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NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ
配信日時:2025/04/01 07:39
配信元:FISCO
*07:39JST NYの視点:米3月PMIは予想外に改善も依然活動縮小域、金融機関リセッション確率予想引き上げへ
米3月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は47.6となった。2月45.5から低下予想に反し上昇し、23年11月来で最高となった。ただ、16カ月連続で活動の縮小となる50割れとなった。
生産は50を上回り、拡大域に改善。雇用の減少ペースや新規受注の減少ぺースが改善し、指数を押し上げた。関税を巡る特別な質問では、25年の販売価格を巡る計画で、回答者の25%は引き続き価格安定を維持するとした。35%は2-4%の値上げを計画しているとした。14%が2%以下の値上げ、14%は4-7%、11%が7%以上の値上げを計画している。
ゴールドマンサックスは、貿易緊張や弱い消費者信頼感を受け、米国経済が今後12カ月に景気後退入りするリスクを従来の20%から35%に引き上げた。政策を進めるために短期的な経済の減速を容認するトランプ政権の姿勢を指摘。2025年の国内総生産(GDP)見通しは1%へ引き下げ。連邦準備制度理事会(FRB)は7月、9月、11月、3回の利下げを予想している。年末のインフレ率は3.5%。そのほか、JPモルガンは景気後退確率を40%と見ている。米国経済は引き続き低迷ながら一段の悪化の兆しはまだ見られない。
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生産は50を上回り、拡大域に改善。雇用の減少ペースや新規受注の減少ぺースが改善し、指数を押し上げた。関税を巡る特別な質問では、25年の販売価格を巡る計画で、回答者の25%は引き続き価格安定を維持するとした。35%は2-4%の値上げを計画しているとした。14%が2%以下の値上げ、14%は4-7%、11%が7%以上の値上げを計画している。
ゴールドマンサックスは、貿易緊張や弱い消費者信頼感を受け、米国経済が今後12カ月に景気後退入りするリスクを従来の20%から35%に引き上げた。政策を進めるために短期的な経済の減速を容認するトランプ政権の姿勢を指摘。2025年の国内総生産(GDP)見通しは1%へ引き下げ。連邦準備制度理事会(FRB)は7月、9月、11月、3回の利下げを予想している。年末のインフレ率は3.5%。そのほか、JPモルガンは景気後退確率を40%と見ている。米国経済は引き続き低迷ながら一段の悪化の兆しはまだ見られない。
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中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】
*16:26JST 中国の反外国制裁法:台湾と国際貿易環境への影響【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。国際貿易のダイナミクスが変化し続けるなか、中国が先日、反外国制裁法の実施規定を公布したことに国際関係専門家と業界リーダーの注目が集まっている。2025年3月24日に李強首相が正式に署名し発効したこの実施規定は、米国など外国の制裁圧力の高まりを受けた中国の戦略的動きにほかならない。反外国制裁法は外国の制裁に対する中国の対抗措置に法的な裏付けを与えることを目的としているが、同時に、台湾政府と台湾ハイテク産業に与える影響や、国際貿易に及ぶ幅広い影響について、数々の疑問を生じさせてもいる。今回の記事では、中国の新たな実施規定のポイントや、台湾に与える影響、関税と制裁措置を中心にした幅広い意味での米国の貿易政策との関係を掘り下げていく。反外国制裁法実施規定の背景と主要条項反外国制裁法は、主に米国など西側諸国が中国に科す国際的な制裁措置の増加を受けて導入された。こうした制裁措置は中国の経済、技術、安全保障のさまざまな側面を対象としており、特に貿易不均衡や知的財産権、5Gや人工知能など先端技術に関する制限に重点を置いている。同法は、中国に制裁を科す外国の企業や個人に対して報復措置を講じる権限を中国政府に付与する。その実施規定に盛り込まれた措置には、中国の利益を侵害したとみなされる外国企業や外国政府に対して実施できる資産凍結、貿易や投資の制限、その他の経済制裁などがある。特に注目すべきは、同規定が金融、技術、教育、文化など幅広いセクターを対象としているほか、外国の圧力に対抗するために中国が講じる具体的な措置を示している点である。この法的枠組みにより、中国は、不当な制裁や貿易制限だと自らが考える措置に対し、より体系的かつ強力に対応することができる。台湾への影響:政府とハイテク産業の主な懸念材料台湾にとって、この新たな実施規定の導入は重要な動きであり、ハイテク分野を中心に慎重な検討が必要となる。半導体産業をはじめ、台湾経済は中国と密接に結びついており、中国の規制環境の変化・変更は台湾企業に大きな影響を与えかねない。1.ハイテク産業への影響台湾は、台湾積体電路製造(TSMC)など世界をリードする半導体メーカーの本拠地である。中国は技術的独立性の強化を図っており、同国が課すいかなる制限や報復措置も台湾のIT企業に深刻な影響を与えるおそれがある。新たな実施規定の導入をきっかけに、中国は自国に制裁を科す諸国と歩調を合わせているとみなした外国IT企業との協力を制限し、場合によっては禁止するようになるかもしれない。台湾のハイテク産業が中国市場と密接に結びついていることを考えると、台湾企業は事業戦略と中国市場への依存を見直す必要が出てくる。2.対中投資制限の可能性同規定は外国投資を制限または禁止する権限も中国に付与しており、中国で事業を展開する台湾企業がその標的になることも考えられる。これは特に、製造や研究開発で、あるいは自社製品の市場として中国に依存してきた企業にとって大きな懸念材料となる。中国がこうした投資に制限を設けることを決定すれば、台湾企業の業務に多大な支障が生じかねない。台湾の政治家はリスクを慎重に見極め、台湾の経済関係の多角化を図り、中国市場への依存軽減を検討しなければならない。3.学術・技術・文化交流への影響同規定の文化・技術・教育協力の制限に関する条項もまた、台湾の懸念材料となっている。台湾は工学、人工知能、社会科学などの分野を中心に、中国と長年にわたり学術・技術交流を重ねてきた。同規定がこうした交流を標的としていることから、台湾の大学や研究機関、企業は中国側との連携を続けることが難しくなるおそれがある。それにより台湾が地域からの孤立を深め、イノベーションや国際的な学術協力に長期的な影響が及ぶかもしれない。抑制的なアプローチ?中国の戦略と米国を標的としたその内容反外国制裁法実施規定の制定により、中国は国際的な制裁への対抗措置に大きく踏み出したように思えるが、同規定の条項は当初の予想に比べると抑制的だと感じられる。同規定はあからさまに米国など特定の国を対象としておらず、外的圧力に中国が柔軟に対応できるようにした幅広い法的枠組みと言える。米国を中心とした西側諸国の制裁に対する中国の不満は高まっているものの、同規定により直ちに緊張が高まり全面的貿易戦争に発展するという事態には至っていない。むしろ、中国は米国やその同盟国に対し、より慎重かつ計画的なアプローチを取っているようである。こうしたアプローチは、同法が外的圧力に対抗するためのものであるとはいえ、中国が依然として米国をはじめとした世界の主要国との関係悪化を回避しようと努めていることを示唆する。中国のこうした慎重な対応は、米国との全面的な貿易紛争が全世界に及ぼす影響を認識してのものである。貿易戦争は両国の経済にダメージを与え、グローバルなサプライチェーンを混乱させる可能性が高い。そのため同規定は、中国が必要に応じて制裁措置に対応する態勢を整えながらも関係悪化を回避しようという、幅広い戦略の一環とみなすべきである。米国の関税と貿易戦争:国際貿易への影響反外国制裁法実施規定は、国際貿易を大きく揺り動かす米国の新たな貿易政策が、特に米中貿易戦争とのからみで次々と打ち出されるタイミングで制定された。ドナルド・トランプ大統領は1期目に、「米国第一主義」の一環として中国製品に何十億ドルもの関税を課した。その目的は、貿易不均衡、知的財産の盗難、不公正な取引慣行への対処であった。ただ、協議を重ねて緊張緩和がある程度図られたものの、米国は貿易問題で中国などの諸国に圧力をかける手段として関税を利用し続けてきた。1.中国などの諸国に対する米国の関税関税の賦課は技術、製造、農業などのセクターを中心に、世界貿易の流れに混乱を生じさせている。台湾のハイテク企業はグローバルなサプライチェーンに深く組み込まれているため、集中砲火にさらされるおそれがある。米国と中国が関税戦争を続けるなか、台湾は貿易面で不確実性の高まりとコストの上昇に直面するかもしれない。2.世界的な貿易摩擦の高まり関税を利用し続けるトランプ大統領の姿勢を受け、各国が徐々に保護主義的措置に訴えるようになる「貿易戦争」シナリオを懸念する声が上がっている。これが、グローバルなサプライチェーンの再編や、関税回避を目的とした企業の生産移転、ひいては世界経済の成長減速につながるおそれもある。台湾企業は半導体産業を中心に、さらなる関税や制限が課せられるリスクを軽減するため、代替の市場や生産施設を検討する必要があるかもしれない。3.米国の制裁措置と技術貿易米国はファーウェイ(華為)など中国のIT企業も標的にし、米国企業の重要な技術やコンポーネントへのアクセスを禁じてきた。米国の輸出制限が、米国と中国の両方に高度半導体を供給するという台湾の役割を阻害する可能性があり、ITセクターはTSMCなどの企業を含め、こうした政策の影響を直接受けるかもしれない。これにより、相反する政治的圧力にうまく対応してきた台湾企業が直面する複雑さが増している。反外国制裁法実施規定が及ぼす影響と台湾の戦略的対応中国による反外国制裁法実施規定の導入で、台湾はいくつかの課題を突きつけられている。中国が外国の制裁に対抗する法的枠組みを強化するにつれ、台湾政府・企業は同規定がもたらしうるリスクとチャンスを常に慎重に評価する必要があるだろう。台湾は、特に今も続く貿易摩擦を念頭に、中国など世界の大国との関係を慎重に検討しなければならない。この新たな実施規定と幅広い地政学的変化がもたらすリスクを軽減するために台湾が注力すべきは、貿易関係の多角化である。今後は、中国以外のアジア諸国に加え、欧州連合など国際市場との連携の強化が中国市場への依存軽減の鍵を握る。これに加え、台湾のハイテクセクターはイノベーションを進めて、急速に変化する国際貿易環境にうまく適応し、地政学的緊張が増しても競争力を確実に維持する態勢を整えなければならない。まとめ:国際貿易環境の変化に対応する中国と西側諸国、特に米国との間で貿易摩擦が続くなか、反外国制裁法実施規定の導入は大きな転換点となる。台湾のハイテク産業は中国の法的・経済的環境の影響を直接受けることから、同規定は台湾に課題とチャンスの両方をもたらすだろう。また同時に、米国の関税政策など幅広い貿易摩擦が現在進行中であることを思い出させる役目も果たす。国際貿易環境は変化し続けており、台湾は今後、柔軟に戦略を変えつつ競争力を維持し、米中対立が生む複雑な状況をうまく乗り切る必要がある。貿易関係の多角化と技術・経済連携の強化を進めることで、台湾は世界の二極化が進むなかにあっても繫栄を続ける態勢を整えられるだろう。中国の李強首相(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 16:26
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中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:20JST 中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。中国のグローバルカンパニーか否かトランプ氏の怒りの矛先は当初、パナマ運河の支配権に向けられた。彼はこの運河を中国が支配し、米国の船舶に法外な運航料を課していると間違った主張をしていた。後者の部分は完全な勘違いだが、前者の部分にはわずかながら根拠がある。香港に本拠を置くCKハチソンが運河沿いの2つの港を支配していたため、これを中国国家による支配ととらえたのである。CKハチソンは香港で最も著名な実業家の李嘉誠氏が所有する企業である。李嘉誠氏は世界で最も目端の利く実業家の一人だ。香港の大物実業家の多くがそうであるように、李氏も香港の不動産業でまず財を成し、江沢民元国家主席と親密な間柄になったが、江氏が退任し香港で緊張が高まると、香港や中国関連の資産を売却し、海外のインフラや電気通信分野へと進出し始めた。パナマ運河についてのトランプ氏の脅しを受けて、李氏が23カ国にまたがる43カ所の港湾を、米国の資産運用大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することに同意したのは、現在の世界的な緊張の高まりと、国際貿易が打撃を受ける可能性を認識してのことに違いない。中国政府は激怒し、中国政府寄りの香港紙も解説記事でこの合意を厳しく非難した。香港の中国行政機関がこれをリポストしており、この解説記事に正式なお墨付きが与えられたことは明らかである。香港政府もこの合意に対して、すべての法令に従う必要があると公に警鐘を鳴らしたが、少なくとも書面上は企業同士の単純な国際資産取引であるこの合意にいかなる法令の違反があったのかについては、一切触れてない。トランプ氏により中国企業が港湾の売却を余儀なくされ、中国政府が激怒していることは間違いないが、それはすなわち、中国がCKハチソンを実質的に中国国家の出先機関とみなしているということだ。CKハチソンは国営企業ではなく民間企業であり、国際的な資産を幅広く保有する李嘉誠氏が株式の過半数を所有している。中国は、同社が民間企業ではないと言おうとしているのであろうか。それとも、民間企業ではあるが、必要に応じて中国共産党の意向に従い行動すると言おうとしているのか。他国は今後、李嘉誠氏による投資を実質的に共産党のフロント企業としての活動としてとらえるべきなのか。そしてそれはすべての香港企業のみならず、中国国民が創業したあらゆる企業に当てはまるのか。自国企業に対する規制や監視を激しく非難する際、中国はおそらく米国を模倣しているにすぎない。欧州の訴訟での米国系IT企業に対する制裁金と規制について、これら企業が国営企業ではないにもかかわらず、ヴァンス副大統領が欧州の規制当局を激しく非難したのはほんの数週間前のことである。中国はこれと同じことをしているだけではないだろうか。CKハチソンが保有していたというだけで、中国が実際にパナマ運河や他の港湾の支配権を有していたと言えるのか。公開されている情報からは真偽が定かではない。ただ、トランプ氏が世界の舞台から撤退することで生じた隙間に中国が入り込もうとしている今、こうした中国の反応が香港企業を難しい立場に立たせ、国営と民営の区別をさらに混乱させたことは明らかである。米国の失点が必ずしも中国の得点にはならない平和の維持に大きな役割を果たし、過去80年間にわたり領土戦争を確実に抑えてきた国内外の枠組みや制度を廃止しようと、トランプ氏とそのチームは日々取り組んでいる。冷戦終結と約30年にわたる中国の隆盛で、従来の秩序のもろさが露わになっているとはいえ、新しい秩序を考えずに古い秩序を破壊することは愚の骨頂である。中国は米国主導の秩序をしばしば激しく非難し、異なる秩序を求めてきたが、それがどのような秩序で、自らがそこでどのような役割を果たすかについては明言してこなかった。トランプ氏が世界の舞台から降りたからといって、中国が入り込むのは容易ではない。トランプ政権は依然として中国製品に関税を課し、中国企業を対象とした新たな制裁措置を導入しつつあり、政権の閣僚の多くが対中強硬派だ。米国が失点しても、中国が労せずして利益を得る状況にはなっていない。多くの国々は、トランプ氏の行動を受けて自国の問題の統制を強化し始めたが、同時に、中国の世界的な影響力の強まりにも懸念を抱いている。安全保障上の懸念が著しく高まり、中国が国営企業と民間企業の境界線を相変わらず曖昧にするなか、中国は、古い秩序が崩壊しても求めていたような秩序が新たに生まれるわけではないことに気づくかもしれない。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 10:20
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中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:10JST 中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信しているフレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。下り坂が続く2期目を開始して2カ月となるドナルド・トランプ氏は、依然としてマスコミを日々賑わせており、新たなドラマや非常識な言動を毎日世に発する様子はまるで昼ドラのようだ。大統領を影で支えるチームは人々を情報の洪水に巻き込む戦略を展開しているが、これは偶然の結果ではなく、憲法違反や大統領の越権行為だと判断されうる行動に反対するだろう人たちを混乱させ、押さえつける企てである。援助プログラムやバイオメディカル研究、政府機関全体の変更や閉鎖であれ、何千名もの連邦政府職員の違法な解雇であれ、トランプ政権がもたらした変化の規模の大きさを考えると、野党の政治家や従来型メディア、裁判所が後れを取り、阻止できなかったことは間違いない。三権分立の一角を担う裁判所が先日ようやく行政府の権力掌握に抵抗し始めたが、メディアコメンテーターだけでなく閣僚の間でも、裁判所の判決を無視するよう求める声が強まっている。またトランプ氏自身も判事の判断に不満を抱き、弾劾されるべきだと判事を非難した。これは米国における法の支配の崩壊にほかならず、米国は民主主義国家から、大統領の意に沿わない法律には従わない独裁国家へと向かっている。米国と同盟を結んでいる国にとってこれは由々しき事態であり、米国は信頼できないパートナーとなりつつある。大口を叩いていたにもかかわらず、トランプ氏はウクライナ戦争を終わらせることができていない。また大統領就任時には自身の成果だと主張していたガザの停戦すら、イスラエルがガザへの攻撃と軍派遣を再開したことで行き詰まっている。彼がこれまでに実行しうまくいったことといえば、近隣諸国や同盟国を脅して従わせることである。すでにカナダとメキシコ、そしてもちろん中国にも関税を課したほか、鉄鋼・アルミニウムにも関税を課しているが、4月2日には欧州連合を中心とするほぼすべての貿易相手国を対象とした相互関税を発表する予定である。トランプ氏は自分とヴァンス副大統領がゼレンスキー大統領を公の場で非難すればとても面白いテレビ番組になると冗談めかして言っていたが、そのとおりの展開となった。しかしウクライナに対する今回の裏切りは実のある結果をもたらしていない。ゼレンスキー大統領はこの会談に向けた準備がしっかりできていなかったようだが、最終的に停戦に同意する意欲を示したことで、戦争を終結させるために歩み寄るかどうか、ロシア側にボールが投げられたことになる。ロシアとプーチン氏をよく知る人であれば、彼らがトランプ氏に調子を合わせるはずがないことは明らかであり、実際そのとおりの結果となった。トランプ氏が成し遂げたことといえば、彼の下で米国はまったく信頼できない国になったことを欧州の(元)同盟国に示し、米国に頼らないポストNATOの安全保障秩序への着手を余儀なくさせたこと以外にはない。トランプ氏が自国の政府を骨抜きにし、同盟関係や友好関係を台無しにする今、中国が不安感を抱く必要などあるのだろうか。米国主導の世界秩序の崩壊は、中国が望んでいることではないのか。「欧州の戦争」における中国の立場トランプ氏が条約を破棄したり、グローバルな協定から離脱したりするたびに、自ずと中国が勝者になると考えてしまう人もいるだろう。確かにWHO脱退やパリ協定離脱で米国にメリットはなく、雑な解釈をすれば、空いた席に中国がつくとも考えられる。実際そうなる場合もあるかもしれないが、それは、中国が世界のリーダーとなる態勢を整えていることを前提とする。中国とロシアがこれまで掲げてきたグローバルビジョンの大部分は、自らが世界に何を提案するかではなく、米国の提案を否定することに終始してきた。ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアが戦争を遂行できるかどうかの鍵を握っていたのは中国の反応である。おそらくプーチン氏は事前にこの特別な軍事行動を習近平氏に知らせていたはずだが、プーチン氏同様、習氏も数日か数週間で決着がつくと考えていた。3年が経っても中国は相変わらずロシア側につき、対ロシア貿易を大幅に増やし、軍事以外の技術と物資の主要な提供国であり続け、ロシア産炭化水素の最大の購入国となっている。他国の問題に介入しないという中国の神聖な理念は、ウクライナの主権問題になると都合よく忘れ去られてしまうようだ。プーチン氏の世界観では、ウクライナは正式な国家ではなく、ロシアを弱体化させる手段として米国が支えるある種の傀儡政権であった。そのため、ロシアは表面的にはウクライナ国民と闘いながら、実際には米国と戦争をしているのである。この歪んだロジックが、まずイランがロシアにドローン技術を積極的に提供し、北朝鮮がロシアの軍事行動に兵士を派遣するという流れを生んだ。そしてこの歪んだ世界秩序は、CRINK(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)が、ウクライナへのいわれのない攻撃の支援というより米国への間接的な攻撃としてこれらの行動を正当化することにつながっている。直接的な攻撃は狂気の沙汰としか言えないが、米国がウクライナ問題にかかりきりになれば、それ以外の地域から米国の注意をそらすことができる。だが、トランプ氏のせいでこうした計算全体に狂いが生じた。トランプ氏が実質的にウクライナ側からロシア側へと寝返る中、EUなど欧州諸国は、自分たちが中心となって戦時下と戦後のウクライナを支えなければならないこと、またウクライナ戦争は今もこれまでも米国に対する代理戦争ではないということを徐々に受け入れつつある。欧州の国であるウクライナへの攻撃であり、欧州諸国がウクライナの主たる支援者となるのである。そうなると、中国は欧州諸国との関係で極めて好ましくない立場に立たされてしまう。米国第一主義の貿易政策を取る米国への対抗勢力としてアピールし、欧州諸国との協力の緊密化を図る一方で、欧州の国への攻撃を認め実質的に支援していることになるからだ。グリーンエネルギー化で欧州と連携する安定した確かな貿易相手国として、欧州にとって信頼できるパートナーとなる準備を万全に整えていると中国が自認していることは間違いない。そうしたナラティブがいまだに響く相手がいるかもしれないが、トランプ政権発足前には欧中貿易関係が非常に不均等かつ不平等であることにEUは気づき始めていた。トランプ氏がウクライナに背に向けたことで、他の国々は自国の防衛について今まで以上に真剣に考えることを余儀なくされており、中国の脅威に対抗するため、新たな同盟関係やパートナーシップの構築を目指しているはずだ。アジアでは韓国と日本がその顕著な例である。米軍が駐留し、歴史的に米国と強固な同盟関係にある両国も、米国が向かう先と、安全保障を米国に依存することの現実的なリスクを憂慮しているに違いない。また忘れてならないのは、米国は欧州との同盟関係や約束を台無しにしているが、中国に神経を集中させたいというのもその理由の一つだという点だ。それが何を意味するのか、現時点では誰にも分からない。トランプ氏のチームの中国に関する発言は驚くほど少なく、追加関税を課したとはいえ、具体的な対中政策のようなものは一切打ち出されていない。トランプ氏は習氏が訪米すると述べているものの、詳細についてはまったく触れていない。中国と取引(ディール)すると話しているが、現在までのところ彼の取引は概ね期待外れの結果に終わっている。戦争は終結せず、平和は実現せず、経済成長も見られない。「中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)(※1)https://grici.or.jp/
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2025/04/02 10:10
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NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か
*07:53JST NYの視点:米2月JOLT求人減少も景気後退兆候は見られず、企業現状維持か
米国労働統計局が発表した2月JOLT求人件数は756.8万件と、1月776.2万件から予想以上に減少し、12月来で最低となった。昨年の同月844.5万件から87.7万件減少した。トランプ政権の関税策を巡る不透明性が台頭し、企業は事業計画の決定を保留にしていると見られ、雇用削減や新規採用を控え、現状を維持している兆候が見られる。ただ、連邦職員求人件数は13.8万件と、前月の13.2万件から増えた。求人件数は総失業者数の705.2万人を依然51.6万上回っている。しかし、その差は縮小しつつあり、コロナ以降で最小。ただ、求人件数が失業者数を上回っている限り、景気後退を予想するのは困難と見られる。採用者数は539.6万人と、1月の537.1万人から増加し昨年年10月来で最高に達し、労働市場の急激な悪化の気配は見られず。採用率は3.4%で1月と同水準。従業員の労働市場への自信を示す自主的退職者数は319.5万人で、前月の325.6万人から減少し雇用者の労働市場への自信が軽減したことが示唆された。自主的退職率は2.0%と1月から変わらず。ただ、2022年のピーク3%からは低下基調にあり、労働市場のひっ迫緩和の証拠となった。退職者数は530万人。退職率は3.3%で1月から変わらず。地方政府は3.2万人、連邦政府は1.1万人。雇用削減者数は180万人。昨年同月の168万人からは増加した。雇用削減率は1.1%で変わらず。連邦政府職員の削減数は2.2万人と2010年10月来で最高となった。今後、公務員が民間の職に就き、トランプ政権が模索している政府を縮小し民間部門を拡大する構想達成が順調に進むかに焦点が集まる。■2月労働市場ダッシュボード求人件数:4.5%(予想4.5%、1月4.7%)雇用削減率:1.1%(1月1.1%)自主的退職率:2.0%(1月2.0%)採用率:3.4%(1月3.4%)失業率:4.1%(1月4.0%)不完全雇用率(U6):8.0%(1月7.5%)非農業部門雇用者数:+15.1万人(1月+12.5万人)平均時給:前月比+0.3%、前年比+4.0%(1月+0.4%、1月+3.9%)
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2025/04/02 07:53
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NYの視点:【今週の注目イベント】米政権の関税発動、米雇用統計、パウエルFRB議長、豪準備銀
*07:35JST NYの視点:【今週の注目イベント】米政権の関税発動、米雇用統計、パウエルFRB議長、豪準備銀
今週は米トランプ政権が発動を計画している関税策や対象となった諸国の報復措置などを睨んだ展開が予想される。貿易戦争が深刻化、長期化が示唆されると、リスク回避の動きに拍車がかかるリスクがある。各国の経済やインフレ、金融政策に影響を与える。そのほか、欧米、中国の製造業、非製造業PMIで各国の経済動向を判断していく。米国ではさらに全米の製造業やサービス業活動を示すISMの製造業やISM非製造業景況指数、雇用統計など重要指標が発表される。3月の米雇用統計は、天候の回復で失業率は歴史的にも低い水準を維持する見込み。非農業雇用者数は伸び鈍化が予想されている。関税を巡る不透明感で、消費者信頼感数が低下基調にあり、消費を抑制し、景気を鈍化させると警戒されている。景気後退確率も上昇。一方、データでは、労働市場が依然底堅いことが示唆されている。新規失業保険申請件数では政府効率化省(DOGE)による連邦職員削減の影響が依然限定的にとどまっている証拠が見られる。労働市場が健全である限り、景気後退入りを想定するのは現状では困難となる。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は講演を予定しており、景気やインフレ、景気後退の可能性などをめぐる見解に注目される。欧州では3月のユーロ圏消費者物価指数の前年比での伸び率がやや低下した可能性が高いが、コア指数の伸びは変わらずの見込み。欧州中央銀行(ECB)の4月理事会での利下げ確率は現状で85%。ECBが公表する3月定例理事会議事要旨で利下げの可能性を探る。一部メンバーはトランプ政権の関税がインフレ要因になると指摘しており、追加利下げに慎重姿勢も見られ、内容次第ではユーロ買いにつながる可能性もある。欧州、英国は夏時間入りとなる。■今週の主な注目イベント●豪州1日:豪準備銀金融政策決定会合●米国31日:3月シカゴPMI1日:製造業PMI、建設支出、ISM製造業、JOLT、バーキン米リッチモンド連銀総裁が討論会傘下2日:ADP雇用統計、製造業受注、米国が相互関税と追加のセクター別関税を賦課、クーグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演3日:ISM非製造業総合景況指数、サービス業PMI、FRBジェファーソン副議長が基調演説、クックFRB理事が講演4日:雇用統計、パウエルFRB議長が講演、ウォラーFRB理事が講演●加4日:失業率●欧州31日:独CPI1日:ユーロ圏製造業PMI、CPI、失業率3日:サービスPMI、PPI、独・仏サービスPMI、ECB3月定例理事会議事要旨4日:独製造業受注●英国1日:製造業PMI●日本31日:鉱工業生産、小売1日:失業率、短観4日:世帯支出●中国31日製造業・非製造業PMI1日:財新製造業PMI3日:財新サービスPMI
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2025/03/31 07:35
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日米の注目経済指標:3月米雇用統計は2月実績を下回る可能性
*13:58JST 日米の注目経済指標:3月米雇用統計は2月実績を下回る可能性
3月31日-4月4日発表予定の経済指標予想については以下の通り。■4月1日(火)午前8時50分発表予定○(日)日本銀行短観3月調査-予想は大企業製造業DIは+12前回調査では+14。今回は米国の関税措置が世界経済に与える影響が懸念されており、プラス幅はやや縮小する見込み。■4月1日(月)午後11時発表予定○(米)3月ISM製造業景況指数-予想は49.82月実績は50.3。支払い価格は上昇したが、新規受注は低下。先行指標となる3月製造業PMIは節目の50を下回っており、3月ISM製造業景況指数は50を下回る可能性がある。■4月3日(木)午後9時30分発表予定○(米)2月貿易収支-予想は-1100億ドル1月実績は-1314億ドル。2月については、輸入額は減少するとみられており、貿易赤字幅は1月との比較で縮小する見込み。それでも1000億ドルを上回る貿易赤字となる可能性がある。■4月4日(金)午後9時30分発表予定○(米)3月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数は前月比+13.5万人、失業率は4.1%雇用拡大のペースは減速しており、関税措置の影響もあることから、非農業部門雇用者の増加幅は2月実績を下回る見込み。失業率は横ばいか、やや上昇する可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定3月31日(月):(日)2月鉱工業生産4月1日(火):(日)2月失業率、(豪)豪準備銀行政策金利発表、(欧)3月ユーロ圏消費者物価指数4月2日(水):(米)3月ADP雇用統計4月3日(木):(米)3月ISM非製造業景況指数
<FA>
2025/03/29 13:58
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米新規失業保険申請件数は減少、連邦職員削減の影響は限定的で景気悪化懸念は行き過ぎの可能性も
*07:44JST NYの視点:米新規失業保険申請件数は減少、連邦職員削減の影響は限定的で景気悪化懸念は行き過ぎの可能性も
米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(3/22)は前週比1000件減の22.4万件と予想外に前回22.5万件から減少した。失業保険継続受給者数(3/15)は185.6万人と、前回188.1万人から予想以上に減少した。連邦職員による新規失業保険申請件数(3/22)は564 件(UCFE)。4週連続で減少し、昨年末以来の水準に戻した。トランプ政権の政府効率化省(DOGE)が連邦職員削減を開始した1カ月前に付けたピークのほぼ3分の1。連邦職員による失業保険継続受給者数(3/15)は8198人と、前週の9135人から減少したが、昨年に比べると2300人上回る。教育省閉鎖などで、今後、さらに申請件数が増える可能性はあるが、現在のところ、労働市場への影響は限定的。労働市場が健全である限り、消費も堅調に推移すると見られ、景気悪化への懸念が過剰となっている可能性もある。
<CS>
2025/03/28 07:44
注目トピックス 経済総合
金は3000ドル台で値固め サンワード証券の陳氏
*17:54JST 金は3000ドル台で値固め サンワード証券の陳氏
皆さん、こんにちは。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『金は3000ドル台で値固め』と伝えています。続いて、『先週のNY金(4月)は、取引時間中に18日に3047.5ドル、19日に3061.6ドル、20日に3065.2ドルと3営業日連続で最高値を更新した。OSE金も19日に1万4736円と最高値を更新し、節目の1万5000円に近づく兆しを見せた。背景には地政学リスクとトランプ政権による関税への懸念がある。日米の金融会合は予想通りだった』と述べています。次に、『週明け24日は、米長期金利の上昇から続落(前週末比5.8ドル安の1オンス=3015.60ドル)したが、25日は、米関税政策を巡る不確実性の増大を背景に、3営業日ぶりに反発した。前日比10.3ドル高の1オンス=3025.90ドル。金ETFは前週末から急増し、投資家が金投資への姿勢を強めている』と見解を述べています。陳さんは、『ウクライナ戦争も米関税問題もすぐに解決する状況にはなく、金には押し目買いが入ろう。NY金(4月)は3000ドル台の値固めが続きそうだ』と考察しています。予想レンジは、『2950~3150ドル』と想定しています。一方、『OSE金は円安を受けて最高値を更新する可能性があろう。日銀会合がサプライズなく終了したことで巨大なファンドの円買いポジションが巻き戻されて円安基調が強まりそうだ。OSE金は節目の1万5000円を目指す展開になろう』と述べています。予想レンジは、『1万42000~1万5200円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の3月26日付「金は3000ドル台で値固め」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
<CS>
2025/03/27 17:54
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米2月耐久財はQ1GDPにプラス寄与を示唆、インフレ高止まり懸念がくすぶる
*07:52JST NYの視点:米2月耐久財はQ1GDPにプラス寄与を示唆、インフレ高止まり懸念がくすぶる
米商務省が発表した2月耐久財受注速報値は前月比+0.9%と、予想外に2カ月連続のプラスとなった。輸送用機器を除いた同月耐久財受注速報値は前月比+0.7%と、1月+0.1%から予想以上に伸びが拡大し、22年3月来で最大。国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除いた非国防出荷・資本財速報値は前月比+0.9%と、1月-0.2%からプラスに改善し昨年1月以降ほぼ1年ぶり最大の伸びを記録し、1-3月期のGDPにプラスに寄与する。本年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するセントルイス連銀のムサリム総裁は関税によるインフレが一時的な影響にとどまるかどうか明確ではないとし、第2次的な影響が出た場合、金利を従来想定されているよりも長期にわたり維持する可能性に言及。インフレが2%目標以上で高止まり、または、一段と上昇する可能性を警告し、インフレ期待の安定の重要さを強調した。ゴールドマンサックスはインフレ期待の上昇が今年の利下げ実施への障壁を高めると指摘。景気見通しの改善やインフレ高止まり懸念でドルも下げ止まる可能性がある。
<CS>
2025/03/27 07:52
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