注目トピックス 経済総合ニュース一覧

注目トピックス 経済総合 マツダを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(13日10:01時点のeワラント取引動向) 手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 11月 1.0米ドル、JFEホールディングス<5411>コール151回 月 1,550円などが見られる。上昇率上位はニアピン米ドルr2 1320回 11月 108円(+51.7%)、ニアピン米ドルr2 1321回 11月 110円(+30.2%)、マツダ<7261>コール113回 11月 1,225円(+23.2%)、マツダコール112回 11月 1,075円(+20.9%)、フェイスブックコール143回 11月 480米ドル(+20.0%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/13 10:25 注目トピックス 経済総合 ウォール街を知るハッチの独り言 ペルシャ式のおもてなし?イランの銀行でお金をもらった話(岡元 兵八郎) さて、マネックス証券の「メールマガジン新潮流」が、10月11日に配信されました。そのなかから今回は、同証券のチーフ・外国株コンサルタント、『ハッチ』こと岡元兵八郎氏のコラム「ウォール街を知るハッチの独り言」の内容をご紹介いたします。私はこれまで世界80ヵ国を訪れたことがあるのですが、この話になるとどこの国が一番良かったかとよく聞かれます。全ての国にはそれぞれ特徴があり、私は皆良かったと答えるのですが、そんな曖昧な答えでは満足してくれず、許してくれない人の場合には「イラン」と答えています。イランは特に行ってみたいと思っていた国の一つでした。他の中東のアラブ諸国は何度も訪れたことがあるのですが、ペルシャ文化の発生地であるイランは米国との関係が良くないこともあり、訪れるのは躊躇していたのでした。一方で、自分は日本人なのだから関係ないだろうと思い行ってみることにしました。2013年のことです。イランへの入り口であるテヘランの空港に着くと、別に悪いことをしていた訳ではないのですが、入国管理の手続きの際不必要に緊張したことを覚えています。スパイ映画の見過ぎかもしれません。2週間をかけて、テヘランから地方都市を観光しながら回ったのですが、このコラムで観光の話だけをするわけにもいきませんので、少しお金に絡む話をします。私の場合、職業柄、新しい国へ行くと証券取引所を訪れるのを恒例としています。イランにも株式市場があり、テヘラン証券取引所が存在するのです。イランの経済規模はそもそも決して小さくはなく、株式市場も中東地域ではそれなりの大きさです。イラン人のガイドに頼み連れて行ってもらったのですが、彼女も普段は世界遺産に連れて行ってくれという外国人を相手にしているなか、証券取引所に行きたいという観光客は初めてだったようで、苦労して証券取引所を探し出してくれました。今や世界的な流れなのですが、当時すでにイランの証券取引所は電子取引に移行しており、取引所で人の姿をみることはできませんでした。いるのは、訪問者向けのエリアにて、ボードの株価を眺めながらノートPCで株式の取引をしているイラン人の個人投資家達でした。今や新興国であっても大抵の国では、ネットでの株式投資ができるようになっています。趣味というと聞こえが悪いのですが、実は私はお金を集めるのが趣味の一つです。正確に言いますと、集めるのは外国の通貨です。切手収集と同じ感覚です。初めて訪ねる国に行った際にはその国で使われている紙幣を記念に集めるようになりました。ただ、せっかくなので市中に出回っている使い古されたお札でなく、ピン札を探すのです。どこで手に入れるかというと、当たり前ですが銀行です。 大きな支店であれば、大抵の場合、ピン札がおいてあります。しかもデノミネーションの関係で、1枚当たりのお札の値段は安いので、入手できるのであれば私は100枚単位で買い求めるのです。新しく発行される記念切手を郵便局で1シート買い求めるのと同じ感覚です。別に将来的に両替商をやろうと思っている訳ではありません。テヘランでもイランのピン札紙幣を探すべく通訳ガイドにその旨を説明し、近くの銀行の支店に連れて行ってもらいました。通訳の彼女も、両替をしたいという依頼は普通にうけるものの、「新札を買いたい」というリクエストは今までなかったそうです。訪れた銀行では、「うちでは置いてないが、別の銀行の大きな支店が近くにあるからそちらに行ってみてはどうか」と言われました。言われた通り次の銀行に行ってみると担当のカウンターに連れて行かれまして、通訳を通じて新札が欲しい旨を説明すると、その担当者の男性は同僚にペルシャ語でやり取りをした後のこと、引き出しからイランのコイン1枚を取り出して私に渡してくれたのです。お前の欲しい新札紙幣の束はないが、このコインをお土産にあげるから持っていけというのです。 その引き出しから取り出したお金は、銀行からのものなのか、彼のポケットマネーなのか不明なのですが(日本の銀行であれば、個人のお金は職場の引き出しの中には入れてない為)、銀行で「お金をもらう」という初めての体験でした。そのイラン人の銀行員の好意に感謝しながら銀行を後にしました。その後私が探していたイランのピン札紙幣100枚の束はと言いますと、古びた骨とう品を扱っているお店の店頭で探し出し購入することができました。些細な話のように思えるかもしれません。ただ、金額の問題ではなく気持ちの問題として、いまだに私の記憶に鮮明に残っている貴重な体験の一つとなっています。マネックス証券 チーフ・外国株コンサルタント 岡元 兵八郎(出所:10/11配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋) <FA> 2021/10/13 09:28 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米8月JOLT求人件数:年初来初めてのペース減速も、9月以降の結果待ち 米労働省が発表した米国の8月JOLT求人件数は1043.9万件となった。過去最高を記録した7月からは65.9万件減と予想以上に減少。年初来初めての減少となった。しかし、過去2番目に高い水準は保った。総失業者数をおおよそ200万件超上回る。7月分は1093.4万件から1109.8万件へ上方修正された。労働市場の自信を表すとされる離職率は過去最高を更新。退職者数は24.2万人増え、427万人と過去最高となった。7カ月連続で、求人件数が増加し続けたことを考えると、自然な兆候と見られている。労働市場が過熱した際、より高い賃金を求めて、従業員が自主退職する傾向となる。また、9月長期失業者数(15週以上)は8月、前年比を下回ったことは、良好な流れと言える。ただ、この結果は8月分で、9月に政府の一連の失業者支援支給が終了する依然の結果であるため、状況を正確には把握し難い。アトランタ連銀のボスティック総裁は、「9月の雇用統計の予想を下回る結果がテーパーの軌道を阻むべきではない」とし、11月のテーパー開始を支持する考えを示した。同総裁は2021年の投票権を有する。FRBのテーパー開始の軌道に変更はないと見られる。■雇用たるみダッシュボード◎金融危機前に比べ状態が改善         パンデミック: 金融危機前水準と比較8月求人率(Job openings rate):6.6%(8月7.0% )     4.4%, 3%8月退職率(Quits rate):2.9%(7月2.7%)          2.3%: 2.1%8月解雇率(Layoffs/discharges rate):0.9%(7月1.0%,前年1.1%)  1.2%9月雇用者数(Nonfirm payrolls):+19.4万人(8月+36.6万人) +25.1万人,+16.18万人8月採用率(Hiring rate):4.3%(7月4.6%、昨年4.6%)      3.8%9月失業率(Unemploynent rate):4.8%(8月5.2%)     3.5%, 5%9月広義の失業率(U-6):8.5%(8月8.8%)         7.0%, 8.8%◎金融危機前に比べ状態悪化9月労働参加率:61.6%(8月61.7%)               63.4%, 66.1%9月長期失業者数(15週以上):47.2k(8月51.1k)        19k <FA> 2021/10/13 07:42 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.29%安でスタート、インフレ加速懸念などを警戒 12日の上海総合指数は売り先行。前日比0.29%安の3581.29ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時57分現在、0.57%安の3571.21ptで推移している。インフレ加速懸念や不動産業をめぐる不透明感が解消されていないことなどが引き続き警戒されている。また、あす13日に9月の貿易収支などが発表される予定となり、慎重ムードも強い。 <AN> 2021/10/12 11:01 注目トピックス 経済総合 韓国200種株価指数を対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(12日10:01時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価下落が目立つソフトバンクグループ<9984>コール590回 11月 8,000円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはイーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 10月 1.0米ドル、ビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドルなどが見られる。上昇率上位は韓国200種株価指数プット353回 10月 375ウォン(+67.2%)、韓国200種株価指数プット354回 10月 400ウォン(+63.7%)、ファーストリテイリング<9983>プット289回 10月 74,000円(+57.4%)、東急<9005>プット12回 10月 1,500円(+50.0%)、ソフトバンクグループプット457回 10月 6,800円(+40.8%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/12 10:20 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米経済の回復が遅れる可能性を警戒 経済活動の再開で、需要が急増する中、求人件数も過去最大規模にまで増加している。一方で、政府のワクチン義務化の動きが、従業員の離職の動きにも拍車をかけている。労働市場の回復にも影響を与えかねない。実際、航空会社のサウスウェストはパイロットなど職員が不足し、航空便をキャンセルせざるを得なくなった。年末のホリデイシーズンに向けて需要がさらに増す中、11月、12月の減便の可能性も警告している。こういった状況が拡大することは経済にとりリスクとなる。ゴールドマンサックスのチーフエコノミストは消費の回復が遅れることを理由に、2021年、2022年の成長見通しをそれぞれ5.6%、4%と、従来の5.7%、4.4%から引き下げた。23年、24年分は引き上げ。半導体不足が来年の下半期まで改善せず、在庫再構築も先送りされ当初期待していた早い回復が望めないと指摘。中期的な成長における課題は、財政支援が縮小することや物の購買の鈍化をサービスへの消費が十分に速やかに埋められないことを挙げている。供給ひっ迫懸念にNY原油先物は80ドル超で推移。一時期待されていたような力強い回復期待が後退する中、エネルギー価格の上昇がインフレをさらに押し上げる可能性も強まった。市場ではスタグフレーション懸念も浮上しつつある。いずれ、ドル売り材料にもなり得るため、今後の消費や経済動向に注目が集まる。 <FA> 2021/10/12 07:42 注目トピックス 経済総合 緊張高まる台湾情勢【実業之日本フォーラム】 2021年10月5日、AFPは、「フランスのアラン・リシャール元国防相ら超党派の台湾友好上院議員団4人が、10月6日から10日の間、台湾を訪問、10月7日には蔡英文総統と会談する」と報じた。また、ロイターは、「パリの中国大使館は3月、フランスの議員が台湾高官と面会することについて取りやめるよう警告しているが、フランス外務省は、『フランスの議員は、誰でも望む相手と自由に面会できる』と中国の警告を一蹴した」と報じている。中東欧諸国の一部では、中国の人権問題や「一帯一路」の経済効果に懐疑的な見方が強まっており、中国と距離を置き、台湾に接近する動きが目立ってきている。2020年8月にチェコのミロシュ・ビストルチル上院議長率いる代表団が台湾を訪問した。その際、中国の王毅外相は「チェコ代表団による訪台は中国への挑発だ。中国はビストルチル議長の近視眼的行動と政治的投機に対する大きな代償を払わせるだろう」と恫喝した。これに対し、フランス外務省は「欧州連合の一員に対する脅しは受け入れられない。我々はチェコと連帯する」と述べ、ドイツのマース外相も「脅迫はふさわしくない」と歩調を合わせている。チェコの老舗ピアノメーカー「ペトロフ」が中国からの注文を取り消されたと伝えられているが、現時点で、大きな代償に該当するような事象は確認できない。中国は、仏独からの反発により、EUとの投資協定批准に与える影響を考慮し、行動を自制したと考えられる。英メディア等によると、リトアニア、チェコ、スロバキアの3カ国は、10月下旬、台湾の政府機関や民間企業幹部からなる視察団受入れを決定したと報じた。リトアニア、チェコ、スロバキアは、今年台湾に新型コロナウイルスワクチンを無償提供し、関係を深めている。中国離れと台湾接近に意欲を示すのがリトアニアだ。今後10年間を対象とする「脅威評価2019」において、リトアニアは、ロシアの軍事的脅威の次に中国の影響力拡大を脅威としている。2021年5月、リトアニア議会は中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害をジェノサイドと認定し、7月に台湾の代表処(大使館に相当)を首都ビリニュスに開設した。中国と中東欧16カ国は、2012年に経済協力の枠組み「16+1」(後にギリシャも加わり「17+1」)を設立し、中国は中東欧諸国を欧州連合(EU)への影響力拡大に活用しようとしていた。しかし2021年2月の首脳会議では5カ国の首脳が欠席し、5月にはリトアニアがこの枠組みからの離脱を表明している。「一つの中国」の原則を主張する中国は、国慶節に当たる10月1日から4日の間、台湾南西部の防空識別圏(ADIZ)に約150機の航空機を進入させた。これは、フランスのリシャール元国防相の台湾訪問や日米英蘭加ニュージーランド6カ国による沖縄南方での共同訓練への反発を示しているものと思われ、中台の間で緊張が高まっている。BBCによると、台湾国防部長は10月6日、「中国との緊張関係が過去40年で最悪の状態だ。両国の間で、偶発的な衝突の危険がある」と発言した。さらに台湾の立法院(国会)の委員会予算審査では、軍事的威圧を強める中国について「台湾を全面攻撃できる軍事能力を2025年に完了する」と報告している。蔡英文総統は、米外交専門誌フォーリン・アフェアーズ11/12月号への寄稿で「台湾が陥落すれば、地域の平和と民主主義国の同盟体制に破壊的結果をもたらす。今日の世界における価値観の衝突において、権威主義が民主主義よりも優位に立っていることを示すことになる」と述べ、力による一方的な現状変更を試みる中国の脅威に対して、国際社会は台湾とともに立ち向かうべきだと訴えた。わが国に目を向ければ、岸田新総理は、総裁選において「中国に対して権威主義的、独裁主義体制が拡大している」と述べ、「台湾海峡の安定や香港、新疆ウイグル自治区の人権問題に毅然と対応していく」と主張している。バイデン大統領と岸田総理は、電話会談において「インド太平洋及び世界の平和、安全、安定の礎である日米同盟の強さ」を確認した。さらに、バイデン大統領は、「自由で開かれたインド太平洋地域という共通のビジョンを推進する上で、日米両国が重要な役割を果たしていくため、今後数年間にわたって日米関係を強化していきたい」と述べている。また、麻生副総理(当時)は2021年7月、「台湾で大きな問題が起きると、間違いなく『存立危機事態』に関係してくると言っても全くおかしくない」と述べ、中国が台湾に侵攻した場合、集団的自衛権を行使できる事態になりうるという認識を示している。台湾有事に際しての日米安保の枠組みが効果的に機能するためにも、わが国としての法整備や具体的な共同要領など、予め綿密な準備を整えておく必要があるだろう。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:REX/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/10/11 16:24 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は0.23%高でスタート、景気対策への期待が高まる 11日の上海総合指数は買い先行。前日比0.23%高の3600.36ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時59分現在、0.26%高の3601.43ptで推移している。追加の金融緩和を含む景気対策への期待が高まっていることが指数をサポートしている。一方、電力不足の長期化観測や産業引き締めへの懸念などが指数の足かせになっている。 <AN> 2021/10/11 11:09 注目トピックス 経済総合 先端技術は世界を変える−極超音速ミサイルを例に−【実業之日本フォーラム】 技術の発達が戦闘様相を一変させる役割を果たすことがよく知られている。第2次世界大戦における大日本帝国海軍の失敗の一つに、第1次世界大戦中のユトランド沖海戦の教訓から「大艦巨砲主義」一辺倒に陥り、新たな兵器である航空機の役割を軽視したことが挙げられている。「将軍達は、いつも最後に戦った戦争を基準に準備している(Generals are always preparing for the last war.)」という格言がある。昨今の科学技術の発達を見ると、軍事常識を覆す可能性のある先端技術が目に付く。そして、それは先進国に限らない。最近話題となっている極超音速ミサイルを例に考えてみたい。2021年9月29日付北朝鮮労働新聞は、新たに開発した極超音速ミサイル「火星−8」の試験を行ったと伝えている。飛行操縦性、安全性等全ての技術的指標が設計上の要求を満足したとしているが、細部については明らかにしていない。公開されたミサイルの写真を見る限り、弾道ミサイルの弾頭部に飛翔体を装着した「HGV(Hypersonic Glide Vehicle:極超音速滑空ミサイル)」と推定できる。今年1月に実施された朝鮮労働党第8回大会において金正恩総書記は、新たな軍事技術を開発又は研究中として5項目をあげた。「多弾頭個別誘導技術」、「極超音速滑空飛行」、「中型潜水艦武装近代化」、「原子力潜水艦」及び「各種電子兵器・無人兵器・軍事偵察衛星」である。今回明らかにされた「火星−8」とされるミサイルは、このうち「極超音速滑空飛行」に該当するものである。北朝鮮が、経済制裁、自然災害及び新型コロナ対策という三重苦の中、新たな軍事技術開発を進めていることは驚きである。HGVは、弾道ミサイル等で打ち上げられ、成層圏で分離したのち、高度30km付近をマッハ5以上の速度で滑空飛行する。韓国国防部は、9月29日のミサイル発射について、速力マッハ3、最大高度30km、飛行距離200km以上との分析結果を公表している。これが事実であれば、今回の試験は、速度及び高度ともに極超音速ミサイルの定義に達しておらず、初期段階の試験又は失敗であった可能性がある。一方、極超音速ミサイルは米ロ中が互いに相手を圧倒する兵器として開発を進めているものであり、戦略環境を一変させる可能性が指摘されている。アメリカの極超音速ミサイル開発の発端は、冷戦直後までさかのぼる。平和の配当を求める世論に応じ、世界各地に分散した米軍基地の整理統合が迫られる一方、世界のいかなる場所における、予期しない紛争にも迅速に対応できる体制の整備が求められた。これに対する回答が、「地球上のいかなる場所であっても、1時間以内に攻撃し得る長距離通常兵器を開発すること」であった。これは「CPGS(Conventional Prompt Global Strike)構想」と呼称された。国防高等研究計画局(DARPA)及び陸海空軍はそれぞれ開発を進め、2010年には米空軍とDARPAが共同開発したHTV-2(Hypersonic Test Vehicle)がマッハ20で9分間の試験に成功した。米陸軍はAHW(Advanced Hypersonic Weapon)を、海軍はCTM(Conventional Trident Modification)を開発、飛行試験を実施したが、成功と失敗を繰り返した。CPGSは弾道ミサイルの弾頭部に装着して発射されることから、核攻撃と見分けがつかず、核戦争を誘発する危険性があるとの批判があった。更には、度重なる実験失敗もあり、米議会が予算を削減したため、開発は中ロに大きく後れを取ることとなった。現在進められている計画は、SLBM頭部にHGVを装備する方式であり、今年及び来年度に開発予算が計上されている。アメリカが開発しているもう一つの極超音速ミサイルは、「HCM(Hypersonic Cruising Missile)」である。航空機から発射され、スクラムジェットエンジンを使用しマッハ5以上で飛翔する。2021年9月27日DARPAと米空軍は共同開発中の極超音速ミサイルHAWC(Hypersonic Air-breathing Weapon Concept)がマッハ5を記録したと発表している。ロシアはHGV、HCM双方の実用化を進めている。HGVのAvangardは2018年12月に飛行試験に成功、マッハ20の速度で、約3,500NM(約6,500Km)を飛行したと伝えられている。さらに、ロシア国防省はHCM、Zirconがフリゲート及び潜航中の潜水艦から発射された映像を公表している。射距離は約1,000Km、最高速度はマッハ9と伝えられている。Avangard、Zircon双方とも核弾頭の装備が可能と見積もられており、ロシアの対地攻撃能力は、飛躍的に向上したと言えるであろう。中国は2019年10月の軍事パレードにおいて、DF-17とペイントされた新型ミサイルを公表した。形状からHGVと推定され、射程は約2,500km、核弾頭装備可能と分析されている。米インド太平洋軍の議会報告によれば、中国は2025年までに極超音速ミサイルを200基以上保有すると見積もられている。さらに、スクラムジェットエンジンの開発も行っているとも伝えられており、米ロに引き続き、中国もHGV及びHCM双方の装備を進めていると思われる。わが国も、防衛装備庁と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「極超音速飛翔体」の研究開発を共同で行っている。「デュアルモード・スクラムジェットエンジン(DMSJ)」と称されるシステムは、現在地上試験及び風洞実験の段階であり、実用化には更なる時間を要するものと見られる。現在各国が開発中の極超音速ミサイルの特徴は次の3点に集約できる。「高速かつ低軌道を飛翔するため、継続探知が難しく、迎撃が困難である」、「軌道を途中で変化させるため、弾着点を推定することが困難である」そして「弾頭が通常弾頭か核弾頭かを判断することが困難である」である。この特徴は、核抑止戦略に大きな影響を与える。相手が極超音速ミサイルを発射したことを探知した場合、あまりに高速であるがゆえに、相手の意図や発射されたミサイルを分析する時間が限られ、最悪の事態、核弾頭ミサイルを撃たれたと判断せざるを得ない危険性が増す。これは、「Launch on Warning(LOW)」と呼称される戦略概念であり、相手の発射を確認したならば、弾着を待たずに反撃(核攻撃)を行う。米議会が、CPSGに懸念を示したのは正にこの点にあった。しかしながら、すでに中ロ両国でHGV及びHCMの実用化が目前となってきた現在、極超音速ミサイルに関し、何らかの国際的合意が必要である。HGV及びHCMに核弾頭は装備しない、あるいは装備する場合は通報するといった国際的合意がないと、誤解に基づく核戦争の懸念は低減されない。今年1月に5年間の延長に合意した「米ロ新戦略兵器制限条約」は、核弾頭数及びその運搬手段としての大陸間弾道ミサイル、潜水艦発射弾道ミサイル及び戦略爆撃等の数を定めている。この条約にHGV及びHCMが含まれるかどうかは明らかではない。更に、この条約はあくまでも米ロ二国間のものであり、中国は含まれていない。アメリカは中国にも参加を呼びかけているが、中国は米ロとの弾頭数の差(米国:6,185発、ロシア:6,500発、中国:290発/ストックホルム平和国際研究所2020年1月発表)を理由に参加に消極的である。現在の条約で規定されている1,500発という弾頭数を更に削減し、極超音速ミサイル技術の流出を防ぐという事を梃に、中国にも参加を慫慂していくべきであろう。今回は、極超音速技術が戦略環境に与える影響について分析した。しかしながら、戦闘様相だけではなく戦略環境を大きく変える可能性を持つ先端技術は、極超音速技術だけではない。AI、サイバー、ロボティクス、量子コンピューター等の技術も同様の可能性を秘めている。8月末に防衛省が公表した「令和4年度概算要求の考え方」に初めて「ゲーム・チェンジャーとなり得る技術等の研究開発や防衛産業基盤を強化する」ことがうたわれている。最先端技術は軍民デュアル・ユースである場合が多い。防衛省は2015年以降「安全保障技術研究推進制度」を設け、大学等における革新的・萌芽的技術を支援する制度を設けている。しかしながら、日本学術会議は、大学が軍事技術開発に関与することを忌諱する声明を出し、この動きをけん制している。先端技術はごく一部の研究者の占有物ではなく、国家の安全保障、引いては、それこそが最終的に学問の自由につながるという理解が必要である。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/10/11 10:27 注目トピックス 経済総合 AGCを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(11日10:12時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つダイキン工業<6367>コール162回 11月 26,500円を順張り、JFEホールディングス<5411>コール152回 11月 1,800円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 11月 1.0米ドル、イーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,900米ドルなどが見られる。上昇率上位はAGC<5201>コール116回 10月 5,400円(+57.3%)、ソニーグループ<6758>コール398回 10月 11,000円(+35.4%)、パナソニック<6752>コール258回 11月 1,650円(+34.4%)、AGCコール120回 11月 6,700円(+32.6%)、パナソニックコール257回 11月 1,450円(+29.6%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/11 10:22 注目トピックス 経済総合 NYの視点:【今週の注目イベント】IMF世界経済成長見通し、米CPI、PPI、小売売上高 今週は米国9月消費者信頼感指数(CPI)、9月生産者物価指数(PPI)でインフレ動向、9月小売売上高で消費動向を探る。また、国際通貨基金(IMF)・世銀は会合を開催予定。IMFは最新の世界経済見通しを発表する。サプライチェーン混乱が影響し、米国の物価は引き続き上昇基調にある。一方、9月小売りは再びマイナスに転じる見通しで7-9月期のGDPの成長を抑制する可能性がある。アトランタ連銀の第3四半期GDPは1.31%成長を予想。7月時点の6%前後の成長予想から大幅に下方修正された。新型コロナウイルスの変異株流行が影響し消費者信頼感が再び悪化したことが背景となる。また、8月JOLT求人件数で労働市場のスラック状況をさらに探る。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月21日、22日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を13日に公表する予定で、注目。FRBはこの会合で、経済が一段と目標に向けてさらに前進し、資産購入ペース減速が正当化され得ると言及した。パウエル議長も今後の雇用統計などの結果が妥当であれば、11月のFOMCでFRBは量的緩和縮小を開始する可能性も示唆。同時にサプライチェーン問題解決が予想以上に長引いていることを指摘するなど、タカ派色を強めつつあり、議事録の内容もタカ派色が強まるとドル買いに繋がる。注目となった9月雇用統計では失業率は低下したものの、非農業部門雇用者数は2カ月連続で予想を大幅に下回った。連邦や州の教育関連の雇用の修正が影響。民間部門雇用者数は30万人台の増加となった。低調な結果にも、FRBが早くて11月にも資産購入策の縮小を開始する軌道には十分に強い結果との見方で米国債相場は続落。米金利先物市場では利上げ確率が上昇。2022年12月の利上げを100%織り込みドル買い意欲は強い。■今週の主な注目イベント●米国11日:コロンバスデー祝日(株式、為替、商品は通常取引。債券は休場)12日:8月JOLT求人(12日)、ボスティック総裁が講演13日:9月消費者信頼感指数(CPI)、FOMC議事録公表、クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長の任期満了14日:週次新規失業保険申請件数、9月生産者物価指数(PPI)FDA、モデルナ、J&J製ワクチンのブースター接種を協議15日:10月ニューヨーク連銀製造業景気指数、9月小売売上高、9月輸入物価指数、10月ミシガン大学消費者信頼感指数●13日:G20財務相・中銀総裁会合●IMF・世銀会合12日:世界経済見通し●日本12日:PPI13日:鉱工業生産●英国12日:失業率13日:鉱工業、製造業生産、貿易●中国貿易13日:PPI、CPI●ユーロ圏13日:独CPI、15日:仏CPI、伊CPI、 <FA> 2021/10/11 07:38 注目トピックス 経済総合 注目の海外経済指標:9月米小売売上高は反動減の可能性 10月11日-15日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。■13日(水)午後6時発表予定○(欧)8月ユーロ圏鉱工業生産-予想は前月比-1.5%参考となる7月実績は前月比+1.5%。非耐久消費財、資本財の伸びが目立った。8月については、非耐久消費財と資本財の伸びが鈍化するとみられていること、ドイツの企業景況感は改善していないことから、ユーロ圏の鉱工業生産は前月比横ばいか、マイナスとなる可能性がある。■13日(水)午後9時30分発表予定○(米)9月消費者物価コア指数-予想は前年比+4.0%参考となる8月実績は前年比+4.0%で上昇率は7月実績の4.3%を下回った。中古自動車・トラックが前月比で下落したことなどが要因。ただし、人手不足や供給網の混乱など物価上昇につながる要因は消えていないため、9月のコアインフレ率は8月実績と同水準となる可能性がある。中期的にも3%超の状態が続くと予想される。■15日(金)午後9時30分発表予定○(米)9月小売売上高-予想は前月比-0.2%参考となる8月実績は、前月比+0.7%で予想に反して増加した。オンライン販売が増加したことや、家具類の売上が大きく伸びたことが要因。政府からの児童税額控除の支給が売上増加につながった可能性がある。9月については、オンライン販売は8月に増加した反動で9月は伸び悩む可能性があること、自動車販売は引き続きさえない状態が続いていることから、前月比マイナスとなる可能性がある。■15日(金)午後11時発表予定○(米)10月ミシガン大学消費者信頼感指数-予想は73.5参考となる9月実績は72.8で速報値71.0から上方修正された。ただし、消費者の多くはインフレ率の高止まりを警戒しており、景気の先行きについて慎重な見方を持っていることが確認された。10月については、9月時点の期待指数が上昇していることから、9月実績を上回る可能性があるが、大幅な改善は期待できない。○その他の主な経済指標の発表予定・12日(火):(日)9月国内企業物価指数、(英)6-8月ILO失業率、(独)10月ZEW景気期待指数・13日(水):(中)9月貿易収支・14日(木):(豪)9月失業率、(中)9月消費者物価指数、(米)9月生産者物価指数・15日(金):(米)8月企業在庫 <FA> 2021/10/09 14:16 注目トピックス 経済総合 キーエンスのコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(8日10:51時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ日本電産<6594>プット151回 10月 10,500円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日本郵船<9101>コール136回 10月 9,100円、イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 月 1.0米ドル、イーサリアム2021年11月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,900米ドル、商船三井<9104>コール115回 月 8,300円などが見られる。上昇率上位はキーエンス<6861>コール138回 10月 75,000円(+50.0%)、スズキ<7269>コール78回 10月 5,150円(+46.2%)、銀リンク債プット63回 10月 23米ドル(+42.9%)、キーエンス<6861>コール137回 10月 66,000円(+38.8%)、トヨタ自動車<7203>コール351回 10月 1,960円(+37.5%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/08 15:52 注目トピックス 経済総合 (中国)上海総合指数は1.15%高でスタート、米中関係の改善などを好感 8日の上海総合指数は買い先行。前日比1.15%高の3609.08ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.89%高の3599.85ptで推移している。米中関係改善なども好感されている。また、政策期待の高まりも支援材料。ほかに、過去10年間(2011-20年)の国慶節連休明け初日の取引では、上海総合指数が7割の確率で上昇したという過去のデータもあり、上昇に対する期待感が高い。 <AN> 2021/10/08 10:50 注目トピックス 経済総合 NYの視点:FRBが金融政策で立ち遅れるとの懸念も浮上 世界的なサプライチェーンの混乱やエネルギー価格の上昇で、コアインフレがFRBの目標である2%を上回っており、もし、供給ショックや労働市場の圧力が速やかに解決しなければ、FRBは金融政策でかなり立ち遅れる可能性があると、市場は警戒し始めた。9月雇用統計で大幅に予想を下回らない限り、連邦準備制度理事会(FRB)が11月連邦公開市場委員会(FOMC)での資産購入縮小に踏み切ることが正当化されるとの見方が強い。エコノミストの平均予想によると、失業率は8月5.2%から5.1%へ低下する見込み。非農業部門雇用者数は50万人増と、8月の23.5万人増から伸びが拡大する公算となっている。民間の雇用者数を示すADP雇用統計の9月分は前月比56.8万人増となった。伸びが8月34万人増から拡大し6月来で最大となった。週次失業保険申請件数も40万以下で推移しており、労働市場の順調な回復を示すと期待されている。 <FA> 2021/10/08 07:46 注目トピックス 経済総合 NY金は1700~1800ドルのレンジを抜けだせず サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NY金は1700~1800ドルのレンジを抜けだせず』と述べています。続けて、『NY金はドル高が重石になって上値が重く、1800ドルの上値抵抗線を抜けることができない。一方、米国の債務上限問題、インフレ懸念を背景に1700ドルでサポートされている』と伝えています。次に、『今週6日に発表される全米ADP雇用報告は前回の37.4万人から44.0万人に増加する見込み、7日には新規失業保険申請件数が発表される。8日に発表される9月米雇用統計は非農業部門就業者が前回の23.5万人から50.0万人に大幅増加する見込み、失業率も5.2%から5.1%に低下すると予想されている。いずれも改善が予想されており、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングが決定され、年内にも開始となろう』と解説しています。また、『市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年12月、もしくは23年1~3月期にも利上げを開始するとの予想が有力だ』と述べています。さらに、『米金融市場の懸念は債務上限問題だろう。イエレン財務長官は、議会与野党が債務上限の引き上げや一時停止で合意できなければ、「金融危機をもたらす」と警告し、基軸通貨のドルや最も安全な資産とされる米国債への信用が揺らぐと懸念した。格付け会社フィッチ・レーティングスは1日、米議会が連邦債務上限問題を適時に解決できなければ、瀬戸際政策や資金調達の柔軟性低下によって債務不履行に陥るリスクが高まり、米国の「AAA」格付けが圧迫される恐れがあるとの認識を示した』と伝えています。陳さんは、『債務問題の期限は10月18日で、それまでには結論が出る可能性はあるものの、市場は「まさか」に備えて安全資産である金を購入している可能性がある』と考察しています。こうしたことから、NY金について、『当面、1700~1800ドルのレンジで推移しよう』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月6日付「NY金は1700~1800ドルのレンジを抜けだせず」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/10/07 17:40 注目トピックス 経済総合 サイバー空間におけるデータ・ガバナンス:第四次産業革命センターが目指したもの【実業之日本フォーラム】 【ゲスト】須賀千鶴(前・世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター長)2003年に経済産業省に入省。2016年より「経産省次官・若手プロジェクト」に参画し、150万DLを記録した「不安な個人、立ちすくむ国家」を発表。2017年より商務・サービスグループ政策企画委員として、提言にあわせて新設された部局にて教育改革等に携わる。2018年7月より、デジタル時代のイノベーションと法、社会のあり方を検討し、グローバルなルールメイキングに貢献するため、世界経済フォーラム、経済産業省、アジア・パシフィック・イニシアティブによるJV組織の初代センター長に就任。国際機関のネットワークを活用しながら、データガバナンス、ヘルスケア、スマートシティ、モビリティ、アジャイルガバナンスなど多様な国際プロジェクトを率いる。2021年7月より経済産業省 商務情報政策局 情報経済課長。【聞き手】白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家)白井:須賀さん、本日はお忙しいなか、「実業之日本フォーラム」の連続対談にご出席いただき、ありがとうございます。須賀さんは現在(編集部注:対談は2021年6月に行われた)、「世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター」の初代センター長でいらっしゃいます。このセンターは、2018年7月に、世界経済フォーラム、経済産業省、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの連携によって設立されました。日本センターは、米国サンフランシスコに本拠点を置く「世界経済フォーラム第四次産業革命センター」が海外に展開した初のグローバル拠点と伺っております。須賀:白井さん、こちらこそ、本日はどうぞよろしくお願いいたします。第四次産業革命センターは、政府、企業、市民社会、専門家との連携を通じ、進化するテクノロジーを統御し、社会課題を解決するために必要なルールづくりと実証を推進しています。テクノロジーを日常生活へ継ぎ目なく融合させ、その利益を私たち一人ひとりが享受する「Society5.0」においては、もはや資本ではなく、データがあらゆるものを結んで、動かします。それゆえ、私たちはデータ・ガバナンスこそ第四次産業革命の最重要課題と位置づけています。白井:世界経済フォーラムのレポートを拝見しますと、データの取り扱いについて、公益を優先する「中国のモデル」、個人の権利を優先する「欧州のモデル」そして企業の利益を優先する「米国のモデル」があると分類されています。この3つのモデルというのは、今後世界において共存していくのか、あるいは各国の利害を背景に対立していくのか、まずはこのあたりからご意見をお聞かせいただければと思います。須賀:世界経済フォーラムにおきまして、データ・ガバナンスについてマルチステイクホルダーで議論をする場を設けるべきだと発想した元々の原因は、そこにあります。この3つの大きなモデルを放っておくとどんどん遠心力が働き分断が拡大し、その間で挟まれる者たちにとっては生存そのものさえ非常に困難となる状況が危惧されました。いまは共存しているように見えますが、サイバー空間も深刻な分断に見舞われ、どちらかの経済圏なり影響圏に完全に組み込まれる以外に生きる道が残されなくなることへの危機感や問題意識があったと思っています。このまま放っておくと共存不可能なところにまで分断が進んでいくのではないかということです。それに対して、それぞれの国や地域の事情を踏まえながら、何らかの価値を代弁するデータ・ガバナンスに基づく経済圏の間でバランスをとろう、非常に繊細な利害調整というものをしていくべきだ、しようじゃないかと声をかける誰かが必要だということで、その役割を果たすべく各地に設置されたのが第四次産業革命センターです。従いまして、私たちは統合とは少し異なる、少なくとも共存可能な形、全く同じものに皆が従うのではなく、違うものでも「相互運用性」、システムの世界で言う「インターオペラビリティ」というものを目指そうとしました。最低限の共存可能性を担保し、一致しなければならないルールは何か、どこから先はそれぞれが自由にやって大丈夫か、という枠組みを議論していきましょうということを働きかけています。白井:議論をする場、あるいはそのような文化を作ろうとした、というようなイメージでしょうか。須賀:そうですね。もちろん競争領域というものは、企業レベルでも国家レベルでも残ります。これがある意味イノベーションの源泉でもあります。完全に一致する、統一するというのは、一見進歩的に見えて、将来の可能性を摘むことにもなります。そうではなくて、少なくとも共有可能なもの、公共財と考えることができるもの、非競争領域として皆で一緒に作ることができるものがデジタルな世界でもあるはずだということです。そこを一つずつ特定していきましょうというアプローチです。白井:データの取り扱いに関する3つのモデルを具体的にお教えください。また、具体的には各国の第四次産業革命センターはどのようなコミュニケーションをされているのでしょうか。須賀:この3つのモデルの違いを分かりやすく言うと次のようになります。企業が主体でデータ・ガバナンスを考えていくというのがアメリカのモデルだとすると、それを国家が主体でリードしていくというのが中国モデル、それらに対して、データを利用する側ではなく、データの発生源である個人の人権というものを重要視し、その範囲内でのみデータを利用すべきだという欧州モデルという整理です。そのような区分で世界を見ていきますと、非常にバラエティーに富んでいます。中東では中国に近い考えをする国もありますし、インドのように非常にテクノロジーが進んだ国でも、一部保守的なルールを入れる国もあります。そういった差分こそが面白いところであり、実態を反映しているとも言えます。それらを丁寧に見ていきながら、対話を途切れさせないことが重要です。世界経済フォーラムでは、自分とは考え方や価値観が違う人たちを切り離して対話をしないことは建設的ではないと考えています。中立的なプラットフォームとして、違う考えの方のお話は全部聞く、「ボイスを与える」という言い方をしますが、発言の機会を持っていただくということを、気をつけてやっています。そういう意味で、中国にもセンターがあり、たとえばスマートシティの担当者は中国にも、インドにもいますし、日本にも、コロンビアにもサンフランシスコにもいます。そういった人たちと毎週議論をするという、非常にユニークな中立的なプラットフォームになっているかなと思います。白井:地政学、地経学的観点で見ますと、データ・ガバナンスにおいても陣取り合戦が先鋭化しつつあり、対話の必要性が高まっていると感じております。そのような中、世界経済フォーラムの第四次産業革命センターにおいて、各地区のセンター間でデータの取り扱いについて話し合いが行われているということをお聞きして安心しました。軍事面でも危機のエスカレーションを防ぐために、ホットラインを持っておくことは非常に大事なことです。対話や議論の窓が開いているということは極めて重要なことだと思います。(本文敬称略)■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/10/07 16:17 注目トピックス 経済総合 Inpexのプット型eワラントが前日比2倍超えの大幅上昇(7日10:02時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ商船三井<9104>プット100回 11月 6,100円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均コール2143回 11月 29,500円、日経平均コール2142回 月 28,000円、野村日経225ダブルインバースETF プラス5倍トラッカー 28回 月 150円、野村NYダウ30連動ETF マイナス3倍トラッカー 29回 月 48,000円などが見られる。上昇率上位はInpex<1605>プット179回 10月 775円(前日比2.6倍)、コナミホールディングス<9766>コール65回 10月 7,000円(+75.0%)、セイコーエプソン<6724>コール87回 10月 2,500円(+75.0%)、オムロン<6645>コール49回 10月 11,800円(+66.7%)、野村総合研究所<4307>コール35回 10月 4,150円(+66.7%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/07 10:21 注目トピックス 経済総合 コラム【新潮流2.0】:第100代(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆) ◆10月4日、臨時国会が召集され、第100代内閣総理大臣に岸田文雄氏が就任した。100人目の首相と聞くと、なにやら重みがありそうだ。なにしろ米国のバイデン大統領は第46代の大統領、英国のジョンソン首相で77代目の首相である。しかし、本当に第100代首相に「重み」があるか。ジョージ・ワシントンが米国の初代大統領に就任したのは1789年だから米国は230年余りで46人の大統領を生んでいる。1人当たりの任期は約5年。英国の首相は300年の歴史で77人だから1人当たり4年弱だ。◆日本は伊藤博文が初代の総理大臣に就任したのが1885年でまだ136年しか経っていない。それで100人目の首相だから1人当たりの任期は1.36年である。日本は首相が毎年のように替わると言われて久しいが、こうして長期で見ても、やっぱり1人当たりで1年半に満たない。永田町では「長期政権の後の政権は短命に終わる」とか「平成以降の外相経験者首相は2年もたない」「早稲田出身の首相は短命」などのジンクスがある。これらはすべて岸田氏に当てはまるものだが、どうかそんなジンクスに負けず長期政権を目指してほしい。◆9月6日付小欄(マネックス証券オウンドメディア「マネクリ」連載の「新潮流」)で、僕の仮説「政権の命脈は主義主張が時代に合うか合わないか」が正しいとするなら、今の時代に合うのは再分配政策を重視する岸田さんだと述べた。当たったなどとはしゃぐ気はないが、新自由主義がいまの時代に合わないのは確かだ。だからと言って、この日本で「新自由主義との決別」を大上段に掲げるのはいかがなものか。 米国や中国でネット企業の創業者が大きな富を独占し格差が拡大しているが、それは彼らが社会にイノベーションを起こし経済を成長発展させた見返りである。日本は成長していないのだから同じ議論は当てはまらない。◆岸田氏は「成長なくして分配なし。しかし分配なくして次の消費、需要も喚起されない。分配なくして次の成長もない」という。だが、それでは「卵と鶏」だ。成長より分配が先に来るとすれば、財政で負担する、すなわち国の借金で賄うということだ。それは将来の増税を国民に意識させ、お金は消費に回らない。経済学が教えるリカードの等価定理だ。やはり順番として正しいのは「成長なくして分配なし」だろう。 岸田氏の経済政策の目玉は「令和版所得倍増計画」である。しかし、1%にも満たない成長率では所得が倍になるには100年かかる*。いまから100代後の第200代内閣総理大臣の時代には達成できるかもしれないが。*(注)元本が倍になるには年率7%複利で10年、0.7%の成長率では100年が必要である。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:10/4配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋) <FA> 2021/10/07 07:49 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米9月雇用統計:妥当な結果で11月FOMCでのテーパー開始織り込む 米国の労働省はワシントンで8日に最新9月雇用統計を発表する。エコノミストの平均予想によると、失業率は8月5.2%から5.1%へ低下する見込み。非農業部門雇用者数は50万人増と、8月の23.5万人増から伸びが拡大する公算となっている。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の9月分は前月比56.8万人増となった。伸びが8月34万人増から拡大し6月来で最大となった。このため、強い結果が期待される。また製造業の雇用も改善した。全米の製造業活動の状況を示すISM製造業景況指数9月分の雇用は50.2と、8月に活動の縮小となる50割れとなったのち、再び活動拡大を示す50を回復。ISM非製造業景況指数の雇用は8月から小幅低下も、50台を維持した。新型コロナウィルスの変異株流行がピークを付け、経済活動の再開が進んだこと、さらに政府が実施していたパンデミック救済策の一環、失業保険特別支給が失効したことで労働参加者も増えたことが要因と見られる。また、9月に入り、学校が再開したことも奏功した。ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは平均予想を上回る60万人近くの伸びを予想。週次失業保険申請件数は引き続き変動が強いながら40万件を下回る水準で推移した。パウエル議長は雇用統計などの経済指標が妥当な結果となった場合、11月連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入縮小を開始することも可能としており、早期の緩和縮小を織り込むドル買いが優勢となると予想される。■9月雇用統計の先行指標・米・8月ADP雇用統計・米・9月ADP雇用統計:+56.8万人(予想:+43.0万人、8月::+34万人←+37.4万人)・ISM製造業景況指数雇用:50.2(8月49)・ISM非製造業景況指数雇用:53.0(53.7)・NY連銀製造業景況指数:雇用(現状):+20.5(8月+12.8、6カ月平均+15.6)週平均就業時間:+24.3(+8.9、6カ月平均+15.6)6か月先雇用:+40.3(38.5、6カ月平均40.3)週平均就業時間:+8.7(2.76カ月平均+8.9)・フィラデルフィア連銀製造業景況指数雇用(現状):26.3(32.6、6カ月平均28.2)週平均就業時間:29.3(24.5、26.3)6か月先雇用:38.6(42.7、6か月平均50.0)週平均就業時間:15.4(20.8、6か月平均21.7)・消費者信頼感指数(%)●雇用雇用現況十分:55.9(55.6、23.6)不十分:30.7(33.2、56.1)困難:13.4(11.2、20.3)6カ月後雇用増加:21.5(23.1、32.9)減少:20.3(18.0、16.1)不変:58.2(58.9、51.0)・失業保険申請件数件数 前週比 4週平均 継続受給者数9/25/21|   362,000|    11,000|  340,000|   n/a09/18/21|   351,000|    16,000|  335,750| 2,802,00009/11/21|   335,000|    23,000|  336,500| 2,820,00009/04/21|   312,000|   -33,000|  340,000| 2,715,00008/28/21|   345,000|    -9,000|  356,250| 2,852,00008/21/21|   354,000|     5,000|  366,750| 2,805,00008/14/21|   349,000|   -28,000|  378,000| 2,908,00008/07/21|   377,000|   -10,000|  396,750| 2,865,000■市場エコノミスト予想失業率:5.1%(8月5.2%)非農業部門雇用者数:前月比+50万人(+23.5万人)民間部門雇用者数:前月比+45万人(+24,3万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+4.6%(+0.6%、+4.3%) <FA> 2021/10/07 07:37 注目トピックス 経済総合 南アフリカランド円は、上値の重い展開が続きそう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜) 皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『今週の南アフリカランド円は、上値の重い展開が続きそうだ』と述べています。続けて、『中国恒大集団による債務不安を背景に、中国と経済的な結びつきの強い新興国通貨の上値が重くなっている。南アフリカの最大の貿易相手国は中国で、南アランドは中国の経済状況によって影響を受けやすい。中国の9月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6と好不況の分かれ目である50を下回った。最近の電力不足の影響もあり、さらに落ち込みが懸念されている』と解説しています。次に、『米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(購入資産の段階的縮小)決定見通しによりドルの先高観が強くなる中、チャイナリスクにもさらされているため、南アランドは買いが入りにくい状況が続きそうだ。今週は、9月米雇用統計が発表されるが、前回より良好な内容が予想されており、週末にはドル買い・南アランド売りが強まりそうだ』と述べています。また、『なお、南アフリカ準備銀行(中央銀行)は9月23日に開いた政策決定会合で、政策金利を3.5%に据え置いた。声明では、「経済が回復を続ける中で資金需要を支える金融情勢を維持する」としており、中銀の金融政策の違いからも南アランドは売られやすいだろう』と考察しています。こうしたことから、陳さんは、南アフリカランド円の今週のレンジについて、『7.25円~7.65円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の10月5日付「南アフリカランド円今週の予想(10月4日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜 <FA> 2021/10/06 17:48 注目トピックス 経済総合 この記事は削除されました。 この記事は削除されました。 <RS> 2021/10/06 16:12 注目トピックス 経済総合 太平洋セメントのコール型eワラントが前日比2倍超えの大幅上昇(6日10:12時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価上昇が目立つ太平洋セメント<5233>コール105回 11月 2,500円を順張り、任天堂<7974>プット371回 11月 53,000円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 11月 51,000米ドル、イーサリアム2021年11月 マイナス3倍トラッカー1回 月 3,700米ドル、日経平均 マイナス3倍トラッカー75回 月 33,000円、イーサリアム2021年10月 プラス5倍トラッカー3回 月 2,175米ドルなどが見られる。上昇率上位は太平洋セメントコール102回 10月 2,550円(前日比2.2倍)、太平洋セメントコール106回 11月 2,850円(+76.2%)、太平洋セメントコール107回 11月 3,200円(+75.0%)、太平洋セメントコール105回 11月 2,500円(+51.3%)、東急<9005>プット12回 10月 1,500円(+50.0%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/06 10:25 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米9月サービス業況、人手不足やサプライチェーン問題が引き続き抑制、Q4に期待 米供給管理協会(ISM)が発表した非製造業景況指数は61.9となった。8月61.7から低下予想に反して上昇し、7月来で最高となった。重要な項目である新規受注は63.5と、63.2から上昇し、全体指数を押し上げ。仕入価格も77.5と、75.4から一段と上昇した。一方で、雇用は53.0と、53.7から低下した。●米・9月ISM非製造業景況指数:61.9(予想:59.9、8月:61.7)総合ビジネス景況指数:61.9(8月61.7)景況指数:62.3(60.1)仕入価格:77.5(75.4)新規受注:63.5(63.2)受注残:61.9(61.3)入荷水準:68.8(69.6)在庫増減:46.3(41.4)在庫景況感:46.3(41.4)雇用:53.0(53.7)新規輸出受注:59.5(60.6)輸入:47.7(48.7)また、民間マークイットが発表した米9月サービス業改定値は54.9と、予想外に速報値54.4から上方修正された。しかし、4カ月連続の低下で、2020年12月来で最低。総合PMI改定値は55.0。速報値54.5から上方修正されたが、やはり、4カ月連続の低下で、1年ぶり低水準となった。人手不足が成長を抑制。仕入れや生産コストの上昇で、インフレ圧力も歴史的に高い水準となった。マークイットのチーフエコノミストは「9月の結果はサービスセクターが、新型コロナウイルスのデルタ株流行の影響がくすぶり一段と悪化したことが示唆されている」と指摘。ビジネス活動の成長はパンデミック前の長期平均水準に一致しているが、春、夏の水準からは鈍化しているとした。デルタ株流行が終息せず、多くのサービス、特に、ホスピタリティセクターの需要が滞っただけでなく、パンデミックが継続していることで、労働参加率も依然低く、企業の新規雇用が困難な状況も続き、労働市場にも影響を与えていると悲観的だ。ただ、9月の初旬にコロナがピークをつけた可能性は、第4四半期に向けて、状況改善が始まると期待している。ビジネスセンチメントは6%以降で最高に上昇。アトランタ連銀は7−9月期のGDP見通しが1.3%成長と、従来の2.3%からさらに引き下げた。個人消費支出の伸び、国内投資の伸びがそれぞれ1.4%、12.9%から1.1%、10.5%へそれぞれ低下したことが原因となる。7月時点の見通し6%成長からは大幅に引き下げられた。第4四半期での回復に期待が集まる。 <FA> 2021/10/06 07:42 注目トピックス 経済総合 イズムレスの時代:資本主義・民主主義・保守主義・社会主義・自由主義(1-2)【実業之日本フォーラム】 ゲスト船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)聞き手白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家)本稿は、「イズムレスの時代:資本主義・民主主義・保守主義・社会主義・自由主義(1-1)【実業之日本フォーラム】」の続きである。■コロナで岐路に立たされる自由民主主義白井:米中対立の根幹には、中国が現在の国際秩序を中国に都合のいいように作り変えようとしている点があります。しかしながら、これは米国中心の今の国際秩序が良いという事が前提となっています。アメリカだけで、新型コロナ感染拡大で70万人近い死者を出しているということから、米国中心の国際秩序が果たして正しいのかという議論が、当然出てくるような気がします。その場合、正しいというための価値基準はどの辺りに設定されると考えますか。船橋:米中は新たなイデオロギー闘争、最後は生き方の違いを巡る闘争を行っています。自由主義陣営として心得ておかなければならないことは、「我々の社会、政治体制の方が優れていますと言っても、新型コロナ感染拡大に対応できなかったのではないか」、と言われることです。国民を守れない体制が果たしていいのかという疑問にどう答えるかです。自由民主主義体制として、大きな課題を抱えたと言えるでしょう。しかしながらこの課題は、コロナの前から問われてきた課題でもあります。自由主義の歴史、民主主義の歴史を考えた場合、自由主義では基本的に少数の強者の論理が重視されます。ある意味、一部エリート、特権階級の論理にもなり得ます。この論理は、できるだけ多くの人の国家権力からの自由、徴税からの自由といった、個々の人間の自由をいかに守るかという事から始まっています。時代が下って、日本では西園寺政権から原敬、加藤高明の時代にかけて普通選挙の法制化への機運が生まれ、さらには最低限の生活を国家が保障する年金制度が定着していきます。ここで自由と民主主義が結合し、自由民主主義となってきました。そして、自由民主主義国家がOECDを中心として戦後の世界を形作ってきました。西欧では、1880年代くらいから、ビスマルクのドイツ、第一次世界大戦後のヨーロッパ、そして第二次世界大戦後のアメリカと広がってきました。自由民主主義は、人間の営為と努力によって勝ち取ってきたものです。神から与えられたものでも何でもありません。この大事な自由民主主義が、岐路に立たされているという認識が必要だと思います。この岐路はどこから生み出されたのか。一つは、成長が約束できなくなったという事です。これはGNPを中心に作ってきた一つの経済発展史観というものが、今大きな隘路に差しかかっていると言ってもいいと思います。国民総生産、GDP、かつてはGNPと言っていました。1934年にアメリカの経済学者であるサイモン・クズネッツが、ブルキングスの研究として、1929年から1933年までの4年間の大不況で、アメリカの国民所得はどの程度減少したのかを数字で示したものです。マクロ経済の観点から、国の経済というのはどの程度所得として計算できるかというものを作りました。ここでの結論は、50%下がったというものです。特に、ブルーカラーの賃金労働者の所得は、80%下がったという衝撃の結論を出しました。これが最初のGNPの概念です。フランクリン・ルーズベルトはこの数字を使って共和党のフーバー政権を追い込みました。GNPは大不況の産物でした。これ以降、経済の動向を大きく捉えて、これに対して財政金融政策をたてるといった経済政策をとるようになりました。白井:GDPを大きく低下させるものには、大不況に加えて戦争があると思います。第1次世界大戦の戦後処理に関し、あまりにも過酷な賠償金をドイツに課したためドイツ社会が不況にあえぎ、これが全体主義を生む土壌となり、第2次世界大戦の原因の一つなったと言われています。その意味では、戦後復興においてもいかに経済復興させるかというのが、以後の国際秩序を形作るためには重要なのでしょうね。船橋:戦後の日本やドイツの復興に関しては、もう二度と侵略を起こさないように、工業化させないという意見もありました。しかしながら、GNPをきちんと成長させてこそ、中産階級が生まれて政治的に安定する。安定した国は、革命や他国への侵略を考えなくなるという考えが主流となりました。この考え方がマーシャルプランに繋がったわけです。マーシャルプランというのは、いわば、GNP主義を体現したプログラムと言えます。これは成功しました。しかしながら、日本の長いデフレを周回遅れで追うかのように、ほかの国でも日本化が起こってデフレが長期化しています。これには人口減少の影響もあります。日本を始め西洋諸国は、人口、特に労働者人口が減り、それが原因で更に全体人口が減っていくというパターンに入り込んでいます。労働人口を確保するために移民を増やそうとすると、今度は移民に反対するポピュリズムが生まれてしまい、隘路に嵌ってしまいます。そして、シルバー民主主義、つまり年金等を含めて高齢層が既得権益化し、資源配分が極めていびつな形となっていきます。従って、より能動的にリスクをとるといった投資に対するインセンティブが減少するという状況になっています。このような状況で、今回のコロナ禍を迎えたのです。基本的には、成長をめぐって長期的なデフレという傾向が、経済・社会的に生まれてきているのです。最後にとどめを刺しているのが、AI等の第4次産業革命です。労働が、より機械に代替可能なもの(コモディティ化)となり、賃金の低下が現れてきたことです。これがアメリカやイギリスで典型的にあらわれてきており、自由主義に対する大きな逆風となっています。もう一つの問題は、格差です。技術革新やグローバリゼーションといっても、結局一握りの人が成長の果実を味わうだけだという事です。成長しなくなった中で、少しばかりの成長も金持ちだけに行くという格差の課題です。この格差は、富や資産の格差に留まりません。教育格差があります。ハーバード大学では、学生の3分の1が近親者にハーバードの卒業生がいる、レガシー・ステューデントと言われています。ハーバード大学というと、各エリアに指導者を排出する名門大学ですが、世襲制に近い状態となっているのです。そもそも、大卒と高卒では初任給に圧倒的な差があります。極めつけは健康の格差です。さまざまな格差は、最終的には健康の格差として現れてきます。ハーバード大学医学部研究チームが2008年に発表した結果によれば、2000年の高校卒業資格以下のグループの平均余命は50年、それ以上の学歴グループは57年と7歳の開きがあり、この差は次第に拡大しています。長期のデフレと格差問題は連鎖します。長期デフレ対策として、低金利政策で市場に資金を潤沢に提供すれば資産バブルを生みます。本来であれば、低金利は労働者や若者にプラスになるのですが、実際は金持ちだけに資金が集まります。デフレの時代は基本的に持てる者、高齢者に有利です。これに低金利政策で資産インフレとなり、格差が広がるという状況に陥っています。この連鎖を断ち切れないことが、自由民主主義を脅かしていると言えます。白井:ニューヨーク市が、住所の郵便番号からコロナ死亡者の分布を調査したところ、年収15,000ドル以下の貧困層が多く住むブロンクス地域に多いことが判明したとの記事がありました。米政治専門誌「ポリティコ」によると、貧困率1割以下の地域の死亡率は人口10万人当たり100人でしたが、貧困率が3割以上の地域では、死亡率が2倍以上の232人だったということです。今回のコロナ禍では、所得格差が健康格差となり、これが寿命格差にもつながることが如実に示されたと思います。例年、アメリカの大統領選挙ではネガティブキャンペーンが多く行われ、これが対立を先鋭化させるという傾向があります。昨年の大統領選挙は、コロナ禍もあり、より対立が激しくなったように思います。バイデン大統領は、アメリカ社会の分断をうまくコントロールできるでしょうか。船橋:今回のコロナで、マスクを着けるか、着けないかというだけで、アメリカ社会があれほど分断するのかという問題が提起されました。2020年3月にアメリカのある大学のチームが、マスクを含めて、この様な分断を生んだファクターについて調査を行いました。性別、教育、学歴、地域別、年齢等のファクターを調べた結果、分断を生んだのは政党に対する帰属意識ではないかとの結論を得ています。共和党なのか民主党なのか、あるいはどちらにより親近感を感じているかという事が決定的だったという調査結果です。これは重要な報告書です。そもそも政党というのは、民主主義の中でしか生きられません。色々な人の既得権益や要望をいかに調整して一つの方向にまとめていくかという事が、政党の重要な役割です。そして同様にして作られた他の政党と交渉し、妥協点を探っていく、これが政党政治です。あくまでも、妥協のためのツールでしかないのです。ところが、今回の分断においては、政党が自らのアイデンティティを託する場となってしまったのです。政党を自分のアイデンティティのアバターと見なすような政治観、政治文化が生まれてきたのです。そうなると、本来妥協の場である政党間で交渉や妥協ができなくなります。(本文敬称略)■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/10/05 17:19 注目トピックス 経済総合 イズムレスの時代:資本主義・民主主義・保守主義・社会主義・自由主義(1-1)【実業之日本フォーラム】 ゲスト船橋洋一(実業之日本フォーラム編集顧問、一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長、元朝日新聞社主筆)聞き手白井一成(株式会社実業之日本社社主、社会福祉法人善光会創設者、事業家・投資家)■コロナがあぶり出した「政府の役割」白井:新型コロナウイルスの感染拡大に対し、日本でも、遅ればせながらワクチンの接種が進みつつあります。今回の未曾有とでもいうべきパンデミックは、それぞれの国の社会制度や政治システムに大きな影響を与えていると思います。本来平等でなければならない医療に関しても、国家間における格差、同じ国であっても富める者と貧しいものでは、健康状態や受けることのできる治療にも格差が出ています。アメリカは、これに加え大統領選挙において、二極分化がさらに進んでいます。今年1月に成立したバイデン政権の最も大きな課題は、この分断をいかに修復するかだと言われていますが、難しい問題だと思います。今回の新型コロナウイルスの感染拡大の終息はまだまだ見通せませんが、今後の国際政治に与える影響についてどのように考えておられるでしょうか。船橋:「エコノミスト」誌の前編集長であるビル・エモット氏を中心として、世界で15人の人間が、ポストコロナの世界秩序懇談会という会を設置しています。日本からは、私が参加しています。先日、コロナの意味はどこに出てきているのかということについてプレゼンテーションを行いました。そこでも議論がにぎわったところですが、私は今回、「政府の役割は何だ」、という点が問われたと思います。今回のようなパンデミックが起こると、国が総力戦で戦わなければなりません。その際に、政府が役割をきちんと果たしているかどうかという事は、決定的に重要だということを改めて認識しました。政府ってやはり大切だということとともに、政府っていざというとき弱いね、頼りないね、もっと強くしなければいけないんじゃないの、といったことも含めて政府の役割への関心が強まったと思うんです。アメリカとイギリスは、今回初動において政府が全く機能しませんでした。人口比の犠牲者数も、他国に比較すると高い傾向にありました。これは、レーガン、サッチャー時代のネオリベラル、すなわち政府は小さければ小さい方がいいという考え方が両国で定着したことに原因があると考えています。アメリカではその後も、移民に対する福祉政策について、横からの“割り込み”に対する憤り(ルサンチマン)というポピュリズムを生みだしました。これが特に、リーマン・ショック後に吹き出てきました。ティーパーティ運動は、その最たるものだと思います。イギリスも同じような形で、移民に対する警戒感の増大というポピュリズムからブレクジットに繋がりました。いずれも、政府に対する国民の強い不信感があります。このため、国民からのバッシングを恐れた政府は、強いリーダーシップをとれないという状況になります。アメリカもイギリスも政府がうまく機能せず、このことが新型コロナ対応に遅れをとった理由ではないかと思います。白井:確かにアメリカやイギリスと比較すると、中国自身は否定していますが、発生源となった中国が、いち早くコロナ禍から抜け出し、更にはワクチンを武器として影響力拡大を図りつつあるという皮肉な状況となっています。これを、「健康シルクロード(Health Silk Road)」という人もいます。一帯一路の経済が、「新植民地主義」であるとか、「債務の罠」と疑いの目を向けられている現在、健康が今後のキーワードになるのかもしれません。更に検証が必要だと思いますが、現時点で、コロナ対策をうまく行った国は、何が良かったと思われますか。船橋:アジアの中で、コロナ対策をうまくやった国について、体制を問わずに言うと、中国、韓国、香港、シンガポール、台湾といった国が挙げられます。日本も泥縄的でしたが、比較的うまく対応したのではないかと思います。これらの国に共通して言えるのは、日本を除いて、いずれも開発独裁国家であることです。少なくとも、かつて「4龍」と言われた韓国、台湾、香港、シンガポールは、非常に強い国家権力が財政出動を行い、産業政策を推進することによりインフラ整備を行い、経済開発、発展を行ってきました。更には、韓国及び台湾の様に、政府主導の産業政策により中産階級を生み、これが民主化の原動力となった国もあります。これらの国々では、政府の役割を認め、これに従うという政治文化があります。一方で、政府は重要ですが、政府だけでは何もできないことも今回、よくわかった。関係者が力を併せ、国民と連帯していく枠組みが必要です。其れも含めて統治のあり方が問われたと言えます。今回のような国家的危機においては、統治の出来、不出来あるいは質というものが決定的に重要であることが明らかになったと言えるでしょう。民主主義、人権、司法の独立といったものが重要であることはそのとおりですが、危機においては、国民の健康と生命を守ること、最大多数の最大健康を守ることが優先されます。ここを問われた時には、政治体制を問わず、政府の役割と統治の質が決定的に重要です。結果が全てです。「完璧な憲法です、完全な司法の独立です、言論の自由が保障されています」、といっても、国民の命が守れなければレッドカードが出るということが今回明らかになったことだと思います。(本文敬称略)■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <RS> 2021/10/05 17:16 注目トピックス 経済総合 イスラエル、イランの新指導者が進める外交の現状【実業之日本フォーラム】 中東における火種の一つはイスラエルとイランの対立である。イスラエルは6月にナフタリ・ベネット氏が首相に、8月にはイランのイブラヒム・ライシ師が大統領に就任した。新指導体制がイスラエル、イラン両国の外交をどの方向に導こうとしていくのか現状をみてみよう。2021年9月30日、ロイターによると、イスラエルのヤイル・ラピド外相は、2020年10月の国交樹立以来、初めてバーレーンを訪問したと報じた。ラピド外相は首都マナマにおいて、ハマド・ビン・ハリーファ国王、サルマン・ビン・ハリーファ皇太子兼首相と会談し、医療やヘルスケア、スポーツ、環境保護に関する協力関係に署名し、マナマにイスラエル大使館を開設した。バーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)は昨年米国の仲介でアブラハム合意と呼ばれる協定を締結し、イスラエルとの国交を正常化し、スーダンおよびモロッコもイスラエルとの国交正常化を果たしている。1993年のパレスチナ暫定自治原則宣言など受けて、パレスチナ解放機構が暫定自治政府を樹立して以降、イスラエルと外交関係を有していたのはエジプトとヨルダンの2カ国のみであった。また、2021年9月28日、イスラエルのベネット首相は、就任後初めて、国連総会の一般討論演説で、イランは核開発において超えてはならない「全てのレッドライン」を超えたと強く非難した。ベネット首相は、「イランの核兵器開発は危機的状況にある」と指摘し、「イスラエルが真剣に核開発を止めようとすれば、イスラエル単独でも阻止する」と述べ、国際社会に対し、イランの核開発阻止の行動を強く呼びかけた。これに先立ち、ベネット首相は9月13日、就任後初めて、イスラエルの首班としては約10年ぶりにエジプトを公式訪問し、アブドルファッターフ・シーシー大統領と会談した。イスラエルの前首相ベンヤミン・ネタニヤフ氏は2011年以降エジプトを訪問していなかったが、両国は中東における米国の主要な同盟国であり、米国による軍事援助の最大の受益者で、緊密な関係を構築している。イスラエルのメディアによると、両首脳は、パレスチナ自治区ガザを実行支配するイスラム原理主義組織ハマスとの対話の重要性や、エジプトやアメリカの停戦の努力に対する国際社会の支持の重要性を確認した。エジプトはイスラエルと1979年3月、ワシントンD.C.で平和条約に調印し、国交を結んだ最初のアラブの国である。今後、イスラエルは、対イランで共通利益があるアラブ諸国との関係強化を図っていくだろう。イスラエルの新首相となったベネット首相は、前政権同様にイランへの強硬姿勢を継続する姿勢を明らかにし、対イラン包囲網構築に努力していると言える。これに対し、新聞報道等によると、2021年9月16日、17日タジキスタンの首都ドゥシャンベにおいて、第21回上海協力機構(SCO;2001年、中露と中央アジア4カ国=カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが国境の安定、安全保障での協力を目的に上海で機構を設立し、2017年インドとパキスタンが加盟した)が首脳会議を開催し、2005年からオブザーバー参加だったイランの正式加盟の手続きを開始することで合意した。中露側はユーラシア大陸での影響力拡大、機構としての国際的地位向上、さらには経済、安全保障上、アラブ諸国の圧力に対抗するという意図があるのだろう。会議ではアフガニスタン情勢や新型コロナウイルスコロナウイルス感染拡大防止に関わる協力についても話し合われた。8月に就任したライシ新イラン大統領は、首脳会議において米国を念頭に「国際秩序は多極化している。世界の平和と安定に対し覇権国家はテロと並ぶ脅威だ」と述べ、対決姿勢をあらわにしている。イラン外務省のハティーブザーデ報道官は、9月30日、仏紙ル・モンドに対し、ウィーンでの核協議に必ず戻ると明言した。米国の制裁で疲弊したイラン経済を立て直すためにも、包括核合意への復帰を模索している表れだろう。また、ロイターは9月30日、欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表が、「包括核合意再建に向けた協議が、許容できる期間内に再開される」と述べたと伝えた。他方、米国のバイデン政権の中東外交に関する選挙公約は、「イランとの包括核合意復帰のための再交渉」であった。このため、米国政府は8月5日、ライシ大統領就任に際し、核合意復活に向けた協議に復帰するよう呼び掛けている。新聞報道等によると、「国際協調を掲げた穏健派のロウハニ前大統領に代わり、ライシ大統領は反米の保守強硬派で、最高指導者ハメネイ師の信頼が厚く、米国への対抗姿勢を強調している。しかしながら疲弊した経済立て直しのため、米国の制裁解除に繋がる核合意への復帰も視野に入れた政策をとる可能性もある」とされている。今後イランは、中国との25カ年協定締結やロシアからの軍事援助などにより、中露との関係強化に突き進むのか、核合意復帰により米欧の民主主義陣営との協調を図っていくのか、注視していかなければならい。茂木敏充外務大臣は、8月15日から24日まで、エジプト、イスラエル、ヨルダン、トルコ、イラン、カタールを訪問し、各国の首脳や外相等を表敬し、友好親善関係を確認した。茂木外相は、イスラエルではより一層の外交関係強化、アフガニスタン情勢への対応および「自由で開かれたインド太平洋」への理解を求め、イランではコロナ対策およびワクチン供与、イランの早期の核合意復帰に向けての建設的取組の推進について協議したと報道されている。わが国は、世界でも稀に、イスラエル、イラン両国とも強固な外交関係を維持し、経済、文化、学術の交流を進めている。今後、両国の敵対的な対立が激化する可能性も否定できないが、何らかの形で2国間の橋渡しをすることを、わが国の外交上の一つの目標にしていくべきであろう。サンタフェ総研上席研究員 將司 覚防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。写真:AP/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/10/05 11:03 注目トピックス 経済総合 住友化学のコール型eワラントが前日比2倍の大幅上昇(5日10:28時点のeワラント取引動向) 新規買いは原資産の株価下落が目立つファーストリテイリング<9983>プット292回 11月 73,000円を順張り、日本郵船<9101>コール137回 11月 10,300円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 11月 1.0米ドル、楽天グループ<4755>コール323回 月 1,100円、日経平均 プラス5倍トラッカー79回 月 27,000円、WTI原油先物リンク債_2021年12月限コール15回 月 75米ドルなどが見られる。上昇率上位は住友化学<4005>コール32回 10月 650円(前日比2倍)、ファーストリテイリングプット289回 10月 74,000円(+70.5%)、三菱商事<8058>コール229回 10月 4,000円(+66.7%)、ファーストリテイリングプット288回 10月 63,000円(+66.7%)、アサヒグループホールディングス<2502>コール114回 10月 5,900円(+62.9%)などとなっている。(eワラント証券) <FA> 2021/10/05 10:44 注目トピックス 経済総合 NYの視点:米国の高インフレの長期化に懸念浮上 石油輸出国機構(OPEC)プラス委員会は日量40万バレルの供給拡大計画を維持することで合意した。さらに、2022年度の需要見通しを引き上げ。緩やかな増産計画を維持し、大幅増産を見送った。NY原油先物相場は4日、78ドル台に達し、2014年以降7年ぶりの高値を更新。さらに、最近の天然ガスの価格の上昇で、一部の投資家が追加証拠金請求に直面しているとの報道もあり、一段の上昇に拍車をかける可能性も警戒される。さらに、サプライチェーン問題が2023年にまで長期化するとの指摘も見られる。そうなった場合、物価高が当面、解消しない可能性もある。パウエル議長は想定以上にサプライチェーン問題が長引いていると認めたが、「物価はいずれ低下する」との予想を修正していない。セントルイス連銀のブラード総裁は、インフレが過去10年間で見られた水準を上回り、リスクが上方であることに懸念を表明した。2022年のコアインフレでは2.8%を予想しており、FRBの目標である2%には戻らないと見ている。同総裁は2021年度の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有していない。 <FA> 2021/10/05 07:48 注目トピックス 経済総合 国家の矜持−ベトナムの安全保障政策−【実業之日本フォーラム】 ベトナムの存在感が増しつつある。オースチン米国防長官は、7月にフィリピン、シンガポール及びベトナムを訪問、ハリス米副大統領は、8月にシンガポールとベトナムを訪問した。国防長官がフィリピンを訪問したのは、フィリピンとの軍事協定(VFA : Visiting Force Agreement)維持を正式に合意するためであった。両者のシンガポール訪問は、1990年に締結した「基地提供協定」に基づき米海空軍の基地が存在し、P-8哨戒機や哨戒艇が展開していることから、両国の安全保障上の結びつきを確認するためであろう。しかしながら、ベトナムにはこのような協定は存在しない。副大統領と国防長官という米政府高官が連続して、ASEANの盟主とされるインドネシアではなくベトナムを訪問したことは、米国が同国を安全保障上極めて重要と判断しているためであろう。ベトナムは、共産党を唯一の合法政党とする社会主義共和国である。1945年に建国の父とされるベトナム共産党のホー・チ・ミン主席が独立を宣言して以降、フランス及びアメリカと戦火を交えた。1954年に、北緯17度線で国土がベトナム民主共和国(北ベトナム)とアメリカを後ろ盾とするベトナム共和国(南ベトナム)に分断され、20年を超える内戦(ベトナム戦争)に陥った。1975年4月の南ベトナムの首都サイゴンの陥落は、パリ協定に基づくアメリカ軍撤退後に南ベトナム政府が崩壊したものであり、アメリカの汚点ともいえる出来事であった。2021年8月のカブール陥落は、このサイゴン陥落を彷彿させた。1976年の「ベトナム社会主義共和国」建国当初は、厳格な社会主義制度を維持していたが、頼みの綱であった旧ソ連及び中国といった旧東側諸国からの無償援助が先細りする中、配給制度が維持できず食料不足が拡大した。このため、1986年に、「資本主義経済の導入」、「国際社会との協調」、「国民に必要な産業への投資」及び「社会主義政策の緩和」を柱とする「ドイモイ」政策に転換した。この政策の下で著しい経済発展を遂げ、1995年にはアメリカと国交を正常化するとともにASEANに加入、1998年にAPEC、2007年にはWTOに正式加盟し順調に国際社会への復帰の道を歩んだ。ベトナムと中国の関係は紆余曲折に富んでいる。冷戦期には「社会主義国同士の特別な兄弟関係」であったが、カンボジアを巡る対立から1979年に中越紛争が生起し、1980年代を通じ敵対関係にあった。1991年11月の両国の関係正常化宣言は、ベトナム軍がカンボジアからの無条件撤退を受け入れることが前提であった。防衛研究所の庄司智孝アジア・アフリカ研究室長は、この時の教訓が以後のベトナムの対中政策を規定していると指摘している。その第1は「中国と全面的な対立関係となった場合、小国であるベトナムは身動きが取れなくなる」、第2は「社会主義国同士の特別な兄弟関係の終焉」、そして最後が「社会主義市場経済という中国モデルを採用することによる経済協力の強化」である。関係正常化後、懸案であった陸上と海上の国境が合意され、経済関係も緊密化した。2014年ベトナム統計総局の発表によれば、1位の中国は、貿易総額の19.0%を占め、2位の韓国10.3%をはるかに凌駕している。蜜月状態であった両国関係に亀裂が入ったのは、2014年5月に、中国が一方的に石油採掘リグをパラセル諸島近海に設置し採掘を開始したためであった。ベトナムは、中国によるパラセル諸島支配の既成事実化の端緒と捉え、海上警察の船舶や漁船を派遣するとともに、外交ルートで中国に抗議した。更に、今まで例を見なかった市民による反中デモを黙認し、現場海域における中国法執行船の放水やベトナム漁船等への衝突を多くのメディアに公表するとともに、各種国際会議やシンポジウムにおいて対中非難等を繰り広げた。これらの対応が功を奏したのかどうか不明であるが、中国は2014年8月まで実施するとしていた採掘作業を「完了した」として、採掘リグを撤収し事態は収束した。この採掘リグを巡る事件は、国際的に、同じ社会主義国であり強い経済的結びつきを持つ両国の争いとして注目を集めた。ベトナムにとって、中国とは政治、党、経済等でいかに緊密な関係を構築しても、中国政府の意思決定には何の影響も及ぼさないという限界を認識する契機になった。そのためベトナムはアメリカ、日本、インドといった国々と協力を強化するという全方位安全保障協力をより重視するようになった。2018年3月に、米空母カール・ビンソンがベトナム戦争終結後初めてベトナムのダナンに入港したことは、ベトナムの全方位安全保障協力の深化を象徴するものであった。ベトナムの全方位安全保障協力は単なる対中ヘッジではない。国民には根深い対中不信感がある。オイルリグ事件後の2017年春のPew Research Centerの調査によれば、ベトナム人の88%が中国を「好ましくない(Unfavorable)」と回答している。この数字は、調査対象となった42カ国中最大である。この背景には前述した中越紛争だけではなく、幾度となく中国と干戈を交えた歴史があると思われる。更に、2015年のオイルリグを巡る中国との争いでベトナムが示した中国への毅然とした対応は、どのような相手であれ、国家主権を守り抜こうとする国家の矜持を示すものであった。筆者が過去意見交換したベトナム軍人は、「ベトナムは過去に、中国だけではなく、フランス、アメリカといった大国と戦い負けたことがない」との強烈な自負を持っていた。歴史的に見れば、幾度となく中国王朝の支配を受けているが、ベトナムの国家主権を守るという強い意志と、国家としての矜持は見習うべき点は多い。2021年9月、ベトナムを訪問中の岸防衛大臣は、日越防衛首脳会談を実施し、両国の防衛協力が新たな段階に入ったことを明らかにするとともに、「日越防衛装備品・技術移転協定」が締結されたことを明らかにした。日越の防衛協力は、防衛省の能力構築支援事業の一環として2012年に潜水医学から開始され、その後に艦艇の相互訪問と親善訓練を積み上げてきた。両国の防衛協力の新たな段階の詳細については明確にされていないが、岸防衛大臣は、「今後艦艇分野を含めて、具体的な装備移転の実現に向けて協議を加速していく」、と述べている。防衛装備の海外移転に関しては、2014年4月に新たな三原則が定められたものの、本格的な装備移転はフィリピンへの防空レーダーに留まっている。防衛装備の移転は、それに伴う訓練や維持整備といった分野における協力につながるものであり、艦艇、航空機といった装備の移転が行われれば、両国の防衛協力は一段と進展することが期待できる。前述したアメリカのベトナム重視の姿勢は、この日本の動きと同調するものである。社会主義政権ではあるものの、南シナ海に面するという地理的特性に加え、約9,700万人の人口を持つベトナムの高い潜在能力を考慮すると、日米で進めている「自由で開かれたインド太平洋」構築のパートナーとして欠かせない国家である。更には、大国である中国との政治・経済関係のバランスをとりつつも、中国に示した国家としての矜持は、経済を梃とした中国の強硬姿勢に腰砕けとなりがちな他のアジア諸国と大きく異なる。今回の防衛協力が両国関係を更に緊密化する一助となることが期待される。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする <FA> 2021/10/04 16:17

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