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疑心暗鬼の代償−ウクライナ情勢−【実業之日本フォーラム】
「疑心暗鬼」という言葉は、「疑いの心を持つと、ありもしない鬼の姿が見えるように、なんでもないことまで恐ろしくなる」という意味で使われている。この言葉は、「鬼はいない」という事が前提となっている。しかしながら、鬼がいるかいないかは、それぞれの認識に基づくものである。さらには、国際情勢においては、「鬼はいない」と見ていたのに、実はいたということもまま生起する。12月7日にオンラインで行われた米ロ首脳会談において、ウクライナ情勢に関して交換された見解は、まさに双方が「疑心暗鬼」に陥り、互いに相手に対する不信感を高めたのではないかとの危惧を抱かせた。ロシア大統領府は、「ウクライナ領土で危険な試みを行い、ロシア国境付近で軍事力を増強しているのはNATOだ」、と強調している。ロシアが最も恐れているのは、ウクライナがNATOに加盟し、安全保障上のバッファーゾーンを喪失することである。一方で、NATOが懸念を強めているのは、今年4月に引き続き、今年11月頃からウクライナ東部に約10万人もの兵力を展開するロシアの意図にある。2014年のロシアによるクリミア併合に対して、NATOが何の措置も講じ得なかったことがNATO諸国のトラウマとなっており、これがロシアの大規模な兵力展開に対する疑念を生んでいる。双方の疑念は、相手に対する不信感から生じており、これを解消するのは容易ではない。武力衝突を回避するためには、双方の疑心を幻想のままで終わらせなければならない。アメリカの外交・安全保障専門誌「The National Interest」は12月7日、「ロシアは再びウクライナに侵攻するか」という、核及び東欧研究の専門家であるアンゲル氏の記事を掲載している。記事ではロシアによるウクライナ軍事侵攻のコストとして、「政治的孤立」、「NATOの対ロ軍事力の増強」、「経済制裁」及び「軍事侵攻に伴うロシア軍の被害」の4つを挙げている。軍事侵攻を抑止する方策の一つとして、これらのコストが得られる利益よりも大きいとロシアに認識させることがある。この中で、最もロシアにインパクトを与えるのは、侵攻が泥沼化し、それに伴いロシア軍の被害が拡大し、これが反政府活動につながることであろう。1979年の旧ソ連のアフガニスタン侵攻は、長期化、泥沼化し、国家体制をむしばみ、旧ソ連が崩壊する一つの要因となった。この経験を基に、2014年のクリミア併合は、いわゆる「ハイブリッド戦争」と呼ばれる軍事以外の手段を多用し、ロシア軍の存在を顕在化させることなく戦争目的を達成した。令和3年度防衛白書によると、ロシア地上兵力の総数は約33万人である。予備役を招集したとしても、激しい戦闘が予想される他国への軍事侵攻はほとんど現役の兵力で行うと推定できる。10万人を超える現役兵力を長期間特定地域に展開することは、他の戦域における兵力が不足することとなり、安全保障上望ましい事ではない。さらには、アフガニスタン侵攻時のように、戦死者が急増した場合、ロシア国内から批判が高まり、政権基盤をゆるがす可能性がある。逆に、動員された10万人の大部分が予備役で構成されていた場合、ロシアに本格的な軍事侵攻の意図はないという事になる。クリミア併合の成功体験から、本来ロシアは、ウクライナに軍事的圧力を加えながら、ウクライナ国内の親露派勢力を活用して、NATOからの離反を図ろうとしていたと考えられる。しかしながら、Pew Research Centerの調査によると、ウクライナ国内においてNATOを好ましいとする割合は、2007年には34%であったのに対し、2019年には53%と増加している。2014年のクリミア併合に伴い、ウクライナにおけるロシアへの感情が悪化したことは間違いない。ロシアが「ハイブリッド戦略」の一環として、クリミア世論をロシア有利に誘導したような手段をウクライナにとる余地はほとんどないと言える。NATOを含む国際社会において、ロシア軍によるウクライナ侵略への警戒感が高まることは、ロシアの軍事侵攻そのものを抑止する効果がある。また、ロシアにとってクリミア併合時のようにウクライナ世論の誘導も行いづらい。従って、今年5月と同様に、10万人の軍の動員により、ロシア軍の即応能力の検証ができたことを口実に軍を撤退させる可能性が高い。NATO諸国がウクライナに対するロシアの考え方、ウクライナのNATO加入は軍事力を持ってでも阻止するという意思を理解させることをできたことで、一定の満足を示すものと考えられる。しかしながら、プーチンの「偉大なロシア」へのこだわりがどの程度であるかを正確に把握することはできない。プーチンが国内向けに「強い指導者」のイメージづくりを優先し、軍事侵攻を選択する可能性はゼロではない。その危険性を少しでも低くするためには、軍事侵攻のコストをいかに高くするかが重要である。その観点から、バイデン大統領が、ロシアが軍事侵攻した場合の経済制裁のみを強調し、軍の派遣を明確に否定したことは好ましくはない。少なくとも米軍の投入もあり得るという選択肢を残しておかなければ、ロシアとの交渉を有利に進めることはできないであろう。自らの疑心に蓋をしても、相手の疑心をなくすことはできない。相手に疑心に基づく行動の代償を知らせることが紛争の顕在化を防ぐ有効な手段である。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:The White House/ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/20 16:09
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IoTがもたらすデカップリング−UAEのF-35戦闘機導入の遅延−【実業之日本フォーラム】
2021年12月14日、UAE(アラブ首長国連邦)がF-35導入に関するアメリカとの交渉を延期する方針であることが各種報道で伝えられた。UAEは、50機のF-35及び18機の攻撃型無人ドローンを約230億USドル(約2兆6千万円)で購入する予定であった。UAE政府関係者は「技術的要求、作戦上の制限、費用対効果の観点から再評価をすることとなったと」と述べたと伝えられている。報道では、UAEが国内5G通信ネットワークに「Huawei」社の技術を導入することを含め、中国との関係を強化しつつあることに、アメリカが不信感を持ったことが背景にあるとしている。IoTという言葉が登場してかなり経過した。IT用語辞典によるとIoTとは「コンピューターなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続し、相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。」とされている。IoTの進化は急速であり、我々の日常生活においても、IoTは深く関与し、各個人に至るまで今まで想像できなかったような大量のデータを入手することが可能となってきた。そして、そのことは、我々の社会がサイバー攻撃に脆弱となりつつあることを示している。軍事システムにおいてもそれは例外ではない。相手にとって情報の宝庫である軍事システムをサイバー攻撃から守るために、あらゆる手段が講じられている。その手段の中で、今まで有効と考えられてきたのは、外部のネットワークと物理的に隔絶した「閉ざされたネットワーク」とすることであった。これは「エアーギャップ」と呼ばれ、サイバー攻撃を受ける可能性は極めて低い。最近ではコンピューター等の漏洩電磁波から情報を窃取する技術が開発され、これに対し、重要システムには「漏洩電磁波対策」が講じられる等の「いたちごっこ」が続いている。しかしながら、重要な軍事システムであっても、他のシステムと完全に切り離すことはできない。艦艇、航空機であれば海洋・気象に関する情報は作戦遂行上必須であり、それらのデータは他システムから入手しなければならない。この場合、連接するシステムとの間にセキュアな連接装置が使用される。高い秘密区分のシステムは、接続している全てのシステムのデータにアクセス可能であるが、低い秘密区分のシステムはそれより高い秘密区分のシステムのデータにはアクセスできないという機能を持つ。IoTが進んだ現在、システム同士の連接が多岐にわたり、あらゆる方向からシステムにアクセスすることが可能となっている。従って、この連接装置のセキュリティレベルが、接続されている全てのシステムのサイバー攻撃に対する脆弱性の有無を左右する。第5世代戦闘機であるF-35は、高度にシステム化され、他戦闘システムとのネットワーク化が進んでいる。このため、極めて高いセキュリティ基準が適用される。今回UAEが「Huawei」の5GネットワークをUAE国内で使用するということは、中国がF-35システムに侵入する危険性が高まる。このことについて、アメリカ側がセキュリティ上の懸念を示し、UAEがこれに対応するためには、国内全てのネットワークの見直しが必要であり、これがF-35導入に躊躇している原因と推定できる。トルコに対するF-35の売却中止も同様の事情によるものである。2019年6月に米国防省は、トルコがロシア製地対空ミサイルS-400の購入を進めていることに対し、NATOの防衛体制に亀裂を生じさせる可能性があるとしてF-35計画からトルコを排除する方針を表明している。米中対立が激化するにつれ、政治分野だけではなく経済、最近では「民主主義の解釈」を巡って双方の違いが顕在化し、これが米中のデカップリングを進展させつつある。UAEは昨年イスラエルと国交を回復し、今年12月13日にはイスラエルのベネット首相がUAEを訪問、UAEの国政を担うムハンマド皇太子と会談している。イスラエルとUAEの国交回復は、アメリカ中東政策の成果といえる。米国防省は、12月15、16の両日ワシントンにおいてUAE国防関係者と年次会合を行ったことを伝えている。会合をつうじ、両国の防衛協力関係を強化することや米国にとって地域の安全保障上、UAEとのパートナーシップが鍵であることについて合意している。しかしながら、F-35売却の延期は、アメリカとUAEとの良好な関係の隙間風となる可能性がある。F-35は海外輸出が可能となったアメリカの初の第5代戦闘機であり、イギリスを始めとするNATO諸国、日本等15カ国が導入または導入を予定している。高額な開発費が必要な戦闘機の開発は、複数国による共同開発が主体となっており、開発に成功した機体が世界市場の多くを占める可能性が高まりつつある。F-35は今後西側の主力戦闘機となる。それだけに、F-35を導入する国は、高いセキュリティ基準を満足する必要があり、今回のUAEのように国内の通信ネットワークまで規制される可能性がある。このことは、IoTでつながる装備武器導入が新たな米中間デカップリングを助長する危険性があることを示している。高度にネットワークが進んだ世界においては、取り扱うデータの量の多寡が、国家の格付けを決定する。データ取り扱いに関するポリシーの違いが国際社会のデカップリングを進展させると言われている。F-35戦闘機の導入は、単なる装備武器の導入ではなく、米中ロどこの社会システムに参加すするのかという決断を迫るものである。UAEのF-35導入延期は、IoTの進展により、装備武器がデカップリングの道具となりつつあることを示すものと言えよう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/20 15:53
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SBI HDを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(16日10:01時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはビットコイン先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、商船三井<9104>コール123回 2月 6,500円、商船三井プット110回 2月 6,500円などが見られる。上昇率上位はビットコイン2022年1月 プラス5倍トラッカー3回 1月 56,000米ドル(+33.6%)、イーサリアム2022年2月 プラス5倍トラッカー3回 2月 3,600米ドル(+29.1%)、SBIホールディングス<8473>プット227回 1月 3,000円(+27.5%)、イーサリアム2022年1月 プラス5倍トラッカー3回 1月 3,400米ドル(+23.2%)、SBIホールディングスプット226回 1月 2,550円(+22.2%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/20 10:58
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(中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、景気対策への期待が高まる
20日の上海総合指数は売り先行。前日比0.34%安の3620.04ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時42分現在、0.17%高の3638.58ptで推移している。金融緩和を含む景気対策への期待が高まっていることが指数をサポート。一方、新型コロナウイルス変異株オミクロンの世界感染が急増していることが警戒されている。また、新疆ウイグル問題をめぐる米国との対立激化なども引き続き足かせとなっている。
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2021/12/20 10:53
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NY原油は底堅く推移 サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY原油についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『NY原油は底堅く推移』と述べています。14、15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)については、『テーパリング(購入資産の段階的縮小)のペースを速めることが決まり、22年中に3度利上げするシナリオが示された。タカ派的な会合となったが、想定の範囲内として市場の懸念を強めるには至らず、株や原油などのリスク資産が買われた』と伝えています。続けて、『オミクロン株の影響や来年の国際需給の供給過剰予想から80ドル越えは難しいと見られるが、下落局面では産油国が協調して対応するとみられるため、70ドルを下回っても、下値は65ドルが堅そうだ』と考察しています。また、『世界保健機関(WHO)は、12日、60カ国以上で感染例が報告されたオミクロン株について、世界的なリスクが「非常に高い」との見方を示した。オミクロン株がワクチンによる保護をすり抜けた形跡がいくらか見られるとも指摘した』と言及しています。次に、『石油輸出国機構(OPEC)が13日発表した月報によると、OPEC加盟国の11月の産油量は、前月比1%増の日量2771万7000バレルとなった。原油価格が高止まりする中、OPECの慎重な増産姿勢が浮き彫りになった。日量換算では前月比28万5000バレル増だった。OPECはロシアなどの産油国とともに構成する「OPECプラス」の10月の会合で、イランなどを除く10カ国で24万バレル増とすることを決めていた』と解説しています。一方で、『米エネルギー情報局(EIA)が15日公表した11日現在の週間在庫統計によると、原油在庫は前週比450万バレル減の4億2830万バレル。減少幅は予想の210万バレルを上回り、 3週連続の減少となった。また、製品の出荷量は日量335万4000バレル増の2319万1000バレルと好調だった』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、NY原油について『クリスマス休暇を控えて動きにくくなりそうだ。65~75ドルのレンジを想定する。東京ドバイ原油は、4万5000~5万のレンジを想定する』と述べています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の12月17日付「NY原油は底堅く推移」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2021/12/20 10:22
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】3QGDP確定値、12月消費者信頼感指数、11月PCEコアデフレーターなど
今週は、クリスマスで、フィックスドインカム市場は23日に短縮取引となるほか24日は休場となるため、参加者が限られ、調整色が強まる可能性がある。主要各国の中銀の金融政策決定会合も通過したが、米国では重要経済指標の発表が目白押しで結果に注目が集まる。高インフレがもはや一過性が要因ではなく、2022年まで持続するとの見通しに基づき、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の大半の予想通り量的緩和の縮小を加速させ、来年3月にも前倒しで終了させる決定をした。NY連銀のウィリアムズ総裁は17日のインタビューで、これ以上縮小を加速させる必要はないとの考えを示している。これにより、2022年の利上げの可能性も広がる。ウォラー理事はさらにタカ派的で、インフレが驚くほど高く、テーパー終了後、間もない利上げが正当化すると言及。必要とあれば、3月FOMCでの利上げも選択肢になるとした。FRBは3月、または、5月の利上げに備えることが可能との考え。さらに、利上げ直後のバランスシートの縮小開始も可能だとした。できるだけ早く開始することで、利上げが少なくすむとしている。バランスシートの水準は、対GDP比20%が理にかなうとの見解。一方で、新型コロナウィルス感染の世界的な流行終焉の見通しがたたず、消費に影響を与え10-12月期の国内総生産(GDP)成長に影響を与える可能性も除外できない。市場やFRBスタッフは2022年に3回ほどの利上げを予想しているが、中間選挙もあるため、上半期の利上げは困難と見られ、ドルの上昇も限定的となる可能性がある。利上げに積極的なウォラー理事でさえオミクロン変異株が自分の見通しに大きな不透明性をもたらしたと指摘している。7-9月期GDP確定値は2.1%増と、修正なしが見込まれている。12月消費者信頼感指数は11月から上昇が予想されているが、オミクロン株の影響で予想外に弱まる可能性もある。そのほか、FRBがインフレ指標として注視している変動の激しい燃料や食料を除いたコアのPCEデフレーターは4.9%と、1983年以降38年ぶり最大の伸びを記録する公算。FRBは来年2月にインフレがピークをつけると予想している。今後は、FRBの利上げのタイミングや速度が重要となる。ロシアと、ウクライナの緊張は依然リスク。■今週の主な注目イベント●米国20日:11月先行指数21日:7-9月期経常収支22日:11月シカゴ連銀全米活動指数、7-9月期GDP確定値、12月消費者信頼感指数、11月中古住宅販売件数23日:週次新規失業保険申請件数、11月個人所得・支出、11月PCEコアデフレーター、11月耐久財受注、12月ミシガン大消費者信頼感指数、11月新築住宅販売件数フィックスドインカム市場は短縮取引24日:クリスマスで市場休場●欧州21日:ユーロ圏消費者信頼感24日:短縮取引●英国22日:GDP●日本23日:黒田日銀総裁が講演●豪州21日:豪州準備銀、12月会合の議事要旨発表
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2021/12/20 07:35
注目トピックス 経済総合
国内外の注目経済指標:米国の11月PCEコア価格指数はさらに上昇か
12月20日-24日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■22日(水)日本時間23日午前0時発表予定○(米)CB12月消費者信頼感指数-予想は110.8参考となる11月実績は109.5で2月以来の低水準。インフレ高進が消費者の購買動向に影響を及ぼしているようだ。12月については、供給不足などによる物価上昇が引き続き嫌気される可能性が高いため、大幅な改善は期待できない。■23日(木)午後10時30分発表予定○(米)11月PCEコア価格指数-予想は前年比+4.5%参考となる10月実績は前年比+4.1%の高い伸びとなった。サプライチェーン問題が長期化し、人手不足の解消も困難なことから、インフレはこの先さらに上昇すると予想されている。直近の消費者物価は高い伸びを記録しており、11月のコアPCEは10月実績を上回る可能性が高い。■23日(木)午後10時30分発表予定○(米)11月耐久財受注-予想は前月比+1.7%参考となる10月実績は前月比-0.4%。非民間航空機・同部品と軍用機・同部品が大きく落ち込み全体を押し下げた。自動車・同部品は増加。11月については、非民間航空機・同部品の受注が増加する可能性があること、10月からの反動増も予想されるため、全体的は増加する見込み。■24日(金)午前8時30分発表予定○(日)11月全国消費者物価コア指数-予想は前年比+0.4%日本銀行の黒田総裁は12月15日の衆院予算委員会で、消費者物価指数が2%に近づく可能性に言及した。年内はコアインフレ率に大きな動きはないものの、来年前半にかけて物価上昇の可能性が高まっている。10月27、28日開催分の金融政策決定会合における主な意見では、「物価上昇圧力は徐々に高まっている」との見解が提示されている。○その他の主な経済指標の発表予定・20日(月):(欧)10月ユーロ圏経常収支・23日(木):(米)11月新築住宅販売件数
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2021/12/18 14:37
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FOMCは想定内で、金はレンジ相場か? サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、NY金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のNY金について『FOMCは想定内で、金はレンジ相場か?』と述べています。続けて、『先週のNY金は、小動き。1770~1795ドルのレンジで推移した。依然として1800ドルは重いものの、1750ドルを下回るような弱地合いでもない』と伝えています。米連邦準備制度理事会(FRB)については、『これまで「インフレは一時的」として、利上げには慎重姿勢だったが、パウエルFRB議長は先の議会証言でテーパリング(量的金融緩和の縮小)の前倒し完了と、インフレに関して一時的との認識を改めるという基本姿勢を表明した。また、FOMCで投票権を持つ多くの地区連銀総裁からはタカ派的な発言が目立っている。こうした中、テーパリングの完了時期が2022年半ばから数カ月早まるとの見方が強まっている』と解説しています。次に、『3日に発表された11月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比6.8%上昇し、伸びは前月の6.2%から大幅に加速した。第2次オイルショック後の1982年6月以来約39年ぶりの高水準で、物価上昇は幅広い品目に波及していることがわかった』と伝え、『14日に発表された11月米卸売物価指数(PPI)は前月比0.8%上昇と、市場予想の0.5%を上回った。前年同月比では9.6%の上昇と、比較可能な2010年以降で最大を更新。CPIに続きPPIも米利上げ前倒し観測を強める内容となり、米長期金利が上昇。これを背景に外国為替市場では対ユーロでドルが堅調に推移し、ドル建て金は売りが活発化した』と説明しています。また、『CMEのFEDWATCHを見ると、来年4月以降の利上げ確率見通しが高まっている』と述べています。今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の他にも欧州中央銀行(ECB)理事会、イングランド銀行(BOE、英中銀)金融政策委員会や日銀金融政策会合が開催されます。陳さんは、『FOMCの内容はある程度、市場に織り込まれているため、より「タカ派的でなければドルや米金利が一段高となる展開は難しいだろう。他の中銀は、金融緩和姿勢を維持すると予想され、世界的にも低金利状態が続くとなれば、金相場にはプラスに作用しそうだ』と考察しています。こうしたことから、NY金について、『1700~1850ドルのレンジを想定する。JPX金は6500円前後でのもち合いとなりそうだ』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の12月15日付「FOMCは想定内で、金はレンジ相場か?】」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2021/12/17 17:49
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トルコリラ円今週の予想 サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『16日のトルコ中銀会合で、政策金利の引き下げが予想されていることから、売りが強まり、最安値を更新する可能性が高いだろう。』と述べています。続けて、『トルコのネバティ副財務相は先月25日、トルコは利下げを継続する決意だと表明した。11月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比21.3%の大幅な上昇となった。16日に政策金利が14.0%に引き下げられれば、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は−7.3%に落ち込む見込み』と伝え、『ただ、中銀は通貨安を懸念していないわけではないようだ。トルコ中銀のカブジェオール総裁は2日、来年1月以降は積極的な金融緩和を休止する考えを示した。国内投資家との月次電話会議で同総裁は、12月に追加利下げを実施する余地は限られていると述べたという』と解説しています。また、『外国為替市場では、リラ買い介入を行っているようだが効果はない。トルコ中銀が利下げ打ち止め姿勢を見せなければリラ売りは継続し、最安値を更新しよう』と考察しています。なお、『格付け大手のS&Pは予告なしにトルコ格付けの見通しを引き下げた。格付けはB+で据え置いたが、見通しはネガティブと、前回の安定的から引き下げた』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、トルコリラ円の今週のレンジについては、『7.50円~9.50円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の12月14日付「トルコリラ円今週の予想(12月13日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2021/12/17 17:48
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エヌビディアを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(17日10:00時点のeワラント取引動向)
原資産の株価下落が目立つソフトバンクグループ<9984>プット469回 2月 6,600円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはバンダイナムコホールディングス<7832>コール94回 2月 10,700円、エクソン・モービルコール50回 1月 65米ドルなどが見られる。上昇率上位はエヌビディアプット107回 1月 170米ドル(+50.0%)、エヌビディアプット108回 1月 200米ドル(+49.2%)、エヌビディアプット109回 1月 230米ドル(+44.0%)、アップルプット156回 1月 150米ドル(+38.6%)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズプット74回 1月 100米ドル(+38.1%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/17 15:46
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(中国)上海総合指数は0.13%安でスタート、米国の対中圧力を警戒
17日の上海総合指数は売り先行。前日比0.13%安の3670.25ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.14%安の3669.72ptで推移している。新疆ウイグル地区問題をめぐり、米国が対中制裁を強化していることが警戒されている。一方、景気対策への期待が高まっていることが引き続き指数をサポートしている。
<AN>
2021/12/17 11:02
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NYの視点:各国中銀、金融政策を段階的に正常化へ
主要各国中銀はオミクロン変異株は成長やインフレリスクと見ているものの、対処可能で景気回復の軌道を外れることはないと、見ている。各国中銀は経済や雇用の力強い回復が来年も継続するとの見解のもと、高インフレへの対応を最優先とし、緩和姿勢を保ちつつも、注意深く金融政策正常化を目指す。ハト派姿勢を維持すると見られていた欧州中央銀行(ECB)もインフレ目標の上振れリスクを示唆。パンデミック資産購入プログラム(PEPP)の純購入を来年3月で終了することを発表し、正常化に向けた軌道を示した。その後も景気を支えるため、PEPPにかわりに通常の資産購入策(APP)の規模を200億ユーロー400億ユーロに引き上げる。ただ、市場は上限を500億ユーロと見ていたため想定よりタカ派ととらえられている。ラガルド総裁はオミクロン変異株による影響は制御可能と言及。同時に、2022年の利上げの可能性は非常に少ないとの見通しを依然維持していると、再確認した。ただ、金利先物市場ではECBの22年の利上げを織り込みつつある。英国中銀も新型コロナ感染件数がパンデミック発生以来で最多となる中、高インフレへの対処を重要視。資産購入を維持する一方で、利上げに転じた。■連邦準備制度理事会(FRB)QE縮小を月150億ドルから倍増300億ドルで、前倒しで来年3月中旬に終了終了から間を開けずに利上げ2022年3回、2023年3回利上げを予想■英中銀金融政策決定会合・政策金利を0.25%へ引き上げ(予想0.1%、前回0.1%)・債券購入プログラム規模を8950(国債8750/社債200)億ポンドに据え置き決定■欧州中央銀行(ECB)・主要政策金利を0.00%に据え置き・預金ファシリティ金利(中銀預金金利、下限)を-0.50%に据え置き・限界貸出金利(上限)を0.25%に据え置き・パンデミック資産購入プログラム(PEPP)購入枠1.85兆ユーロ維持(22年3月末まで)「PEPPの純購入は3月に終了」「4-6月に資産購入プログラム(APP)を400億ユーロに増額」「PEPPの再投資を少なくとも2024年まで延長」「PEPPの純購入は必要に応じ再開も」■メキシコ中銀金融政策会合:政策金利5.5%(予想5.25%、前回5%)
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2021/12/17 07:38
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プラチナリンク債を対象とするトラッカーが上昇率上位にランクイン(16日10:01時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つファーストリテイリング<9983>コール343回 1月 73,000円を順張りで買う動きが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均プット1834回 1月 29,000円、ファーストリテイリングプット297回 1月 62,000円、メタ・プラットフォームズコール148回 2月 390米ドルなどが見られる。上昇率上位はプラチナリンク債 プラス5倍トラッカー40回 2月 950米ドル(+92.1%)、メタ・プラットフォームズコール149回 2月 440米ドル(+85.7%)、プラチナリンク債 プラス5倍トラッカー37回 1月 950米ドル(+84.0%)、野村日経225レバレッジETF プラス5倍トラッカー38回 2月 16,000円(+77.9%)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズコール83回 1月 160米ドル(+68.8%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/16 10:49
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NYの視点:FOMC、タカ派姿勢強める
米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%に据え置くことを決定した。さらに、ひと月の資産購入縮小規模を従来の150億ドルから300億ドルに倍増。緩和縮小ぺースを加速させる。1月の買い入れは国債、400億ドル、住宅ローン担保証券は200億ドルとする。FRBのスタッフ予測において、金利見通しで中間値で22、23年3回づつの利上げを予想。10人のスタッフが22年に3回の利上げを予想。5人のスタッフが2回の利上げを予想している。金利市場での2022年の利上げは完全に織り込んでいるのは2回のみ。このため、FRBスタッフの予想は市場予想を上回る。パウエル議長は会合後の会見で、資産購入縮小は3月中旬にも終了する軌道だと言及。利上げは、資産購入縮小が終了後としたものの、終了から利上げまでの期間はあまり長くないと予想すると指摘した。3月中旬にも終了が予想されるため、状況次第では4月、5月の最初の利上げも可能となる。また、利上げの条件となる最大雇用に関し、パウエル議長は2022年に目標を達成すると見ており、今までの2023年まで最大雇用が達成できないとの見方を修正した。さらに、議長は労働市場が最大雇用を達成する前の利上げも可能と指摘するなど、タカ派姿勢を強めている。オミクロン変異株もリスクとしながらも、経済において対処可能だとした。■FRB予測:22、23年3回づつの利上げ予想GDP:2021年:+5.5%、2022年+4.0%、2023年+2.2%インフレ:2021年5.3%、2022年2.6%、2023年2.3%FF:2022年0.9%、2023年1.6%、2024年2.1%、長期2.5%■パウエルFRB議長のタカ派姿勢「最大雇用達成に向けて経済は速やかに進展」「メンバーは2022年に最大雇用の目標達成を予想」「3月中旬までにテーパー終了する軌道」「テーパー終了から利上げまでの期間はあまり長くないと予想」「FRBは最大雇用達成前に利上げも可能」「経済は力強いペースでの成長軌道」「今四半期の個人消費は非常に強い」「オミクロン変異株による影響に経済は対処できると見ている」
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2021/12/16 08:07
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メキシコペソ円は、16日のメキシコ中銀会合の結果に大きく影響されよう サンワード貿易の陳氏(花田浩菜)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター花田浩菜の気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、メキシコペソ円について、『今週のメキシコペソ円は、16日のメキシコ中銀会合の結果に大きく影響されよう』と述べています。続けて、『15日に終了する米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(購入資産の段階的縮小)が決定され、その後の利上げへの道筋が示される可能性が高い。ドル買いが強まれば、メキシコペソは売られる可能性が高いが、16日の会合で利上げとなればペソの反発が期待されよう』と伝えています。メキシコ中銀については、『11月11日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げて5.0%にした。4会合連続で利上げを決めたが、インフレは加速している。9日に発表された21年11月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.37%上昇した。約21年ぶりの高水準で、中銀の政策目標の上限である4.0%を9カ月連続で上回った』と解説し、『メキシコ中銀は16日の金融政策決定会合で、インフレの加速と通貨安を受けて少なくとも0.25%の利上げ(5.0%→5.25%)が予想されている。しかし、新型コロナウイルスの影響で経済回復が遅れる中、相次ぐ利上げがさらなる景気の停滞を招く懸念も強く、金融政策の舵取りが難しくなっている。仮に利上げとなっても、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は−2.12%とマイナスのまま』と述べています。また、『11月の自動車生産台数は前年同月比20%減となった。世界的な半導体不足の影響が続き、5カ月連続で前年の水準を下回った。1~11月累計は前年同期比0.7%減だった。11月の輸出台数は前年同月比16%減で、5カ月連続で前年同月の水準を下回った。メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大で20年4月に工場がほぼ止まり、同年5月から徐々に回復していた。21年に入ると前年同月を上回る月が続いたが、世界的な半導体不足の影響で再び生産が落ち込んでいる』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、メキシコペソ円の今週のレンジについて『5.35円~5.55円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の12月14日付「メキシコペソ円今週の予想(12月13日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 花田浩菜
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2021/12/15 17:59
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(中国)上海総合指数は売り先行もプラス圏回復、景気対策への期待が高まる
15日の上海総合指数は売り先行。前日比0.18%安の3655.04ptで寄り付いた後は、日本時間午前11時10分現在、0.05%高の3663.45ptで推移している。景気対策への期待が高まっていることが支援材料。きょう15日日本時間11時ごろに発表された各種経済指標はやや弱含みの結果となり、追加の景気対策が期待されている。一方、米インフレ高進に伴う連邦公開市場委員会(FOMC)がよりタカ派に傾斜することが警戒されている。
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2021/12/15 11:17
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デンソーを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(15日10:01時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つソフトバンクグループ<9984>プット469回 2月 6,600円を逆張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしてはソフトバンクグループプット469回 2月 6,600円などが見られる。上昇率上位はデンソー<6902>コール73回 1月 10,200円(+44.6%)、リクルートホールディングス<6098>コール105回 1月 9,300円(+42.1%)、リクルートホールディングスコール104回 1月 8,200円(+41.9%)、デンソーコール72回 1月 9,000円(+39.3%)、デンソーコール76回 2月 11,500円(+36.1%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/15 10:23
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コラム【新潮流2.0】:アマゾンとDX (マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)
◆開高健の代表作「オーパ!」完全復刻版の刊行に際して出版元である集英社が企画広告を出している。愛読者がその魅力を語り継ぐというもので、先週12月9日(ちなみに開高健の命日)に登場したのは楠木建先生。「私は室内生活者なので、世の中で関心のないものを2つ挙げろと言われたら、『アマゾン』と『釣り』なんです」と楠木節炸裂である。楠木先生いわく、「優れたストーリーや演出の基本は意外性にある」とのことだから、小欄もここで、思い切り話題を転換してみよう。◆少し前のことになるが、スイスのビジネススクールIMDが公表した2021年の「世界デジタル競争力ランキング」で、日本の総合順位は64カ国・地域のうち28位というニュースを日経産業新聞が報じた。17年に調査を始めてからの最低を更新し、中国や韓国、台湾などアジア諸国との格差は鮮明だと伝えている。 日本がデジタル化で遅れているなんて周知の事実だからニュースバリューはないが、この記事の後半に、悲しすぎて笑えないのだけども、やはり失笑を禁じえない話が出てくる。地方中堅企業のDX担当者が、役員にアマゾン・ドット・コムについて聞いたところ、3分の1が知らなかった。「アマゾン川だと思っている人もいた」。◆地方の中堅企業だから、ということではない。中央官庁も酷いものだ。18歳以下の子供に10万円を配る事務経費は約1200億円。そのうち、5万円の現金給付分が280億円なのに対し、5万円相当のクーポン配布にかかる費用が967億円だ。クーポンの印刷代や郵送費、コールセンターの設置費用など、現金給付に比べて余計にコストがかかるためだという。印刷?郵送?スマホのアプリでデジタルクーポンをダウンロードしてもらうわけには…いかないだろうな、この国では。◆楠木先生が「オーパ!」の意外性を指摘したのは、最期のほうで首都ブラジリアに舞台が移るところだ。さんざんアマゾンの密林を活写して、その末に対極とも言えるブラジリアを持ってくる配置の妙。野生のジャングル、アマゾンVS人工的な計画都市ブラジリア。この構図をグローバルに拡大して、世界の国々を分類した場合、日本はどちらに入るだろう。ブラジリアか、アマゾンか。この国の「未開地」ぶりを見るに、答えは明白だろう。マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆(出所:12/13配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
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2021/12/15 09:23
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NYの視点:市場は2022年2月がインフレピークと予想
CNBCが31人のエコノミスト、ストラティジスト、マネーマネジャーを対象に実施した調査によると、連邦準備制度理事会(FRB)は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、資産購入縮小規模をすでに発表している倍の月300億ドルに拡大し、来年3月での終了を予想している。最初の利上げは2022年6月と見ており、2022年、2023年に3回の利上げを実施し2023年末には政策金利のFF金利誘導目標1.5%を予想している。利上げは2024年5月までに2.3%で打ち止め。また、インフレは2022年2月にピークをつけると予想しているが、依然4%に近い水準。2023年に3%に近づくと見ているものの、FRBの目標である2%は今後2年間上回る見込みで、FRBの舵取りは依然困難になると見られる。CNBC調査(対象:31人のエコノミスト、ストラティジスト、マネーマネジャー)QE縮小ペース:月300億ドル最初の利上げ:2022年6月インフレ見通し:2022年2月にピーク成長見通し:2023年4%景気後退の確率:19%
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2021/12/15 08:08
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(中国)上海総合指数は0.31%安でスタート、オミクロン株の感染懸念で
14日の上海総合指数は売り先行。前日比0.31%安の3669.80ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時42分現在、0.40%安の3666.49ptで推移している。新型コロナウイルス変異株オミクロンの感染が国内で初めて確認されたことが警戒されている。また、米中関係の悪化懸念なども圧迫材料。一方、景気対策への期待が高まっていることが引き続き支援材料となっている。
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2021/12/14 11:33
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エヌビディアを対象とするプット型eワラントが上昇率上位にランクイン(14日10:00時点のeワラント取引動向)
手仕舞い売りとしてはビットコイン2022年1月 プラス5倍トラッカー1回 1月 13,000米ドル、イーサリアム先物インデックスリンク債_2024年 トラッカー1回 5月 1.0米ドル、ソフトバンクグループ<9984>プット469回 2月 6,600円などが見られる。上昇率上位はエヌビディアプット108回 1月 200米ドル(+36.0%)、エヌビディアプット107回 1月 170米ドル(+35.7%)、エヌビディアプット109回 1月 230米ドル(+31.8%)、東京海上ホールディングス<8766>コール87回 1月 7,900円(+31.8%)、アップルプット155回 1月 130米ドル(+25.0%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/14 10:22
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NYの視点:FRBのQE縮小、市場は規模倍増を予想
米連邦準備制度理事会(FRB)は14日から15日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。開催に先駆け、ブルーンバーグが49人のエコノミストを対象に12月3−8日に実施した調査によると、FRBがかなりタカ派色を強めると見ていることが明らかになった。FRBはこの会合でゼロ金利を維持する見通し。同時に、パウエル議長がすでに、12月会合でテーパー加速を協議する計画を示唆したが、11月に発表した国債、住宅ローン担保証券(MBS)購入ペースの月150億ドルの縮小ぺースをさらに加速する計画を発表する可能性もある。過半数のエコノミストは11月発表のほぼ2倍となる300億ドル規模で縮小すると予想していることが分かった。1月から開始し、3月には終了するとの見方が大半なようだ。また、利上げのガイダンスにおいては、現行の「最大雇用、インフレが2%目標に達し、緩やかにいくらか2%を上回るまでは利上げの計画はない」に関しては、大きな修正はないと大半が見ている。「FRBは、必要とあれば利上げの柔軟性を持つ」と強調するとの予想が17人。また、新型コロナ、オミクロンによる成長への影響も緩やかにマイナスに影響するものの、深刻な成長鈍化にはつながらないと見ている。オミクロンによるインフレへの影響もまちまち。供給混乱でインフレ押し上げると、29人が見ている一方、需要鈍化でインフレ低下を予想しているエコノミストもいる。FRBの高官やエコノミストは、経済がもはや大規模緩和が必要な経済ではないと見ている。金利先物市場は2022年の利上げを2回超織り込んだ。しかし、長期の政策金利の見通しは2.5%にとどまっている。■金融政策リスク●インフレ上方:42下方:3均衡:2●成長上方:11下方:22均衡:16■FOMCの利上げガイダンス修正なし:31FRBは、利上げに近くないことを強調:0FRBは、必要とあれば利上げの柔軟性を持つと強調:17■オミクロンリスク成長に深刻なリスク、リセッションの可能性0短期、中期的な成長を緩やかに削る30成長にほぼ影響なし16■オミクロンのインフレへの影響供給混乱でインフレ押し上げ:29人需要鈍化でインフレ低下:2インフレに大きな影響なし:16■長期見通しFF:2.5%GDP:1.8%失業率:4.0%PCEインフレ:2.0%コアPCEインフレ:2.0%(ブルーンバーグ:対象49人のエコノミスト:実施12月3−8日)
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2021/12/14 07:59
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マクドナルドに学ぶ−民主主義サミットを巡る米中の争い−【実業之日本フォーラム】
「マクドナルドのある国同士は戦わない」と主張したのはアメリカのジャーナリストであり、コラムニストであるトーマス・フリードマンである。その趣旨は「ある国の経済が、マクドナルドのチェーン展開が可能となるレベルまで到達した場合、それは分厚い中産階級が存在するということである。そのような国にとって戦争は、得るものよりも失うもののほうが多くなり、その国の国民は戦争をしたがらない。むしろ、ハンバーガーを求めて列に並ぶ方を選ぶ」というものである。2021年12月9日から二日間にわたってアメリカが主催した「民主主義サミット」を巡り、米中が民主主義の解釈を巡り鋭く対立している。会議の冒頭で、バイデン大統領は権威主義国家の影響力拡大に懸念を示し、私たちの民主主義を強化しようと語っている。これに先立ち、中国は12月4日に「中国の民主」と題する白書を公表、中国は国情に応じ、中国の特色を持ちつつ全人類共通の民主主義を追求していると主張した。更に、民主主義はカラフルであり、唯一のモデルはないとアメリカの動きを牽制している。「民主主義サミット」には、100を超える国及び機関が招待されているが、アメリカがどのような基準でこれらを選別したのは必ずしも明らかではない。アメリカに籍を置く国際NGOである「フリーダム・ハウス」は毎年、国と地域に関する自由度に関するレポートを公開している。2021年のレポートで「Not Free」と評価されているアンゴラやイラクが招待国に含まれているのに対し、それより高い「Partly Free」と評価されているシンガポールは招待されていない。ASEAN諸国ではインドネシア、マレーシア及びフィリピンの3カ国のみが招待されている。軍事政権であるタイ、ミャンマー、共産党政権下のベトナム、ラオス、そして独裁色の強いカンボジア及びブルネイはシンガポール同様に招待されていない。アメリカが進める「自由で開かれたインド太平洋」イニシアティブを進める上で、このようにASEANの分断を助長するやり方は決して好ましいものではない。昨年の大統領選挙においてあらわになったアメリカ社会の分断は、アメリカ民主主義の正当性を大きく傷つけた。そのような中、アメリカ式民主主義を押し付けることは、中国の「民主主義には単一モデルはない」という主張に正当性を与えるだけである。特に、今回「民主主義サミット」に招待されなかった国や機関を中国寄りとする可能性がある。全世界にチェーン店を展開するマクドナルドのメニューは、それぞれの国に応じた料理や材料が使用されている。イスラム教徒の多いマレーシアやインドネシアでは、イスラム教に許されている食品や製造法で作られた製品であることを証明する「HALAL(ハラル)」というマークが表示されている。日本人にとってアメリカ民主主義の象徴ともいえるマクドナルドであるが、従来のやり方に固執しない柔軟な戦略が全世界への店舗拡大を支える原動力となっている。このマクドナルドの戦略は、民主主義に関し世界を二分化するアメリカのやり方や、強圧的な中国の民主主義と一線を画す。「マクドナルドのある国同士は戦わない」という言葉は、すでに、コソボ紛争や南オセチア紛争などいくつかの紛争で間違いであることが証明されている。しかしながら、世界第1位と第3位のマクドナルド店舗数を数える米中両国は、マクドナルドの戦略から多くを学び、決定的な対立を避ける工夫が必要であろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/13 15:46
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(中国)上海総合指数は0.56%高でスタート、景気対策への期待が高まる
13日の上海総合指数は買い先行。前日比0.56%高の3686.93ptで寄り付いた後は、日本時間午前10時45分現在、0.94%高の3700.79ptで推移している。景気対策や追加の金融緩和期待が高まっていることが好感されている。先週閉幕した翌年の経済政策の基本方針を決める「中央経済工作会議」では、減税で内需拡大を促す方針などが採択された。また、新型コロナウイルス変異株オミクロンによる悪影響が限定的だとの見方も支援材料となっている。
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2021/12/13 10:51
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試される同盟−米韓同盟の将来−【実業之日本フォーラム】
2021年12月2日、米国防省は、第53回米韓安全保障協議(SMC)の共同コミュニケを公表した。その中で米韓同盟を、朝鮮半島の平和と安定のために重要としただけではなく、インド太平洋地域の平和と安定の要と表現した。日米安保体制を中核とする日米同盟が、日本のみならず、インド太平洋地域、さらには国際社会の平和と安定及び繁栄に大きな役割を果たすとしているのに対し、米韓同盟の役割は朝鮮半島の安全保障が主であると見られてきた。条約上の文面から見ても、日米安全保障条約は第4条において、「日本国の安全又は極東における国際の平和と安全に対する脅威」について両国が随時協議するとして、条約の対象が極東地域まで及ぶことが明記されている。一方、米韓相互防衛条約第3条に規定する共同防衛の対象地域は、「現在それぞれの行政管理の下にある領域又はいずれか一方の締約国が他方の締約国の行政管理の下に適法におかれることになったものと今後認める領域」とされている。「今後認める領域」には、現在の北朝鮮が含まれていると解釈できるだろう。米韓相互防衛条約の前文に「太平洋地域」の文言があることから、米韓同盟の有効範囲は、太平洋地域に及ぶとの解釈があったが、今回のSMCで米韓同盟を「インド太平洋地域の平和と安定の要」と規定することは、対北抑止という役割から一歩踏み出したことを米韓で確認しあったと言える。米韓共同コミュニケには、米韓同盟の将来に関し、「韓国の新南方政策とアメリカのインド太平洋ビジョンの協力を目指す」とし、併せて両国首脳が共同声明で示した、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を確認している。日米が、自由で開かれたインド太平洋を維持するために、QUADのような安全保障上の枠組み構築や、インド太平洋における欧州諸国の海軍艦艇との共同訓練を行いコミットメントの具現化を図っているのに対し、韓国の新南方政策の安全保障上の位置づけや台湾有事における米韓同盟の役割は依然として明確にされていない。新南方政策(NSP : New Southern Policy) は、文在寅大統領が2017年11月に開催された「韓国−インドネシアビジネスフォーラム」の基調演説において公表したものである。「人(People)」、「平和(Peace)」及び「繁栄(Prosperity)」という「3P」を基本理念として、ASEAN諸国及びインドと協力レベルを高めようというものである。「社会文化交流による相互理解の促進」、「互いに利益があり将来を見据えた経済協力」及び「平和、安全そして一体化した安全保障環境の創設」を目標とする。当初、米中対立を考慮し、地域安全保障や戦略的協力への関与が欠けるとの批判があったが、昨年11月に公表された、「New Southern Policy Plus」の「Peace」の分野には、「朝鮮半島の非核化及び恒久的平和体制の構築」に加えて「国防関連産業における包括的協力を進める」ことがうたわれている。軍事専門誌SIPRI Year Book 2021のデータベースによると、2015年から2020年までのあいだに、韓国はASEAN諸国及びインドに大規模な装備輸出を行っている。インドネシアには戦闘機80機、潜水艦6隻、揚陸艦1隻、マレーシアには哨戒艇2隻、ミャンマーには揚陸艦1隻、フィリピンには戦闘機12機、揚陸艇1隻、装甲車8両、フリゲート艦2隻、コルベット1隻、タイには練習機12機、ベトナムにはコルベット2隻、そしてインドにはK-9自走砲100両を輸出している。艦艇等は、完成品の輸出だけではなく、現地の国防関連企業と協力し、一部は現地生産を行っている。インドネシアとは戦闘機の共同開発を行い、開発費を負担する契約を結んでいる。一時、インドネシアの分担金を巡り両国は対立したが、今年11月には最終合意に至ったことが伝えられている。装備の輸出は、ハードだけではなく、メンテナンスや運用方法等についても幅広い協力が必要となる。装備に関して、ASEANにおける韓国の存在感は無視できない。韓国自身の国防力も鋭い伸びを示している。韓国国防部が2021年9月に公表した「国防中期計画(2022−2026)」の総額は315兆2,000億ウォン(約30兆円)であり、日本の防衛費を上回ると見られている。北朝鮮の積極的な核、ミサイル開発状況に対応するための装備が中心であるが、軽空母の建造やイージス艦の増勢等、朝鮮半島周辺海域以外における運用を考慮しているのではないかと思われる装備も目に付く。少なくとも能力的には南シナ海を含むインド太平洋海域における行動が可能な能力を備えようとしているといえる。それでは、韓国の新南方政策はASEAN諸国の韓国に対する認識にどの程度影響を与えているであろうか。2020年1月、シンガポールにある研究所ISEAS(Institute of South-East Asia Studies)は、ASEANの認識に関するアンケート結果を公表した。アンケートに回答したのは、ASEAN10カ国の政府関係者、研究員、ビジネス関係者等1,308名である。ルールに基づく国際秩序及び国際法の尊重という観点から、リーダーシップをとることにふさわしい国、機関はどこかという質問に対し、第1位はEU(33.0%)、第2位米国(24.3%)に引き続き日本が3位(20.0%)となっている。これに対し、中国は5.5%であり、韓国は0.9%にしか過ぎない。更に、米中対立という不透明な情勢に対応するため、ASEANとして戦略的に関係を深める必要がある国、機関について、日本は第1位(38.2%)を占め、次いでEU(31.7%)、豪州(8.8%)となっている。韓国は3.0%である。ISEASのアンケート結果から見る限り、新南方政策にもかかわらず、ASEAN諸国の韓国への信頼度は低い。アンケートには、東南アジアの経済に最も影響を与える国として、79.2%が中国としつつも、中国の経済的影響拡大に懸念を示す割合も71.9%と高くなっており、ASEANの中国に対するアンビバレントな感情も垣間見える。2015年に中国で開かれた、「抗日戦争勝利70周年」軍事パレードに朴槿恵大統領(当時)が唯一の西側首脳として参加したことや、2017年10月に文在寅大統領が、THAARD配備に関し悪化した中韓関係を修復するために、「3つのNo原則」に合意した対中融和姿勢が、ASEAN諸国の韓国への信頼感が低い要因のひとつであると推定できる。一方で、日本への評価が高いのは、ODAを中心としたASEANへの経済的なコミットメントに加え、人的ふれあいの拡大を目指した1977年の福田ドクトリン、中国の海洋進出に対し、米国との同盟を基軸として日本とASEANとの関係強化を目指した2013年の安倍ドクトリンという日本政府の取り組みが影響していると推定できる。特に、安倍ドクトリンに基づき、ASEAN諸国の海洋安全保障能力の向上として、インドネシア、ベトナム、マレーシア及びフィリピンに巡視船を供与、各種会議や教育等をつうじ、関係国の法執行能力の向上に貢献したことが高く評価されているのではないかと推定できる。さらには、海上自衛隊の艦艇が、積極的にインド太平洋方面を行動し、東南アジア諸国を訪問していることも日本のプレゼンスを高めることに貢献しているであろう。韓国が、今後米韓同盟の枠組みで、自由で開かれたインド太平洋に貢献していくためには、装備輸出で培った各国との協力関係及び韓国海空軍のインド太平洋における活動の活発化が不可避である。しかし、2016年7月に国際仲裁裁判所が南シナ海に関する中国の主張を認めない採決を公表した際、これを支持した日米に対し、韓国外務省報道官は「留意する」と曖昧な姿勢に終始した。韓国が中国からの反発を恐れ、インド太平洋における艦艇等の活動に一定の制限を設けるような姿勢をとった場合、米韓同盟活動範囲の拡大は有名無実となる。今回のSMCでの合意が、米韓同盟の及ぼす範囲の拡大につながるとすれば、韓国政府は難しい判断を迫られるであろう。アメリカの外交・安全保障専門誌「The National Interest」誌は、12月6日付、レーガン大統領の特別顧問を務めたダグ・バンドウ氏の、「韓国は米国と中国のどちらを選ぶか」という記事を掲載している。米韓同盟にもかかわらず、韓国はどちらに付くか分からない国だと見ている安全保障専門家が少なからずいるという証左と考えられる。まさに米韓同盟の有効性が試されていると言えるであろう。韓国軍の活動範囲が拡大することは、日本の安全保障上でも光と影がある。日本がインド太平洋に継続して艦艇等のプレゼンスを示すことは、保有兵力上困難である。日韓が協力して交互にプレゼンスを示すことは、両国の兵力規模から効率的だと考えられる。一方、日韓には、旭日旗掲揚問題や射撃管制レーダー照射問題等の問題がある。いずれもいざという時に一緒に戦えるかという信頼関係に影響するものである。今後韓国軍の活動範囲が拡大すれば、インド太平洋海域で日韓が共同作戦を実施する可能性も出てくる。しかしながら、信頼関係を欠いた共同作戦にはいつかほころびが生じる。信頼関係再構築には、日韓の協力を積み上げていく地道な努力が必要であろう。サンタフェ総研上席研究員 末次 富美雄防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。護衛艦乗り組み、護衛艦艦長、シンガポール防衛駐在官、護衛隊司令を歴任、海上自衛隊主要情報部隊勤務を経て、2011年、海上自衛隊情報業務群(現艦隊情報群)司令で退官。退官後情報システムのソフトウェア開発を業務とする会社において技術アドバイザーとして勤務。2021年から現職。写真:代表撮影/ロイター/アフロ■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/13 10:25
注目トピックス 経済総合
アサヒグループHDを対象とするコール型eワラントが上昇率上位にランクイン(13日10:00時点のeワラント取引動向)
新規買いは原資産の株価上昇が目立つ商船三井<9104>コール123回 2月 6,500円を順張り、エヌ・ティ・ティ・データ<9613>コール93回 1月 2,550円を順張り、ファナック<6954>コール246回 1月 28,000円を順張りで買う動きなどが見られる。手仕舞い売りとしては日経平均 プラス5倍トラッカー80回 1月 27,000円、商船三井コール123回 2月 6,500円、ソフトバンクグループ<9984>コール597回 2月 6,600円などが見られる。上昇率上位はアサヒグループホールディングス<2502>コール124回 1月 6,700円(+72.7%)、電通<4324>コール94回 1月 5,350円(+66.7%)、住友不動産<8830>コール178回 1月 5,300円(+57.1%)、ファーストリテイリング<9983>コール345回 1月 95,000円(+50.0%)、楽天グループ<4755>コール331回 1月 1,650円(+46.9%)などとなっている。(カイカ証券)
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2021/12/13 10:22
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NYの視点:【今週の注目イベント】FOMC、ECB、BOE、BOJ、米PPI・小売売上高など
今週は、連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)の定例理事会、英中銀や日銀が金融政策を開催する予定で注目材料となる。さらに、米国ではインフレ指標として生産者物価指数(PPI)の発表が予定されているほか、11月小売売上高が発表される。変動の激しい燃料やエネルギーを除いたコアPPIは10月と同水準の伸びに留まる見込み。また、経済の7割を占める消費動向を判断する上で注目の11月小売売上高は10月から伸びが鈍化する公算。FRBはFOMCで政策金利を据え置く見通し。来年の利上げのタイミングなどを図る上で、パウエル議長の会見や、四半期ごとに発表されるスタッフ予測にも注目。すでにパウエル議長が言及しているとおり、声明では、インフレが「一過性」との文言が削除される公算。高インフレが2022年まで続く可能性があるとの判断に基づき、さらに、週次失業保険申請件数が52年ぶり低水準と労働市場もひっ迫が明らかになる中、この会合で、資産購入規模の縮小加速を協議する計画。金利先物市場ではすでに縮小規模を11月発表計画の2倍となる月300億ドルに加速させることを決定する可能性を見込んでいる。縮小を早期に終了することで2022年の利上げも可能になる。市場は3回近くの利上げをすでに織り込み済み。一方、欧州中央銀行(ECB)はインフレが依然一過性と見ており、来年にも弱まるとの見通しを再表明すると見られる。また、ラガルド総裁も2022年の利上げの可能性はすくないとハト派姿勢を強調する見込み。欧州では新型コロナ、オミクロン変異株の感染拡大で再び規制強化の動きも見られ、回復が損なわれる可能性もある。柔軟性を保つため緩和策の拡大を協議する可能性も指摘されており、ユーロ売り圧力になると見られる。英中銀はQEを中断、利上げを開始させるとの思惑も根強いが、最近のコロナ感染急増で、利上げが見送られるとポンド売りに繋がる。日銀は金融政策決定会合で大規模緩和を維持する見込み。コロナ支援プログラムを延長。引き続き円売り材料となると見られる。EU指導者はワクチンの義務化を協議する予定。■今週の主な注目イベント●米国14日:11月生産者物価指数(PPI)15日:FOMC結果発表、パウエルFRB議長会見、スタッフ予測、12月二ューヨーク連銀製造業指数、11月小売売上高、11月輸入物価指数、10月企業在庫16日:週次新規失業保険申請件数、11月住宅着工件数・住宅建設許可件数、12月フィラデルフィア連銀景況、11月鉱工業生産、設備稼働率、12月マークイット製造業PMI●日本14日:鉱工業生産17日:日銀金融政策決定会合●欧州15日:仏、伊CPI、16日:ECB定例理事会、ラガルド総裁会見、ユーロ圏、仏、独製造業PMI16-17日:EUサミット●英国14日:失業率15日:CPI16日:英中銀、金融政策決定会合、製造業PMI●中国15日:小売売上高
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2021/12/13 07:39
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国内外の注目経済指標:米量的緩和の縮小ペースは速まる可能性
12月13日-17日週に発表される主要経済指標の見通しについては、以下の通り。■13日(月)午前8時50分発表予定○(日)日銀短観10-12月期調査-予想は大企業製造業DIは+19大企業製造業、非製造業の業況判断DIは、いずれもやや改善する見込み。業種間格差が見られるものの、製造業では「自動車」の業況判断DIが改善し、非製造業に関しては、緊急事態宣言等の全面解除が業況判断DIの改善に寄与するとみられる。■15日(水)日本時間16日午前4時結果判明○(米)連邦公開市場委員会(FOMC)会合-予想は量的緩和の縮小ペース加速米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11月30日の米上院委員会での議会証言で、「資産購入を数カ月早く終了することを検討するのが適切」と述べており、量的緩和策の縮小ペースを加速することを今回のFOMC会合で議論し、正式に決定するとみられる。利上げ時期については、雇用と物価動向をしばらく観察する必要があるため、結論は次回以降に持ち越される見込み。■16日(木)午後9時45分結果発表予定○(欧)欧州中央銀行(ECB)理事会-予想は金融政策の現状維持ラガルドECB総裁は12月3日、12月16日開催の理事会では不確実性があまりにも高いため、比較的短期の政策を設定する可能性があると述べた。ただ、決定の先延ばしはすべきでないとの認識を示している。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は2022年3月で終了するが、インフレがいずれ落ち着くとのECBの見解は維持される見込み。■17日(金)決定会合の終了予定時刻は未定○(日)日本銀行金融政策決定会合-予想は金融政策の現状維持10月27、28日開催分の金融政策決定会合における主な意見では、「物価上昇圧力は徐々に高まっている」との見解が提示されているが、金融緩和策の早期解除につながる材料は揃っていない。今回の金融政策決定会合でも、現行の金融緩和策を粘り強く続けていくことが重要との認識が共有されることになりそうだ。○その他の主な経済指標の発表予定・13日(月):(日)10月機械受注・14日(火):(欧)10月ユーロ圏鉱工業生産、(米)11月生産者物価指数・15日(水):(中)11月小売売上高、(中)11月鉱工業生産、(英)11月消費者物価コア指数、(米)11月小売売上高・16日(木):(日)11月貿易収支、(英)英中央銀行MPC会合、(欧)12月マークイット製造業PMI、(米)11月鉱工業生産、(米)12月マークイット製造業PMI・17日(金):(英)11月小売売上高、(独)12月IFO企業景況感指数
<FA>
2021/12/11 14:25
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「サブカル業界で実力をつける中国」にみる、日本が進むべき「新たな道筋」とは(喜田一成氏との対談)(3)
本稿は、「「サブカル業界で実力をつける中国」にみる、日本が進むべき「新たな道筋」とは(喜田一成氏との対談)(2)」の続きである。<編集後記>次なる巨大な成長マーケット「メタバース」に日本はどう挑む?対談でも紹介したとおり、喜田さんとの出会いは、2021年2月の実業之日本社によるスケブの経営の引き継ぎでした。実際に喜田さんにお目にかかると、私が想像していたイメージとは大きく違い、良い意味で期待を裏切られました。サブカル分野はコミュニケーションが苦手な方が多い印象だったのですが、喜田さんは、非常にロジカルであり、強力なリーダーシップ力と高いコミュニケーション能力をお持ちの稀有な存在です。また、業界や日本を良くしたいという純粋な気持ちが強く、非常に好感の持てる若手起業家です。だからこそ、サブカルやメタバース業界でリーダー的存在として位置づけられているのだと思います。前回の対談の橋本欣典氏と同じ31歳であり、彼らのような若くて才能がある人たちと、その能力を開花させる社会システムが、日本の未来のためには必要でしょう。この対談シリーズでは、日本の富の創造や競争力向上という観点を主要なテーマとしています。メタバースは、次なる巨大な成長マーケットであり、日本企業は最優先で事業開発に取り組む必要があると考えています。2020年、人気ラッパーのトラヴィス・スコットによるフォートナイト内でのヴァーチャルコンサート「Astronomical」が、1200万人以上の視聴と20億円以上の売上を記録し、メタバースの大きな可能性を示しました。暗号資産投資会社最大手のグレイスケールのレポートでも、メタバースは、次世代のデジタル空間であり、社会的な交流やビジネス、インターネット経済全体を変革する可能性を指摘しています。彼らは、メタバース全体の将来的な売上を1兆ドルと考えており、メタ・プラットフォームズ(facebook)のピボット(方針転換)が、他のテックジャイアントや投資家の参入を刺激させると予想しています。Web2.0と呼ばれる現在のインターネット産業は、双方向で参加型であるものの、中央集権的に管理されています。そのなかで作られるメタバースにおいても、企業が管理する閉鎖的な環境となっています。一方、分散型であるWeb3.0時代のメタバースは、ブロックチェーン技術と暗号資産によりオープンで民主的であるとされています。Web2.0でのゲームは、消費者が多くの時間と労力を費やしてゲーム内で富を築いても、ゲーム管理者であるプラットフォーマーは、その富をゲーム外の現実社会に移転させないようにしています。一方、Web3.0では、プラットフォーマーが強いていた資本規制がなくなるため、消費者が自由にプラットフォーマー間で富を移転できるようになり、また、現実社会にもその利益を自由に持ち込むことができるようになります。これらは、「Play to Earn」と呼ばれ、クリエイターエコノミーの進化と言えます。Web2.0企業は、このような変化に対応すべく、築き上げた自身のビジネスモデルを自ら破壊して、Web3.0に対応したオープンなエコシステムに昇華させる必要があります。このようなパラダイムシフトは、既存のプレイヤーの今までの戦略的資産を負債化させるとともに、何も持たないチャレンジャーには、大きな機会を与えます。既存プレイヤーには、今回facebookが「メタ・プラットフォームズ」に社名変更してメタバースへ大きく舵を切ったように、現在の状態に満足せず、果敢でドラスティックなビジネスモデル変革への強い意志と実行が求められます。チャレンジャーには、ベンチャースピリットと、新たな市場での勝ちパターンの理解とその実践が必要でしょう。野口悠紀雄氏が私との対談で指摘しているように、ここ数十年間、日本は、旧来の製造業モデルの破壊的創造を拒み続け、水平分業型製造業への転換やグローバルなインターネット産業の構築などを怠ったことで、アメリカの後塵を拝してきました。日本は、1990年代まで築き上げた優位性を、自らの手ですり減らしてきたのです。これらの競争状態は富の形成に直結しており、パラダイムシフトは富の大逆転を引き起こすのです。井上智洋氏との対談での編集後記で示した通り、ここ数十年の日本の家計資産が横ばいである一方、アメリカは大きく増加しています。新たに勃興する領域にいる人は巨額の富が形成され、古い領域にいる人の富は相対的に減少しているのです。古い領域にいる多くの人は、自分の富の評価が法定通貨基準で変わらなければ、富の総量の変化に気づかないのです。加えて、昨今のデジタル化によって、デジタル関連の財とサービスのデフレが進行していることもあり、余計に富の評価を見誤るのです。本来、富は相対的なものであるため、自身の富の総量は、他人のそれとの比較で評価すべきなのです。いま日本に求められていることは、他国との比較で富を増加させること、そのためにも新たな成長分野に果敢にチャレンジすることです。この数十年の失敗を繰り返してはいけないのです。第3次産業革命から第4次産業革命にシフトしつつある現代において、労働の価値が減少するなか、資本力に加えて知や無形資産が産業競争力の源泉となりました。メタ・プラットフォームズ(facebook)が、巨額の投資によって、世界中のメタバース関連の知や無形資産を吸い寄せ、独占する可能性があります。コンテンツを多く保有する日本は、今であれば有利なポジショニングをとることができます。メタ・プラットフォームズに日本のコンテンツを吸収される前に、日本は優先的にメタバース事業に取り組むべきでしょう。今回の喜田一成さんとの対談でも話題が及んだように、日本は過去においてサブカル分野を始めとするコンテンツ関連で、確固たるプレゼンスを築いていましたが、最近になって中国や韓国から猛追を受けています。中国はサブカルやゲームでの開発力、韓国はドラマや音楽でのコンテンツ力と世界的なマーケティング力が突出しています。幸運なことに規制強化での中国のオウンゴールによって、日本には多少の時間的余裕が生まれたため、この間に日本はソフトパワー戦略の再構築に取り組むべきです。デジタル上の競争では、限界費用ゼロとネットワークの外部性によって、独占か敗北かの2者択一になりました。企業間競争が健全な市場をつくり、複数の企業が生存を許される時代は、すでに過去のモノになっています。日本がメタバースでのプラットフォーマーを志向するなら、今すぐに参入し、メタ・プラットフォームズと同規模の投資を行う必要があります。しかし、残念ながら、日本のどこを見渡しても、メタ社と同規模の投資を行える財務力と意思を持った会社はないのです。藤野英人氏との対談でも議論に上りましたが、アメリカと日本の企業の時価総額が、あまりにも違いすぎるのです。時価総額は資金調達力を始めとしたパワーの源泉なのです。残された道は、喜田さんが対談で指摘するように、プラットフォームなどの大きい分野はアメリカ企業に任せて、日本はニッチ分野を獲得していく戦略でしょう。自分たちの力を冷静に見つめつつ、シェアを取れる市場を一つひとつ攻略し、最終的に大きな市場とプラットフォームを支配するという国家戦略を描きたいものです。戦後の焼け野原から復興した日本は、巨大なアメリカ企業の向こうを張って、グローバルな自動車産業や電機メーカーを築き上げました。過去と比べて現代は戦い方が大きく変わっているものの、日本の総力を結集すれば、戦後復興と同じような復活劇を演じることができるはずです。■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/10 17:04
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「サブカル業界で実力をつける中国」にみる、日本が進むべき「新たな道筋」とは(喜田一成氏との対談)(2)
本稿は、「「サブカル業界で実力をつける中国」にみる、日本が進むべき「新たな道筋」とは(喜田一成氏との対談)(1)」の続きである。■日本で流行しつつある「日本的価値観で作られた中国産ゲーム」白井:コンテンツ作りの競争という観点から、中国の現状をお聞かせください。喜田:ビリビリ(bilibili)は、当初、ニコニコ動画のクローンサービスでしたが、ニューヨーク取引所に上場しています。中国の人口は日本の10倍ですので、クローンサービスを作って模倣し、人の数で一気に進めることが日本よりも簡単です。日本で流行ったものが、そのまま中国でもクローンで出ている状況でした。しかし、最近は変わってきています。中国のブラウザゲームやソーシャルゲームが日本に逆輸入されるようになりました。日本的な価値観で制作された中国産のゲームが日本で大流行したのです。中国語版も日本語版も日本の声優を使って、日本的な文化、日本的な作り方を採用しています。アズールレーン、原神、アークナイツなどのゲームは、最近、日本で非常に流行っています。売上ランキングの上位のゲームは中国産で、日本のゲームが中国で流行ることは少なくなりました。中国の法規制や水準に合わせることが非常に難しい一方で、中国で日本的な文化(や価値観)で生まれたゲームが日本で流行りつつあるのです。白井:競争が非対称的なのですね。中国に参入しようと思っても、中国のさまざまな規制があり、参入障壁が高いと感じます。一方、日本やアメリカは開かれた自由主義経済ですので、基本的にはオープンです。中国から日本やアメリカに参入するのは非常に容易であり、いろんな技術や文化の取得も合法的であれば制約はほとんどありません。2021年7月には、中国のサイバースペース管理局が、100万人以上のユーザーデータを保有する企業は、海外に株式を上場する前に国家安全保障上の審査を受ける必要があると発表しました。100万人以上を抱える中国のITサービスが海外に上場しようとしたら、個人データが盗まれる可能性があるという理由で、当局の審査が通りません。加えて、2021年10月に施行される海外上場規制では、中国で生成されたデータは外に出すことができなくなります。この非対称性は、コンテンツ戦略にとってマイナスと考えてよいのでしょうか。喜田:それだけではなく、中国の起業家にとってもマイナスでしょう。彼らも本国での活動が非常に難しくなってきています。今後は、中国資本で作り、日本や韓国に輸出したほうがいいという判断になっていくでしょう。中国発のIPが日本でより普及していくことになるのではないでしょうか。人口が多いですから、中国モデルを重要視しつつも、比率がどんどん海外向けに上がっていく可能性はあるでしょう。ブラウザゲームとかソーシャルゲームで中国企業が儲けて、日本企業が食われていくことが始まりつつあると感じます。■「中国産への悪いイメージ」はもう古い白井:過去において、中国が高速鉄道網を中国全土に整備する際に、日本やドイツは技術協力しました。いまや世界で高速鉄道の入札があれば、日本と中国は完全に競合しています。太陽光発電でも同じ構図でしたが、いまや日本は完敗です。サブカル分野においても、そういう構図になりますか。喜田:彼らは非合法なことはしていないし、筋を通していないわけでもない。技術的な盗作や完全コピーのようなことは少ないです。彼らは彼らの中で、オリジナリティを見つけてきています。日本のコンテンツの文脈は汲みつつも、新たな中国発日本系作品のようなものが生まれています。過去の中国のイメージとは違い、盗作したり、特許を侵害したりはしておらず、実力がついてきて実際に強くなっているのです。白井:非常に興味深いお話です。発展途上国は、先進国に追いつくまでは早いけれど、先進国に追いついてからはイノベーションで世界をリードする必要があり、そのようなギアチェンジを行えないと、持続的な成長が維持できないと考えられてきました。加えて、中国の権威主義的な政治体制と社会のシステムのもとでは、イノベーションは起こしにくいと見られています。ところが、いまのお話は、日本に追いついて、かつ、イノベーションを起こし新たなものを生み出している。学びの対象であった日本よりも、優れたゲームをつくることができるようになったということのようです。面白いストーリーを作ることができる能力、技術力を持ったということですよね。そのイノベーションの力はどこから生まれているのでしょうか。アリババ、テンセント、DiDiなどのテックジャイアントへの当局の制約が、去年からかなり厳しくなっています。これらは、イノベーションの芽を摘むという向きもあります。また、中国の未成年に対するゲーム時間を、週3時間に制限しました。これは将来的な中国の人材輩出に大きく影を落としそうです。権威主義的な政治が、サブカルやゲーム業界に与えるインパクトはどうでしょうか。喜田:ゲームは、若年層が多く消費しているという部分がありますので、当局は非常に関心が高いでしょうし、日本よりもかなり批判的です。社会の堕落の原因だと思っている節もあります。中国でゲームを販売するときには審査が必要ですが、最近、審査が非常に滞っており、しかも審査が厳しくなっています。それをすり抜けるために、ゲームのロビー画面に共産党のスローガンなどを載せて乗り切るゲームなども登場しています。当局の思想がゲームにさりげなくサブリミナルのように入ってきている点は怖くもあります。先日中国でボーイズラブの小説を書いていた作家は、逮捕され、懲役10年の判決を受けました。同性愛には非常に厳しいものがあります。その点では日本はすごく寛容です。中国のコンテンツホルダーは非常に息苦しく感じると思いますので、最初から中国ではなく、日本で売っていくこともあるでしょう。■多様性が制限される「ゲーム大国中国」白井:ゲーム大国の中国は、多様性がどんどんと制限されていく。日本は、この自由を中核に据えて、競争力を高めていく。本来の実力は中国が上回ってきたわけですが、中国のオウンゴールによって、かろうじて日本は生存空間を維持できたと考えるのが妥当ですね。ただし、いまでも「日本大好き」というのがサブカル分野やメタバースでは支配的ですから、その中での日本シェアをできるだけ高めていきたいですね。なにかほかに障害になることはありますか。喜田:法律だけではありません。例えば最近問題になっているのが、国際カードのVISAやマスターカードなどのクレジットカードが出版物の内容まで口出しをしてきている点です。一昔前の漫画や小説で「〇〇殺人事件」というタイトルのものがあったと思いますが、いまでは「殺人事件」と付けば取り扱わなくなりました。支配的なプラットフォームが一方的にルールを決めており、それに従わないと削除(バーン)されます。GAFA全体やペイパルでも言えることですが、これは非常に脅威です。白井:もはや、GAFA、クレジットカード会社、ネットフリックスやペイパルがないと、日本の企業や国民はデジタル上の存在が失われ、実生活にも大きく支障がでてきます。プラットフォーマーのルールが、他国民の生殺与奪権を握っているということですね。メタバースにおいても、そうなる前に日本は生存空間を確保しておく必要があります。一方で、プラットフォーマーなどの権力を握っている人々の文化やルールを熟知して、バーンされないリスクマネジメントも必要になってきます。出版事業でコンテンツ輸出していても、思いもよらないようなことでクレームが入り、話が破談になることもあります。中国では、ミステリーは勧善懲悪で、罪を犯した側が逮捕されないミステリーは翻訳出版許可がおりないし、少なくとも映像化は絶対できないという話を聞きました。日本だと、真犯人は別の人だったとか、悪女が生き残ってにやりと笑う、といったような結末は結構ありますが、そういうのはいま、一切認められないようです。これからのビジネスは、他の文化やルールを考慮して、戦略を組み立てる必要があるようです。一方、デジタル化するまでのいままでの社会は、効率性の観点から少数派を切り捨ててきたわけですが、喜田さんのお話を振り返ると、これからはすべての人が包摂される社会が到来するように感じました。クリエイターエコノミーやロングテールのコミュニティよって、自分の生き方も認めてもらえる、受け入れてもらえる、受容される社会が現れる。世界中の個と個がつながることにより、新しい産業を生み出したり、イノベーションや成長を牽引したりして、結果として、国益につながっていく。個人の能力が高く、文化的な魅力が高い日本の、新しい成長の道筋なのかもしれません。本日は長時間にわたり、貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。喜田:私も大変刺激になりました。ありがとうございました。「「サブカル業界で実力をつける中国」にみる、日本が進むべき「新たな道筋」とは(喜田一成氏との対談)(3)」に続く■実業之日本フォーラムの3大特色実業之日本フォーラム( https://jitsunichi-forum.jp/ )では、以下の編集方針でサイト運営を進めてまいります。(1)「国益」を考える言論・研究プラットフォーム・時代を動かすのは「志」、メディア企業の原点に回帰する・国力・国富・国益という用語の基本的な定義づけを行う(2)地政学・地経学をバックボーンにしたメディア・米中が織りなす新しい世界をストーリーとファクトで描く・地政学・地経学の視点から日本を俯瞰的に捉える(3)「ほめる」メディア・実業之日本社の創業者・増田義一の精神を受け継ぎ、事を成した人や新たな才能を世に紹介し、バックアップする
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2021/12/10 17:03