注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
日本ヒューム Research Memo(2):日本におけるヒューム管の歴史とともに始まった総合コンクリートメーカー
■会社概要1. 会社概要日本ヒューム<5262>は総合コンクリートメーカーである。日本におけるヒューム管の歴史とともに始まり、日本仕様に合った標準仕様を生み出し全国普及につなげ、コンクリートパイル(杭)、下水道管路の耐震化工法や管渠更生工事工法の開発、コンクリート二次製品の設計・製造・施工といった全方位のワンストップサービスを提供している。また、建設市場の人手不足を補うプレキャスト製品、社会インフラの老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取り組み(i-Construction)等の技術開発も推進している。国内事業所は、本社(東京都港区)と北海道支社、関東・東北支社、東海支社、関西支社、九州支社の5ヶ所に支社があり、沖縄を含む全国の地域をカバーしている。各支社には営業所と工場を有する。海外事業所は、香港、インドネシアの2ヶ所にある。同社グループは、同社と連結子会社8社、非連結子会社(持分法非適用関連会社)1社及び関連会社(持分法適用関連会社)6社で構成されている(2022年3月)。持分法適用関連会社には、NJS<2325>※と旭コンクリート工業<5268>が含まれている。※NJSは1951年9月に、同社の子会社として設立された。目的は上下水道・工業用水・その他利水工事の計画調査測量設計の請負及びこれに関する工事監理である。現在は同社の持分法適用関連会社となっている(所有比率:35.9%(2022年3月31日現在)。ヒューム管とは、鉄筋コンクリート管を指す。一般的に下水道や上水道、農業用水や工業用水、地中に電線等のケーブルを通すための管等の分野で広く利用されている。ヒューム管を発明したのはオーストラリアのヒューム兄弟である。オーストラリアでは、灌漑に汚水や鉄管内に汚物が留まってしまうため、その対策としてコンクリート管の利用にヒントを得たと言われている。日本では1924年に初めて輸入し、1925年から同社により本格的に国内で生産が開始されたと言う。時代の変化に応じて事業領域を広げる2. 沿革同社の創業は1925年(大正14年)である。以降、同社は30年ごとに事業領域を拡大してきたと言える。創業からの約30年は、「激動の時代と成長の基礎固めの時期」であった。下水道関連事業として、下水道等の衛生環境を整える仕事を手掛けていた。そして、1949年に東京証券取引所に上場を果たす。次は、「高度経済成長と飛躍する時期」であり、ビルや工場が建設されていくなかで、もう1つの主力事業である基礎事業が育った。そして、1989年以降は「総合コンクリート会社、エクセレントカンパニーを目指す時期」として、様々な工法の開発に取り組んできた。同社はこれまでにも、社会よりも先に環境問題に取り組んできた実績がある。ヒューム管、コンクリートパイルへの取り組みを経て、今後はプレキャストコンクリートに向かっていく局面である。そのようななか、同社は2025年に創業100周年を迎える。弊社では、安全・安心な環境づくりを目指して、今後も同社の挑戦は続いていくと考える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<EY>
2022/07/01 16:42
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日本ヒューム Research Memo(1):コンクリートテクノロジーで社会的課題の解決を目指す
■要約日本ヒューム<5262>は総合コンクリートメーカーである。日本におけるヒューム管の歴史とともに始まり、我が国におけるヒューム管の標準仕様を生み出し全国普及につなげ、その後事業領域を拡大し、コンクリートパイル(杭)、下水道管路の耐震化工法や管渠(かんきょ)更生工事工法の開発、コンクリート二次製品の設計・製造・施工といった全方位のワンストップサービスを提供している。また、建設市場の人手不足を補うプレキャスト(成形済)製品、社会インフラの老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取り組み(i-Construction)等の技術開発も推進している。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.1%減の29,501百万円、営業利益で同16.2%減の1,449百万円、経常利益で同6.8%減の2,526百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同0.3%増の2,136百万円となった。基礎事業は、売上高で同5.5%減の16,830百万円、営業利益で同65.6%減の234百万円となった。コンクリートパイルの全国需要は前期並みとなったもようだが、原材料価格の上昇の影響が響いた。下水道関連事業は、売上高で同0.5%増の11,168百万円、営業利益で同15.0%増の1,914百万円となった。防災・減災、国土強靭化対策に向けた高付加価値製品やプレキャスト化の提案に注力しており、収益性は向上した。太陽光発電・不動産事業は、売上高で同1.2%減の1,444百万円、営業利益で同0.1%増の801百万円となった。太陽光の発電・売電が安定したほか、不動産賃貸収益も堅調に推移した。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績見通しは、売上高で前期比8.5%増の32,000百万円、営業利益で同10.3%増の1,600百万円、経常利益で同1.1%減の2,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同15.7%減の1,800百万円である。鋼材価格がもう一段値上がる可能性はあるものの、基礎事業では公共構造物や物流倉庫関連、下水道関連事業では引き続き防災・減災関連の高付加価値製品で売上拡大を見込んでいる。3. 中期の成長戦略同社が属するコンクリート製品業界において、公共事業は国土強靭化対策の下支えから堅調に推移すると予想されるが、民間需要はばらつきがある状況である。一方、激甚化する風水害、大規模地震、社会インフラの老朽化、少子高齢化・建設業の技能者不足、エネルギー問題、地球温暖化等の社会課題は山積となっている。同社はこれまで培ってきたプレキャストコンクリート製品等の技術をベースに、これらの社会課題に取り組むことで、持続的な成長を目指す考えである。■Key Points・2022年3月期は、原材料価格の上昇等が響き、前期比3.1%減収・16.2%営業減益・2023年3月期は、鋼材価格がもう一段値上がる可能性はあるものの、基礎事業と下水道関連事業の堅調な推移により、前期比8.5%増収・10.3%営業増益を見込む・防災・減災、社会インフラ老朽化対策、再生可能エネルギーや脱炭素への取り組みなどで、中期的に持続可能な成長が期待できるだろう(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
<EY>
2022/07/01 16:41
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翻訳センター Research Memo(8):2022年3月期は配当金40円(20円増)に回復
■株主還元策翻訳センター<2483>は、企業の利益成長に応じた継続的な還元を行うことを方針としている。2021年3月期はコロナ禍の影響で減益となったために減配となったが、2022年3月期は配当金年間40円(前期比20円増)、配当性向23.2%と大きく戻した。2023年3月期は配当金45円(同5円増)、配当性向24.1%を予想している。過去最高益予想を背景に、配当金もコロナ禍前を超える過去最高の更新を見込む。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:18
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翻訳センター Research Memo(7):2025年3月期に売上高121億円、営業利益11億円を目指す
■中長期の成長戦略翻訳センター<2483>は、2023年3月期から2025年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画を2022年5月に発表した。前中期経営計画では、経営ビジョン「すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ」の下、機械翻訳の戦略的な活用を重点施策に据え、中長期的な競争力を支える言語資産の蓄積と運用に向けた環境の構築に取り組んだ。具体的には、分野特化型機械翻訳「製薬カスタムモデル」の開発・販売をはじめ、人手翻訳の技術・ ノウハウと機械翻訳などのテクノロジーを組み合わせた翻訳サービスを定着させたことなどで成果が上がった。一方で、コロナ禍の影響により、一時的に需要が低迷したため、業績目標は未達となった。新中期経営計画の最終年度となる2025年3月期における数値計画は、売上高で12,100百万円(年平均成長率5.4%)、営業利益で1,100百万円(年平均成長率10.7%)である。注目に値するのは、利益の伸びである。初年度の2023年3月期には910百万円と過去最高益を更新し、さらに利益を積み上げる計画である。結果として連結営業利益率では最終年度に9.0%(直近実績は7.8%)へ上昇させる。同社はコロナ禍前の5年間(2014年3月期~2019年3月期)で、売上高の年平均成長率6.5%、営業利益の平均成長率19.8%を成した実績がある。同社は、翻訳・通訳業界で知名度が高く、機械翻訳をいち早く導入して生産性も高めているため、新中期経営計画期間においても、着実に増収増益の継続が期待できる。新中期経営計画では、従来の経営ビジョン「すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ」の下、新たな基本方針として「ビジネス環境の変化やデジタル化の進展に対応しつつ、業界・ドキュメント別に最適化された言語資産の活用モデルを確立し、対象市場でのプレゼンスを高め、持続的な成長を実現する。」が打ち出された。これまでの業界別に特化して専門性を高める戦略をベースに、新たに「ドキュメント別」という戦略視点が加わった。1つ目の重点施策は「ドキュメント集約メカニズムの構築」である。分野特化型機械翻訳「製薬カスタムモデル」の開発・販売により、人手翻訳が同社に集約し顧客内シェア拡大に成功した事例があるが、必ずしもすべての業界で同様の取り組みができるわけではない。対策として、より細かいレベル(ドキュメント軸)で専門特化領域を育成する。2つ目の重点施策は「ドキュメント別言語資産活用モデルの確立」である。同社の翻訳業務においてドキュメント別モデル作成により機械翻訳(MT)精度を向上させ、翻訳事業の売上利益率をさらに向上させる。3つ目の重点施策は「働き方改革や事業変革を支える経営基盤の整備」である。前中期経営計画期間では、翻訳周辺プロセスにおいてBPMS(Business Process Management System)の開発を進めたものの、途中で断念した経緯がある。今回は全体最適をトップダウンで推し進めるのではなく、個別のプロセスの改善を積み重ねることで生産効率の向上を図る方針だ。ドキュメント種類まで細分化して戦略を再構築すると、様々なメリットが浮かび上がってくる。一例を挙げると、「特許明細書」では、付加価値業務として「クレーム部分の訳文調整」を提案しており、業界横断で知的財産部(知的財産関連担当部署)への展開を実現している。また、「研修資料」では、言語資産が蓄積されると業界横断で人事部(人材育成担当部署)へ展開できる可能性が生まれる。さらに、ドキュメント別にモデルを作成すると機械翻訳の精度が向上し生産性がより向上する。ドキュメント別の戦略は、今後の売上高の成長と利益率の向上の両面でインパクトが期待できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:17
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翻訳センター Research Memo(6):2023年3月期は営業・経常利益で過去最高益を予想
■今後の見通し翻訳センター<2483>の2023年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比7.3%増の11,100百万円、営業利益が同12.1%増の910百万円、経常利益が同9.3%増の920百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.1%増の620百万円とコロナ禍前の水準を超え、営業・経常利益で過去最高益を予想する。翻訳事業の売上高は前期比で672百万円増(前期比8.6%増)と増収を見込む。新中期経営計画の基本方針・重点施策の下、各種業界ごとに求められる専門性の確保に加え、新たにドキュメント別の専門性の追求も推し進め、顧客シェアの拡大を図る。内訳としては、2022年3月期に最も伸びた特許分野が2023年3月期にも同223百万円増(同9.7%増)と伸び、経済情勢の影響を受けにくい医薬分野も同196百万円増(同6.7%増)となり、コロナ禍の影響から回復した工業・ローカライゼーション分野は同191百万円増(同9.5%増)と続く。金融・法務分野は同59百万円増(同10.3%増)ではあるが、伸び率では最も高い分野である。派遣事業は前期比で57百万円増(前期比4.8%増)と堅調に推移する見込みである。通訳者・翻訳者の確保を最優先に、新型コロナ禍の影響に伴うテレワークの定着化を背景とした顧客企業の需要の変化に対応しつつ、製薬企業、情報通信関連企業、金融関連企業等での業績拡大を目指す。通訳事業は引き続き業績が回復傾向であり、同64百万円増(同9.9%増)。コンベンション事業はコロナ禍の影響が残り同40百万円減(同18.5%減)を予想する。通訳事業・コンベンション事業は、ともにオンライン通訳やオンライン会議運営支援などデジタルを活用したサービス提供を中心に展開していく。2022年6月初旬時点では、インバウンドの本格的な規制緩和が計画されており、特に厳しい事業環境が予想される通訳・コンベンション業界においても好転の兆しも見えてきた。ちなみに、同社に関連するインバウンド事例として、製造業における国際的基準の監査業務や国際会議などにおける翻訳・通訳・コンベンションサービスの利用などがある。営業利益は前期比98百万円増(前期比12.1%増)と過去最高益を予想する。翻訳事業においては、引き続き機械翻訳や翻訳支援ツールなど最先端技術の積極的な活用を推進し、生産性を上げていくものの、改善効果を価格低減に反映させる戦略もあるため、原価率はほぼ変わらない予想である。売上総利益率は47.7%(同0.3pt増)を見込む。2023年3月期上期の営業利益予想は340百万円、下期は570百万円となっており、例年どおり季節性が見られる。従来より同社の業績予想の精度には定評があり、弊社では2023年3月期も売上高・各利益ともに予想値を達成するものと見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:16
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翻訳センター Research Memo(5):2022年3月期は増収増益。機械翻訳などデジタル化進展により原価が低減
■業績動向1. 2022年3月期通期の業績翻訳センター<2483>の2022年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比4.3%増の10,337百万円、営業利益が同94.0%増の811百万円、経常利益が同80.8%増の841百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同387.0%増の573百万円と堅調な増収と各利益の大幅なV字回復を達成した。売上高に関しては、主力の翻訳事業及び通訳事業がコロナ禍の落ち込みから回復し、全社の増収をけん引した。翻訳事業では前期比308百万円増(前期比4.1%増)となった。特許分野は、主要顧客である特許事務所からの受注が好調に推移したこと等により同216百万円増(同10.2%増)となった。医薬分野では、外資製薬会社からの受注が好調に推移し、国内製薬会社との取引も堅調なことから同1.0%増(同29百万円増)となった。工業・ローカライゼーション分野では、同10百万円減(同0.5%減)となった。ただし2022年3月期から収益基準の変更を行っており、旧基準に換算して比較すると同253百万円増(同12.4%増)となり、最も伸びた業種分野だったことがわかる。主要顧客である自動車関連や機械関連の企業の需要回復がその要因である。金融・法務分野では、企業の管理系部署からの受注が好調に推移したのに加え、保険会社からの大型案件受注やIR関連資料の受注増加などにより、同75百万円増(同14.7%増)と伸びた。派遣事業においては、語学スキルの高い人材への底堅い需要に支えられ堅調に推移したものの、期間限定業務終了の影響などから同16百万円減(同1.3%減)となった。通訳事業では、顧客企業における対面での会議・商談の自粛が長期化しているものの、オンライン会議の定着に伴う通訳需要を積極的に取り込み、同178百万円増(同37.0%増)と大幅に回復した。コンベンション事業では、「第19回国際EBウイルスシンポジウム」「第2回東アジア文化都市サミット」など延期となっていた案件の開催が徐々に再開したものの、大規模な国際会議やイベントの開催における制限の長期化に加え、サービスのデジタル化に伴う案件の規模縮小が影響し、同78百万円減(同26.1%減)となった。売上総利益は前期比12.2%増と2ケタ増、売上総利益率は47.4%と同3.3ポイントの大幅な改善となった。これは機械翻訳や翻訳支援ツールを積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んだ成果である。販売費及び一般管理費は同3.5%増と、微増にとどまった。結果として、営業利益は、売上総利益増のインパクトが大きく同94.0%増と前期からV字回復した。セグメント利益では、翻訳事業が同287百万円増、通訳事業が同53百万円増、コンベンション事業が同41百万円増と、派遣事業を除くすべての事業が増益に貢献した。自己資本比率70%超。無借金経営を継続。短期及び中長期の安全性が極めて高い2. 財務状況と経営指標2022年3月期末の総資産は前期末比877百万円増加の7,172百万円となった。そのうち流動資産は795百万円増加となった。現金及び預金の726百万円、受取手形及び売掛金の106百万円がそれぞれ増加したことが主な要因である。固定資産は81百万円増加となった。投資その他の資産の増加が主な要因である。負債合計は前期末比311百万円増加の2,081百万円となった。そのうち流動負債は296百万円増加となった。未払法人税等の100百万円、買掛金の91百万円がそれぞれ増加したことが主な要因である。固定負債には大きな変化はなかった。なお同社は無借金経営を継続しており、有利子負債はない。経営指標では、流動比率で333.7%、自己資本比率で70.9%とともに高い水準にあり、財務の安全性は高いと言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:15
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翻訳センター Research Memo(4):主力の翻訳事業は4分野に専門特化。大規模プロジェクトなどにも対応可能
■事業概要2. 翻訳事業主力の翻訳事業は、翻訳センター<2483>本体、連結子会社のHC Language Solutions、(株)パナシア及びメディア総合研究所が行っている。分野特化戦略を推進しており、「特許」「医薬」「工業・ローカライゼーション」「金融・法務」の4分野に組織が分かれ、専門化している。a) 顧客業界とサービス内容「特許分野」の顧客は特許事務所や企業の知的財産関連部署であり、主に特許出願用の明細書など特許関連文書の翻訳サービスを提供する。電機、機械、化学、製薬やバイオといった業種の大手メーカーが中心である。「医薬分野」の顧客は国内外の製薬会社・医療機器会社であり、医薬品・医療機器の研究開発から承認申請、マーケティングまで、あらゆるステージで発生する文書の翻訳サービスを提供する。グローバルのトップ製薬会社は外注する翻訳会社を絞る傾向にあり、プリファードベンダー(優先調達先)になれないと取引できない場合も増えている。同社では実績と知名度を背景に世界のトップ製薬会社の多く(世界大手の約3分の2)と取引実績があり、大手製薬会社をターゲットにプロジェクト型案件及び顧客常駐型サービスの拡大を推進している。「工業・ローカライゼーション分野」は、自動車、電機、精密機械といった主要製造業からエネルギー、情報・通信、IT、ゲームといった非製造業まで幅広い産業領域を対象とする。取扱文書は、仕様書、作業手順書、取扱説明書、教育資料、Webサイトなど様々であり、1つのドキュメントから複数の言語に翻訳することも多い。「金融・法務分野」の顧客は国内外の銀行・証券・保険会社、法律事務所及び企業の管理系部署である。金融関連では目論見書や運用報告書、法務関連では各種契約書、企業管理部署関連では決算短信や有価証券報告書、株主総会招集通知、アニュアルレポートなどのIR関連の開示資料などが代表的な文書である。近年、企業の管理系部署との取引を拡大している。b) 強み同社の特長は「組織化・システム化された営業・制作機能」である。これにより要求の厳しい産業翻訳の顧客に対してバランスの良い価値(品質、スピード、コスト)を提供できるうえ、大規模プロジェクトや多言語案件にも機動的に対応できる。営業機能に関しては、1) 専門特化によるノウハウ蓄積2) 信頼されるコミュニケーションと顧客社内他部門への展開3) グループネットワークを生かしたサービスの提案などが強みとなっている。制作機能に関しては、1) 2,681名の翻訳・通訳登録者(2022年3月末時点)2) ICTによる登録者マッチングシステム3) NMT、PE、翻訳支援ツール(CAT)、独自開発ツール・マクロの活用4) 80言語以上に対応5) 専門特化した子会社(メディカルライティング、海外への特許出願支援など)などが強みとなっている。営業及び制作の両機能は相互に影響し合い好循環を生んでいる。同社は、基本戦略として「NMTに本格的に取り組む事業モデルへの転換」を実行してきた。NMT化を図る戦略のターニングポイントとなったのは、2017年10月に行われた機械翻訳エンジン開発会社であるみらい翻訳への資本参加(持分比率11.3%)である。2016年11月にGoogleが翻訳ツールにNMTを採用したことで翻訳精度が格段に向上したことを背景に、企業が保有する翻訳データを効果的に学習できるNMTが必要不可欠であると判断したことが資本参加の目的だった。現在同社は機械翻訳エンジン「Mirai Translator ®」の代理店として外販活動も行っている。NMT及びPEを翻訳工程に取り入れ、主要4分野で作業時間の短縮を図る取り組みを開始してから5年間が経過した。成果は売上総利益率の向上という形で明らかとなっている。先行導入した特許分野を筆頭にいずれの分野でも利益率が向上した。価格競争において一部の改善効果は顧客への値引きに還元される。同社ではまだ全ての案件でNMTを活用できているわけではないため、今後も継続して売上総利益率の向上が期待できる。c) セグメント別業績推移翻訳事業全体としては、2015年3月期から業績が右肩上がりで推移してきたが2020年3月期に踊り場となり、2021年3月期の業績はコロナ禍の影響により落ち込んだ。2022年3月期は全体として需要の回復基調が鮮明であり、コロナ禍前の2019年3月期水準まで回復したと言える。翻訳事業全体では2022年3月期の売上高は7,828百万円(前期比4.1%増)、営業利益は784百万円(同58.0%増)と増収増益となった。特許分野では、主要顧客である特許事務所からの受注が好調に推移した。医薬分野では、国内外の製薬会社からの安定した受注により増収となった。工業・ローカライゼーション分野では、自動車、機械など製造業の顧客を中心に需要が回復した。金融・法務分野では、企業の管理系部署との取引等が好調に推移した。3. 派遣事業派遣事業は連結子会社アイ・エス・エスが行う事業であり、語学スキルの高い人材を顧客企業へ派遣する。昨今は金融関連企業やITサービス関連企業、医薬品関連企業からの求人が堅調に推移している。2022年3月期も期間限定業務の終了などの影響を受けたものの安定した業績を残した。売上高は1,212百万円(前期比1.3%減)、営業利益は86百万円(同17.9%減)と減益となった。4. 通訳事業通訳事業は連結子会社アイ・エス・エスが行う事業であり、IRカンファレンスや商品発表会、各種イベントなどでの通訳業務を請け負う。顧客企業における対面での会議・商談の自粛が長期化しているものの、オンライン会議の定着に伴う通訳需要を積極的に取り込み、業績は回復傾向である。ただし、オンラインでの通訳業務は対面に比べると短時間で完了する場合が多く、案件規模が以前より小さくなっている。2022年3月期の売上高は655百万円(前期比37.0%増)、営業損失は16百万円(前期は69百万円の損失)と業績は上向いた。5. コンベンション事業コンベンション事業は連結子会社アイ・エス・エスが行う事業である。コンベンション開催のタイミングには、通訳や翻訳のニーズも同時に発生するため、グループシナジーが期待できる。また事業特性として、案件規模が大きくコンペティションで受注が決まるため、業績の変動が大きい。2017年3月期などでは大規模な国際会議を受注し大きく業績を伸ばした。2020年3月期第4四半期からはコロナ禍の影響でイベントの中止や延期を余儀なくされている。続く2021年3月期及び2022年3月期も同様に大型国際会議の開催中止・延期の影響が大きく、完全な回復には至っていない。2022年3月期の売上高は220百万円(前期比26.1%減)、営業損失は16百万円(前期は57百万円の損失)となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/07/01 16:14
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翻訳センター Research Memo(3):専門性の高い産業翻訳に注力。機械翻訳と人手翻訳の融合進む
■事業概要1. 事業環境国内の翻訳の市場規模は、約2,000億円と推計されており、産業翻訳が市場の大半を占めている。医薬・金融・自動車、電機、エネルギー、IT通信、小売業などの国内企業のグローバル展開や外資系企業の日本進出が需要発生のドライバーとなっている。こうした環境のなか翻訳センター<2483>は着実に成長してきた。得意とするのは、「専門性が高く、間違いが許されない」文書であり、薬品承認申請資料、特許明細書、取扱説明書などが挙げられる。産業翻訳ニーズの最近の特徴として「スピード化」「デジタル化」が挙げられる。自動車、医薬品、IT業界などをはじめ企業のグローバル化は加速しており、翻訳会社としても高いレベルの対応力が求められる。また、AIの進展は業界に大きな変化をもたらしつつある。2016年11月にGoogleが発表したニューラル機械翻訳(NMT)は、それまで主流であったルールベース機械翻訳(RMT)や統計的機械翻訳(SMT)に比べて格段に翻訳精度を向上させ、業界を驚かせた。個人がニュースを翻訳する、ビジネスで意味を簡略的に把握するために翻訳するといった汎用的な用途では、Google翻訳などの機械翻訳がすでに浸透しており、同社が外販を担う機械翻訳「Mirai Translator ®」もNMTの手法を取り入れている。産業翻訳では、これまで専門性の高い翻訳者による人手翻訳が主流であったが、近年は企業が保有する翻訳データの活用を目的にNMTの普及が進んでおり、将来的にはより多くのビジネスシーンで活用されるものと予想される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/07/01 16:13
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翻訳センター Research Memo(2):翻訳業界国内トップ。通訳、人材派遣、コンベンションなど多角的サービス展開
■会社概要1. 会社概要翻訳センター<2483>は、翻訳業界の国内最大手である。医薬分野の専門翻訳会社として設立し、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務など専門性の高い産業翻訳分野で領域を拡大してきた。現在は翻訳だけでなく、通訳、派遣、国際会議運営(コンベンション)、通訳者・翻訳者教育などに多角化し、顧客企業のグローバル展開における幅広い外国語ニーズに対応する。多数の中小プレーヤーがひしめく分散した業界において、同社はいち早く専門分野に特化し、組織化・システム化された営業・制作機能を整備した。品質、スピード、コストのバランスに優れ、大規模案件対応や多言語化対応で他社の一歩先を行く。近年は機械翻訳などの最先端技術を積極的に活用する戦略を推進しており、社内の翻訳業務における生産性向上が著しい。同社は世界の語学サービス企業でも評価されており、アジアのなかでも上位の売上高を上げている。2. 沿革同社は、1986年に医薬専門の翻訳会社として大阪で設立された。その後、工業分野・特許分野などに翻訳の専門領域を拡大し、2006年には翻訳会社で初の株式上場を果たす。その後も海外及び専門分野の子会社の設立により業容を拡大してきた。2012年にはアイ・エス・エスをグループ会社化し、通訳事業・派遣事業・コンベンション事業などを加え、フルラインのランゲージサービスを提供するに至っている。2015年4月には多言語コンタクトセンター事業を行うランゲージワン(株)(持分法適用会社)を設立した。2017年10月には、ニューラルネットワークによる機械翻訳(NMT:Neural Machine Translation)の技術を持つみらい翻訳に資本参加(持分比率11.3%)すると同時に、翻訳事業を手掛ける(株)メディア総合研究所を100%子会社化した。現在グループ会社は海外を含めて5社である。なお、2022年4月の東京証券取引所の再編においては、新市場区分「スタンダード市場」を選択した。3. 事業構成2022年3月期における売上高構成比は、翻訳事業は75.7%、営業利益構成比の97.2%(全社費用調整前)を占めており、同社の大黒柱である。翻訳事業はさらに顧客業種別に分かれ、医薬(2022年3月期の売上高構成比28.0%)、特許(同22.4%)、工業・ローカライゼーション(同19.6%)、金融・法務(同5.6%)の4分野がある。翻訳事業以外では、語学スキルの高い人材を派遣する派遣事業の売上構成比は11.7%、通訳事業は6.3%、コンベンション事業は2.1%、通訳者・翻訳者養成スクール「アイ・エス・エス・インスティテュート」を運営する語学教育及び外国特許出願支援などを行うその他事業が4.0%となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:12
注目トピックス 日本株
翻訳センター Research Memo(1):2022年3月期は翻訳事業がコロナ禍前水準に回復し増収、各利益はV字回復
■要約翻訳センター<2483>は、翻訳業界の国内最大手。医薬分野の専門翻訳会社として創業し、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務など専門性の高い産業翻訳分野で領域を拡大してきた。現在は翻訳だけでなく通訳、派遣、国際会議運営(コンベンション)、通訳者・翻訳者教育などに多角化し、顧客企業のグローバル展開における幅広い外国語ニーズに対応する。多数の中小プレーヤーがひしめく分散業界において、組織化・システム化された営業・制作機能を整備し、品質・スピード・コストのバランス、大規模案件対応などで他社の一歩先を行く。機械翻訳技術の取り込みにも積極的であり、(株)みらい翻訳と資本業務提携するとともに、社内の翻訳業務にも機械翻訳を活用し、生産性を向上させている。国内翻訳業界1位はもちろん、世界の語学サービス企業でも上位のポジションである。1. 事業内容主力の翻訳事業では、分野特化戦略を推進しており、「特許」「医薬」「工業・ローカライゼーション」「金融・法務」の4分野ごとに組織が分かれ、専門化してノウハウを蓄積している。グループネットワークを生かしたサービスの提案、ICTによる登録者マッチングシステムも強みである。現場で制作を担当するのは2,681名(2022年3月末時点)の登録者であり、機械翻訳や翻訳支援ツールを使い効率的かつ品質の高い翻訳サービスの提供を行っている。大規模プロジェクトや多言語対応などに機動的に対応できることも同社の強みである。連結子会社(株)アイ・エス・エスが行う、派遣事業、通訳事業、コンベンション事業はそれぞれの分野でポジションを築いているが、相互に関連していて翻訳事業を含めたクロスセリングが行われ、グループのシナジーが発揮されている。2. 2022年3月期の業績概要2022年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比4.3%増の10,337百万円、営業利益が同94.0%増の811百万円、経常利益が同80.8%増の841百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同387.0%増の573百万円と堅調な増収と各利益の大幅なV字回復を達成した。売上高に関しては、主力の翻訳事業では、特許分野や工業・ローカライゼーション分野をはじめ各分野で需要が回復した。派遣事業は堅調に推移した。通訳事業では、オンライン会議の定着に伴う通訳需要を積極的に取り込み増収となった。コンベンション事業では、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響が残った。営業利益は、売上総利益増のインパクトが大きく同94.0%増と前期からV字回復した。機械翻訳や翻訳支援ツールを積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んだ結果、原価率が低減したことが主な要因である。セグメント利益では、翻訳事業(前期比287百万円増)、通訳事業(同53百万円増)、コンベンション事業(同41百万円増)と、派遣事業を除くすべての事業が増益に貢献した。3. 2023年3月期の業績予想2023年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比7.3%増の11,100百万円、営業利益が同12.1%増の910百万円、経常利益が同9.3%増の920百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.1%増の620百万円とコロナ禍前の水準を超え、営業・経常利益で過去最高益を予想する。翻訳事業の売上高は前期比で672百万円増の見込み。新中期経営計画ではドキュメント別に専門性を高める戦略を推し進め、顧客シェアの拡大を図る。前期も伸びた特許分野、経済情勢の影響を受けにくい医薬分野、2022年3月期にコロナ禍の影響から回復した工業・ローカライゼーション分野、伸び率の高い金融・法務分野、それぞれが成長する計画である。派遣事業は例年どおり堅調に推移する予想となっている。通訳事業・コンベンション事業は、ともにオンライン通訳やオンライン会議運営支援などデジタルを活用したサービス提供を中心に展開する。増収効果に加え、デジタル化の推進による生産性の改善も増益に貢献する。2022年6月初旬時点では、インバウンドの本格的な規制緩和が計画されており、特に厳しい事業環境が予想される通訳・コンベンション業界においても好転の兆しも見えてきた。従来より同社の業績予想の精度には定評があり、弊社では2023年3月期も売上高・各利益ともに予想値を達成するものと見ている。4. 成長戦略同社は、2023年3月期から2025年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画を2022年5月に発表した。最終年度における数値計画は、売上高で12,100百万円(年平均成長率5.4%)、営業利益で1,100百万円(年平均成長率10.7%)である。注目に値するのは、利益の伸びである。初年度の2023年3月期には910百万円と過去最高益を更新し、さらに利益を積み上げる計画である。結果として連結営業利益率では最終年度に9.0%(2022年3月期は7.8%)へ上昇させる。同社はコロナ禍前の5年間(2014年3月期~2019年3月期)で、売上高の年平均成長率6.5%、営業利益の平均成長率19.8%を成した実績がある。同社は、翻訳・通訳業界で知名度が高く、機械翻訳をいち早く導入して生産性も高めているため、新中期経営計画期間においても、着実に増収増益の継続が期待できる。5. 株主還元策同社は、利益成長に応じた継続的な還元を行うことを方針としている。2021年3月期はコロナ禍の影響で減益となったために減配となったが、2022年3月期は配当金年間40円(前期比20円増)、配当性向23.2%と2020年3月期の水準に大きく戻した。2023年3月期は配当金45円(同5円増)、配当性向24.1%を予想している。過去最高益予想を背景に、配当金もコロナ禍前を超える過去最高の更新を見込む。■Key Points・2022年3月期は主力の翻訳事業がコロナ禍前の水準に回復し増収。機械翻訳などデジタル化進展により原価が低減し利益のV字回復を達成・自己資本比率は70%超。無借金経営を継続。短期及び中長期の安全性は極めて高い・2023年3月期は過去最高益を予想。主力の翻訳事業の需要回復とデジタル化の推進が原動力・新中期経営計画を策定。2025年3月期に売上高121億円、営業利益11億円を目指す。ドキュメント別言語資産活用モデルの確立が新戦略・2022年3月期は配当金40円(前期比20円増)に回復。2023年3月期はコロナ禍前の水準を超える配当金45円と5円増配を予想(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
2022/07/01 16:11
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昭和産業 Research Memo(9):配当性向30%程度を目標とし、長期的・安定的な配当の継続を図る
■株主還元策昭和産業<2004>は経営基盤の充実と財務体質の強化を通じて企業価値の向上を図るとともに、株主に対する安定的な配当を継続しながら株主への利益還元を積極的に実施している。この方針の下、2022年3月期実績は1株当たり年60.0円の配当を実施。2023年3月期においては現時点で未定としている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:09
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昭和産業 Research Memo(8):「昭和産業グループ 環境目標」を新たに設定
■サステナビリティの取り組み「環境への配慮」「穀物ソリューションの進化」「従業員の活躍推進」の3つを重点項目とし、事業活動を通してサステナビリティ経営を推進することで、新たな価値を創出し、持続可能な社会の実現に貢献する。1. 昭和産業<2004>の新環境目標「中期経営計画20-22」において、サステナビリティ経営の観点からCO2排出量削減や食品ロスの削減など非財務目標の数値を設定・公表した。しかしながら、2021年に日本政府による「温室効果ガス2013年度比46%削減」の決定、並びに昨今の環境課題に対する取り組みを強化するため、新たに「昭和産業グループ 環境目標」を設定した。サステナビリティ委員会傘下の環境管理委員会に「環境3部会」を発足し、「CO2排出量の削減」「食品ロス削減」「水使用量削減」の3目標の課題検討・活動推進に取り組んでいく。「CO2排出量の削減目標」については、CO2排出量を2030年度に46%以上(2013年度比)の削減とする。「食品ロス削減目標」については、同社及び食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社5社を対象に、2025年度に食品ロス発生量を30%以上(2018年度比)の削減とする。「水使用量削減目標」については、水質汚濁防止などの特定施設を有するグループ会社を対象に、2030年度に水使用量原単位(原単位分は生産量)を12%以上(2019年度比)の削減を掲げた。2. 女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定の取得同社は、女性活躍推進法に基づき、女性活躍推進に積極的に取り組む企業として、2021年2月24日付で厚生労働大臣認定「えるぼし」(2つ星)を初めて取得した。えるぼし認定とは女性活躍推進法に基づく行動計画の策定及び届出を行ったうえで、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優良と認められた企業が、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度である。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:08
注目トピックス 日本株
昭和産業 Research Memo(7):商品開発力強化に向けた組織再編やグループ効率化を推進
■中長期の成長戦略昭和産業<2004>は、1st Stage「中期経営計画17-19」においてありたい姿の実現に向けた足場固めを経て、2020年4月より2nd Stage「中期経営計画20-22」を進めている。基本方針として「“確立”基盤事業の盤石化と成長事業の育成」、基本コンセプトは「SHOWA New Value Creation ~SHOWAだからできる新たな価値とは~」を掲げている。顧客・社会課題視点による解決提案力の向上やグループ総合力のさらなる深化、さらにイノベーション創出に向けた経営基盤の確立によって、新たな価値を創造し、多様な食シーンに貢献していく。「中期経営計画20-22」の目標数値として、最終年度となる2023年3月期に、売上高2,800億円(2022年3月期実績2,876億円)、経常利益130億円(同65億円)を掲げている。コロナ禍と原料穀物高の影響で当初計画に対しては約2年の遅れをとっているが、最終年度における重点施策にグループ全体で取り組み、目標達成に向けて取り組みを強化していく。(1) サンエイ糖化との取り組み2020年12月にサンエイ糖化が同社グループの「糖質事業」に加わった。サンエイ糖化は、輸液など医薬用にも使用される結晶ぶどう糖では国内トップクラスの企業であり、結晶ぶどう糖の国内生産量シェア70%(同社調べ)となっている。シナジーの最大化を図るために、2021年1月にプロジェクトを立ち上げ、現在、双方のメリットを生かすための具体的な検討を進めている。また、サンエイ糖化がグループ化したことで、生産拠点数は、同社の鹿島工場と敷島スターチ、サンエイ糖化を合わせた3工場体制となり、安定供給、生産効率のさらなる強化を進める。原料・資材調達の面においても、業界トップレベルのスケールメリットを発揮し、共同調達による原料資材のコストダウンを図る。また、仕入先の分散を図る。サンエイ糖化が取り扱う乳酸菌や水あめの一種であるオリゴ糖酸など、少子高齢化、健康志向のニーズに応えた新事業、新製品開発を進め、グループとしての拡大を図る。(2) ボーソー油脂との取り組みボーソー油脂は2020年9月に子会社化した。これにより「こめ油」という新たな油種を取り込み、販売を強化していく。まずは足元の業績改善に向けた、両社の商材と販路を活用したクロスセルや物流・販売コスト削減の取り組みを開始しており、その結果、過去3期連続で赤字が続いていたボーソー油脂の当期純利益は、2021年3月期には4期ぶり黒字に転換した。2022年3月期の営業利益は前期の4,000万円から4億円に拡大した。(3) 焼成パン事業の収益構造改革焼成パン事業は、収益構造改革を引き続き進めていく計画である。これまで焼成パン事業グループ4社(グランソールベーカリー、スウィングベーカリー、ガーデンベーカリー、タワーベーカリー)の人員配置・工程管理改善による生産性改善、商品開発段階からの原価管理の徹底、商品アイテムの見直しによる生産効率の向上といった製造工程の改革を行ってきた。さらに2022年4月からは、焼成パン事業のグループ4社の意思決定体制を一本化し、4社の一体運営と各社のベクトルの統一化を進める。(4) プラントベースフードの開発・販売強化大豆たん白は、健康志向の高まりや環境に配慮した食品として注目されており、2021年3月期の売上高は、19億円と13年度の約1.7倍となったが、22年3月期では21億円に拡大した。業務用新商品「ミーテックスE-1」は、肉用だけでなく、シリアルや製菓用途など幅広く提案し、販売を強化していく。また、「大豆Hi!芽」に続く健康訴求商品の開発強化も進めていく。(5) ソリューション営業部による外食向け提案の強化2021年4月に外食産業にフォーカスした「ソリューション営業部」を立ち上げた。外食顧客へ同社商品を活用し、ソリューション型(顧客課題解決型)のワンストップ提案を行う。製粉、油脂、糖質の知識を習得するために自社教育を重ねながら、顧客へ店舗オペレーション支援や外食企業のメニュー開発担当者へ直接アプローチして、顧客が求めている以上の価値提供を目指していく。今後は全社ベースでの取り組みに拡大していく方針だ。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:07
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昭和産業 Research Memo(6):2023年3月期業績予想は未定。相場に左右されにくい収益構造を構築
■今後の見通し1. 2023年3月期の業績予想昭和産業<2004>の2023年3月期業績予想について、現時点では業績予想を合理的に算定することは困難だと判断し、配当予想とともに未定としている。算定が可能になり次第、速やかに開示するとしている。同社グループは小麦・大豆・菜種・トウモロコシ等を大量に輸入しており、原料穀物相場や為替相場の影響を受ける。2022年3月期における原料穀物相場は過去に例のない高値圏で推移したが、加えてウクライナ情勢の深刻化も影響し、穀物相場は引き続き高値圏での推移が懸念されている。為替も日米の金利差等から急激な円安ドル高が進行し、加えてエネルギーコストの上昇など、同社グループを取り巻くビジネス環境は引き続き厳しい状況となっている。コロナ禍については、緩和の兆しはあるものの政府の政策に変化が見られ、完全に収束するまでにはもう少し時間を要すると見ている。このような不確定要素の多い経済環境であることから、同社グループは引き続きコスト上昇に見合った販売額の改定を最優先に取り組むとともに、拡販とさらなるコストダウンに努めていく。2. セグメント別重点施策2023年3月期は全事業共通の施策として価格改定の実施が挙げられ、最優先事項として進めて行くことになるだろう。また、世界的にも穀物需要が高まる世界情勢のなかで、原料となる各種穀物を安定的に調達することも重要な課題となる。(1) 製粉事業製粉事業ではグループ力の強化による生産性向上を推進する。同社グループの生産拠点は、鹿島、神戸、船橋の3工場のほか、グループ会社5社の計7工場となっている。グループ各社のそれぞれの特徴と強みを生かしながら、製品開発の連携、生産拠点の集約、物流の効率化を進めていく。そのほか輸出粉については、既存の香港や台湾のほか、中国やシンガポールなどへの販売を強化する。(2) 油脂食品事業油脂食品事業は、販路に応じた販売戦略や顧客の抱える課題を解決する提案型営業の推進により、コロナ禍により減少した物量の回復を目指す。また、機能性油脂やこめ油、オリーブオイル、ひまわり油などのプレミアムオイル、さらには天ぷら粉やホットケーキ等のプレミックス製品の販売を強化する。そうすることで、付加価値の高い商品の販売構成比を高め、相場に左右されにくい収益構造を構築していくねらいだ。さらには、健康志向の高まりや環境に配慮した食品として注目される「大豆たん白」「大豆Hi!芽」などのプラントベースフードへの対応を強化する。なお、「大豆Hi!芽」は大豆胚芽そのものの風味と形状を生かした新しい素材である。イソフラボンやオリゴ糖を豊富に含み、ご飯、パン、菓子、総菜、冷凍食品など様々な用途提案が可能である。(3) 糖質事業糖質事業は、安定収益を目的としてチャネル別販売構成の見直しを進める。粉末水あめや結晶ぶどう糖等の独自商品群の用途開発、新市場の開拓を進める。さらに、敷島スターチやサンエイ糖化を含めたグループの生産拠点の最適化による生産性向上、物流費削減等も引き続き推進し、収益改善を図る計画である。(4) 飼料事業飼料事業は、昭和鶏卵を中心に同社グループならではの市場販売から鶏卵販売など、一気通貫での拡販を目指す。また、高付加価値商品となる「人工乳」や「オリゴ糖飼料」といったブランド畜産物の販売強化を進める。さらには高騰する飼料原料の配合設定を変更することでコスト対策を行い、収益改善に努めていく。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:06
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昭和産業 Research Memo(5):原料穀物相場の高騰が最大の課題
■事業環境2022年3月期はコロナ禍の影響を受けて引き続き厳しい状況ながら、原料穀物相場の高騰が最大の課題となった。昭和産業<2004>においては、過去をさかのぼっても食用油の年4回の価格改定はほとんど例がないと言う。為替は円安で推移しており、海上運賃も高止まりしている状況だ。海外物流問題による懸念や原油高の高騰も重荷となっている。直近では、菜種の油分低下によるコスト増も重荷となっている。「業務用小麦粉」は2021年6月と12月、2022年6月と合わせて3回の価格改定を実施した。「家庭用小麦粉・プレミックス・パスタ」は2021年7月と2022年1月、7~8月の3回である。「家庭用/業務用油脂製品」については、2021年3月、6月、8月、11月、2022年3月と5度にわたる価格改定を実施してきたが、2022年7月には6度目の価格改定を実施する予定である。そのほか、「業務用大豆たん白」は2021年7月と2022年の4月、「業務用コーンスターチ・糖化製品」は2021年4月と9月、2022年4月に実施し、2022年7月にも価格改定を行うなど、全事業において価格改定を実施している。なお、原料価格は世界的に旺盛な需要による需給のひっ迫等により急騰し、依然として高値で推移している。特に菜種は史上最高値を更新しており、原料価格アップと価格改定のタイムラグとのギャップの影響が残っている。現段階においても急激な原料相場の上昇分を全てカバーするには至っていない状況である。そのため、引き続き適正価格での販売向けた価格改定が行われることになるだろう。また、ロシアが世界最大の肥料輸出国であることから、肥料価格が高騰した。21/22年産の米国大豆は、過去10年間で16/17年産に続く2番目に高い平均単収(ある一定面積当たりの収量)と最高となる生産高が示された。しかし、在庫の減少を補いきれず、前年からはやや需給の引き締まる見通しとなった。なお、21/22年産の期初在庫数は20/21年産に比べて半減した。菜種については、輸出国・輸出シェアで6割近くを占めるカナダの穀倉地帯は、記録的な熱波に見舞われ乾燥した状態が続いた。結果として、カナダの菜種は前期から35%減と大幅減産となった。価格高騰によるレーショニング(値段が高いため需要が減退)が見られたものの、需給は極度にひっ迫した状況に陥った。これにより菜種相場は、2008年につけた史上最高値を13年ぶりに更新した。同社は、多様化の観点から仕入先を豪州にもシフトするなど、仕入先の拡大を進めている。トウモロコシの需要を見るうえで、エタノールの動向も重要となる。エタノールの生産動向は高止まりしており、米国政府がガソリン価格抑制のため、「E15」(エタノール15%の混合ガソリン、もともと混合率は10%までに制限されていた)の夏場販売を解禁したことから、エタノール需要は引き続き堅調に推移すると見られている。世界的に供給不安が高まるなか、米国の新規供給に対して注目が集まるところだ。また、肥料を使わない作物への作付けシフトが顕著になっているようであり、北米ではトウモロコシから大豆へ、菜種から小麦への作付けのシフトが進んでいると言われている。輸入小麦の政府売り渡し価格の推移では、主要5銘柄加重平均で2021年10月には19.0%、2022年4月には17.3%と大幅な麦価引き上げが続いた。しかし、現在の小麦相場を考慮すると、2022年10月の麦価改訂もさらに大幅な引き上げになると同社では予想している。ロシアとウクライナは小麦輸出国だが、ロシアによる海上封鎖でウクライナは小麦の輸出が滞っている。足下の小麦価格の高騰と円安基調が続くようだと、2022年10月の価格改定時に4割以上の値上げの可能性が高いと見られる。海上運賃高騰の影響も重荷となる。海上運賃市況は、コロナ禍からの経済回復で荷動きが活発化するなか、ロシア・ウクライナ情勢の影響を受けて資源や食料供給ルートが代替地域に移り、輸送距離が長くなっていることが挙げられる。また、欧州やインド等がエネルギー資源を求めて石炭輸入を急増させていることも海上運賃の高騰に繋がっている。加えて、EUによるロシア産原油の輸入停止措置やOPECプラスによる大幅増産の見送りなどで高止まりする原油価格も、燃料となるバンカーオイルの高騰に拍車をかけている。なお、OPECプラスは2022年7月、8月の増産幅をそれぞれ日量64万8千バレルとすることを同年6月に合意した。ただし、ロシアのウクライナ侵攻による制裁で落ち込んだロシアの生産減を補うには十分ではないと見られており、原油先物相場は依然として高い価格で推移している。このようにロシア・ウクライナ情勢に起因して、原料穀物相場や海上運賃市況などは非常に混乱した状況だ。また、米国における新穀の生育もまだまだ不透明な状況にある。このため、先々の原料価格を見通すことが非常に困難な状況となっている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:05
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昭和産業 Research Memo(4):2022年3月期は2社連結による業績寄与、価格改定で増収も原料相場高騰で減益
■業績動向1. 2022年3月期の業績昭和産業<2004>の2022年3月期の業績は、売上高287,635百万円(前期比12.4%増)、営業利益5,564百万円(同26.7%減)、経常利益6,576百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,006百万円(同60.4%減)となった。コロナ禍の影響が長期化するなか、消費関連業種の景況感が下振れするなど、期を通じて厳しい状況となった。さらにコロナ禍による影響から停滞していた経済が上向き、荷動きが活発化するなか、ウクライナ情勢の深刻化による供給懸念により原料穀物相場が高値で推移し続け、為替相場での円安ドル高の進行による輸入コスト上昇、天候不順による原料穀物の品質懸念もあり厳しい環境が続いた。同社は2022年3月期第3四半期以降も厳しい環境が続くと判断し、2022年1月24日に業績予想の修正を発表したが、食品事業の価格改定の取り組みが進展したことにより利益が改善し、修正予想値に対しては売上高及び各利益いずれも100%以上での着地となった。売上高については、ボーソー油脂(株)とサンエイ糖化を子会社化したことや価格改定の実施等で増収となったが、各利益については、いずれも原料相場の急激な高騰による原価の大幅上昇が大きく影響し、減益という着地である。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。売上高は、新基準ベースで前期の概算値と比較すると、前期比20.6%の増収となった。営業利益は、2,030百万円の減益となった。原料穀物相場の急激な高騰、高止まりによる原価上昇の35,900百万円のコスト上昇分を販売額の改定31,800百万円でカバーしきれなかったことが主な要因である。2. セグメント別業績(1) 製粉事業製粉事業の売上高は78,154百万円(前期比5.2%増)、営業利益は3,555百万円(同108.5%増)となった。コロナ禍において外食産業のテイクアウトやデリバリー分野の市場が拡大したほか、近年の健康志向の高まりなどを受けニーズに対応した結果、業務用プレミックスの販売数量が増加した。また、2021年4月に外食産業にフォーカスした部門横断型組織「ソリューション営業部」を創設した。これにより外食向けの提案強化や、コンビニ向け焼成パン事業の収益構造改革などの効果が表れた。(2) 油脂食品事業油脂食品事業の売上高は100,426百万円(前期比13.4%増)、営業利益は1,020百万円(同67.3%減)となった。価格改定を最優先で実施した。全体としては、ボーソー油脂の新規連結や大豆たん白の販売増といったプラス要因があったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできず、営業利益ベースで減益となった。業務用では、製粉事業や糖質事業を含めた積極的なアプローチによる事業化シナジーの取り組みや、ベーカリー向け半流動状油脂・長持ち油といった付加価値油脂の開発・販売を推進した。固形油脂は作業効率が悪く、液状油脂はテイクアウトやデリカの売場において揚げ物の油染みが気になるといった両方の課題を解決した、半流動状油脂が高い評価を得ていると言う。また、顧客のコストや作業効率の改善といった課題解決策を具体的に提示する、今までより一歩進んだ提案型の営業を進めた。そのほか、大豆たん白の拡販やボーソー油脂との取り組みも実施した。家庭用については、2022年3月に発売した大豆ミートを使ったパスタソース「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」を発売した。好評と言う「もう包まない!混ぜ餃子の素」もリニューアル発売するなど、既存商品を含め拡販に努めた。(3) 糖質事業糖質事業の売上高は51,349百万円(前期比40.3%増)、営業利益は550百万円(同67.2%減)となった。長引くコロナ禍の影響や原料穀物相場及びエネルギーコストの高騰によって、事業環境は厳しい状況が続いた。コスト対策として、原料調達チャネルのさらなる多様化を進めたほか、敷島スターチやサンエイ糖化を含めたグループの生産拠点の最適化により生産性向上や物流費削減等を推進し、収益改善を図った。また、他事業と連携して独自商品の粉末水あめや結晶ぶどう糖の拡販に注力した。しかしながら、サンエイ糖化の新規連結効果などはあったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできなかった。(4) 飼料事業飼料事業の売上高は52,819百万円(前期比2.3%増)、営業利益は484百万円(同52.4%減)となった。同事業においては、コロナ禍による影響は限定的であった。グループ会社である昭和鶏卵(株)や九州昭和産業(株)との連携や、複数の飼料用原料を取り扱う優位性を生かした提案型営業のほか、畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材である「人工乳」や「オリゴ糖飼料」の拡販を行った。配合飼料の販売価格については、価格改定により前年を上回ったが、配合飼料価格安定基金の費用負担の増加によって減益となった。鶏卵相場が前期を上回る水準で推移したことから鶏卵の販売価格は前期を上回ったほか、販売数量についても前期を上回った。(5) その他その他の売上高は4,886百万円(前期比0.7%減)、営業利益は1,543百万円(同15.5%減)となった。倉庫業は、コロナ禍の影響による荷動きの停滞により貨物収容スペースが圧迫されるなか、隣接する同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:04
注目トピックス 日本株
昭和産業 Research Memo(3):多種多量の穀物をプラットフォームとして、製粉、油脂食品、糖質、飼料事業を展開
■昭和産業<2004>の事業概要1. 製粉事業製粉事業は、パン、ケーキ、麺類などの用途に合わせた各種小麦粉やユーザーのニーズに対応したプレミックス(小麦粉にでん粉や糖類、油脂などを配合したもの)を製造販売している。また、多岐にわたる食材事業で培ったノウハウを生かし、高品質、高機能かつ信頼のおける小麦粉製品の研究開発に積極的に取り組んでいる。2. 油脂食品事業油脂食品事業は、大豆、菜種、トウモロコシなどを原料に、天ぷらやフライ、ドーナツなど、用途に合わせて開発した各種業務用植物油を製造・販売している。また、飼料原料などになる脱脂大豆、食肉加工・水産加工食品に使用される大豆たん白、業務用食材としての天ぷら粉、から揚げ粉、パスタも製造・販売している。原料大豆から油分を取り出した脱脂大豆は、飼料用途だけでなく食品用途にも使われており、高い評価を得ている。また、環境に配慮したバッグインボックスやピロータイプの製品、小型貯油タンクを設置し定期的に油脂を配送するミニタンクシステムなど、メーカーの作業性向上にも力を入れている。家庭用では、大豆、菜種を原材料とするサラダ油やキャノーラ油をはじめ、こめ油など各種植物油を販売している。近年の健康志向に対応し、オリーブオイル以上にオレイン酸を多く含む健康応援ひまわり油「オレインリッチ」なども販売している。小麦粉・プレミックスでは、様々な用途に対応する薄力、中力、強力の各種小麦粉に加えて、「昭和天ぷら粉」「天ぷら粉黄金」の各種天ぷら粉や「お好み焼粉」「から揚げ粉」「ホットケーキミックス」など、利便性とおいしさを兼ね備えたプレミックスを取り扱う。3. 糖質事業糖質事業では、子会社である敷島スターチやサンエイ糖化との連携を図り、トウモロコシを原料としたコーンスターチを始め、コーンスターチを酵素などで分解することで得られるぶどう糖や異性化糖、水あめ、イソマルトオリゴ糖などの糖化製品及び加工でん粉製品の製造・販売を行っている。コーンスターチは汎用性が高く、ビールや練製品などの食品分野から、製紙・段ボールなどの工業品分野まで幅広く利用される。異性化糖は甘味が強く、冷たくなると甘味がさらに増すため、主に清涼飲料・乳性飲料などに使用されている。4. 飼料事業飼料事業では、最新の飼料栄養成分や原料の組み合わせに基づいて、養鶏用(採卵鶏、ブロイラー)、養豚用、乳牛・肉牛用、養魚用などの配合飼料、きのこ菌床栽培用栄養体の製造・販売を行う。機能性飼料であるイソマルトオリゴ糖混合飼料は、腸内の善玉菌であるビフィズス菌などを活性化させ、サルモネラ菌などの悪玉菌の抑制効果を持ち、消化吸収の改善や感染抵抗力を強化する作用がある。5. その他(倉庫業・不動産業・保険代理業・アグリビジネス等)倉庫業では、鹿島・神戸・船橋の3工場を合わせて合計36.5万トンを収容できる大型サイロを備えており、鹿島・神戸の両工場にはパナマックス級大型穀物船が接岸できるバースも完備。いずれも優れた立地条件にあり、各工場で効率の良い輸入穀物の保管・荷役を行う。不動産業では、同社グループが保有する不動産を有効活用し、商業施設の開発や事務所用・商業用ビル、物流用建物、事業用土地の賃貸などを行っている。また、その他のセグメントについては、保険代理業、自動車等リース業、運輸業等のほか、新規事業としてアグリビジネスに参入し、鹿島第二工場エリアに完全人工光型の植物工場「グリーンソリューションファクトリー」を創設した。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/01 16:03
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昭和産業 Research Memo(2):多種多量の穀物を取り扱う唯一の国内食品メーカー
■会社概要1. 会社概要昭和産業<2004>は、1960年に世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売した食品中核企業である。「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」をグループ経営理念とし、「穀物ソリューション・カンパニー」をブランドメッセージとして掲げ、小麦・大豆・菜種・トウモロコシなど多種多量の穀物を国内食品メーカーのなかで唯一取り扱う。これら穀物を小麦粉、プレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工して販売しており、多種多量の穀物を取り扱う独自のビジネスモデルによるシナジーを生み出している。BtoB向けが主体となっており、売上比率は業務用約9割、家庭用約1割となる。さらに、これらコア事業の強化のみならず、加工食品などの川下への拡大や、東南アジアなどの海外への進出も行っている。世界各国から運ばれてくる多種多量の穀物を貯蔵する大型穀物サイロ(原料貯蔵庫)を鹿島・神戸・船橋の3工場で合計36.5万トン分備え、鹿島・神戸の両工場にはパナマックス級(パナマ運河を通航できる最大船型)大型穀物船が接岸できるバース(桟橋)も完備、取り扱う穀物量は食品メーカーの中で日本一(同社調べ)を誇る。穀物原料から各種製品を製造する際に発生する副産物を、主に飼料・肥料・工業用原料として活用しており、食品リサイクル率は2020年実績値で99.9%となる。2. 沿革同社は1936年に「農産報国」を旗印に設立され、1960年には世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売した。その他にも小麦粉や植物油、糖化製品などの幅広い食品素材や配合飼料を提供している。グループ経営理念である「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」のもと、「穀物ソリューション・カンパニー」として様々な事業展開を通して日本の食を支えている。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:02
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昭和産業 Research Memo(1):2022年3月期は増収減益。原料相場高騰などが重荷。価格改定の取り組みは進展
■要約昭和産業<2004>は、1960年に世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売した食品中核企業である。「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」をグループ経営理念とし、小麦・大豆・菜種・トウモロコシなど多種多量の穀物を国内食品メーカーの中で唯一取り扱う企業であり、ブランドメッセージとして「穀物ソリューション・カンパニー」を掲げている。1. 2022年3月期の業績2022年3月期の業績は、売上高287,635百万円(前期比12.4%増)、営業利益5,564百万円(同26.7%減)、経常利益6,576百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,006百万円(同60.4%減)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が長期化するなか、消費関連業種の景況感が下振れするなど、期を通じて厳しい状況となった。さらにコロナ禍による影響から停滞していた経済が上向き、荷動きが活発化するなか、ウクライナ情勢の深刻化による供給懸念により原料穀物相場が高値で推移し続け、為替相場での円安ドル高の進行による輸入コスト上昇、天候不順による原料穀物の品質懸念もあり厳しい環境が続いた。同社は2022年3月期第3四半期以降も厳しい環境が続くと判断し、2022年1月24日に業績予想の修正を発表したが、食品事業の価格改定の取り組みが進展したことにより利益が改善し、修正予想値に対しては売上高及び各利益いずれも100%以上での着地となった。2. 2023年3月期の業績予想2023年3月期業績予想について、現時点では業績予想を合理的に算定することは困難だと判断し、配当予想とともに未定としている。算定が可能になり次第、速やかに開示するとしている。同社グループは小麦・大豆・菜種・トウモロコシ等を大量に輸入しており、原料穀物相場や為替相場の影響を受ける。2022年3月期における原料穀物相場は過去に例のない高値圏で推移したが、加えてウクライナ情勢の深刻化も影響し、穀物相場は引き続き高値圏での推移が懸念されている。そのため2023年3月期は全事業共通の施策として価格改定の実施が挙げられ、最優先事項として進めて行くことになるだろう。また、世界的にも穀物需要が高まる世界情勢のなかで、原料となる各種穀物を安定的に調達することも重要な課題となる。3. 中長期の成長戦略による進捗「中期経営計画20-22」の目標数値として、最終年度となる2023年3月期に、売上高2,800億円(2022年3月期実績2,876億円)、経常利益130億円(同65億円)を掲げている。コロナ禍と原料穀物高の影響で当初計画に対しては厳しい状況であるが、グループ一丸となって目標達成に向けて取り組みを強化していく。■Key Points・外食産業にフォーカスした「ソリューション営業部」を立ち上げ・グループ4社一体化による焼成パン事業の収益構造改革進展・サンエイ糖化(株)との大豆ミートを使った大豆たん白食品は順調・敷島スターチ(株)、サンエイ糖化を含めた、グループ一体となった生産拠点の最適化・プレミアムオイルの販売構成比を高め、相場に左右されにくい収益構造の構築目指す(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
2022/07/01 16:01
注目トピックス 日本株
新興市場銘柄ダイジェスト:デジプラは大幅に反発、アディッシュがストップ高
<6172> メタップス 557 -35大幅に3日ぶり反落。子会社のメタップスペイメント(東京都港区)が自社システムの脆弱性を起因とした不正アクセスによる顧客のクレジットカード情報の漏えいを発生させたとして、経済産業省から改善命令を受けたと発表している。メタップスペイメントは2月28日、不正アクセスで個人情報を含む情報が外部に流出したとの調査結果を公表していた。22年12月期連結業績に与える影響は精査中という。<7375> リファインバスG 1560 +300ストップ高。豊田通商<8015>に対し、リファインバースグループが独自開発したエアバッグリサイクル技術をベトナムでライセンス供与することで基本合意したと発表している。ナイロン製エアバッグから異物を分離・除去し、ナイロン樹脂としてマテリアルリサイクルする技術。豊田通商グループのベトナム以外の海外製造拠点への展開についても事業化可能性を検討することで合意しているという。<7093> アディッシュ 1320 +300ストップ高。セレス<3696>の子会社でTikTok広告を手掛けるstudio15(東京都渋谷区)と事業連携を開始したと発表している。TikTokでのプロモーションでリスクマネジメント強化を支援する。具体的には、studio15がプロモーションするTikTok動画の監視・モニタリングのほか、誹謗中傷や公序良俗に反するコメントの検知、TikTokプロモーション施策効果の分析を行う。<3691> デジプラ 808 +96大幅に反発。10万株(1.00億円)を上限とする自社株買いを実施すると発表している。発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合は2.7%。取得期間は1日から29日まで。資本効率の向上を通じた株主への利益還元、M&Aでの活用や経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行が目的。また、株主優待制度を新設した。9月末現在で200株以上を保有する株主に自社サービスのデジタルギフトを贈呈する。<4576> DWTI 208 +6大幅に反発。再生医療製品を研究・開発するアクチュアライズ(京都府京田辺市)が開発中の角膜内皮障害を対象とした再生医療用細胞製品AE-101について、共同開発契約を締結するとともに資本提携すると発表している。日本での開発を共同で進め、収益は一定の割合で分配される。また、アクチュアライズが実施する第三者割当増資3.30億円のうち、1.30億円を引き受ける。発行済株式総数の7.0%を保有することになるとしている。<6181> タメニー 158 -10朝高後、マイナス転換。22年3月期に債務超過を解消し、猶予期間入り銘柄から解除されたと発表している。タメニーは新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言を受けて21年3月期に債務超過となり、東証から上場廃止に係る猶予期間入り銘柄に指定されていた。短期業績回復に向けた取り組みに加え、新株予約権の発行などで財務基盤を強化したことが奏功し、22年3月期末の純資産は2.37億円のプラスとなっていた。
<ST>
2022/07/01 16:00
注目トピックス 日本株
E・Jホールディングス---剰余金の配当(増配)を発表
E・Jホールディングス<2153>は29日、2022年5月31日を基準日とする剰余金の配当を発表した。1株当たりの配当金は43円(前期実績35円)、配当金総額は6.91億円。直近の配当予想は40円としていたが、2022年5月期の連結業績、配当性向、連結株主資本配当率(DOE)及び事業環境等を総合的に勘案し、普通配当40円に3円を加え43円となった。
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2022/07/01 16:00
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ディア・ライフ---東京都杉並区下高井戸にマンション開発用地の取得
ディア・ライフ<3245>は30日、東京都杉並区下高井戸にマンション開発用地の取得を発表。同物件は、杉並区下高井戸に所在し、敷地面積357.72平方メートル。京王線「桜上水」駅、「上北沢」駅徒歩圏に位置し、「新宿」駅、「渋谷」駅へダイレクトアクセスが可能で都心の主要ビジネス・商業エリアへの交通の利便性に優れている。閑静な住宅街として人気があり、商店街、飲食店やスーパーが立ち並ぶことから、高齢者から若者まで多くの人が訪れる、繁華性と住環境が備わっているという。同社は、同物件に専有面積944.82平方メートルの鉄筋コンクリート造、地上8階建、共同住宅28戸の都心接近性・生活利便性を志向する単身者・DINKS層向けマンションを開発する計画となっている。名称は桜上水プロジェクト(仮称)。国内外の投資家・マンション販売会社・一般事業法人等に供給していくとしている。収益見通しについては、2024年9月期の売上の一部を想定している。
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2022/07/01 15:58
注目トピックス 日本株
ディア・ライフ---東京都墨田区吾妻橋にマンション開発用地の取得
ディア・ライフ<3245>は30日、東京都墨田区吾妻橋にマンション開発用地の取得を発表。同物件は、墨田区吾妻橋に所在し、敷地面積574.4平方メートル。都営地下鉄浅草線「本所吾妻橋」駅徒歩1分、東京メトロ銀座線「浅草」駅徒歩8分に位置し、日本橋、銀座、渋谷など都心の主要ビジネス・商業エリアへのアクセスが可能で、交通利便性に優れている。観光名所や新興スポットを有する知名度が高いエリアで、食料品店・飲食店・スーパーマーケット等などの生活施設や、公園も充実しており、繁華性と住環境が備わっているという。同社は、同物件に専有面積2,178.68平方メートルの鉄筋コンクリート造、地上11階建、共同住宅69戸の都心接近性・生活利便性を志向する単身者・DINKS層向けマンションを開発となっている。名称は本所吾妻橋IIプロジェクト(仮称)。国内外の投資家・マンション販売会社・一般事業法人等に供給していくとしている。収益見通しについては、2024年9月期の売上の一部を想定している。
<ST>
2022/07/01 15:56
注目トピックス 日本株
ディア・ライフ---東京都新宿区山吹町に収益不動産を取得
ディア・ライフ<3245>は30日、東京都新宿区山吹町に、収益不動産(延床面積約1,215.41平方メートル)を取得したことを発表。物件は、東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅徒歩3分、東京メトロ東西線「神楽坂」駅徒歩9分に位置し、有楽町・大手町・日本橋へのダイレクトアクセスが可能で、交通利便性に優れている。商店街、スーパーマーケット・ドラッグストア・コンビニ等の生活利便施設も整い、繁華性と住環境の調和が取れたエリアが形成されているという。同社は、同物件の取得後、内外装、設備リニューアル等の機能改善やリースアップを推進し、安定的な収益を確保するとしている。
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2022/07/01 15:54
注目トピックス 日本株
ディア・ライフ---東京都港区芝に収益不動産を取得
ディア・ライフ<3245>は30日、東京都港区芝に、収益不動産(延床面積4,058.64平方メートル)を取得したことを発表。物件は、都営地下鉄各線「三田」駅、JR各線「田町」駅、都営大江戸線「赤羽橋」駅などを利用でき、新宿・渋谷・大手町等主要なビジネス・商業エリアへのダイレクトアクセスが可能。物件周辺には大企業本社オフィスや慶応義塾大学、歴史ある寺社、東京タワー等があり、観光地としても人気が高いという「芝エリア」に位置する。同社は、同物件の取得後、リースアップを推進し、安定的な収益を確保するとしている。
<ST>
2022/07/01 15:50
注目トピックス 日本株
窪田製薬ホールディングス---「Kubota Glass」の国内販売に向け準備開始
窪田製薬ホールディングス<4596>は1日、同社の100%子会社のクボタビジョン・インク(米国ワシントン州)が開発している「Kubota Glass」の国内販売に向け、日本での取り扱い病院および店舗の募集を開始したことを発表した。日本では、まず、サポート体制を整えた眼科病院および眼鏡店と取り扱い契約を締結し、販売を開始する予定である。同社では、今後も「Kubota Glass」の品質・機能の改良を継続しつつ、取り扱い病院・店舗を増やすことで販路を拡大し、将来的には、個人が直接購入できる仕組みを整えていくとしている。なお、「Kubota Glass」は、FDA(米国食品医薬品局)およびTFDA(台湾衛生福利部)での医療機器登録も既に完了している。
<ST>
2022/07/01 15:48
注目トピックス 日本株
NECキャピ Research Memo(9):2023年3月期は前期の配当水準を維持し1株当たり年74円の配当を予定
■株主還元NECキャピタルソリューション<8793>の配当方針は、まず安定配当の維持を基本としており、成長戦略への投資や財務体質の強化等に必要な内部留保を確保しつつ、市場動向や業績変動を勘案し適正な配当水準を検証しながら適宜見直しを行っている。2022年3月期の配当は、前期比14円増配となる1株当たり年74円の配当(うち中間配当32円)を実施。2023年3月期の配当については、前期と同額の1株当たり年74円の配当(うち中間配当37円)を計画している。同社は株主優待制度として、インターネットを活用した「オンラインカタログギフト」を贈呈している。毎年3月末日の最終株主名簿に記録された100株以上の株式を保有している株主を対象に実施しており、保有株式数と保有期間によって「オンラインカタログギフト」の金額が変わる。100株以上500株未満を保有する株主には、保有期間1年未満で2,000円相当、1年以上で3,000円相当が贈呈される。また、500株以上を保有する株主には、保有期間1年未満で10,000円相当、1年以上で15,000円相当の「オンラインカタログギフト」が贈呈される。なお、事前に優待品の辞退を申し出でた場合は、同社より優待品相当額を寄付する。2020年3月期は、(公社)日本ユネスコ協会連盟「東日本大震災子ども支援募金 ユネスコ協会就学支援奨学金」へ寄付している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<YM>
2022/07/01 15:39
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NECキャピ Research Memo(8):収益向上とCSR向上は車の両輪のように推進することが必要
■CSV経営の実現を目指すNECキャピタルソリューション<8793>は既存事業であるコア領域と新事業の両輪で、社会・ICTインフラの整備、地球温暖化の防止、高齢社会への対応、地方経済の活性化等に取り組むことで、CSV経営の実現を目指している。以前から、環境に配慮した事業活動を推進してきたが、2013年にグループビジョンを策定して以来、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営という考え方を根底に置き、グループビジョン実現に向けた取り組みを推進。収益向上とCSR向上は車の両輪のように推進することが必要であり、同社では代表取締役社長が議長を務め、全執行役員を構成員とした「PDCA会議」の中で、毎月マテリアリティ施策(収益基盤の拡充、経営基盤の強化、企業風土の変革)の進捗やCSRに関わる重要課題の議論を行っている。これらの取り組みは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現につながるものと認識している。(1) コア領域コア領域の主な取り組みとしては、NECやNECグループ各社と協業し、最適な提案活動を行うことで、公共のインフラ整備等、社会基盤構築につながる取り組みを進めている。文部科学省が先導した小中学校に一人一台の端末を配備するGIGAスクール構想においては、従来からの官公庁自治体に強い顧客基盤を活かし、NECグループ各社と連携しOneNECとして取扱高を増やした。今後は、NECの強みである通信技術の面からも、お客様企業における5G対応についてNECやNECグループ各社との協業が期待される。また、リサ・パートナーズが組成・運営する「リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド」は、事業承継や企業再生、成長支援、株式公開支援、MBO支援等のニーズに対してソリューションを提供し、投資先の企業価値向上を目指すプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)の取り組みを行っている。(2) 新事業エネルギー、観光、農業、ヘルスケアの4分野で、新たな取り組みを進めている。エネルギーについては、地域新電力会社の設立や再生可能エネルギーへの投融資を推進している。2015年に「エネルギーの地産地消」をコンセプトに、静岡県浜松市に官民連携で新電力会社を設立した。再生可能エネルギーの普及を促進し、環境に配慮した「スマートシティ」実現に向けて同事業の構想段階から参画している。このプロジェクトによって地方自治体との連携事業モデルが加わり、様々なエネルギー領域への取り組みを加速させている。観光については、2017年3月に(株)山形県観光物産会館等が発起人として設立を進めた「おもてなし山形(株)」に資本参加したことをはじめ、複数の地域で取り組みを進めている。資金を提供(出資)するだけでなく、事業に直接参加し、地域の観光資源を活かし観光地としての価値向上を目指して取り組む。最適なサービス提供のために最適なプレイヤーと柔軟にチームを組成して対応できる点が強みとなる。様々な地域が抱える課題の解決に貢献できるものと考えており、「地域まちづくり」の先行事例作りに邁進。農業については、働き手の高齢化・後継者不足や減反政策等による耕作放棄地の増加といった農業を取り巻く社会課題解決の取り組みを実施している。2016年8月、共同出資による農地所有適格法人「(株)みらい共創ファーム秋田」を、秋田県の大潟村に設立した。遊休農地や未利用地を活用したコメ作りを行うほか、農作業の受託や農作物の販売等、6次産業化(農林水産物の生産にとどまらず、それらを原材料とした加工食品の製造や販売等に一体で取り組むこと)を視野に入れた効率的で収益性の高い大規模営農モデルの確立を目指す。ヘルスケアについては、三井住友銀行及びシップヘルスケアホールディングス(株)<3360>と共同でヘルスケアアセットマネジメント(株)を設立。高齢社会に不可欠なヘルスケア領域のインフラづくりの一翼を担うことを目的としている。ヘルスケアアセットマネジメントが運用を委託されているヘルスケア&メディカル投資法人は、2015年3月にJ-REITに上場。ヘルスケアREITに組み込まれる前のヘルスケア施設を一時保有する(ウエアハウジング)等を通じてREITの成長を支援している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<YM>
2022/07/01 15:38
注目トピックス 日本株
NECキャピ Research Memo(7):社会課題の解決は、これまでに蓄積してきたノウハウが大きな力を発揮する
■今後の見通し1. 2023年3月期業績予想NECキャピタルソリューション<8793>の2023年3月期業績予想については、リース事業の持続的な成長と新事業の収益化を図るものの、インベストメント事業における収益計上が一部2022年3月期に前倒しとなったことにより、売上高250,000百万円(前期比0.0%増)、営業利益11,000百万円(同5.3%増)、経常利益11,000百万円(同3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円(同6.3%減)を見込んでいる。コロナ禍は、ビジネスや日常生活の在り方に大きな影響を与え、且つ、今後もその影響は継続していくものと想定されているなか、同社の事業活動においては、新たな社会価値を創出する機会とすることも可能と考えている。非接触、非対面、三密回避など、ウィズコロナ、アフターコロナにおける社会課題の解決には、NECグループの金融サービス会社として同社がこれまでに蓄積してきたノウハウが、大きな力を発揮できるものと考えている。リース事業においてGIGAスクール構想による特需は一巡したものの、経済活動が正常化に向かうなかにおいてもテレワーク需要は引き続き伸びが見込まれると弊社では考えている。また、非接触技術で強みを持つNECとの連携により、ニューノーマルでの社会ニーズを取り込むことが見込まれる。さらに2021年9月1日に創設されたデジタル庁については、デジタル庁発足時から事務方トップのデジタル監を務めていた石倉洋子氏が22年4月に退任するなど、主だった成果よりは様々な問題点が指摘されるなど混乱している状況が窺える。もっとも、日本の成長戦略の柱となる省庁としての位置付けとして体制強化が期待されるほか、政府と民間が共同してデジタルトランスフォーメーション(DX)についても本格的に動き出すと見られ、官公庁向けに強みを持つ同社の活躍の場も出てくることになると弊社では考えている。2. 中期計画同社はグループビジョンとして、「お客様と共に、社会価値向上を目指して、グローバルに挑戦するサービス・カンパニー」を掲げている。このグループビジョンは、目の前の変化に対応するだけではなく、中長期的に目指す揺るぎない方向性を定め、全社員が心を一つにして経営を進めていくことが重要であると考え、2013年10月に策定されたものである。10年後の「ありたい姿」を明確に描き、その達成に向け3段階に分けたロードマップを作成した。中期計画を3回積み重ねることで、事業活動そのものが社会価値を創造すると同時に、企業として求めるべき経済価値を創出し、社会と企業双方に共通の価値を生み出すCSV経営を目指すものである。同社は、このCSV経営実現に向けた事業を推進しており、グループビジョンは10年間で3つの中期計画を積み重ねることで実現する。2023年3月期の会社計画は中期計画2020の計画には届かないように見えるが、これは当初2023年3月期に収益計上を計画していたファンドのEXIT等が2022年3月期に前倒し計上されたためであり、3ヶ年の利益水準は、中期計画2020における累計当期純利益計画値の累計(17,000百万円)を上回る17,500百万円となる。「中期計画2014」では「コア領域の基盤再構築」と「仕掛けを構築」、「中期計画2017」では「コア領域の完成」と「新事業立ち上げ」、そして「中期計画2020」では、2つの中期計画で積み重ねてきた取り組みをさらに進化させ、「コア領域の拡充」と「新事業の収益化」を戦略として掲げている。2020年3月期で第2段階である「中期計画2017」が終了し、「中期計画2020」はグループビジョンを実現していくという壮大な流れの中の最終段階と言える。「中期計画2020」では、ウィズコロナ、アフターコロナ時代における新たな社会課題の解決をビジネスチャンスとして確実に捉え、金融とICTで社会の変革を先導する企業を目指す。収益性を重視しながら各種取り組みの推進により、2023年3月期には、営業利益11,000百万円、経常利益11,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,500百万円を目指す。3. 中期計画2020進捗状況「コア領域の拡充」においては、ベンダーとの新たなサービスの確立として、サービス化で先行することが見込まれる米国のNECFS社を買収、北米における新たな事業機会を獲得した。北米拠点を確保することで今後の事業成長に向けた取り組みが期待される。NECグループの連携強化によるGIGAスクール、消防案件の取り組みが大幅に伸長。GIGAスクール案件はピークアウトするも、消防分野においては新規取引の横展開が見込まれる。その他、外資系ICTベンダーと新規取り組み開始による取引を拡充・拡大し、医療向けやICT機器におけるサービスモデル確立に向けた取り組みが進展。さらに、官公庁や自治体向けのサービス案件の取り組みが具体的に進展しているほか、デジタルアセット分野におけるプラットフォーム企業への出資参画。インベストメント事業における高収益の実現として、リサ事業において、IPOを含む大型EXITを複数行ったほか、ベンチャーファンドにおいて、複数のIPOによるEXITを実現し、新たなファンドを組成している。なお、2012年から取り組んできた先のベンチャーファンドは、投資回収フェーズを迎え新たなファンドを設立している。「新事業の収益化」の領域では、ヘルスケア分野で、REITへの物件売却を実行するなど、ウエアハウジング事業が着実に進展しており、収益に貢献している。エネルギー分野では収益化に向けPPAサービスの取り組みを拡大しており、NECプラットフォームズと契約を締結。2022年4月より再生可能エネルギー本部を設置した。「事業戦略を支える経営基盤の強化」としては、全従業員へのテレワーク環境の整備、働き方の見直しを実施。ウィズコロナにおける業務環境のさらなる整備を進めている。また、(株)日本政策投資銀行のDBJ環境格付融資で18年連続最高ランクを獲得。これはDBJが独自に開発したスクリーニングシステムにより企業の非財務情報を評価して優れた企業を選定し融資するものである。また(株)三井住友銀行ESG/SDGs(ポジティブ・インパクト金融原則適合型)評価融資AAAを獲得。これは国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)により策定されたポジティブ・インパクト金融原則に適合した融資商品である。観光について、(一財)民間都市開発推進機構や地域金融機関等と連携して「アセットリノベーションファンド」を組成。奈良県御所市において銭湯事業及び古民家(複数棟)を活用した宿泊事業・飲食事業である「GOSE SENTO HOTELプロジェクト」を運営する(株)御所まちづくりに対する投資をはじめ、複数の投資を実行している。「事業戦略を支える経営基盤の強化」においては、総合マネジメントコンサルティングファームであるアビームコンサルティング(株)が、2022年2月にリース業界全体のビジネス変革を支援する共同利用型ビジネスプラットフォーム「ABeam Cloud Asset & Finance Platform」を発表。本取り組みの最初の導入予定先である同社と協同で開発に着手。2022年4月には経済産業省が定めるDX認定制度における「DX認定事業者」に認定された。DXを推進し、社会課題の解決を図りながら着実な成長を推進させている。また、調達資金全てがグリーンプロジェクトやソーシャルプロジェクトの初期投資またはリファイナンスのみに充当される「サステナビリティボンド」を発行しており、資金調達手段の多様化を進めるとともに、社会・ICTインフラ整備、地域社会・経済の活性化、地球温暖化の防止、高齢化社会への対応等、社会課題の解決に貢献する。また、同社のCSV経営の実現に向けた取り組みの1つに、従業員満足度の向上があり、従業員がイキイキとやりがいを持って働くことのできる環境づくりを推進している。女性活躍推進法に基づく認定制度で、行動計画の策定及び届出、申請をした企業のうち、取り組み状況等が優良な企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」認定について、2017年に2段階目の認定を取得し、2021年10月には5つの基準(「採用」「継続就業」「労働時間」「管理職比率」「多様なキャリアコース」)を満たし、上位認定の3段階目を取得している。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2022/07/01 15:37
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NECキャピ Research Memo(6):2022年3月期は2ケタ増収増益での着地(2)
■NECキャピタルソリューション<8793>の業績動向ファイナンス事業においては、金利収入等の減少に伴い、売上高は5,219百万円(前期比21.6%減)、売上総利益は4,142百万円(同23.7%減)となった。営業損益は貸倒引当金繰入額の計上等により、前期比3,054百万円減少し655百万円の損失となった。これは主に、個別ファクタリングを中心に債権残高が減少したことや、与信関連費用の計上によるもの。なお、民需における業種別では、個別ファクタリングの多い製造業を中心に減少が目立った。インベストメント事業においては、売上高が16,366百万円(前期比140.6%増)、売上総利益の増加により営業利益は5,395百万円(同635.0%増)だった。大型の営業投資有価証券のEXIT案件等を複数計上したことにより、売上高、営業利益ともに前期を大幅に上回る結果だった。内訳は、アセットビジネスについては、ファンドのEXIT案件を複数計上したことにより、売上高119億円(前期比133.3%増)営業利益36億円(同200.0%増)と大きく伸びた。不動産については、海外案件を含む売却収入や賃料収入が増加したことから、売上高は40億円(同300.0%増)、営業利益20億円(同400%増)と大幅な増収増益で着地。アドバイザリーは、前期に成功報酬が計上された影響もあり、売上高は4億円(42.9%減)、営業利益は1億円の損失(前期は200百万円の黒字)。のれん他は、のれん償却が第1四半期期間において終了している。3. 営業資産残高の状況2022年3月期の営業資産残高は9,434億円となり、前期比で157億円の減少となった。内訳としては、リース事業は6,200億円だった。GIGAスクール案件やテレワーク需要を取り込んだ前期の反動から減少したものの、前期比27億円減と、前期並みを確保した。ファイナンス事業は主にファクタリングが減少したことから前期比196億円減少の2,210億円。インベストメント事業は投資有価証券等の増加に伴い前年比45億円増の835億円だった。その他事業はヘルスケア施設の取得等に伴い21億円増の190億円だった。与信関連費用については、ファイナンス事業において与信コストを計上したことなどから12億円の増加。(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<YM>
2022/07/01 15:36