり率上位、鉄鋼、非鉄金属、輸送用機器などが値上がり率上位に並んでいる。値下がり寄与トップはコナミG<9766>となり1銘柄で日経平均を約24円押し下げた。同2位はソフトバンクG<9984>となり、良品計画<7453>、KDDI<9433>、中外薬<4519>、バンナムHD<7832>、テルモ<4543>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約40円押し上げた。同2位はアドバンテスト<6857>となり、ファーストリテ<9983>、三井物<8031>、信越化<4063>、三菱商<8058>、スクリーンHD<7735>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価 39732.63(-29.85)値上がり銘柄数 104(寄与度+184.80)値下がり銘柄数 120(寄与度-214.65)変わらず銘柄数 1○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<8035> 東エレク 26995 410 40.91<6857> アドバンテ 10515 90 23.95<9983> ファーストリテ 48250 230 18.36<8031> 三井物産 3035 78 5.19<4063> 信越化 4803 29 4.82<8058> 三菱商事 2953.5 45.5 4.54<7735> SCREEN 11620 330 4.39<5803> フジクラ 7690 125 4.16<4901> 富士フイルム 3087 38 3.79<7741> HOYA 16805 225 3.74<6479> ミネベアミツミ 2178.5 112.5 3.74<6981> 村田製作所 2145 44 3.51<6762> TDK 1612.5 7 3.49<7203> トヨタ自動車 2485.5 20 3.33<7974> 任天堂 13100 100 3.33<6902> デンソー 1951.5 23.5 3.13<7267> ホンダ 1436.5 15 2.99<6526> ソシオネクスト 2761 89 2.96<6976> 太陽誘電 2580 87 2.89<6146> ディスコ 41350 420 2.79○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9766> コナミG 20365 -750 -24.95<9984> ソフトバンクG 10620 -105 -20.96<7453> 良品計画 6530 -402 -13.37<9433> KDDI 2469.5 -30 -11.97<4519> 中外製薬 6998 -113 -11.28<7832> バンナムHD 4694 -102 -10.18<4543> テルモ 2482 -36.5 -9.71<6758> ソニーG 3635 -41 -6.82<2282> 日本ハム 4907 -254 -4.22<4568> 第一三共 3256 -42 -4.19<4578> 大塚HD 6783 -124 -4.12<6098> リクルートHD 8177 -40 -3.99<4507> 塩野義製薬 2511.5 -40 -3.99<8830> 住友不動産 5544 -115 -3.83<6501> 日立製作所 4037 -111 -3.69<8253> クレディセゾン 3903 -111 -3.69<8267> イオン 4416 -93 -3.09<9843> ニトリHD 13720 -180 -2.99<4704> トレンドマイクロ 9605 -79 -2.63<4307> 野村総合研究所 5536 -75 -2.49
<CS>
2025/07/03 12:36
注目トピックス 日本株
良品計画---大幅続落、6月既存店の伸び鈍化をマイナス視
*12:21JST 良品計画---大幅続落、6月既存店の伸び鈍化をマイナス視
良品計画<7453>は大幅続落。前日に6月の月次動向を発表している。国内既存店売上高は前年同月比7.1%増となり、17カ月連続で前年を上回っている。客数が同5.7%増となったほか、客単価も同1.3%上昇。ただ、前月の12.2%増から伸び率は鈍化、25年8月期に入って最も伸長率は低下しており、利食い売り圧力を強めさせる形となっているようだ。なお、土日祝日が1日少なかったことで、2ptのマイナス影響があったと試算している。
<ST>
2025/07/03 12:21
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(10):2026年3月期は1株当たり230.0円の大幅増配を予定
*12:10JST 三井松島HD Research Memo(10):2026年3月期は1株当たり230.0円の大幅増配を予定
■株主還元策三井松島ホールディングス<1518>は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の1つとして位置付けており、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続的に行うことを基本方針としている。この基本方針に基づき、普通配当ベースで19期減配なく配当を実施している。2025年3月期の1株当たり年間配当金は前期比30.0円増配の130.0円であった。期初の予想と比較すると期末配当を30.0円増配しており、同社の株主還元を重視する姿勢が見て取れる。2026年3月期の配当に関しては、1株当たり230.0円(中間115.0円、期末115.0円)の大幅増配を予定している。同社は、株価上昇施策として2つの明確な目標を掲げている。第一に、早期にPBR1倍以上を達成すること。第二に、長期的かつ持続的な株価上昇への市場の期待値を高めることである。これらの目標に向けて、同社は資本政策及び株主還元策において3つの施策を講じている。まず一つ目に、2025年3月期の年間配当130.0円から2026年3月期には230.0円へと100円の増配を実施することで、大幅な株主還元を目指している。加えて、累進配当の導入により、将来にわたる安定的かつ拡大的な配当政策を採用する体制を整えている。二つ目に、総額200億円、上限株式数400万株という大規模な自己株式取得枠を設定している。この株数は自己株式を除いた発行済み株式数の約35%に相当する水準であり、市場動向に応じた柔軟な取得が可能となっている。なお、取得期間は2025年6月2日〜2026年6月1日としている。三つ目に、2025年10月1日付で普通株式1株を5株に分割する株式分割を実施する予定である。これにより、1単位当たりの投資金額が引き下げられ、個人投資家を含むより広範な投資家層へのアクセス向上及び市場での流動性向上が期待される。これらの施策が同社の総還元性向の飛躍的上昇にも寄与している点は特筆に値する。一方で、株主優待制度についても積極的な展開を続けている。2025年3月31日現在の株主に対しては、保有株数に応じて以下の優待が贈呈される。具体的には、HANABISHIのオーダースーツお仕立てギフト券(10,000円分)、オーダーシャツお仕立てギフト券(2,000円分)、三井港倶楽部およびラ・ロシェル3店舗で利用可能なレストランご優待券(3,000円分)、さらに株式会社ケイエムテイが提供するプレミアムペットフードご優待券(3,080円相当)など、多様な優待内容を用意している。加えて、2025年9月30日現在の株主に対しては、HANABISHIのオーダー製品が20%割引となる特別割引クーポンが贈呈される。株主優待制度については、2026年3月期より一部変更が実施されており、年間を通じて株主に対する優待提供の機会が拡充され、長期保有を促す施策としても機能していると弊社では考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:10
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(9):エム・アール・エフが通期で業績に寄与
*12:09JST 三井松島HD Research Memo(9):エム・アール・エフが通期で業績に寄与
■今後の見通し● 2026年3月期の業績見通し2026年3月期の連結業績について三井松島ホールディングス<1518>は、売上高で前期比8.1%増の65,500百万円、営業利益で同7.7%増の8,200百万円、経常利益で同4.1%減の8,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同32.9%減の5,800百万円としている。売上高及び営業利益のいずれにおいても増収増益が見込まれており、その主因としては、2025年3月期第2四半期より連結対象となったエム・アール・エフが通期で業績に寄与することが挙げられる。加えて、日本ストロー、MOS、三生電子など、主要な事業会社が好調な受注を継続していることから、いずれのセグメントにおいても前期実績を上回る増収が見込まれている。これにより、連結ベースでの売上げ拡大が支えられる形となっている。ただし、生活消費財セグメントに関しては、明光商会において研究開発費が増加していることから、前期実績に対して減益となる見通しである。一方、産業用製品セグメント及び金融その他セグメントでは、売上げの増加に伴って利益面でも前期を上回る増益が見込まれており、全体としてはセグメント間でバランスの取れた成長が期待される構造となっている。なお、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益については、前期における特殊要因であるリデル炭鉱譲渡による特別利益の反動減により減益が予想されている。各事業セグメントにおいて堅調な拡大が見込まれており、一過性の特殊要因を除いた純粋な収益性は順調な成長を遂げていると弊社では見ている。また、政府が検討しているM&Aにおける「のれん」償却の不要化は、同社の業績に大きなプラスの影響をもたらす可能性がある。2025年3月期に計上されたのれん償却額は1,153百万円であり、この制度が導入されれば、当期純利益に対して同額のプラス効果が期待される。従来、M&Aによって取得した企業ののれんは、一定期間で償却されるため、利益計上に対する圧迫要因となっていた。しかし、償却不要となれば、企業はより積極的にM&Aを推進でき、成長機会を逃すことなく活用できる。また、財務諸表上の利益が安定することで、投資家に対しても企業の実力を正確に伝えることが可能となる。一方で、のれんを償却せずに貸借対照表に計上し続けることには慎重な意見も存在する。リーマンショックのような大規模な経済危機が発生した場合、のれんの価値が毀損し、多額の減損損失を計上せざるを得ないリスクがある。しかし、これは適切なリスク管理と定期的な資産評価を行うことで、十分に対応可能であると弊社では考える。■中長期の成長戦略経営戦略2024は早期達成が見込まれる。株主還元の強化とM&Aを中心とした成長戦略に注力1. 経営戦略2024(2025年3月期~2027年3月期)2024年3月期をもって石炭関連事業が終了したことを受け、2025年3月期からは、これまで新たな収益基盤として確立してきた「生活消費財」「産業用製品」「金融その他」の各セグメントにおいて利益を積み上げるとともに、引き続きM&Aを中心とした成長戦略を推進し企業価値の向上を目指す。具体的には、2027年3月期までの3年間を計画期間とし、既存事業の成長とM&Aによって当期純利益で50億円以上を継続的に計上できる収益構造を構築する方針だ。M&Aに関しては、引き続き「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった基本方針のもと、いたずらに数を追うことはせず、資本コストと投資リターンを慎重に見極めながら、株主の期待リターンを上回ることができる案件に取り組んでいく。また、経営戦略2024では、PBR1倍以上、ROE8%以上という目標を対外的に掲げ、資本コストと資本収益性を意識しながら事業活動を遂行していく。既存事業の成長とM&Aによって利益を積み上げていくことはもちろん、資本コストを超える投資案件がない場合には配当や自社株買いなどによって株主還元を拡充する方針だ。2024年3月期末時点のネット現預金216億円(リデル炭鉱終掘に関わる資産除去債務等に必要な資金約52億円を控除した金額)をM&Aと株主還元に積極的に振り向けながら、PBRとROEを高めていく。2. 進捗状況同社が2024年5月に公表した「経営戦略2024」は、早期の達成が見込まれる状況にある。当期純利益については、2027年3月期までに50億円以上を継続的に計上できる収益構造を構築することを目標として掲げているが、既に2025年3月期において当期純利益50億円超を達成しており、2026年3月期についても同水準の利益達成が想定されている。また、資本政策においては、2024年3月期末時点でのネット現預金216億円を、今後3年間でのM&A投資あるいは株主還元に積極的に活用する方針が示されているが、2025年3月期は総額150億円をM&A及び株主還元に充当したほか、2024年8月にはMM Investmentsにおいて株式投資事業を開始しており、2025年3月末時点の既投資額は230億円に達している。今後はPBR1倍以上に向けて株主還元策の強化を図るとともに、引き続きM&Aを中心とした成長戦略を推進していく方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:09
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(8):M&A効果で全セグメント好調、財務も良好な水準維持(2)
*12:08JST 三井松島HD Research Memo(8):M&A効果で全セグメント好調、財務も良好な水準維持(2)
■三井松島ホールディングス<1518>の業績動向2. 財務状況と経営指標2025年3月期末の資産合計は前期末比17,887百万円増加し117,627百万円となった。このうち流動資産は現金及び預金が25,368百万円減少した一方で、営業貸付金が35,254百万円増加したことなどにより8,401百万円増加した。固定資産は連結子会社の取得などに伴い、のれんが1,148百万円、投資有価証券が7,789百万円それぞれ増加したことなどにより、9,486百万円増加した。負債合計は同16,429百万円増加し、52,146百万円となった。このうち、流動負債は短期借入金が25,530百万円増加したことなどにより22,175百万円増加した。固定負債はリデル炭鉱の閉山に伴う引当金2,880百万円の減少などにより5,747百万円減少した。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによる株主資本の増加1,736百万円などで、同1,458百万円増加し65,481百万円となった。自己資本比率は55.5%(前期末は63.6%)と前期末比8.1ptの減少となったが、依然として高い水準を維持している。流動比率は162.3%(同289.7%)、固定比率は71.1%(同58.3%)となり、長短の手元流動性も特段の懸念はないと弊社は見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:08
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(7):M&A効果で全セグメント好調、財務も良好な水準維持(1)
*12:07JST 三井松島HD Research Memo(7):M&A効果で全セグメント好調、財務も良好な水準維持(1)
■三井松島ホールディングス<1518>の業績動向セグメント別の業績は以下のとおり。(1) 生活消費財売上高は前期比2.7%増の26,789百万円、セグメント利益は同55.3%増の2,373百万円となった。MOS、明光商会の売上げが堅調に推移したことにより増収増益を記録した。a) 日本ストロートピックスとして、海洋生分解性ストローが、大手コーヒーチェーンに採用された。本ストローは、(株)カネカと共同で量産技術を確立した「カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planet(R)」(カネカの登録商標)を原料としている。2025年1月より沖縄県内の全店舗で先行導入され、同年3月以降、全国の店舗でも順次展開される予定である。大手コーヒーチェーンによる採用を契機に、ほかのコーヒーチェーンや外食企業へも波及することが期待される。b) 明光商会売上高の堅調な増加によりセグメント業績に大きく寄与した。2026年3月期においては、研究開発費の増加を見込んでいるが、これはボイスコール製品のクラウド化対応を目的としている。同製品はこれまでオンプレミスが主流であったが、政令指定都市の自治体を中心にクラウド導入の要望が強まっており、2年がかりの開発を進めている。これが実現されれば、自治体のみならず中小規模の商業施設への導入拡大も期待できる。また、シュレッダー製品の製造は約8割をタイで行っているため、為替が円安・バーツ高となれば調達価格が上昇するが、足元では円高への振れが見られ、調達価格上昇が一定抑制される見通しである。c) ケイエムテイ2024年10月に実施されたアーテミス及びブリスミックスの価格改定に伴う、駆け込み需要の反動減により2024年11月から2025年1月にかけては一時的に売上高が減少したものの、業績はおおむね期初の見通しどおりに着地した。2025年4月以降、主力のドライフード以外に口腔内ケア商品等の開発・販売が進展し、為替の追い風もあり、業績は順調に推移している。d) システックキョーワ人口減少を背景に今後も戸建住宅市場の縮小が見込まれる中、主要事業の収益減を補う戦略的施策として、日本からタイ自社工場への製造移管によるコスト低減のほか、既存ビジネスの枠に縛られない新商品企画・開発を着実に実行することで、逆風の中においても前進を続け利益を確保していく方針である。e) MOSキャッシュレス決済の浸透、インバウンドの回復などの追い風を受け、業績は好調であった。主要事業である感熱レジロール加工販売において高い市場シェアを獲得しており、業界No.1企業として今後も業績は堅調に推移していく見通しである。(2) 産業用製品売上高は前期比96.6%増の29,640百万円、セグメント利益は同204.9%増の3,829百万円となった。ジャパン・チェーン・ホールディングスの子会社化を主要因として、大幅増収増益となった。a) CSTデバイスの液晶から有機ELへの切り替わりにより需要が増加、半導体/電子部品は用途別での波はあるものの、CSTの製品は顧客商品開発過程で消費されるため、最終商品の動向影響は比較的受けにくく、業績は安定して推移している。b) 三生電子三生電子と傘下のSaunders & Associatesについては、シリコンサイクルに連動して業績が動く構造にある。過去数年は市況が低調であり影響を受けたものの、足元では反転の兆しが見えている。Saunders & Associatesでは、製造装置のなかにつかわれる計測器等を主にアジア市場に向けて販売しているが、足元の関税政策が緩和傾向に動いていることから、市場環境は好転している。c) 日本カタン足元では電力会社各社が燃料費の高止まりや電力価格の抑制圧力を受けて収益環境の不透明感が増しているものの、日本カタンの受注動向に影響は出ていない。これは、政府の意向で電力供給の安定化を図るべく地域間連携線の新設を含む全国大での送電ネットワークの増強を進めていること、また建設された送電線は老朽化により順次更新が不可避であり、この需要が安定した受注を下支えしているためである。日本カタンの取引はレベニューキャップ制度のもと、電力会社の作成する5ヶ年計画に基づいており、今期についても既に通期計画の6割程度の受注が確保されている。2022年の買収以降、こうした構造的な需要に支えられて、安定した事業運営が続いている。d) プラスワンテクノ計量装置大手が参入しないコンマ単位の軽量領域というニッチ市場で高い技術力を武器にトップシェアを誇っており、業績は堅調に推移している。e) ジャパン・チェーン・ホールディングス米国市場での販売を拡大しており、利益貢献が顕著であった。足元では、トランプ政権下の鉄鋼・アルミ関税の影響を受け、ジャパン・チェーン・ホールディングスの製品にも50%の関税が課されている。しかし、米国内で製造されたチェーン製品も、原材料である鉄などを他国から輸入しているため、価格は同様に上昇している。そのため、競争条件に大きな差はなく現時点では受注状況には影響が出ていないものの、引き続き状況を注視している。(3) 金融その他売上高は前期比154.8%増の4,206百万円、セグメント利益は同711.5%増の1,412百万円となった。エム・アール・エフの子会社化が寄与し、大幅増収増益となった。a) エム・アール・エフ2024年10月に東京支店が開設され、当初4人体制でスタートし、足元では6人体制に拡充されている。不動産単価が高い東京においては、1件当たりの取引額も大きく、既に利益貢献が始まっている。今後はさらなる人員拡充を計画している。なお、エム・アール・エフの取得により短期借入金は増加したが、資金調達は主に地方銀行からのものであり、約360億円の貸付に対して約250~260億円の借入と約100億円の純資産で賄っている形だ。この借入金は貸付金の返済見合いによるものであり、設備資金のようなほかの借入金とは明確に性質が異なる。b) MM InvestmentsM&Aの拡充・発展を目的として、2024年8月より上場株式投資を開始している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:07
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(6):石炭事業に代わる安定的な事業ポートフォリオの構築が進む
*12:06JST 三井松島HD Research Memo(6):石炭事業に代わる安定的な事業ポートフォリオの構築が進む
■三井松島ホールディングス<1518>の業績動向1. 2025年3月期の業績概要2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比21.8%減の60,574百万円、営業利益が同69.7%減の7,615百万円、経常利益が同67.5%減の8,448百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.8%減の8,645百万円となった。売上高は、ジャパン・チェーン・ホールディングス及びエム・アール・エフの子会社化が寄与した一方、主力事業の1つであった石炭事業の終了により全体として減収となった。営業利益は、売上高と同様に石炭事業の終了が影響し減益となった。2025年3月期において、同社はM&A投資を中心とする成長戦略を着実に実行した。2024年7月には、事業者向け不動産担保融資を主たる業務とするエム・アール・エフを子会社化し、金融事業分野への事業基盤拡張を進めた。また2024年8月には、M&A活動をさらに拡充・発展させる目的で、MM Investmentsにおいて上場株式投資を開始している。これらの取り組みは、同社のポートフォリオ多様化と持続的成長の土台強化に寄与するものと位置付けられる。また、豪州におけるリデル炭鉱の権益については、2024年11月にGlencore Coal Pty Limitedへ譲渡した。該当炭鉱は既に生産を終了しており、その権益譲渡によって特別利益として2,720百万円を計上している。同社にとって、2025年3月期は大きな転機となる期であった。石炭事業からの撤退が完了したことにより、新たな収益基盤の確立に向けた構造転換を進めてきたが、結果としてその歩みは当初想定よりも速いスピードで進展し、収益の柱となる事業が短期間で整った。特に、ジャパン・チェーン・ホールディングス及びエム・アール・エフという大型M&A案件が大きく寄与しており、今後は祖業からの収益構造の転換が加速していくと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:06
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(5):専門性ある中小企業群が収益の新たな柱に成長
*12:05JST 三井松島HD Research Memo(5):専門性ある中小企業群が収益の新たな柱に成長
■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容(2) 三生電子2020年4月に株式取得した三生電子では、水晶デバイス※用計測器・生産設備の製造販売、並びに関連するハードウェア・ソフトウェアの製造販売を行っている。1963年に創業し、水晶デバイス製造工程のうち組立てから検査まで幅広くカバーしたインラインシステムを構築できる国内唯一の装置メーカーである。顧客との強固な関係や価格競争力、高い技術力が強みである。2022年3月期より組み立て工程の前段階であるブランク工程も含めたインラインシステムを開発・販売開始しており、他社との一層の差別化を実現している。2024年1月には三生電子が米国に新たに設立したSansei America, Inc.,を通じて、Saunders & Associatesを買収。Saunders & Associatesのネットワークアナライザー(水晶振動子用の計測器)は精度の高さと使用の簡便さにより、国内だけでなく、中国、台湾、欧米など世界中の水晶デバイスメーカーで使用されている。これによって、三生電子の水晶デバイス業界におけるさらなるプレゼンスの向上とグループシナジーの創出を追求していく構えだ。※ 水晶の(逆)圧電効果を利用した電子部品。あらゆる電子機器に搭載され、特にスマートフォンなどの無線接続機器には必要不可欠。自動車のエレクトロニクス化や通信インフラ5G対応など、成長分野での用途拡大が見込まれている。水晶デバイス市場に関しては、シリコンサイクルに類似した動きをたどり、コロナ禍後の消費活動の変化や、世界的なインフレなどを受け、ここ数年は在庫調整局面が継続していたものの、足元では反転の兆しが出ている。先述した理由から中長期的には水晶デバイス用計測器・生産設備に対する需要は安定して推移するものと弊社は見ている。(3) 日本カタン2022年5月に株式取得した日本カタンは、鉄塔と送電線を連結する送電線用架線金具を取り扱っている。国内で架線金具の構成部品すべてを製造できるメーカーは2社のみで、日本カタンは国内高圧送電線用架線金具市場でトップシェアを誇る専門メーカーである。顧客である電力会社の製品規格に対応できる技術力と設計ノウハウを有し、長年にわたる顧客との信頼関係を築いている。これにより、他社が同等の地位を築くには多大な時間とコストを要する構造的優位性を有しているため、今後も高いシェアが継続すると見込まれる。政府はAI需要増による将来的な電力消費拡大対応、及び再生可能エネルギー普及のため次世代送電網整備計画検討を本格化させており、送電設備の工事需要は高水準で推移する見通しである。社内に引張試験機、疲労試験機、非破壊検査機等様々な試験設備を有しており、品質確保のための自社製品の試験のみならず、それら試験機を使用しての受託試験案件数も着実に伸びている。(4) プラスワンテクノ2023年8月に株式取得したプラスワンテクノは、同社初の九州地場企業に関わる事業承継案件としてグループに加わった。福岡県北九州市に本社を構え、計量装置製造を主体に、その周辺機器等の製造を手掛けており、計量装置大手が参入しないコンマ単位の軽量領域というニッチ市場でトップシェアを誇っている。ペットフード、保存食、インスタント味噌汁具材の計量・包装などに使用されており、日清食品ホールディングス<2897>、味の素食品(株)、カルビー<2229>、永谷園ホールディングス<2899>をはじめとする国内大手企業への納入実績が多数あるほか、海外企業への納入実績もある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら業績を拡大する方針だ。(5) ジャパン・チェーン・ホールディングス2023年12月に株式取得したジャパン・チェーン・ホールディングスは、傘下に(株)杉山チエン製作所、ゼクサスチェン(株)及びMAXCO Chain,Ltd.の3社を擁し(4社を総称して以下、「JCHグループ」)、産業用ローラーチェーン及びコンベヤチェーンの製造販売等を展開。JCHグループは、創業以来110年以上、国内外の様々な産業の顧客から高い信頼を獲得しており、特に動力機械伝達用のローラーチェーンにおいて国内外で高いシェアを獲得していることに加え、水処理施設向け等の大型コンベヤチェーンに関わる国内市場においてトップシェアを誇る。JCHグループの強みとしては、(1) 優れた疲労強度や破断強度等の耐久性を有し、国内外で評価が高い日本製チェーンを幅広いラインナップで展開していること、(2) 長年にわたり顧客と信頼関係を構築し、様々なニーズに対応できる高度なカスタマイズ能力を有していること、(3) 今後も成長が見込まれる世界最大の産業用チェーン市場であるアメリカで強固な販売ネットワークを有することなどがある。今後は、同社グループが持つ経営ノウハウを活用しながら生産活動のさらなる効率化などを推進し、トップラインの拡大と利益の積み上げを実現する方針である。また、ジャパン・チェーン・ホールディングスの地域別売上高を見てみると、米国からの売上げが相応に高く、同社は米国の力強い経済成長力を連結ベースの業績に取り込んでいく見通し。3. 金融その他(1) エム・アール・エフ2024年7月に株式取得したエム・アール・エフは、中小企業及び個人事業主向けの専門金融機関である。日本の企業の99.7%を占める中小企業や個人事業主に対し、事業運営に不可欠な資金繰り支援を提供しており、それぞれの経営課題に応じた最適な融資プランを迅速かつ柔軟に提案する体制が構築されている。主力業務である事業者向け不動産担保融資を中心に、地方銀行や信用組合といった競合との差別化を図りながら、専門知識を備えた営業スタッフによる課題解決力と幅広いネットワーク拠点を武器に事業を展開。2024年10月には東京支店を新設、さらなる顧客基盤の拡大を目指している。(2) MM InvestmentsMM Investmentsは、M&Aのさらなる拡充と発展を目的として設立された投資事業会社である。2024年8月より上場株式投資を開始し、M&Aの方針と同様に「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」を軸に、100%の株式を取得してもいいと思える企業をポートフォリオに組み入れている。株価が上昇すれば適切なタイミングでの売却により収益を確保し、下落局面では状況に応じて、100%子会社化を視野に入れた柔軟な投資戦略を展開している。これにより、同社グループとしての資産運用及び資本戦略の多様化が進められており、成長資金の確保とリスク分散の観点からも重要な役割を担っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:05
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(4):成長分野の買収先が市場変化に対応し収益貢献
*12:04JST 三井松島HD Research Memo(4):成長分野の買収先が市場変化に対応し収益貢献
■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容(4) システックキョーワ2021年2月に株式取得したシステックキョーワは、ドアストッパーや耐震ラッチ等の住宅関連部材の企画・製造・販売を行っている。日本およびタイに自社工場を保有しており、製品企画から金型製造、射出成形、転写加工、組立まで一貫してグループ内で生産を行うことができ、業界内で高いシェアを誇る。また、大手住宅・内装建材メーカーと直接取引により強固な関係を構築しており、商品の共同開発や特許の共同出願も行っている。足元では資材価格高騰などを背景とした住宅価格の高止まりにより新設住宅着工戸数が減少するなど、厳しい市場環境が続いている。今後は、システックキョーワの技術優位性を生かすことができる新市場の開拓を積極的に模索することにより業績の拡大を図る方針だ。(5) MOS2023年2月に株式取得したMOSは、レジスター機用レシートとして使用するレジスター・POSロール紙、食券や各種入場券等に使用する券売機ロール紙、来客順に対応するための番号札として使用する順番待ち受付番号用ロール紙など、各種サーマルロール紙を取り扱っている。サーマルロール(感熱)とは、熱を感知することで変色し、インク不要のため維持費が安く、レシートをはじめとする様々な用途に使用されている記録紙である。1962年創業のMOSは特に、感熱レジロールの加工販売において高い市場シェアを有し、業界第1位の地位を確立している。経済産業省が2025年3月に公表した調査結果によると、キャッシュレス決済の比率は、2010年の13.2%から2024年には42.8%になっている。そのなかでもクレジットカードが35.4%と多くの割合を占めている。キャッシュレス決済比率は政府目標である4割を達成しており、将来的には80%を目指し、必要な環境整備を進めていくとしている。このことから、今後もキャッシュレス決済比率は増加することが予想される。クレジットカード決済の際に発行されるレシートは利用者用、カード会社用、店舗用の合計3枚と現金決済に比べて多く、今後もMOSの感熱レジロールに対するニーズは堅調に推移することが見込まれる。加えて、2023年10月には三菱製紙<3864>の連結子会社(孫会社)である(株)カツマタから感熱紙の加工販売事業を譲り受けた。カツマタの感熱レジロールは大手コンビニエンスストアチェーン等で最終的に利用される分野に強みを有している。スーパー、ドラッグストアなどの販路を得意としてきたMOSは、今回の事業譲受でコンビニエンスストアという新たな販路を獲得した格好だ。今後、業績拡大スピードがさらに高まるものと思われる。2. 産業用製品(1) CST2017年2月に株式取得したCSTは、液晶パネル・有機EL・電子部品等の製造に用いられるマスクブランクス※の製造販売を行う。1977年に国内初のマスクブランクス専業メーカーとして創業し、国内外有力メーカー等優良な顧客基盤を保有している。CSTの製品は顧客商品開発過程で消費されるため、最終商品の動向影響は比較的受けにくく、業績は安定して推移している。※ 半導体等の回路パターンを描画するための素材で、版画の原版のような役割を担う。市場環境に関して、有機ELは近年スマホ等のデバイスが液晶から有機ELへの切り替わりが大幅に増加。有機EL発光材料蒸着用メタルマスク用途で大きなシェアを持っている。半導体/電子部品はシリコンサイクルと呼ばれる好況・不況のサイクルがあるものの、中長期的には安定して推移すると弊社は見ている。2022年半ばから世界的なインフレや地政学リスクの高まりなどを受け市場環境は軟調に推移してきたものの、足元では市場縮小に底打ちの兆しが見られる。5G、ビッグデータ、AI、IoTといった大きなトレンドは継続しており、これらのデジタル技術を支えるうえで半導体は重要な役割を担っていること、経済安全保障の観点等から自国での量産体制を整える政府方針があることなどから、中長期的に半導体に対するニーズは堅調に推移すると弊社は考える。実際、半導体の世界市場規模は、2015年の335,168百万米ドルから2023年には526,885百万米ドルに成長し、さらに2025年には697,184百万米ドルまで拡大すると予想されている※1。また日本製半導体製造装置の販売高についても、2020年度の23,835億円から2026年度には51,249億円に拡大すると予想されている※2。※1 出所:世界半導体市場統計(WSTS)※2 出所:(一社)日本半導体製造装置協会(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:04
注目トピックス 日本株
三井松島HD Research Memo(3):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中
*12:03JST 三井松島HD Research Memo(3):M&Aにより収益基盤の多様化・安定化を推進中
■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容同社の祖業であった石炭事業について、豪州における既存鉱区の終掘に伴い、エネルギー事業のうち石炭の生産及び販売分野を2024年3月期で終了したが、これまでに実行したM&Aにより事業ポートフォリオの多様化が進んだことから、事業の実態をより適切に示すために報告セグメントを2025年3月期より変更している。従来「生活関連事業」として一括していた領域については、その事業内容の特性に応じて「生活消費財」及び「産業用製品」の2つのセグメントに分けた。また、「エネルギー事業」のなかに含めていた「再生可能エネルギー分野」及び「その他の事業」、さらに2024年7月1日に株式を取得したエム・アール・エフについては、「金融その他」セグメントに区分することとした。加えて、これまで各報告セグメントに配分せず、セグメント利益の調整項目として処理していた全社費用についても、今後は各セグメントの利益に按分して計上する方針とした。1. 生活消費財(1) 日本ストロー2014年2月に株式取得した日本ストローは、大手乳業・飲料メーカー等に向けて伸縮ストロー等の製造販売を行っているほか、プラスチック製品・包装資材をはじめとする飲食用資材の仕入れ販売を行っている。日本ストローは1983年に伸縮ストローを開発して以来、業界の先駆者として独自の技術・ノウハウを蓄積し、ストローの国内リーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内伸縮ストローの市場シェアは第1位である。大手乳業・飲料メーカーなど優良顧客からの高い信頼と評価による安定的な取引基盤を構築し、安定した業績を挙げている。2021年に海洋生分解性プラスチック伸縮ストローを商品化(世界初)した。2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、環境対応素材ストロー(バイオマスプラスチック、海洋生分解性プラスチックが主流)への移行が加速しており、コンビニエンスストア・大手コーヒーチェーンへの販売やスムージー系飲料での使用など、販売先と用途が拡大している状況だ。優良顧客基盤を有する日本ストローは今後も、既存のプラスチックストローからの切り替えを促進しつつ、技術優位性を生かしてさらなるシェアのアップ、単価・収益性のアップに注力する方針である。市場環境の見通しは良好だ。消費者庁が実施した「令和6年度消費生活意識調査」によると、エシカル消費※に関する認知度は令和元年度の12.2%から27.4%まで上昇している。また、エシカル消費について説明した後、興味の度合いについて聞いたところ「非常に興味がある」「ある程度興味がある」と回答した割合は44.9%であった。エシカル消費に関する消費者の興味・関心が高まるなかで、環境対応素材ストローに対するニーズも好調に推移するものと弊社は見ている。※ 消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。(2) 明光商会2019年4月に株式取得した明光商会は、シュレッダーを中心とする事務用設備の製造・販売・保守を行っている。1960年に日本初のシュレッダー製造販売を開始して以来、独自の技術・ノウハウを蓄積し、シュレッダーのリーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内オフィス用シュレッダーの市場シェアは第1位である。代表的な製品としては、用途に応じたラインナップが豊富な「MSシュレッダー」のほか、全国の自治体等への導入実績を持つ受付順番案内システム「MSボイスコール」などがある。また、営業・サービス拠点が日本全国をカバーしていることも強みとなっている。総務省「令和2年版情報通信白書」によると、日本企業がパーソナルデータの収集にあたって最も重視する点として「収集するデータのセキュリティの確保」と回答する割合が高まっている(2017年の15.7%に対して2020年は28.7%)ことからも、情報セキュリティに対する意識が高まっていることが窺える。明光商会のシュレッダーには、細断サイズが10mm2以下と世界最小の商品もあり、昨今のセキュリティ対策に対応できていると言える。(3) ケイエムテイ2020年4月に株式取得したケイエムテイは、予防医学に基づいた高品質プレミアムペットフードの企画・販売を行っている。ヒューマングレードの原材料を使用し、添加物・着色料・副産物不使用などペットの健康に配慮した商品を展開している。全国のペットブリーダーや動物病院からも高い支持を得ており、高品質な健康プレミアムペットフード市場において強いブランド力と高いシェアを有している。市場環境については、底堅く推移すると弊社では見ている。2人以上世帯のペットフードへの支出額は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の2021年に7,787円と前年比微減(375円減)となったものの、2022年には増加傾向に回帰し、2024年は前年比1.7%増の9,957円と伸びている。また、ホームセンターにおけるペット・ペット用品の販売額は2022年に前年から減少したものの、2023年には増加に転じるなど安定して推移している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
<HN>
2025/07/03 12:03