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注目トピックス 経済総合 岐路に立つASEAN−コンセンサス方式の限界−【実業之日本フォーラム】 ASEANは1967年に、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン及びマレーシアの5カ国で設立された。1984年にブルネイが加盟して以降、1995年にベトナム、1997年にラオス、ミャンマー、そして1999年にカンボジアが参加し、現在計10カ国で構成されている。2015年11月には、「政治・安全保障共同体」、「経済共同体」及び「社会・文化共同体」からなる「ASEAN共同体」の構築を宣言し、ASEANとしての一体性を強化することを目指している。ASEAN構成国は、それぞれ単独では、世界的影響力を持ちえない小国である。しかしながら、ASEANとしてまとまることにより、世界最大の人口を誇る、経済成長力を梃とした共同体として存在感を示していた。「ASEAN Centrality」と称されるASEANを中心とした各種枠組み、東アジア首脳会議(EAS)、ASEAN+3(日中韓)やARF(ASEAN Regional Forum)は主要国が参加する会議であり、ASEANが「議題を形作ることができるパワー(Agenda Shaping Power)」であることを世界的に示すものであった。しかしながら、最近ASEANの存在感が徐々に希薄になりつつある。その理由の第一はASEANとしての意思決定の不確実性である。ASEANは、民主主義、人権、法の支配、紛争の平和的解決、内政不干渉等を諸原則とする集まりであり、その意思決定の基本は、協議をつうじた全会一致(コンセンサス)方式である。このため、EU(欧州連合:European Union)のように、通貨統合、共通の外交・安全保障政策といった国家主権の一部をゆだねるような組織と一線を画している。この背景には、ASEANの多様性が指摘できる。人口では、最も多いインドネシアが約2.7億人に対し、最も少ない国は、ブルネイの44万人である。一人当たりのGDPは最も高いシンガポールが約6万ドルと、約4万ドルの日本をはるかに凌駕しているのに対し、ミャンマーは1,400ドルにしか過ぎない。さらには、民族、宗教も国境を越えて入り混じっている。多様性を持つ国家の集まりが求心力を維持するためには、コンセンサス方式、内政不干渉を前提とするほうが、容易に意思決定ができるということは理解できる。そして、このこのコンセンサス方式こそが、緩い小国の集まりであるASEANが国際社会における発言力確保を担保しているとASEAN研究で指摘されている。しかしながら、ASEANのAgenda Shaping Powerは、問題を指摘する力は持ち得ても、解決する力は限定的と言わざるを得ない。その例にASEAN加盟国でありながら、軍事クーデターによって成立したタイ及びミャンマー軍事政権への対応がある。軍事クーデターは、ASEANの原則である民主主義、人権、法の支配を揺るがす事態であったにも拘わらず、ミャンマーのクーデターに対し、4月の首脳会議で合意した特使の派遣すら実現していない。このことは、ASEANのコンセンサス方式の限界を示すものと言える。次に指摘できるのは、頼みであった地域の経済発展に影が生じていることである。新型コロナウィルス感染拡大を受け、OECDは2020年のASEAN全体のGDP成長率を−2.8%とした。2021年9月、アジア開発銀行(ADB)は、東南アジアの2021年前期の経済成長率の見通しを0.4ポイント下方修正し、+4.0%とした。そして、ワクチン接種率の程度及びパンデミックコントロールの優劣が経済回復に大きな影響を与えていると評価している。ASEAN諸国におけるワクチン接種率にはばらつきがあり、本年9月7日現在、二回接種を終えた人の割合はシンガポール77%、マレーシア50%に対し、タイは15%、インドネシア14%、フィリピン11%、ベトナム4%となっている。特に、ASEANの盟主ともいえるインドネシアでは、新型コロナの多大な影響を受け経済が低迷しており、依然として低いワクチン接種率から、ASEAN全体の経済回復は、いまだ道半ばと言えよう。ASEANがかつてのような輝きを取り戻せるかどうかは、経済回復に加え、QUADを中心に進められている「自由で開かれたインド太平洋」にどのように向き合うかで変わってくるであろう。9月24日、ワシントンで顔を合わせた日米印豪首脳は、「自由で開かれたルールに基づく秩序を推進する」という共同声明を採択した。共同声明には「東シナ海、南シナ海を含む海洋秩序への挑戦に対処する」という言葉が盛り込まれており、中国を名指ししてはいないものの、「中国牽制」の枠組みであることは明白である。さらに、9月15日に公表された米英豪の防衛装備品に係る協力である「AUKUS」は、QUADを軍事的に補強する役割を果たすものである。かかる観点から、2019年6月に明らかにされた「ASEAN OUTLOOK ON THE INDO-PACIFIC:AOIP」を見ると、玉虫色との印象はぬぐえない。ASEANの「自由で開かれたインド太平洋」への取り組みは、新たなスキームを提供するものではなく、既存のASEANを中心とした各種メカニズムを活用し、多くの国々の参加を求めることにより、インド太平洋の平和と安全を確保することを目指している。AOIPには、米中が先端技術等において鋭く対立し、インド太平洋が米中覇権争いの最前線にあるという見方は皆無である。ASEANの域外貿易最大相手国は中国であり、更には、カンボジア、ラオス及びミャンマーのように中国と政治的結び付きが強い国も存在する。このような中で、ASEANとして米中どちらにつくかという選択を行うことは難しいことは理解できる。しかしながら、ASEANがこのまま玉虫色の方針を続ける限り、ASEANの地盤沈下は避けられないであろう。今後、米中は先端技術だけではなく、社会インフラ整備、デジタル経済やサイバー関連の世界標準作り、そして気候変動の分野で、対立と協調という複雑な関係を構築していくと考えらえれる。そのような中、ASEANが一体性を失い、それぞれが個々に対応していった場合、その発言力には限界があり、存在すら無視されかねない。ASEANは、一体性を堅持しつつ、ASEANとしての利益を追求する集団に脱皮する必要がある。そのためには、全ての議題にコンセンサス方式を適用せず、議題によってはマジョリティを優先するという意思決定方式を採用する必要がある。その際、ASEANとしての決定に従わない国を、組織として排除するのではなく、メンバー内における態度保留国として扱う事である。多くの問題で態度保留国となり、ASEANからの離脱を表明する国が出てくる可能性も否定できないが、ASEANとして一体性を持って意思決定を行うためのコストと割り切る必要がある。ASEANが一体性を維持することは、日本の安全保障上も重要な意味を持つ。南シナ海の領有権を巡っては、「二国間の話し合い」を主張する中国と、「多国間の枠組み」を主張するASEANとの間で対立していた。2018年11月のASEAN中国首脳会議で、実効性の欠ける「行動宣言(Declaration Of Conduct:DOC)」から、拘束力のある「行動規定(Code Of Conduct:COC)」に3年以内に格上げすることが合意された。COCの交渉状況は公表されていないが、中国がCOC制定に同意した背景には、ASEANが一体となって交渉の場を提供し、中国としてこれを無視することはできないと判断したためであろう。日本はASEANと40年以上にわたって協力関係を築いており、アメリカと異なるルートでの働きかけが可能である。ミャンマーの軍事クーデターの際、期待したほどの成果を上げることはできなかったが、少なくとも交渉ルートを持つ意味は大きい。また、日本はインドネシアと「2+2」の枠組みを構築している。高速鉄道建設では煮え湯を飲まされた国ではあるが、人口規模や産業ではASEANの盟主であり、ASEAN諸国に対する影響力は無視できない。日本が、今後ともインドネシアに対する支援を拡大、充実させ、両国間の関係を強化することは、ASEANがインドネシアを中心として一体性を維持し、国際社会における影響力を確保することにつながる。ASEANの一体性を確保するための日本役割は決して小さくない。「インド太平洋地域」の中核地域に存在する南シナ海において、中国の独善的行動を規制するという観点から、ASEANの存在意義は大きい。一方で、あらゆる分野で米中対立が激化している環境下で、全ての問題に「コンセンサス方式」意思決定をすることは、もはや困難と言えよう。ASEANの一体性を確保する方法が「コンセンサス方式」の維持であるという呪縛から離れ、新たな方法を模索する時期に来ていると言えよう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/30 10:51 注目トピックス 経済総合 NYの視点:FRB人事交代による政策への影響は限定的との見解=ハーカー・フィリー連銀総裁 フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は政策の軌道はかなり明確だとの見解を示した。ダラス連銀のカプラン総裁やボストン連銀のローゼングレン総裁が相次いで、退任を表明したのちも金融当局の首脳の交代が潜在的な政策の大きな変更はないとの見方を示した。パウエル議長が任期満了を迎える前に、クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長は22年1月31日、クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長は21年10月13日任期満了となる。パウエル議長を除いて、バイデン大統領はクラリダ副議長やクオールズ副議長の再任をしないことをすでに発表済み。任期パウエル議長22年2月クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長:22年1月31日クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長:21年10月13日ハーカー総裁は現在、資産購入が景気をあまり支援していないとの見方で、11月にも資産購入縮小を開始し2022年半ばにも終了する計画を支持する考えを示した。利上げは2022年の終わりか2023年の初旬を予想している。8月は新型コロナウイルスの変異株流行が想定以上に消費に影響を与え、旅行サービス関連の回復を抑制。米国経済の7割を消費が占めるため、エコノミストは7−9月期、本年度の国内総生産(GDP)の成長見通しを引き下げた。しかし、ここにきて、連邦公開市場委員会(FOMC)が回復を抑制する要因として挙げていた新型コロナウイルスの変異株の感染が鎮静化しつつある。入国規制も緩和される方向にあるなど、米国経済の回復ペースが再び加速する可能性も出てきた。このことも、FRBの金融緩和縮小の軌道を正当化する。 <FA> 2021/09/30 07:39 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円は、レンジ相場となりそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アフリカランド円は、レンジ相場となりそうだ』と述べています。8月南フリカ消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.9%上昇しました。伸び率は前月の4.6%から加速し、南アフリカ中央銀行の政策目標(3~6%上昇)の中心値(4.5%)を4カ月連続で上回りました。南アフリカ中央銀行について、『23日の政策委員会で、主要政策金利を3.5%に据え置くことを決めた。5人の政策委員の全会一致。ハニャホ総裁は声明で、11月の次回会合で利上げを開始する可能性を示唆した。同行は、2021年の同国経済は想定以上に好調だとして、経済成長率の予測を従来の4.2%から5.3%に上方修正。22年は1.7%(従来予測2.3%)、23年1.8%(同2.4%)に引き下げた。今年の消費者物価上昇率の予測は4.4%と0.1ポイント引き上げ、22年は4.2%、23年は4.5%で据え置いた』とし、『総裁は「四半期予測モデル(QPM)では今年年第4四半期に0.25%、22~23年には四半期ごとの利上げが示されている」と述べ、年内に利上げに着手する可能性を表明。同行は11月18日に政策発表を予定している』と解説しています。陳さんは、『利上げ見通しは南アランドをサポートするものの、南ア政府による国民への現金給付計画は重石になろう』と述べています。続けて、『南アフリカでは、7月に貧困と過去最高の失業率などを背景に、330人以上もの死者を出すアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後で最悪の暴動が発生した。暴動の直接の原因はズマ前大統領が法廷侮辱罪で収監されたことだったが、貧困と新型コロナウイルスのパンデミックによって拍車がかかった。こうした背景から南ア財務省は今月、議会に対し、貧困を緩和するために現金給付を検討するよう要請した。ただ、南アではすでに、約1800万人が高齢者、育児支援、障害者向けの月次現金給付によって恩恵を受けている。失業率も高く国家財政がさらに圧迫されるため、南ア財政に与える影響は小さくない』と伝えています。南アランド円日足については、『一目均衡表の雲が上値抵抗ゾーンになっており、上値は重いだろう』と考察してみます。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『7.30円~7.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月28日付「南アフリカランド円今週の予想(9月27日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/29 18:09 注目トピックス 経済総合 メキシコペソ円は、堅調に推移しそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、メキシコペソ円について、『今週のメキシコペソ円は、堅調に推移しそうだ』と述べています。続けて、『30日に発表されるメキシコ中銀会合では、政策金利が現状の4.50%から0.25%引き上げられて4.75%に決定されると見込まれている。22日に米連邦準備制度理事会(FRB)が、年内にも量的緩和の縮小に着手し、2022年中の利上げ開始を示唆したため、メキシコも利上げすることが予想されている』と伝えています。また、『原油価格が堅調なことも産油国であるメキシコペソをサポートしよう。英石油大手BPは、ハリケーン「アイダ」の影響で稼働停止していたメキシコ湾にある4カ所の沖合生産施設について、全てが稼働を再開したと明らかにした』と言及しています。次に、『バイデン政権は9月にメキシコ政府とのハイレベル経済対話をワシントンで開催した。ハリス副大統領は会議冒頭で、「米国18州にとってメキシコが第1位、または第2位の輸出先で、毎日10億ドルの商品が国境を超えている」など、両国の経済関係の重要性を強調し、「メキシコの経済的な安定は、米国の利益にもつながる」と発言した。メキシコ経済が一段と米国経済に組み込まれていくことが予想されるが、景気回復が堅調な米国経済に並走する形で、メキシコ経済も成長していこう』と解説しています。メキシコペソ円日足については、『レンジ相場で推移している。直近高値の5.55円をブレイクできれば5.6円のレベルに上昇しよう。サポートは5.4円』と述べています。こうしたことから、陳さんはメキシコペソ円の今週のレンジについて、『5.40円~5.60円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の9月28日付「メキシコペソ円今週の予想(9月27日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/09/29 18:03 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.80%安でスタート、米長期金利の上昇加速などを警戒 29日の上海総合指数は売り先行。前日比0.80%安の3573.52ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時37分現在、1.03%安の3565.17ptで推移している。米長期金利の上昇加速や前日の欧米株安を受け、中国株にも売り圧力が強まっている。また、国慶節(建国記念日)連休で中国市場が10月1-7日まで休場となるため、積極的な買いも手控えられている。 <AN> 2021/09/29 10:43 注目トピックス 経済総合 IHIを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(29日10:15時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本郵船<9101>コール137回 11月 10,300円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 10月 1.0米ドル、イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドル、ビットコイン2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 月 51,000米ドル、イーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 月 3,700米ドルなどが見られる。上昇率上位はIHI<7013>コール37回 10月 3,300円(+95.4%)、IHIコール36回 10月 2,900円(+79.1%)、商船三井<9104>コール116回 11月 9,400円(+64.3%)、東日本旅客鉄道<9020>コール144回 10月 8,600円(+60.0%)、日本郵船コール137回 11月 10,300円(+51.2%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/29 10:26 注目トピックス 経済総合 コラム【アナリスト夜話】恒大集団問題の本当のリスク(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)(訂正) 週末の土曜日は劇場版「鬼滅の刃」のTV初放映で盛り上がったようですが、その裏で放送された中国「鬼城」のNHK・BSの特集も素晴らしい力作でした。「鬼城」とはゴーストタウンを意味し、デベロッパーが建設を中断したままのマンションや街並みを指します。特集では、鬼城の住人が自力で電気を通し、高層階までバケツで水を運びながら、逃げてしまった不動産会社や地方政府を相手に闘う様子を赤裸々に描いていました。そんな中で浮上したのが中国大手不動産会社・恒大集団の債務問題です。先週23日の利払い日には、国内債については支払ったものの、外債の利払いは未済です。外債には30日間の利払い猶予期間があるのでこれを利用したと思われます。 利息額は90億円程度と大きくもなく、中国企業の今後の海外資金調達のためにも、結局10/23までに支払うと想定します。しかし、その後も恒大の他の債券の利払いは続き、来年には社債満期も来ます。既に数万人もの個人投資家と代物弁済を協議している理財商品の整理も難題です。既に政府はアドバイザーを採用していると報じられています。ではどうなるのでしょうか。直近の事例としては、今年1月の海航集団(HNAグループ)の再生型倒産のケースがあります。今のところ、これに倣い、債務の整理を進めるというのがメインシナリオでしょう。ただ、HNAは総資産10兆円強(なぜか債権者の請求額はその後20兆円に膨張)。 今回はその3倍の33兆円で、日本の三井・三菱・住友の三大不動産会社が束になっても届かない規模です。しかもグループ組織図は、SECへの報告書で4ページにも亘る複雑さです。因みに、世界の事業会社の経営破綻(金融機関を除く)はワールドコムの11兆円が過去最大です。恒大の状況が明らかになってしまった以上、他の大手不動産会社の資金調達も当然懸念されます。それでなくても、中国では、今年に入り、1日に1件ずつ不動産会社が倒産しているとされます。しかも、不動産デベロッパーは、冒頭のように個人のお金を数年に亘り預かるという、金融機関的な側面も若干持っています。 中国は、持ち家比率が高く、しかも、3割の人が2戸以上の住宅を持っているという統計もあり、国民生活への影響は必至です。仮に、中国のGDPの4割を占める個人消費が10%減退したら、GDPは4%落ち込み、年間成長の大半を相殺してしまいます。恒大問題は、世界の市場に開かれていない点では第二のリーマンではありませんが、少なくとも中国の個人の生活への影響はリーマン級かそれ以上かもしれません。直ぐに「ショック」は起こさないとしても、世界経済や個別銘柄への影響はじわじわと来る可能性があります。そのマグニチュードはここからじっくり見極める必要があるのではと思います。マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那(出所:9/27配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <FA> 2021/09/29 10:12 注目トピックス 経済総合 NYの視点:パウエルFRB議長の進退に注目、金融緩和策の行方左右も 米連邦準備制度理事会(FRB)が11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の資産購入策縮小開始を発表し、早くて2022年の利上げを開始するとの軌道が少なくとも見え始めた。そんな中、2022年のFOMC投票権を得るボストン連銀のローゼングレン総裁は健康状の理由で、30日に退任する意向だと発表。続けて、ダラス連銀のカプラン総裁も10月8日付けで退任する意向だと発表した。FRBの規制内だが、開示により株式や不動産投資信託(REIT)の昨年の売買が明らかになり、一部批判が強まっていたことが背景となる。4席が空席となる。一部のストラティジストは2名の地区連銀総裁の退任後、FOMCがハト派寄りに傾斜するとの見解を示している。ローゼングレン総裁、カプラン総裁はともに2022年の利上げを予想していた。パウエル議長以外で、次期議長候補として有力とされるブレイナード理事は最近の高インフレが一過性要因によるものとの見方。労働市場に関しては、最大雇用の達成には欠けるが、資産購入縮小の条件を近く達成する可能性があると指摘。「資産購入縮小のタイミングを利上げの何のシグナルにならない」と強調し、労働市場も改善も遅いベースだと、利上げはまだ先と見ている。さらに、新型デルタ株が引き続き下方リスクを生む」と慎重な姿勢を見せている。FRBの人事次第で、金融政策の方向性が若干変わる可能性があり、動向に注目される。来年2月に任期満了を迎える共和党のパウエル議長は再任を巡り、今まで上院の支持を得ていた模様だが、2名の地区連銀総裁の突然の退任で、議員内の反対圧力が強まる可能性も否めない。FRBは独立機関だが、民主党のメンバーをFRB内でも増やし、人種問題や環境問題の解決を目指すバイデン大統領が議長の再任を拒む可能性は十分にある。 <FA> 2021/09/29 07:39 注目トピックス 経済総合 世界で加速する無人機(UAV)活用に注目【実業之日本フォーラム】 2021年9月22日、CNNは、「米国航空機大手ボーイング社は、オーストラリア東部トゥーンバに、米国以外で初めて無人戦闘機の最終組み立て工場の新設計画を発表した。米国の大手航空機製造メーカーは、かつて全ての製品を米国内で製造していた時代もあったが、国外で製品を製造するのは人件費削減、外国への製品の納期の短縮や経費削減を図るためだ」と報じた。豪州は、9月14日に米英と新インド太平洋安全保障同盟「AUKUS(オーカス)」を創設しており、今回の決定は、米英豪関係緊密化の更なる梃となるであろう。ボーイング社は、9月14日に無人給油機MQ-25「スティングレイ」が、米海軍F-35C「ライトニングII」への空中給油に成功したと発表した。これに先駆け6月7日にはF/A-18「スーパーホーネット」に対し、8月19日にはE-2D「ホークアイ」に対し空中給油を成功させている。また、アメリカ空軍研究所は、3月下旬に亜音速自律無人戦闘機XQ-58A「ヴァルキリー」の飛行試験において、機体内部の兵器格納庫から攻撃兵器「ALTIUS-600」の射出成功という攻撃能力や、「gatewayONE」という通信ツールによる第5世代のF-22とF-35戦闘機間のデータ通信などの通信中継機能確立に成功している。その他、米空軍は、2009年段階で120機のMQ-1「プレデター」、2015年には、MQ-9「リーパー」340機を調達し、無人航空戦力の充実を図っている。航空自衛隊は8月24日から3日連続で、中国の無人機に対してスクランブル発進を行った。背景として、沖縄南方海域で行われた英空母「クイーン・エリザベス」を中核とする打撃群と海上自衛隊との共同訓練や、米、印、豪と海上自衛隊による「マラバール21」共同訓練に対する情報収集を行った可能性が指摘されている。ここで特筆すべきは、TB-001とBZK‐005という無人機2機種がY-9情報収集機とともに、初めて宮古海峡を通過し、太平洋側に進出してきたことが確認されたことだ。また、令和2年度防衛白書は、「中国は2019年10月の建国70周年軍事パレードにおいて、攻撃型ステルス無人機とされるGJ-11と呼称される機体や、高高度高速無人偵察機WZ-8と呼称される機体が展示された。中国は小型無人機を多数使用する『スウォーム(群れ)』技術の向上も見積もられている。このような航空戦力の近代化状況などから、中国の、より遠方での戦闘支援可能な能力や情報収集能力の向上を着実に進めている」と指摘している。さらに、2021年9月28日から開催される中国珠海での航空ショウにおいて高高度無人機「無偵WZ-7」が初披露される予定だと報道された。では、世界で加速する無人機(UAV)の状況について概観してみよう。イスラエルは、これまで米国と1、2位を争う無人機大国であった。非常に厳しい戦略環境下で、国民の人口が少ないイスラエルは、兵士の損耗を極減しながら戦闘目的を達成しなければ国家成立要件の一つである国民そのものが枯渇してしまうという状況だったからであろう。イスラエルは1970年代から無人機の開発を開始し、現在では米国や中国と並ぶ世界有数の無人機製造国であり、輸出国である。ストックホルム国際平和研究所の調査によると1985年から2014年までの国別の無人機の輸出割合において、イスラエルは約60%を占め世界1位であった。新聞報道等によると、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争においてイスラエルの無人機IAI(Israel Aerospace Industries)社製「ハーピー」「ハーピーNG」等の徘徊兵器(標的の周辺を長時間飛び回り、設定された条件を満たした目標に特攻する小型の無人兵器をいう:IAI公式サイト)がレーダーサイト等への自爆攻撃により防空網を破壊したと言われている。また、トルコでは「バイラクタルTB2」無人機を製造しているが、ロイターによると、ナゴルノ・カラバフ紛争での「バイラクタルTB2」無人機活躍を受けて、アルバニア、ポーランド、ラトビア等から調達要望が殺到しており、ウクライナ、カタールはすでに入手していると報道された。米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「カラシニコフAK-47を彷彿とさせる売れ行きだ」と称賛、また、フランスのル・モンド紙は「トルコ製UAVは飛ぶように売れる。たった数年でトルコは米国、イスラエル、中国に追いつきそうな勢いをみせた」と表現した。トルコの地元メディア、サバ紙によると、「バイラクタルTB2」を製造したバイカル社は、亜音速のジェット無人戦闘機「MIUS」の研究開発を進め、2023年に初飛行を計画しているとのことである。「MIUS」は、空対空ミサイル、空対地巡航ミサイル、精密誘導兵器等を約1.5トンまで搭載でき、スキージャンプ台のような離発着装置を備えた強襲揚陸艦「アナドル」から発着艦可能な兵器となるとのことである。トルコも着々と新型の無人機開発に乗り出している。世界で、様々な機能や兵装を有した無人機(UAV)の開発や運用が進む中、日本では、2021年3月18日、航空自衛隊三沢基地に「臨時偵察航空隊」が新編され、今後調達されるRQ-4「グローバル・ホーク」の運用開始に向け、地上構成品、整備用機材、受入施設などを整え、隊員約70名体制で新たな一歩を踏み出した。防衛省は、31中期防衛力整備計画において「空中での常続的監視が実施できる無人機部隊の新編」を掲げ、すでにFMS(Foreign Military Sales「有償援助」)を通じて米国政府から3機のRQ-4「グローバル・ホーク」無人機及び関連設備等の調達を行い、いよいよわが国での無人機の運用が始まろうとしている状況である。世界の航空戦闘は無人機(UAV)やロボット兵器化へと進んでいる。わが国周辺においても、無人機大国でもある中国の無人機による周辺海域での運用が確認され、今後ますますその頻度が増加することが予想される。わが国は、今後の無人機活用時代に備え、法整備や運用面の手続きなど、不具合のないよう準備しなければならない。自衛隊法84条の「領空侵犯措置」において、無人機への対応は十分なのか、不十分であれば何を補わなければならないのか。また、現場における対応も手順や意思疎通は確立しているだろうか。不具合事案が発生してから右往左往するのではなく、あらゆる事態を想定した万全の体制の構築を期待したい。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:USAF/Cover Images/Newscom/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/28 16:00 注目トピックス 経済総合 野村総合研究所を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(28日10:02時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 10月 1.0米ドル、イーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,900米ドル、JFEホールディングス<5411>コール153回 月 2,050円、ビットコイン2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 46,000米ドルなどが見られる。上昇率上位は野村総合研究所<4307>プット32回 10月 3,600円(+44.4%)、日本郵船<9101>プット119回 10月 5,400円(+40.0%)、アドバンテスト<6857>プット190回 10月 9,200円(+34.7%)、日本郵船プット122回 11月 7,900円(+29.1%)、アドバンテストプット189回 10月 7,800円(+26.1%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/28 10:22 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米9月ダラス連銀製造業指数は予想外に悪化、コスト上昇や人手不足が主要な課題 最新の米9月ダラス連銀製造業活動指数は4.6と、8月9.0から上昇予想に反し低下し昨年7月来で最低となった。重要な項目である新規受注が減少。回答者によると、ビジネスがコロナ以前の水準に回復する兆候が見られているという。ただ、材料費の高騰で販売価格引き上げに繋がると指摘。また、需要増加に十分な人員が確保できず、人手不足、材料の不足や価格高騰が依然主要問題となっていると指摘されている。■9月ダラス連銀製造業活動指数:4.6(8月9.0)見通し:-2.8(11.5)生産:24.2(20.8)設備稼働:24.5(21.7)新規受注9.5(15.6)受注伸び率:2.5(10.7)Unfilled orders:14.9(22.6)Shipment:18.7(15.2)Delivery time:21.4(19.5)原材料仕入れ価格:80.4(74.9)販売価格:44(38.1)賃金:42.7(43.4)雇用:26.3(21.9)週労働時間:20.4(24.3)見通し不透明性:23.3(21.1)6カ月先ビジネス活動:11.5(15.1)見通し:12.7(17.6)生産:41.8(44.3)設備稼働:31.9(38.1)新規受注33.4(40.7)受注伸び率:25.9(29)原材料仕入れ価格:55.3(55.7)販売価格:44.6(39.8)賃金:50.4(60.6)雇用:49.8(44.5)週労働時間:18.6(13.9) <FA> 2021/09/28 07:40 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.36%高でスタート、人民銀の資金供給スタンスを好感 27日の上海総合指数は買い先行。前日比0.36%高の3625.96ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時53分現在、0.11%高の3617.16ptで推移している。中国人民銀行(中央銀行)の資金供給スタンスが好感されている。一方、不動産大手の中国恒大集団をめぐる不透明感が解消されていないことが引き続き足かせになっている。 <AN> 2021/09/27 11:03 注目トピックス 経済総合 東日本旅客鉄道を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(27日10:01時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドルなどが見られる。上昇率上位は東日本旅客鉄道<9020>コール144回 10月 8,600円(+50.0%)、東海旅客鉄道<9022>コール36回 10月 19,000円(+50.0%)、東日本旅客鉄道コール143回 10月 7,500円(+45.1%)、東海旅客鉄道コール35回 10月 16,500円(+43.7%)、東日本旅客鉄道コール148回 11月 9,600円(+38.9%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/27 10:12 注目トピックス 経済総合 NYの視点:今週の注目:パウエルFRB議長とイエレン財務長官の証言、PCEコア、GDP、債務上限問題、ECB 短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前々週からさらに減少し1カ月ぶり低水準となった。ポンドは再び売り持ちに転じた。英中銀が金融政策決定会合で、速やかな利上げを示唆し投資家のポンドの買戻しが強まった。先週は引き続き、中国恒大のドル建て社債利払いの行方を睨む。また、米国の政府機関閉鎖を回避するつなぎ融資案可決期限を30日に迎える。予算案がまとまらず米国の債務上限が引き上げられなければ、10月にも米国連邦政府は機関閉鎖の危機に直面するため、行方には引き続き注目が集まる。また、パウエルFRB議長とイエレン財務長官が上下院でパンデミック救済策に関する証言を予定しており、注目材料となる。欧州中央銀行(ECB)はフォーラムを開催。ラガルド総裁をはじめ、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、日銀の黒田総裁、英中銀のベイリー総裁が参加予定で、パンデミックを受けた各国の大規模緩和の行方などを探るために発言に注目される。FRBは9月連邦公開市場委員会(FOMC)で大規模緩和維持を決定すると同時に、資産購入縮小の条件が整い速やかに開始、2022年の利上げの可能性を示唆した。11月の会合で資産購入縮小開始が発表されることがほぼ織り込まれつつあり金利の上昇やドル買いにつながっていた。しかし、FRBのパウエル議長は24日に開催した「FED Listens」イベントで、現在進行しているようなサプライチェーンの問題は見たことがなく、「人手不足、スラックが共存した経済は今までなかった」と、不透明性が依然存続することを指摘しており、11月のテーパーは決定事項ではないことも証明された。日本では新型コロナウイルスの変異株流行が収束できずに、回復に引き続き影響を与えると見られ、緩和策の解消開始は先進諸国の中で、最後となる可能性が強く、円売り要因となる可能性がある。さらに、ドイツ総選挙、自民党総裁選投開票が予定されている。ドイツでは16年間首相を務めたメルケル氏の後任が選出される。■今週の主な注目イベント●米国27日:8月耐久財受注、9月ダラス連銀製造業活動指数、ブレイナードFRB理事、エバンス・シカゴ連銀総裁NABEで講演、ウィリアムズ米NY連銀総裁がNYエコノミッククラブで討論会28日:8月前渡商品貿易収支、8月卸売在庫、7月FHFA住宅価格指数、S&P20都市住宅価格指数、9月消費者信頼感指数、9月リッチモンド連銀製造業指数、イエレン財務長官がNABEで講演、エバンス・シカゴ連銀総裁が挨拶、ボスティック米アトランタ連銀総裁が経済見通し討論、ブラード・セントルイス連銀総裁が米経済・金融政策を討論、ボウマンFRB理事が講演パウエルFRB議長と、イエレン財務長官上院銀行委でパンデミック救済策に関し証言29日:8月中古住宅販売仮契約、ボスティック米アトランタ連銀総裁講演パウエル議長がECBのフォーラム参加30日:新規失業保険申請件数、4−6月期GDP確定値、シカゴPMI、FRBのパウエル議長と、イエレン財務長官が下院でパンデミック救済策に関し証言、ウィリアムズ米NY連銀総裁がFRBのパンデミック救済策を討論、ボスティック米アトランタ連銀総裁が講演、エバンス・シカゴ連銀総裁が経済見通しに関し討論、ブラード・セントルイス連銀総裁が開催あいさつ、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が討論会参加政府機関閉鎖を回避するつなぎ融資案可決期限10月1日:8月PCEコアデフレーター、9月製造業PMI、9月ミシガン大消費者信頼感指数、9月ISM製造業景況指数、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が経済見通しを討論、メスター・クリーブランド連銀総裁がインフレや雇用に関し討論●ユーロ圏26日ドイツ総選挙28日:ラガルドECB総裁がECBフォーラムで講演29日:ユーロ圏消費者信頼感30日:ユーロ圏、独、伊失業率、仏、独、伊CPI1日:ユーロ圏CPI、仏、ユーロ圏、独PMI●日本29日:自民党総裁選投開票、黒田日銀総裁が討論会に参加●英国29日:ベイリー英中銀総裁がECBフォーラムで講演30日:GDP1日:製造業PMI●中国30日:財新製造業・非製造業PMI <FA> 2021/09/27 07:37 注目トピックス 経済総合 国内外の注目経済指標:7-9月期日銀短観の改善は期待薄か 9月27日-10月1日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。■27日(月)午後9時30分発表予定○(米)8月耐久財受注-予想は前月比+0.6%参考となる7月実績は前月比-0.1%。民間航空機・同部品の受注減少が主な要因。民間航空機以外の受注は強弱まちまち。8月については、民間航空機の受注増は期待できないこと、自動車・同部品や金属、機械の受注は減少する可能性があるため、全体的には前月比マイナスとなる可能性がある。■28日(火)午後11時発表予定○(米)9月CB消費者信頼感指数-予想は115.0参考となる8月実績は113.8。新型コロナウイルスの感染再拡大が警戒されていること、雇用、インフレ見通しは不透明であることから、信頼感指数の大幅な改善は期待できない。8月実績並みの水準にとどまる見込み。■10月1日(金)午前8時50分発表予定○(日)7-9月期日銀短観概要-予想は大企業製造業DIは13参考となる4-6月期実績は14。米国の景気拡大や世界的なIT需要の増加により、製造業は輸出の増加を起点に景況感が大きく改善した。7-9月期については、外部環境の改善が続いているが、新型コロナウイルスの感染流行は終息していないことから、DIの変化幅は横ばいか、若干マイナスとなる可能性がある。■10月1日(金)午後9時30分発表予定○(米)8月コアPCE価格指数-予想は前年比+3.6%参考となる7月実績は+3.6%。インフレ加速を示唆するデータは増えていないが、一部で供給不足の状態が続いており、前年比では+3%超の水準を維持する見込み。○その他の主な経済指標の発表予定・9月28日(火):(米)7月S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数・9月30日(木):(中)9月製造業PMI、(中)9月非製造業PMI、(欧)8月ユーロ圏失業率、(米)4-6月期国内総生産確定値・10月1日(金):(日)8月失業率、(欧)9月ユーロ圏消費者物価指数、(米)9月ISM製造業景況指数 <FA> 2021/09/25 14:34 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.12%安でスタート、不動産の不透明感が完全に払しょくできず 24日の上海総合指数は売り先行。前日比0.12%安の3637.87ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時56分現在、0.15%安の3636.92ptで推移している。デベロッパー大手である中国恒大集団をめぐる不透明感が完全に払しょくされていないことが引き続き足かせになっている。一方、中国人民銀行(中央銀行)による流行性の供給や海外株高などが指数を下支えしている。 <AN> 2021/09/24 11:02 注目トピックス 経済総合 血の紐帯(2)−AUKUSが安全保障に与える影響−【実業之日本フォーラム】 本稿は「血の紐帯(1)−AUKUSが安全保障に与える影響−【実業之日本フォーラム】」の続編となる。アメリカにとってAUKUSは、対中国包囲網の兵力補完として、イギリスにとってはBREXIT(EU離脱)を経て、「Global Britain」をめざすための太平洋における拠点確保という観点から、メリットが大きい。今回の合意に基づき、原子力潜水艦の設計、製造、訓練、核燃料の保管、使用済み核燃料の処理等の問題の検討を、今後18か月以内に終える計画である。AUKUSが乗り越えなければならない試練は、これら技術上のハードルだけではない。周辺諸国から理解を得ることを忘れてはならない。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、豪モリソン首相に対し、原子力潜水艦のニュージーランド領海への侵入は容認しないと伝えている。ASEANは1997年に発効した「東南アジア非核兵器地帯条約」を締結しており、原子力潜水艦の建造を進めるAUKUSを歓迎するような環境にはない。マレーシア首相は、インド太平洋地域の軍拡と核兵器の拡散を、インドネシア外相は軍拡競争と軍事力の誇示に対する懸念をそれぞれ示している。一方、シンガポールのリー・シェンロン首相は、AUKUSが地域の平和と安定に寄与することを期待するとともに、地域の枠組みを補強する役割を果たすことを望むと述べている。周辺諸国は、AUKUSの枠組みで中国との軍事的対立が激化することを歓迎していないことは明らかである。また、インドネシアが「軍事力の誇示」を懸念するとしているのは、オーストラリアの原子力潜水艦保有は、自国にとって脅威となり得るとの認識を示すものであろう。周辺諸国から懸念を生まないように、一定程度の透明性を持った原子力潜水艦の整備及び運用が望まれる。日本にとってAUKUSの創設には期待と懸念の双方がある。加藤官房長官は9月16日の記者会見で、「インド太平洋地域の平和と安全にとって重要だ」と歓迎している。QUADの一員であるオーストラリアの軍事力が向上することは、QUADの対中抑止力が強化されることにつながる。加藤官房長官が歓迎するとしたのはAUKUSのこの点を評価したものである。一方日本が懸念するは次の三点と考えられる。第一に、米豪と仏の対立が激化した場合、欧州正面におけるNATOの結束が弱まることになり、ロシアの強圧的な外交姿勢への対抗に亀裂が入る。北方領土問題を抱える日本にとって、欧州方面におけるNATOを中心とする対ロ圧力の変化は、日ロ交渉におけるロシアの姿勢に大きく影響する。欧州方面におけるNATOの圧力が減少した場合、ロシアが対日交渉を強気に進めてくる可能性は否定できない。次にインド太平洋方面におけるフランスのコミットメントの低下である。今年5月に日米豪仏4か国による共同訓練「ARC21」が実施された。日本からは、陸海及び空自が参加し、防空戦や着上陸訓練が実施されている。フランスは、太平洋方面に仏領ポリネシアをはじめ多くの域外領土を保有しており、インド太平洋方面に空母シャルル・ド・ゴールを派遣するなど積極的に関与する姿勢を示している。米豪と仏の対立はこの協力の枠組み推進に竿さすものである。QUADの枠組みに、他の国を加える「拡大QUAD」が検討されているが、フランス及びイギリスを加えた拡大QUADについて調整を進め、英仏のインド太平洋へのコミットメントをつなぎ止める必要がある。最後は、韓国の原子力潜水艦建造に与える影響である。2020年8月に韓国国防部が公表した「2021~2025国防中期計画」には、空母に加えて4,000トン級新型(原子力)潜水艦3隻が含まれていた。韓国が原子力潜水艦を建造するためには、米国からの技術供与が不可欠である。2017年9月に行われた米韓首脳会談で、文大統領は、トランプ前大統領に、「北朝鮮に対し圧倒的な軍事力優位を維持する一環として、原子力潜水艦建造に対する協力を求めた」と報道されている。今年9月に潜水艦から弾道ミサイル発射試験を成功させた韓国にとって、原子力潜水艦の保有は悲願と言える。オーストラリアには原子力潜水艦の技術を供与するのに、同じ同盟国である韓国にはしないのかという問いに答えるのは難しい。オーストラリアは特別とした場合、「やはりアングロサクソンという血筋」を大事にするのかとの議論が起こり、韓国内に反米感情や米韓同盟破棄論が起こってくるであろう。日本にとっても、必ずしも意思疎通が十分実施できない韓国の原潜が日本周辺を行動することは、探知した場合の識別に時間がかかるという点も含め、自衛隊の運用に必ずしもいい影響は与えない。さらには、日韓の軍事力バランスが大きく変化し、日韓関係がさらに悪化する可能性も否定できない。今回創設されたAUKUSの対中国牽制上の役割は大きい。アメリカはフランスの反発をある程度は織り込み済みであったと推定できるが、ここまで強烈とは見ていなかった可能性が高い。米軍のアフガニスタン撤退で生まれた、同盟国のアメリカに対する信頼低下を助長させるという点も指摘できる。すでにNATO高官から、今回のAUKUS創設は同盟国軽視、ロシアに対する警戒感不足であるとの見解が示されている。アメリカが今後とも世界のリーダーとして世界秩序をけん引していこうとするのであれば、大使召還というカードまで切ったフランスをいかになだめるかが大きなカギとなるであろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:UPI/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/24 10:58 注目トピックス 経済総合 血の紐帯(1)−AUKUSが安全保障に与える影響−【実業之日本フォーラム】 2021年9月15日、米大統領府は、オーストラリアのモリソン首相、イギリスのジョンソン首相及びアメリカのバイデン大統領のAUKUS(Australia, United Kingdom, United States)創設に関するテレビ会議方式による共同会見を放送した。この枠組みは、軍事技術に係る協力を推進することが主体であり、最初の取り組みとして、オーストラリア原子力潜水艦8隻の取得に協力することが挙げられている。他の協力分野として、サイバー、人工知能、量子工学及び海中工学が示されている。米英豪三国首脳の発言として共通するのは、この取り組みが新たな枠組みであることに加え、三国の特殊なつながり(紐帯)を強調していることである。モリソン首相は、三カ国は長い間、同じレンズで世の中を見てきたとし、バイデン大統領は、この三カ国は過去百年以上にわたり、肩を並べて戦ってきたと述べている。米英豪の三カ国は、情報共有の国際的枠組みである「5Eye’s」の加盟国であり、アングロサクソン国家という共通点を持つ。今回のAUKUS設立によって、オーストラリアがフランスの造船会社と締結していた総額700億ドルにも上る「Attack級通常型潜水艦12隻」の契約が解除された。フランス政府は何ら事前交渉のない突然の決定であるとして強く反発、9月17日には駐米豪フランス大使の召還を伝えている。AUKUS設立は、単なる軍事技術協力の枠を超え、米国を中心とする同盟体制を危機に陥れる危険性をはらんでいる。今後の安全保障環境に与える影響について考えてみたい。準軍事的視点から見た場合、原子力潜水艦の能力は、通常型潜水艦の能力をはるかに凌駕する。例えば、オーストラリア南部のアデレードから南シナ海までは、ロンボク海峡を通過すると約4,500海里(約8,300キロメートル)である。燃料補給の必要がない原子力潜水艦は平均20ノット程度で航行可能であり、10日間もかからずに南シナ海に到達できる。一方通常型潜水艦は12ノット程度の巡航速力が精一杯であり、15日間以上を要する。無補給(原子力潜水艦の場合は、主として食糧)行動が30日間程度と考えると、原子力潜水艦は10日間南シナ海における行動が可能となるのに対し、通常型潜水艦は、途中で補給しない限り南シナ海における活動は不可能となる。さらに、通常型潜水艦は定期的にバッテリーを充電する必要があるため、哨戒機等により発見されやすいという脆弱性も指摘できる。従って注目すべき点は、オーストラリアは2016年にフランスの会社と契約を結んだ際、なぜ原子力潜水艦ではなく、通常型潜水艦を選択したのかである。原子力潜水艦は通常型潜水艦よりも高価であり、予算の制約が大きかったことは確かである。しかしながら、最も大きな変化は、原子力に関するオーストラリア政府の方針転換である。オーストラリアはウラン埋蔵量が世界最大と言われているが、国内法で商業用原子力発電所の建設と運転を禁じている。しかしながら、2019年に温室ガス削減の観点から原発の有用性が提唱され、原子力に対するオーストラリア国民の見方もポジティブに変わりつつある。このような原子力に対する国民の見方の変化に加え、中国への対抗、さらには、通常型潜水艦導入に関し、経費の高騰や計画の遅延といったフランス政府への不信感が、今回の決定の裏にある。9月19日、モリソン首相は、フランスの批判に反発、フランスは計画の破棄に気づいていたはずだと述べている。フランスの造船会社による潜水艦建造が遅れていることは、再三にわたり報道されていた。今年6月、フランスのフィガロ紙は、オーストラリア政府が潜水艦に関し、「プランB」(代替計画)を真剣に検討していると伝えている。筆者も個人的には、このままだと、日本製の潜水艦が代替潜水艦として選ばれる可能性があるのではないかと考えていた。米豪に強烈に反発しているフランスではあるが、自国の取り組みやオーストラリアの危機感に対する見通しが甘かったことも反省すべきであろう。AUKUS創設に当たり、安全保障上最も留意しなければならないのは、この枠組みが、アングロサクソンという血の紐帯を彷彿させることである。今回三カ国の首脳が記者会見の発言でそれぞれ歴史に敷衍したことは、その懸念を増幅させる。「5eye’s」という情報共有に加え、最先端技術の共有もアングロサクソンの中で進めるのではないかという疑念が広がった場合、従来米国が進めてきた「共通の価値観を持つ国々との協力」という中に、排他的なグループが形成されるとの見方が広がりかねない。アメリカと同盟又は安全保障上の枠組みを持つ「非アングロサクソン」国家が、いざとなったらアフガニスタンのようにアメリカに見捨てられるかもしれないという危惧を持つことが最も懸念される。フランスの米豪に対する強い反発は、豪・EU自由貿易協定を阻害することや、逆に中・EU自由貿易協定を促進するような動きにつながるということも指摘されている。中国は一帯一路政策の下、欧州における影響力拡大に努めてきたが、最近では、その強引な手法や新疆ウィグル地区における人権問題への懸念から、その勢いに陰りが見え始めている。中国が、今回の米豪とフランスの対立を利用し、欧州における影響力拡大を再度活性化しようとすることは確実である。フランスが、振り上げたこぶしを静かに下すことのできるような情勢を作ることは、対中国を目指すAUKUSの責務であろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:UPI/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/09/24 10:56 注目トピックス 経済総合 金リンク債を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(24日10:10時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはイーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー2回 11月 4,300米ドル、イーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 月 3,700米ドル、エヌビディアコール124回 月 220米ドル、ビットコイン2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 46,000米ドルなどが見られる。上昇率上位はニアピン米ドルr2 1319回 10月 112円(+91.7%)、金リンク債プット307回 10月 1,700米ドル(+85.2%)、金リンク債プット311回 11月 1,550米ドル(+80.0%)、銀リンク債プット66回 11月 18米ドル(+50.0%)、金リンク債プット312回 11月 1,700米ドル(+46.3%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/24 10:36 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米新規失業保険申請件数は予想外に2週連続増、パンデミックの影響根強い 労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(9/18)は前週比+1.6万件の35.1万件となった。前週から減少予想に反し増加し、8月来で最大となった。失業保険継続受給者数(9/11)も284.5万人と、前回271.4万人から減少以上に反し増加した。政府の財政支援策が失効したため、失業者支援プログラムの総受給者数は85.6万人減の1125万人。ハリケーンアイダの影響を受けた前週からの調整で、エコノミストは今週分の申請件数が改善が期待されていたが、予想外の2週連続の増加となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も警告している通り労働市場には依然かなりのスラックが存続していると見られる。また、新型コロナウイルスの変異株流行が一部のセクターでの経済活動再開を抑制している。そのほか、サプライチェーンの混乱で材料不足などから、自動車工場の閉鎖なども目立っており、パンデミックの影響が根強い。ただ、変動の少ない4週平均は33.5万件と、前週から小幅減少した。失業保険継続受給者数の4週平均は280万人と、前週から1.5万人減少。パンデミック以前は173万人だった。今週は9月雇用統計の非農業部門雇用者数に含まれる最終週。いくらか、雇用の伸びが抑制された可能性も出てきた。パウエル議長は9月の雇用統計が妥当な結果となった場合、早くて11月にも資産購入規模の削減も可能だとの考えを示していたが、11月の決定は現状で微妙となる。 <FA> 2021/09/24 07:34 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.63%高でスタート、不動産大手のデフォルト不安が後退 23日の上海総合指数は買い先行。前日比0.63%高の3651.27ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時53分現在、0.85%高の3659.15ptで推移している。中国恒大集団のデフォルト不安の後退が引き続き好感されている。また、年内の利下げ期待が根強いことも引き続き支援材料。外部環境では、米金融緩和の継続が外資の流出懸念を緩和させている。なお、連邦準備制度理事会(FRB)は市場の予想通り連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利や資産入策の据え置きを決定した。 <AN> 2021/09/23 10:59 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は1.40%安でスタート、連休中の海外株安を警戒 22日の上海総合指数は売り先行。前日比1.40%安の3563.21ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時59分現在、0.51%安の3595.63ptで推移している。連休中の海外株安が警戒され、中国株にも売り圧力が強まっている。また、鉄鋼や鉄鉱石価格の下落も対象銘柄の圧迫材料。一方、米中関係の一段悪化懸念の後退などが指数をサポートしている。 <AN> 2021/09/22 11:04 注目トピックス 経済総合 伊藤忠商事を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(22日10:26時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしては日経平均プット1825回 10月 25,500円、イーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,900米ドル、ビットコイン2021年10月 プラス5倍トラッカー3回 月 39,500米ドル、金リンク債 プラス5倍トラッカー47回 月 1,750米ドルなどが見られる。上昇率上位は伊藤忠商事<8001>プット104回 10月 2,750円(+37.0%)、伊藤忠商事プット105回 10月 3,250円(+35.0%)、銀リンク債 プラス5倍トラッカー29回 11月 23米ドル(+32.6%)、三井不動産<8801>コール151回 10月 3,000円(+27.3%)、日本ガイシ<5333>プット42回 10月 1,750円(+26.9%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/22 10:53 注目トピックス 経済総合 アフガン退避、成否を分けた紛争国の相場観(2)【実業之日本フォーラム】 本稿は、『アフガン退避、成否を分けた紛争国の相場観(1)』の続きである。4.成否を分けた紛争国の「相場観」今回のアフガン退避オペレーションで、NATO加盟国や韓国が自国民のみならずアフガニスタンの協力者も含め退避を実施できた一方で、日本はアフガン人協力者を退避させられなかった。その成否を分けたのは、米欧などNATO加盟国や韓国と比べた時、日本が国家として、アフガニスタンという紛争国の「相場観」を欠いていたためではなかったか。武漢にはチャーター機が派遣できた。南スーダンには自衛隊がPKOとして展開していたし、衝突から数日後には事態が鎮静化し始めた。しかしアフガニスタンでは反政府武装勢力タリバンが首都カブールを瞬く間に制圧し、群衆が国際空港の滑走路まで押し寄せた。ここで日本ができたことは、米英の支援を受けつつ大使館員を一時退避させること、まずはそれが精一杯だった。しかし米国をはじめ各国は、国家として、この危機にほぼ共通した相場観を持って対応したように見える。つまり、8月末の米軍撤退期限は迫っており、タリバンがカブールを制圧し混迷が深まる中、時間が経てば状況はさらに悪化する。しかも混乱に乗じてIS-Kがテロ攻撃を仕掛けてくるのも時間の問題だろう。カブールの土地勘に基づく、そうした相場観があったのではないか。だからこそ、いち早く自国軍の輸送機を展開し、自国民およびアフガン人協力者の退避に動いた。日本も現場では同様の相場観を持っていたのかもしれない。カブール陥落が迫る中、東京では外務省と防衛省が連携を続け、8月14日には自衛隊機派遣も検討されていたという。しかし急転直下、8月15日のカブール陥落という現実を目の当たりにし、その検討は止まってしまった。足かせとなったのは自衛隊機派遣の要件である厳しい法的制約だった。在外邦人等の輸送について定めた自衛隊法84条の4は「輸送を安全に実施することができると認めるとき」でなければ自衛隊機の派遣を認めていない。カブール国際空港では離陸する軍用機につかまって振り落とされる人々まで出ていた。これでは、とても自衛隊法が求める「安全」が確保されているとは言い難い。そう政府内で判断されても仕方ない状況が生じていた。しかも、もし派遣された要員に万が一のことがあれば、政府が国会で追及を受けることは間違いなく、支持率の下落が続いていた菅政権には大きな痛手となっていただろう。政治的にも慎重な判断を余儀なくされた。しかし、「安全」でなければ邦人や現地の協力者を退避させられないという現行法のままでは、将来、台湾や朝鮮半島をめぐり起こり得る有事において、政府はふたたび慎重になり、最悪、立ちすくんでしまうのではないか。これまで自衛隊は内閣官房、外務省などと連携し「在外邦人等保護措置訓練」を実施してきた。派遣に備え待機部隊もあらかじめ指定していた。有事において邦人、そしてかけがえのない仲間である現地の人々を救出するため、自衛隊機を展開する退避オペレーションが、より機動的に実施できるよう、自衛隊法や運用の見直しが必要であろう。5.アフガン人現地職員の退避が外交に及ぼすインパクト日本という平和な島国で、戦争のリアリティを感じることは少ない。銃声を聞くことはもちろん、街中で銃を見ることは、まずない。紛争地を経験した人も少ない。難民も少ない。紛争国の現地職員や通訳の重要性や、ひとたび政府が崩壊すれば彼らが命の危険にさらされる現実について、今回をきっかけに知った人も多いのではないか。カブール陥落前に、邦人はともかく、何としてでも日本に関わりのあるアフガン人も救出しなければという思いを持つ人は限られていた。現行の自衛隊法では、退避を希望する日本人が一人もいない場合、現地の協力者等のみを退避させることはできない。しかし、危機時に現地職員など協力者を退避させられないことは人道的に問題があるのみならず、国益を損なう。現地職員にすれば、日本政府は有事に助けてくれないのではないか、見捨てられるのではないかとの不安を持つからである。紛争国で現地職員の協力が得られなければ、日本の活動は大きく制約される。G7のうち日本以外の6か国、そしてトルコや湾岸諸国が大使館の現地職員など多くのアフガン人を退避させ、日本が後手に回ったことは、これからのアフガニスタンをめぐる外交にもボディブローのように効いてくるだろう。9月6日、米国のブリンケン国務長官はオースティン国防長官とともにカタールを訪問し、退避オペレーションへの協力に謝意を示した。さらに9月8日、ブリンケン国務長官はドイツのラムシュタイン米空軍基地を訪れ、マース独外相とともに、アフガン情勢をめぐるオンライン閣僚会合を共催した。22か国の外相とEU外務・安全保障上級代表、NATO事務総長、国連事務次長が出席した。トランプ政権はドイツの駐留米軍を大幅に削減する方針を示していたが、その時から一転、アフガン退避を機に、米独外相が共催したこの会合は、米独関係の深まりを象徴する出来事となった。さらに、この会合はアフガンからの出国を希望する人々が安全に移動できるよう、タリバン、そしてアフガンに残された人々に対してもメッセージを発信する機会となった。振り返れば2001年11月、当時のタリバン政権が崩壊したあと、ドイツは和平会議を誘致した。これを米国や隣国など周辺国が支持し、アフガン国内の北部連合や亡命アフガン人組織も巻き込んで、ドイツ政府はボン和平会議を開催した。ドイツは「議論の場を主催する力(convening power)」を発揮した。最近のアフガン情勢をめぐるドイツを見ると、当時の動きが思い出される。このようにアフガニスタンをめぐる外交は活発に動いている。また、アフガン内政やタリバンの動向、IS-Kによるタリバンを狙った攻撃などに関する情報収集と分析も大切である。アフガンから欧米や湾岸諸国へ退避した各国の現地職員は、引き続き情報分析や外交を支えているのだろう。また、すでにジャーナリストや国連職員が、一時退避先からカブールに戻り始めている。国連の幹部も次々とカブールを訪問している。アフガニスタンをめぐる外交や人道支援、メディアの動きが活発だ。日本大使館も、いまは臨時事務所をドーハに構えているが、そのうちカブールに戻ることになるだろう。カブールには、危険を承知でアフガニスタンに残り、日本のために引き続き働きたいというアフガン人職員もいるだろう。一方で、一刻も早く退避したい、あるいは家族だけでも退避させてほしいと願う人も多いはずだ。そうした現地職員の声に応えることができなければ、日本政府が築いてきた信頼も失われてしまう。カブールでは商用機のフライトが再開しつつあるものの、多くのアフガン人の出国が、いまだ認められていない。日本政府のみならずオールジャパンで、退避が実現できるよう、地道な努力を続けていく必要がある。6.今こそ検証を米国ではカブール陥落直後から、記者や議会がバイデン政権に対して見通しの甘さを追及してきた。そのたびに政府高官が言及していたのが、検証の必要性である。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は ”hot wash”、ミリー統合参謀本部議長は ”after action review” を実施する方針だと繰り返し述べた。いずれもアフター・アクション・レビュー、つまり検証を意味する。早速、米議会ではアフガニスタンからの米軍撤退について検証が始まった。下院は9月13日に5時間超、上院は9月14日に3時間半超、ブリンケン国務長官を招いて公聴会を開いた。日本では防衛省・自衛隊が今回の任務について検証すると公表している。また茂木外務大臣も9月3日の記者会見で、アフガン人の退避支援とともに、検証の必要性に言及している。しかし有事のNEOは、政府一丸となって取り組むべき危機対応である。官邸、外務省、防衛省・自衛隊、内閣官房など関係省庁も参加する、包括的な検証が必要であろう。検証で重要なことは、決して責任追及の場にしないことである。善玉・悪玉の構図を描くのではなく、クリティカル・レビューを行う。退避オペレーションに関与した当事者の声をできるだけ網羅的に集める。あくまで証拠に基づき、実証主義の精神に徹する。検証で一般的に問われる項目は、大きく以下の4つである。(1)事前に、何が起こると予想されていたか(2)実際に起こったことは何か(3)うまくいったことは何か、それはなぜか(好事例)(4)何が、どのように改善されるべきか(教訓、提言)「喉元過ぎれば熱さを忘れる」では、現場が奮闘した経験はすぐに風化していく。国家として紛争国や有事の相場観を養うこともできない。アフガン退避をめぐる意思決定の背景を丁寧に紐解き、建設的な検証を行うことは、我が国の危機管理のためにも大切である。写真:AP/アフロ【参考文献】紀谷昌彦『南スーダンに平和をつくる』ちくま新書、2019年。「武漢からの邦人救出と水際対策強化」『新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)会調査・検証報告書』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年。室岡鉄夫「韓国軍の国際平和協力活動—湾岸戦争から国連PKO参加法の成立まで」『防衛研究所紀要』第13巻第2号(2011年1月)。【執筆者プロフィール】相良祥之一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)主任研究員。国連・外務省・IT企業で国際政治や危機管理の実務に携わり、2020年から現職。研究分野は国際公共政策、国際紛争、新型コロナ対策やワクチン外交など健康安全保障、経済安全保障、制裁、サイバー、新興技術。2020年前半の日本のコロナ対応を検証した「コロナ民間臨調」で事務局をつとめ、報告書では国境管理(水際対策)、官邸、治療薬・ワクチンに関する章で共著者。慶應義塾大学法学部卒、東京大学公共政策大学院修了。ツイッター:https://twitter.com/Yoshi_Sagara実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ ) <RS> 2021/09/22 10:14 注目トピックス 経済総合 アフガン退避、成否を分けた紛争国の相場観(1)【実業之日本フォーラム】 カブール陥落後、日本に関わりを持つ多くのアフガニスタン人が現地に取り残された。他方で、米国や英国などNATO加盟国、そして韓国も、多くの自国民とアフガン人協力者を退避させた。この成否を分けたものは何だったのだろうか。また将来、台湾や朝鮮半島をめぐる有事でも予想される邦人や現地協力者の退避に備え、今回の退避オペレーションから、何を、どう学ぶべきだろうか。1.アフガン退避オペレーション世界でカブールほど危険な首都はない。2020年後半は毎週のように市内で自爆テロや爆発があり、多くの民間人が犠牲になった。アフガン政府要人や外国人が市内を移動する際は、常にこうした攻撃に遭遇するリスクにさらされていた。また車で移動する際には爆発物が仕掛けられていないか、ガレージを出た途端に攻撃を受けないか警戒する必要もあった。カブールで勤務する外交官や国際機関職員は、長年、こうした極めて厳しい環境で勤務してきた。そうしたなか8月15日にカブールが陥落した。日本政府は米国との覚書により、米軍機に余裕があれば大使館職員を同乗させ退避させられることになっていた。米軍ヘリの上空からの護衛(エアカバー)を受け、大使館の日本人職員12名をなんとか空港に向かわせることができた。しかし空港の敷地内には入れたものの、そこから米軍機が離発着する地点までが遠かった。滑走路には群衆が押し寄せていた。結局、大使館員は空港内に宿泊し、待機することになる。NHKの報道によれば、その時イスタンブールにいた岡田隆・駐アフガニスタン大使が英国のローリー・ブリストウ駐アフガニスタン大使に要請し、英国軍の輸送機により大使館員12名をドバイに退避させることができた。タリバンがカブールに入域し情勢が混沌とする中、日本人職員に被害を出さず、タリバンの人質として拘束されることもなく、事前に準備していた米軍機での退避の代わりに、英国と連携し英国軍機で退避させたこと自体は、一定の評価がなされるべきであろう。しかし、日本と関わりを持ち国外退避を希望する多くのアフガニスタンの人々が残っていた。日本の大使館や国際協力機構(JICA)事務所で現地職員として勤務し、退避を希望するアフガニスタン人は数十名、その家族を含めると数百名規模と見られている。さらに日本の大学院に留学後、アフガニスタン共和国政府の政府幹部や行政官、大学教授など、アフガニスタンの復興と発展のため活躍されていた方々は1,000人を超える。日本政府はそのうち約500人を自衛隊機で輸送させようと試みた。8月23日、C-2輸送機とC-130H輸送機の派遣を決定し隣国パキスタンへ派遣した。8月26日には、退避を希望する邦人2名とアフガニスタン人約500名のためバス27台を用意し、カブール国際空港へ向かう準備を整えていた。しかし不運なことに、その直後、空港付近でIS-K(イスラム国ホラーサーン州)の自爆テロ攻撃が発生する。バスに乗った邦人とアフガン人は、自衛隊機までたどり着けなかった。このテロ事件後、タリバンはアフガニスタン人を出国させない方針に転換した。タリバンは、対外的には一緒にアフガニスタンを再建してほしいと述べていたが、その本心はIS-Kの関係者が逃亡することを阻止したかったのかもしれない。いずれにせよ、これで日本に関わりがあるアフガン人も退避することができなくなってしまった。自衛隊機での退避を希望した邦人1名と、空港内で活動するためカブールに戻ってきていた日本大使館員や防衛省・自衛隊の職員を乗せ、C-130はパキスタンへと向かった。日本政府の活動を現場で支え、国外退避を希望するアフガニスタン人が今回、多く取り残された。この現状に一番無念さを感じているのは、退避できた大使館員やJICA事務所の日本人職員だろう。どの国の大使館や国連、開発・人道支援機関も、通訳、現地の事情に通じたローカルスタッフ、運転手、警護など、現地職員の協力がなければ仕事はできない。さらにカブールなど治安の悪い地域ではオフィスの隣に宿舎や食堂などを併設し、高い壁で周囲を囲ったコンパウンドといわれる敷地内で生活することになる。ここでは食堂の調理人、清掃員なども現地職員である。ともに断食し、日没後の食事「イフタール」に招かれることもある。みな、仲間なのだ。タリバンは、アフガニスタンから「占領者」たる駐留外国軍の撤退、そして米国の傀儡(かいらい)と見ていたアフガニスタン共和国の歴代政権の打倒を目指し、外国人や政府要人をターゲットに残虐なテロを続けてきた。市民を巻き添えにすることにも、ためらいはなかった。タリバンがカブールに迫る中、日本政府の活動を支えてきたアフガン人は身の危険を感じ、怯えていた。そうした声は東京のJICA本部や外務省にも伝わっていた。だからこそ、日本政府は8月初頭から日本人やアフガン人現地職員や家族の退避と大使館撤収の計画を整え、8月18日までには退避する計画を立てていた。ただし、そこで手段として想定されていたのは自衛隊機ではない。チャーター機であった。2.武漢と南スーダンの退避オペレーションチャーター機でも邦人退避オペレーションは遂行できる。2020年1月、日本政府は武漢に取り残された邦人等を退避させるべくチャーター機を飛ばした。武漢で新型コロナ感染症が拡大し、ロックダウンにより邦人やその家族は身動きが取れなくなった。それまで日本政府は厚労省の感染症に関する情報や、JETRO武漢事務所や現地の日本商工会の情報に基づき、外務省主導で対応を進めていた。しかし武漢が封鎖されると、官邸で安倍晋三首相(当時)のもと総理連絡会議が開催され、沖田芳樹内閣危機管理監を中心に邦人保護チームが編成された。そして政府は全日空(ANA)のチャーター機を派遣し、邦人を退避させた。日本のチャーター機第一便は、米国と並んで最も早いタイミングで武漢空港に着陸できた救援機となった。さらに、武漢へのチャーター機派遣を試みていた30か国近い国々のうち、その後3日連続でチャーター機を飛ばすことができたのは日本だけだった。さらに、自衛隊機を派遣して邦人および外国人を退避させた事例もある。2016年7月7日、南スーダン首都のジュバで政府軍と反主流派要員が衝突した。日本政府はここでも退避オペレーションを実施した。衝突の発生直後から、大使館は外務本省やJICA事務所と連携しながらフライトを調整した。7月11日の晩に政府軍と反主流派の間で敵対行為の停止が合意され、事態が沈静化し始めた。7月13日午前、現地の日本大使館は南スーダン政府軍の警護を得つつ、ジュバ市内各所から空港まで邦人等を陸送した。そして同日午後、JICAが手配したチャーター便で在留邦人40名及び日本の支援事業に携わる外国人、合わせて約90名がナイロビに退避した。同じころ東京では邦人退避を支援するため航空自衛隊のC-130H輸送機の派遣が決定されていた。7月14日、前日の邦人等退避オペレーションを支援した大使館員4名が、日本から派遣されたC-130H輸送機でジブチに退避した。当時は自衛隊がPKOの国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)へ派遣されていた時期である。邦人等の退避を見届けた大使および数名の大使館員はジュバに留まり、UNMISS日本隊宿営地に移動し、現地で情報収集や調整業務に従事した。一週間ほど経ち、ジュバの状況が相当沈静化したことを確認したうえで、館員は大使館事務所・宿舎に帰還し、通常業務を再開した。3.NATO加盟国や韓国と、日本一般的に、こうした退避オペレーションはNEO (Non-combatant Evacuation Operation)と呼ばれる。今回のアフガニスタンからのNEOはバイデン大統領が述べたとおり「史上最大規模かつ最も困難な空輸」となった。武漢と違って、反政府武装勢力であるタリバンが首都に進攻してガニ政権が崩壊し、とても安全が確保されているとは言えない状況でのオペレーションだった。また南スーダンと違ってカブールはタリバンに制圧されており、アフガン政府軍や治安部隊による警護も期待できなかった。それでも、米軍は機動的にカブール国際空港と航空管制をおさえ、退避を開始した。そして米欧などNATO加盟国は自国民及びアフガニスタン人協力者など数千人から数万人規模の退避を実現させた。NATO加盟国だけではない。韓国もC-130J 輸送機を派遣し、8月25日までに在アフガニスタン韓国大使館の現地職員ら390名を退避させることができた。日本も翌26日、退避を希望する邦人とアフガニスタン人をバスに乗せ空港に向かわせようとしたが、IS-Kのテロが発生し、退避は実現させられなかった。ここで韓国と日本との「1日の差」が悔やまれるわけだが、実は韓国には日本と異なる点がひとつあった。韓国はアフガニスタンに2001年から部隊を派遣し、カブールからの空輸を担当していた。9.11の直後、2001年10月7日、米国主導でアルカイダ及びタリバン政権をターゲットにした「不朽の自由作戦」が始まった。これに先立ち当時の金大中政権は空・海の輸送支援や医療支援団の派遣により支援することを決めた。韓国空軍輸送支援団は2001年12月28日から2003年の年末まで、韓国、シンガポール、インド洋の英領ディエゴガルシア島を結ぶ定期便を運航した。C-130輸送機を2機、76名を投入し、米太平洋軍(当時)の作戦区域内で米軍物資310トン、兵員600名を輸送した。米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、豪州、トルコ、そして韓国は、アフガニスタン国内に部隊派遣を行ってきた。こうした国々の軍はアフガニスタンやカブールに土地勘があった。日本もインド洋における給油など補給支援活動で「不朽の自由作戦」を支援した。洋上の困難なオペレーションであり、日本の安全保障政策において大きなマイルストーンとなる出来事だった。ただし南スーダンのような規模でアフガン国内に自衛隊の部隊を派遣していたわけではない。自衛隊の国際平和協力活動として世界中から高い評価を受けてきたのは、施設部隊によるインフラ整備や建設などである。そうした日本の比較優位がアフガン国内で発揮されることはなかった。これまで日本政府のアフガニスタン国内での活動は、大使館員やJICA職員などシビリアン(文民)による人道・復興支援が中心だった。そうしたシビリアンの安全は自衛隊ではなく、警備会社に委ねられていた。アフガン退避、成否を分けた紛争国の相場観(2)へ続く写真:AP/アフロ【参考文献】紀谷昌彦『南スーダンに平和をつくる』ちくま新書、2019年。「武漢からの邦人救出と水際対策強化」『新型コロナ対応・民間臨時調査会(コロナ民間臨調)会調査・検証報告書』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年。室岡鉄夫「韓国軍の国際平和協力活動—湾岸戦争から国連PKO参加法の成立まで」『防衛研究所紀要』第13巻第2号(2011年1月)。【執筆者プロフィール】相良祥之一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)主任研究員。国連・外務省・IT企業で国際政治や危機管理の実務に携わり、2020年から現職。研究分野は国際公共政策、国際紛争、新型コロナ対策やワクチン外交など健康安全保障、経済安全保障、制裁、サイバー、新興技術。2020年前半の日本のコロナ対応を検証した「コロナ民間臨調」で事務局をつとめ、報告書では国境管理(水際対策)、官邸、治療薬・ワクチンに関する章で共著者。慶應義塾大学法学部卒、東京大学公共政策大学院修了。ツイッター:https://twitter.com/Yoshi_Sagara実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ ) <RS> 2021/09/22 10:13 注目トピックス 経済総合 コラム【新潮流2.0】:宇宙旅行とWe are 99%(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆イーロン・マスク率いるSpaceXが打ち上げたCrew Dragonが3日間地球を周回した後、フロリダ州ケネディ宇宙センター沖に無事着水した。Inspiration4と名付けられたこの宇宙旅行は、民間人だけによる有人宇宙飛行としては世界初。スポンサーは起業家で大富豪のジャレド・アイザックマンだ。 これに先立ってアマゾン創業者のジェフ・ベゾス、ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソンらも宇宙旅行に成功している。新時代の幕開けとの声があがる一方で、結局、宇宙に行けるのは大金持ちだけ、という現実もある。◆宇宙旅行から帰還したべゾスのコメントが批判を呼んだ。「Amazonのすべての従業員と、Amazonのすべての顧客にも感謝したい。なぜなら君たちがこのすべての代金を支払ったのだから」。 米ABCニュースは、かつては人類の卓越した技量とアメリカの創意工夫の頂点として敬愛されていた宇宙飛行が、「超大富豪の数ある遊び場のひとつに過ぎず、足元の地球で連綿と続く根強い不公正を思い出させる存在」に成り下がってしまった、と報じた。「億万長者は地球にも宇宙にも存在すべきでない。べゾスは地球に帰ってくるな」とのネガティブ・キャンペーン・サイトには約20万もの署名が集まった。◆Inspiration4のミッションのひとつは、小児がん治療で有名なセント・ジュード小児研究病院への寄付金集めであり、アイザックマン自身、1億ドルの寄付を行っている。ジェフ・べゾスは日本円に換算して年間1兆円を超える額の寄付を行っている。それでも批判はやまない。 折しも、Crew Dragonが地球に戻った18日の前日、9月17日は「ウォール街を占拠せよ」の運動からちょうど10年の節目。2011年9月、ニューヨーク証券取引所からほど近いズコッティ公園に数百人のデモ隊が集結し格差是正などを求めて約2ヶ月間占拠した。 それから10年が経ったが、当時のスローガン「We are 99%」「99%vs1%」は現在でも格差社会を象徴する標語として使われている。格差は是正されていない。是正されるどころかさらに拡大しているのだ。一向に改善しない状況に多くのひとが失望し、特に若者の間で資本主義に対する懐疑的な見方が増えている。まさに資本主義の危機である。◆資本主義とは「差異」を利潤に変えるシステムだ。大昔は地理的差異が利潤の源泉であり、遠隔地との貿易が富を生んだ。やがて「情報」の格差が利潤の源泉となる。ところがいまやグローバル化と通信網の発達で、この地球上で「差異」を生むものはなくなってしまった。残されているのはサイバー空間と宇宙だけだろう。 成功した起業家の大富豪、つまり資本主義の勝者たちが我先にと宇宙に向かうのは資本主義の当然の帰結だ。しかし、彼らと地上に残された者との距離はますます遠くなる。いつか再び格差是正の抗議運動が起きる時、そのスローガンは「99%vs1%」では足りず、天文学的数字が必要となるかもしれない。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:9/21配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <FA> 2021/09/22 09:29 注目トピックス 経済総合 NYの視点:FOMC、テーパー発表は11月に先送り=市場予想 米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を21日から22日に開催する。FRBはこの会合で政策金利を据え置く見通し。インフレ急伸が一段落したほか、新型コロナウイルスのデルタ変異株流行が消費を抑制している兆候が見られ、今会合で緩和縮小計画が発表される可能性は低いと見られている。CNBCが32人の市場関係者に行った調査によると、FRBが毎月の資産購入額を150億ドル縮小する計画を12月から開始することを、11月の会合で発表すると見ていることが分かった。最初の利上げは2022年12月。インフレの高進が一段落しているほか、新型コロナ変異株流行が消費や回復を抑制し、利上げ見通しは弱まりつつある。4月時点の調査によると、2022年中0.25%の利上げを2回織り込んでいた。今回の調査では1回。2021年の成長見通しも5.7%に7月からほぼ1%ポイント近く引き下げられた。デルタ株による影響で0.65%引き下げた。ほとんどの回答者がインフレが一時的と見ていることも分かった。ただ、インフレの脅威に対処するため資産購入策を削減すべきだと見ている。●CNBC調査テーパー発表:11月開始:12月縮小金額:150億ドル利上げ開始:2022年12月成長見通し2021年:5.7%(7月6.35%)2022年:3.7%(7月3.4%)FOMCでは声明とともに、スタッフ予測やパウエル議長会見に注目が集まる。特に予測では2024年分が新たに明らかになるため特に注目される。一部の市場関係者は声明がほぼ前回から修正ないと見ている。もし、テーパーに言及がない場合はハト派として市場はとらえる。例え、パウエル議長が会見でテーパー開始に言及したとしても、量的緩和(QE)縮小と利上げとの金融政策の違いに言及し、テーパー開始後も金融政策はかなり緩和的であることを強調すると見られ、ドルの上昇は限定的となる可能性が強い。 <FA> 2021/09/22 07:42 注目トピックス 経済総合 日経平均を対象とするマイナス3倍トラッカーが上昇率上位にランクイン(21日10:12時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価下落が目立つ日立建機<6305>プット82回 11月 3,100円を順張り、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>プット304回 10月 575円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン2021年11月 マイナス3倍トラッカー3回 10月 84,000米ドル、日経平均 マイナス3倍トラッカー75回 月 33,000円、日経平均 マイナス3倍トラッカー74回 月 29,500円、イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドルなどが見られる。上昇率上位は日経平均 マイナス3倍トラッカー74回 11月 29,500円(+75.9%)、イーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 11月 3,700米ドル(+60.9%)、イーサリアム2021年10月 マイナス3倍トラッカー3回 10月 3,850米ドル(+50.9%)、ビットコイン2021年10月 マイナス3倍トラッカー2回 10月 45,000米ドル(+45.0%)、イーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー2回 11月 4,300米ドル(+37.3%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/09/21 15:45 注目トピックス 経済総合 NYの視点:中国の不動産大手の流動性危機、リーマン金融危機とは異なる 中国の不動産開発で国内第2位の中国恒大が3000億ドルの債務不履行危機に直面している。負債規模は同国国内総生産(GDP)の2%にあたり、破たんは、秩序のあるものであっても、経済への影響は免れないと警戒されている。ただ、エコノミストは、中国不動産大手の流動性危機が2008年のリーマン危機のような世界的な金融危機に波及する可能性は少ないと見ている。リーマン危機ではなく、1980年代の日本の住宅バブル崩壊、または、1998年のヘッジファンドLTCM破たん危機に類似しているとの指摘が多い。LTCM危機では、連邦準備制度理事会(FRB)や主要金融機関の対応により、短期解決している。中国恒大の破たんは、「too big to fail」で、破たんするには規模が大き過ぎるため、経済を保護するため、最終的には中国政府による救済や再編などが進められることになり、中国経済や世界経済への影響は限定的になると見る。また、同業の不動産会社が救済する可能性も報じられている。中国市場が22日に再開したときの地元投資家の動きや中国人民銀行による流動性供給などの行方が市場参加者の今後の注目となっている。 <FA> 2021/09/21 07:40 注目トピックス 経済総合 個人投資家・有限亭玉介:強いチャートと強いテーマが吉!注目中の銘柄群【FISCOソーシャルレポーター】 以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家「有限亭玉介」氏(ブログ:儲かる株情報「猫旦那のお株は天井知らず」)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。-----------※2021年9月13日14時に執筆菅総理の総裁選見送りの報道から株式市場はガラリと様相が変わりました。日経平均も3万円台に乗ると、コロナに振り回されていた相場からは一転して「買いが買いを呼ぶ」なんていう強気のムードが市場から伝わって来ますねぇ。改めまして株&猫ブログ「儲かる株情報『猫旦那のお株は天井知らず』」を執筆しております、有限亭玉介と申します。過去30年の衆議院解散総選挙10回分のデータを見ると、解散日から総選挙までの間で日経平均は過去10回上昇しているとの事です。これは機関投資家が強気になるのも頷けます。多くの投資家は解散をしても変わらず自民党が政権を握ると確信しているでしょうし、選挙というイベントは海外投資家からの買いも流入しやすいのがアノマリーになりつつもあります。これまでの相場は半導体や海運株が底堅く推移しておりましたが、新政権が誕生する際に大胆な政策が出るとの思惑から脱炭素やクリーンエネルギー関連まで再び資金が流入しているようです。このタイミングで新型コロナの新規感染者数は減少傾向であり、まさに投資家にとっては勝負所と言えるでしょう。DX関連やコロナ関連の医療分野も目が離せません。前述の通り日経平均が好調なのはもちろん、個別の銘柄でも右肩上がりのチャートが散見されますな。企業の業績もコロナから復調して上向きに転じた事も、この勢いを支える要因となるはずです。さて、今回は力強いチャートを描いている銘柄を中心にピックアップしてみました。8月下旬から下値を切り上げて直近で年初来高値を更新したLAホールディングス<2986>は、中古マンションの改装・販売や不動産管理が主力です。業績も好調でPERも割安水準ではありますが、年初来高値を更新して右肩上がりのチャートを作っています。半導体用金型クリーニング材やセラミック基板など幅広い分野を手掛ける日本カーバイド工業<4064>も下値を切り上げております。上期の経常利益を上方修正するなど、車載用電子部品や5G関連なども需要が拡大している模様で、チャートも保ち合いを上抜いてきております。8月18日の取引終了後に21年8月期の下方修正を発表したジースリーHD<3647>は嫌気されるも、その後は悪材料出尽くしと見られて反発しました。25日線付近で底堅く推移しており、主力の再生可能エネルギー事業はここ最近の脱炭素のテーマ性から物色されるか…保ち合いの上放れに期待したいところです。こちらも再生可能エネルギー関連として買いが入っておりますテスHD<5074>は、22年6月期も過去最高益を更新するとの予想で業績も好調です。9月2日から連騰した株価は一気に年初来高値を更新しましたねぇ。この勢いはどこまで続くか監視を強めていきたいです。軽量で曲げられるペロブスカイト太陽電池向けALD(原子層堆積)装置を手掛けるサムコ<6387>は、9月10日に21年7月期の増益決算を発表すると22年7月期も増益予想を発表しております。窒化ガリウムを使ったパワー半導体関連としての思惑もあり、8月20日の安値2742円を底に切り返してきています。2番底をつけにいくかと監視中です。最後は、8月23日にデジタルハリウッドとの業務提携を発表が好感されているサーキュレーション<7379>です。7月にIPOしたばかりの同社はプロの知見を企業にシェアする「プロシェアリング事業」を展開しております。チャート(日足)は直近で調整をしていますが、ユニークな業態に加えてSaaSやDX関連としても市場評価は高い模様です。さて、ちょっとお話が長くなりましたが、あたくしのブログではそんな「今強含んでいる個別株・テーマ株」を紹介しています。お暇があれば覗いてみてやってください。愛猫「なつ」と共にお待ち申し上げております。----執筆者名:有限亭玉介ブログ名:猫旦那のお株は天井知らず <RS> 2021/09/19 10:00

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