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コロナ禍で孤立する中国(2)【中国問題グローバル研究所】
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。◇以下、「コロナ禍で孤立する中国(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。グローバルリーダーとしての資質の問題こうして孤立路線を継続した場合、今後数年間における中国の役割はどのようなものになるのだろうか? ビジネスの世界ではZoomやその他のプラットフォームを用いたバーチャルなやり取りが受け入れられているかもしれないが、社会のあらゆる局面において、人と人とが直接顔を合わせることの恩恵を過小評価してはならない。コロナ後の世界は以前と同じではなく、制限や変化は今後何年も続くであろうが、それでも、人間が社会的な生物であることに変わりはない。同僚間であれ、学生間であれ、政治指導者間であれ、中国社会のあらゆるレベルにおいて、対面によるやり取りが大きく減った状態は今後も続くと思われる。中国はおそらく世界のリーダーの役割を担いたがっており、それを要求する場面も出てくるだろうが、その「リーダー」が動画のリンク先にしか現れないとしたら、いったい何が起こるだろうか? 習近平にとって、ローマでのG20首脳会議と気候サミットCOP26は、国際舞台に登場するのに理想的な場であったが、彼はそうしなかった。他の外交官は現地に移動していたが、海外訪問に慣れているはずの習氏は、国を出ることを拒否したのだ。このことは、何を物語るのだろうか? 国外にいる間に、政敵による陰謀が起きることを恐れているのだろうか? それともCOVID-19の感染を危惧しているのだろうか? あるいは、他国の首脳から、新型コロナウイルスの起源について情報を公開しなかったことを非難されると不安なのだろうか? 誰にも確かなことはわからないが、他国の首脳と顔を合わせなければ、国際社会での自身の評判や影響力をどのように高めればよいかを、知ることは難しくなる。中国経済は、国内のロックダウンが終わった当初は好調であったが、現在は難しい状況に陥っている。 不動産セクターにおける過剰債務の問題は、特に中間層の経済を圧迫しており、国内消費も依然として低迷している。 国内経済のさまざまなセクターで抑制策がとられているとはいえ、海外からの投資機会は引き続き存在する。ただし、中国内外のビジネスパーソンが移動も対面でのミーティングも事実上できないのであれば、機会をフル活用する方法も、機会を部分的にでも開拓する方法も、見つけ出すことは困難である。バーチャルでのつながりには、限界があるのだ。さらに、COVID-19に起因する混乱によって顕わになったサプライチェーンの脆弱性に関しても、ビジネス界からの懸念が寄せられるはずである。 コロナ後の再建活動の一環として、企業はサプライチェーンの混乱から自社を切り離そうとすることが予想され、その結果として、中国は確実に困難を抱えることになると思われる。昨年私はこのコラムで、この前例のない世界的なロックダウンの後で、どのような世界が出現するだろうかと問いかけた。そのロックダウン後の世界に対する注目が徐々に高まっており、現状では、中国のビジネスパーソンや学生や旅行者は国内にとどまり、中国はきわめて熱心な海外からの旅行者以外に対しては閉ざされた国になると予想される。このことからもわかるように、過去30年間の中国との関わりを指標として、今後の中国との関係を予測するのは難しい国外の我々は、中国が国際社会から距離を置き、幻想を肥大させ、敵愾心を募らせ、怒れる孤立へと逆戻りする事態にならないことを祈らなければならない。 気候変動対策に取り組み、将来またパンデミックが発生した時に適切に対応するには、中国の関与は不可欠だからだ。一方で、中国指導部の偏執的な態度を見ていると、当面の間は、そうした関与が進むことはなく、限定的なものにとどまると考えられる。写真:ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/
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2021/11/11 15:47
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コロナ禍で孤立する中国(1)【中国問題グローバル研究所】
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China”の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信しているフレイザー・ハウイーの考察を2回に渡ってお届けする。「中国を永遠に国際社会の外に置いておくことはできない。孤立が続けば、幻想を肥大させ、敵愾心を募らせ、近隣国の脅威となるからだ。」 リチャード・ニクソン、1967年「怒れる孤立」リチャード・ニクソン大統領がこの言葉を書いた当時、世界情勢は、現在とはまったく異なっていた。米国は、泥沼化したインドシナでの戦争から抜け出せず、米ソ冷戦の影響は世界中に波及しており、中国においては、最終的にその物理的な遺産の多くと数百万人もの国民の命が失われることになる文化大革命が始まっていた。 中国は、人口こそ世界1位であったが、世界経済における存在感は小さく、台北の国民党政府が正統な中国代表権を有する政府と認められていたため、中国の外交官は世界のほとんどの首都から締め出されていた。ニクソン大統領とヘンリー・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官は、中国の国民に民主主義と普遍的価値観を拡げるという聖戦的な意図ではなく、ソ連封じ込めのための世界規模の地政学的ゲームの一環として、対中戦略そして中国との関わり方を決めていた。ニクソンは、中国が「怒れる孤立」の状態にあると表現しており、彼とキッシンジャーのやり方には失敗点もあったにせよ、当時の米国の中国に対するアプローチや関わり方は、現在までに多大なメリットをもたらしており、特に中国国民にとっては、近代史上で最も健康で、食料に恵まれ、金銭的に裕福な生活が実現することになった。しかし現在、怒れる孤立は、妥当な表現であり憂慮すべき問題となっている。武漢で珍しい呼吸器感染症の最初期の患者が記録されてから約2年が過ぎ、COVID-19は、最初に感染が始まったこの国を除く世界中で大流行した。感染拡大の初期段階における対応、そしてその後の情報開示や透明性に関連した問題について、中国が大きな批判にさらされるのは当然のことである。 武漢の研究所で実際に何が起きていたのか、答えを知りたいと願っても、おそらく判明することはないだろう。中国共産党の指導部は、ウイルスの起源、そして誰が何をどの時点で知っていたかという疑問に対して、否認とごまかしを強め続けてきた。一方で、翌1月末には、中国はウイルス根絶を目指すことを決め、COVIDゼロ戦略に基づき、わずか1名であっても陽性者が見つかれば、国民に厳格な制限を課した。その後、東アジアのいくつかの国や、よく知られるところではオーストラリアとニュージーランドも同様のアプローチをとった。仮にすべての国がこうした厳しい制限を採用していれば、新型コロナウイルスのパンデミックがたどった経緯は大きく異なるものとなっていただろう。だが、きわめて多様な統治形態や社会規範の国々で構成されるこの世界において、COVIDゼロのアプローチがあらゆる国で成功したはずだと考えることは、現実には不可能である。注目すべきは、中国では、この厳格なロックダウン後に国内での規制が大幅に緩和され、過去18ヵ月間の大半において、人々がCOVID-19関連の制限とは無縁な日常生活を送ってきたという事実である。 自国の「バブル」の中での国民生活は、ほぼかつての日常に戻っているのだ。ただし、新型コロナウイルスの性質や深刻さがほとんどわかっていなかった流行当初であれば意味があったやり方は、今日ではもはや通用しなくなっている。 感染力の高いデルタ株への変異が起き、さらに重要な点として、効果的なワクチンが広く接種可能になったことで、パンデミックに対するアプローチをコロナウイルスとの共存へと転換させることも可能になり、現に世界の大半の国ですでにそうした方向転換が見られる。そうした動きがどの国でも一様ということはなく、死亡者数や感染者数をどこまで許容できるかという問題になると、国ごとにかなりの違いがある。シンガポールのウィズコロナ政策は英国のそれと大きく異なるように見えるが、両国とも、前に進むこと、そして、かつての日常に戻る代わりに、国民生活を全面的に左右する要素としてではなく生活の背景の一部としてCOVID-19を扱うやり方に戻ることが必要だと、十分に理解している。ニュージーランドでさえ、ゼロコロナのアプローチはもはや理にかなっていないという認識に至っている。それにも関わらず、中国の指導部には、より共存的な姿勢に移行する兆しは見られず、今後数年間は、共存を目指す可能性は低い。遠のく往来再開の時期中国はこれまでに国内で開発・生産したワクチンの接種を22億回以上完了しており、このこと自体は際立った実績と言えるが、現実としてこうしたワクチンの有効性や感染防護力がどの程度であるかは不確かである。初期の臨床試験データは乏しく、一部では矛盾も見られた。そして、中国国内では意味をなすだけの大規模な感染流行は起きていないため、現在も国民の多くが、COVID-19を経験していない状態である。中国は、新型コロナウイルスワクチンの相互承認を要求しているが、中国国民のワクチン接種状況を理解するためのデータは事実上存在せず、そうしたデータを集めるのも不可能である。したがって中国が海外との往来再開に意欲的でないのは、おそらく驚くにはあたらない。だがこのことは、考慮すべき側面のひとつに過ぎない。他のあらゆる事柄と同様に、何よりも大きいのは政治の問題である。初期段階での失敗の後、中国共産党はゼロコロナの成功を、国民に対する国威発揚の手段として利用してきた。国内において封じ込めがうまくいったのを、他の多くの国の明らかに高い死亡者数や失敗例と対照させながらアピールしてきたのだ。それだけではなく、COVID-19の起源は中国にはなく、中国はパンデミックの犠牲者であるというありえない他国への非難を拡散し続けている。この状況で中国は、現在の成功のイメージを損なうことなく、よりウイルスと共存する社会へと、はたしてどのように移行するのだろうか? 国産ワクチンの有効性は低いか中程度である可能性が高いこの国では、いかなるウィズコロナのアプローチも、感染者数と死亡者数の劇的な増加を招くと思われる。国家が検閲体制をとっていても、携帯電話の普及率の高さを考えると、感染流行を国民の目から隠すことは不可能であろう。国内でのイメージ低下を避けたいと願う一方で、注目される重要なイベントの数々が控えているため、少なくとも党指導部の考えとしては、コロナゼロと海外との往来の厳格な制限の継続は不可欠ということになる。 2022年2月の冬季五輪では、海外からの参加者数が厳しく制限され、到着後も常に監視を受けることになる。さらに重要なイベントが、2022年後半の第20回党大会だ。奇蹟的な出来事でも起きない限り、同大会において、習近平党総書記が5年間の任期の3期目を迎えることが決まるだろう。習氏の権力は、国家元首としての役割ではなく、中国共産党の最高指導者としての役割に起因している。 党大会は何年もかけて準備・計画され、彼にとっては、いかなる出来事(とりわけ新型コロナウイルスの流行)による妨害も許されない政治的日程の頂点なのである。2020年3月の全国人民代表大会がCOVID-19により延期を余儀なくされたことを思い出してほしい。こうした事態は、今回の党大会においてはあってはならないのだ。すなわち、これから少なくとも丸1年は海外との往来が制限されることになる。さらには、万事が計画通りに進むのであれば、そのわずか数ヵ月後の3月には国を挙げての壮大な人民代表大会が開かれる。それならば、少なくともその時期までは待つべきだという考え方になるだろう。この対外孤立のタイムラインについて注目すべきは、中国の政治的な思惑において、それが大きな位置を占めていないという点だ。2023年3月までに中国が世界への扉を開放する準備を整えているのだとすれば、自国に課した孤立が3年間続くことになるが、往来制限がさらに延長される可能性や、また、コロナ禍において多くの国が展開したきわめて厳格な隔離と電子追跡手段が中国国内で何らかの形で持続する可能性がないとは言えない。国内のあらゆる活動をビッグデータで追跡することを理想的だと考える独裁的国家にとって、こうした統制手段を放棄する理由はないのである。広東省は明らかに、入国時の隔離が当面なくならないと考えているようだ。同省では、ホテルを利用した現在の隔離施設から離れた場所に、5,000人を収容できる専用の隔離施設を建設しており、まもなく完成を迎える。また、中国本土との往来の確実な再開を目指しゼロコロナのアプローチをとる香港も、ここしばらくの間に、複数の隔離免除措置を廃止している。 本来は物、金、人が移動するハブであった香港は、難しい立場に置かれており、国際社会における役割の復活と同時に中国との往来再開を希望することはできない状況にある。シンガポールは現在、国際的な往来再開のアプローチをとっているが、香港が希望する中国との往来再開とは正反対のやり方であるため、香港がこれを模倣することはできない。 香港にとって、中国との往来は、国際社会との関係よりも重要なのだろうか? 答えはおそらくイエスだが、この姿勢は、地域のハブと中国本土へのゲートウェイの両方の役割を担う香港にとっては、今後も重荷となり続けるだろう。香港が、容易にアクセスできない場所のままであるならば、地域における役割や国際的な役割を果たすことはできなくなると思われる。今後も中国と同程度に入国が難しいのであれば、香港に行かずに直接中国に拠点を置けばいいのではないかと、海外企業は考えるはずだ。 香港が目指すところは、新型コロナウイルス対策について言えば、ほぼ一国一制度に等しいのだ。コロナ禍で孤立する中国(2)【中国問題グローバル研究所】に続く。写真:ロイター/アフロ(※1)https://grici.or.jp/
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2021/11/11 15:46
注目トピックス 経済総合
橋本氏対談(2)スマートコントラクトとDeFi:逃れられない「規制」と「バグ」(3)【実業之日本フォーラム】
■失われつつある匿名性白井:世界的な暗号資産交換業者であるバイナンスが各国から非難を浴びており、サービスを縮小しています。一方、コインベースは上場し、空前の利益を出している。非常に対照的です。コインベースはアメリカの規制下、管理下にある一方、バイナンスは不透明な取引にも使われていたとも耳にします。橋本:先ほど、ビットコインはトレースが容易と言いましたが、一方で、頑張れば隠すこともできる送金形態でもあります。ミキシングと言われる手法を使えば、お金の流れを隠そうとしているということはわかっても、一体どこに行ったのか、どう流れて行ったのかは捕捉できない。ビットコインでも、そういったことができるのです。しかし、例えば、米国の一番メジャーな暗号資産交換業者であるコインベースは、そういったお金の流れを隠そうとしてミキシングされたビットコインを受け取らないと決めました。誰もビットコイン自体を止めることはできませんが、使いにくくするという形で外圧がかけられてきています。ビットコインの使う幅が増える一方、本来の意味での使い方が難しくなってきているというのが実情です。バイナンスが世界的な非難を浴びて、これまでのバイナンスでなくなってしまうのは、お金の流れを隠そうとしている人からすると、かなり厳しい流れです。ビットコインは、ミキシングをすればある程度の匿名性はあっても、ミキシングしていること自体は発覚してしまいます。怪しいお金の動きをしていると強く疑われると、コインベースの場合は口座を凍結されてしまいます。本当にミキシングをしたい人は、そういったことを避けるため、ミキシングしたビットコインをコインベースに送るのではなく、まずバイナンスに送り、そこからコインベースに送る。バイナンスの口座は一人でいくつでもつくることができます。1日当たり2BTC(※1)までは、本人確認なしで送金することができました 。一人で複数の口座を作れるのであれば、ある程度のお金持ちでも、さほど面倒なく、自分が持っているミキシング済みのビットコインを完全に匿名を維持したままバイナンスに入れたり出したりすることができます。バイナンスは本当に巨大な暗号資産交換業者で、ほとんどのユーザーが使っていると言っても過言ではありません。バイナンスから送られてくるビットコインは、普通のビットコインなのです。普通の人と同じビットコインを使うことができるのです。お金の流れが追えないだけでなく、追えなくしていることすらも隠すのが本当の匿名性なのですが、バイナンスは匿名性を完全に実現してくれるサービスだったのです。バイナンスのような本人確認の緩さを売りにしている交換業者は、大手を含めて何社かあります。まだそこには矛先が向かっていないようですが、早晩、バイナンスと同じように業務を縮小せざるを得ないのではないでしょうか。白井:アンチマネーロンダリングの視点は大事ですね。日本の暗号資産交換業者も、そのような取引に目を光らせています。ダークなお金が、現実社会や法定通貨の世界に入ってくることを、水際で止めているということですね。しかし、規制が強化されてグレーな部分が絞られていけば、業界に何が引き起こされるのでしょうか。橋本:脱税ではないとしても、自分の細かいお金の流れはやっぱり捕捉されたくないでしょう。どこで車を買ったとか、どんな絵を買ったとか、そんなことまで知られたくありません。これまでは、ビットコインでかなりのことが実現できました。最低限の知識があれば、傍から見たら普通のものと何ら区別のつかないビットコインに替えることができましたが、これが今後、どんどんやりにくくなっていきます。ちょっとでも交換業者を経由しようとすると、捕捉されてしまう世界になってしまいます。われわれのあいだで車を売買するときに、ビットコインのままずっと持っている、交換業者は使わないということであれば、ビットコインは非常に使いやすいのです。しかし、ほとんどの場合は、日本円に替えたい、ドルに替えたい、生活費に使いたいとなるので、捕捉されないお金のやりとりは非常に難しくなります。これは、避けたくても避けられない流れだと思います。白井:大きな金額を瞬時に動かすには、ビットコインは最適ですし、二者間の送金であれば、一見、当局に捕捉されないように見えますが、そのビットコインはどこかで現実社会や法定通貨と繋がっています(払い手のビットコインの購入時や、受け手のビットコインの法定通貨やモノへの交換時)ので、そこで足がつくということですね。当局に捕捉されていないビットコインを持つ人が、ビットコインのまま保持する人に支払うのであれば成立する話ですが、閉じたデジタル空間だけの利用は現実的ではありませんね。新しいサービスの多くは、当初はアングラ利用によって普及し、徐々に整備されつつ市民権を得ていきます。現在のビットコインは、導入期を過ぎて、市場が整備されつつあり、立派な資産として成長している過程に入っていると考えています。多くの既存金融機関が暗号資産への投資を表明していることが、その証左だと思います。橋本:このような動きは、暗号資産の価格形成の点ではポジティブだと思っています。ビットコインが捕捉されるとしても、ポートフォリオを分散させる中でビットコインを持っておくのは問題ないという感覚は、それなりにお金を持っている人でも、ある程度、共通認識ではないでしょうか。ビットコインがツイッターなどで使われる、ETFで投資できるようになるといったニュースを、世の中の人々は何となくポジティブと捉えています。それで買う人が増えれば、短中期的には価格上昇に寄与するでしょう。一方であまり楽しくないような気もします。僕はオタク寄りの人間ですので、アナーキズム的なところ、ビットコインの魅力のようなものが損なわれていくのは面白くありません。面白くないと持っていたいという気持ちも薄れてしまいそうですが、資産価値としては悪くないという感覚です。※1:大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)は、アカウントの引き出し限度額についての見直しを行い、本人確認のレベルが「ベーシック」であるアカウントの一日あたりの引き出し限度額を引き下げることを7月28日に発表。この変更により、これまでは本人確認のレベルがベーシックであっても一日あたり2BTCを引き出すことができたが、今後は一日あたりの引き出し限度額が0.06BTCとなる。この変更は、発表後、新規ユーザーに対しては即時に適用され、既存のユーザーに対しては2021年8月4日〜23日にかけて段階的に適用された。■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/11 11:24
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橋本氏対談(2)スマートコントラクトとDeFi:逃れられない「規制」と「バグ」(2)【実業之日本フォーラム】
■メリットの裏に潜む避けられないバグ白井:従来の金融技術をスマートコントラクトで作り変えると、具体的にはどのようなユーザー体験になるのでしょうか?橋本:白井さんがご指摘のように、理論上、カウンターパーティーリスクはなくなりますので、これは非常に大きなイノベーションです。ブロックチェーンの世界は、鍵を持っていることが全てであり、それ以上でもそれ以下でもありません。社会的な知名度や銀行口座に幾らお金があるかは関係ありません。金融機関で何らかの金融取引を行う際には、社会的な地位が高い人であればその信用が考慮され、担保の差し入れは恐らく少なくて済むでしょう。しかし、ブロックチェーンの世界では、私という人格は、私がブロックチェーン上で持っている資産が全てです。ブロックチェーンの世界は、一切、そういうものを参照することができません。そのため、デリバティブ取引をしようとしたときには、多くの担保の預け入れが求められることになります。ビル・ゲイツがブロックチェーン上で1億円持っているのと、私がブロックチェーン上で1億円持っているのとは、対等に扱われます。人件費もかかりませんので、証券会社に払う手数料のようなものは、当然、安くなるでしょう。白井:サービスの受け手とサービスの供給側との中間のコストがなくなり、人件費が無くなり手数料などのコストが下がるというのは、大きな利点だと思います。また、カウンターパーティーリスクがない点も非常に魅力的です。中国は、2020年7月にデジタル人民元にスマートコントラクトを実装することを発表しました。また、これに加えて「ブロックチェーンサービスネットワーク(BSN)」というブロックチェーンのプラットフォームを作っており、デジタル人民元やスマートコントラクトとの融合を考えているのではと想像しております。BSNは、2020年4月25日に国内の商業利用向けにローンチされ、8月10日に世界的にローンチが行われたと報じられています。ホワイトペーパーによると2020年末には世界全体で200ノードに増えることが見込まれており、運用コストは従来のブロックチェーンサービスの20%程度、チェーンを形成して運用を開始するには年間わずか150~200ドルで済むと言われています。私は技術者ではないため、その詳細についてわからないところも多いのですが、簡単に、しかも安くアプリケーションを開発できるようですので、ブロックチェーンのアプリケーションを開発する上では非常に便利な仕組みのようです。これで作られるアプリケーションにデジタル人民元が使われ、スマートコントラクトが活用されることになる。これは、決済などの人々の営み、現実社会の経済活動が、一体として機械仕掛けで動くという高効率な社会だと思いますが、いかがでしょうか。橋本:ブロックチェーン上にスマートコントラクトがあるというのは、究極的にはプラットフォームとして完結できる概念です。これまで全銀ネットでやりとりされている円を使って個々のユーザーに何かサービスを提供しようと考えると、別のシステムを作り、資金を集め、大規模な開発を行うことが必要でした。一体としてつながってはいないものの中で、電子的なお金が依拠しているというのが現状です。デジタル人民元の例では、そこがひとつの共通基盤でカバーされることになる。これは非常に便利ですね。プライバシーの議論などをさておけば、ですけれど。ただ、ひとつ忘れてはいけないのは、スマートコントラクトはバグがあったら大変という点です。イーサリアム上のさまざまなスマートコントラクト、DeFiでは、誰もが頑張ってバグがないように設計しているのですが、実際に多くのケースで、具体的には2件に1件ぐらいはバグがあります。バグがあると、そこに預けられているお金は全部ハッカーに持っていかれてしまいかねません。ハッカーにある程度のノウハウがあれば、いまのところ警察に捕捉されることなく、ドル紙幣や金(ゴールド)などに換金することができます。スマートコントラクトはバグがあると本当に大変なのです。白井: えっ、バグはそんなに多いのですか?橋本:世界で最初のスマートコントラクトのバグの事件として有名なのがThe DAO事件です。このときにはハッカーに数百億円ものお金が取られました。あまりにも被害の規模が大きかったため、「ブロックチェーンを少し巻き戻したほうがいいのではないか」という議論がなされました。そして、イーサリアムは巻き戻すことを選択しました。しかし、いまの世界で、巻き戻していてはきりがない。あまりにもいろいろなところでバグによって何億円、何十億円単位での資金が流出しています。かつてイーサリアムが巻き戻しを選択できたのは、ユーザーが一部のオタクだけであったからで、ここまで広がっていなかったから選択肢になったわけです。ただ、デジタル人民元の世界になってしまえば、絶対に巻き戻しはできません。絶対に巻き戻すことができない中で、スマートコントラクトを使ったサービスをどんどん作っていくのは、相当にチャレンジングなことです。概念的にそこで閉じることができても、そこから抜け出すことができないということでもあります。慎重な開発のもとでもバグが避けられない中で、いろいろなサービスを普及させていくには、それなりに高いハードルが存在します。ハッキングした犯人を見つけ出すことは、できる場合とできない場合があります。原理的にはできないのですが、見つかるケースは、結構、古典的な手法で見つかります。攻撃には最低限の資金、数万円程度をブロックチェーン上で用意する必要があるのですが、これをどうやって安全に入手するかというのは課題です。たとえばビットフライヤーで買ったイーサリアムを自分のウォレットに送ってハッキングの原資に使うことを考えた場合、まず必要なのはビットフライヤーの口座です。仮に本人確認に自分のパスポートを使っていたならば、捕捉されてしまいます。最初のビットコインの入手は意外と難しいのです。仮に他人から買ったパスポートで登録したとすると、私とは関係がない人の名前のパスポートを使うことになるわけですが、接続時のIPアドレスが発覚の糸口になるケースもあります。IPアドレスを隠す技術はVPNなどいくらでもあるのですが、たまにVPNの接続が切れていたりして、意図せず本当のIPアドレスで接続していたりするケースもあるのです。そういうところがきっかけとなり、古典的なIPアドレスの捜査から捕まる場合もあったりします。「橋本氏対談(2)スマートコントラクトとDeFi:逃れられない「規制」と「バグ」(3)」に続く■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/11 11:23
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橋本氏対談(2)スマートコントラクトとDeFi:逃れられない「規制」と「バグ」(1)【実業之日本フォーラム】
■自由な分散型金融に立ちはだかる規制白井:ブロックチェーン上で、契約と決済を自動的かつカウンターパーティーリスク(取引の相手方が破綻するなどして、契約が履行されずに損失を被るリスク)なしに行う仕組みがスマートコントラクトです。スマートコントラクトは金融、経済をより効率化させると同時に、従来の国家の形にも影響を与えるのではないかと想像しています。国の枠組みを超えて経済のグローバル化が進んでいますが、国内法のみならず国際法や多国間の合意により権利が守られているからこそ、経済面でのグローバルな成長が可能となっています。一方、経済や金融に関わる法律は、実は単純なプロトコル的側面を多く有していますが、法の遵守を強制する社会的なコストは非常に大きくなっています。しかし、ブロックチェーンとスマートコントラクトの出現で、経済、金融に関連するプロトコル的な分野については、相当な部分を代替することが可能となります。理論的には、スマートコントラクトによって、契約行為、その履行、エージェンシーコスト(依頼人と代理人との利益相反により発生するコスト)やカウンターパーティーリスクの監視、紛争解決、刑事罰など、経済や金融にかかるあらゆるコストが不要になります。立法、司法、行政が果たす役割は将来的には次第に小さくなり、自律的かつ公正な高効率のデジタル金融市場がそれらを代替することになっていくでしょう。市場の番人は、国からプログラムされたプロトコルへ、国家の役割は、市場の法整備とその強制から、マネーロンダリング防止といったような監視の仕組み作りにシフトすると見ています。この変化を好機として捉える国家は成長するでしょうし、変化に抗う国家は長期的に凋落すると考えています。橋本:ビットコインは、ビットコインを送金することに特化した仕組みで、小難しい条件付きでの送金や特殊な金融取引には全く不向きでした。それに対して、2014年、15年ぐらいに出てきたのがイーサリアムです。ビットコインを知っている人であれば、イーサリアムの名前も聞いたことがあるでしょう。これは送金形態の多様性を実現してくれるブロックチェーンであり、ほとんどのビジネスロジックがイーサリアム上で実現できます。イーサリアムのスマートコントラクトと呼ばれる機能を使えば、特殊なトークンの貸し借り、トークンの売買、条件付きの売買、例えば1カ月以内に価格がどうなっていたら送るといったようなデリバティブ契約に近いものも、実現することできます。いま、この世界に興味を持って手を出してみようと思う人は、かなりの確率でスマートコントラクトの世界に入ってくることになるでしょう。DeFi(ディファイ=Decentralized Finance)と呼ばれるジャンルがあります。イーサリアムのスマートコントラクトを使って、複雑な商取引、金融取引をブロックチェーン上で実現しようという取り組みの総称がDeFiと呼ばれているものです。2018年頃からさまざまなサービスが出てきました。最初、ブロックチェーン上でステーブルコイン、円にペッグしたようなトークンが登場しました。また、日本であればビットフライヤーやコインチェックのような取引所の機能そのものをブロックチェーン上で実現するものも登場しました。この流れは加速し、2020年の中ごろからDeFiの世界は一段と多様性が広がりました。取引だけではなく、貸し借りのサービスなども登場し、ユーザーがどんどん増えました。いま、少し勉強して、暗号資産の世界に触れてみたいと思った人の多くがDeFiに投資することになると思います。たとえば、ビットフライヤー、コインチェックでイーサリアムを買い、このイーサリアムを自分のウォレットに送り、自分のウォレットからさまざまなサービスにアクセスして、DeFiを体験するという感じです。少し興味深い最近のトレンドは、あるサービスを利用するとそこが発行したトークンがもらえるというものです。サービス普及のために、初期の頃からアーリーアダプターとして使ってくれた人にサービスの名前を冠したトークンをあげるというのが、2020年中ごろから主流になっています。人々は、そのトークンをもらうためにDeFiの世界にどんどん飛び込んできて、それなりにリスクを冒しつつも、そのトークンをいかに集めるかを競っています。トークンには往々にして値段がつきますので、それを売却することもできます。DeFiの世界に100万円持ち込み、1カ月投資したら120万円になったというように、それなりの利率でどんどんトークンがもらえてしまう。こういった動きが最近のDeFiでは流行っています。白井:いまは遊びのような感じであったとしても、将来的には、皆が興味を持ち、プログラムを開発し、お金を投資していく。スマートコントラクト、DeFiは、そのうち現在の銀行や証券、保険などの業務を代替するための知能集積になるように思います。橋本:実際にそのような流れがあります。2018年からレバレッジ取引に加えて、オプション取引、プットオプション、コールオプションのようなサービスを、完全分散型としてブロックチェーン上で実現するプロジェクトが雨後の筍のように出てきています。一方、デリバティブのやり取りについては、どの国でも規制があります。日本でデリバティブの事業を運営しようとしたらこの免許が必要、アメリカであれば何が必要といったように、多くの国がその国の居住者にデリバティブを提供するということに何らかの規制を課しています。ブロックチェーン上のスマートコントラクトでデリバティブをやり取りするサービスを実現することがどのように法律に抵触するかは、開発している人たちにとっては大きな懸念です。規制側もずっと議論を続けています。白井:ローンや保険、ファンド的なDeFiもすでに出てきていますよね。規制側と開発側のせめぎ合いについて、もう少し詳しくお聞かせください。橋本:興味深い事例をご紹介しましょう。世の中ではビットコインにレバレッジがかかったトークンやオプションのトークンが流通しているのですが、これがUniswap(以下、ユニスワップ)という分散型取引所で取引されていました。プログラムコードを書いた人は技術的に誰でもデプロイすること(=アプリケーションを利用可能な状態にすること)ができるし、デプロイされたものは、未来永劫、みんなが使うことができます。しかし、いったんデプロイされたものは勝手に使われるだけで、デプロイした人がデリバティブの事業を運営している訳でもありませんので、多くの人が、DeFiはどこの法律にも抵触しないのだろうと思っていました。しかし、少し前に、ユニスワップのフロントエンド、つまりアクセスしやすくユーザーフレンドリーなインターフェースでつなぐユニスワップのウェブサイト上に、このデリバティブのトークンが表示されなくなる、という出来事がありました。ただ、コントラクト自体は引き続きブロックチェーン上にあるのです。つまり、ブロックチェーンにデプロイすることはどこの法律にも抵触しなくても、多くのユーザーがアクセスしやすい形のサービスを提供することはどこかの法律に抵触したのかもしれません。ユニスワップが米国の法律の規制を受けるのであれば、米国でデリバティブを提供するために必要なライセンスの取得が必要なのかもしれません。そういう圧力が働いた可能性が考えられます。古典的な金融の世界と一線を画したところでデリバティブなどさまざまなものを実現できると思いきや、技術的にはできたとしても、それを使いやすくするための周辺サービスのようなところに対する規制から逃れることができない。ここをどのように乗り越え、もともとDeFiが目指していたような自由な分散型金融サービスをどう実現していくのかが大きな論点です。「橋本氏対談(2)スマートコントラクトとDeFi:逃れられない「規制」と「バグ」(2)」に続く■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/11 11:21
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、金融統計の上振れを好感
11日の上海総合指数は売り先行。前日比0.17%安の3486.45ptで寄り付いた後は、日本時間午前11時3分現在、0.69%高の3516.50ptで推移している。金融統計の上振れが好感されている。一方、世界的なインフレ加速懸念が指数の足かせに。前日公表された10月の中国物価統計は、生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)がそれぞれ予想以上に前月から伸びが加速。なかでもPPIはプラス13.5%に達し、26年ぶりの高い水準を記録している。
<AN>
2021/11/11 11:10
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銀リンク債を対象とするマイナス3倍トラッカーが上昇率上位にランクイン(11日10:06時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つソフトバンクグループ<9984>プット462回 12月 5,700円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはWTI原油先物リンク債_2022年3月限コール3回 12月 75米ドル、Inpex<1605>コール225回 月 900円、マツダ<7261>プット54回 月 850円、マツダコール115回 月 1,150円などが見られる。上昇率上位は銀リンク債 マイナス3倍トラッカー30回 12月 24米ドル(+85.3%)、プラチナリンク債 マイナス3倍トラッカー35回 12月 1,050米ドル(+42.6%)、金リンク債 マイナス3倍トラッカー44回 12月 1,825米ドル(+41.7%)、資生堂<4911>プット50回 12月 6,400円(+41.2%)、資生堂プット49回 12月 5,300円(+37.9%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/11/11 10:35
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NYの視点:米物価上昇が賃金の伸びを相殺、消費や回復が損なわれる危険も
米労働省が発表した10月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.9%となった。伸びは9月+0.4%から予想以上に拡大し6月来で最大。前年比では+6.2%。伸びはやはり9月+5.4%から拡大し1990年以降31年ぶり最大を記録した。また、変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIは前月比+0.6%。伸びは9月+0.2%から予想以上に拡大し6月来で最大。前年比では+4.6%。伸びは9月+4.0%から予想以上に拡大し1991年以降30年ぶり最大を記録した。ガソリン、ヘルスケアから食料品や賃貸など生活コストが広範に上昇。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているコアCPIも30年ぶり最大の伸びで、FRBの目標2%の2倍以上に達した。CPI指数の59.1%を原油価格の上昇(+12.3%)が占めた。エネルギー全般で+4.8%で、12カ月間では+30%。一時落ち着いていた中古車価格も再び上昇に転じた。前月比+1.4%、前年比+9.8%。食品価格は+0.9%、+5.3%だった。CPIの3分の1を占める住居コストは+0.5%、+3.5%。10月CPI原油:+12.3%エネルギー全般:前月比+4.8%、12カ月間+30%中古車価格:+1.4%、+9.8%。食品価格:+0.9%、+5.3%肉、鶏肉、魚、卵:+1.7%、+11.9%住居コスト:+0.5%、+3.5%。生活コストの大幅上昇が賃金の伸びを相殺する。インフレ調整後の実質賃金の伸びは前月比-0.5%。平均時給の伸びは+0.4%で、CPIの伸びをほぼ相殺する。特に、賃貸など住居コストの上昇は長引く兆候があるため、高インフレが一過性に留まらない可能性は懸念となる。FRBは今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和縮小開始を発表したが、労働市場のスラックが存続するため利上げはまだ先との考えを示した。市場ではインフレの予想以上の上昇でFRBの金融政策が立ち遅れるとの警戒感も強まり、米金利先物市場では2022年の利上げを2回織り込んだ。ただ、物価上昇が今後、消費に影響を与え景気回復が損なわれる可能性も考えられ、スタグフレーション懸念も根強い。
<FA>
2021/11/11 07:52
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トルコリラ円は、インフレの加速を背景に戻り売りが優勢となろう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『インフレの加速を背景に戻り売りが優勢となろう』と述べています。続けて、『3日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比19.89%で、市場予想の20.4%は下回ったものの、2019年初め以来の高水準だった。前月比では2.39%上昇で、予想の2.76%を下回った。年間のインフレ率は過去13カ月中で12カ月上昇している』と伝えています。次に、『トルコ中央銀行は政策金利を16%に引き下げており、実質金利のマイナス幅が一段と拡大した。実質金利=名目金利−インフレ率=16.00−19.89=−3.89%。』と述べています。また、『生産者物価指数(PPI)は前月比5.24%上昇、前年比46.31%上昇だった。トルコ中銀はインフレが加速しているにもかかわらず9月の会合で利下げを断行し、市場の失望感を強めた。そして、国内では企業や国民がトルコリラをドルに変えようとする動きが強まっているという』と伝えています。陳さんは、『先週は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを急がない姿勢を見せたことで、トルコリラが買い戻されたが、一時的だろう。来週18日のトルコ中銀会合で利下げとなれば、トルコリラは最安値更新の可能性が高まろう』と考察しています。さらに、『米トルコ関係の緊張もトルコリラにはネガティブ要因だろう。バイデン大統領とエルドアン大統領は10月31日、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれているローマで会談した。バイデン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるトルコがロシアのS400地対空ミサイルシステムを保有していることに懸念を示した。民主主義や人権を守ることの重要性についても強調したという。ただ、防衛面での協力の重要性は再確認した』と解説しています。こうしたことから、陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについては、『11.30円~12.30円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月9日付「トルコリラ円今週の予想(11月8日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
<FA>
2021/11/10 17:53
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(中国)上海総合指数は0.23%安でスタート、米中関係の悪化懸念が圧迫材料
10日の上海総合指数は売り先行。前日比0.23%安の3498.94ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時59分現在、0.78%安の3479.80ptで推移している。米中関係の悪化懸念が圧迫材料となっている。また、8日に開幕した中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が11日まで開催されており、見極めるムードも強い。一方、経済活動の正常化期待などが引き続き指数をサポートしている。
<AN>
2021/11/10 11:05
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大国は小国に勝てない−戦略のパラドクス−【実業之日本フォーラム】
米戦略問題研究所(CSIS)の上級顧問であるエドワード・ルトワック氏は、著書『ラストエンペラー 習近平』の中で「大国は小国に勝てない」と主張している。この論理の重要な点は、「1対1では戦わない」という点である。1対1では大国が勝利するのは当然であろう。片方が大国の場合、周辺諸国は、次は自分かも知れないと恐怖を感じ小国に肩入れするであろうことから、大国が目的を達することが難しくなるという理屈である。理屈としては理解しても、実際の国際情勢ではどうだろうかという疑問があったが、まさにその通りの状況が展開されている。それはリトアニアと中国の関係である。リトアニアと中国の関係が急速に悪化したのは、2021年7月にリトアニアが「台湾」の名称で台湾当局の代表処を設置することを認めた以降である。中国外交部はこれを強く批判、駐リトアニア大使を召還する決定を行っている。(「小国の安全保障−リトアニアの決断−」2021.8.24参照(※1))リトアニアは、同年8月23日に国防省の調査報告として国内の5G関連移動通信体(モバイルデバイス)のサイバーセキュリティ上の評価を公表している。その中で、中国企業であるHuawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)及びOnePlus(ワンプラス)について、併せて10のサイバーセキュリティ上のリスクがあるとし、その内4つは製造時に実装されたものであると結論付けている。リスクの内容は、個人情報の流出や表現の自由を阻害するものであった。30ページを超える報告書は、セキュリティリスクの細部まで示しており、マルギリス国防次官は、中国製端末を使わないことがリスク軽減の最善策だと述べている。中国製システムについては、スパイウェアやバックドアが設置されているという噂が蔓延しているが、その細部を具体的に指摘するものは少ない。今回は、リトアニア国防省という政府機関が公表したものであり、その影響力は大きい。報告書では、これら3社がヨーロッパ市場において強い存在感を示しているとしており、今回の調査結果の影響はリトアニア一国にとどまらない可能性も否定できない。2021年9月16日、EUは「インド太平洋戦略」を公表した。経済の相互依存状況、地球規模の課題解決等を考えると、EUとインド太平洋の未来は密接に結びついているとし、中国の軍事力増強が南シナ海や台湾海峡を緊張状態にしているとの認識のもと、EUが積極的にインド太平洋地域に係るという方針を示している。その戦略として、「同じ志を持つパートナー」との協力を強化するとしている。戦略文書では、「同じ志を持つパートナー」として、日本、インド、オーストラリア、米国、韓国と並んで台湾を挙げている。同戦略には、インド太平洋における海洋安全保障のため、EU諸国が同地域に海洋プレゼンスを示すことに加え、「デジタルパートナーシップ」の作成にも言及されている。EUはインフラ接続に関し、中国の「一帯一路イニシアチブ」の代案となる「グローバルゲートウェイ」を公表している。デジタルガバナンスに関し、インド太平洋方面の諸国と連携を深め、これを足掛かりに、すでにガバナンスが定着しているオーストラリア、韓国、米国、カナダ等との連携を強化することを目指している。海洋プレゼンスの強化に関しては、英仏の空母機動部隊やドイツ海軍艦艇のインド太平洋方面行動は、EUの戦略文書を先取りした行動であった。11月5日に、ドイツ海軍艦艇が約20年ぶりに日本に寄港したが、ドイツ外務省報道官によれば、ドイツ政府が申し入れていた同艦の上海寄港は中国が受け入れを拒否したとしている。中国が、ドイツ海軍艦艇のインド太平洋展開を自国に対する圧力と認識し、不快感を示したものであろう。10月21日に、EU議会でEUと台湾の関係を強化すべきという法案が580対26という大差で可決された背景には、EUのインド太平洋戦略の影響がある。10月30日、中国外務省報道官は、リトアニアとEUに対中関係を悪化させるべきではないと警告を発している。中国がリトアニアとEUの動きを結託したものとみている証左である。それにもかかわらず、11月3日、EU議会の代表者は台湾を訪問、蔡英文総統と会談し「あなた方は孤立無援ではない」とのメッセージを伝えたと報道されている。小国リトアニアと大国中国の対立はEU対中国の対立に変化した。中国外務省の副報道局長は、「強烈な不満と断固とした反対」を表明するとともに、欧州側に抗議したと明らかにした。しかしながら、11月8日の時点では具体的な対抗措置はとっていない。11月3日付のGlobal Times紙(中国環球時報英語版)は、台湾を訪問した代表団は一部の反中国派議員であり、騒ぎ立てることにより自らの存在感を示そうとしているだけであり、相手にするのは時間と資源の無駄であるとの論評を掲載している。同紙は、中国政府の方針を代弁することが多く、中国としては、EUとの対立を、ローキィで扱うことにより沈静化を図っていく方針であることを示すものであろう。小国リトアニアに、台湾という名前を冠した連絡事務所を設置させないという中国の目的は果たすことができず、結果的には中国は勝つことができなかったという見方もできる。リトアニアが中国からの圧力に屈しなかった理由は、EUがリトアニア側についたという事が大きいが、中国への経済依存度も低く、距離的にも中国から遠いという背景があることも事実である。しかしながら、日本が中国と対峙する場合、教訓とすべき事項も多い。その一つは、「同じ志を持つパートナーとの連携」強化である。もちろん日米同盟が基軸であることは確かであるが、EUがインド太平洋戦略において日本を各分野におけるパートナーと位置付けていることを重視すべきである。19世紀の英国首相パーマストンは、「英国は永遠の友人も持たないし、永遠の敵も持たない。英国が持つのは永遠の国益である」、と述べたとされる。アフガニスタンからの米軍の撤退に見られるように、最終的な価値基準は国益である。日米同盟のみに依存する安全保障は心もとない。価値観を共有する国々との関係を強化することはもちろんのこと、軍事だけではなく、経済、外交、科学技術あらゆる分野で安全保障を担保する方策を講じる必要がある。岸田総理大臣が経済安全保障担当大臣のポストを新設したのは、その観点から重要な一歩と言える。今後、経済関係省庁の垣根を超え、さらに外交、防衛各大臣とどのような連携を図って我が国の安全保障を支えていくかが注目される。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:代表撮影/ロイター/アフロ(※1)https://forum.j-n.co.jp/post_politics/2463■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
<FA>
2021/11/10 10:41
注目トピックス 経済総合
日産自動車を対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(10日10:06時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはイーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 12月 1.0米ドル、WTI原油先物リンク債_2022年3月限コール5回 月 85米ドル、IHI<7013>プット39回 月 2,400円、三井金属鉱業<5706>コール68回 月 4,250円などが見られる。上昇率上位は日産自動車<7201>コール293回 12月 725円(+86.7%)、日産自動車コール292回 12月 650円(+74.7%)、エヌ・ティ・ティ・データ<9613>コール91回 12月 2,750円(+63.2%)、エヌビディアプット106回 12月 210米ドル(+57.1%)、エヌ・ティ・ティ・データコール90回 12月 2,450円(+53.0%)などとなっている。(カイカ証券)
<FA>
2021/11/10 10:22
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ウォール街を知るハッチの独り言 カツオくんとワカメちゃんの学費を米国株投資で貯めるとしたら
さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、11月8日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。最近日曜の夕方、国民的お茶の間番組と言われるサザエさんを観ながら一つ余計なことを考えたのです。それは、磯野家のカツオくんや、ワカメちゃんの大学の授業料はちゃんと準備されているのか。父親である磯野波平さんは、子供たちの将来を考え、教育費はきちんと貯めているのか。ネット上の推測によると、サザエさんの家は世田谷区桜新町にあり、4LDKの庭付き一戸建てで、2.7億円程度の資産価値があると言われています。もしも、本当に2.7億円という価値があったとしても、その家を担保して銀行からお金を借りない限り、自宅はキャッシュを生むことはありません。カツオくんとワカメちゃんの授業料は波平さんがなんとかしなければなりません。フジテレビのHPによると、一家の主である波平さんは54歳、カツオくんは小学5年生の11歳で、ワカメちゃんは2歳年下で小学3年の9歳となっています。さて、皆さんもご存知の通りカツオくんは勉強が苦手のようです。そのカツオくんが中高で猛勉強、晴れて東京の私立大学へ入学しました。すると、入学金や授業料だけで140万円、2年から4年までは授業料だけで年間100万円かかるとします。つまり4年間で440万円かかる計算です。お小遣いは別に要りますが、そこは是非ともカツオくんにアルバイトを頑張ってもらいましょう。真面目な波平さんのことですから、子供たちの教育資金のことは考えているのではないかと思うのですが、万が一です、万が一まだそこまで考えてなかった場合、私が彼の友人であれば、今直ぐに投資を始めるべきだとアドバイスをするでしょう。もしも、必要な授業料全額をアメリカ株(S&P500指数連動)の投資信託に投資をしたとすれば毎月いくら投資に回せば良いのかと考えてみました。サザエさんの番組スポンサーには米国企業のAmazonが連ねているので、磯野家の運用も勿論、米国株です。では、早速、波平さんにご提案してみましょう。先ず初めに長男カツオくんです。11歳のカツオくんの為に大学4年間で必要な学費440万円を18歳の3月末までに貯めるとします。1990年から2020年末までのS&P500の円建ての実際の平均年間リターンは11.4%でした。波平さんがカツオくんの為にこれから毎年3月末にS&P500指数連動型の投信に投資をし、そのリターンは毎年7%と控えめに仮定すると7年間毎年508,434円を投資に回さなければなりません。月額にすると42,370円となります。この間株価の上昇分で増える分を合計すると840,962円という結果です。では続いて長女ワカメちゃん、現在9歳の彼女が同じく東京の4年制の大学へ進学するとすれば、投資期間9年間で440万円貯める必要があります。カツオくんと同じく米国株投信に投資をし、平均7%のリターンが得られるとすれば、必要なのは年間367,340円となり、月額にすると30,612円を積み立てる必要があります。この間の株価の上昇分を合計すると1,093,940円にもなります。そうすると波平さんは、今から毎年875,775円、または毎月合計72,981円を彼らの大学学費の為、投資に回さなければなりません。ひょっとすると波平さんは焼き鳥屋やおでんやさんへの寄り道を減らす必要があるかもしれません。波平さんの給料は分かりませんのでなんとも言えませんが。いずれにしても、ワカメちゃんが大学に入学する時には波平さんは今の会社を退職するであろう63歳です。授業料のための投資は早めに始めた方が良いですね。一方、24歳のサザエさんのご主人のマスオさんはまだ28歳、一人息子のタラオちゃんはというとまだ3歳です。今マスオさんと話す機会があれば、今すぐにタラオちゃんの教育資金を貯め始めるよう勧めるつもりです。カツオくんとワカメちゃんと同じ様に学費に440万円かかるとすれば、今から始めれば年間175,096円、月額にすると14,591円で済むのですから。さて、改めて先週サザエさんを観ました。磯野家の電話はダイヤル式、テレビはブラウン管でした。ということは、生憎この時代には、米国の株価指数に積み立て投資ができる投資信託など存在していなかった時代であることを確認しました。ただ、どのような時代であったにせよ、我々にとっての教訓は、早く投資を開始すればするほど、キャピタルゲインだけでなく、配当金の複利効果で得られるリターンもトータルのパフォーマンスに貢献してくれるということです。長期に渡って成長が見込める米国株、皆さんも今すぐ御自分のため、そして、お子さんの為に長期投資を始めてみるのはいかがでしょうか。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:11/8配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
<FA>
2021/11/10 09:23
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NYの視点:インフレ上昇一服、ブレイナードFRB理事の議長指名説に金利低下
ゴールドマンサックスは先週末、インフレは弱まる前に一段と強まると警告した。連邦準備制度理事会(FRB)は今月から資産購入規模を月150億ドル減らしていく計画だが、シティグループのエコノミストはFRBが資産購入の削減額を225億ドルに増やしペースの加速を迫られ、2022年4月にも購入を終了するとの見通しを示した。早めの利上げ開始の必要性に迫られる可能性を警告した。こういったインフレ上昇への警戒感が強まる中、米労働省が発表した10月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.6%となった。伸びは、9月+0.5%から拡大も予想に一致。前年比では+8.6%。伸びは予想通り9月に続き過去最大の伸び。ガソリンや自動車価格の上昇が引き続き全体指数を押し上げ、変動の激しい食品、エネルギーを除いたコアPPIは前月比+0.4%と、伸びは9月+0.2%から拡大も予想は下回った。前年比では+6.8%と、やはり9月に続き2カ月連続で、過去最大を記録した。商品価格(goods)が+1.2%となった一方でサービス価格の伸びは+0.2%にと留まった。建設価格は+6.6%。商品価格の上昇の3分の1はガソリン価格の(+6.7%)上昇が占める。サービスでは80%が自動車価格(+8.9%)の上昇が占めた。ただ、PPIは記録更新とはならず。想定内にとどまったほか、コアPPIは前月比での伸びが予想を下回るなど、急速なペースでの物価上昇が一段落し始めた兆候ともとれる。パウエル議長を始め、FRB高官はサプライチェーン混乱の改善に連れ、来年の第2、第3四半期にインフレが鈍化すると見ている。バイデン大統領が民主党でハト派のブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事を次期FRB議長に指名するとの見方も手伝い米国債相場は上昇。ワシントンで10日に発表予定の10月消費者物価指数(CPI)でさらにインフレ動向を確認していく。
<FA>
2021/11/10 07:38
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.24%高でスタート、経済活動の正常化期待などで
9日の上海総合指数は買い先行。前日比0.24%高の3507.10ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時52分現在、0.17%高の3504.66ptで推移している。経済活動の正常化期待が指数をサポートしている。また、昨夜の米株高や米市場にADR上場する中国教育株の大幅上昇も好感されている。一方、中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)がきのう8日に開幕しており、見極めムードが強まっている。
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2021/11/09 10:58
注目トピックス 経済総合
アドバンスト・マイクロ・デバイセズのコール型eワラント前日比3倍超えの大幅上昇(9日10:27時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つミネベアミツミ<6479>コール81回 12月 3,000円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはユニ・チャーム<8113>コール102回 11月 4,900円、ヤマハ発動機<7272>コール17回 月 3,700円、日本製鉄<5401>コール257回 月 2,650円、ヤマハ発動機プット17回 月 2,700円などが見られる。上昇率上位はアドバンスト・マイクロ・デバイセズコール77回 11月 150米ドル(前日比3.7倍)、ソフトバンクグループ<9984>コール589回 11月 7,100円(前日比3.6倍)、ソフトバンクグループコール588回 11月 6,200円(前日比2.7倍)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズコール76回 11月 130米ドル(+94.6%)、東レ<3402>プット144回 11月 750円(+82.5%)などとなっている。(eワラント証券)
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2021/11/09 10:43
注目トピックス 経済総合
コロナ時代の「日本のガバナンス」(第2回)ASEANで進む日本のワクチン外交と健康危機管理対策【実業之日本フォーラム】
毎年、秋が深まる頃になるとASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が開催される。あわせて日本、中国、韓国、米国、豪州などの首脳を招いた関連会合も開かれるのが恒例となってきた。新型コロナの感染拡大により昨年に続き今年もオンライン形式で、10月26日にASEAN首脳会議、27日には日ASEAN首脳会議、ASEAN+3(日中韓)首脳会議、さらにバイデン米国大統領も参加する東アジアサミット(EAS)が開催された。1.ASEANという戦略的パートナー岸田文雄総理は首脳会議にオンラインで出席し、ASEANと連携して「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた取組を力強く推進すると述べた。さらに、台湾海峡の平和と安定の重要性や、東シナ海、南シナ海をめぐる情勢を踏まえ、経済的威圧にも強く反対すると述べた。政府の報道発表では名指しされていないが中国が念頭にあることは想像に難くない。また東アジアサミットに出席したバイデン大統領は、インド太平洋地域が開かれ、繁栄し、安定していることの重要性を指摘した。ただしホワイトハウスの報道発表にはFOIPそのままの文言は見られない。ASEANは、中国が警戒するFOIPをそのまま受け入れることに抵抗がある。そうしたASEANの事情への、米国の配慮が垣間見える。ASEANは、日米豪印など民主主諸国との首脳会談のみならず、10月26日には中国・ASEAN首脳会議も開催した。ここで中国とASEANは「包括的戦略パートナーシップ」を設立することで合意した。これまでの「戦略的パートナーシップ」から格上げされた関係となる。インド太平洋のど真ん中に位置する東南アジアは、米中対立の主戦場の一つとなっている。ただし東南アジア諸国も、地域機構であるASEANも、米国か中国か、どちらか一方だけ選ぶということはできない。政治、経済、社会、文化のすべての領域で、米中の両方と緊密な関係を続けてきたからだ。だからこそASEANは、日米のみならずG7も明示的に平和と安定を求めている台湾情勢について、表立った立場を示すことは避けている。米英豪3か国間の安全保障パートナーシップAUKUSについても東南アジア諸国で賛否がわかれており、マレーシアは「軍拡競争を招きかねない」と批判している。FOIPについては今年前半の日米首脳会談やG7首脳会談でも、その重要性への言及があった。他方でASEANは中国が警戒するFOIPの代わりに、2019年以降、独自に「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」という構想を掲げてきた。日本にとってASEANは、自由で開かれ、ルールに基づくインド太平洋地域を実現していくために価値観を共有する「戦略的パートナー」である。日本は東南アジアに米国か中国かという踏み絵を踏ませるようなことはせず、慎重な外交を続けてきた。岸田総理は今回の日ASEAN首脳会談や東アジアサミットでも、開放性、透明性、包摂性、法の支配といったAOIPが掲げる価値は、FOIPと本質的な原則を共有しており、具体的な協力をさらに進めていくと述べた。日本のみならず、日米豪印のクアッドもAOIPを強く支持している。日本が米国など民主主義諸国とともに、毎年この時期、ASEAN諸国と首脳レベルの会談を続けていることは極めて重要なことである。同時に、米中対立が深まる中、東南アジアから日本への期待も高まっている。米国や中国にできない、日本ならではの協力によって東南アジアで存在感を示していくことが、より一層、重要になっている。2.新型コロナ対策支援日本が今年のASEAN関連首脳会合で目玉として強調したのが、新型コロナ対策支援だった。その柱は、ワクチン現物供与、コールドチェーン整備支援、財政支援円借款、そしてASEAN 感染症対策センターの運営支援である。日本を含め東南アジアは欧米に比べ、ワクチン接種の開始が遅れた。こうした中、日本は菅政権でファイザー社及びモデルナ社のワクチン接種を急速に進めるとともに、国内で製造したアストラゼネカ社ワクチンを東南アジアへ供与した。インドネシアに約415 万回分、ベトナムに約 408 万回分、フィリピンに約 308 万回分など、ASEAN全体で合計1,600 万回分以上のワクチンを供与してきた。これに加え日本は台湾にもこれまで6度、約420万回分のワクチンを供与してきた。これらを合計すると、日本はこれまでに20か国・地域へ3,000万回分以上のワクチン現物供与を行ってきている。これは米国、中国、インドに次ぐ規模である。日本はメイド・イン・ジャパンのアストラゼネカ社ワクチンを活用し、いまやワクチン供与大国となりつつあるのだ。さらに日本が得意とするのが、ワクチンを超低温のまま冷凍・冷蔵・保管・輸送するコールドチェーンである。国際空港から接種現場の人々の腕までワクチンを届けきるコールドチェーン整備の「ラスト・ワン・マイル支援」として、日本はASEANに25億円以上の無償資金協力を実施してきた。魚など生鮮食品を日本中、地方や離島から首都圏まで届ける高品質な小口保冷配送は、いまや日本が世界に誇るお家芸となっている。その先駆者となったのが「クール宅急便」で知られるヤマト運輸だ。同社は日本政府とともに、小口保冷輸送の国際標準化を目指した。そして2020年、国際標準化機構(ISO)において、日本政府が主導する形で、小口保冷配送サービスはISO23412として国際規格となった。その背景には、中国でクール宅急便に類似のサービスが広がりはじめ、それが、多少の品質劣化に目をつぶった保冷配送の世界標準になってしまうかもしれない、という危機感があった(「物流のガラパコス化を乗り越えるために。ヤマトが主導するフィジカルインターネットと国際標準化の取り組み」ハフポスト、2021年9月10日)(※1)。小口保冷配送サービスの国際標準化は、ASEANという大きな市場を見すえた取組でもあった。こうした官民一体のルールメイキングと、日本の保冷配送技術が、ワクチン接種の加速化という、ASEAN諸国の健康危機管理に貢献している。ワクチン現物供与とコールドチェーン整備支援は、日本のワクチン外交の二枚看板だ。こうした日本の協力が、東南アジア諸国でワクチン接種の加速化に果たした役割は少なくない。世界各国のワクチン接種回数を比較すると、中国、インド、米国、ブラジルに次いで第5位がインドネシア(1.93億回)、第6位が日本(1.89億回)となっている(Our World in Data、2021年10月31日時点)。さらに日本はFOIPを推進していくため東南アジア諸国の経済回復も下支えしている。これまで累計約1,950億円の無利子に近い財政支援円借款を実施してきた。そして、新型コロナが収束したとしても、近い将来ふたたび新興・再興感染症のアウトブレイクが日本そして東アジア全域に襲い掛かるものとして備えておかねばならない。日本は昨年、約55億円を拠出してASEAN感染症対策センターの設立を支援した。これは東南アジアのみならず、日本の健康危機管理のためにも重要な感染症対策の拠点である。病原体をすばやく検出し、初動から機動的に対応するため、東南アジア諸国との平時からの連携がますます重要となる。現地の邦人保護も課題だ。また、東南アジア諸国で流行してきたデング熱、ジカ熱、マラリアなど熱帯病が、気候変動により日本国内で流行する可能性も十分にある。さらに、次のアウトブレイクではワクチンや治療薬がすばやく使用できるよう、日本と同じくモンゴロイドの人々が多い東南アジア諸国とが連携し、今からでも国際共同治験ができるよう体制を整備しておくことも大切である。ASEAN感染症対策センターにおいて、日本は各国の公衆衛生担当者向けの研修を始めた。東南アジアは、地理的、社会的、経済的、そして歴史的にも、日本と密接な関係にある。日本がASEANでワクチン供与とともにコールドチェーン整備を支援し、さらに将来の感染症をはじめ健康危機への対応能力を高めることで、戦略的パートナーとしての協力はさらに深化していくことだろう。執筆者プロフィール相良祥之一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)主任研究員。国連・外務省・IT企業で国際政治や危機管理の実務に携わり、2020年から現職。研究分野は国際公共政策、国際紛争、新型コロナ対策やワクチン外交など健康安全保障、経済安全保障、制裁、サイバー、新興技術。2020年前半の日本のコロナ対応を検証した「コロナ民間臨調」で事務局をつとめ、報告書では国境管理(水際対策)、官邸、治療薬・ワクチンに関する章で共著者。慶應義塾大学法学部卒、東京大学公共政策大学院修了。ツイッター:https://twitter.com/Yoshi_Sagara※1:https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_613ac579e4b09519c502a523提供:Brunei ASEAN Summit/AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/09 10:40
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米インフレ指標に注目、FRB高官は引き続き利上げを急がず
今週は10月生産者物価指数(PPI)や10月消費者物価指数(CPI)など重要インフレ指標の発表が予定されている。サプライチェーンの混乱や供給ひっ迫によるエネルギー価格上昇が世界的な物価上昇に繋がっている。10月消費者物価指数(CPI)は前年比で1990年以降31年ぶりの大幅な伸びが予想されている。FRBがインフレ指標として注視しているエネルギーや食品を除いたコアCPIも伸びが拡大する見込み。NY連銀の10月分1年期待インフレは0.4%ポイント上昇し5.7%と、統計を開始した2013年6月以降で最高を記録した。ただ、3年期待インフレは4.2%と、前回と同水準。パウエル議長はサプライチェーン混乱が想定以上に長期化する可能性やインフレリスクの上昇を認識しながらも、インフレがいずれ鈍化するとの見解や、中長期のインフレ期待が抑制されており、利上げは急ぐ必要はないとの姿勢を維持している。ただ、上昇した場合は対処の準備があるとした。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は8日の講演で、引き続き物価圧力が緩和することが、基本的な見解で、供給混乱が解決すれば、インフレは鈍化すると見ていることを明らかにした。ハト派として知られるシカゴ連銀のエバンス総裁も8日の講演で「最近のインフレの上昇の多くは一過性」と表明すると同時に、需給状況の正常化、インフレ鈍化に要する時間にはかなりの不透明感があると加え、昨年夏に比べ、インフレ見通しリスクは大きいことも認めた。しかし、長期インフレ期待は予想に一致または、2%を下回るとしており、利上げは2023年まで適切になるとは考えていない。■NY連銀10月1年期待インフレ:5.7%(過去最高)3年期待インフレ:4.2%(前回4.2%)賃金の伸び:+3.3%(+3.0%)
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2021/11/09 07:53
注目トピックス 経済総合
(中国)上海総合指数は0.01%高でスタート、輸出の上振れを好感
8日の上海総合指数は買い先行。前日比0.01%高の3491.97ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時48分現在、0.20%高の3498.72ptで推移している。輸出の上振れが好感されている。また、米株高なども支援材料。一方、10月の主要経済指標が今週後半から相次いで発表されるため、慎重ムードが強い。
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2021/11/08 10:55
注目トピックス 経済総合
AUKUS枠組みとNPT(核兵器不拡散条約)の整合性は図れるか【実業之日本フォーラム】
AFP通信は、2021年10月29日、「米国のバイデン大統領とフランスのマクロン大統領は、G20サミット(主要20カ国首脳会議)が開催されたローマで、米英豪安全保障協力枠組み『AUKUS』創設後の両国の関係修復について会談した」と発表した。この会談は、オーストラリアがフランスに発注していた潜水艦共同開発計画を破棄し、米英豪仏関係が険悪化して以降初めての対面会談であった。バイデン大統領はフランス側との事前の調整不足を謝罪した。マクロン大統領はこのような事態の再発防止を要望し、両氏は報道陣を前に笑顔で握手を交わし友好ムードを演出した。両首脳は、会談後の共同声明で、「フランスは、『自由で開かれたインド太平洋』への貢献者であり、安全保障の提供者だ」と明記している。米仏間の軋轢は、2021年9月15日、米国、英国及びオーストラリアの三カ国が、新たに締結した安全保障枠組み「AUKUS」を通じて、オーストラリアに原子力潜水艦導入のための技術協力をすることを発表したことが発端である。日本の加藤官房長官は、9月16日の記者会見で「この米英豪の安全保障枠組みの新設は、インド太平洋地域の平和と安全にとって重要だ」と歓迎の意を表していた。ところが、インドネシアなどASEAN諸国の一部は、豪州の原潜導入は地域の軍拡競争に発展する危険性があると警鐘を鳴らし、CNNによると「ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、オーストラリア原潜の領海進入を容認しない」と拒否反応を示している。オーストラリアのスコット・モリソン首相は、「AUKUS」発表時に「原潜に使う濃縮ウランや原子炉技術は絶対に核兵器に転用せず、NPT(核拡散防止条約)を遵守する」と理解を求めている。バイデン大統領も「オーストラリアが保有するのは原子炉を動力とした通常兵器搭載の潜水艦だ」と発言し、NPT体制に抵触しないとの判断を示している。核兵器を持たない国の原子力潜水艦獲得の動きは、今でも数カ国で確認できる。米国は、1980年代「核燃料の移転は核兵器製造に繋がる」という理由でカナダの原潜保有を認めていない。韓国は、1990年代から原潜保有計画を着々と進めており、2017年8月、文在寅大統領は就任後のトランプ大統領との電話会談で、原潜導入計画について理解を求めている。その後、2020年9月、韓国大統領府国家安全保障室金第2次長がワシントンを訪れ、原潜用核燃料の供給を要請したが、米国はこれを拒否している。また、ロイターなどによると2012年6月、「イラン海軍が原潜建造計画を表明」、2020年6月、「イラン海軍のハーンザーディー司令官は、イランで原潜建造計画が進行中である」と報道している。さらに、英国のエコノミスト紙は、「ブラジルはリオデジャネイロ近郊のイタガイ海軍団地付近で、第1号原子力潜水艦『アルバロ・アルベルト』を設計・建造しており、2029年の完成を目指している」と報じた。NPT第3条には「原子力の平和的利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されることを防止するため、非核兵器国(米英露仏中以外)は国際原子力機関(IAEA)の保障措置(締約国は、原料物質又は特殊核分裂性物質が主要な原子力施設において生産され、処理され若しくは使用されている又は主要な原子力施設外にあるかを問わず遵守されなければならない)を受諾する」と規定されている。しかし、NPTは、原潜などの動力として核物質を使用することを禁止していないと解釈することもできる。AUKUSの締結が公表された翌日の9月16日、IAEAのグロッシー事務局長は、「3カ国が早期の段階でこの状況をIAEAに報告していた」とし、「IAEAはその法的任務に従って、3カ国がIAEAと締結した保障措置協定に従ってこの問題に取り組む」との声明を出している。IAEAは少なくとも現時点では、AUKUSがIAEAの保証措置に違反するとは見ておらず、NPTにも違反していない。米国は、これまで同盟国に対しては核の傘を提供する一方で、核兵器開発が疑われる国には制裁を課して核不拡散をうたっており、今回のオーストラリアへの原潜技術供与は例外だとしている。AUKUSで合意したとされているのは、オーストラリアに対する原子力技術の提供であり、原子力燃料については触れられていない。核不拡散を名目に韓国からの原子力燃料の提供要請を拒否していることから、オーストラリアはウラン濃縮施設を自国内に建設する可能性が高い。しかしながら、イランや中国の「これは二重基準であり、米国の偽善だ」との非難を完全に否定することは難しいであろう。原潜は極めて戦略的価値が高い兵器である。オーストラリアが中国の脅威に対抗するために、その保有を目指す考えは理解できる。一方、NPTは核兵器の拡散を防ぐため、核燃料の核爆弾への転用を防止するとともに、核燃料の取扱いに関し、保障措置の遵守を求めることで一定の制約を課すものである。従って、現在の枠組みでは、核兵器の拡散に関する歯止めとはなっても、核燃料の拡散を完全に防ぐことはできない。むしろIAEAは、原子力発電が気候変動対策に向けた温室効果ガスの削減に有効な手段の一つであるとして、原子力発電に係る技術協力に積極的に取り組んでいる。AUKUSが中国やロシアの主張する核拡散や軍拡といった批判を回避するためには、IAEAと合意する保障措置を厳格に順守し、核燃料に係る透明性を確保する必要がある。日本は、唯一の被爆国として核廃絶に対する強い民意がある。しかしながら、核兵器と核エネルギーを同一視するのは必ずしも世界の主流とは言えないであろう。9月の自民党総裁選挙時、高市、河野両候補(当時)は「日本も原潜の保有を検討する必要がある」と訴えている。日本は、中国、ロシアそして正規には認められてはいないものの、実質上の核保有国である北朝鮮という国々に囲まれている。さらには、前述のとおり、原潜保有に意欲を燃やす韓国という隣国も存在する。潜水艦は戦略兵器であり、特に原子力潜水艦の安全保障に対する影響力は極めて大きい。日本は「被爆国」の呪縛を離れ、原子力潜水艦保有の是非について真剣に議論する時期に来ている。その観点から、AUKUSの今後について、推移を注意深く見ていく必要がある。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/08 10:39
注目トピックス 経済総合
JFEホールディングスのプット型eワラントが前日比2倍超えの大幅上昇(8日10:06時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本郵船<9101>コール138回 12月 9,500円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはイーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 11月 2,900米ドル、ビットコイン2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 46,000米ドル、イーサリアム2021年12月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,550米ドル、ビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドルなどが見られる。上昇率上位はJFEホールディングス<5411>プット144回 11月 1,550円(前日比2.4倍)、オリンパス<7733>コール39回 11月 2,650円(前日比2.3倍)、クボタ<6326>プット40回 11月 2,200円(+90.0%)、オリンパスコール38回 11月 2,300円(+69.8%)、伊藤忠商事<8001>コール120回 11月 3,300円(+66.7%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/11/08 10:21
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】:米PPI、CPI、JOLT求人、パウエル議長、クラリダ副議長など
今週は10月生産者物価指数(PPI)や10月消費者物価指数(CPI)など重要インフレ指標に注目が集まる。また、経済、財政、中央銀行にける多様性の受け入れに関するビデオ会議に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が参加を予定しているほか、クラリダ副議長も、財政策と金融策に関してのイベントに参加予定で、発言に注目が集まる。サプライチェーンの混乱や供給ひっ迫によるエネルギー価格上昇が世界的なインフレに繋がっている。賃貸の上昇も顕著で、10月消費者物価指数(CPI)は前年比で1990年以降31年ぶりの大幅な伸びが予想されている。FRBがインフレ指標として注視しているエネルギーや食品を除いたコアCPIも伸びが拡大する見込み。今後はパウエル議長が言及したとおり、来年の第2、第3四半期までにインフレが弱まるかどうかを睨む展開となる。米FRBは11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利据え置きを決定すると同時に、経済が一段とFRBの目標にさらに近づいたとの見方から資産購入縮小開始を発表。ただ、利上げは労働市場の回復を待つ必要があるとした。10月雇用統計は失業率が予想以上に低下、非農業部門雇用者数も予想を上回る伸びを示したものの、労働参加率は想定通り伸びず、労働市場のスラック存続が明らかになっている。JOLT求人数でスラック状況をさらに探る。一方、新型コロナワクチンに続き、高リスク患者の入院・死亡を89%減らす飲み薬の開発も進み、食品医薬品局(FDA)の前局長ゴットリーブ氏は、パンデミックが来年1月までに終了する可能性に言及。新型コロナへの脅威がさらに後退し消費者信頼感の改善にもつながり回復ペースを加速することが期待できる。11月ミシガン大消費者信頼感指数は改善が予想されており、米国経済は7-9月期に成長ペース鈍化したのち、10-12月期には再び回復ペースが強まると見込まれるがめドルも底堅い展開が継続か。■今週の主な注目イベント●米国8日:3年債入札、ワクチン接種者の入国制限緩和、クラリダ副議長がインフレ目標や金融政策に関する討論会参加、パウエル議長あいさつ9日:10月生産者物価指数(PPI)10年債入札経済、財政、中央銀行にける多様性の受け入れに関するビデオ会議にパウエル議長が参加、ブラード・セントルイス連銀総裁がUBSのビデオ会議に参加、デイリーサンフランシスコ連銀総裁がNABE会合で演説、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁がタウンホール参加10日:10月消費者物価指数(CPI)、週次新規失業保険申請件数、30年債入札11日:ベテランズデーの祝日で国債市場は休場、株式市場は通常通り12日:9月JOLT求人、11月ミシガン大消費者信頼感指数速報、ウィリアムズ米NY連銀総裁が討論会に参加●中国8-11日:第19期中央委員会第6回総会10日:PPI、CPI●欧州8日:レーンECB理事あいさつ、財政・金融政策に関して講演9日:EU財務相会談、独ZEW期待指数、クノット・オランダ中銀総裁 がUBSのビデオ会議に参加10日:独CPI11日:欧州委経済見通し公表12日:ユーロ圏鉱工業生産●日本10日:機械受注11日:PPI●英国11日:GDP
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2021/11/08 07:37
注目トピックス 経済総合
国内外の注目経済指標:10月の米コアインフレ率は前年比+4%超の公算
11月8日-12日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。■9日(火)午前8時50分発表予定○(日)9月経常収支-予想は+1兆1059億円参考となる8月実績は+1兆6656億円。原油価格の大幅な上昇によって輸入額は増加しており、前年同月比で黒字幅は減少。9月については、輸入額は増加するものの、第1次所得収支の黒字額は高水準を維持する見込みであり、経常黒字額は1兆円程度となる見込み。■10日(水)午前10時30分発表予定○(中)10月消費者物価指数-予想は前年比+1.3%参考となる9月実績は前年比+0.7%。生産者物価指数は9月時点で前年比+10.7%と大幅に上昇しており、10月はさらに上昇するとみられている。価格転嫁の動きが広がりつつあることから、10月の消費者物価指数の上昇率は1%を超える見込み。■10日(水)午後10時30分発表予定○(米)10月消費者物価コア指数-予想は前年比+4.3%参考となる9月実績は前年比+4.0%。供給面での制約は解消されていないため、国際商品価格は大幅に上昇しており、この影響は多方面に及んでいる。コア指数も上昇傾向にあり、10月の上昇率は9月実績を上回る見込み。■12日(金)日本時間13日午前0時発表予定○(米)11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報-予想は72.0参考となる10月CB消費者信頼感指数は113.8に改善している。雇用環境はやや改善しているようだが、インフレ進行に対する消費者の懸念は消えていないため、消費者信頼感の大幅な改善は期待できない。○その他の主な経済指標の発表予定・9日(火):(独)11月ZEW景気期待指数、(米)10月生産者物価指数・10日(水):(中)10月生産者物価指数、(中)10月財新サービス業PMI、(米)10月ADP雇用統計・11日(木):(日)10月国内企業物価指数、(豪)10月失業率、(英)7-9月期国内総生産、(英)9月商品貿易収支・12日(金):(欧)9月ユーロ圏鉱工業生産
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2021/11/06 14:04
注目トピックス 経済総合
FRBはテーパリング決定、金相場への影響は? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『米連邦準備制度理事会(FRB)は3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、新型コロナウイルス禍からの景気回復と物価上昇が進む中、テーパリング(購入資産の段階的縮小)を全会一致で決定した。政策金利を0~0.25%とする事実上のゼロ金利政策は維持した』と伝えています。続けて、『FRBは20年6月から米国債800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)400億ドルの計1200億ドルを毎月購入しているが、この日の決定では、11月から毎月150億ドル(米国債100億ドル、MBS50億ドル)ずつ購入額を減らし、22年6月に購入量をゼロにする計画。ただ、経済状況が変化した場合は「購入ペースを調整する用意がある」とした。償還期限を迎えた債権は再投資し、FRBの保有資産は現行水準を当面維持する。量的緩和の縮小開始と来年半ばの終了については、市場参加者の想定通り』と解説しています。また、『市場は、現在の高インフレへの警戒から、利上げ時期の前倒しについての示唆があると予想していたが、パウエル議長は記者会見で「今は利上げする時ではない」と繰り返した。雇用最大化の目標を達成していないためで、今回のFOMCでも利上げについては検討しなかったことを認めた』と言及、『予想外にハト派的な会合となり、東京時間の電子取引では、NY金は反発している』と伝えています。一方で、『5日に発表される10月米雇用統計は、強い内容が予想されている。市場予想は非農業部門就業者数が前月比45万人増、失業率が4.7%。ともに前月よりも改善が見込まれており、安全資産としての側面を持つ金には圧迫材料となりそうだ』と述べています。米雇用統計がについて、『予想に沿った良好な数字となれば、市場のタカ派的な見方が強まり、NY金は目先の下値支持線である1750ドルを割り込む可能性もあろう。ただ、その場合でも、インフレ上昇への警戒が支援要因となり、1700ドルは維持されよう』と考察しています。陳さんは、『雇用統計が良好であればドル買いが強まると予想され、JPX金は円安を支援要因に底堅く推移する』と予想しています。こうしたことから、NY金について、『1750ドルを軸としたレンジで推移しよう。JPXは6400~6700円のレンジを想定する』と述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の11月4日付「FRBはテーパリング決定、金相場への影響は?」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2021/11/05 17:43
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(中国)上海総合指数は0.19%安でスタート、重要会議を前に神経質
5日の上海総合指数は売り先行。前日比0.19%安の3520.20ptで寄り付いた後は、日本時間午前11時2分現在、0.26%安の3517.86ptで推移している。中国共産党の重要会議、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が来週に開かれる予定となり、神経質な展開となっている。また、国内での新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う経済回復ペースの鈍化懸念も引き続き警戒されている。
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2021/11/05 11:07
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前日に決算を発表したSUMCOのコール型eワラントが前日比3倍の大幅上昇(5日10:10時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価下落が目立つ日本郵船<9101>コール138回 12月 9,500円を逆張り、旭化成<3407>コール34回 11月 1,150円を逆張り、太陽誘電<6976>コール26回 12月 8,800円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはシャープ<6753>コール183回 11月 1,650円、富士フイルムホールディングス<4901>プット95回 月 8,900円、SUMCO<3436>コール239回 月 2,250円、SUMCOプット172回 月 2,250円などが見られる。上昇率上位はSUMCOコール241回 11月 2,950円(前日比3倍)、SUMCOコール240回 11月 2,600円(前日比3倍)、ソフトバンク<9434>プット44回 11月 1,450円(前日比3倍)、コナミホールディングス<9766>コール67回 11月 6,900円(前日比2.7倍)、テルモ<4543>プット35回 11月 4,600円(前日比2.3倍)などとなっている。(eワラント証券)
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2021/11/05 10:51
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NYの視点:米10月雇用統計:順調な回復も労働市場のスラックは存続か、利上げはまだ先
連邦準備制度理事会(FRB)は11月連邦公開市場委員会(FOMC)で経済が一段とFRB目標に近づいたため市場の予想通り、金利を据え置き、同時に11月から量的緩和(QE)縮小開始する計画を発表した。ただ、利上げには労働市場の回復が必要で今はその時期ではないとした。利上げのタイミングを探るためにも今後の労働市場動向に注目。米国の労働省はワシントンで5日に最新10月雇用統計を発表する。エコノミストの平均予想によると、失業率は9月4.8%から4.7%へ低下する見込み。非農業部門雇用者数は45万人増と、8月、9月に予想を大幅に下回ったのち伸びが拡大する公算。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の10月分は前月比+57.1万人と、伸びは9月から予想以上に拡大。6月来で最大となった。また製造業の雇用も引き続き改善基調。ISM非製造業景況指数の雇用は9月から低下したものの拡大と縮小の境目である50は4カ月連続で上回った。週次失業保険申請件数も減少傾向を継続し、パンデミック以前の低水準となるなど、先行指標は順調な雇用の増加を示唆している。一方で、パンデミックの影響がくすぶり、さらに団塊世代の退職の動きが加速し、労働参加者の減少傾向が続いている。求人件数は増加しているものの失業者総数も依然500万人あまりと、労働市場のスラックは存続。利上げの条件であるFRBの最大雇用目標の達成には時間がかかる可能性がある。■10月雇用統計の先行指標・ADP雇用統計:+57.1万人(予想:+40.0万人、8月::+52.3万人←+56.8万人)・ISM製造業景況指数雇用:52.0(9月50.2)・ISM非製造業景況指数雇用:51.6(53.0)・NY連銀製造業景況指数:雇用(現状):+17.1(9月+20.5、6カ月平均+16.2)週平均就業時間:+15.3(+24.3、6カ月平均+16.1)6か月先雇用:+37.1(40.3、6カ月平均39.8)週平均就業時間:+10.2(8.7、6カ月平均+8.6)・フィラデルフィア連銀製造業景況指数雇用(現状):30.7(26.3、6カ月平均28.1)週平均就業時間:27.8(29.3、25.9)6か月先雇用:37.5(15.4、6か月平均22.5)週平均就業時間:27.2(15.4、6か月平均22.5)・消費者信頼感指数(%)雇用十分:55.6(56.5、26.7)不十分:33.8(30.5、53.7)困難:10.6(13.0、19.6)6カ月後増加:25.4(21.3、32.0)減少:18.3(19.9、19.8)不変:56.3(58.8、48.2)所得増加:18.7(16.9、17.5)減少:11.3(11.4、14.2)不変:70.0(71.7、68.3)・失業保険申請件数件数 前週比 4週平均 継続受給者数10/30/21| 269,000| -14,000| 284,750| n/a10/23/21| 283,000| -8,000| 299,750| 2,105,00010/16/21| 291,000| -5,000| 320,000| 2,239,00010/09/21| 296,000| -33,000| 335,000| 2,480,00010/02/21| 329,000| -35,000| 344,750| 2,603,00009/25/21| 364,000| 13,000| 340,500| 2,727,00009/18/21| 351,000| 16,000| 335,750| 2,811,00009/11/21| 335,000| 23,000| 336,500| 2,820,00009/04/21| 312,000| -33,000| 340,000| 2,715,000■市場エコノミスト予想失業率:4.7%(9月4.8%)非農業部門雇用者数:前月比+45万人(+19.4万人)民間部門雇用者数:前月比+42万人(+31,7万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.9%(+0.6%、+4.6%)
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2021/11/05 08:15
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ショウ・ザ・フラッグ−中露海上演習が意味するもの(2)【実業之日本フォーラム】
本稿は、「ショウ・ザ・フラッグ−中露海上演習が意味するもの(1)」【実業之日本フォーラム】の続編となる。中露海上連合による日本周回は、我が国が教訓とすべき事項がある。第1は、太平洋方面における防空能力の見直しである。令和3年度防衛白書によれば、防衛省は日本周辺の海空域を常に監視しているとされている。海域の監視には、常続的監視と特別監視の2種類がある。常続的監視は、常に艦艇及び航空機を同じ海域で航行又は飛行させることである。現在、艦艇は南西諸島周辺に、哨戒機は北海道周辺、日本海及び東シナ海において警戒監視を実施している。特別監視は、所要に応じて護衛艦、哨戒機を派遣し監視を行うものである。空域の監視は、全国28か所のレーダーサイトで行い、領空に近づく可能性のある敵味方不明機にはスクランブルで対応している。冷戦の終結、中国軍の近代化及び活動の活発化を受け、南西方面の防衛が重視される傾向があり、沖縄周辺には、常に護衛艦及び哨戒機が監視を行い、航空自衛隊のレーダーサイトも4か所(沖縄島、沖永良部島、久米島及び石垣島)に設けられている。しかしながら、今回中露合同部隊が通過した小笠原諸島には固定式警戒監視レーダーが存在せず、艦艇及び哨戒機による常続的警戒監視も行われていない。硫黄島にある滑走路を利用し、海上自衛隊の哨戒機、空自戦闘機や米海軍艦載機の訓練が行われているが、UH-60J回転翼救難機以外、兵力は常駐していない。太平洋方面海空域の警戒監視及び防空に関し、大きな欠陥があると言えよう。今年5月に、航空自衛隊が小笠原の父島に移動式防空レーダーを設置する計画が明らかにされた。また、今年10月に海上自衛隊「いずも」で米海兵隊のF-35Bが離発着艦し、F-35B運用能力の検証が行われた。広大な海域に島嶼が点在する小笠原列島の地勢を考慮すると、レーダーサイトや航空基地を分散設置するのは効率的ではない。移動式防空レーダー及び艦載機の組み合わせが最適であり、ネットワークを含め、海空の連携を強化する必要がある。次の教訓は警戒監視体制の見直しである。前述した特別監視は、日本周辺海域において中露等の兵力が行動する際に、一定の距離で追尾するものである。その目的は、各種情報収集であるが、忘れてはならないのは、相手の不法行動を牽制する意味合いがあることである。10月18日に10隻の艦艇群が津軽海峡を通過した際に海上自衛隊が派出した兵力は、P-3Cのほかに函館を母港とする掃海艇2隻であった。満載排水量600トンの掃海艇2隻で1万トンを超えるレンハイ級駆逐艦を含む10隻の艦艇の行動を威圧できるであろうか。掃海艇の任務は機雷掃海であり、武器も機雷処分用の20ミリ機銃しか保有していない。特別監視において、相手と同等の兵力である必要はないが、少なくとも一矢を報いるだけの装備を持った兵力の派出が肝要であろう。中露共同部隊の指揮官も、掃海艇を見て、海上自衛隊の兵力や対応能力は大したことがないと判断したことであろう。冷戦が終結し、中国海空軍の活動活発化を受けて、自衛隊は、南西重視の体制にシフトした。さらには、海上自衛隊の兵力は世界各地に展開しており、能力的に伸びきった状況にあると言えよう。少子高齢化社会の日本において隊員を確保することは容易ではない。装備武器の省人化や、更に一歩進んで無人化を図り、対応できる艦艇数を増加させることが喫緊の課題であり、そのためには防衛費の相当程度の増額が不可避であろう。次に法的な側面である。日本は、昭和52年に制定した「領海及び接続水域に関する法律」の付則において、宗谷海峡、津軽海峡、大隅海峡、対馬海峡東及び西水道の5か所を特定海域に指定、海峡内の領海を3海里としている。日本政府が特定海域を制定した背景には、これらの海域が、領海を12海里とすることにより、国連海洋法条約が定める「国際航行に使用される海峡」とされ、海峡全域にわたり、上空飛行や航行の自由を認める「通過通行権」を認めざる得なくなることがある。特定海域とすることで、中央部に公海部分は残るものの、領海への主権は厳格に主張できるという解釈である。この付則には「当分の間」という表現が付けられている。安全保障上の観点から見ると、特定海域という考え方は見直しの時期に来ていると言える。海峡の公海部分を自由に通過されるよりも、「通過通行権」を認める方の利点が多い。沿岸国は「通過通行権」を妨げることはできないが、航行安全を理由に航路帯を指定することができる。今回の中露海上巡航に関し、10月26日の記者会見で岸防衛大臣は「示威行動」という認識は示したものの、中露当局に抗議してはいない。海峡の公海部分を通過したことから、非難する根拠がないというのが実情と考えられる。特定海域を廃止することにより、例えば今回のような10隻もの海軍艦艇の津軽や大隅海峡の通過を、これを通過通行権で禁止する軍事的威嚇として遺憾の意を表明することができるであろう。中国は、最も狭い場所でも約130kmある台湾海峡を米英、最近ではカナダの海軍艦艇が通過した際、台湾海峡の平和と安定を損なう挑発行為と批判している。中露海軍艦艇による津軽、対馬及び大隅海峡の通過は、台湾海峡の通過を超える挑発行為であり、速やかに批判できる体制を整えるべきである。中露共同演習の中国側指揮官バイ少将は、今回の訓練の教訓として、「海軍の艦隊の行動が及ぼす政治的、外交的役割に対する理解が進み、あらゆるレベルの指揮官が戦略的リテラシーを向上させることに役立った」と述べている。中国海軍の活動が活発化していることは幾度となく指摘されているが、その目的が、世界各地において存在感を示す、いわゆる「ショウ・ザ・フラッグ」であることを明確に述べたものと解釈できる。現時点で中露海軍間のインターオペラビィティーは日米にはるかに及ばない。また、歴史的、地理的に相互不信を抱える両国が日米のような強固な同盟関係を構築できるかは不透明である。しかしながら、アメリカと中露の対立が激化するにつれ、「敵の敵は味方」という観点から両国関係が深化する可能性があり、引き続き注意深く見ていく必要がある。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/04 16:56
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ショウ・ザ・フラッグ−中露海上演習が意味するもの(1)【実業之日本フォーラム】
2021年10月18日、防衛省は中国艦艇5隻とロシア艦艇5隻の計10隻が津軽海峡を東航し、日本海から太平洋に抜けたことを公表した。その後、これらの艦艇は太平洋を南下し、小笠原諸島を通過、大隅海峡を経由し東シナ海に入った。10月23日にそれぞれの国のグループに分離、ロシア艦艇は対馬海峡経由ウラジオストックに、中国艦艇のレンハイ級駆逐艦は10月24日に青島(中国北海艦隊基地)に帰投したと中国解放軍報が報じている。津軽海峡から大隅海峡までの距離は概ね1,300海里(約2,400km)ほどであり、平均速力は11ノット(時速約20km)と推定される。途中2回ヘリコプターの発着艦訓練を行ったことが確認されているが、平均速力を見る限り特別な訓練や動きはなかったものと考えられる。中露海軍は10月14日からウラジオストック沖にて海上演習「海上連合2021」を実施しており、今回の合同巡航は同共同訓練の一環と見られる。中国の5隻は、レンハイ級駆逐艦、ルーヤンIII級駆逐艦それぞれ1隻、ジャンカイII級フリゲート2隻そしてフチ級補給艦である。ロシアは、ウダロイI級駆逐艦、ステレグシチー級フリゲートがそれぞれ2隻とマーシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻である。レンハイ級駆逐艦及びステレグシチー級フリゲートが他国との共同訓練に参加するのは初めてであり、中露の合同部隊が揃って津軽及び大隅の両海峡を通過するのも初めであった。合同部隊の艦艇が装備する攻撃武器を見た場合、射程200kmの長射程対空ミサイルや射程500kmを超えると見られる対艦(地)ミサイルを保有する艦艇が含まれており、ウダロイI級の駆逐艦が対潜ミサイル、対潜ヘリコプター等を保有していることから、バランスの取れた編成と言える。保有する長距離ミサイルの射程を生かすためには、衛星通信を含む指揮通信能力や情報共有のためのネットワークの構築が不可欠であり、今回の共同巡航でその能力を検証した可能性がある。今年に入って日本周辺海域では、日米を中心とする海上共同演習が頻繁に行われている。ARC21(日米豪仏)、マラバール2021(日米印豪)、Pacific Crown21(日米英蘭)、そして10月2日、3日の二日間だけではあるが、日米英蘭加新の空母等4隻を含む17隻の大規模海上訓練が実施された。ARC21では日米仏の陸上部隊が、東シナ海に所在する艦艇から九州に上陸する訓練が実施された。さらには、今までは米艦艇のみであった台湾海峡の通過をイギリス及びカナダの艦艇が行っており、中国は不快感を示している。今回の中露海軍艦艇による共同巡航は明らかに日米を中心とする海上連合に対抗するものであったと見られ、津軽海峡と大隅海峡を通峡したことは、台湾海峡通過の意趣返しと考えられる。それでは、今回の共同巡航が与えた影響について、軍事的視点から見てみたい。2021年10月26日付の解放軍報は、本訓練の中国側指揮官のバイ少将のコメントを紹介している。その内容は、本訓練は両国間の戦略的相互信頼の高さと強固な伝統的友好関係を具現化するものとした上で、新型コロナのため、いつも設置される共同司令部や調整所は設けられず、現場の状況に合わせ柔軟に行われた判断及び指示に従うといった実戦的訓練が実施できたと述べている。二国間以上の国が海上共同訓練を実施する場合、最もクリティカルとなるのが通信である。母国から遠く離れた洋上を行動する場合、通信衛星を介した通話やデータの交換が行われる。中国及びロシアはそれぞれ独自の通信衛星を運用している。送受信器や暗号も当然別であろう。このため、洋上における中露艦艇同士の通信は、同一周波数を用いた無線通信を使用せざるを得ない。無線通信も当然暗号をかける必要があるが、暗号は高度な秘密に属し、その共有は信頼関係だけでは実施できない。日米間には「軍事情報保護協定」のみならず各種協定が結ばれており、衛星を含め通信の共有がなされている。アメリカは、それぞれの国と各種協定を結んでおり、多国間訓練の場合は、アメリカの艦艇が中継する形で通信網を構築できる。例えばアメリカはインドと「軍事情報保護協定」、「補給品等の交換協定」に次いで、2018年に通信に関する協定、COMCASA(Communications Compatibility and Security Agreement)を締結している。中ロ間でこのような協定が締結されているか不明であるが、いくつか撮影されている合同部隊のそれぞれの艦艇の距離は、米国を中心とする多国間共同訓練における距離よりも明らかに広い。中国側指揮官が述べているような「実戦的訓練」というよりは、通信が届かない事による衝突等のおそれを避けるために、安全面を重視し、一定の距離をとらざるを得なかったのではないかと推定できる。次に長期間外洋を行動する場合に重要な事は、洋上における燃料の補給である。今回中国の補給艦が同行しており、実戦的訓練であれば当然洋上補給を実施する。日米間では、それこそ頻繁に相手国の補給艦と洋上補給を実施している。11月2日に解放軍報が掲載した共同巡航の写真集では、中国の補給艦と艦艇の洋上補給の様子が掲載されている。しかしながら、最も広報効果が高いと思われる、中国補給艦とロシア艦艇間の洋上補給の写真は含まれていない。中ロ間のインターオペラビィティ(相互運用性)は日米に比べると、はるかに及ばないと言える。最後にヘリコプターの飛行が少ないことが指摘できる。今回10隻中8隻がヘリコプターの搭載が可能である。今回ヘリコプターを何機搭載していたか不明であるが、防衛省が公表したところによれば、わずか2回、延べ3機しか確認されていない。「実戦的訓練」であれば、部隊周辺の警戒監視は必須である。情勢にもよるが、日米共同訓練の場合、潜水艦からの脅威が高いと判断したならば、常時1~2機は警戒監視のために飛行させている。ヘリコプターの運用要領は日米と大きく異なり、必ずしも効果的な運用とは言えないのではないかと推定できる。「ショウ・ザ・フラッグ−中露海上演習が意味するもの(2)【実業之日本フォーラム】」に続くサンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/04 16:53
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台湾有事をサイバー安全保障の観点から見る(第1回)(初代陸上自衛隊システム防護隊長 伊東 寛)【実業之日本フォーラム】
最近、日本周辺がきな臭い。その中でも特に台湾周辺が騒がしい。中国は10月1日の国慶節以降4日間で、延べ149機という例を見ない数の航空機を台湾防空識別圏(ADIZ)に進入させている。デービッドソン前米太平洋軍司令官は、今後6年以内に中国は台湾に軍事侵攻する可能性が高いと警告している。あってはならないことについて考えておくのがインテリジェンスであり、国防というものであろう。しかも、台湾有事の可能性は次第に高まりつつある。今回は、この台湾有事をサイバー安全保障の観点から前編後編の2回にわけ考えてみたい。前編ではその概要を述べ、後編で、より具体的な台湾有事におけるサイバー戦の様相を考えてみることにする。戦い方は常に変化する。最近ではハイブリッド戦と言われる、言わば古くて新しい、明確に国際法違反を問われないギリギリのグレーな戦い方が行われている。これが一般的な理解である。ハイブリッド戦は、これまで別々であった色々なものを混合して戦うということだが、実際には論者により定義に幅がある。我が国では、「いわゆるハイブリッド戦は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法であり、このような手法は、相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いることになります。例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法が、ハイブリッド戦に該当すると考えています。(防衛白書令和2年版より)」とある。つまり、武力で他国の領土を奪い取るのではなく、軍事を含むあらゆる手段を講じて現状を変更してしまう手法がハイブリット戦であり、2014年のロシアによるクリミア半島の編入がその代表例である。中国の台湾侵攻は、一般に論じられているような海空軍を大規模に擁したあたかも第2次世界大戦のような戦闘にはならないのではないかと私は思う。また、中国は孫子の国である。戦わずして勝つことを最上とし、それを追求する。とすれば、中国の台湾侵攻は、非軍事が初期の手段となり、その主たる手段としてサイバー攻撃が利用されるのではないだろうか。もちろん、このような場合でも、最後は武装した兵力が地面に足を下ろさねば、自分のものにはならないので、そこは避けて通れない点である。その意味において、中国の台湾進攻はすでに開始されている。「一つの中国」の原則を振りかざすことによる国際的枠組みから台湾を締め出す試みや、台湾周辺における活発な軍事活動はその一環である。今後、中国は台湾における施政権の行使という最終目的に向けて圧力を強めてくるであろう。その方法として、「ハイブリット戦」を仕掛けてくることは確実である。基本的には武力行使なしに台湾を奪取できれば中国にとって最善であろう。しかしながら、香港の「一国二制度」が、力ずくで有名無実とされた現状を見た台湾の人々が、そう簡単に中国の施政権を認めるとは思えない。武力を行使した場合、台湾軍が激しく抵抗することは確実であり、米軍の介入もあり得る。中国としては、ロシアのクリミア半島奪取のように、米軍に対応のいとまや口実を与えない行動を追求するであろう。実際の武力衝突に至るまでには、各種の段階があり、それぞれ何らかの兆候が考えられる。次回はサイバー安全保障分野におけるそれらの兆候やその影響についてより具体的な話をしたい。伊東 寛(工学博士)1980年慶応義塾大学大学院(修士課程)修了。同年陸上自衛隊入隊。技術、情報及びシステム関係の指揮官・幕僚等を歴任。陸自初のサイバー戦部隊であるシステム防護隊の初代隊長を務めた。2007年自衛隊退官後、官民のセキュリティー企業・組織で勤務。2016年から2年間、経済産業省大臣官房サイバー・セキュリティ—・情報化審議官も務めた。主な著書に「第5の戦場」、「サイバー戦の脅威」、「サイバー戦争論」その他、共著多数写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/11/04 11:24