注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 ヒガシ21 Research Memo(2):関西圏から首都圏へ事業拡大する総合物流企業 ■会社概要1. 会社概要ヒガシトゥエンティワン<9029>は関西を発祥として、首都圏にも展開する総合物流企業である。スローガンに「Evolution for Customers—全進で未来へ“シンカ”—」を掲げ、M&Aも含めた新規事業領域や重点事業領域への積極的な投資により、成長を目指している。本社は大阪市中央区、東京本社は東京都港区で、物流センターは大阪府茨木市(茨木総合物流グループ)、大阪市西淀川区(阪神総合物流グループ)、大阪府茨木市(関電物流グループ)、大阪府東大阪市(東大阪総合物流グループ、愛知県小牧市(名古屋総合物流グループ)、東京都板橋区(東京総合物流グループ)、埼玉県戸田市(ドキュメントセンター)、佐賀県多久市(多久ロジネットセンター)等に展開している。2022年3月期末の総資産は18,140百万円、純資産は9,863百万円、資本金は1,001百万円、自己資本比率は54.4%、発行済株式数は13,264,000株(自己株式207,425株を含む)となっている。2022年3月期末時点の連結子会社は7社あり、ユートランスシステム(株)、(株)イシカワコーポレーション、(株)FMサポート21、(株)トランスポート21、(株)ワールドコーポレーション、ヒガシオフィスサービス(株)、山神運輸工業となる。また、連結ベースの従業員数は1,113名となっている。2. 沿革1944年12月に、大阪陸運局運送事業免許第一号会社として、大阪貨物自動車運輸(株)をはじめとする大阪市東区内の運送会社13社が統合して大阪東運送(株)を設立した。その後、経営基盤強化のため、1947年11月に日本生命保険(相)が資本参加した。なお、1985年8月にはヒガシ運送サービス(株)に、2002年2月には現在の社名である(株)ヒガシトゥエンティワンに商号変更している。また、2005年3月にジャスダック証券取引所に上場、2011年9月に東京証券取引所(以下、東証)第2部に上場し、2022年4月からの東証市場再編に伴いスタンダード市場へ移行した。2016年以降は事業拡大に向けてM&Aを積極活用し、一般運送事業とは性格が異なる事業の拡大や将来的な持株会社への移行も視野に入れた分社化を推進している。具体的には、2016年1月にユートランスシステムを完全子会社化、2016年4月にワールドコーポレーションに出資(2020年1月完全子会社化)、2017年7月にイシカワコーポレーションを完全子会社化、2017年9月にトランスポート21を設立、2018年4月にビル内デリバリー事業をFMサポート21に承継、2020年10月に事務所移転引越事業をヒガシオフィスサービスに承継、2022年2月に山神運輸工業を完全子会社化した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2022/06/09 15:32 注目トピックス 日本株 ヒガシ21 Research Memo(1):「中期経営計画2023」達成に向けた業容拡大により、業績は好調に推移 ■要約ヒガシトゥエンティワン<9029>は、個々の顧客ニーズに対応した物流設計力※を強みとして、運送事業や倉庫事業を中心に様々な物流サービスを提供している総合物流企業である。発祥の地である関西圏では高い知名度を誇り、幅広い分野の大手優良企業を安定収益基盤としていることが特長だ。スローガンに「Evolution for Customersー全進で未来へ“シンカ”ー」を掲げ、M&Aも含めた新規事業領域や重点事業領域への積極的な投資により、成長を目指している。※物流設計能力とは、【複雑なモノの流れに対応した、人×マテハン×倉庫×車両×システムを最適に組み合わせる能力】であり、同社が競合優位性の基盤に位置付けているものである。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比14.4%増の27,953百万円、営業利益が同44.2%増の1,475百万円、経常利益が同29.7%増の1,670百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同68.1%増の1,120百万円となり、売上高及び経常利益は過去最高を更新した。また、2021年10月に上方修正した予想比でも、売上高で5.5%増、営業利益で13.5%増、経常利益で15.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益で23.2%増と、予想を上回って着地した。売上面では、主に関西電力送配電(株)向けの資材調達3PL(Third Party Logistics)事業開始、首都圏での移転業務の拡大、e-コマース向けの大型物流センター(東大阪市及び門真市)での業務拡張など、積極的な業容拡大等が寄与した。利益面では、本社間接費を中心とした経費削減や収益性の低い事業のコスト構造改革を実施し、筋肉質な経営体質の構築に取り組んだ効果等により、大幅増益となった。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比12.7%増の31,500百万円、営業利益が同13.9%増の1,680百万円、経常利益が同4.7%増の1,750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.0%減の1,110百万円としている。売上高は「中期経営計画2023」の当初目標であった30,000百万円を突破し、経常利益とともに過去最高を更新する見込みだ。2022年4月の三郷ロジスティクスセンター(埼玉)の開設、2022年5月の小牧物流センター(愛知県)の開設、首都圏におけるオフィス移転業務への更なる人材投資や、2021年10月に開始した関西電力送配電向けの資材調達3PL事業の通年化、2022年2月の山神運輸工業(株)(神奈川県横浜市)の子会社化等、積極的な業容拡大を行うことで、増収を計画している。経常利益は、新事業開始に伴う初期投資費用や、中長期的な成長を牽引する重点事業領域への人材投資等が予定されているものの、業容拡大による収益源の増加や、本社間接費の抑制を継続すること等により、増益を予定している。親会社株主に帰属する当期純利益については、2022年3月期において、山神運輸工業の買収に伴う負ののれん償却46百万円が特別利益として発生していることから、2023年3月期は同1.0%の減益予想となっている。3. 成長戦略2020年7月に策定した長期経営ビジョン「ヒガシ21グループ VISION2030」では、2030年3月期に売上高500億円以上、重点事業領域比率※63.0%、従業員数1,850名を掲げている。一方、2023年3月期を最終年度とする「中期経営計画2023」については、当初計画値を上回る業容拡大を鑑み、2022年5月に当初売上目標300億円を315億円に上方修正を発表した。今後についても、さらなる成長と長期ビジョンの目標達成に向けて、引き続き重点事業領域の拡大と基幹事業の収益構造改革を推進する方針だ。高付加価値サービスの拡大、首都圏での市場シェア拡大、M&Aといった積極的な事業展開により、中長期での成長ポテンシャルは高いと弊社では見ている。※同社が定める重点事業(オフィスサービス、3PL、ビルデリバリー事業)やM&Aの売上が、グループ全体の売上に占める比率。■Key Points・全国で幅広い物流サービスを企業向けに提供する会社で、幅広い分野の大手優良顧客層(メーカー、金融機関、インフラ会社、e-コマース等)が安定収益基盤となる・2022年3月期は「中期経営計画2023」達成に向けた業容拡大により、売上高・経常利益ともに過去最高を更新・2023年3月期も過去最高の売上高・経常利益を更新する見込み・長期ビジョンでは、2030年3月期に売上高500億円以上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2022/06/09 15:31 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(8):2023年3月期は連続増配、配当性向30%超を予定 ■株主還元策1. 配当政策日産東京販売ホールディングス<8291>は、株主への利益還元を行うことを経営の最重要課題の1つと認識し、成長性を確保するための内部留保にも考慮しながら、安定的な配当を行うことを基本方針としている。同社の剰余金の配当は、現在、期末配当の年1回を基本的な方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっている。また、新たな販売スタイル実現への投資やそれに伴うIT関連投資、新店舗の開設及び店舗改装投資など毎期安定的な投資を行った上で、配当性向30%を目指している。2022年3月期の配当については、こうした基本方針に加え、利益がコロナ禍以前の水準に回復したことから、1株当たり期末配当金を4円増配して8円とした。2023年3月期の1株あたり配当金はさらに2円増配して10円(中間配当金5円、期末配当金5円)とする予定で、配当性向は目標の30%を上回ることが見込まれる。なお、2023年3月期より中間配当金を導入したが、株主への還元の機会を増やすことが目的である。オリジナルQUOカードを贈呈2. 株主優待制度同社は、株主の日頃の支援に感謝するとともに、同社株式への投資魅力を高め、より多くの株主に中長期的に同社株式を保有してもらうことを目的に、株主優待制度を導入している。株主優待制度の対象となる株主は、基準日(3月31日)の株主名簿に記載または記録された同社株式5単元(500株)以上保有している株主である。株主優待の内容は、同社人気車種を意匠したオリジナルQUOカードを、500株以上1,000株未満で1,000円分、1,000株以上5,000株未満で2,000円分、5,000株以上を保有する株主には保有継続期間2年未満で3,000円分、保有継続期間2年以上で5,000円分を贈呈する予定である。贈呈の時期は、毎年1回、同社定時株主総会終了後(6月下旬頃)に発送を予定している。■情報セキュリティ同社は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)をはじめとする関係法令や社内規程等を遵守し、グループ各社で取り扱う個人情報、個人番号及び特定個人情報(個人番号をその内容に含む個人情報)など特定個人情報等の収集及び利用を適正に行うとともに、個人情報を安全かつ最新の状態で管理し、適正に取り扱うことで、顧客や取引先関係者、同社社員の個人情報を守り、その信頼に応えるよう努めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:28 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(7):高収益を維持したまま成長を継続する考え ■中期経営計画1. 中期経営計画の概要日産東京販売ホールディングス<8291>の企業理念は、「日本一のマーケット“東京”でトップクラスのカーディーラーグループであり続けることを目指します」というものである。今後も企業理念は変わらないが、一方、技術の飛躍的進化により、自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われるようになった。加えて少子高齢化などによる需要減少の懸念も重なる。こうした大変革期において、同社は掲げている3つの目標である「ベストプラクティス」の更なる徹底、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大の実現に取り組み、高収益を維持しながら成長を継続していく考えである。3つの目標の実現に向けて動き出した2. 中期経営計画の進捗3つの目標のうち「ベストプラクティス」の更なる徹底に関しては、コラボレーションの実績が多くある3販社の統合が前期に完了し、すでに企画や広告の統一によって広告費などで効果が出ているが、今期以降はさらに意欲的にシナジーやスケールメリットを追求していくことになる。時代の流れと顧客のニーズを的確に捉えた最適な提案型営業を強化することで、ニーズに即したカーライフ商品の拡販や、新しい時代の乗り方としての個人リース「P.O.P」の訴求、EV時代に即したL2H※の拡販など付加価値販売を徹底し、シェアと収益の最大化を図っていく。一方、コロナ禍の中でも着実に準備を進めてきた、新たな販売スタイルと新商品の開発、M&Aによる規模拡大については、具体的な動きが出てきた。新たな販売スタイルと新商品の開発では、ビッグデータの活用やデジタルマーケティングの強化、自動車のプロモーションに最適と期待されるVRシステムの導入など、売り方の改革と販売スタイルのDXを推進する計画である。そしてそのためには「ニッサン・リテール・コンセプト」導入による既存店舗の進化が前提となるが、足もと、同社は「ニッサン・リテール・コンセプト」の導入のスピードを加速し始めた。また、M&Aによる規模拡大への取り組みについては、自動車関連事業を中心にグループ会社関連事業周辺、エリアとしては東京及び東京周辺をターゲットに1年に1件のM&Aを目標としている。しかしこちらに関しては、経営の強い意思の一方、都合の良いタイミングでシナジーの期待できるM&Aができるかは未知数といえる。※L2H(LEAF to Home):EVから電気を取り出して外部(家屋全体や家電製品など)へ給電するための装置。中期成長イメージも元の軌道に戻ってこよう3. 中期成長イメージ中期経営計画はコロナ禍以前に策定されたため、コロナ禍による半導体不足といった変動要素によって、当初の成長イメージから逸れたのは仕方ないだろう。しかし日産自動車は、中期経営計画や長期ビジョンの中で、EVやe-POWERなど多数の新型車の市場投入を計画している上、プロパイロットやe-4ORCEといった先端技術を積極的に搭載している。さらに、ガソリン車廃止の流れや自動車メーカー最大手トヨタのEV参入など、EV市場、とりわけEVで先駆している同社に追い風が吹いている。同社もこうした環境に対応しながら、3販社の統合や「ニッサン・リテール・コンセプト」の既存店舗への導入、「NISSAN TOKYO Virtual testdrive ブース」の設置など積極経営を続けている。このため、当初のイメージから逸れたとはいえ、同社の成長戦略を変更する必要はなく、成長トレンドも中長期的に描いていたような軌道に戻っていくことが予想される。なお、同社は次期の中期経営計画の策定に着手しており、2023年3月期中の公表を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:27 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(6):ノート/オーラがカーオブザイヤー三冠に輝く ■日産東京販売ホールディングス<8291>の業績動向3. 事業別動向事業別では、自動車関連事業が売上高131,533百万円(前期比1.3%減)、セグメント利益(営業利益)4,748百万円(同26.1%増)、情報システム関連事業が売上高6,486百万円(同4.9%減)、セグメント利益423百万円(同16.3%増)、その他が売上高358百万円(同10.8%増)、セグメント利益144百万円(同11.3%増)となった。自動車関連事業では、新車事業が車両供給が不足する中、ニッサン・リテール・コンセプト導入店舗を拡充し(着工6店舗、開店3店舗)、「ノート」などe-POWER車や「リーフ」などEVを中心に受注台数と収益の確保に取り組んだ結果、増益となった。中でも「ノート」の上級タイプとして市場投入した「オーラ」は、輸入車志向の新たな客層を呼び込み販売台数が安定して上位に入るなど結果を残し、カーオブザイヤー三冠にも輝いた。中古車事業は、新車販売減による下取車の減少で販売台数は減少したものの、収益性の高い小売りに注力し、また新車同様中古車需要も根強かったため価格が上昇して増益となった。全体としては3販社統合による生産性向上や経費削減もあり、自動車関連事業のセグメント利益は2ケタ増益となった。情報システム関連事業では、ハードウェア、導入支援サービスなどの売上高は減少したものの、データセンターなどのマネージドサービスが堅調に推移し、減収ながら増益を達成した。その他事業(不動産関連)は賃貸契約の増加や賃料改定などにより増収増益となった。なお、同社は2022年3月、子会社GTNETの株式(持分51%)を従来のオーナーに売却した。売却の理由は、GTNETがスポーツカーなど資産性の高い自動車の中古車販売を全国の店舗で展開しているのに対し、東京都を中心に一般の乗用車を販売する同社との間でシナジーが得づらくなったためである。投資効率や費用負担の面から売却の決断は妥当と思われる。車両供給不足の中、今期は新型車続々と投入4. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の業績見通しに関して同社は、売上高140,000百万円(前期比1.2%増)、営業利益4,500百万円(同2.1%増)、経常利益4,200百万円(同0.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,200百万円(同4.7%増)を見込んでいる。GTNETが連結から外れるため、売上高は実質6%増程度が見込まれるが、利益への影響はほとんどない模様である。世界的な半導体不足による車両の供給不足が継続するなど自動車業界は引き続き不透明な状況にあり、原燃料高や円安など企業経営にとっても逆風が吹いている。これに対して同社は、日産自動車の進める先進技術への取り組みと電動車(EV・e-POWER搭載車)などのラインナップ充実を活かすことでマーケットシェアの向上を図り、提案型営業による付加価値販売や販売効率の改善を継続することで収益拡大を目指す方針である。また、3販社の統合効果をさらに発揮することで、生産性や顧客利便性の向上にもつなげていく計画である。なお、今期に予定される新型車は前述した通り「アリアB6」、新型軽EV「サクラ」、「フェアレディZ」などの新型車で、日産自動車の意気込みを示すかのように例年より多い。2023年3月期は、車両供給不足や国際情勢、原燃料高、円安といったリスクが期初から打ち揃っているため、前期以上に不透明感が強い。しかし、受注の積み上がりに見る需要の強さ、日産自動車の新型車攻勢を考慮すると、GTNET連結除外をカバーして増収は十分ターゲットと思われる。利益面では、新型車の販売が増える分、ミックス改善が進んで売上総利益率が改善する可能性が高まると思われる。また、新型車の投入やニッサン・リテール・コンセプトの店舗への導入など経費も増えることになるが、統合が一巡する7月以降については統合効果(特に統合時の一時的コスト増の反動)を見込んでおらず、販管費に抑制の余地がありそうだ。リスクの多さを考えるとある程度致し方ないことかもしれないが、実質6%程度の増収となる中で営業利益が微増予想というのは、やや保守的な印象である。新たな販売スタイルを通じて持続的成長に取り組む5. 持続的成長に向けた取り組み持続的成長に向けた取り組みとして、同社は、新たな販売スタイルを通じて、日産自動車の先進性やVRを活用した試乗体感の提供、カーボンニュートラルへの貢献を進めている。まず、日産自動車の先進性を示す「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を体現する日産車の情報発信基地として、既存店にニッサン・リテール・コンセプトを導入するリニューアルを続けている。2023年3月期については、リニューアルのペースを引き上げ、9店舗に導入する予定である。さらに2022年3月、日産自動車の先進性のみならず快適性や走行性能を疑似体験できる「NISSAN TOKYO Virtual testdrive ブース(VR試乗体感)」を、イオンモール多摩平の森(東京都日野市)内の常設展示場に設置した。ゴーグルを使用することなく、1人から4人までバーチャル試乗体感を楽しむことができる。現在、セレナe-POWER、ノート オーラe-POWER、NISSAN GT-R、日産360°セーフティアシスト(先進安全技術)の4種類の試乗体感を用意している。将来的に「NISSAN TOKYO Virtual testdrive ブース」を改良して、ニッサン・リテール・コンセプト導入店舗に移植する可能性も期待したい。持続的成長に向けた取り組みとして最も重要なことがカーボンニュートラルへの貢献といえる。EVは、リーフであれば同クラスのガソリン車と比較して資源~廃車までのCO2排出量が約4割に留まるという。したがって、同社がEVを積極的に販売して新車に占める比率を引き上げることが、まさにカーボンニュートラルへの貢献といえよう。すでに、リーフの累計販売台数は8,000台(2022年3月)を超えており、さらなる普及を図るため急速充電設備(東京都内430基中101基)も拡充しているところである。また、EVを活用した地域社会貢献も推進しており、各自治体と「災害連携協定」を締結、避難所などへの電力供給体制も構築している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:26 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(5):環境は不安定だが、EVは明るい将来が見え始めた ■日産東京販売ホールディングス<8291>の業績動向1. 自動車業界の環境半導体不足やロックダウンなどによる車両供給不足が引き続き自動車業界全体の課題となっている。情報機器や家電製品、自動車などの機能が高度化するに伴い、1製品当たりの半導体使用量がオーガニックに伸びているという状況の中、米中の対立でファウンドリ(半導体受託メーカー)が中国から台湾などにシフトする動きがあり、半導体はもともとボトルネックを起こしやすい環境にあった。一方、コロナ禍におけるテレワークやオンライン学習の一般化に伴って情報機器や家電製品の需要が拡大、半導体のニーズも急増することとなった。しかし自動車業界は、コロナ禍による当初の需要減退が終わると予想を上回って需要が急回復したが、半導体の調達で情報機器メーカーなどの後手に回り、自動車生産にボトルネックを起こすこととなったのである。半導体生産には比較的長いリードタイムが必要なため、半導体メーカーが自動車業界のジャストインタイムに合わせた短期契約を避ける傾向となったことも要因の1つと考えられる。加えて、世界的なコンテナ不足や、上海やベトナムなど特に自動車部材の産地で散発するコロナ禍による都市レベルのロックダウンもあり、自動車向け半導体の供給が不安定なまま現在に至っている。この結果、販売現場において車両が不足するという事態が発生することになったのだが、現状、2022年いっぱいは続くとの見方が多いようだ。2022年3月期の新車販売台数にも、そうした外部環境の変化が色濃く表れている。第1四半期は前年同期の工場の稼働停止の反動もあって伸びたように見えるが、全般的に半導体不足の影響が継続したためマイナス傾向となっている。同社グループと都内の違いは、自動車メーカーによりたまたまある期間の供給が多少するという程度の違いで、同社グループや都内と、全国との違いは景況感の好転した大都市圏がたまたま優先された結果だと思われる。ただし、新車販売台数の伸びを、単純計算だがコロナ禍やコロナ禍に端を発した半導体不足という変動の大きい特異な状況以前(2020年3月期)と比較すると、全国83.6%、都内82.4%、同社グループ84.0%となり、同社は引き続き着実にシェアを向上させているということになる。新車販売台数が減少を続けているのは気がかりだが、そうした事情に加え月々受注残高が積み上がっていることもあり、需要サイドが落ち込んでいるわけではない点は安心感がある。とはいえ、ウクライナ情勢による消費マインドの低下や原燃料高、物流の混乱、急激な円安など景気や企業業績に対するリスクも膨らみつつあり、予断を許さない状況である。一方、チャンスも巡ってきた。EVは欧州や中国を中心に急速に普及しているが、日本では必ずしも普及しているとは言い難い。EVに本格参入しているのが日産自動車くらいで、新車販売台数に占めるEVの比率がまだ非常に小さいからだ。このため、充電設備などEVのインフラ構築に貢献できそうな駐車場を持つ小売やGSが、費用や回収の点で投資に踏み込めていないのである。そして、充電装置設置の少なさが消費者にEV購入の二の足を踏ませているといえる。そのような中で、EVの旗振り役ともいえる同社だけが、各店舗に充電装置を設置して他社メーカー製のEVも含めて利用可能にするなど、積極的にインフラ投資を続けている。しかし、これまでハイブリッド車とFCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池自動車)に注力していると思われていた最大手のトヨタが、幅広いラインナップでEVに参入してきた。当然競合とはなるが、それ以上にEVが増加することで市場が活性化する効果は大きく、投資のハードルも下がって国内のEVのインフラ構築が早まる可能性が高まった。EVで先駆している同社としては歓迎できる動きといえよう。車両供給不足で微減収も、受注は順調に推移2. 2022年3月期の業績2022年3月期の業績は、売上高138,378百万円(前期比1.5%減)、営業利益4,407百万円(同27.9%増)、経常利益4,188百万円(同35.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,100百万円(同28.2%増)となった。なお、同社は「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を第1四半期期首から適用した結果、適用を行う前と比べて、売上高で839百万円増加、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ81百万円増加している。オミクロン株の感染拡大など引き続きウィズコロナ環境の中、車両供給が不透明な上、燃料費などの経費が上がっており、経営環境は厳しかったといえる。一方、需要は引き続き堅調で、車両供給不足による新車の納期遅れが発生しても受注が積み上がるという状況である。同社はコロナ禍において、衛生管理を徹底した上で店舗運営を継続し、販売台数の回復に取り組んだ。その結果、顧客の購入マインドの改善もあって受注は順調に回復したが、特に第2四半期以降、車両供給不足による納期遅延が発生したこともあって販売台数が伸び悩んだ。特に補助金のつくリーフなどEVは、供給が潤沢ならば販売台数がかなり伸びた可能性も否定できない。3販社の統合に関しては、統合初期は通常、営業や企画の統一、システム変更などにより統合デメリットが一時的に顕在化するものだが、同社の場合は、すでに10年前から3販社コラボレーションを進めてきたため、売上へのマイナスの影響はほとんど生じかなったようだ。一方、提案営業を強化した結果、EVやe-POWERなど上級タイプの新型車やコーティングやナンバープレートロックといったオプションが好調で、平均単価が上昇した。利益面では、車種ミックスの改善に加え整備や中古車販売も堅調に推移したことから、売上総利益率は0.7ポイント改善した。一方、徐々に通常の営業に戻してきたが、リモート商談の増加や土日から平日への商談の分散、インターネットや雑誌で増える顧客の事前知識、事前知識による来店買上率の上昇など、コロナ禍で進んだ効率化も継続した。また、7月の3販社統合による効率化は、販促企画や広告の統一、近隣店との共用による試乗車台数の削減など広告費や設備費の面で顕在化、集約化の効果やスケールメリットも徐々に現れている模様である。このため販管費の効率的使用が進み、実額で引き下げることができ、減収ながらも増益を達成することができた。なお、期初計画との比較では、車両不足が要因で売上高が6,622百万円の未達となったが、提案営業による平均単価の上昇や統合効果などにより営業利益で407百万円の過達となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:25 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(4):「ベストプラクティス」の水平展開と「技術の日産」が強み ■事業概要2. 日産東京販売ホールディングス<8291>の強み同社の強みは、カーライフのワンストップサービス、及び事業のバックボーンである「技術の日産」にある。カーライフのワンストップサービスとは、同社の拠点であればどこでも、新車や中古車の販売、個人リース、車検・定期点検・整備・修理といったアフターサービス、カーナビゲーションシステムやドライブレコーダーなどオプション部用品の販売、保険や金融商品(クレジット・リース)ほか関連サービスなど、その1拠点でカーライフに関するすべての満足を顧客に与えることができることを指す。さらに同社にとっても、企業収益を安定化させるストックビジネスにつながる、中古車の買取→新車の販売→各種サービスの提供というバリューサイクルの構築も促進している。こうしたワンストップサービスのサイクルが同社の強みであるのは確かだが、実はこのサイクル、どのディーラーもほぼ同様に行っている。したがって同社の真の強みは、サイクルそのものというより、サイクルをスムーズに回して収益を上げる仕組みにあり、その仕組みの背景に「集約化」と「ベストプラクティス」がある。「集約化」は、バラバラに存在していた旧3販社が1つのグループとなった結果、他社でよくある同系列の異なるディーラーによる同一車種の値引き競争がなくなる、共通コストの集約や配送・整備の共同化といったメリットが生じるといった成果につながってきた。しかし統合を完了した今、「集約化」の強みはむしろ当たり前のように追求していかなければならないと考える。ただし、そのような「集約化」の成果の1つでもあるが、グループ化以来継続している共有会議でノウハウや情報を速やかに水平展開していく「ベストプラクティス」は、統合によってさらに高いステージへと磨き込まれ、より効果的に営業や運営につなげていく必要があると考える。いずれにしろ、「ベストプラクティス」という強みによって、同社の販促や営業のヒット率が上がり、上級グレードやオプションなどの提案力が向上し、1台当たりの販売単価が高くなるという効果が生じている。その結果、東京という高コストのエリアに立地していながら、例年3%前後という自動車ディーラーとしては相対的に高い営業利益率を達成できる理由にもなっている。また、ヒット率向上には延べ30万台に上る膨大なビッグデータが欠かせないが、それを解析できる東京日産コンピュータシステムの存在もまた同社の強みといえる。先端技術搭載の新型車投入を加速する日産自動車3. 「技術の日産」日産自動車が現在実行している中期4カ年計画「Nissan NEXT」の中に、技術の高さと攻勢を示すキャンペーンコンセプトとして「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」がある。電動化と知能化によって、先進運転支援技術を搭載した電動車の開発を強化し、自動車が運転者をパートナーとして認識し、コミュニケーションをとり、学習し、予測し、充電する——そのような先進性を表現しており、運転者が安心してドライブするだけでなく、周囲の世界とコネクトした新たな体験ができる、まったく新しいドライビングを提供することを目指している。そして究極的には「ゼロ・エミッション(排出ガスゼロ)」、「ゼロ・フェイタリティ(交通事故死ゼロ)」の社会を実現することを目的としている。さらに日産自動車は、2021年11月に策定した長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」中で、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」の電動化、知能化といった技術志向を一層強めることで、2026年度までにプロパイロットを250万台以上販売する一方、2028年までに次世代電池である全固体電池を市場投入、2030年までに次世代高性能LiDAR(自動運転のコア技術)を大半の新型車に搭載する方針である。この結果、2030年度までには電気自動車15車種を含む23車種の新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大することを目指すとしている。日産自動車は、こうした中長期的な目標に沿って、2022年3月期も「ノート」上級モデルの「オーラ」や新型クロスオーバーEV「アリア(先行限定車受注開始)」を発売するなど、電動化と知能化を着々と進めた。「オーラ」はハイパワー化と高い走行安定性、充実した装備によって、「アリア」は新世代の電動化技術や自動運転化技術、新開発の4輪制御技術e-4ORCEを搭載、EVの課題といわれる航続距離も最大610kmという長距離化を実現するなど、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を象徴する自動車として、ともに非常に人気が高い。2023年3月期は、「アリアB6(通常モデル)」、新型軽EV「サクラ」、「フェアレディZ」などの他、続々と新型車を投入する計画である。通常モデルのB6の市場投入で「アリア」の国内展開が本格化するが、「リーフ」につぐEV第2弾として、同時期に投入されるライバル車とともに今後の日本のEV市場をけん引していくことが期待されている。日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽自動車の新型EV「サクラ」も市場投入された。実売価格は200万円程度で、航続距離も家庭用蓄電池としても安心して日常使用できることが特徴である。言わずと知れた世界的人気の「フェアレディZ」も登場する。ハイパフォーマンスで洗練された内外装、美しいシルエットなど、まさに「ザ・スポーツカー」といえよう。日産自動車はこうした新型車による攻勢を強めており、2023年3月期の新車販売台数(持分法適用ベース)を400万台(3.2%増)とする計画である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:24 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(3):消費者と日産自動車をつなぐ日産東京販売 ■事業概要1. 事業内容日産東京販売ホールディングス<8291>の事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備、その他に細分される。2022年3月期における自動車関連事業の売上高構成比は約95%と大半を占め、そのうち約半分が新車販売となっている。日産自動車と日産東京販売の関係は、日産東京販売が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するというだけでなく、EVやプロパイロット(Pro-PILOT:運転支援技術)、e-POWER(日産独自のハイブリッドユニット)、e-4ORCE(電動駆動4輪制御技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の拡充などを通じて、日産東京販売が日産自動車と消費者をつなぐ役割も担っている。(1) 自動車関連事業日産東京販売は日産自動車の新車を販売するほか、中古車の買取・販売、その他整備・車検などを行っている。もちろん取扱車種は日産車全車種である。新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成しており、新車と中古車、整備との売上バランスは良好のようだ。収益面では、整備は安定的な収益基盤、中古車の仕入れは新車販売への依存度が大きく、グループの収益をけん引するのは新車の役割ということになる。同社のシェアは長らく弱含んで推移していたが、理由は他社ブランドと比べて日産ブランドの新型車投入が少なかったことにある。しかしここ数年、後に詳述するが、日産自動車が新型車の投入やイメージ戦略によって強烈に巻き返しを図っており、同社のシェアも上昇傾向にある。なお、ルノー車の販売は、現在、ルノー車専門の販売店5店舗を展開しており、ルノー車の全国販売シェアで8%(2021年度)、全国ディーラーでNo.1の販売台数という実績を誇っている。(2) 新車以外の自動車関連事業中古車の買取・販売については、日産東京販売も他メーカー同様、新車の販売促進という側面から扱っている。買取は、同社を含めた日産ディーラーネットワークが運営する「日産カウゾー」で、中間マージンを排除した高価買取を行っている。販売は、日産自動車による認定中古車を、厳しいサービスレベルをクリアした「クオリティショップ」で、充実した保証とアフターサービスとともに行っている。もちろん同社も「クオリティショップ」である。なお、日産自動車公式中古車サイトで、販売店全国600店舗、約18,000台の中古車を比較検討することができる。整備については、日産東京販売のストックビジネスの柱の1つでもあるが、子会社の大規模総合自動車整備会社エヌティオートサービスが、専業としての確かなサービス品質と最新鋭の設備によって板金・塗装や車検整備、納車整備などを行っており、グループの整備を集中的に扱うセンターとしても機能している。事業所は東京に7拠点、埼玉に1拠点ある(2022年3月末)。高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備39,060台(2022年3月期)、総入庫台数70,337台(同)という実績を誇る。車検については、日産東京販売のほか車検専門店の車検館でも扱っている。車検館は東京、神奈川、埼玉、千葉に12店舗のネットワークを有し、全店が最新設備をそろえた指定工場になっており、国家資格を持つ検査員が顧客の持ち込んだ自動車を確かな技術で検査することをセールスポイントにしている。このほか自動車関連事業では、前述したカーリース「P.O.P」、損害保険・生命保険の代理店や車両輸送・登録代行業務、日産車をベースにしたキャンピングカー専門のディーラーなどを行っている。(3) 情報システム関連事業同社の情報システム関連事業を担う東京日産コンピュータシステムは、全国の自動車ディーラーに向けて統合型マネージドサービス「ITte(イッテ)」を販売している。前述したように同社グループへの依存度が非常に低く、ほぼ独り立ちしている状態と言える。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、コロナ禍をきっかけとしたテレワークなど働き方改革の浸透により活況となっているが、社会全般のDXを背景にコロナ禍収束後も活況が続くと想定されている。このような事業環境の中、「最も安心してITインフラを任せられる企業」をビジョンに、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、取引先の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。また、社会全般のDXを背景に同社も、顧客やこれまで販売してきた自動車、様々な使用状況など、グループで集積したビッグデータをビジネスに生かしていくことが求められており、東京日産コンピュータシステムは同社にとって非常に心強い存在ということができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:23 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(2):国内最大級の日産自動車系カーディーラー ■会社概要1. 会社概要と沿革日産東京販売ホールディングス<8291>は日産自動車系の自動車ディーラー(日産東京販売)を傘下に持つ持株会社である。日本の中心で人口が集中する東京を地盤に、日産及びルノーブランドの自動車を販売する事業を展開しており、東京の自動車ディーラーの中でも、全国の日産系ディーラーにおいても最大級の規模を誇る。主に日産自動車とそのグループ会社から自動車や部用品を仕入れて販売するほか、中古車の買取・販売や自動車の車体整備・車検整備などの事業も行っている。また、上場子会社の東京日産コンピュータシステムは、ソリューションプロバイダー事業を中心とした情報システム関連事業を手掛けている。同社は、1942年の商工省通牒「自動車および同部分品配給機構整備要綱」に基づき、東京府自動車整備配給(株)として東京市で発足した。戦後の1946年に東京日産自動車販売株式会社に商号を変更し、その後はモータリゼーションとともに徐々に業容を拡大、1961年に東京証券取引所第1部に上場した。1989年に東京日産コンピュータシステムを設立してシステム事業に参入、2002年に(株)車検館を設立し車検整備を強化、2004年には東京日産コンピュータシステムをJASDAQ市場に上場させた。また、同年、会社分割により持株会社体制に移行して株式会社東日カーライフグループへと商号を変更、2008年には日産自動車子会社の日産ネットワークホールディングス(株)に対し第三者割当増資を実施、日産自動車の持分法適用関連会社となった。2011年には東京を地盤とする東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売(株)、日産プリンス西東京販売(株)の3社をグループ化し、東京における日産自動車の販売をほぼ一手に引き受けることになった。これに伴い、同社は現在の日産東京販売ホールディングス株式会社へと商号を変更した。そしてグループ化から10年後の2021年7月、さらなる効率化とスケールメリットを目指し、3販社を統合して日産東京販売を設立、名実ともに国内最大級の自動車ディーラーとなった。大変革の時代に機敏に対応2. 組織概要同社は、子会社8社(非連結子会社3社含む)、その他の関係会社2社を擁する。子会社のうち新車の販売は、旧東京日産自動車販売、旧日産プリンス東京販売(バーチャルカンパニーのルノーNT販売を含む)、旧日産プリンス西東京販売の3社が統合した日産東京販売において、東京都区部8区を除く東京都全域を地盤に行っている。ちなみに、8区とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区のことで、いわゆる都心に当たり、法人需要をメインとする日産自動車の連結子会社が展開しているエリアである(日産自動車の直販エリアということができる)。しかし、都心とはいえ人口は8区で約180万人しかなく、東京都全域約1,400万人に対して10%強を占めるに過ぎない。つまり、同社が地盤とするエリアで東京の人口の9割近くをカバーしているということになる。2011年にグループ化された旧3販社は、これまで営業や整備など様々な場面ですでにメリットを創出してきた。しかし、3社が別々に存在することによる非効率は依然残らざるを得ず、さらなる変革が必要になってきた。一方で自動車業界は、電動化や自動運転などの急速な発展により取りまく環境が大きく変わったことで、「100年に一度の大変革期」と言われるようになった。自動車メーカーもディーラーも生き残るためにはこうした大変革に適応する必要が生じた。こうした内外環境の変革に機敏に対応するため、同社は2021年7月に旧3販社を統合し、新たな時代の持続的成長に向けてグループの事業資源や人員配置を最適化することになった。そしてそこには、あらゆる場面で効率とシナジーを高め、スケールメリットを創出していくという強い意志があり、効率とシナジーをさらに深化させるとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)や店舗・販売オペレーションの変革、人材戦略の強化、店舗ネットワークの高度化などを推進し、競争力を引き上げて売上・利益を拡大していく方針である。この統合が同社業績に与える影響は、100%子会社3社による統合のため短期的には軽微かもしれないが、中長期的には効率化やスケールメリットなどを通じて大きく貢献すると考えられる。とはいえ、少子高齢化や人口減少、自動車保有率の低下傾向などを背景に、全国で500万台程度と新車販売台数が横ばいで推移する時代になり、ディーラーが企業として成長するには、スケールメリットや集約化によって収益性を高めるとともに、成長を促進する独自戦略を展開する必要もあった。同社は他のディーラー同様、新車販売のほか中古車も扱っていて、日産東京販売は新車販売時に下取りした車の再販や中古車オークションでの売買を行っている。また、自動車整備や車検に関しても、日産東京販売の店舗ネットワークのほか、エヌティオートサービス(株)と車検館が独自の車体整備・車検整備などを行っていて、幅広いユーザーの獲得につなげている。さらに同社は、20年以上の歴史があり高いシェアを誇る個人リース「P.O.P」も展開している。中でも「頭金ゼロ・コミコミ・定額」の「P.O.P」は、特に自動車を所有するモノというより使用するモノと考える消費者にとって、非常に利便性の高いサービスとなっている。また、同社にとっても、通常の買い替えサイクルが10年超であるのに対し、個人リース「P.O.P」は7割以上の顧客が3年で次の新車に乗り替えるため、販売効率の良いビジネスなのである。このため「P.O.P」は、成長ドライバーの1つとして同社収益を押し上げることが期待されている。ところで、東京日産コンピュータシステムは東証スタンダード市場に上場する子会社で、コンピュータのハードウェア・ソフトウェアの販売及びデータセンターなどのマネージドサービス※事業を行っている。東京日産コンピュータシステムは同社が株式を53.9%所有しているが、上場会社としての歴史が長く、同社グループとの取引高の比率は8.3%(2021年3月期)に過ぎず、大半が外部売上高となっている。このほか、同社は不動産の賃貸を行っており、一部を関係会社に貸与している。※マネージドサービス:顧客企業の情報資産の管理や運用・監視業務にとどまらず、ITを駆使した新たな価値の創造を継続的に提供することで、顧客企業のコア業務への集中や業務効率化、生産性向上を側面から支援するアウトソーシングサービス。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:22 注目トピックス 日本株 日産東HD Research Memo(1):続々投入される先端新型車でマーケットシェア向上へ ■要約1. 日産ブランドの新車などを販売する国内最大級の自動車ディーラー日産東京販売ホールディングス<8291>は、日産自動車(株)<7201>系の自動車販売会社などを傘下に持つ持株会社で、日産ブランドとルノーブランドの新車の販売や中古車の買取・販売、自動車整備などを行っている。同社は国内最大級の自動車ディーラーで、販売エリアは東京都の人口の9割近くをカバーしている。周辺事業では日産ブランドに依存しないオリジナルの事業も展開している。ほかに上場子会社の東京日産コンピュータシステム(株)<3316>が、ソリューションプロバイダー事業を中心とした情報システム関連事業を手掛けている。2022年3月期の売上高構成比は自動車関連事業が約95%と大半を占める。2021年7月に、傘下の日産自動車販売会社3社を統合し、日産東京販売(株)を設立した。2. 自動車の電動化と知能化を推進する「技術の日産」が強みカーライフのワンストップサービスを特徴とする同社は、ワンストップサービスのサイクルをスムーズに回す「ベストプラクティス」に強みを持つ。「ベストプラクティス」とは、営業現場などのノウハウや各種情報を各店舗・各営業が共有する仕組みで、営業や販促のヒット率向上や販売単価の上昇につながっている。また、「技術の日産」も同社の強みである。「技術の日産」は単なる伝統的スローガンでなく、EV(Electric Vehicle:電気自動車)や自動運転支援技術といった先端技術を先駆的に開発し、自動車の電動化と知能化を進めてきた日産自動車の技術力を表象しているワードといえる。そうした先端的な日産車を扱えることが同社の強みなのだが、日産自動車は長期ビジョンの中で、さらなる技術開発と一層の新車投入を計画している。3. 前期は車両供給不足も平均単価上昇や統合効果により2ケタ営業増益2022年3月期の業績は、売上高138,378百万円(前期比1.5%減)、営業利益4,407百万円(同27.9%増)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの消費マインド回復もあって受注は順調に積み上がったが、世界的な半導体不足や海外におけるロックダウンなどを背景とする部品の供給不足からくる車両供給不足により、販売台数が伸び悩んで売上高は微減となった。しかし、3販社統合による販促や営業力の強化に加え、カーオブザイヤー三冠となった新型車「オーラ」など上級タイプ車の受注が好調だったことによる車種ミックスの改善で平均単価が引き上がったこと、整備事業や中古車小売販売が堅調に推移したこと、統合効果などにより販管費の効率的使用が進んだことなどから、営業利益は2ケタ増を確保した。4. 日産車のラインナップ充実を活かし、今期はマーケットシェア向上を図る2023年3月期の業績見通しについて同社は、売上高140,000百万円(前期比1.2%増)、営業利益4,500百万円(同2.1%増)を見込んでいる。今般子会社のGTNET(株)が連結から外れたため、売上高は実質6%前後の増加見込みということになるが、利益への影響はほとんどない模様だ。車両の供給不足が継続している上、原燃料高や円安など企業経営にとって逆風が吹いている。これに対して同社は、「アリア」の本格展開や初の軽EV「サクラ」など日産車のラインナップ充実を活かしてマーケットシェアの向上を図るとともに、提案型営業による平均単価の上昇や統合効果による販売効率の向上などを背景に収益拡大を目指す。ニッサン・リテール・コンセプトの導入加速など経費も増えるが、売上高が実質6%増えるのに営業利益が2.1%増にとどまると見込むのはやや保守的な印象である。■Key Points・「ベストプラクティス」と「技術の日産」に強み。3販社を統合し日産東京販売を設立・カーオブザイヤー三冠の新型車「オーラ」など先端新型車が好評で前期は2ケタ増益・今期、車両供給不足などの環境悪化はラインナップ充実や提案型営業でカバーする方針(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/06/09 15:21 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(7):2022年3月期は年間3円の配当を実施、2023年3月期の配当は未定 ■株主還元策ミライノベート<3528>は株主還元策として安定的な配当を基本としたうえで、業績の状況及び財務状況等を総合的に勘案し実施することを基本方針としている。2021年3月期は無配としたが、2022年3月期は年間3円の配当を行った。2023年3月期の配当については、コロナ禍の収束、物価高騰による国内経済の動向及びロシア・ウクライナ情勢による世界経済の動向が予想できず、業績への影響が依然として不透明なことから、現時点は未定としている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:17 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(6):2023年3月期は、不透明な要因もあるものの営業利益261百万円を予想 ■今後の見通し1. 2023年3月期業績見通しミライノベート<3528>の2023年3月期の連結業績見通しについては、売上高9,395百万円(前期比29.7%増)、営業利益261百万円(前期は11百万円の利益)、経常利益94百万円(前期比10.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益84百万円(前期は1,415百万円の利益)を見込んでいる。売上高については、不動産事業は減収、再生可能エネルギー事業は微増、投資事業は回復する予想であり、全体では増収を見込んでいる。利益面では、依然としてコロナ禍の影響や再生可能エネルギー事業への天候の影響、投資事業の先行き(株価の動向)など不透明要因が多いが、不動産事業では前期に引き続き高採算の物件に注力することにより、通期では大幅な営業増益が予想されている。不動産事業は期初の段階で計画されているマンション等の竣工・引渡し物件が少ないことから減収予想となっている。引き続き不動産開発を主軸事業に見据え、首都圏のみならず関西圏で高品質の住宅を開発していく。なお、マンション・戸建ともに用地取得費や建築コストの高騰が続いており、採算を確保することが容易でない状況が続いている。またコロナ禍の再拡大により、営業活動の制約が発生する場合には、当該事業の業績に多大な影響を及ぼすことも想定される。そのため、販売コストの削減や販売の長期化を未然に防ぐ目的として、個別分譲ではなく一棟売却による売上の拡充を図っていく方針だ。また、不動産投資型クラウドファンディング「大家どっとこむ」では、グローベルスが開発・所有する予定の物件に対して資金を募集し、事業の拡充と業績の拡大を目指す。再生可能エネルギー事業は、天候に左右されるものの微増収を見込んでいる。引き続き国内太陽光発電所での発電及びその管理を主軸事業とし、ロシアにおける木質ペレット工場での製造管理も行っていく。太陽光発電業界の先行きについては、FIT価格の低下や大規模開発への抑制の動きなどを要因として、新規開発案件の仕入が縮小しつつあるものの、このような市場環境でも採算の見込める新規案件や、セカンダリー・マーケットからの案件の発掘に注力する。2. バイオマス発電事業の状況同社では次の再生可能エネルギー事業として、日本国内における太陽光発電事業に続き、ロシアにおいてバイオマス燃料(木質ペレット)の製造事業を行っている。ロシアのRFP (Russia Forest Products)グループと合弁会社(RFP Wood Pellets(以下、RFP WP、同社の持分法適用子会社)を立ち上げ、RFPグループが所有する木材製材工場から排出されるおが屑等を原料とする木質ペレット製造工場を同工場の隣接地に建設し、その木質ペレットを海外(日本を含む)へバイオマス発電所の燃料として輸出するものである。このプロジェクトは2020年2月に工場の主要設備が完成後、徐々に生産を引き上げ、2021年4月にはENGIE EMとの長期供給契約を締結、現在でもこの契約に基づいて生産は続いている。ロシアによるウクライナ侵攻の影響が懸念されるが、現時点では工場は正常に稼働し、出荷も行われているようだ。なお、同社は「今後については不透明であるが、状況が変わり次第、逐次開示していく」としている。なお、このプロジェクトは、持分法による投資損益(営業外損益)として同社の業績に影響する。2021年3月期の「持分法による投資損失」は373百万円であったが、2022年3月期には123百万円となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:16 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(5):バランスシートの適正化が進む ■業績動向3. 財務状況ミライノベート<3528>の2022年3月期末の資産合計は29,013百万円となり、前期末比6,016百万円減少した。流動資産は21,221百万円となり同586百万円増加したが、主な要因は投資有価証券の取得などによる現金及び預金の減少2,281百万円、有価証券の増加1,796百万円、販売用不動産の減少618百万円、仕掛販売用不動産の増加1,177百万円、主にロシアでのバイオマス発電事業への貸付金の増加や投資事業に伴う預け金の増加等によるその他流動資産の増加924百万円などによる。一方で固定資産は7,791百万円となり同6,602百万円減少したが、成田神崎プロジェクトの売却による有形固定資産の減少7,200百万円、主に投資有価証券の増加(1,312百万円)による投資その他の資産の増加642百万円などによる。負債合計は9,191百万円となり、前期末比7,297百万円減少したが、主に長期借入金等の減少7,089百万円などによる。純資産合計は19,821百万円となり、同1,280百万円の増加となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,423百万円などによる。これらの結果、バランスシートの適正化は着実に進んでいると言える。2022年3月期末の現金及び現金同等物が減少したが、借入金の返済と先行投資による前向きなもの4. キャッシュ・フローの状況2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,367百万円の支出となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益1,594百万円、減価償却費288百万円などで、主な支出は投資有価証券売却益857百万円、営業投資有価証券の増加1,796百万円、棚卸資産の増加328百万円などによる。投資活動によるキャッシュ・フローは412百万円の収入であったが、主な収入は有形固定資産の売却による収入222百万円、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の売却による収入976百万円などで、主な支出は投資有価証券売却益857百万円、貸付けによる支出222百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは383百万円の支出であったが、主な支出は長短借入金及び社債の減少913百万円、匿名組合出資者への払戻による支出309百万円などで、主な収入は匿名組合出資者からの払込による収入962百万円などによる。この結果、期中の現金及び現金同等物は2,318百万円の減少となり、2022年3月期末の現金及び現金同等物の残高は7,092百万円となった。現金及び現金同等物が減少したが、主に借入金の返済と投資事業での有価証券の取得及び棚卸資産の増加によるものなので、前向きな減少と捉えることができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:15 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(4):2022年3月期は投資事業で損失計上したものの6期振りに営業利益を計上 ■業績動向1. 2022年3月期業績ミライノベート<3528>の2022年3月期の連結業績は、売上高7,243百万円(前期比31.1%減)、営業利益11百万円(前期は395百万円の損失)、経常利益106百万円(同586百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益1,415百万円(同55百万円の利益)となった。2022年3月期決算で特筆すべきは、本業の儲けを示す営業損益で利益を計上した点だ。ここ数年は、営業損失を計上しながら、営業外収益や特別利益でそれを補うパターンが続いていたが、2022年3月期は本業で利益を計上した。しかも、投資事業でマイナスの売上高及び営業損失を計上しながらも、全体の収益では営業利益を確保した点は注目に値する。2020年6月に経営陣が入れ替わり、事業集約及びバランスシートの適正化を進めた成果が出ていると言えそうだ。セグメント別では、不動産事業、再生可能エネルギー事業で営業利益を計上したが、投資事業では保有有価証券の時価が下落したことにより評価損を計上したことから営業損失を計上した。また、全社費用が減少したことも営業損益改善に寄与している。営業外損益では、匿名組合投資利益126百万円(前期は同87百万円)を計上したことなどから、経常利益は営業利益を上回った。さらに関係会社出資金売却益(主に成田神崎プロジェクト)704百万円や投資有価証券売却益857百万円を特別利益として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は1,415百万円と大幅な増益となった。2. セグメント別状況(1) 不動産事業既述のとおり2021年3月期からセグメント変更を行い、変更前の不動産販売事業(マンション分譲、土地建物、注文住宅)及び不動産賃貸事業と、株式交換により完全子会社化したグローベルスが営んでいる戸建住宅の販売及び商業施設建築事業を集約し、不動産事業に変更した。2022年3月期の不動産事業の売上高は7,333百万円(前期比16.3%減)となったが、高採算の物件を販売できたことから、セグメント利益は1,056百万円(前期は313百万円の損失)と大きく改善した。マンション分譲では、「グローベル横濱大通り公園南」(全28戸)を竣工した(前期は3棟、96戸の竣工)。販売状況については、66戸、2,611百万円の新規契約(同99戸、3,685百万円)を行い、前期契約分を含め64戸を引渡した。これらの結果、売上高は2,547百万円となった(同100戸、3,730百万円)。注文住宅では、59棟、1,548百万円の新規契約(前期は59棟、1,578百万円)を行い、前期契約分を含めて60棟を引き渡した。この結果、収益認識会計基準等の適用による増加を含めて、売上高※は1,931百万円となった(同54戸、1,872百万円)。※注文住宅の売上高にはリフォーム工事等を含む。戸建分譲は、4棟、268百万円の新規契約(前期は13棟、1,486百万円)を行い、5棟を引渡した。この結果、売上高※は321百万円となった(同18棟、864百万円)。※戸建分譲の売上高には附帯する手数料収入等を含む。商業用施設建築の契約実績はなく、売上高は44百万円となった(前期の契約実績は7件、156百万円で、売上高は376百万円)。その他では、建物の一棟販売やマンション・戸建用地等の宅地販売、自社所有不動産の賃貸等を行っており、売上高は2,488百万円となった(前期は1,914百万円)。トピックとしては、商業用施設の設計・施工、不動産賃貸、不動産投資型クラウドファンディング「大家どっとこむ」の運営など、総合不動産企業として幅広いサービスの提供を開始した。2022年3月期は31案件、1,141百万円を募集し、大多数の案件で早期期間にて満額成立した。(2) 再生可能エネルギー事業自社または合同で運営する太陽光発電設備で発電した電気を電力会社に販売する太陽光発電事業と、ロシアでの木質ペレット製造等を行うバイオマス発電事業からなり、売上高は757百万円(前期比44.6%減)、セグメント利益は311百万円(同29.6%減)となった。太陽光発電においては、成田神崎プロジェクトを2021年6月に売却したことから減収減益となった。なお、2022年3月期末の稼働数は9ヶ所、そのうち出資のみが2ヶ所となり同社持分の発電容量は45.45MWとなった。バイオマス発電事業は営業外損益(持分法による投資損益)として業績に寄与するが、2022年3月期は123百万円の損失(前期は373百万円の損失)を計上した。通年ではまだ損失を計上しているものの、損失幅は縮小してきている。なお現時点において、工場は正常に稼働し製品出荷も行われていることから、ロシアによるウクライナ侵攻の影響は今のところ出ていないようだ。(3) 投資事業保有有価証券の時価が下落したことから評価損を計上し、売上高はマイナス847百万円(前期は384百万円の売上高計上)、セグメント損失は847百万円(同197百万円の利益)となった。新たな試みとして、2021年9月に不動産投資型クラウドファンディング専用のポータルサイト「CRAMO」※を開設するなど、収益機会の増加を図っている。※「CRAMO」は、2022年4月からグローベルスが運営している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:14 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(3):主要事業を3つに集約し、変革を進める ■事業概要1. 主な事業内容ミライノベート<3528>の事業セグメントは、2020年3月期までは不動産販売事業、アセットマネジメント事業、再生可能エネルギー事業、その他として開示されていたが、2021年3月期より不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業の3つに集約された。(1) 不動産事業セグメントとしては1つに集約されたが、内容は以前からのマンション分譲(一般的なマンションデベロッパーと同様に、土地を仕入れ、商品を企画し、マンションを建設して分譲販売する事業)、土地建物(宅地及び戸建住宅の販売やマンション、アパート等を建設して一棟販売等を行う事業)、注文住宅(戸建住宅の建築請負やリフォーム工事等)が含まれている。また、2020年9月に連結子会社化した(株)グローベルスが以前より行っていた、戸建分譲住宅の企画・販売、飲食店やアミューズメント施設等の商業用施設の設計・施工、自社所有不動産の賃貸等も同事業に含まれている。(2) 再生可能エネルギー事業太陽光発電等の権利を取得して投資並びに開発を行い、発電された電気を電力会社に販売する事業モデルとなっている。権利を取得して投資を行い収益(キャッシュ・フロー)を回収する一方で、投資収益を計算して開発した太陽光発電所そのものを売却することも行う。このような考え方は、賃貸ビル事業と同じと言える。2022年3月期末の稼働数は9ヶ所、そのうち出資のみが2ヶ所となり、同社持分の発電容量は45.45MWとなっている。またロシアにおいて、バイオマス発電用木質ペレットの製造工場が2020年2月に竣工し、フランスのENGIE ENERGY MANAGEMENT SCRL(以下、ENGIE EM)と最短12年間の長期契約を締結している。(3) 投資事業有価証券(株式等)や不動産に投資を行う事業で、2021年2月から開始された。なお、投資事業として保有する有価証券は「流動資産」に計上され、営業キャッシュ・フローとして計算されるが、純投資を目的とした有価証券は「投資その他の資産」に計上され、投資キャッシュ・フローとして計算される。2. 事業の特色既述のとおり同社の事業は、マンション分譲、太陽光発電、有価証券投資と一見異なる分野で展開されているように見えるが、実は基本的には土地や権利、案件(プロジェクト)などを仕入れ(買取りや出資)、それに対して投資(資金注入やリノベーション)を行い後日収益(キャッシュ・フローまたは転売益)を回収する、という点では同じ考え方に基づいており、この点が同社の事業展開の特色とも言える。このような考え方に沿って現在は、不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業を展開しているが、今後もこのような考え方に沿った事業があれば、M&Aも含めて積極的に展開していく計画だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:13 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(2):現在は不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業が中心 ■会社概要ミライノベート<3528>の歴史は古く、1937年に富山県において井波機業株式会社として設立されたのが起源である。その後、1961年に商号をカロリナ株式会社に変更し、1962年には株式を東京証券取引所市場第2部に上場した。さらに、1990年代に入り繊維事業から撤退し、主力事業をマンション分譲事業にシフトすると同時にマンション開発大手の(株)大京グループの傘下に入ったが、2007年には大京グループを離れて自主独立経営を開始した。その後は、主要株主及び経営陣の変更に伴い様々な事業を展開してきたが、2020年6月に現在の経営陣(取締役会長:藤澤信義氏、代表取締役社長CEO:泉信彦氏、取締役:西村浩氏)が就任してからは、事業を「不動産事業」「再生可能エネルギー事業」「投資事業」に集約している。さらに2021年7月に商号を「株式会社ミライノベート」に変更し、株式併合や資本金の減額など、会社の変革を進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:12 注目トピックス 日本株 ミライノベート Research Memo(1):営業利益の黒字化定着と、バランスシートのさらなる適正化を進める ■要約ミライノベート<3528>の起源は、繊維事業を行っていた井波機業株式会社であったが、1994年に繊維事業から撤退し、事業の主力を不動産事業(主にマンション分譲)に転換した。その後、経営主体の変更に伴い主力事業の拡充や事業領域の拡大を行い変遷してきたが、現時点では事業セグメントを不動産事業、再生可能エネルギー事業及び投資事業の3つに集約している。1. 2022年3月期業績2022年3月期の連結業績は、売上高7,243百万円(前期比31.1%減)、営業利益11百万円(前期は395百万円の損失)、経常利益106百万円(同586百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益1,415百万円(同55百万円の利益)となった。2022年3月期決算で特筆すべきは、ここ数年と異なり本業で営業利益を計上した点だ。セグメント別では、不動産事業で1,056百万円(前期は313百万円の損失)、再生可能エネルギー事業で311百万円(前期比29.6%減)の利益を計上したが、投資事業では保有する有価証券の時価が下落したことにより847百万円のマイナスの売上高及び営業損失(前期は197百万円の利益)を計上した。不動産事業では高採算の物件を販売したことで減収ながら増益となり、再生可能エネルギー事業では成田神崎プロジェクトを売却したことで減収減益となったが、関係会社出資金売却益704百万円を特別利益として計上した。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,415百万円と大幅な増益となった。事業や資産の見直しを進め、バランスシートの適正化は着実に進んでいると言える。2. 2023年3月期業績見通し2023年3月期の連結業績見通しについては、売上高9,395百万円(前期比29.7%増)、営業利益261百万円(前期は11百万円の利益)、経常利益94百万円(前期比10.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益84百万円(前期は1,415百万円の利益)を見込んでいる。売上高については、不動産事業は減収、再生可能エネルギー事業は微増、投資事業は回復する予想であり、全体では増収を見込んでいる。利益面では、依然として新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響や再生可能エネルギー事業への天候の影響、投資事業の先行き(株価の動向)など不透明要因が多いが、不動産事業では前期に引き続き高採算の物件に注力することにより、通期では大幅な営業増益が予想されている。3. 今後の事業展開について同社では2020年6月に主要な経営陣が入れ替わったが、それ以降は事業ドメインを従前からの不動産事業及び再生可能エネルギー事業、並びに新設の投資事業の3つに絞り込み、それぞれを拡充、拡大し事業を進めてきた。それに合わせて「株式会社ミライノベート」への社名変更(2021年7月1日付)、資本金の減額(同年8月1日付)及び10:1の株式併合(同年10月1日付)を行うと同時に、過剰資産の売却等も積極的に行い、バランスシートの適正化を進めてきたが、その成果が出始めている。今後もこの方針を継続する予定であることから、構造改革の進捗に注目したい。特に、2022年3月期決算において、投資事業でマイナスの売上高及び営業損失を計上しながらも、全体の収益では営業利益を確保した点は注目に値するだろう。なお中期経営計画については、グループ再編や各事業における市場環境の動向、コロナ禍の影響等を総合的に考慮した結果、策定には不確定要素が多いことから単年度の数値計画にとどめている。様々な不確定要因が落ち着き、開示できる状況になったら改めて公表する予定だ。■Key Points・事業セグメントを不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業の3つに集約・2022年3月期は本業で6期振りとなる営業利益を計上・営業利益の黒字化定着と、バランスシートのさらなる適正化を進める(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/09 15:11 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(8):2023年3月期は創業110周年・最高益記念配当を実施、中間配当も開始 ■株主還元策三井松島ホールディングス<1518>は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の1つとして位置付けており、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績に応じた株主への利益還元を継続的に行うことを基本方針としている。なお、中期経営計画における配当性向目標30%を目安とするが、最終的には総合的な観点から決定している。これらの基本方針に基づき、普通配当ベースで過去16年間減配なく配当を実施しており、2022年3月期は前期比30.0円増配の1株当たり80.0円(配当性向19.3%)となった。創業110周年を迎える2023年3月期については、各利益がいずれも創業来最高益を大きく更新する見込みであることから、1株当たり80.0円の創業110周年・最高益記念配当を予定している。さらに、株主への利益還元の機会充実を目的に、2023年3月期より中間配当を実施する方針であることも併せて発表した。これらの結果、2023年3月期の年間配当は、普通配当80.0円に記念配当80.0円を加えた160.0円を予定している。なお同社では、今後も普通配当は80円(年額)を下回らないことを目指すとしている。また、株主優待制度も実施している。2022年3月期は花菱の商品優待券(10,000円)や、(株)エムアンドエムサービスが運営する17の宿泊施設及び三井港倶楽部、ラ・ロシェル3店舗で利用できる施設優待割引券(3,000円)を保有株数に応じて贈呈している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:08 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(7):非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指す ■中長期の成長戦略1. 中期経営計画三井松島ホールディングス<1518>は1913年の創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続してきたが、近年は世界規模での環境保護意識の高まりを背景に、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが国家・企業・投資家の枠組みを越えて加速しており、石炭関連事業を取り巻く環境はかつてなく厳しいものに変容しつつある。このような危機意識の下、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。2020年3月期から2024年3月期までの5年間で300億円のM&A投資を実行することにより、非石炭生産事業で47億円の営業利益を目指している。(1) 各事業の方針石炭生産事業については、当面は現状を維持する。底堅い見通しの石炭需要に対応しながらも、既存権益以外の新規権益投資は行わない方針を掲げている※1。一方、非石炭事業については、投資リターンを意識したM&Aを実行していく方針だ。投資収益率※2 15%を目標にするほか、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行することで定量目標の達成を目指す。※1 豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定。隣接地域への鉱区延長を行うかどうかは経済合理性等から判断し、最適な意思決定を行う方針。※2 投資収益率=年間EBITDA÷累計投資額(企業価値ベース(株式+純有利子負債)。(2) 進捗状況2022年5月時点の累計投資額が147億円(中期経営計画目標300億円のうち49%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は35億円と計画の75%を達成する見込みである。総じて順調に利益を積み重ねていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。2. 2025年3月期以降の方針2025年3月期以降についても、新規M&A投資を着実に実行し、非石炭生産事業で営業利益増を目指す方針に変わりはない。一方、グループ会社間のシナジー創出の視点も加え、目標投資規模の拡大も行いながらM&Aに取り組むことで、グループ全体の成長をさらに加速させていく方針だ(現時点でも推進中)。なお、石炭生産事業に関しては、リデル鉱区延長に関して様々な要素を元に慎重な判断を要するが、不確定要素が多い現段階では、2025年3月期以降の石炭生産事業収益を見込まない前提で経営戦略を講じている。現時点でも同社は「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行し、成果をあげている。これにグループシナジーを投資基準に加えることで、成長性及び収益性がさらに加速される可能性は以上に高いと弊社では見ている。今後の新規M&A投資に期待が高まる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:07 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(6):2023年3月期の各利益はいずれも創業来最高益を大きく更新する見通し ■今後の見通し● 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想について三井松島ホールディングス<1518>は、売上高が前期比22.3%増の57,000百万円、営業利益が同69.9%増の14,300百万円、経常利益が同72.2%増の14,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同76.0%増の9,500百万円とし、各利益はいずれも創業来最高益を大きく更新する見込みとしている。また、生活関連事業及びエネルギー事業ともに増収増益を見込んでいる。セグメント別の業績見通しは以下のとおり。(1) 生活関連事業日本カタンの子会社化などが寄与し、売上高は前期比7.5%増の29,000百万円、営業利益は同1.4%増の3,000百万円と堅調に推移する見通しである。主要事業の見通しは以下のとおり。a) 飲食用資材分野(日本ストロー)売上は堅調に推移する見通しであるものの、レジン等の原料高の影響が予想されている。付加価値の高い環境対応素材ストロー(バイオマスプラスチック、海洋生分解性プラスチックが主流)の拡販などにより販売単価アップを進めるが、原料高の影響を補いきれず減益となる見通しだ。b) 衣料品分野(花菱)オーダースーツ市場は厳しい環境が継続するものの、全自社工場の閉鎖による固定費大幅削減等により黒字を確保する見通しだ。なお、全量外注生産であることから、昨今の原料高の影響は限定的としている。このほか、自社ホームページリニューアルやSEO対策を強化することで新規顧客獲得を目指すほか、SNSを活用した積極的な情報配信により認知度を向上させ、さらなる受注拡大を見込んでいる。c) 電子部品分野(クリーンサアフェイス技術、三生電子)クリーンサアフェイス技術は、原料高の影響はあるものの、需要の増加等により利益は微増となる見通し。三生電子は、顧客の設備投資がひと段落するため減収を見込んでいる。原料高の影響を受けるものの、多くの受注残を抱えていることから、業績は底堅く推移する見通しだ。d) 事務機器分野(明光商会)鋼材価格や物流費の上昇、バーツ高による原価増の影響が懸念されている。コスト削減や新型コロナウイルスに対応した新製品「AIRVIO/AIRVIO+」の販売に注力していくものの、これらの影響を補いきれず減益となる見通しだ。e) ペット分野(ケイエムテイ)原料高・円安による輸入コスト等の増加が見込まれるものの、ペットサロン、販売代理店、卸などへの営業活動に注力することで新規顧客の開拓を推進するほか、値上げ等により業績は横ばいとなる見通しだ。f) 住宅関連部材分野(システックキョーワ)原料高・バーツ高の影響を受けるものの、ドアストッパーなどの形状をブラッシュアップした新商品投入や値上げにより、業績は横ばいとなる見通しだ。g) 電力関連資材分野(日本カタン)原料高の影響は想定されるものの、電力会社向けの販売単価の見直し交渉等により、一定の利益は確保できる見通し。また、2024年3月期以降は、安定的な更新需要に加えて大型連系線工事による受注増も期待でき、中長期的に安定した利益貢献が見込まれる。(2) エネルギー事業石炭価格の上昇により、売上高は前期比同46.0%増の26,700百万円、セグメント利益は同97.4%増の12,500百万円を見込んでいる。なお、直近2022年1~3月のGCI(グローバルコールインデックス)が百万トン当たり262.8米ドルのところ、同社は一般炭の1~12月の平均価格を200米ドルと保守的に想定していることに留意したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:06 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(5):生活関連事業の増益や石炭価格の上昇が寄与し、各利益は過去最高を更新 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要三井松島ホールディングス<1518>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比18.8%減の46,592百万円、営業利益で同332.3%増の8,417百万円、経常利益で同184.6%増の8,595百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で5,396百万円(前期は3,035百万円の損失)となった。電子部品分野の受注増加やシステックキョーワの子会社化などが寄与し、生活関連事業が増収となったものの、2022年3月期から適用している「収益認識に関する会計基準」等の影響により、減収となった。なお、当該基準等の適用により、石炭販売分野の代理人取引については売上高及び売上原価がそれぞれ38,944百万円減少した。利益面では、生活関連事業の増収に加え、石炭生産分野における石炭価格の上昇や決算為替レート(A$/円)の円安などにより大幅な増益となり、過去最高を更新した。セグメント別の業績は以下のとおり。(1) 生活関連事業売上高は前期比16.9%増の26,972百万円、セグメント利益は同88.2%増の2,959百万円となった。電子部品分野では、世界的な半導体不足や米中貿易摩擦などの影響により、電子部品メーカーからの設備受注が増加した。この結果、三生電子の売上高は同72.7%増の76億円、EBITDAは同100%増の10億円と好調に推移した。また、住宅関連部材分野のシステックキョーワの子会社化(2021年2月)も通期で寄与した。(2) エネルギー事業売上高は前期比44.6%減の18,282百万円、セグメント利益は同292.8%増の6,333百万円となった。このうち、石炭生産分野は石炭価格の上昇※及び決算為替レート(A$/円)の円安により、増収増益となった。一方、石炭販売分野は「収益認識に関する会計基準」等の影響により減収となったものの、手数料収入の増加により増益となった。※2022年3月期の石炭平均価格 一般炭は前期比44.9米ドル増の116.7米ドルに上昇した。(3) その他の事業不動産事業及び港湾事業等を含んでおり、売上高は前期比6.0%増の1,421百万円、セグメント利益は同18.2%増の171百万円となった。自己資本比率の上昇や流動比率・固定比率の改善などが進み、財務健全性に問題なし2. 財務状況と経営指標2022年3月期末の資産合計は前期末比2,780百万円減少し67,837百万円となった。このうち流動資産は現金及び預金の減少2,291百万円などにより、1,893百万円減少した。固定資産は有形固定資産の減少411百万円などにより、886百万円減少した。負債合計は同8,030百万円減少し、32,300百万円となった。このうち、流動負債は短期借入金の減少7,255百万円、長期借入金(1年以内)の減少1,183百万円などにより、6,105百万円減少した。固定負債は長期借入金の減少2,295百万円などにより、1,925百万円減少した。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによる株主資本の増加4,759百万円などで、同5,250百万円増加し35,537百万円となった。利益剰余金の増加4,754百万円や長短借入金の減少などにより、自己資本比率は52.2%(前期末は42.8%)となり、財務安定性が向上した。流動比率は200.6%(同160.0%)、固定比率は81.5%(同98.5%)に改善し、手元流動性にも問題はない。2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払2,096百万円、売上債権の増加1,229百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益8,106百万円、減価償却費942百万円などにより、8,911百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出1,402百万円があったものの、定期預金の減少2,613百万円、有形及び無形固定資産の売却による収入1,808百万円などにより2,569百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長短期借入金の返済10,893百万円、配当金の支払652百万円などにより11,749百万円の支出となった。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は19,413百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:05 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(4):生活関連事業とエネルギー事業を展開(2) ■三井松島ホールディングス<1518>の事業内容(4) 事務機器分野2019年4月に株式取得した明光商会が、シュレッダーを中心とする事務用設備の製造・販売・保守を行っている。1960年に日本初のシュレッダー製造販売を開始して以来、独自の技術・ノウハウを蓄積し、シュレッダーのリーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内オフィス用シュレッダーの市場シェアは約75%(同社調べ)と圧倒的である。代表的な製品としては、用途に応じたラインナップが豊富な「MSシュレッダー」のほか、WEB機能により3密対策を実現した受付自動案内システム「MSボイスコールNEO」、対面の会話で発生する飛沫を吸収し紫外線照射でウイルスを抑制する「AIRVIO/AIRVIO+」などがある。また、営業・サービス拠点が日本全国をカバーしていることも強みとなっている。総務省「令和2年版情報通信白書」によると、日本企業がパーソナルデータの収集に当たって最も重視する点として「収集するデータのセキュリティの確保」と回答する割合が高まっている(2017年の15.7%に対し2020年は28.7%)ことからも、情報セキュリティに対する意識が高まっていることが窺える。明光商会のシュレッダーには、細断サイズが10mm2以下と世界最小の商品もあり、昨今のセキュリティ対策に対応できていると言える。(5) ペット分野2020年4月に株式取得したケイエムテイが、予防医学に基づいた高品質プレミアムペットフードの企画・販売を行っている。ヒューマングレードの原材料を使用し、添加物・着色料・副産物不使用などペットの健康に配慮した商品を展開している。全国のペットブリーダーや動物病院からも高い支持を得ており、高品質な健康プレミアムペットフード市場において強いブランド力と高いシェアを有している。市場環境については、2人以上世帯のペットフードへの支出額が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の2021年でも7,787円と前年比微減(375円減)でとどまっていること、ホームセンターにおけるペット・ペット用品の販売額が2021年も前年を上回り284,676百万円と好調に推移していることなどから、底堅く推移すると弊社では見ている。(6) 住宅関連部材分野2021年2月に株式取得したシステックキョーワは、ドアストッパーや耐震ラッチ等の住宅関連部材の企画・製造・販売を行っている。タイに自社工場を保有していることから、企画から金型、成形、組立まで一貫してグループ内で生産を行うことができ、業界内で高いシェアを誇る。また、大手住宅・建材メーカーと直接取引により強固な関係を構築しており、商品の共同開発や特許の共同出願も行っている。市場環境については、2021年の住宅着工件数※は856,484戸と、コロナ禍前の2019年(905,123戸)の水準には戻っていないものの、回復基調であることから、将来的には底堅く推移すると弊社では見ている。※出所:国土交通省「建築着工統計(年計)」。(7) 電力関連資材分野2022年5月に株式取得した日本カタンが、鉄塔と送電線を連結する送電線用架線金具を取り扱っている。国内で架線金具の構成部品すべてを製造できるメーカーは2社のみとなっており、日本カタンは国内高圧送電線用架線金具市場でトップシェアを誇る専門メーカーである。顧客である電力会社の製品規格に対応できる技術力を有し、強固な顧客基盤を構築するためには相応の時間を要するため、今後も高いシェアが継続すると見込まれている。また、政府は再生可能エネルギー普及のため次世代送電網整備計画の策定を検討しており、送電設備の工事需要の高まりも期待される。(8) 介護分野MMライフサポートがサービス付き高齢者向け住宅(2棟)の運営等を行っている。2. エネルギー事業同事業は、祖業の石炭関連事業に該当する石炭生産分野及び石炭販売分野と、2012年に開始した再生可能エネルギー分野からなる。各分野の売上構成比(2022年3月期)は石炭生産分野97.1%、石炭販売分野1.2%、再生可能エネルギー分野1.7%と、石炭生産分野が大半を占める。(1) 石炭生産分野MITSUI MATSUSHIMA AUSTRALIA PTY.LTD.が、Glencoreと共同でジョイント・ベンチャーとして豪州NSW州リデル炭鉱の操業を行っており、出資比率(32.5%)に応じた炭鉱権益を得ている。高品質の一般炭(全体の約90%)及び原料炭が生産されており、主に日本向けに出荷している。なお豪州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定となっている。その後、隣接地域への鉱区延長を行うかどうかは、州・連邦政府の許認可取得の段階でエネルギー安全保証、経済合理性、株主利益等を鑑みたうえで行う。既に保有している32.5%の権益維持、権益の部分売却、全権益の売却などの選択肢から最適な意思決定を行うとしている。隣接鉱区における製品炭の年間生産量は約400万トン(権益100%の場合)、約20年間の採掘が可能と見込んでいる。(2) 石炭販売分野2018年10月の純粋持株会社移行に伴い新設分割された分野で、三井松島産業(株)が日本国内の電力会社や鉄鋼会社へ石炭を販売している。取扱数量に応じたコミッション(口銭)を収益としていることから、石炭価格の変動による利益の影響は限定的である。(3) 再生可能エネルギー分野MMエナジー(株)が、福岡県福津市内にある同社所有地を利用して6MWの太陽光発電所「メガソーラーつやざき発電所」を運営している。年間発電量は、一般家庭約2,000世帯分の年間消費電力に相当する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:04 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(3):生活関連事業とエネルギー事業を展開(1) ■事業内容三井松島ホールディングス<1518>が展開している事業は「生活関連事業」と「エネルギー事業」に大別される。1. 生活関連事業収益基盤の安定化・多様化を図るため、新規事業の育成・強化を積極的に推進している。主要事業は飲食用資材分野、衣料品分野、電子部品分野、事務機器分野、ペット分野、住宅関連部材分野、電力関連資材分野からなる。(1) 飲食用資材分野2014年2月に株式取得した日本ストローが、大手乳業・飲料メーカー等向け伸縮ストローの製造販売をはじめ、プラスチック製品・包装資材等の飲食用資材の仕入販売を行っている。日本ストローは1983年に伸縮ストローを開発以来、業界の先駆者として独自の技術・ノウハウを蓄積し、ストローの国内リーディングカンパニーとしての地位を確立している。国内伸縮ストローの市場シェアは約65%(同社調べ)と圧倒的である。大手乳業・飲料メーカーなど優良顧客からの高い信頼と評価による安定的な取引基盤を構築し、堅調な業績を維持している。トピックとしては、2021年に海洋生分解性プラスチック伸縮ストローを商品化(世界初)したことが挙げられる。2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、環境対応素材ストロー(バイオマスプラスチック、海洋生分解性プラスチックが主流)への移行が加速化しており、優良顧客基盤を有する日本ストローにとって、既存のプラスチックストローからの切り替えによるさらなるシェアアップ、単価・収益性アップが期待できる。実際、市場環境は明るいと弊社では見ている。消費者庁「令和元年度エシカル消費に関する消費者意識調査」によると、エシカル消費※に「非常に興味がある」または「ある程度興味がある」と回答した割合は、2016年の35.9%から2020年は59.1%に上昇している。また、エシカル商品・サービスの購入状況・購入意欲に関して「これまで購入したことがあり、今後も購入したい」または「これまでに購入したことはないが、今後は購入したい」と回答した割合についても、2016年の61.8%から2020年は81.2%に上昇している。このほか、関心を持っている課題・活動に関して「環境保全」が60.6%と最大であったことから、消費者が環境保全に対応した商品を求めていることが窺える。※消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。(2) 衣料品分野2015年10月に株式取得した花菱が、紳士服・婦人服・ワイシャツの企画・販売を行っている。1935年に創業した花菱は、「オーダースーツ」の先駆者として2,500万着以上の販売実績を誇る。2022年1月には固定費負担の重い自社工場をすべて閉鎖し、御幸毛織(株)にオーダースーツ生産を委託することとした。今後は、御幸毛織への生産委託を通じて高品質な国内縫製オーダースーツを引き続き提供するとともに、社会環境の変化に対応したカジュアルジャケット等の商品力を強化していく。(3) 電子部品分野a) クリーンサアフェイス技術2017年2月に株式取得したクリーンサアフェイス技術では、液晶パネル・有機EL・電子部品等の製造に用いられるマスクブランクス※の製造・販売を行う。1977年に国内初のマスクブランクス専業メーカーとして創業し、国内外有力メーカー等優良な顧客基盤を保持している。クリーンサアフェイス技術の製品は顧客商品開発過程で消費されるため、最終商品の動向影響は比較的受けにくく、業績は安定して推移している。※マスクブランクスとは、半導体等の回路パターンを描画するための素材で、版画の原版のような役割を担う。5G、ビッグデータ、AI、IoT、DX等のデジタル化を支えるうえで半導体は重要な役割を担っていること、経済安全保障の観点等から自国での量産体制を整える政府方針があることなどから、市場環境は今後も順調に推移すると弊社では予想している。実際、半導体の世界市場規模は、2015年の335,168百万米ドルから2020年には440,389百万米ドルに成長(CAGRは4.4%)し、2022年には601,490百万米ドルに拡大すると予想されている※1。また日本製半導体装置の販売高についても、2020年の23,835億円から2023年には37,000億円に拡大すると予想されている※2。※1 出所:(一社)電子情報技術産業協会。※2 出所:(一社)日本半導体製造装置協会。b) 三生電子2020年4月に株式取得した三生電子では、水晶デバイス※用計測器・生産設備の製造販売、並びに関連するハードウエア・ソフトウエアの製造販売を行っている。1963年に創業した三生電子は、水晶デバイス製造工程のうち組立~検査までを幅広くカバーしたインラインシステムを構築可能な国内唯一の装置メーカーである。顧客との強固な関係や価格競争力、高い技術力が強みである。2022年3月期より組立工程の前段階であるブランク工程まで網羅したインラインシステムを開発・販売開始しており、他社との一層の差別化を実現した。※水晶の(逆)圧電効果(物質に電力をかけると高速かつ精確に振動する性質)を利用した電子部品。あらゆる電子機器に搭載され、特にスマートフォンなどの無線接続機器には必要不可欠となっている。自動車のエレクトロニクス化や通信インフラ5G対応など、成長分野での用途拡大が見込まれている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:03 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(2):脱炭素社会到来への備えとし、独自のM&A戦略に基づきM&Aを着実に実行 ■会社概要1. 会社概要三井松島ホールディングス<1518>は、1913年に松島炭鉱(株)として長崎県に設立され、2023年に創業110年を迎える歴史ある企業である。創業時より松島炭鉱、大島炭鉱、池島炭鉱を順次開発・運営し、1991年にはMITSUI MATSUSHIMA AUSTRALIA PTY.LTD.を通じて豪州NSW州リデル炭鉱のジョイント・ベンチャーに参入した。創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続しているが、世界規模での環境保全意識の高まりを背景に、脱炭素社会到来への備えとし、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立を推進している。2013年の吉岡氏入社を機に、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき新規M&A投資を着実に実行している。2014年2月の日本ストロー(飲食用資材分野)子会社化を皮切りに、2015年10月に花菱縫製(株)(現 (株)花菱)(衣料品分野)、2017年2月にクリーンサアフェイス技術(株)(電子部品分野)、2019年4月に(株)明光商会(事務機器分野)、2020年4月に(株)ケイエムテイ(ペット分野)及び三生電子(電子部品分野)、2021年2月にシステックキョーワ(住宅関連部材分野)、2022年5月に日本カタン(電力関連資材分野)の計8社を子会社化した。また、2018年に純粋持株会社体制に移行するとともに、社名を現在の三井松島ホールディングスに変更した。2. M&A戦略の特長吉岡氏は一貫して金融機関でキャリアを積んできた。2007年に入社したGCA(現 フーリハン・ローキー(株))にてM&Aアドバイザーとして同社と関わりを持ち、その縁もあり入社した。吉岡氏がデューデリジェンス(以下、DD)の早い段階から案件に直接関与し、買収の意思決定を行うことで確実かつ迅速なM&Aが可能となっている。(1) 投資方針同社はM&Aの方針を「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」とし、ブレない投資軸でM&Aを実行している。市場環境などを元に将来の需要動向を見極め、競争環境が比較的穏やかなニッチ市場で事業展開している企業、オンリーワン技術を保有し市場で高いシェアを獲得している企業等を対象としている。(2) M&A推進体制の構築同社は、M&A経験が豊富な金融業界出身者によるFAチームを内部に構築している。長年の実績により獲得したM&A業者や投資ファンドとの広いネットワークにより、効率的な情報集約や共有が可能となる。また、FAチームを内製化することで投資基準にブレが生じにくくなるほか、迅速な判断、ノウハウ蓄積、目利き力が向上し、投資方針に合致する案件発掘が可能となる。一方、吉岡氏がM&A専門家としてFAチームを指揮することで、迅速な案件検討の推進だけでなく、好機を逃さない現場との連携が可能となる。DDやバリュエーションを自社ハンドリングの下で行うことで、M&A後に期待リターンを実現する強固なコミットメントを構築している。(3) 適正価格での買収同社は、適正価格での買収によるM&Aを実行している。M&A実績の積み上げや知名度の向上により、ソーシングチャネル(銀行、証券会社、M&A仲介、投資ファンド、企業・個人株主など)からの案件紹介が増加しているが、入札案件を避けてM&Aを実行することで適正価格での買収を可能としている。案件紹介の場合は、買収意向書の提出から買い手企業の決定までのスパンが短く、DDに迅速に入ることができるため、買収後のキャッシュ・フローを最大化できるという利点もあると、弊社は考えている。(4) 社内人材によるハンズオンPMIとコストシナジー買収後は、社内人材によるハンズオンPMI※1のノウハウを活用している。一例を挙げると、同社人材をグループ会社に派遣するなどの経営支援、グループ会社間での技術・ノウハウの共有によるコスト削減、人材交流による新製品開発、グループ会社間での部材供給などがある。PMIノウハウの蓄積や経営資源の効率化、グループ間のシナジー等も生まれつつあり、グループ全体としてコングロマリットプレミアムを創出している。また、生活関連事業の利益が着実に成長※2している一方、全従業員数は増加しておらず、経営資源の効率活用も実現している。※1 Post Merger Integrationの略で、買収後の統合プロセスのこと。※2 生活関連事業のEBITDAは、2018年3月期の24億円から2022年3月期には41億円に拡大している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:02 注目トピックス 日本株 三井松島HD Research Memo(1):新規M&A投資を着実に実行し、石炭生産事業に依存しない利益成長を実現 ■要約三井松島ホールディングス<1518>は、2023年に創業110年を迎える歴史ある企業である。創業以来、100年以上にわたり祖業である石炭関連事業を継続しているが、世界規模での環境保全意識の高まりを背景に、脱炭素社会到来への備えとし、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立を推進している。2013年に現 代表取締役社長である吉岡泰士(よしおかたいし)氏が入社したことを機に、内部にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)チームを構築し、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき、着実にM&Aを実行している。2014年2月の日本ストロー(株)子会社化を皮切りに計8社(2022年5月時点)を子会社化した。また、2018年に純粋持株会社体制に移行するとともに、社名を現在の三井松島ホールディングス(株)に変更した。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比18.8%減の46,592百万円、営業利益で同332.3%増の8,417百万円、経常利益で同184.6%増の8,595百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で5,396百万円(前期は3,035百万円の損失)となった。電子部品分野の受注増加や(株)システックキョーワの子会社化などが寄与し、生活関連事業が増収となったものの、2022年3月期から適用している「収益認識に関する会計基準」等の影響により、減収となった。利益面では、生活関連事業の増収に加え、石炭生産分野における石炭価格の上昇や決算為替レート(A$/円)の円安などにより大幅な増益となり、過去最高を更新した。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績予想について同社は、売上高が前期比22.3%増の57,000百万円、営業利益が同69.9%増の14,300百万円、経常利益が同72.2%増の14,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同76.0%増の9,500百万円とし、各利益はいずれも創業来最高益を大きく更新する見込みとしている。また、生活関連事業及びエネルギー事業ともに増収増益を見込んでいる。日本カタン(株)の子会社化が寄与すること、三生電子(株)が引き続き好調に推移する見込みであること、一般炭の1~12月の平均価格を保守的に想定していることなどを考慮すると、業績予想を達成する可能性は高いと弊社では見ている。3. 中長期の成長戦略1991年にジョイント・ベンチャーとして参入し、32.5%の権益を保有している豪州NSW州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定となっている。その後、隣接地域への鉱区延長を行うかどうかは経済合理性等から判断し、既に保有している32.5%の権益維持、権益の部分売却、全権益の売却などの選択肢から最適な意思決定を行うとしている。一方で、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組替えや石炭生産事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。2020年3月期から2024年3月期までの5年間に300億円のM&A投資を実行することで、石炭関連以外の新規事業(以下、非石炭生産事業)で47億円の営業利益達成を目指している。2022年5月時点の累計投資額が147億円(中期経営計画目標300億円のうち49%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は35億円と計画の75%を達成する見込みである。総じて順調に利益を積み重ねていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。4. 株主還元策同社は普通配当ベースで過去16年間減配なく配当を実施しており、2022年3月期は前期比30.0円増配の1株当たり80.0円(配当性向19.3%)となった。創業110周年を迎える2023年3月期については、各利益がいずれも創業来最高益を大きく更新する見込みであることから、1株当たり80.0円の創業110周年・最高益記念配当を予定している。さらに、株主への利益還元の機会充実を目的に、中間配当を実施する方針であることも併せて発表した。これらの結果、2023年3月期の年間配当は、普通配当80.0円に記念配当80.0円を加えた160.0円を予定している。なお同社では、今後も普通配当は80円(年額)を下回らないことを目指すとしている。また、株主優待制度も実施している。■Key Points・祖業の石炭関連事業を100年以上継続しながらも、脱炭素社会到来への備えとし、独自のM&A戦略に基づき新規M&A投資を着実に実行・2022年3月期の各利益は過去最高を更新。生活関連事業の増益や石炭価格の上昇が寄与・2023年3月期の各利益はいずれも創業来最高益を大きく更新する見通し・2023年3月期は創業110周年・最高益記念配当を実施するほか、中間配当も開始・2024年3月期中に終掘予定のリデル炭鉱については隣接鉱区の延長を検討中、経済合理性等から判断し最適な意思決定を行う方針(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎) <YM> 2022/06/09 15:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~ナノキャリア、日電波がランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [6月9日 14:31 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<6035> IRJ−HD     9905200  83340  11785.29% 9.49%<4571>* ナノキャリア     3431500  263340  1203.07% 15.9%<4238> ミライアル      892100  101600  778.05% 10.11%<3180> Bガレジ       519200  61800  740.13% 5.99%<8202> ラオックス      20827500  3378080  516.55% -10.57%<6753> シャープ       10024400  1921700  421.64% -5.25%<2562> 上場ダウH      119260  26376  352.15% -0.56%<2438> アスカネット     1514600  336400  350.24% 2.13%<7172> JIA        255100  68080  274.71% 6.29%<9258> CS−C       294000  79140  271.49% 8.33%<3963> シンクロフード    516400  140980  266.29% 9.4%<2695> くら寿司       1267000  359780  252.16% -3.53%<2491> Vコマース      292900  83500  250.78% 3.69%<4078> 堺化学        108200  31580  242.62% 1.82%<3252> 地主         169600  53060  219.64% -2.05%<9262> シルバーライフ    273300  86480  216.03% 6.6%<3672> オルトプラス     432100  138780  211.36% 9.47%<3927> F−ブレイン     183500  63980  186.81% 8.99%<6535> アイモバイル     440200  154660  184.62% -2.27%<9104> 商船三井       17559100  6240500  181.37% -7.31%<3760> ケイブ        2320700  832040  178.92% 3.51%<6627> テラプロ       206200  78140  163.89% -2.27%<3854> アイル        205100  79940  156.57% 12.46%<6618> 大泉製        465800  188440  147.19% 6.58%<9267> Genky      174400  72120  141.82% -0.58%<6779>* 日電波        572500  240320  138.22% 4.8%<9827> リリカラ       2251700  964780  133.39% 10.22%<2510> 野村国内債券     121550  52276  132.52% -0.12%<3990> UUUM       291500  127280  129.02% 6.31%<3085> ALサービス     279900  123620  126.42% -1.07%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2022/06/09 14:50 注目トピックス 日本株 BEENOS---急伸、越境EC支援実績が3000件を突破 BEENOS<3328>は急伸。海外向け購入サポートサービス「Buyee」やタグ設置のみで海外販売を可能にする「Buyee Connect」などを通じた、国内企業の越境EC支援実績が累計3000件を突破したと発表している。順調な実績の積み上げを受けて、今後本格的な回復が見込まれている訪日観光客からのリピート需要獲得を期待する動きが強まっているようだ。 <YN> 2022/06/09 14:33 注目トピックス 日本株 ブイキューブ---急伸、防災DXソリューションの投入を発表 ブイキューブ<3681>は急伸。地図を使った視覚的機能を加えた「V-CUBE コミュニケーションマップ」を発表、7月から提供開始するとしている。複数拠点で同時に起きている事案とそれらに紐づくコミュニケーションを一つの地図上にまとめ、有事の際など強固なリアルタイムのコミュニケーションを支援するものとなるようだ。自治体を中心に、消防本部などでの災害対応や火災などへの対応を求められるシーンでの活用を想定している。 <YN> 2022/06/09 14:03 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~ミライアル、ラオックスなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [6月9日 13:31 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<6035> IRJ−HD     8651900  83340  10281.45% 12.32%<3180> Bガレジ       494000  61800  699.35% 5.25%<4238> ミライアル      644300  101600  534.15% 4.74%<8202> ラオックス      18859900  3378080  458.30% -7.85%<6753> シャープ       8884000  1921700  362.30% -5.89%<2438>* アスカネット     1379600  336400  310.11% 2.61%<9258> CS−C       276100  79140  248.88% 7.88%<7172> JIA        226100  68080  232.11% 6.81%<2491> Vコマース      275800  83500  230.30% 3.53%<2695> くら寿司       1176900  359780  227.12% -2.73%<4078> 堺化学        102600  31580  224.89% 1.62%<3252> 地主         161800  53060  204.94% -1.76%<3963> シンクロフード    429000  140980  204.30% 10.03%<3927> F−ブレイン     175100  63980  173.68% 10%<9262> シルバーライフ    234100  86480  170.70% 9.01%<3672> オルトプラス     355400  138780  156.09% 9.19%<3760> ケイブ        2122100  832040  155.05% 4.86%<6535> アイモバイル     392100  154660  153.52% -1.72%<6627> テラプロ       192400  78140  146.22% -3.55%<9104> 商船三井       15224300  6240500  143.96% -7.88%<9267> Genky      167900  72120  132.81% -0.72%<6618> 大泉製        418200  188440  121.93% 7.1%<3085> ALサービス     270600  123620  118.90% -0.98%<3990> UUUM       267200  127280  109.93% 6.45%<9827>* リリカラ       2013100  964780  108.66% 10.65%<3854> アイル        159300  79940  99.27% 10.33%<4026>* 神島化学工業     194100  98320  97.42% 3.22%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <FA> 2022/06/09 13:44 注目トピックス 日本株 ミライアル---急伸、第1四半期大幅増益で従来計画上振れ着地 ミライアル<4238>は急伸。前日に第1四半期決算を発表。営業利益は8.5億円で前年同期比2.6倍となり、従来計画の7.1億円を大きく上回る着地になった。また、上半期計画は13.7億円で同95.9%増益の見通しとしている。5G、IoTに係る通信機器の拡大が牽引役となり、プラスチック成形事業が堅調に推移すると見込んでいる。中間期末配当金は前年同期比5円増の25円としている。想定以上の好業績をポジティブ視する動きが優勢に。 <YN> 2022/06/09 13:39

ニュースカテゴリ