注目トピックス 経済総合ニュース一覧

注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は1.43%高でスタート、買い戻しが優勢 16日の上海総合指数は買い先行。前日比1.43%高の3107.66ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時47分現在、0.12%高の3067.61ptで推移している。最近の下落で値ごろ感が強まり、下値を拾う動きが活発になっている。また、ロシアとウクライナの停戦交渉に対する期待が高まっていることも支援材料。一方、国内での新型コロナウイルス感染の増加に伴う行動制限の強化が引き続き警戒されている。 <AN> 2022/03/16 10:51 注目トピックス 経済総合 日揮ホールディングスを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(16日10:02時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ電通<4324>コール102回 4月 4,750円を順張り、ミネベアミツミ<6479>コール96回 5月 2,500円を順張り、オリエンタルランド<4661>コール182回 4月 22,000円を順張りで買う動きや、原資産の株価下落が目立つ日揮ホールディングス<1963>コール35回 4月 1,400円を逆張り、日揮ホールディングスコール35回 4月 1,400円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日揮ホールディングスプット38回 5月 1,100円、日本電信電話<9432>コール172回 5月 3,300円、ファーストリテイリング<9983>プット306回 4月 58,000円、アップルプット164回 4月 140米ドルなどが見られる。上昇率上位は日揮ホールディングスプット35回 4月 1,100円(+66.7%)、日揮ホールディングスプット33回 4月 800円(+50.0%)、イビデン<4062>コール122回 4月 7,100円(+50.0%)、日揮ホールディングスプット34回 4月 950円(+50.0%)、富士通<6702>コール245回 4月 23,500円(+43.8%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/16 10:20 注目トピックス 経済総合 コラム【アナリスト夜話】ロシアのウクライナ侵攻:「ブロック経済化」への備え(マネックス証券 大槻奈那) ロシアのウクライナ侵攻の痛ましい報道が続いています。過去の紛争と異なり、生の映像がSNSを通じて世界に届けられることで、市場マインドにより大きな影響を与えていると感じます。 戦況の行方はわかりませんが、金融の最終兵器ともいえるSWIFT排除を早々に決めたこと等を見ると、ロシア対西側の経済対立は、どう転んでも簡単には修復できないと考えられます。これによる第一の懸念は、中央アジア諸国への影響です。カザフスタンの通貨テンゲは、2015年にドルペグを放棄して以来の最低水準に下落しています。中央銀行が為替介入を繰り返してきましたが、先週末、ついに為替変動を制限すると宣言しました。金融機関の流動性不足も心配されており、政府はテンゲ預金に対して10%の金利上乗せを発表しています。一方、キルギスタンの通貨ソムもロシア侵攻以降ドルに対して2割以上減価しており、先週、国外への米ドルの持ち出しが禁じられました。また、案外大きいのはロシアが中央アジアから受け入れている移民への影響です。ロシアは、世界第4位の移民受け入れ国で、2020年で1200万人もの人々が、特に中央アジアから訪れ自国に送金しています。タジキスタンやキルギスタンでは、移民からの送金がGDPの3割を占めています。ロシアの景気鈍化や金融の滞りの影響は大きな打撃となるでしょう。そして最大の懸念は、なんといってもインフレの進行です。直近のデータは取れませんが、JETROによれば、カザフスタンの家電量販店では輸入家電製品がウクライナ侵攻前から3月初旬までで30%値上がりし、スーパーマーケットでは一時的に駆け込み需要による混雑もみられたとされています。高インフレは生活を脅かし、内政不安を高めます。今年1月のカザフスタンの動乱も燃料価格の急騰が原因でした。その後ロシアを中心とする部隊の介入後約5日間で沈静化しました。こうした中央アジアの経済的な混乱に手を差し伸べることで、ロシアは図らずも中央アジアの旧ソ連諸国を手中に収め、更に他の周辺諸国にも働きかけを強めるかもしれません。仮にそうしたブロック経済化が進んだ場合、日本は一次エネルギー自給率が1割強と極めて低いのが気がかりです。人は、「WYSIATIバイアス(what you see is all there is- 見える物が全て)」といって、見えているものに心が奪われてしまう傾向があります。しかし、そろそろ中長期的な経済の形に目を移し、生活の変化のヘッジとして、米国等他国の資産に分散を図る手段も考えておくべきかもしれません。マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那(出所:3/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <FA> 2022/03/16 09:24 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米FRB、3月FOMCで利上げサイクル開始、B/S縮小計画の発表も、金利見通し引上げへ 連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイントの利上げで、利上げサイクルを開始しする見込みとなっている。同時に、FRBはバランスシート縮小を巡る計画を発表する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは5月から量的引き締め(QT)を開始すると予想している。同時に発表される経済、金利、インフレ見通しにおいて、年内の利上げの軌道を探る。成長や失業率見通しは引き下げられ、インフレやコアPCEインフレ見通しは引き上げられると見られる。特に金利見通しは、大幅に引き上げられる可能性が強く、タカ派色が強まる可能性がある。前回12月の見通しで、FRBスタッフは22年に平均3回の利上げを予想していた。会見ではパウエル議長が物価安定を公約。指標次第で50ベーシスポイントの利上げも辞さない構えを示す可能性がある。同時に、ロシア、ウクライナ戦争や商品価格の急騰を見通しリスクとして指摘する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは今年5回、来年4回、24年に1回を予想。タカ派として知られるウォラー理事は、3月会合での50ベーシスポイントの利上げも除外しないとしていたものの、もし、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)が特に前月比でピークをつけた兆候を示した場合は25ベーシスポイントの利上げを支持するとしていた。2月CPIは前月比で+0.8%と、前月の+0.6%から拡大。しかし、FRBが特に注目している食品やエネルギーを除いたCPIは+0.5%と、1月の+0.6%から伸びが鈍化。2月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.8%と、1月+1.2%から予想以上に鈍化。2月PPIコア指数は前月比+0.2%と、1月+1.0%から予想以上に伸びは鈍化し昨年9月来で最小となり、伸びが一段落した兆候が示された。このため、3月FOMCでは25ベーシスポイントの利上げに留まる可能性が強い。ただ、今後、ウクライナ戦争を受けて、サプライチェーンの混乱が一段と悪化し、インフレをさらに押し上げる可能性もある。FRBは50ベーシスポイントの利上げの選択肢も残すと見られ、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明やパウエル議長会見に注目される。 <FA> 2022/03/16 07:39 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.97%安でスタート、米中対立や新型コロナ感染拡大で 15日の上海総合指数は売り先行。前日比0.97%安の3192.36ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時58分現在、2.03%安の3158.04ptで推移している。米中対立に対する懸念が高まっていることが警戒材料。また、国内での新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う行動制限の強化を受け、景気回復の遅れ懸念も強まっている。ほかに、1-2月の鉱工業生産などが予想以上に伸びたことが、追加の景気対策への期待をやや後退させている。 <AN> 2022/03/15 11:05 注目トピックス 経済総合 花王を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(15日10:00時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはアマゾン・ドット・コムコール180回 4月 2,900米ドルなどが見られる。上昇率上位は花王<4452>コール89回 4月 6,800円(+50.0%)、住友金属鉱山<5713>プット256回 4月 5,100円(+47.7%)、住友金属鉱山プット255回 4月 4,300円(+43.5%)、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス<8725>コール46回 4月 5,150円(+40.0%)、ユニ・チャーム<8113>コール114回 4月 4,800円(+39.4%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/15 10:29 注目トピックス 経済総合 NYの視点:市場、タカ派FOMCを織り込む、ウクライナ戦争や中国の経済封鎖でサプライチェーン混乱悪化 米連邦準備制度理事会(FRB)は15-16日に連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を予定している。FRBはこの会合で、インフレ高進や労働市場のひっ迫への対処として、2018年来で初めての利上げに踏み切る見通し。ウクライナ戦争による回復への影響も不透明となるが比較的米国への影響は最小限に留まると考えられている。一方、ウクライナ戦争がすでに問題となっているサプライチェーン混乱を一段と深刻化させ、インフレを一段と押し上げることが警戒されている。加えて、中国の新型コロナ感染再流行による経済封鎖も、サプライチェーン混乱を悪化させる新たな要因になる。ウクライナ戦争前の消費者物価指数(CPI)はすでに40年ぶり最大の伸びを記録したが、今後、一段と上昇する可能性が強い。このため、短期金融市場では年内7回の利上げを100%近く織り込んだ。市場はFRBが3月FOMCでタカ派姿勢を強めるとの思惑を強めつつある。3月以降、50ベーシスポイントの利上げも辞さない姿勢を示す可能性もある。10年債利回りは2.14%と、19年以降3年ぶり高水準となった。 <FA> 2022/03/15 07:37 注目トピックス 経済総合 北京五輪後の中国の狙い、習近平主席の更なる長期政権化への布石(元統合幕僚長の岩崎氏)(2)【実業之日本フォーラム】 「北京五輪後の中国の狙い、習近平主席の更なる長期政権化への布石(元統合幕僚長の岩崎氏)(1)【実業之日本フォーラム】」の続きである。2.中国の次なる一手は?さて、それでは、「習近平主席の次なる一手」を考えてみよう。彼のこれまでの功績は、いろいろ上げられるが、一番の功績は、オバマ大統領に「これからは米国と中国の二大国で世界をリードしたい」と言わせたことであろう。即ち、米国大統領から、中国が「世界の大国」として認められたのである。そしてこの他にも、「南シナ海の聖域化(埋め立て→軍事基地化→行政区設定)」、「香港をほぼ完全に北京支配下としたこと」等々であろう。そして、習近平主席は、香港のあと功を急ぎ、2019年1月、蔡英文総統に香港と同じように「一国二制度」を持ちかけた。蔡英文総統は、この直前の2018年11月の台湾統一選挙で惨敗し、蔡英文総統は民進党党首を自ら辞任し、失意のどん底であった。しかし、習近平のこの台湾への「お誘い」は完全な失敗であった。蔡英文総統は、習近平の「一国二制度」のお誘いをきっぱりと拒絶した。台湾には「今日の香港は、明日の台湾」なる言葉がある。台湾国民は、習近平の香港政策を静観していたのである。台湾の多くの人達は、習近平の次なる目標は、いよいよ「台湾」かと感じていたのである。蔡英文総統が即座に拒否したことで、一挙に形勢が逆転し、総統選挙で蔡英文氏が大勝することになった。習近平の一言がそうさせたのである。習近平主席は、これまで何度も「台湾は中国の核心的利益」と公言している。彼は、決して諦めることはない。次なるターゲットは「台湾」であることは明白である。問題は、タイミングである。習近平としては、出来れば4期目に繋ぐためには、ここ数年で決着したと考えているだろうが、功を焦って失敗すれば、彼の政権は簡単に転覆する。中国の2人の現役空軍大佐が「超限戦」なる著書を出している。「21世紀の新しい戦争」に関する大作である。21世紀の戦いは、国が保有する全てのアセットを駆使して戦う必要があるとの内容である。これまでの戦い方と全く異なる戦い方が必要と説いてる。ロシアはクリミア半島を手中にした際は、住民投票を使った。クリミア住民がロシアへの帰属を自ら決めたのである。弾は一発も打っていない。前述の三戦(心理戦・世論戦・法律戦)も必要であろう。出来れば「戦わずして勝つ」が理想である。台湾の国民党支持者は比較的大陸(中国)寄りである。利用可能かもしれない。また、台湾市民が住んでいない小さな島の確保であれば、米国は動かないかもしれない。習近平主席は、2014年、南シナ海で埋め立てを始める前に、ヴェトナム沖に100隻を越える海峡局の船を派遣し、石油の試掘を行った。これは、試掘そのものに関心があったわけではないと考えている。私は、この様な行動をすれば、米国がどう出るかを、見極めたのではと考えている。案の定、米国はほぼ反応しなかった。米国が強い反応を示したのは、翌年2015年5月末のシャングリラ会議である。この時に、中国は「これ以上の埋め立てはやらない」と公言した。2020年10月、台湾が統治する馬祖列島の南竿島付近に約100隻の海警局公船と海砂採取船が出現し、付近の海底の海砂を根こそぎ採取した。南竿島のビーチが消滅するくらいであったとの事である。この際も米国は何も反応しなかった。大統領選で忙しかったからである。中国は、何か行動をする時に、米国大統領の顔色を窺っているのである。何故か。それは、米国が反応すれば、ことが思惑どおり進まないと考えているからである。我々は、習近平のこのサインを見落としてはいけない。米国や我々が機敏に対応すれば、習近平は行動を躊躇する。でも、我々の反応が鈍ければ前に出てくる。台湾が統治している南シナ海の「大平島」、中国厦門から2Km弱の「金門島」やその北に位置する「馬祖諸島」など、米国が真剣に反応しないかもしれない地域での中国の権限拡大には気を付けないといけない。また、台湾にだけ気を取られていると、「尖閣列島」事態が起こるかもしれないし、より懸念しているのは、中国とインド国境沿いの紛争である。この様な争いには米国や他の国が口を挟み難い。何らかの権益を拡大出来れば、習近平主席の功績になる。その結果、彼の4期目に繋がる。我々は、警戒監視を厳にし、何かあれば即座に反応することが大切である。少々不十分でも「兵は拙速を貴ぶ」である。(令和4.2.25)岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/14 11:08 注目トピックス 経済総合 北京五輪後の中国の狙い、習近平主席の更なる長期政権化への布石(元統合幕僚長の岩崎氏)(1)【実業之日本フォーラム】 昨年の3月、当時の米国太平洋軍司令官であったデービッドソン海軍大将が米国議会公聴会で、「中国の台湾侵攻」の可能性が6年以内に起こると衝撃的な発言をした。その後、デービッドソン司令官が退役し、新たに米太平洋軍司令官に着任されたアキリーノ海軍大将も同様に米国議会において、インド・太平洋情勢の中で、中国による台湾侵攻に触れ、(デービッドソン司令官が発言された6年よりも)より早い段階で起こる可能性があると指摘した。この様な発言もあり、特に、我が国と米国で、この問題が大きく取り上げられるようになった。昨年3月の日米外務・防衛相会談(所謂「2+2」会談)、及び4月16日、菅・バイデン日米両国首脳会談で議論され、会談直後の共同声明に「台湾海峡の平和的解決」が盛り込まれた。公の文章に「台湾」の文字が出てきたのは52年ぶりであった。その後、6月に行われたコーンウォール(英国)でのG7サミットでもこの台湾海峡問題が議論された。これに反応したかの様に、英国、フランス、ドイツが続けざまに、アジア・太平洋地域に海軍の艦船を派遣し、南シナ海・東シナ海及び西太平洋での警戒監視をしつつ航行し、我が国周辺では、海上自衛隊と個別の訓練や米国、オーストラリア、インド等を入れた訓練・演習等を行った。世界がこの地域の安定に関心を持ち始め、台湾海峡問題が、この地域だけではなく、世界的問題であるとの認識が広がりつつある。日米の安全保障関係者の中には、北京オリンピック・パラリンピック後に習近平主席が台湾に何かを仕掛けるのではないかとの見方をしている人達が多い。この様な事態が懸念される中、本年1月以降、ロシア軍がウクライナ国境周辺及びベラルーシ国内に展開し、大規模な軍事演習・合同演習を開始した。米国や欧州各国がプーチン大統領にウクライナへの侵攻を阻止すべく外交交渉したものの、プーチン大統領はロシア軍に対し、2月24日、ウクライナ攻撃を命じた。戦闘が開始されたのである。一部では、この様な欧州戦線に呼応し、台湾でも何かが起こるのではという憶測もある。今後、台湾海峡の情勢はどのように推移し、どの様に展開するのであろうか。ご承知のとおり、この秋には、習近平の第三期目がスタートすることはほぼ確実である。習近平の第三期目は、この秋の全人代から始まり、5年間、政権に就くのである。そして、彼の四期目は、2027年以降に開始される。前述の2名の米国太平洋司令官も、この時期を意識した発言である。今後の中国に何が起こるのかを考える上で、先ず理解しておくべきことがある。1.中国とは私は、長年中国と向き合い、中国の今後の動向(将来予測)を考える場合、以下の事を理解した上で考えるべきと考えている。(1)中華思想第一に「中華思想」を理解しておくことが必要である。これは「中国(中華)人民が世界の中で最も優れており、中華とは世界の中心との意味であり、世界の中心は中国である」との考え方である。そして、「中国文化・思想・価値観は神聖であり最高のもの」と考え、それが発展する形で「そもそも、この地球は中国皇帝のもの」という事になる。しかし、現在、中国(皇帝)の力はまだ限定的であり、限られた地域(現在の中国)のみを統治しており、外周は夷族・蛮族(バーバリアン)が占拠している、と考えている。今後、中国(皇帝)の力が大きくなれば、これらの地域からバーバリアンを追い出し、取り戻す必要がある、となる。この点で、私は、1960年代末に東シナ海の海底の資源調査が国連に報告されたことを思い出す。この報告書の中に、当海域には石油を含む海底資源が豊富との内容が含まれていた。この後に、中国が突如「尖閣諸島は中国のもの」と言い始めた。偶然なのだろうか。そして、2012年、我が国が尖閣諸島を国有化したあたりから、「尖閣のみでなく石垣島・宮古島、沖縄は、もともとは中国領だった。」との主張をするようになった。南シナ海の九段線然りである。我が国は、尖閣諸島周辺や沖縄近海への中国海警局の公船派遣に対して我が国の海上保安庁を中心に警戒監視を厳にし、対応したこともあり、この周辺での睨み合いが継続されているが、南シナ海では各国の警戒監視や対応が十分でなく、2014年から2015年にかけて岩礁やリーフが埋め立てられて人工の島が作られ、滑走路となり、対空警戒網(レーダーやミサイル部隊)が整備され、中国が行政区を発令し、現在に至っている。今回、プーチン大統領が、ウクライナ国内のロシア系住民の多い2つの地区を、独立国として求めた。中国の南シナ海のケースに酷似している。(2)孫子の兵法(伐謀)「孫子」は、紀元前500年頃の中国春秋時代の軍事思想家「孫武」の記した兵法書であり、武経七書のひとつである。その内容は、戦いの本質を突いており、未だに衰えることのない軍事理論である。これ以前、戦いは「天運」に任せるとの考え方が強かったが、孫武は、戦いの勝敗は、「天運」よりも、寧ろ「人為」にあると考えていた。素晴らしい発見である。この孫子の中に有名な言葉である、「戦わずして勝つことが最善」である。「百戦百勝は善の善に非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(謀攻篇)である。また、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」(謀攻篇)も真理であり、「上兵は某を伐つ。その次は交を伐つ。そして次は兵を伐つ」が兵を用いる場合の優先順であると記されている。そして、「兵は拙速なるを聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり」とし、兵を運用する場合は、必ずしも時間をかけて完璧を期するのはなく、戦いにおいては速度が重要であると説いている。(3)心理戦・世論戦・法律戦この三戦も中国の常套手段である。先ずは、「心理戦」で相手方を混乱させ、「世論戦」で我が人民の結束を図り、相手方を迷わす。中国に都合のいい方向に導くやり方である。その際、必要があれば、「法律」を持ち出すのである。(4)習近平主席の野望—長期政権への布石我々は、相手方の目的(短期~中期~長期)を推測し、相手方の次なる一手、二手を読む必要がある。習近平の野望は何なのだろうか。彼のこれまでの国家主席としての2期10年間の航跡を辿れば、彼の夢・野望の一端が見えてくる。中国は、毛沢東の功罪から、毛沢東が政権から去ったあとから、徐々に個人崇拝を禁じてきた。それが、習近平の2期目に復活しているのである。中国では、昨年夏以降、小学校から高校まで「習近平思想」の教育を開始している。内容は、習近平が掲げる「中華民族の偉大なる復興」を始めとして、「台湾統一は全中華民族の共通の願い」とか、「中国の偉大なる復興の為には、強い軍隊が必要」、そして「習近平は中国共産党の核心」等である。そして、最近では、中国教育相が、全国の小中校に「習近平法治思想」を宣伝する副校長を置く新規則を発表している。この様な個人崇拝は何故、必要なのか。それは、習近平政権の長期化を狙う以外に考えられない。私は、習近平主席の最終目的は、毛沢東やトウ小平を越えることであり、前述の様な中国皇帝的な存在を目指しているのではと考えている。その布石を一つ一つ重ねているのである。しかし、彼の政権が盤石かと言えば、全くそうは思えない。寧ろ私は、薄氷の上に立っていると考えている。古今東西の独裁者が抱える問題は、独裁者の周辺には常にその立場に立ちたい人たちがいるという事実である。習近平主席も同じであろう。彼が、2期10年で政権を降りないということは、中国共産党の次級者が主席の席に座れないことを意味する。座りたがっている人はいないのだろうか。沢山とまでは言わないが、居ることは間違いないだろう。彼は、いつでも狙われているのである。この為、3期、4期と政権に居座る為には、彼の椅子を狙っている人達や中国人民を説得できる「功績」が必要なのだ。「北京五輪後の中国の狙い、習近平主席の更なる長期政権化への布石(元統合幕僚長の岩崎氏)(2)【実業之日本フォーラム】」に続く。岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/14 11:06 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は1.14%安でスタート、米国が対中圧力を強める 14日の上海総合指数は売り先行。前日比1.14%安の3271.89ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.74%安の3285.28ptで推移している。米国が対中圧力を強めていることが引き続き警戒されている。また、ウクライナ問題の不透明感や世界経済の混乱もリスク回避の売りを高めている。一方、景気対策への期待感が引き続き指数をサポートしている。 <AN> 2022/03/14 10:55 注目トピックス 経済総合 三井不動産を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(14日10:03時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日揮ホールディングス<1963>コール33回 4月 1,100円を順張り、日本郵船<9101>コール152回 4月 11,300円を順張り、東レ<3402>コール183回 4月 750円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均プット1847回 5月 21,500円、キャタピラーコール93回 4月 210米ドル、商船三井<9104>コール131回 4月 11,200円、日本郵船コール152回 4月 11,300円などが見られる。上昇率上位は三井不動産<8801>コール169回 4月 2,700円(+20.0%)、オラクルコール45回 4月 90米ドル(+19.6%)、オラクルコール44回 4月 80米ドル(+18.6%)、三井不動産コール170回 4月 3,050円(+18.2%)、オラクルコール46回 4月 100米ドル(+17.8%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/14 10:27 注目トピックス 経済総合 ウクライナの教訓、習近平主席は何を学び取っているか(元統合幕僚長の岩崎氏)【実業之日本フォーラム】 ロシアは今年2月24日、突如ウクライナに対し航空攻撃を行い、すぐさま地上軍をウクライナ国内へ入れた。プーチン大統領が何を望んでいるのか定かでないものの、一般的に推測されているのは、「ウクライナの現在のゼリンスキー大統領を倒し、傀儡政権を立てる」ことの様である。思い起こせば、2014年3月18、プーチン大統領は、平和裏に「クリミア併合」を行った。平和裏にとは、クリミア自治共和国が自らの住民投票でロシアへの帰属を決め、ロシア、クリミア、セバストポリ特別区が署名したのである。弾は一発も発射されていない。欧米や我が国は、この併合を有効とは認めていない。がしかし、国際法違反かと問われれば、明確な違反とまでは言い難い面がある。今回のロシア軍のウクライナ侵攻は、当に「力による現状変更」であり、明らかに国際法違反である。米国やNATOは今年早々から、ロシア軍の行動によって侵攻の可能性を公表し、プーチン大統領に対して警告を何度となく発していた。この警告を無視するかのように、プーチン大統領は、軍に命令を下し、ウクライナを攻撃し始めた。これに対し、米国を始めとする各国は、ロシアに対する制裁を即時に開始した。特に今回大きな経済制裁は、SWIFTの発令である。SWIFTとは、国際銀行間通信協会の事である。これは、所謂、国際間の金融の送金・決済のシステムである。ロシアの銀行の一部をこの枠組みから外したのである。外された銀行は国際的な取引が出来なくなる。即ち、商売が出来なくなるのである。この中には、ロシアの最大の銀行であるズベルバンクとガスプロムバンクは入っていない。しかし、ウクライナでの戦争が長引けば、排除される銀行枠が広げられると考えられる。ロシアにとっては重大な経済危機である。ただし、プーチン大統領は尋常な指導者でない。彼の判断基準は我々の基準とは遥かにかけ離れている。予測不可能である。この様な国際社会の制裁をものともせず、彼は、目的が達成されるまで諦めることはないであろう。さて、今回は、この様な状況の中、中国の習近平主席は、何を考えているのだろうかということを考えてみたい。習近平主席は、ロシアがクリミア半島を無血で勝ち取ったことを冷静に見ていた。この併合に対し、欧米や我が国は、ロシアに対する経済制裁を行ったものの、左程厳しい制裁ではなく、米国やNATOは軍事的な介入をしなかった。この後、中国は、南シナ海での埋め立てを開始した。米国が動くことがないと考えたからである。さらに、彼は、独自に米国の動向を探った。埋め立ての前、クリミア併合直後の2014年4月、ベトナム沖に100隻を越える海警局(各国の沿岸警備隊相当)等の船舶を送り、石油の試掘を行った。ベトナムの沿岸警備隊等は接近すらできなかった。案の定、米国は、ほぼ反応しなかった。これを確認後、南シナ海での埋め立てを本格化したのである。翌年、5月末のシンガポールでのシャングリラ会議(アジア安全保障会議)で米国が中国に対して強い警告を行なった。その直後、中国の埋め立てが止まった(計画通りに進捗し、所要の埋め立てが終わったからかもしれない)。今回も、習近平主席は、米国の態度を注意深く見ている事であろう。米国や欧州、我が国は、ロシアの侵攻に対し機敏に対応し、経済制裁を発動した。前述のSWIFTから特定国の銀行を外すのという処置は、短期的な効果は望めないものの、中長期的にはこの効果が大きくなり、ボディー・ブローのように効いてくるだろう(プーチン大統領は中国マネーを使って抜け穴を探るかもしれないが)。では、仮に、中国が、何かの愚挙に出て、この様な処置を受けた場合にはどうなるであろうか。例えば、「台湾海峡問題」である。中国が、台湾に対して何らかの動きをすれば、ロシアと同じような制裁が発動される可能性がある。中国は、経済規模が大きいので、ロシア経由の迂回はし難い。中国の受ける被害額は甚大になるであろう。以前にも記述した様に、習近平政権は必ずしも盤石ではない。経済が低迷すれば、国民の不平・不満を抑え込むことが出来なくなる。習政権は終わりを迎えることになる。一方、このような制裁は中国の被害額も巨大であるが、中国と貿易をしている国も莫大な被害を受ける可能性が大である。これを覚悟して制裁を発令できるか否かである。現状を鑑みるに、ロシアからの石油や天然ガスの輸入制限には、特に欧州各国は慎重だ。自国の経済やエネルギーを考えれば、簡単には決心できないのである。中国との貿易は各国とも巨大なるが故に決心でき難いことも考えられる。ただし、今回の経済制裁は、習近平主席に対してかなりの警告になったと考えられる。ウクライナ情勢は混沌としており、予断を許せない状況であるが、中国はSWIFTからの自国銀行の排除が発令されるような事態にならないように、台湾事態等を考えていくことになるであろう。2020年10月には、2014年のベトナム沖の石油試掘と同じようなことが起こった。馬祖諸島の南竿島周辺水域に100隻を越える海警局等の船舶が結集し、海砂を採取したのである。数日で、南竿島のビーチが消滅するほどであったとの報道がなされた。私は、中国が海砂を欲しかったとは思っていない。習近平主席は、米国の動きを探ったと考えている。当時、米国は大変忙しかった。大統領選である。米国は、何の反応もしなかった。今年の秋には、米国で中間選挙が計画されている。大変忙しい時期を迎える。また、3年後の2024年11月は、米国大統領選挙である。米国は、国内分断問題もあり、更に忙しいくなっていくであろう。一方の習近平主席は、第4期(2027-2032年)も継続して政権に居座ろうと考えれば、遅くとも2025年秋の全人代までには、中国共産党幹部や国民を説得するために、何らかの功績(手柄)が必要である。習近平主席は、ロシアのウクライナ侵攻からいろいろな教訓を学び取り、かつ、米国の顔色を窺いながら着々と目標に向かって走るであろう。今回のウクライナ事案で、ドイツのショルツ首相は、素晴らしい決断を行った。今回の事案を受けて、ドイツは、これまでの安全保障政策を大きく転換し、国防費のGDP比2%を目指すことを明言した。今回のショルツ政権は、メルケル政権後を受けて出発したものの、連合政権であり、極めて緩やかな連携であり、必ずしも強い政権でないと考えられていた。しかし、その首相が一大決心をした。ドイツは、国民が一丸となりつつあり、ショルツ政権も団結し始めた。ショルツ首相の英断である。一方で、今回のウクライナ侵攻を受けた対応で、不安なこともある。それは、米国やNATOがいち早く「ウクライナへの軍事的不介入」を宣言したことである。これまで欧米は一体となり、「力による現状変更」には敢然と立ち向かうとしていたが、今回は、経済制裁や武器支援等はするものの、直接的な軍事介入はしない事とした。不介入の理由は、「ウクライナは同盟国でもなく、防衛義務がない」と説明した。米国の同盟国は、トランプ政権時の同盟国対応に不安感や不信感を持っていた。バイデン大統領は、「米国は同盟関係に復帰する」と宣言をして、大統領に就任したものの、昨年のアフガンからの撤退作戦では、同盟国と情報共有もせず、未だにその不安感を払拭できていない。そして、今回の判断である。同盟国でさえ不安が増したかもしれない米国の発言及び行動である。ましてや同盟国でもない国は更に不安感を抱いたのではないだろうか。そして、台湾はどうなるのであろうとの疑問が湧く。「いやいや、台湾は別だよ」と言えるのだろうか。我が国は、「台湾有事は、我が国の有事である」との意識・認識を持って台湾問題に取り組むべきである。しかし、意識だけでは十分でない。今年2月、米国のマレン元統合参謀本部議長等が米国の代表として台湾を訪問した。米国は、「One China政策」を保持しつつ、「台湾関係法」に基づき、着々と米台関係の深化させている。我が国も行動を起こすべき時期にさしかかっている。我が国は、年末に向かって「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」の見直しを鋭意検討中である。「台湾有事」にも対応できる「戦略」、「大綱」、「装備・体制」が必要である。あらゆる垣根を排除し、国中で広く議論し、我が国の将来の為に前進しよう。(令和4.3.10)岩崎茂(いわさき・しげる)1953年、岩手県生まれ。防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊。2010年に第31代航空幕僚長就任。2012年に第4代統合幕僚長に就任。2014年に退官後、ANAホールディングスの顧問(現職)に。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/14 10:25 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】ウクライナ戦争、FOMC、BOE、BOJ、米PPIや小売売上高など 今週もウクライナ戦争の行方を睨む展開となる。ロシア軍はウクライナ首都キエフに向けて一段と進行している。並行して停戦協議を続けているものの、プーチン大統領に外交的解決に前向きな姿勢は全く見られない。米国や英国はロシアが科学兵器を使用する可能性を警告しており、市場は最悪のシナリオを織り込んでおらず、警戒感が残る。欧州経済への影響が比較的大きいと見られ、引き続きユーロ売り圧力になる。一方で、英米日の中銀はロシアがウクライナ侵攻後、初めてとなる金融政策決定会合を開催する予定で。注目が集まる。米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。英中銀、日銀も金融政策決定会合を予定している。FOMCを控え発表された最新2月の米国消費者物価指数(CPI)は40年ぶりの大幅な伸びを記録。3月はロシアのウクライナ侵攻を受けて、石油を始め燃料価格が急騰しており、インフレ率が今後、さらに上昇する可能性がある。ウクライナ戦争による影響には多大な不透明感があるとしながらも、インフレ高進への対応でFRBのパウエル議長はすでに、3月会合で25ベーシスポイントの利上げを提案、または、支持する方針を議会証言ですでに明らかにしている。利上げが実施されれば、2018年来で初めて。議長は利上げサイクルの開始を示唆しており、ドル買いが継続か。パウエル議長は50ベーシスポイントの利上げも除外しなかったものの、市場は今回の会合では25ベーシスポイントの利上げを織り込み済み。声明、議長会見やメンバーの予測で、利上げペースやバランスシート縮小のタイミングやペースを見極めていく。米国ではスタグフレーション懸念も強まる中、2月生産者物価指数(PPI)や小売売上高も発表予定で結果に注目が集まる。英国中銀は今回の会合で政策金利を0.5%から25ベーシス引き上げ0.75%に設定する見通し。短期金融市場では英国中銀が6月までに100ベーシスポイント超の利上げを実施すると見ている。つまり、2回の25ベーシスポイントの利上げと、1回の50ベーシスポイントの利上げを織り込みつつあり、ポンド買いに繋がる。一方、日銀は大規模緩和を維持する見通し。他国中銀との政策の乖離で、円売りが継続する可能性が強い。また、市場は中国政府が5.5%の成長見通しを掲げたのち、人民銀行の政策に注目。緩和策の発表の可能性に注目している。■今週の主な注目イベント●米国15日:2月生産者物価指数(PPI)、3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、1月対米証券投資16日:連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表、パウエル議長会見、メンバー予測公表、2月小売売上高、2月輸入物価指数、1月企業在庫17日:2月住宅着工件数・建設許可件数、3月フィラデルフィア連銀景況、週次新規失業保険申請件数、2月鉱工業生産・設備稼働率18日2月中古住宅販売件数、バーキン・リッチモンド連銀総裁が講演●欧州15日:仏CPI、独ZEW期待17日:ユーロ圏CPI、ラガルドECB総裁、ECB理事のショナベル氏、ビスコ氏、レーン氏が会合参加●中国15日:鉱工業生産●英国15日:失業率17日:英中銀金融政策決定会合●日本18日:日銀金融政策決定会合 <FA> 2022/03/14 07:33 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:米FOMC会合で0.25ポイントの利上げ決定の公算 3月14日-18日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■15日(火)午前11時発表予定○(中)2月小売売上高-予想は年初来前年比+3.0%ゼロコロナ政策に伴う厳しい活動制限が一部の地域で実施されたこと、消費者が感染を警戒し外出機会がやや減少したとみられていることから、個人消費は弱含みとなっている。春節の大型連休や北京冬季五輪の開催期間もこの状況は特に変わっていないことから、小売売上高は低い伸びにとどまる見込み。■16日(水)午前8時50分発表予定○(日)2月貿易収支-予想は-210億円参考となる2月上中旬分の貿易収支は-3961億円で赤字幅は前年同期比+52.3%と大幅に増加。2021年2月の貿易収支は最終的に2117億円程度の黒字となったが、今年2月については、原油価格の上昇などの要因で貿易赤字となる可能性が高いとみられる。■16日(水)日本時間17日午前3時結果判明○(米)連邦公開市場委員会(FOMC)-予想は0.25ポイントの利上げ米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は3月2日の米議会証言で、「3月15−16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げに踏み切ることが適切だ」と表明している。ただ、ロシアのウクライナ侵攻や進行中の戦争、今後の事態の推移が米経済にもたらす短期的な影響はきわめて見通しにくいことから、FRBは金融引き締めを急速に進める意図はないことを明確に伝える可能性がある。■18日(金)政策決定会合の終了予定時刻は未定○(日)日本銀行金融政策決定会合-予想は金融政策の現状維持市場参加者の間では、ウクライナ情勢の緊迫化は原油価格などのコスト上昇を通じた景気の下押し要因となり、日本銀行による現行の金融緩和策の継続要因になるとの見方が増えている。エネルギー価格の上昇や供給制約状態の長期化は物価見通しの引き上げにつながるものの、景気減速が予想されることから、日本銀行は今回の会合でも金融政策の現状維持を賛成多数で決定する見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・14日(月):(欧)1月ユーロ圏鉱工業生産・15日(火):(中)2月鉱工業生産、(米)2月生産者物価指数・16日(水):(米)2月小売売上高・17日(木):(英)英中央銀行政策金利発表、(米)2月住宅着工件数、(米)2月鉱工業生産・18日(金):2月全国消費者物価コア指数、(米)2月中古住宅販売件数 <FA> 2022/03/12 14:35 注目トピックス 経済総合 円安強まるか? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の円について『円安強まるか?』と述べています。続けて、『10日の東京外国為替市場のドル円相場は、日経平均株価の急伸などを背景に、116円台前半に上昇した』と解説、『ロシアとウクライナは10日トルコで外相会談を行う。停戦合意に対する期待感が先行し、日経平均株価が1000円近く上昇し、リスク回避姿勢が大きく後退したようだ』と言及しています。次に、『ドル円日足を見ると、下値を切り上げている一方、今まで116円30銭レベルで上値抵抗を受けている。3度目の正直で116円30銭台のレジスタンスをブレイクできるかどうか注目される』と述べています。そして、『仮にブレイクした場合、テクニカル的には上値抵抗線からサポートラインまでの下げ幅を倍返しする展開が想定される。その場合、118~119円の上値目標値が算定されよう。上昇する材料としては、停戦合意、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ等が考えられる』と考察しています。陳さんは、『来週16日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、実質ゼロ金利の解除が決定される。利上げ幅が0.5%であればサプライズとなろう』と述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月10日付「円安強まるか?」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2022/03/11 18:13 注目トピックス 経済総合 日揮ホールディングスを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(11日10:01時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日揮ホールディングス<1963>コール34回 4月 1,250円を順張りで買う動きなどが見られる。上昇率上位は日揮ホールディングスコール35回 4月 1,400円(+99.2%)、日揮ホールディングスコール34回 4月 1,250円(+80.8%)、日揮ホールディングスコール33回 4月 1,100円(+54.5%)、ENEOSホールディングス<5020>コール110回 4月 525円(+36.7%)、ヤマトホールディングス<9064>コール119回 4月 3,100円(+33.3%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/11 10:35 注目トピックス 経済総合 ウクライナ侵攻長期化は想定外だった?…「利益最大化を目指す」習近平が取りうる「最適な選択」【実業之日本フォーラム】 ■注目集まる「中国の動向」2月24日に始まったロシアの軍事侵略を受け、中国の動向へ注目が集まっている。欧米からは強い経済制裁を求める声が高まり、EUは国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済ネットワークからロシアを排除することを決定した。これに対し中国は「ロシアを批判しない」姿勢を維持しているだけでなく、2月4日の中ロ首脳会談で合意したロシア産天然ガスや小麦の輸入拡大を実施する方針である。また中国人民銀行が2015年に導入した人民元による決済システム(CIPS)をロシアの銀行が利用する可能性も指摘されており、中国の対応次第では対ロ経済制裁を相殺することになりかねない。習近平政権は、どのようにロシアのウクライナ侵攻を理解しているのか。本稿では中国政府の公式発表を手掛かりに習近平政権の狙いを考察する。まず中国がロシアを支持するメリットを考えるに先立って、習近平政権の政治運営が「頂層設計」と呼ばれるトップダウン型に再構成され、戦略的思考を重視する傾向を強めていることを指摘しておきたい。この傾向はしばしば非合理的に見える政策として表面化する。例えば昨今の経済政策である。新型コロナ感染の影響で経済減速が見込まれるなか、政府がIT大手や教育産業などの民間企業への規制を強化したことは、結果的に更なる減速圧力となったと批判されている。この一連の規制は習近平国家主席が提唱する「共同富裕」の掛け声のもとでの格差是正や社会コントロール強化を目的としており、いわば習近平ビジョンに則った「上からの」政策であった。こうした「上からの」政策決定が、ウクライナ問題での極端な戦略的思考にも反映されていると考えられる。では習近平国家主席はどのような戦略的メリットを見出しているのか。ロシアが軍事行動を起こした翌25日午後に、習近平はプーチン大統領との電話会談を行い、ウクライナ問題について次のように述べた。中国はウクライナ問題に対して、自分の判断で中国の曲げられない立場を決めている。冷戦思考を放棄し、各国の合理的な安全保障上の懸念を重視、尊重し、交渉を通じてバランスのとれた、効果的で持続可能な欧州の安全保障メカニズムを形成する必要がある。中国はロシア側とウクライナ側が交渉によって問題を解決することを支持する。各国の主権と領土保全を尊重し、国連憲章の目的と原則を遵守するという中国の基本的な立場は一貫している。ここにも見られるように、中国のキーワードは「合理的な安全保障上の懸念」と「主権と領土保全の尊重」である。だが——これは日本の少なからぬメディアが誤解しているポイントだが——この習発言はウクライナの主権と領土を擁護することを意味しない。むしろ中国側は一貫して「誰の主権と領土か」が不明瞭な文言を用いており、このフレーズが外交部記者会見でも繰り返し用いられていることに鑑みれば、意図的に主語をあいまいにしている可能性が高い。では、もし中ロ首脳会談でこの文言が用いられたならば、プーチン大統領はどのように受け止めただろうか。プーチンの論理に従えば、NATOが拡大していることこそ安全保障上の懸念である。さらに2月21日に独立国家として承認したウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の「主権」を支持したとも解釈できる。つまり習近平は交渉による平和的な解決を求めたものの、必ずしもロシアの軍事侵攻にクギを差したわけではなかったのだろう。■中国の「主権と領土保全の尊重」には「主語がない」この「主語のない主権と領土保全」の表現は3月2日、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案が賛成141、反対5、棄権35で採択された国連総会緊急特別会合でも用いられた。棄権票を投じた中国の張軍国連大使は「ウクライナ情勢は現在も急速に変化しており、その展開に心を痛めている」としつつ、「ウクライナ問題に対する中国の基本的な立場は一貫しており、明確である。 私たちは常に、各国の主権と領土保全を尊重し、国際連合憲章の目的および原則に従って国際紛争を平和的に解決することを提唱している」と発言した。また「冷戦思考を放棄し、他国の安全を損害することで自国の安全を維持する論理を放棄し、軍事ブロック(軍事集団)の拡張によって地域の安全保障を求めるやり方を放棄し、各国の合理的な安全保障への懸念を重視、尊重する」ことが問題解決に必要で、制裁を課すことは「分裂的な対立を生み出す」と述べていた。これはロシアよりも欧米(NATO)に対する批判であり、明らかにプーチンの論理に寄り添う認識である。以上の発信から看取される中国側がロシアを支持するうえで重視している論点は、(1)安全保障ブロック形成と拡大への反対、(2)主権と領土保全の尊重、の2点である。まず(1)について、日米豪印の戦略的協力(QUAD)の拡大や米英豪によるAUKUS形成に鑑みれば、この主張がインド太平洋における中国の立場擁護に直結することは容易に理解できる。特に対米競争を有利に進めるためには、ロシアと共同歩調を採ることでアメリカの外交・軍事力を分散することが望ましい。客観的に見ればロシアの軍事侵攻は国際法違反であり、国際社会だけでなく中国国内からも反対の声が挙がるなか 、ロシアを支持することへの何らかの説明をするために、「冷戦思考(の西側)」という別の「敵役」に批判の矛先を向けたと言える。なお従来から中国では、ウクライナのオレンジ革命(2004年)を含む一連の「カラー革命」をいわゆる「和平演変(平和的手段で影響力を及ぼして政権を転覆すること)」と見なして強く警戒しており、近年の香港の民主化要求運動を「カラー革命」の一環と位置付けて弾圧したこととも無関係ではないだろう。カザフスタンで発生した暴動について、 1月に集団安全保障条約機構(CSTO)の緊急首脳会議でプーチンも「『カラー革命』を容認しない」と発言しており、欧米の価値観が引き起こす体制崩壊を警戒する点においても中ロの利害は一致している。さらに、より複合的な背景を有するのが(2)である。「主権と領土保全」原則は基本的には、中国がロシアを支持する事への国内外の批判回避と、国内への説明を兼ねた大義名分として提起したと考えられる。だが実際には「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の承認はこの原則に真っ向から反するうえ 、中国国内の少数民族による独立運動を容認する論理ともなり得る。翻って台湾問題に引き付けた場合、もし欧米が「ウクライナの国家主権の侵害」を主要因としてウクライナ支援に回るのであれば、「台湾には主権は認められない。中国の不可分の領土である」と主張することでウクライナと台湾を差別化し、欧米の支援をけん制できる 。要するにロシアの行為を非難せず、かつ台湾問題への波及を考慮した結果、敢えて主語を曖昧にした「主権と領土保全の尊重」を繰り返しているのである。■「台湾の主権」をどう解釈する?実はこの点は、関係各国に「台湾の主権」をどう解釈するかという宿題を提起することになるだろう。もし仮に中国が台湾を侵攻したとしても、現状では、台湾を主権国家として承認していない多くの国家は「主権の侵害」と位置付けない可能性が高い。他方で台湾の蔡英文政権は、中国を不要に刺激しないように「独立」という表現は避けつつも、事実上の主権国家としての立場を固める方針である。2021年7月の共産党創立100周年の習近平講話に対し、台湾の大陸委員会(対中国政策を担う中華民国の組織)は、「国家主権と台湾の民主主義や自由を守り抜き、台湾海峡の平和と安定を維持するというわが国の政府の決意に変わりはない」と表明した。蔡英文政権は引き続き「主権国家化」を進めるであろうし、それに習近平政権がより過敏に反応するようになれば、台湾海峡の緊張が一層高まることが見込まれる。一方、中国外交部はウクライナの主権を軽視してはいないというメッセージも発信している。まず2月19日にドイツで開催された第58回ミュンヘン安全保障会議に出席した王毅国務委員兼外相は、「(中国は一貫して主権と領土保全を尊重していることについて)ウクライナに対しても例外ではない。この問題で中国の態度に疑問を呈する者がいるとすれば、それは下心のある憶測であり、中国の立場を歪曲したものである」と述べていた。しかし管見の限りこうした見解は24日のロシアの軍事侵攻後には発信されておらず、既述の方針から外れてもいることから、王毅が外交官としての見解を述べたものと推量される。外交部の汪文斌報道官は2月25日の記者会見で「ウクライナは主権国家だ」と明言したうえ、28日には中国とウクライナの経済貿易関係に関する質問に対して「中国は相互尊重と不干渉の原則に基づき、ウクライナと友好協力関係を発展させていくつもりだ」と述べた 。また3月1日のウクライナ外相との会談で王毅が「ウクライナにいる中国人の安全確保に重点を置き、ウクライナ側に相応の国際責任を果たすよう促した」ことは、ロシア侵攻が想定以上に長引き熾烈な市街戦に展開した結果、在留中国人の保護の必要性からも、ウクライナとの関係を維持する姿勢を明確に示したと考えられる。中国にロシアへの仲介を求める国際社会の声も高まっており、中国が人道的見地からウクライナ問題に建設的に関与する可能性がない訳ではない。だが習近平政権は、ロシアが引き起こした混乱が長引くメリットとデメリットを天秤にかけ、注意深く情勢を検討して自らの戦略的利益を最大化することを目指している。2022年秋に予定される共産党第20回党大会に向けて有利な立場を固めるべく、内政への影響も念頭に置いているだろう。流動的な情勢のなかで習近平政権が何を選択するか、国際社会はしっかりと本質を見定める必要がある。江藤名保子学習院大学法学部教授。専門は現代中国政治、日中関係、東アジア国際政治。スタンフォード大学国際政治研究科修士課程および慶應義塾大学法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター副主任研究員、シンガポール国立大学東アジア研究所客員研究員、北京大学国際関係学院客員研究員などを経て現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2022/03/11 09:00 注目トピックス 経済総合 NYの視点:ウクライナ戦争前の米インフレ、40年ぶり最大の伸び、今後一段と上昇も 連邦準備制度理事会(FRB)は来週、15日、16日に連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を予定している。FOMC前最後に発表された重要インフレ指標である米2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.8%と、予想通り1月+0.6%から伸びが拡大。昨年10月来で最大となった。前年比では+7.9%と、やはり伸びが1月+7.5%から拡大し、1981年以降41年ぶり最大を記録した。主に食用やガソリン価格が押し上げた。FRBが特にインフレ指標として注目している変動の激しい燃料や食料を除いたコア指数は前月比+0.5%と、伸びは1月+0.6%から鈍化したものの前年比では6.4%と、1月+6.0%から伸びが拡大し、予想通り1982年以降40年ぶり最大を記録した。3月にロシアがウクライナ侵攻したのち、エネルギー価格が急騰したことを考えると、3月以降のインフレが一段と上昇する可能性が強い。FRBの利上げを正当化する結果となったが、3月FOMCでの利上げ幅は25ベーシスポイント予想が依然主流。ただ、金利市場は年内の利上げで、再び7回織り込みつつあり、ドル買いを支援する。 <FA> 2022/03/11 07:38 注目トピックス 経済総合 ロシア、中国、北朝鮮…「核保有国に囲まれる日本」が「核の議論すらしない」のは、こんなにも危険なことだった! ● 「核兵器への認識」日本と世界で大きな違い2022年2月27日、プーチン大統領は、西側諸国がロシアに非友好的な行動をとったとして、戦略的抑止部隊に「特別警戒」を命令したことを明らかにした。「特別警戒」は最も高い警戒レベルであり、核使用の可能性が高まることから、NATOのストルテンベルク事務総長は「危険」で「無責任」であると批判している。広島、長崎という被爆経験を持つ日本は、核兵器に対する忌諱(きい)感が強い。核兵器の恐ろしさは、使われた際の破壊力だけではなく、放射能の影響が長く続くことにある。核兵器が「使ってはならない兵器」であることについては国際的コンセンサスがあるのは間違いないが、これは「使えない兵器」と同じではない。核兵器に対する忌諱感は国によって大きな差がある。特に、ロシアの核使用については、曖昧さがつきまとう。2022年3月1日、米議会調査局は「ロシアの核兵器:教義、兵力及び近代化」という報告書を公表している。ウクライナ情勢に鑑み、ロシアの核兵器に対する考え方を共有することを目的としたものである。同報告書によれば、冷戦時代、ソ連は「核の先制使用」を否定していたが、冷戦後は「先制使用」を否定しておらず、幾度か改訂した教義(ドクトリン)の中で、核兵器に依存することを示唆する表現があり、地域紛争中に使用すると脅す、「エスカレート抑止のためのエスカレート(escalate to de-escalate)」戦略をとる可能性があると分析している。そして、2020年6月に公表されたロシアの「核抑止に関するロシア連邦国家政策の基本原則」には、「核兵器は抑止の手段としてのみ考慮」するとし、核兵器を使用する条件として(1)ロシア及び同盟国(以下ロシア等)に対し、核弾道ミサイルが発射される有力な情報を得た場合、(2)ロシア等に対する核を含む大量破壊兵器による攻撃への対応、(3)ロシアの核抑止能力を低下させるロシア政府、軍事施設への攻撃への対応、(4)ロシア等の存在を危機的状況に陥らせる攻撃への対応、の4条件を示している。(3)及び(4)は相手の攻撃が核攻撃であるかどうかは言及されていない。また、それぞれの条件に当てはまるかどうかを判断するのはロシア自身であり、いくらでも恣意的な解釈ができる条件と言える。● ロシア、「限定核使用」の可能性はある最新のアメリカの核戦略は、2018年にトランプ政権で制定された「Nuclear Posture Review(NPR)」に示されている。アメリカのNPRには「戦術核」という言葉は使われておらず、「非戦略核」という言葉が使われている。「核」の射程や威力による違いではなく、使われ方による違いで区別している。トランプのNPRの特徴は、「非戦略核による抑止能力強化」を方針としている点である。限定的な核の使用という脅しが米国や同盟国に対し優位性を得られるという潜在敵の自信を否定するためには、非戦略核を充実させる必要があるという考えかたである。明らかに、2014年のロシアによるクリミア併合時、ロシアが非戦略核を使用する可能性があったにも関わらず対応する手段がなかったことを教訓としている。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の弾頭を低出力に改修することや海上発射型巡航ミサイルへの核搭載、そしてF-16の代わりにF-35Aに核爆弾搭載能力を組み入れるといった施策がとられている。これらの施策は、ロシア核戦略対応への柔軟性を増すという評価の反面、核使用の閾値(しきいち)を下げるとの批判もある。バイデン政権は、国家安全保障戦略に引き続き、NPRを策定するとしており、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、非戦略核をどのように位置づけるかが注目される。ロシアが2020年に公表した「核抑止の基本原則」に照らしあわせた場合、NATOから核攻撃の脅威を受けているわけではなく、更にはロシアの核戦力を低下させるような攻撃も受けておらず、核使用の条件は満足していない。しかしながら、米国や英国が主導する経済制裁やウクライナに対する軍事支援を、国家の存在を危機的状況に陥らせる攻撃とプーチンが判断する可能性はゼロではない。ここで注目されるのが、前述したロシアの「escalate to de-escalate」戦略である。ロシア自身がこの戦略に言及したことはなく、あくまでも米国を中心とする西側諸国が、ロシアの限定核使用戦略と位置付けているものである。東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任教授は、同戦略を「進行中の紛争においてロシアが劣勢に陥った場合、敵に対して限定された規模の攻撃を行って戦闘の停止を強要する」、あるいは「進行中の紛争ないし勃発が予期される紛争に米国等の大国が関与してくることを阻止するために、同様の攻撃を行う事」と説明している。そして、「通常戦力に劣るロシアが限定的核使用を戦略として採用しているかどうかは定かではない」、とし、「核使用をチラつかせる「恐怖惹起」戦略をとり、実際の攻撃はエスカレーションの蓋然性の低い非核兵器を使うのではないか」と分析している。確かに、核兵器使用のハードルは高く、使用される可能性は極めて低いであろう。しかしながら、「限定核使用」の可能性を全く否定することもできない。● 核は「二度と使われない兵器」ではないウクライナ情勢に鑑み、我が国の防衛態勢を見直す中で避けて通れないのが、核の問題である。日本は、中国、ロシアという核大国及び自称核保有国の北朝鮮という、核に囲まれた環境下にある。「核による恫喝」は、常に考えておかなければならない課題と言える。核問題に関するウクライナ情勢の教訓は、1994年のブタペスト覚書で核兵器を放棄(ロシアに移転)したことが、ロシアのウクライナ侵攻を可能にしたという見方をどのように評価するかである。北朝鮮は「核保有こそ国家の安全を保障する」、という考えを一層強固にするであろう。「核に対しては核」という施策を取れない日本にとって重要なことは、日本に対する核使用のハードルを如何に高く保つかに尽きる。「核シェアリングについても国内で議論すべき」、と主張する安倍元総理に対し、岸田総理大臣は3月2日の参院予算会議で、「非核三原則を堅持していく立場から、原子力基本法を始めとする国内法を維持する観点から認めることはできない」、としている。この発言は、日本に対する核使用のハードルを上げることを含め核に関する一切の議論はしないと言っているに等しい。3月5日、元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏は、インタビューに答え、プーチン大統領の言葉を「第二次世界大戦後、人類が核兵器を手にして、初めて一番危ない綱渡りをしている」、と評価している。非核三原則は国是という言葉が使われている。まるで決して変えてはいけない原理原則であるかのように取り扱われている。これは、ある意味、思考停止と言えるであろう。多くの人間が思ってもみなかったロシアによるウクライナへの軍事侵攻という冷徹な現実の中で、少なくとも自らの安全保障に係る議論を「国是」という言葉で封殺すべきではない。そして、「非核三原則」の見直しという議論を行う事が、相手に我が国に核による恫喝を行った場合、核保有に向かうかもしれないとの疑心を生み、結果的に核使用のハードルを上げるという視点も忘れてはならない。核は決して「二度と使われない兵器」ではない。使われないような環境を作ることが為政者の責務であろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:Russian Presidential Press Service/AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/10 17:00 注目トピックス 経済総合 アマゾン・ドット・コムを対象とするコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(10日10:01時点のeワラント取引動向) 上昇率上位はアマゾン・ドット・コムコール182回 4月 3,700米ドル(前日比2倍)、AGC<5201>コール135回 4月 6,800円(前日比2倍)、AGCコール134回 4月 6,000円(+92.9%)、オリックス<8591>コール213回 4月 2,800円(+80.0%)、デンソー<6902>コール81回 4月 10,100円(+80.0%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/10 15:43 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米1月JOLT求人件数:過去最大、失業者数を大幅上回る、労働市場のひっ迫でFRBの利上げ正当化へ 米労働省が発表した1月JOLT求人件数は1126.3万件と、予想1095.0万件を上回り過去最高を記録した。12月分は1144.8万件と、1092.5万件から上方修正された。総失業者数627万人との差は499万と過去最大に拡大。雇用統計に続き労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となった。労働市場の自信をあらわすとして注目される退職率は2.8%と、12月の3.0%から低下し、10月来の低水準となった。採用率(Hiring rate)は4.3%と、12月に並んだ。1月解雇率(Layoffs/discharges rate)は0.9%と、12月0.8%から上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)は来週15日、16日に開催予定の連邦公開市場委員会(FOMC)で、インフレ高進への対処で、利上げに踏み切る見込み。最新2月の雇用統計や関連指標は労働市場のひっ迫を証明し、FRBの利上げを正当化。ウクライナ戦争により、50ベーシスポイントの引上げ予想は後退しつつあるが完全に払しょくしたわけではなく、FOMC前、最後に発表される2月消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。■雇用たるみダッシュボード◎金融危機前に比べ状態が改善        パンデミック: 金融危機前水準と比較1月求人率(Job openings rate):7.0%(12月7.1% )     4.4%, 3%1月退職率(Quits rate):2.8%(3.0%)            2.3%: 2.1%1月解雇率(Layoffs/discharges rate):0.9%(前月0.8%,前年1.1%)  1.2%2月雇用者数(Nonfirm payrolls):+67.8万人(12月+48.1万人) +25.1万人,+16.18万人1月採用率(Hiring rate):4.3%(12月4.3%)      3.8%2月失業率(Unemploynent rate):3.8%(1月4.0%)     3.5%, 5%2月広義の失業率(U-6):7.2%(1月7.1%)         7.0%, 8.8%◎金融危機前に比べ状態悪化2月労働参加率:62.3%(1月62.2%)               63.4%, 66.1%2月長期失業者数(15週以上):38.3k(1月38.4k)        19k <FA> 2022/03/10 07:50 注目トピックス 経済総合 トルコリラ円は、上値の重い展開が続きそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『上値の重い展開が続きそうだ』と述べています。続けて、『インフレ上昇が確認されたものの、昨年末に導入したリラ建て定期預金を外貨の値動きに合わせて保護する制度によりリラの下落は限定的』とし、『エルドアン大統領は、利上げ以外の手段で物価上昇を抑制する方針として食料品などの付加価値税(VAT)を従来の8%から1%に引き下げた』と解説しています。2月のトルコ消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で54.44%上昇しました。上昇率は2002年3月以来、19年11カ月ぶりの高水準となりました。1月の48.69%からさらに上昇しました。陳さんは、『エルドアン大統領はインフレ抑制に自信を見せるが、先行きは不透明。なお、トルコの観光業に関しては観光客数1位がロシア、3位がウクライナとなっており、今後のトルコ経済への悪影響は避けられない見込み』と言及しています。一方で、『ロシアとウクライナの仲介を行うとしてトルコのエルドアン大統領が注目されている。エルドアン大統領は6日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナで停戦を宣言して和平合意を結ぶよう促した。トルコはNATO(北大西洋条約機構)の一員でありながら、ロシアのミサイルシステムを導入するなどロシアとの軍事的経済的な結びつきが強い。欧米諸国の経済制裁には同調していない。トルコのエルドアン大統領はロシアへの国際制裁に参加するつもりがないと明言した』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについて、『7.00円~9.00円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月8日付「トルコリラ円今週の予想(3月7日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2022/03/09 17:35 注目トピックス 経済総合 三菱電機を対象とするコール型eワラントが2倍超えの大幅上昇(9日10:00時点のeワラント取引動向) 新規買いは、原資産の株価下落が目立つ三菱重工業<7011>プット160回 4月 3,050円を順張り、日本郵船<9101>コール152回 4月 11,300円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日本郵船コール152回 4月 11,300円、東京エレクトロン<8035>コール330回 4月 67,000円、三菱重工業コール179回 4月 3,500円、バンダイナムコホールディングス<7832>コール99回 4月 8,000円などが見られる。上昇率上位は三菱電機<6503>コール61回 4月 1,900円(前日比2倍)、富士通<6702>コール245回 4月 23,500円(前日比2倍)、いすゞ自動車<7202>コール148回 4月 1,800円(前日比2倍)、富士通コール244回 4月 21,000円(+89.5%)、日立建機<6305>コール103回 4月 3,900円(+85.7%)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/09 15:43 注目トピックス 経済総合 2022年の中国春節連休、国内で旅行需要回復の兆し 中国の観光業に復調の兆しか?大手オンライン旅行予約3社に明暗■2022年の中国春節連休、コロナ禍前の7割に回復中国政府による新型コロナウイルスに対する予防・対策—「ゼロ・コロナ政策」効果が顕著にあらわれる中、コロナ禍で大きな打撃を受けた観光業もある程度回復に向かっている。2021年下半期に新たな変異ウイルス-オミクロン株が登場し、景気回復は予想よりも遅れた。2022年2月に開催された北京冬季五輪は「スポーツの政治化」に対する圧力を受けながらも、無事全日程を終えた。印象に残る試合を世界各国の観客に届けることができ、北京冬季五輪の経済効果も中国の観光産業の回復を後押しすることが期待される。中国文化・観光部データセンターの計算によると、2022年の春節連休の(7日間)国内観光客数は前年同期比で2.0%減の2億5,100万人、2019年の春節連休の同73.9%まで回復したという(図表参照)。国内観光収入は前年同期比で3.9%減の2,891.98億元(約5兆3,000億円)となり、2019年比で56.3%を回復した。旅行予約プラットフォーム「シートリップ(Ctrip)」のデータを見ると、農村観光での宿泊は前年比で倍増となり、親戚・友人訪問、都市レジャー、農村レジャー、氷雪レジャーが市場の主流となっているようである。北京冬季五輪の開催期間(2022年2月4日〜20日)は、ウインタースポーツ観光型の観光地の売上が大幅に増加した。また、春節連休期間では、全国の1棟貸し型の庭付き宿泊施設や別荘などの民泊施設の予約取引額は前年同期比50%増となった。コロナ禍でOTA(Online-Travel-Agent)業界は大きなダメージを受ける中、インバウンド観光も未だ厳しい状態にある。一方で、オミクロン株による蔓延が続く感染状況下で、アジア各国または欧米諸国では外国からの観光客受け入れ制限を緩和する動きが見られている。3月3日のロイターの報道によると、中国政府は2年間にわたって維持してきた「ゼロ・コロナ」政策から「ウイルス共生」へ向けての取り込み準備が始めるという。北京冬季五輪で使われた措置をモデルにした「トラベルバブル」を今年の夏に向けて複数の選定都市で実験すると伝えられている。社会活動の正常化に期待感が高まり、同日の旅行関連セクターが好調な値動きを見せた。規制緩和に伴う「リベンジ消費」への期待が高まり、旅行・観光業の業績も強い回復も見込まれる。■三線都市以下に事業展開を拡大する「同程旅行」は7四半期連続黒字を達成ここ数年間、中国経済の高成長と国民所得水準の上昇につれて、旅行に対する需要が高まり、イデオロギーの変化もさらに進んでいる。近年の極めて急速なテクノロジーの発展にもたらした便利性と多様性も日常生活に浸透していることになり、中国国内でよく利用されている3つの旅行プラットフォームサイトを紹介する。中国のOTA(Online Travel Agency)における最大手の旅行予約プラットフォーム企業である、Ctrip(シートリップ)は、2003年度に米国ナスタッグ市場に上場して以来、急成長している企業だ。2021年に香港市場で重複上場されている。ホテルネットワークは、全世界に約140万軒以上の会員制ホテル情報を提供しており、フライト情報は200都市以上を網羅している。主な事業内容は、(1)国内外の宿泊や航空券の手配、(2)列車の予約代行サービス、)(3)旅行・観光によるパッケージツアー、(4)企業の旅行管理サービス、(5)その他のサービス(国外ビザ手続き、クーポン発行などのサービス)の5つで構成される。シートリップは海外においては「Trip.com」として展開しており、顧客への対応サービスは24時間対応している。ユーザーから安心感のあるサイトと評価され、日本国内でも利用することができる。同社の2021年第3四半期決算概況によると、省内のホテル予約は19年同期比で約35%増加し、地方ローカルのホテル予約は60%も増加した。海外航空券の予約「Trip.com」は、主に欧米市場の回復により、同比で約40%増加した。その中でもEU行きの航空券が170%急増している。続いて、2位の「Qunar(チューナー)」と3位の「同程旅行」を比較してみると、事業内容はほぼ変わらず、それぞれの業務の特徴を有している。2015年に百度(バイドゥ)傘下だったQunarの株式の45%をCtripが取得し、バイドゥはCtripの株式の25%を取得した。それ以来バイドゥはCtripの大株主である。Qunarは、業界最低価格を目指し提供しているオンラインサイトであり、Ctripとともに国内OTA市場で58.2%の市場シェア率を占めている。一方、同程旅行は、ここ10年はレジャー旅行第1位を戦略目標として業務展開している。2021年第3四半期業績の事業内容説明によると、同程旅行が、7四半期連続黒字を達成している一方で、CtripとQunarは、赤字の状態が続いている。同程旅行では、三線都市やそれ以下の都市での事業展開が引き続き拡大している。中国の都市は、人口や経済レベルなどの観点により、都市を6つの階級に分類されている。三線都市とは、一般的に東部地域の経済発展都市、中部地域の地域中核都市や経済力のある都市、西部地域の省都を指す。新疆ウイグル自治区の首府・烏魯木斉(ウルムチ)などが含まれ、レトロな地方都市のイメージである。なお、WeChat決済プラットフォームでは、約62.7%割合の新規利用ユーザー数が三線都市やそれ以下の都市のユーザーであることを示している。また、国内の宿泊予約サービス事業では夜間予約量が2019年同比で25%を増加し、パス乗車券の売上高も2.5倍と大幅な増加となった。これら3社の中、Ctripと同程旅行は香港市場に上場しており、2021年第3四半期の決算書が公開されているため、以下比較してみる。【21年第3四半期決算の比較】企業名:Ctrip.com上場有無:米国/香港(USTCOM/HK9961)売上高:53億元売上増加率:-2%純利益:-8.49億元純利益増加率:-150%月間アクティブユーザー数:2億人市場シェア率:40.7%企業名:Qunar.com上場有無:未上場月間アクティブユーザー数:7,500万人市場シェア率:17.5%企業名:同程旅行上場有無:香港(HK9961)売上高:19.39億元売上増加率:1.3%純利益:3.52億元純利益増加率:5.6%月間アクティブユーザー数:2.77億人市場シェア率:12.9%今後、コロナ禍が収束すれば「リベンジ消費」で旅行・観光への意欲が爆発的に高まることが見込まれる。中長期的にはオンライン旅行予約プラットフォームセクターの業績も力強く回復することが期待される。図表:グローバル・トラベル・ニュース(2019~2022年中国における春節連休による全国旅行統計) <RS> 2022/03/09 14:02 注目トピックス 経済総合 コラム【新潮流2.0】:いずれもそれぞれに不幸(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆ウクライナでの戦火が激しさを増している。メディアではロシア・ウクライナを巡る話題一色だ。記事の中でロシアの作家に触れるケースも多々ある。中でもトルストイに言及するものが群を抜く。『戦争と平和(Война и мир)』で知られる文豪だけに当然だろう。先日の日経新聞「春秋」でもトルストイの非戦論が取り上げられていた。◆僕が上智のロシア語学科出身だということは前回述べた。実はずっと前に一度だけ、ストラテジーレポートでロシア語を書いたことがある。(2013/1/21「幸せなマリアージュ」)あ、もちろんロシア語でレポートを書いたわけではなく(そんな能力はない)、一文をロシア語の原文で引用しただけである。Все счастливые семьи похожи друг на друга, каждая несчастливая семья несчастлива по-своему.「幸せな家庭はどれも似たようなものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸である。」トルストイ『アンナ・カレーニナ』冒頭の一節である。◆ウクライナの人々の苦しみや悲しみを思うと胸が痛む。いま彼らは不幸のどん底(На дне ? ゴーリキーの戯曲)にいる。しかし、ロシアの一般の人々もまた不幸を味わっている。ウクライナの人、ロシアの人、いずれもそれぞれに不幸である。この戦争に反対する声はロシア国内外を問わず、ロシア国籍の人々の間でも広まっている。ロシア語の「平和(мир)」は「世界」という意味でもある。平和の希求は世界中の人々共通の想いだ。◆北京パラリンピックにRPC(ロシアパラリンピック委員会)とベラルーシの選手の出場を認めない決定をIPC(国際パラリンピック委員会)が下したが、こうした事例はパラリンピックだけでない。経済学者のタイラー・コーエンによると、ノルウェーで開催予定のチェスの大会にロシア出身のプレーヤーたちが出場を拒まれたという。 彼らはみな、ロシアのウクライナ侵攻に異を唱えているにもかかわらず、である。ロシアにいる猫がキャットショーの国際大会に出られなくなったという話まであるそうだ。◆ロシアへの経済制裁や排除は仕方ないことだろう。しかし、そこに憎悪や嫌悪があってはならない。それは戦争に加担しているのと同じである。ロシアの一切合切を悪と断じて排することは間違っている。ロシアの人々もまた今回の戦争の犠牲者である。「罪を憎んで人を憎まず」という。戦争にも当てはまる。憎むべきは戦争と、それを推し進める指導者であって、決して一般のロシアの人々ではない。言うまでもなく、スポーツ選手もチェスのプレーヤーも含めてだ。もちろん、猫も含めて、である。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:3/7配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <FA> 2022/03/09 09:36 注目トピックス 経済総合 NYの視点:過去最悪のオイルショックを警戒 ゴールドマンサックスは7日に発表した顧客レポートの中で、2022年、2023年の原油価格予想を引き上げた。同時に、ウクライナ戦争を受け、世界経済は過去最悪のエネルギーショックに直面することになるだろうと警告。同社のアナリストは22年の価格予想を従来の98ドルから135ドルへ、23年を105ドルから115ドルへそれぞれ引き上げた。7日付レポートによると、すでに3月のロシア産の原油は半分以上が売れ残りとなっており、このペースが続けば1日で300万バレルのロシア産原油の供給減になり、月ベースでの供給削減規模は、第2次世界大戦以降で5番目に大きなものとなると指摘している。ウクライナ戦争激化で、欧米各国は対ロ制裁の一環として8日、ロシア産エネルギーの輸入制限を発表。米国は禁輸を発表、英国は年末までに輸入をゼロにする方針を発表した。欧州は依存度が高いため、今後、依存度を減らすことで合意した。このため、ゴールドマンが警告したよりも状況が悪化する可能性もある。ロシアは世界で2番目に大きな石油輸出国で、1日に700万バレルの原油、関連製品を輸出している。当面の間、ロシアの供給がなくなった場合、世界的な石油戦略備蓄の放出や、石油輸出国機構(OPEC)やイランなどの協力で不足分を補うことになる。また、必然的に、高額で消費も減ることで均衡をとることになる。燃料価格の大幅上昇は消費動向にも大きな影響を与える。特に米国経済は7割を消費が占めるため、インフレ高進と同時にリセッションに陥るスタグフレーションへの懸念が一層強まりつつある。 <FA> 2022/03/09 07:35 注目トピックス 経済総合 核を「タブー視」する時代は終わった?今こそ「核共有議論を始めるべき」と言えるこれだけの理由【実業之日本フォーラム】 ● 安倍氏、「核シェアリング」に言及1922年2月27日、安倍晋三元総理は、テレビ番組で「ロシアのウクライナ侵略を受けて、米国の核兵器を国内に配備し共同運用(ニュークリア・シェアリング)について、日本国内でも議論すべきだ」と主張した。「日本は核拡散防止条約(NPT)加盟国であり、非核3原則を国是(こくぜ)としている。日本は世界で唯一の被爆国であり、核廃絶を目指すという崇高な目標を掲げなければならず、そのための努力が必要だ。一方、米国との核共有は、北太平洋条約機構(NATO)のドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコにおいて採用されている。世界ではどのように国家の安全が守られているかについての議論をタブー視してはならない」と議論を促した。3月2日、参議院予算員会において、岸田首相は、「日本の領土内に米国の核兵器を配備し共同運用する『核共有』について、政府として議論しない」と明言した。立憲民主党議員の「核共有」の認識についての質問に対し、「非核3原則の堅持の立場や原子力の平和利用を規定している原子力基本法に基づく法体系から『核共有』は認められない」との姿勢を強調している。さらに、ロシアのプーチン大統領の核兵器の威嚇について、「唯一の戦争被爆国であり、被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器による威嚇も使用も認めない」と強調した。そして3月3日の記者会見において「非核3原則で国民の命が守れるのか」という質問に対し、「自らの防衛力と、日米同盟の抑止力で日本の安全を守ってきた。この体制が機能することにより国民の命や暮らしは守れると信じている」と回答している。岸田総理は、現状の「非核三原則」の堅持と「日米安保体制」のみで日本の安全を確保すると主張し、「非核3原則」についての議論は不必要だと断じている。一方、自民党の高市早苗政調会長は、3月1日の記者会見で「非核3原則のうち『持ち込ませず』という部分は、民主党政権時代も含め従来から国民の安全が危機的状況になった時に、その時の政権が判断すべきことで、将来にわたって縛ることではないという立場だ」と述べ、「持たず、作らずは、堅持するものの、緊急事態における持ち込みについては、時の政府が判断するという、議論を封じ込めるべきではない」と主張した。3月3日、日本維新の会、松井一郎代表は、「核共有」の議論を政府に求める提言を林芳正外相に提出した。さらに、「核保有国による侵略のリスクが現実に存在することから、防衛費を対国内総生産(GDP)比、2%への増額を要求した。」高市氏、松井氏は、ロシアのウクライナ侵攻の事態に鑑みて、非核三原則や核共有について、積極的に議論を行おうとの立場を取っている。● 「非核三原則」や「憲法9条」だけで国民を守れるのだろうか外交防衛委員会調査室によると、非核三原則とは、「我が国が史上唯一の被爆国であるとの事実に基づき、核兵器を『持たず、作らず、持ち込ませず』とする国家の基本政策である」と説明している。1967年12月、当時の佐藤栄作総理大臣の国会答弁、1971年11月の衆議院本会議決議により、行政府の方針と国会の意思が相まって国是として確立している。また、1955年12月に議員立法により制定された「原子力基本法」の審査時にその起源が見られるという。原子力基本法第2条は、原子力の研究、開発、利用を平和目的のみに限っている。このように見てみると1967年の佐藤内閣以来、国家の政治上の方針として「非核三原則」を堅持してきたが、これは、国際間の協定や締結された条約ではなく、政府の方針を示しただけであり、日本を巡る国際環境に変化があれば、国家生存のため柔軟に対応するのが政治の役割ではないだろうか。日本の尖閣諸島に領海侵犯を繰り返す中国、日本固有の領土を不法占拠するロシアや韓国、日本海や日本上空にミサイルを発射する北朝鮮に囲まれているという厳しい安全保障環境に対応した政策が求められるだろう。この厳しい安全保障環境のもとで「非核三原則」や「憲法9条」が残り、国土が侵略され、国民の命が危険にさらされる事態は防がなければならない。● 「力なき正義」になっていないか?「国是」とは「国民が認めた、一国の政治の基本的な方針」であるが、それは永久に変わらないものではなく、「国益」保護の観点から常に見直すことを躊躇してはならないものである。慶應義塾大学の細谷雄一教授は、「ウクライナでの戦争は、冷戦後我々が軍事力の意義を誤解し、他国への信頼や善意に依存し、国際協調や相互依存の存続を信じすぎたことが問題であった。プーチン大統領が戦争準備を整えていたにも関わらず、戦争は起こらない、回避できると思い込んでいなかっただろうか」と振り返っている。そして「ウクライナの主権と独立が維持されれば、現在の国際秩序は維持されるだろう。ウクライナの主権国家としての地位の解体を国際社会が止められなければ、戦後の国際秩序の根幹が崩れることを意味する」と今後のウクライナでの主権維持が将来の国際秩序の形成に大きな影響を及ぼすとしている。読売新聞社は3月初旬全国世論調査を実施し、「ロシアによる現状変更が、日本の安全保障上の脅威に繋がると思うか」という質問に対し、約81%が「思う」と回答している。フランスの哲学者パスカルは、「力なき正義は無能であり、正義なき力は圧制である」という言葉を残している。これだけ厳しい安全保障環境の中で、安倍元総理の提言にある様に、「核共有」など、どのように国家の安全が守られているかついての議論をタブー視するのではなく、日本はどうやったら生き残れるのか、国民的議論を広げていく必要がある。今こそ、「力なき正義になっていないか」という事を自らに問いかける絶好の機会であることを認識すべきであろう。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:つのだよしお/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/08 10:58 注目トピックス 経済総合 資生堂を対象とするプット型eワラントが前日比4倍超えの大幅上昇(8日10:04時点のeワラント取引動向) 新規買いは、原資産の株価下落が目立つ三菱ケミカルホールディングス<4188>コール62回 4月 900円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均プット1837回 3月 21,500円、日経平均 プラス5倍トラッカー82回 3月 27,000円などが見られる。上昇率上位は資生堂<4911>プット59回 3月 5,600円(前日比4.8倍)、オリックス<8591>プット188回 3月 2,050円(前日比3.4倍)、エクソン・モービルコール58回 3月 85米ドル(前日比2.2倍)、アマゾン・ドット・コムプット149回 3月 2,900米ドル(前日比2.2倍)、スズキ<7269>プット86回 3月 3,850円(前日比2倍)などとなっている。(カイカ証券) <FA> 2022/03/08 10:22 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米スタグフレーション懸念強まる、燃料価格高騰 ロシアのウクライナ攻撃の激化で、欧米、同盟国は対ロ制裁を強化している。その一環として、比較的ロシア産原油への依存度が低い米国は独自でもロシア産原油禁輸の方針を固めた。米議会超党派はロシア産エネルギー輸入禁止を含みロシア、べラルーシの貿易関係取り消す案で合意。下院は早くて8日にも採決する見込みだと報じられた。一方、地域的問題からロシア産原油への依存度が高い欧州連合(EU)は、依存度を弱めることで合意した。供給ひっ迫懸念に原油価格は7日の時間外取引で2008年以降14年ぶりの高値を更新。原油高騰はすでに高いインフレをさらに押し上げ、長期化させる可能性がある。同時に、ドライビングシーズンに向けて消費者の痛手となり、消費にも影響を与え、最悪で景気後退に陥る可能性も懸念されている。景気動向を見極めるため度々注視される米2年債と10年債の利回り格差は、パンデミック発生による経済が封鎖された2020年3月来で最小となった。景気後退を示すマイナス入りが警戒される。CNBCの調査によると、エコノミストは本年の成長率見通しを引き下げる一方で、インフレ見通しを引上げており、スタグフレーションへの警戒感も強まりつつある。■米国経済成長率予想第1四半期:+1.9%(従来+1.5%)第2四半期:+3.5%(+4.3%)第3四半期:+3.1%(+3.4%)第4四半期:+2.5%(+2.6%)■インフレ予想第1四半期:6.7%(5.0%)第2四半期:5.3%(3.7%)第3四半期:3.9%(3.1%)第4四半期:3.0%(2.7%)(CNBC調査) <FA> 2022/03/08 08:05 注目トピックス 経済総合 ウクライナ問題で発言力増す習近平、最終的には「中国が漁夫の利を得るかもしれない」と言えるワケ【実業之日本フォーラム】 ● 中国、得策ではない「ロシアへの肩入れ」ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の対応に注目が集まっている。中国は2月25日に国連安保理に提案されたロシアのウクライナ侵攻を非難する議決案及び3月3日に国連総会に提出されたロシア軍の即時撤退を求める決議案のいずれにも棄権している。さらには、アメリカを中心とする厳しい経済制裁に対し、3月2日中国外務省報道官は、「経済制裁は問題をエスカレートするだけだ。中国はロシアと引き続き正常な貿易協力進めたい」と述べている。国際的批判が集まるロシアに肩入れすることは、中国にとって必ずしも得策ではない。しかも中国はロシアと「友好善隣条約」を、ウクライナと「友好協力条約」を締結している。中国にとってウクライナは「一帯一路」の陸上シルクロードの重要な中継地点でもある。中国にとってロシアのウクライナ侵攻は大きなジレンマを抱えていると言えよう。● 中ロ関係は「歴史的最高レベル」…?中国とロシアは1950年に「中ソ友好同盟相互援助条約」を締結、その第一条には第三国の攻撃を受けた場合、相互に援助することが規定されていた。条約の有効期限は30年であり、1960年代の中ソ対立により形骸化、1980年には期限を迎え、失効している。ソ連崩壊後、両国間の関係改善が進み、2001年には20年を期限とする「中ロ善隣友好協力条約」が締結され、2021年6月には延長に関する条約に調印している。在日中国大使館ホームページには調印時の共同声明の全文が掲載されている。中ロ関係は歴史的最高レベルにあるとし、全面戦略協力パートナーシップを安定的に発展させるとし、政治、経済、軍事等のあらゆる分野で協力を進めることがうたわれている。一方で、中ソ条約にあった共同防衛の規定は含まれておらず、いずれかの締約国の主権に脅威が及ぶ場合は、「脅威を取り除くために直ちに接触し、協議を行わなければならない」と規定するのみである。歴史的最高レベルと言ってもかつての同盟関係とは大きな違いがあることを認識しておく必要がある。● 中国・ウクライナ、実は結びつきが強かった!一方中国とウクライナの関係については、今年1月習近平主席とウクライナのゼレンスキー大統領は電話会談を行い、両国の外交樹立30周年を祝い、戦略的パートナーシップを発展させることを確認している。2013年に締結された「中国ウクライナ友好協力条約」には「ウクライナが核の脅威に直面した際、中国が相応の安全保障をウクライナに提供する」とされている。防衛研究所の兵頭慎治氏は、ウクライナに対し核の脅威を与えるとすればロシアしか考えられないが、ブタペスト条約で核を放棄したウクライナに対し、核脅威への保証を与えることはロシアを含む核保有国のコンセンサスがあり、中国もこれを踏まえて条文として加えたと分析している。そのため、いかなる背景があるにせよ、条文に示されている規定を尊重することが求められる。プーチン大統領は2月27日に戦略的抑止部隊に「特別警戒」を発令した。これは核攻撃も辞さないとする姿勢の表れと見られている。3月4日には、ウクライナ南部のザポロジェ原発がロシア軍から砲撃を受けその制圧下に置かれている。明らかにウクライナに対する核の脅威は高まっており、条約の規定上、中国は何らかの行動を迫られる可能性も否定できない。中国とウクライナの関係でもう一つ指摘できるのは、ウクライナから中国への武器輸出である。中国空母遼寧は旧ソ連のワリヤーグであるが、スクラップ状態でウクライナから中国に売却されたものである。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI:Stockholm International Peace Research Institute)のデータべ—スによると、2000年以降中国は、ワリヤーグに加え、駆逐艦等のガスタービンをウクライナから購入している。さらに、空母艦載機であるJ-15は、ロシアからSu-33の調達が不調に終わったため、ウクライナが保有していたSu-33の試作機を輸入し、これをベースに開発されたと伝えられている。また、外務省ホームページによると、ウクライナ主要貿易相手国の輸出入ともに中国が1位となっている。在ウクライナ中国大使館は3月2日に現地中国人6,000人以上の集団出国を開始したことを伝えている。現地日本人は当初250名と伝えられており、日本と比較すると中国の結びつきの強さがうかがわれる。● 中国「ロシア・ウクライナ、どちらも有効に使いたい…」2月25日、中国王毅外相はウクライナ問題に関する中国の5つの立場を公表している。その内容は、(1)全ての国の主権と領土の一体性を尊重、(2)全ての国の正当な安全保障上の懸念の解決、(3)全ての当事者は自制し、人道的危機を防ぐ、(4)平和的解決を目指す交渉を支持、(5)国連安保理は建設的な役割を果たすべき、というものである。(1)は、ウクライナの主権と領土とも解釈できるし、ロシアが主張するウクライナ東部のドネツク、ルガンスクを意味するとも解釈できる。また(2)についても、安全保障上の懸念を持っているのはロシアだともウクライナだともとれる。中国がこのように曖昧ともとれる立場をとる背景には、ウクライナ問題を超えて、将来の中国の立場を考慮した戦略的立場と見ることができる。(1)の主権と領土の一体性という原則は台湾を中国の一部とする主張を補強する。正当な安全保障上の脅威には当然南シナ海、東シナ海が念頭にあることは間違いない。中国はロシアとウクライナ双方に対するコミットメントを使い分け、虎視眈々と漁夫の利を得ようと伺っている。一方で、中国は事態が長期化し、ウクライナがアフガニスタン化することは望んでいないであろう。「一帯一路」は習近平の成果であり、今年秋の3期目を目指す習近平にとって失敗は許されない。ウクライナが「一帯一路」のハブとして、欧州諸国とつながることは極めて重要である。また、事態が長期化し、全面戦略協力パートナーシップを標榜するロシアの国際社会からの孤立も好ましくない。3月1日、王毅外相と電話会談を行ったウクライナのクレバ外相は、「中国が停戦実現のため仲裁してくれることを期待している」と述べている。厳しい経済制裁を受けているロシアは、今後いよいよ中国への依存度を高めてくると考えられる。その場合、ロシアに対する中国の発言力が次第に増してくるであろう。事態が長期化し、双方が疲弊してきた段階で、中国が調停に乗り出し、国際的な発言力を一段と向上させてくる可能性は十分に考えられる。中国の言動には引き続き目を光らせておく必要がある。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:新華社/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2022/03/07 15:46

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