注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
ADR日本株ランキング~ソニーGなど全般軟調、シカゴは大阪比320円安の27910円~
ADR(米国預託証券)の日本株は、ソニーG<6758>、ソフトバンクG<9984>、ファナック<6954>、任天堂<7974>、ファーストリテ<9983>、デンソー<6902>、HOYA<7741>、富士通<6702>、富士フイルム<4901>、コマツ<6301>、セコム<9735>、エーザイ<4523>、日東電<6988>など、対東証比較(1ドル134.36円換算)で全般軟調。シカゴ日経225先物清算値は大阪比320円安の27910円。米国株式市場は続落。ダウ平均は638.11ドル安の32272.79ドル、ナスダックは332.04ポイント安の11754.23で取引を終了した。中国上海の一部区域で都市封鎖が再開され世界経済の成長鈍化懸念がくすぶり、寄り付き後、下落。週次の失業保険申請件数が予想以上に増え、労働市場の鈍化懸念が浮上し売りに一段と拍車がかかった。さらに、消費者物価指数(CPI)の発表を控え、高インフレへの警戒感も強まり、終日軟調に推移。引けにかけて一段と売りが加速した。9日のニューヨーク外為市場でドル・円は133円60銭まで弱含んだのち、134円45銭まで上昇し、134円43銭で引けた。米先週分新規失業保険申請件数が予想以上に増加したためドル売りが優勢となったのち、消費者物価指数(CPI)の発表を控え、結果が9月の大幅利上げを示唆するとの思惑などに金利が上昇に転じるとドル買いが再燃した。その後、好調な30年入札結果を受けて米国債相場が下げ止まり、利回りの上昇が一段落し伸び悩んだ。ユーロ・ドルは1.0774ドルへ上昇後、1.0611ドルまで下落し、1.0612ドルで引けた。欧州中央銀行(ECB)が定例理事会で市場予想通り政策金利を据え置いたものの7月で量的緩和を終了し、次回会合で0.25%利上げに着手する計画を発表したため域内債券利回りの上昇に伴うユーロ買いが優勢となった。その後、ラガルド総裁が会見で、「是が非」ではなく、あくまでも段階的な引き締めを推進したためユーロ買いが後退。NY原油先物7月限は弱含み(NYMEX原油7月限終値:121.51 ↓0.60)。■ADR上昇率上位銘柄(9日)<1928> 積水ハウス 17.8ドル 2392円 (88円) +3.82%<7752> リコー 8.88ドル 1193円 (17円) +1.45%<8802> 菱地所 15.01ドル 2017円 (23.5円) +1.18%<6448> ブラザー 37.04ドル 2488円 (27円) +1.1%<8001> 伊藤忠 58.4ドル 3923円 (37円) +0.95%■ADR下落率上位銘柄(9日)<6753> シャープ 1.83ドル 984円 (-40円) -3.91%<6723> ルネサス 5.25ドル 1411円 (-41円) -2.82%<8411> みずほFG 2.21ドル 1485円 (-43円) -2.81%<8316> 三井住友 5.82ドル 3910円 (-101円) -2.52%<4523> エーザイ 39.9ドル 5361円 (-125円) -2.28%■その他ADR銘柄(9日)<1925> 大和ハウス 23.4ドル 3144円 (-31円)<1928> 積水ハウス 17.8ドル 2392円 (88円)<2503> キリン 15.42ドル 2072円 (-8円)<2802> 味の素 22.57ドル 3033円 (-14円)<3402> 東レ 10.7ドル 719円 (-3.2円)<3407> 旭化成 16.02ドル 1076円 (-9円)<4523> エーザイ 39.9ドル 5361円 (-125円)<4704> トレンド 53.61ドル 7203円 (-57円)<4901> 富士フイルム 54.69ドル 7348円 (-73円)<4911> 資生堂 41.14ドル 5528円 (-37円)<5108> ブリヂストン 19.5ドル 5240円 (-38円)<5802> 住友電 11.44ドル 1537円 (11.5円)<6301> コマツ 26.05ドル 3500円 (-41円)<6479> ミネベア 38.25ドル 2570円 (10円)<6503> 三菱電 21.93ドル 1473円 (-13円)<6586> マキタ 27.06ドル 3636円 (-53円)<6645> オムロン 56.09ドル 7536円 (-103円)<6702> 富士通 27.84ドル 18703円 (-292円)<6723> ルネサス 5.25ドル 1411円 (-41円)<6758> ソニーG 89.53ドル 12029円 (-261円)<6762> TDK 34.8ドル 4676円 (-79円)<6902> デンソー 29.92ドル 8041円 (-94円)<6954> ファナック 16.05ドル 21565円 (-415円)<6988> 日東電 36.06ドル 9690円 (-130円)<7201> 日産自 8.42ドル 566円 (-5.8円)<7202> いすゞ 12.22ドル 1642円 (-11円)<7203> トヨタ 164.51ドル 2210円 (-29円)<7267> ホンダ 25.28ドル 3397円 (-18円)<7270> SUBARU 9.4ドル 2526円 (-20.5円)<7733> オリンパス 20.62ドル 2771円 (-36.5円)<7741> HOYA 101.5ドル 13638円 (-182円)<7751> キヤノン 24.93ドル 3350円 (-14円)<7974> 任天堂 55.25ドル 59387円 (-513円)<8001> 伊藤忠 58.4ドル 3923円 (37円)<8002> 丸紅 109.46ドル 1471円 (2.5円)<8031> 三井物 521.09ドル 3501円 (-10円)<8053> 住友商 14.72ドル 1978円 (-14円)<8267> イオン 17.45ドル 2345円 (22円)<8306> 三菱UFJ 5.48ドル 736円 (-11.9円)<8309> 三井トラスト 2.97ドル 3990円 (-56円)<8316> 三井住友 5.82ドル 3910円 (-101円)<8411> みずほFG 2.21ドル 1485円 (-43円)<8591> オリックス 91.15ドル 2449円 (-38円)<8604> 野村HD 3.67ドル 493円 (-8.2円)<8766> 東京海上HD 56.2ドル 7551円 (-46円)<8802> 菱地所 15.01ドル 2017円 (23.5円)<9432> NTT 29.12ドル 3913円 (-10円)<9735> セコム 15.8ドル 8492円 (-114円)<9983> ファーストリテイ 51.34ドル 68974円 (-856円)<9984> ソフトバンクG 20.69ドル 5560円 (-99円)
<ST>
2022/06/10 07:38
注目トピックス 日本株
前日に動いた銘柄 part2 ソフトバンクG、ミアヘルサHD、ANYCOLORなど
銘柄名<コード>9日終値⇒前日比新光電気工業<6967> 4510 -305米インテルの株価下落が重しになる。くら寿司<2695> 2990 -1252-4月期の営業赤字決算をネガティブ視。SCREEN<7735> 11760 -330SOX指数下落などで半導体関連の一角が軟化。ルネサスエレクトロニクス<6723> 1452 -32米半導体関連株下落の流れに押される。日本農薬<4997> 801 -41目先の天井到達感も広がり利食い売り優勢。パナHD<6752> 1168.0 -33.5ジェフリーズ証券では投資判断を格下げ。三菱UFJ<8306> 747.9+5.4米長期金利の上昇で反発へ。ソフトバンクG<9984> 5659 +96アリババの株価大幅高が買い材料に。東エレク<8035> 57510 -1290インテル中心に米半導体関連株が下落。ミアヘルサHD<7129> 1129+150株主優待制度の導入を発表。ラピーヌ<8143> 334 +46特に材料ないが折に触れて乱高下しやすい銘柄で。メディシノバ<4875> 345 +32イブジラストフェーズ2治験で良好な結果確認。ケイブ<3760> 1390 +135でらゲーの子会社化を引き続き好材料視。マーチャント<3121> 328 +27バイオジップコードの新事業分野進出を引き続き材料視。リリカラ<9827> 502 +42特に新規材料観測されないが足元好決算評価再燃か。Shinwa<2437> 760 -95連日の株価急伸の反動で利食い売り集まる。ENECHANGE<4169> 797 +100同社がLooop社と共同で手掛ける海外特化型の脱炭素エネルギーファンド「Japan Energy Capital 2号ファンド」に三井住友信託銀行が出資。ホープ<6195> 218+5023年3月期の営業損益予想は黒字転換、広告事業で利益率向上。アイリッジ<3917> 851 +9「コーナンアプリ」の開発支援、福島県磐梯町で「ばんだいコイン」開始と発表。エーアイ<4388> 998 +8610万株(1.00億円)を上限として自社株買いを実施へ。ジーニー<6562> 1013 +65Google Cloud Buildパートナーに認定、利用や導入をサポート。HANATOUR<6561> 1527 -1799日は足元の上昇に対する利益確定が優勢。フリー<4478> 3350 +310東証グロース市場の主力処には連日で買い散見。東京通信<7359> 1033 -81引き続き利益確定の動きが優勢。アスカネット<2438> 1060 +25ASKA3Dプレートを搭載した非接触ホログラフィックエレベータ操作端末がクリーブランド・ホプキンス国際空港に設置されたと公表。ANYCOLOR<5032> 5510 -上場2日目、公開価格(1530円)の約3.1倍となる4810円で初値形成。
<FA>
2022/06/10 07:32
注目トピックス 日本株
前日に動いた銘柄 part1 ミライアル、ビューティガレージ、マネーフォワードなど
銘柄名<コード>9日終値⇒前日比ユビキタスAIコーポレーション<3858> 462 +46IoT機器の開発と市場投入までの期間を50%短縮できるソフトウェアパッケージを開発。アイドママーケティングコミュニケーション<9466> 340 +45視聴分析システムがシャープのデジタルサイネージ配信ソリューションに採用。ミライアル<4238> 2124 +224第1四半期決算を発表、営業利益は前年同期比2.6倍。トップカルチャー<7640> 264 -17中間期決算を発表、営業利益は前年同期比72.8%減で第1四半期段階の同6.1%増から大幅減益に転じる。フーバーブレイン<3927> 856 +665月24につけた年初来高値を上回り先高期待高まる展開に。ハウテレビジョン<7064> 2394 -25523年1月期第1四半期の営業損益は黒字転換も通期予想に対する進捗率8%。IRJ−HD<6035> 2656 +286底値到達感から自律反発狙いの買いが優勢に。SREHD<2980> 2269 +162中小型グロース株堅調地合いの流れに乗る。BEENOS<3328> 2179 +194越境EC支援実績が3000件を突破と発表。サンデン<6444> 246 +27対ユーロでの円安進行など手掛かりにも。ソースネクスト<4344> 281 +19訪日観光客受け入れ接近で期待感優勢。シンクロ・フード<3963> 339 +20320円超の節目水準突破で上値妙味も。ビューティガレージ<3180> 2855 +152連続2ケタ増益や増配見通しを好感。ラクス<3923> 1621 +107米グロース株安の中でも国内では中小型グロース株に買い優勢。Sansan<4443> 1026 +61中小型グロース株高の流れに乗る。石油資源開発<1662> 3705 +195原油相場の上昇が支援材料に。ブイキューブ<3681> 1070 +59防災DXソリューションの投入を発表。ネットプロHD<7383> 603 +32マザーズ指数上昇など中小型グロース株が想定以上に強い動きに。メルカリ<4385> 2239 +104今後はインデックスファンドの買い需要など控え押し目買いも優勢に。富士石油<5017> 370 +13値頃感の強さから原油高材料に短期資金物色か。マネーフォワード<3994> 3490 +150中小型グロース株堅調な地合いに乗る。川崎汽船<9107> 9260 -11609日は海運大手各社が売り対象となる。商船三井<9104> 3220 -270バルチック指数続落などで海運株は一斉安に。日本郵船<9101> 9850 -740マークスなど海外海運大手の株安影響が波及。シャープ<6753> 1024 -62今期業績見通しは市場コンセンサスを下振れ。ジャムコ<7408> 1260 -50足元の急ピッチな上昇で過熱感も強まる。
<FA>
2022/06/10 07:15
注目トピックス 日本株
森六ホールディングス---「未来創生3号ファンド」への出資を発表
森六ホールディングス<4249>は8日、スパークス・グループ<8739>が設立し、その子会社のスパークス・アセット・マネジメントが運用する「未来創生3号ファンド」に出資することを決定したと発表した。同ファンドは、スパークス・アセット・マネジメントを運営者とし、トヨタ自動車<7203>、三井住友銀行の共同出資により、2021年12月から運用が開始され、「知能化技術」「ロボティクス」「水素社会実現に資する技術」「電動化」「新素材」「カーボンニュートラル」を中核技術と位置づけ、それらの分野の革新技術を有する企業や、プロジェクトを投資対象としている。同社グループでは、今回の出資を通じ、カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けた活動をさらに推進し、最先端の技術情報の取得やシナジー効果の追求を進め、新規事業の創出や技術開発にも繋げていくとしている。
<ST>
2022/06/09 18:36
注目トピックス 日本株
ポート Research Memo(8):収益性向上が顕著であり、将来的には株主還元の可能性も
■株主還元策ポート<7047>は2018年の上場以来、配当を実施していない。当面は積極的に事業に投資するほか、M&Aなども計画していることから、利益を還元せず内部留保することは適切な方針であると弊社では評価している。しかし、2022年3月期末で各領域の収益性は向上しており、中長期的には利益のさらなる積み上げが予想されることから、将来的には株主還元が実施される可能性も高いと弊社では予想している。なお2022年5月に、現状の株価水準、今後のM&Aにおける活用を含めた戦略的な資本政策遂行、財務状況等を総合的に勘案し、自己株式の取得を行うことを発表した。取得期間は2022年5月16日~6月30日、上限340,000株(同200百万円)としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
2022/06/09 16:28
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ポート Research Memo(7):積極投資の継続により、業績成長の加速を目指す
■中長期の成長戦略2. 中期経営計画の進捗ポート<7047>はこれまで積極的な投資による高い売上収益成長率を経て、利益のJカーブを実現した。2021年3月期から2023年3月期は株主価値の最大化(長期的なフリー・キャッシュフロー最大化)に向けた「第2投資フェーズ」と位置付け、業績成長の加速を目指している。同社のビジネスモデルはマッチングプラットフォームを軸としており、マッチング総数(会員数、顧客数及びそれぞれの総量)の増加が売上収益成長のキードライバーとなる。マッチング最大化による高い売上収益成長を実現するために、同社では「コンテンツ投資(会員数拡大)」「アカウント投資(顧客数拡大)」「システム投資(マッチング数拡大)」への積極投資を行っている。2022年3月期累計では、コンテンツ投資144百万円、アカウント投資124百万円、マッチングシステム投資525百万円を実行しており、引き続き投資を拡大する方針を掲げている。なお、「PORT」ブランド確立に向け、新規の大規模投資を実行している。今後の各領域のクロスセル推進に向けて、各領域のサービスを「PORT」としてブランド化するもので、中期経営計画最終年度である2023年3月期以降のさらなる成長に向け、追加投資を開始した。第1弾として就職領域で「PORT」ブランドのサイトを制作し、検証を開始しており、状況を見てさらなる追加投資(ジャンル拡大や機能拡張)の実行を予定している。(1) 就職領域会員数50万人、顧客資産5,000社を突破することで、toC向けメディアナンバーワンを目指している。そのための戦略としては、ユーザーが求めるコンテンツ拡充へ積極投資を実行することで独自サービスブランドの確立を目指すほか、顧客資産を全国に増やすことで通年型新卒求人契約数トップを目指す。加えて、マッチングシステムへの積極投資により1to1マーケティングシステムを実装し、会員1人当たりアクション回数を増加させることで、就職活動のプラットフォームとしてのサービス価値を高めていく。そのほか、2021年11月には、次世代のマッチングサービスとして、メタバース※を活用したマッチングDX事業の実証実験を開始した。ワークスタイルが多様化する昨今、メタバースを1つの「働く場所」として活用する例が増えてきているが、働く場所の変化は採用活動の変化も促進すると考え、就職領域との親和性を検証する実証実験を開始。同年12月には、メタバースを活用してキャリアアドバイザーが就職相談サービスを提供する「就活メタバース」をリリースした。さらに同月には、AIソリューション事業を展開しているオプティメース(株)と資本業務提携を締結し、AIを活用した面接診断サービスを共同開発することを発表した。今後も就職関連イベント(就職相談イベントやバーチャル合同説明会)等のサービス開発について検討していくとしている。※「meta」(超越、高次の)と「universe」(宇宙)を組み合わせた造語。オンライン上でアバター等を使用して人々が活動できる仮想空間を意味する。(2) リフォーム領域同社ノウハウのチューニングとサービスラインナップの拡充により、流通総額(同社サービス経由での総工事金額)100億円を目指している。そのための戦略として、同社がこれまで培ってきた強み・ノウハウを注入し広告効果の改善やコンテンツ拡充などを進めることで、マッチング効率及び収益性を向上させるほか、全国規模の顧客基盤の獲得、サービス提供範囲の拡大を推進している。また、2022年1月11日にコーナン、2022年2月28日にサンデーとの業務提携が決定。対応エリア・ジャンルの拡大により全国のユーザーニーズに対応可能となった。その他、2022年3月に東京海上日動との連携による損害賠償補償制度、2022年4月にSMBCファイナンスサービスとの連携によるリフォームローンのサービス提供を開始した。(3) カードローン領域アライアンス、マッチング投資で競合優位性を高め、業界最大手クラスを目指している。そのための戦略としては、アライアンス戦略による市場シェアの拡大、システム投資によるマッチング効率改善を推進している。(4) エネルギー領域INEの子会社化については、同社のエネルギー領域の中核事業として事業拡大を進める方針だ。短期的にはシナジーによるバリューアップを、中長期的には領域ナンバーワンへ向けての成長投資を推進する。なお、短期戦略については、コンテンツ投資等の集客チャネル拡大、広告改善による収益効率向上、会員クロスセルによる収益機会拡大、法人向けSaaSによるARR最大化、組織拡大による成長スピードの加速がある。長期戦略については、ユーザー向け省エネ・スマートホーム化等に寄与するプロダクトの開発、送配電・発電事業者のサプライチェーン支援、再エネ創出量増大に向けた発電事業等の自社プロダクトの開発を挙げている。(5) 新規・その他領域新領域への参入と革新的イノベーションの創出を目指している。そのための戦略としては、これまでと同規模またはそれ以上のM&Aを複数実施するほか、新たなビジネスモデルの研究開発を続けていく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
2022/06/09 16:27
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ポート Research Memo(6):アセット蓄積と非日常領域のマッチングDXにより、社会課題の解決を目指す
■中長期の成長戦略1. 成長戦略及び中期経営計画ポート<7047>はこれまで離職率や過疎化、生活習慣病などの社会課題に対してサービス開発を行ってきた。今後、より大きな社会課題を解決していくためには「ユーザー基盤」「投資資本」「顧客基盤」の3つのアセットが必要であると考え、ユーザーにノウハウが蓄積されづらい非日常領域のマッチングDXに基づいた取り組みをベースとした3ヶ年中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定している。中長期の業績成長を実現するために同社は、(1)マッチングDXの拡大、(2)会員基盤を活用したクロスセル、(3)サプライチェーン最適化、の3つの成長戦略を推進する方針を掲げている。(1) マッチングDXの拡大「マッチングDX」について同社は、情報収集から契約までの流れが人や書籍などに依存しデジタル化されていない領域に対し、プロセスの最初から最後までを一気通貫してデジタル化していくことと定義しており、「販促活動のデジタル化」によってユーザーと顧客企業とのマッチング最適化を目指している。具体的には、「領域シェアの拡大(既存領域のシェア拡大)」及び「新領域への展開(同じビジネスモデルで類似領域への参入)」を通じて、マッチングDXのさらなる拡大を図る方針だ。マッチングDX拡大による高い売上収益成長を実現するために、「会員数」「顧客数」「マッチング数」をキーポイントとしている。「会員数」拡大に対してはコンテンツ投資(差別性のある独自コンテンツの作成)、「顧客数」拡大に対してはアカウント投資(高いリピート率を背景とした新規顧客開拓の推進)、「マッチング数」拡大に対してはシステム投資(マッチング効率改善のための1to1マッチングシステムの確立)を投資ポイントとし、それぞれ推進していく。これに加え、アライアンス戦略を積極的に推進し、各キーポイントの成長施策へつなげていく。(2) 会員基盤を活用したクロスセル各領域で獲得したユーザー(会員)基盤を活用し他領域にクロスセル展開をすることで、追加獲得費用の発生しない送客による収益力の最大化を目指している。各領域における会員基盤は強固で、就職領域は2022年卒で45.7万人、2023年卒で28.9万人の会員を獲得している。就活生の会員基盤を安定的に積み上げることで、2030年3月期には累計500万人(20代の社会人の70%)の会員基盤となる。就職領域では既に既卒生向けサービスを開始しており、クロスセル収益が成長トレンドとなっていることから、会員基盤の積み上げによるさらなる業績成長が見込まれる。これに加え、INEの子会社化によってクロスセルのさらなる強化が見込まれる。INEの子会社化によって年間67万人が同社グループの会員となるが、エネルギー領域は全人口が対象となるサービスであることから、就職領域及びリフォーム領域からの会員クロスセルが可能となる。一例を挙げると、就職領域の会員に対しては新社会人の転居時の支援、リフォーム領域の会員に対しては戸建てユーザーへの電力や太陽光等の提案などがある。同社は、エネルギー領域へのクロスセルを優先的に実施し、今後はエネルギー領域からのクロスセルを視野に入れる方針だ。(3) サプライチェーン最適化同社は、社会課題を根本的に解決するためにはマッチングだけではなくその後のフローにも介入し、産業全体の課題を解決するプロダクトを開発する必要があると考えており、ユーザーの最適な意思決定を支援するために、サプライチェーンへの参入を図る。サプライチェーン最適化には、同社が直接事業者となってサービス提供する「垂直展開」と、各領域の事業者を支援する「業務効率化」の2つの手法がある。同社はユーザーデータを大量に保有し、ユーザーニーズの解像度が高いことから、「垂直展開」では同社がリアルサービスを提供する。また、マッチング後のサプライチェーンではDXが進んでおらず、非効率な業務も数多く存在することから、「業務効率化」では同社が顧客の業務効率化、最適化を支援していく。具体的には、販促活動のデジタル化からスタートし、管理機能をすべて取り込むことでデジタルシフトを推進していく。これらの方法を通じて、ユーザーがより最適な意思決定、最適なサービスを享受できる状態を目指す。(4) M&A上記3つの成長戦略を推進するために、M&Aも積極的に検討していく方針だ。同社は、これからデジタル化が進む領域を新規参入対象市場とし、独自の参入基準に当てはまる領域に進出することで再現性を高めている。なお、積み増し型でのM&Aによる規模拡大を志向しておらず、同社の強みであるマーケティングを中心とした様々なノウハウを投下することにより、同社の主力事業に成長しうる企業をM&Aする方針である。(5) 数値目標数値目標としては、最終年度の2023年3月期に連結売上収益100億円以上、連結EBITDA20億円以上、調整後連結EBITDA30億円としている。2023年3月期の業績予想については、足元の外部環境を勘案し保守的な再精査を行ったが、目標とする数値はあくまでも当初計画である。同社は、マーケティングの効率化・成約率の向上により当初計画数値の達成を目指していく。また、今後も売上収益CAGR30%以上の継続的な成長を目標としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
2022/06/09 16:26
注目トピックス 日本株
ポート Research Memo(5):売上収益及びEBITDAのレンジ達成は現実的
■今後の見通し1. 2023年3月期業績の見通しポート<7047>の2023年3月期については、深刻な外部環境の状況を勘案し各領域の計画を保守的に再精査した。その結果、売上収益は9,300百万円(前期比33.0%増)、EBITDAは1,500百万円(同85.1%増)、営業利益は1,200百万円(同100.1%増)、税引前当期利益が1,100百万円(同94.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が700百万円(同110.5%増)としている。ウクライナ情勢等に起因する資源価格高騰等の電力会社各社への影響、コロナ禍の長期化による就職領域・カードローン領域への影響、リフォーム領域のM&A後に策定した計画との乖離などが主な修正要因である。業績計画の修正を行ったものの、マーケティングの効率化・成約率の向上により当初中期経営計画の達成を目指すとしている。創業時からの連続増収の実績を鑑みれば、計画の実現可能性は高いものと弊社ではみている。2. 領域別の戦術(1) 就職領域2023年3月期の売上収益は3,000百万円(前期比30%増)、事業利益は1,610百万円(同51%増)を目標としている。就活生利用率75%以上の会員基盤により送客先の拡大は順調に進んでいる。そのため、予算確保は十分に可能であり予算消化率※アップが重点ポイントとなる。人材紹介では、紹介先の拡充や自社の組織規模拡大によるマッチング率向上が重要となる。そのため、新卒社員を中心にエージェント担当を増強する。また、市場における同社のシェアは上昇していることから、介在価値を高めマッチング時の報酬単価の向上を推進していく。その他、既卒に対するクロスセルも確実に伸びてきており、今後さらなる拡大が見込まれる。※同社では消化率を「獲得した企業の予算枠に対して、送客(予算消化)できた割合」としている。(2) リフォーム領域2023年3月期の売上収益は1,230百万円(前期比13%増)、事業利益は370百万円(同53%増)を目標としている。中期経営計画策定時の目標に対して2022年3月期より乖離が生じているが、M&A後のPMIを通じて2023年3月期は事業利益の大幅な向上を見込んでいる。リフォーム領域では事業利益を最も重視する方針であり、1ユーザーあたりの集客コストの低減・成約率向上の施策を進めていく。M&A後のPMIの推進により、同社の強みであるマーケティング効率化が好影響を与え、1ユーザーあたりの集客コストは逓減している。具体策として、2023年3月期に新規マーケティング施策、ユーザー問い合わせ受付チームの生産性向上、品質向上プロジェクトなどを実施する予定だ。また、2022年3月期第4四半期においては、施工業者の成約プロセスに一部介在し、ユーザーに対する見積書の見方の支援や、ニーズを聞き出し施工業者へフィードバックするなど、きめ細かい対応によって成約率や業務効率を改善した。2023年3月期には、これらの対象範囲を一気に拡大させることで全体の成約率向上を目指すとしている。(3) カードローン領域2023年3月期の売上収益は2,190百万円(前期比10%増)、事業利益は440百万円(同32%増)を目標としている。コロナ禍の長期化による顧客予算縮小から一定程度の回復を見込むが、大きな予算増加となる可能性は低いとみている。そのため、マーケティング効率化、金融機関DXによる送客数増加によって事業利益を優先した運営を行う。消費者金融機関や金融事業者と共同で運営するアライアンスメディアについては一定数を確保済みである。従って、2023年3月期は対象事業の成長を通じてオーガニックな送客数の増加による事業利益の拡大を目指す。(4) エネルギー領域2023年3月期の売上収益は2,500百万円(前期比183%増)、事業利益は370百万円(同109%増)を目標としている。INEは2022年1月より連結化しており、2022年3月期の売上収益881百万円は第4四半期のみの数値である。参考値として、連結前の売上収益を加味した年間の売上収益は3,815百万円である。ユーザーの新電力に対する契約ニーズは高く、マッチング効率の改善を通じた成約率の向上により、取次件数ベースでは2022年3月期と同水準以上を目指す。しかし、厳しい市場環境の影響により取次単価の低下が見込まれるため、連結前売上を考慮した2022年3月期の売上収益3,815百万円に対して減収を想定している。具体的な戦術としては、電力事業者のニーズに応えることで、個人向け電力取次においてもストック収益を拡充する。また、電力の他にもガスや再生可能エネルギー関連のクロスセルを強化していく。これらにより、市場環境回復時の正常時収益力の向上を図るとともに、業績予想の上振れを目指す。(5) 新規・その他領域2023年3月期の売上収益は380百万円(前期比48%減)、事業利益は29百万円(同66%減)を目標としている。INE の M&A によるエネルギー領域への移管や、一部事業の撤退、非注力化、事業ポートフォリオの一部見直しを行うため減収減益を想定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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2022/06/09 16:25
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は5日続伸、ファーストリテとソフトバンクGが2銘柄で約66円分押し上げ
6月9日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり113銘柄、値下がり101銘柄、変わらず11銘柄となった。日経平均5日続伸。8日の米株式市場でNYダウは269ドル安と3日ぶり反落。経済協力開発機構(OECD)が世界経済の見通しを大幅に引き下げたことで景気後退懸念が強まった。原油価格や長期金利の上昇でインフレ高進への警戒感も強まり、引けにかけて下げ幅を拡大。ナスダック総合指数は-0.73%と3日ぶり反落。米株安を受けて日経平均は44.94円安からスタート。1ドル=134円台に乗せた円安進行を追い風に上昇に転じるとその後は徐々に上げ幅を拡大。後場中ごろには一時28389.75円(155.46円高)まで上昇し、1月18日以来となる高値を記録。ただ、円安進行の一服やアジア市況の下落が影響し、大引けにかけては急速に上げ幅を縮めた。大引けの日経平均は前日比12.24円高の28246.53円となった。東証プライム市場の売買高は12億8727万株、売買代金は3兆2139億円だった。セクターでは鉱業、石油・石炭、その他製品などが上昇率上位となった一方、海運、証券・商品先物取引、電気・ガスが下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の43%、対して値下がり銘柄は52%となった。値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約46円押し上げた。同2位はソフトバンクG<9984>となり、アステラス薬<4503>、ヤマハ<7951>、オムロン<6645>、バンナムHD<7832>、テルモ<4543>などがつづいた。一方、値下がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約45円押し下げた。同2位はアドバンテ<6857>となり、信越化<4063>、ファナック<6954>、富士フイルム<4901>、KDDI<9433>、太陽誘電<6976>がつづいた。*15:00現在日経平均株価 28246.53(+12.24)値上がり銘柄数 113(寄与度+160.77)値下がり銘柄数 101(寄与度-148.53)変わらず銘柄数 11○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 69830 1330 +46.74<9984> ソフトバンクG 5659 96 +20.24<4503> アステラス薬 2127 37 +6.50<7951> ヤマハ 5830 180 +6.33<6645> オムロン 7639 149 +5.24<7832> バンナムHD 9926 128 +4.50<4543> テルモ 4170 27 +3.80<4519> 中外薬 3666 36 +3.80<7974> 任天堂 59900 950 +3.34<9613> NTTデータ 1980 16 +2.81<3659> ネクソン 3275 40 +2.81<7269> スズキ 4100 77 +2.71<6506> 安川電 4815 75 +2.64<8031> 三井物産 3511 70 +2.46<4523> エーザイ 5486 56 +1.97<8830> 住友不 3702 56 +1.97<7270> SUBARU 2546.5 53 +1.86<6952> カシオ計 1316 50 +1.76<7203> トヨタ自 2239 9 +1.58<6305> 日立建機 3415 45 +1.58○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<8035> 東エレク 57510 -1290 -45.33<6857> アドバンテス 8570 -220 -15.46<4063> 信越化 18335 -220 -7.73<6954> ファナック 21980 -175 -6.15<4901> 富士フイルム 7421 -154 -5.41<9433> KDDI 4480 -24 -5.06<6976> 太陽誘電 5650 -130 -4.57<9107> 川崎船 9260 -1160 -4.08<6981> 村田製 8655 -140 -3.94<6971> 京セラ 7567 -45 -3.16<9104> 商船三井 3220 -270 -2.85<9101> 郵船 9850 -740 -2.60<9766> コナミHD 8680 -70 -2.46<6098> リクルートHD 4581 -22 -2.32<7735> スクリーンHD 11760 -330 -2.32<6753> シャープ 1024 -62 -2.18<6988> 日東電 9820 -60 -2.11<1963> 日揮HD 2008 -57 -2.00<6758> ソニーG 12290 -55 -1.93<6762> TDK 4755 -15 -1.58
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2022/06/09 16:24
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ポート Research Memo(4):流動比率は十分、短期的な財務懸念はなし
■ポート<7047>の業績動向2. 財務状況と経営指標2022年3月期末の資産合計は前期末比3,566百万円増加の10,322百万円となった。流動資産は2,098百万円増加し、5,878百万円となった。主な要因として、現金及び現金同等物が1,551百万円、営業債権及びその他の債権が702百万円増加した。営業債権及びその他の債権の増加は、全体的な売上増や就職領域の伸長によるものだ。非流動資産は1,468百万円増加し、4,443百万円となった。のれんが1,428百万円増加したことなどによる。負債合計は同2,601百万円増加の7,335百万円となった。流動負債は957百万円増加し、3,060百万円となった。社債及び借入金が387百万円、未払法人所得税等が330百万円、その他の流動負債が232百万円増加したことなどによる。社債及び借入金の増加はINE連結の影響によるものである。非流動負債は1,644百万円増加し、4,274百万円となった。社債及び借入金が2,092百万円増加したことなどによる。これは、INEの取得に伴うものである。資本合計は同964百万円増加の2,986百万円となった。主な要因は、第三者割当増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ99百万円増加したこと、及び当期利益の計上により利益剰余金が332百万円増加したことなどによる。経営指標については、流動比率が前期末比12.4ポイント上昇の192.1%であることから、短期的な財務懸念はないと弊社では見ている。なお、親会社所有者帰属持分比率は前期末比7.0ポイント下降の22.9%となったが、2023年3月期のEBITDA及び親会社の所有者に帰属する当期利益で財務指標改善を図るとしている。同社は、M&Aに関するリリース内でも積極的な負債活用を掲げていることから、現状の資本構成は方針に沿った展開であると言える。なお、のれんについては、就職領域の足元の業績はM&A時の計画どおりに推移している。リフォーム領域は計画上軟調に推移したが、アライアンスや成約業務のDX推進により成長基調にあり2023年3月期は大幅な増益を見込んでいる。エネルギー領域は資源価格高騰等の外部環境により不透明な状況ではあるが、正常収益力向上により市場回復時の成長を見込んでいる。これらの状況から今後の見通しは順調であり、中長期的な業績貢献が期待できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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2022/06/09 16:24
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ポート Research Memo(3):就職領域が全体の業績を牽引し大幅成長、引き続き高成長による業容拡大を見込む
■業績動向1. 2022年3月期業績の概要ポート<7047>の2022年3月期の連結業績は、売上収益が6,994百万円(前期比49.2%増)、調整後EBITDA※が1,604百万円(同55.6%増)、EBITDAが810百万円(同178.8%増)、営業利益が599百万円(同465.0%増)、税引前当期利益が564百万円(同253.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が332百万円(同107.3%増)となった。就職領域の売上収益が全体の業績を牽引し、大幅な成長を遂げた。2022年3月期においても大規模投資を継続していたが、大幅な増収と各領域のマーケティング効率化の影響により、EBITDA以下の利益指標は大幅な伸び率となった。業績予想に対する売上収益はわずかに予想を下回ったものの、EBITDA・営業利益・税引前当期利益に関しては期中に上方修正した利益予想レンジ内での着地となった。第4四半期の営業費用を前年同期と比較すると、INE(エネルギー領域)の連結により全体的に増加しているが、人件費以外の項目は売上対比で減少している。また、売上収益広告宣伝費率は、リフォーム・カードローン領域における効率性重視の運営により減少傾向にある。2023年3月期以降は、INE社の連結を受けて増加する可能性も含む。※調整後EBITDA=EBITDA+アカウント投資+コンテンツ投資+システム投資。同社は投資資産化の特性が強く、投資額は期によって増減があることから、投資額の影響を除いて平準化された収益として調整後EBITDAを設定し、重要指標としている。各領域の業績については、以下のとおりである。(1) 就職領域2022年3月期売上収益は2,308百万円(前期比57%増)、事業利益は1,064百万円(同54%増)。KPIである送客予算は同87%増、人材紹介数は同96%増の成長率を示した。第4四半期において人材送客・人材紹介ともに大きく成長し通期の大幅な増収を実現した。事業利益についても、マッチング率の向上・増員メンバーの生産性向上等の影響により増益を達成し、KPIである送客予算・人材紹介数はともに成長を続けている。送客予算の確保に注力した結果、増加幅が大きく消化率は一時的に低下していたが、送客効率の改善により回復傾向にある。また、会員数についても好調に推移しており、2022年3月卒業予定の新卒会員数※1は約45.7万人で獲得目標に対する達成率は99%(2022年3月期末時点)、就活生利用率※2は75%程度になっている。2023年3月卒業予定の新卒会員数※1は約28.9万人で獲得目標に対する達成率は既に100%(2022年3月期末時点)確保している。※1 会員数は「キャリアパーク」と「就活会議」のユニーク数で算出。※2 就活生全体の約60万人に対する同社会員のシェア。(2) リフォーム領域2022年3月期の売上収益は1,092百万円(前期比8%増※)、事業利益は241百万円(同582%増※)、KPIである送客数は同5%増、成約契約数は同9%増の成長を示し、2022年3月末時点の累計加盟店数は4,469社(前期末比12.6%増)。アライアンスによる顧客拡大及び成約支援に向けたDXを推進したが、売上収益は計画を下回る着地となった。一方、成約プロセスに一部介入し、ユーザーと施工業者を双方向からサポートすることで成約契約数は大きく伸長し、事業利益は大幅な増益となった。重点ポイントであった送客先の拡充においては、2022年1月11日にコーナン商事<7516>、2022年2月28日にサンデー<7450>との業務提携が決定している。対応エリア・ジャンルの拡大により全国のユーザーニーズに対応可能となった。また、成約支援に向けたDX推進では大手企業と連携したプラットフォーム力向上のための施策をリリースし、東京海上日動火災保険(株)(以下、東京海上日動)との連携による損害賠償補償制度、SMBCファイナンスサービス(株)との連携によるリフォームローンのサービス提供を開始した。※2020年8月から連結化のため、前期比は参考値。(3) カードローン領域2022年3月期売上収益は1,983百万円(前期比14%増)、事業利益は332百万円(同77%増)、KPIである送客数は同21%増となった。第2四半期以降はカードローン市場全体の顧客予算が縮小しており、売上収益は計画を下回る着地となった。売上収益の成長率が鈍化した一方で、利益重視の運用体制構築及び金融機関DX事業によるアライアンスメディアの好調により、事業利益は当初計画を大幅に上回った。トピックとしては金融機関DXが挙げられる。消費者金融事業者等のオウンドメディア開発・運営を同社が担い、マーケティングDXを推進しており、2021年6月から10月にかけて、アイフル<8515>グループのアイフルビジネスファイナンス(株)及び大手を含む消費者金融事業者(社名非公開)2社と業務提携し、オーガニックでの送客数を増やすことで利益率改善に寄与した。2021年7月には、オークファン<3674>とファイナンス系メディアの共同開発を目的に業務提携契約を締結。2021年11月にはアイフルグループのライフカード(株)とも業務提携契約を締結した。(4) エネルギー領域2022年3月期の売上収益は881百万円、事業利益は177百万円となった※1。資源価格高騰等による電力会社の予算削減等マーケット環境の変化があったが、マッチング効率の改善や各種PMI施策の推進により影響を最小限に抑えた。同社会計基準への適応により収益認識基準の変更があるため、前期比較数値については非開示としている。KPIである電力取次件数※2については、当初想定の10万件を大きく超えて14万件を突破し、前年比※3約2倍の取次件数を確保した。※1 INEは2022年1月より連結化しており、2022年3月期の売上収益は第4四半期のみの数値。※2 2021年11月24日開示、M&A補足資料P28に記載された数値を使用。※3 電力取次件数は、INE社の重要指標である受注数に平均的な開通率を乗じて算出。(5) 新規・その他領域2022年3月期の売上収益は728百万円(前期比9%減)、事業利益は86百万円(同62%減)となった。フリーランス支援サービスは順調に推移したものの、撤退サービス等の影響により減収減益となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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2022/06/09 16:23
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ポート Research Memo(2):インターネットメディア事業を展開
■会社概要1. 会社概要ポート<7047>はインターネットメディアを複数運営している。メディアのジャンルは多岐にわたるが、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」、そして2021年11月に本格参入した「エネルギー領域」の4つの領域を主力としつつ、既存事業とのシナジーも期待できる新規領域として、自治体向けや医療系などのメディアの研究・開発も開始した。現 代表取締役社長の春日博文(かすがひろふみ)氏は大学在籍中から企業の採用マーケティングを支援しており、2011年4月、大学卒業と同時に同社(旧 (株)ソーシャルリクルーティング)を設立した。その後、資金調達や新メディアの開発・運用、業績拡大を経て、2018年12月に東京証券取引所マザーズ市場及び福岡証券取引所Q-Boardに上場した。同社は「世界中に、アタリマエとシアワセを。」をコーポレート・ミッションとして掲げ、幅広い分野での社会問題の解決を目指している。具体的には、社会課題領域を前提に、あらゆるサービスに対して、ユーザー側の問題を「非日常領域」、サプライヤー側の問題を「デジタル化遅延領域」と捉えている。「非日常領域」とは、ユーザー側で知識や経験の蓄積が不十分なためにサプライヤー側との情報格差が大きくなり、ユーザーだけでは意思決定が難しい領域のことである。同社の主力領域でいえば、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」「エネルギー領域」が該当する。これらは、一般個人では知識・経験が乏しいために情報収集の仕方や価格の目安、業者の選び方などがわからず、意思決定が困難な領域である。一方で「デジタル化遅延領域」とは、デジタル化が進んでいないためにサービスマーケティングから契約手続きまでの一連の流れが非効率となっている領域のことである。同社はこの「非日常領域」「デジタル化遅延領域」の重なる部分を重点アプローチ領域と捉え、マッチングDXをコンセプトにユーザーとサプライヤーの効率的なマッチングを提供している。2. 事業概要同社は、インターネットメディアの運営を通じてユーザーとサプライヤーのマッチングサービスを提供している。送客手数料を収入源とし、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」「エネルギー領域」の4つのサービス領域からなる。事業全般に共通する強みとして、「ストック型のコンテンツマーケティングモデルである」ことが挙げられる。同社は流行に左右されづらいコンテンツ(就活におけるマナー解説記事など)に厳選してビジネスを展開しているため、長期間にわたってコンテンツが陳腐化せず、資産化したコンテンツをもとに安定したアクセスを獲得している。また、ユーザーを会員化することで行動データを蓄積・分析し、それを効率的に活用することで送客時に高単価な成果報酬を得ている。各領域の概要については、以下のとおりである。(1) 就職領域就職領域では、就職活動生に役立つ情報を提供するメディアを運営している。具体的には、就活ノウハウを提供する「キャリアパーク!」、企業の口コミを提供する「就活会議」、就活生と企業のマッチングを支援する「キャリアパーク!就職エージェント」などがある。特長としては、就職活動におけるあらゆる段階(情報収集やイベント参加、入社試験など)で必要とされる情報を、複数メディアで提供している点が挙げられる。同社は、メディアを通じて人材会社や求人企業にユーザーを送客することで手数料を受け取る。KPIは、送客予算、人材紹介数、マッチング担当者数、会員数などである。また、同領域では就活生が動く第4四半期の就活解禁時が山場となるため、業績は2月~3月に集中する下期偏重型となる。(2) リフォーム領域リフォーム領域では、住宅の外壁塗装に関する情報を専門メディア「外壁塗装の窓口」にて提供している。運営主体は、同社が2020年7月末に買収した(株)ドアーズである。「外壁塗装の窓口」では住所や延床面積、予算などからユーザーに合った外壁塗装業者を探すことができる。充実した情報をもとにユーザーを集め、施工業者とマッチングさせることで、同社は送客手数料を得る。ユーザーに対する見積書の見方の支援や、ニーズを聞き出し施工業者へフィードバックするなど、きめ細かい対応によって高い成約率に繋げている。外壁塗装の領域に特化し、ユーザーの意思決定の深いところまで関与していく紹介型の事業である。KPIには、送客数、成約契約数、施工業者の累計加盟店数などがある。(3) カードローン領域カードローン領域では、専門家監修の記事や口コミなど、カードローン利用における役立つ情報を運営メディア「マネット(カードローン)」にて提供している。そのほか、エキサイト(株)や大手消費者金融が運営しているメディアも共同運営(同社は記事執筆やマーケティング支援)している。お金に関する悩みを抱えたユーザーが各メディアにて情報収集し、大手消費者金融機関など各事業者に申し込むことで、同社は送客手数料を受け取る。事業の季節性として、6月・12月などのボーナス時期には需要が下がる傾向がある。その反面、3月・9月など新生活のスタート時には活況となるため下期偏重型である。KPIは送客数などが挙げられる。(4) エネルギー領域同社は2021年11月にエネルギー領域に参入し、中核事業として2022年1月にINEを子会社化した。INEは、ユーザーと電力事業者の国内最大規模のマッチングDXカンパニーで、「エネチョイス」「引越手続き.com」等のマッチングDXメディアを運営している。Webの集客力と意思決定まで支援するインサイドセールス力による洗練されたマッチング力を保有し、取次の完全内製による高いマッチング率が強みである。同社とINEそれぞれのノウハウやアセットを活用してシナジーを創出し、成長市場でのシェア拡大を目指す。KPIは取次件数である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
2022/06/09 16:22
注目トピックス 日本株
ポート Research Memo(1):就職領域が業績を牽引し、売上収益は前期比で大幅成長
■要約ポート<7047>はインターネットメディアを複数運営している。メディアのジャンルは多岐にわたるが、「就職領域」「リフォーム領域」「カードローン領域」、そして2021年11月に本格参入した「エネルギー領域」の4つのサービス領域を主力としつつ、既存事業とのシナジーも期待できる新規領域として、自治体向けや医療系などのメディアの研究・開発も開始した。1. 業績動向2022年3月期の連結業績は、売上収益が6,994百万円(前期比49.2%増)、EBITDA※1が810百万円(同178.8%増)、調整後EBITDAが1,604百万円(同55.6%増※2)、営業利益が599百万円(同465.0%増)、税引前当期利益が564百万円(同253.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が332百万円(同107.3%増)となった※3。売上収益は業績予想をわずかに下回ったものの、就職領域の業績牽引やエネルギー領域における(株)INE(以下、INE)との連結により、大幅な成長を実現した。2022年3月期においても大規模投資を継続していたが、大幅な増収と各領域のマーケティング効率化の影響により、EBITDA以下の利益指標は大幅な伸び率となった。また、EBITDA・営業利益・税引前当期利益は期中に上方修正した利益予想レンジ内での着地を達成。当期利益に関しては、INEの非支配株主に帰属する当期利益の控除により予想レンジを下回る結果となった。※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+株式報酬費用※2 調整後EBITDA=EBITDA+アカウント投資+コンテンツ投資+システム投資※3 2022年3月期第1四半期よりIFRSへ移行しており、前年同期間におけるIFRS基準の数値との比較による参考値。2. 2023年3月期業績の見通し2023年3月期については深刻な外部環境の状況を勘案し各領域の計画を保守的に再精査した。その結果、売上収益は9,300百万円(前期比33.0%増)、EBITDAは1,500百万円(同85.1%増)、営業利益は1,200百万円(同100.1%増)、税引前当期利益が1,100百万円(同94.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益が700百万円(同110.5%増)としている。ウクライナ情勢等に起因する資源価格高騰等の電力会社各社への影響、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の長期化による就職領域・カードローン領域への影響、リフォーム領域のM&A後に策定した計画との乖離などが主な修正要因である。業績計画の修正を行ったものの、目標はあくまでも当初計画の売上収益100億円、EBITDA20億円の達成であり、創業時からの連続増収の実績を鑑みれば、計画の実現可能性は高いものと弊社では見ている。3. 中長期成長戦略同社はこれまで離職率や過疎化、生活習慣病などの社会課題に対してサービス開発を行ってきたが、より大きな社会課題を解決していくためには「ユーザー基盤」「投資資本」「顧客基盤」の3つのアセットが必要であると考え、ユーザーにノウハウが蓄積されづらい非日常領域のマッチングDXに基づいた取り組みをベースとした3ヶ年中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)を策定している。中長期の業績成長を実現するために同社は、(1) マッチングDXの拡大、(2) 会員基盤を活用したクロスセル、(3) サプライチェーン最適化、の3つの成長戦略を推進していく。そのために、M&Aも積極的に検討する方針だ。同社のビジネスモデルはマッチングプラットフォームを軸としており、マッチング総数(会員数、顧客数及びそれぞれの総量)の増加が売上収益成長のキードライバーとなる。マッチング最大化による高い売上収益成長を実現するために、同社では「コンテンツ投資(会員数拡大)」「アカウント投資(顧客数拡大)」「システム投資(マッチング数拡大)」への積極投資を行っている。2022年3月期累計では、コンテンツ投資144百万円、アカウント投資124百万円、マッチングシステム投資525百万円を実行しており、引き続き事業拡大に向けた投資を継続する方針である。2023年3月期は中期経営計画の最終年度であるが、マーケティングの効率化・成約率の向上により当初計画である売上収益100億円、EBITDA20億円の達成を目指す。また、今後も売上収益CAGR30%以上の成長を目標としている。■Key Points・「世界中に、アタリマエとシアワセを。」をコーポレート・ミッションに、インターネットメディア事業を展開・2022年3月期業績は就職領域が業績を牽引、売上収益は前期比49.2%増と大幅に成長・2023年3月期の見通しは深刻な外部環境を勘案し計画を修正、実現可能性は非常に高い・中期経営計画の最終年度である2023年3月期は、計画を保守的に修正しているもののマーケティングの効率化・成約率の向上により当初計画である売上収益100億円、EBITDA20億円の達成を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
<SI>
2022/06/09 16:21
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(9):成長投資を優先すべきフェーズにあることからしばらくは配当見送りの可能性が高い
■株主還元coly<4175>は成長期にあることから、創業以来、配当の実績はない。2023年1月期についても無配となる見通しである。弊社でも、成長加速に向けたパイプラインの拡充やM&Aなどへの投資を優先すべきフェーズにあることを踏まえ、しばらくは配当見送りの可能性が高いと見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:09
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(8):メタバースやEX時代の到来を見据え、成長加速を目指す
■coly<4175>の中長期の成長戦略1. 市場環境の認識国内スマートフォンゲーム市場は年々拡大傾向にあり、1兆3,000億円規模※1に上る。また、男女比はほぼ半々と推定されるが、市場の拡大とともに女性ユーザー数の伸び率は顕著となっている。さらに、キャラクターを中心としたコンテンツ市場に目を向けると、グッズ1兆4,850億円※2、コミック(紙+電子)6,759億円※3、アニメ2,744億円※4、2.5次元舞台77.1億円※4、カフェ(コラボカフェとアニメカフェの合計)68.4億円※4と巨大な市場が形成されている。※1 同社資料より、(株)角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書2021」。※2 同社資料より、(株)キャラクター・データバンク「CharaBiz Data 2021」。※3 同社資料より、(公社)全国出版協会・出版科学研究所「出版月報」2022年2月号。※4 同社資料より、(一社)日本動画協会「アニメ産業レポート2021」。一方、世界のモバイルオンラインゲーム市場を眺めても、コロナ禍が長期化した影響もあり、アジア、北米、欧州でそれぞれ2ケタ成長となっている※1。地域別の内訳では、アジアが52.7%を占め、北米が28.1%、欧州が14.3%と続く。各国の女性ユーザー数も拡大※2しており、市場として大きな可能性を持つものと認識することができる。※1 同社資料より、角川アスキー総合研究所「ファミ通モバイルゲーム白書2022」。※2 同社資料より、data.ai「2021年モバイルゲーム市場最新レポート」。2. 中長期的な方向性と現在の位置付け同社では、あらゆる産業がデジタル化するDXの先に、メタバースの時代や、感情をゆさぶる体験が最も重視されるEX時代の到来を見据えており、2025年以降は「EX・メタバースフェーズ」という異次元のフェーズへと一気に進化していくビジョンを描いている。一方、この数年間については、「パイプライン拡充フェーズ」と位置付けており、創業以来培ってきた自社IP制作のノウハウを軸に、新規タイトルの開発、展開の多様化に注力しつつ、「EX・メタバースフェーズ」に向けた地盤固めを行っていく方針である。3. 今後の成長戦略同社では、今後の成長戦略の柱として、1)新規タイトルの拡充(自社IP及び他社との協業)、2)展開先の多様化(続編展開、MD展開、メディアミックス等)、3)海外展開(アジア、欧米)の3つを掲げている。(1) 新規タイトルの拡充人材の採用とノウハウの蓄積により、既に複数のタイトルを並行して開発する体制が整いつつあり、これまで同様、妥協のない丁寧な制作を続けながら、タイトル数を積み上げていく。また、出版社やアニメ制作会社、版権管理会社などとの協業により他社IPの活用にも参入し、事業規模の拡大を図る。なお、新規タイトルの開発については、1)安定運営を目指す作品(開発期間1~2年、年間売上目標5億円以下)、2)業績をけん引する作品(開発期間2~4年、年間売上目標5億円~50億円)、3)新たな挑戦を伴う作品(開発期間3~5年、年間売上目標50億円以上)の3つに分類したうえ、安定収益の確保と爆発的な成長のバランスをとりながら、複合的な収益構造を目指していく方針である。(2) 展開先の多様化引き続き、続編展開による既存タイトルのロングセラー化(10年以上続く作品づくり)や、自社MD展開を推進するとともに、アニメ制作、出版社、飲食、グッズなど、シナジーが見込める企業との業務提携(M&Aを含む)も視野に入れ、「総合エンターテインメント企業」として成長スピードを高めていく。(3) 海外展開アジア圏における女性ゲーム市場は大きな成長余地があり、中華圏における女性向けゲーム市場は2015年の2,000億円超から、2023年には約1.4兆円にまで拡大する見込みと、日本の10倍ほどの市場規模があると想定されている。中華圏の市場は日本市場と文化的に共通する部分があり、同社は現地のリスクを考慮したうえで、現地企業との協業などにより適切なローカライズを図る考えだ。現在は繁体字圏(台湾・香港)と韓国のみで展開しているが、今後はアジア全域へと領域拡大を検討している。また、欧米やほかの地域への展開も積極的に検討する考えだ。4. 弊社アナリストによる注目点弊社でも、自社IPに限らず、他社IPの活用を図るとともに、多面的なメディア展開や市場の大きな海外への展開を目指す方向性は、今後の成長加速に向けて理に敵った戦略と評価している。特に、同社がこれまで培ってきたIP企画力やメディア展開力は、他社との協業や業務提携を進めるうえでも大きなアドバンテージになるものと考えられ、大型案件に結び付く可能性も想定される。また、海外展開についても、日本のポップカルチャーに対する人気は高く、同社のIP(コンテンツ)が受け入れられる素地は十分にあると考えられる。これまで同様、丁寧な作品づくりやユーザーとの関係を大切にしながら、いかにダイナミックな展開を図っていくのか、その両立に向けて、これからのマネジメントの手腕に期待したい。また、EX・メタバースを見据えた中長期の方向性についても、エンターテインメントにおける新たな価値提供の形として大きなポテンシャルを見込んでおり、多くのファンを抱える同社ならではの展開に注目している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:08
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(7):2023年1月期の業績予想は非開示。新規タイトルなどによるアップサイド目指す
■業績見通し1. 2023年1月期の業績予想2023年1月期の業績予想についてcoly<4175>は、現時点において合理的かつ信頼性のある業績予想の提示が困難との判断から非開示としている。また、今後の進捗を踏まえ、算定が可能になり次第、速やかに開示する方針である。2023年1月期の業績予想が非開示となっている理由として、以下のことが挙げられる。売上高に関しては、1)「&0(アンドゼロ)」のほか、リリースを予定している新規タイトルについて、売上高の合理的な算出が困難であること、2)運営中のゲームタイトルに関しても、環境の変化が速く、動向を予測することが困難であること、3)同社初となる常設店舗「coly more! 池袋PARCO店」の開設をはじめとするMD施策についても、コロナ禍の影響等により、予想される売上高の振れ幅が大きいこと、などである。また、費用に関しても、1)大型タイトルを含めた新規開発着手を複数見込んでおり、研究開発費について現時点で未確定の部分が大きいこと、2)前記開発人員を含めた採用人数について、現時点では見通せない部分が大きいことを、理由として挙げている。もっとも、上場時に調達した資金の活用を含め、ゲーム運営費用として10億円~15億円、広告宣伝費として5億円~10億円、研究開発費として5億円~10億円を予定しており、幅は持たせているものの、積極的な成長投資を継続する方針に変わりはない。また、人材採用にも引き続き積極的に取り組む考えである。2. 新規ゲーム&リニューアル展開(予定)2022年5月にリリースした「&0」を皮切りに、2022年内に既存タイトル「スタンドマイヒーローズ」のリニューアル、2022年冬以降にフジテレビとの協業による新規タイトルのリリースを予定しているが、他にも新規タイトルの開発が複数進行しているようだ。また、2022年3月30日に「ドラッグ王子とマトリ姫」のNintendo Switch版の開発を決定したことを発表した。3. 弊社アナリストの見方弊社では、既存タイトルの一部が成熟期を迎えているものの、多くのユーザーに支えられ長期安定的な運営ができていることや、MD売上についても順調に伸びていることから、予定されている新規タイトルのリリースや既存タイトルのリニューアル、オフィシャルストア「coly more! 池袋PARCO店」の開設などにより、どのくらいの上乗せ(アップサイド)ができるのかが、業績面での注目点になると見ている。一方、戦略面については、引き続きパイプラインの拡充、多面的なメディア展開、海外展開やEXへの動きなど、他社との協業を含め、2023年1月期以降の成長加速に向けた取り組みに注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:07
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(6):フジテレビジョンとの協業や、常設店舗の開設などに取り組む
■主なトピックス1. フジテレビジョンとの協業2021年9月14日に、フジテレビジョンが製作する新作アニメ作品のIPを利用した新規タイトルの制作・開発に着手したことを公表すると、2022年3月16日には、2022年秋よりフジテレビ他にて放送を決定したオリジナルTVアニメ「永久少年Eternal Boys」のスピンオフノベルゲームの開発を開始したことを公表した。coly<4175>は以前より、自社IPの創出に加え、他社との協業によるパイプラインの拡充を目指しており、本件はその一環として初めての協業案件となる。2. 同社初となる常設店舗「coly more! 池袋PARCO店」を開設2022年4月1日には、「colyの作品を、もっとそばに」をコンセプトに、同社初の常設オフィシャルストア「coly more! 池袋PARCO店」を開設した。同社によるとオープン初日から多くのユーザーが訪れるなどの盛り上がりを見せており、順調な滑り出しとなったと言う。今後も定期的な新商品の発売や、様々な店舗イベントが企画されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:06
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(5):2022年1月期は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地
■決算概要1. 2022年1月期の業績coly<4175>の2022年1月期の業績は、売上高が前期比3.0%増の6,519百万円、営業利益が同27.7%減の1,498百万円、経常利益が同29.2%減の1,466百万円、当期純利益が同31.4%減の964百万円と、増収ながらパイプライン拡充に伴う研究開発費の増加により減益となった。期初予想に対しても、新規タイトルの期ずれや既存タイトルの下振れ等により、売上高・各利益ともに計画を下回る着地となっている。売上高は、ゲームとMDがともに伸長した。ゲームは、2021年11月に2周年を迎えた「魔法使いの約束」が伸長した一方、5周年を迎えた「スタンドマイヒーローズ」が成熟期に入ってきたことに加え、2020年10月にゲーム運営を終了した「オンエア!」の影響により、ゲーム売上全体では前期比1.4%増と小幅な伸びにとどまった。一方、MD売上については、コロナ禍の影響※を受けたものの、自社ECサイトによるオンライン販売が好調であったことや、「魔法使いの約束」2周年イベントに伴う大幅なグッズ売上の増加により前期比10.4%増と順調に伸ばした。なお、売上高が期初予想を下回ったのは、リリースを予定していた新規タイトルの期ずれのほか、既存タイトルの成長曲線が見込みどおりではなかったことが理由のようだ。※緊急事態宣言の発出による影響に加え、その解除後も入場制限など感染症対策を実施した。損益面でも、売上高の下振れに加え、パイプライン拡充に伴う研究開発費の投入や組織体制の強化に向けた採用研修費の増加※等により営業減益となった。ただ、成長のための先行費用をこなしながら営業利益率は23.0%を確保しており、収益性の高さは維持できていると言える。※積極採用の結果、2022年1月末の社員数(臨時を含む)は338名(前期末比102名増)に増加した。財務面では、株式上場に伴う新株発行により現金及び預金が増加し、総資産は前期末比120.3%増の7,760百万円に拡大した。一方、自己資本についても新株発行や内部留保の積み増しにより、前期末比222.7%増の6,918百万円に大きく増加したことから、自己資本比率は89.2%(前期末は60.9%)に上昇した。また、資本効率を示すROEも21.3%と高い水準を維持している。キャッシュ・フローも潤沢である。営業キャッシュ・フローが565百万円のプラスとなったことに加え、財務キャッシュ・フローも新株発行により3,787百万円のプラスとなったことから、現金及び現金同等物は6,899百万円に積み上がっている。パイプラインの拡充をはじめ、多面的なメディア展開や次世代フェーズを見据えた成長投資(M&Aを含む)に積極的に振り向けていく方針である。2. 2022年1月期の総括以上から2022年1月期を総括すると、期初予想を達成できなかった点では厳しい評価をせざるを得ないものの、足元業績に表れてこない部分に目を向けると、1)研究開発費の積極投入により、パイプラインの拡充(非公表のものも含む)を進めたことや、2)積極採用等により、開発のクオリティとスピードを両立させるための組織づくりや業務執行体制の強化を図ったこと、3)(株)フジテレビジョンとの協業をはじめ、上場を機に様々な方面で協業や提携の話が増えてきたことなど、今後の成長に向けた基盤強化においては一定の成果を残したと評価できるだろう。これらの取り組みが2023年1月期以降の業績にどのように寄与し、成長をけん引していくのかに期待したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:05
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(4):新ゲームをリリースするごとに事業を拡大、自社IPによるMD売上も高成長に寄与
■coly<4175>のこれまでの業績の推移これまでの業績を振り返ると、ゲームタイトルのリリースごとに事業の拡大を図ってきた。すなわち、自社IPを一つひとつ丁寧に作り上げ、確実にヒットさせるとともに永く愛され続けてきたことが、これまでの成長をけん引してきたと言える。また、自社IPから派生するMD(グッズ販売等)も順調に伸びており、その結果、創業から2022年1月期まで連続の増収を実現してきた。18/1期から22/1期までの売上高の年平均成長率(CAGR)は48.2%に及ぶ。損益面でも、研究開発費の効率投入や広告宣伝費のみに依存しない成長モデルにより、営業利益率は高い水準を維持してきた。創業以来、黒字経営を継続しているところも特徴的と言える。18/1期から22/1期までの営業利益のCAGRは52.2%となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:04
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coly Research Memo(3):IP企画力やメディア展開力に強み。今後は他社IPの活用やメディア展開にも注力
■企業特徴1. 収益モデルcoly<4175>の収益モデルは、ヒットIPを企画し、ゲームを含むメディア展開(TVアニメ、イベントなど)によりIP価値をさらに高め、ゲーム課金やグッズ販売、ライセンス収入で収益化を図るものである。ゲーム売上は、ゲームタイトル及び自社IP数、アクティブユーザー数、ユーザー当たりの平均課金収益(ARPPU)で構成される一方、MD売上(グッズ販売)は、自社IP数のほか、自社企画によるグッズの種類、販売チャネルやメディア展開の種類(EC、実店舗、イベント、コラボ等)などに連動することから、それぞれの構成要素を収益ドライバーとして認識する必要がある。また、今後は、自社IPに限らず、同社のIP企画力やメディア展開力を生かし、他社IPの活用も図っていくほか、IP(コンテンツ)を多方面のメディアへ展開していくことにより、幅広いファンの獲得と収益源の多様化にも取り組む。2. コスト構造売上原価は、1)配信プラットフォーム手数料(ゲーム売上の30%)と、2)その他原価(労務費、外注費等)で構成されている。ゲーム売上に対する変動費は1)のみで、その他原価は固定費である。ゲーム売上及びMD売上の原価率は大きくは変わらないが、原価率全体の推移を見ると50%弱で安定しており、同業他社と比べて明らかに低い水準※1に抑えられている。一方、販管費は、人件費のほか、採用研修費、研究開発費、広告宣伝費などから構成している。研究開発費はリリース前のゲームタイトル開発費に当たるが、ソフトウェア仮勘定等の資産計上を行わず、全額を期間費用として計上しているところが特徴的である※2。高いヒット率やメディア展開力に支えられ、研究開発費や広告宣伝費は効率的に投入されており、同社の高い収益性を実現する要因となっている。※1 モバイルオンラインゲーム運営会社(上場会社)の原価率は平均70%前後の水準となっている(各社有価証券報告書より、直近2事業年度の平均値を算出)。※2 資産計上しないことにより、それらに関わる減価償却費及び減損処理による損失は発生しない。3. 競争優位性の源泉同社の競争優位性は、前述のとおり、高いヒット率を誇るIP企画力とMDを含むメディア展開力にあるが、それらを支えているものは、拡大傾向にある女性向けコンテンツ市場をコア領域として、独自の組織体制・事業構造を構築してきたことにある。すなわち、1)高い内製化比率、2)ユーザー目線を持つ社員比率の高さ、3)ゲーム及びIP活用事業両輪での成長が、競争優位性の源泉となっている。(1) 高い内製化率ゲーム開発及び運営の積極的な内製化により、開発ノウハウや汎用的な技術資産を蓄積してきたことに加え、コミュニケーションなどにおける効率化(コスト削減を含む)を可能としている。(2) ユーザー目線を持つ社員比率の高さ全社員の7割以上が女性社員であること、ユーザー層から同社に入社した社員も多数在籍していることから、ユーザーと近い視点で独自の企画・開発・運営力が発揮されている。また採用基準についても、クリエイターやシステムエンジニアなどとしてのスキルに加え、ビジョン重視(価値観の共感)を貫いており、エンゲージメントの高いメンバーが集まっている。(3) ゲームとIP活用事業両輪での成長ゲームに限らず、自社IPを様々なメディアで展開することにより、開発依存=コスト負担増という悪循環を防ぎながら、収益源の多様化と成長スピードを高めている。また、多様なファン層にコンテンツを届けることになるため、IPとして永く愛されること(ロングセラー化)にもつながっている※。※例えば、「スタンドマイヒーローズ」のアニメ放映期間(2019年10月7日~12月23日)において、それと連動したゲーム内イベントを開催した結果、アクティブユーザー数(月次平均DAU)は前年同期間比25.5%増に拡大している。4. SDGsへの取り組みスイスに本部を置く非営利財団世界経済フォーラムは2006年から毎年ジェンダーギャップ指数を発表しているが、2021年の発表で日本は156ヶ国中120位であった。こうしたなか、同社は代表取締役社長・副社長を女性が務めているほか、女性社員比率73.7%(2022年1月末現在)(全国平均約26.5%)、女性管理職比率55.6%(同8.9%)、女性役員比率28.6%(同5.2%)と、女性が大きく活躍する会社となっている。このほか、ジェンダー・国籍による差別のない就業環境も整備しており、外国籍社員比率は8.3%となっている。同性間の結婚・事実婚についても異性間の婚姻と同様に結婚祝金・結婚休暇等を付与するなど、パートナーシップ制度も導入済みである。こうした優れたSDGsへの取り組みは、優秀な人材採用はもちろん、社会・株式市場における高い認知度・評価につながり、同社の海外展開などへも大いに寄与すると弊社は予想する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2022/06/09 16:03
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coly Research Memo(2):高いヒット率を誇るIPクリエイター&ディベロッパー
■会社概要1. 会社概要coly<4175>は「もっと、面白く」をビジョンに掲げ、女性向けエンタメ市場をリードするIPクリエイター&ディベロッパーである。2014年、現在の代表取締役社長である中島瑞木(なかじま みずき)氏と代表取締役副社長である中島杏奈(なかじま あんな)氏の姉妹で創業し、社名は「共に」を意味する接頭語「co」をもとに命名した。その後、2015年に恋愛ノベルゲーム「ドラッグ王子とマトリ姫」をリリースしたのを皮切りに、自社IPの活用による複数タイトルやグッズ販売を軸に、TVアニメ、漫画、舞台など様々なメディアへも展開し業績を拡大してきた。2021年2月には東証マザーズ市場に上場。今後は、他社IPの活用やM&Aを通じた事業の拡張、海外展開を含めた事業拡大を目指していく方針である。2. 事業内容コンテンツ事業の単一セグメントであるが、現在は、(1)モバイルオンラインゲームの開発・運営と、(2)マーチャンダイジング(MD)の2つのサービスに分かれている。(1) モバイルオンラインゲームの開発・運営主にApple とGoogle LLCが運営する各プラットフォームにおいて、モバイルオンラインゲームを提供し、自社IP創出の原点となってきた事業である。現在は、1作目となる恋愛ノベルゲーム「ドラッグ王子とマトリ姫」をはじめ、その世界観をより広げ、パズルゲームとして制作した「スタンドマイヒーローズ」(2作目)、2021年11月に2周年を迎えた育成ゲーム「魔法使いの約束」(4作目)、2022年5月30日にリリースした探偵&恋愛シミュレーションゲーム「&0(アンドゼロ)」(5作目)の4タイトル※を運営している。成長期にある「魔法使いの約束」がゲーム売上の約60%を占める一方、「ドラッグ王子とマトリ姫」「スタンドマイヒーローズ」についても多くのユーザーに支えられ、長期的な運営が継続されている。また、今後に向けても他社との協業案件を含め、複数タイトルの開発が同時進行中である。モバイルオンラインゲームの形態についてはダウンロードや月額基本料は無料で、一部アイテムによる課金制となっているが、タイトルによってはストーリーを1作品ずつ購入し読み進める仕組みも導入している。※2018年にリリースした「オンエア!」(3作目)については2020年10月にサービスを終了した。ただ、その後も熱量の高いユーザーからの声に応え、グッズ・メディアミックス展開などを通じて積極的な事業を継続している。(2) マーチャンダイジング(MD)MDでは自社IPの活用によりグッズ企画・制作・販売などを展開している。販売はネット販売、イベントにおける対面販売、実店舗を有する企業への委託販売・卸販売などで行うほか、飲食店運営会社などと委託契約を締結し、コラボカフェでの販売なども手掛けている。1)自社企画による高クオリティな制作、2)ゲーム内施策との連動、3)自社ECサイトによる販売コストの削減、4)高い利益率の実現など、自社MD展開によるメリットは大きく、2018年1月期の本格開始以降はMD売上も順調に伸びてきた。また、同社IPについて、アミューズメント事業会社や宿泊施設、百貨店が提供するカード事業などとライセンス契約を締結し、ロイヤルティ収益やマーケティング機会の獲得にも注力している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:02
注目トピックス 日本株
coly Research Memo(1):成長に向けたパイプラインの拡充や組織強化に取り組む
■要約coly<4175>は「もっと、面白く」をビジョンに掲げた女性向けエンタメ市場をリードするIP※クリエイター&ディベロッパーである。高いヒット率を誇るIP企画力やメディア展開力に強みがあり、IPを一つひとつ丁寧に作り上げ価値を高めてきたことが、同社の成長を支えてきた。2021年2月に東証マザーズ市場に上場し、2022年4月から東証グロース市場へ移行した。自社IPの活用によるモバイルオンラインゲームの開発・運営と、グッズ販売等によるMD(マーチャンダイジング)の2つのサービスを展開しているが、今後は他社IPの活用やM&Aを通じた事業の拡張、海外展開を含めた事業拡大を目指していく。※Intellectual Propertyの略で知的財産権のこと。ここではゲームやアニメのタイトルやキャラクターなどを指す。1. 2022年1月期の業績上場1年目となった2022年1月期の業績は、売上高が前期比3.0%増の6,519百万円、営業利益が同27.7%減の1,498百万円と増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地となった。ゲームは、2周年を迎えた「魔法使いの約束」が伸長した一方、「スタンドマイヒーローズ」が成熟期に入ってきたことに加え、2020年10月にゲーム運営を終了した「オンエア!」の影響により、ゲームの売上高では前期比1.4%増と小幅な伸びにとどまった。一方、MDについては、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けたものの、自社ECサイトによるオンライン販売が好調であったことや、「魔法使いの約束」2周年イベントに伴う大幅なグッズ売上の増加により前期比10.4%増と順調に伸ばすことができた。なお、期初予想を下回ったのは、リリースを予定していた新規タイトルの期ずれのほか、既存タイトルの成長曲線が見込みどおりではなかったことが理由のようだ。損益面でも、パイプライン拡充に伴う研究開発費の投入や組織体制の強化に向けた採用研修費の増加等により営業減益となった。ただ、成長のための先行費用をこなしながら営業利益率は23.0%を確保しており、収益性の高さは維持できていると言える。2. 2023年1月期の業績予想2023年1月期の業績予想について同社は、現時点において合理的かつ信頼性のある業績予想の提示が困難との判断から非開示としている。売上高に関しては、1)新規タイトルの売上高について、合理的な算出が困難であること、2)既存タイトルについても、環境の変化が速く、動向を予測することが困難であること、3)同社初となる常設店舗「coly more! 池袋PARCO店」の開設をはじめとするMD施策についても、コロナ禍の影響等により、予想される売上高の振れ幅が大きいこと、が理由となっている。また、費用に関しても、1)大型タイトルを含めた新規開発着手を複数見込んでおり、研究開発費について現時点で未確定の部分が大きいこと、2)前記開発人員を含めた採用人数について、現時点では見通せない部分が大きいこと、を理由として挙げている。3. 中長期ビジョン同社では、あらゆる産業がデジタル化するDXの先に、メタバースの時代や、感情をゆさぶる体験が最も重視されるEX※時代の到来を見据えており、2025年以降は「EX・メタバースフェーズ」という異次元のフェーズへと一気に進化していくビジョンを描いている。一方、この数年間については、「パイプライン拡充フェーズ」と位置付けており、創業以来培ってきた自社IP企画のノウハウを軸に、新規タイトルの開発(他社IPの活用を含む)、展開の多様化(業務提携やM&Aも視野)に注力しつつ、「EX・メタバースフェーズ」に向けた地盤固めを行っていく方針としている。また、アジアを中心とした海外展開にも意欲的である。※EX(Entertainment Transformation)とは同社独自の造語で、あらゆる産業において「感情」に結びつくような体験の提供が求められる状態を指す。ゲーム業界やエンタメ業界以外の業態においても、今後エンターテインメントの持つ力が重視される時代が来ることを想定している。■Key Points・2022年1月期は増収ながら減益となり、期初予想を下回る着地・今後の成長に向けたパイプラインの拡充や組織体制の強化に取り組む・2023年1月期の業績予想については、現時点で非開示。新作タイトルのリリースや常設店舗「coly more! 池袋PARCO店」の開設などを予定するも、合理的な売上高の算定が困難であることが理由・他社IPの活用や展開の多様化を含む、パイプラインの拡充に取り組むとともに、中長期的には「EX・メタバースフェーズ」へと進化していく方向性を描いている(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2022/06/09 16:01
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新興市場銘柄ダイジェスト:ハウテレビジョンは大幅に反落、エネチェンジがストップ高
<7064> ハウテレビジョン 2394 -255大幅に反落。23年1月期第1四半期(22年2-4月)の営業損益を0.24億円の黒字(前年同期実績は0.38億円の赤字)と発表している。キャリアプラットフォーム事業の累積取引社数が734社(前期末比で26社増)、累積会員数が39万7639人(同1万4662人増)となり、黒字転換を後押しした。通期予想は前期比542.4%増の3.00億円の黒字で据え置き。進捗率が8%にとどまったことが嫌気され、利益確定売りが広がっているようだ。<3917> アイリッジ 851 +9大幅に続伸。コーナン商事<7516>のスマートフォンアプリ「コーナンアプリ」の開発を支援したと発表している。アイリッジは同アプリのリニューアル開発に加え、利用を促進するためのマーケティング設計とアプリマーケティングツール「FANSHIP」導入を担当した。また、連結子会社のフィノバレー(東京都港区)が提供するデジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」が、福島県磐梯町の地域デジタル通貨「ばんだいコイン」のプラットフォームとして採用されたことも明らかにしている。<4169> エネチェンジ 797 +100ストップ高。共同運営する海外特化型の脱炭素エネルギーファンド「Japan Energyファンド」の第2号ファンド「Japan Energy Capital2号ファンド」に、新たに三井住友信託銀行が出資すると発表している。同銀は脱炭素に資する事業や企業、ファンドを含めた各種領域に対して30年度までに累計5000億円を投資する計画で、今回の第2号ファンドへの投資はその一環として実施されるという。<6195> ホープ 218 +50ストップ高。23年3月期の営業損益予想を1.26億円の黒字と発表している。広告事業で規模適正化による利益率向上が一定程度実現できるほか、官民連携推進のジチタイワークス事業ではBtoGソリューションを拡大し、黒字に転換すると見込む。22年3月期は166.51億円の赤字(9カ月決算。前期実績は68.95億円の赤字)。電力仕入価格の影響でエネルギー事業が低調だった。同事業は3月25日付で連結範囲から除外した。<4388> エーアイ 998 +86大幅に続伸。10万株(1.00億円)を上限として自社株買いを実施すると発表している。発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合は1.98%。取得期間は9日から11月15日まで。株主への利益還元を図るとともに、経営環境に応じた機動的な資本政策を遂行することが目的。また、ゲーム開発のS-Works(東京都千代田区)が「将棋アプリ将皇」にナレーション作成クラウドサービス「AITalk 声の職人クラウド版」を導入している。<6562> ジーニー 1013 +65大幅に続伸。Google Cloudを活用したソリューションを展開する事業社を対象としたGoogle Cloud Buildパートナーに認定されたと発表している。企業へのデジタルマーケティング支援が評価されたという。ジーニーは販売やサービス、構築の全領域でパートナーシップの認定を取得し、Google Cloudの利用や導入をより幅広くサポートできるようになる。
<ST>
2022/06/09 16:00
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ヒガシ21 Research Memo(9):連結配当性向30%以上を目安に還元する方針
■ヒガシトゥエンティワン<9029>の株主還元策株主還元については、長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当の維持を基本としつつ、成長により獲得した利益を連結配当性向30%以上を目安に還元する方針としている。この方針に基づき、2022年3月期の配当は前期比8.0円増配の26.0円、配当性向は30.3%となった。2023年3月期の配当予想については前期と同額の26.0円とし、配当性向は30.8%となる予定だ。中長期的な利益成長に伴い、さらなる株主還元の充実も期待される。■ESG・SDGsへの取り組みESG・SDGsへの取り組みでは、グループにおける取り組みの共通指針として2021年12月に「サステナビリティ基本方針」を制定し、“健全で開かれた企業経営の実現”、“働きがいのある職場環境作り”、“人権の尊重”、“地球環境に配慮した企業活動の実践”、“法令・コンプライアンスの遵守”、“社会への貢献”を掲げた。また、事業活動を通じたSDGs目標達成への貢献として、物流効率化による省エネ・地域コミュニティの環境改善、配送業者の作業負担軽減への貢献や、住みやすい都市・資源環境の促進に資する静脈物流の展開を推進している。ESGに関する施策・取り組みとしては、「環境(E)」として低公害車導入やエコドライブを推進しており、2023年3月期に低公害車トラックを10%以上導入する目標を設定した。「社会(S)」としては、交通安全への取り組みとして交通安全教室を開催しているほか、女性活躍推進の観点から、女性管理職候補者に対して計画的・継続的に管理職教育を実施している。2022年2月には「働きやすい職場認証※」を取得した。「ガバナンス(G)」としては、開かれた経営を目指し、2019年に指名委員会等設置会社へ移行した。※正式名称:運転者職場環境良好度認証制度。なお、2020年に続き2021年12月に、(株)三井住友銀行が同社に対して「SDGs推進融資」を実行した。三井住友銀行と(株)日本総合研究所が同社のSDGsに関する現状の取り組み状況を確認し、同社の取り組みがSDGs目標達成に向けた貢献が期待できると判断された。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:39
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ヒガシ21 Research Memo(8):足元の業績が好調なことを鑑み、中期経営計画の数値目標を上方修正(2)
■成長戦略3. 事業領域別施策目標達成に向けて、ヒガシトゥエンティワン<9029>では重点事業領域の拡大と基幹事業の収益構造改革に取り組んでいる。中期3ヶ年経営計画の事業別売上目標及び重点施策は以下のとおりである。(1) 重点事業a) オフィスサービス事業事業領域の拡大により、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比25.0%増の5,000百万円としている。企業の移転・引越ニーズの多様化に対応して、首都圏を中心とする営業・業務面双方での人員増強を行う。また、内装・電気工事業者をグループ内に取り込むことにより業務範囲を拡張するほか、個人富裕層向け引越などの新サービス開発、PM会社との連携を深めてビル1棟すべての移転業務受注獲得などを推進する。2022年3月期の売上高は4,695百万円(進捗率93.9%)と順調に推移しており、中期経営計画目標は達成見込みとしている。b) 3PL事業従来のコンビニ事業からe-コマース及び資材調達3PL事業への移行により、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比354.2%増の6,359百万円としている。今後は首都圏でのe-コマース関連獲得を目指して集中投資する。また、独自のWMS(Warehouse Management System)システム(=倉庫管理システム)を開発して効率化の実現を目指す。2022年3月期の売上高は5,011百万円(進捗率78.8%)であるものの、積極的な業容拡大により中期経営計画目標は達成見込みとしている。中長期的な3PL事業強化の一環で、2019年10月のニッセイロジスティクスセンター東大阪、2020年7月の門真ロジスティクスセンターに続く新たな大型物流拠点として、2022年4月に三郷ロジスティクスセンター(埼玉県三郷市、約3,100坪)を開設した。同施設は首都圏での3PL事業の拡大と、成長が著しいEC関連業務の取り込みを狙っており、新拠点での開設により首都圏の顧客獲得を目指している。また、2022年5月に機械メーカー向け3PL業務の物流拠点として小牧物流センターを開設。2023年4月には北大阪ロジスティクスセンター(大阪府茨木市宮島、約5,700坪)の開設も決定している。同施設は抜群の立地条件で広域輸配送が可能なことに加え、高い倉庫能力(倉庫内縦搬送力+接車バース34台)を有しており、自家発電設備も完備している。同センターの高い機能性を生かし、3PL事業のなかでも高付加価値サービスに取り組んでいく。c) ビルデリバリー事業ビルデリバリー事業のさらなる推進に加え、メール室事業も事業の柱に加えることにより、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比11.7%増の1,675百万円としている。具体的にはメール室業務受注のためのポータルサイトを充実化するほか、管理者の早期育成、PM会社との連携を深めることでビルデリバリー事業の新規獲得等を推進する。2022年3月期の売上高は1,610百万円(進捗率96.1%)であるが、コロナ禍の人流抑制による影響を強く受けており、中期経営計画目標達成には、さらなる進展が必要だ。(2) 基幹事業収益構造の改革及び収益基盤の強化により、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比ほぼ横ばいの15,190百万円※としている。収益構造の改革としては、適正価格での取引徹底化、現場レベルでの改善活動を通じた生産性向上、システム導入による業務効率改善・事務処理工数削減、課題営業所への集中支援などを推進する。一方、収益基盤の強化としては、既存顧客への物流業務のアウトソース提案、自車増強の加速化による潤沢な運送力の供給、傭車から自車への切り替えによる収益構造改善、自車一括管理による高水準の配送品質の確保、プロフェッショナル人材の育成などを推進していく。2022年3月期の売上高は14,254百万円(進捗率93.8%)と順調に推移している。※収益認識基準変更による売上減少8.4億円を含む。(3) 独自事業a) 介護サービス事業当面の間、規模拡大戦略から効率性重視にシフトすることで、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比ほぼ横ばいの910百万円としていたが、2022年3月期に938百万円となり前倒しで達成した。具体的には、拠点統合、同業他社との事業連携による一部業務外注化、在庫投資の圧縮などを推進する。セグメント利益は2020年3月期6百万円から2022年3月期138百万円まで上昇しており、事業効率性は高まっている。b) ITサービス事業自社受託能力の向上で取引先拡大を図り、特需に左右されない事業構造を構築することで、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比20.7%増の1,400百万円としていたが、2022年3月期に1,443百万円となり前倒しで達成した。(4) M&Aグループの総合力を高めるため、中長期戦略とのマッチングを重視しながらM&A戦略を加速させることにより、2023年3月期の売上目標を2020年3月期比137.7%増の4,900百万円としている。なお、M&A後に有効なグループガバナンスを実行するため、ホールディングス機能の強化も図っていく。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:38
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ヒガシ21 Research Memo(7):足元の業績が好調なことを鑑み、中期経営計画の数値目標を上方修正(1)
■成長戦略1. 中長期成長戦略ヒガシトゥエンティワン<9029>は成長加速を実現するために、2020年7月に、長期経営ビジョン「ヒガシ21グループ VISION2030」及び3ヶ年の「中期経営計画2023」を公表した。「お客様に最高のサービスをお届けするために変革し続ける企業」の実現に向け、スタートアップと位置付ける「中期経営計画2023」では、SDGs達成を目標とするESG経営を基本方針としている。「中期経営計画2023」の数値目標については、当初計画値を上回る業容拡大を鑑み、2022年5月に上方修正を発表した。修正後の目標値としては、2023年3月期に売上高315億円(当初計画比15億円増)、重点事業領域比率56.9%(当初計画は45%以上)、従業員数1,150名(当初計画比50名増)、1株当たり配当金26.0円(当初計画比6.0円増)に上方修正し、3年累計営業キャッシュ・フロー36億円、ROE6%以上は据え置いた。また、「ヒガシ21グループ VISION2030」で掲げている数値目標(2030年3月期に売上高500億円以上、重点事業領域比率63.0%、従業員数1,850名)も引き続き目指していく。経営目標の進捗状況としては、コロナ禍の影響を受けて2021年3月期は売上高244億円(前期比2.7%減)に留まったものの、既述のとおり2022年3月期は279億円(同14.4%増)と過去最高売上高を更新した。2023年3月期についても積極的な業容拡大を進めることで、目標達成を目指す。今後についても、さらなる成長と長期ビジョンの目標達成に向けて、引き続き重点事業領域の拡大と基幹事業の収益構造改革を推進する方針だ。高付加価値サービスの拡大、首都圏での市場シェア拡大、M&Aといった積極的な事業展開により、中長期での成長ポテンシャルは高いと弊社では見ている。2. 主要取り組み項目主要取り組み項目としては、(1) ITシステム強化、(2)人材採用・育成、(3) ホールディングス機能の強化、(4) コーポレート・ガバナンス目標、の4点を掲げている。(1) ITシステム強化a) インフラ・セキュリティ強化事業の継続的な成長に不可欠なITインフラを守るためのセキュリティ対策強化や、リモートワーク等に対応するための通信インフラ整備の強化、高水準のセキュリティ・インフラ環境を維持するための継続的・計画的なIT投資を行っていく。b) ITを活用したサービス力の進化ITを活用することで、顧客から求められるサービスの品質・効率性を進化させるほか、既存事業の成長や新事業創出の加速化、グループ統合マネジメントシステム導入によるグループ全体での管理の標準化と管理コスト圧縮の実現を目指していく。また、開発スピード及び開発効率の向上のため、事業拡大の礎となるベンダーに依存しない開発基盤の確立を進めている。(2) 人材採用・育成人材採用では、会社活性化のため新卒採用を積極化し、3ヶ年中期経営計画期間中に60人の新卒採用(前3年間累計は35名)を目指している。人材教育では、物流プロフェッショナルを育成する匠塾(社内独自教育)拡大のほか、上位のプロを育成する中級レベル研修やリーダー層育成を目的とした管理者の意識変革研修を実施する。(3) ホールディングス機能の強化既にオフィスサービス事業などの重点事業等について分社化を進め、事業の機動力を高めているが、これに加えて本社のホールディングス機能を強化し、グループ全体最適化を実現するためのシナジー実現を図っていく。(4) コーポレート・ガバナンス目標2019年6月19日にいち早く指名委員会等設置会社に移行し、開かれたガバナンス体制によるリスク管理の徹底と中長期視点での議論を通じ、さらなる企業価値向上を目指す。継続的な取り組み方針としては、経営を多様な視点で分析できる人材を社外取締役に選任することや、女性取締役の参画により多様な価値観を意思決定に反映させること、取締役会実効性評価により、取締役会のさらなる進化の実現を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:37
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ヒガシ21 Research Memo(6):積極的な業容拡大と本社間接費抑制により、過去最高の売上高・経常利益を更新へ
■今後の見通し● 2023年3月期の業績見通しヒガシトゥエンティワン<9029>の2023年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比12.7%増の31,500百万円、営業利益が同13.9%増の1,680百万円、経常利益が同4.7%増の1,750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.0%減の1,110百万円としている。親会社株主に帰属する当期純利益は、2022年3月期に山神運輸工業の買収に伴う負ののれん償却46百万円が特別利益として発生していることから、2023年3月期は同1.0%の減益予想となっている。売上高は「中期経営計画2023」の当初目標であった30,000百万円を突破し、経常利益とともに過去最高を更新する見込みだ。「中期経営計画2023」の最終年度となる2023年3月期は、2021年10月に開始した関西電力送配電向けの資材調達3PL事業が通年化することに加え、2022年2月の山神運輸工業の子会社化、2022年4月の三郷ロジスティクスセンターの開設、2022年5月の小牧物流センターの開設等、積極的な業容拡大を行うことで、増収を計画している。利益面では、新事業開始に伴う初期投資費用や、中長期的な成長を牽引する重点事業領域への人材投資等が予定されているものの、業容拡大による収益源の増加や、本社間接費の抑制を継続すること等により、増益を予定している。なお半期別では、上期が売上高15,400百万円、営業利益750百万円、経常利益780百万円、親会社株主に帰属する当期純利益480百万円、下期が売上高16,100百万円、営業利益930百万円、経常利益970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益630百万円を見込んでいる。年度末の3月に企業の移転・引越、レイアウト変更等が集中するため、第4四半期の売上構成比が高くなる傾向があることを考慮し、やや下期偏重の計画となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:36
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ヒガシ21 Research Memo(5):2022年3月期は売上高・経常利益ともに過去最高を更新
■業績動向1. 2022年3月期の業績概要ヒガシトゥエンティワン<9029>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比14.4%増の27,953百万円、営業利益が同44.2%増の1,475百万円、経常利益が同29.7%増の1,670百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同68.1%増の1,120百万円となり、売上高及び経常利益は過去最高を更新した。また、2021年10月に上方修正した予想比でも、売上高で5.5%増、営業利益で13.5%増、経常利益で15.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益で23.2%増と、予想を上回って着地した。なお、2022年3月期から「収益認識に関する会計基準」等を適用しているが、損益への影響は軽微であった。2022年3月期は「中期経営計画2023」の2年目となった。売上面では、主に関西電力送配電向けの資材調達3PL事業開始、首都圏での移転業務の拡大、e-コマース向けの大型物流センター(東大阪市及び門真市)での業務拡張など積極的な業容拡大に加え、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による業績悪化が最も深刻であった前期と比較し回復基調となったこと等により増収となり、過去最高を更新した。利益面では、「中期経営計画2023」に基づく成長戦略に必要な投資財源を確保するため、本社間接費を中心とした経費削減や収益性の低い事業のコスト構造改革を実施し、筋肉質な経営体質の構築に取り組んだ効果等により、「中期経営計画2023」に向けた成長投資としての費用増加があるなかでも増益となり、経常利益は過去最高を更新した。売上総利益は前期比14.7%増加し、売上総利益率は20.8%と同0.1ポイント上昇した。販管費は同7.3%増加したものの、販管費率は15.5%と同1.0ポイント低下した。また、営業外収益で助成金収入が減少したほか、特別利益として負ののれん発生益46百万円を計上し、特別損失では前期に計上した減損損失97百万円及び事業構造改革費用137百万円が一巡した。2. セグメント別動向セグメント別の動向は以下のとおりである。運送事業の売上高は前期比5.9%増の17,234百万円、セグメント利益は同7.0%増の1,797百万円となった。首都圏での事務所移転作業の増加やGIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想によるPCキッティング業務の受託等により増収増益となった。倉庫事業の売上高は前期比16.7%増の7,404百万円、セグメント利益は同27.6%増の1,118百万円となった。既存事業の物量が回復したほか、前期に稼働したe-コマース向け大型物流センターの本格稼働等により、増収増益となった。商品販売事業の売上高は前期比279.5%増の2,169百万円、セグメント利益は同526.3%増の63百万円となった。2021年10月より関西電力送配電向けに資材調達3PL事業を開始したこと等により、増収増益となった。ウエルフェア事業の売上高は前期比5.2%増の938百万円、セグメント利益は同7.1%増の138百万円となった。福祉用具の貸出しにより在庫を圧縮できたこと、拠点統廃合により人件費等が減少したこと等により、増収増益となった。その他は主に駐車場事業やオフィスコンビニ事業となり、売上高は前期比40.7%減の206百万円、セグメント利益は同53.4%減の9百万円となった。駐車場事業の大口得意先との契約終了やPCデータのイレース作業(機密データの消去や物理破壊等)のスポット案件終了等により、減収減益となった。3. 事業領域別動向セグメント別の動向は以下のとおりである。重点事業のうち、オフィスサービス事業は、事務所移転需要の増加等により、売上高は前期比13.0%増の4,695百万円となった。3PL事業は、e-コマース向け大型物流センターの本格稼働や、関西電力送配電向け資材調達3PL事業の開始等により、売上高は同84.0%増の5,011百万円となった。ビルデリバリー事業は、コロナ禍による人流抑制でテナント企業のオフィス出社率が低下し、取次物量等が減少したこと等により、売上高は同0.5%減の1,610百万円となった。基幹事業の売上高は前期比4.1%増の14,254百万円となった。前期のコロナ禍の影響から回復し、増収となった。独自事業のうち、介護サービス事業の売上高は前期比5.2%増の938百万円となった。ITサービス事業は、GIGAスクール構想に伴うPCキッティング業務の受託等により、売上高は同7.0%増の1,443百万円となった。M&Aは、既存子会社の取引物量増加等により、売上高は前期比22.2%増の3,146百万円となった。なお、イシカワコーポレーションの決算期変更に伴い、15ヶ月分(2021年1月~2022年3月)の業績を取り込んでいる。4. 財務状況と経営指標2022年3月期末の資産合計は前期末比2,329百万円増加し18,140百万円となった。主な要因としては、現金及び預金が394百万円、営業未収入金が360百万円、商品が226百万円、山神運輸工業の子会社化に伴い土地が700百万円それぞれ増加したことなどによる。負債合計は同1,379百万円増加し8,276百万円となった。主な要因としては、営業未払金が373百万円、短期借入金が250百万円、未払法人税等が177百万円、長期借入金が381百万円それぞれ増加したことなどによる。純資産合計は利益剰余金の増加等により同950百万円増加し9,863百万円となった。この結果、自己資本比率は前期比2.0ポイント低下して54.4%となったが、業容拡大に伴う資産及び負債の増加が主因であり、営業活動によるキャッシュ・フローは継続してプラスを維持していることから、財務の健全性は引き続き良好と言えるだろう。また、売上高営業利益率は同1.1ポイント上昇して5.3%、ROE(自己資本当期純利益率)は同4.2ポイント上昇して11.9%となっており、業容拡大と同時に収益力の向上も顕著となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:35
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ヒガシ21 Research Memo(4):オフィスサービス事業、3PL事業、ビルデリバリー事業を重点事業に位置付け
■事業概要3. 事業領域別概要ヒガシトゥエンティワン<9029>は長期経営ビジョン「ヒガシ21グループ VISION2030」で、報告セグメントとは区分の異なる事業領域別で事業を区別し、長期目標達成に向けた取り組みを推進している。事業領域別の区分では、「中期経営計画2023」の売上高を牽引する「重点事業」、同社の収益基盤を支える「基幹事業」、一般運送事業と性質が異なる成長領域の「独自事業」の3つに区分し、重点事業を「オフィスサービス事業」「3PL事業」「ビルデリバリー事業」、独自事業を「介護サービス事業」「ITサービス事業」に分けている。なお、上記事業領域別区分とは別に、グループ戦略施策として「M&A」を掲げ、グループのより一層の成長を確保する領域で実施する方針としている。(1) 重点事業a) オフィスサービス事業大規模オフィス移転からレイアウト変更まで、幅広いソリューションを提供している。オフィスの移転はもちろん、移転に伴う不要什器や備品の買取・廃棄、赴任の引越にも対応している。認証・追跡システムを活用した万全のセキュリティが強み。b) 3PL事業最適なサプライチェーン構築へのトータルサポート・マネジメントを提供している。輸配送、物流センター運営・倉庫保管、物流加工、産業廃棄物管理など幅広く展開しており、長年の実績・ノウハウと800社超の協力会社が強み。2019年2月に関西電力(現 関西送配電)向けの新センターを開設し、輸配送・保管・物流加工業務を開始し、2021年10月より同センターにて新たに資材調達3PL業務を開始した。大手e-コマース会社向けとして、2019年10月にニッセイロジスティクスセンター東大阪、2020年7月に門真ロジスティクスセンター、2022年4月に三郷ロジスティクスセンターを開設。2022年5月には、愛知県小牧市に機械メーカー向けの小牧物流センターを開設し、さらなる拡大が見込まれている(詳細は後述)。c) ビルデリバリー事業高層ビルの複雑な物流を制御し、快適なオフィス運営をサポートする。ビル内デリバリー(館内物流)やビル内ショップ運営を行っている。独自のELV・荷捌駐車場管理システムが強み。(2) 基幹事業同社の収益基盤を支える事業。事業領域別売上高の51.0%(2022年3月期)を占める一方、2023年3月期の売上は2020年3月期比2.2%増とほぼ横ばいの売上計画としている。収益構造改革や収益基盤強化により、「中期経営計画2023」数値目標の達成を目指している。(3) 独自事業a) 介護サービス事業介護支援事業者向けの福祉用具レンタル及び販売事業を行っている。b) ITサービス事業機器導入からシステム部門のバックアップまでをトータルサポートしている。(4) M&A単なる売上拡大ではなく、同社グループの中長期戦略とのマッチングを重視している。グループのより一層の成長を確保する領域はもちろん、同社グループの輸送力、物流設計力、ITを活用したサービス力などを生かせる新規事業領域も含む。M&Aにより、グループ会社間のシナジー効果の一層の拡大を図っている。トピックとしては、2022年2月に子会社化した山神運輸工業が挙げられる。同社が物流設計力を強みに多様な物流サービス事業を展開していることに対し、山神運輸工業は一般貨物輸送・エンジニアリングを主力事業としている。共通する「鋼材メーカー向け物流」でのシナジーに加え、同社はグループの重量物輸送力強化、海上コンテナ輸送やエンジニアリング事業等の新たなノウハウ獲得、山神運輸工業は同社グループの物流設計力・営業網を活用することで効率的な事業運営・事業拡大の実現を目指す。4. リスク要因・収益特性と課題・対策物流業界において収益に影響を与える一般的なリスク要因としては、景気変動、競合激化による価格変動、法的規制・環境規制、ドライバー不足、外注費や燃料費の高騰、事故・災害などがある。同社は関西圏で高い知名度を誇り、主要株主を中心とする幅広い分野の大手優良企業を安定収益基盤としているため、収益変動リスクが小さいと考えられる。また、特定顧客への依存度については、上位10社の売上占有率がおおむね40%台と比較的高い水準で推移しているものの、売上高に占める割合が10%を超える顧客は日本生命グループと関西電力グループのみで、売上上位10社の多くは同社の主要株主でもある。さらに同社は、首都圏ビジネスのさらなる拡大を目指しているが、同時に既存主要顧客に対する深耕や高付加価値サービスの拡大も推進している。以上のことから、特定顧客への依存度の高さは大きなリスク要因とはならないと弊社では見ている。なお、季節要因については、年度末の3月に企業の移転・引越、レイアウト変更等が集中するため、第4四半期の売上構成比が高くなる傾向がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:34
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ヒガシ21 Research Memo(3):運送事業や倉庫事業を中心に様々な物流サービスを提供
■事業概要1. 事業概要ヒガシトゥエンティワン<9029>は、個々の顧客ニーズに対応した物流設計力を強みとして、運送事業や倉庫事業を中心に様々な物流サービスを提供している。報告セグメント区分は、運送事業(輸送サービス事業、オフィスサービス(事務所移転・引越)事業、静脈物流事業、ビルデリバリー事業、メールサービス事業、IT関連事業、精密機器輸送サービス)、倉庫事業(保管サービス事業、ドキュメントサービス事業、物流・流通加工サービス)、商品販売事業、ウエルフェア事業、その他事業、となる。なお、過去5期間のセグメント別売上高の推移を見ると、主力の運送事業及び倉庫事業はおおむね順調に拡大している。(1) 運送事業a) 輸送サービス事業近畿地区の新聞配送、ビールメーカー及び飲料メーカーの大阪中・南部地区の配送、製鋼所の非鉄金属の配送業務並びに一般荷主等の輸送業務を行っている。首都圏では、オフィス什器、複合機、乾燥食品を中心に一般荷主等の輸送業務を行っている。b) オフィスサービス事業企業のオフィス移転業務を受託している。移転規模に合わせてプロジェクトチームが顧客の業務に支障をきたさないプランニングを行い、各官庁に対する諸手続きや移転前後の近隣対応等、事前・事後処理に関する業務までサポートしている。c) 静脈物流事業全国の中間処理業者、産業廃棄物収集運搬業者をネットワーク化し、精密書類・OA機器等の回収・リサイクル化に応えられる体制を整えている。また、オフィスの機密書類等の紙資源処理は、全国各地で選定した製紙会社及び運送業者と提携して、ダンボール箱に詰めた機密書類を第三者の目に触れさせることなく溶解処理している。回収からリサイクル処分完了までのトータル物流システムによって、資源の再利用等の環境負荷軽減に対応した業務を提供している。d) ビルデリバリー事業大型都市ビル内の快適な環境を守り、円滑なモノの流れを保つために、ビル館内での物品の搬出入を一括管理して共同配送することで、モノの流れを統括する物流システムを構築している。首都圏では東京オペラシティ・六本木ヒルズ・表参道ヒルズ・アークヒルズ仙石山森タワー・ワテラスタワー・日本生命丸の内ビル・エステック情報ビル・神宮前タワービルディング・Hareza Tower・神谷町トラストタワー、中部圏ではグローバルゲート、関西圏ではグランフロント大阪南館・ニッセイ新大阪ビル・堂島アバンザ・新ダイビル等を受託している。e) メールサービス事業DM・カタログ・パンフレット等を封入・封緘し、取扱い郵便局までの発送から諸手続き等の代行サービスを行っている。f) IT関連事業PCのカストマイズを行っている。機器の調達、キッティング、現地でのセッティングからメンテナンスまで、同社グループの物流インフラを活用してトータルにサポートする。g) 精密機器輸送サービス銀行ATM、通貨処理機、POSレジスター等の金融端末機を中心に、精密機器輸送を行っている。設置作業等の運送付帯業務も行い、輸送から設置まで一貫したサービスを提供している。(2) 倉庫事業a) 保管サービス事業製鋼所、家電商品メーカー、e-コマース向けの大型物流センター等、個々の顧客の商品に適した保管・管理を提供している。また、在庫管理から物流加工、配送まで一貫した総合情報システムで、顧客の物流基地としての機能を提供している。2021年10月には新事業となる資材調達3PL事業を関西電力送配電向けに開始した。資材調達3PL事業により、電力資材供給メーカー及び工事会社の資材納品・契約手続きの効率化を実現している。このほか、さらなる事業拡大に向け、2022年4月に三郷ロジスティクスセンター(3,100坪)を埼玉県に開設、2022年5月に3PL業務の新規受託に伴い小牧物流センターを愛知県に開設した。また、2023年4月に3PL用の大型倉庫(約5,700坪)を大阪府茨木市に開設予定である。b) ドキュメントサービス事業国土交通省の認定を受けているトランクルームにおいて、特別なセキュリティが必要な企業の機密文書やデータを保管している。静脈認証システムやビデオカメラによる24時間監視体制等の警備システムを整え、利便性と安全性を両立させている。保存期間が到来した機密文書等は廃棄(リサイクル)するなどの一貫したシステムを採用することで、オフィススペースの有効活用を図るサービスを提供している。また、紙で保管されたままの文書や図面をデータ化するデジタルソリューション事業にも取り組んでいる。c) 物流・流通加工サービス事業帳票類等の印刷物の書類保管、梱包、封入、発送、管理を行っている。それぞれの特性に合わせて、顧客のニーズに柔軟に対応したサービスを提供している。(3) 商品販売事業倉庫事業から派生した事業であり、物流インフラを活用した各種梱包資材やOA機器等の販売を行っている。(4) ウエルフェア事業介護支援(福祉用具貸与)事業者向けに、福祉用具(ベッド、車椅子等)のレンタル及び販売を行っている。(5) その他事業駐車場事業では、大阪・東京・名古屋等の主要都市において、各地域に適した立体駐車場の運営を行っている。周辺事業のうち、ビジネスサポート事業では六本木ヒルズ内のビジネスコンビニ「ヒルズ21」の運営、PCイレース事業ではPCデータのイレース(機密データ消去・物理破壊、中古PC販売・リサイクル)、デジタルソリューション事業では大量の文書・図面等のスキャンニングやデータ保存を行っている。2. 主要顧客同社は、発祥の地である関西圏で高い知名度を誇り、幅広い分野の大手優良企業を安定収益基盤としていることが特長である。主要顧客は、主要株主でもある日本生命グループ、関西電力<9503>グループ、(株)毎日新聞社グループ等が中心となっている。直近では、関西圏でe-コマース向け業務を開始したことから、大手e-コマース会社が売上高3位となっている。全体の売上高は新規顧客開拓により増加基調であるものの、並行して既存主要顧客に対する深耕も進展しているため、結果的に上位10社の売上占有率はおおむね40%台で推移している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
2022/06/09 15:33