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BeeX Research Memo(6):事業環境は良好。契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
配信日時:2025/12/03 12:06
配信元:FISCO
*12:06JST BeeX Research Memo(6):事業環境は良好。契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
■BeeX<4270>の成長戦略
1. 事業環境
DX・クラウド関連市場は基幹システムのクラウド化・モダナイズ化需要の高まりなど、中長期的に拡大基調が予想される。さらに同社にとって特に追い風となるのは、SAPの現在の主力製品であるオンプレミス型「SAP ERP 6.0」及び同製品を同梱した「SAP Business Suite」の標準サポートが2027年、延長サポートが2030年に終了することである。このため、これらの製品を利用しているユーザーはクラウド化や、SAPの次世代ERP製品である「S/4HANA」への移行を迫られる。また「S/4HANA」については毎年新バージョンがリリースされ、5~7年サイクルでアップグレードが必要となるため、継続的なアップグレード需要が発生する。同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待され、それに伴ってストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることが期待される。同社にとって事業環境は良好と考えられる。
2. 契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
良好な事業環境を背景に、同社は中期経営計画の目標値として、2028年2月期の売上高160億円~170億円を掲げている。目標達成に向けた基本戦略としては、認知度向上、販路開拓、クロスセル・アップセル戦略などによって既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発など高付加価値な新サービスの拡充、クラウドライセンスリセール及びMSPにおける新サービスの拡充などに取り組むことにより収益の継続的な拡大を図る。
SAPシステムについてはクラウド化・S/4HANA化支援体制を強化する。2025年8月にはSNPグループの日本法人(株)SNP Japanとパートナーシップを締結し、SAPの「S/4HANA」への移行を推進する「BeeX Swifty Moving Service」の提供を開始した。SNPの高度なデータ変換プラットフォーム「Kyano プラットフォーム」を活用することにより、従来は長時間のシステム停止が必要となっていた「S/4HANA」移行時のダウンタイムを2日間程度に短縮する週末マイグレーションを実現した。
DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発では、企業のDX推進を伴走型で支援するため、DXを実現するうえで重要となるデータ分析・連携基盤の構築や、生成AIも活用したモダンアプリケーション開発を強化する。2024年4月には企業が生成AIを安全かつ効率的に利用できる「生成AI環境構築支援サービス」を開始した。Azure OpenAI Serviceを基盤として、情報収集の迅速化と業務効率の大幅向上を支援する。2024年6月には「AWSクラウド伴走支援サービス」を開始した。3つのサービス(継続的改善サービス、FinOps実践支援サービス、内製化支援コンサルティング)で構成され、エンタープライズ企業のクラウド移行後のシステム改善、開発・運用の内製化、及びDXの推進を包括的に支援し、企業のクラウド活用及びDX促進に貢献する。2025年8月にはAWSを活用し、柔軟で拡張性の高い「SAP データ抽出・分析ソリューション」の提供を開始した。
クラウドライセンスリセール及びMSPの分野では、マルチクラウド対応マネージドサービス「BeeXPlus」において、DXを推進するための3つのカテゴリー(オブザーバビリティ、セキュリティ、自動化)のサービスを拡大するなど、新たな機能・サービスの追加を推進している。またスカイ365との連携を強化してMSPサービスメニューの拡大、サービス品質向上、MSP販売の販路拡大を推進する。
セキュリティ関連サービスでは、2023年5月にクラウドセキュリティ分野のリーディングカンパニーである米国Okta,Incとパートナー契約を締結し、従業員向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Workforce Identity Cloud」と、顧客向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Customer Identity Cloud」の導入支援サービスを開始した。オブザーバビリティ分野では、これまでのサービスはシステムが問題なく動いているかを監視するモニタリングに留まっていたが、今後はサービスが継続的に提供できているかを監視するとともに、異常が発生した場合にその原因を知ることができる状態(オブザーバビリティがある状態)が求められるため、2023年8月にオブザーバビリティ分野のリーディングカンパニーである米国New Relicとパートナー契約を締結し、SAPオブザーバビリティサービスの提供を開始した。
3. 株主還元策
株主還元策については業績や事業環境などを総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としている。従来は内部留保の確保を優先し、会社設立以来配当を実施していなかったが、事業の順調な成長及び財務基盤の安定化を踏まえ、将来の成長のための投資を実行しながらも株主に対する利益還元の実施が可能であるとの判断のもと、2026年2月期末に初配当25.0円を実施することとした。今後も財政状態及び経営成績等を総合的に勘案し、継続的な配当を目指す。
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、現時点では具体的なマテリアリティを設定していないものの、先進テクノロジーの活用・実装を通じてサステナブルな社会の実現に貢献することを目指し、経営会議のメンバーで構成されるサステナビリティ推進会議を設置している。人的資本投資を重要課題と認識し、積極的な人材採用、成長機会の提供、人事・評価・報酬制度の充実、健康経営など人的資本への投資と育成を推進する。2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議が共同で優良な健康経営を実践している法人を認定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定された。
専門性の高さや良好な事業環境を評価
5. 弊社の視点
同社はクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団であり、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得するなど専門性の高さを強みとしている。この点を弊社では高く評価している。また、SAPの「S/4HANA」への移行需要を含めてDX・クラウド関連市場は拡大基調が予想され、同社を取り巻く事業環境が良好であることも評価材料となる。同社の今後の課題としては、需要増加に対応するための人材採用・育成といった体制拡大、高付加価値サービスの拡充による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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1. 事業環境
DX・クラウド関連市場は基幹システムのクラウド化・モダナイズ化需要の高まりなど、中長期的に拡大基調が予想される。さらに同社にとって特に追い風となるのは、SAPの現在の主力製品であるオンプレミス型「SAP ERP 6.0」及び同製品を同梱した「SAP Business Suite」の標準サポートが2027年、延長サポートが2030年に終了することである。このため、これらの製品を利用しているユーザーはクラウド化や、SAPの次世代ERP製品である「S/4HANA」への移行を迫られる。また「S/4HANA」については毎年新バージョンがリリースされ、5~7年サイクルでアップグレードが必要となるため、継続的なアップグレード需要が発生する。同社が強みとしているSAPシステムのクラウド化移行需要が今後本格化する見込みであり、SAPを含めた大規模システムのクラウド移行需要によってクラウドインテグレーションの売上拡大が期待され、それに伴ってストック型収益となるクラウドライセンスリセールとMSPの売上拡大につながることが期待される。同社にとって事業環境は良好と考えられる。
2. 契約先拡大と高付加価値サービス拡充を推進
良好な事業環境を背景に、同社は中期経営計画の目標値として、2028年2月期の売上高160億円~170億円を掲げている。目標達成に向けた基本戦略としては、認知度向上、販路開拓、クロスセル・アップセル戦略などによって既存サービスの契約先拡大を推進するとともに、DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発など高付加価値な新サービスの拡充、クラウドライセンスリセール及びMSPにおける新サービスの拡充などに取り組むことにより収益の継続的な拡大を図る。
SAPシステムについてはクラウド化・S/4HANA化支援体制を強化する。2025年8月にはSNPグループの日本法人(株)SNP Japanとパートナーシップを締結し、SAPの「S/4HANA」への移行を推進する「BeeX Swifty Moving Service」の提供を開始した。SNPの高度なデータ変換プラットフォーム「Kyano プラットフォーム」を活用することにより、従来は長時間のシステム停止が必要となっていた「S/4HANA」移行時のダウンタイムを2日間程度に短縮する週末マイグレーションを実現した。
DXを実現するプラットフォーム構築やアプリケーション開発では、企業のDX推進を伴走型で支援するため、DXを実現するうえで重要となるデータ分析・連携基盤の構築や、生成AIも活用したモダンアプリケーション開発を強化する。2024年4月には企業が生成AIを安全かつ効率的に利用できる「生成AI環境構築支援サービス」を開始した。Azure OpenAI Serviceを基盤として、情報収集の迅速化と業務効率の大幅向上を支援する。2024年6月には「AWSクラウド伴走支援サービス」を開始した。3つのサービス(継続的改善サービス、FinOps実践支援サービス、内製化支援コンサルティング)で構成され、エンタープライズ企業のクラウド移行後のシステム改善、開発・運用の内製化、及びDXの推進を包括的に支援し、企業のクラウド活用及びDX促進に貢献する。2025年8月にはAWSを活用し、柔軟で拡張性の高い「SAP データ抽出・分析ソリューション」の提供を開始した。
クラウドライセンスリセール及びMSPの分野では、マルチクラウド対応マネージドサービス「BeeXPlus」において、DXを推進するための3つのカテゴリー(オブザーバビリティ、セキュリティ、自動化)のサービスを拡大するなど、新たな機能・サービスの追加を推進している。またスカイ365との連携を強化してMSPサービスメニューの拡大、サービス品質向上、MSP販売の販路拡大を推進する。
セキュリティ関連サービスでは、2023年5月にクラウドセキュリティ分野のリーディングカンパニーである米国Okta,Incとパートナー契約を締結し、従業員向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Workforce Identity Cloud」と、顧客向けアイデンティティ管理ソリューション「Okta Customer Identity Cloud」の導入支援サービスを開始した。オブザーバビリティ分野では、これまでのサービスはシステムが問題なく動いているかを監視するモニタリングに留まっていたが、今後はサービスが継続的に提供できているかを監視するとともに、異常が発生した場合にその原因を知ることができる状態(オブザーバビリティがある状態)が求められるため、2023年8月にオブザーバビリティ分野のリーディングカンパニーである米国New Relicとパートナー契約を締結し、SAPオブザーバビリティサービスの提供を開始した。
3. 株主還元策
株主還元策については業績や事業環境などを総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としている。従来は内部留保の確保を優先し、会社設立以来配当を実施していなかったが、事業の順調な成長及び財務基盤の安定化を踏まえ、将来の成長のための投資を実行しながらも株主に対する利益還元の実施が可能であるとの判断のもと、2026年2月期末に初配当25.0円を実施することとした。今後も財政状態及び経営成績等を総合的に勘案し、継続的な配当を目指す。
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、現時点では具体的なマテリアリティを設定していないものの、先進テクノロジーの活用・実装を通じてサステナブルな社会の実現に貢献することを目指し、経営会議のメンバーで構成されるサステナビリティ推進会議を設置している。人的資本投資を重要課題と認識し、積極的な人材採用、成長機会の提供、人事・評価・報酬制度の充実、健康経営など人的資本への投資と育成を推進する。2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議が共同で優良な健康経営を実践している法人を認定する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定された。
専門性の高さや良好な事業環境を評価
5. 弊社の視点
同社はクラウドテクノロジーに特化したプロフェッショナル集団であり、APNにおける最上位レベルの「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を取得するなど専門性の高さを強みとしている。この点を弊社では高く評価している。また、SAPの「S/4HANA」への移行需要を含めてDX・クラウド関連市場は拡大基調が予想され、同社を取り巻く事業環境が良好であることも評価材料となる。同社の今後の課題としては、需要増加に対応するための人材採用・育成といった体制拡大、高付加価値サービスの拡充による利益率向上などが挙げられるが、収益拡大に向けてM&A・アライアンスも検討する方針を示しており、高成長を継続するための経営戦略の進展状況に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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