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注目トピックス 日本株 シナネンHD Research Memo(5):創業100周年へ向け、中期経営計画を推進 ■中期経営計画1. 長期経営構想エネルギー産業、とりわけシナネンホールディングス<8132>が主力とする石油・ガス産業は、ここまで指摘してきたように厳しい環境にある。そして同社もまた、世界的な脱炭素やSDGsへの意識の高まり、気候変動への対応などから、エネルギーサービス企業として責任ある対応が求められている。当然ながら同社もこうした状況を十分理解しており、2027年の創業100周年に向けた長期経営構想のなかで、「人財」と既存事業という経営基盤を強化しつつ、新規事業を開発し、持続的成長と企業価値向上を目指すとしている。なお、長期経営構想は第一次から第三次の中期経営計画として実行計画に落とし込まれており、第一次中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)で事業の選択と集中、資本の効率化に着手、第二次中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)では、創業100周年や第三次中期経営計画に向けたマイルストーンとして、選択と集中及び資本の効率化によって収益力を強化して事業基盤を整備、第三次中期経営計画(2024年3月期~)でさらなる飛躍・躍進を目指し、2027年の創業100周年を迎えるというシナリオになっている。第二次中期経営計画は創業100周年へ向けての基礎固め2. 第二次中期経営計画繰り返しになるが、2020年4月にスタートした第二次中期経営計画は、第三次中期経営計画でさらに飛躍・躍進するための、そして、創業100周年に持続的な成長を続ける組織となるためのマイルストーンという位置づけである。そこで、スローガンとして「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking~大胆な発想で新しい世界への挑戦」を掲げ、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標を設定した。「資本効率の改善」では、既存事業の利益率向上策に加え、低効率資産の活用・売却や事業の選択と集中を強力に推進する。「持続的成長を実現する投資の実行」では、M&Aによる既存事業の収益基盤強化、関東での建物維持管理事業のM&A、国内外での再生可能エネルギー事業の推進、シェアサイクル事業など優先実行する事業の明確化を進める。一方で、既存のエネルギー事業の競争力の維持・強化のため、環境変化に対応した高度な基幹システムの構築やLPWA※などITを駆使した業務の効率化を目指してDXを推進する。「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」では、職を楽しむ働き方改革、適材適所の人材配置、自由闊達な社内風土の醸成、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持った多様な社員の育成によって、予測不能な時代にも対応できる企業風土・企業体質への改善を目指している。一方、定量目標も掲げており、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立を目指している。営業利益などその他の定量目標はないが、その理由は、第二次中期経営計画が、創業100周年を臨む第三次中期経営計画においてさらなるROE向上や成長性を確保するためのマイルストーン(中間達成目標)として位置付けられている、つまり、収益や成長の基盤を構築する先行投資期間になるためである。※LPWA(Low Power Wide Area):省電力かつ広域対応の通信技術(IoT技術)。エネルギー業界では、LPガスのメーターに応用することでリアルタイムの自動検針が可能となる。このため、検針や配送作業などのコスト削減や新たなサービスの創出などが期待されている。中期成長をけん引する新規事業を育成3. 第二次中期経営計画のセグメント別施策BtoC事業では、M&Aによるシェア拡大や新規商材による顧客深耕によって経営基盤を強化する戦略である。石油・ガス事業では、営業権の買収やガス事業者のM&Aなどにより顧客基盤を拡大・強化、自社営業により直販顧客の獲得も進める。また、物流アライアンスやLPWAなどを活用して業務の効率化も行う。電力事業では、ガス・灯油とのセット販売や登録店・取次店方式・パートナーなどを活用して「ミライフでんき」の拡販を図る。住まいと暮らしその他の新規事業では、水回りリフォーム専門店やアフターFIT商品※の拡充による顧客層の拡大、顧客管理システムを利用した効果的な営業の仕組みづくり、石油からガス、電気、住まいと暮らしまでのワンストップサービスの確立、空き家管理サービスなど不動産関連サービスの拡充などを進める方針である。※アフターFIT商品:FIT(Feed-in Tariff)とは、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取る固定価格買取制度のこと。アフターFITとは買取期間終了後の課題を指し、現在は買い取りの新制度化や自家消費としての有効利用などが課題解消の候補。いずれにしろ、同社にとっては蓄電池やメンテナンスなど新たな需要が期待される。BtoB事業は、既存事業の安定的な成長に加え新規事業の開発により高い収益を目指す戦略である。石油事業では、物流機能の強化、グループ会社と連携した拠点の開発・整備に加え、好採算の川下分野の軽油販売や灯油宅配でホームセンターなどと協働して収益力の向上を図る。電力事業では、取次店開拓のほか、法人向け低CO2電力など環境配慮型料金メニューの拡充や、太陽光発電関連のメンテナンス事業で製販一体化した新商材・新販路の開発を進める。新規事業では、風力などの再生可能エネルギー事業への投資、新型マイクロ風車関連事業の開発促進を推進する計画である。非エネルギー事業では、各事業の環境や特性に応じた成長戦略を展開する考えである。建物維持管理事業では、事業エリアの関東全域への拡大と設備工事・保守事業への展開に加え、集合住宅メンテナンスのワンストップサービスの推進を図っていく。自転車事業では、プライベートブランド開発による顧客開拓と収益力強化に加え、「ダイシャリン」店舗の構造改革を図る。シェアサイクル事業では、ステーションの設置エリアをドミナント化することによる運営の効率化や、自治体・コンビニ・不動産会社などとの連携を推進する。環境・リサイクル事業では、木質チップ工場の安定稼働と効率化による収益安定化、新商材やバイオマス燃料事業の開発を図る。抗菌事業では、抗菌・消臭の総合ソリューション事業への進化を目指す一方、鉛吸着剤など製品開発も進める。システム事業では、機能強化やサービス拡大による顧客獲得とIoTを活用した新規事業開発を推進する。こうしたなかで、創業100周年へ向けて中期成長をけん引することが期待される注目事業がいくつかある。詳しくは後述するが、BtoB事業の韓国再生可能エネルギー事業、新型マイクロ風車関連事業、シェアサイクル事業、建物維持管理事業などである。特にシェアサイクル事業は、2022年3月期も着実な進展があった。そのほか、東京都港区の旧本社ビルを活用して2020年にスタートしたシェアオフィス「seesaw」では、単なるシェアオフィスというだけでなく、新規事業創出のシーズを発掘するという役割も担っており、スタートアップ企業の支援を積極化する方向性である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/07/21 15:25 注目トピックス 日本株 神戸物産 Research Memo(5):外食・中食事業も「プレミアムカルビ」の出店効果で売上高が約2倍に ■神戸物産<3038>の業績動向2. 事業セグメント別の動向(1) 業務スーパー事業業務スーパー事業の売上高は前年同期比11.5%増の193,532百万円、営業利益は同3.5%増の16,620百万円と増収増益基調が続いた。売上高は新規出店効果に加えて、既存店向け商品出荷額伸び率が前年同期比4.1%増と伸長したことが増収要因となった。既存店向け出荷額については期初計画で微増と想定していたが、各種メディアやSNSなどで取り上げられた商品の販売が好調に推移したことや、値上げを実施したことも増収要因となった。値上げの効果については商品によって値上率や実施時期が異なるため、具体的に示すことは困難だが、2022年6月時点の全商品の平均値を調べたところ、前年同期と比べて約3%上昇している。2021年秋以降、不定期に値上げを実施してきたが、値上げによって販売数量が落ち込むこともなく、価格戦略については上手くコントロールできたようだ。また、PB商品の売上比率は前年同期の33.01%から34.74%に上昇した。上昇分の大半は輸入商品によるもので、値上げがスムーズに浸透したことも売上比率の上昇につながった。2022年10月期第2四半期累計における「業務スーパー」の出店状況は、新規出店で34店舗、リロケーションなどによる退店で15店舗となり、前期末比19店舗増の969店舗、前年同期末比では47店舗増となった。前期末比の増加内訳を見ると、九州直轄エリアが11店舗増と最も多く、次いで関東直轄エリアで5店舗増、関西直轄エリア及び北海道エリアで各3店舗増となった。また、地方エリアについては3店舗減となったが、これは2021年11月に一部加盟店の脱退があったことによる。「業務スーパー」の既存店ベースの商品出荷額伸び率の推移は、2021年4月~5月は前年の巣ごもり消費の反動減によりマイナスとなったものの、6月以降は再びプラス基調が続いている。食品スーパー業界全体では前年同月比で若干のマイナス傾向となっており、業界平均と比べて「業務スーパー」の強さが際立っている。これはベストプライスで提供する魅力的なPB商品を揃えていることに加えて、食料品価格の値上げが業界全体で進んだことにより、一般消費者の低価格指向が強まったことも一因と弊社では見ている。ヒット商品としては、台湾特産フルーツの「パイナップル釈迦頭」やインドネシアの伝統的な大豆発酵食品である「テンペ」のほか、レモネードベース、冷凍玉ねぎなどが挙げられる。「パイナップル釈迦頭」は従来、台湾メーカーから中国への輸出品だったが、中国が輸入禁止措置を取ったことから同社で取り扱うことになった。TVで取り上げられたこともあり売り切れとなる店舗が相次いだ。また、「テンペ」についても国内での認知度は低かったが、納豆のように健康に良い食材ということでメディアに取り上げられ、ヒットにつながった。冷凍玉ねぎについては、上海のロックダウンの影響で中国から玉ねぎの輸入がストップしたことで、玉ねぎの価格が高騰したことが追い風となった。自社グループ会社の収益については全体で前年同期比4億円程度の減益になったと見られる。原材料コストの上昇が主因で、特に小麦や食用油などを多く使う会社の収益が悪化した。なお、2020年より新たに開始した牛・豚加工製品の製造販売については、順調に出荷額が伸び収益化した。神奈川県の工場で製造しており、現在は首都圏の「業務スーパー」のなかでも配送可能なエリアに絞って出荷している。ガスパック包装により、消費期限が5日程度と通常よりも長期保存できることが特徴となっている。今後は物流体制をどのように構築し、配送エリアを拡大していくことができるかが課題となっている。(2) 外食・中食事業外食・中食事業の売上高は前年同期比102.2%増の3,238百万円、営業損失で89百万円(前年同期は156百万円の損失)となった。売上高は「馳走菜」や直営展開している「プレミアムカルビ」の店舗数拡大により増収となった。一方、利益面では「プレミアムカルビ」がまだ立ち上げ期の投資段階ではあるものの、増収効果で損失額は縮小しており、同事業全体の損失額縮小につながった。「神戸クック・ワールドビュッフェ」の出店状況について見ると、出店が1店舗(臨時休業中だった伊勢崎店のリニューアルオープン)、退店が7店舗となり、前期末比6店舗減の9店舗となった。コロナ禍対応としてテイクアウトサービス等の取り組みを強化したこともあり、既存店ベースでは若干の増収となったものの、全体では店舗数の減少により減収減益となった。焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」については3店舗を出店し、前期末比3店舗増の13店舗となった。営業時間の短縮の影響があったものの、店内手作りのジェラート&デザートの充実したメニューが女性客を中心に人気となっており、売上高は順調に拡大している。また、牛肉の仕入価格が高騰したが、メニューを改定するなど対応策を実施したことにより売上総利益率が改善したほか、販管費率も増収効果で低下した。中食業態である「馳走菜」については16店舗を出店し、前期末比で16店舗増の65店舗となった。中食需要の拡大や「業務スーパー」の来店客数増加に加えて、メニューの改廃や調理オペレーションの効率化に取り組み、価格優位性を維持していることが好調な要因となっている。一方で、食材コストの上昇により営業利益は横ばい水準にとどまった。今後はメニューの改廃に合わせて価格改定も行うことで、営業利益を伸ばしていく計画となっている。(3) エコ再生エネルギー事業エコ再生エネルギー事業の売上高は前年同期比12.4%増の1,388百万円、営業利益は同8.0%増の244百万円となった。売上高は2021年5月に大阪府で太陽光発電所1ヶ所(約9.9MW)が稼働したことによる発電量の増加が増収要因となった。営業利益率が前年同期の18.3%から17.6%と低下したが、これは新規発電所稼働に伴う減価償却費の増加が要因となっている。2022年10月期第2四半期末における太陽光発電所は合計17ヶ所で約32.1MW、木質バイオマス発電所が1ヶ所で約6.2MW、合計で約38.3MWの発電能力となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/21 15:25 注目トピックス 日本株 シナネンHD Research Memo(4):非エネルギー事業:シェアサイクル、抗菌、システムなど多角展開 ■事業内容5. 非エネルギー事業シナネンホールディングス<8132>は先述のエネルギー事業以外にも、ビジネスや人々の生活を豊かにすることを目的に、多角的に事業を展開している。(1) 自転車事業シナネンサイクル(株)が展開している。国内有数の自転車輸入商社として、安価で高品質な自転車や「DAHON」など海外有名ブランドの自転車を輸入販売しているほか、法人向けにOEM自転車の開発も行っている。また、卸売にとどまらず小売にも進出しており、サイクルプラザ「ダイシャリン」は関東・東北に38店舗(2022年3月末現在)を有している。(2) シェアサイクル事業シナネンモビリティPLUS(株)が運営している。ソフトバンクグループ<9984>のOpen Street(株)が提供するシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を活用し、首都圏を中心に自治体やコンビニエンスストアと提携、シェアサイクル「ダイチャリ」を展開している。後述するように、ステーション数や自転車保有台数で国内トップクラスの運営実績を誇るなど、収益化が急速に進んでいる事業である。(3) 環境・リサイクル事業シナネンエコワーク(株)が事業運営している。千葉県千葉市と埼玉県白岡市にリサイクルセンターを有し、廃木材(木くず)から発電用や建材用の木質チップをリサイクル製造しているほか、廃プラスチックや紙くずなどからRPF※を供給している。今後、バイオマス発電事業への参入も視野に入れている。※RPF(Refuse derived paper and Plastics densified Fuel):リサイクルが難しい古紙や廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料。(4) 抗菌事業(株)シナネンゼオミックが展開している。世界初の銀系無機抗菌剤「ゼオミック」のほか、消臭・吸着剤「ダッシュライト」、ハイブリッド防カビ剤「エッセンガード」などを製造販売している。優れた抗菌効果や高い安全性、樹脂・繊維・塗料など用途の幅広さといった特徴から、日用品メーカー、繊維製品メーカーなど国内外の多くの企業から高い評価を得ており、無機系抗菌剤では業界2位となっている。コロナ禍では需要が急増した。(5) システム事業(株)ミノスが運営している。LPガスに欠かせない基幹業務システムや口座振替収納代行サービス、集中監視システムなどを開発、外販も行っている。電力自由化に対応してクラウド型の「電力CIS※」も提供している。※CIS(Customer Information System):顧客情報の管理から契約形態に合わせた料金計算、請求までの業務を一括で管理できる顧客情報システム。(6) 建物維持管理事業タカラビルメン(株)を中心に4社が、建物の維持・管理・運営から清掃、警備、各種工事までを行っている。中核となるタカラビルメン(株)では、オフィスビル・工場・病院・ショッピングセンターなど、建物用途に合わせた幅広いサービスをワンストップで提供しており、特に病院や斎場の運営などのファシリティマネジメントに強みがある。コロナ禍では感染対策の消毒清掃で注目を集めた。また、(株)インデスでは、アパート・マンションの管理人派遣、清掃、設備メンテナンスから原状回復工事に至るサービスを展開している。現在、グループシナジーやスケールメリットを求めて建物維持管理事業4社の統合に向けた取り組みを進めている。エネルギー事業の強みを活かしつつ、非エネルギー事業を育成6. 強みを効果的に活かすこのように同社は、3つのセグメントを展開することで収益力の向上と収益源の多角化を進めている。BtoC事業とBtoB事業における既存のエネルギー事業は、収益改善の余地は大きいものの、成熟した業界環境を考えると簡単に成長できるとも言いづらい。したがって再生可能エネルギー事業や非エネルギー事業といった成長事業に目が向くが、こうした事業は育成に時間がかかる。もちろん、再生可能エネルギー事業や非エネルギー事業を伸ばしていくことは重要だが、短中期的にはエネルギー事業で成長を図ることも必要と考える。同社の強みは、2022年3月末現在において、全国に25か所あるLPガス充填基地や約1,000社にのぼる販売店ネットワークに加えて、82か所あるオイルスクエア(灯油センター)など既存のエネルギー事業の拠点網にある。拠点の多さから全国の販売店や消費者へのリーチが短くなり、サービスが厚くなる。その分、販売店から同社への信頼も厚くなる、という好循環があるためである。ところが、近年、経営者の高齢化などにより販売店の集約化が進み始めている。これに対して同社は、販売店の営業権を買収することで、効率化とシェア拡大による収益拡大を進めている。一方、消費者との直接的な接点が増えることで、消費者に密着した非エネルギーのサービス(リフォームなど)も強化している。このように同社は、エネルギー事業の強みを効果的に活かすことで、エネルギー事業の収益改善と化石燃料依存からの脱却による新たな事業の成長という異なるベクトルを持つ戦略を同時に進めることができるのである。なお、同社は現在、従来の石油出荷施設「灯油センター」に関して、軽油出荷能力を増強し災害時対応能力を高めた高効率の新たな石油出荷施設「オイルスクエア」へのバージョンアップを進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/07/21 15:24 注目トピックス 日本株 神戸物産 Research Memo(4):原材料価格の上昇を増収効果で吸収し、22年10月期2Q累計は増収増益を達成 ■業績動向1. 2022年10月期第2四半期累計の業績概要神戸物産<3038>の2022年10月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比12.3%増の198,161百万円、営業利益で同2.4%増の14,733百万円、経常利益で同7.8%増の16,380百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同8.9%増の11,037百万円となり、いずれも過去最高を更新した。ウクライナ情勢の悪化による原材料価格や海上運賃の高騰、為替の円安進展※などにより仕入コストが上昇したが、値上げ効果も含めて「業務スーパー」の既存店向け出荷額が増加したことや新規出店による増収効果でカバーした。社内計画に対して見ると、売上高営業利益率は若干下回ったものの、売上高や各利益は計画を上回ったようだ。※平均為替レートは前年同期の120円/米ドルから131円/米ドルになった。売上総利益率は前年同期の12.2%から12.0%と0.2ポイント低下した。このうち、原価率の低い「プレミアムカルビ」の影響を除くと実質0.5ポイントの低下となっている。期中に商品価格の改定を実施したものの、原材料価格上昇によるグループ会社の収益悪化や円安の影響を吸収しきれなかった。販管費が前年同期比25.1%増、金額で約18億円の増加となったが、主な内訳を見ると運賃の増加で約7億円(大半は業務スーパー事業)、人件費の増加で約5億円(過半はプレミアムカルビの出店拡大に伴う人員増)となっており、その他の増加要因として「プレミアムカルビ」の出店費用や地代家賃、光熱費の増加等が挙げられる。販管費の増加によって営業利益の増益率は2.4%にとどまったが、営業外収支で為替差益及びデリバティブ評価益が合わせて628百万円増加したことにより、経常利益の増益率は7.8%となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/21 15:24 注目トピックス 日本株 シナネンHD Research Memo(3):BtoC、BtoB、非エネルギーの3事業を展開 ■事業内容1. 事業セグメントシナネンホールディングス<8132>の事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)、非エネルギー事業の3つにセグメントされる。持株会社である同社が傘下子会社を通じて事業展開しているが、BtoC事業では、家庭や小売業者向けにLPガス、各種燃料、ガス機器の販売、リフォームサービス、都市ガス供給などを手掛けている。BtoB事業では、大口需要家向けに石油製品、各種燃料を販売するほか、ガソリンスタンドの運営、電源開発・電力小売事業、太陽光発電システムの販売なども行っている。非エネルギー事業では、自転車販売事業やシェアサイクル事業、環境・リサイクル事業、抗菌事業、システム事業、建物維持管理事業などを展開している。2022年3月期の売上高構成比はBtoC事業25%、BtoB事業68%、非エネルギー事業6%となっている。なお、エネルギー別の売上高構成比で石油6割、LPガス2割強と化石燃料の構成比が高くなっている。地球温暖化は世界的喫緊の課題2. 業界環境地球温暖化が進み、世界中で異常気象など異変が相次いでいる。世界の経済発展を支えてきた石油やガスなどの化石燃料だが、地球温暖化の主因であるCO2の発生源として使用の中止や削減が求められている。このため、風力やバイオマス、太陽光など環境負荷の小さい再生可能エネルギーへの代替や、自動車など機器・機械の省エネ化が進められている。一方で、安価で確実な化石燃料に対する世界のニーズはいまだ根強く、石油製品への依存はなかなか小さくならない。国内でも、ガソリンの代替として電気が注目されているが、コストや使い勝手の面で代替が難しい軽油や灯油のニーズは一定程度続くと見られている。しかしながら、地球温暖化は世界的喫緊の課題であるため、化石燃料は徐々にだが確実に再生可能エネルギーに置き換わっていくと予測されている。こうした地球温暖化防止に加え、国内的には少子高齢化や人口減少、オール電化の流れも無視できない。こうした事業環境のなかで同社は、主力のエネルギー事業の収益を維持・改善しつつ、再生可能エネルギー事業の開発や非エネルギー事業の拡充など、多角化を推進している。BtoC事業:東日本を中心に事業展開、約90の拠点網3. エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)同社は、国内を北海道、東北、関東、中部以西の4エリアに区分、エリアごとにエネルギー供給や機器販売、サービス提供を行っている。各エリアでは子会社が「ミライフ」ブランドの店舗を拠点に、LPガスや灯油など様々なエネルギーを、直売のほか地域に密着した販売店などへの卸売を通じて家庭や小売店などに供給している。最近では「ミライフでんき(電気)」も販売しており、ガスとのセット販売など既存顧客のクロスセルやアップセル、新規顧客獲得のフック商材として急成長している。また、エネルギーを安定供給するための配送や保安点検は(株)シナネンひまわりサービスセンターなどが行い、都市ガスの供給を日高都市ガス(株)が行っている。さらに、エネルギーを供給する事業のほかにも、少子高齢化や女性の社会進出などライフスタイルの変化に対応した住まいと暮らしの事業を展開しており、光熱費やCO2排出の削減に効果のあるゼロエネルギー・省エネ住宅や、高齢化に伴うバリアフリーなどへのリフォーム、家事代行やハウスクリーニングといったサービスを提供しており、最近では水回りのリフォームにも参入した。BtoB事業:主力の石油事業に加え、再生可能エネルギー事業も積極展開4. エネルギーソリューション事業(BtoB事業)同社は、石油やガス、電力と多彩なエネルギーラインナップを有していることから、各部門が連携することで法人顧客のニーズに即したサービスとソリューションを効果的に提案することができる。主力の石油事業では、充実した供給・販売ネットワークを各地で展開しているため、全国の法人顧客へ向けて安定的に石油製品を供給している。扱っているエネルギーは、ガソリン・灯油・軽油・重油、LPガスで、宅配灯油の販売サポートから船舶やサービスステーションなど高度で専門性の強い分野まで豊富な供給実績を誇る。また、電力事業では、小売電気事業者として、法人向けを中心に低価格で安定した電力の供給や再生可能エネルギー(太陽光発電)の電源開発などを行っている。ソリューション事業では、エネルギーコストやCO2排出量の削減、各種省エネ設備に関するコンサルティングなどを行っており、特定のエネルギーやメーカーにとらわれない、中立的な立場で最適なソリューションサービスを提供することができる。再生可能エネルギーに関しては、太陽光発電以外でも、国内外で事業開発を進めている。海外では、韓国全羅南道で90メガワットの大型風力発電設備の建設を準備中で、現在、開発許可を待っているところである。現地の大規模発電事業者に対して長期固定した価格で電力を販売する予定になっているため、収益計画が立てやすいという特徴がある。また、国内では、新型マイクロ風車の開発・製造事業にも参入しており、埼玉県と北海道で実施した実証実験、及び、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを、現在進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/07/21 15:23 注目トピックス 日本株 神戸物産 Research Memo(3):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長(2) ■神戸物産<3038>の事業概要2. 外食・中食事業外食・中食事業は、「業務スーパー」で構築された原材料の仕入調達から商品販売に至るまでのローコストオペレーションのノウハウを活かして、現在3つの業態を展開している。外食業態は、世界の様々な料理をバイキング形式で提供する「神戸クック・ワールドビュッフェ」(2022年10月期第2四半期末:9店舗、うち直営1店舗、平均顧客単価は1,200~1,300円)と、焼肉オーダーバイキングの「プレミアムカルビ」(同13店舗、直営のみ)で、中食業態は、自社グループで製造された食材などを店舗で組み合わせて調理し、でき立ての惣菜やお弁当を提供する惣菜店「馳走菜」(同65店舗、うち直営4店舗)がある。「馳走菜」は2018年より開始した業態で、特徴としてはパック詰め商品をメインに販売し、提供する商品も売れ筋商品に絞り込むなど、効率性と人手不足に対応したイージーオペレーションを重視した店舗形態になっている点が挙げられる。店舗当たりの月商は5百万円程度だが、20坪程度あれば出店できるため収益化しやすい。また、業務スーパー内に出店することで集客力もアップする効果が過去の事例から確認されており、業務スーパーの新規出店と合わせて出店するケースが増えている。また、2018年より開始した「プレミアムカルビ」の特徴は、焼肉オーダーバイキング&デザートビュッフェとして、女性客を意識した店舗づくりになっている点が挙げられる。特にジェラートは店内で作っていることもあり好評で、オープン当初から客足も順調に推移しており、店舗当たりの月商は2~3千万円となっている。現在は、首都圏で直営店舗の運営を行っているが、店舗運営プロセスの標準化と人材の育成が進んだ段階でFC展開を進めていく予定にしている。3. エコ再生エネルギー事業2012年より開始したエコ再生エネルギー事業では、主に太陽光発電事業(2022年10月期第2四半期末の発電能力約32.1MW)を展開しているほか、2018年8月より北海道で木質バイオマス発電(発電能力約6.2MW)による売電を開始している。4. その他各事業セグメントに分類されないその他には、観光事業等がある。観光事業については現在、北海道で観光果樹園の開園に向けた準備を進めている段階にある。2022年夏にサクランボの生育に成功したことにより、2023年夏頃を目途に無料で試験的に開園することを検討している。有料化するまでには複数種類の果樹を育成する必要があり、本格的なオープンまでにはあと数年かかる見通しだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/21 15:23 注目トピックス 日本株 シナネンHD Research Memo(2):総合エネルギーサービスグループへの進化を目指す ■会社概要1. 会社概要シナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する燃料卸売業者の大手である。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠な業界だが、競争が激しいうえ、再生可能エネルギー事業などカーボンニュートラルなどの観点から新たなアプローチが求められている。同社は上記の業界環境の中、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」を企業理念に掲げ、時代の変化に応える総合エネルギーサービスグループへの進化を目指している。このため、現在推進中の第二次中期経営計画のなかでは、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標に向かって事業基盤を整備しているところである。2027年に創業100周年を迎える2. 沿革同社は、1927年に朝鮮平壌無煙炭の販売を目的に合資会社電興無煙炭商会として創業、1937年に豆炭の製造販売及び豆炭燃焼器具販売を目的に1934年に設立された品川豆炭(株)と合併し、煉炭の製造販売、石炭の販売業務及び煉炭燃焼器具販売へと業容を拡大した。1952年には灯油・ガソリン・重油・軽油など石油製品と石油製品関連器具の販売を開始、1955年にはLPガスとLPガス関連器具の販売を開始した。2000年以降、地方に広がったLPガスの販売拠点などを再編、2015年に社内の組織体制を再編して持株会社体制に移行、現社の社名へと変更した。このように同社の歴史は、エネルギーの変遷に沿って、変革と拡張を繰り返しており、現在では第二次中期経営計画に沿って、次の第三次中期経営計画での飛躍と2027年の創業100周年に向け、既存のエネルギー事業の効率化、再生可能エネルギー事業の開発、非エネルギー分野の拡張を推進し、高い収益力で持続的に成長する事業構造の確立を目指している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/07/21 15:22 注目トピックス 日本株 神戸物産 Research Memo(2):「業務スーパー」を軸とした食の製販一体企業として成長(1) ■事業概要神戸物産<3038>は、食品スーパーの「業務スーパー」を全国にFC展開するだけでなく、食材となる農畜産物の生産や製造加工なども自社グループで手掛ける国内トップの食の製販一体企業である。事業セグメントとしては、主力の業務スーパー事業のほか、外食・中食事業、エコ再生エネルギー事業の3つの事業セグメント及びその他で開示している。2022年10月期第2四半期累計の売上構成比で見ると業務スーパー事業が97.7%を占めており、連結業績の動向は業務スーパー事業とほぼ連動する格好となっている。1. 業務スーパー事業業務スーパー事業では、同社が「業務スーパー」のFC本部として商品の企画・開発及び調達等を行っており、「業務スーパー」で販売するPB商品の一部を国内外の自社グループ工場で製造している。2008年以降、M&Aにより食品工場を積極的に自社グループ化しており、現在、国内における自社グループ工場数は25拠点と、食品スーパーとしてその所有数は国内最大級となっている。「業務スーパー」は業務用をメインとした商品開発・販売からスタートし、中間流通マージンを除いた直仕入や店舗運営の徹底した効率化により、「品質の良い商品をベストプライス」で提供することにより顧客からの支持を集め、2000年の開業以降、成長を続けている。既存店の収益成長が続いていることからFCオーナーの出店意欲も旺盛で、店舗数は年間数十店舗ペースで拡大を続けており、2022年4月末時点で969店舗(うち、直営店舗は3店舗)となった。主なFC企業としてはG-7ホールディングス<7508>の子会社である(株)G-7スーパーマートのほか、オーシャンシステム<3096>などがある。食品スーパー業界全体と業務スーパー事業の2012年以降の売上成長率を比較すると、業務スーパー事業は常に業界全体の成長率を上回っており、とくに2019年以降は10%以上の開きが出るなど、同社の成長率が際立っていることがうかがえる。また、株式を上場している大手食品スーパー5社との業績を2017年度から2021年度の実績で比較してみても、主要5社合計では売上高で14.3%増、営業利益で34.7%増となったのに対して、業務スーパー事業は売上高で63.8%増、営業利益で96.9%増と大幅に上回っている。主要5社のなかではヤオコー<8279>やベルク<9974>の成長率が比較的高くなっているものの、同社の成長率ほどではなく、業績面でも「業務スーパー」の成長力の高さが裏付けられている。業務スーパー事業の売上高のうち、FC本部としてのロイヤリティ収入はFC加盟店への商品出荷高の1%としており、FC展開する企業のなかでは低い料率となっている。これは同社の経営方針として、FC加盟企業の収益を拡大していくことが、自社の成長につながるという考えに基づくもので、ロイヤリティ収入で稼ぐのではなく、食品の製造と卸売事業で収益を拡大していくことを基本戦略としているためだ。なお、FC加盟店はエリアによって直轄エリアと地方エリアに分類しており、契約内容も若干異なっている。直轄エリアの場合で見ると、加盟金220万円(税込)、保証金1,000万円の一時金のほか発注システム使用料で月額31,428円(税込)を徴収している。業務スーパーの取扱商品総数はPB商品、NB商品合わせて約5,300点に上る。PB商品に関しては、国内外の自社グループ工場27工場(うち中国2工場)に加えて、海外の協力工場から調達している。PB商品の売上比率は2022年10月期第2四半期累計で34.74%となっており、ここ数年は上昇傾向が続いている。このうち、国内の自社グループ工場で製造した商品が約11%で、輸入品が残り約23%となる。輸入品のうち約半分は中国からで、残り半分を欧米、ASEAN、中南米地域から直輸入しており、輸入先数は45ヶ国に上る。特徴としては、各国の代表商品となるような製品の品ぞろえに注力している。例えば、イタリアならパスタやピザ、ベルギーではワッフルやフライドポテト、ベトナムではフォーなどが挙げられる。また、ウクライナからもハチミツやクラッカーなどを輸入しており、現在はウクライナ産商品の売上の一部を公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて寄付している。同社の強みの1つとして、消費者にとって魅力のある商材を自社グループで開発、製造できるだけでなく、45ヶ国にわたる国とのネットワークを生かしていち早く発掘し、大量に仕入れることができる調達力を有する点が挙げられる。なお、生鮮食料品については自社で仕入調達せず各FC店舗の裁量に任せている。また、同社は自社グループ会社で農畜産物の生産といった第1次産業も手掛けている。農業に関しては北海道でジャガイモなどを生産しPB商品の原料として使用しているほか、JA(農業協同組合)を通して市場に出荷している。養鶏業に関しては岡山県で「吉備高原どり」、群馬県で「上州高原どり」の養鶏を行っている。処理された鶏肉を新鮮な状態で近畿圏や関東圏の「業務スーパー」に出荷しているほか、ウインナーなどの加工品にして出荷している。為替変動の影響に関して、同社は輸入の仕入れ決済の大半を米ドル建てで行っているため(残りはユーロ、円建て)、円安は仕入れコスト高要因(1円/米ドルの円安で年間約4億円)となるが、為替変動リスクを軽減するため、一部為替予約によるヘッジを行っており、ヘッジ部分の損益に関しては営業外収支に計上している。一方、為替変動に伴うFC加盟店への卸価格の変更はタイムラグが生じるため、急激に為替が変動した場合などは、収益に与える影響も一時的に大きくなる可能性がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/21 15:22 注目トピックス 日本株 シナネンHD Research Memo(1):2027年の創業100周年をターゲットに中期経営計画を推進 ■要約1. 総合エネルギーサービス企業への進化を目指すシナネンホールディングス<8132>は、各種燃料や石油製品などを販売する大手の燃料卸売業者である。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、家庭向け・小売業者向けにLPガスや各種燃料を販売している。エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、大口需要家向けに石油製品や各種燃料を供給するほか、ガソリンスタンドの運営や再生可能エネルギー事業なども行っている。非エネルギー事業では、シェアサイクル事業や抗菌事業など多様な事業を展開している。エネルギー流通の業界は生活に必要不可欠だが、競争が激しく、新たな時代へのアプローチが求められている。同社はそうした時代の変化に応えるため、総合エネルギーサービス企業グループへの進化を目指している。2. 強みは全国にある供給基地と販売ネットワーク同社の強みは、全国にあるLPガス充填基地やオイルスクエア(灯油センター)などの供給基地、及び販売店のネットワークにある。同社から販売店や消費者へのリーチが短くなることでサービスは厚くなり、その分、販売店からの信頼も厚くなるからである。一方、競争の激しい石油製品の依存度抑制や新たな時代へのアプローチといった課題もある。このため同社は、2027年の創業100周年をターゲットに第一次~第二次の中期経営計画を策定、課題を解消し持続的成長と企業価値向上を目指すこととした。現在同社は、創業100周年に向けたマイルストーンとして第二次中期経営計画を進行中で、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」の3つを定性目標に、事業基盤を整備しているところである。3. 新規事業ではシェアサイクル事業と建物維持管理事業に注目2022年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による足踏みはあったが、第二次中期経営計画の定性目標の達成に向けて施策を進めているところである。資本効率の改善においては、固定資産の譲渡など低効率資産の活用・売却などを進めた。持続的成長を実現する投資の実行では、新型マイクロ風車の開発で埼玉県さいたま市や北海道札幌市における実証実験の実施などの進展があったほか、韓国の大型風力発電については、引き続き、開発許可を待つ状況が続いている。また、シェアサイクル事業は、首都圏を中心に公共施設や駅周辺、商業施設などを巻き込んだステーション開発を推進、2023年3月期の収益化が見えてきた。建物維持管理事業は、病院や斎場の運営などファシリティマネジメントや消毒清掃といった強みを背景に受注を伸ばしており、今後、グループ内再編によってシナジーやスケールメリットを追求する計画になっている。4. 創業100周年に向け持続的にROE6.0%以上を生み出す事業構造を確立へ2022年3月期の業績は、売上高289,340百万円(前期比33.3%増)、営業利益2,480百万円(同15.5%減)となった。売上高は原油価格やプロパンCPの高騰による販売単価上昇で大きく伸びたが、IT関連や新規事業の戦略投資が先行して営業減益となった。2023年3月期業績見通しについて、同社は売上高310,000百万円(同7.1%増)、営業利益2,500百万円(同0.8%増)を見込んでいる。売上高は高水準の原油価格を前提に増収の予定だが、経営基盤整備に向けたIT投資などを引き続き継続するため、営業利益は横ばい圏にとどまる見込みである。コロナ禍でペースが緩やかになったと思われる定量目標だが、先行投資の効果により中期的にキャッチアップできれば、2027年の創業100周年に向けてROE6%以上の達成だけでなく、投資家が一定の目安とするROE8%も視野に入ってくると思われる。■Key Points・大手燃料卸売業者、再生可能エネルギー事業など脱炭素社会につながる事業を積極推進・好調のシェアサイクル事業や建物維持管理事業などを中心に非エネルギー事業の収益拡大が進む・投資先行の中、2027年の創業100周年に向け、ROE6%以上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <SI> 2022/07/21 15:21 注目トピックス 日本株 神戸物産 Research Memo(1):食品価格高騰による生活防衛意識の高まり捉え、業務スーパー事業のさらなる拡大へ ■要約神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開しているほか、外食・中食事業やエコ再生エネルギー事業も手掛けている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。1. 2022年10月期第2四半期累計の業績概要2022年10月期第2四半期累計(2021年11月-2022年4月)の連結業績は、売上高で前年同期比12.3%増の198,161百万円、営業利益で同2.4%増の14,733百万円と過去最高業績を連続更新した。主力の業務スーパー事業が売上高で前年同期比11.5%増、営業利益で同3.5%増となり、業績をけん引した。第2四半期末の店舗数が前年同期末比47店舗増の969店舗に拡大したほか、メディアやSNSへの露出効果並びに値上げ効果によって、直轄エリア※の既存店(以下、既存店)向け商品出荷額が同4.1%増と堅調に推移したことが増収要因となった。営業利益の伸びが鈍化したのは、原材料価格の上昇によりグループ会社の収益が悪化したことに加え、物流コストも上昇したことが要因だ。適宜値上げを実施したものの、コスト上昇分をすべてカバーしきれなかった。ただ、食品スーパー業界全体の既存店売上高が前年同期比約1%減となるなかで、「業務スーパー」は4.1%増と増加基調を維持しており、引き続き商品力や集客力の高さが確認される結果となった。※直轄エリアは、関西2府4県(淡路島除く)、関東1都3県、九州(鹿児島県、沖縄県除く)、北海道で、それ以外は地方エリアとしている。2. 2022年10月期の業績見通し2022年10月期の連結業績は、売上高で前期比5.0%増の380,000百万円、営業利益で同5.4%増の28,800百万円と期初計画を据え置いた。2022年5月以降も原材料価格の高騰や円安進展といった収益圧迫要因が続いているものの、適宜値上げを実施していくことでコスト増を吸収していく方針となっている。「業務スーパー」の店舗数は前期末比60店舗増の1,010店舗を計画している。9月~10月にかけて新規出店が集中する見込みで、計画達成の目途はついているようだ。既存店向け商品出荷額については期初計画で前年同期比微増を見込んでいたが、下期も値上げ等が実施する予定となっていることから、計画を若干上回るものと予想される。値上げについては販売数量に影響を与えない範囲で進めていくことにしている。食材価格の上昇によって一般消費者の低価格志向が一段と強まると考えられることから、下期も業務スーパー事業の優位性は変わらず順調に売上高を伸ばしていくものと予想される。3. 中期経営計画同社は中期経営計画の業績目標として、2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円の達成を目指している。3ヶ年の年平均成長率は売上高で4.2%、営業利益で5.4%と堅実な計画となっており、引き続き業務スーパー事業における店舗数拡大とPB商品の拡充による持続的な成長を見込んでいる。また、新たな取り組みとして販売チャネル拡大(EC販売)の検討を進めているほか、ITを活用した次世代型店舗の開発も進めている。EC販売については業務スーパーが近隣にない地域における潜在顧客の掘り起こしが狙いとなっており、現在収益モデルを固めるためのシミュレーションを行っている。一方、次世代型店舗については2021年8月より「業務スーパー天下茶屋駅前店」を直営で出店し、データ収集とシステム改善を実施している。商品の自動発注システムや、セルフレジとの連携によりレジ待ち時間を削減できるタブレット端末付きショッピングカートの実用化に向けた効果検証等を行っている。効果を確認後、FC店舗への導入を進めていきたい考えだ。また、物流コストの低減を図るため、関東エリアに物流機能を有する生産拠点を開設する計画を立てている。現在、関東エリアについては外部の物流センターを活用しているが、同拠点が稼働すれば物流コストの改善に寄与することになる。順調に進めば2025年頃には稼働できるものと弊社では予想している。なお、「業務スーパー」の出店余地は依然大きく、FCオーナーの出店意欲も旺盛なことから、今後も年間60店舗前後のペースで拡大を続けていく可能性は十分あると弊社では見ている。■Key Points・原材料価格の上昇を増収効果で吸収し、2022年10月期第2四半期累計は増収増益を達成・出店拡大に加えて店舗運営のDX化と販売チャネル拡大により2024年10月期に売上高4,100億円、営業利益320億円を目指す・業務スーパーの出店余地は依然大きく、当面は1,200店舗、長期目標は1,500店舗を掲げる(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/07/21 15:21 注目トピックス 日本株 レカム Research Memo(5):連結売上CAGR30%以上、海外ソリューション事業の営業利益シェア50%以上へ ■今後の成長戦略● 中期経営計画(2022年9月期~2024年9月期)レカム<3323>は、2022年9月期より新たな中期経営計画(2022年9月期~2024年9月期)を策定している。新中期経営計画の基本戦略では「グローバル専門商社構想の加速化」を掲げており、時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みのダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューション提案し、グローバル事業の成長を加速させる。2024年9月期の定量目標は以下の3つとなっている。1) 連結売上CAGR(年平均成長率)30%以上2) 海外ソリューション事業の営業利益シェア50%以上3) 株式時価総額300億円超(2022年5月末時点56億円)合わせて、下記2つの定性目標の達成も目指している。1) 最終年度(2024年9月期)に東証プライム市場への移行基準達成2) 新三板上場企業である大連レカムにおいては、最終年度に北京証券取引所昇格基準達成グローバル専門商社構想については、今後の事業展開を4つのステージに段階分けしており、「Stage1」=現地日系企業へのLED照明販売、「Stage2」=既存顧客企業へのワンストップ・ソリューションの提供、「Stage3」=ローカル企業向けにワンストップ・ソリューションを展開、「Stage4」=各国のニーズに対応した新たな事業の開発&展開としている。ソリューションを展開するというステージを駆け上がっていくことで事業を急拡大させる戦略である。グローバル専門商社構想のキーワードとして、1)海外ソリューション事業の拡大、2)DX、カーボンニュートラル、感染症対策商材の推進、3)ストック収益の拡大の3つが挙げられる。なお、年度別の売上収益・営業利益は最終年度の2024年9月期に売上収益150億円、営業利益15億円を計画している。海外ソリューション事業の拡大のための具体的な取り組みについては、戦略的パートナーシップの拡大を挙げている。前期、及び今期に入って実行した2件のクロスボーダーM&Aにより、海外各国でローカル市場攻略に向けたパートナーづくりに取り組む。また、フィリップスブランドLED等商品ラインナップの拡充や業務用エアコン等を含めたトータルソリューション提案により顧客のカーボンニュートラル活動へのソリューション提案を実施する。これらの施策により、海外ソリューション事業の営業利益シェアを2024年9月期に50%以上(2021年9月期は17%)を目指す。DX推進のための具体的な取り組みについては、BPR分析を活用した顧客のDX推進支援である。グループの主力事業の1つであるBPR事業は、「ビジネスプロセスリエンジニアリング」つまり、企業のあらゆる社内業務の再構築であり、まさにDXである。顧客企業のDX推進支援に取り組むほか、日本企業向けコストダウンソリューションで培った13年のノウハウを活用し、巨大市場である中国企業向けのBPR事業に取り組むことより、大連レカムの成長の加速を目指す。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2022/07/21 15:15 注目トピックス 日本株 レカム Research Memo(4):下期は国内ソリューション事業の巻き返し図る。BPO事業は中国企業向けに注力 ■今後の見通し1. 2022年9月期通期業績予想レカム<3323>の2022年9月期の業績予想は、売上収益が9,600百万円(前期比44.8%増)、営業利益は480百万円(同127.9%増)、税引前利益は450百万円(同192.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は260百万円(前期は316百万円の赤字)を見込んでおり期初計画は据え置いている。なお、第2四半期における通期計画に対する進捗率は営業利益、税引前利益は約5割、親会社の所有者に帰属する当期利益は約8割の進捗となるため上期については計画通りに進捗していることが窺える。国内外において企業のカーボンニュートラルへの取り組みに対するソリューション提案を強化しており、自社ブランドLED照明「RENTIA」等の高性能な省力化商材等、環境負荷を極力下げるソリューションの提案や国内においてはサイバーセキュリティ対策やDX推進ソリューションの提案にも注力することにより、グローバル専門商社構想の実現を目指す。これらの展開と合わせて、ウイルス除菌装置(「ReSPR」シリーズ)等の感染症対策ソリューション提供にも継続して取り組む。感染予防商品として「ReSPR」シリーズは、経済活動が正常化に向かうなか新たな生活様式として感染症対策が必須になると見られ、ラインナップ拡充による拡販が期待できる。また、マレーシア最大のフィリップスブランド照明器具ディストリビューターであるSLWの買収効果により、LEDを中心としたカーボンニュートラルソリューションの販売拡大等も期待されると弊社では考えている。同社子会社であるレカムビジネスソリューションズマレーシア(RBM)(株)の、日系企業向けソリューションとSLWによる代理店網を通したローカル企業向けのソリューションのすみ分けにより、日系企業とローカル企業の市場を深掘りしていく。また両社のシナジーにより自社開発LEDや「ReSPR」の販売加速等も期待されるところだ。2. 事業セグメント別通期予想(1) 海外ソリューション事業海外ソリューション事業は売上収益が前期比129.6%増の3,100百万円、セグメント損益は200百万円(前期は66百万円の赤字)の黒字転換を見込んでいる。SLWによる売上げが寄与するほか、RBMとの横展開による相互販売といった形での相乗効果が見込まれ、LEDを中心としたカーボンニュートラルソリューションの拡大が期待されると弊社では考えている。また、RBMはカーボンニュートラル製品において、日本ブランド・日本規格の商品を提供している。高価格に見合うだけの高品質な製品を販売しており、価格よりも品質・性能を求める現地優良企業の需要を取り込んでいる点は強みである。(2) 国内ソリューション事業国内ソリューション事業は売上収益が前期比20.5%増の5,700百万円、セグメント利益は同36.8%増の130百万円を見込む。ニューノーマルな働き方を狙って増加するサイバー攻撃が脅威となるなか、これまでの簡易的なセキュリティから本格的なサイバーセキュリティへの需要が引き続き高まると弊社では考えている。デジタル複合機のコストダウンソリューションに関しては、同社独自の「Ret’sCopy」というサービスプランで提供しているが、新しいサービスプランを投入することにより強化する。5月から導入したセールスフォースの活用による営業生産性の向上に取り組むことで、国内ソリューション事業の巻き返しを図る。(3) BPR事業BPR事業は売上収益が前期比10.0%増の800百万円、セグメント利益は同2.3%減の150百万円を見込む。下期の取り組みとしては、日本企業向けにコストダウンソリューションで培ったノウハウにより、新規顧客の営業開拓を強化するとともに既存顧客からの受託業務の拡大を図る。また、中国企業に対するBPR営業を開始している。中国のBPO市場は日本の5倍(中国の企業数も5倍)と推測されている莫大な市場があり、この需要を取り込むことで成長を加速させる計画だ。同社の中国子会社は、ベンチャー企業を対象とする中国の「新三板」に上場している信用力も使えるため、中長期的に成長が見込まれる分野であると弊社では考えている。足元は、人民元に対して円安が進行している影響によって減益を見込んでいる。3. 配当予想同社は、配当性向30%(配当金総額=親会社の所有者に帰属する当期利益×30%)を基準に業績に連動した配当を実施するという基本方針を掲げている。2020年9月期は、有価証券売却益を計上することによって年初計画通りの1株当たり2.0円の配当を行った。2021年9月期は、親会社の所有者に帰属する当期利益が大幅な損失となったことから無配となった。なお、経営責任を明確にするため、役員報酬の減額を発表。2022年9月期においては1株当たり1.0円の早期復配を計画している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2022/07/21 15:14 注目トピックス 日本株 レカム Research Memo(3):2022年9月期第2四半期は海外事業の売上高が前期比約3倍 ■業績動向1. 2022年9月期第2四半期決算の業績概要レカム<3323>の2022年9月期第2四半期業績は、売上収益が前年同期比20.2%増の4,181百万円、営業利益は同12.5%増の224百万円、税引前利益は同36.8%増の254百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同211.7%増の202百万円だった。売上高は3四半期ぶりに20%を超える増収だったほか、営業利益、税引前利益、四半期利益の各段階利益においては、前期の通期業績(2021年9月期)の数値を上回り、四半期利益の通期計画に対する進捗率は77.8%だった。海外事業において売上高は約3倍となり、特にマレーシアにおけるSLWのM&Aが大きく寄与し、セグメント利益については3つのセグメントの中で利益貢献度がトップとなった。2. 事業セグメント別の動向(1) 海外ソリューション事業海外ソリューション事業の売上収益は前年同期比2.8倍の1,673百万円、セグメント利益は120百万円(前年同期は59百万円の損失)だった。半導体不足の影響により業務用エアコン等の納期遅れがあったが大幅増収で着地。子会社化したSLWの売上収益が10億円強だったが、これを除く既存事業においても増収に転じている。また、SLWの売上収益が好調に推移したことで利益を押し上げ、セグメント損益は黒字に転換した。各国で行動制限が緩和されてきたことから、中国以外の拠点では通常の事業環境に戻りつつある。第2四半期売上の伸長率では、中国は前年同期比47.8%だったものの、タイは同144.7%、ベトナムが同172.3%、マレーシアは同397.7%、インドネシアは同95.8%だった。なお、業務用エアコンについては半導体不足の影響は引き続き警戒されるところではあるが、多くの受注残を抱えているほか、電気使用量削減によってCO2の排出を抑制するカーボンニュートラルの取り組みの高まりにより買い替え需要も多いと見られる。このため、半導体企業の増産の動きによって需給が緩和してくる局面においては、業績の伸びが加速する可能性はあると弊社では考えている。なお、1月にはグループのさらなる収益力の向上を目指すため、2019年6月に子会社化したタイ、インドネシア、アジアの3社について、エフティグループ<2763>及び同社子会社である(株)ジャパンTSSより株式を追加取得した。(2) 国内ソリューション事業国内ソリューション事業の売上収益は前年同期比14.3%減の2,210百万円、セグメント利益は同59.4%減の65百万円だった。直営店チャネルにおいては、半導体不足の影響からLED照明等の仕入に苦戦したことで3.8%の減収。ウイルス除菌装置「ReSPR」については、新型コロナウイルス感染症対策の助成金効果の反動により前年同期比で減少した。代理店チャネルでは、取扱商品の拡充及び新たな代理店開拓に注力したものの、こちらも半導体不足の影響により主力商品のLED照明等、発注に応じられない商品アイテムが数多く生じたことから3割超の減収だった。FC加盟店チャネルにおいては、直営店の販売手法を水平展開し、加盟店へ販売手法の共有や販売支援を実施した効果が見られ、売上収益は前年同期とほぼ同額だった。(3) BPR事業BPR事業の内部取引を含む売上収益は前年同期比9.2%増の356百万円、セグメント利益は同13.0%減の80百万円だった。新規顧客開拓に注力するとともに、コンサルティング営業を通じてRPAやAI-OCR、BPOサービスの獲得に取り組んでおり、既存顧客からの業務受託量の増加に加え、新規受託も増加した。セグメント利益については人民元に対して円安が進行したことで費用が増加した。同社のBPOセンターは中国とミャンマーにあるが、為替の影響は2021年10月から2022年3月までで人民元が円に対して11.5%高くなった一方でミャンマーチャットは13.8%安くなっている。ミャンマーチャットのプラス要因があるものの、同社の場合は圧倒的に中国が大きなセンターとなっているため、為替の影響を大きく受けた格好である。3. 財務状況と経営指標2022年9月期第2四半期の資産合計は、前会計年度末より1,000百万円増加し、9,251百万円となった。マレーシアのSLWが連結対象に加わったことにより営業債権371百万円、棚卸資産が561百万円増加したこと等によるものである。負債合計は799百万円増加し、4,873百万円となった。これはSLW株式の取得代金の一部を借入、連結対象となった同社の借入金が加わったことによるもの。資本合計については200百万円増加し、4,377百万円となった。四半期利益等により利益剰余金が216百万円増加したほか、自己株式の取得により自己株式が26百万円増加したことによるものである。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2022/07/21 15:13 注目トピックス 日本株 レカム Research Memo(2):グローバル専門商社構想を掲げ、シナジー効果の追求により利益成長を加速 ■事業概要レカム<3323>は、2021年9月期において事業構造の見直しとともにグループ会社の再編を進め、中期経営計画策定を契機に事業セグメントの区分を見直した。グローバル専門商社構想を掲げ、「海外ソリューション事業」「国内ソリューション事業」「BPR事業」の3セグメントに括り直し、連結各社を基礎とした区分となっている。海外ソリューション事業は中国、インド及びマレーシア等ASEAN地域の子会社から成り、国内ソリューション事業は直営店、FC加盟店、代理店の販売チャネルにより構成されている。BPR事業は業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。(1) 海外ソリューション事業タイ、ベトナム、インドネシア等ASEAN地域や中国、インドにおいて、海外に進出している日系製造業を中心に、LED照明や業務用エアコン等を用いたカーボンニュートラルソリューションや「ReSPR」等の感染症対策ソリューション、コストダウンソリューションを提供している。また、M&Aによる企業獲得により事業を拡大させている。2021年6月にシンガポールローカル企業Greentech International(GI)を持分法適用関連会社化したほか、2021年10月にマレーシアローカル企業Sin Lian Wah Lighting(SLW)を完全子会社化する等、積極的にM&Aを進めている。アライアンスを含めた戦略的パートナーシップを進めることにより事業拡大を推進。タイやインドネシア、マレーシアではローカルマーケットへの進出を本格的に実施している。(2) 国内ソリューション事業直営店、FC加盟店※、代理店のチャネルを通じてカーボンニュートラルソリューションとしてLED照明(約5万点の商品アイテム)や省エネ性能が高い業務用エアコン等を含めたソリューション提案や、コストダウンやサイバーセキュリティに対するソリューション提案を行っている。また、ウイルス除菌装置「ReSPR」等の感染症対策ソリューション等のソリューションを合わせて実施している。※同社は無店舗型フランチャイズシステムの形態を採っている。これは、販売店舗による店頭販売でなく営業員組織による訪問販売を主体とするフランチャイズシステムであり、同社の事業展開の根幹となっている。(3) BPR事業グループ企業からの管理業務の受託及び外部顧客からの業務アウトソーシング受託、及び業務プロセスの提案コンサルティングを行っている。主として、国内企業から業務委託を受け、業務(バックオフィス業務から名刺入力業務、データエントリー業務等)の内容に応じて中国のレカムビジネスソリューションズ(大連)株式有限公司(以下、大連レカム)、レカムビジネスソリューションズ(長春)有限公司、レカム騰遠ビジネスソリューションズ(大連)有限公司、ミャンマーレカム株式会社の4業務センターに振り分けている。海外BPOセンターによるオペレーションやRPAやAI-OCR等の活用による業務自動化によりコストメリットを実現している。また、顧客企業のDX推進に寄与するコンサルテーション提案を強化している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2022/07/21 15:12 注目トピックス 日本株 レカム Research Memo(1):2022年9月期第2四半期の当期利益の進捗率は約8割 ■要約レカム<3323>はオフィスや工場、その他施設等に対する様々なソリューションビジネスを展開している。国内においては、情報通信に関するカーボンニュートラルソリューション、コストダウンソリューション、サイバーセキュリティソリューションを実施している。海外においては、中国、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドにおいて、LED照明、業務用エアコン等やサービスを通じてCO2排出量を抑制するカーボンニュートラルソリューションや物価高騰対策として電気代等の経費削減を実現するコストダウンソリューションを行っている。また、新型コロナウイルス等の感染対策や脱臭等のソリューション提案を実施している。このほか、業務プロセスの自動化やBPOサービスにより、DX支援サービスやコストダウンソリューションを提供する。同社の事業セグメントは、2021年11月に策定した中期経営計画にて事業ドメインを見直し、国内事業を集約したことから、従来の「ITソリューション事業」「エネルギーソリューション事業」を「国内ソリューション事業」へ事業セグメントを変更している。これに伴って「海外法人事業」を「海外ソリューション事業」へ名称変更、「BPR事業」を合わせて事業セグメントを3セグメントとした。1. 2022年9月期第2四半期決算の業績概要2022年9月期第2四半期(2021年10月〜2022年3月)業績は、売上収益が前年同期比20.2%増の4,181百万円、営業利益は同12.5%増の224百万円、税引前利益は同36.8%増の254百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同211.7%増の202百万円だった。売上高は3四半期ぶりに20%を超える増収だったほか、営業利益、税引前利益、四半期利益の各段階利益においては、前期の通期業績(2021年9月期)の数値を上回り、四半期純利益の通期計画に対する進捗率は77.8%だった。2. 2022年9月期通期業績予想2022年9月期の業績予想は、売上収益が9,600百万円(前期比44.8%増)、営業利益は480百万円(同127.9%増)、税引前利益は450百万円(同192.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は260百万円(前期は316百万円の赤字)を見込んでおり期初計画は据え置いている。3. 中期経営計画(2022年9月期〜2024年9月期)同社は、今期より新たな中期経営計画(2022年9月期〜2024年9月期)を策定している。新中期経営計画の基本戦略では時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みのダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューション提案する「グローバル専門商社構想の加速化」を掲げている。グローバル専門商社構想では、事業展開を4つのステージに分け、「Stage1」=現地日系企業へのLED照明販売、「Stage2」=既存顧客企業へのワンストップ・ソリューションの提供、「Stage3」=ローカル企業向けにワンストップ・ソリューションを展開、「Stage4」=各国のニーズに対応した新たな事業の開発&展開としている。各国の事業会社が4つのステージを推進し、最終的には各国でその国にとって、なくてはならない企業を目指す。■Key Points・海外ソリューション事業は、ローカル企業のM&Aにより売上は約3倍・通期計画に対する第2四半期の当期利益の進捗率は約8割・マレーシアSin Lian Wah Lighting(以下、SLW)が大きく売上に寄与・グローバル専門商社構想の加速化・自社ブランドLED照明「RENTIA」開発等カーボンソリューション商材に注力(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <ST> 2022/07/21 15:11 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(10):2023年3月期は年間40円配を予定。利益成長に伴う増配余地に期待 ■ダイコク電機<6430>の株主還元配当については安定配当を基本とし、業績に応じて特別配当を実施する方針である。2022年3月期の期末配当については、利益面で大きく上振れたことから、期初予想より5円増額修正し、前期比20円増配の1株当たり年間60円(中間25円、期末35円)を実施した。2023年3月期は、現時点で1株当たり年間40円(中間10円、期末30円)を予定しているが、今後も利益成長に伴う増配の余地は十分に期待できる。また、同社株式への投資の魅力を高め、中長期保有の促進を目的とする株主優待制度についても、2022年3月期より再開した※。毎年9月末時点の株主に対し、保有株式及び継続保有期間に応じてQUOカードを贈呈する内容となっている。※2021年3月期については、先行き不透明な事業環境の継続が想定されるなか、コロナ禍の影響により大幅な減益となったことから、株主優待制度を一旦廃止していた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:10 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(9):業界が転換期を迎えるなかで、将来を見据え、持続的な成長基盤を整備 ■過去の業績推移過去の業績を振り返ると、個人消費の冷え込みと東日本大震災の影響とが重なった2011年3月期に業績の落ち込みがあったが、その後はパチンコホール業界が縮小傾向にあるなかでも、ダイコク電機<6430>の業績は順調に回復した。特に高い市場シェアを誇る「情報システム事業」は、2015年3月期まで3期連続で過去最高の売上高を更新しており、同社の業績を支えてきた。ただ、2016年3月期以降は、業界におけるマイナス材料(自主規制や「回収・撤去」の影響、「新規則」に伴う先行き不透明感など)に加え、2020年に入ってからのコロナ禍の影響等も重なり、売上高は低調に推移している。また、利益面では、「情報システム事業」が同社の収益源となっており、業績の回復とともに高い利益率が維持されてきた。2014年3月期から2017年3月期までは次世代製品群向けの研究開発費の増加等により低下しているが、その分を考慮すれば、高い水準を確保してきたと言える。ただ、2018年3月期以降は、次世代製品群向けの研究開発費が一巡したものの、売上高の低迷等により利益率も過去の高い水準には戻り切っていない。一方、MGサービスの伸長などストック型ビジネスモデルへの転換は着実に進んでおり、その点は収益の下支え要因となっている。財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は、内部留保の積み上げ等により上昇傾向にあり、2022年3月期は75.1%の高い水準となっている。また、短期の支払能力を示す流動比率についても、潤沢な現金及び預金を中心に284.1%の水準を確保しており、盤石な財務基盤は、今後の成長に向けた原動力としても強みと言える。一方、資本効率性を示すROEは2015年3月期以降、低調に推移してきた。いずれも最終損益の落ち込みによるものであり、2015年3月期は取引先メーカーの自己破産に伴う損失、2016年3月期は自主規制の影響に伴う専用部材(パチスロ遊技機関連)の評価替えに伴う損失が原因となっている。今後は利益成長とともにROEの改善にも取り組む。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:09 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(8):ヒット機種の登場や今後のスマート遊技機導入も見据え、市場環境は活性化の兆し ■ダイコク電機<6430>の業界環境ここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコホール業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感が広がり、しばらく混沌とした状況が続くとともに、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、厳しい環境に拍車をかけた。※今回の「新規則」で、一例として遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、2021年には2022年1月末を期限とする「新規則」機への段階的な入れ替えが進むとともに、2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」※など)を有する遊技機がリリースされたことで、パチンコ遊技機ではヒット機種が複数登場しており、遊技機入れ替え需要による市場活性化が顕在化してきた。また、今後は「スマート遊技機」の導入に注目が集まっており、遊技機市場やパチンコホール業界は新たな時代を迎えようとしている。一方、当面のリスク要因としては、新たな変異株の出現を含む、コロナ禍の再拡大のほか、半導体不足による納期遅延などの影響が懸念されている。※「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2012年から2021年の間で年平均3.9%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2021年12月末のパチンコホール数は8,458店舗(前年末比577店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数はシェア37.1%に上り、年々高まる傾向にある。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特長※がある。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これからスマート遊技機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。※大型店舗(501台以上)におけるシェアは61.4%とさらに高くなっている。また、遊技機の市場設置台数については減少傾向で推移(特に、パチスロ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:08 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(7):2023年3月期は増収減益を見込むも、下期に向けて市場の活性化が進む見通し ■ダイコク電機<6430>の業績見通し1. 2023年3月期の業績予想新中期経営計画の初年度となる2023年3月期については、売上高を前期比6.6%増の26,000百万円、営業利益を同28.6%減の850百万円、経常利益を同30.5%減の950百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同47.1%減の650百万円と見込んでいる。売上高は、パチンコホールにおける設備投資意欲が回復傾向にあることを背景として、「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに伸びる見通しである。ただ、「情報システム事業」については、1) 上期は半導体不足による電子部品等の調達難が継続すること、2) 下期はスマート遊技機が登場し市場が活性化することを前提としており、下期偏重の業績予想となっていることに注意が必要である。「情報システム事業」は、1) 「スマート遊技機」導入に併せたCRユニット・情報公開機器などの拡販、2) 「Market-SIS」の市場シェアNo.1達成に向けた拡販、3) クラウドサービス第1弾「ClarisLink」の拡販など、既存製品の市場シェア拡大に取り組みながら、M&Aの検討を含む開発体制の強化により、クラウド開発の投資を加速していく方針である。一方、「制御システム事業」は、主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へと移し、メダルレス筐体とソフト開発体制の内製化により、安定的な開発体制の構築を図っていく。利益面では、増収効果やMGサービスの伸びが収益の押し上げ要因となるものの、クラウドやパチスロへの積極的な投資に加え、半導体不足の影響や原材料価格の高騰を保守的に見積もり、営業減益となる見通しとしている。2. 弊社アナリストの注目点弊社でも、半導体不足の影響や原材料価格の上昇については慎重に見ておく必要があるものの、稼動が好調なヒット機種の登場などにより、パチンコホールの設備投資が徐々に回復してきたことや、今後予定されている「スマート遊技機」の導入も追い風となることから、同社の業績予想は十分に達成可能であると見ている。特に注目すべきは、「スマート遊技機」が、停滞していたパチスロ遊技機の性能アップにどのように寄与し、市場の活性化につながっていくのか、市場の回復とともに、有力ホール企業を中心とした業界の再編(2極分化)がいかに加速していくのかにあり、それらが同社の業績にどのような影響を及ぼしていくのかは、今後の成長性を占ううえでも重要な判断材料になるだろう。また、クラウドサービスの拡販やパチスロ開発など、将来に向けた取り組みもフォローしていきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:07 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(6):クラウドサーバーによる業界唯一のプラットフォーム構築を目指す ■中期経営計画ダイコク電機<6430>は、2021年11月に2023年3月期からの新中期経営計画(3ヶ年)を公表した。「旧規則」機から「新規則」機への移行や、それに伴う業界環境の変化、設備投資の動向など、先行き不透明な状況が続いたことから、しばらく中期経営計画の公表を見送ってきたが、このタイミングで公表に踏み切ったのは、2022年1月末を設置期限とする「新規則」機への入れ替えが進み、「スマート遊技機」による新たな時代を迎えるにあたって、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことが背景にある。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、将来の市場環境の変化に対応するため、事業ドメインの再設定に取り組む方針である。具体的には、新規導入が予定されている「スマート遊技機」の普及に伴う需要の取り込みや、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及促進のほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。1. 前提となる環境認識2022年2月からの「新規則」機への完全移行、さらには2023年3月期後半に予定されている「スマート遊技機」の新規導入に伴って、遊技機市場及びパチンコホール業界は「スマート遊技機」による新たな時代を迎えようとしている。「スマート遊技機」への入れ替えは、データの集約及び活用を一気に飛躍させるとともに、ゲーム性の幅が広がることでファンの拡大やホール経営のあり方に大きく影響を与える可能性がある。特に、パチンコホールごとに集客力の差が顕著となることから、有力企業による業界再編の流れが加速されるとの見方もある。同社では、「スマート遊技機」の入れ替えが進む中期経営計画2年目(2024年3月期)以降、勝ち残りをかけたパチンコホールの設備投資(新規出店を含む)が活性化され、同社業績も大きく拡大するシナリオを描いている。2. 重点施策(事業ドメインの再設定)(1) 情報システム事業戦略の目玉は、今後の市場変化を見据え、クラウドサーバーを活用した新MGサービスの拡充により業界唯一のプラットフォームを構築し、ホール大手を中心に囲い込むとともに、ホール経営の支援はもちろん、業界の変革にも貢献していくところにある。そのための具体策として、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を進めるとともに、「新規則」機及び「スマート遊技機」などに柔軟に対応した製品・サービスに加え、省力化・省人化をさらに具現化し、ホールスタッフの働き方やファンの集客戦略を変える製品群をタイムリーに市場投入することで各製品のシェアを高めていく。さらには業界データ及び外部データをクラウドサーバーに集約・活用するプラットフォーム※をスタートさせ、新MGサービスの拡充による安定収益の底上げを目指していく方向性である。※自社及び他社のホールコンピュータ、ファン行動、サイトアクセス、Wi-Fiアクセス、スタッフ情報、カメラ映像などの業界データのほか、人口統計、行動心理、商圏特性、人流データ、SNS・アプリなどの外部データをクラウドサーバーに集約するとともに、予測エンジンや異常検知エンジン、レコメンドエンジンなどの機能により、データを有効に分析・活用することができるプラットフォーム。(2) 制御システム事業事業の主軸を「パチンコ」から「スマートパチスロ」へ移行していく方針を掲げている。2021年3月期下期より開始したパチスロ遊技機の一括受託開発をさらに推し進めるとともに、メダルレス筐体及びソフト開発体制を完成させ、3年後には収益の柱へと育成していく。3. 投資計画3年間の投資計画(累計)として、研究開発費40億円(前3ヶ年合計は28億円)、設備投資62億円(同41億円)を予定しており、前3ヶ年合計を上回る水準となっている。なお、研究開発費は主にスマートパチスロ関連(制御システム事業)、設備投資は主にサーバー開発費(情報システム事業)に投下される計画のようだ。4. 数値目標最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高34,000百万円(3年間の平均成長率11.7%)、営業利益2,200百万円(営業利益率6.5%)を掲げている。特長的なのは、半導体不足やコロナ禍の影響により、本格的な業績向上(パチンコホールにおける設備投資の本格化)のタイミングが読みづらい2023年3月期については保守的な業績を見込む一方、2年目(2024年3月期)での大幅な事業拡大を実現するシナリオとなっている点である。また、研究開発費や設備投資を積極投入しながらも営業利益率が段階的に改善していくのは、各製品群における付加価値の向上に加え、MGサービスによるストック型ビジネスが成長の軸となり、収益構造の変化(収益の底上げ)に大きく貢献することが理由と考えられる。5. 弊社アナリストによる戦略評価弊社でも、スマート遊技機による新時代を迎えるにあたって、同社の強みとするデータ活用によるMGサービスをさらに拡充させるため、ホールコンピュータからクラウドサーバーを活用したビジネスへと展開していく戦略は、環境変化を自らの優位性を生かすチャンスにつなげていくうえで理にかなっていると評価している。また、同社が目指すプラットフォームビジネスは、データが集まるところに会員が集まり、会員が集まるところにデータが集まるという正の循環(ネットワーク性)が働くため、圧倒的なポジションをさらに強固なものにできる可能性も高いと言えよう。そのうえで、業界におけるリーダーシップを発揮することにより、同社自身はもちろん、業界や社会の持続性への貢献にも大きな役割が期待されるため、いかにイノベーションによる新たな価値づくりを実現していくのか、サステナビリティへの取り組みについても注目していきたい。また、同社のデータを活用するノウハウは横展開が可能であるため、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携の動きにも注意が必要となろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:06 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(5):同社初となる、クラウドを用いた新サービスを市場投入 ■主な活動実績1. 各事業における主な活動実績(1) 情報システム事業ダイコク電機<6430>初のクラウドを用いた新サービス「ClarisLink」や、業界初の遊技台予約を実現したWeb管理入場抽選サービス「スマート入場システム」、パチンコホールの省人化を実現するPOSシステム「ワンストップセルフカウンター」、Webによる事前登録で申し込み用紙が不要になる「スマート会員登録」など、パチンコホール経営企業の課題を解決し、業績向上につながる製品やサービスの拡販に取り組んだ。また、周辺エリアの集客状況を提供する商圏分析サービス「Market-SIS」の普及促進やAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の活用提案により、既存ホールコンピュータの入替(システムアップ)を促進。「Χ(カイ)」導入店舗数は1,000店舗を超え、取引店舗の約1/3にまで進んできた。(2) 制御システム事業事業領域の拡大を目的として新たに開始したパチスロ機の受託製造については、2機種の製造を手掛けた。さらに次世代の「スマート遊技機」についても取り組みを開始し、2024年3月期からのリリースを目指している。2. サステナビリティの取り組み同社は、サステナビリティ活動を持続的かつ体系的に推進し、ESGやSDGsを重視した経営により持続可能な成長や社会を実現するため、2021年11月にサステナビリティ委員会を設置した。経営理念である「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」に基づき、中長期的な企業価値を創出していくところに狙いがある。さらに2022年3月には、サステナビリティ基本方針及びマテリアリティ(重要課題)の特定について取締役会にて決議し公表している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:05 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(4):厳しい環境が続くも、主力製品の伸びやMGサービスの回復、収益体質改善が寄与 ■決算動向1. 2022年3月期決算の概要ダイコク電機<6430>の2022年3月期決算の業績は、売上高が前期比4.5%増の24,390百万円、営業利益が同96.2%増の1,191百万円、経常利益が同38.6%増の1,367百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同100.6%増の1,228百万円と増収及び大幅な増益を実現した。期初予想に対しても、売上高はやや下振れたものの、利益面では大きく上振れる着地となった。パチンコホールにおける設備投資は、新店や大規模改装工事を控える厳しい状況が続いたものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動とともに、「情報システム事業」の主力製品であるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をはじめ、CRユニット「VEGASIA」、情報公開端末「REVOLA」「BiGMO PREMIUM」の販売が前期を上回ったことや、サービス売上の着実な伸びが増収に寄与した。ただ、第3四半期以降は半導体不足に伴う販売計画の調整を余儀なくされ、売上高は期初予想に届かなかった。一方、「制御システム事業」についても、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、パチスロ機の受託製造を開始したことにより、主力の「表示・制御ユニット」は好調に推移した。一方、「部品・その他」が伸び悩んだ。利益面では、増収による収益の押し上げや収益体質の改善により大幅な営業増益を実現し、営業利益率も4.9%(前期は2.6%)に上昇した。特に、利益面で期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復や全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。財政状態については、遊休資産の減損などにより固定資産が減少した一方、「現金及び預金」や売上債権が増えたことから、総資産は前期末比1.0%増の41,489百万円に増加した。また、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.5%増の31,141百万円に増加したことから、自己資本比率は75.1%(前期末は74.6%)に改善している。事業別の業績は以下のとおりである。(1) 情報システム事業売上高は前期比6.8%増の18,647百万円、セグメント利益は同11.9%増の2,171百万円と増収増益となった。期初予想に対しては、売上高が下振れた一方、利益面では上振れて着地した。パチンコホール企業経営における設備投資は、2022年1月末を設置期限とする「旧規則」機から「新規則」機への入れ替えが優先されたことに加え、今後市場投入が予定されている「スマート遊技機」の動向を探る動きもあり、新店や大規模改装工事を控える厳しい状況が続いている。そのような環境の下でも増収を確保できたのは、パチンコホールの一部をパチスロ機から稼動が堅調なパチンコ機へ変更する小規模工事の増加※に伴い、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入(システムアップ)とともに、CRユニット「VEGASIA」、情報公開端末「REVOVA」「BiGMO PREMIUM」の販売が前期を上回ったことが主因である。また、サービス売上についても、クラウドチェーン店管理システム「ClarisLink」をリリースし、他の主要サービスも堅調に推移していることから、営業店舗数が減少しているなかでも順調に伸ばすことができた。一方、売上高が期初予想を下回ったのは、第3四半期以降における半導体不足の影響を受け、引き合いが多い一部製品の供給が追い付かなかったことで、販売台数の調整をせざるを得ない状況となったことが理由である。※2022年1月~3月における全機種の稼動状況は前年同期比102.0%と回復傾向にあるが、そのうちパチンコ機については、ファンから高い支持を得るヒット機種が市場投入され、同106.5%と堅調に推移している。一方、パチスロ機については、新たなゲーム性を搭載した6.2号機の納入は増えたものの、同95.1%と厳しい状況が続いている。利益面では、利益率の高い主力製品の伸びやサービス売上の底上げ加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復、コスト削減等により大幅な増益を実現し、セグメント利益率も11.6%と高い水準を確保することができた。(2) 制御システム事業売上高は前期比2.2%減の5,759百万円、セグメント利益は同433.0%増の537百万円と減収ながら大幅な増益となった。期初予想に対しては、「情報システム事業」と同様、売上高が下振れた一方、利益面では上振れて着地した。2022年1月末を設置期限とする「旧規則」機の入れ替えが段階的に実施され、各遊技機メーカーから多くの「新規則」機がリリースされたこともあり、市場全体の遊技機販売台数が増加してきた。そのような環境の下、主力の「表示・制御ユニット」の売上高は、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、事業領域の拡大を目的に新たにパチスロ機の受託製造を開始したことにより前期を上回った。一方で「部品・その他」は伸び悩んだ。利益面でも、期初に実施した組織再編を通じて、開発管理の強化と業務効率向上によるコスト低減に取り組んだことに加え、利益率の高い主力製品が伸びたことや版権の受取配当金の増加により大幅な増益となり、セグメント利益率も9.3%とコロナ禍前(2019年3月期は7.2%)を超える水準を確保することができた。2. 2022年3月期の総括以上から、2022年3月期を総括すると、第3四半期以降に半導体不足の影響を受けたものの、計画を上回る大幅な増益を実現したところは高く評価できる。特に、パチンコホールの設備投資意欲が依然低調に推移するなかでも、抜本的な収益体質の改善を進めながら、徐々に顕在化してきた新たな需要をしっかりと取り込み、収益の底上げにつなげたところは、今後予想される市場活性化に備える意味でもプラスの材料と言えよう。活動面でも、クラウドを活用した新サービスやパチスロ受託開発の開始など、2023年3月期からスタートする新中期経営計画の達成に向けて、足場を固めることができた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:04 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(3):業界になかったものを生み出した数々の実績。ホール経営に対する付加価値を提供 ■企業特長1. 革新的な価値提供による市場開拓型の成長モデルダイコク電機<6430>は、創業以来、常に新たなカテゴリーの製品やサービスを企画・開発することで市場を開拓し、成長を遂げてきた。単に機能性に優れているだけでなく、「データ管理の重要性」と「情報公開の必要性」を提唱し、様々な局面からホール経営に対する付加価値を提供してきたところに同社の強みがある。1974年に発売した「ホールコンピュータ」は、それまで簡易なデータ集計程度だったパチンコホールに対して、「データ管理」に基づく管理手法を提案し、デファクトスタンダードにまで発展させた。その後も、パチンコホールにおける遊技機の稼動情報をファンに提供する情報公開端末「データロボ」など、革新的機能を搭載した「業界初」となる情報機器を相次いで投入しており、ホール経営の効率化やファンの満足度を高める価値提供により、ホールの業績向上に貢献してきた。また、2019年6月にリリースした業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」についても、同社が保有するビッグデータを活用し、AIがデータを自動分析することにより、ホールの業績向上はもとより、人手不足が課題となっているホール経営の効率化・省力化にも大きく貢献するところに特長がある。2. 会員ホールとの強固なネットワークホールコンピュータを基盤とした様々なサービス(MGサービス)を通じて、会員ホールとの強固なネットワークを構築し、業界唯一のプラットフォームにまで進化させてきたところも強みとなっている。1990年より展開してきた「DK-SIS」は、各ホールから日々送られてくる遊技機のデータを分析・加工したうえで、ホール経営に役立つ情報をフィードバックするサービスである。全国の遊技機営業データを元にしたシミュレーションによる予実管理が可能となるとともに、同社にとっても、会員との強固なネットワークは事業基盤の支えとなっている。また、業界のシンクタンク的な役割も担っており、リーディングカンパニーとして同社のブランド力向上にも貢献しているほか、遊技機メーカーへの企画提案・営業活動にも生かされているようだ。2022年3月末現在の会員数は3,303店、管理台数は140万台(管理台数シェア36.8%)となっている。最近では、商圏内で営業する競合ホールの客数・稼動率・占有率・支持率を様々な角度から分析する商圏分析サービス「Market-SIS」の普及に注力しており、人の流れ(ファン動向)を捉え、ホールの集客力に寄与するツールとして高い評価を得ている。さらに2021年には、同社初となるクラウドを用いた新サービス「ClarisLink(クラリスリンク)」(クラウドチェーン店管理システム)をリリースした。3. 安定収益基盤が将来に向けた投資を支える同社の競争力の源泉は、研究開発費をはじめとする将来の成長に向けた積極的な先行投資にある。ここ数年を見ても、次世代ホールコンピュータ(及び周辺機器)の開発や新たなMGサービスなど、今後の成長ドライバーとなる分野に積極的な投資を続けてきた。一方、それを可能としているのは、利益率の高い情報システム事業が収益源(キャッシュカウ)として機能しているからにほかならない。特に、ストック型ビジネスモデルとして推進しているMGサービスが安定収益の柱として育ってきたことから、高水準で推移してきた研究開発費もMGサービスによる安定したセグメント利益の範囲内で賄うことができ、投資リスクを限定してきた。既存事業の収益力の高さと将来の成長に向けた投資のバランスが同社の持続的な価値創造を実現していると考えられる。なお、2018年3月期以降は次世代ホールコンピュータ等への大型投資の一巡などにより、研究開発費も売上高比率3%前後で推移しているが、新中期経営計画においては、戦略の軸となる「クラウド」「スマートパチスロ」などを中心に積極的に研究開発費を投入していく方針(詳細は後述)である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:03 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(2):業界初AIホールコンピュータの推進により、業界トップシェアのさらなる拡大へ ■事業内容ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売を主力として、パチンコ遊技機の表示ユニット及び制御ユニットの開発・製造・販売等も手掛けている。パチンコホールの経営を支えるホールコンピュータのパイオニアとして、データ管理を重視した管理手法の提案や、革新的機能を搭載した周辺機器の投入、業界随一の会員制情報提供サービスなどにより、ホールからの信頼とファンの満足度を高め、業界No.1となる市場シェアを誇ってきた。同社ホールコンピュータの市場シェアは37.1%、特に501台以上の大型店舗における市場シェアは61.4%に上る。事業セグメントは、「情報システム事業」と「制御システム事業」の2つに区分されるが、「情報システム事業」が売上高の75%程度を占めるとともに、ここ数年における同社の安定収益源となっている。1. 情報システム事業パチンコホール内システムの核となる「ホールコンピュータ」を軸に、「景品顧客管理システム」や「情報公開システム」などの周辺機器販売のほか、サーバーを通じてホールコンピュータやWebでの各種サービスを行う「MGサービス」を展開している。業界随一の情報戦略ツールである会員制情報提供サービス「DK-SIS」は、MGサービスの柱である。ホールコンピュータとは、店内に設置してある遊技機の稼動状況や売上データなどを一元管理する経営支援システムである。景品顧客管理システムや情報公開システムなど周辺機器とも連動するほか、MGサービスの基盤となっており、ホールコンピュータの導入時には周辺機器やサービスを一括で販売することができる。2019年6月には、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースした。ホールコンピュータ「CII」以来12年ぶりのリニューアルとなる。「教えてくれるホールコンピュータ」をコンセプトとし、同社が保有するビッグデータを活用し、AIがデータを自動分析することで、ホール経営に最適な「解」を教えてくれるところに特長がある。これまで膨大な時間をかけなければならなかった分析結果をAIが瞬時に導き出し、経験の浅いスタッフでも経験豊富なスタッフ同様の判断ができるようアシストし、人では不可能なビッグデータを活用した予測をAIが行うことで、ホール経営の効率化・省力化、さらには集客力に貢献し、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指している。2. 制御システム事業遊技機メーカー向けに遊技機の表示ユニット及び制御ユニットの開発・製造・販売のほか、遊技機に使用する部品の販売等を行っている。ホールコンピュータメーカーとして長年培った遊技機データ分析のノウハウを生かし、人気機種の傾向分析に基づく企画の提案や人気キャラクターの版権販売など、ユニット製造業者の枠を超え、コンテンツにまで関わる開発パートナーとして機能している。特に、2022年3月期からは、これまで培ったハードとソフトの技術を活用し、パチスロ自社筐体の販売など事業領域の拡大により、パチスロビジネスの本格化を進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:02 注目トピックス 日本株 ダイコク電 Research Memo(1):2022年3月期は増収及び大幅な増益を実現 ■要約1. 事業概要ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示ユニット及び制御ユニットの開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア37.1%を占める。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,303店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場のなかで、大型店舗におけるシェアを伸ばすとともに、継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進している。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への入れ替えなど)を通じて、パチンコホール業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響も重なり、先行き不透明感から業績はしばらく厳しい状況が続いてきた。一方、2022年1月末を設置期限とする「旧規則」機の入替が段階的に実施されると、遊技機市場はパチンコ「新規則」機による活性化の兆しもあり、それに伴って足元業績は回復傾向にある。加えて、2023年3月期後半には「スマート遊技機」の導入も予定されており、いよいよ新たなフェーズを迎えようとしている。2. 2022年3月期決算の概要2022年3月期決算の業績は、売上高は前期比4.5%増の24,390百万円、営業利益は同96.2%増の1,191百万円と増収及び大幅な増益を実現した※。パチンコホールにおける設備投資は、新店や大規模改装工事を控える厳しい状況が続いたものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動とともに、「情報システム事業」の主力製品であるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をはじめ、CRユニット「VEGASIA」、情報公開端末「REVOLA」「BiGMO PREMIUM」の販売が前期を上回ったことや、サービス売上の着実な伸びが増収に寄与した。また「制御システム事業」についても、パチンコ機向けの販売が好調であったことや、パチスロ機の受託製造を開始したことにより、主力の「表示・制御ユニット」が好調に推移した。利益面では、利益率の高い主力製品の伸びに加え、ストック型ビジネスであるMIRAIGATEサービス(以下、MGサービス)の回復、全社的なコスト削減への取り組みにより大幅な営業増益を実現した。※2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、22/3期の各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっている。また、21/3期の各数値については、当該表示方法を反映した組替え後の数値及び前期比を記載している。3. 新たな中期経営計画の公表同社は2021年11月に、2023年3月期からの新中期経営計画(3ヶ年)を公表した。先行き不透明な状況が続いたことから、しばらく中期経営計画の公表を見送ってきたが、このタイミングで公表に踏み切ったのは、2022年2月からの「新規則」機への完全移行、さらには「スマート遊技機」※による新たな時代を迎えるにあたり、遊技機市場やパチンコホールの設備投資の活性化に向けた道筋が見えてきたことが背景にある。すなわち、スマート遊技機の普及に伴う需要を取り込むとともに、引き続きAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を促進するほか、クラウドサーバーを活用したビジネスへの展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームを構築する戦略を掲げている。最終年度である2025年3月期の数値目標として、売上高34,000百万円(3年間の年平均成長率は11.7%)、営業利益2,200百万円(営業利益率6.5%)を目指している。なお、営業利益率が段階的に改善していくのは、MGサービスによるストック型ビジネスが成長の軸となり、収益構造の変化(収益の底上げ)に大きく貢献するためである。※「管理遊技機」(スマートパチンコ)及び「メダルレス遊技機」(スマートパチスロ)のこと。これまでのように玉やメダルに触れることなく遊技することができる。パチンコホールにおける玉やメダルに係わる設備が不要になること、遊技性能が既存の遊技機よりも向上するところなどに特長があり、遊技機メーカー団体(日工組・日電協)が推進していることから、今後の進展が注目されている。4. 2023年3月期の業績予想新中期経営計画の初年度となる2023年3月期については、売上高を前期比6.6%増の26,000百万円、営業利益を同28.6%減の850百万円と見込んでいる。売上高は、パチンコホールにおける設備投資意欲が回復傾向にあることを背景として、「情報システム事業」及び「制御システム事業」がともに伸びる見通しである。ただ、「情報システム事業」については、1) 上期は半導体不足による電子部品等の調達難が継続すること、2) 下期はスマート遊技機が登場し市場が活性化することを前提としており、下期偏重の業績予想となっていることに注意が必要である。利益面では、クラウドやパチスロへの積極的な投資に加え、半導体不足の影響や原材料価格の高騰を保守的に見積もり、営業減益を見込んでいる。■Key Points・2022年3月期は増収及び大幅な増益を実現。厳しい環境が続くなか、主力製品の伸びやMGサービスの回復、収益体質の改善が計画を上回る増益に寄与・2023年3月期からの新中期経営計画を公表。スマート遊技機による新たな時代を迎えるにあたり、クラウドサーバーを活用したビジネス展開(新MGサービスの拡充)により、業界唯一のプラットフォームの構築を目指す・2023年3月期は市場の活性化とともに増収を確保するものの、半導体不足の影響や原材料価格の高騰などを慎重に見積もり、減益予想(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/21 15:01 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(14時台)~ホシデン、ニデックオーケーケーがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [7月21日 14:31 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<1473> DIAMトピ     100460  3372  2879.24% 0.1%<1326> SPDRゴール    96621  3450.2  2700.45% -0.84%<4571> ナノキャリア     7959900  322760  2366.20% 4.62%<3687> Fスターズ      1261400  54100  2231.61% 12.41%<4434> サーバーワークス   532000  42180  1161.26% 18.16%<4170> KaizenPF   1303700  141960  818.36% 7.46%<4814> ネクストウェア    2487800  302020  723.72% -1.97%<2492> インフォMT     5535900  877840  530.63% 13.62%<2840> iFEナ100無   20693  4136.6  400.24% 1.19%<9827> リリカラ       1797600  373640  381.10% 8.75%<7078> INC        348500  76040  358.31% 1.87%<7199> プレミアグループ   183200  41920  337.02% -2.1%<1476> iSJリート     268832  61615.6  336.31% 0.79%<4371> CCT        244300  56820  329.95% 8.97%<1482> iシェアーズ     153572  36080  325.64% -0.05%<4435> カオナビ       125100  29580  322.92% 10.63%<2150> ケアネット      1124800  278540  303.82% 8.92%<4507> 塩野義薬       7993600  2075500  285.14% -7.6%<3487> CREロジ      4852  1381  251.34% 2.92%<4849> エン・ジャパン    789800  230320  242.91% 4.23%<3377> バイク王       393500  115660  240.22% 4.51%<3672> オルトプラス     368400  110140  234.48% 3.06%<6069> Trends     199900  62320  220.76% 7.41%<4418> JDSC       115600  37400  209.09% 6.7%<6205> ニデックオーケーケー  630200  212640  196.37% -1.81%<2631> MXナスダク     61337  20768  195.34% 1.11%<4475> HENNGE     3192800  1098120  190.75% 8.63%<2563> iS500米H    1580460  550308  187.20% 0.2%<4259> エクサウィザーズ   419900  150700  178.63% 5.83%<6804>* ホシデン       549400  202400  171.44% 2.06%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <CS> 2022/07/21 14:44 注目トピックス 日本株 フェローテク---急伸、中国での新工場建設を発表 フェローテク<6890>は急伸。パワー半導体用絶縁放熱基板製造子会社である江蘇富楽華半導体科技股「人偏に分」有限公司において、新工場建設を行うことを決定したと発表。パワー半導体事業は急速な拡大を続けており、新工場建設によって需要の取り込みを図っていく方針。投資金額は約171億円、操業開始予定は2024年1月としている。業容拡大を目指した積極展開をポジティブに捉える動きが優勢となっている。 <YN> 2022/07/21 14:22 注目トピックス 日本株 トヨクモ---次世代型ユーザー管理機能「Toyokumo kintoneApp認証」の利用者数が1万ユーザーを突破 トヨクモ<4058>は20日、サイボウズ<4776>が提供する業務改善プラットフォーム「kintone」と連携する次世代型ユーザー管理機能「Toyokumo kintoneApp認証」の利用者数が、1万ユーザーを突破したと発表した。Toyokumo kintoneApp認証は、トヨクモのkintone連携サービスにアクセスするための認証の仕組みで、Toyokumo kintoneApp認証を利用することで、kintoneのアカウントを持っていない社外の取引先や顧客との情報共有をスムーズに行うことができるという。 <ST> 2022/07/21 14:15 注目トピックス 日本株 フェローテク---急伸、中国での新工場建設を発表 フェローテク<6890>は急伸。パワー半導体用絶縁放熱基板製造子会社である江蘇富楽華半導体科技股「人偏に分」有限公司において、新工場建設を行うことを決定したと発表。パワー半導体事業は急速な拡大を続けており、新工場建設によって需要の取り込みを図っていく方針。投資金額は約171億円、操業開始予定は2024年1月としている。業容拡大を目指した積極展開をポジティブに捉える動きが優勢となっている。 <YN> 2022/07/21 14:11 注目トピックス 日本株 トリプルアイズ---AIZE Biz、ソニービズネットワークスのAKASHIと連携開始 トリプルアイズ<5026>は20日、同社が提供する顔認証AI・AIZE Biz(アイズビズ)が、ソニービズネットワークスが提供するクラウド型勤怠管理システム「AKASHI」とのAPIによるサービス連携を開始したことを発表。AIZE Bizは、事前登録した顔画像を認証して出退勤の打刻を行えるアプリケーション・サービス。出退勤時の記録が一定期間残り、不正な打刻を防止する。タイムカードもPC入力も不要で、テレワークにも対応している。AKASHIは、出勤簿確認や実績修正、各種承認などが簡単に行えるクラウド型勤怠管理サービス。あらゆる法改正や複雑な就業ルールにフレキシブルに対応する。同連携によって、AIZE Bizで顔認証を行った日時情報をAKASHIの出退勤情報として自動登録し、通常の出退勤時刻との差分を集計値として出力することが可能になる。AIZE Bizを利用中の企業は、AKASHIの持つ勤怠管理機能を活用することで、業務効率化と経営改善を進めることができる。 <ST> 2022/07/21 14:09

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