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コラム【新潮流2.0】:この夏の事件(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
*09:29JST コラム【新潮流2.0】:この夏の事件(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
◆世界の市場関係者が固唾を飲んで見守ったジャクソンホールでのパウエル議長講演は無難に終わった。それを受けた市場の波乱はなかった。古くはニクソン・ショック、イラクのクエート侵攻、ロシア危機とロングターム・キャピタル・マネジメントの破綻、パリバショック、S&Pによる米国債格下げなど過去を振り返れば相場の波乱要因となった大きな出来事が8月に起きてきた。それらに比べれば今年のフィッチ・レーティングの格下げなどは小さなイベントだった。◆2023年の8月は「ショック」と言えるほどの事件はなかった ‐ と、片づけるわけにはいかない。大きな事件があった。この夏の暑さだ。東京だけでなく全国的に猛暑日の日数は観測史上最多を記録。日本だけでなく世界中が熱波に襲われ、その影響で異常気象が各地で観測されている。マウイ島の山火事以外にもカナダなどでも山火事が発生しているほか、ハリケーン、豪雨、干ばつなどの被害が多くの地域で起きている。地球の平均気温はおよそ12万年ぶりの最高気温を記録したとの研究結果もある。グテーレス国連事務総長は「地球温暖化から地球沸騰化へ」と警告した。これはもはや「ショック」と言える「事件」だろう。◆もはや気候変動対策は待ったなしだと誰もが痛感した夏であったろう。しかし、投資の世界に限れば環境対策には逆風が吹いている。ESG投資に反対する声が高まってきた。その先鋒であるデサンティス・フロリダ州知事はブラックロックが運用していた州の資金20億ドルを引き揚げた。ESG投資の旗振り役だったブラックロックのラリー・フィンクCEOはESGという用語をもう使わないと述べた。「背に腹は代えられぬ」というわけではなかろうが、非常に込み入った状況になっているようだ。◆ESG投資を批判する政治家は「ウオーク・キャピタリズム=(社会正義に)覚醒した資本主義」だという。環境対策は重要だが、それは投資でなく政治の役割だという主張だ。2021年に著書「Woke, Inc(社会正義に目覚めた企業)」を出版し、反ESG派の論客として注目を集めるようになったのがビベック・ラマスワミ氏だ。米共和党は先週23日、来年の大統領選指名争いに向けた候補者による初の討論会を開いた。そこでデサンティス・フロリダ州知事らを抑え、もっとも存在感を示したのがラマスワミ氏だ。今後大統領選が佳境に向かう過程では、反ESGが大きくクローズアップされてくるだろう。万が一、米国の気候変動対策への取り組み姿勢に揺り戻しがあれば、地球の環境にとって一大事である。その観点からも米大統領選から目が離せなくなってきた。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:8/28配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
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2023/08/30 09:29
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NYの視点:米7月JOLT求人件数:2年ぶり低水準、労働市場のひっ迫緩和続く
*07:44JST NYの視点:米7月JOLT求人件数:2年ぶり低水準、労働市場のひっ迫緩和続く
米労働省が発表した7月JOLT求人件数は882.7万件と予想950万件を大幅に下回り、21年3月以降ほぼ2年超ぶりの低水準となった。6月分も916.5万件と、958.2万件から大幅に下方修正された。平均的な推移を判断するために用いられる3カ月の減少数では150万件と、統計開始以降で2番目に大きい。連邦準備制度理事会(FRB)が労働者の雇用市場への自信をあらわすと注目している自主的退職者数は25.3万人減の354万人と、21年2月来で最低。自主的退職率は2.3%と、前月2.4%から低下。前年は2.6%だった。採用者数も16.7万人減の577万人と2021年1月来で最低。採用率は3.7%と、6月3.8%や前年の4.1%を下回っており、労働市場のひっ迫緩和基調が継続していることが証明された。パウエル議長も労働市場の需給の動向を判断する上で同指数を注視している。労働市場の減速が証明されつつあることはFRBの追加利上げの確率を弱める。また、JOLTの回答者が31%にまで低下していることで、統計の正確性が疑問視されており、実際は労働市場が一段と悪化していると警戒している市場参加者も少なくない。■7月労働市場ダッシュボード求人件数:5.3%(6月5.5%、2022年6.9%)雇用削減率:1.0%(1.0%、1.0%)自主的退職率:2.3%(2.4%、2.6%)採用率:3.7%(3.8%、4.1%)失業率:3.5%(3.6%)不完全雇用率(U6):6.7%(6.9%)非農業部門雇用者数:+18.7万人(+18.5万人)平均時給:前月比+0.4%、前年比+4.4%(+0.4%、+4.4%)
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2023/08/30 07:44
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NYの視点:パウエルFRB議長は今後の金融政策の軌道明確化せず、市場は年内あと1回の利上げ予想維持
*07:42JST NYの視点:パウエルFRB議長は今後の金融政策の軌道明確化せず、市場は年内あと1回の利上げ予想維持
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、カンザスシティ連銀がワイオミング州、ジャクソンホールで開催したシンポジウムでインフレが改善も制御までには長い道のりで利上げの準備があると主張した。労働市場の強さが続いた場合、金融政策で対処する姿勢を示した。今後の金融政策に関しては明確なシグナルを示さなかった。議長が利上げの終了を示唆しなかったため、市場は年内のあと1回の利上げ予想を維持している。今週発表が予定されている8月雇用統計、4-6月期国内総生産(GDP)改定値、7月JOLT求人件数、また、FRBがインフレ指標として注視している7月PCEコア価格指数が、9月連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策決定において、重要となる。特に7月PCEコア価格指数は前年比+4.2%で6月から伸びが再び拡大する見込みで、インフレの制御には時間を要することをあらためて証明する可能性がある。8月ダラス連銀製造業活動では、材料費が再び上昇している兆候が見られたが企業は商品にコストの上昇をまだ反映させていないことが明らかになった。さらに、8月雇用統計では失業率が3.5%と依然50年超ぶりの低水準付近での推移で労働市場のひっ迫鎮静化の兆候は見られないと予想されており、年内の利上げ観測が強まる可能性がある。一方で、パウエル議長が注目している7月JOLT求人件数は急速に減少しつつあり、9月FOMCの利上げ見送りを正当化する可能性がある。
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2023/08/29 07:42
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(中国)上海総合指数は5.06%高でスタート、米金融政策の不透明感が後退(訂正)
*10:49JST (中国)上海総合指数は5.06%高でスタート、米金融政策の不透明感が後退(訂正)
28日の上海総合指数は買い先行。前日比5.06%高の3219.04ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時39分現在、3.05%高の3157.67ptで推移している。米金融政策の不透明感が後退していることが支援材料。また、企業業績や金融緩和を含む景気対策への期待が高まっていることも好感されている。
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2023/08/28 10:49
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NYの視点:【今週の注目イベント】米雇用統計、ISM製造業、コア価格指数、ユーロ圏CPI、中国PMI
*07:44JST NYの視点:【今週の注目イベント】米雇用統計、ISM製造業、コア価格指数、ユーロ圏CPI、中国PMI
今週は、米国の8月雇用統計や7月コア価格指数、4-6月期GDP改定値、8月ISM製造業景況指数、欧州の消費者物価指数(CPI)、また、中国PMIが注目材料となる。PMIの結果などから欧州の景気の急速な鈍化が明らかになりつつあり、欧州中央銀行(ECB)当局者が成長見通しを懸念し、利上げ停止に向けた勢いが拡大していると報じられた。欧州のインフレ指標で鈍化基調が確認されると追加利上げ観測が一段と後退し、さらなるユーロ売りにつながる可能性がある。ECBはまた、前回会合の議事要旨を公表する予定で注目される。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はジャクソンホール会合でインフレ改善もまだ始まったばかりで、道のりは長く適切であれば追加利上げを実施する姿勢を再表明した。FRBは9月FOMCで利上げを見送るが、11月に0.25%の利上げを再開するとの見通しが一段と強まった。6月JOLT求人件数は2021年以来の低水準になるなど、一部では雇用ひっ迫緩和の兆候も見られる。一方で、週次新規失業保険申請件数は依然低水準を維持。8月雇用統計でも失業率が3.5%と50年ぶりの低水準付近で推移する見込みとなっている。非農業部門雇用者数は16.8万人増と、7月からは伸びの鈍化が予想されており、9月の政策金利据え置きを正当化する可能性がある。同時に、FRBがインフレ指標として注視している7月のコア価格指数は前年比で伸びが拡大すると予想されており、もし、予想通りにインフレ鈍化が進まないと、年内の追加利上げを正当化する。また、米中関係修復を目指し米国のレイモンド商務長官が訪中を予定している。■今週の主な注目イベント●米国28日:8月ダラス連銀製造業活動、バーFRB副議長が金融サービスに関し講演29日:6月FHFA住宅価格指数、6月S&P20都市価格指数、7月JOLT求人、8月消費者信頼感指数、バーFRB副議長が金融サービスに関し講演30日:8月ADP雇用統計、7月前渡商品貿易収支、4-6月期GDP改定値、7月中古住宅販売仮契約31日:8月週次新規失業保険申請件数、7月PCEコア価格指数、8月シカゴPMIボスティック・アトランタ連銀総裁講演、コリンズ米ボストン連銀総裁がイベントで講演9月1日:8月雇用統計、8月製造業PMI確定値、8月ISM製造業景況指数、ボスティック・アトランタ連銀総裁講演、メスター米クリーブランド連銀総裁●中国31日:製造業・非製造業PMI9月1日:中国財新製造業PMI●欧州30日:ユーロ圏経済信頼感、消費者信頼感、独CPI31日:ユーロ圏CPI、失業率、仏CPI、GDP、独失業率、ECB理事会議事要旨デギンドスECB副総裁講演9月1日:ユーロ圏、仏、独、製造業PMI●日本29日:失業率31日:鉱工業生産、小売売上高●英29日:英中銀、金融政策を巡り会見31日:英中銀、チーフエコノミスト、ピル氏講演
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2023/08/28 07:44
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欧米の注目経済指標:8月米雇用統計で非農業部門雇用者数は7月実績を下回る見込み
*14:07JST 欧米の注目経済指標:8月米雇用統計で非農業部門雇用者数は7月実績を下回る見込み
8月28日-9月1日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■8月30日(水)午後9時30分発表予定○(米) 4-6月期国内総生産(GDP)改定値-予想は前期比年率+2.4%参考となる速報値は+2.4%。個人消費は減速したが、設備投資の拡大が寄与した。財政支援などが押し上げ要因になったとみられる。改定値では一部項目が上方修正される可能性があるが、速報値と同水準となる見込み。■8月31日(木)午後6時発表予定○(欧)8月ユーロ消費者物価コア指数-予想は前年比+5.2%参考となる7月実績は前年比+5.5%。インフレ率は鈍化傾向にあるが、サービス価格の高止まりが続いている。8月については7月実績を下回る見込みだが、5%超のインフレ率となる可能性が高い。■8月31日(木)午後9時30分発表予定○(米)7月PCEコア価格指数-予想は前年比+4.2%参考となる6月実績は前年比+4.1%にとどまり、伸び率は2021年9月以来の低水準となった。2022年における物価高騰の影響で前年比の伸び率は鈍化。7月については複数の項目で上昇率が鈍っているが、住居費などの上昇でインフレ率は6月実績を上回る可能性がある。■9月1日(金)午後9時30分発表予定○(米)8月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数は前月比+16.3万人、失業率は3.6%7月については、賃金は底堅い伸びを維持、失業率は低下したが、5・6月分の雇用者数の伸びは下方改定されていた。8月についてはレジャー・接客業の雇用者数の伸びは鈍化すると予想されており、非農業部門雇用者数は7月実績を下回る可能性がある。失業率は横ばいか、わずかに上昇する見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・8月29日(火):(日)7月失業率、(米)8月CB消費者信頼感指数・8月30日(水):(独)8月消費者物価指数、(米)8月ADP雇用統計・8月31日(木):(日)7月鉱工業生産速報、(欧)7月ユーロ圏失業率・9月1日(金):(米)8月ISM製造業景況指数
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2023/08/26 14:07
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金は9000円に迫るか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*17:54JST 金は9000円に迫るか サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は9000円に迫るか』と述べています。続いて、『23日のNY金は、米S&Pグローバルが発表した8月米総合購買担当者景気指数(PMI)がさえない内容だったことから、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ長期化への懸念が後退した。米長期金利が低下し、ドル指数も下落したため、NY金は押し上げられた』と伝えています。しかし、『24~26日に開催される「ジャクソンホール会議」を控え、様子見が強まり節目の1950ドルはブレイクできなかった』とし、『NY金は約1カ月半ぶりの安値1913.60ドルを付けた後、200日移動平均線近辺で反発したため、下値の堅さが意識されている』と解説しています。こうしたことから、陳さんは、金について、『ジャクソン・ホール会合でのパウエルFRB議長の発言次第で上にも下にも振れる可能性があるが、ドル建て金が下落する時は円安が進み、円高が進む時はドル建て金が上昇するため、JPX金は保ち合いながら底堅く推移しよう』と考察、『JPX金日足の一目均衡表は、「三役好転」が形成されている。RSIも50%を超えて上向いており、1日に付けた上場来最高値9010円を更新する可能性がある』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月24日付「金は9000円に迫るか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/08/25 17:54
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NYの視点:FRBの年内の追加利上げ観測根強い
*07:42JST NYの視点:FRBの年内の追加利上げ観測根強い
ジャクソンホール会合での米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長講演を控え市場では追加利上げ観測が根強い。消費の鈍化傾向が見られるものの労働市場は依然力強く、今後も米経済の7割を占める消費を支えていく可能性がある。米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数は前週比1万件減の23万件と、前回から予想外に減少し、7月末以来の低水準となった。失業保険継続受給者数は170.2万人と、前回171.6万人から予想以上に減少。労働市場の強さが再確認された。米商務省が使用しているものと類似したモデルを使用していることから注目されるアトランタ連銀の7-9月期国内総生産(GDP)成長見通しは5.91%と、前回5.76%からさらに引き上げられた。セントルイス連銀のブラード前総裁は米経済の再加速がFRBの利上げ終了を遅らせる可能性を指摘。さらに、ボストン連銀のコリンズ総裁はインフレ制御で2%目標達成には時間を要するとし、FRBは辛抱強く、断固とした姿勢が必要と主張した。金利を維持する水準に近づいた可能性があるとしながらも、追加利上げが必要となる可能性を指摘。同総裁は本年の投票権を持たない。一方、本年の投票権を持ち通常はタカ派として知られるフィラデルフィア連銀のハーカ―総裁は利上げに加え、バランスシート縮小で信用がひっ迫しており現状で十分に政策を行ったとの判断で、利上げ終了の可能性を示唆した。ただ、パウエル議長は25日に予定されているジャクソンホール会合での公演で、NY連銀のウィリアムズ総裁やフィラデルフィア連銀のハーカー総裁のように現状で引き締めは十分に行ったとの判断を下す可能性は少ないと見る。
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2023/08/25 07:42
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南アフリカランド円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*17:00JST 南アフリカランド円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アランド円は、保ち合いとなりそうだ』と述べています。続いて、『南アフリカ経済は、高インフレに加え低成長が続き、厳しい経済環境が続いている。6月消費者物価指数(速報値)は前年同月比5.4%上昇した。伸び率は5月の6.3%から鈍化し、2021年10月以来の低水準となった。食品や油脂価格の下落が寄与した』とし、『ただ、中期的なインフレ見通しに対する上振れリスクは残るとして、中銀は4.5%の物価目標に戻すことを目指す方針だ。深刻な電力不足やインフラ問題、高水準の公的債務、投資の低迷が成長の重しとなろう』と解説しています。また、『南ア6月小売売上高が市場予想を下回ったことや重要な貿易相手国である中国経済の先行き不透明感や米金利上昇に伴うドル高を受けて、南アランドの上値は重くなっている。ただ、南ア4-6月期失業率が32.6%と予想の32.8%から改善したこと、中国人民銀行が利下げを決定し、金融緩和で景気を下支えする姿勢を明確化したこと、南ア7月景況感指数が改善したこともあって、下値追いには至っていない』と伝えています。陳さんは、『今週は南ア7月消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想を上回る場合は利上げの可能性から南アランド買いで反応し、市場予想を下回る場合は、利上げ観測後退から売りで反応しよう』と考察しています。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『7.5円~7.8円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月22日付「南アフリカランド円今週の予想(8月21日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/08/24 17:00
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トルコリラ円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*16:59JST トルコリラ円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『今週のトルコリラ円は、戻り売りが続きそうだ』と述べています。続けて、『先週のトルコリラ円は、円安が146円台まで進んだこと、トルコ株が堅調に推移したこと、トルコ6月財政収支が485.7億リラの黒字となって前回の2196億リラ赤字から黒字転換したこと、トルコのシムシェク財務相による「2023年のトルコ経済は4.5%前後の成長を予測している」との前向きな発言が支援材料となって上昇した』と伝え、『しかし、週後半にはドル円の急落や中国不動産大手の中国恒大集団がニューヨークで連邦破産法15条の適用を申請したことも嫌気されて下落に転じた。トルコ経済は、7月製造業PMIが7ヵ月ぶりに好不況の分岐点となる50を下回ったことやインフレ率の再上昇懸念から不透明感が強く、トルコリラの戻りも鈍くなろう』と述べています。陳さんは、『今週は24日にトルコ中銀会合があり、政策金利の0.25%引き上げ(17.5%→20.0%)が見込まれている。ただ、トルコの7月消費者物価指数(CPI)が前年比+47.83%と予想+47.00%、前回+38.21%を大幅に上回ったことや、コアCPIも前年比+56.09%と予想+54.50%、前回+47.33%を大幅に上回ったことを考えると、この程度の利上げでは市場の失望感を強めるだけだろう。一時的に反発しても戻り売りが強まると予想する』と考察しています。なお、23日にはトルコ8月消費者信頼感指数や、25日にはトルコ8月製造業信頼感指数、設備稼働率なども発表されます。こうしたことから、トルコリラ円の今週のレンジについては、『5.10円~5.50円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月22日付「トルコリラ円今週の予想(8月21日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/08/24 16:59
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(中国)上海総合指数は0.24%高でスタート、米長期金利の低下などを好感
*10:44JST (中国)上海総合指数は0.24%高でスタート、米長期金利の低下などを好感
24日の上海総合指数は買い先行。前日比0.24%安の3085.91ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時37分現在、0.22%高の3085.26ptで推移している。米長期金利の低下が好感されている。また、前日の欧米市場の上昇も買い安心感を与えている。一方、指数の上値は重い。国内の景気低迷、不動産デベロッパーや地方政府の債務問題など払拭されていないことが引き続き足かせとなっている。
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2023/08/24 10:44
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メキシコペソ円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*10:08JST メキシコペソ円今週の予想(8月21日) サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『メキシコペソ円は、堅調に推移しよう』と述べています。続けて、『メキシコ中央銀行は10日に開いた政策決定会合で、政策金利を11.25%に据え置くと決定した。据え置きは3会合連続で、予想通り。決定は全会一致だった。中銀はインフレ見通しはなお「極めて複雑」とし、当面は金利が現行水準に据え置かれる可能性を示唆した』と伝えています。また、『メキシコの7月消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.79%上昇。伸びは6カ月連続で鈍化した。ただ、メキシコ中銀が設定するインフレ目標(3%の上下1%)はなお上回っており、中南米の一部の中欧銀行が利下げに転じる中でも、メキシコ中銀は慎重姿勢を崩していない』と解説、『少なくとも今年終盤まで利下げはないと見られている。なお、中南米ではブラジル、チリ、コスタリカ、ウルグアイの中央銀行が利下げに転じている』と言及しています。次に、『米国のモノの輸入に占める割合で2023年1~6月にメキシコが中国を抜き、首位に立った。中国の首位陥落は15年ぶり。メキシコは比較可能な2001年以降で初めてトップになった』と伝え、『米国は友好国とサプライチェーン(供給網)を構築する「フレンドショアリング」を進めている。米中対立を背景にモノの流れが変わり始めた。6月の米貿易統計によると、1~6月のメキシコからの輸入額は過去最高の約2360億ドル(約34兆円)で前年同期比5%超増えた。メキシコの伸びに大きく寄与したのは自動車を含めた輸送関連全般だ。1~5月の輸入額は510億ドルで前年比17%増加した』と解説しています。こうしたことから、メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.40円~8.70円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月22日付「メキシコペソ円今週の予想(8月21日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/08/24 10:08
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金は決め手に欠ける、レンジ相場が続こう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
*10:06JST 金は決め手に欠ける、レンジ相場が続こう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は決め手に欠ける、レンジ相場が続こう』と述べています。続いて、『最近の堅調な米経済指標を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止め期待が後退している。7月米小売売上高は、前月比0.7%増と市場予想を上回った。FRBの利上げがなお続く可能性が意識された』と伝えています。また、『米長期金利の指標10年債利回りは4.2%と一時約10カ月ぶりの高水準に上昇し、金利を生まない金相場を圧迫した。米金利の上昇もあって、金投資への意欲は低下し、金ETF保有高は節目の900トンを下回った』と言及しています。さらに、『主要消費国である中国の需要後退懸念もあって、NY金は上値の重い展開が続き、下値の節目1900ドルが視野に入りつつある』とし、『ただ、逆に見ると、この長期金利の高さにもかかわらず、1900ドルを割り込んでいない点は注目される』と述べています。こうしたことから、陳さんは、NY金について、『為替市場では円安が進んでおり、JPX金は底堅く推移しているが、NY金の上値の重さを受けて伸び悩んでいることから、レンジ相が続きそうだ。』を想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の8月16日付「金は決め手に欠ける、レンジ相場が続こう」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2023/08/24 10:06
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NYの視点:米国のPMI悪化も他国に比べ良好、ドル底堅く推移か
*07:41JST NYの視点:米国のPMI悪化も他国に比べ良好、ドル底堅く推移か
英国の8月サービス業PMIは予想外に50割れと1月来の活動縮小域に落ち込んだ。過去最低を記録した21年1月来で最低となった。PMI総合も予想外の50割れで21年1月来で最低。ユーロ圏8月の総合PMIも予想外に昨年12月来で初めて50を割り込んだ。21年2月以降ほぼ2年半ぶりの低水準に落ち込んだ。ドイツの総合PMIも少なくとも2020年8月来で最低を記録した。低調な結果を受けて、欧州中央銀行(ECB)の9月追加利上げ確率はPMI発表前の6割から4割に低下。米国も例外ではなく8月PMI速報値は予想以上に悪化した。サービス業PMIは51.0と、7月52.3から予想以上に低下し、2月来で最低。PMI総合も50.4と、2月来で最低となった。高い物価や高金利で需要が一段と低迷したと、統計を発表したS&Pグローバルマーケットのチーフエコノミストは指摘した。賃金や材料費の伸びは一段と拡大したが、商品価格の伸びは若干緩和。企業はコストを商品価格に完全に反映させていない。需要の低迷、受注も減り米企業は人員削減、または、新規採用を制御すると見られる。ただ、他国に比べて、唯一米国の総合PMIは活動の拡大域をかろうじて維持しているため、ドル買い材料になると見られる。■8月製造業PMI速報値米:47.0(予想:49.0、7月:49.0)仏:46.4(予想45.0、7月45.1)独:39.1(予想38.8、7月38.8)ユーロ圏:43.7(予想42.7、7月42.7)英:42.5(予想:45.0、7月:45.3)■8月サービス業PMI速報値:米:51.0 (予想:52.0、7月:52.3)仏:46.7(予想47.5、7月47.1)独:47.3(予想51.5、7月52.3)ユーロ圏:48.3(予想50.5、7月50.9)英:48.7(予想:51.0、7月:51.5)■8月総合PMI速報値:米:50.4(予想:51.5、7月:52.0)仏:46.6(予想47.1、7月46.6)独:44.7(予想48.3、7月48.5)ユーロ圏:47.0(予想48.5、7月48.6)英:47.9(予想:50.4、7月:50.8)
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2023/08/24 07:41
注目トピックス 経済総合
ウォール街を知るハッチの独り言 ジャクソンホール(マネックス証券 岡元 兵八郎)
*09:25JST ウォール街を知るハッチの独り言 ジャクソンホール(マネックス証券 岡元 兵八郎)
さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、8月21日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ジャクソンホール」の内容をご紹介いたします。金融の世界では8月の後半になるとジャクソンホールという単語がよく聞かれるようになります。ジャクソンホールとは、どこかのホール(会場)ではなく、アメリカのワイオミング州に位置するリゾート地がある渓谷の名前なのです。グランド・ティトン国立公園の隣で、近くにはイエローストーン国立公園もあり、自然の美しさ、野生動物、スキーやスノーボード、ハイキング、登山、釣りなどのアウトドア活動を楽しめることで知られています。ジャクソンホールにあるジャクソンホール空港は、ジャクソンホールの街の中心地から10マイル。この街の人口はおよそ1万人です。冬と夏のピークシーズンには、 ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、など、米国の13の空港からジャクソンホールの直行便がありますが、繁忙期以外の航空会社の便はダラス、デンバーなどハブからのフライトに限定されています。そんなジャクソンホールですが、8月に行われる「ジャクソンホール経済シンポジウム」の開催地として知られ、このシンポジウムはジャクソンレイクロッジというホテルで開催されています。このイベントで行われるアメリカの中央銀行トップのスピーチは、投資家のセンチメントや金利や株価の方向性にも影響を与えることが多く、夏の時期に世界中の金融関係者に最も注目されるイベントとなっています。この年次イベントの歴史は古く、この地域を管轄しているカンザスシティ連邦準備銀行により1980年代から開催されています。過去のジャクソンホールでのスピーチで、マーケットに影響を与えた例としては、2010年に当時FRBのトップであった、ベン・バーナンキ議長が第二次量的緩和策 (QE2) の実施を示唆しました。これは2008年の金融危機後の重要な時点であり、マーケットは追加の金融刺激策を期待、その後米国株と債券が大きく上昇しました。2022年のスピーチでは、パウエル議長は積極的な金利引き上げを継続することを示唆し、現時点での『ある程度の』経済的な痛みは後にもっと大きな痛みを避けるために必要であると述べました。この時点でFRBは既に直近2回のFOMCにおいて、それぞれ75ベーシス・ポイント(0.75%)の利上げを行っていました。このジャクソンホールでの発言後、FRBは年末までに9月と11月それぞれ2回75ベーシス・ポイントの追加利上げを行なったのです。パウエル議長の発言を受け、その後米国株は10月まで大きく下落しました。今年のパウエル議長のスピーチは、日本時間8月25日23時5分から予定されています。米国政策金利の行方が、世界中の金融関係者だけでなく、私たち個人投資家の資産の動向にも影響与えるジャクソンホールでのスピーチ、どのような内容となるのか、大変興味深いところです。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:8/21配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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2023/08/23 09:25
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米7月中古住宅販売件数は2010年来の低水準付近、在庫不足が原因
*07:38JST NYの視点:米7月中古住宅販売件数は2010年来の低水準付近、在庫不足が原因
全米不動産協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売件数は前月比‐2.2%の407万戸と、6月416万戸から予想以上に減少した。2カ月連続減少で、2010年来の低水準となった1月来で最低となった。調整前の前年同月比では18%超安。住宅ローン金利の上昇や雇用市場のひっ迫も緩和傾向にあるため需要が落ち着いたことと、在庫不足が影響した。在庫は7月末時点で111万戸。1999年以降の7月としては最小。販売までにかかる期間は3.3カ月。5カ月以下は市場がタイトと判断される。中間販売価格は前年比1.9%増の40.67万ドル。全物件の7割は1カ月以内に売却された。住宅市場の健全性を見極める上で重要な一戸建て住宅の販売は減少。また、初めての住宅購入者の割合も30%と、6月の27%から上昇。一方で、投資家の占める割合は16%と、18%から低下も昨年の14%からは上昇した。NARのチーフエコノミスト、Yun氏の見解では2カ月連続で減少も在庫不足が響いており住宅市場が底入れしたと、楽観的な見方。米国の住宅は慢性的な在庫不足で、住宅建設を拡大する必要があると主張した。住宅市場の底入れは成長をさらに支援、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを正当化する。
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2023/08/23 07:38
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米、物価状況改善も年内の利上げ観測根強い
*07:45JST NYの視点:米、物価状況改善も年内の利上げ観測根強い
市場は24日から26日にかけてワイオミング州、ジャクソンホールで開催される年次経済シンポジウムに注目している。この会合は度々、連邦準備制度理事会(FRB)議長が政策変更などを巡りヒントを与える場として利用するため、特にパウエル議長発言に注目が集まる。果たして利上げが近いことに言及するかどうかが焦点となる。中銀の政策金利がピークに近づきつつあるものの、インフレは依然FRBの目標である2%には程遠く、年内の利上げ観測は根強い。FRBが注目しているインフレ指標は鈍化基調が証明されつつある。CPI(前年比)は昨年の8.3%から今年は3.2%と伸びはかなり鈍化。ただ、FRBが注視しているコアCPIは6.3%から4.7%へ伸び鈍化もまだ目標2%には程遠く、長期にわたり高金利の維持が必要となる可能性が強い。労働市場にもひっ迫が緩和する兆候が見られるものの依然強い。昨年のジャクソンホール開催時の8月失業率は3.7%で、今年の失業率は3.5%で一段と低下し、50年ぶりの低水準を維持。経済も想定以上に強い。アトランタ連銀の現在の7-9月期国内総生産(GDP)予想は+5.8%で、成長減速の兆しもいまだ、見られない。金融市場はほぼ9割の確率で9月FOMCでは利上げが見送られると見ている。ただ、11月には0.25%の利上げを再開することを3割近く織り込んだ。■インフレと経済の状況22年8月 23年8月CPI(前年比):8.3% 3.2%コアCPI:6.3% 4.7%GDP:3.2% 2.4%失業率:3.7% 3.5%
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2023/08/22 07:45
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.19%安でスタート、人民銀が指標金利「LPR」を据え置く
*10:54JST (中国)上海総合指数は0.19%安でスタート、人民銀が指標金利「LPR」を据え置く
21日の上海総合指数は売り先行。前日比0.19%安の3125.99ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時46分現在、0.48%安の3117.06ptで推移している。中国人民銀行(中央銀行)が最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」を市場予想に反して据え置くと発表したことが嫌気されている。市場では、住宅ローン金利の指標となる5年物LPRが4.20→4.05%、銀行貸出の指標となる1年物LPRが3.55→3.40%に引き下げられると予想されている。また、不動産デベロッパーや地方政府の債務問題、消費低迷など内部環境の不透明感も引き続き圧迫材料となっている。
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2023/08/21 10:54
注目トピックス 経済総合
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:39JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。8.結論包括的経済統合を目指す台湾の壮大な旅を描いたタペストリーにおいて、戦略的提携関係とイニシアチブは決定的な役割を担っている。この果てしない旅によって、駆け引き、経済分野における優れた能力、先見性のあるリーダーシップという糸は、CPTPP加盟への道を進むための真摯な取り組みという一つの絵柄へと織りあげられる。台湾はシンガポール、ニュージーランド、日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナム、マレーシアなどの国々と切れることのない絆を結び、価値観ならびに繁栄の共有を土台にした提携関係を構築している。このようなパートナーシップの中で、ダイナミックなバランス感覚と適応力を足掛かりに、様々な難題やチャンスに巧みに対処する台湾の手腕が光っている。台湾の戦略の中心にあるのは、グローバルな動態が奏でるリズムの変化に調子を合わせることのできる、ダイナミックな流動性である。様々に形を変えながら変化する世界において、台湾はそうした変化を、経済的アプローチを洗練させるチャンスとして受け入れている。こうした順応性は、経済統合を学習、成長、そして絶え間ない革新が続く長い航海と捉えている国家のまさに真骨頂である。『鏡の国のアリス』(原題:Through the Looking-Glass, and What Alice Found There)に登場する「赤の女王」による喩えは、経済という世界の旅路を行く台湾の様子を的確にとらえている。同じ場所にとどまるため、アリスが2倍の速さで走らなくてはならなかったように、戦略的提携に向けた台湾の取り組みは、競合他国を出し抜き、激しい競争が繰り広げられる国際貿易の世界で地位を確保せざるを得ない台湾の事情を反映している。この物語に触発されているかのように、経済統合を追求する台湾の姿はまさに、赤の女王の忠告そのままだ。各国が先を争うなかで、台湾は参加するだけでなく、他を大きく突き放している。この物語は、経済統合への道には、絶え間ない前進と環境の変化への迅速な適応が求められることを強調しているのだ。CPTPP加盟に向けた道のりは複雑な地形景観のなかを進むものであるが、台湾が採用する戦略的提携は、包括性、繁栄の共有、そして賢明な経済慣行を約束するものとして、行く道を照らしている。こうした変幻自在のアプローチは、駆け引き、イノベーション、持続性を調和させたものこそが戦略的パートナーシップである、という理解を反映したものとなっている。調和化をめぐる展望:主権と経済成長の両立戦略的提携が盛り上がりを見せるなか、複雑に絡み合う状況であるとか国家主権に対する影響について、懸念を表明する者が現れる可能性はある。だが、台湾はバランスの取れたほどよい対応を維持しており、制約を課すものとしてではなく、経済成長の手段として同盟を利用しつつ、巧みなダンスを披露している。こうした同盟は台湾に譲歩を強いるものではなく、強化のための手段であり、本質的なものは守りつつも、複雑さを呈する世界状況における舵取りを可能にしている。台湾による先見の明あるアプローチは、世界との調和を実現するだけでなく、台湾がさらなる高みへと上るためのものだ。戦略的提携関係がもたらす相互作用を見れば、台湾が自らの自主性を損なうことなく経済統合の舵を切る能力を持つことが容易に見て取れる。台湾はこうした同盟関係を通じて、国益を最優先させつつも経済的展望を確立し、地位向上のための道を切り開いている。台湾の主権を守りながらも、世界における地位向上を目指して慎重に統合を進めるこのバランス感覚は、まさに芸術的である。世界情勢が奏でる交響曲において、台湾は名指揮者として登場し、戦略的パートナーシップによるハーモニーを巧みに指揮し、経済発展と自律を主題にした大曲を作り上げている。このように、台湾の戦略的提携が描きだす壮大な図柄は、国家間の複雑な相互作用だけでなく、今後何世代も続く地域経済統合の輪郭を改めて描き直して、回復力、先見性、そして統治者の洞察力が織りなすタペストリーを浮かび上がらせてくれる。写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/
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2023/08/21 10:39
注目トピックス 経済総合
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:36JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。7.二国間貿易協定の強化:主要パートナーが果たす役割地域経済統合の強化とCPTPP加盟を絶え間なく追求するなか、台湾はグローバルな提携関係それぞれにおいて、機会と障害が複雑に絡み合っていることを認識している。シンガポール、ニュージーランド、日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナム、マレーシアといったパートナー諸国との間に慎重に築かれた提携関係は、経済的関与に対する台湾の戦略的アプローチの象徴である、挑戦と勝利という深遠な二面性を体現するものとなっている。A.シンガポールとのイノベーションおよび技術協力:巧みなバランス感覚台湾とシンガポールの提携関係からは、イノベーションと技術力が織りなすシンフォニーの響きが聴こえてくるようだ。このパートナーシップは、知識交換と共同研究の調和のとれた共鳴を約束するものであるが、困難とまったく無縁というわけでもない。台湾の技術主導型産業とシンガポールのイノベーションエコシステムが連携を行うとき、アイデアを市場性のある製品へと変換する道のりには相応の複雑さが待ち構えている。研究に関するシンガポールの専門知識を活用し、知的財産権保護をめぐる様々な可能性にも対処しながら、相互の技術進歩のための肥沃な土壌を育成する方向でバランスを取ることを通じて、台湾は多面的な課題を巧みに乗り切る力量を存分に知らしめている。例:台湾はシンガポールの科学技術研究庁(A*STAR)と、バイオテクノロジーや精密工学などの分野で共同研究開発に取り組んでいる。このパートナーシップにより画期的な医療機器や革新的な製造プロセスが開発され、台湾の製造能力とシンガポールの研究ノウハウの融合が生み出すパワーが証明された。B.ニュージーランドとの持続可能な開発パートナーシップ:環境問題への対応ニュージーランドとの戦略的提携関係は、持続可能な成長と環境への配慮という両者共通の願望を具現化するものだ。このパートナーシップにおいては、再生可能エネルギー、環境に優しい貿易慣行、責任ある資源管理における相乗効果を活用するための態勢が整っている。しかし、経済成長と環境保護の両立には困難が伴うだろう。公平な経済的利益を確保しながら持続可能な形で資源を利用することなどは、台湾の巧みなバランス感覚を示す一例である。経済拡大と生態系保護の両立ができるものかと疑問視する潜在的な批判に対処することで、責任ある成長を目指す台湾の真摯な姿勢は、現実的な駆け引きの導き手となる不朽の道標として輝きを放っている。例:酪農産業における台湾とニュージーランドのパートナーシップにおいては、持続可能な農法と環境に優しい生産方法が推進されてきた。ここでの協力関係は、台湾の酪農輸出を押し上げるだけでなく、責任ある資源管理の奨励を通じて、環境保護に真っ向から取り組むニュージーランドの姿勢を支援するものともなっている。C.メキシコ、チリ、ペルーとの地域経済の架け橋:文化的ダイナミクスへの適応メキシコ、チリ、ペルーを戦略的パートナーに迎え入れているという事実は、台湾が多様な文化的・経済的状況に適応する繊細な技を備えていることを物語っている。相互繁栄と市場アクセスを追求するには、各国の商習慣、法的枠組み、社会的価値観を仔細に理解する必要がある。規制基準との調和化、労働者の権利の確保、国によって異なる貿易特恵への対応などは、難易度が高いかもしれない。各国のアイデンティティを尊重しつつ共通の基盤を模索しようとする台湾のアプローチにおいては、文化的なニュアンスのレベルを超越した貿易関係を育むにあたって如才ない手際のよさが光っている。例:台湾によるメキシコの自動車分野への投資によって設立された製造施設は、雇用創出と地域経済の活性化につながっている。ここでの提携が技術的専門知識の交換を促し、自動車製造業界におけるハブとしてのメキシコの台頭と、北米市場における台湾の存在感の増大に貢献している。D.ベトナム、マレーシアとの貿易・投資の架け橋を育む:難関を切り抜ける力実際にベトナムとマレーシアは、半導体ならびにテクノロジー分野の発展に強い関心を示しており、TSMC社の成功モデルを手本にしている。CPTPP加盟国である両国は、強固なハイテク産業の育成が経済効果と雇用機会をもたらすという潜在的な可能性に気付いている。外国投資を誘致して経済成長を促すため、両国は技術力を強化し、これら分野で事業を展開する企業にとって有利な条件を整えるべく、多大な努力を払ってきた。両国のアプローチはTSMC社のモデルとは異なるかもしれないが、技術産業を強化し、世界市場を勝ち抜く力を持ったプレイヤーになる、という全体的な目標はいずれも同じである。ベトナムやマレーシアとの経済関係というデリケートな領域を渡り歩くには、駆け引きと絶妙なバランス感覚が必要だ。貿易ならびに投資の拡大を目指す両国に対し、台湾の側では各国特有の経済的優先順位と懸念事項を考慮することが不可欠となる。公正な競争、国内産業の保護、両当事者にとって公平な利益の確保といった問題に対処することは、持続可能で互恵的なパートナーシップを構築する上で極めて重要である。各国の状況に合わせた経済協力に向けて台湾が積極的に取り組んでいる事実は、貿易相手国の利益を尊重しつつ、成長と繁栄を促進しようという姿勢の証である。協調して課題に取り組み、機会を受け入れることによって、両国との提携関係はCPTPPの枠組みにおける調和のとれた経済統合に寄与するものとなる。結果として、すべての関係国が、共通の目標と相互協力によって生み出される相乗効果から利益を得るようになる。E.潜在的批判者への対応:繊細なバランス感覚戦略的提携のタペストリーを織り進めている台湾であるが、こうした多面的なアプローチの有効性を疑問視する潜在的な批判者にも巧みに対処している。例えば、シンガポールと台湾が包括的貿易協定を締結した際には、競争激化による雇用減少を懸念する声が批評家から上がっていた。だが、台湾が採用した先見の明のあるアプローチには、労働者のスキルアップや起業家精神育成のためのイニシアチブが含まれており、雇用の喪失を軽減するだけでなく、技術革新と新規事業による活気ある生態系をも作り出して見せた。チャンスと障壁のバランスを取って見せることで、台湾は経済的関与がもたらす報酬と複雑さの両方を丸ごと受け入れるという、現実的な姿勢を伝えている。個々の提携関係は、刻々と変化する世界経済の情勢に対して台湾が意図的に対応したことの現れであり、持続可能な成長、責任ある慣行、巧みなバランス感覚が織りなす台湾の断固とした姿勢を示すものである。例えば、貿易の拡大によって環境が被るおそれのある影響への懸念にあらかじめ備えるべく、台湾とニュージーランドは協力して持続可能な貿易認証プログラムの創設にあたっている。この取り組みによって、両国間で取引される製品が厳格な環境基準を遵守していることが保証され、環境影響に関する懸念が解消された。そうして責任ある貿易慣行の、よき先例となった。結局のところ、これまで紹介してきたような戦略的提携関係に後押しされた台湾の地域経済統合への道のりは、困難かチャンスか、という二者択一のレベルをゆうに超越している。踏み出す一歩一歩が、台湾の如才ない手際のよさと現実的な駆け引きの証しであり、まるで巧みな舞踏を見ているかのようだ。各パートナーシップにおいて生じる複雑な状況は、煩わしい障害というよりも、むしろ台湾の経済関係に豊かな彩りを加え、回復力、適応力、繁栄の共有という物語を紡ぎ出す、幾筋もの糸と形容するのが相応しいものだ。「戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartIV(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/
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2023/08/21 10:36
注目トピックス 経済総合
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartIII【中国問題グローバル研究所】
*10:14JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartIII【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。6.戦略的提携とCPTPP加盟地域経済統合をめぐるダイナミックな展開において、台湾による主要国との戦略的提携が、経済成長と協力関係を促進する上で重要であることが証明されている。市場アクセスの強化にとどまらず、グローバルな舞台において信頼に足りる、責任ある貿易相手国としての役割を台湾が担っていることを示すためにも、こうした提携関係は極めて重要である。ここからは、台湾の経済発展に大きなチャンスをもたらした、日本、オーストラリア、メキシコ、チリ、ペルーとの協力関係について検証しよう。A.日本との技術協力、イノベーション、持続可能な発展の推進日本との戦略的提携は、両国における技術協力の促進とイノベーションの推進に役立っている。こうした協力関係の代表的な例として挙げられるのが、日本国内におけるTSMC社の事業拡大である。半導体製造分野の世界的リーダーであるTSMC社は、日本企業と戦略的に提携して、最先端技術の開発や半導体研究の推進に取り組んでいる。この提携を通じて、台湾側は先端技術や研究能力における日本の専門知識を活用し、日本側はTSMC社が擁する最先端の製造プロセスや製造能力の恩恵を受けている。さらに、この提携関係は知識交換、共同研究開発イニシアチブ、人材流動化を促進し、相互の技術的進歩にも貢献している。ここでの戦略的パートナーシップによって、世界市場におけるハイテク大国としての台湾の地位は向上し、半導体産業における重要なプレイヤーとしての日本の地位も確固たるものとなった。この協力関係によって、両国が技術的影響力を拡大し、将来のイノベーション発展に役立つプラットフォームも誕生している。さらに、台湾と日本の戦略的提携関係は技術協力にとどまらず、持続可能な貿易や環境への取り組みにも及んでいる。環境保護とクリーンエネルギーソリューションに取り組む日本の姿勢は、持続可能性と責任あるビジネス慣行を重視する台湾の姿勢と共鳴するものだ。両国とも、気候変動への対応と、より持続可能な未来を実現するためのグリーンソリューション推進が急務であることを認識している。再生可能エネルギープロジェクトの実施や省エネ促進における日本の経験は、低炭素経済への移行を目指す台湾の努力とも合致する。二国間協定や共同イニシアチブを通じて、台湾と日本は再生可能エネルギー技術、廃棄物管理システム、環境に優しい製品などの分野で貿易関係を強化してきた。グリーンイノベーション分野における共同研究開発プロジェクトは、環境に優しいソリューションに対する世界的な需要の高まりに応える、革新的な製品の創出につながった。さらに両国は、気候変動対策を提唱して持続可能な開発を促進する国際フォーラムにも積極的に参加している。環境保護に共同で取り組むことにより、経済成長が促進されるだけでなく、気候変動を緩和し、より緑豊かで持続可能な地球を実現するための世界的な取り組みへの貢献にもつながっている。台湾と日本のパートナーシップは、差し迫った環境問題に対処し、より持続可能で豊かな未来への道を切り開くために各国がいかに協力できるかを示す、希望と進歩の道標となっている。B.オーストラリアとの、持続可能な貿易イニシアチブならびにクリーンエネルギーソリューションの推進オーストラリアが掲げるクリーンエネルギー構想の重要な柱のひとつが、化石燃料からの脱却と再生可能エネルギーの導入である。同国は太陽光、風力、水力エネルギーの利用において大きく前進し、温室効果ガス排出量の削減と、より持続可能なエネルギー環境の実現を果たしている。オーストラリアのクリーンエネルギーソリューションは、よりグリーンな環境の実現に貢献しているほか、多くの経済的機会をもたらしている。同国はクリーンエネルギー技術の研究開発への投資を積極的に行い、再生可能エネルギー分野における革新的産業の成長と雇用創出につなげている。さらに、責任あるエネルギー消費と省エネ対策を重視するオーストラリアの姿勢は、他の国々が模範とすべき手本ともなっている。様々な政策やイニシアチブを通じて、オーストラリアは企業や個人に対して持続可能な慣行の導入を奨励しており、二酸化炭素排出量の削減や、よりクリーンな地球の実現に貢献している。台湾とオーストラリアによる戦略的提携は、持続可能な貿易イニシアチブとクリーンエネルギーソリューションの推進に重点を置くものだ。両国は環境保護ならびにグリーンな慣行に対する責任意識を共有しており、持続可能な経済成長を目指す台湾の取り組みにとって、オーストラリアは理想的なパートナーである。両国の提携関係は、環境に優しい貿易慣行、再生可能エネルギープロジェクト、環境保護を最優先した責任あるビジネス慣行に重点を置いたものとなっている。オーストラリアの豊富な天然資源とクリーンエネルギー技術に関する専門知識を活用することで、台湾はイノベーションを推進し、環境に優しい製品やソリューションの開発を促進することができる。この提携関係を通じて台湾は、グリーン製造と責任ある貿易への真摯な取り組みの屋台骨となる、クリーンエネルギーと持続可能な資源の信頼できる供給源を得ている。同時に、オーストラリアの側も、台湾からの投資と技術移転による恩恵を受け、自国の経済成長と技術進歩に貢献している。ここでの戦略的パートナーシップは、地域経済統合に向けた台湾の取り組みを強化し、持続可能な貿易イニシアチブの責任ある積極的な加盟国としての評判を高めることにつながっている。C.メキシコ、チリ、ペルーとの貿易・投資提携:北米と中南米をつなぐ重要な架け橋を強化台湾とメキシコ、チリ、ペルーとの戦略的提携関係は、北米と中南米の経済を結びつけて関係国間の貿易・投資機会の拡大を促す、極めて重要な架け橋として注目を集めている。メキシコは米国にとって主要な輸出国であり、提携関係を結ぶことによって、同国が擁する安定した貿易ルートを通じて台湾から北米市場にアクセスする、という大きな可能性を秘めている。その多様な経済環境と戦略的立地からしても、市場拡大を目指す台湾企業にとってメキシコは魅力的なパートナーである。これに対してチリとペルーは、台湾がラテンアメリカ市場に参入するための貴重な機会を提供している。いずれも輸出志向の経済が盛んで天然資源に恵まれていることもあって、これら地域への投資を目指す台湾企業にとって有利な展望が開けている。台湾では、オーストラリアと共に掲げるクリーンエネルギーソリューションのコンセプトを重視しているが、その点では、持続可能な開発と再生可能エネルギープロジェクトを重視するチリとも足並みが揃いやすい。クリーンエネルギー分野でチリと協力することにより、両国に利益をもたらす技術交流や研究イニシアチブへの道を開き、気候変動に対抗する世界的な取り組みにも貢献できるだろう。これに加えて、ペルーの豊富な天然資源と戦略的立地が、台湾が南米における貿易と投資のプレゼンスを高める機会を提供してくれる。ペルーとの提携関係においては、鉱業、農業、製造業といった分野での協力が相互の成長促進につながるだろう。メキシコ、チリ、ペルーと貿易上、投資上の強力な提携関係を結ぶことにより、台湾はアメリカ大陸全域へと経済圏を拡大し、北中南米経済の架け橋として極めて重要な役割を果たすことができるだろう。各国の強みを活かし、持続可能な発展への真摯な姿勢を共有するこの戦略的提携関係は、すべての関係国に相互繁栄と経済成長への有望な道筋を提供するものとなる。台湾が北中南米地域の経済統合に積極的に参加する状況において、この提携関係は、グローバルな舞台において台湾が責任ある包括的な貿易慣行に努めていることの証となる。Part IVに続く写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/
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2023/08/21 10:14
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】欧米PMI、ジャクソンホール会合、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁講演
*07:49JST NYの視点:【今週の注目イベント】欧米PMI、ジャクソンホール会合、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁講演
今週は、欧米のPMIに加えて、24日から26日にかけてワイオミング州、ジャクソンホールで開催される23年度の経済シンポジウムに注目が集まる。各国でインフレ長期化で、急速にすすめられた金融引き締めがピークに近づく中、財務相、中銀総裁などが経済や金融政策を巡り議論する。FRBのパウエル議長やECBのラガルド総裁は25日に講演を予定。利上げ終了の条件などが焦点となる。この会合は度々、FRB議長が政策変更などを巡りヒントを与える場として利用しているため、議長の発言に注目が集まる。経済が想定以上に強く景気後退も回避可能との見方も強まりつつある。ロイターの調査によると、回答したエコノミストの半分はFRBの利下げが少なくとも来年4月以降になると見ていることが明らかになった。同時に、金利が十分に高い水準との見方も強く、9割が9月の利上げ見送り、8割が年内の利上げはないと見ている。FRBが金融政策を決定する上で特に注視しているコアインフレは鈍化基調を維持しているものの目標2%には程遠い。さらに、金融システムは強く、不透明感は残るが地銀などの金融混乱は収拾しつつあり、ほとんどの金融政策者は追加利上げを除外していない。先々週公表された前回会合の議事要旨でも追加利上げの可能性に言及している。議長は今後の金融政策が経済やインフレの動向次第との姿勢を大きく修正するとは考えにくい。ただ、前回会合以降に発表された6月コア物価指数や7月の消費者物価指数(CPI)は前月に続き鈍化傾向を維持。FRBの望む方向に進んでいることが証明されている。10年債利回りは2007年以降の高水準に達するなど警戒感も高まり始めた。もし、議長がタカ派色を弱めた場合はドル買いの勢いが失速する可能性がある。そのほか23日には共和党大統領候補の討論会が予定されており、注目イベントだ。ただ、最近の世論調査で最有力候補と見られているトランプ前大統領は欠席する意向。■今週の主な注目イベント●米国22日:7月中古住宅販売件数、8月リッチモンド連銀総裁、グールズビー米シカゴ連銀総裁講演23日:8月製造業・サービス業PMI、7月新築住宅販売、共和党大統領候補の討論会24日:週次新規失業保険申請件数、7月耐久財受注速報値、8月カンザスシティ連銀製造業活動指数、ジャクソンホール会合(26日まで)25日:8月ミシガン大消費者信頼感指数確定値(25日)、パウエルFRB議長講演●中国22日:国家主席、南ア大統領と会談●欧州23日:ユーロ圏サービス&製造業PMI、消費者信頼感、仏、独製造業PMI25日:独IFO、GDP、ラガルドECB総裁がジャクソンホール会合で講演●日本25日:東京CPI●英23日:製造業PMI
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2023/08/21 07:49
注目トピックス 経済総合
注目の欧米経済指標:7月米耐久財受注は反動減の予想
*14:42JST 注目の欧米経済指標:7月米耐久財受注は反動減の予想
8月21日-25日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■22日(火)午後11時発表予定○(米)7月中古住宅販売件数-予想は415万戸参考となる6月実績は416万件。また、中古住宅販売価格(中央値)は前年同月比-0.9%。販売価格は伸び悩んでいるが、在庫水準が低いことが要因。7月については在庫水準の回復は期待されていないことから、6月実績と同水準となりそうだ。■23日(水)午後5時発表予定○(欧)8月HCOBユーロ圏製造業PMI -7月実績は42.7参考となる7月実績は42.7で2020年5月以来の低水準。インフレ鈍化につながる数値となった。8月については生産や新規受注がさえない状況となっており、大幅な改善は期待できない。■23日(水)午後10時45分発表予定○(米)S&Pグローバル8月サービス業PMI -予想は52.0参考となる7月実績は市場予想を下回った。営業経費の増加が影響しているものとみられる。8月については賃金コストの上昇が引き続き影響すると予想されており、7月実績と差のない水準にとどまる見込み。■24日(木)午後9時30分発表予定○(米)7月耐久財受注-予想は前月比-4.0%6月実績は前月比+4.7%。民間航空機の受注増が要因。コンピュータ、金属、通信機器の受注増も目立った。航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は前月比+0.2%。7月については民間航空機の受注減が予想されることから、6月に増加した反動で全体的には減少するとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・21日(月):(中)1年物LPR・22日(火):(欧)6月ユーロ圏経常収支・23日(水):(独)8月製造業PMI、(英)8月サービス業PMI、(米)7月新築住宅販売件数・25日(金):(独)4-6月期国内総生産改定値
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2023/08/19 14:42
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.04%高でスタート、金融緩和期待が高まる
*10:49JST (中国)上海総合指数は0.04%高でスタート、金融緩和期待が高まる
18日の上海総合指数は買い先行。前日比0.04%高の3165.10ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.39%高の3176.02ptで推移している。金融緩和への期待が高まっていることが支援材料。来週21日に発表される最優遇貸出金利「ローンプライムレート(LPR)」については、銀行貸出の指標となる1年物と住宅ローン金利の指標となる5年物がそれぞれ引き下げられると見込まれている。一方、足元での景気低迷や米利上げの長期化観測などが指数の上値を抑えている。
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2023/08/18 10:49
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米製造業は景気後退域から脱した可能性も
*07:43JST NYの視点:米製造業は景気後退域から脱した可能性も
米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は12.0と予想外に1年ぶりのプラスに改善し昨年4月来で最高となり、製造業は景気後退域から回復した可能性が示唆された。市場は12カ月連続のマイナスを予想していた。景況指数:12(7月-13.5)新規受注:16(―15.9)仕入れ価格:20.8(9.5)出荷:5.7(-12.5)受注残:-4.8(-15.1)入荷遅滞:-7.0(-12.9)在庫水準:-10.2(-1.0)雇用者数:-6.0(-1.0)週平均就業時間:6.3(-3.0)6カ月先景況指数:3.9(7月29.1)新規受注:18.2(38.2)仕入れ価格:53.0(33.8)出荷:14.9(37.3)受注残:3.8(9.2)入荷遅滞:-11.3(-5.5)在庫水準:12(21.3)雇用者数:12.0(21.3)週平均就業時間:8.3(16.5)先行指標のひとつとなる同指数の改善で、8月ISM製造業景況指数も景気後退域を脱し、活動の拡大となる50を回復する可能性もでてきた。7月景気先行指数はISMの新規受注の落ち込みが響き16カ月連続でマイナスとなったため、今後12カ月後の景気後退入りを示唆しているとの警戒感も根強い。しかし、もし、8月にISM指数が改善すると、景気後退観測も緩和することになる。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げを正当化する新たな材料になる可能性もある。
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2023/08/18 07:43
注目トピックス 経済総合
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartII【中国問題グローバル研究所】
*15:52JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartII【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。4.CPTPP加盟に立ちはだかる課題:英国および中国の影響台湾のCPTPP加盟には様々な難題が複雑に絡み合っているが、その顕著な例として挙げられるのが、英国の加盟ならびに中国が担っている複雑な役割をめぐる最近の動向である。こうした展開においては、外部との提携関係を活用した戦略的アプローチによって台湾がこれらの課題を克服し、さらには念願である協定内における地位を確実にすることが必要となる。A.英国の加盟ならびにその影響英国のCPTPP加盟は、協定の動態に新たな局面をもたらした。台湾にとって、英国が加盟に成功したことは貴重な示唆を与えてくれる。台湾の願望をそのまま具現化したような英国の加盟は、先進的な貿易原則、持続可能性、公平な貿易慣行を旨とする国々にとってのCPTPPの魅力を示す好例である。価値観を共有している点を強調し、自国の加盟によって協定の影響がどれだけ拡大するかを示すことで、台湾は英国との類似性を有利に利用できる。英国の加盟が世界経済における同協定の地位を向上させたように、台湾の加盟もまた、地域経済に極めて重要な貢献を果たすことだろう。B.中国が担う複雑な役割とその影響対照的に、CPTPP加盟を目指している中国ではあるが、協定の厳格な基準を満たす準備ができているかという点が懸念されており、主としてこれに起因する障壁に直面している。こちらのシナリオは、自国の加盟に向けて舵取りを行う台湾に貴重な教訓を与えてくれる。すでに築かれている協力関係、特にシンガポールやニュージーランドとの協力関係は、CPTPPの厳しい基準を守らんとする台湾の心構えを示す強力なツールとなる。中国加盟の可能性が生じさせた複雑な状況に照らせば、国際的な規範に合わせて自国の経済慣行を慎重に調整し、協定の統合性を強化しつつ加盟国候補としての有望度を高めることの必要性を軽視することはできない。上記の難題に取り組むにあたって、台湾の戦略的提携関係は極めて重要な資産となる。シンガポール、ニュージーランド、その他のパートナーとの協力関係は、障壁を乗り越えチャンスを掴むために必要な知恵と洞察力を台湾に与えてくれる。これらの同盟関係を頼りにすれば、CPTPP内における台湾の立場を強化し、ダイナミックな地域経済エコシステムの育成に対する自国の責任を再確認し、グローバルな舞台での影響力を増大さることも可能だろう。C.順番待ちを余儀なくされる台湾 ― 加盟への熱望地域貿易の潮流が変化するなか、台湾はCPTPPへの参加を強く望んでいる。貿易自由化、高い基準、世界経済の相乗効果を目指して地道な努力を続けている台湾は、アジア太平洋地域における主要貿易相手国としての地位を活かし、CPTPPへの扉の鍵を開けようとしている。台湾が加盟となれば、経済関係の強化、市場アクセスの強化、そして重要分野におけるイノベーションの活性化は約束されている。ただし、中国の反対と影響力が落とした影によって台湾は順番待ちリストに追いやられており、こうした複雑な状況を解きほぐして協定内での正当な地位を獲得するには、巧妙かつ戦略的な立ち回りが必要だ。台湾に約束されているもの:CPTPPというカンバスには、台湾の経済情勢を一変させるようなひと塗りをいくつも重ねられる可能性が広がっている。広々とした画面に描かれた、11の加盟国が登場する色鮮やかな図柄の上で、輸出や事業拡大の新たな道を切り開けるという状況を想像してみてほしい。CPTPPによって貿易障壁が解消され、複雑化した関税の問題が整理されれば、特に電子機器、機械、繊維などの基幹産業において、国際貿易における台湾の競争力はより輝きを増すだろう。さらに、2016年から2022年にかけて12もの規則を策定するなど政府も積極的に取り組んでおり、ビジネスに優しい政策の糸によるタペストリーが織り上げられている。台湾の決意を物語るこうした規則であるが、規制の合理化によるビジネス環境の向上を通じて、国外からの投資に適した環境を醸成し、経済繁栄の勢いを強めることにつながっている。今後の課題:CPTPP加盟への道のりには、CPTPPの既存加盟国ごとに微妙に異なる色合いを帯びた課題がつきまとう。台湾がこれらの国々と「二国間貿易協定」(BTA)交渉に臨む際には、各国特有の事情を考慮する必要がある。カンバスの絵柄は刻々と変化する。カナダは農業政策、食の安全、環境保護における安心を求め、オーストラリアは知的財産権とその保護に焦点を当て、メキシコは労働者の権利と労働基準を重視する。積極的な対話と各国の優先事項との調和に注力することで、台湾は信頼という大作を生み出し、CPTPPの厳格な基準を満たさんとする揺るぎない決意を示せるだろう。現加盟国とのBTA交渉が成功すれば、カンバスに見た目の上での華やかさが加わるだけでなく、台湾加盟の先触れとなり、CPTPPにおいて信頼に足る、説明責任を果たせる、価値あるパートナーとしての地位を固めるための大切なひと塗りとなる。5.二国間貿易協定の強化:主要パートナーが担う役割地域経済の統合強化を目指し、CPTPPにさらに食い込もうとしている台湾は、国際的協力関係が果たす重要な役割についても十分認識している。こうした協力関係は、より広範な経済協力のための土台を築き、シンガポールやニュージーランドなど主要パートナーとの強い絆を育むのに役立ってきた。さらに、台湾の半導体大手TSMC社も、台湾の経済状況を向上させ世界的評価を高める上で極めて重要な役割を果たしている。台湾が地域および世界貿易における重要な参加国としての地位をさらに強固なものにする一方で、カナダとの「外国投資促進保護協定(FIPA)」のような新たな提携関係が、投資、技術革新、責任あるビジネス慣行の促進を目的とした戦略的パートナーシップに加わっている。A.技術革新・技術分野におけるシンガポールとの協力関係強固なイノベーションエコシステムで知られるシンガポールは、戦略的な国際的提携関係の機会を台湾に提供している。研究開発イニシアチブ、共同イノベーションプロジェクト、技術移転プログラムでの協力を通じて、台湾はシンガポールの高度なインフラとイノベーションに関する専門知識を活用している。ここでの協力関係は、両国のハイテク産業の成長を促進するだけでなく、新たな市場への扉を開き、グローバルな競争力の強化につながっている。台湾の製造能力とシンガポールの技術革新能力との相乗効果により、世界中の見込み投資家や貿易相手国に提案できるだけの強力な価値が生まれる。この提携関係を通じて、台湾は最先端技術へのアクセスならびに市場拡大の機会を得ており、経済成長の促進と、地域における台湾の地位強化につながっている。B.ニュージーランドとの持続可能な開発パートナーシップ持続可能な開発に真摯に取り組む台湾と、環境保護ならびにグリーンイニシアチブに重点を置くニュージーランドとは、ぴったり歩調が合っている。持続可能な慣行とクリーンテクノロジーを軸としたグローバルな提携関係を通じて、台湾はニュージーランドと協力し、環境に優しい製品やソリューションの開発、普及を進めている。気候変動への対応、再生可能エネルギーの促進、環境に配慮した政策の実施といった共同の取り組みによって、責任感があり環境に配慮した貿易相手国としての台湾の評判は高まっている。ここでのパートナーシップは経済成長を促進するだけでなく、持続可能性と責任ある世界市民としての台湾の地道な努力をも証明している。C.カナダとのFIPAならびに教育文化交流が担う役割台湾が包括的な経済統合への道を歩み始めた今、国際的協力関係の重要性がクローズアップされており、なかでもカナダとの間で最近締結された「外国投資促進保護協定」(FIPA)に注目が集まっている。この二国間貿易協定は台湾の外交・経済戦略の要であり、投資、技術革新、責任あるビジネス慣行の促進に対する台湾の真摯な姿勢を示す一例となっている。カナダとのFIPAは、経済パートナーシップの深化を意味するだけでなく、戦略的協力関係から生まれる相互利益を浮き彫りにするものでもある。カナダとのFIPAの特徴の1つが、台湾とカナダの教育・文化交流を促進する役目を担っている点である。この協定は、異文化理解、学術協力、人材育成の促進を通じて、双方の未来に投資するという意味合いを帯びている。台湾の学生は教育交流プログラムを通じてカナダで学ぶ機会を得て、多様で豊かな学習環境を体験できる。同様に、カナダの学生も台湾の教育機関と関わることで、グローバルな視点が養われ文化的な共感が育まれて、グローバルな意識を持つ市民の層が広がることになる。こうして知識やアイデアを交換することは、二国間関係の強化につながるだけでなく、技術革新や起業家精神を向上させ、両国の社会を豊かにし、より広範な経済協力の実現に役立つ土台を築くことにもつながる。カナダとのFIPAが促進する教育的・文化的交流は、教室からその外へ、ビジネスの領域にまで広がっている。異文化への対応能力と国際的な人脈を獲得して帰国した学生たちは、経済成長ならびに協力関係を促す触媒となる。多様な視野を備えたこれらの人材が、各国の技術、貿易、技術革新の発展に貢献することになる。さらに、教育交流を通じて築かれた文化的な結びつきは、人と人とのつながりを強くし、互いの価値観や伝統、経済面における野心をより深く理解するための肥沃な土壌となる。この文化的な結びつきによって経済的提携関係はさらに強固なものとなり、戦略的協力がいかに貿易の領域を超え、包括的かつ人間中心のメリットをもたらし得るかのモデルとなるような、結束力の高いパートナーシップが生まれている。経済統合をめぐる複雑な流れのなかで、カナダとのFIPAとその結果として生まれた台湾とカナダの教育・文化交流は、単なる取引協定の域を超えた色合いを持ったアプローチの一例となっている。この多角的なパートナーシップは、経済成長は人的資本の発展、異文化理解、知識の追求の共有と無関係のものではない、という信念を明確に示している。経済協力と教育・文化交流とを関連付けることで、台湾とカナダはダイナミックで強靭な提携関係の基礎を築き上げ、両国の経済を向上させるだけでなく、グローバルな協力関係をより豊かなものとしている。Part IIIに続く写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/
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2023/08/17 15:52
注目トピックス 経済総合
戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartI【中国問題グローバル研究所】
*10:14JST 戦略的提携とグローバル・パートナーシップが拓く、 台湾CPTPP加盟への道 PartI【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。1.序論:CPTPP加盟をめざす台湾の戦略的方向性地域経済の統合化を目指す台湾を象徴するような極めて重要な戦略的試みとして、台湾は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP:Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)への加盟を目指している。アジア太平洋地域11か国という多様な経済圏を包含する多国間貿易協定CPTPPは、影響力も相当のものになる。強固な経済統合と貿易協力を促すよう設計されたCPTPPは、貿易関連の問題に幅広く対応することで、従来の貿易協定よりもさらに先へ踏み出したものとなっている。ここでは、広範な品目で関税を撤廃/削減すること、規制基準の調和を促進し、知的財産権を保護し、投資を促進し、持続可能で責任あるビジネス慣行を促進することをめざしている。同協定では、紛争解決や貿易の非関税障壁に対処するための仕組みについての規定も網羅されている。CPTPPの目指すところは、オープンかつ公平な貿易環境の醸成をすることにより加盟国の経済成長を促し、国際的なパートナーシップを深め、ダイナミックかつ相互につながり合った形での世界経済発展に貢献するプラットフォームを創生することにある。CPTPP加盟に向けて台湾が舵を切るとき、国際的協力関係の重要性が、そのアプローチの要として浮上してくる。こうした提携関係は、課題の克服にとどまらず機会の増大にもつながっており、経済統合に向かう台湾の歩みを導いている。CPTPPには、市場アクセスの向上や世界貿易における地位の強化を通じて、台湾の経済状況を向上させるとの期待がかかっている。しかし、この道筋には困難がつきまとう。その最たるものが、「一つの中国」政策をもって台湾の参加を阻もうとする中国の複雑に入り組んだ政治的影響力である。こうした障壁があろうとも、CPTPPがもたらす変革の可能性を存分に活かしたいという台湾の決意が揺らぐ様子はない。障害を乗り越えるには、鋭敏かつ俊敏な国際的協力関係が不可欠であるという認識が、台湾にはある。利益と価値観を相互に共有する国々とパートナーシップを結ぶことで、台湾は中国の影響力に対抗し、その地位を強化し、実質的な経済統合への道を開こうとしている。こうした協力関係は台湾の政治手法における生命線であるとともに、包括的かつ公平な地域経済成長の探求に弾力性をもたらしている。本稿では、CPTPP加盟と地域経済統合に向けた台湾の歩みを、戦略的提携とパートナーシップに焦点を当てて掘り下げてみたい。以下の各項では、CPTPP加盟をめざす台湾のアプローチ、主要パートナーとのダイナミックな協力関係、経済統合を推進する上での「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」のような構想の重要性について探っていく。今回の検証により、台湾の掲げる戦略的提携と積極的戦略が、CPTPP加盟への努力をいかに支え、より広範な国際貿易ならびに国際協力の展望にいかに貢献しているかが明らかになるだろう。2.「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」の役割「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」は、地域経済統合の推進を目指して台湾が起伏に富んだ旅を続けるための道標となっている。協力と相互利益の原則に根ざしたこの包括的貿易協定は、台湾の経済的展望を刷新するほどの可能性を秘めている。この協定は、自由で公正な貿易慣行を旨とする台湾の確固たる決意を強調するものであり、台湾には経済協力の新たな道を切り開く準備ができたことを国際社会に示すものである。このイニシアチブにおいて特筆すべき目的の1つが、「台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company、略称:TSMC、台積電)」のサクセスストーリーに代表される、イノベーションと技術協力の促進である。半導体製造における世界的リーダーであるTSMCは、台湾のハイテク輸出を牽引してきた。技術革新と技術協力の促進に重点を置いたこのイニシアチブは、米国での事業展開を拡大するためのプラットフォームをTSMCに提供している。同イニシアチブを通じて、TSMCは米国のハイテク企業や研究機関と戦略的パートナーシップを結んできた。こうした協力関係によって知識、研究、専門知識の交換が促され、先端的半導体技術の発展につながっている。米国内で利用できるリソースや専門知識を活用することで、TSMCは研究開発能力を強化し、さまざまな産業に電力を供給する最先端の半導体チップを製造できるまでになった。さらに、同イニシアチブでは貿易障壁の削減と公正な貿易慣行の推進にも重点が置かれ、TSMCによる米国内での市場アクセス改善につながっている。市場参入規模が拡大したことでTSMC製品に対する需要が増加し、収益増加と市場における存在感の強化という結果をもたらした。また、知的財産権の保護に重点を置いたことで、TSMCの革新的技術が守られ、グローバルな舞台において継続的に競争力を発揮できる要因となっている。TSMCのサクセスストーリーは、このイニシアチブがいかに技術革新を促進し、技術協力を強化し、戦略的重点分野における経済成長を促進しているかを示す好例である。ハイテク産業に限らず、同イニシアチブの影響は農業など他の分野にも波及しており、台湾の輸出業者による米国市場へのアクセス拡大を後押しする。例えば、台湾の繊維・アパレル産業は高品質の製品作りによって高く評価されており、CPTPPは台湾のブランド企業が国際市場で成功するための大きな機会を提供してきた。同イニシアチブではイノベーション促進のほかにも、持続可能な貿易慣行、環境協力、労働権の保護に重きを置いている。持続可能性を推進するための取り組みの一環として、例えば台湾の自転車メーカーでは、環境に優しい素材、エネルギー効率の高い製造工程、廃棄物削減戦略を採用している。こうした原則に沿うことで、台湾は責任あるビジネス慣行に対する責任感を示し、持続可能な経済成長の実現を目指すグローバルな取り組みにおける、重要なパートナーとしての地位を確立している。このイニシアチブを通じて台湾は米国との貿易パートナーシップを強固なものにし、グローバルな協力関係の強化を積極的に推進している。ここでの協力精神は経済成長の域を超え、価値観の共有であるとか豊かな未来を求める強い志向にまで及んでいる。貿易イニシアチブは台湾が他の重要なパートナーとの架け橋を築くための強固な基礎となり、個々の協力関係を通じて、経済的活力と責任ある貿易慣行を武器に世界に貢献するという、台湾の決意が強化されていくことになる。今後、このイニシアチブの可能性を最大限に生かすべく真摯に取り組むことが、台湾CPTPP加盟への道筋を形成する上で極めて重要な役割を果たすだろう。パートナーシップから生まれる勢いを利用することで、台湾は自国特有の課題に効果的に対処し、産業を国際基準に合わせてレベルアップさせ、地域経済統合が実現した暁にはそこでの地位を確立できるようになる。3.貿易イニシアチブが台湾の各分野にもたらす影響「21世紀の貿易に関する台米イニシアチブ」は経済成長を大きく促す可能性があり、その影響は台湾の様々な分野にも広く及んでいる。同イニシアチブの発足は、新たな協力関係の時代が到来したことを告げるものであり、また、持続的な発展を確保するための戦略的対応を必要とする転換の前触れでもある。第一に、米国との貿易交流の拡大は国内産業にチャンスと課題の両方をもたらす。米国企業が参入することで、国内の自動車組立工場や食品加工業界は競争への不安を感じるかもしれないが、かかる競争自体が技術革新と効率性向上のための触媒として機能する可能性もある。イノベーション奨励策や技術投資を通じて台湾政府がこれら産業を戦略的に支援することは、競争力を強化するだけでなく、グローバルな舞台で活躍する優れたプレイヤーとしての地位確立にもつながるだろう。農業分野では、米国からの輸入増加に対する台湾農家たちの懸念は至極もっともなものであり、適切な介入が必要だ。政府が事前対応的アプローチを行う際は、公正な競争と公平な土俵を確保するための仕組みを包含すべきだろう。イノベーションを促進し、独自の価値提案を後押しすることで、台湾の農業部門は変わりゆく状況をたくましく乗り切り、品質と持続可能性を旗印に掲げて台頭してゆくことができるだろう。同様に、労働慣行と安定的な雇用に力を注ぐことも非常に大切だ。貿易と投資の流れが活性化するのに伴い、台湾の労働力は労働動態の調整という荒波に直面する可能性がある。変化する市場ニーズが求める適応力とスキルを労働者に身につけさせる上でも、スキルアップ、リスキリング、労働力育成プログラムへの戦略的投資が重要になる。要するに、このイニシアチブがもたらす影響は多面的なものであり、包括的かつ適応性に優れたアプローチが必要になる、ということだ。協定が掲げる理念と国内戦略を整合させることで、台湾はイノベーション、持続可能性、戦略的な課題管理が経済成長の原動力となる未来への準備を整えている。イニシアチブがもたらす利益を確保し、地域経済統合という枠内で台湾が前へ進むためには、こうした積極的な姿勢が不可欠である。Part IIに続く写真: AP Photo/Esteban Felix(※1)https://grici.or.jp/
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2023/08/17 10:14
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米FRBは追加利上げ除外せず、利下げ程遠い
*07:42JST NYの視点:米FRBは追加利上げ除外せず、利下げ程遠い
米連邦準備制度理事会(FRB)は公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25-26日会合分)でインフレの著しいリスクが見られ追加引き締めが必要となる可能性を指摘した。同時に、議事要旨では、メンバーの見解の相違も明らかになった。この会合でFRBは0.25%の利上げを再開したが、2人のメンバーは政策金利の据え置きを支持した。ほとんどのメンバーが両サイドのリスクに言及しているなど、内容は中立とも言える。数人のメンバーは銀行の信用状況の引き締めが予想より強化されており、予想以上の景気減速につながる可能性を懸念。23年には景気後退は予想しておらず、24年―25年の経済成長が抑制されるとの見通し。次の金融政策の決定に関しては、経済やインフレのデータ次第であることが再確認された。7月会合後に発表された7月のインフレ指標は6月に続きインフレ鈍化の傾向を維持したため、来週、ワイオミング州、ジャクソンホールで開催される米カンザスシティー連銀主催の国際経済シンポジウムでのパウエル議長の講演での発言は若干タカ派姿勢が弱まる可能性もある。しかし、消費は予想以上に強く、さらに住宅市場は底入れ。アトランタ連銀の7-9月期国内総生産(GDP)成長見通しは5.8%まで引き上げられるなど、景気減速の兆しは見当たらない。基本的には利下げには程遠いとの見解が再表明される可能性が強い。
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2023/08/17 07:42
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.36%安でスタート、景気の先行き不安が高まる
*10:55JST (中国)上海総合指数は0.36%安でスタート、景気の先行き不安が高まる
16日の上海総合指数は売り先行。前日比0.36%安の3164.70ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時51分現在、0.50%安の3160.18ptで推移している。弱い経済指標など景気の先行き不安の高まりが圧迫材料。7月の主要な経済指標はそろって予想を下回った。また、成長予想が下方修正されたことも嫌気されている。ほかに、米金融機関の不透明感などもリスク回避の売りを加速させている。
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2023/08/16 10:55
注目トピックス 経済総合
コラム【ポートフォリオのススメ】失敗できる運用・失敗できない運用(マネックス証券 塚本 憲弘)
*09:30JST コラム【ポートフォリオのススメ】失敗できる運用・失敗できない運用(マネックス証券 塚本 憲弘)
個人のポートフォリオは皆異なります。リスクを取りたい人は株式等リスク資産中心となる一方、リスクを取りたくない人は債券等保守的な資産が中心となります。また、年齢によっても異なるべきものです。年齢=安全資産割合という考え方があります。20歳であれば20%が保守的資産、残り80%はリスク資産となり、逆に80歳であれば80%が保守的資産の目安です。若いうちはリスクを取り、年齢と共に徐々に保守的になるべきということですね。資産運用は収入がある第一ステージと退職後の第二ステージに大きく分けられるでしょう。第一ステージは定期的な積み立てを前提とすれば資産運用額は増加していく一方、第二ステージは資産の取り崩しが勘案される時期です。よって同じリターンでも前者では資産の増加は加速しますが、後者では資産を引き出すことで投資元本が減少します。また投資を始めてすぐに金融危機が来た場合を考えてみましょう。第一ステージではやり直しがきく点で大きな問題にならず、重要なのはその後の長期的なリターンとなりますが、退職金で投資をしてそのような経験をした場合その後の回復は容易では無く注意が必要です。つまり両者では投資期間が異なることでリスク許容度も異なっており、またリターンについても第一ステージでは目標値が高くあるべきですが、第二ステージではリターンよりもリスクが重視され、また運用の目的も第一ステージの資産形成と異なる多様なものになるでしょう。もう一つ考えるべきはインフレです。2%の物価上昇が20年続くと現金の価値は2/3になります。第一ステージでは基本的に収入がインフレ連動ですし、積み立てによるリスク資産運用でカバーされますが、収入の無い第二ステージでは資産の引き出しも重なることで運用資金は枯渇するリスクが出てきます。このように第一ステージと第二ステージとでは運用を取り巻く環境が大きく異なります。第二ステージにおける諸課題への対応として投資タイミングを分散するドルコスト平均法が良く引き合いに出されます。一括投資とどちらが良いのか?過去を見てもタイミング次第で優劣の示し方は変わってきますが、行動経済学的に言えば、先行きなど絶えず不透明な中で運用に踏み込む気持ちの整理がつきやすい投資手法でしょう。金融市場の動向を観察しリスク/リターンを確認することも大切ですが、運用の状況や目的など自分を理解することは大変重要です。前回はその参考になる考え方としてゴールベース運用について簡単に触れましたが、運用は市場に対峙するのではなく自分に対峙することが大切です。マネックス証券 インベストメント・ストラテジーズ 塚本 憲弘(出所:8/14配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
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2023/08/16 09:30