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中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
配信日時:2025/04/02 10:20
配信元:FISCO
*10:20JST 中国の新たな不安材料(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「中国の新たな不安材料(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
中国のグローバルカンパニーか否か
トランプ氏の怒りの矛先は当初、パナマ運河の支配権に向けられた。彼はこの運河を中国が支配し、米国の船舶に法外な運航料を課していると間違った主張をしていた。後者の部分は完全な勘違いだが、前者の部分にはわずかながら根拠がある。香港に本拠を置くCKハチソンが運河沿いの2つの港を支配していたため、これを中国国家による支配ととらえたのである。CKハチソンは香港で最も著名な実業家の李嘉誠氏が所有する企業である。李嘉誠氏は世界で最も目端の利く実業家の一人だ。香港の大物実業家の多くがそうであるように、李氏も香港の不動産業でまず財を成し、江沢民元国家主席と親密な間柄になったが、江氏が退任し香港で緊張が高まると、香港や中国関連の資産を売却し、海外のインフラや電気通信分野へと進出し始めた。パナマ運河についてのトランプ氏の脅しを受けて、李氏が23カ国にまたがる43カ所の港湾を、米国の資産運用大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することに同意したのは、現在の世界的な緊張の高まりと、国際貿易が打撃を受ける可能性を認識してのことに違いない。中国政府は激怒し、中国政府寄りの香港紙も解説記事でこの合意を厳しく非難した。香港の中国行政機関がこれをリポストしており、この解説記事に正式なお墨付きが与えられたことは明らかである。
香港政府もこの合意に対して、すべての法令に従う必要があると公に警鐘を鳴らしたが、少なくとも書面上は企業同士の単純な国際資産取引であるこの合意にいかなる法令の違反があったのかについては、一切触れてない。
トランプ氏により中国企業が港湾の売却を余儀なくされ、中国政府が激怒していることは間違いないが、それはすなわち、中国がCKハチソンを実質的に中国国家の出先機関とみなしているということだ。CKハチソンは国営企業ではなく民間企業であり、国際的な資産を幅広く保有する李嘉誠氏が株式の過半数を所有している。中国は、同社が民間企業ではないと言おうとしているのであろうか。それとも、民間企業ではあるが、必要に応じて中国共産党の意向に従い行動すると言おうとしているのか。他国は今後、李嘉誠氏による投資を実質的に共産党のフロント企業としての活動としてとらえるべきなのか。そしてそれはすべての香港企業のみならず、中国国民が創業したあらゆる企業に当てはまるのか。
自国企業に対する規制や監視を激しく非難する際、中国はおそらく米国を模倣しているにすぎない。欧州の訴訟での米国系IT企業に対する制裁金と規制について、これら企業が国営企業ではないにもかかわらず、ヴァンス副大統領が欧州の規制当局を激しく非難したのはほんの数週間前のことである。中国はこれと同じことをしているだけではないだろうか。
CKハチソンが保有していたというだけで、中国が実際にパナマ運河や他の港湾の支配権を有していたと言えるのか。公開されている情報からは真偽が定かではない。ただ、トランプ氏が世界の舞台から撤退することで生じた隙間に中国が入り込もうとしている今、こうした中国の反応が香港企業を難しい立場に立たせ、国営と民営の区別をさらに混乱させたことは明らかである。
米国の失点が必ずしも中国の得点にはならない
平和の維持に大きな役割を果たし、過去80年間にわたり領土戦争を確実に抑えてきた国内外の枠組みや制度を廃止しようと、トランプ氏とそのチームは日々取り組んでいる。冷戦終結と約30年にわたる中国の隆盛で、従来の秩序のもろさが露わになっているとはいえ、新しい秩序を考えずに古い秩序を破壊することは愚の骨頂である。
中国は米国主導の秩序をしばしば激しく非難し、異なる秩序を求めてきたが、それがどのような秩序で、自らがそこでどのような役割を果たすかについては明言してこなかった。トランプ氏が世界の舞台から降りたからといって、中国が入り込むのは容易ではない。トランプ政権は依然として中国製品に関税を課し、中国企業を対象とした新たな制裁措置を導入しつつあり、政権の閣僚の多くが対中強硬派だ。米国が失点しても、中国が労せずして利益を得る状況にはなっていない。多くの国々は、トランプ氏の行動を受けて自国の問題の統制を強化し始めたが、同時に、中国の世界的な影響力の強まりにも懸念を抱いている。安全保障上の懸念が著しく高まり、中国が国営企業と民間企業の境界線を相変わらず曖昧にするなか、中国は、古い秩序が崩壊しても求めていたような秩序が新たに生まれるわけではないことに気づくかもしれない。
米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
<CS>
中国のグローバルカンパニーか否か
トランプ氏の怒りの矛先は当初、パナマ運河の支配権に向けられた。彼はこの運河を中国が支配し、米国の船舶に法外な運航料を課していると間違った主張をしていた。後者の部分は完全な勘違いだが、前者の部分にはわずかながら根拠がある。香港に本拠を置くCKハチソンが運河沿いの2つの港を支配していたため、これを中国国家による支配ととらえたのである。CKハチソンは香港で最も著名な実業家の李嘉誠氏が所有する企業である。李嘉誠氏は世界で最も目端の利く実業家の一人だ。香港の大物実業家の多くがそうであるように、李氏も香港の不動産業でまず財を成し、江沢民元国家主席と親密な間柄になったが、江氏が退任し香港で緊張が高まると、香港や中国関連の資産を売却し、海外のインフラや電気通信分野へと進出し始めた。パナマ運河についてのトランプ氏の脅しを受けて、李氏が23カ国にまたがる43カ所の港湾を、米国の資産運用大手ブラックロックが率いる投資家連合に売却することに同意したのは、現在の世界的な緊張の高まりと、国際貿易が打撃を受ける可能性を認識してのことに違いない。中国政府は激怒し、中国政府寄りの香港紙も解説記事でこの合意を厳しく非難した。香港の中国行政機関がこれをリポストしており、この解説記事に正式なお墨付きが与えられたことは明らかである。
香港政府もこの合意に対して、すべての法令に従う必要があると公に警鐘を鳴らしたが、少なくとも書面上は企業同士の単純な国際資産取引であるこの合意にいかなる法令の違反があったのかについては、一切触れてない。
トランプ氏により中国企業が港湾の売却を余儀なくされ、中国政府が激怒していることは間違いないが、それはすなわち、中国がCKハチソンを実質的に中国国家の出先機関とみなしているということだ。CKハチソンは国営企業ではなく民間企業であり、国際的な資産を幅広く保有する李嘉誠氏が株式の過半数を所有している。中国は、同社が民間企業ではないと言おうとしているのであろうか。それとも、民間企業ではあるが、必要に応じて中国共産党の意向に従い行動すると言おうとしているのか。他国は今後、李嘉誠氏による投資を実質的に共産党のフロント企業としての活動としてとらえるべきなのか。そしてそれはすべての香港企業のみならず、中国国民が創業したあらゆる企業に当てはまるのか。
自国企業に対する規制や監視を激しく非難する際、中国はおそらく米国を模倣しているにすぎない。欧州の訴訟での米国系IT企業に対する制裁金と規制について、これら企業が国営企業ではないにもかかわらず、ヴァンス副大統領が欧州の規制当局を激しく非難したのはほんの数週間前のことである。中国はこれと同じことをしているだけではないだろうか。
CKハチソンが保有していたというだけで、中国が実際にパナマ運河や他の港湾の支配権を有していたと言えるのか。公開されている情報からは真偽が定かではない。ただ、トランプ氏が世界の舞台から撤退することで生じた隙間に中国が入り込もうとしている今、こうした中国の反応が香港企業を難しい立場に立たせ、国営と民営の区別をさらに混乱させたことは明らかである。
米国の失点が必ずしも中国の得点にはならない
平和の維持に大きな役割を果たし、過去80年間にわたり領土戦争を確実に抑えてきた国内外の枠組みや制度を廃止しようと、トランプ氏とそのチームは日々取り組んでいる。冷戦終結と約30年にわたる中国の隆盛で、従来の秩序のもろさが露わになっているとはいえ、新しい秩序を考えずに古い秩序を破壊することは愚の骨頂である。
中国は米国主導の秩序をしばしば激しく非難し、異なる秩序を求めてきたが、それがどのような秩序で、自らがそこでどのような役割を果たすかについては明言してこなかった。トランプ氏が世界の舞台から降りたからといって、中国が入り込むのは容易ではない。トランプ政権は依然として中国製品に関税を課し、中国企業を対象とした新たな制裁措置を導入しつつあり、政権の閣僚の多くが対中強硬派だ。米国が失点しても、中国が労せずして利益を得る状況にはなっていない。多くの国々は、トランプ氏の行動を受けて自国の問題の統制を強化し始めたが、同時に、中国の世界的な影響力の強まりにも懸念を抱いている。安全保障上の懸念が著しく高まり、中国が国営企業と民間企業の境界線を相変わらず曖昧にするなか、中国は、古い秩序が崩壊しても求めていたような秩序が新たに生まれるわけではないことに気づくかもしれない。
米、鉄鋼・アルミ製品25%関税発動へ(写真:ロイター/アフロ)
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