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NYの視点:米大統領選世論調査でトランプ氏がリードを保つ
*07:41JST NYの視点:米大統領選世論調査でトランプ氏がリードを保つ
11月の米国大統領選挙を控え、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の第1回討論会が6月27日に実施された。大統領選を想定した最近の世論調査では、選挙への関心が低い若年層の投票意欲の低さに注目が集まっている。CBSニュースは6月23日、6月17-21日にかけて全米の成人2460人を対象とする世論調査の結果を発表した。「今日大統領選が行われたら、誰に投票するか?」という問いに対して、トランプ氏の支持率が50%と、バイデン氏の49%をわずかに上回った。30歳未満で投票を予定している人に限定すれば、バイデン氏の支持率は61%で、トランプ氏の38%を大幅に上回っている。一方、18-29歳で「大統領選挙についてよく考える」とする割合は34%と、65歳以上の74%の半分未満にとどまる。「大統領選についてよく考える」と回答する割合は年齢が上がるほど多くなる。(調査によると、30-44歳は38%、45-64歳は52%)。一方、マサチューセッツ州のエマーソン大学が6月に激戦州で実施した世論調査(実施時期は6月13-18日、対象者は各州の登録有権者1000人)によると、激戦6州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)における大統領選を想定した問いでは、トランプ氏の支持率が6州全てでバイデン氏を1-4ポイント程度上回ったようだ。同大学の世論調査担当のキンボール事務局長は「バイデン氏とトランプ氏の支持率の差は標本誤差(±3%)の範囲に収まっている」と述べ、激戦州の4月以降の無党派の動きに関して「無党派のトランプ氏支持率は、アリゾナ州で48%から43%に5ポイント下落、ミシガン州では44%から41%に3ポイント下落、ペンシルベニア州では49%から41%に8ポイント下落した。無党派のバイデン氏支持率は、ジョージア州で42%から36%に6ポイント下落し、ネバダ州では37%から32%に5ポイント下落した」と指摘している。バイデン大統領とトランプ前大統領による初めてのテレビ討論会に対しては、視聴者の評価はまちまちのようだが、激戦6州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン)の有権者はどう思ったのか、詳しい調査結果の公表が待たれるところだ。
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2024/07/01 07:41
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国内外の注目経済指標:6月米雇用統計は5月実績を下回る見込み
*14:10JST 国内外の注目経済指標:6月米雇用統計は5月実績を下回る見込み
7月1日-5日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■1日(月)午前8時50分発表予定○(日)日銀短観6月調査-予想は大企業製造業DIは113月調査では品質不正による一部自動車メーカーの生産停止を受けて景況感は悪化。今回については物価高による需要減少、コスト増加、人手不足は解消されていないことなどから、企業マインドの改善は期待薄か。■1日(月)午後11時発表予定○(米)6月ISM製造業景況指数-予想は49.0参考となる5月実績は48.7に悪化したが、先行指標となる6月製造業PMIは改善している。一方、新規受注の増加は期待できないため、6月の数値は5月実績並みの水準にとどまる可能性がある。■3日(水)午後9時30分発表予定○(米)5月貿易収支-予想は-712億ドル参考となる4月実績は-746億ドル。輸入増加で赤字幅は拡大した。5月については、輸出増加は期待できないものの、輸入額がやや減少するとみられており、赤字幅は縮小する見込み。■5日(金)午後9時30分発表予定○(米)6月雇用統計-予想は非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人、失業率は4.0%雇用者数の増加幅は5月実績を下回る見込みだが、労働市場の急速な減速を示唆するものではないとみられる。失業率は5月と同水準になると予想されるが、年末にかけてゆるやかに上昇する可能性が高いとみられる。○その他の主な経済指標の発表予定・1日(月):(中国)6月財新製造業PMI・2日(火):(欧)6月ユーロ圏消費者物価コア指数、(欧)5月失業率・3日(水):(欧)5月ユーロ圏生産者物価指数・5日(金):(欧)5月ユーロ圏小売売上高
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2024/06/29 14:10
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NYの視点:インドの水不足問題
*07:42JST NYの視点:インドの水不足問題
米格付け会社ムーディーズは6月25日、インドでは急速な経済成長と頻発する自然災害で水不足が深刻化しており、格付けに悪影響を及ぼす可能性があると警告した。報告によると、インドでは毎年夏に水不足が発生しており、これまでに何度も問題となっていたようだが、今年は熱波が長引き、デリーやハイテク産業が集中しているベンガルールなどで水不足が続いているようだ。ムーディーズは、水不足は「ソブリン格付けや水を大量消費するセクターの信用に悪影響を及ぼす」、「水資源の供給減少は農業生産や産業活動に支障をきたし、食料価格の高騰や収入減で社会不安を引き起こす可能性がある」と指摘している。モディ首相は以前からこの問題を意識しており、早急に取り組むべき課題であると言えるが、一部の識者は「長期的には、水の管理分野への投資拡大が潜在的な水不足のリスク軽減に寄与する」と指摘しており、中長期的な観点で水不足の解消に取り組むべきであろう。※ムーディーズによるインドの債務格付けはBaa3、格付け見通しは安定的。
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2024/06/28 07:42
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中国の台湾優遇政策の現状と課題【中国問題グローバル研究所】
*15:56JST 中国の台湾優遇政策の現状と課題【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。2024年の海峡フォーラムでは、中国が新しい台湾優遇措置を発表せず失望が広がった。国民党(KMT)の連勝文副主席は、「両岸間の状況は現在悪化しており、かかる措置が示されなかったことは自然の流れである。しかし、今年の台湾の選挙結果から、国民の少なくとも60%が台湾現指導部の独立派寄りの立場や施策を支持していないことは明らかである。ほとんどの台湾人は、中国の同胞との平和な共存を望んでいる。政治的な違いがあっても、平和的な関係の継続を求める声が多い」と指摘し、「これが、無視できない大衆の意見である」と強調した。この8年間は両岸関係にとって激動の時期であり、中国の台湾優遇措置は、中国市場への依存度が高い石油化学製品や機械、農業などのセクターを中心に、政治的タイミングと密接に結びついていることが少なくない。中国は選挙の直前に、台湾の選挙や経済に影響を及ぼす目的で、特定の台湾優遇政策を導入したり、中断したりする傾向にある。しかし実際のところ、そうした措置の影響は限定的である。例えば、両岸の経済・文化交流推進を目的に中国が2019年に導入した台湾優遇措置は26項目に上るが、それらの措置は最小限の効果しか発揮していない。2024年の総統選の前には、中国は海峡両岸経済協力枠組み協定(Economic Cooperation Framework Agreement、以下ECFA)に基づいて行っている134品目の関税引き下げ措置を停止すると発表した。ECFAの歴史的意義と現状20年前を振り返ると、ECFAは当時、重要な経済措置であった。ECFAに基づく関税優遇措置は、関税引き下げにより台湾の特定の産業に恩恵をもたらす台湾優遇政策とみなされた。だが、台湾産業界はその後、中国市場への依存を大幅に減らすようになり、その多くがもはやこうした政策に頼っていない。今でも中国の台湾優遇措置を望んでいるセクターは観光業のみと言える。こうした台湾経済の変化は、単一市場への過度の依存を減らし、国外の経済的圧力に対するレジリエンスを高める方向への戦略的シフトを反映するものである。台湾経済研究院が発表したデータによると、台湾の中国向け輸出の年間増加率は2010年のECFA調印後3年間で15%に達したものの、直近5年間では5%を割り込んだ。この大幅な減少は、両岸間貿易のダイナミクスの変化と、台湾の経済パートナーシップの多角化への必要性を如実に物語っている。台湾が今後、経済成長を維持していくためには、イノベーションとハイテク産業、世界市場への進出に注力することが不可欠となる。研究開発への投資と起業家精神の醸成、他国との貿易関係の強化で、台湾は今後の経済のさらなる安定と繁栄を確保できる。観光産業の現状と課題中国のアウトバウンド観光政策は、外交戦略と緊密に足並みをそろえ、友好国の旅行の割当枠を拡大する一方、非友好国の枠を縮小することが少なくない。台湾の観光産業もこの戦略の影響を受ける。台湾の観光事業者と大陸委員会は中国が団体旅行の制限を撤廃することを望んでいるが、これは非現実的な期待である。これまで、中国の団体旅行は独占的な「ワンストップ」旅行モデルで運営する中国企業に管理されていたため、台湾は長期的なメリットを得られなかった。例えば、中国が2019年に台湾への個人旅行を制限したことで、台湾の観光産業は約300億ニュー台湾ドルの損失を被った。このことから、中国の観光政策は台湾経済に大きな影響を及ぼす可能性があり、台湾が観光市場の多角化を図り、中国人観光客への依存度を低下させる必要があることは明らかである。こうした政策の悪影響を軽減するため、台湾の観光産業は新規市場を開拓するとともに、より持続可能でレジリエンスの高いビジネスモデルを発案しなければならない。東南アジアや欧州、北米など、中国以外の地域の観光客誘致に取り組む必要がある。加えて、デジタルマーケティングへの投資やサービスの質の向上、台湾独自の文化的スポットや自然景観などのPRが大きな効果を発揮する可能性がある。そうした対策を講じることで、台湾はより強固で、多様性に富んだ観光セクターを構築することができ、中国の政策の影響を受けることなく、長期的な成長と安定も確保しやすくなる。アモイの台湾優遇政策の影響今回のフォーラムではアモイ市の張啟芮副市長が、台湾の人々は、台湾の同胞を対象とした「コンビニエントサービス」セクションにアクセスし、滞在しているホテルで、モバイル機器を使ってオンサイト決済ができると述べた。同副市長はまた、「台湾同胞証」と「居住証」、「一時入国者運転免許証(Temporary Entry Motor Vehicle Driving Permits)」もこのサービスセクションで発行可能で、台湾同胞証の発行に要する時間は3営業日に短縮されると発表した。とはいえ、これらの政策は金門居住者や福建省の台湾人ビジネスパーソンには効果があるかもしれないが、台湾本島に住んでいる人たちにとってはほとんど魅力がない。アモイ市政府のデータによると、2019年にアモイ市で居住証の申請をした台湾のビジネスパーソンと学生は約2,000人であるが、これは台湾の総人口のわずか0.01%にすぎない。中国の政治的立場と台湾の対応観光以外に目を向けると、中国の人民政治協商会議の王滬寧主席の海峡フォーラムにおける発言は、台湾に懸念をもたらした。同主席が「歴史的に見て台湾は中国の一部である」と強調し、多くの台湾人を失望させたのである。これは両岸関係が血縁あるいは国家主義にしか根差していないことを意味する。このような歴史的認識は、台湾社会では受け入れられない。王滬寧の発言は、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」を原則とする両岸関係における中国共産党の立場を反映したものである。このような歴史認識は、特に1949年の中華人民共和国の成立以降、台湾では広く受け入れられておらず、中国の歴史や王朝のすべてを代表あるいは継承するものではありえない。台湾民意基金会が2023年に実施した世論調査の結果によると、台湾人の70%以上が「一国二制度」モデルに反対している。加えて、頼清徳総統が2024年5月20日の就任演説の中で「中華民国(台湾)と中華人民共和国は互いに従属しない」と表明したことに対して、20歳以上の74%が同意し、同意しないと答えた人は16%にとどまった。この世論調査の報告書では、「中華民国と中華人民共和国は互いに従属しない」は台湾社会で広く合意を得た見解であると結論付けている。同時期に大陸委員会も、回答者の75%以上が「台湾は中国の一部である」に同意せず、88%が「台湾の未来は、台湾に住むすべての人々が決めるべきである」に賛成しているとする世論調査の結果を発表した。台湾の産業変革とリスク分散両岸が互いに従属しないという頼総統の提案は、両岸関係の現在の状況と、異なるガバナンスという実態に即したものである。台湾産業の発展は、もはや中国市場に全面的に左右されているわけではない。対中貿易依存率は30%未満に低下した。台湾ではリスクの分散を図り始めた企業も多く、仮に中国がECFAの関税引き下げ措置を全面的に停止しても、台湾経済は中国以外の海外市場の開拓にシフトすることができる。台湾経済部が発表したデータによると、2022年の台湾の輸出シェアは、中国向けが28.9%にとどまったのに対して、東南アジア向けと北米向けではそれぞれ12ポイントと15ポイント増加した。中国の台湾優遇政策と両岸統一の課題中国は引き続き、両岸統一を推し進めるために台湾優遇政策を提案しているが、そうした政策の実効性と持続可能性には疑問符が付く。市場調査会社IC Insightsによると、台湾半導体産業は2023年の市場シェアが65%に上る一方、中国向け輸出は台湾の全輸出量の40%であった。将来的には、半導体などハイテク産業を中心に、台湾も「親中」政策を提案するかもしれない。例えば、中国と台湾が互いに従属しないことを条件に、台湾は中国半導体産業が台湾からミッド・ハイエンドチップを購入することを認める特別なインセンティブ施策を打ち出す可能性もある。経済互恵と政治情勢中華経済研究院がまとめた報告書によると、高レベルの両岸経済協力が、双方のGDP成長率を年間1ポイント押し上げる一助となる可能性がある。経済協力は両国の繁栄と安定を促す可能性があり、両岸の共通の目標とすべきである。だが、「台湾優遇政策」は実際には上下関係を示唆することが多く、これは不均衡を生むものであり、両岸間のギャップを真に埋めることにはならない。この不均衡は不信感と疑念を招くことが多く、真の経済統一と相互利益の実現を難しくする。互恵メカニズムを強化するには、協力の対象を経済・技術産業だけでなく、互いの価値観の相互尊重にも拡大する必要がある。異なる政治制度での文化的な違いに対する寛容と理解を深めることが欠かせない。これは、文化交流と教育プログラム、そして環境保護や公衆衛生など世界的な課題に対処する共同イニシアチブを拡大することで実現できる。相互尊重・理解の環境を醸成することで、両岸はより包摂的かつ協調的な関係の構築に向けて協力し、同地域の長期的な平和と繁栄への道を切り開くことができる。まとめ両岸関係の発展は、複数の課題と機会に直面しており、相互協力が長期的な安定と繁栄の実現の鍵を握る。両国には歴史・イデオロギー的違いがあるものの、相互尊重と平等な対話、双方にとって有益な協力によってのみ、両岸関係の健全な発展を真に実現できる。双方がよりオープンで包摂的な信頼メカニズムを構築し、歴史的な誤解を明確にし、現代の国際システムの中で共に繫栄する方法を共に模索すべきである。例えば、文化交流の拡大や環境保護の強化、グローバルな課題への共同での対処などにより、両岸の住民間で相互理解・信頼を醸成できる。アジア太平洋地域の重要な経済の中心である台湾は、豊富な人材を誇り、数々のイノベーションを生み出している。台湾は今後、市場をさらに開拓しアジア諸国や北米との経済協力を促進するとともに、ハイテクやグリーンエネルギー、バイオテクノロジーなどの新興分野を中心に、中国と協力してそのポテンシャルを生かすことができる。台湾側も中国側も力を合わせて、平和的な発展を原則とした両岸関係を進展させるべきである。それは、双方の住民のためになるだけでなく、地域、ひいては世界の安定と繁栄にも資する。こうしたビジョンの実現には、長期的な安定と平和、繁栄の共有をもたらすべく、両政府と社会の全セクターが共同で取り組む必要がある。第16回海峡フォーラム大会 写真: 新華社(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/27 15:56
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NYの視点:PB黒字化未達成でも日本の債務格付けは変わらずか
*07:48JST NYの視点:PB黒字化未達成でも日本の債務格付けは変わらずか
米格付け会社ムーディーズで日本のソブリン格付けを担当するアナリスト、クリスチャン・ド・グズマン氏は6月24日、ロイター通信とのインタビューで、「日本政府が来年度の基礎的財政収支の黒字化目標を達成できなくても、格付けに関してネガティブな見直しをする可能性は低い」と述べた。同氏は黒字化目標は財政改革へのコミットメントと考えるべきだと発言。来年度の目標達成は予想していないが、目標を達成できなくても格付けに関してネガティブな見直しをする可能性は低いと語った。また、グズマン氏は「もしそのコミットメントを放棄し、実際に状況が悪化し、財政赤字が大幅に拡大、債務が大幅に増加すれば、格付けの柱を検証しなければならない」との見解を伝えている。なお、日本銀行の金融政策についてグズマン氏は、正常化に向け非常に緩やかなアプローチを取ると予想しており、「1-2年以内にはそうなるとは考えていない」と予想している。なお、グズマン氏は来年度の基礎的財政収支黒字化目標について達成できないとの見方を示した。ただ、政府が歳出・歳入の改革のコミットメントを守る限り、目標未達による格付け変更は少なくとも当面は起こらないだろうとの見方も伝えている。※ムーディーズは2014年に日本の格付けを「A1(安定的)」に設定している。
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2024/06/27 07:48
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ドル円今週の予想(6月24日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*17:35JST ドル円今週の予想(6月24日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、ドル円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のドル円について『介入を警戒しつつ1ドル=160円超えを目指すだろう』と述べています。続けて、『週明け24日の東京外国為替市場のドル円相場は約2カ月ぶりに円安を更新している。好調な米指標を受けてドル高が進んだ先週末の流れが継続している。神田財務官は24時間いつでも介入の準備があると円安を牽制しているが、市場の反応は小さい』とし、『1ドル=160円の水準では、介入が警戒されるが、神田財務官は「基調を変えるためにやっているわけではない」、「特定の水準をターゲットにはしていない」とも述べており、160円で介入という訳でもないだろう』と伝えています。陳さんは、『円買い介入に対する警戒感は、今のところそれほど高まっていないようだ。ドル円の上昇速度が緩やかなことや、当局者の発言に切迫感があまり感じられないという。また、米財務省が為替報告書で日本を1年ぶりに監視リストに加えたことで、為替介入に動きにくくなったとの見方も広がっている』と考察しています。次に、『先週は、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官から、タカ派的な発言が相次いだ』とし、『フィラデルフィア連銀ハーカー総裁は「今年は1回の利下げが適切」、リッチモンド連銀バーキン総裁は「今年の第1四半期はインフレに対する確信が得られなかった」、ボストン連銀コリンズ総裁は「インフレが2%に向けて低下しているかどうかを判断するのは時期尚早」、セントルイス連銀ムサレム総裁は「利下げを支持するデータが出るまで数四半期かかる。インフレ進展が停滞もしくは反転した場合、利上げを支持する」、ダラス連銀ローガン総裁は「2%に向かうと確信するにはあと数カ月見る必要」、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁は「インフレ目標達成まで1ー2年かかる可能性がある」等』と解説しています。また、『米経済指標は良好で利下げ見通しを後退させた。5月米小売売上高は市場予想を下回ったものの、6月のニューヨーク連銀製造業景況指数、6月製造業PMI、6月非製造業PMIはいずれも市場予想を上回った』と伝えています。一方で、『日本は6月の日銀金融政策決定会合は予想以上にハト派的な内容で、先週発表されたインフレ指標(コアCPI、コアコアCPI)は市場予想を下回った。日銀による金融緩和の長期化が予想される中、日米の金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りが継続していくと予想される』と見解を述べています。また、『今週は政治リスクも意識されやすくドル買い要因になりそうだ。27日に米国では大統領選挙候補者テレビ討論会、27~28日には欧州連合(EU)首脳会議、30日はフランス下院選挙(初回投票)、中東では28日にイラン大統領選挙が行われる』と伝えていますドル円の今週のレンジについては、『157.00円~161.00円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月25日付「ドル円今週の予想(6月24日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/26 17:35
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NYの視点:米財務省は監視リストに日本を加えたが・・・
*07:41JST NYの視点:米財務省は監視リストに日本を加えたが・・・
報道によると、米財務省は6月20日に公表した外国為替報告書で、為替操作をしていないか注視する「監視リスト」に日本を加えた。「為替操作国」に認定した貿易相手国・地域はなかった。監視対象には中国、ベトナム、台湾、マレーシア、シンガポール、ドイツが指定されている。関係筋によると、この件に関わっている米財務省当局者は、監視リストに日本が加えられたことについて、「日本銀行が円安進行に歯止めをかけるために実施した為替介入は監視リストに加える要因になっていない」と述べた。2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことを理由に挙げた。ただ米財務省は、日本は2024年4月と5月に円買い・ドル売り介入を実施したと指摘。日本の外為取引には透明性があると指摘したが「自由に取引される大規模な外為市場において、介入は適切な事前協議のもと、極めて例外的な場合にのみ行われなくてはならない」との見方を改めて伝えている。なお、中国については、多額の対米貿易黒字が存続していることに加えて為替政策についての透明性が欠如している点を考慮し、監視リストから除外しなかった。米財務省は「中国の対応は主要経済国の中では例外的であり、厳重な監視が必要になっている」と批判している。なお、米財務省当局者は、「中国国家外為管理局(SAFE)が発表した経常収支に関するデータが通関記録と一致していない」と指摘しており、中国政府が公表している統計の正確性にも懸念を表明している。
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2024/06/26 07:41
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バタフライ効果を和らげる:中国による関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:24JST バタフライ効果を和らげる:中国による関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「バタフライ効果を和らげる:中国によるECFA製品の関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。速やかな救済策アーリーハーベストリスト品目の中国・香港向けの輸出シェアは現在、28.1%近くである。産業界・政府・学界の間では、市場多角化が急務であるとの見方で概ね一致している。しかし、中小企業や農家は、大企業やIT産業のように事業をグローバルに展開することができない。農業・漁業・畜産業と中小企業の国際市場への積極的な進出をどのように手助けするか。これは、頼清徳政権にとって非常に難しい課題である。速やかに経済支援・救済策を講じて中小企業と農家がこの厳しい局面を乗り越える手助けをすることが台湾政府には求められる。中小企業に対して緊急救済融資措置を講じ、低利・無担保の資金調達支援を行い、営利事業所得税を一時的に減税し、資金難を軽減する必要がある。また農家に対しては、直接補助金を支給して基礎所得の安定を図るとともに、補償を迅速に受けられる農業保険制度を新たに導入して生産リスクを軽減すべきである。中小企業と農家の販路拡大を支援するため、政府は国内市場の開拓とeコマースプラットフォームの開発を積極的に推し進める必要がある。中小企業の場合、大規模な国内見本市とマーケティング活動を主催し、eコマースプラットフォームの技術支援と研修を行い、新たな販路を早急に開拓する手助けをすべきである。農家については、大型スーパー・小売店と売買契約を結び農産品の販売を保証するほか、農業生産・販売の参考になる市場需要・価格情報をタイムリーに提供できる市場情報システムを構築することが求められる。頼政権は、短期雇用助成金の支給と研修プログラムの実施で、中小企業が従業員の雇用を維持し、将来の変革ニーズに備えて従業員のスキルを高める支援をすべきである。農家に対しては、一時的な賃金助成金の支給と職業訓練の実施により、基本的な生活水準の確保を図るとともに、非農業分野で新たな雇用機会を得る支援をする必要がある。加えて、行政手続きの簡略化とワンストップサービスの提供、承認にかかる時間の短縮、そして生産に関わる緊急事態への迅速な対処と、農業生産の安定確保を目的とした、農業関連の緊急時救援サービスの確立が政府には求められる。政府はこうした短期的措置を通じて、影響を受ける中小企業や農家を効果的に支援し、この厳しい時期を乗り越える手助けができる。バタフライ効果:政治・経済的影響現時点では、NVIDIAの黃仁勳氏がもたらしたAIテクノロジーの発展やTSMCの半導体サプライチェーンが牽引役となって台湾の経済成長の著しい加速を促し、台湾株式市場で株価指数が最高値を更新している。その一方で、台湾政府は現状に速やかに対処できない中小企業と農家が多数あるという課題に直面している。生産と販売の不均衡が、農家の不満や、市場価格の乱高下による消費者のパニック、中小企業での相次ぐ人員削減を招きかねない。こうした問題がバタフライ効果となり、台湾のさまざまなセクターで不満を醸成し、将来の選挙に影響を及ぼす可能性がある。その結果、2026年の地方選挙では民主進歩党(DPP)が苦境に立たされるかもしれない。最新技術と半導体輸出に支えられ、経済が堅調に推移しているにもかかわらず、中国によるECFAの関税引き下げ措置停止が、台湾のさまざまなセクターに内在する脆弱性を露呈させており、バタフライ効果が広範囲に及ぶおそれがある。一方、中国の関税引き下げ措置停止による経済的影響については、台湾の産業の間で濃淡が見られる。技術や半導体セクターなどの輸出が好調を維持しているのに対して、農業や繊維、小規模製造セクターなどはかなり厳しい状況に直面している。こうした経済的影響の格差はセクターの安定性を脅かすだけでなく、台湾の所得不均衡と地域の経済格差を拡大させる。政治面については、影響を受ける産業や地域の間で高まる不満への対応を台湾政府が余儀なくされており、影響が及んでいることは明らかである。台湾の独立と自治を推進する政策を支持してきた民主進歩党(DPP)は今、経済政策と国際関係への対処をめぐり、厳しい視線と批判の高まりに直面している。中国による関税引き下げ措置停止が野党に攻撃材料を与え、台湾の経済戦略の弱点を浮き彫りとし、経済ショックに対応する政府の実行力に対する世論を悪化させた。社会面では、影響が労働市場や消費者マインドにも波及している。電子機器や製造など中国への依存度の高いセクターで人員削減の兆候が見られるなど、台湾の労働者の間では雇用確保と経済安定への懸念が高まってきた。すでに収益性の低下と高齢化に苦しむ農業セクターを取り巻く厳しい状況は、中国への輸出機会の減少でさらに深刻化している。こうした経済的圧迫が重なり、社会不安や政治に対する不満を招き、中国の政策決定が台湾の社会構造にもたらすバタフライ効果を増幅しかねない。また、生産と販売のミスマッチも、農家の不満や、市場価格の変動に対する消費者の不安、中小企業での相次ぐ人員削減を招くかもしれない。こうした問題がバタフライ効果のように台湾のさまざまなセクターで次第に大きくなっていき、将来の選挙に影響を及ぼす可能性もある。その結果、2026年の地方選挙では民主進歩党(DPP)が苦境に立たされるかもしれない。加えて、今回のECFAの関税引き下げ措置停止は、台湾にとって輸出市場の多角化と中国への依存軽減が不可欠であることを浮き彫りにした。新南向政策の下で、米国や欧州連合(EU)、東南アジア諸国との経済的結びつき強化にシフトすることが一段と急務となっている。こうした地政学的再編により、台湾の経済的脆弱性が緩和されるだけでなく、台湾の経済的レジリエンスと、地域のサプライチェーンにおけるその戦略的重要性に対する世界の認識を改めることもできる。中国の関税引き下げ措置停止によるバタフライ効果を受けて、台湾政府は、堅実に政策の調整を図り、国内産業の強化、イノベーションの促進に加え、関税引き下げ措置停止の影響を受ける中小企業の支援を図らなければならない。ポストECFA時代に台湾の経済的レジリエンスと競争力を高めるには、研究開発への投資増強やグリーン技術導入の奨励、デジタルトランスフォーメーション能力の強化などの取り組みが不可欠となる。結論:不確実な状況をレジリエンスで乗り切る台湾は、中国によるECFAの関税引き下げ措置停止がもたらすバタフライ効果に対応するなかで、重要な経済・政治的岐路に立たされている。経済的脆弱性と政治に対する厳しい視線、社会的課題の三重苦を抱え、台湾の経済的安定と社会的結束を守る、先を見越した対策を打つ必要がある。さらに、台湾はイノベーションや持続可能な開発の実践、人的資本への投資を増やして、国内のレジリエンスを高める取り組みに注力すべきである。一国への依存を減らし、経済的レジリエンス全体を高めるには、志を同じくする国・地域とのつながりの深化と市場アクセスの拡大が欠かせない。結論として、中国の政策決定は台湾に大きな課題を突きつけると同時に、経済戦略を見直し、国際的立場を強固なものにし、すべてのセクターに資する包摂的成長を促すチャンスももたらしている。レジリエンスと先見の明でこうした課題に対処することにより、台湾は不確実な状況を乗り切り、経済の強固化と多角化を図り、ポストECFA時代を迎えることができる。「バタフライ効果を和らげる:中国によるECFA製品の関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。中国 台湾からの輸入製品134品目に対する関税優遇措置を停止へ 写真: NHK(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/25 10:24
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バタフライ効果を和らげる:中国による関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:21JST バタフライ効果を和らげる:中国による関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。中国によるECFA製品の関税引き下げ措置停止の決定は、台湾の経済全体に波及効果を及ぼし、主要産業に多大な影響を与えている。台湾には戦略的対応が求められる。中国は2024年5月31日、紡績や機械など134品目について、6月15日から第二弾の関税引き下げ措置を停止すると発表した。これは、石油化学製品12品目を対象とした2023年12月の第一弾に続く措置となる。これで、「アーリーハーベスト(早期関税引き下げ措置)リスト」品目の27.08%が引き下げ措置停止の対象となり、機械製造やハイテク部品など台湾が比較優位性を持つセクターが影響を受けることになる。台湾産業への経済的影響台湾経済に不可欠な半導体産業は、地政学的緊張が高まるなかでもレジリエンスを発揮している。台湾積体電路製造(TSMC)は世界の半導体生産をリードし続け、目先の経済的影響から台湾を守っているが、半導体の対中輸出は大きな打撃を受け、そのもろさが浮き彫りとなった。台湾経済部は、WTO議定書に従い中国の一方的な措置に対処すると強調し、緊張が高まるなか、経済的影響の緩和と輸出市場の維持のため、国際貿易規範の導入を提唱している。こうした外交アプローチは、貿易紛争の多国間解決を求める台湾の姿勢を示している。中国による関税引き下げ措置停止は、台湾の経済セクター全体に多大な影響を及ぼし、戦略調整とレジリエンス構築策の実施を余儀なくしている。財団法人中華経済研究院が実施した国内調査によると、中国市場への依存度が高い台湾の農業セクターは、関税引き下げ措置停止を受け深刻な課題を突きつけられている。台湾の農業労働者は輸出所得の減少と国際競争力の低下に直面し、341,423人以上の雇用がこの影響を受ける。農村を支え、経済の安定を維持するためには政府の介入は不可欠である。同様に、144,872人の雇用を抱える繊維セクターと製造セクターも、中国市場へのアクセスが低下するなか、不確実性が高まっている。台湾の繊維輸出は、地域貿易協定や生産コストの低さの恩恵を受ける東南アジアの生産者との競争が激化し、多角化戦略が不可欠である。こうした課題に対応するため、台湾は新南向政策を掲げ、ASEAN諸国やインドなど輸出市場を多角化する戦略へと転換を進めている。これら地域との経済的な結びつきの強化は、依存リスクを軽減すると同時に、世界経済の不確実性に対する台湾のレジリエンスを高める。台湾の経済構造に不可欠な中小企業は、関税問題の行方が不透明ななか、課題が山積している。一般設備製造で142,553人の雇用が影響を受ける今、中小企業が必要としているのは、輸出の混乱を切り抜け、競争力の維持に的を絞った政府の支援である。中小企業のレジリエンスを高めるには、革新的な融資策と輸出促進策が欠かせない。経済・貿易政策の影響中国がこれら品目の関税引き下げ措置停止にこだわるのは、台湾の新政権に圧力をかける目的だけでなく、同国の厳しい経済指標にも関係している、とアナリストは指摘する。2024年5月に発表された中国の製造PMIは49.5%に低下し、景気後退入りした。PPIも19カ月連続で下落している。関税引き下げ措置停止の対象となった品目の輸出額は、合計で2013年の798億米ドルから2023年には2,240億米ドルへと2.8倍増加した。その一方で、輸入額は2021年の1,204億米ドルから2023年には924億米ドルへと23.2%も減少している。ECFAのアーリーハーベストリスト品目の関税引き下げ措置停止は、台湾のさまざまな産業に多大な影響を及ぼす。国内調査の結果から、この影響が最も大きいのは農業セクターであり、推計で341,423人が影響を受けることが分かっている。これに半導体産業(308,847人)とプラスチック産業(144,872人)が続く。ほかに影響を受ける産業は一般機械(142,553人)、コンピュータ機器(111,613人)、金型(110,561人)などである。アーリーハーベストリスト品目が輸出全体に占める比率(3.6%)と該当する産業の雇用(2,368,532人)を考えると、85,267人の労働者が影響を受ける可能性がある。依存度の高いICT産業を除くと、この数字は67,870人になる。収益面では、コンピュータ機器産業の打撃が最も大きく、損失額は推計で6.44兆ニュー台湾ドルに上る。これに半導体産業(4.32兆ニュー台湾ドル)と通信機器産業(4.26兆ニュー台湾ドル)が続く。ほかに影響を受けるセクターは石油(1.55兆ニュー台湾ドル)、化学製品(1.39兆ニュー台湾ドル)、鉄鋼(1.36兆ニュー台湾ドル)などである。アーリーハーベストリスト品目が輸出全体に占める比率(3.6%)と、対象となる産業の収益(27.07兆ニュー台湾ドル)を考えると、影響を受けるであろう収益は9,746億ニュー台湾ドルになる。ICT産業を除くと、この数字は4,258億ニュー台湾ドルである。台湾のGDPや地域、産業への影響の広がりアーリーハーベストリスト品目の関税引き下げ措置停止により台湾の産業全体が被る収益の損失は、推計でGDPの1.8%にあたる4,258億ニュー台湾ドルに上る。地域別に見てこの影響が最も大きいのは新北市で、16,211社が影響を受け、これに台中市(15,334社)と台南市(7,838社)が続く。桃園市と彰化県もそれぞれ7,425社と7,350社が影響を受ける。産業別では農業への影響が最も大きく、377,663戸の農家に影響が及ぶ。影響を受ける企業数は、金型産業が13,831社、プラスチック産業が11,659社に達する。ほかに影響が及ぶセクターは水産養殖(11,076漁業経営体)、一般機械(8,816社)などである。台湾新政府の楽観主義の課題中国が特定産業の拡大と景気回復の遅れにより生産能力過剰に陥るなか、台湾政府は、アーリーハーベストリスト品目の対中輸出額が2023年に約150億米ドルに減り、ECFA前のレベルに近づいたとの評価結果を示した。中国向けの輸出シェアは、繊維産業が2010年の35%から2023年には17%に、機械産業と自動車部品産業も、欧州や米国、インド、ベトナム、その他の新南向政策対象国への輸出市場のシフトに伴い、それぞれ24.5%と6.8%に低下した。経済部は、経済的威圧に対抗措置を講じる用意があると示唆するとともに、政策ツールを通じて産業の刷新と市場多角化を支援し、経済リスクの管理と回避を図るとの意向を示した。関税引き下げ措置停止の対象となったアーリーハーベストリスト品目には、1%から12%、平均約8%の関税が課せられる可能性がある。これは、台湾の中小企業を大きく圧迫することになるが、最大の懸念は雇用への影響である。台湾では、リスクの分散を目的とした事業のグローバルな展開に、政府より企業が積極的に取り組んできた。2023年には中国向けの輸出シェアが35%と、21年ぶりの低い水準に落ち込んだ。一方、米国向けの輸出額は2倍に増え、EUと新南向政策対象国向けの輸出額も大幅に増加し、3年連続で輸出額が4,300億米ドルを超えた。アーリーハーベストリスト品目の中国向けの輸出シェアは、2016年の26.1%から2023年には16.4%に低下した。これら品目が輸出全体に占める比率は下がり続け、3.6%になった。2023年は、中国がアーリーハーベストリスト品目のうち370品目で輸出先トップ3に入り、これに米国(242品目)、ベトナム(170品目)、日本(110品目)、香港(68品目)が続く。注目すべきは、53品目の輸出がゼロだった点である。「バタフライ効果を和らげる:中国によるECFA製品の関税引き下げ措置停止を受けた台湾の戦略(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。中国 台湾からの輸入製品134品目に対する関税優遇措置を停止へ 写真: NHK(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/25 10:21
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NYの視点:英仏政局不安でユーロ・ポンドはどうなる?
*07:45JST NYの視点:英仏政局不安でユーロ・ポンドはどうなる?
英仏両国が、奇しくも同じタイミングで政治情勢の大きな転換点を迎えている。フランス議会選は右派勢力拡大による財政運営が懸念され、ユーロは続落。一方、イギリスの総選挙は政権交代が期待され、ポンドは堅調を維持している。ユーロ・ポンド相場は欧州議会選後に軟調地合いとなった。6月30日のフランス議会選に向けた直近の支持率調査によると、右派政党・国民連合(RN)が3割超と、3割弱の左派連合、2割弱の与党・再生を上回る勢い。党首のマリーヌ・ルペン氏はマクロン大統領との協力関係を強調したものの、同国の財政規律は不安視され、選挙直前までユーロ売りは続く可能性がある。一方、英中銀は20日の金融政策委員会(MPC)で政策金利の据え置きを決定。直近のインフレ率低下を背景に利下げ主張の当局者が増え、ハト派的な政策運営を見込んだポンド売りが観測された。ただ、7月4日投開票の総選挙で労働党が保守党を破り、2010年以来の政権奪還が確実視されている。財政リスクでポンド暴落を招いた保守党政権は信任を失い、新政権への期待感が対ユーロでポンドを下支えしているようだ。両国は1997年にも同時期に選挙が行われている。フランスでは当時のシラク大統領が不人気のユーロ導入の争点化を避けるため、任期を1年残した議会を解散。その後の議会選は左派や右派でルペン氏の父親ジャン=マリー・ルペン氏の国民戦線の躍進を許し、シラク氏を支える右派・共和国連合は惨敗した。今回の選挙でルペン氏が与党に勝利したとしたらどこか因縁めいている。イギリスでは、サッチャー、メージャー両氏の保守党長期政権からの変革を訴えた当時40代のブレア氏が労働党を地滑り的大勝利に導いた。その後はブラウン氏に禅譲し、労働党は2010年まで政権を維持。今回14年ぶりの政権奪還を狙う同党が掲げた政策のなかで、1990年代に民営化した鉄道の国営化が目を引く。新自由主義から逆戻りしたスターマー氏の左派政策は、まさに「チェンジ」と言える。ただ、イギリスでも右派勢力は健在。反移民を掲げるナイジェル・ファラージ氏は新たな政党であるリフォームUKを新たに立ち上げ、保守党の凋落を突いて保守層の支持を広げている。同氏はかつて欧州連合(EU)加盟に反対の立場から所属していた保守党を離党した経緯があり、ヨーロッパを席捲する右派の強風がイギリスでも吹き荒れるか注目される。為替については右派勢力が想定外に善戦すればポンドは急反落する可能性がある。
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2024/06/25 07:45
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NYの視点:銀行勢の国債保有増加についての諸問題
*07:39JST NYの視点:銀行勢の国債保有増加についての諸問題
報道によると、財務省の債務管理研究会は6月21日、発行年限の長期化戦略を見直し、銀行勢の有を促すことなどを盛り込んだ提言をまとめ、財務省が発表した。2025年度計画で発行年限の短期化を実現すれば、2020年度以来、5年ぶりとなる。日本銀行による異次元緩和前は銀行の保有比率が4割を超えていたが、日銀が累次元の金融緩和に踏み切った2013年以降、銀行の国債保有残高は漸減した。国の平均発行年限が2024年に8年7カ月となる見込みなのに対し、国内3メガバンクの保有年限は、最長でも2年程度にとどまる。有識者らは今回の提言で、銀行による国債保有を増やす手段として「市中に供給する金利リスク量の軽減を図る対応が必要」と指摘し、国債償還までの期間が長い国債を購入しづらい事情を考慮した発行計画の策定を求めた。一部試算によると、約600兆円に迫る日銀の国債保有量は異次元緩和前から大幅に増加しており、預金取扱金融機関による購入余地は日銀保有の3割前後にとどまるとの民間試算もある。なお、日銀は2024年3月期決算で、保有する国債の評価損が3月末時点で9兆4337億円に上ったと明らかにした。2023年7月以降の金融緩和策の修正で長期金利が上昇し、国債の市場価格が購入時の価格(簿価)を下回った。評価損は期末として2年連続で、前年の1571億円から大きく拡大し、過去最大となった。今回の決算には足元の金利上昇は反映されていないため、評価損はさらに膨張する懸念もある。民間の金融機関が国債保有を大幅に増やすことはリスク管理の観点から容易ではなく、平均発行年限の長期化も同じような理由で難しいとされる。
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2024/06/24 07:39
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日米の注目経済指標:5月米コアPCE価格指数は4月実績を下回る見込み
*14:28JST 日米の注目経済指標:5月米コアPCE価格指数は4月実績を下回る見込み
6月24日-28日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■25日(火)午後11時発表予定○(米)6月CB消費者信頼感指数-予想は100.0参考となる5月実績は102.0。6月については金利高止まり、治安悪化の懸念などの影響が消えていないため、改善は期待薄。4月実績を下回る可能性がある。■27日(木)午後9時30分発表予定○(米)5月耐久財受注-予想は前月比0.0%参考となる4月時実績は前月比+0.6%。輸送用機器の受注増が寄与した。輸送用機器の受注は減少する可能性があるため、横ばいか、低い伸びにとどまる見込み。■28日(金)午前8時50分発表予定○(日)5月鉱工業生産指数速報-予想は前月比+2.0%参考となる4月実績は前月比-0.9%。一部車種の生産停止が影響したようだ。5月については半導体装置の増産が予想されるが、自動車生産の急回復は期待できないため、大幅な伸びは期待できない。■28日(金)午後9時30分発表予定○(米)5月コアPCE価格指数-予想は前年比+2.6%参考となる4月実績は前年比+2.8%。サービス価格、帰属家賃の上昇率は鈍化しつつある。一部では価格の高止まりが観測されているが、全体的な上昇率は4月実績を下回る可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・24日(月):(独)6月IFO企業景況感指数・26日(水):(豪)5月消費者物価指数、(米)5月新築住宅販売件数・28日(金):(日)5月失業率、(英)1-3月期国内総生産改定値
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2024/06/22 14:28
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OSE金は1万2000円ブレイクか サンワード貿易の陳氏(山崎 みほ)
*16:54JST OSE金は1万2000円ブレイクか サンワード貿易の陳氏(山崎 みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎 みほの気になるレポートです。今回は、OSE金についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『OSE金は1万2000円ブレイクか』と述べています。続いて、『OSE金は、NY金の急騰と円安を受けて5月20日に1万2283円と最高値を更新した。ドル円相場は、2度の介入にもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しの後退から、足元では1ドル=157円台に上昇している』と伝えています。次に、『13~14日に開催された日銀金融政策会合は、政策金利が据え置かれただけではなく、国債買い入れについても具体的な計画を次回の7月会合へ持ち越しとし、予想以上にハト派的な内容だった』とし、『植田日銀総裁は会見で、7月会合での追加利上げ決定もあり得るとしたが、現実的には国債買い入れ減額と追加利上げを同時に決定する可能性は乏しいだろう』と分析しています。陳さんは、『こうした要因から、日米の金利差は当面縮まらないとの見方からドル買い・円売りが続くと予想される。また、介入にしてもイエレン米財務長官が為替介入は「稀であるべき」と牽制しているため、介入のしづらさが意識されよう。ドル円は当面、155~160円のレンジでドル高基調が想定されよう』と見解を述べています。また、『OSE金相場は、為替の円安基調を背景に、1万2000円の節目をブレイクする展開が予想される』と考察しています。OSE金のレンジについては、『短期的なレンジは、1万1500~1万2000円。中期的なレンジは、1万1200~1万2300円』と想定しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月20日付「OSE金は1万2000円ブレイクか」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎 みほ
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2024/06/21 16:54
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NYの視点:スイス中央銀行は0.25ポイントの追加利下げを決定
*07:40JST NYの視点:スイス中央銀行は0.25ポイントの追加利下げを決定
スイス中央銀行は6月20日、政策金利を1.50%から0.25ポイント引き下げて1.25%とすると発表した。2会合連続の利下げとなる。報道によると、ジョルダン中銀総裁は、最近のスイスフランの上昇に対し、市場介入する姿勢を示した。市場参加者の過半数が利下げを予想していたようだ。スイス中銀は「基調的なインフレ圧力は前四半期と比べて再び低下した」、「本日の利下げにより、適切な金融環境を維持できる」と述べた。今回の追加利下げを考慮すると、インフレ予測は3月の予測と同程度となるようだ。スイス中銀は「長期的には前回予測をわずかに下回る」と指摘した。市場参加者の間からは「追加利下げは、スイスフラン高ユーロ安が進行していることも考慮した対応」との声が聞かれている。ジョルダン総裁は会見で、「最近のフラン上昇は主に欧州で再び政治リスクが浮上したためであり、われわれは必要に応じて外為市場で積極的に行動する用意がある」、「物価安定の維持は中銀の使命であり、インフレに焦点を当てている」との見解を表明している。一部の市場参加者は、追加利下げは9月と予想していたようだ。一部の市場参加者の想定よりも早い時期の利下げを決めたことについて、ある市場参加者「フランスの債務と選挙が懸念され始めており、それがスイス中銀がフランの過度な上昇を望まない要因となった可能性がある」と指摘している。
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2024/06/21 07:40
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プラチナは押し目完了の可能性 サンワード貿易の陳氏(山崎 みほ)
*16:51JST プラチナは押し目完了の可能性 サンワード貿易の陳氏(山崎 みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎 みほの気になるレポートです。今回は、NYプラチナについてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『プラチナは押し目完了の可能性』と述べています。続いて、『先週のプラチナ相場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ見通しが後退したため下落した』と伝え、『米連邦準備制度理事会(FRB)は12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り政策金利の据え置きを決定した。ただ、最新の政策金利見通しでは、年内の利下げ回数を従来の3回から1回に減らしたことが明らかになり、策金利見通しがタカ派寄りと受け止められた』と説明しています。しかし、『週明け17日は、中国の5月小売売上高が前年同月比3.7%増加し、伸びが前月の2.3%増から加速したことから、中国の景気回復の兆しと受けとめられて、前週末比12.30ドル高の1オンス=970.90ドルに上昇した。18日は、5月米小売売上高が悪化したため、FRBが年内にも利下げに踏み切るとの観測が広がった。米長期金利が低下し、白金相場を押し上げた』と言及しています。次に、『13~14日に開催された日銀金融政策会合は、政策金利が据え置かれただけではなく、国債買い入れについても具体的な計画を次回の7月会合へ持ち越しとし、予想以上にハト派的な内容だった』と伝え、『日米の金利差は当面縮まらないとの見方からドル買い・円売りが続きそうだ。円安はOSEプラチナ相場には支援要因となろう』と考察しています。今週のレンジについては、『NYプラチナ950~1050ドル。OSEプラチナは4700~5300円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月19日付「プラチナは押し目完了の可能性」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎 みほ
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2024/06/20 16:51
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中国共産党中央委員会第3回全体会議の見通し(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:29JST 中国共産党中央委員会第3回全体会議の見通し(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。3中全会の具体的な概要5月23日に山東省で開かれた座談会において習近平氏が行った演説は、第20期3中全会の基調を打ち出すものだと広く受け止められている。中国共産党の機関紙である人民日報は5月26日から29日にかけて、習近平氏の演説を詳しく読み解き、3中全会の輪郭を明らかにする一連の記事を掲載した。習近平氏が演説のなかで強調したのは、党務と国政の動向全体の戦略的現状から出発し、党と国民全体の中心的任務に力を注ぐ必要性である。習氏は、さらなる改革の全面的深化を図り、中国式現代化というテーマを中心に据え、改革の重点を明確化し、価値志向を堅持し、方式と方法を重んじ、中心的任務の遂行と戦略的目標の達成に向けて原動力を強化するうえでの重要な理論・実践的問題について詳しく述べた。経済制度改革は中国にとって最優先課題となった。世界の経済環境が変化する今、中国国内経済の構造的問題はますます顕著化している。消費不振や不動産市場の低迷、投資の減速などの問題は、さらなる経済発展を妨げるだけでなく、中国社会の安定に脅威をもたらしかねない。習近平氏の演説は、全面的な経済改革によりこうした課題に対処することが急務であることを浮き彫りにした。彼が強調したのは、財政、課税、土地、労働、社会安全保障を含めた経済のさまざまなセクターにわたり改革を深化させる必要性である。また、資源配分で市場メカニズムが果たす役割の強化、イノベーションと起業家精神の浸透促進、規制当局の監視強化による金融リスクの予防などの具体的対策も示した。国有企業(SOE)改革は、3中全会の主な焦点の1つとなる。長年にわたり国有企業は中国経済で中心的役割を担ってきたが、その非効率性と非合理的な資源配分といった問題をなかなか解決できずにいる。そのため、国有企業改革を進め、効率化を図ることは、中国の経済改革アジェンダの極めて重要なポイントの1つである。演説のなかで、習近平氏は国有企業を再編・再生し、その競争力と効率性を高めることを重視するとともに、エネルギーや電気通信、輸送など主要セクターでの改革を深化させる必要性と、国有企業の混合所有制や市場志向型経営を奨励する必要性を強調した。ほかに習氏が力説したのは、コーポレートガバナンスと説明責任のメカニズムを強化し、国有企業の透明かつ効率的な事業運営を確保することである。中国経済における民営企業の重要性を軽視することはできない。民営企業はここ数年、政策の不確実性や資金調達難など、さまざまな課題に直面してきた。民営企業のためにより公平で透明なビジネス環境を構築し、イノベーションの活力を喚起することは、中国の経済改革の重要な一助となる。習近平氏は演説のなかで、民営企業の発展を支え、あらゆる所有形態の企業が公平に競争できる環境の醸成の重要性を認めた。彼は、不当競争や恣意的な行政介入、財産権の不十分な保護など、民営企業の成長を阻む制度的障壁や差別的慣習を撤廃する必要性を強調するとともに、中小企業の資金調達の改善と、技術イノベーションの推進、知的財産権の保護の強化を図る施策を呼びかけた。今後の展望中国共産党は伝統的に、大規模な会議を開催することにより重要な問題に対処し解決してきた。何カ月も日程が公表されなかった3中全会の開催予定日である7月中旬から下旬がようやく近づいてきた。一方、今回の遅れは、その背後にある理由と、全体会議で下される決定についての憶測を呼んだ。4月30日の中央政治局会議で3中全会を7月に開くことを決めたとの発表を受けて、議論されていた主要問題がすでに解決し、全体会議で正式な審議と決議を待つだけなのかとの疑問の声が上がった。一部アナリストは、開催の遅れについて、中国が直面する経済・政治面の課題が複雑であり、相互に関連していることなどから、中国共産党幹部の間で検討と調整を重ねる必要に迫られたことが原因かもしれないとの見方を示している。また、3中全会の7月下旬という開催時期は、その議事進行と成果に影響を及ぼす可能性のある、いくつかの重要なイベントや事象の時期と重なる。7月下旬は中国北部で雨季がピークとなり、この地域の洪水対策に極めて重要な「七降八升」の時期である。環境上の懸念に対処し、住民の安全と健やかな暮らしを確保する必要性が、3中全会の議題と優先事項に影響を及ぼすかもしれない。さらに、7月26日のパリオリンピック開幕は世界の注目を集め、3中全会の議事進行にあまり関心が向かなくなるかもしれない。世界各国・地域のリーダーがパリに集まり、国際協力の精神とスポーツマン精神を称えるなか、中国とその指導部が経済改革と経済発展の複雑な課題にうまく対応できるのか、世界が伺うことになる。3中全会で下される決定は、中国のガバナンスと政治的安定に大規模な影響を及ぼすことが予想される。習近平氏の権力基盤の強化と意思決定の一元化は、彼のリーダーシップの主な特徴であり、今度の全体会議ではこの傾向が強まることが予想される。ガバナンスの効率性を高め、政策実施を強化するための政治・行政体制の調整が発表され、中国の最高指導者としての習氏の立場をさらに固めることになるかもしれない。また、国際社会も3中全会の成果を注視する。中国の政策の方向性と改革はグローバルな貿易や投資、地政学的ダイナミクスに大きな影響を与え、経済改革や技術開発、環境政策に関する全体会議での決定は、中国と他国との交流や、グローバル経済で中国が果たす役割に影響を及ぼす。差し迫った課題に対処するだけでなく、3中全会では中国の長期的ビジョンと戦略的目標の概要が明らかにされる可能性が高い。これには、習近平氏が重視するスローガン「共同富裕」の追求が含まれる可能性がある。共同富裕とは、より公平な社会を実現し、経済的恩恵を共有することを目的とすることだ。全体会議では、累進課税や社会福祉プログラム、地域格差是正策など、このビジョンを後押しする政策が打ち出される可能性もある。イデオロギーと党の統制は、今後も中国の政策の方向付けで極めて重要な役割を果たすことになるであろう。習近平氏のマルクス・レーニン主義と社会主義的価値観、ガバナンスのあらゆる面で中国共産党を重視する姿勢が強まることになる。習氏の権限基盤と中国の今後のビジョンをさらに強化するため、党の規律を引き締め、忠誠心を高めることを目的とした、イデオロギー教育の新たなキャンペーンとイニシアチブが発表されるかもしれない。写真: 中国共産党第19期中央委員会第3回全体会議(3中全会)(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/20 10:29
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中国共産党中央委員会第3回全体会議の見通し(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:24JST 中国共産党中央委員会第3回全体会議の見通し(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)はこれまで、経済・政策方針の大々的な転換を打ち出す中国現代史の転機の場となってきた。1978年のトウ小平氏による画期的な改革から、2013年の習近平氏による野心的なアジェンダまで、どの会議も同国の発展の軌跡に消えることのない痕跡を残している。7月初旬に予定されている3中全会の開催を間近に控えるなか、中国は今後の方向性を決める多くの複雑な課題とチャンスに直面している。これまでの3中全会を見れば、今回の全体会議は中国が続ける改革と発展の取り組みにとって極めて重要な意味を持つことが分かる。世界情勢の急速な変化と国内圧力を背景に、今回の会議で下される決定は、過去の方針・政策を振り返って評価するだけでなく、今後の方向性を示すものともなる。そのため今回のコラムでは、間もなく開催される第20期3中全会の見通しと意義の検証を主なテーマとする。中国が現在直面する経済・政治・社会面の課題に加え、全体会議で打ち出されるであろう改革案や政策案について考察し、中国の発展の軌跡と、それが国際社会に与える影響について知見を述べたいと考えている。こうした分析を通して、3中全会で下される決定が、今後の近代化と安定、繁栄に向けた中国の道筋をどのように方向付けるのかを探る。第20回党大会後の経時・環境的背景習近平氏が共産党第20回全国代表大会で権力基盤の強化を図ったにもかかわらず、中国は激動のなかにあり、「平和と繁栄」には程遠い。新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて講じられたゼロコロナ政策は、厳格なロックダウン措置と暮らしへの悪影響が反発を招き、複数の都市で激しい抗議行動を引き起こした。最も抗議行動が目立った武漢や広州などの主要な都市部では、抗議行動が激化した期間、経済活動と消費者マインドが著しく低下したことがデータから分かっている。そのうえ、パンデミックに伴う景気低迷からの急速な回復への期待は、一連の構造的課題にくじかれた。政府の消費刺激策にもかかわらず、経済の先行きと雇用の見通しに対する消費者の根強い懸念を反映して、サービスセクターを中心に消費不振が長期化している。中国の成長をここ数年、主にけん引してきた不動産市場が信用危機に直面しており、不動産開発業者はかさむ負債と規制環境の強化への対処を余儀なくされている。こうした状況が不動産投資の減速と一部主要都市での不動産価格の下落を招き、金融安定への懸念が一段と高まった。さらに、人件費の上昇やサプライチェーンの混乱、地政学的緊張の高まりなどを要因とした外資企業の中国離れも、同国が直面する経済面の新たな課題となっている。なかでも注目すべきは、多国籍企業による製造拠点の東南アジア・南アジア諸国への移転、海外金融機関やIT企業の対中国投資の縮小などである。時を同じくして、米中関係の悪化が地政学的緊張をさらに高め、紛争が起きるのではないかとの懸念が高まっている。2018年に勃発したトランプ政権の対中貿易戦争は、人権や台湾、南シナ海などの問題を包含する幅広い戦略的競争へと姿を変えた。バイデン政権は中国に対してより多面的なアプローチを取っているものの、強まる中国の影響力と自己主張に対処する必要があるという党派を超えた共通認識を反映し、経済制裁や輸出規制などの措置を通して中国政府に圧力をかけ続けてきた。こうした外的課題を抱えるなか、中国共産党内と軍内での権力基盤を強化する習近平氏の取り組みは内部の問題に直面している。習氏の側近だった秦剛外相が公の場から姿を消し、その後、彼の所在についての情報がなかったことから、党内の派閥争いと権力闘争に関する憶測に拍車がかかった。同じく、汚職・背信行為の疑惑が原因と報道されている李尚福国防相の解任により、軍に対する習氏の統制の範囲に疑問が投げかけられ、軍人の反発を生む可能性も出てきた。こうした内的問題を受けて、習氏は不忠分子を粛清し、自らの権力基盤を強化する取り組みを進めている。習氏が10年前に新設したロケット軍を中心とする軍内の大粛清の対象は、背信行為や汚職の疑いがある高官である。軍の戦略支援部隊の改称や解散は、表面上は指揮系統の合理化と軍事行動の効率化を目的としているが、これにより国軍に対する習氏の統制力がさらに強まり、中国の最高指導者としてその権限がさらに強化された。経済面の課題と構造改革かつては急成長と工業化を特徴としていた中国の経済軌道が今、一連の厄介な課題に直面している。中国は過去に例を見ない数十年にも及ぶ経済成長を享受してきたが、ここ数年は成長率が鈍化し、構造的不均衡・非効率性が表面化してきた。コロナ禍がこうした脆弱性を高め、中国の医療システムとサプライチェーン、社会的セーフティネットの弱点を露わにした。中国経済が直面する喫緊の課題の1つは、消費の不振である。ポストコロナを中心に消費支出の増大を目的とした幅広い消費刺激策を政府が打ってきたにもかかわらず、国内消費者は経済の先行きに慎重な見方を崩していない。こうした買い渋りは、所得格差や雇用保障、住宅と医療の価格に対する懸念の広がりを反映している。もう1つの大きな課題は、中国の経済の先行きに暗い影を落とす不動産危機である。中国の成長の柱を長く担ってきた不動産市場は今や、売れ残り住宅のだぶつき、開発事業者の負債水準の上昇、規制強化への対処を余儀なくされている。住宅価格の上昇で国民の不満が高まり、不動産バブルの懸念が生じており、政府は投機の過熱を抑え、市場を安定させる措置の導入を迫られている。こうした国内の課題に加え、中国の経済改革アジェンダは米国など主要貿易相手国との関係悪化に起因する外部圧力にも直面している。トランプ政権が始めた貿易戦争と、知的財産権や市場アクセス、技術移転などの問題をめぐるその後の紛争が2国間関係を損ね、経済のグローバル化の今後に対する懸念を招いている。著名なリベラル派経済学者との座談会を5月23日に広東省で開催した習近平氏の決断は、経済政策決定に対する中国のアプローチの注目すべき転換を示唆している。市場志向型改革を唱え、経済への政府の介入縮減を重視することで知られるこれら経済学者を交えたことは、経済政策の方向付けに多様な視点を取り込む必要性を習氏が認識していることを如実に物語る。1970年代後半のトウ小平氏の改革開放時代以降、周基仁氏などのリベラル派経済学者は、中国の経済政策の方向付けに大きな役割を果たしてきた。市場志向型改革と外国からの投資の開放促進を唱えるこれら経済学者は、経済運営に国家中心型アプローチを取ることを好む党内の保守派とたびたび衝突してきた。間もなく開催される3中全会へのリベラル派経済学者の参加は、中国の経済開発アジェンダにとって大きな意味を持つ。これは、習近平政権側が従来に代わる観点も考慮しつつ、経済面の課題への対処に新たなアプローチを模索する意向であることを示唆している。これら経済学者を招き、その知見と提言を聞くことで、習氏はより市場主導・改革重視型の経済戦略にシフトする可能性があるとのシグナルを発しているのである。中国共産党内の改革派を代表する周氏の知見と提言は、中国の経済改革と経済発展をめぐって続いている議論に貴重な視点を提供する。市場志向型改革の提唱者という周基仁氏の長年にわたる評判と、経済政策の方向付けに関与したという過去の実績が、議論におけるその発言に説得力を与える。北京大学国家発展研究院の教授として、周氏は先頭に立って自由経済の原則を唱え、政府による介入を減らし、より開放され、競争的な市場環境を醸成する重要性を強調してきた。座談会で周基仁氏が強調したのは、制度的障壁を縮減し、一般市民が経済的変化の恩恵を受けられるようにする全面的な改革の必要性である。中国社会における富と機会の不平等な配分に懸念が広まるなか、一般大衆の「獲得感」を重視するという彼の提案は多くの共感を呼んだ。周基仁氏の発言について、フィナンシャル・タイムズ紙は、間もなく開催される3中全会のシグナルの1つであると指摘した。制度的障壁を縮減し、改革で一般大衆の獲得感を高めるという周氏の主張からは、習近平氏が行った演説の主旨に沿って市場志向型改革を続けていくという中国の決意が明確に読み取れる。さらに、周基仁氏が座談会に参加したことで、中国共産党内での政策協議の性格が変わってきていることが浮き彫りとなった。周氏の参加は、より市場主導・改革志向型の経済戦略へとシフトする可能性があることを示唆している。彼の知見と提言が、3中全会の議題と審議の参考となり、中国の経済改革と経済発展に向けた道筋に貴重な視点を提供する可能性が高い。ただし、リベラル派経済学者を座談会に加えたといっても、中国共産党首脳部が必ずしもその見解を全面的に支持しているわけではないと認識しておく必要がある。中国の経済政策決定プロセスの特徴は、複雑な政治・イデオロギー的ダイナミクスであり、さまざまな派閥が影響力・権力争いを繰り広げている。習氏は、リベラル派経済学者が提案する考えの一部を進んで取り入れようとするかもしれないが、政治の安定と社会の連帯、党統制の維持といった重点事項とのバランスを取る可能性が高い。加えて、3中全会の審議にリベラル派経済学者が加わることで、中国共産党内で幅広い政治・イデオロギー的討論が活発化するものと考えられる。経済改革と、政治的支配やイデオロギー的一貫性の維持という党の重要な目標のバランスをいかに取るか。これが、論争の最大の焦点になる可能性が高い。党内には自由化を進め、もっと市場メカニズムに任せることを主張する者がいる一方、安定と社会の調和を優先する、より慎重なアプローチを提唱する者もいる。「中国共産党中央委員会第3回全体会議の見通し(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: 中国共産党第19期中央委員会第3回全体会議(3中全会)(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/20 10:24
注目トピックス 経済総合
南アフリカランド円今週の予想(6月17日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
*16:49JST 南アフリカランド円今週の予想(6月17日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、南アフリカランド円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、南アフリカランド円について、『南アフリカの政局安定を好感して押し目買いが続きそうだ』と述べています。続いて、『先週の南アフリカランド円は上昇した。与党アフリカ民族会議(ANC)と野党第1党の白人主体で経済界寄りの民主同盟(DA)が連立政権を承認したとの報道に加え、保守系民族政党インカタ自由党(IFP)による与党アフリカ民族会議が目指す挙国一致政権へ参加表明したことで、南アフリカの政局不透明感が後退した』と伝え、『また、南ア4月製造業生産が市場予想を上回ったことも強材料となった』と述べています。次に、『5月29日に投開票された南アフリカ総選挙で、与党ANCの得票率が前回2019年時の57.5%から40.2%へ急低下したため、少数政党との連立に必要とされていた45%のボーダーラインを下回ったことで政局不安が高まっていたが、野党第1党のDAとの連立合意がなされたことが市場に安心感を与えたようだ』とし、『これにより、急進左派の「経済的解放の闘士(EEF)」やズマ前大統領が率いる「民族の槍(MK)」が連立から除外されたことも政局不透明感を大幅に後退させた』と解説しています。また、『これにより、海外からの投資資金流入が期待できるようになった』と述べています。陳さんは、『5月22日に記録した約2年ぶり高値8.66円をブレイクする展開が期待される』と考察しています。今週は19日に南アの5月消費者物価指数(CPI)や4月小売売上高が発表されます。南アフリカランド円の今週のレンジについては、『8.35円~8.75円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月18日付「南アフリカランド円今週の予想(6月17日)にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/19 16:49
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メキシコペソ円今週の予想(6月17日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
*16:47JST メキシコペソ円今週の予想(6月17日) サンワード貿易の陳氏(山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、メキシコペソ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、『暴落の後の値固めに移行しよう』と述べています。続けて、『市場の混乱を受けて、メキシコのラミレス財務・公債相は4日、10月に発足する次期政権でも続投し、公的債務の削減と財政規律の維持に取り組み、経済の安定や財政健全化などメキシコの優先事項について、格付け会社や投資家とのコミュニケーション「一新」を目指すと述べ、投資家の懸念払拭に努めた。財務省は声明で、「新政権は2025年までに年間債務の対国内総生産(GDP)比率を中期的に持続可能な3%程度に合致する水準まで低下させる」ことを目指すとした。中央銀行の独立性を守り、法の支配を順守するほか、国内外の民間投資を促進するとも述べた』とし、『しかし、6日にはロペスオブラドール大統領が提案した一連の改革案について、イグナシオ・ミエル議員は新議会が招集される9月に採決できるよう、改革について議論を始めたいと述べた。同議員は後に発言を撤回したものの、7日にはロペスオブラドール大統領が、国のために司法改革が必要だとあらためて述べた』と伝えています。また、『先週、MORENAと緑の党などの連立党は、下院では憲法改正に必要な3分の2の議席を確保し圧倒的多数となったが、上院では過半数を確保したものの、3分の2の議席には及ばなかったことが判明した。これを受けてペソが下げ止まった』と伝え、『しかし、ロペスオブラドール大統領が自身の司法制度改革案が9月に承認される可能性があると発言し、シェインバウム次期大統領は10日、司法制度改革を含む憲法改正案を次期議会の開会前に討議にかける意向を示すと、市場の不信感は強まり、再びペソ売りが広がった。新議会は9月に始まるが、シェインバウム氏の就任は10月のため、ロペスオブラドール氏が改革実現を目指す可能性がある』と解説しています。さらに、『通貨安を受けてシェインバウム次期大統領は11日、法の支配を堅持するとし、司法制度改革に対する投資家懸念の払拭に努めた。12日には、メキシコ銀行(中銀)のロドリゲス総裁は、為替市場のボラティリティーが「極端」になった場合、秩序を回復するために介入する可能性があると述べた』と伝えています。こうしたことから、陳さんは、『来週は27日にメキシコ中銀会合が開催される。とりあえず、下げ止まり、保ち合いに移行しよう』と考察しています。なお、『ペソが暴落する中、11日にドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下の高級車部門アウディは、メキシコ中部プエブラ州における電気自動車(EV)事業に10億ユーロ(10億8000万ドル)を投資すると発表した』と言及しています。メキシコペソ円の今週のレンジについては、『8.30円~9.00円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月18日付「メキシコペソ円今週の予想(6月17日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
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2024/06/19 16:47
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ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:28JST ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。台湾のCPTPP加盟申請がもたらす課題とチャンス台湾がCPTPPへの加盟を積極的に追求しているのは、ITと半導体産業を始めとする対外貿易力の高さの表れである。これらの産業は台湾に、国際貿易における競争上の優位性をもたらしている。台湾経済部のデータによれば、台湾の半導体輸出額は2022年に1,500億ドルに達し、世界市場の15%を占めている。この市場シェアの大きさは、世界の半導体サプライチェーンで台湾が重要な役割を果たしていることを物語っている。台湾のCPTPP加盟は、シンガポール、ベトナム、マレーシアなど一部の国の半導体産業を圧迫する可能性がある一方で、半導体サプライチェーンにおける地政学的緊張の緩和にもつながりうる。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の報告書によると、台湾の半導体生産能力は世界シェアの21%を占めており、CPTPPへの加盟は地域における半導体供給の安定化につながるだろう。世界の技術インフラの完全性と信頼性を維持する上で、半導体供給の安定化は極めて重要である。台湾の消費市場、特に農林水産業や畜産業などのセクターは、外国産農産物の流入に反対している。過去には、米国産の七面鳥肉を輸入したところ、農家から大規模な抗議が起こり、台湾の食品市場の不安定さを浮き彫りにする結果となった。台湾農業委員会(Council of Agriculture、COA)のデータによると、2021年の米国産七面鳥肉の輸入量は1万2,000トンに達し、地元の家禽生産者からの強い反発を招いた。こうした抗議活動は、台湾に外国との競争に対する大きな抵抗感があることを示している。CPTPPへの加盟にあたって台湾が直面する最も大きな課題のひとつが、内政における政治的な反対である。台湾の政治状況は大きく分断されており、国民党(KMT)や台湾民衆党(TPP)などの野党勢力が議会の過半数を占めている。野党勢力はしばしば与党・民進党(DPP)の政策に反対し、議会が行き詰まることが多い。民進党の貿易保護政策は、外国との競争から地元産業を守ることを目的としているが、議会で大きな抵抗にあっている。これにより、民進党はCPTPPの基準を満たす上で義務付けられている改革について議会で承認を得ることが難しくなっている。民進党がCPTPP加盟を推進することで、より大きな社会運動に火がつく可能性もある。歴史上、貿易自由化の取り組みは、特に外国との競争激化による悪影響を恐れるセクターからの抗議を広く招いてきた。例えば、米国産七面鳥肉の輸入をめぐる論争は、貿易政策がいかに反対運動の火種になりうるかを示している。こうした抗議運動がより広範な社会運動へとエスカレートし、政府にとってさらなる圧力になりかねない。台湾の政治的不安定さも重要な要因のひとつだ。台湾世論研究センター(台湾議題研究中心)のデータによると、60%近くの人がCPTPPへの加盟を支持しており、加盟に強い支持があることを示している。しかし、根深い政治的分断と強力な利益団体による大規模な反対の可能性が、大きなハードルとなっている。民進党は、国際貿易自由化を求める声と政治的現実とのバランスを取りながら、こうした複雑な力学を慎重に操ることを求められている。台湾内部の政治的課題に加え、台湾は外部からの政治的圧力とも戦わなくてはならない。中国は「一つの中国」政策に基づいて、台湾の国際協定への参加に反対しており、これが状況を一層複雑にしている。それゆえ台湾政府は、内部の政治的課題に対処するだけでなく、外部の地政学的リスクを軽減する方向で外交戦略を練る必要がある。全体として、台湾のCPTPP加盟に立ちはだかる政治的障壁は多面的であり、議会の行き詰まり、潜在的な社会不安、複雑な外交的配慮といった要素が絡み合っている。これらの課題をうまく克服するには、戦略的な政治工作、広範な合意形成、台湾内外の利害関係者との効果的なコミュニケーションが必要となるだろう。米国のCPTPP不参加がもたらす影響CPTPP加盟諸国は一貫して、米国の再加盟を強く望んでいる。米国が再加盟すれば、大きな市場ポテンシャルと経済的利益をもたらし、CPTPPの経済的影響力は大いに高まるだろう。米国国際貿易委員会の報告書によれば、米国がCPTPPに再加盟した場合、同協定の対象となる経済規模は現在の13.5兆ドルから約25兆ドルに増加し、協定の影響力と影響範囲は大幅に強化されることになる。しかし、米国の政治情勢はこうした再加盟の可能性に大きな課題を突きつけている。大統領就任後に環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したトランプ前大統領は、来る11月の大統領選で有力な候補者となっており、その政策志向を見る限り、米国がCPTPPに再加盟する可能性は低い。このシナリオでは、CPTPPは加盟国間の経済統合と成長を牽引しうる強力な経済大国を欠いたままとなる。この決定を覆すことについて現政権の関心は低く、CPTPPは当初想定されていた主要プレイヤーの一角を欠いたままで運営されることになる。米国不在のなか、CPTPP加盟国は協定の影響力と経済的利益を高めるための代替策を見つけなくてはならない。例えば、オーストラリアと日本は地域貿易と投資を促進すべく二国間協力を強化し、CPTPP全体の経済活力を高めている。これらの国々は、米国不在の影響を緩和するために貿易パートナーシップを多様化し、地域内の経済的結びつきを強化することに注力している。こうした戦略には、新たな二国間協定の締結、既存のCPTPP加盟国間における貿易障壁削減、域内の新興市場に対する投資促進などがある。さらに、多くのCPTPP加盟国と中国が参加する「地域的な包括的経済連携(RCEP)」のような構想は、アジア太平洋における経済統合を補完する枠組みとして機能する。米国不在のすき間を埋め、地域貿易の継続的な繁栄を確保する上で、こうしたイニシアチブは力になるだろう。これらのプラットフォームを活用することで、CPTPP加盟国は経済統合と安定に向けた勢いを維持しようとしている。米国のCPTPP不参加によって課題が生じてはいるものの、これは同時に、加盟国がこの地域の経済状況を形成する上でより積極的な役割を果たす機会でもある。加盟国が革新と協力を進めることによって、世界の貿易協定に新たな基準が打ち立てられることも考えられる。こうした環境が、加盟国のさらなる自立と新たな市場やパートナーシップの模索を促し、より多様で強靭な地域経済を育むだろう。これらの戦略に注力することで、CPTPP 加盟国は米国の直接的な関与がなくとも、地域経済の成長と統合を促進する強固かつダイナミックな貿易協定の構築に向けて取り組めるようになるだろう。まとめCPTPPへの加盟は中台双方にとって重要な戦略的目標だが、この目標を達成するには複雑な課題を乗り越える必要がある。国際的経済協力における長期的な目標を達成するため、両国は国外からの政治的圧力、国内の政治力学、経済的回復力のバランスを取ることを余儀なくされている。地政学的緊張と国内政治における障害は、慎重な対処を要する大きなハードルとなるだろう。各国はこのプロセスを通じて、地域経済の繁栄と安定をともに促進すべく柔軟性と協力的姿勢を示さなくてはならない。CPTPPの拡大と発展は、今後も引き続き課題と機会の両方をもたらすだろう。加盟の意向を示す国が増えるにつれ、CPTPPは新規加盟国が地域の経済協力と発展に真に貢献できるよう、基準と要件を継続的に引き上げていく必要に迫られるだろう。台湾がCPTPPへの加盟を成功させるには、多大な努力と巧みな戦略的位置取りが必要になる。加盟への道を切り開くため、台湾は外圧と内部の政治的分断との両方への対処を迫られる。これら課題を克服することで、台湾は国際的な影響力と経済力を強化するための重要なプラットフォームを得られるだろう。特にITと半導体産業における台湾の競争優位性は、台湾をCPTPPの貴重なメンバーに押し上げ、協定全体の成功に貢献するチャンスをもたらしてくれるだろう。一方中国は、CPTPPの高い基準を満たし、公正な競争や市場アクセスに関する既存加盟国の懸念に対処しなくてはならないなど、独自の課題に直面している。中国が現加盟国から受け入れられるには、経済政策と慣行をCPTPPの原則にもっと近づける必要がある。こうした状況では、国際協力と多国間貿易メカニズムの効果的な運用がますます重要になるだろう。世界貿易の繁栄と安定を促進するため、各国が協力していくことが必要だ。放置すればCPTPPの拡大と成功の妨げにもなりうる政治的・経済的障壁を克服するためにも、こうした協力姿勢は極めて重要である。結論として、中国と台湾のCPTPP加盟への道のりには多くの課題があるが、その潜在的利益ゆえに追求する価値のある目標である。戦略的改革、協力の強化、高度な基準の順守を通じて、中台ともCPTPP加盟から大きな経済的・地政学的メリットを得られるだろう。写真: The logo of Trans-Pacific Partnership (TPP) trade deal(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/19 10:28
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ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:24JST ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している陳建甫博士の考察をお届けする。2024年5月30日、第33回中国・ニュージーランド経済貿易合同委員会会合がオンライン上で開催された。会談の中で中国の商務部国際貿易談判副部長・王受文(おう・じゅぶん、Wang Shouwen)氏は、ニュージーランドが中国の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加盟申請を積極的に支援することへの期待を表明した。しかし、ニュージーランドの公共放送は6月6日、専門家の談話を引用し、中国のCPTPP加盟の可否はニュージーランドの裁量の範囲外だと伝えた。地政学的な緊張はあるものの、ニュージーランド政府は中国と台湾両方のCPTPP加盟を支持する姿勢だ。CPTPPはアジア太平洋地域における加盟国間の自由貿易を促進し、経済関係を強化することを目的とした高水準な貿易協定である。2017年に米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した後にこの形となり、現在の加盟国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11か国だ。同協定は、関税削減、サービス貿易、投資、知的財産、電子商取引など幅広い分野をカバーしている。高い基準を設定し、透明性と規制の一貫性を促進することで、CPTPPはより一体的な競争力のある地域経済の創造を目指している。CPTPPへの加盟は、市場アクセスの拡大、海外直接投資の強化、経済成長の強化など、加盟国に大きな経済的利益をもたらす。このため、この地域における経済的影響力と機会の拡大を熱望する中国や台湾などにとって非常に魅力的な存在となっている。中国、台湾がCPTPP加入を望む理由英国のCPTPP加盟手続き開始以降、中国や台湾などが加盟の意向を示している。CPTPPは一見盛り上がっているように見えるが、加盟国は今なお米国の再加盟を切望している。米国の加盟は同協定の経済的規模と影響力の大きな底上げにつながるからだ。英国国家統計局のデータによると、英国のCPTPP加盟は2024年までに同国のGDPに約0.8%の増加をもたらすと予想されている。CPTPP加盟が経済的利益をもたらすことを示す成功例がいくつかある。例えばチリとペルーは、CPTPP加盟に先立ち包括的な経済改革を行い、規制の透明性を向上させ、外国企業による市場アクセスを強化した。世界銀行の報告書によると、CPTPP加盟後チリへの外国直接投資(FDI)は約15%増加し、CPTPPが経済成長の促進につながることを実証した。同様に、ペルーも貿易額と投資額が大幅に増加し、経済の安定と成長につながっている。CPTPP創設メンバーであるシンガポールは、協定を通じて世界貿易ハブとしての地位をさらに強固なものにした。シンガポール通商産業省(MTI)のデータによると、CPTPP加盟国はシンガポールの貿易総額の23%を占めており、シンガポール経済における協定の重要性を裏付けている。アジア太平洋経済協力(APEC)の指摘によれば、CPTPP加盟国間の貿易額は協定発効後の2年間で約10%増加しており、ここでもCPTPPが地域経済の統合・成長の促進につながることが証明されている。こうした成功事例は、協定が求める高い基準を満たすことができれば、CPTPP加盟が加盟国に大きな経済的利益をもたらしうることを示している。中国と台湾にとって、こうした潜在的利益は非常に魅力的だ。中国について言えば、国内の経済成長が鈍化するなか、経済的影響力を拡大し自国の商品やサービスを売り出すために新たな市場の確保を狙っている。世界銀行のデータによると、2023年の中国のGDP成長率はわずか2.3%で、過去10年間の平均成長率6%を大きく下回っている。中国はCPTPPへの加盟が、貿易と投資の拡大による経済の活性化につながるものと期待している。一方台湾は、ITと半導体産業を中心に対外貿易能力の強化を目指している。台湾経済部のデータによれば、台湾の半導体輸出額は2022年に1,500億ドルに達し、世界市場の15%を占めている。CPTPPへの加盟は、台湾の経済的地位を強化するだけでなく、地域の半導体サプライチェーンの安定化、地政学的緊張の緩和にもつながるだろう。こうしたデータや成功事例は中国と台湾にとって貴重な参考材料となっており、CPTPPへの加盟が首尾よく叶えば、世界経済においてより多くのチャンスと利益が得られることを示している。中国と台湾は、潜在的な経済的利益と、ハイレベルな貿易協定の一員であることの戦略的重要性を認識しており、双方ともCPTPP加盟を優先課題に掲げている。CPTPP加盟が中国にもたらす課題とチャンスニュージーランドは経済的観点から中国と台湾のCPTPP加盟を支持しているが、CPTPP加盟における中国の優位性は徐々に失われつつある。世界銀行のデータによると、2023年の中国のGDP成長率はわずか2.3%で、過去10年間の平均成長率6%を大きく下回っている。さらに、中国の内需市場は依然として低迷を続けており、経済成長への足枷となっている。中国は輸出企業向けの補助金政策によって中国製品が低価格で国際市場に参入することを可能にしているが、これはCPTPP加盟国にとって受け入れがたいことだ。OECDの報告書によれば、中国による輸出企業への補助金総額は2022年には約1,500億ドルに達している。これらの補助金によって中国製品は国際市場で価格優位性を得ているが、このような競争は公正ではないとみなされ、他国から不満の声が上がっている。さらに、中国の政策は国内の消費者市場を保護し、中国市場への外国企業の参入を妨げている。例えば、欧州商工会議所の報告書は、中国市場に参入する際、外国企業の多くが複雑な承認手続きや高いコストというハードルに阻まれ、中国での競争が困難になっていると指摘している。CPTPP加盟国は中国と国交があり、関税協定にも署名してはいるものの、二国間の経済関係は必ずしも互恵的なものではない。加盟国のほとんどが、中国との関税協定締結を機に低価格の中国製品が国内市場に流入し、地元産業に打撃を与えていると不満を漏らしている。オーストラリア・ビジネス評議会(BCA)のデータによると、中国との関税協定締結後、オーストラリアの対中輸出増加率はわずか5%であったのに対し、中国の対豪輸出は25%も増加しており、貿易関係が不均衡であることを示している。こうした課題がある一方で、CPTPPへの加盟は中国にとって大きなチャンスとなる。CPTPPは中国に新たな市場へのアクセスを提供し、貿易パートナーシップの多様化に役立つだろう。中国が米国など主要経済国との貿易摩擦の激化に直面するなかで、この点は特に重要である。CPTPPの高度な基準を順守することで、中国は世界貿易における評判を高め、長期的な経済成長を維持する上で不可欠となる、より多くの外国投資を誘致できるだろう。さらに、中国がCPTPPに加盟することで地域の経済統合が促進され、他のアジア太平洋諸国との経済的結びつきが強化される可能性がある。こうした形での統合が、地域経済の課題に取り組み、持続可能な開発の促進を目指した、より協力的な取り組みにつながるかもしれない。また、中国はCPTPP加盟により多国間貿易枠組みの順守を示すことになり、地政学的緊張を緩和し、より安定した地域経済環境の醸成につながる可能性がある。要約すると、中国はCPTPPが求める高い基準を順守し互恵的な貿易への期待に応えるという大きな課題に直面してはいるが、経済の多様化、外国投資の増加、地域統合の強化につながる潜在的なチャンスは、中国が加盟の道を模索する十分な理由と言える。これらの課題をうまく乗り切るには、大規模な経済改革と公正な貿易慣行への真摯な取り組みが不可欠となるが、これらは中国の長期的な経済戦略に大きな見返りとなって返ってくるだろう。「ニュージーランドの支援でCPTPP加盟を目指す中国(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: The logo of Trans-Pacific Partnership (TPP) trade deal(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/19 10:24
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米5月小売予想下回るも消費の底堅さも見られる
*07:43JST NYの視点:米5月小売予想下回るも消費の底堅さも見られる
米商務省が発表した5月小売売上高は前月比+0.1%と、伸びは4月から改善も予想+0.3%を下回った。4月分も0%から-0.2%に下方修正された。変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比-0.1%と、予想外に2カ月連続のマイナスに落ち込んだ。ガソリンの売り上げが―2.2%、そのほかレストランなどでの売り上げが落ちたことが指数を押し下げた。ただ、自動車レンタルやスポーツ用品など売り上げは伸びた。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、食品を除いたコントロールグループは前月比+0.4%と、予想を小幅下回ったものの、前月比―0.5%からプラスに改善した。消費の底堅さも見られ米国の利下げを大きく織り込むのは時期尚早か。
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2024/06/19 07:43
注目トピックス 経済総合
NYの視点:FRBは利下げに慎重、インフレ改善基調再開も
*07:39JST NYの視点:FRBは利下げに慎重、インフレ改善基調再開も
パウエル議長を含め連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定当局者は依然、利下げに慎重な姿勢を維持していることが先週開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の結果で明らかになった。消費者物価指数(CPI)は4月に続き5月もインフレ改善基調の再開が確認されたほか、PCE価格指数も少なくとも、加速は見られなかった。FRBの姿勢が他国中銀にもいくらか影響を与える可能性も指摘されている。FRB政策当局者は1-3月期のディスインフレ停滞への懸念が払しょくできないでいる。24年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権は有さないが、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、「高インフレが依然懸念」と指摘し、経済が予想通り展開したら、年内1回の利下げを予想している。ただ、不透明感が多く、2回の利下げの可能性や利下げを実施しない可能性も除外しなかった。同じく、本年の投票権を持たないがミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は週末のインタビューで、利下げを12月まで待つことが「理にかなう」と想定していることを明らかにした。市場は11月の利下げを織り込んだほか、12月に追加利下げに踏み切る可能性も織り込み始めている。
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2024/06/18 07:39
注目トピックス 経済総合
NYの視点:【今週の注目イベント】英中銀、豪準備銀、米小売など
*07:39JST NYの視点:【今週の注目イベント】英中銀、豪準備銀、米小売など
今週は英中銀や豪準備銀、スイス国立銀が金融政策決定会合を実施する。それぞれ政策据え置きが予想されている。英中銀は今回の会合では政策を据え置くが、8月から利下げを開始すると見られている。その後、9月は見送り、インフレ動向次第では11月に追加利下げの可能性が予想されている。日本、英国、ユーロ圏は消費者物価指数(CPI)を発表。今後の金融政策決定を巡り注目材料となる。英国のCPIの減速が滞った場合、英中銀の利下げ開始が9月に先送りされる可能性も指摘されており、結果は重要。米5月小売売上高は4月の横ばいから伸びが加速する見通し。同時に、高インフレや労働市場への懸念に消費者が支出に消極的になっている兆候が見られる。6月のミシガン大消費者信頼感指数も昨年11月来で最低に落ち込んだ。予想外に鈍化が示されると年内の利下げ観測をさらに後押しし、ドル売り材料となる。逆に予想以上に消費が強い兆候が見られると、利下げ観測の後退でドル買いが強まる可能性もある。ユーロはフランスの政局リスクに引き続き軟調推移が予想される。■今週の主な注目イベント●米国17日:NY地区連銀製造業18日:小売売上高、企業在庫、鉱工業生産、対米証券投資、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演、ローガン米ダラス連銀総裁、クグラー理事がイベント参加、ムサレム米セントルイス連銀総裁が講演、グールズビー米シカゴ連銀総裁が討論会参加19日:米国市場休場20日:住宅着工件数21日:中古住宅販売、先行指数、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演●日本17日:機械受注19日:貿易収支、4月会合議事録公表21日:CPI●英国19日:CPI20日:英中銀金融政策決定会合21日:製造業PMI●欧州17日:EU非公式サミット、レーンECB理事、イベント参加18日:ユーロ圏CPI、独ZEW、デキンドスECB副総裁講演20日:ユーロ圏消費者信頼感、ユーロ圏財務相会合21日:ユーロ圏製造業PMI、サービスPMI●中国17日:小売売上高、鉱工業生産、失業率、中国人民銀行1年物中期貸し出しフォシリティ金利引き下げ予想20日:融資金利●豪州18日:豪準備銀金融政策決定会合
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2024/06/17 07:39
注目トピックス 経済総合
国内外の注目経済指標:日本の5月コアCPIは4月実績並みの水準か
*12:59JST 国内外の注目経済指標:日本の5月コアCPIは4月実績並みの水準か
6月17日-21日に発表予定の経済指標の予想については以下の通り。■17日(月)午前11時発表予定○(中)5月小売売上高-予想は前年比+3.0%参考となる4月実績は前年同月比+2.3%にとどまった。自動車販売の減少が影響した。5月については自動車買い替えの際の補助金支給が開始されており、この影響で伸び率は4月実績を上回る可能性がある。■18日(火)午後9時30分発表予定○(米)5月小売売上高-予想は前月比+0.2%参考となる4月時実績は前月比横ばい。5月については反動増が予想されるものの、金利上昇の影響もあることから、やや低い伸びにとどまる見込み。■19日(水)午前8時50分発表予定○(日)5月貿易収支-予想は-1兆2995億円先行指標である5月上中旬の貿易収支は-1兆3538億円。赤字幅は前年同期比-3.2%。前年5月の貿易収支は-1兆3822億円だったことから、今年5月の貿易収支は昨年5月と同程度となる可能性がある。■21日(金)午前8時30分発表予定○(日)5月消費者物価コア指数-4月実績は前年同月比+2.2%参考となる4月実績は前年同月比+2.2%と、市場予想と一致。サービス価格の上昇圧力は緩和されつつあり、5月については4月実績と同水準のインフレ率となる可能性がある。○その他の主な経済指標の発表予定・17日(月):(日)4月コア機械受注・18日(火):(米)5月鉱工業生産・20日(木):(英)英中央銀行政策金利発表・21日(金):(欧)6月ユーロ圏製造業PMI、(米)6月サービス業PMI
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2024/06/15 12:59
注目トピックス 経済総合
《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(2)【中国問題グローバル研究所】
*10:59JST 《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。アジアの巨人、SamsungとHuaweiが迎える苦境SamsungやHuaweiといったアジアのハイテク大手が直面している危機は、半導体産業における台湾の重要性をさらに際立たせている。AI技術の開発と実装をめぐる複雑な状況で舵取りをするなか、両社は重大な課題に取り組んでいる。例えばSamsungは、急速に進化するAI市場において競争力を維持できるか深い懸念を抱いている。同社の認識では、AI技術で遅れを取ってしまえば、世界的な市場シェアとイノベーション能力にまで影響を及ぼしかねない。それゆえ、SamsungはAIの進歩に不可欠な最新のチップ技術に確実にアクセスできるよう、台湾の半導体企業との提携に向けた取り組みを強化している。一方、Huaweiは地政学的緊張と米国の制裁によって悪化した多面的な危機に直面している。かつては電気通信業界とAI開発のリーダーであった同社であるが、現在は不安定な立場を余儀なくされている。貿易制限ゆえに最先端のチップを調達できないことが、AIに関する同社の野心に深刻な影響を及ぼしている。ハイエンド半導体の製造においてHuaweiが台湾TSMCに依存している点から見ても、両者の関係は重要である。TSMC製最先端チップの入手が叶わなければ、HuaweiはAIその他の先端技術で競争力を失い、世界の技術競争から取り残されるおそれがある。こうした苦況は、AI技術開発の持続可能性をめぐってアジアのハイテク大手企業に広がる懸念を浮き彫りにしている。単なる戦略的選択の枠を超え、技術的リーダーシップを維持するためにも、台湾の半導体能力に依存せざるを得ないのが現状だ。SamsungとHuaweiが直面した危機は、世界のハイテクエコシステム、特にAIと最先端の半導体技術において台湾が必要不可欠な役割を果たしていることをまざまざと見せつけている。まとめ台湾の半導体産業は、そのイノベーション、サプライチェーン、地政学的ダイナミクスにより世界のテクノロジーを支える礎となっている。NVIDIA社のジェンスン・フアン社長兼CEOの発言は、台湾TSMCが最先端チップ製造の先導役となっているなど、半導体技術の進歩において台湾が極めて重要な役割を果たしていることを改めて強調するものだった。また、AMDやIntelのようなハイテク分野の世界的リーダーが台湾への大規模な投資計画を発表したことで、台湾の影響力が国境を越え大きく広がっていることが明らかとなった。世界のIT業界の中心的存在という地位は、イノベーション、サプライチェーンの強靭さ、国際協力に対する台湾の真摯な姿勢の賜物でもある。台湾テックアリーナ(TTA=Taiwan Tech Arena、臺灣科技新創基地)や「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF=Global Cooperation and Training Framework)のようなイニシアチブを通じて、台湾はイノベーションを促進し、専門知識を共有し、世界の繁栄に貢献している。その一方で、米中関係が緊張する状況において台湾が置かれた立場は、経済的利益と地政学的現実との間の微妙なバランスの上に成り立っており、安定と対話の必要性を浮き彫りにしている。今後の展望に目を向けると、台湾の半導体産業は引き続き技術革新を推進し、グローバルなパートナーシップを育み、地政学的な複雑さをも乗り越えていくだろう。人材育成、持続可能な慣行、国際協力に投資することで、台湾はデジタル革命の最前線に立ち続け、ハイテク産業の未来を形成し、世界経済の成長と安定に貢献できる態勢を整えている。写真: Nvidia CEO Jensen Huang台湾 台北国際コンピュータ見本市でファン氏が基調演説(※1)https://grici.or.jp/巨大テクノロジー企業による戦略的投資台湾の半導体のレベルの高さを受けて、NVIDIA、AMD、Intelなど世界的なハイテク企業は同国に大規模な投資を行うことを選択し、台湾の技術力への信頼とイノベーション育成に対する本気度を示している。台北国際コンピュータ見本市《Computex 2024》でこれら企業は、台湾の技術エコシステムにおける存在感を高め、現地パートナーとの連携を深めることを狙った大規模な投資計画を発表している。RyzenプロセッサやRadeonグラフィックスカードで知られる半導体大手、AMDのケースを見てみよう。AMDが台湾に構える研究開発センターの拡張を決定したことは、半導体業界の技術革新を推進する上で台湾が重要な役割を担っていることの表れである。台湾の豊富な人材、研究インフラ、ハイテク企業からなるエコシステムを活用することで、AMDは次世代コンピューティング技術の開発を加速させ、競争の激しい半導体市場でライバル企業に先んじようとしている。同様に、イノベーションと卓越したコンピューティング能力の代名詞ともされる、アメリカを代表する半導体メーカーIntelは、台湾に新たな製造・研究開発施設を設立する計画を発表した。半導体製造と技術革新における台湾のリーダーシップを利用することで、Intelは競争力を強化し、半導体業界のグローバルリーダーとしての地位を維持することを目指している。今回発表となった戦略的投資は、Intelと台湾の関係強化にとどまらず、最先端の半導体研究開発拠点としての台湾の地位をさらに高めるものとなる。技術的成果もさることながら、米中間の緊張が高まる状況においては、地政学の視点から見た台湾の重要性も軽視できない。技術とイノベーションのグローバルなつながりを維持するためにも、世界のハイテク・サプライチェーンにとって重要な結節点である台湾の安定と安全は至上命題である。軍事演習や外交的関与の増加をはじめとする昨今の地政学的動向から見ても、アジア太平洋地域における台湾の戦略的地位が重要であることは明らかだ。これに加えて台湾の半導体産業は、重要なサプライチェーンやテクノロジーに対する影響力と支配力とをめぐって米中両大国が覇権を争う大規模な地政学的対立の場ともなっている。米国は台湾の戦略的重要性を認めており、「台湾関係法」や武器販売の増加などを通じて台湾との関係強化を図ってきた。これとは対照的に、中国は台湾の大陸への経済的依存を利用する一方で、政治的目的を達成するべく圧力をかけるという、アメとムチによる二重の戦略を続けてきた。日本とEU ―テクノロジー分野の戦略的パートナーシップを強化日本の視点から見ると、《Computex 2024》はIT産業と半導体サプライチェーンにおいて台湾が果たしている極めて重要な役割を際立たせるものであった。技術革新で名を馳せる日本は、半導体製造と技術的進歩を側面から支える台湾の強みに一目置いている。ソニー、パナソニック、東芝をはじめとする日本のIT企業は、同イベントで台湾の関係者と積極的に交流し、協力と技術交流の道を探っていた。そこでの議論の中心となっていたのが、共同研究開発ベンチャー、サプライチェーン最適化、次世代半導体技術の開発といったテーマである。こうした交流は台日技術提携の重要性を際立たせただけでなく、技術革新の推進とサプライチェーンのレジリエンス維持に向け、より深い協力関係の土台を築くものでもあった。EUは、IT分野における台湾とのパートナーシップ強化に戦略的な重点を置いて《Computex 2024》に臨んだ。デジタル変革を成功裡に推し進めるための具体的な目標を示した政策文書、いわゆる「デジタルコンパス」の指針に則った取り組みの一環として、EUは技術力の強化とサプライチェーンの多様化を目指している。Siemens、SAP、Ericssonといった欧州の大手IT企業は同イベントに積極的に参加し、人工知能、5Gインフラ、IoTソリューションなどの分野で台湾企業との連携機会を模索していた。そこでの議論は主に、共同研究プロジェクト、技術移転メカニズム、シームレスな協力を促進するための規制枠組みをめぐって展開された。EUは、半導体製造とイノベーションに関する台湾の専門知識を活用することで、世界のIT業界における競争力を強化し、テクノロジーでの主導権確保を目指している。《Computex 2024》閉幕を迎えるにあたり、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、「台湾Taiwan」という名に埋め込まれた「AI」の2文字について印象深い見解を述べている。それは、人工知能の未来を形作る上で台湾が極めて重要な役割を担っていることを強調するものだった。台湾がAI技術の進化に尽力していることは、技術革新という面での台湾の卓越性を物語るだけでなく、世界の発展に向けてより広範に取り組んでいることをも意味している。同氏は台湾がAI分野における重要なプレイヤーとして台頭し、世界的なAIインフラ整備に大きく貢献しうる態勢にある、とも述べている。こうした所見は、台湾の業績に対するより広範な認識と呼応するものであり、卓越性に向けた台湾の揺るぎない努力と、世界を舞台に多大な影響力を持つことに対する同国の誇りの表れでもある。「《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Nvidia CEO Jensen Huang台湾 台北国際コンピュータ見本市でファン氏が基調演説(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/14 10:59
注目トピックス 経済総合
《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(1)【中国問題グローバル研究所】
*10:55JST 《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(1)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している(※1)陳建甫博士の考察を2回に渡ってお届けする。はじめにグローバルなハイテク業界において台湾の半導体産業は単に一翼を担うだけの存在にとどまらず、むしろ要とも言える存在であり、イノベーションの推進と経済圏の形成に加え、地政学にも影響を及ぼしている。本論では、台湾の半導体産業が持つ多面的な意義を掘り下げ、その優れた技術力、戦略的パートナーシップ、地政学的な意味を探る。鍵となる出来事、講演、投資などを包括的に分析することで、ますます加速する世界のハイテク競争において台湾が果たしている重要な役割を明らかにする。台北国際コンピュータ見本市《Computex 2024》は、台湾の半導体業界の実力を知らしめる重要なプラットフォームとして、日本やEUなど世界の主要プレイヤーから強い関心を集めた。さまざまな国際的視点からの関わりや手応えを得た同イベントは、世界のITエコシステムにおける台湾の役割の重要性を際立たせるものとなった。台湾大学でのNVIDIA社CEO講演 ― テクノロジーにおける台湾の価値国立台湾大学(NTU)での基調講演においてNVIDIA社のジェンスン・フアン(Jensen Huang、黃仁勳)CEOは、台湾がNVIDIA社さらにはハイテク産業の成功のために決定的な役割を果たしてきたと断言した。その発言は台湾全土に響き渡るとともに世界的にも反響を呼び、テクノロジーの世界における台湾の貢献度の高さを改めて知らしめた。台湾を「私の故郷であり、パートナー」と呼び、「世界で最も重要な国の一つ」と述べることで、同氏は台湾の半導体エコシステムとNVIDIA社の技術革新との深いつながりを示して見せた。フアンCEOはまた、人工知能(AI)の将来についても言及し、医療から自動運転まで、AI技術がさまざまな分野で革命をもたらす可能性を語った。NVIDIA社がAI分野で掲げる野心的目標は、台湾の強固な半導体産業という強力なバックボーンがあってこそだとして、「台湾の高度な半導体技術のおかげで、NVIDIAは信頼性が高く効率的なAIサプライチェーンを構築できた」と述べている。高度なデータセンターからスマートシティまで、あらゆる分野の発展を促進するAIソリューションの開発と展開にとって、こうしたサプライチェーンは不可欠な存在だ。NVIDIAのAIプラットフォームに台湾製の最先端チップをシームレスに組み込むことで、未来のAIに求められる優れた性能と信頼性を確保できる。ジェンスン・フアン氏の講演からは、世界のサプライチェーンにおいて台湾の半導体産業が中心的な位置を占めていることが明白に見て取れた。台湾ハイテクセクターの中核であるTSMC(台湾積体電路製造)は、世界最大の半導体製造工場として、膨大な数の技術機器に欠かせない高度なチップを幅広く製造している。スマートフォンやノートパソコンからデータセンター、自動車システムに至るまで、TSMCが誇る最先端の製造技術は無数のイノベーションを生み出す基盤となっている。ここで、iPhone、iPad、MacBookで知られるハイテク巨大企業、Apple社のケースに目を向けよう。Appleは同社の主力デバイスを支えるAシリーズプロセッサの製造にあたって、TSMCの高度なチップ製造能力に大きく依存している。チップ製造におけるTSMCの専門技術を活かすことで、Appleは性能、電力効率、技術革新の面で常に時代の先端を牽引してきた。AppleとTSMCのこの共生関係は、世界的な技術進歩を促すために台湾の半導体産業が果たしている役割がいかに重要かを示すものだ。台湾の半導体産業の戦略的重要性は、Appleのような巨大ハードウェア企業にとどまらず、電気自動車と自動運転分野の先駆者であるTesla社のような最先端技術企業にまで及んでいる。自動運転という野心的なビジョンを支えるTeslaのオートパイロットと「フルセルフドライビング(FSD)」機能は、TSMCの半導体ソリューションに大きく依存している。Teslaの車載コンピュータを支えるカスタム設計のチップから、リアルタイムのデータ処理を可能にする高度なセンサーやプロセッサに至るまで、TSMCの半導体技術は「持続可能な自動運転が当たり前になる未来」というTeslaのビジョンを実現する上で、極めて重要な役割を果たしている。巨大テクノロジー企業による戦略的投資台湾の半導体のレベルの高さを受けて、NVIDIA、AMD、Intelなど世界的なハイテク企業は同国に大規模な投資を行うことを選択し、台湾の技術力への信頼とイノベーション育成に対する本気度を示している。台北国際コンピュータ見本市《Computex 2024》でこれら企業は、台湾の技術エコシステムにおける存在感を高め、現地パートナーとの連携を深めることを狙った大規模な投資計画を発表している。RyzenプロセッサやRadeonグラフィックスカードで知られる半導体大手、AMDのケースを見てみよう。AMDが台湾に構える研究開発センターの拡張を決定したことは、半導体業界の技術革新を推進する上で台湾が重要な役割を担っていることの表れである。台湾の豊富な人材、研究インフラ、ハイテク企業からなるエコシステムを活用することで、AMDは次世代コンピューティング技術の開発を加速させ、競争の激しい半導体市場でライバル企業に先んじようとしている。同様に、イノベーションと卓越したコンピューティング能力の代名詞ともされる、アメリカを代表する半導体メーカーIntelは、台湾に新たな製造・研究開発施設を設立する計画を発表した。半導体製造と技術革新における台湾のリーダーシップを利用することで、Intelは競争力を強化し、半導体業界のグローバルリーダーとしての地位を維持することを目指している。今回発表となった戦略的投資は、Intelと台湾の関係強化にとどまらず、最先端の半導体研究開発拠点としての台湾の地位をさらに高めるものとなる。技術的成果もさることながら、米中間の緊張が高まる状況においては、地政学の視点から見た台湾の重要性も軽視できない。技術とイノベーションのグローバルなつながりを維持するためにも、世界のハイテク・サプライチェーンにとって重要な結節点である台湾の安定と安全は至上命題である。軍事演習や外交的関与の増加をはじめとする昨今の地政学的動向から見ても、アジア太平洋地域における台湾の戦略的地位が重要であることは明らかだ。これに加えて台湾の半導体産業は、重要なサプライチェーンやテクノロジーに対する影響力と支配力とをめぐって米中両大国が覇権を争う大規模な地政学的対立の場ともなっている。米国は台湾の戦略的重要性を認めており、「台湾関係法」や武器販売の増加などを通じて台湾との関係強化を図ってきた。これとは対照的に、中国は台湾の大陸への経済的依存を利用する一方で、政治的目的を達成するべく圧力をかけるという、アメとムチによる二重の戦略を続けてきた。日本とEU ―テクノロジー分野の戦略的パートナーシップを強化日本の視点から見ると、《Computex 2024》はIT産業と半導体サプライチェーンにおいて台湾が果たしている極めて重要な役割を際立たせるものであった。技術革新で名を馳せる日本は、半導体製造と技術的進歩を側面から支える台湾の強みに一目置いている。ソニー、パナソニック、東芝をはじめとする日本のIT企業は、同イベントで台湾の関係者と積極的に交流し、協力と技術交流の道を探っていた。そこでの議論の中心となっていたのが、共同研究開発ベンチャー、サプライチェーン最適化、次世代半導体技術の開発といったテーマである。こうした交流は台日技術提携の重要性を際立たせただけでなく、技術革新の推進とサプライチェーンのレジリエンス維持に向け、より深い協力関係の土台を築くものでもあった。EUは、IT分野における台湾とのパートナーシップ強化に戦略的な重点を置いて《Computex 2024》に臨んだ。デジタル変革を成功裡に推し進めるための具体的な目標を示した政策文書、いわゆる「デジタルコンパス」の指針に則った取り組みの一環として、EUは技術力の強化とサプライチェーンの多様化を目指している。Siemens、SAP、Ericssonといった欧州の大手IT企業は同イベントに積極的に参加し、人工知能、5Gインフラ、IoTソリューションなどの分野で台湾企業との連携機会を模索していた。そこでの議論は主に、共同研究プロジェクト、技術移転メカニズム、シームレスな協力を促進するための規制枠組みをめぐって展開された。EUは、半導体製造とイノベーションに関する台湾の専門知識を活用することで、世界のIT業界における競争力を強化し、テクノロジーでの主導権確保を目指している。《Computex 2024》閉幕を迎えるにあたり、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、「台湾Taiwan」という名に埋め込まれた「AI」の2文字について印象深い見解を述べている。それは、人工知能の未来を形作る上で台湾が極めて重要な役割を担っていることを強調するものだった。台湾がAI技術の進化に尽力していることは、技術革新という面での台湾の卓越性を物語るだけでなく、世界の発展に向けてより広範に取り組んでいることをも意味している。同氏は台湾がAI分野における重要なプレイヤーとして台頭し、世界的なAIインフラ整備に大きく貢献しうる態勢にある、とも述べている。こうした所見は、台湾の業績に対するより広範な認識と呼応するものであり、卓越性に向けた台湾の揺るぎない努力と、世界を舞台に多大な影響力を持つことに対する同国の誇りの表れでもある。「《Computex 2024》グローバルなテクノロジーエコシステムの要石、台湾(2)【中国問題グローバル研究所】」に続く。写真: Nvidia CEO Jensen Huang台湾 台北国際コンピュータ見本市でファン氏が基調演説(※1)https://grici.or.jp/
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2024/06/14 10:55
注目トピックス 経済総合
NYの視点:米5月PPIも伸び鈍化、ただQ1より高い水準で懸念も存続、PCEでさらに確認へ
*07:45JST NYの視点:米5月PPIも伸び鈍化、ただQ1より高い水準で懸念も存続、PCEでさらに確認へ
米労働省が発表した5月生産者物価指数(PPI)は前月比-0.2%と、4月+0.5%から予想外に3月来のマイナスに落ち込んだ。昨年10月来で最低の伸び。ガソリン価格の下落が指数を押し下げた。前年比では+2.2%。伸びは4月から拡大予想に反し縮小した。4月分は+2.3%と、+2.2%から上方修正された。エネルギーや食品を除いたコア指数は前月比0%と、伸びは4月+0.5%から予想以上に縮小。また、前年比では+2.3%と、4月+2.5%から予想外に伸びが縮小した。PPIは一部項目が個人消費支出(PCE)価格指数を構成する項目と重なるため物価圧力の減速が予想されている。PCE価格指数の算出にも使用される航空運賃は4.3%低下。ポートフォリオ運用サービスは1.8%低下。診察料は横ばい、外来医療費は0.5%上昇。5月PCE価格指数は前月比+0.1%前後と、年初来で最低の伸びに留まると現状で、予想されている。特に連邦準備制度理事会(FRB)が焦点をあてている変動の激しい燃料や食品を除いたPCEコア価格指数は前月比+0.2%と、4月と同水準の伸びに留まり、前年比では2.6%と、21年3月来の低い伸びに留まる見通し。一方、5月PPIで伸び鈍化が見られたが、1月―3月期に比べ依然高い水準を維持している。このため、市場参加者の中でもインフレ鈍化基調に依然懐疑的見方も根強い。予想通りにPCEコア価格指数に改善が見られれば、利下げ観測がさらに強まることになる。
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2024/06/14 07:45
注目トピックス 経済総合
トルコリラ円今週の予想(6月10日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
*17:30JST トルコリラ円今週の予想(6月10日)サンワード貿易の陳氏 (山崎みほ)
皆さん、こんにちは。フィスコリサーチレポーター山崎みほの気になるレポートです。今回は、トルコリラ円についてのレポートを紹介します。陳さんはまず、今週のトルコリラ円について『インフレ鈍化への期待から堅調に推移しそうだ』と述べています。続けて、『5月のトルコ消費者物価指数(CPI)は前年比75.45%上昇し、伸び率は4月の69.8%から加速し、市場予想の74.8%をやや上回った。教育、住宅、飲食店価格が大幅に上昇した。5月の生産者物価指数は前月比1.96%上昇、前年比では57.68%の上昇だった』と伝えています。また、『ロイター調査によると、一連の中央銀行の利上げなどにより、インフレ率は2024年末までに42.6%まで鈍化すると予想されている」とし、『前月比のインフレ率も3.37%と、4月の3.18%から加速したほか、予想(2.7-3.3%)を上回った。ただ、こちらも今後は鈍化すると見込まれている』と説明しています。陳さんは、『トルコリラは、今年に入ってから8%以上下落しているが、3月以降はほぼ安定しており、インフレ軟化期待が下支えしている』とし、『ただ、今回の指標を受けてトルコ中銀による追加利上げ観測が高まった。トルコ憲法裁判所による「中央銀行総裁を任期中に解任する大統領権限を無効とする判断」決定は、中銀の独立性を担保するものとしてリラを下支えした』と見解を述べています。また、『米金融大手JPモルガンは、5月末にトルコ国債の投資判断を「オーバーウエート」に引き上げると発表した』と伝えています。今週はトルコの4月鉱工業生産や、4月失業率、4月経常収支、4月小売売上高等の複数の経済指標が発表されます。トルコリラ円の今週のレンジについては、『4.65円~4.95円』と予想しています。参考にしてみてくださいね。上記の詳細コメントは、ブログ「テクニカルマイスター」の6月11日付「トルコリラ円今週の予想(6月10日)」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。フィスコリサーチレポーター 山崎みほ
<CS>
2024/06/13 17:30
注目トピックス 経済総合
NYの視点:FOMC中立姿勢でハト派バイアス強めず、CPI改善も、利下げ遅れる可能性への懸念も
*07:41JST NYの視点:FOMC中立姿勢でハト派バイアス強めず、CPI改善も、利下げ遅れる可能性への懸念も
連邦準備制度理事会(FRB)は11日から12日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通りで政策金利据え置きを決定した。声明では、「インフレが2%目標に向けさらなる進展が不足」から「わずかに進展した」と、インフレの進展の判断が上方修正された。■スタッフ予測GDP:24年+2.1%(3月2.2%)、25年2.0%(+2.1%)PCEコア:24年2.9%(2.65%)25年:2.35%(2.2%)金利:24年:5.125%(3月4.625%)、25年:4.125%(3.875%)インフレ見通しが上方修正されたほか、特に注目されていた金利予測も3回利下げ予想から1回の利下げ予想に修正された。市場は平均で2回利下げ予想への修正を想定していた。FOMCの委員は1-3月期のインフレ進展停滞を巡る不透明感がまだ払拭していない模様。4月に続き5月も消費者物価指数(CPI)も予想以上に伸びが鈍化し、ディスインフレ基調の証拠となったものの、パウエル議長は政策を巡るバイアスを何も示さなかった。唯一、委員会の中で、誰も追加利上げをベースケースとして見ていないと、指摘。FOMCが予想以上に利下げに慎重で、タカ派的な見解が主流となっている可能性が指摘されている。同時に、一部投資家の間で、FRBの利下げが過剰に遅れるリスクへの懸念も広がった。
<CS>
2024/06/13 07:41