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注目トピックス 日本株 早稲アカ Research Memo(1):「早稲田アカデミー」小学部の塾生数が2ケタ増と好調持続 早稲田アカデミー<4718>(掲載本文)■要約早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」等を直営で展開しており、子会社の(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中学生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営しているほか米国、英国でも日本人子女を対象に進学塾を各1校運営している。2022年3月末のグループ直営校舎数は180校、2022年3月期の期中平均塾生数は4.3万人超となっている。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比12.2%増の28,551百万円、経常利益で同70.9%増の1,841百万円といずれも過去最高を更新する好決算となった。期中平均の塾生数が全体で前年同期比12.0%増と伸長したことが増収要因となり、経常利益率も校舎当たり塾生数の増加により前期実績の4.2%から6.4%に上昇した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続くなかで、私立中学を志望する生徒が増加するなど市場環境として追い風が吹いたことに加えて、「双方向Web授業」と「対面授業」のデュアル形式の学習環境を提供し続けたことや、ICTを活用したサービスの提供にも積極的に取り組んできたことが塾生数の増加につながった。新規開設校は「早稲田アカデミー」で3校、「早稲田アカデミー個別進学館(以下、個別進学館)」で2校、「QUARD」で1校となっている。また、2021年11月に「個別進学館」を共同展開してきた明光ネットワークジャパン<4668>から直営12校とFC事業(16校)を譲受している。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.6%増の31,000百万円、経常利益で同18.2%増の2,176百万円と増収増益が続く見通しである。新規開設校は「早稲田アカデミー」1校、「個別進学館」2校を予定している。期中平均塾生数は前期比10.0%増を計画しており、2022年4月末の塾生数(単体ベース)は前年同期比11.5%増と好調な滑り出しを見せている。なかでも小学部1年生~4年生はいずれの学年も20%以上の伸びを見せており、塾生の早い段階からの取り込みに成功しており、2024年3月期以降の塾生数の増加につながる動きとして注目される。夏期講習の状況も順調に推移するようであれば、2023年3月期も会社計画を上回る業績が期待できそうだ。3. 中期経営計画の上方修正について同社は足元の業績が想定以上のペースで拡大していることを踏まえて、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期の業績目標値を大幅に上方修正した。具体的には売上高を290.8億円から331.7億円に、経常利益を17.1億円から25.5億円に引き上げており、2024年3月期も経常利益で17%増と2ケタ増益が続く見通しだ。また、ROEも12.1%を目標とした。基本方針は従来と変わらず、同社ならではの教育サービスをICTも活用しながら提供し、合格実績戦略を推進することで塾生数を拡大していく。また、現在自社で活用している各種デジタルサービスの外販の可能性についても今後検討していく。同社単独での事業展開となった「個別進学館」については、集団塾の「早稲田アカデミー」と連携をより一層強化し、FCシステムも活用しながら100校体制の早期実現を目指していく。直営校については当面、年間2~3校ペースで新規開校を進めていく意向で、ほかにFC校の展開も予定しており、集団塾の塾生で今まで他社の個別指導塾を併用していた塾生を「個別進学館」で囲い込み、顧客のLTV最大化に取り組んでいく。4. 株主還元策株主還元については、安定的な配当を基本として業績状況と配当性向も勘案しながら利益配分を行っていく方針だ。2023年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の24.0円を予定している。また、株主優待として毎年3月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカード(1,000円相当又はその2倍)を贈呈しているほか、9月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてグループ各社の授業料等に利用可能な株主優待券(5,000円相当又はその2倍)を贈呈している。株主優待も含めた総投資利回りは3年未満保有株主で7.4%、3年以上保有株主で12.7%(2022年5月26日終値1,134円で計算)となる。■Key Points・2022年3月期業績は塾生数の好調な伸びに支えられ大幅増収増益を達成・2023年3月期も小学部を中心に快進撃が続く・中期業績目標を大幅上方修正、2024年3月期も高い利益成長が続く見通し(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <SI> 2022/06/14 16:21 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は大幅に3日続落、東エレクとソフトバンクGが2銘柄で約63円分押し下げ 6月14日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり52銘柄、値下がり171銘柄、変わらず2銘柄となった。日経平均は大幅に3日続落。13日の米株式市場でNYダウは876ドル安と大幅に4日続落。インフレ高進・連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペース加速を警戒する動きが続いた。中国での新型コロナ流行再燃が懸念されたほか、暗号資産市場の急落も投資家心理を悪化させ、売りが加速。ナスダック総合指数も-4.68%と大幅に4日続落し、主要株価指数は揃って年初来安値を更新。米国株安を引き継いで日経平均は431.69円安と大幅下落でスタート。寄り付き直後に一時下げ渋ったが、再び失速すると、前場中ごろには26357.90円(629.54円安)まで下落。午後は時間外取引のナスダック100先物が大きく上げ幅を広げたことが短期筋の買い戻しを誘い、緩やかに下げ幅を縮める展開が続いた。大引けの日経平均は前日比357.58円安の26629.86円となった。東証プライム市場の売買高は12億6090万株、売買代金は3兆0333億円だった。セクターでは空運、精密機器、不動産を筆頭に全般売り優勢。一方、海運と銀行の2業種が上昇した。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の76%、対して値上がり銘柄は21%となった。値下がり寄与トップは東エレク<8035>となり1銘柄で日経平均を約35円押し下げた。同2位はソフトバンクG<9984>となり、第一三共<4568>、KDDI<9433>、日産化<4021>、ネクソン<3659>、ソニーG<6758>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップは信越化<4063>となり1銘柄で日経平均を約3円押し上げた。同2位は太陽誘電<6976>となり、味の素<2802>、村田製<6981>、アドバンテ<6857>、日立建機<6305>、三菱倉<9301>がつづいた。*15:00現在日経平均株価  26629.86(-357.58)値上がり銘柄数  52(寄与度+22.53)値下がり銘柄数 171(寄与度-380.11)変わらず銘柄数  2○値上がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<4063> 信越化        17340           95 +3.34<6976> 太陽誘電       5340           80 +2.81<2802> 味の素         3048           45 +1.58<6981> 村田製         8251           53 +1.49<6857> アドバンテス     7820           20 +1.41<6305> 日立建機       3315           35 +1.23<9301> 三菱倉         3185           50 +0.88<4151> 協和キリン      2871           21 +0.74<9107> 川崎船         9210          170 +0.60<5333> 日本ガイシ      1907           15 +0.53<6762> TDK         4480           5 +0.53<9104> 商船三井       3200           50 +0.53<8331> 千葉銀         740           14 +0.49<8355> 静岡銀         808           14 +0.49<6770> アルプスアル     1491           14 +0.49<7912> 大日印         2870           27 +0.47<9101> 郵船          9660          130 +0.46<6361> 荏原製         5440           60 +0.42<6103> オークマ       5410           60 +0.42<4043> トクヤマ       1802           48 +0.34○値下がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<8035> 東エレク       51710         -1020 -35.85<9984> ソフトバンクG   5033         -132 -27.83<4568> 第一三共       3073         -232 -24.46<9433> KDDI       4402         -102 -21.51<4021> 日産化         6820         -420 -14.76<3659> ネクソン       2972         -178 -12.51<6758> ソニーG       11230         -300 -10.54<4543> テルモ         3905          -73 -10.26<4519> 中外薬         3459          -95 -10.02<7832> バンナムHD     9310         -265 -9.31<6098> リクルートHD   4172          -81 -8.54<4704> トレンド       6720         -240 -8.43<9613> NTTデータ     1849          -43 -7.56<4911> 資生堂         5217         -207 -7.27<6367> ダイキン工     20365         -205 -7.20<9766> コナミHD      8160         -190 -6.68<7203> トヨタ自       2095         -36.5 -6.41<7733> オリンパス     2734.5         -43.5 -6.11<4503> アステラス薬   2024.5         -32.5 -5.71<6954> ファナック     20405         -140 -4.92 <FA> 2022/06/14 16:17 注目トピックス 日本株 DDホールディングス---5月度の月次売上高発表 DDホールディングス<3073>は14日、5月度の月次売上高等前年同月比及び新型コロナウイルス感染症拡大前の2020年2月期同月比、出退店等の店舗状況を発表した。なお、月次売上高等前年同月比及び2020年2月期同月比には連結子会社であるエスエルディー<3223>は含んでいない。全店の前年同月比(カッコ内は2020年2月期同月比)は、売上高は333.2%(67.2%)、客数は220.2%(62.5%)、客単価は151.3%(107.5%)。既存店の前年同月比では、売上高は339.3%(74.3%)、客数は223.5%(70.4%)、客単価は151.8%(105.6%)。飲食事業の既存店前年同月比では、売上高は388.7%(72.6%)、客数は239.1%(71.9%)、客単価は162.5%(101.0%)。アミューズメント事業の既存店前年同月比では、売上高は273.9%(76.6%)、客数は185.7%(66.3%)、客単価は147.5%(115.6%)。ウェディング事業の既存店前年同月比では、売上高は174.9%(99.5%)、客数は232.2%(51.1%)、客単価は75.3%(194.7%)となった。グループ全体の直営店舗数(連結子会社であるエスエルディーを含む)は、1店舗の退店があり、5月末の店舗数は344店舗となった。 <ST> 2022/06/14 16:17 注目トピックス 日本株 フォーシーズHD---ドリームフィリアとの中国での販路拡大に向けた業務提携 フォーシーズHD<3726>は13日、ドリームフィリアと中国における販路拡大に向けて、業務提携の決定を発表。ドリームフィリアより5ヶ年販売計画が提出され、「フェヴリナ」「ファインビジュアル」「エニシングホワイト」の3つのブランドの化粧品・健康食品の販売を行うコミュニケーション・セールス事業の中国における販売計画が2022年9月期から2024年9月期までの期間において約3.20億円としており、2021年9月期の連結売上高に対して10%を超える業績予想となっているため、同社取締役会にて同契約の締結を決議した。本契約の相手先であるドリームフィリアは、Invus Asia Limited The Invus Group,LLC に所属する Director CHRIS JIANG による後方支援により事業活動を行う。CHRIS JIANG は、香港オフィスに所属する Director であり、M&A、資金調達などのさまざまな取引に携わっており、その豊富なネットワークをフルに活用し中国国内における拡販のサポートをすることとなっている。2020年10月に中国の口コミECアプリ「小紅書(RED)」にフェヴリナ旗艦店をオープン。中国の2大SNS「微博(weibo)」「小紅書(RED)」の公式アカウントを開設し、2022年5月末までに約47,000名のフォロワーを獲得している。今回ドリームフィリアにより越境ECでの販売を小紅書(RED)で皮切りに、天猫国際(Tmall)・京東商城(JINDON)において、同社が展開する化粧品の販売を行うこととなったとしている。 <ST> 2022/06/14 16:15 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(8):「超高齢社会における健康寿命の延伸」などに取り組む新ビジネス ■株主優待ピー・ビーシステムズ<4447>は、現状成長を優先すべき企業ということもあり、配当は実施していない。ただし、投資家に企業理解を深めてもらい、中長期的に株式を保有してもらうことを目的として、毎年9月30日現在の株主名簿に記載または記録された株主を対象とする株主優待制度を導入している。保有株式数に応じて、優待内容は変わるが、2021年9月期は以下の通り実施した。なお、Smart Mobile Stand(SMS)及びSystem Hangerは、福岡県の地場企業が金属加工で発生する端材を有効活用して開発したSDGs製品となっており、地域と社会問題への貢献を図る同社の意思が込められている。100株以上1,000株未満で特製カレンダー2冊1,000株以上3,000株未満で特製カレンダー2冊とSmart Mobile Stand(SMS)1個3,000株以上で特製カレンダー2冊とSystem Hanger1個上記は2021年9月期に実施した優待内容であり、内容は今後変更される可能性がある。■SDGs及びESGへの取り組みセキュアクラウドシステム(SCL)事業を通じたSDGs(Sustainable Development Goals)への貢献は、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を中心として成り立っている。同目標は、具体的に言えばインフラ、産業化、イノベーションに関連するテーマだ。外務省資料の言葉を借りて、さらに補足すれば「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」ことだと言えよう。業務システムとデータをクラウドに集約するほか、クラウド中心の高速かつユーザーフレンドリーなデータ活用基盤の全体構築をも支援し、イノベーションの基礎となるビジネスのデジタル化を推進すると同時に、堅牢なサイバーセキュリティを提供し、システム障害はもちろん、現実の災害等の多様なダメージからの迅速なシステム回復能力を形にする。このように同社は、企業におけるシステム面でのインフラを構築すると同時に、どのような危機的状況でも、事業を継続するためのレジリエンスソリューションを提供することを通じて、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献しているということになる。さらに、直近の動向として同社は、九州産業大学とユーエム物産(株)との産学連携チームとして、(株)QTnetの「オープンイノベーションプログラム TSUNAGU2021」に出場し、2022年2月15日に「優秀賞」を受賞したことを公表している。具体的には、九州産業大学スポーツ健康科学科の科学的知見から「VRで身体と脳を活性化させる」アイデアを着想し、「360°VRシアター4DOH」を活用することで、VRを通じて「身体」と「脳」を活性化させる事業企画「e(エレクトロニック) × r(リアル) スポーツ」が高評価を得た(以下、erビジネスと表記)。今回の優秀賞受賞は、日本における重大な社会課題であり、国策として取り組む方針が掲げられている「超高齢社会における健康寿命の延伸」などに対して、4DOHを通じてこれまで同社がアミューズメント分野等で培ってきたVR技術等を活用・進化させることで、シニア市場へ参入することを意味する。erビジネスの新展開によって、健康で生き生きと生活することのできる高齢者を増やし、特にエネルギーが低下しがちな地方の活性化を実現する。ひいては「活力ある日本」の実現に貢献することを目指しており、ESG、特にSocial(社会)に対してインパクトを与える可能性のある中長期的に注目すべき取り組みの1つとなっている。この「erビジネス」と「メタバース事業」が中長期的な同社の成長モメンタム加速の原動力として注目されよう。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:39 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(7):「6つの戦略」推進を通じて成長をさらに加速 ■今後の見通し2. 注力施策ピー・ビーシステムズ<4447>は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業のリード拡大戦略及びエモーショナルシステム(EMO)事業の新市場適応戦略を各3つ、合計6つの戦略として示している。いずれも重要な戦略となっており、その進捗を注視する必要があるものの、ここまでのレポートの中であまり言及していない、エモーショナルシステム(EMO)事業関連に焦点を絞りたい。同事業がコストのみを計画に織り込んでいることは既に述べたが、それは事業成長が見込めないことを示すわけでは一切なく、むしろ中長期的に言えば、事業展開次第で大きな成長可能性を秘めていることを理解しておく必要があるだろう。目先的にはコロナ禍で停滞していた商談の再開とその刈り取りに注力することになると推察されるが、例えば足元で急激に社会の関心が高まっている「メタバース」を1つのきっかけとして、事業展開の方向性が広がる可能性もある。実は、メタバース自体は2021年に入ってにわかに生まれたような最新の概念ではない。しかし、旧Facebookがメタバースへの注力姿勢を示すため、社名を「Meta」に変更したことが大きく影響しているとはいえ、このタイミングで改めてこの概念が注目されているのは、近年「5G」「AI」「NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)」をはじめとする様々な技術革新もあって、これまで以上にメタバースの可能性が拡張していることが背景にある。実際、経済産業省も「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業」の報告書を2021年7月に公表して、市場の拡大に備えて課題点等の洗い出しを行っている。さて、任天堂<7974>の「あつまれ どうぶつの森」や米Epic Gamesの「 Fortnite(フォートナイト)」等がメタバースのイメージの具体例としてメディアをはじめとして、巷では多々取り上げられている。これ自体は特に間違っていないが、あくまで既存のメタバースのレベルから、現段階では多くの人々のイメージが及ばないレベルの仮想空間を実現できる可能性が高まっていることが重要なのだ。従来は「VR(仮想現実)」と「AR(拡張現実)」は、個別具体的に語られてきた。しかし、メタバースという大きな枠組みの中で構想が打ち立てられ、様々に立ちふさがる政治的、経済的、社会的、技術的な諸問題の解決を図りながら、実現に向かっていくことになる。そうした中で、エモーショナルシステム(EMO)事業を通じてVRへの知見と実績を積み上げてきた同社が、メタバースという巨大な波に対して、中長期的にどのように自社を変革し、関わっていくのかという点は見過ごせないポイントであると弊社では考えている。なお、現在同社は、業務システム系のシステム仮想化やクラウド基盤の構築に強みを持っている企業であり、一足飛びでビジネス領域に加えるということは難しいが、メタバースを考えた際には主力事業も絡んで展開する可能性がある。メタバース自体もまだまだこれからという成長領域であることもあって、あくまで現段階では、会社側の動向を見守るほかない状況だが、そういった意味でも2022年9月期は重要な位置付けとなりそうだ。なお、同社は2022年1月1日付で「メタバース推進部」を新たに設置した。同部署は、今後需要が拡大すると想定される「企業向けメタバース」の構築要望に応えるため、有力なパートナー企業との協業体制確立のもと、仮想空間構築用のクラウド基盤設計からVRコンテンツ制作、システム運用までを一貫してサポートする新サービスの立ち上げを目的としている。メタバース推進部長には、「4DOH」シリーズのシステム設計者で、3D映像/音響プログラミング、知覚心理学などのVR技術に精通した技術者が就任した。また、その後も(株)デイ・ソフトウェアと、企業向けのメタバース空間において、既存のNFTのように特定の仮想通貨やブロックチェーンには依存しない、自由度の高い真正性保証システムの実証実験を共同で実施することに合意したと発表している。具体的には、同社が構築する企業向けメタバース空間のプロトタイプを、デイ・ソフトウェアの取引真正性保証ソフトウェア「Pedy」に連携し、企業向けメタバース内で発行されたデジタル商品引換券等を利用した取引や譲渡(=所有権の移転)、その結果に基づく現実世界での実際の商品への引き換えなど、一連の流通経路における真正性の保証機能や実用性などを検証する予定で、既にプロトタイプ構築を開始している。さらに、ANAP<3189>と企業向けのプライベートメタバース空間構築サービスの共同事業開発を開始すると発表した。講演会等のバーチャルイベントからバーチャルオフィスといった企業活動の様々なシーンに対応可能なバーチャル空間を構築し、企業が来訪者に向けて各種サービスを提供できるようサポートする。具体的には、ANAPのもつ店舗設計ノウハウ、ファッション性の高いディスプレイノウハウと、「Meta connect by ANAP」を利用したメタバース向けアイテム生成技術に、同社の感動共有型VRシアター「4DOH」の「実写(360°VR)+CG」による、映像コンテンツの作成、デジタル映像生成テクノロジーを応用することで、企業に適した専用メタバース空間を構築していくことになる。ANAPとの取り組みが爆発的に拡大していくことに期待というよりも、メタバース人材の交流等も含めて共同事業開発を通じて、同社のメタバース事業に対する知見が多角的に蓄積される点が最もポジティブなポイントであると弊社では考えている。上期の決算説明会でも不動産、新聞、観光、旅行、大手(BIG4)コンサルティング会社等、同社のメタバース事業に関する問い合わせが多数届いていることを明かし、会社側も事業展開加速のため、さらなる協業の可能性を探る方針を示しており、本格的な動向はこれからといったところであろう。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:38 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(6):4期連続での最高益更新期待、今後の成長への思惑も膨らむ ■今後の見通し1. 2022年9月期の業績見通しピー・ビーシステムズ<4447>の2022年9月期の業績予想は、期初計画を据え置いており、売上高が2,500百万円、営業利益が266百万円、経常利益が252百万円、当期純利益が176百万円を計画している。会計基準の関係※で単純比較は馴染まないが、実質的に売上高は前年同期比15%増、営業利益も同15%増となる見通しであり、4期連続での最高益更新が期待される。※2022年9月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用している。注目すべきポイントは、以下の2点となる。まず第1に、売上高計上の前倒しに取り組むという点だ。もともと、同社業績に関しては第2四半期及び第4四半期に偏重傾向があったことは既に触れた通り。実際、久留米市ネットワーク強靭化基盤構築及び保守案件などの大型プロジェクトをこなして、上期(2021年10月- 2022年3月)で売上高および営業利益ともに2021年9月期上期の進捗率を上回っている。まずは上期の好調が通期目標達成の必須条件だったため、上期の計画比での上振れ着地は、通期計画の達成に向けてポジティブに評価したい。なお、第3四半期が重要な位置づけであることは間違いないが、同社は2021年9月期において第4四半期に一気に業績を巻き返した実績もあるため、弊社では通期着地に対し安心感を持っている。売上高計上の前倒しは、構造変化への取り組みの端緒であり、2022年9月期のみで判断するというよりも、中長期的に前倒し傾向を実現・維持することができるか否かが要点だ。構造変化を現実のものとすれば、同社の今後の成長余地は一段と高まると弊社では考えている。第2のポイントは、2021年9月期に業績の重しとなったエモーショナルシステム(EMO)事業については、コストのみを計画に織り込んでおり、2桁成長をセキュアクラウドシステム(SCL)事業のみで達成する意欲的な計画となっているという点だ。ちなみに、同社は2021年10月より組織変更を行い、営業組織を一本化して再構築している。併せて、エモーショナルシステム(EMO)系の技術者を普段はセキュアクラウドシステム(SCL)事業に従事させつつ、「4DOH」受注時にはスポット的にエモーショナルシステム(EMO)事業に従事するような、柔軟な動きができる体制にして、効率化も図っている。エモーショナルシステム(EMO)事業についてもコロナ禍の影響で回復が遅れているアミューズメント領域から、産業系や自治体をターゲットに切り替えているため、新規受注が取れなくともレンタル形式での引き合いが徐々に増加してくると弊社では見ている。実際、「4DOH」が1つの目玉となったBOAT RACE 若松におけるキッズチャレンジワールドの集客も非常に好調で目標値を大きく上回ったようであり、魅力という観点では1つの安心感につながる実績となった。DX関連の引き合いは言うまでもないが、Emotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスの提供を新たに開始したことからもわかるように、上期までの状況を見るとサイバーセキュリティに絡んだレジリエンス需要も旺盛である。特に足元では自治体、教育機関、病院といった社会インフラ分野の顧客への営業が好感触のようだ。また、注力施策の1つとしても挙げられている「SaaS事業者へのアプローチ」も重要だ。自営のプライベートクラウド基盤を運用しているSaaS事業者においては、経年によるシステム基盤更新の需要が必然的に発生することになる。同社がSaaS事業者向けのシステム構築を拡大し始めてから5年経過するため、既存顧客のシステム基盤更新需要が望めるほか、見込顧客段階のSaaS事業者のシステム基盤刷新需要も積極的に捉えることが期待されよう。上期までの受注実績には含まれていないものの、第3四半期早々にクラウド基盤構築関係の約7億円を追加受注したことも公表しており、通期計画の達成に向けて順調に進捗している印象である。関東圏での顧客開拓もパートナー企業の拡大とともに順調に進んでいることで、必然的に九州近郊と比較して高度な案件が増加するため、利益率についても向上余地はあると弊社では考えている。懸念点としては、旺盛な需要に対応するリソース(人材)不足が挙げられるので、パートナー企業の一段の拡大や人材採用、MA&といった動きに注目していく必要がある。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:37 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(5):第2四半期単独の営業利益は過去最高を更新 ■業績動向1. 2022年9月期上期の業績動向2022年9月期上期の業績は、売上高が1,128百万円、営業利益が137百万円、経常利益が138百万円、当期純利益が96百万円となった。会計基準の影響※で単純比較は馴染まないが、参考までに見ると売上高は前年同期比17.8%増、営業利益は同42.5%増、経常利益は同43.2%増、当期純利益は同21.3%増となる。また、上期計画比で見ても売上高は7.0%増、営業利益は2.8%増、当期純利益も5.2%増となった。ピー・ビーシステムズ<4447>の収益構造は、もともと第2四半期(1月-3月)と第4四半期(7月-9月)に偏重傾向がある。2021年9月期も同様であり、期初段階で会社側が提示していた通り特に第4四半期の比重が大きかったが、2022年9月期の第1四半期及び第2四半期の実績を見る限り、意識的に取り組んでいる前倒しについては概ね順調と言えそうだ。同社が事業コンセプトとして掲げている「必須のレジリエンス」のさらなる推進を通じて、SaaS事業者や地方公共団体、教育機関の旺盛なクラウド需要への対応及びサイバーセキュリティ関連の需要取り込み(レジリエンス強化構築等)、DXを希求する企業の基幹システム構築等に注力した。東京営業部を起点とした関東圏の営業強化はもちろんのこと、関西の新規顧客開拓等も進めたことで、大幅な増収増益かつ上期計画も上回る好調な業績推移を見せている。※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年9月期の第1四半期の期首から適用している。セキュアクラウドシステム事業の好調さが鮮明2. 2022年9月期上期のセグメント別業績動向2022年9月期上期のセグメント別業績は、セキュアクラウドシステム(SCL)事業の売上高が1,125百万円、セグメント利益153百万円、エモーショナルシステム(EMO)事業の売上高が2百万円、セグメント損失が15百万円となった。単純比較は馴染まないが、セキュアクラウドシステム(SCL)事業は実質的に売上高及びセグメント利益が2桁の伸びとなっているほか、エモーショナルシステム(EMO)事業も小幅ながら損失が縮小している。セキュアクラウドシステム(SCL)事業については、前期に受注した自治体のネットワーク強靭化基盤構築等の案件を着実に進行させたほか、重要な戦略製品と位置付けているDellのDP4400導入を通じた既存顧客のレジリエンス構築案件も順調に増加した。加えて、拡大させているパートナーとの協業を起点として、東京の大手企業の先進的なVDI案件といったように、新規顧客のDX案件を受注する流れが生まれているようだ。さらに、同社はウイングアーク1st<4432>の「Dr.SUM」、ユニリタ<3800>の「Waha!Transformer」などの導入を通じて、DX需要及び「2025年の崖」対策の需要をさらに深く取り込む動きを見せている。例えば、「Waha!Transformer」は既存の基幹系システムから必要なデータを抽出・変換、さらに加工・連携をSQLやプログラミングなしでシームレスにつなぐデータ連携ツールだ。DXを考えた際、本来は基幹システムや業務システム自体がDXという大枠の発想のもとで構築ないし最適化されているべきだが、特に中堅企業等はそういった状況にはないことが大半である。だからこそ、大前提としてのデータ化で多くの企業がつまずくことになる。そういった意味で、既存システムからのデータ抽出及び利活用を可能にする「Waha!Transformer」などのツールは、中堅企業のDXに対して非常に親和性も高いとみられ、同社にとっても導入後の開発案件はもちろん、継続的なフォロー業務につながる可能性もある製品となっている。当然ながら、SaaS事業者におけるクラウド基盤の拡張構築も需要は依然として非常に旺盛で、増収に貢献した。前回レポートでも指摘していた通り、ソリューション自体の高付加価値化傾向に加え、原価低減に対する不断の業務改善が同社では見られており、セグメント営業利益率は期待通り13.6%と前年同期(12.9%)及び前々年同期(13.3%)を上回る高水準に達している点も見逃せない。エモーショナルシステム(EMO)事業については、残念ながらコロナ禍の影響が依然としてアミューズメント領域には強く残っており、主力製品である4DOHの新規受注には至らなかった。そのため、既存施設でのメンテナンスや教育機関のWEB制作等の小型案件の積上げとなったことが背景で実質減収となっている。しかし、第1四半期に受注したBOAT RACE 若松における4DOHイベント運営案件(9百万円)について、コロナ禍に伴いイベント終了日が第3四半期に期ズレしたため、第2四半期の売上高に含まれておらず、受注残として計算されている影響がある点は押さえておく必要がある。なお、期末受注残についても単純比較は馴染まないが、参考までに単純比較するとセキュアクラウドシステム(SCL)事業において前年同期比79.2%増の753百万円と好調な積み上がりになっている。この背景としては、関東圏の同社優良パートナーが増加したことが最大の要因として挙げられるが、その他にも関西圏の優良中堅企業の新規開拓、SaaS事業者の旺盛な需要に伴うクラウド基盤向けソフトウェア販売、クラウド基盤構築の好調などもポイントとなっている。エモーショナルシステム事業についても、前述した通りBOAT RACE 若松における4DOHのイベント運営案件があり受注残高は9百万円、両事業の合計では前年同期比81.3%増の763百万円、上期末の受注残高は過去最高を更新した格好だ。3. 2022年9月期上期の営業地区別売上高上期時点では関東圏及び九州近郊の地区別売上高を会社側は公表していない。しかし、構成比が2021年9月期末段階で関東圏が51%、九州近郊が49%となっていたことを踏まえれば、概ね同水準ないし関東圏が若干伸びている構成比となっていると弊社では予測している。なお、説明会資料の中で新たに公表された情報として、ロイヤルカスタマー(※各種システム投資案件に関して同社が安定的な受注を期待できる、規模感のあるエンドユーザー企業)及びパートナー企業の数が挙げられる。安定的な取引先の確保という意味でロイヤルカスタマーの増加がポジティブである点については言うまでもないが、特に受注増の可能性及び同社の案件対応余力の拡大につながる可能性のあるパートナー企業の増加については今後同社を見る上で重要な情報の1つとなろう。なお、パートナー企業数については2022年3月末時点で3社であったが、2022年5月時点では7社と拡大していることも、関東圏の比率が安定的に推移しているであろうことを裏付ける1つの要因となる。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:36 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(4):国内有数の「仮想化技術企業」として有名海外IT企業からも高い評価 ■強みピー・ビーシステムズ<4447>の社名にある「P」は「Powerful」、「B」は「Beautiful」、つまり力強く美しいシステムを指している。時代の流れに左右されず、可能な限り普遍的で、障害に強いシステムを作りたいという想いをその技術力で現実のものとしつつ、顧客の期待のさらにもう一歩先を考慮したシステム構築(ソリューション提案)を目指すことが創業時からの変わらぬ姿勢だ。そうした品質に対する強いこだわりは、パートナー企業から受けている高い評価からも明らかだ。シトリックス・システムズ・ジャパンから『Citrix Specialist of the Year』として2017年に表彰、さらに『Best of Citrix Advisor Rewards/Net New Partner Sourced Award』を2017年2018年と2年連続で受賞、2020年には国内初の『Technology Excellence Award』も受賞するなど、仮想化技術企業として評価を得ている。Citrixのソリューションアドバイザーは、当初「PLATINUM」をトップとする3ランクで構成されており、当然ながら同社は最高位の「PLATINUM」に位置し続けていた。2021年3月10日付で会社側も発表している通り、現在はさらに上位のレベルとして新設された「PLATINUM PLUS」に伊藤忠テクノソリューションズ<4739>とともに唯一2社のみが本レポート執筆時点で認定されている。「PLATINUM PLUS」は技術面、実績面で従来の最上位レベルだった「PLATINUM」よりも極めて厳しい条件が設けられており、国内において「PLATINUM PLUS」のメンバーとしてCitrixから認定された企業は過去おらず、初めて認定を受けた企業として、業界でも大きな話題になった。なお、米国においても同ランクとして認められているのは、本レポート執筆時点でわずか90社のみの登録となっている。その他、世界的にも知名度の高いMicrosoftやVMware、DELLからも同様に高い評価を受けているほか、国内IT企業とも多数のパートナー関係を構築している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:35 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(3):システムのプライベートクラウド化を核とする ■事業内容1. セキュアクラウドシステム(SCL)事業ピー・ビーシステムズ<4447>の主力事業であるセキュアクラウドシステム(SCL)事業は、一言で表現すればデジタルワーク推進からDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートする。具体的には、単一企業・組織内で利用するクラウドを「プライベートクラウド」と呼ぶが、「システムのプライベートクラウド化」を核として事業を展開している。企業名で言えばCitrix、VMware、DELL、Microsoft等の多様な選択肢の中から、セキュリティ、ストレージ、サーバー等のハードウェア商品及び各種ソフトウェア商品を含め、企業のDX実現の前提となる最適なクラウド基盤の設計・構築・維持を担っている。また、近年大企業でも多数の事例が生じており、強く問題視されているのが「サイバー攻撃」だ。これによって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っていることが同事業の特色の1つとして挙げられるだろう。BtoCで直接サイバーセキュリティ対策製品を開発・提供しているわけではないため、サイバーセキュリティ対策の専門家としての性格がややわかりにくいものの、多種多様な選択肢の中から、基幹システムとの整合性なども踏まえて、顧客にとって最適な提案を行うことができるのは、独立系のSIerである同社の強みだ。なお、同社は売上高100億円~500億円規模の中堅企業をメインターゲットとしてビジネスを展開しており、近年は公共(自治体や各種団体等)領域での引き合いも増加している。同事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3区分で構成されている。用途の可能性が拡大する「4DOH」2. エモーショナルシステム(EMO)事業エモーショナルシステム(EMO)事業は、360度スクリーンに3D映像を切れ目なく表示する特許(特許第4166260号:立体映像の投影方法及び立体映像の投影装置)をもとにした、没入感の高いVR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売する事業だ。2022年3月末現在、「4DOH」シリーズの常設設置箇所は遊園地を中心として、国内12箇所、海外1箇所、計13箇所(一般向けに利用公開されていない企業及び研究機関の国内設置先2箇所を含まず)。2020年には視聴者の操作により上映中の映像のストーリー分岐等を行うことができるインタラクティブ機能を追加した「i4DOH」、コロナ禍で向き合うことになったニューノーマル社会においても利用できるよう、少人数向けに小型化し換気性能を強化した「i4DOH:ATOM」をそれぞれ販売開始した。2020年12月には有明ガーデンクリスマスのイベント、2021年2月にはKBC(九州朝日放送)の全国ネット特別番組「羽鳥×指原 みんなの夢アワード まとめてかなえちゃう!SP」にて「i4DOH」が使用されるなど、コロナ禍という極度の逆風下でも、同製品が提供するサービスの魅力がフックとなることによって、関心が集まっている。その他、4DOHにおいて上映するコンテンツ制作も行っており、例えば有名IPとしては、2017年3月の「ウルトラマンゼロ Another Battle ~光と力~」を皮切りに、「頭文字D project VR -疾駆-」、「新幹線変形ロボ シンカリオン360°ザ・ムービー」を手掛けている。同社の代表取締役社長である冨田氏がアニメ・漫画コンテンツに対して広く知見を有していることも、事業展開にはポジティブに作用するだろう。「4DOH」については、もともと遊園地を中心としたアトラクション需要がメインだったものの、博物館や科学館での利用を皮切りに、可能性が拡大している。地方創生のツール、介護医療及びスポーツ分野への活用、防災・工場見学をはじめとした様々な用途に対応するシミュレーターとしての利用も検討されるなど、引き合いが広がりつつあったタイミングでコロナ禍が直撃してしまった。そのため、これまでの軌跡や足元の状況というよりも、アフターコロナでの需要の具体化に注目が集まる事業という位置付けとなっている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:34 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(2):システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強みの独立系SIer ■ピー・ビーシステムズ<4447>の会社概要1. 事業概要中堅企業をメインターゲットとしつつ、SaaS事業者、公共団体向けに各種情報システムを構築する、システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強みの福岡を地盤とする独立系SIerである。身近なところではデジタルワーク推進から、サイバーセキュリティに絡んだレジリエンス構築やDXの実現までをクラウド技術力でトータルにサポートするセキュアクラウドシステム(SCL)事業を中核とする。VR空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売するエモーショナルシステム(EMO)事業との2軸構成でビジネスを推進しているが、新たにメタバース事業を育成中である。2. 経営理念「勇者たらんと。」小さな僕等が持ち得るものは、一人一人の知恵と勇気と、諦めない強い心だけだ。どんな時でも、「その一歩」が踏み出せるように。勇者たらんと。業務効率化を目的とした際、手軽で一定のレベルが担保されている汎用パッケージシステムをクラウド上で利用する方向に企業は進んでいく。しかし、単純にそうした対応を取れば、個々の企業の独自の経営ノウハウ、技術、文化(生産方法や営業手法、経営管理方法、顧客サービス手法等)を反映させることはできない。そういった「競争力」と「最新技術」を取り入れながら最適なシステムを構築・運用していくことは、理想である反面、実際は簡単ではないのが現実だ。同社は、その道がたとえ困難であっても、一歩踏み出す勇気を持つことを企業ポリシーとしている。技術と実績を磨き続け、卓抜した存在に成長3. 沿革同社は、現代表取締役社長である野村コンピュータシステム(株)(現 野村総合研究所<4307>)出身の冨田和久(とみたかずひさ)氏が1997年2月に創業した。2004年4月にはシトリックス・システムズ・ジャパン(株)と、シトリックス・ソリューション・アドバイザー/プラチナ契約を締結して、技術と実績を磨き続け、シトリックスソリューションを筆頭に、システム仮想化やクラウド基盤の構築等において、卓抜した存在に成長している。また、2010年12月にはエモーショナルシステム(EMO)事業を開始した。その後、2019年9月に福岡証券取引所Q-Boardに株式を上場すると、2020年に株主優待制度を導入、東京営業部も設置するなど、今後のステップアップを見据えて、順調に上場企業として成長を続けている。サイバー攻撃被害の急増はビジネスチャンス4. 事業環境まず、同社の主力事業であるセキュアクラウドシステム(SCL)事業が対象としているクラウドサービス市場について概観しておく。令和3年版情報通信白書によれば、2020年の世界のクラウドサービス市場規模は約37兆円(3,281億米ドル)だ。詳細を見ていくと、アジア太平洋地域が約9兆円(782億米ドル)となっている。また、中国情報通信研究院のCloud Computing White Paperによれば、中国の2020年における同市場は約3.5兆円(2,091億元)とされており、これを鑑みると日本国内のクラウドサービス市場は概ね2兆円後半レベルと推定でき、非常に大きな市場が広がっていることがわかる。また、令和3年版情報通信白書には2023年までの同市場の推計値まで記載があり、各地域で成長が続くことで、全体としては約66兆円(5,883億米ドル)まで拡大が見込まれている(アジア太平洋地域は約15兆円(1,357億米ドル))。アジアにおいては、中国の爆発的な成長が中心となることは想定内だが、日本についても成長性が豊富であることは疑いようがなく、基本的に良好な成長市場であると弊社は見ている。また、サイバー攻撃(サイバーセキュリティ)の状況についても確認する。同社は直接コンピューターウイルス対策製品などを手掛けているわけではない。しかし、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、令和3年版の情報通信白書によれば、2020年で68.7%であり、2016年の46.9%と比較して、利用率が年々拡大していることが明らかだ。このように、ビジネスにおけるクラウドの重要性が増すと同時に、サービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増しているというわけだ。実際、サイバー攻撃の状況がどのようになっているのかを国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)がまとめた「NICTER 観測レポート 2021」を参考に見ておく。同レポートでは、「1IPアドレスあたりの年間総観測パケット数」をインターネットにおけるサイバー攻撃関連活動の活発さを表す指標として考えている。この数値を見ると、クラウドサービスの状況を確認した際に情報通信白書で見た2016年では約52万パケットが観測されていたが、2021年には約174万パケット、つまり約3.3倍の数値となっており、サイバー攻撃が近年どれだけ活発化しているのかが一目瞭然だ。実際、上場企業も多数サイバー攻撃のターゲットとなり、多くの被害が報告されている。こうした状況の中、サイバー攻撃はもちろん、自然災害や事故等によって引き起こされるシステム障害からの回復力、システム自体の強靭化、つまり「レジリエンス」に対する実務レベルでの深い知見と豊富な実績を持っている同社を巡る事業環境は近年良好さを増しつつある。なお、同社はこうした状況を踏まえて2022年にEmotet対策・サイバーレジリエンス構築サービスの提供を開始している。最後に簡単にメタバース市場に触れておきたい。米国ではより顕著だが、国内においても既に巨額の投資資金がメタバース関連の領域に流入していることは明白だ。足元で社会的な関心が急激に高まっていることもあり、各調査会社が市場規模を推計しているが、いずれを見ても超巨大市場に成長することを示唆している。なお、同社のメタバース市場への関わりについては、本レポート「今後見通し」の「2. 注力施策」を参照されたい。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:33 注目トピックス 日本株 PBシステムズ Research Memo(1):DX案件等の引き合い強まり、上期業績は前年同期実績、上期計画比でも順調 ■要約1. サイバーセキュリティに絡んだ「レジリエンス」や「DX」需要を捉える企業ピー・ビーシステムズ<4447>は、中堅企業をメインターゲットとしつつ、SaaS事業者、公共団体向けに各種情報システムを構築する、システム仮想化技術に精通したクラウド基盤構築力が強みの福岡を地盤とする独立系SIerである。身近なところではデジタルワーク推進から、サイバーセキュリティに絡んだレジリエンス構築やDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現までをクラウド技術力でトータルにサポートするセキュアクラウドシステム(SCL)事業を中核とする。VR(仮想現実)空間を生み出す、体験共有型VRシアター「4DOH」シリーズを製造販売するエモーショナルシステム(EMO)事業との2軸構成でビジネスを推進しているが、新たにメタバース事業を育成中である。国内クラウドサービス市場及び特に同社が強みを持つプライベートクラウド市場については、いずれも良好な成長市場であると一般的にも位置付けられている。また、クラウドサービスの利用拡大に伴って、サービスの安定的な稼働、つまりセキュリティに気を配った基盤構築の必要性が不可避的に増している中で、高度な技術力を持つ同社の活躍の場が広がっている。2. DX案件等の引き合い強まり、上期業績は前年同期実績、上期計画比でも順調な着地2021年9月期上期の業績は、売上高が1,128百万円、営業利益が137百万円、経常利益が138百万円、当期純利益が96百万円となった。会計基準の影響※で単純比較は馴染まないが、参考までに見ると売上高は前年同期比17.8%増、営業利益は同42.5%増、経常利益は同43.2%増、当期純利益は同21.3%増となった。また、上期計画比で見ても順調な着地となっている。前期に受注した自治体のネットワーク強靭化基盤構築等の案件を着実に進行させたほか、重要な戦略製品と位置付けているDellのDP4400導入を通じた既存顧客のレジリエンス構築案件も順調に推移した。加えて、拡大させているパートナーとの協業を起点として、東京の大手企業の先進的なVDI(Virtual Desktop Infrastructure=デスクトップ仮想化)案件といったように、新規顧客のDX案件を受注する流れが生まれている。※2022年9月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているため、対前期増減率は記載なし。3. 4期連続での最高益更新期待、今後の成長への思惑も膨らむ2022年9月期の業績予想は、期初計画を据え置いており、売上高が2,500百万円、営業利益が266百万円、経常利益が252百万円、当期純利益が176百万円を計画している。会計基準の関係※で単純比較は馴染まないが、実質的に売上高は前年同期比15%増、営業利益も同15%増となる見通しであり、4期連続での最高益更新が期待される。DX関連の引き合いは言うまでもないが、Emotet(エモテット)対策・サイバーレジリエンス構築サービスの提供を新たに開始したことからもわかるように、上期までの状況を見るとサイバーセキュリティに絡んだレジリエンス需要も旺盛である。特に足元では自治体、教育機関、病院といった社会インフラ分野の顧客への営業が好感触のようだ。上期までの受注実績には含まれていないものの、第3四半期早々にクラウド基盤構築関係の約7億円の追加受注があったことも公表しており、通期計画の達成に向けて順調に進捗している印象である。上期の決算説明会では不動産、新聞、観光、旅行、大手(BIG4)コンサルティング会社等、同社とのメタバースに関する問い合わせが多数届いていることを明かしており、今後への期待感も改めて高まる。※2022年9月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用している。■Key Points・「サイバーセキュリティ」「レジリエンス」「DX」需要は年々重要性を増している・主力事業のみで4期連続での最高益更新を達成する意欲的な計画・不動産、新聞、観光、旅行、大手(BIG4)コンサルティング会社等、同社のメタバース事業に関する問い合わせ多数(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一) <FA> 2022/06/14 15:32 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(8):2022年3月期は前期比85.0円増配の年間165.0円配当を実施 ■株主還元策酒井重工業<6358>は、長期にわたり安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、配当についても安定的な配当の継続を重視し、業績と健全な財務体質に裏付けられた成果の配分を基本方針とし、配当政策と自己株式の取得を行っている。既述のとおり、中期的な株主還元方針としては、ROE3%未満の場合は配当性向100%、ROE3%~6%の間はDOE3%、ROE6%超の場合は配当性向50%の還元を行うとしている。また、自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式取得を行うと発表している。上記の配当政策に基づき、配当については2022年3月期に年間165.0円(配当性向49.0%)を実施し、2023年3月期については年間165.0円(予想配当性向73.6%)が予定されている。また、自己株式の取得については2022年3月期に130,000株(340百万円)を行ったが、2023年3月期は現時点では未定としている。このように、ROEの改善に向けて明白な方針を発表し、それに沿った株主還元策を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言え、今後の株主還元策にも注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:28 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(7):2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円を目指す ■中長期の成長戦略酒井重工業<6358>は2021年6月に、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針である。また、定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE4%)を維持することを目指す。なお、売上高が初年度にして計画を上回るペースで進捗するなどしているが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。1. 事業戦略(1) 国内市場:安定化及び次世代事業開発による付加価値創造ロードローラの国内市場は既に成熟期にあることに加えて同社のシェアも高いことから、既存製品に新たな付加価値(高機能等)を付けること、つまり次世代事業開発による成長を目指す。具体的には以下のような展開を図る計画だ。a) 安全性の点から、緊急ブレーキ搭載機種の水平展開を推進する。作業中の建機の進行方向に人や障害物がある場合に緊急停止する機能について、国内主要機種へのオプション設定は完了(緊急ブレーキ装着率は中型ローラで約3割)しており、今後は海外市場へ水平展開していく方針である。b) 転圧管理システム(CCV付)による締固め品質の向上を目指す。工事管理者と現場をリモートで繋ぎ、リアルタイムで締固め品質の確認と管理(転圧回数等)を可能にした。国土交通省ICT路盤施工で加速度応答法による管理が要領化される予定。c) 自律式(無人)走行ローラの製品化により生産性向上を目指す。自動操縦標準機開発プロジェクトにおいて複数ゼネコンとの現場実装試験を通じた製品化を推進する。具体的には、無人施工により安全な施工現場、効率的な締固め作業による生産性の向上、オペレーターの技量によらない品質の安定化と向上を目指す。(2) 海外市場:シェア拡大と事業領域の拡大海外市場においては、需要が拡大している地域(国)も多いこと、また同社のシェアも低いことから成長の余地は大きい。このため、既存市場の深耕と事業領域の拡大の2つの戦略により、道路維持補修機械を海外市場に展開することで成長を目指す。a) 東南アジア市場では、市場深耕及び製品領域拡大を目指す。具体的には、2019年に新工場が稼働したインドネシア拠点を販売・製造・サービスの中核拠点としてインドネシア国内及びASEANにおける市場活動の深堀を進める。b) 北米市場では、市場シェア拡大を目指し、北米流通戦略強化とシェア拡大政策を推進する。具体的には、ランチェスター・ブルーオーシャン戦略を基本としたニッチマーケティング戦略と、舗装品質向上に焦点を絞った技術営業によって、シェア拡大を目指す。c) 海外事業領域の拡大を目指し、ASEAN市場やODAなどにおける道路維持補修機械の市場開拓政策を推進する。(3) 定量的目標数値目標としては、2024年3月期に売上高265億円、営業利益20億円、ROE5.5%、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す。2022年3月期の進捗状況としては、売上高は中期経営計画初年度にして計画を上回るペースで進捗している。一方、営業利益については、エネルギー・部材価格の構造的上昇や物流費高騰による収益構造の悪化に対して営業利益率の改善ペースが遅れており、価格改定及びコスト低減による収益構造改革を推進している。ROEについては、米国子会社の繰延税金資産381百万円を計上したことにより6.3%を達成したものの、一過性の税効果会計上の利益であることから、引き続き収益構造改革を進めていく。2. 資本戦略資本政策の基本方針として同社は、ROE8%を目標としてそれを支えるための株主還元を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8%かつ配当性向50%、すなわちDOE4%を掲げている。一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3%~6%の間はDOE3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針である。自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を行うとしている。また、投資有価証券についても、事業戦略観点からの見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、資本収益性(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:27 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(6):世界の建設機械需要は底堅い回復基調にあることから前期比8.4%営業増益を見込む ■今後の見通し● 2023年3月期の業績見通し酒井重工業<6358>の2023年3月期の連結業績は、売上高で29,300百万円(前期比10.2%増)、営業利益で1,500百万円(同8.4%増)、経常利益で1,450百万円(同3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で950百万円(同33.4%減)を見込んでいる。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が減益となるのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅い回復基調であるものの、エネルギー・部材価格のさらなる上昇やサプライチェーン再編圧力の高まりに加え、中国上海でのロックダウンの影響(2022年6月1日に外出制限は事実上解除)、ロシア・ウクライナ情勢の見通しなど不透明な要因も多いことから、営業利益率は前期比0.1ポイント低下する予想となっている。同社では、価格改定とコスト低減、製品供給力強化による収益構造改革を推進することで達成を目指す。同社は「今後、四半期決算を開示する時点で必要に応じて修正を行っていく」と述べており、今後の展開を注視する必要があるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:26 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(5):財務基盤は安定、手元の現金及び預金は7,993百万円と豊富 ■酒井重工業<6358>の業績動向3. 財務状況2022年3月期末の財務状況について、流動資産は前期末比2,148百万円増の25,075百万円となったが、主に現金及び預金の増加1,009百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の増加578百万円、棚卸資産の増加157百万円などによる。固定資産は前期末比609百万円増の12,782百万円となったが、主に設備投資による有形固定資産の増加259百万円、投資その他の資産の増加427百万円などによる。この結果、資産合計は前期末比2,757百万円増の37,858百万円となった。一方で、負債合計は前期末比1,634百万円増の14,697百万円となったが、主に流動負債のうち買掛債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の増加1,278百万円、短期借入金の増加582百万円、固定負債のうち長期借入金の減少410百万円、繰延税金負債の減少80百万円などによる。純資産合計は前期末比1,123百万円増の23,161百万円となったが、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加959百万円、その他有価証券評価差額金の減少168百万円などによる。この結果、2022年3月期末の自己資本比率は61.1%(前期末は62.7%)となった。同社ではバランスシートのスリム化に注力してきたが、その成果として2022年3月期末の正味運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は前期末比5.3%減(同542百万円減)の9,779百万円となった。主に棚卸資産の効率化を進めたことで、連結売上高が前期比23.0%増ながらも棚卸資産は前期末比157百万円増の7,207百万円に抑制できた。この結果、売上高/棚卸資産回転数は、前期末比0.62回改善して年間3.69回に向上した。4. キャッシュ・フローの状況2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,359百万円の収入となった。主な収入は、税金等調整前当期純利益の計上1,470百万円、減価償却費680百万円、棚卸資産の減少237百万円、仕入債務の増加1,103百万円などで、主な支出は、売上債権の増加369百万円などとなっている。投資活動によるキャッシュ・フローは263百万円の支出となったが、主に有形固定資産の取得258百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは1,227百万円の支出となったが、主な支出は長短借入金の減少(ネット)267百万円、自己株式の取得341百万円、配当金の支払額468百万円などとなっている。この結果、現金及び現金同等物は前期末比1,079百万円の増加となり、現金及び現金同等物の期末残高は7,926百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:25 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(4):国内外市場ともに需要回復が進み、2022年3月期は大幅営業増益 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要酒井重工業<6358>の2022年3月期の連結業績は、売上高が26,599百万円(前期比23.0%増)、営業利益が1,383百万円(同97.3%増)、経常利益が1,407百万円(同113.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,427百万円(前期は4百万円の利益)となった。売上高については、中国で微減となったものの、それ以外は国内を含めて各地域とも増収となった。特に前期にコロナ禍の影響を受け減収となった北米とアジアが大きく回復した。売上総利益率は24.1%となり、前期比0.9ポイント低下したが、これは原材料費及び物流費の上昇等による。ただし、原価率の上昇は当初の見込みよりは下回った。販管費は、行動制約から事業活動再開に伴い前期比6.7%増となったが、増収に伴う売上総利益の増加(同18.5%増)により、最終的に営業利益は大幅増益となった。さらに、北米事業子会社において繰延税金資産381百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で大きく拡大した。営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が1,244百万円、原価率の上昇による減益が245百万円、販管費の増加による減益が316百万円であった。また販管費増の内訳は、人件費の増加83百万円、運送費の増加85百万円、技術研究費の増加76百万円、その他費用の増加73百万円であった。2. 地域区分別の動向国内では、国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木工事などの公共投資関係が比較的堅調に推移した結果、売上高は14,292百万円(前期比9.6%増)となった。海外では、主要な市場での建機需要の回復が進んだことから、売上高は12,306百万円(同43.4%増)となった。このうち北米は、コロナ禍からの回復によりインフラ工事が増加したことに加え、シェアアップを目指して行ってきた営業活動の成果もあり、売上高は5,039百万円(同55.3%増)と大幅に増加した。アジアでは、好調なベトナム、タイなどのインドシナ市場に加え、停滞していたインドネシア市場でも需要回復が進んだ結果、売上高は6,492百万円(同33.7%増)となった。その他は中南米、大洋州、アフリカともに回復基調で、売上高は731百万円(同62.7%増)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:24 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(3):高付加価値化と海外シェアの拡大で成長を図る ■事業概要1. 事業内容酒井重工業<6358>の主たる事業は、道路舗装などに使われるロードローラの製造・販売で、ロードローラ関連が売上高の約95%を占める。また、「道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献する」を企業理念に掲げている。一口でロードローラと言っても、能力や大きさなどは多岐にわたっている。同社の製品数はプラットフォームだけでも20種ほどあり、これにバリエーションを加えた最終製品数は70~80種に及ぶ。大きさも約1トンから20トン(大型土木向け)と幅広い。中心の価格帯は500万円(中型ローラ)~1,000万円(大型ローラ)だが、ロードカッタなど数千万円するものもある。なお、生産は見込み生産であり、受注生産は行っていない。製品の耐用年数は20~30年であるが、ここまで使い切る顧客は少なく、多くの場合は法定償却(7~10年)後に買い換え需要が発生する。また、償却済み機材の多くは中古品として海外(特に発展途上国)へ転売される。2022年3月期の地域区分別売上高※は、国内14,292百万円(売上高比率53.7%)、北米5,039百万円(同18.9%)、アジア6,492百万円(同24.4%)、中近東・ロシアCIS44百万円(同0.2%)、その他731百万円(同2.8%)となっている。※「地域区分別売上高」とは、顧客向けに実際に販売された金額であり、決算短信での報告セグメントである「所在地別売上高」とは異なる。主な販売先は、国内では約70%が建機レンタル会社(カナモト<9678>、西尾レントオール<9699>等)向け、残り30%がエンドユーザー(大手や中小のゼネコン、道路工事会社等)向けとなっている。エンドユーザー向けには、与信管理の関係からファイナンス会社経由のものも含まれる。海外では、主に代理店経由でエンドユーザーに販売されるが、北米では一部がレンタル会社経由となっている。2. 特色、強み既述のように同社はロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーであるが、以下のような特色や強みを持っている。(1) 専業メーカーとしての長い歴史同社の最大の特色(強み)は、ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとしての長い歴史であろう。言い換えれば、選択と集中によるグローバルニッチ戦略によって専門性を高め、独自の技術を蓄積してきたことだ。この長い歴史と経験によって、下記のような技術力や信用力を高めてきた。(2) 技術力単に「道路を固める、舗装する」と言っても、それぞれの土地や土質、土壌などによって必要な圧力・回転力等(締固め技術)は異なる。そのため、工事会社はそれぞれの工事現場(地盤等)に合った異なる種類のロードローラが必要な場合も多い。同社によると、ローラの施工機能自体が、道路や盛土の最終品質(密度、平坦性、寿命)を決定付けるとのことで、一般的には、転圧密度が1%上がると道路寿命が10%延長されると言われているようだ。そのため工事発注者・施工者にとっては、ロードローラの価格だけでなく、製品品質(性能)も非常に重要な要素となっている。同社は、長い間ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとして歩んできたことから、この「締固め技術」については高い技術力を誇っており、同業他社が追い付くことは容易ではない。同社の技術力を一言で言えば、「モノとコトの知見」である。すなわち、工事全体を俯瞰したエンジニアリング力と多様な材料への対応力である。具体的には、タイヤによる揉みこみ、縦振動による転圧力UP、横振動によるすり付け、垂直振動による厚層転圧、タイヤ振動によるさらなる高密度転圧、高周波振動による難転圧問題解消等、各種技術の組み合わせにより施工品質と施工効率の向上を可能にしている。同社の技術力の高さについての一例としては、「機械的振動技術」と「その防振技術」の関係制御力が挙げられる。ロードローラにおいて、施工機能を高める重要な手段が各種の機械的振動であるが、一方でこの振動自体が機械故障の原因となり、さらにはオペレーターの居住性に大きく影響する。したがって、振動締固め力強化と機械品質の相反する関係を制御する力(技術)が重要であり、これは短期間で蓄積できるものではない。(3) 信用力経験工学と実績に裏付けられた信用力も同社の強みだ。地下の締固め品質を確保する技術についてはブラックボックスであり、後発メーカーや非専業メーカーが容易に真似できるものではない。例えば、高温で運ばれてくるアスファルト合材は限られた時間のなかで施工する必要があることに加え、施工不良の場合は再施工という大きな代償を伴う。また、道路や盛土の施工品質問題の発生は遅効性があり、完工時の締固め品質はブラックボックスになる傾向にある。このような経験工学は、長年使い慣れたブランドと様々な現場経験による長年の知見が強みとなっており、これらの点が多くの顧客から信頼を得ている。3. シェア及び競合(一社)日本建設機械工業会のデータによれば、2021年度の国内建設機械出荷額は2.9兆円、このうち同社の主要製品であるロードローラ等の道路機械は2.6%となっている。この道路機械市場で、同社のシェアは70%超とトップメーカーとなっている。競合先としては日立建機<6305>などがあるが、いずれも専業メーカーではない。また、海外メーカーも一部進出しているものの存在感は薄い。したがって、国内においては、市場の浮沈がそのまま同社の業績につながっているとも言える。世界市場(海外市場)では、正確な統計がないものの、同社のシェア(生産台数ベース)は5~6%と推定される。ただし、これは全世界をベースにしたもので、同社が主戦場としている日本、ASEAN、北米の市場に限ればシェアは20%程度のようだ。なお、世界市場での主な競合はCaterpillar、FAYAT SAS、Deere&Company、Volvo Personvagnar ABなどであるが、ロードローラの専業メーカーは見当たらない。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:23 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(2):国内シェア70%超を誇るロードローラのトップメーカー ■会社概要酒井重工業<6358>の歴史は古く、1918年に創業者である酒井金之助(さかいきんのすけ)によって設立された。当初は、自動車、内燃機関車及び蒸気機関車の部品製造並びに修理を行っていたが、1927年に機関車の製造を開始したことに続き、1929年には道路転圧用各種ロードローラの製造を開始した。以来、道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとしての道を歩み続け、現在では国内シェア70%超を誇るトップメーカーとなっている。また1970年にはインドネシアに合弁会社を設立するなど、早くから海外展開を進めている。2022年3月期末現在、国内子会社4社、海外子会社5社(米国、中国、インドネシア3社)を有している。株式については、1964年に東京証券取引所市場第2部に上場、その後1981年に同市場第1部に指定替えされ、2022年4月からの同市場再編に伴いプライム市場へ移行した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:22 注目トピックス 日本株 酒井重 Research Memo(1):国内外市場ともに需要回復が進み、2022年3月期は大幅営業増益 ■要約酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績※は、売上高が26,599百万円(前期比23.0%増)、営業利益が1,383百万円(同97.3%増)、経常利益が1,407百万円(同113.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,427百万円(前期は4百万円の利益)となった。北米事業子会社において繰延税金資産381百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で大きく拡大した。売上高については、国内は国土強靭化加速化対策を背景に好調に推移した。海外では、中国は中国市場が停滞する中で国内販売が伸び悩み横ばいであったが、前期に新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ禍)の影響を受けた北米やその他地域は大きく回復した。販管費は、行動制約から事業活動再開に伴い前期比で増加したが、増収に伴う売上総利益の増加(前期比18.5%増)により営業利益は大幅増益となった。※2022年3月期の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているが、2022年3月期に与える影響はない。また、前期は非適用の数値である。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績は、売上高で29,300百万円(前期比10.2%増)、営業利益で1,500百万円(同8.4%増)、経常利益で1,450百万円(同3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で950百万円(同33.4%減)を見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益が減益となるのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅い回復基調であるものの、部材価格のさらなる上昇やサプライチェーン再編圧力の高まりに加え、中国上海でのロックダウンの影響(2022年6月1日に外出制限は事実上解除)、ロシア・ウクライナ情勢の見通しなど不透明な要因も多いことから、営業利益率は前期比0.1ポイント低下する予想となっている。3. 中長期の成長戦略同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE(株主資本配当率)4%)を維持することを目指す。売上高が初年度にして計画を上回るペースで進捗するなどしているが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。配当については、2022年3月期に年間165.0円(配当性向49.0%)を実施し、進行中の2023年3月期も年間配当165.0円(配当性向73.6%)が予定されている。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。■Key Points・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る・国内外市場ともに需要回復が進み、2022年3月期は大幅営業増益。2023年3月期も前期比8.4%営業増益を予想・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <YM> 2022/06/14 15:21 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(10):配当性向の目安を30%から50%に引き上げ ■株主還元策とSDGsの取り組みについて1. 株主還元策株主還元方針についてジャパンベストレスキューシステム<2453>は従来、配当性向で30%以上を目安としてきたが、2022年9月期より50%に引き上げることを2022年2月に発表した。これにより2022年9月期の1株当たり配当金は前期比1.0円増配の18.0円(配当性向50.5%)となる予定だ。今後も利益成長が続けば増配が期待できることになる。また、株主優待制度についても変更した。従来は3月末のすべての株主に対して、同社がオフィシャルスポンサーとなっているキッザニア(子供向けの職業体験型テーマパーク)の優待券を1枚(最大19名まで利用可)贈呈していたが、2022年3月末より100株以上保有の株主に対して、キッザニア優待券2枚を贈呈することとした。2. SDGsの取り組みについて同社はSDGsの取り組みとして、顧客とともに提携先も巻き込み、誰一人取り残さない社会の実現を目指していくことを方針に掲げている。「困っている人を助ける!」を経営理念としている同社にとっては、事業成長そのものが持続可能な社会の構築に貢献しているとも言える。SDGsで掲げられている17の目標のなかでも特に、17番目に掲げられている「パートナーシップで目標を達成しよう」を上位概念として捉え、提携拡大を通じて地方創生の推進や、新たな産業基盤の構築に取り組んでいく考えだ。また、「困っている人を助ける!」の経営理念に基づき、2022年3月にウクライナ避難民に対して、安心して豊かな生活を送る支援を実施すべく、生活トラブル解決サービス等の無償提供を行うことを発表している。ESGの視点での取り組みとして、環境面では紙使用量の削減や駆けつけサービスにおける出動の効率化による省エネ化とサービス品質の両立を図っているほか、環境保全団体への支援として、社内に寄付型自動販売機を設置している。社会面では、少子高齢化社会への対応に関連して高齢者見守りサービスの提供を開始したほか、高齢化で縮小リスクのある施工パートナーの維持・拡大に取り組んでいる。また、ワークライフバランスの推進により働きがいのある職場づくりを進めている。ガバナンス面では、プライム市場における上場企業に求められる高いガバナンス基準への対応に取り組んでいるほか、BCP対策の強化、ステークホルダーとの積極的対話などに取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:20 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(9):24年9月期にサービス契約数5,471千件、営業利益2,500百万円を目指す ■今後の見通し3. 中期経営計画(1) 中期経営計画の概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>は2022年9月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。経営戦略として、営業・業務の両面で「パートナーシップ戦略」を推進し、営業戦略として既存事業の成長と新規事業の育成を図っていく方針を打ち出している。既存事業については市場環境の変化に機微に対応しながら、提携先の拡大やM&A等も活用することで収益基盤をさらに強固なものとし、持続的な成長を目指していく。また、新規事業についてはM&Aやスタートアップ企業との連携、共同開発等によって創出していくことにしている。業務戦略については、コールセンター業務や各カンパニーで行っていた業務を、新たに組織化する業務本部に一元化することで、業務品質の向上と効率化を図っていく。また、新ERPシステムの導入による業務の標準化や効率化を推進していくほか、人材育成の強化や施工パートナー等のサービスインフラの拡充も進めていく計画である。新ERPシステムでは、最終的に受注から販売、決済、顧客管理までグループのすべてのシステムを統一することになっており、事業部間連携による重層営業の効果も一段と上がるものと期待される。管理・財務戦略については、2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴うプライム市場への移行に伴い、ガバナンス体制の強化や各種委員会の設置等に取り組んでいく。既に監査等委員会設置会社へ移行したほか、サステナビリティへの取り組みの推進と中長期的な企業価値の向上を目指すため、2022年5月の取締役会でサステナビリティ委員会の設置及びTCFD※提言への賛同表明について決議している。今後、SDGs等の取り組みについても積極的に開示していく予定である。※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):G20 の要請を受け、2015 年に主要国の中央銀行や金融規制当局などが参加する国際機関である金融安定理事会(FSB)によって設立。企業に対して気候変動関連のリスク・機会の評価と財務への影響について開示することを提言している。(2) 事業戦略同社では現在の各事業を、収益性の高い成長・成熟事業、育成事業、課題事業の3つに整理し、それぞれの戦略を推進していく。収益性の高い成長・成熟事業は主に、会員事業、保証事業、保険事業となるが、これらは契約件数を積み上げていくことで持続的な成長を図っていく。特に、会員事業においてはアクトコールを子会社化したことにより、集合住宅向け生活トラブル解決サービス市場450万世帯のなかで、約39%のシェア(同社調べ)を握ることとなった。第2位の事業者は約7%のシェアになっていると見られ、残りの大半は不動産管理会社が内製化しているが、不動産管理会社ではコスト削減のためアウトソーシング化する傾向となっており、こうした需要を同社で今後取り込んでいくことも可能と見ている。また、集合住宅市場では残り約1,800万世帯の未開拓市場が残っているほか、今後はパートナーシップ戦略により戸建住宅市場にも本格展開していく予定となっている。これら戦略が順調に進めば成長スピードも加速していくものと予想される。また、アクトコールに関しては、2021年9月期の営業利益率が3%台と同社の会員事業の利益率23.6%を大きく下回っていたが、グループ化以降は外注費の削減や販売パートナー、施工パートナーとの条件を見直していくことで、10%超の利益率まで改善した。2022年10月1日付で同社が吸収合併することで、各種業務の共通化を図ることで利益率の一段の引き上げが可能になると見ている。一方、保険事業は事業の性質上、極端に収益性を高めることは困難なため、収益性については若干の向上を図り、保険商品の拡充により売上規模を拡大していく戦略となる。資本業務提携先の伊藤忠商事のほか、レスキュー損害保険の株主でもあるミニミニグループ、日本生命保険などとも共同開発を進めており、これらが将来的に収益に貢献することになる。新規事業に関しては、新たな提携先開拓に加え、社内外のリソースを活用しながら創出・育成していくことになる。また、課題事業としては、リペア事業と駆けつけ事業を挙げている。このうち、リペア事業については会員事業に統合し、会員サービスの一つとすることで収益化を図っていく。特に、今後市場開拓に注力していく戸建市場において需要があると見ている。一方、減収傾向が続いている駆けつけ事業については前述した通り、事業の継続可否も含めて議論を進めていくことにしている。(3) 経営数値目標中期経営計画における数値目標としては、2024年9月期に売上高22,000百万円、営業利益2,500百万円、経常利益2,650百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円を掲げている。3年間の年平均成長率は売上高で17.8%、営業利益で21.1%となり、2ケタ成長が続く見通しだ。また、営業利益率については2022年9月期にアクトコール等の子会社化で9.6%と一旦、低下する見込みだが、2024年9月期には11.4%まで上昇する計画となっている。前提となるKPIを見ると、会員事業や保険事業のサービス契約件数は年率11.6%の成長で2024年9月期に5,471千件を目指す。この目標値には新規事業や提携先拡大による効果をほとんど見込んでいないため、達成する可能性は高いと弊社では見ている。また、従業員数は新ERPシステムの導入と組織体制の見直しによる業務効率向上によって、増員を抑えていく方針となっており、1人当たり生産性の向上が営業利益率上昇に寄与することになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:19 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(8):契約件数増加に向けたパートナーシップ戦略が着々と進行中 ■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の今後の見通し2. パートナーシップ戦略の進捗状況パートナーシップ戦略については着々と進んでいる。既に提携先に向けてサービス提供を開始した案件としては、前述したミニミニグループやエニタイムフィットネス、GMOインターネット向けの各種保険商品のほか、2022年4月からJAFとの提携により会員制生活トラブル解決サービス「JAFのホームライフサポート」の提供を開始した。また、同年5月にはワタミと業務委託契約を締結し、ワタミの宅食事業「ワタミの宅食」を通じて、6月より会員制生活トラブル解決サービスの提供を開始した。JAFはロードサービスを主に提供している社団法人で約2,000万人の会員を抱えている。JAFの年会費に2,200円を追加することで水回りやカギ、ガラス、電気、建具等の生活トラブルを解決するサービスを無料※で受けることが可能となる。また、出動先も2ヶ所設定できるため、申込者の自宅以外にも離れて暮らす家族の住まいへの出動も可能なことが特徴となっている。プロモーション施策としては、JAFが会員向けにメルマガやDMなどで告知していくほか、ロードサイドサービス提供時や各種イベント開催などでプロモーション活動を行っていく予定だ。同社は会員制サービスを集合住宅向けから戸建市場向けへと展開を進めており、全国のドライバーを会員とするJAFとの提携によって戸建市場への展開を加速していきたい考えだ。※基本料金(出張料、作業料(60分までの作業)が無料また、ワタミとの提携では、宅食で国内トップシェアである「ワタミの宅食」サービスを利用する高齢者をターゲットに、生活トラブル解決サービスの会員獲得を進めていく。毎日、お弁当等を手渡しで配達するスタッフが直接、会員サービスへの加入を促進していくことになる。「ワタミの宅食」は毎日20万食以上が配達されていることから、会員数の増加につながる取り組みとして期待される。これら以外にも現在、複数案件で提携に向けた交渉が進められており、こうした企業との提携を積極的に進めることで会員、保証、保険事業の契約件数拡大を目指す。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:18 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(7):22年9月期の売上高、営業利益は2ケタ増収増益となる見通し ■今後の見通し1. 2022年9月期の業績見通し2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比33.7%増の18,000百万円、営業利益で同22.8%増の1,730百万円、経常利益で同9.2%増の1,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で1,200百万円(前期は56百万円の利益)と期初計画を据え置いた。第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で48.9%、営業利益で42.7%、経常利益で36.6%となっている。ジャパンベストレスキューシステム<2453>のビジネスはストック型が中心で下期に偏重する傾向があることを考えれば、売上高、営業利益については達成可能な水準と考えられる。一方で、経常利益に関しては期末時点における自社の株価水準によってデリバティブ評価損益が発生することから流動的と言える。アクトコール他1社の子会社化による業績への影響額は、売上高で3,600百万円、営業利益で70百万円(のれん償却額180百万円控除後)の増額要因として見込んでいたが、前述したように第2四半期累計で営業利益は97百万円と想定を上回っており、下期に人材投資を実施したとしても通期で1億円弱程度の上振れが見込まれる。一方で、保険事業における契約準備金繰入額が下期も増えそうなことや、駆けつけ事業の低迷が続きそうなことなどマイナス要素もあるため全体で見れば営業利益は会社計画並みの水準で着地すると思われる。なお、上期より新ERPの稼働を開始しており、減価償却費等の関連費用120百万円を見込んでいる。営業外収支に影響を与えている自社株価予約取引については、対象株数474千株の四半期末ごとの株価によってデリバティブ評価損益が計上されることになる。2022年3月末の株価1,008円に対して、6月2日時点の株価は797円となっており、6月末の株価も同水準だったと仮定すれば100百万円の評価損がさらに発生することになる点には留意しておく必要がある。なお、対象株式の満期決済日は2022年6月(300千株)及び9月(174千株)であったが、6月分については決済日を1年後に先送りしたことを発表している。今後については、株価水準にもよるが業務提携先または機関投資家へ売却するか、自己株式として保有していく方針だ。事業セグメント別の見通しは以下のとおり。(1) 会員事業会員事業は買収効果もあって増収増益となる見通し。サービス契約件数は前期末比162千件増の2,375千件を計画しており、内訳は「安心入居サポート」で同80千件増の1,100千件、「学生生活110番」で同12千件増の300千件、アクトコールで同50千件増の680千件、その他で同20千件増の295千件となる。「安心入居サポート」については2022年9月期第2四半期累計で既に1,100千件に達していることから、大幅な上振れが見込まれる。2021年9月期下期の純増数が56千件だったことから少なくとも同規模以上の純増が期待される。特に、会員数の増加に向けて複数の有力な提携案件(詳細は後述)が決まっていることから、どの程度上積みできるのかに注目したい。また、アクトコールについては通期の50千件増に対して第2四半期までの増加分が10万件にとどまっているが、グループ化直後は会員数の獲得よりも収益体質の改善を優先的に取り組む方針であったことが要因で、当初計画に比べて進捗が遅れているわけではない。また、販売パートナーとの契約見直し交渉を進めた結果、一部のパートナーが離脱したものの、当初想定していたよりも影響は少なかったようだ。このため、通期の50千件増という目標も達成可能な水準にあると弊社では見ている。一方、「学生生活110番」については第2四半期末で316万件と目標水準を上回っているものの、同サービスは例年、契約獲得のタイミングとなる第2四半期をピークに契約件数は減少傾向を辿るため、2021年9月期と同じペースで推移したとすれば若干計画を下回る可能性がある。このため同社は、大学生協を持たない大学や専門学校などの新規販路の開拓に注力していくほか、既存販路の大学生協についても契約率の向上に向けたフォローアップを強化していくことにしている。(2) 保証事業ジャパンワランティサポートの発表資料によれば、2022年9月期の売上高は前期比15.3%増の1,443百万円、営業利益は同5.5%増の512百万円となる見通し。「あんしん修理サポート」の契約件数は前期末比212千件増の1,344千件となる。第2四半期末で同107千件の増加となっており、新規販路の開拓も進んでいることから計画の達成は可能と見られる。(3) 保険事業保険事業の売上高は前期比3.2億円増加の50億円、営業利益は横ばい水準を期初計画で見込んでいた。売上高については当初計画を上回る可能性が高いものの、利益は契約準備金繰入額の増額によって減益となる可能性がある。保険契約件数については、期初計画で前期末比88千件増の681千件を見込んでいた。内訳は「新すまいRoom保険」を中心とした家財保険で同42千件増の290千件、「スマホ保険」で同35千件増の90千件、「スポーツクラブ傷害保険」で同横ばいの240千件、その他で同12千件増の61千件となる。家財保険については第2四半期末までで前期末比24千件増と順調に積み上がっていることに加えて、第3四半期から計画に含めていなかった約3万件が加わることになり、当初計画を大きく上回る見通しとなっている。この約3万件は同様の家財保険を販売していた他社が撤退を決定しており、登録代理店を同社に委託されたことによるものである。この結果、保険料収入は増加するものの契約準備金繰入額も増加するため、一時的に減益要因となる。契約準備金繰入額は契約件数の増加に応じて積立額が算出されるため、増加ペースが加速する局面では積立額も増加する(将来の支払リスクが大きくなるため)。逆に契約件数の増加ペースが鈍化する局面では積立額を取崩すケースもある。2022年9月期は既存商品の販売好調に加えて、他社商品からの移行という特殊要因も加わることで準備金繰入額が増加し利益圧迫要因となるが、実質的な収益基盤は拡大している。「スマホ保険」については、前期末比35千件増の計画に対して第2四半期までに8千件の増加とやや進捗は遅れているが、GMOインターネット<9449>で2022年4月より取り扱いが開始されるなど販路が広がることで、キャッチアップしていく。「スポーツクラブ傷害保険」については前期末比横ばいの240千件に対して、第2四半期末は222千件となっている。既存フィットネスクラブ2社に加えて、新たにFast Fitness Japan<7092>が運営する「エニタイムフィットネス」が加わったことで、第3四半期以降の積み上げを目指す。既存2社については月会費のなかに組み込まれているため、新規入会数と連動して同社の保険商品も増えることになるが、3社目についてはオプションサービスとなるため、契約件数がどの程度伸びるかは未知数だ。ただ、全国で店舗展開し会員数も60万人を抱える大手であることから、契約件数の増加につながる取り組みとして期待される。そのほか、資本業務提携先の伊藤忠商事とも新たな保険商品を共同で複数開発中だが、商品化は2023年9月期となる可能性が高い。(4) 駆けつけ事業駆けつけ事業については、収益性の改善を最優先に取り組み、期初計画では売上高で前期比横ばい、利益で収支均衡ラインを目指していたが、通期でも減収、並びに損失を計上する可能性が高いと弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:17 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(6):将来の売上となる前受収益が着実に積み上がる ■業績動向3. 財務状況と経営指標ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2022年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比100百万円増加の28,276百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では未収入金が792百万円減少したものの、現金及び預金が1,149百万円増加し、固定資産では投資有価証券が612百万円減少した。負債合計は前期末比938百万円増加の17,445百万円となった。会員、保証事業における前受収益及び長期前受収益が合計725百万円増加したほか、有利子負債が157百万円増加した。前受収益は将来の売上につながる先行指標であり、増加傾向が続いているのは、プラスに評価される。純資産合計は前期末比837百万円減少の10,831百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益518百万円を計上した一方で、配当金支出で287百万円、自己株式取得で259百万円、その他有価証券差額金で556百万円の減少となったほか、収益認識会計基準等の適用に伴って期首の利益剰余金残高が405百万円減少したことが要因となっている。経営指標を見ると、経営の安全性を示す自己資本比率は前期末の40.2%から36.5%に低下し、逆に有利子負債比率が27.8%から32.0%に上昇するなど数値面ではやや悪化したものの、主因は前受収益の増加と会計基準変更や自己株取得等に伴う利益剰余金の減少によるものであり、問題のない水準と言える。また、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)も前期末比で991百万円増加の9,385百万円と過去最高水準に積み上がっていることを考えれば、財務の健全性は高いと判断される。なお、同社は未上場企業や事業提携関係にある上場企業も含めて、投資有価証券を6,286百万円保有している。事業提携関係にある上場株式に関しては基本的に保有継続方針であるものの、その他の株式や金融商品に関しては適切な時期を見計らい徐々に減らしていく意向を示している。同様に未上場企業の株式に関してはIPOしたタイミングで一部を売却することにしている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:16 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(5):会員事業と保険事業で契約件数の増加ペースが加速 ■ジャパンベストレスキューシステム<2453>の業績動向2. 事業セグメント別動向(1) 会員事業会員事業の売上高は前年同期比73.0%増の4,884百万円、営業利益は同7.0%減の465百万円となった。アクトコール他1社の買収効果で1,761百万円の増収、97百万円の増益要因となっている。既存事業ベースでは会員数増加による増収で193百万円、収益認識会計基準等の適用による影響で105百万円の増収要因となった。一方、営業利益は会員数増加による増益が32百万円あったものの、売上構成比の上昇による配賦費用額の増加等で165百万円の減益要因となった。2022年9月期第2四半期末の会員数は前年同期比765千件増加の2,330千件となった。このうち、アクトコール分が640千件となっており、既存事業ベースでも125千件増となっている。主力の「安心入居サポート」は136千件増の1,100千件と増加ペースが加速した。販売ネットワークの拡充が進んでいることや、家賃等に会費を含めて提供するサブスクリプション型の契約件数が増加した結果、サービス継続率が上昇していることが要因と見られる。一方、大学生協を通じて販売する「学生生活110番」については同2千件減の316千件にとどまった。コロナ禍で地方から上京して学生生活を送る新入生が減少していることが影響していると思われる。その他の会員サービスについても低採算なサービスを縮小していることから、同10千件減の272千件となった。また、会費収入が前年同期比79.3%増の3,333百万円となった一方で、出動費用(保証事業分を含む)は同42.5%増の1,435百万円に抑えられており、費用のコントロールが適切に実施されているものと評価される。アクトコールの業績については収益性の面で想定以上に改善が進んだ。当初計画では通期で営業利益率6.9%(買収前3.2%)を目標としていたが、第2四半期累計で10.8%まで上昇した。同社の利益率の水準である20%に対してはまだ低いものの、統合によるシナジー効果が早速顕在化しているようだ。主な取り組みとして、コールセンターの業務効率化(サービス対象外の入電本数を削減する)や不採算となっている販売パートナーとの条件見直し交渉、施工パートナーに対する作業原価の是正交渉等に取り組んでおり、その効果が早速顕在化しているようだ。下期は体制強化等によるコスト増を見込んでいるため、利益率は下がる見込みとなっているが、通期の営業利益は当初計画の250百万円(第2四半期累計実績189百万円)を上回る見通しだ。(2) 保証事業保証事業の売上高は前年同期比14.9%増の699百万円、営業利益で同8.2%増の268百万円となった。2022年9月期第2四半期末の「あんしん修理サポート」の会員数は前年同期比203千件増の1,239千件と高成長が続いている。主力販路であるホームセンターや家電量販店等を通じた会員数獲得が続いていることに加えて、住宅メーカー等の新たな販路開拓が進んでいることも会員数の増加につながっている。同商品は契約期間が5~10年と長期間にわたるため、新規会員数増加の単年度の増収インパクトは小さいが、将来の売上となる前受収益金として積み上がる格好となっている。また、営業利益率が低下したが主には修理件数の増加に伴う売上原価率の上昇が主因となっている。住設機器の修理については購入後7年目以降から増加する傾向にあり、こうした会員からの修理依頼が増加した。また、ジャパンワランティサポートの株式上場に向けた体制整備に関連した費用が増加したことも一因と考えられる。(3) 保険事業保険事業の売上高は前年同期比7.3%増の2,575百万円、営業利益は同7.5%減の188百万円となった。前述したように、契約件数が加速的に増加したことによる契約準備金繰入額の増加が減益要因となった。前年同期は繰入額戻入金を7百万円計上し、2022年9月期第2四半期累計では46百万円の準備金繰入額を計上し、差額の53百万円が減益要因となる。契約準備金繰入額の影響を除いたベースで見ると、営業利益は前年同期比19.4%増の234百万円となる。第2四半期末の保険契約件数を見ると、「新すまいRoom保険」を中心とする家財保険が前年同期比32千件増の272千件と従前よりも増加ペースが加速した。販売ネットワークが拡大していることに加えて、2022年1月に賃貸仲介大手の(株)ミニミニグループとレスキュー損害保険が資本業務提携を締結し※、ミニミニグループが仲介する賃貸住宅の入居者向けに火災保険の販売を開始したことも増加要因となった。今後はミニミニグループ向けでの火災保険の販売シェア拡大に加えて、不動産分野での新たな保険商品の開発も共同で進めていく予定となっている。※ミニミニグループは賃貸仲介、社宅代行の大手で、店舗数は約450店舗を展開している。レスキュー損害保険の株式の4.9%を取得した。家財保険の販売により年間約1億円の保険料収入を見込んでいる。「スマホ保険」は販売チャンネルの拡大(オンライン販売)効果もあって同17千件増の63千件となり、「スポーツクラブ傷害保険」はコロナ禍でスポーツクラブの会員数が減少した影響もあって同20千件減の222千件となった。その他の少額短期保険商品については同4千件増の48千件と堅調に推移した。なお、保険料収入の構成比で見ると、家財保険が全体の85%と大半を占めており、「スマホ保険」は3%、「スポーツクラブ傷害保険」は2%となっている。(4) 駆けつけ事業駆けつけ事業の売上高は前年同期比29.4%減の489百万円と減収基調が続き、営業損失53百万円(前年同期0.4百万円の利益)を計上した。他社サイトからの集客を中心にWeb集客が減少したことや、コロナ禍が続くなかで他者との接触を回避する意識が引き続き強く、カギ及び水回りのトラブルに関する作業依頼件数が減少した。今後については収益化を目指すことを基本方針とするが、場合によっては事業の継続可否も含めて外部コンサルタントも交えながら議論を進めていくことにしている。(5) その他2021年9月期下期から開始した感染拡大防止事業については、売上高で162百万円、営業利益で16百万円となった。2021年9月期下期は売上高で274百万円、営業利益で57百万円だったが、2022年9月期下期はまん延防止等重点措置が解除されていることから、売上はほぼなくなるものと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:15 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(4):22年9月期2QはM&A効果で過去最高売上を更新、営業利益も計画通りに進捗 ■業績動向1. 2022年9月期第2四半期累計の業績概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2022年9月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比32.7%増の8,806百万円、営業利益で同9.8%増の738百万円、経常利益で同14.6%減の695百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同4.2%減の518百万円となった。2021年9月末にアクトコール他1社を買収した効果により、売上高で1,761百万円、営業利益で97百万円(のれん償却額92百万円控除後)の増額要因となり、売上高については過去最高を更新した。経常利益が減益となったのは、投資有価証券売却益が前年同期比149百万円減少したことや、自社株価予約取引に関連したデリバティブ評価損108百万円※を計上(前年同期比23百万円増加)したことによる。また、期初会社計画比で見ると、売上高、営業利益は計画通り進捗したが、経常利益はデリバティブ評価損の計上等により計画を16.5%下回った。※同社株価が2021年9月末の1,262円から2022年3月末に1,008円に低下したことによる評価損。第3四半期末の株価が1,008円を下回れば評価損が膨らむことになる。既存事業ベースの売上高で見ると、ライフテック事業(電力小売事業)撤退に伴う減収分120百万円を会員、保証、保険事業の顧客数増加による増収効果で吸収し、前年同期比6%増収となった。一方、営業利益は同5%程度の増益となる。駆けつけ事業が減収に伴い減益となったほか、保険事業が被保険者数の急増に伴う責任準備金の積み立てにより減益となり、会員事業でも売上構成比の上昇で本社管理コストの配賦費用が増加により減益となるなど、主力事業は好調ゆえに会計上の負担が増加した。一方でライフテック事業の損失分がなくなった。ただ、保険事業の減益については契約件数の増加に伴う契約準備金繰入額の増加によるものであり、前向きな減益と捉えることができる。なお、EBITDA(償却前営業利益)ベースでは、前年同期比30.6%増の1,024百万円となっている。なお、同社は2021年12月に伊藤忠商事と資本業務提携契約を締結した。伊藤忠商事が同社の株式を約3%取得し、今後、伊藤忠グループで展開している保険や不動産、小売事業などで同社の会員サービスを拡販していくほか、保険商品などの開発も共同で進めていく予定にしている。同社にとっては基盤事業である会員事業や保証事業、保険事業などで顧客獲得の機会が増えることになり、今後の成長ペースが加速していく可能性がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:14 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(3):日常生活でのトラブルを解決する各種サービスを提供 ■事業概要(2) 保証事業ジャパンワランティサポートで住設機器、家電製品等のメーカー保証期間終了後のサポートを行う「あんしん修理サポート」(5年・8年・10年間保証で7,000円~、うち約8割がジャパンベストレスキューシステム<2453>の収入)を主に提供している。「あんしん修理サポート」の会員獲得は住宅メーカーやホームセンター、家電量販店等との提携を通じて行っており、主要な提携先は(株)ヤマダデンキで新規契約件数の約3割、売上高で約24%(2022年9月期第2四半期累計)を占めている。2022年3月末の同事業の会員数は1,239千人と同社グループのサービスのなかでは最大規模となっており、成長率も年率20%と高成長が続いている。保証額は家電製品よりも住設機器のほうが高くなること、住宅販売時の購入価格に保証サービスを組み込みやすいことから、最近は住宅メーカーとの提携強化に注力している。(3) 保険事業連結子会社のジャパン少額短期保険、レスキュー損害保険で保険事業を展開している。主力商品は、賃貸住宅入居者向けに家財を補償する「新すまいRoom保険」で、同事業保険料収入の85%(2022年9月期第2四半期累計)を占めている。不動産賃貸事業者では入居者が賃貸契約する際に「安心入居サポート」と「新すまいRoom保険」を同時に勧めることができるため、販売効率の高い商品となる。その他の少額短期保険商品としては、事務所や飲食店などのテナント入居者向けの「テナント総合保険」、自転車による事故や盗難に備える保険「ちゃりぽ」、痴漢冤罪(痴漢被害)ヘルプコール付き「男を守る弁護士保険、女を守る弁護士保険」、「お天気保険」「結婚式キャンセル保険」などユニークな商品を多数揃えており、業界でもトップクラスの商品開発力が強みとなっている。また、少額短期保険では規則上商品化できない保険ニーズに対応するため、2019年7月にレスキュー損害保険を開業した。当初はジャパン少額短期保険からの受再保険事業からスタートし、2020年より賃貸住宅のオーナーや不動産会社向けの家財保険包括契約の販売を開始している。「新すまいRoom保険」は入居者が被保険者となるのに対して、同商品は貸し手側を被保険者とした団体保険商品となる。また、2020年7月よりワイヤレスゲート<9419>が(株)ヨドバシカメラの店舗で販売するWi-Fiサービス付きスマートフォン及びタブレット端末を対象に、購入後の破損または自然故障を保証する「スマホ保険」の提供を開始している。月額税込890円のプランの場合、故障等で掛かった費用に対して5万円(上限額・年1回)をお見舞金として補償する。月額料金の約15%が同社の売上高として計上される。そのほか、2020年春からスポーツクラブ傷害保険の販売も開始している。ただ、両商品合わせても保険料収入の構成比は6%弱とまだ小さい。なお、レスキュー損害保険は設立時に日本生命保険(相)、セブン銀行<8410>が各7.1%出資したほか、2022年1月には不動産賃貸仲介・管理の大手である(株)ミニミニグループと資本業務提携を行い※、火災保険の販売をミニミニグループ店舗で開始している。※第三者割当増資後のレスキュー損保の株主構成比率は、同社が81.4%、日本生命保険、セブン銀行が各6.7%、ミニミニグループが4.9%となった。(4) 駆けつけ事業駆けつけ事業は住宅のカギ交換や水まわり、ガラス等のトラブル、害虫駆除、庭の手入れ、リフォーム等の生活全般にわたる困りごとに関して、会員以外の一般顧客から入ってくる依頼をコールセンターで受け付け(全国7拠点、365日稼働)、依頼内容に応じてパートナー店に作業手配を行うサービスで、「生活救急車」のブランド名で展開している。同社の売上高は、パートナー店が一般顧客から回収した作業代金の原則40%程度を紹介手数料収入として計上している。なお、実際の作業を依頼する店舗は契約形態の違いによってパートナー店とネットワーク店の2種類に分けられる。パートナー店とは同社が紹介する顧客とパートナー店が直接、見積契約と清算を行って、月末に紹介料を同社が請求する形態の店舗となる(駆けつけ事業に該当)。一方、ネットワーク店とは主に同社の提携企業の会員を対象に作業を行い、同社の指示に従って顧客と清算を行った後に、同社が月末に不足分等の清算を行う形態の店舗となる(会員事業に該当)※。2021年9月期末のパートナー及びネットワーク契約店舗数は3,200店舗となっている。なお、店舗によってはアクトコールと同社の両方と契約している店舗もあるが、契約条件については同社の内容に統一していくことになっている。※パートナー店とネットワーク店の両形態で契約する店舗もある。駆けつけ事業を拡大していくためには、入電件数を増やすためのマーケティング施策(タウンページ、インターネット、チラシ、その他広告等)が重要となる。数年前まではタウンページからの入電が大半であったが、直近ではインターネット経由での依頼も多くなってきている。また、集客の新たな導線として地域金融機関との提携も2021年9月期から開始している。提携金融機関が同社のサポーター店となり、店頭でサービス内容や専用フリーダイヤルを告知するチラシを配布するなどのプロモーション活動を行う。入電があり、同社でサービスを提供した場合に、サービス料の一部を紹介手数料としてサポーター店に支払うスキームとなっている。同社としてはWebやタウンページにかける広告宣伝費用が不要となるため、全体で見ればコストが抑えられ効率的な集客が可能になると見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:13 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(2):「困っている人を助ける!」が経営理念 ■事業概要1. 会社概要ジャパンベストレスキューシステム<2453>は「困っている人を助ける!」を経営理念として、生活に関わる様々なトラブルを解決する「総合生活トラブル解決サービス」カンパニーとして1997年に設立された。2008年にジャパン少額短期保険(株)、2016年にJBRあんしん保証(株)(現 ジャパンワランティサポート)を子会社化したほか、2019年にはレスキュー損害保険(株)を設立、開業している。また、2020年に日本PCサービス<6025>の株式を取得し持分法適用関連会社(出資比率22.1%)としたほか、2021年9月には生活トラブルサービスを展開するアクトコール及びコールセンター運営事業を行う(株)TSUNAGUを簡易株式交換により完全子会社化した。直近では2022年2月に水回りトラブル解決サービスのパートナーの1社であったアクアライン<6173>の株式を追加取得して持分法適用関連会社(出資比率23.6%)とするなど、積極的なM&A・アライアンス戦略により業容を拡大している。2022年3月末時点で連結子会社は5社、持分法適用関連会社2社となっている。なお、アクトコール及びTSUNAGUについては2022年10月1日付で同社が吸収合併する予定となっている。経営統合することで営業・管理・コールセンター業務の効率化を図ることで、グループ全体の収益性向上を図っていくことが狙いとなっている。また、2022年6月23日付でジャパンワランティサポートが東証グロース市場に上場する。株式上場の目的は、上場会社としての信用力がアップすることで、提携先企業の増加が期待できることに加えて、人材採用力、資金調達力の向上により事業成長スピードを加速していくことにある。同社の出資比率は2021年9月期末の100.0%から上場後は約52%に低下する見込みであり、非支配株主に帰属する当期純利益の増加につながるが、それ以上に株式上場することのメリット(=収益拡大)の方が大きいと判断した。株式上場後も連結対象子会社として株式を保有していく方針となっている。2. 事業の内容事業セグメントは、2022年9月期より現況に合わせて一部変更を実施している。従来は駆けつけ、会員、保険、リペア、ライフテックの5事業で区分していたが、ライフテック事業については2021年9月期に電力小売事業から撤退したことによりなくなり、新たに会員、保証、保険、駆けつけの4事業とその他(感染拡大防止事業等)に区分した。従来、会員事業に含めていた保証事業を独立開示したほか新規事業(感染拡大防止事業等)をその他に区分した。また、売上規模が小さく収益性に課題を抱えていたリペア事業を会員事業に統合し、会員事業のサービスの一部として提供することで、売上規模の拡大と収益性向上を進めることが狙いとなっている。特に、不動産分野では従来の賃貸市場だけでなく、新築市場にも展開していくことにしており、リペアサービスは提携先を拡大していくためのフック役になるものと期待している。なお、商業施設や飲食店向けのリペアサービスについては従来通り継続していく。2022年9月期第2四半期累計の事業セグメント別売上構成比を見ると、会員事業が55.4%と全体の過半を占め、次いで保険事業が29.2%、保証事業が7.9%、駆けつけ事業が5.6%となっている。また、売上高のうち、会員や保険契約件数の積み上げ等によるストック型ビジネスの比率が全体の9割以上を占め、かつこれら事業は収益化しており、安定性の高い収益基盤を既に構築していることが同社の特徴であり強みとなっている。(1) 会員事業会員事業は、会員向けに生活トラブル全般の解決サービスを提供する事業で、会員は入会金や年会費等を事前に支払うことで、該当するトラブルが発生した時に一般料金よりも低価格、または無料でサービスを受けることができる仕組みとなっている。売上高の7割弱は会費収入となり、そのほか作業に要した部品代や特殊作業費等が含まれる。2022年3月末の契約件数は、2,330千件(アクトコール分640千件含む)と過去最高を更新している。主力サービスは賃貸及び分譲住宅入居者向けの「安心入居サポート」で、同事業の会費収入の約52%を占めている(2022年9月期第2四半期累計)。サービスメニューとしては入居時の暮らし相談サポートや入居中の生活トラブルを解決・サポートするサービスがあり、不動産賃貸事業者等と販売代理店契約を結ぶことで契約件数を伸ばしている。会費は2年契約で約1.5万円となり、うち約6割が同社の収入で、約4割が代理店の販売手数料となる。売上計上方法は月分割方式となっているが、実際の資金の流れとしては契約時に2年分を一括して会員から徴収している。このため、貸借対照表上では残存期間分の対価について前受収益及び長期前受収益として計上されている。一方、代理店への手数料支払いについては契約月に一括して支払い、費用も同額分計上するため、契約ごとの損益で見ると会計上は開始1ヶ月目に損失を計上する格好となる。同サービスに関しては契約更新率が3割台と低いことが課題であったが、継続率を高める施策として家賃の一部に会費を組み込む方式(サブスクリプション型)の導入に注力している。同方式であれば引越し等で退去しない限りは、契約が継続することになるためだ。サブスクリプション型の契約率は2016年9月期末時点で40%であったが、2021年9月期末時点では60%超となっている(アクトコール除く)。アクトコールでは同様のサービス「アクト安心ライフ24(1年版、2年版)」または「緊急サポート24(月額版)」を提供しており、料金もほぼ同水準となっている。同事業の会費収入の35%を占める(2022年9月期第2四半期累計)。アクトコールの商品については月額定額サービスや1年版(税込8,800円)が契約の大半を占めている。その他の会員サービスとしては、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協)と提携して販売している大学生向けの生活トラブル解決サービス「学生生活110番」(契約期間2年、4年、6年タイプがあり、4年契約タイプで税込9,450円、うち約7割が同社の収入)のほか、通信事業者と提携して販売しているライフサポートパックなどがある。また、リペアサービスについては住宅メーカー等の提携先企業から戸建・マンション等の床面や壁の補修作業の依頼を受け、補修サービスを行っている。石材系から金属、木質系、水まわりも含めて幅広い修復に対応できることが強みとなっており、2019年以降は宿泊施設や店舗など非住宅系にも販路を広げてきた。今後は会員サービスのメニューの一つとすることで、規模の拡大と収益力の強化を図っていく方針となっている。なお、会員事業では入会時に顧客から会費を徴収し、作業依頼を受けた場合は入会時の条件に基づいて、無料または割引価格でネットワーク店の手配を行っており、発生した作業代金または作業代金と割引価格との差額が同社の負担となる。このため自然災害の発生等により想定以上に作業件数が増加した場合は、同社の費用負担が重くなり収益性が低下するリスクがある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:12 注目トピックス 日本株 JBR Research Memo(1):パートナーシップ戦略の推進により会員、保証、保険事業の顧客数拡大が続く見通し ■要約ジャパンベストレスキューシステム<2453>は、「困っている人を助ける!」を経営理念に1997年に設立された「総合生活トラブル解決サービス」カンパニー。住宅のカギや水まわりのトラブルなど日常生活の困りごとを解決するサービスを全国3,000店超のパートナー・ネットワーク店を通じて会員・非会員向けに提供している。子会社で保険事業や住設機器・家電製品等の修理サポートサービスも展開している。2022年3月末の会員数は3,569千件、被保険者数は606千件と順調に積み上がっている。なお、修理サポートサービスを展開するジャパンワランティサポート<7386>が6月23日付で東京証券取引所グロース市場に上場する。1. 2022年9月期第2四半期累計の業績概要2022年9月期第2四半期累計(2021年10月-2022年3月)の連結業績は、売上高で前年同期比32.7%増の8,806百万円、営業利益で同9.8%増の738百万円と会社計画通りの進捗となった。2021年9月末に(株)アクトコール他1社を買収した効果により、売上高で1,761百万円、営業利益で97百万円(のれん償却額92百万円控除後)の増額要因となっている。既存事業ベースで見ると会員、保証、保険事業の顧客数が順調に積み上がったことにより、売上高は増収となったが、営業利益は若干の減益となった。駆けつけ事業や保険事業、会員事業が減益となったためだが、このうち保険事業については契約件数の増加に伴う契約準備金繰入額の増加が要因であり、前向きな減益と捉えることができる。2. 2022年9月期の業績見通し2022年9月期の連結業績は売上高で前期比33.7%増の18,000百万円、営業利益で同22.8%増の1,730百万円と期初計画を据え置いた。アクトコールの買収効果で売上高3,600百万円、営業利益70百万円(のれん償却額180百万円控除後)の増額要因を見込んでいたが、営業利益については買収後の業務見直しを進めたことで想定以上に改善しており、当初計画を上回る見通しだ。一方で、保険事業については期初計画には織り込んでいなかった競合他社からの移行案件(約3万件)が加わるため、売上高については上振れするものの、契約準備金繰入額も合わせて増加することから、利益ベースでは当初計画を下回り、アクトコールの上振れ分とほぼ相殺する格好となりそうだ。ただ、計画には織り込んでいない新規提携先(JAF(日本自動車連盟)、ワタミ<7522>等)を通じた会員獲得が順調に進めば上振れ要因となる可能性がある。会員、保証、保険事業の契約件数は合計で前期末比467千件増の4,407千件を計画しており、第2四半期までの進捗率は51%と順調に進んでいる。3. 中期経営計画同社は2022年9月期から3ヶ年の中期経営計画をスタートしている。営業・業務の両面で「パートナーシップ戦略」を推進し、売上規模の拡大と収益性向上を目指していく方針を打ち出している。最終年度となる2024年9月期の売上高は22,000百万円、営業利益は2,500百万円とし、年率2ケタ台の増収増益を目指している。KPIとなる会員・保証・保険事業の契約件数は2021年9月期末の3,940千件から2024年9月期末に5,471千件まで積み上げることで売上規模を拡大し、また、ERPシステムの導入効果による業務効率の改善により営業利益率も2021年9月期実績の10.5%から11.4%に引き上げていく。「パートナーシップ戦略」では、地域金融機関との提携が進んでいるほか不動産、クレジットカード、医療・介護業界など広範な分野で交渉が進んでいる。そのほか、2021年12月に資本業務提携を締結した伊藤忠商事<8001>を通じて同グループ会社との提携交渉や保険商品の開発等も進めており、こうした提携ネットワークを広げていくことで、同社サービスの利用者を拡大していく戦略となっている。生活者の困り事は多種多様にあり、これらを解決するサービスをストック型のビジネスモデルとして展開していくことで、持続的かつ安定的な成長が期待できる企業として注目される。■Key Points・2022年9月期第2四半期累計業績はM&A効果で過去最高売上を更新、営業利益も計画通りに進捗・契約件数増加に向けたパートナーシップ戦略が着々と進行中・2024年9月期にサービス契約数5,471千件、営業利益2,500百万円を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) <ST> 2022/06/14 15:11

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