注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 コニシ Research Memo(3):2022年3月期は主力の「ボンド」「化成品」における需要が回復し、増収寄与 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要(1) 損益状況コニシ<4956>の2022年3月期の業績は、売上高113,671百万円(前期比5.5%増)、営業利益7,298百万円(同3.1%増)、経常利益7,822百万円(同5.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,135百万円(同4.1%増)となった。売上高は、主力の「ボンド」「化成品」は主要市場での需要が回復し、増収となった。「工事事業」は前期の大型案件の反動で減収となった。セグメント利益については、「ボンド」は増収ながら原材料価格の高騰で減益となった。「化成品」は増収に伴い増益となり、「工事事業」は減収ながら高採算工事が完工したことで増益となった。この結果、通期での売上高と営業利益は過去最高となった。設備投資額は2,112百万円、減価償却費は2,266百万円であった。営業利益の増減要因を見ると、プラス要因としては売上増加による利益増が1,460百万円(ボンド1,535百万円増、化成品372百万円増、工事事業399百万円減)、利益率改善による利益の増加669百万円(化成品68百万円、工事事業601百万円)、販売価格の増加による利益増(主にボンド)が289百万円等となった。マイナス要因としては原材料価格の増加1,433百万円(ボンド)、工場経費の増加509百万円(主にボンド、子会社サンライズの償却増など)、販管費の増加260百万円などがあり、結果として営業利益は前期比216百万円増となった。(2) 財務状況2022年3月期末の財務状況は、流動資産は前期末比で6,276百万円増加し82,266百万円となった。業績の拡大に伴う現金及び預金の増加2,293百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権含む)の増加2,664百万円、たな卸資産の増加1,297百万円が主な要因となった。固定資産は前期末比で929百万円増の36,882百万円となった。その要因は減価償却による有形固定資産の減少194百万円、のれんの償却による無形固定資産の減少180百万円、投資その他の資産の減少554百万円で、その結果、資産合計は119,148百万円(前期末比5,347百万円増)となった。負債合計は46,251百万円(同1,236百万円増)となった。支払手形及び売掛金の増加2,509百万円、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金の増加21百万円、長期借入金の減少184百万円、退職給付に係る負債の減少223百万円等があった。純資産合計については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加3,567百万円、その他有価証券評価差額金の減少260百万円などにより、72,897百万円(同4,112百万円増)となった。(3) キャッシュ・フローの状況2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは6,198百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上7,980百万円、減価償却費2,266百万円、仕入債務の増加2,385百万円である。主な支出は、売上債権の増加2,242百万円、たな卸資産の増加1,224百万円によるものとなった。投資活動によるキャッシュ・フローは2,674百万円の支出となった。主に有形固定資産の取得による支出2,882百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは1,823百万円の支出となった。主な支出は借入金の減少(返済)210百万円、配当金の支払い1,564百万円による。以上から2022年3月期の現金及び現金同等物は1,792百万円増加し、期末残高は25,514百万円となった。「ボンド」は原材料費の上昇で減益ながら、「化成品」「工事」は増益2. 2022年3月期のセグメント別状況(1) ボンドセグメント売上高は63,613百万円(前期比9.1%増)、営業利益は4,606百万円(同5.0%減)となった。売上高は、主要な市場での需要が回復し、順調に推移したが、原材料価格の高騰の影響を受けてセグメント利益は減益となった。各サブセグメントの状況は以下のようであった。a) 一般家庭用:売上高6,102百万円(同3.3%減)2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)による巣ごもり需要で100円均一ショップやホームセンター向けが好調となったが、当期はその反動で減収となった。b) 住宅関連用:売上高19,803百万円(同7.3%増)コロナ禍からの回復により、内装工事用や内装建材用が好調に推移した。c) 産業資材用:売上高7,464百万円(同10.8%増)産業資材用で取り扱う主な製品は、紙管・製袋用途向け水性エマルジョン形接着剤、パネル用途向けウレタン系接着剤、自動車関連産業向け接着剤離型剤、産業用ホットメルト系接着剤となった。紙関連用(水性形接着剤)が増加したことに加え、従来から拡販に注力してきた自動車・電子部品用の弾性接着剤も堅調に増加し、通年では2ケタの増収となった。d) テープ:売上高3,285百万円(同9.2%増)従来は産業用に含まれていたが、順調に売上高が増加したことから2019年3月期より新たにサブセグメントとして切り出された。当期は、主な向け先である住宅関連用が着工数の回復により増加した。e) 建設用:売上高12,033百万円(同9.8%増)当期から、それまでの「工事事業(旧 土木建設事業)」から「ボンド」に組み替えられた。補修材や建築用シーリング材の需要が回復し増収となった。f) 土木用:売上高2,389百万円(同1.9%増)建設用と同様に、当期からそれまでの「工事事業(旧 土木建設事業)」から「ボンド」に組み替えられた。コロナ禍でも同製品の需要は落ちなかったが、引き続き需要は堅調に推移して増収を確保した。特に耐震補強用などが好調であった。g) サンライズ(連結子会社):売上高8,829百万円(同11.9%増)コロナ禍からの反動もあり住宅用シーリング材が回復した。また栃木工場で親会社である同社向けの製造も始まった。h) ウォールボンド工業(連結子会社):売上高2,695百万円(同8.2%増)主要製品は壁紙用接着剤であることから、100%が住宅関連である。住宅向け需要が回復したことに加え、新製品の売上増もあり堅調に推移した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/06/28 16:03 注目トピックス 日本株 コニシ Research Memo(2):国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカー ■事業概要1. 主要な事業セグメントコニシ<4956>の事業セグメントは、「ボンド」「化成品」「工事事業」「その他」の4セグメントとして開示されている。2022年3月期の売上高比率は、ボンド56.0%、化成品28.0%、工事事業15.9%、その他0.2%となっている。営業利益(全社消去前)の比率ではボンドが63.2%、化成品が13.6%、工事事業が23.0%、その他0.2%となっている。化成品の利益の比率が低いのは、同事業が仕入販売を行う商社事業であるのに対して、ボンド及び工事事業は自社で製造・販売・エンジニアリング等を行っているためである。本社ビルの取得に伴う賃貸収入の増加によって「その他」の比率が増加している。各セグメントの概要については以下のとおりとなっている。(1) ボンドボンドでは、主に一般家庭用、住宅・建材用、産業資材用の各種接着剤、シーリング材及びワックス・両面テープ等の製造販売を国内外で行っている。アイテム数は「ボンド」のブランドが付く商品だけで5,000以上のアイテムに上り、業界での品揃えは国内で群を抜いている。また、子会社サンライズ(株)では主に戸建て用の建築用シーリング材や自動車用シール材・接着剤を製造・販売している。もう1つの子会社ウォールボンド工業(株)は壁紙用接着剤の製造販売を行っている。なお2022年3月期から、それまで「工事事業(旧 土木建設事業)に組み込まれていた「ボンド土木用・建設用」が「ボンド」に組み替えられた。(2) 化成品化成品では石油化学製品、合成樹脂、工業用薬品全般、電子機能性材料の仕入販売を行っており、主たる業務は商社的な事業である。同社の根源とも言える事業であるが、利益率が低いため、引き続き抜本的な改革を推進するとしている。(3) 工事事業子会社のボンドエンジニアリング、コニシ工営(株)、近畿鉄筋コンクリート(株)、角丸建設(株)、山昇建設(株)で手掛ける工事請負事業と、同社で製造される土木建設用接着剤やシーリング剤が含まれる。工事請負事業は、主に官公庁、鉄道会社、道路公団等から発注された道路、鉄道、トンネル、橋梁などの補修・補強工事を請負うものである。同社の場合は接着剤メーカーとしてのノウハウや経験を生かした補修・補強工事を専門で行っているのが特色である。(4) その他その他は不動産賃貸業となる。以前は売上高・利益ともに微少であったが、本社ビルの取得に伴い収入・利益とも増加した。2. 市場シェアと競合企業主力製品である合成接着剤においては生産量ベースでの市場シェアは10%強の水準と推計され、ここ数年はわずかながら上昇トレンドにある。また、金額ベースのシェアにおいては12~13%(建設用シーリング材を除く)と、数量・金額ともに国内市場でトップと推定されている。主な競合企業は、一般家庭用ではセメダイン<4999>、住関連用では主にアイカ工業<4206>、(株)オーシカなどがある。建設シーリング材ではサンスター技研(株)、シーカ・ハマタイト(株)などと競合する。建設・土木用では、接着剤ではショーボンド化学(株)(現 ショーボンドマテリアル(株))との競合となるが、実際の工事現場では子会社のボンドエンジニアリングがショーボンド建設(株)と競合する格好となっている。また、工場生産用では昭和電工<4004>、ヘンケルジャパン(株)やオーシカ等が競合大手である。また、エレクトロニクス製品の生産用ではセメダインや(株)スリーボンドと競合するが、両面テープまで広げると日東電工<6988>やスリーエムジャパン(株)が競合企業として挙げられる。3. 特色、強み同社の特色、強みを要約すると以下のようになる。(1) ブランド力同社の最大の強みは「ボンド」の持つ圧倒的なブランド力である。一般家庭向けの「ボンド木工用」から建築用、産業用の「ボンド」まで、老若男女を問わず誰もが「ボンド」の名を知っている。(2) 製品ラインナップと販売網製品ラインナップが豊富なことも同社の特色である。幅広い製品ラインナップを揃えているため、需要先も土木、建設、住宅、自動車、電機など多岐にわたっている。そのため、業績は特定の業種や製品に左右されにくく、企業としての収益基盤は安定している。これも同社の強みである。(3) 接着剤専業としての強みと販売網前述のように多くの競合企業(セメダインを除く)は接着剤の専門メーカーではなく、化学品メーカーが多い。言い換えれば、競合企業にとって接着剤は本業ではなく1つの事業でしかない。これに比べて同社は接着剤専業メーカーであるため、顧客からの信頼は厚い。これも同社の特色であり、強みと言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/06/28 16:02 注目トピックス 日本株 コニシ Research Memo(1):2022年3月期は売上高・営業利益ともに過去最高益を更新 ■要約コニシ<4956>は、「ボンド」ブランドで知られる国内トップクラスの接着剤・シーリング材メーカーである。一般家庭用が有名であるが、産業用、住宅・建材用、建築・土木用と幅広い製品を揃えており、主たる市場は住宅・建築・土木関連である。1. 2022年3月期業績(実績)2022年3月期の業績※は、売上高113,671百万円(前期比5.5%増)、営業利益7,298百万円(同3.1%増)、経常利益7,822百万円(同5.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,135百万円(同4.1%増)となった。売上高・営業利益は過去最高となった。セグメント別では、「ボンド」は主要市場での需要が回復し増収となったが、原材料価格の高騰でセグメント利益は減益となった。「化成品」は需要が堅調に推移して増収となり、それに伴い増益となった。「工事事業」は前期の大型案件の反動で減収となったが、利益については高採算工事が完工したことで増益となった。全体としては堅調な決算であったと言える。設備投資額は2,112百万円、減価償却費は2,266百万円であった。※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準等」を適用している。前期数値も遡及修正して記載。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の業績は、売上高122,000百万円(前期比7.3%増)、営業利益6,950百万円(同4.8%減)、経常利益7,250百万円(同7.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,600百万円(同86.9%増)を予想している。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増となるのは、2023年3月期第2四半期に固定資産売却益7,176百万円(税引後:4,986百万円)を特別利益として計上する見込みとなっているためである。セグメント別では、主力の「ボンド」の需要は引き続き堅調に推移すると予想し、増収を見込んでいるものの、原材料価格高騰の影響を受けるため減益予想としている。「化成品」は堅調に推移すると予想されることから増収増益の見込みとなっている。「工事事業」では土木関係の需要が堅調に推移すると予想され、増収増益の予想となるも、資材価格の高騰が予想されるため利益率は低下する見込みである。設備投資額は、3,598百万円、減価償却費は2,057百万円の見込みとなっている。主な投資として、水性製造所新設(栃木工場)、新基幹システムの導入、子会社ボンドエンジニアリング(株)の東京支店開設へ振り向ける予定としている。年間配当は「ボンド発売70周年記念配当」5円を含めて年間49円配とする見込みだ。3. 中期経営計画:発表を延期同社は、以前は3年ごとに「中期経営計画」を発表してきたが、足元では原油価格上昇に伴う原材料価格高騰の影響が不透明であることから「中期経営計画」の発表を延期した。同社は、「ある程度先行きが見通せるようになった段階で改めて発表する」と述べている。■Key Points・国内最大級の接着剤・シーリング材メーカー。向け先は住宅・建材用、産業用、建築・土木用と幅広い・2022年3月期の営業利益は前期比3.1%増と過去最高を更新・原材料価格高騰により「中期経営計画」の発表は延期(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/06/28 16:01 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(9):成長投資を優先すべき段階にあり、しばらくは配当が実施される公算は小さい ■株主還元オークファン<3674>は、財務体質の強化並びに将来の事業展開に向けた投資等に備えるため、今のところ配当の実績はない。2022年9月期についても配当を行う予定はない。ただ、株主に対する利益還元については経営の最重要課題の1つと位置付けており、継続的に検討を行っていく方針としている。弊社でも、同社は新たな成長ステージを迎えており、配当よりも成長投資を優先すべき段階にあることから、しばらくは配当という形での株主還元はないものと見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:59 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(8):オフライン市場や海外市場にも進出し、GMVのさらなる拡大を目指す ■今後の方向性1. 存在意義の再定義オークファン<3674>は、SDGsへの関心が高まるなかで、ますます深刻化してきた廃棄ロス問題やリバースロジスティクス(返品市場)の拡大に正面から向き合い、解決策を提供する企業として、自らを「RE-INFRA COMPANY」として再定義した。「RE」とは、既にあるものを捉え直し、より良く組み替え、再構築するという意味を含んでおり、「RE」に関する様々な機能をつないで統合することで、モノとそれに関わるヒトの価値を、再配分・最適配分し、廃棄ロスという深刻な社会問題を解決する方向性を示している。2. 対象市場DX化に遅れが見られる国内BtoB卸売市場(300兆円※1)をはじめ、新型コロナウイルス感染症拡大でさらに深刻化している商品在庫の廃棄ロス(22兆円※2)、今後拡大が見込まれる返品市場(推定2.2兆円※3)を対象とし、SMBに特化した「モノの再流通インフラ」を構築することにより、流通額の拡大を図っていく戦略である。海外においても、同様の流れのなかで、既に1兆円規模のリーディングカンパニーが誕生しており、同社としても国内でのシェアNo.1を狙う絶好の機会として捉えている。※1 「電子商取引に関する市場調査」(経済産業省 2021年7月30日発表)等から同社推計。※2 卸売・小売業、製造業の合計値。「法人企業統計調査」(財務省)等から同社推計。※3 国内におけるBtoC EC市場/物販系分野の規模(約12兆円)に、海外(米国)における返品率(18%)を掛け合わせて推計したもの。3. 成長戦略の方向性巨大な国内BtoB卸売市場をはじめ、深刻化している商品在庫の廃棄ロス、今後拡大が見込まれるリバースロジスティクス(返品市場)を対象とし、社会課題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性である。同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の構築により、流通高1兆円以上の実現を視野に入れている。足元では事業の選択と集中を進めているが、今後の方向性に大きな見直しはない。むしろ成長戦略の実現に向けた道筋が見えてきたことが背景であり、「注力事業」への積極投資により、成長スピードを速め、圧倒的な地位(流通額で国内シェアNo.1)を確立するところに狙いがあると考えられる。また、これまでの国内BtoB卸売オンライン市場から、オフライン市場や海外市場のBtoB卸売にも進出し、GMVのさらなる拡大にも取り組む方針である。さらには、同社の保有する売買データにオフラインの卸売データを取り込むことにより、「卸価格/小売価格」、「オンライン/オフライン」の4象限において、最適な価格と販路の選択が可能となるため、在庫流動化支援における流通インフラをデータ面でも強化し、社会の課題である廃棄ロス削減につなげていく方針である。4. 弊社アナリストによる戦略評価と注目点弊社においても、DX化による効率化の余地が大きいBtoB卸売市場をはじめ、廃棄ロス・返品市場に着目し、社会課題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性は、社会的意義やポテンシャルが大きいうえ、同社の優位性も発揮できることから理に適っていると評価している。特に、これまでに蓄積してきたデータやノウハウ、同社ならではの各機能を結集・統合し、独自の「モノの再流通インフラ」を確立することにより、圧倒的なポジションを獲得できる可能性も十分にあると見ている。2022年9月期は「注力事業」への積極投資により大幅な減益となる見通しであるが、潜在的な需要を掘り起こし、流通額を加速度的に生み出していくためには必要なプロセスと捉えている。したがって、先行投資や様々な活動を通じて、いかに流通額の拡大を実現していくのか、その道筋にも注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:58 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(7):オークションの価格比較・相場検索サイトの運営からスタート ■沿革と業績推移1. 沿革オークファン<3674>の設立は2007年6月であるが、その発祥は、武永修一(たけながしゅういち)社長が2004年4月に同社の前身である(株)デファクトスタンダードを設立したころに遡る。学生時代から個人事業主としてインターネットオークションによる商品の出店販売を行っていた武永氏が、売上高の拡大を機にデファクトスタンダード設立に至った。当初は、オークション事業を中心に行っていたが、2006年1月にオークション統計サイトの営業を譲り受け、メディア事業としてオークションの価格比較・相場検索サイトの運営を開始した。そして、2007年6月に、インターネットメディア「aucfan.com」の運営を事業目的として、デファクトスタンダードよりメディア事業を新設分割することで、東京都港区芝に同社を設立し、純広告サービス及びネット広告サービスを開始した。2007年8月には無料会員サービスを開始し、会員数の拡大を図りながら広告収益モデルを中心に展開してきたが、2008年5月からは転売者や個人事業主(SMB)を対象とした有料会員サービス「オークファンプレミアム」によりサービス課金事業をスタートさせた。その後も、2008年12月にオークション専門通信講座「オークファンスクール」、2010年8月にスマートフォン向けサイト「aucfan Touch」を開設すると、2011年11月には総合分析ツール「オークファンプロ」、2012年12 月には世界のEC サイトの一括検索サービス「グローバルオークファン」などを相次いで開始し、サービスの拡充と収益基盤の強化を図ってきた。2013年4月に東京証券取引所マザーズへ上場。その後は、既存事業(メディア事業、データ事業等)との相乗効果が見込め、かつ市場規模の大きなマーケットプレイス事業への参入がターニングポイントとなった。特に、2015年7月にディー・エヌ・エー<2432> よりBtoB 卸売モールを運営する(株)NETSEA の全株式を取得し、子会社化したことが大きな転機となったほか、2016年1月にはドリームインキュベータ<4310> より、流通・製造業の資産を流動化する事業を運営する(株)リバリューの全株式を取得し、子会社化した。他社とのデータ連携や業務提携にも積極的に取り組んでおり、最近では2020年8月に世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」を運営するeBay Inc.(米国)の日本法人であるイーベイ・ジャパン(株)と業務提携を締結すると、同年9月には越境EC に取り組みたい個人・個人事業主向けの「eBay 越境EC セラー育成支援サービス」を共同で開始した。2022年3月には、オフライン展示会サービスを展開するOSR及びその子会社の大阪船場流通マートを子会社化し、オフライン市場にも進出した。2. 業績推移2016年9月期からの業績を振り返ると、売上高は、従来の「メディア事業」及び「ソリューション事業」(両事業を合わせて、現在の「在庫価値ソリューション事業」におおむね相当)が堅調に推移する一方、従来の「マーケットプレイス事業」(現在の「商品流通プラットフォーム事業」におおむね相当)の伸びが増収に大きく寄与してきた。特に、2015年7月に国内最大級のBtoB卸売仕入れサイト「NETSEA」、2016年1月に法人向け商品流動化支援事業「リバリュー」(現「NETSEAオークション」)、2017年12月にお買い得品ECサイト「(株)ネットプライス」を相次いで連結化し、「モノの再流通インフラ」の構築に向けて事業基盤の拡大を図ってきたことが売上高の伸びに拍車をかけてきたと言える。2021年9月期は、今後の成長加速に向けて事業の選択と集中に踏み切ったことから業績は伸び悩んだが、注力事業は順調に拡大している。一方、利益面では、過去においては、従来の「メディア事業」を中心に10%以上の営業利益率を確保してきたが、2017年9月期に一旦低下したのは、広告・メディア課金主体のビジネスからマーケットプレイス主軸へのビジネス展開に伴う売上構成(収益構造)の変化のほか、事業構造の転換に関わる一時的な先行費用によるものである。もっとも、「マーケットプレイス事業」(及び「商品流通プラットフォーム事業」)の本格稼働に伴う利益率の改善や、「インキュベーション事業」による利益貢献により、2019年9月期以降の営業利益率は再び10%を超える水準に戻ってきた。なお、2021年9月期の利益率の低下は、撤退を決定した事業の影響と成長加速に向けた先行費用によるものである。財務面では、総資産はほぼ横ばいで推移してきたが、2020年9月期に大きく拡大したのは、「営業投資有価証券」の評価替え(ベンチャー投資先の株式上場に伴うもの)によるものである。一方、自己資本比率も60%前後の水準を確保しており、財務の安全性に懸念はない。また、資本効率を示すROEは、おおむね10%水準を維持してきたが、2020年9月期以降は、「営業投資有価証券」の時価評価に伴う「その他有価証券評価差額金」(自己資本の一部)の増加や先行費用等に伴ってROEは低下している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:57 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(6):「注力事業」への積極投資により、GMVの拡大を目指す ■業績見通し1. 2022年9月期の業績予想2022年9月期の業績予想についてオークファン<3674>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比37.7%減の5,200百万円、営業利益を同82.9%減の100百万円、経常利益を同86.6%減の80百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同67.0%減の50百万円と、「注力事業」への積極投資等により大幅な減益を見込んでいる。減収予想となっているのは、「撤退事業」による影響(約30億円の減収要因)のほか、「インキュベーション事業」における株式売却の減少(約13億円の減収要因)によるものである。一方、「注力事業」についての売上高は、前期比35.0%増の4,800百万円と大きく伸長する見通しとなっている。特に、積極投資の継続によりGMVを同約1.5倍に拡大することで、「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の成長を加速していく想定である。利益面についても、「注力事業」における収益の底上げや「撤退事業」からの損益改善が見込まれるものの、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少のほか、「注力事業」への大規模な先行投資(約6億円)により大幅な営業減益となる見通しである。なお、先行投資による影響を除くと、「注力事業」の実力ベースの営業利益は6億円を見込んでいることから、その全額を先行投資に振り向ける計画と言える。したがって、営業利益予想(全社)の1億円は「インキュベーション事業」における株式売却益によるものである。2. 各注力事業の活動方針(1) NETSEA(商品流通プラットフォーム事業)OSRとの連携によりオフライン展示会に取り組むほか、グローバル展開にも挑戦していく方針である。特に、中国・東南アジア、中東・アフリカ方面などを視野に入れ、新たなチャネルの開拓を図っていく計画のようだ。また、Webサイトの機能拡充(新型キーワード検索連動広告の開始等)により、アクセス数・顧客単価の向上を目指していく。(2) NETSEAオークション(商品流通プラットフォーム事業)「預かり在庫サービス」の普及促進やOSRとの連携による在庫の流動化支援のほか、リユース業界や美術・骨董品市場などを対象として、オークションシステムの外部提供によるレベニューシェアモデルの構築などにも取り組む。(3) aucfan.com(在庫価値ソリューション事業)サイトリニューアルによるアクセス数の増加施策や、新機能開発及びプラットフォーム連携強化による課金会員数の増加施策などに取り組む方針である。3. 弊社アナリストの見方2022年9月期は「注力事業」への積極投資により大幅な減益となる見通しとなっているが、潜在的な需要を掘り起こし、GMVを加速度的に生み出していくためには必要なプロセスであると、弊社では捉えている。したがって、先行投資や様々な取り組みを通じて、いかにGMVの拡大を実現し、来期以降の成長加速につなげていくのか、中長期的な視点からその道筋に注目したい。特に、第3四半期より連結化されたOSRとのシナジー創出を含め、オフライン市場への進出がGMVの拡大やビジネスモデルの進化にどのように寄与するか、予定している海外展開がどのような形で立ち上がってくるかに注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:56 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(5):M&Aを含めて、オフライン展示会の取り組みを開始 ■主な活動実績1. オフライン展示会の取り組みを開始オークファン<3674>では、卸売市場における取引もオンライン化が進む一方で、「直接、商品を見てから仕入れたい」「相手と顔を合わせたうえで安心して取引したい」というニーズも高まっていることから、新たにオフライン展示会(アパレル合同展示会)の取り組みを開始した。1回目(2/18~2/19開催)が好評であったこともあり、2回目(3/25~3/26開催)の参加サプライヤーは5社から15社へ、参加バイヤーも54社から127社へと拡大し、順調に立ち上がってきた。今後も、オンラインとリアルを融合した新しい形の取引の場を提供していく方針である。2. オフライン展示会サービスのM&Aまた、2022年3月14日には、オフライン展示会サービスを展開するオーエスアールネット(株)(以下、OSR)及びその子会社である大阪船場流通マート(株)のM&Aを公表した※。オフラインデータの取り込みのほか、オフライン市場を加えることによる「再流通インフラ」の強化に狙いがある。OSRは関西を拠点にオフライン展示会を展開し、対象とするサプライヤーは中小メーカー・卸売、同じくバイヤーは大手小売店(リアル店舗)となっており、年間流通額は約40億円に上る。したがって、明らかに両社の強みは異なり、補完関係が成立していると言える。同社では、東京でのオフライン展示会の開催、OSR展示会へのNETSEA出展、OSR及びNETSEAのサプライヤー・バイヤー相互集客などによるシナジー創出により、GMVの拡大につなげていく戦略である。※両社の直近(2021年6月期)の業績については、オーエスアールネットが売上高75百万円、営業利益8百万円、大阪船場流通マートが売上高3,870百万円、営業利益は72百万円となっている。3.「預かり在庫サービス」の開始2022年3月23日に新たに「預かり在庫サービス」を開始した。本サービスは、商品を買い取らず、預かりによる委託販売形式によりNETSEAオークション上に掲載するものである。したがって、同社にとっては、在庫リスク・原価割れリスクがないうえ、取引機会ロスを減らすメリットがある。一方、売り手にとっても、手間なく簡単に在庫のキャッシュ化が見込めるほか、低価格での買取を回避するとともに、高く競り落とされるほど高い利益を上げることができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:55 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(4):2022年9月期上期は大幅な減収減益となるも、「注力事業」は順調 ■決算概要1. 2022年9月期上期の業績オークファン<3674>の2022年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比36.5%減の2,952百万円、営業利益が同92.8%減の56百万円、経常利益が同92.8%減の56百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同93.1%減の34百万円と大幅な減収減益となったものの、通期計画に対しては、売上高が56.8%、営業利益が57.0%と順調に進捗している。大幅な減収となったのは、前年同期において大量の株式売却を行った「インキュベーション事業」の反動減によるところが大きい。また、「撤退事業」の縮小により、「在庫価値ソリューション事業」及び「商品流通プラットフォーム事業」も減収となった一方、「注力事業」だけで括り直すと売上高は前年同期比19.5%増の2,042百万円と着実に伸びている。また、重視するGMV(流通額)についても、同20.1%増の5,392百万円に拡大した。第2四半期だけで見ても、先行費用(プロモーション強化等)の効果もあり、GMVは同23.1%増、2022年9月期第1四半期比8.6%増と拡大傾向にある。利益面でも、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少に加え、「注力事業」への先行投資により大幅な減益となった。ただ、第2四半期(四半期ベース)だけで見ると、先行投資を継続しながらも、「注力事業」は黒字化を実現しており、GMVの拡大とともに損益も改善に向かっている。財務面では、営業投資有価証券の減少※等により、総資産は前期末比8.0%減の7,806百万円に縮小した一方、自己資本も「その他有価証券評価差額金」の減少により同4.3%減の5,216百万円に縮小し、その結果、自己資本比率は66.8%(前期末は64.2%)と若干上昇した。※保有するサイバーセキュリティクラウド<4493>株式の一部売却などによるもの。2.「注力事業」における進捗(1) NETSEA(商品流通プラットフォーム事業)GMVは前年同期比17.2%増の2,502百万円と順調に伸ばすことができた。会員(バイヤー)向けのクーポン施策等によるプロモーション強化やキャンペーンイベントなどが奏功した。特に「春のネッシー大恐竜祭」(3/7~3/8開催)では、初日の流通額が176百万円(過去最高)を突破するなど盛況であったようだ。また、他社とのアライアンスや同社初となるオフライン展示会(詳細は後述)にも取り組んだ。一方、損益面では、先行投資により売上総利益率は一旦低下したが、第2四半期(四半期ベース)だけで見るとGMV拡大に伴い損益も改善に向かっている。(2) NETSEAオークション(商品流通プラットフォーム事業)GMVは前年同期比34.7%増の198百万円と大きく伸びた。取り扱いカテゴリを拡充したことにより、とりわけ第1四半期での伸びが大きかった。また、在庫リスクを背負わずに、安定的に収益を積み上げることができる「預かり在庫サービス」(詳細は後述)を新たに開始している。一方、損益面では、利益率の低いカテゴリの影響により売上総利益率が低下したものの、第2四半期以降は、利益率にも配慮しながらカテゴリの拡充を図っていく方針であり、売上総利益率も改善の傾向にある。(3) aucfan.com(在庫価値ソリューション事業)aucfanの課金会員数は、副業ニーズの拡大も追い風となり、増加傾向を継続しており、課金収入売上も堅調に推移している。また、「オークファンプロPlus」「オークファンロボ」を中心とする高単価なハイエンドのSaaS商材の販売強化にも取り組み、この6ヶ月間で課金アカウント数は急激に伸びてきた。3. 四半期業績の推移注力事業における四半期業績の推移を見ると、第2四半期のGMVは2,806百万円(前年同期比23.1%増)と過去最高を更新し、2年間の平均成長率でも29.5%増と順調に伸びてきた。「NETSEA」及び「NETSEAオークション」がそれぞれ伸びたことに加え、新たに開始した「NETSEAバルクモール」もまだ小規模ながら上乗せ要因となっている。また、注力事業の売上総利益は、カテゴリ拡充の影響により第1四半期に伸び悩んだ一方、第2四半期には増加に転じている。また、営業利益についても、積極的な先行投資の影響により第1四半期が赤字を計上したものの、第2四半期はGMVの拡大とともに黒字化した。4. 2022年9月期上期の総括以上から2022年9月期上期を総括すると、前年同期と比べ、株式売却益(インキュベーション事業)の減少や「撤退事業」の縮小により大幅な減収減益となったものの、重視するGMVの拡大とともに「注力事業」は着実に伸びており、戦略的にはおおむね目論見どおりに進捗していると評価できる。特に2022年9月期は、将来を見据えた「注力事業」への積極投資により成長加速に向けた基盤づくりが最大のテーマとなっていることから、プロモーション強化やアパレル合同展示会の開催(オフラインとのクロスセル)、取り扱いカテゴリの拡充など様々な取り組み(試行錯誤を含め)により、GMV拡大に向けて弾みをつけたところは注目すべきポイントと言える。また、活動面でも、オフライン展示会で実績のある企業のM&Aなど、今後に向けて新しい形を示すことができた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:54 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(3):700億件を超える商品売買データと145万超のアカウント数に強み ■企業特徴1. 膨大な蓄積データとアカウント基盤オークファン<3674>の強みは、創業来培った700 億件を超える商品売買データに加え、それを処理・加工し、活用するためのノウハウやAI 技術にあり、同社独自の価値提供を可能にしている。蓄積されたデータが多いほど分析の精度が高まり、さらにそこにデータが集まるといった好循環も生まれている。加えて、アカウント数は145万を超え、さらに増え続けている会員基盤(ビジネス利用アカウント数)※も同社の経営基盤を支えており、重要なKPI となっている。こちらも利用者が多いほどプラットフォームとしての価値を高め、さらに利用者を集めるといったネットワーク外部性が働いていると言える。※「注力事業」である「aucfan.com」会員数、「NETSEA」バイヤー数の合計。2. 在庫流動化支援ソリューションを提供「在庫価値ソリューション事業」及び「商品流通プラットフォーム事業」の様々なサービス(機能)を通じて、中小企業・個人事業主(SMB)を中心にオンライン流通を支える在庫流動化支援ソリューションを提供するとともに、小売・流通業のDX化を推進する役割を担っているところも、情報提供や流通プラットフォームなどの分野に特化している競合他社に対して差別化要因となっている。3. SDGsに資する「モノの再流通インフラ」を構築IT 化が遅れている巨大なBtoB 卸売市場をはじめ、商品在庫の廃棄ロス問題やリバースロジスティクス(返品市場)の顕在化など、社会課題の解決に向けて、在庫価値の算定から再流通までをワンストップで可能にする「モノの再流通インフラ」を提供し、年間数兆円規模の流通量を生み出すポテンシャルを有しているところもアドバンテージと言えるだろう。すなわち、データ(商品売買データ700億件)、プラットフォーム(再流通インフラ)、クラウドセラー(145万アカウントのSMB)が三位一体となり、世の中に滞留している在庫を流動化(流通量を創出)する、循環型成長モデル自体に強みがあると言える。今後は、オンライン市場にとどまらず、規模の大きなオフライン市場や海外市場にも進出していく方針である。もちろん競合他社も少なからず存在するものの、市場の大きさや社会的な要請を勘案すれば、いかに巨大な市場を掘り起こしていくのかが最大のテーマであり、他社に先駆けて取り組んできた同社には明らかに優位性があると評価できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:53 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(2):在庫流動化のワンストップソリューションを提供 ■事業概要オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※1をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、国内BtoB卸売市場のDX化や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価格比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」※2などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。※1 同社の存在意義を再定義したもの。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。※2 「リバリューBtoBモール」より名称変更・リニューアルされたもの。事業セグメントは、1)「在庫価値ソリューション事業」、2)「商品流通プラットフォーム事業」、3)「インキュベーション事業」の3つに区分され、1)及び2)を主力事業として展開してきた。ただ、GMVの拡大に向けて事業の選択と集中を進めており、その進捗を示すために主力事業を「注力事業」と「撤退事業」に括り直したうえで、「注力事業」への積極投資を行っていく方針である。1.事業セグメントの概要(1) 在庫価値ソリューション事業膨大な蓄積データとAIを用いて、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化を推進するほか、出品業務の効率化支援なども手掛けている。具体的には、ネットショッピング・オークションの相場、統計価格比較サービス「aucfan.com」や、IT知識がなくても業務効率化を実現するRPA※1ソリューション「オークファンロボ」、オークション教育・個別サポートサービス「good sellers」、複雑なネットショップの業務フローをシンプルにするクラウドサービス「タテンポガイド」などを通じて、SMB※2をターゲットに様々なソリューションを提供している。主にサブスクリプション(月額課金)による積み上げ型の収益モデルであり、利用企業数やアカウント数の伸びが業績をけん引する。また、セグメント利益率は20% 程度と高いうえ、売上高の拡大とともにさらに改善する余地もある。※1 Robotic Process Automationの略。ロボットによる業務自動化のこと。※2 Small and Medium Businessの略。中小企業(個人事業主を含む)を指す。(2) 商品流通プラットフォーム事業企業の滞留在庫・商品等の流通を支援しており、複数のマーケットプレイスの運営を手掛けている。具体的には、国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品、滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」など※1を通じて、間接流通(B to SMB)のプラットフォームを提供している。なお、「NETSEA」は主に1次流通(新品)の大量仕入れ・大量販売を担うBtoBマーケットプレイスであり、流通構造がオフラインからオンラインへシフトする流れのなか、潜在市場は巨大と言える。一方、「NETSEAオークション」は主に滞留在庫(例えば、パッケージに傷がついた商品や賞味(使用)期限の切迫品、返品等)など1.5次(新古品)や2次(中古品)流通商品の流動化支援を行っている。収益モデルは、主に販売収益とGMV(流通額)課金収益の2 種類となっている。「NETSEA」は自ら在庫を保有せず、流通額に一定の手数料率をかけたGMV課金収益である一方、「NETSEAオークション」は自ら販売主体となって販売収益を獲得する※2。したがって、「NETSEA」は1 件当たりの売上インパクトは小さいが、利益率は極めて大きくなるところに特徴がある。※1 オークション形式で返品商材・配送事故品など新古品の仕入れができる卸サイト「NETSEAオークション」のほか、2021年8月下旬からは滞留在庫の共同仕入れプラットフォーム「NETSEAバルクモール」も開始している。※2 ただし、新たに委託販売形式のサービスも開始している(詳細は後述)(3) インキュベーション事業事業投資活動を通じて、中長期にわたり競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的としている。営業投資有価証券の売却及び投資先企業へのコンサルティング収入が主な収益源となっているが、営業投資有価証券の売却のタイミングが業績の大きな変動要因となるところに注意が必要である。2. 事業の選択と集中(新事業区分への変更)同社は、巨大なBtoB卸売市場におけるDX化の流れに加え、商品在庫の廃棄ロス問題の深刻化やリバースロジスティクス(返品市場)の拡大など在庫流動化ニーズを取り込み、圧倒的な地位を確立するため、事業の選択と集中に踏み切った。具体的には、SMBをターゲットとした「NETSEA」「NETSEAオークション」「aucfan.com」を「注力事業」としたうえで、大企業向け・個人向けサービス※は撤退を進める方針であり、最重要指標であるGMVのさらなる拡大を目指していく。※大企業向けSaaS「zaicoban」、寄付型ショッピングサイト「Otameshi」、法人向け卸販売など。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:52 注目トピックス 日本株 オークファン Research Memo(1):GMVの拡大とともに「注力事業」は順調に伸び、計画どおりの進捗 ■要約1. 会社概要オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、BtoB卸売市場のDX化(業務の効率化等)や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価格比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB卸売仕入れサイト「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。創業来、蓄積してきた商品売買データは700億件を超え、ビジネス利用アカウント数は140万を超える。EC市場やリユース市場の拡大をはじめ、個人の副業ニーズや法人の商品在庫の流動化ニーズの高まりなどを背景として、同社独自の価値提供により事業を拡大してきた。今後も、「モノの再流通インフラ」の構築を通じて、成長を加速していく構想を描いている。2022年9月期からは、GMV(流通額)の拡大に向けて、事業の選択と集中を進めるため、主力事業を「注力事業」と「撤退事業」に事業区分を変更した。「NETSEA」「NETSEAオークション」「aucfan.com」を軸とする「注力事業」への積極投資を行っていく方針である。また、M&A等を通じて、オフライン展示会の取り組みも開始。オンラインとリアルの融合による新しい形の取引の場を提供することで、GMVの拡大につなげる考えだ。2. 2022年9月期上期の業績2022年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比36.5%減の2,952百万円、営業利益が同92.8%減の56百万円と大幅な減収減益となったものの、通期計画に対しては順調に進捗している。大幅な減収となったのは、「インキュベーション事業」と「撤退事業」の縮小によるものであり、「注力事業」の売上高は同19.5%増の2,042百万円と着実に伸びている。また、重視するGMV(流通額)についても、先行費用(プロモーション強化等)の効果により、同20.1%増の5,392百万円と拡大した。利益面でも、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少に加え、「注力事業」への先行投資により大幅な減益となったものの、第2四半期(四半期ベース)だけで見ると、「注力事業」は黒字化を実現しており、GMVの拡大とともに損益も改善に向かっている。3. 2022年9月期の業績予想2022年9月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比37.7%減の5,200百万円、営業利益を同82.9%減の100百万円と大幅な減収減益を見込んでいる。減収予想となっているのは、「撤退事業」による影響のほか、「インキュベーション事業」における株式売却の減少によるものである。一方、「注力事業」の売上高については、同35.0%増の4,800百万円と大きく伸長する見通しとなっている。特に、積極投資の継続によりGMVを同約1.5倍に拡大することで、「NETSEA」及び「NETSEAオークション」の成長を加速していく。利益面については、「撤退事業」からの損益改善が見込まれるものの、「インキュベーション事業」における株式売却益の減少のほか、「注力事業」への大規模な先行投資(約6億円)により大幅な営業減益となる見通しである。4. 今後の方向性巨大な国内BtoB卸売市場をはじめ、深刻化している商品在庫の廃棄ロス、今後拡大が見込まれるリバースロジスティクス(返品市場)を対象とし、社会課題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性である。同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の構築により、流通高1兆円以上の実現を視野に入れている。また、これまでの国内BtoB卸売オンライン市場から、オフライン市場や海外市場のBtoB卸へも進出し、GMVのさらなる拡大にも取り組む方針である。■Key Points・2022年9月期上期は大幅な減収減益となるも、計画どおりの進捗・先行投資の効果もあり、GMVの拡大とともに「注力事業」は着実に伸長・2022年9月期は、将来を見据えた「注力事業」への先行投資等により大幅な減益を見込むものの、GMVを前期比約1.5倍へ拡大させる計画・同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」の構築により、国内BtoB卸売市場のDX化や廃棄ロス問題の解決に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける戦略(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <SI> 2022/06/28 15:51 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:きずなHDは大幅に4日続伸、バーチャレクが大幅に4日続伸 <5033> ヌーラボ 910公開価格(1000円)を4.5%下回る955円で初値を付けた。会社設立は04年3月29日。主な事業はプロジェクト管理ツール「Backlog」などのクラウドサービスの開発・提供。23年3月期の営業利益予想は前期比47.9%減の0.87億円。売上高予想は19.0%増の27.71億円と堅調を見込むが、積極的な人員増加やマーケティング費用などの投下を計画していることから減益となる見通し。<9552> M&A総合研究所 2292公開価格(1330円)を88.7%上回る2510円で初値を付けた。会社設立は18年10月12日。主な事業はDX・AI技術を活用したM&A仲介。22年9月期の営業利益予想は前期比125.7%増の12.71億円。経営者の高齢化に伴う後継者問題などを背景にM&A市場が継続的に拡大しており、利益が倍増すると見込む。第2四半期累計の実績は10.66億円で、進捗率は83.9%に達している。<9229> サンウェルズ 2889 +89大幅続伸。上場初日の前日は公開価格(1940円)を18.6%上回る2300円で初値を付けた後に2800円まで急伸。本日前場は2923円まで上伸したが、利益確定売りが膨らみ一時失速。しかし、後場に入ってからふたたび買い優勢に転じている。月末にかけて新規株式公開(IPO)が相次ぐことから投資資金の確保を目的とした換金売りが重荷になっているようだが、短期の値幅取り狙いの買いなども旺盛で、荒い値動きになっている。<4570> 免疫生物研究所 406 +80ストップ高。シスメックス<6869>と検体検査分野向け試薬の原材料開発に関する業務提携で合意したと発表している。免疫生物研究所の抗体ライブラリをシスメックスの測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給する。また、免疫生物研究所の強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスを通じて診断薬市場向け事業を拡大する。<6193> バーチャレク 1205 +169大幅に4日続伸。グループのバーチャレクス・コンサルティング(東京都港区)とタイムインターメディア(東京都新宿区)の最適化AIプラットフォーム「TENKEI」のエンジンを三井不動産<8801>グループが運営するシェアリング商業プラットフォーム事業「MIKKE!」に提供したと発表している。同事業は出店場所や移動販売車などをシェアするサービスで、最適な出店スケジューリングを行うツールとしてTENKEIのエンジンを活用する。<7086> きずなHD 1996 +116大幅に4日続伸。22年5月期の営業利益を従来予想の10.00億円から10.70億円(前期実績7.33億円)に上方修正している。新型コロナウイルスの感染拡大で葬儀単価が予想を下回った一方、広告宣伝投資の積極化で葬儀件数が1万0752件と前回予想より増加したため。内製化などのコスト抑制や人員採用の遅れも利益を押し上げる見通し。株価が2000円の大台を上回ったことも買いを呼んでいるようだ。 <ST> 2022/06/28 15:45 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(10):新中期経営計画の方針に沿って2023年3月期の年間配当は103円を予定 ■株主還元策2022年3月期の年間配当は、前期から30円増配の55円となった。高千穂交易<2676>はこれまで年間24円配当を下限とし、連結配当性向40%以上とする配当方針を掲げてきたが、今後は新中期経営計画の方針により、ROE3期平均8%を達成するまでは配当性向100%とする計画だ。これに沿って、2023年3月期の配当は、前期の55円から大幅に増配され、年間103円(上期24円、下期79円、予想配当性向100.8%)が予定されている。このように、利益成長に加えて資本効率の改善に踏み込んだ配当政策を宣言したことは大いに評価に値すると言える。さらなる利益成長と増配に期待したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:40 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(9):技術商社としてサプライチェーンも考慮した持続可能な社会に貢献(2) ■SDGs/ESGへの取り組み2. サービス提供を通じた取り組み(1)「Verkada」による職場や施設の環境配慮の強化高千穂交易<2676>では環境分野への貢献として、国内正規代理店として取り扱う統合型セキュリティソリューション「Verkada」の活用を掲げている。「Verkada」は、職場や施設のセキュリティに加え、環境センサーとハイブリッドクラウド型AIカメラの連携により、「環境配慮に資する情報の可視化」を実現するという。環境センサーによって、温度や湿度はもちろん、PM2.5、ノイズ、AQI(Air Quality Index)、タバコ/ 電子タバコ、TVOC(揮発性有機化合物)、モーションの計測が可能となっている。また、ハイブリッドクラウド型AIカメラとの連携により、リアルタイムでオフィス内の環境変化を監視可能である。さらに非常時におけるアラート機能を搭載しており、ライブ映像で状況を詳細に把握することが可能となっている。幅広いシチュエーションで活用できるのが特長で、オフィスや施設、製造現場における働く環境空間が可視化できる。 サーバー室内の温度や環境変化の検出、 学校など禁煙場所での喫煙の検出等も可能だ。また、大気汚染や騒音、振動、地盤沈下、悪臭といった公害リスクの察知、 環境保全に資する情報の監視・観測機能の強化を通じて、環境リスクを低減することもできる。このように、環境情報を可視化することによって、環境変化の早急な把握と迅速な対応が実現するという。適正な温度・湿度・空気環境をコントロールし、データを通して環境変化の要因が分析できるようになる。以上により、職場・施設環境のセキュリティと健康をトータルサポートすることで、顧客の環境配慮対策へ貢献することにつながっていくとしている。(2)犯罪被害から顧客を守るセキュリティサービス同社では、「安全・安心・快適」を提供するセキュリティサービスにおいて、トータルサポートを通じて社会分野へ貢献するとしている。具体的には、監視カメラシステム・商品監視システム・顔認証システムといったフィジカルセキュリティと、盗難被害情報を共有し、店舗スタッフ間で即時対応することによりロス削減・犯罪撲滅に貢献する防犯対策ソリューションである「EMLINX(エムリンクス)」といったクラウドセキュリティの双方を提供している。なかでも「EMLINX」は同社独自のプラットフォームであり、顧客が抱える防犯課題を解決するとともに、シェアの拡大を図ることで、防犯における情報網の強化(=付加価値向上)につなげていく。以上により、顧客とそのサービスの利用者が安心して生活できる環境創造に貢献するとしている。3. ガバナンス体制について同社では、コーポレート・ガバナンスの強化に向けて、ガバナンス体制の整備にも取り組んでいる。取締役会の構成については、2022年3月末時点で社外取締役の比率が33.3%となっている。各委員会も設置しており、最近の取り組みとしては2021年10月に指名・報酬委員会を設けている。指名・報酬に関する手続きの公正性・透明性・客観性を強化するとともに、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることを狙いとしている。直近では、投資委員会の設置も予定している。M&A戦略を含めた投資決定に係る監督/審査機能の強化により、取締役会及び執行役員会の議論の質を向上させることを目的としている。M&A実施後の進捗モニタリング、M&A戦略等の投資案件の妥当性検証の徹底、短中期的に投資基準及びEXIT基準の検討を行う。また、取締役の業績連動報酬の改訂も行った。役員報酬の業績連動報酬、株式報酬割合を増加し、業績連動報酬のKPIを経常利益に加え、資本効率指標(ROE)を新たに採用した。今後の検討課題としては、多様性確保に向けた取り組み強化を目的とした女性取締役の登用、グループ・グローバルでの人事制度、評価・報酬制度の再構築に取り組んでいくとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:39 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(8):技術商社としてサプライチェーンも考慮した持続可能な社会に貢献(1) ■SDGs/ESGへの取り組み1. サステナビリティの基本方針高千穂交易<2676>では、環境問題や社会課題、企業統治課題の解決を経営方針の重要事項として捉えている。「創造」の企業理念の下、技術商社として、サプライチェーンも考慮したうえで、豊かな未来、持続可能な社会の実現に貢献していくとして、サステナビリティ基本方針を定めている。同社ならではの特長として、国内正規代理店として取り扱う統合型セキュリティソリューション「Verkada」を活用した取り組みなどが挙げられる。E: 環境分野への貢献(環境配慮型ソリューション)1)気候変動への対策具体的に以下に取り組む。・オフィスのエコ活動(CO2排出量削減)・営業車にエコカーを利用・ペーパーレス推進・適正な廃棄物処理と廃棄量削減・循環型社会への貢献(3R)2)地球環境保護へ貢献具体的に以下に取り組む。・各種環境センサー、商品サービスの提供(「Verkada」による職場や施設の環境配慮の強化)・災害情報サービスの提供・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応予定S:社会分野への貢献(テクノロジーを通じた安全安心な社会の実現)1)健康で働き甲斐のある職場環境の整備具体的に以下に取り組む。・健康経営の推進(「Verkada」による職場や施設の環境配慮の強化)・安全衛生委員会の設置・社内システムのIT化・テレワーク環境の構築と規程の整備・多様な人材の登用・育児休業・介護休業の設置、有休取得率向上、時間外勤務ゼロ推進2)DX推進による住みよい社会への貢献具体的に以下に取り組む。・AI・IoT・5G・RPAなど最新技術市場への支援・クラウドサービスの提供による顧客の効率化や利便性の支援・防犯による地域社会の安心・安全を支援・オフィス管理の支援3)犯罪防止と防犯具体的に以下に取り組む。・アクセスセキュリティの支援・工業会日本万引防止システム協会、全国万引犯罪防止機構との連携・オフィスや工場の防犯支援・店舗の防犯と犯罪抑止の支援なお、2)と3)については、犯罪被害から顧客を守るため、フィジカルとクラウドの両面でのセキュリティサービスの提供も具体的な取り組みの1つとして挙げられる。4)教育の充実具体的に以下に取り組む。・ITリテラシーの向上・多様な社員教育・OJTの推進・資格取得奨励制度G:企業統治課題の解決●ガバナンスの強化具体的に以下に取り組む。・コーポレートガバナンスコードへの取り組み・CSR憲章、企業行動規範の遵守・各種委員会の設置・ガバナンス教育の充実(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:38 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(7):2025年3月期に経常利益20億円、ROE8%以上を目指す ■新中期経営計画の概要高千穂交易<2676>では、進行中の2023年3月期を初年度、2025年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画を発表した。中期スローガンとして「創造へのチャレンジ~Toward 100th anniversary ニューノーマル時代における新たな価値創造へ~」を掲げ、新たな「資本戦略」「事業戦略」「ガバナンス」を推進することで、株主価値の向上を実現する。(1) 資本戦略資本収益性とバランスシート改善のため、自己資本を積み増さないことを基本方針とし、ROE3期平均8%を達成するまでは配当性向100%を継続する。また資本コスト抑制のために有利子負債の活用も検討する。(2) 事業戦略新たな事業変革に向けた成長戦略として、「ロイヤルカスタマー戦略の推進・深化」「サービスビジネスの成長」「将来のコア事業の創出」を推進していく。さらに経営基盤の強化、3年間で総額30億円の戦略投資枠の設定(主に経営基盤強化に4億円、M&Aを含めて新商品や新サービスの開発に26億円を予定)を行っている。(3) ガバナンス投資委員会を設置し、実行時の監督・審査・モニタリング機能を強化する。指名・報酬委員会を設置し、公正性・客観性・透明性を確保した報酬体系を推進する。役員報酬に資本効率性のKPIを定め、株主目線での経営を推進する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:37 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(6):2023年3月期は前期比26.9%の営業増益予想 ■今後の見通し1. 2023年3月期の業績見通し高千穂交易<2676>の2023年3月期は、売上高22,500百万円(前期比8.3%増)、営業利益1,300百万円(同26.9%増)、経常利益1,300百万円(同4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益920百万円(同4.7%増)が予想されている。なお2023年3月期から、新中期経営計画に沿って一部セグメント及びサブセグメントの変更および名称変更を行っている。セグメント変更については、前期まで「システム事業」に含まれていたサブセグメント「サービス&サポート」を新たに「クラウドサービス&サポート」セグメントとして切り分けた。これは、「成長性」と「収益性」の観点から同事業を「成長事業」と位置付け、セグメント区分の見直しを実施したことによるものである。加えて前期まで「システム事業」のサブセグメントであった「オフィスソリューション」を「ビジネスソリューション」へ名称変更した。データセンターへの販売実績の増加、また今後幅広い市場に向けて展開していくためである。またデバイス事業のサブセグメントであった「電子」「産機」をそれぞれ「エレクトロニクス」「メカトロニクス」へ名称変更した。エレクトロニクスについては、組織変更に伴う名称変更である。メカトロニクスは合成語であるが、ユニット化やセンサーによる動きを実現する商品開発を目指す事業の方向性に合わせた変更となっている。2. 2023年3月期のセグメント別見通し(1) クラウドサービス&サポート2023年3月期から新たにセグメント分けされたクラウドサービス&サポートの売上高は2,615百万円(同24%増)、営業利益は513百万円(同30%増)と予想されている。ロイヤルカスタマーを中心にクロスセルの実施、ナレッジサイトや新サービス開発による顧客満足度を向上し、市場シェア拡大、サブスクリプションモデルの解約率低下を推進、さらに外注費見直しによる粗利率アップによって増収増益を計画している。このセグメントの重要な指標の1つに累計契約アカウント数があるが、このアカウント数は、サービス開始から継続的に増加している。2022年3月期末も前期比17%増となり、同部門の売上高は順調な増加が見込まれる。(2) システム事業システム事業の売上高は10,465百万円(前期比6%増)、営業利益は231百万円(同71%増)と予想されている。サブセグメントでは、リテールソリューションはロイヤルカスタマー中心にクロスセルの実施(クラウド型無線LANの販売等)、トラフィックカウンター、顔認証システム等のストックビジネスの強化、省人化対策に有効なRFID、AI解析技術を用いたスマートストアソリューションの拡販などを行うことで、売上高は3,960百万円(同5%増)を目指す。ビジネスソリューションは、クラウド型無線LAN、リモートアクセス機器の拡販、データセンター向けの入退室管理システムの拡販などにより売上高3,555百万円(同11%増)を目指す。グローバルは、発電プラント向け防火システム案件の確実な取り込みにより売上高2,950百万円(同1%増)を見込んでいる。(3) デバイス事業デバイス事業の売上高は9,420百万円(同7%増)、営業利益は556百万円(同13%増)と予想されている。サブセグメントでは、エレクトロニクスは強い需給が引き続き見込まれる5G基地局等の通信インフラ市場を中心に産業機器分野、半導体製造装置分野の開拓、アミューズメント市場等の高収益市場への注力、音響・音声、センサー等と融合したソリューションビジネスへの注力を行うことで、売上高は4,680百万円(同5%増)を目指す。メカトロニクスは、ケーブル、パワーサプライ等のデジタル関連の産業機器分野への拡販、米国・中国の住宅設備市場向けに付加価値の高いユニット商品の拡販を行うことで、売上高は4,740百万円(同10%増)を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:36 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(5):2022年3月期はデバイス事業が牽引し営業利益は15.6%増 ■高千穂交易<2676>の業績動向1. 2022年3月期の業績概要(1) 損益状況2022年3月期は、売上高20,784百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,024百万円(同15.6%増)、経常利益1,247百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益878百万円(同60.2%増)となった。リテールソリューションやオフィスソリューションが前期の反動などから減収となり、システム事業は5.3%減収となった。デバイス事業は、電子、産機ともに好調に推移したことから11.0%の増収となった。売上総利益率は前期の23.9%から24.5%へ上昇したが、比較的利益率の高い「サービス&サポート」の売上比率が上がったことや、高収益事業への集中が進んだことなどによる。加えて販管費の抑制に努めたことから、営業利益は前期比で15.6%増となった。営業外収益として外貨建債権の為替評価益191百万円を計上したことから経常利益の伸び率は営業利益を上回った。さらに親会社株主に帰属する当期純利益は前期比60.2%増となり、上場以来最大を記録した。(2) 財務状況2022年3月期末の財務状況は、流動資産は17,390百万円(前期末比873百万円増)となった。主要科目では現金及び預金708百万円増、売掛金が19億48百万円減、契約資産が13億11百万円増、たな卸資産675百万円増であった。固定資産は3,203百万円(同246百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が539百万円(同38百万円減)、無形固定資産299百万円(同38百万円減)、投資その他の資産2,364百万円(同322百万円増)となった。有形固定資産と無形固定資産の減少は償却によるもので、投資その他の資産の増加は主に投資有価証券の取得によるものである。以上のような結果から、資産合計は20,593百万円(同1,119百万円増)となった。流動負債は4,807百万円(同259百万円増)となったが、主な変動は支払手形及び買掛金の増加144百万円などであった。固定負債は前期末と変動がなく751百万円であった。純資産は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加655百万円などから15,034百万円(同859百万円増)となった。期末で1,238,578株の自己株式を所有している。なお、長年無借金経営を続けており、自己資本比率は14年連続で70%超を維持している。財務基盤は安定していると言えるだろう。(3) キャッシュ・フローの状況2022年3月期のキャッシュ・フローは以下のようであった。営業活動によるキャッシュ・フローは1,184百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上1,243百万円、減価償却費182百万円、売上債権(電子記録含む)の減少656百万円、仕入債務の増加70百万円等であった。一方で主な支出は、棚卸資産の増加659百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは393百万円の支出となったが、主に有形固定資産の取得による支出56百万円、無形固定資産の取得による支出84百万円、投資有価証券の取得による支出250百万円などである。財務活動によるキャッシュ・フローは189百万円の支出となったが、主に配当金の支払いによる支出223百万円、自己株式の処分による収入113百万円などによる。この結果、期中の現金及び現金同等物は708百万円増加し、期末残高は5,608百万円となった。2. 2022年3月期のセグメント別状況セグメント及びサブセグメント別の状況は以下のようであった。(1) システム事業システム事業の売上高は12,011百万円(前期比5.3%減)、営業利益は529百万円(同13.1%減)と減収・減益となった。各サブセグメントの状況は以下のようであった。a) リテールソリューション売上高は3,721百万円(同15.6%減)となった。CCTVや顔認証システムの大型案件などが堅調であったものの、前期に計上した携帯キャリア向け大型案件の反動により、減収となった。b) オフィスソリューションデータセンター向け入退室管理システムが堅調であったものの、前期にコロナ禍の影響により好調だったリモートアクセス商品の販売が減少したことなどにより、売上高は3,246百万円(同9.8%減)となった。c) グローバルグローバル商品類は、前期に大きく減速したタイの高度防火システムの売上が堅調に推移し、売上高は前期比6.8%増の2,926百万円となった。d) サービス&サポートサービス&サポート商品類は、MSPサービスが好調に推移し、売上高は前期比9.0%増の2,115百万円となった。(2) デバイス事業デバイス事業の売上高は8,773百万円(同11.0%増)、営業利益は494百万円(同78.6%増)となった。電子、産機ともに増収であった。a) 電子電子では、5G基地局向けやテレワーク需要増加による家庭用プリンター向け、半導体製造装置向けなどの電子部品の販売が好調に推移し、売上高は前期比12.2%増の4,452百万円となった。b) 産機米国住宅設備向けソフトクローズ部品や産業機器向け通信ケーブルの販売が好調だったことなどにより、売上高は前期比9.8%増の4,320百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:35 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(4):システムとデバイスに加え、クラウドサービス&サポートが第3の柱に(2) ■事業概要4. 競合、特色、強み高千穂交易<2676>は非常に多くの商品を取り扱っており、それぞれの分野に競合商品が存在する。しかし、事業全体において同様な事業展開をする企業がないため競合会社を特定することはできない。あえて個別分野での競合会社を挙げれば、商品監視システムでのチェックポイントジャパン(株)、スライドレールでの日本アキュライド(株)(両社とも米国の日本法人)、半導体では規模は異なるが半導体専門商社など。また、オフィスソリューション関連ではシステム会社などと競合する。同社の最大の特色は専門性の高い商材を扱っている点だろう。そのため営業社員であっても技術的に高い専門性・知識を持っており、同社の社員の40%以上が技術系出身者で、ある意味で専門的なプロ集団とも言える。システム事業とデバイス事業を展開する同社は、売上規模は大きくはないが、売上総利益率は25%前後となっており、一般的な半導体や電子部品商社の売上総利益率(約10~15%)と比べて高くなっている。高い専門性を備えた社員が多く、顧客のニーズに基づき最適なソリューションを提供する提案型コンサルティング営業ができるのも同社の特色であり強みだろう。また、知識や技術以外にも個々の従業員が問題・課題に真摯に取り組むため、顧客からの信頼も厚く、そのような専門性・特殊性は売上総利益率に現れている。詳細は後述するものの、2023年3月期から、「新中期経営計画」に沿って一部セグメント及びサブセグメントの変更および名称変更を行っている。セグメント変更については、前期まで「システム事業」に含まれていたサブセグメント「サービス&サポート」を、「成長性」と「収益性」の観点から同事業を「成長事業」と位置付け、新たに「クラウドサービス&サポート」セグメントとして切り分けた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:34 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(3):システムとデバイスに加え、クラウドサービス&サポートが第3の柱に(1) ■事業概要1. 事業概要高千穂交易<2676>の事業セグメントは、2022年3月期まではシステムとデバイスに分けられており、各セグメントの売上高は、システム事業12,011百万円(2022年3月期売上高比率57.8%)、デバイス事業8,773百万円(同42.2%)となっている。なお、2023年3月期からは、それまでシステム事業に組み込まれていた「サービス&サポート」を切り出して、新たに「クラウドサービス&サポート」セグメントとし、3セグメントで構成される。以下は各セグメント及びサブセグメントの概要である。2. システム事業(1) リテールソリューション(2022年3月期システム事業売上高に占める比率31.0%)商品監視システム・映像監視システム(監視カメラ・監視映像記録装置)・セキュリティタグ等のセキュリティ機器及び入店カウンターなど販売支援や省人化対策を目的とした店舗管理機器のシステム設計・販売、設置、システム全般の運用支援サービスなどを行っており、ショッピングセンターなどの大型店舗からドラッグストアなどの小型店舗に至る小売・流通業全般の幅広い顧客層に販売している。グループ会社のマイティキューブ(株)は、商品監視用自鳴式タグシステムの開発及び販売を行っており、ホームセンターや家電量販店を中心に幅広い顧客層と取引している。(2) オフィスソリューション(同27.0%)入退室管理システムやネットワーク関連機器(クラウド型無線LANシステム等)及び商品監視・映像監視等のセキュリティに関するコンサルティングやシステム設計、物流・在庫管理システム等のRFIDタグ及びその周辺機器、郵送物の封入封緘を行うメールインサーティングシステム(封入封緘機)など、最新エレクトロニクス技術応用システムの機器の設計・構築及び設置・販売等をオフィスビル・データセンター・工場などの企業関連施設に向けて行っている。またグループ会社のマイティキューブは、RFID技術の国内リーディングカンパニーとして、RFIDタグ(非接触ICチップ)及び周辺機器(リーダライタ)のシステム開発、販売等を行う。(3) グローバル(同24.4%)主に高度防火システムの設計・構築及び機器の設置・販売を、発電プラント、天然ガス・石油化学工業プラントなどに向けて行っている。Takachiho Fire,Security & Services(Thailand)Ltd.は、タイにおいて、商品監視、映像監視等のセキュリティに関するコンサルティング、システム設計及び商品監視システム・入退室管理システム・監視カメラ・防火システム等の販売を行う。Guardfire Limited及びGuardfire Singapore Pte.Ltd.は、東南アジア地域において、高度防火システムの設計、販売を行う。(4) サービス&サポート(同17.6%)システムセグメントで取扱う商品の保守サービス、及び「機器・クラウドサービス・運用管理」が一体となったMSP※等のクラウドサービスを行っている。また、トラブルへの迅速な対応によって顧客満足度向上を図るため、24時間365日対応サービスを用意し、全国300ヶ所のサービス拠点より提供している。※Managed Service Provider:クラウド製品の保守運用・死活監視をサブスクリプション型で行う同社独自のサービス3. デバイス事業(1) 電子(デバイス事業売上高に占める比率50.8%)アナログICを中心とする各種半導体や、シリコンマイクなどのセンサー、電子部品に関する販売及びコンサルティング(電子機器設計支援)を行っている。産業用エレクトロニクス機器、IP‐PBX(構内交換機)やスマートフォン等の情報通信機器など、広範な分野に使用されている。TAKACHIHO KOHEKI(H.K.)LIMITED及び提凱貿易(上海)有限公司は、中国、東南アジア地域で、上記の商品を販売している。(2) 産機(同49.2%)スライドレール・ガススプリング・昇降システムなど安全性、利便性、快適性を向上する機構部品の販売及びコンサルティングを行っている。主に金融機関やコンビニエンスストアなどのATM等の開閉・引出・安全機構(スライドレール・ガススプリング・キー)、システムキッチンの引出・昇降機構(スライドレール・昇降システム)、コピー機の給紙機構(スライドレール・ダンパー)などに使用される。TAKACHIHO KOHEKI(H.K.)LIMITED、提凱貿易(上海)有限公司及びTakachiho America,Inc.は、中国、東南アジア地域、米国で、上記の商品を販売。ATM向けのスライドレールでは国内トップシェアを誇る。商社でありながら独自の設計やオリジナルプログラムによるシミュレーション解析などを実施し、顧客の要望に適合した商品開発に取り組んでいる。2015年からは米国法人を通じて、米国住宅設備市場などへ参入するなど、海外市場ではまだ普及期にある日本式ムーブメントソリューションの拡販を推進している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:33 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(2):新中期経営計画を発表、利益成長に加え資本効率改善も進める ■会社概要1. 会社概要高千穂交易<2676>は、リテール、オフィス向けのセキュリティ関連製品やネットワークなどのシステム機器、機構部品、半導体などのデバイス機器を、主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。「安全・安心・快適」をコンセプトに、商品監視システム(万引防止システム)や機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は海外企業の買収によりセキュリティシステムや防火システムの東南アジア地区での拡販にも力を入れている。商品・サービスの付加価値や顧客満足度の向上のために専門性の高い社員を多く抱え、商社でありながら技術系社員の割合は40%超に達している。また財務面では、自己資本比率が11期連続で70%を超えるなど安定した財務体質を誇り、伝統的に堅実な経営を感じさせる。2. 沿革同社は1952年、土木建設機械の輸入販売を行う商社として設立された。同年には米国バロース社(現ユニシス)と日本総代理店契約を締結、同社製コンピューターの販売を開始した。国内エレクトロニクス商社の草分けとして、その後も日本初となるOCRシステムや商品監視システム、また自動封入封緘システム、入退室管理システム、クラウド型無線LANシステムなどまだ日本には導入されていない画期的な商品を市場投入し、国内有数の技術商社となっている。この間、株式は2000年にJASDAQ市場へ上場し、その後2004年に東京証券取引所2部へ、2005年に同1部へ指定替えされた。現在は東証プライム市場に上場している。近年では、日米の上場企業のグループ企業を買収し、RFIDシステム、東南アジアでの商品監視システム・防火システムなども取り扱っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:32 注目トピックス 日本株 高千穂交易 Research Memo(1):セキュリティ関連製品・半導体などの輸入を中心とするBtoB商社 ■要約高千穂交易<2676>は、主に、セキュリティ関連などのシステム機器や機構部品・半導体などのデバイス機器を主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は、クラウドサービス等の高収益事業へ注力し、収益構造の改善が進んでいる。1. 2022年3月期の業績動向2022年3月期は、売上高20,784百万円(前期比0.9%増)、営業利益1,024百万円(同15.6%増)、経常利益1,247百万円(同34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益878百万円(同60.2%増)となった。リテールソリューションやオフィスソリューションが前期の反動などから減収となり、システム事業は5.3%減収となった。デバイス事業は、電子プロダクト、産機プロダクトともに好調に推移したことから11.0%の増収となり、連結売上高は前期比0.9%増とほぼ横ばいとなった。売上総利益率は商品構成の変化により0.6pt上昇した。これに加えて販管費の抑制に努めたことから営業利益は15.6%増となった。営業外収益で為替差益を191百万円(前期は同67百万円)計上したことから、経常利益の伸び率は営業利益を上回り、親会社株主に帰属する当期純利益は上場以来最大となった。2. 2023年3月期の見通し2023年3月期は、売上高22,500百万円(前期比8.3%増)、営業利益1,300百万円(同26.9%増)、経常利益1,300百万円(同4.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益920百万円(同4.7%増)が予想されている。なお2023年3月期より、それまでシステムセグメントに組み込まれていた「サービス&サポート」を切り出し、新たに「クラウドサービス&サポート」セグメントとした。コロナ禍の影響やウクライナ情勢、上海のロックダウンや為替動向の影響など先行きは不透明であるが、「モノ売りからコト売りへ」の方針を一段と強化することで収益力を高め、全セグメントで増収増益を計画している。弊社では、容易な目標ではないと見ているものの、会社の体質が変わりつつあるなかで、今後の動向に注目したい。3. 新中期経営計画同社では、2025年3月期を最終年度とする新しい中期経営計画を発表した。中期スローガンとして「創造へのチャレンジ~Toward 100th anniversary ニューノーマル時代における新たな価値創造へ~」を掲げている。新たな「資本戦略」「事業戦略」「ガバナンス」の推進により、株主価値の向上を実現していく方針だ。主な定量的な目標として、2025年3月期に経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益14億円、計画中の3期平均ROEは8%を掲げている。単に利益目標だけでなく、資本効率の改善まで踏み込んだ計画を掲げている点は評価できるだろう。今後の動向が大いに注目される。株式については、2022年4月4日の東京証券取引所の市場再編で、東証プライム市場に移行している。■Key Points・システム機器、機構部品、半導体等のBtoB輸入商社であり、専門的技術者が多い・2022年3月期は15.6%営業増益、2023年3月期も26.9%営業増益を目指す・新中期経営計画を発表。2025年3月期に経常利益20億円が目標、資本効率の改善も進める(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <ST> 2022/06/28 15:31 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(10):2023年3月期業績予想は必達目標 ■今後の見通し1. 2023年3月期業績予想における営業利益率の前提は保守的に見えるテリロジー<3356>は、2023年3月期の連結業績予想について、売上高を前期比18.7%増の6,200百万円、営業利益を同16.2%減の370百万円、経常利益を同15.8%減の370百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同8.6%減の250百万円とする期初計画を公表した。この数値は、2021年5月に公表された新中計における2ヵ年目の数値目標と一致している。同社はドル建て価格で仕入れ、円建て価格で販売する輸入商材を多く取り扱っているため、円安局面では粗利率低下影響が先行するわけだが、ロシアによるウクライナ侵攻により国際情勢が緊迫化するなかにあっても新中計で掲げた数値目標は最低限達成するとの同社の思いが読み取れよう。期初計画における増収率18.7%増は過去の増収率(2019年3月期13.6%増→2020年3月期10.7%増→2021年3月期16.1%増→2022年3月期11.1%増)に比べて高めに見える。しかしながら、1)2023年3月期は収益認識会計基準等の適用による名目上のマイナス影響(2022年3月期は516百万円減)がなくなる、2)売上高予想に際し、各事業会社は想定すべき不透明要因をすべて織り込んでいる、3)2022年3月期は減収となったネットワーク部門で増収確度が高いプロダクトが存在する、4)円安を受けた輸入商材の価格改定(値上げ)が増収要因として働く可能性がある、といった点から同社による売上高予想には相当程度の妥当性があると判断している。ネットワーク部門で増収確度が高いプロダクトは、1) IPアドレス管理サーバー「Infoblox」製品と「Radware」製品である。前者は、国内で500台程度納入済みの現行モデルからセキュリティ機能を備え付加価値が高められた新モデルへの更新需要が国内大手製造業中心に継続中(受注ベースで見た案件数は2021年3月期:69件/221台→2022年3月期:68件/89台)であり、2023年3月期においても更新需要の取り込みと付加価値向上によるアップセル効果が十分に期待できる。後者の「Radware」製品については、2021年3月期から販売を開始した前代理店からの顧客巻き取りが堅調に推移している。同社が取り扱う「Radware」の主力プロダクトは、1)「サービス停止攻撃」とも呼ばれるDoS/DDoS攻撃を自律的に防御するDDoS対策機器・サービス、2)日本市場で多くの実績を誇るロードバランサー(サーバーへの負荷を分散し安定的に稼働させる製品)、3)回線負荷分散のデファクトスタンダードとされるマルチホーミング機器、4)業界最高のWebアプリケーションセキュリティを実現するクラウドWAFサービス、5)自動化された脅威(Bot)からWebアプリケーション、モバイルアプリケーション、APIといったすべてのチャネルを保護するBotマネージャー、6)クラウド資産を包括的に保護するCloud Workload Protectionサービスであり、2)と3)がネットワーク関連、残りがセキュリティ関連となる。同社は2020年3月のディストリビューター契約締結で日本における「Radware」製品の1次代理店となったわけだが、従前そのポジションにあった企業からは円満な形でバトンタッチされたもようであり、順調な顧客巻き取りによって保守契約込みで年間6億円程度の売上を同社が近年中に獲得できる蓋然性は高い。加えて、前代理店ではネットワーク関連の取り扱いが中心であったため、セキュリティ関連において既存プロダクトとの棲み分けが可能である同社においてはクロスセルやアップセルを通じて一回り大きな事業規模への発展が期待される。実際、2022年3月期における「Radware」関連の受注額は166百万円(2021年3月期は217百万円)、保守売上については278百万円(同55百万円)と順調に推移している。保守売上がストック型ビジネスであることを勘案すれば、2023年3月期においても増収に貢献する蓋然性は高いと判断する。一方、期初計画における2023年3月期の営業利益率は6.0%と2022年3月期実績の8.5%から2.5ポイント低下することを見込んでいるが、以下の点から弊社では保守的な前提であると判断している。2023年3月期に想定される利益率低下要因としては、1)IGLOOOとクレシードによる先行投資、2)持株会社体制移行に伴うコスト増、3)ロシアによるウクライナ侵攻を契機に急速に進んだ円安影響(輸入商材の仕入価格上昇)等が考えられるわけだが、1)については両社とも利益率が改善する可能性があり、2)の影響は大きくないように思われる。3)について同社は10円/米ドルの変動で1億円の影響があるとしており、受注済・提案済の案件については一定の影響は免れない。しかしながら、4月末時点での価格表は130円/米ドル前提に改定されており、円安影響のマイナス面のみが顕在化する可能性は限定的に見える。なお、2023年3月期の期末配当は1株当たり5円配当(普通配当のみ)を予定しており、配当性向は32.4%となる。2. 持株会社体制への移行で期待される「グループ全体最適化力の強化」と「強みの磨き上げ」2022年4月、同社は取締役会において持株会社体制へ移行することを決議した。この決疑は、同社グループの事業展開の加速化及びガバナンスの強化を通した企業価値向上の実現を目的としている。6月の定時株主総会での承認及び関係当局による認可等を経て、2022年11月1日に設立登記されるテリロジーホールディングスに同社株式を移転し、同日にテリロジーホールディングスが東証スタンダード市場に新規上場(テクニカル上場、実質的に同社株式が上場維持されるかたち)する予定である。現体制では、親会社である同社(単体)がトータルセキュリティソリューションサービス事業を営みつつ、子会社の管理を行っているが、新体制では、持株会社がグループ経営機能、投資機能及び新規事業開発機能に特化する一方で、各事業会社は担当事業領域において独自に成長戦略を描き環境変化に応じて迅速かつ柔軟に意思決定・事業推進を行っていくことになる。つまり、同社の強みである「目利き力と市場対応力」のうち、一段高い視座に立った「目利き力」を持株会社が、より顧客に寄り添った「市場対応力」を各事業会社が権限と責任をもって磨き上げ、発揮することを目指した体制への移行と言える。また、M&A戦略等により多角化や事業領域拡大を目指すなかでグループ全体の最適化はこれまで以上に重要性が増すことになり、今回の持株会社体制への移行は中長期的な企業価値向上に資するものと評価したい。3. 売上高100億円実現に向けての道筋を示す新中期経営計画2021年5月に公表された同社の新中計(2022年3月期を初年度とする3ヵ年計画)には「オーガニック成長の数値目標」「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」「M&A・事業アライアンス戦略実行に関する基本的な考え方」が掲げられている。まず、最終年度(2024年3月期)の数値目標(売上高74億円、営業利益5.6億円)からは、オーガニックベースで「売上高成長率20%と営業利益率8%の実現」を目指していることが読み取れる。加えて、M&A戦略では約10~20億円規模の投資枠をイメージしつつ、1案件の投資予算規模(3~5億円)と獲得年商規模(5~10億円)が明確に示されており、新中計の内容は売上高100億円実現に向けての道筋を示す意欲的なものと評価して良い。また、「目標達成に向けての基本戦略・重点施策」におけるキーメッセージは、1)ストック型事業モデルの強化、2)ダイナミックなグループ事業の拡大、3)グローバルな事業展開である。いずれの項目も、M&Aを含むアライアンス戦略が鍵を握るだけに、持株会社に投資及び新規事業開発機能を集中することはポジティブに受け止められる。また、各事業会社が責任と権限を持って迅速かつ柔軟に意思決定・事業推進を行っていく体制への移行は、新中計で示されている「グループ会社ごとの目標達成に向けたアクションプラン」を後押しすることになると言えるだろう。今後は、各社のプラン遂行状況にも注目していきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:30 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(9):2022年3月期の利益水準は従来予想から大きく上振れ(2) ■テリロジー<3356>の業績動向2. 株主還元やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を保っている財務体質についても、健全性を維持している。2022年3月期末の自己資本比率は40.2%(前期末は46.6%)、流動比率は148.9%(同169.9%)と低下したが、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.11倍(同0.13倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は1,901百万円(同2,070百万円)と前期末水準を保っている。また、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金は2022年3月期末で498百万円(同502百万円)となっており、仮に1株当たり7円の配当を継続したとしても4年分強の配当原資を確保していることになる。なお、同社は2020年3月期末に14期振りとなる復配を実施(以降、年間5円/株の普通配当を継続、加えて2022年3月期には年間2円/株の特別配当を実施)、2021年3月期にはM&Aで223百万円、2022年3月期には自己株式の取得で249百万円のキャッシュアウトを行っている。こうした株主還元や成長戦略の活発化は、自己資本比率が2018期3月期末の24.4%から2020年3月期末には53.9%へと大幅に上昇し、流動比率も2018年3月期末の99.0%から2020年3月期末には209.4%と十分な支払余力を示す200%超えを達成したことを受けたものと考えられ、財務面に配慮した規律ある企業価値向上戦略が推進されている。2022年3月期末における資産合計は前期末比365百万円増の5,991百万円、純資産合計は同203百万円減の2,439百万円となった。前期末比増減の内訳を見ると、資産では前渡金の754百万円増が目立ち、純資産の減少は自己株式の増加(234百万円)が主因となっている。また、財務体質の健全化は営業外損益の改善にもつながっている。輸入商材を主力プロダクトとして取り扱う同社の場合、為替差損益が営業外収益に与える影響を完全に排除することはできないものの、2022年3月期の支払利息は前期比44.0%減となり、有利子負債の圧縮効果が継続している。2022年3月期末における現金及び現金同等物の残高は1,867百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益が411百万円となったことを主因に414百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは有形・無形固定資産や投資有価証券の取得による支出を受けて243百万円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出89百万円、配当金の支払額82百万円、自己株式の取得による支出249百万円等が積み上がり、全体として428百万円の支出となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:29 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(8):2022年3月期の利益水準は従来予想から大きく上振れ(1) ■業績動向1. 2022年3月期業績は実質的に良好な内容テリロジー<3356>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比11.1%増の5,223百万円、営業利益が同18.3%減の441百万円となった。また、営業利益率は8.5%と前期比3.0ポイント低下、期中受注高が6,058百万円と前期比11.1%増、期末受注残高は前期末比79.1%増の1,890百万円へと積み上がった。2022年3月期から収益認識会計基準等を適用したことによる収益押し下げ影響は、売上高が516百万円減、営業利益が139百万円減であった。こうしたなかで、営業利益については従来予想(期初予想170百万円→上期決算発表時予想250百万円)から大きく上振れて着地しており、実質的には順調な業容拡大を示す決算内容であったと考える。営業利益率の低下が目立つわけだが、2021年3月期が出来過ぎの感があったところに、収益認識会計基準等の適用やIGLOOO及びクレシードの新規連結にかかる影響が重なったためであり、オーガニックベースで見れば特に問題視する必要はない。2022年3月期における事業部門別売上高は、ネットワーク部門の売上高が前期比13.4%減、セキュリティ部門が同6.0%増、モニタリング部門が同25.6%減、ソリューションサービス部門が同82.7%増であった。ネットワーク部門の減収は、2021年3月期下期のハードルが高かったことに収益認識会計基準等の適用というテクニカルな要因が重なったことによる。買い替え期を迎えた米国Infoblox製のDHCP/DNSアプライアンス(IPアドレス管理サーバー「Infoblox」)製品と2021年3月期から販売を開始した「Radware」製品の受注は堅調に推移し、セキュアなクラウド型無線LAN「Extreme Networks」製品の受注活動は概ね予定通りとなった。セキュリティ部門については、東京オリンピック・パラリンピックの開催やコロナ禍における社会生活や経済活動でのインターネット依存度の高まりを受けてサイバー攻撃の脅威が増大するなかで順調に推移した。具体的には、1)OT/IoTの普及で喚起された電力系などの重要インフラや工場及びビル管理といった産業制御システムにおけるセキュリティ対策需要に対応する「Nozomi Networks」製品、2)日々高度化・複雑化するサイバー攻撃や不正アクセスといった脅威に対抗するネットワーク不正侵入防御セキュリティや標的型攻撃対策クラウドサービス、3)サイバー犯罪・テロ等に関する情報を収集・分析する「KELA」CTIサービスや、サプライチェーンのリスクを可視化するサイバーリスク自動評価サービス「BitSight」、などが好調であった。また、SNSをAIで分析し犯罪グループ間の隠れた関係や裏アカウントなどを特定するサービスが官公庁からの受注を獲得したほか、次の大きなテーマとして取り組んでいるソフトウェアサプライチェーンリスクのサービスも大手通信事業者への導入を実現している。モニタリング部門は、電力系インターネットサービスプロバイダや国内金融機関からパケットキャプチャ製品「momentum」の受注を獲得したものの、「momentum」の新モデルへの切り替えに伴う販売体制の立ち上げに時間を要したことで減収となった。運用監視クラウドサービス「CloudTriage」は既存主要顧客向けを軸に据えた需要掘り起こし活動に注力しており、同部門の下期売上高は上期に比べ増加している。「momentum」と「CloudTriage」は高い採算性が期待できる自社製品/サービスであるだけに、今後の行方に注目しておきたい。ソリューションサービス部門の大幅増収はクレシードの新規連結によるところが大きいわけだが、オーガニックベースでも2桁増収を実現した模様である。コロナ禍が続くなかで、1)同部門の既存主力プロダクトである「みえる通訳」(手話を含む多言語リアルタイム映像通訳サービス)への評価が高まり、在留外国人や聴覚障害者とのコミュニケーション手段としてワクチン接種会場等での需要が拡大した、2)「Web会議サービス」が当たり前となりつつあるなかで、従来のライセンス及びウェビナー契約に加えて映像・音響機器等の付帯商材の需要も拡大、「かんたん接続クラウドマネージドVPNサービス」がその簡便性と値頃感によりクラウドPBXや理美容サロンをはじめとする小売流通や中堅企業等からの引合いを集めたことなどがオーガニック成長に貢献した。なお、自社開発のRPAツール「EzAvater」は販売代理店網の拡大とブランドの知名度向上のマーケティング活動に注力しており、IGLOOOとクレシードの受注活動は想定線で推移している。2022年3月期の売上原価率は60.5%と前期比1.9ポイントの上昇、販管費率は31.0%と同1.1ポイントの上昇となった。いずれも、収益認識会計基準等の適用や先行投資局面にあるIGLOOO及びクレシードの新規連結が直接的な要因として指摘できる。結果、2022年3月期の営業利益率は8.5%と2021年 3月期の11.5%から3.0ポイントの低下となった。ただ弊社では、利益率が低いハードウェア販売を伴う同社のビジネスモデルを勘案すると現時点における同社の実力値を営業利益率7%程度と考えており、2021年3月期の利益率水準は出来過ぎ、2022年3月期は良好な水準との印象を持っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:28 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(7):企業理念に裏打ちされたビジネスモデルを構築(2) ■特色と強み4. 「事業パートナー」から評価される「市場対応力」ではなぜ、海外の新興企業がテリロジー<3356>を日本における事業パートナーとして選択するのか。その理由が、顧客のニーズや満足度を重視する企業理念に裏打ちされた経営戦略を実践することで創業来磨き上げてきた「市場対応力」の高さである。同社の「市場対応力」の源泉は、1)輸入技術と独自技術を組み合わせ、顧客満足度が高いソリューションへと発展させる力、2)アライアンスやM&A戦略を駆使することでミッシングパーツを充足させる力にある。一般的に、ベンチャー企業はせっかく良い技術や良い製品を生み出しても、バリューチェーンのうち、保守や販売の部分で大手企業に見劣りすることが多いわけだが、同社の場合、創業2年後の1991年には東芝ITサービス(株)(旧東芝エンジニアリング(株))と保守委託契約を締結、販売においてはアライアンス等による間接販売網の整備にとどまらず、業務資本提携やM&Aによるタッチポイント獲得を含む直販力強化にも取り組んできたことが特徴的である。同社は、商材開発(輸入技術と独自技術の組み合わせ)から保守(自社による問題の切り分けと業務委託によるメンテナンス作業)や販売(直販と代理店網の併用)に至るバリューチェーン全体でパートナリング戦略を積極活用することで、有力な顧客に評価され、優れた顧客基盤(単体ベースで大手企業中心に300社以上、ほぼ9割の顧客と直接取引)を効率的に構築することを実現している。そして、こうして形成された「日本における優れたディストリビューション能力(豊富な顧客情報、24時間365日の保守体制、直販と間接販売を組み合わせた充実した顧客接点)」が、海外の新興企業が日本におけるパートナーとして同社を選ぶ決め手となっているわけである。2020年3月、同社はネットワーク仮想環境やサイバーセキュリティソリューション等の領域でグローバルリーダーの一角を占め米国NASDAQ市場において株式を公開しているイスラエルRadwareとディストリビューター契約を締結した。日本ラドウェア(株)が発表したプレスリリースには、『テリロジーは数多くの海外の最先端技術を日本市場に提供し、日本市場を創造した実績があります。日本市場に実績がない技術、製品においても安定した稼働と運用を実現し、長年にわたり日本のお客様企業から厚い信頼を得ています。Radwareは、テリロジーが提供する高いソリューション提案力及びサポート力と、Radwareが業界のリーダーと評価される技術力とのシナジー効果が期待され、日本のお客様企業に主力製品である「クラウドWAFサービス」「Botマネージャー」「クラウドワークロードプロテクション」を含む統合的なセキュリティソリューションを提供できると判断し、今回のディストリビューター契約締結を行うことといたしました。』と記されている。同社の「目利き力と市場対応力」が海外のテクノロジー企業から高く評価されている証左として受け止めたい。5. 同社の「強み」が企業業績面でも顕在化しつつある同社が「目利き力と市場対応力」を武器としながら、パートナリング戦略によるバリューチェーンの強化を実現し、優れた顧客基盤を獲得していることは高く評価できよう。とはいえ、同社のパートナリング戦略には、一般的に収益性が低くなりがちな商社機能をビジネスモデルに組み入れるという側面もあり、2017年3月期まで同社の営業利益率(代表的な収益性指標であり、企業競争力の優劣を映す)は低迷していた。しかしながら、2018年3月期以降は改善傾向に転じ、これまで見てきた同社の強みが企業業績面でも顕在化してきたように感じられる。同社の2018年3月期から2022年3月期までの営業利益率の推移を連結と単独、計算上の子会社合計値のそれぞれで見ると、連結ベースが5.1%→6.6%→6.5%→11.5%→8.5%、単独ベースが4.0%→3.0%→2.8%→10.5%→7.4%、子会社合計値が19.7%→22.3%→26.0%→16.6%→10.1%となっている。2022年3月期については、収益認識会計基準等の適用とM&Aによる新規連結影響(先行投資局面にある企業の子会社化は営業利益率押下げ要因となる)を受けて前期の水準を下回ったが、傾向としては、1)低迷していた単独営業利益率が一気に向上し同業他社比で見ても遜色ない水準に達している、2)M&Aにより子会社化した企業を含む子会社群の営業利益率は単独を上回るだけでなく絶対水準としても高い、といったことが読み取れる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:27 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(6):企業理念に裏打ちされたビジネスモデルを構築(1) ■特色と強み1. 「顧客重視」の企業理念を実践するために必要な事業バリューチェーンを構築テリロジー<3356>のビジネスモデルには「常にお客様のニーズに対応し、お客様の満足を実現する」という企業理念を事業として実践するための工夫が読み取れる。すなわち、「常にお客様のニーズに対応」するためのプロセス(技術・製品の調査/発掘等)と「お客様の満足を実現」するためのプロセス(複数製品を組み合わせたソリューションの提案や保守体制の整備等)を核に据えた事業バリューチェーンの構築であり、バリューチェーンの各プロセスでパートナリング戦略を活用していることである。企業理念に裏打ちされたビジネスモデル/バリューチェーンを構築するためには、まずは企業理念をベースに自社のミッション(使命)とビジョン(将来像)を定め、次にそれらを実現するためのアクションプラン(手段・計画)に落とし込む必要がある。同社(単体)では、自社のミッションを「デジタル社会において、独自の価値あるセキュリティテクノロジーを提供し、あらゆるビジネスシーンでの安心・安全を実現」、ビジョンを「お客様の課題を価値ある技術の組み合わせにより、独自の最適解決を提案・実現するテクノロジーソリューションオーガナイザーになる」と定め、事業バリューチェーンのプロセスにフィットする形のアクションプランに落とし込んでいる。具体的なアクションプランは、「シリコンバレーやイスラエルの先進・先端技術動向に関する継続的な調査・発掘活動」「発掘した技術と日本市場及び顧客が抱える課題との適合性の継続的な調査・照会・検証活動」「市場導入のための複数技術の組み合わせや適合化開発アレンジによるソリューションへの発展、デリバリー・サポート体制の構築、価値ある提案営業教育、新市場の創造活動」となっており、まさに「常にお客様のニーズに対応し、お客様の満足を実現する」という企業理念に沿った内容と言える。2. 「目利き力と市場対応力」がすべての強みのベース同社は、自社の強みとして、1)目利き力と市場対応力~先進・先端技術を発掘する目利き力とそれを市場化し顧客に提供するカルチャライズ力、2)ソリューションラインナップ~ネットワーク基盤からエンドポイントまであらゆる利用シーンをカバーする多様なセキュリティ&セーフティ・ソリューションラインナップ、3)サービス提供の多様性~先進技術製品取り扱い、保守、自社開発ソフトウェア商材、サービス化までプロダクトミックス対応による柔軟な商品提供形態、4)実績に裏打ちされた技術力~創業来(30年超)長年にわたる顧客本位をベースにした安定した実績ある技術力、5)グローバル対応力~成長著しいアジア新興市場にも展開するグローバル市場対応力を列挙している。いずれも、実績に裏打ちされたものだろうが、とりわけ「目利き力と市場対応力」がすべての強みのベースとなるコアコンピタンスだと見て良いだろう。3. 「顧客ニーズ」を満たすために磨かれてきた「目利き力」同社の「目利き力」とは、「時代の流れを的確に捉え、事業領域を絞り込んだうえで、海外新興企業の最新技術を発掘し、代理店契約等に結び付ける力」であり、海外新興企業の最新技術を発掘してきた実績には事欠かない。ここでは、ブロードバンド領域における米国Wellfleetと米国Infoblox、セキュリティ分野における米国TippingPoint(2010年に米国ヒューレット・パッカードが買収、2015年にはトレンドマイクロ<4704>が買収)、ベルギーOneSpan、米国Lastline(2020年に米国VMwareが買収)の事例を紹介する。同社の企業向けIPネットワーク事業は、1990年に米国Wellfleetと代理店契約を締結し、IPネットワーク構築における主力製品の1つであるルータ(2つ以上の異なるネットワーク間を中継する通信機器)の提供を開始したことに始まる。Wellfleetは今でこそ存在しないものの、1984年創業で世界最大のコンピュータネットワーク機器会社である米国Cisco Systemsに対抗するため、業界2番手のNortel(カナダ)が1998年に買収に踏み切った企業であり、1990年時点でWellfleetを見出したことは同社の「目利き力」を示す好例と言えるだろう。なお、同社は現在、Cisco製ルータを取り扱うことで供給者責任を果たしている。ブロードバンド領域では、1999年にADSL接続ソフトウェアの提供を開始、その後1,000万超のユーザーに展開するヒット製品に育ち、大手通信会社向けビジネスの橋頭堡となった。また、1999年には米国Redback Networksとの代理店契約も締結、ブロードバンドアクセスサーバー等の導入を通じ、電力各社のFTTH網構築にも貢献した。また、モバイル関連としては、米国Infoblox製のDNS/DHCPアプライアンス(必要に応じてIPアドレスを発行する機器)やネットワークをモニタリングする自社開発ソリューションがスマートフォン普及に伴って主要プロダクトに成長している。なお、1999年創業のInfobloxと同社は2003年に日本初の代理店契約を締結したわけだが、現在においてInfoblox製のDNS/DHCPアプライアンスは国内で多くのIT企業が取り扱うデファクトスタンダード(事実上の標準)の地位を占めており、これもまた、同社が持つ「先見の明」を示す一例として評価できるだろう。セキュリティ分野への取り組みは、2004年の当時独立系であった米国TippingPointとの日本国内総販売代理店契約締結を皮切りに、2007年にはOneSpan(旧Vasco Data Security、ベルギー)、2012年に米国Lastline、2015年に米国RedSeal、2016年に米国Tempered NetworksとイスラエルKELA、2018年に米国Nozomi Networksと販売代理店契約(Tempered Networksとは国内独占販売契約)を締結し、幅広いソリューションの提供を実現している。TippingPointは2015年にトレンドマイクロが約3億ドルを投じて買収したIPS(不正侵入防止システム)を得意とするサイバーセキュリティ企業だが、同社は買収の11年前(2004年)にTippingPointと日本国内総販売代理店契約を結び、実績を積み上げてきたことから、トレンドマイクロからも頼りにされる存在であり続けている。また、同社が2007年に日本で初めて取り扱ったOneSpanのワンタイムパスワード技術は、今では日本のメガバンクにそろって採用され、インターネットバンキングに不可欠な存在となっている。さらに、同社は2012年に米国Lastlineの標的型攻撃対策クラウドサービスの販売を開始したわけだが、警察庁が把握している標的型メール攻撃の件数推移(2014年:1,723件→2015年:3,828件→2016年:4,046件→2017年:6,027件→2018年:6,740件→2019年:5,301件→2020年:4,119件、その後公表なし)から明らかなとおり、マルウェア等による標的型攻撃が大きな脅威として認識されたのは近年のことである。なお、標的型メール攻撃の件数は2018年以降ピークアウトしているものの、同庁に公表しているサイバー犯罪の検挙件数は2018年:9,040件→2019年:9,519件→2020年:9,875件→2021年:12,209件と増加傾向に拍車が掛かり、企業に対するサイバー攻撃の脅威はむしろ増大している。こうした事例は、同社が事業領域を的確に絞り込むことで注目すべき技術トレンド・最先端技術を明確に捉え、「先見の明」を持って「目利き力」を発揮してきたことを端的に示すものだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:26 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(5):ネットワーク、セキュリティサービス等の4部門で事業を展開(2) ■テリロジー<3356>の事業内容5. ソリューションサービス部門2022年3月期におけるソリューションサービス部門の売上高は、1,710百万円と全社売上の32.7%を占めている。主な取扱プロダクト・サービスは、1) 自社開発ソフトウェアRPAツール(EzAvater、RPA:Robotic Process Automation)、2) 多言語リアルタイム映像通訳サービス(みえる通訳)、3) クラウド管理型マネージドVNPサービス(MORA VPN Zero-Con)、4) 法人向けインターネット接続サービス(MORA光)、5) 高速モバイルデータ通信サービス(MORAモバイル)、6) Web会議ツール(MVC、Zoom)、7) 人工知能(AI)と拡張現実(AR)を活用した映像による非接触型のリモートサポートサービス(TechSee)、8) 孫会社(株)IGLOOOによる「旅マエ・旅ナカ・旅アト」関連事業、9)連結子会社クレシード(株)による情報システム業務支援・代行事業である。「EzAvater」は働き方改革や業務効率化の実現に向けて注目されるRPAツールであり、究極的にカンタン(誰にでもロボット=定型業務自動化のシナリオが作成できる直感的な操作性)、止まりづらい(システムのスピードに合わせてロボットが作動、例外処理をテンプレート化し安定稼働を実現)、アプリを問わない(画像認識技術を採用することでWindows上の動作であればアプリを問わず自動化可能)、スモールスタート可能(PC1台から導入可能)、といった特長を持っている。これらの特長により「EzAvater」は、IT専門部署でなければロボットの作成が困難で導入コストやメンテナンスの負担も大きいという多くのRPAツールが持つ弱点を克服し、各部署において現場のニーズに沿ってロボットを作成し、日々の運営を行うといった活用方法を可能にしたソフトウェアである。実際、「EzAvater」はアイティクラウド(株)が運営する法人向けIT製品・クラウドサービスのリアルユーザーが集まる国内最大級のレビューサイト「ITreview」で高評価を多く集め、「ITreview Grid Award 2021 Winter」において「High Performer」を受賞している。また、「EzAvater」の販売に関しては、幅広いユーザー層に浸透させたいとのねらいからパートナリング戦略を積極活用(ゴールドパートナー制を導入)しており、2019年中に(株)ネクス・ソリューションズ、パナソニックソリューションテクノロジー(株)、(株)レゾナゲート、(株)山崎文栄堂、(株)ネクステージ、ウチダエスコ(株)、2020年以降も(株)日立システムズ、シーイーシー<9692>、ペブルコーポレーション(株)、(株)キャリアプランニング、(株)ラスティックシステムと販売代理店契約を締結し、販売チャネルの拡大を図っている。同社によると、他社製RPAツールから「EzAvater」に取り扱い商材をスイッチする販売代理店も散見されるとのことであり、「EzAvater」の魅力度を示す証左と捉えられる。「みえる通訳」はタブレット・スマートフォンを利用した映像通訳サービスで、いつでもどこでもワンタッチで、通話オペレーターが接客等をサポートするもので、英語、中国語、韓国語、タイ語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、フランス語、タガログ語、インドネシア語、ネパール語、ヒンディー語、日本手話の通訳に対応している。利用料は定額制(9時−21時対応のライトプランが15千円/月、24時間対応のスタンダードプランが25千円/月)で医療通訳プラン(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語のみ、35千円/月)も用意している。元来、「みえる通訳」はインバウンド対応をターゲットとして立ち上げられたサービスだが、医療現場や災害時の避難所及び行政窓口における在留外国人向け対応や、通訳を必要とするWeb会議のほか教育現場(GIGAスクールタブレットを活用)等で活用可能なサービスへと進化している。2022年5月時点における「みえる通訳」の導入先は、ワクチン接種会場:埼玉県、熊本県など132件、官公庁/自治体:農林水産省、宮城県、千葉県、品川区、足立区、杉並区など34件、医療機関:横浜市立市民病院、川崎市立多摩病院など7件、その他:東京動物園協会、横須賀市観光協会、Zoff、近鉄百貨店など12件となっている。なお、「みえる通訳」は(株)テリロジーサービスウェア(以下、TSW)が展開するサービスである。TSWは同社が2017年12月に買収したノジマ<7419>グループのアイ・ティー・エックス(株)の法人向けICTサービス事業を商号変更した連結子会社であり、同社はこのM&A戦略で新たな事業ドメインと従来手薄であった中堅・中小規模のエンタープライズ顧客基盤や全国に店舗展開しているチェーン店、業務店等のリテール顧客基盤を獲得(大企業を含むTSWの現在の顧客数は1,000社超)している。TSWは、2020年5月にインバウンドメディア事業を運営するIGLOOOを子会社化した。IGLOOOは、欧米豪向け訪日旅行インターネットメディア「VOYAPON(ヴォやポン)」の運営を核に海外向けコンテンツ制作及びプロモーション事業という「旅マエ・旅アト」型サービスを手掛ける企業であり、これまで主に訪日外国人観光客を対象にした「旅ナカ」領域で多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」を提供し業界最大手のポジションを確立してきた同社との補完性・相乗性は高い。ウィズコロナ時代においても「観光立国日本」を目指した国策が何らかの形で再起動されることは間違いないと思われるだけに、厳しい局面において逆張り的に攻めの一手を打った同社の決断は評価に値する。同社グループ入り後、IGLOOOは、1)(株)ミキ・ツーリスト/(株)ITPと共同で欧米豪を中心としたオンライン旅行博出展支援サービス「海外旅行博オンライン出展サポートパッケージプラン」の提供を開始(2020年8月)、2)欧米豪向けインバウンドメディア「VOYAPON(ヴォやポン)」のリニューアル(同年8月)、3)“外国人目線”に立ったストーリーテリング型越境ECサイト「VOYAPON STORE(ヴォやポンストア)」の開設(同年9月)、4)中国向けデジタルマーケティング事業の(株)unbotと中国市場における欧米豪向け観光プロモーションの独占パートナーとして業務提携(同年11月)、5)沖縄県読谷村と連携し初の欧米豪向け越境ECプロジェクトを始動(2021年4月)、6)中東向けに山梨県のPR動画を作成、プロモーションを実施(同年5月)、7)全世界17億以上のデジタルIDを保有する米国ADARAと訪日観光分野におけるデジタルマーケティング支援強化で業務提携(同年6月)、8)海外に向けて「音楽の街」浜松市のPR動画を制作(2022年4月)、と事業推進を加速しており、将来的にソリューションサービス部門の一翼を担う存在に育つ可能性を秘めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:25 注目トピックス 日本株 テリロジー Research Memo(4):ネットワーク、セキュリティサービス等の4部門で事業を展開(1) ■事業内容1. 製品・サービス別に4部門で事業を展開テリロジー<3356>は、セグメント情報を開示していないが、製品・サービス別に「ネットワーク」「セキュリティ」「モニタリング」「ソリューションサービス」の4部門で事業活動を展開している。2. ネットワーク部門2022年3月期におけるネットワーク部門の売上高は、1,399百万円と全社売上の26.8%を占めている。主な取扱プロダクト・サービスは、1)ネットワーク製品(ルータ、スイッチ、無線LAN、DNS/DHCP)、2)企業内情報通信システムやインフラの設計・構築、3)テレビ会議システム等、広範囲なネットワーク関連製品の販売及びプロフェッショナルサービスの提供であり、創業来30年超に及ぶ実績の積み重ねにより、顧客のニーズに最も適したソリューションの提供が可能だと自負している。加えて、同部門が提供するネットワーク及び付帯機器の保守業務に24時間365日体制で対応している。3. セキュリティ部門2022年3月期におけるセキュリティ部門の売上高は、1,726百万円と全社売上の33.1%を占める同社の大黒柱である。主な取扱プロダクト・サービスは、1)CTI(Cyber Threat Intelligence、サイバー脅威情報)サービス、2)ネットワークセキュリティ製品(ファイアウォール、侵入検知・防御、情報漏えい対策等)、3)セキュリティ認証基盤(ネットワーク上のサービス利用者を識別すること)、4)不正取引対策(ワンタイムパスワード製品)等のセキュリティシステムである。加えて、同部門が提供するセキュリティ機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。同社(単体)が総合的にセキュリティ領域の事業を展開するなかで、連結子会社(株)テリロジーワークス(以下、TWX)はCTI領域をメインに事業展開している。同社グループは、CTI領域において、2021年に警察庁の大型案件を獲得した実績を持つが、防衛省向けの案件についてはパートナー経由で実績があるものの、コンサルティングサービスが中心であった。この点、2022年3月にTWXが資本・業務提携を締結し第三者割当増資を引き受けた(株)日本サイバーディフェンスは元自衛隊幹部をはじめ、国家防衛分野に精通したメンバーが参画している企業であるため、両社の強みを生かした新しい付加価値の高い製品が提供できることで、案件の獲得に向けて大きな展開が期待できる。4. モニタリング部門2022年3月期におけるモニタリング部門の売上高は、387百万円と全社売上の7.4%にとどまるも、自社ブランド商材がメインに育っていることが特徴である。主な取扱プロダクト・サービスは、1)自社開発製品(momentum)によるパケット分析、2)クラウド性能監視サービス(CloudTriage)、3)ネットワーク運用・管理・監視機器である。加えて、同部門が提供する自社開発製品(momentum)、ネットワーク運用・管理・監視機器及びソフトウェア製品の保守業務に24時間365日体制で対応している。自社ブランドとしては、モニタリング部門の核となる「momentum」(完全自社開発のネットワークパケットキャプチャ製品)や月額課金モデルを導入しサポート事業部門の一部を成す「CloudTriage」(自社ブランド運用のITシステム運用監視クラウドサービス)がある。「momentum」はネットワーク上でやり取りされたデータ(パケット)を記憶装置(ストレージ)に収集し、分析・可視化することで、サービス品質の検証と不具合場所の特定、対策の支援を行う、言わばネットワーク上のドライブレコーダーのようなソリューションであり、大手携帯通信事業者など重要顧客の獲得に成功してきた。現在はネットワーク監視やセキュリティ対策、トラブルシューティング対応など、新たな利用シーンの開拓に取り組んでいる。また、「CloudTriage」はITシステムの運用状況をユーザー視点で測定し、リモートアクセスの遅延といったパフォーマンス低下が発生した場合、その原因を特定するソリューションであり、月額課金のクラウドサービスとすることで安価に提供している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘) <SI> 2022/06/28 15:24

ニュースカテゴリ