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注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:3月米CPIは2月実績を下回る可能性 *13:49JST 国内外の注目経済指標:3月米CPIは2月実績を下回る可能性 4月7日-11日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■8日(火)午前8時50分発表予定○(日)2月経常収支-予想は+3兆7718億円1月実績は-2576億円で2年ぶりの赤字。中国の旧正月の影響で日本からの輸出が鈍化し、輸入額が増えたことが要因。2月については貿易収支の改善が予想されること、第一次所得収支は高水準の黒字が予想されることから、経常収支は大幅な黒字となる見込み。■10日(木)午前10時30分発表予定○(中)3月消費者物価指数-予想は前年比+0.1%2月実績は前年比-0.7%。旧正月の春節の大型連休が去年と比べて早く終わったことで旅行関連の価格が下落したことなどが要因。3月については個人消費の回復は遅れているため、インフレ率は低い伸びにとどまる見込み。■10日(木)午後9時30分発表予定○(米)3月消費者物価コア指数-予想は前年比+3.0%2月実績は前年比+3.1%。3月についてはサービス価格や帰属家賃の伸び率は鈍化しているため、コアインフレ率は2月並みの水準にとどまる可能性がある。■11日(金)午後11時発表予定○(米)4月ミシガン大学消費者信頼感指数-予想は55.0参考となる3月実績は大幅に悪化。トランプ米大統領の関税措置によってインフレ再燃が警戒されたことが要因。4月については、物価高と経済の弱体化が引き続き警戒されており、信頼感の改善は期待薄。○その他の主な経済指標の発表予定7日(月):(欧)2月小売売上高9日(水):(NZ)NZ準備銀行政策金利発表11日(金):(米)3月生産者物価指数 <FA> 2025/04/05 13:49 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米3月ISM非製造業景況指数の雇用は予想外に活動縮小域、雇用削減数は20年5月来で最高、雇用統計に警戒感 *07:34JST NYの視点:米3月ISM非製造業景況指数の雇用は予想外に活動縮小域、雇用削減数は20年5月来で最高、雇用統計に警戒感 米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM非製造業景況指数は50.8となった。2月53.5から予想以上に低下し、昨年6月来で最低となった。ただ、9カ月連続で、拡大と縮小の境目となる50を上回り、拡大域を維持した。重要な項目である新規受注は50.4とやはり昨年6月来で最低となり、指数を押し下げた。ただ、9カ月連続で50を上回った。仕入れ価格は60.9と、2月62.6から低下したことは連邦準備制度理事会(FRB)にとり朗報となる。2017年5月以降50を上回る水準にある。一方、雇用は46.2と、予想外に昨年9月来の活動の縮小域に落ち込んだ。23年12月来で最低となった。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した3月の雇用削減数は前年比204.8%増277.524万人と、20年5月来で最高に達した。2月の103.2%増に続き、2か月連続で大幅な増加となった。23年8月来で最大の伸びを記録した。政府効率化省(DOGE)関連の削減で政府職員の削減は過去2カ月で28万人を上回った。また、直近の新規失業保険継続受給者数が190.3万人と、2021年11月来で最大に達し、失業者が新たな職を得るまでにより時間が要することも明らかになり、労働市場の減速の可能性を示唆。米国経済の7割が消費を占めるためISM非製造業指数の雇用の減速を受け、労働省が発表する3月雇用統計で雇用者数の伸び減速が想定以上に加速した可能性が警戒される。■米3月ISM非製造業景況指数:50.8新規受注:50.4(2月52.2)仕入れ価格:60.9(2月62.6)雇用:46.2(53.9) <CS> 2025/04/04 07:34 注目トピックス 経済総合 金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか サンワード証券の陳氏 *17:51JST 金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は連日の最高値更新で、調整場面を迎えるか』と述べています。続いて、『先週のNY金(6月)は、トランプ政権の高関税政策がインフレと景気減速を招くとの警戒感が高まり、内外で最高値を更新した。NY金は初の3100ドルに上昇した。中心限月の清算値ベースでは、4週連続のプラスとなった。OSE金はNY金高に加え、為替の円高が一服したこともあって1万5000円の大台を示現した』と伝えています。次に、『週明け31日は、米高関税政策が景気や物価動向にもたらす不確実性が引き続き警戒されて続伸。前週末比36.00ドル高の1オンス=3150.30ドル。中心限月の清算値ベースで最高値を3営業日連続で塗り替えた。四半期ベースでは1986年以来の強気相場となる』と伝えています。また、『トランプ大統領は30日夜、4月2日に発表を予定している相互関税について、全世界が対象になり得るとの考えを表明。米国の高関税賦課によりリセッション(景気後退)やインフレの再上昇を招く可能性が高まるとの先行き不透明感が強まる中、安全資産としての金買いが加速した。金ETF(スパイダー・ゴールド)も933.38トンと年初来最大保有量を更新した。株式市場が不安定となる中、金現物投資が復活している』と見解を述べています。そして、『ベッセント財務長官は31日、FOXニュースの番組の中で相互関税の詳細について、日本時間の4月3日午前5時にトランプ大統領が発表すると明らかにした』とし、『当初より緩やかな内容となれば、買われ過ぎ感が強まっている中で、利益確定売りが膨らむ可能性がある。ただ、トランプ大統領の二転三転する発言や不透明感を背景に、押し目は買われやすい展開が続くだろう』と考察しています。NY金(6月)予想レンジは、『3000~3300ドル』と想定しています。一方、『OSE金は節目の1万5000円を達成したものの、押し目買いに地合いは強く、値固め局面が続きそうだ』と考察、予想レンジは、『1万4700~1万5500円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。 <CS> 2025/04/03 17:51 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米3月雇用統計:先行指標は底堅い *08:35JST NYの視点:米3月雇用統計:先行指標は底堅い 米労働省が発表する3月雇用統計の先行指標となる民間部門の雇用者数、ADP雇用統計は+15.5万人と伸びは2月+8.4万人から拡大し、労働市場が底堅いあらたな証拠となった。ただ、全米の製造業活動を示す全米供給管理協会(ISM)製造業の雇用は44.7と、2月47.6から予想以上に低下し、昨年9月来で最低となるなど、製造業の雇用は冴えず。エコノミストの平均予想で非農業部門雇用者数が+14万人と、伸びは2月+15.1万人から伸びが小幅鈍化を予想。失業率は4.1%と、歴史的にも低い水準を維持する見込み。労働市場の急速な悪化の兆候は依然見られない。コンファレンスボードが発表した消費者信頼感指数で、エコノミストが労働市場動向を判断するうえで注視している雇用が「十分」33.6と「困難」50..7の差は2月から拡大し17.9と労働市場の安定を示唆した。■3月雇用先行指標●ADP雇用統計:+15.5万人(予想:+12万人、2月:+8.4万人←+7.7万人)●ISM製造業雇用:53.0(2月53.9)●コンファレンスボード消費者信頼感指数現在の業況雇用十分:33.6(2月33.6、前年同月41.7)不十分:50.7(50.4、46.1)困難:15.7(16.0、12.2)6カ月後雇用:増加:16.7(18.8、14.3)減少:28.5(26.6、18.8)不変:54.8(54.6、66.9)所得増加:16.3(18.8、18.6)減少:15.5(12.8、11.7)不変:68.2(68.4、69.7)■市場予想・米・非農業部門雇用者数:予想:+14万人、2月:+15.1万人)・米・失業率:予想:4.1%、2月4.1%)・米・平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%、2月:+0.3%、+4.0%) <NH> 2025/04/03 08:35 注目トピックス 経済総合 中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】 *16:26JST 中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。国際貿易のダイナミクスが変化し続けるなか、中国が先日、反外国制裁法の実施規定を公布したことに国際関係専門家と業界リーダーの注目が集まっている。2025年3月24日に李強首相が正式に署名し発効したこの実施規定は、米国など外国の制裁圧力の高まりを受けた中国の戦略的動きにほかならない。反外国制裁法は外国の制裁に対する中国の対抗措置に法的な裏付けを与えることを目的としているが、同時に、台湾政府と台湾ハイテク産業に与える影響や、国際貿易に及ぶ幅広い影響について、数々の疑問を生じさせてもいる。今回の記事では、中国の新たな実施規定のポイントや、台湾に与える影響、関税と制裁措置を中心にした幅広い意味での米国の貿易政策との関係を掘り下げていく。反外国制裁法実施規定の背景と主要条項反外国制裁法は、主に米国など西側諸国が中国に科す国際的な制裁措置の増加を受けて導入された。こうした制裁措置は中国の経済、技術、安全保障のさまざまな側面を対象としており、特に貿易不均衡や知的財産権、5Gや人工知能など先端技術に関する制限に重点を置いている。同法は、中国に制裁を科す外国の企業や個人に対して報復措置を講じる権限を中国政府に付与する。その実施規定に盛り込まれた措置には、中国の利益を侵害したとみなされる外国企業や外国政府に対して実施できる資産凍結、貿易や投資の制限、その他の経済制裁などがある。特に注目すべきは、同規定が金融、技術、教育、文化など幅広いセクターを対象としているほか、外国の圧力に対抗するために中国が講じる具体的な措置を示している点である。この法的枠組みにより、中国は、不当な制裁や貿易制限だと自らが考える措置に対し、より体系的かつ強力に対応することができる。台湾への影響:政府とハイテク産業の主な懸念材料台湾にとって、この新たな実施規定の導入は重要な動きであり、ハイテク分野を中心に慎重な検討が必要となる。半導体産業をはじめ、台湾経済は中国と密接に結びついており、中国の規制環境の変化・変更は台湾企業に大きな影響を与えかねない。1.ハイテク産業への影響台湾は、台湾積体電路製造(TSMC)など世界をリードする半導体メーカーの本拠地である。中国は技術的独立性の強化を図っており、同国が課すいかなる制限や報復措置も台湾のIT企業に深刻な影響を与えるおそれがある。新たな実施規定の導入をきっかけに、中国は自国に制裁を科す諸国と歩調を合わせているとみなした外国IT企業との協力を制限し、場合によっては禁止するようになるかもしれない。台湾のハイテク産業が中国市場と密接に結びついていることを考えると、台湾企業は事業戦略と中国市場への依存を見直す必要が出てくる。2.対中投資制限の可能性同規定は外国投資を制限または禁止する権限も中国に付与しており、中国で事業を展開する台湾企業がその標的になることも考えられる。これは特に、製造や研究開発で、あるいは自社製品の市場として中国に依存してきた企業にとって大きな懸念材料となる。中国がこうした投資に制限を設けることを決定すれば、台湾企業の業務に多大な支障が生じかねない。台湾の政治家はリスクを慎重に見極め、台湾の経済関係の多角化を図り、中国市場への依存軽減を検討しなければならない。3.学術・技術・文化交流への影響同規定の文化・技術・教育協力の制限に関する条項もまた、台湾の懸念材料となっている。台湾は工学、人工知能、社会科学などの分野を中心に、中国と長年にわたり学術・技術交流を重ねてきた。同規定がこうした交流を標的としていることから、台湾の大学や研究機関、企業は中国側との連携を続けることが難しくなるおそれがある。それにより台湾が地域からの孤立を深め、イノベーションや国際的な学術協力に長期的な影響が及ぶかもしれない。抑制的なアプローチ?中国の戦略と米国を標的としたその内容反外国制裁法実施規定の制定により、中国は国際的な制裁への対抗措置に大きく踏み出したように思えるが、同規定の条項は当初の予想に比べると抑制的だと感じられる。同規定はあからさまに米国など特定の国を対象としておらず、外的圧力に中国が柔軟に対応できるようにした幅広い法的枠組みと言える。米国を中心とした西側諸国の制裁に対する中国の不満は高まっているものの、同規定により直ちに緊張が高まり全面的貿易戦争に発展するという事態には至っていない。むしろ、中国は米国やその同盟国に対し、より慎重かつ計画的なアプローチを取っているようである。こうしたアプローチは、同法が外的圧力に対抗するためのものであるとはいえ、中国が依然として米国をはじめとした世界の主要国との関係悪化を回避しようと努めていることを示唆する。中国のこうした慎重な対応は、米国との全面的な貿易紛争が全世界に及ぼす影響を認識してのものである。貿易戦争は両国の経済にダメージを与え、グローバルなサプライチェーンを混乱させる可能性が高い。そのため同規定は、中国が必要に応じて制裁措置に対応する態勢を整えながらも関係悪化を回避しようという、幅広い戦略の一環とみなすべきである。米国の関税と貿易戦争:国際貿易への影響反外国制裁法実施規定は、国際貿易を大きく揺り動かす米国の新たな貿易政策が、特に米中貿易戦争とのからみで次々と打ち出されるタイミングで制定された。ドナルド・トランプ大統領は1期目に、「米国第一主義」の一環として中国製品に何十億ドルもの関税を課した。その目的は、貿易不均衡、知的財産の盗難、不公正な取引慣行への対処であった。ただ、協議を重ねて緊張緩和がある程度図られたものの、米国は貿易問題で中国などの諸国に圧力をかける手段として関税を利用し続けてきた。1.中国などの諸国に対する米国の関税関税の賦課は技術、製造、農業などのセクターを中心に、世界貿易の流れに混乱を生じさせている。台湾のハイテク企業はグローバルなサプライチェーンに深く組み込まれているため、集中砲火にさらされるおそれがある。米国と中国が関税戦争を続けるなか、台湾は貿易面で不確実性の高まりとコストの上昇に直面するかもしれない。2.世界的な貿易摩擦の高まり関税を利用し続けるトランプ大統領の姿勢を受け、各国が徐々に保護主義的措置に訴えるようになる「貿易戦争」シナリオを懸念する声が上がっている。これが、グローバルなサプライチェーンの再編や、関税回避を目的とした企業の生産移転、ひいては世界経済の成長減速につながるおそれもある。台湾企業は半導体産業を中心に、さらなる関税や制限が課せられるリスクを軽減するため、代替の市場や生産施設を検討する必要があるかもしれない。3.米国の制裁措置と技術貿易米国はファーウェイ(華為)など中国のIT企業も標的にし、米国企業の重要な技術やコンポーネントへのアクセスを禁じてきた。米国の輸出制限が、米国と中国の両方に高度半導体を供給するという台湾の役割を阻害する可能性があり、ITセクターはTSMCなどの企業を含め、こうした政策の影響を直接受けるかもしれない。これにより、相反する政治的圧力にうまく対応してきた台湾企業が直面する複雑さが増している。反外国制裁法実施規定が及ぼす影響と台湾の戦略的対応中国による反外国制裁法実施規定の導入で、台湾はいくつかの課題を突きつけられている。中国が外国の制裁に対抗する法的枠組みを強化するにつれ、台湾政府・企業は同規定がもたらしうるリスクとチャンスを常に慎重に評価する必要があるだろう。台湾は、特に今も続く貿易摩擦を念頭に、中国など世界の大国との関係を慎重に検討しなければならない。この新たな実施規定と幅広い地政学的変化がもたらすリスクを軽減するために台湾が注力すべきは、貿易関係の多角化である。今後は、中国以外のアジア諸国に加え、欧州連合など国際市場との連携の強化が中国市場への依存軽減の鍵を握る。これに加え、台湾のハイテクセクターはイノベーションを進めて、急速に変化する国際貿易環境にうまく適応し、地政学的緊張が増しても競争力を確実に維持する態勢を整えなければならない。まとめ:国際貿易環境の変化に対応する中国と西側諸国、特に米国との間で貿易摩擦が続くなか、反外国制裁法実施規定の導入は大きな転換点となる。台湾のハイテク産業は中国の法的・経済的環境の影響を直接受けることから、同規定は台湾に課題とチャンスの両方をもたらすだろう。また同時に、米国の関税政策など幅広い貿易摩擦が現在進行中であることを思い出させる役目も果たす。国際貿易環境は変化し続けており、台湾は今後、柔軟に戦略を変えつつ競争力を維持し、米中対立が生む複雑な状況をうまく乗り切る必要がある。貿易関係の多角化と技術・経済連携の強化を進めることで、台湾は世界の二極化が進むなかにあっても繫栄を続ける態勢を整えられるだろう。中国の李強首相(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2025/04/02 16:26 注目トピックス 経済総合 中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:20JST 中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。中国のグローバルカンパニーか否かトランプ氏の怒りの矛先は当初、パナマ運河の支配権に向けられた。彼はこの運河を中国が支配し、米国の船舶に法外な運航料を課していると間違った主張をしていた。後者の部分は完全な勘違いだが、前者の部分にはわずかながら根拠がある。香港に本拠を置くCKハチソンが運河沿いの2つの港を支配していたため、これを中国国家による支配ととらえたのである。CKハチソンは香港で最も著名な実業家の李嘉誠氏が所有する企業である。李嘉誠氏は世界で最も目端の利く実業家の一人だ。香港の大物実業家の多くがそうであるように、李氏も香港の不動産業でまず財を成し、江沢民元国家主席と親密な間柄になったが、江氏が退任し香港で緊張が高まると、香港や中国関連の資産を売却し、海外のインフラや電気通信分野へと進出し始めた。パナマ運河についてのトランプ氏の脅しを受けて、李氏が23カ国にまたがる43カ所の港湾を、米国の資産運用大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することに同意したのは、現在の世界的な緊張の高まりと、国際貿易が打撃を受ける可能性を認識してのことに違いない。中国政府は激怒し、中国政府寄りの香港紙も解説記事でこの合意を厳しく非難した。香港の中国行政機関がこれをリポストしており、この解説記事に正式なお墨付きが与えられたことは明らかである。香港政府もこの合意に対して、すべての法令に従う必要があると公に警鐘を鳴らしたが、少なくとも書面上は企業同士の単純な国際資産取引であるこの合意にいかなる法令の違反があったのかについては、一切触れてない。トランプ氏により中国企業が港湾の売却を余儀なくされ、中国政府が激怒していることは間違いないが、それはすなわち、中国がCKハチソンを実質的に中国国家の出先機関とみなしているということだ。CKハチソンは国営企業ではなく民間企業であり、国際的な資産を幅広く保有する李嘉誠氏が株式の過半数を所有している。中国は、同社が民間企業ではないと言おうとしているのであろうか。それとも、民間企業ではあるが、必要に応じて中国共産党の意向に従い行動すると言おうとしているのか。他国は今後、李嘉誠氏による投資を実質的に共産党のフロント企業としての活動としてとらえるべきなのか。そしてそれはすべての香港企業のみならず、中国国民が創業したあらゆる企業に当てはまるのか。自国企業に対する規制や監視を激しく非難する際、中国はおそらく米国を模倣しているにすぎない。欧州の訴訟での米国系IT企業に対する制裁金と規制について、これら企業が国営企業ではないにもかかわらず、ヴァンス副大統領が欧州の規制当局を激しく非難したのはほんの数週間前のことである。中国はこれと同じことをしているだけではないだろうか。CKハチソンが保有していたというだけで、中国が実際にパナマ運河や他の港湾の支配権を有していたと言えるのか。公開されている情報からは真偽が定かではない。ただ、トランプ氏が世界の舞台から撤退することで生じた隙間に中国が入り込もうとしている今、こうした中国の反応が香港企業を難しい立場に立たせ、国営と民営の区別をさらに混乱させたことは明らかである。米国の失点が必ずしも中国の得点にはならない平和の維持に大きな役割を果たし、過去80年間にわたり領土戦争を確実に抑えてきた国内外の枠組みや制度を廃止しようと、トランプ氏とそのチームは日々取り組んでいる。冷戦終結と約30年にわたる中国の隆盛で、従来の秩序のもろさが露わになっているとはいえ、新しい秩序を考えずに古い秩序を破壊することは愚の骨頂である。中国は米国主導の秩序をしばしば激しく非難し、異なる秩序を求めてきたが、それがどのような秩序で、自らがそこでどのような役割を果たすかについては明言してこなかった。トランプ氏が世界の舞台から降りたからといって、中国が入り込むのは容易ではない。トランプ政権は依然として中国製品に関税を課し、中国企業を対象とした新たな制裁措置を導入しつつあり、政権の閣僚の多くが対中強硬派だ。米国が失点しても、中国が労せずして利益を得る状況にはなっていない。多くの国々は、トランプ氏の行動を受けて自国の問題の統制を強化し始めたが、同時に、中国の世界的な影響力の強まりにも懸念を抱いている。安全保障上の懸念が著しく高まり、中国が国営企業と民間企業の境界線を相変わらず曖昧にするなか、中国は、古い秩序が崩壊しても求めていたような秩序が新たに生まれるわけではないことに気づくかもしれない。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2025/04/02 10:20 注目トピックス 経済総合 中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:10JST 中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信しているフレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。下り坂が続く2期目を開始して2カ月となるドナルド・トランプ氏は、依然としてマスコミを日々賑わせており、新たなドラマや非常識な言動を毎日世に発する様子はまるで昼ドラのようだ。大統領を影で支えるチームは人々を情報の洪水に巻き込む戦略を展開しているが、これは偶然の結果ではなく、憲法違反や大統領の越権行為だと判断されうる行動に反対するだろう人たちを混乱させ、押さえつける企てである。援助プログラムやバイオメディカル研究、政府機関全体の変更や閉鎖であれ、何千名もの連邦政府職員の違法な解雇であれ、トランプ政権がもたらした変化の規模の大きさを考えると、野党の政治家や従来型メディア、裁判所が後れを取り、阻止できなかったことは間違いない。三権分立の一角を担う裁判所が先日ようやく行政府の権力掌握に抵抗し始めたが、メディアコメンテーターだけでなく閣僚の間でも、裁判所の判決を無視するよう求める声が強まっている。またトランプ氏自身も判事の判断に不満を抱き、弾劾されるべきだと判事を非難した。これは米国における法の支配の崩壊にほかならず、米国は民主主義国家から、大統領の意に沿わない法律には従わない独裁国家へと向かっている。米国と同盟を結んでいる国にとってこれは由々しき事態であり、米国は信頼できないパートナーとなりつつある。大口を叩いていたにもかかわらず、トランプ氏はウクライナ戦争を終わらせることができていない。また大統領就任時には自身の成果だと主張していたガザの停戦すら、イスラエルがガザへの攻撃と軍派遣を再開したことで行き詰まっている。彼がこれまでに実行しうまくいったことといえば、近隣諸国や同盟国を脅して従わせることである。すでにカナダとメキシコ、そしてもちろん中国にも関税を課したほか、鉄鋼・アルミニウムにも関税を課しているが、4月2日には欧州連合を中心とするほぼすべての貿易相手国を対象とした相互関税を発表する予定である。トランプ氏は自分とヴァンス副大統領がゼレンスキー大統領を公の場で非難すればとても面白いテレビ番組になると冗談めかして言っていたが、そのとおりの展開となった。しかしウクライナに対する今回の裏切りは実のある結果をもたらしていない。ゼレンスキー大統領はこの会談に向けた準備がしっかりできていなかったようだが、最終的に停戦に同意する意欲を示したことで、戦争を終結させるために歩み寄るかどうか、ロシア側にボールが投げられたことになる。ロシアとプーチン氏をよく知る人であれば、彼らがトランプ氏に調子を合わせるはずがないことは明らかであり、実際そのとおりの結果となった。トランプ氏が成し遂げたことといえば、彼の下で米国はまったく信頼できない国になったことを欧州の(元)同盟国に示し、米国に頼らないポストNATOの安全保障秩序への着手を余儀なくさせたこと以外にはない。トランプ氏が自国の政府を骨抜きにし、同盟関係や友好関係を台無しにする今、中国が不安感を抱く必要などあるのだろうか。米国主導の世界秩序の崩壊は、中国が望んでいることではないのか。「欧州の戦争」における中国の立場トランプ氏が条約を破棄したり、グローバルな協定から離脱したりするたびに、自ずと中国が勝者になると考えてしまう人もいるだろう。確かにWHO脱退やパリ協定離脱で米国にメリットはなく、雑な解釈をすれば、空いた席に中国がつくとも考えられる。実際そうなる場合もあるかもしれないが、それは、中国が世界のリーダーとなる態勢を整えていることを前提とする。中国とロシアがこれまで掲げてきたグローバルビジョンの大部分は、自らが世界に何を提案するかではなく、米国の提案を否定することに終始してきた。ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアが戦争を遂行できるかどうかの鍵を握っていたのは中国の反応である。おそらくプーチン氏は事前にこの特別な軍事行動を習近平氏に知らせていたはずだが、プーチン氏同様、習氏も数日か数週間で決着がつくと考えていた。3年が経っても中国は相変わらずロシア側につき、対ロシア貿易を大幅に増やし、軍事以外の技術と物資の主要な提供国であり続け、ロシア産炭化水素の最大の購入国となっている。他国の問題に介入しないという中国の神聖な理念は、ウクライナの主権問題になると都合よく忘れ去られてしまうようだ。プーチン氏の世界観では、ウクライナは正式な国家ではなく、ロシアを弱体化させる手段として米国が支えるある種の傀儡政権であった。そのため、ロシアは表面的にはウクライナ国民と闘いながら、実際には米国と戦争をしているのである。この歪んだロジックが、まずイランがロシアにドローン技術を積極的に提供し、北朝鮮がロシアの軍事行動に兵士を派遣するという流れを生んだ。そしてこの歪んだ世界秩序は、CRINK(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)が、ウクライナへのいわれのない攻撃の支援というより米国への間接的な攻撃としてこれらの行動を正当化することにつながっている。直接的な攻撃は狂気の沙汰としか言えないが、米国がウクライナ問題にかかりきりになれば、それ以外の地域から米国の注意をそらすことができる。だが、トランプ氏のせいでこうした計算全体に狂いが生じた。トランプ氏が実質的にウクライナ側からロシア側へと寝返る中、EUなど欧州諸国は、自分たちが中心となって戦時下と戦後のウクライナを支えなければならないこと、またウクライナ戦争は今もこれまでも米国に対する代理戦争ではないということを徐々に受け入れつつある。欧州の国であるウクライナへの攻撃であり、欧州諸国がウクライナの主たる支援者となるのである。そうなると、中国は欧州諸国との関係で極めて好ましくない立場に立たされてしまう。米国第一主義の貿易政策を取る米国への対抗勢力としてアピールし、欧州諸国との協力の緊密化を図る一方で、欧州の国への攻撃を認め実質的に支援していることになるからだ。グリーンエネルギー化で欧州と連携する安定した確かな貿易相手国として、欧州にとって信頼できるパートナーとなる準備を万全に整えていると中国が自認していることは間違いない。そうしたナラティブがいまだに響く相手がいるかもしれないが、トランプ政権発足前には欧中貿易関係が非常に不均等かつ不平等であることにEUは気づき始めていた。トランプ氏がウクライナに背に向けたことで、他の国々は自国の防衛について今まで以上に真剣に考えることを余儀なくされており、中国の脅威に対抗するため、新たな同盟関係やパートナーシップの構築を目指しているはずだ。アジアでは韓国と日本がその顕著な例である。米軍が駐留し、歴史的に米国と強固な同盟関係にある両国も、米国が向かう先と、安全保障を米国に依存することの現実的なリスクを憂慮しているに違いない。また忘れてならないのは、米国は欧州との同盟関係や約束を台無しにしているが、中国に神経を集中させたいというのもその理由の一つだという点だ。それが何を意味するのか、現時点では誰にも分からない。トランプ氏のチームの中国に関する発言は驚くほど少なく、追加関税を課したとはいえ、具体的な対中政策のようなものは一切打ち出されていない。トランプ氏は習氏が訪米すると述べているものの、詳細についてはまったく触れていない。中国と取引(ディール)すると話しているが、現在までのところ彼の取引は概ね期待外れの結果に終わっている。戦争は終結せず、平和は実現せず、経済成長も見られない。「中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2025/04/02 10:10 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か *07:53JST NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か 米国労働統計局が発表した2月JOLT求人件数は756.8万件と、1月776.2万件から予想以上に減少し、12月来で最低となった。昨年の同月844.5万件から87.7万件減少した。トランプ政権の関税策を巡る不透明性が台頭し、企業は事業計画の決定を保留にしていると見られ、雇用削減や新規採用を控え、現状を維持している兆候が見られる。ただ、連邦職員求人件数は13.8万件と、前月の13.2万件から増えた。求人件数は総失業者数の705.2万人を依然51.6万上回っている。しかし、その差は縮小しつつあり、コロナ以降で最小。ただ、求人件数が失業者数を上回っている限り、景気後退を予想するのは困難と見られる。採用者数は539.6万人と、1月の537.1万人から増加し昨年年10月来で最高に達し、労働市場の急激な悪化の気配は見られず。採用率は3.4%で1月と同水準。従業員の労働市場への自信を示す自主的退職者数は319.5万人で、前月の325.6万人から減少し雇用者の労働市場への自信が軽減したことが示唆された。自主的退職率は2.0%と1月から変わらず。ただ、2022年のピーク3%からは低下基調にあり、労働市場のひっ迫緩和の証拠となった。退職者数は530万人。退職率は3.3%で1月から変わらず。地方政府は3.2万人、連邦政府は1.1万人。雇用削減者数は180万人。昨年同月の168万人からは増加した。雇用削減率は1.1%で変わらず。連邦政府職員の削減数は2.2万人と2010年10月来で最高となった。今後、公務員が民間の職に就き、トランプ政権が模索している政府を縮小し民間部門を拡大する構想達成が順調に進むかに焦点が集まる。■2月労働市場ダッシュボード求人件数:4.5%(予想4.5%、1月4.7%)雇用削減率:1.1%(1月1.1%)自主的退職率:2.0%(1月2.0%)採用率:3.4%(1月3.4%)失業率:4.1%(1月4.0%)不完全雇用率(U6):8.0%(1月7.5%)非農業部門雇用者数:+15.1万人(1月+12.5万人)平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%(1月+0.4%、1月+3.9%) <CS> 2025/04/02 07:53 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ *07:39JST NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ 米3月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は47.6となった。2月45.5から低下予想に反し上昇し、23年11月来で最高となった。ただ、16カ月連続で活動の縮小となる50割れとなった。生産は50を上回り、拡大域に改善。雇用の減少ペースや新規受注の減少ぺースが改善し、指数を押し上げた。関税を巡る特別な質問では、25年の販売価格を巡る計画で、回答者の25%は引き続き価格安定を維持するとした。35%は2-4%の値上げを計画しているとした。14%が2%以下の値上げ、14%は4-7%、11%が7%以上の値上げを計画している。ゴールドマンサックスは、貿易緊張や弱い消費者信頼感を受け、米国経済が今後12カ月に景気後退入りするリスクを従来の20%から35%に引き上げた。政策を進めるために短期的な経済の減速を容認するトランプ政権の姿勢を指摘。2025年の国内総生産(GDP)見通しは1%へ引き下げ。連邦準備制度理事会(FRB)は7月、9月、11月、3回の利下げを予想している。年末のインフレ率は3.5%。そのほか、JPモルガンは景気後退確率を40%と見ている。米国経済は引き続き低迷ながら一段の悪化の兆しはまだ見られない。 <CS> 2025/04/01 07:39 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】米政権の関税発動、米雇用統計、パウエルFRB議長、豪準備銀 *07:35JST NYの視点:【今週の注目イベント】米政権の関税発動、米雇用統計、パウエルFRB議長、豪準備銀 今週は米トランプ政権が発動を計画している関税策や対象となった諸国の報復措置などを睨んだ展開が予想される。貿易戦争が深刻化、長期化が示唆されると、リスク回避の動きに拍車がかかるリスクがある。各国の経済やインフレ、金融政策に影響を与える。そのほか、欧米、中国の製造業、非製造業PMIで各国の経済動向を判断していく。米国ではさらに全米の製造業やサービス業活動を示すISMの製造業やISM非製造業景況指数、雇用統計など重要指標が発表される。3月の米雇用統計は、天候の回復で失業率は歴史的にも低い水準を維持する見込み。非農業雇用者数は伸び鈍化が予想されている。関税を巡る不透明感で、消費者信頼感数が低下基調にあり、消費を抑制し、景気を鈍化させると警戒されている。景気後退確率も上昇。一方、データでは、労働市場が依然底堅いことが示唆されている。新規失業保険申請件数では政府効率化省(DOGE)による連邦職員削減の影響が依然限定的にとどまっている証拠が見られる。労働市場が健全である限り、景気後退入りを想定するのは現状では困難となる。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は講演を予定しており、景気やインフレ、景気後退の可能性などをめぐる見解に注目される。欧州では3月のユーロ圏消費者物価指数の前年比での伸び率がやや低下した可能性が高いが、コア指数の伸びは変わらずの見込み。欧州中央銀行(ECB)の4月理事会での利下げ確率は現状で85%。ECBが公表する3月定例理事会議事要旨で利下げの可能性を探る。一部メンバーはトランプ政権の関税がインフレ要因になると指摘しており、追加利下げに慎重姿勢も見られ、内容次第ではユーロ買いにつながる可能性もある。欧州、英国は夏時間入りとなる。■今週の主な注目イベント●豪州1日:豪準備銀金融政策決定会合●米国31日:3月シカゴPMI1日:製造業PMI、建設支出、ISM製造業、JOLT、バーキン米リッチモンド連銀総裁が討論会傘下2日:ADP雇用統計、製造業受注、米国が相互関税と追加のセクター別関税を賦課、クーグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演3日:ISM非製造業総合景況指数、サービス業PMI、FRBジェファーソン副議長が基調演説、クックFRB理事が講演4日:雇用統計、パウエルFRB議長が講演、ウォラーFRB理事が講演●加4日:失業率●欧州31日:独CPI1日:ユーロ圏製造業PMI、CPI、失業率3日:サービスPMI、PPI、独・仏サービスPMI、ECB3月定例理事会議事要旨4日:独製造業受注●英国1日:製造業PMI●日本31日:鉱工業生産、小売1日:失業率、短観4日:世帯支出●中国31日製造業・非製造業PMI1日:財新製造業PMI3日:財新サービスPMI <CS> 2025/03/31 07:35 注目トピックス 経済総合 日米の注目経済指標:3月米雇用統計は2月実績を下回る可能性 *13:58JST 日米の注目経済指標:3月米雇用統計は2月実績を下回る可能性 3月31日-4月4日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■4月1日(火)午前8時50分発表予定○(日)日本銀行短観3月調査-予想は大企業製造業DIは+12前回調査では+14。今回は米国の関税措置が世界経済に与える影響が懸念されており、プラス幅はやや縮小する見込み。■4月1日(月)午後11時発表予定○(米)3月ISM製造業景況指数-予想は49.82月実績は50.3。支払い価格は上昇したが、新規受注は低下。先行指標となる3月製造業PMIは節目の50を下回っており、3月ISM製造業景況指数は50を下回る可能性がある。■4月3日(木)午後9時30分発表予定○(米)2月貿易収支-予想は-1100億ドル1月実績は-1314億ドル。2月については、輸入額は減少するとみられており、貿易赤字幅は1月との比較で縮小する見込み。それでも1000億ドルを上回る貿易赤字となる可能性がある。■4月4日(金)午後9時30分発表予定○(米)3月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数は前月比+13.5万人、失業率は4.1%雇用拡大のペースは減速しており、関税措置の影響もあることから、非農業部門雇用者の増加幅は2月実績を下回る見込み。失業率は横ばいか、やや上昇する可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定3月31日(月):(日)2月鉱工業生産4月1日(火):(日)2月失業率、(豪)豪準備銀行政策金利発表、(欧)3月ユーロ圏消費者物価指数4月2日(水):(米)3月ADP雇用統計4月3日(木):(米)3月ISM非製造業景況指数 <FA> 2025/03/29 13:58 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米新規失業保険申請件数は減少、連邦職員削減の影響は限定的で景気悪化懸念は行き過ぎの可能性も *07:44JST NYの視点:米新規失業保険申請件数は減少、連邦職員削減の影響は限定的で景気悪化懸念は行き過ぎの可能性も 米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(3/22)は前週比1000件減の22.4万件と予想外に前回22.5万件から減少した。失業保険継続受給者数(3/15)は185.6万人と、前回188.1万人から予想以上に減少した。連邦職員による新規失業保険申請件数(3/22)は564 件(UCFE)。4週連続で減少し、昨年末以来の水準に戻した。トランプ政権の政府効率化省(DOGE)が連邦職員削減を開始した1カ月前に付けたピークのほぼ3分の1。連邦職員による失業保険継続受給者数(3/15)は8198人と、前週の9135人から減少したが、昨年に比べると2300人上回る。教育省閉鎖などで、今後、さらに申請件数が増える可能性はあるが、現在のところ、労働市場への影響は限定的。労働市場が健全である限り、消費も堅調に推移すると見られ、景気悪化への懸念が過剰となっている可能性もある。 <CS> 2025/03/28 07:44 注目トピックス 経済総合 金は3000ドル台で値固め サンワード証券の陳氏 *17:54JST 金は3000ドル台で値固め サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は3000ドル台で値固め』と伝えています。続いて、『先週のNY金(4月)は、取引時間中に18日に3047.5ドル、19日に3061.6ドル、20日に3065.2ドルと3営業日連続で最高値を更新した。OSE金も19日に1万4736円と最高値を更新し、節目の1万5000円に近づく兆しを見せた。背景には地政学リスクとトランプ政権による関税への懸念がある。日米の金融会合は予想通りだった』と述べています。次に、『週明け24日は、米長期金利の上昇から続落(前週末比5.8ドル安の1オンス=3015.60ドル)したが、25日は、米関税政策を巡る不確実性の増大を背景に、3営業日ぶりに反発した。前日比10.3ドル高の1オンス=3025.90ドル。金ETFは前週末から急増し、投資家が金投資への姿勢を強めている』と見解を述べています。陳さんは、『ウクライナ戦争も米関税問題もすぐに解決する状況にはなく、金には押し目買いが入ろう。NY金(4月)は3000ドル台の値固めが続きそうだ』と考察しています。予想レンジは、『2950~3150ドル』と想定しています。一方、『OSE金は円安を受けて最高値を更新する可能性があろう。日銀会合がサプライズなく終了したことで巨大なファンドの円買いポジションが巻き戻されて円安基調が強まりそうだ。OSE金は節目の1万5000円を目指す展開になろう』と述べています。予想レンジは、『1万42000~1万5200円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月26日付「金は3000ドル台で値固め」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/03/27 17:54 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米2月耐久財はQ1GDPにプラス寄与を示唆、インフレ高止まり懸念がくすぶる *07:52JST NYの視点:米2月耐久財はQ1GDPにプラス寄与を示唆、インフレ高止まり懸念がくすぶる 米商務省が発表した2月耐久財受注速報値は前月比+0.9%と、予想外に2カ月連続のプラスとなった。輸送用機器を除いた同月耐久財受注速報値は前月比+0.7%と、1月+0.1%から予想以上に伸びが拡大し、22年3月来で最大。国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除いた非国防出荷・資本財速報値は前月比+0.9%と、1月-0.2%からプラスに改善し昨年1月以降ほぼ1年ぶり最大の伸びを記録し、1-3月期のGDPにプラスに寄与する。本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するセントルイス連銀のムサリム総裁は関税によるインフレが一時的な影響にとどまるかどうか明確ではないとし、第2次的な影響が出た場合、金利を従来想定されているよりも長期にわたり維持する可能性に言及。インフレが2%目標以上で高止まり、または、一段と上昇する可能性を警告し、インフレ期待の安定の重要さを強調した。ゴールドマンサックスはインフレ期待の上昇が今年の利下げ実施への障壁を高めると指摘。景気見通しの改善やインフレ高止まり懸念でドルも下げ止まる可能性がある。 <CS> 2025/03/27 07:52 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円今週の予想(3月24日)サンワード証券の陳氏 *18:16JST 南アフリカランド円今週の予想(3月24日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週の南アフリカランド円について、『利下げを停止したことで底堅く推移しそうだ。主要な輸出品である金価格が上昇していることもサポート要因だろう』と述べています。続けて、『南アフリカ準備銀行(中央銀行)の金融政策委員会(MPC)は20日、政策金利のレポ金利を7.50%に据え置くことを決定した』と伝えています。そして、『クガニャゴ総裁は記者会見で「世界経済は安定していない。国内にも不透明感があり、慎重なアプローチが必要だ」と述べた。市場には今回の据え置き決定を評価する声がある一方、通貨ランドが安定し、インフレが落ち着いている状況を踏まえると、利下げが可能だったとの見方もある』と解説しています。また、『予算案には付加価値税(VAT)の税率引き上げ案が含まれ、インフレの上振れリスクになるとみられる。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.2%上昇と、伸び率は1月から変わらず、中銀の目標3-6%の下限付近で推移している。南ア中銀は25年の経済成長率見通しを1.7%と、従来の1.8%から引き下げた』と伝えています。陳さんは、『南アの土地収用法などを巡ってトランプ米政権との関係は悪化している点は気になるところ』と述べています。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.00円~8.40円』と予想しています。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月25日付「南アフリカランド円今週の予想(3月24日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/03/26 18:16 注目トピックス 経済総合 トルコリラ円今週の予想(3月24日)サンワード証券の陳氏 *18:14JST トルコリラ円今週の予想(3月24日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『トルコリラ円は、国内の政治リスクが懸念され、戻り売りが優勢な展開が続きそうだ』と述べています。続けて、『トルコは国内政治の混乱で経済の先行きに不透明感が増している。汚職やテロ組織支援などの容疑で主要野党の共和人民党(CHP)の次期大統領選候補であり、エルドアン大統領の最大の政敵イマモール・イスタンブール市長を逮捕した。次期大統領選の有力候補とされるイマモール市長が逮捕されたことで、当局の専制的な手法への抗議が激化し、通貨トルコリラや株式相場が一段の下押し圧力にさらされる恐れがある。国政野党の世俗主義政党、共和人民党(CHP)に所属するイマモール市長は、全ての嫌疑を否定している』と伝えています。また、『エルドアン大統領は現在2期目で3選が禁止されているため、出馬する場合は任期満了前に辞任して2期目を全うしていないと主張するか、憲法を改正する必要があるという』と述べ、『仮にエルドアン大統領が出馬すれば、イマモール氏が「最大のライバル」になるとみられていた。長年にわたって政治的に対立していたエルドアン大統領とイマモール市長。次の大統領選挙は3年後に予定されている』と解説しています。陳さんは、『今回の事件で、通貨リラが外国為替市場で急落し、一時1ドル=40リラを突破し、史上最安値を記録した。トルコ中央銀行の為替介入により、その後はやや持ち直したものの、リラ安がさらなる物価高騰を招く恐れが強まっている』とし、『トルコ中銀は、市場の変動に備えるため市中銀行と「技術的な会合」を開催した。トルコ中央銀行は20日の会合で、1週間物レポ入札の停止と、翌日物貸出金利の42.5%から46%への引き上げを決定した。市場に資金供給する際の適用金利が高まるため、事実上の金融引き締め措置となった。次回定例会合は4月17日に予定されている』と伝えています。トルコリラ円の今週のレンジについては、『3.75円~4.15円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月25日付「トルコリラ円今週の予想(3月24日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/03/26 18:14 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米3月消費者信頼感指数は4年ぶり低水準、リセッションリスク上昇 *07:41JST NYの視点:米3月消費者信頼感指数は4年ぶり低水準、リセッションリスク上昇 米コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数は92.9と、2月100.1から予想以上に低下し21年1月来で最低となった。11月の大統領選挙時から4カ月連続で低下した。現況は134.5と、9月来で最低。6か月先の期待は65.2と、4カ月連続の低下で2013年3月以降ほぼ12年ぶりの低水準に落ちこんだ。トランプ政権の関税策の不透明感から、経済の見通し、物価高を巡る懸念が指数を押し下げた。一方で、インフレ期待は2年ぶりの高水準に達した。将来の金融状況を巡る期待は2022年7月来で最低となった。●米3月消費者信頼感指数:92.9現況:134.5(138.1)期待65.2(74.8)エコノミストは、景気後退入りの可能性を判断するうえで、同指数を重要視している。過去3カ月で20ポイント以上低下するとリスク上昇を判断する。現状では3カ月間で17ポイント、4カ月で19.9ポイントの低下と景気後退入りの範疇にある、今後、一段と低下した場合、景気後退入りがより確実になる。米3月フィラデルフィア連銀非製造業活動は-32.5と、米3月フィラデルフィア連銀非製造業活動は-32.5となった。2月-13.1から一段と悪化し5カ月連続のマイナス。パンデミックによる景気封鎖された直後の20年5月来で最低となるなど、消費の鈍化を示す新たな材料となった。同指数の新規受注は-19.5と、-1.3から大幅に悪化。材料費は36と、23.4から上昇。販売価格は8.4と、2月-1.1からプラスに転じた。フルタイムの雇用は-7.5と、2.5からマイナスに落ち込んだ。6か月活動も―24.0と、-1.1から大幅に悪化した。ソフトデータは後ずれデータとなるため、調査時、関税などを巡る不透明感がピーク時であった可能性もあり、現実に小売り売上などのハードデータに反映するかどうかを今後判断していくことになる。現状のところ、堅調な推移となっている。今後の関税の展開が景気に大きく影響してくる。 <CS> 2025/03/26 07:41 注目トピックス 経済総合 【書評】『米中新産業WAR』(遠藤誉、ビジネス社) *13:05JST 【書評】『米中新産業WAR』(遠藤誉、ビジネス社) 中国は「新産業」で世界を制すのか――現代の産業地政学を描き切る重厚な一冊本書は、習近平政権が掲げる国家戦略「中国製造2025」の本質と、その実行過程で中国がどのように“新産業”の覇者へと成長してきたかを、極めて具体的な事例と鋭い視座から描き出した、まさに現代産業地政学の論考である。序章で語られるのは、「新産業」とは何かという定義と、それを生んだ背景だ。著者は、新エネルギー、AI、宇宙、EV、ドローン…といった“西側と同じスタートラインに立てる”ことにこだわる中国の戦略性を指摘する。その中で、米中対立によって結果的に中国の産業基盤が強靭化されている皮肉を、冷徹に分析してみせる。特に読者の目を引くのは、「アメリカが中国を制裁すればするほど中国は強くなる」という逆説的な構図だ。著者は、米国がもはや製造拠点を持たず、金融覇権に依存した国家構造に陥っていると断じる一方、中国は制裁を原動力にして独自の供給網を築き、非米陣営を取り込みながら「サプライチェーンの再国際化」を進めていると語る。さらに習近平は建国80周年である2029年までにサプライチェーンを中国国内で完結させるという国家目標を立てている。その骨太な視点は、単なる評論を超えたリアリズムに満ちている。宇宙開発の章では、中国の宇宙ステーション「天宮」や月裏側の探査成功など、アメリカを抜いた事実をもとに、中国が“地球外”でも主導権を握りつつあることを強調する。エネルギーやEVでは、イーロン・マスクの存在をも含めつつ、補助金政策の設計思想の違いを通して、中国の成長が決して“政府主導一辺倒”ではない点にも言及。ドローンや造船、半導体など、それぞれの章が一国の政策・産業動向という枠を超えて、グローバルな経済戦争の構図として浮かび上がる構成力は見事である。たしかに太陽光などの新エネルギーやドローンにおいて中国は世界シェアの90%を占めており、また新エネルギー船を含めた造船業において中国はアメリカの500倍の生産力を持つなど、新産業の全ての分野において中国は世界のトップを走っている。事実上、「2025年目標」を中国は前倒しでほぼ達成してしまっていると言っていいだろう。著者はこの現実に目を向けなければ日本はますます取り残されていくことを危惧し、警鐘を鳴らしている。起業家精神や規制回避的な創意、リスクテイク文化が失われた日本の“静的産業構造”への示唆は、耳が痛い読者も多いだろう。終章では、習近平とトランプとイーロン・マスクの関係が興味深く描かれ、第二次トランプ政権が始まった現在を、的確に予測している。トランプはダボス会議で「習近平が大好きだ」と公言しており、習近平もトランプが台湾独立を唆さなければ関税などは問題ではない。本書は、イデオロギーに偏らず、事実とデータに基づいた構造的分析を展開しつつ、それを貫くのは「未来を誰が設計するのか」という鋭い問いである。地政学×産業論を理解する上での必読書として、読者に中国の“したたかさ”と“現実”を容赦なく突きつけてくる。経済・技術の未来を考えるうえで一石を投じる、必読の一冊だ。■著者遠藤誉(えんどう・ほまれ) 中国問題グローバル研究所所長1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。内閣府総合科学技術会議専門委員(小泉政権時代)や中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『習近平 父を破滅させたトウ小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(遠藤 誉 (著), 白井 一成 (著))、『「中国製造2025」の衝撃』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。 <HM> 2025/03/25 13:05 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米3月サービス業PMIが予想外に一段と改善も、関税で見通しは悪化、警戒感くすぶる *07:38JST NYの視点:米3月サービス業PMIが予想外に一段と改善も、関税で見通しは悪化、警戒感くすぶる 米3月製造業PMIは49.8と、2月52.7から予想外に拡大と縮小の境目となる50割れに落ち込んだ。関税で材料価格のコスト上昇が影響した。製造業の販売価格は2023年2月来で最高。一方で、米3月サービス業PMIは54.3と、予想外に2月51.0から上昇し昨年12月来で最高となった。天候の回復が奏功した。価格は60と、2月の57.8から上昇し、2023年9月来で最高を記録。企業の期待は24年9月来で最低となるなど、関税への懸念が重しとなっていることが示唆された。今年に入り、トランプ政権が計画している関税策などが不透明要因となり消費者信頼感指数の低下につながり、米国経済の7割を占める消費の鈍化で景気後退入りするとの見通しも強まっていたなか、サービス業PMIの改善は好感された。しかし、見通しが依然冴えず、警戒感もくすぶる。コンファレンスボードが25日に発表の3月消費者物価指数に注目される。 <CS> 2025/03/25 07:38 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】米コアPCE、米GDP、英・東京CPIなど *07:46JST NYの視点:【今週の注目イベント】米コアPCE、米GDP、英・東京CPIなど 今週は連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として最も注視している最新2月の個人消費支出(PCE)データに注目が集まる。2月消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)で、インフレ鈍化の基調が示されたが、コアPCEにも含まれる項目では加速が見られたため、市場エコノミストは、前年比で、前回の+2.6%から+2.7%と伸びが加速すると見ている。同時に、今年に入り、関税などへの不透明感に、消費者信頼感指数が低下傾向にある。コンファレンスボードの3月の米消費者信頼感指数でも4カ月連続の低下が予想されている。米国経済の7割を占める消費の鈍化が警戒される。FRBが先週開催したFOMCで公表した金融当局者の予測を裏付ける結果となる可能性が強い。金融当局者は2025年の国内総生産(GDP)見通しを大幅に引き下げた一方で、インフレ見通しを引き上げ。金利見通しは前回12月見通しから年2回で変わらずだった。関税政策が明確化するまでは、各国中銀も金融政策を修正することが困難で、通貨も方向観を探る展開が続くと見られる。そのほか、英国や東京都区部、オーストラリアの消費者物価指数(CPI)が発表予定で、中銀の今後の金融政策判断するうえで、注目材料となる。■今週の主な注目イベント●米国24日:製造業・サービス業PMI、ボスティック米アトランタ連銀総裁インタビュー25日:新築住宅販売件数、FHFA住宅価格指数、コンファレンスボード消費者信頼感、ウィリアムズ米NY連銀総裁挨拶26日:耐久財受注、ムサリム米セントルイス地区連銀総裁が講演27日:GDP確定値、失業保険申請件数、貿易収支、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演28日:個人所得・支出、コアPCE、ミシガン大消費者信頼感指数、ボスティック米アトランタ連銀総裁が司会●欧州24日:ユーロ圏製造業・サービス業PMI25日:独IFOビジネス景況27日:デキンドスECB副総裁が講演28日:ユーロ圏消費者信頼感、独失業率●英国24日:製造業・サービス業PMI、ベイリー英中銀総裁、講演26日:CPI、リーブス財務相は経済見通し27日:英中銀ディングラー氏講演28日:GDP、小売売上高●日本28日:東京CPI●加26日:カナダ中銀が金融政策の議事公表 <CS> 2025/03/24 07:46 注目トピックス 経済総合 欧米の注目経済指標:2月米コアPCE価格指数は1月実績を上回る可能性 *14:46JST 欧米の注目経済指標:2月米コアPCE価格指数は1月実績を上回る可能性 3月24日-28日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■24日(月)午後6時発表予定○(欧)3月ユーロ圏製造業PMI -2月実績は47.62月実績は47.6。需要関連指標である同月の新規受注指数は改善している。この状況が短期間で急変する可能性は低いため、3月の数値は2月実績をやや上回る可能性がある。■24日(月)午後10時45分発表予定○(米)3月サービス業PMI -予想は51.22月実績は51.0。トランプ政権が掲げる関税措置と連邦政府の大規模な支出削減に対する懸念が重しになった。3月については状況が短期間で大幅に改善する見込みは薄いため、2月実績と差のない水準となる可能性がある。■25日(火)午後11時発表予定○(米)3月CB消費者信頼感指数-予想は94.02月実績は98.3。トランプ政権が掲げる関税措置で物価が上昇するとの懸念から、向こう1年のインフレ期待は上昇している。3月については物価上昇への懸念は消えていないため、改善は期待できない。■28日(金)午後9時30分発表予定○(米)2月コアPCE価格指数-予想は前年比+2.7%参考となる1月実績は前年比+2.6%で上昇率は前月実績を下回った。2月についてはサービス価格の上昇率はやや鈍化しているものの、その他の項目における上昇率は特に変わっていないため、コア価格指数の上昇率は1月実績をやや上回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定24日(月):(欧)3月ユーロ圏総合PMI、(米)3月製造業PMI25日(火):(米)2月新築住宅販売件数26日(水):(英)2月消費者物価指数、(米)2月耐久財受注27日(木):(米)10-12月期国内総生産(GDP)確定値28日(金):(英)10-12月期国内総生産(GDP)改定値 <FA> 2025/03/22 14:46 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米2月中古住宅販売件数は1月の下落分を取り戻すも、春のピーク需要弱く住宅市場の低迷を警戒 *07:48JST NYの視点:米2月中古住宅販売件数は1月の下落分を取り戻すも、春のピーク需要弱く住宅市場の低迷を警戒 全米不動産協会(NAB)が発表した2月中古住宅販売件数は前月比+4.2%の426万戸と、1月409万戸から減少予想に反し増加した。悪天候からの回復や住宅ロ―ン金利の低下で売上が予想外に伸びた。30年物の固定住宅ローン金利は7.02%から6.97%まで低下した。ただ、2月の販売の回復は1月の4.7%減少分を取り戻したに過ぎない。天候の回復で特に南部、西部で売上が回復。重要な項目の1戸建ての売り上げは+5.7%となった。また、初めての購入者が増えたことも市場にとりプラス材料となる。在庫は3.5カ月とコロナ前の4カ月水準を下回り、依然供給がひっ迫の状況。一部のレポートによると、住宅のピークとなる春の需要が通常より弱いとの結果が出ている。住宅ローン金利の低下は好材料となるが、経済や雇用を巡る不透明感により、住宅購入条件に大幅な回復は見られず。さらに、在庫不足や高価格で、今後の市場が低迷する可能性も除外できない。 <CS> 2025/03/21 07:48 注目トピックス 経済総合 ドル円今週の予想(3月17日)サンワード証券の陳氏 *17:53JST ドル円今週の予想(3月17日)サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について『19日に開催される日米金融政策会合の結果次第の展開になりそうだ』と述べています。続けて、『日米中銀の金融政策決定会合はともに金利据え置きが見込まれているため、声明や会見から今後の金融政策の先行きに関する手掛かりを探ることになる』と説明しています。一方、『米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2会合連続で政策金利の据置きとなりそうだ。注目は、FOMCメンバーによる政策金利予想の分布図(ドットチャート)の中央値で、25年以降の利下げ軌道がどのように変化するかである』と述べています。また、『トランプ大統領の不規則発言や関税に伴う貿易摩擦の懸念から米景気の先行きの不透明感が広がる中、インフレと景気動向に関して従来のように楽観的にはなりにくいだろう。現時点では年内約3回の利下げが織り込まれているが、パウエルFRB議長は利下げを急がない姿勢を維持する可能性が高い』と示唆しています。陳さんは、『ドル円の内部要因は圧倒的に円売りに傾いているため、日米の金融会合で、「タカ派の日銀、ハト派のFRB」との目論見が外れれば、ドル円は急速に反発し、150円を上回る可能性があろう』と考察しています。今週のドル円の予想レンジは『146.0円~152.00円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月18日付「ドル円今週の予想(3月17日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/03/19 17:53 注目トピックス 経済総合 メキシコペソ円今週の予想(3月17日) サンワード証券の陳氏 *17:32JST メキシコペソ円今週の予想(3月17日) サンワード証券の陳氏 皆さん、こんにちは。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、メキシコペソ円について、『米国の関税が延期され今後の交渉に期待がかかり、最悪の事態は回避されるとの期待から堅調に推移しそうだ。また、国内景気の低迷から追加利下げが予想されているが、景気浮揚要因としてポジティブに受け止められるだろう』と述べています。続いて、『トランプ米大統領は6日、シェインバウム氏との協議を経て、25%関税について「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除すると表明』と伝え、『シェインバウム大統領は9日の大規模な支持者集会で、米国の関税の猶予を達成するために対話と尊重が有効だったとし、メキシコの主権が常に最優先だと語った。メキシコが米国経済にもたらす経済的貢献を強調した』と解説しています。陳さんは、『メキシコ経済は、トランプ大統領の関税政策がもたらす混乱が響き、景気後退に突入しつつあるもようだ』と述べています。次に、『メキシコの2月消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.77%上昇した。伸びは前月の3.59%から加速したが、2─4%の中央銀行目標範囲内に収まった』とし、弱い経済やインフレの収束から、今月27日の金融政策決定会合では0.5%利下げの可能性が出てきた』と考察しています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『7.10円~7.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月18日付「メキシコペソ円今週の予想(3月17日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。 <CS> 2025/03/19 17:32 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米2月輸入物価指数予想上回る、コアPCE押し上げか、関税が価格に影響する可能性を示唆 *07:42JST NYの視点:米2月輸入物価指数予想上回る、コアPCE押し上げか、関税が価格に影響する可能性を示唆 米2月輸入物価指数は前月比+0.4%と、伸びが1月から鈍化予想に反して、同水準の伸びを維持した。天然ガス、工業用品や材料費が上昇。カナダ、中国、メキシコからの輸入価格の上昇が特に目立った。2月に関税が発動されたのは、中国のみだが、関税の発動に絡む価格上昇に先駆け、企業、消費者の購入が加速した可能性が指摘されている。中国製アパレルの価格上昇は米国の関税が販売価格に反映する可能性が示唆されているとの指摘もある。トランプ第1次政権を参考に、関税による販売価格の上昇は緩やかなペースにとどまると予想されているが、結果的に生産者物価指数(PPI)や消費者物価指数(CPI)を押し上げる可能性は残る。また、輸入航空運賃は連邦準備制度理事会(FRB)が重要視しているコア個人消費支出(PCE)価格指数の項目となるが、今後、指数を押し上げる可能性もある。2月のコアPCE指数は前月比+0.4%、前年比+2.7%と、1月の+0.3%、+2.6%から加速が予想されている。 <CS> 2025/03/19 07:42 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米2月小売、オンラインでの支出が支えるも裁量的支出は手控え、リセッション懸念もくすぶる *07:41JST NYの視点:米2月小売、オンラインでの支出が支えるも裁量的支出は手控え、リセッション懸念もくすぶる 米商務省が発表した2月小売売上高は前月比+0.2%と、1月-1.2%からプラスに改善したものの予想は下回った。ただ、国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、外食を除いたコントロールグループ、コア小売りは+1.0%と、前月の-1.0%からプラスに改善し、昨年9月来で最大の伸びとなった。オンラインでの売り上げが支えた。しかし、悪天候に加え、労働市場への不透明感に、裁量支出が控えられている兆候が見られ、消費の減速が加速していると警戒感も強い。アトランタ連銀の米国第1四半期GDP予想はマイナス2.1%と、従来のマイナス1.6%から下方修正された。実質個人消費支出の伸びがマイナス1.1%ポイントと、従来のマイナス0.4%ポイントからさらに下方修正されたことが要因だと指摘している。米国のベッセント財務長官は週末のTVインタビューで、米国経済が景気後退入りを回避する保障はないと、慎重な見通しを示している。 <CS> 2025/03/18 07:41 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、パウエルFRB議長会見、SEP、日銀、英中銀、スイス国立銀 *07:34JST NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、パウエルFRB議長会見、SEP、日銀、英中銀、スイス国立銀 今週は主要各国中銀が金融政策開催を予定しており、結果に注目が集まる。連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く見通し。米国ではそのほか、小売売上高に注目。トランプ政権の関税政策を巡る不透明感に消費者信頼感が低下しつつあり、消費鈍化が成長を抑制する可能性も懸念され始めた。一部では景気後退懸念も浮上し、ドル売り圧力となった。FRBは18-19日開催の会合で、トランプ政権による関税策、そのインフレや経済への影響が依然不透明であるため、政策金利を据え置くことがほぼ確実視されている。パウエル議長の会見や、予測で今後の金利動向を判断する。米金融当局者は四半期経済予測(SEP)でインフレ見通しを引き上げる可能性がある。最近のインフレデータが、鈍化傾向の停滞を示しているほか、関税の影響を反映すると見られる。同時に、消費者信頼感指数の低下を受け消費の鈍化で成長予想も引き下げられる可能性がある。利下げ軌道にあることが再表明されるが、当面政策据え置く姿勢が再表明される可能性が強い。英国中銀も金利を8月以降3回引き下げたのち据え置く可能性が高いと見られている。今後の政策をさぐるため失業率などの雇用関連指標に注目される。日本銀行も金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決定する公算。植田総裁は会見で、1%が短期的な政策金利目標だと示唆すると、一部エコノミストは指摘している。利上げ軌道が確認されると、円の堅調な動きが予想される。■今週の主な注目イベント●OECD17日:世界経済見通し●米国17日:小売売上高、NY連銀製造業景気指数、企業在庫、NAHB住宅市場指数18日:住宅着工件数、輸入物価指数、鉱工業生産19日:連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表、パウエルFRB議長会見、FRB見予測20日:フィラデルフィア連銀製造業指数、週次新規失業保険、中古住宅販売21日:ウィリアムズ米NY連銀総裁講演●中国17日:小売売上高、鉱工業生産●欧州18日:独ZEW期待指数、レーンECB理事、講演19日:ユーロ圏CPI21日:ユーロ圏消費者信頼感●日本19日:日銀金融政策、機械受注、鉱工業生産、貿易収支21日:CPI●加18日:CPI21日:小売売上高●英20日:英中銀金融政策決定会合、失業保険申請件数、失業率●スイス20日:スイス国立銀行金融政策決定会合 <CS> 2025/03/17 07:34 注目トピックス 経済総合 日米の注目経済指標:日米中央銀行の政策金利は据え置きとなる見込み *14:30JST 日米の注目経済指標:日米中央銀行の政策金利は据え置きとなる見込み 3月17日-21日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■17日(月)午後9時30分発表予定○(米)2月小売売上高-予想は前月比+0.7%1月実績は前月比-0.9%で市場予想を下回った。メーカーの優遇措置の拡大で2024年12月の数字は好調だったが、1月は反動減となった。2月については所得水準の伸び悩みや物価高の影響が残されているが、反動増となる見込み。■19日(水)決定会合の終了予定時刻は未定○(日)日本銀行金融政策決定会合-予想は政策金利の据え置き日本銀行植田総裁は経済・物価の改善が続く見通しであればさらなる利上げを検討する考えを維持している。ただし、前回行った利上げの効果を点検中であることから、今回の会合では政策金利の据え置きが決まる見込み。■19日(水)日本時間20日午前3時結果判明○(米)連邦公開市場委員会(FOMC)会合-予想は政策金利の据え置き米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は3月7日の講演で「金利調整を急ぐ必要はないが、トランプ政権の政策とその経済的影響に関する不確実性は依然として高い」との見方を示した。ただ、長期的なインフレ期待は2%の目標に沿って安定していると指摘しており、6月に利下げが再開される可能性は高いとみられる。■21日(金)午前8時30分発表予定○(日) 2月全国消費者物価コア指数-予想は前年比+2.9%参考となる1月実績は前年比+3.2%で上昇率は前月実績を上回った。2月については生鮮を除く食料品価格の伸び率が1月実績を下回る可能性があるため、物価上昇率は3%を下回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定17日(月):(米)3月NY連銀製造業景気指数18日(火):(米)2月住宅着工件数、(米)2月鉱工業生産19日(水):(日)2月貿易収支20日(木):(英)英中央銀行政策金利発表、(米)2月中古住宅販売件数 <FA> 2025/03/15 14:30 注目トピックス 経済総合 中国の2025年両会から読み取れる政策シグナルとは(2)【中国問題グローバル研究所】 *10:57JST 中国の2025年両会から読み取れる政策シグナルとは(2)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。2025年の成長目標、内需拡大という課題2025年の両会では、経済成長目標が5%に設定される見込みだ。第14次5カ年計画に従うなら、中国は2035年までに先進国並みの中所得国になる必要があり、今後10年間は年平均成長率4.6%から4.7%の達成が必須となる。減速傾向を考慮に入れるなら、長期的目標を維持するにはより高い短期成長率が必要だ。中国における長期的な経済均衡化の要となっているのが、輸出主導型の成長と内需強化のバランスをとる戦略だ。輸出はこれまで成長の主要な推進要因であった一方で、中国はより持続可能な成長の源泉として国内消費に目を向けている。政府は個人および企業の負担軽減のため税制改革を実施し、可処分所得と消費の増加につなげようとしている。農村部の消費に狙いを定めた数々の政策は、インフラ強化や資金アクセスの改善、生活水準の向上を通じて都市部との所得格差の縮小を目指すものだ。これらの施策では、よりインクルーシブな消費主導型経済の育成に主眼が置かれている。政府はまた消費者の信頼感を高め、消費を促すため、社会福祉プログラムの改善にも重点的に取り組んでいる。輸出依存からより強固な国内市場の育成へと軸足を移すことで、中国はバランスの取れたレジリエントな経済モデルの構築を目指している。しかし内需は依然として低迷を続けており、海外からの直接投資は減少し、デフレ圧力が高まる中、消費者の信頼感も低いままだ。2023年には中国の消費者物価指数(CPI)は長期にわたり1%を下回り、市場の需要不足を示している。これら課題に対処するには、国内消費と民間セクターの参入を優先させた、よりバランスの取れた成長モデルが不可欠だ。「新たな質の生産力」(新質生産力)による民間セクター復活の可能性は?中国政府は「新たな質の生産力」、すなわち中国経済の近代化と長期的な競争力の向上に重要な役割を果たす技術革新、ハイエンド製造、AIなどの資本集約型産業の育成を推進しているものの、従来の民間企業の苦境を解消する対策はなされていないのが現状だ。多くの中小企業、特にローテク分野の企業は、依然として資金調達難や消費需要の低迷といった課題に直面している。これらの分野は中国の長期的競争力を強化すると期待されてはいるが、苦境に立たされている民間企業を早急に救済する力はない。多くの伝統産業や中小企業は、なおも資金調達難や消費需要の低迷に苦しんでいる。「新たな質の生産力」」という概念は、経済の近代化、生産性の向上、中国の国際競争力の強化を念頭に置いたものだ。これらの産業は効率化と革新を通じて従来の産業を補完することを期待されているが、移行の過程で小規模な民間企業がなおざりにされるリスクがある。小売、建設、ローテク製造などに従事する多くの中小企業は依然として、資金調達難、コストの上昇、国営企業との厳しい競争にさらされている。こうした課題に対処するためにも、民営経済全体が繁栄できるよう、ハイテク産業の発展と従来の産業への適切な支援とを組み合わせた、バランスの取れたアプローチが不可欠であろう。まとめ: 民間企業の支援を確実に遂行できるか2025年の両会は、地方政府が債務や財政難といった苦境に陥る中、民営経済の活性化を目指すことになり、中国政府の政策が重要な転換点を迎えたと言える。民間企業の支援に向けて大々的な措置が講じられているが、これら政策の成否が、中国経済モデルの今後を決定付ける鍵となるだろう。中国全国人民代表大会 第14期第3回会議(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2025/03/14 10:57 注目トピックス 経済総合 中国の2025年両会から読み取れる政策シグナルとは(1)【中国問題グローバル研究所】 *10:45JST 中国の2025年両会から読み取れる政策シグナルとは(1)【中国問題グローバル研究所】 ◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。中国の今年度の両会(全国両会)―中国人民政治協商会議(全国政協)と全国人民代表大会(全人代)―が、それぞれ3月4日と5日に始まった。これらの会議は指導部の方向性を反映し、重要な演説や政策発表、法改正が行われるなど、中国の政治情勢の形成において重要な役割を果たしている。両会は過去数十年にわたり、政府が長期的な戦略目標と当面の経済調整を表明し、安定と団結をアピールする場として機能してきた。ゆえに政策の方向性を示す重要な手がかりと位置付けられ、中国政府が経済成長、市場改革、国際関係などの主要な課題にどのように取り組んでいるか、世界から注目が集まっている。今年度の両会の議題の中心となったのが、経済成長の鈍化、民間企業の支援、地方政府が抱える債務問題の解決である。全人代記者会見で娄勤俭報道官は、中国が直面する経済的な課題については認めながらも、同国の広大な市場規模と包括的な産業システムがあれば困難は乗り越えられるだろうと強調した。また、民営経済を支援するという政府の姿勢も改めて表明した。政策優先事項としての民営経済再活性化近年、中国は先行き不透明な世界経済、輸出市場の縮小、国内消費の不振により、外需の低迷に苦しんでおり、これらが経済成長の足枷となっている。こうした背景から、民間セクターの活性化が内需の拡大や経済の安定に極めて重要な戦略となっている。すでに一部の産業や企業は回復の兆しを見せつつあり、新たな政策による恩恵が期待される。例えばテクノロジー分野、特に人工知能(AI)や半導体などの分野は、政府と民間投資家の双方から再び注目されている。近年、法規制による締め付けに直面していたテンセント(騰訊)やアリババ(阿里巴巴)などの企業は、政府による支援強化のもと、クラウドコンピューティングやフィンテックなど事業の多角化へ方向転換しつつある。フィンテックとは、イノベーションやデジタルツールなどを駆使してオンライン決済、デジタル通貨、ブロックチェーン技術などのソリューションを提供し、テクノロジーを金融サービスや金融業務の改善に役立てるものだ。金融システムの近代化と効率化に貢献するという点で、これは「良いテクノロジー」と言ってよいだろう。同様に、電気自動車(EV)分野のBYD(比亜迪)のようなハイテク産業の民間メーカーもグリーンエネルギーの技術革新とインフラ開発を促す政策転換による恩恵を受けている。さらに、政府が内需の喚起に再び重点を置いたことで、シャオミ(小米科技)やハイアール(海尔集団)のような消費財メーカーが復調の兆しを見せている。これらの企業は国家政策による支援と消費者の嗜好の変化を機に勢いを取り戻しており、中国経済の回復に幅広く貢献する可能性がある。2024年9月に中国共産党政治局が打ち出した一連の段階的景気刺激策により、昨年度の中国のGDPは130兆元を超え、5%という成長率を実現した。しかしこの成長は主に政府投資と輸出がもたらしたものであり、民間企業はかつての活力を取り戻すに至っていない。中国政府は、持続可能な長期的成長は国家主導のイニシアティブにのみ依存するのではなく、堅調かつ活気ある民間セクターが必要であることを強く認識している。地方政府の債務および民間セクターの資金調達における課題中国経済におけるもう一つの喫緊の課題は、地方政府の債務負担の増大である。2023年11月、全人代常務委員会は、隠れ債務を解消すべく地方政府債務上限を6兆元に引き上げることを承認した。2024年末までには2兆元のスワップ債が発行され、多くの地域でその年の債務再編が完了、地方政府にのしかかる財政圧力が一時的に緩和された。だが、この措置も地方政府が直面する流動性危機の根本的解決には至らず、インフラ投資の持続可能性や民間企業への融資の可用性に対する懸念が残る。中国の地方政府債務は全体の流動性を大きく左右するものであり、民間企業の資金調達に直接影響を及ぼす。地方政府が多大な債務に苦しむ中、資金の大部分はこれら債務の返済に充てられ、民間企業への資金供給は少なくなっている。また、地方政府は国有企業やインフラプロジェクトを優先する傾向にあり、これらが有利な融資条件を受ける一方で、民間企業、特に従来の産業に従事する企業は高い借入コストと厳しい融資条件に直面している。こうした不均衡が原因で民間企業が利用できる資金が減少し、成長と技術革新の可能性が阻害されている。さらに、地方政府の債務負担によって銀行が融資に慎重になり、銀行システムに流動性危機が発生することで、民間セクターにおいて不可欠な資金調達の機会がさらに制限される恐れがある。その結果、中小企業を中心に民間企業の融資確保がさらに困難になり、投資や事業拡大が停滞し、長期的な経済成長への貢献余力も削がれることになる。民間経済促進法と政策緩和2025年の両会で立法関連の注目を集めたのは、民間経済促進法の草案である。娄勤俭報道官は、「法の支配こそが最高のビジネス環境をもたらす」と強調し、同法案には中国共産党の長年の政策である「2つの確立」(両个毫不動摇)と「2つの維持」(両个健康)が組み込まれており、民営経済への支援を重視していると指摘した。同法の目的は、民間企業の公平な市場参加を可能にする法的枠組みを整備し、ビジネス環境全体の改善を通じて起業家の信頼を回復することにある。民間経済促進法の草案は、民間企業が資源、市場機会、政府支援に公平にアクセスできることを保証し、国有企業との競争条件を平準化することを目的としている。また同法は、官僚的手続きの簡素化、行政上の障壁の削減、民間企業との政府取引における透明性向上も目標に掲げている。さらに、知的財産権の保護を強調し、イノベーションを奨励するとともに、不公平な扱いを受けた際の法的救済手段を拡充することで、起業家の信頼向上を図る狙いもある。同法は、民間企業にとって包括的で支援的なビジネス環境を創出するという政府の具体的取り組みを象徴するものであり、中国の経済発展と変革において民間企業の役割拡大を促すものとなっている。注目すべき動きとして、2月17日に習近平国家主席が6年ぶりに民間企業シンポジウムに姿を現し、政権が民間企業を一貫して支援していることを改めて表明した。この動きは政策緩和の兆しと受け止められ、中国の経済改革において民間企業の役割拡大を促す意図があると広く解釈されている。「国進民退」の時代は終わりを迎えるか?「国進民退」とは、かつて民間企業が独占していた分野への国家の介入が進み、民営経済が後退していくという認識を表現したものだ。この動きは、習近平氏の指導のもとでテクノロジー、教育、フィンテックなどの業界に対する規制が強化されて以降、勢いを増した。習近平政権下では、経済格差の縮小やデータおよび国家安全保障に対する管理の強化など、政権の政治的・社会的目標に即した形で主要産業への管理を強化してきた。これは1980年代、トウ小平氏の主導により中国が「改革開放」政策を採用して民間セクターの成長を促した経済政策からの大幅な転換を意味する。だが習氏の指導下で国有企業が再び優位性を回復したことにより、民間企業の機会が減少するのではないかという懸念が生まれている。国家による統制の強化は中国の経済モデルをより広い視野で再評価しようという動きを反映したものであり、習氏は安定性と社会の調和を確保するには国家による指導が必要であると強調してきた。ここ最近の事業家寄りの発言にもかかわらず、多くの市場ウォッチャーはいまだ懐疑的であり、こうした変化を、トウ氏の「放権譲利」(放手让利)というアプローチへの根本的な回帰というよりも、経済的課題への短期的対応と見ている。トウ小平氏による改革時代に生まれたこの言葉は、経済成長を牽引する上で市場に重要な役割を担わせ、政府は政策助成を通じて企業を支援するという意味を持つ。これまでに課された規制措置の余波と、将来の政策転換に対する不透明さとが相まって、投資マインドは依然として低迷しており、資本の流れも低調だ。「国有経済VS民営経済のターニングポイントか? 中国の2025年両会から読み取れる政策シグナルとは(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。中国全国人民代表大会 第14期第3回会議(写真:新華社/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/ <CS> 2025/03/14 10:45

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