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昭和産業 Research Memo(4):2022年3月期は2社連結による業績寄与、価格改定で増収も原料相場高騰で減益
配信日時:2022/07/01 16:04
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期の業績
昭和産業<2004>の2022年3月期の業績は、売上高287,635百万円(前期比12.4%増)、営業利益5,564百万円(同26.7%減)、経常利益6,576百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,006百万円(同60.4%減)となった。コロナ禍の影響が長期化するなか、消費関連業種の景況感が下振れするなど、期を通じて厳しい状況となった。さらにコロナ禍による影響から停滞していた経済が上向き、荷動きが活発化するなか、ウクライナ情勢の深刻化による供給懸念により原料穀物相場が高値で推移し続け、為替相場での円安ドル高の進行による輸入コスト上昇、天候不順による原料穀物の品質懸念もあり厳しい環境が続いた。同社は2022年3月期第3四半期以降も厳しい環境が続くと判断し、2022年1月24日に業績予想の修正を発表したが、食品事業の価格改定の取り組みが進展したことにより利益が改善し、修正予想値に対しては売上高及び各利益いずれも100%以上での着地となった。
売上高については、ボーソー油脂(株)とサンエイ糖化を子会社化したことや価格改定の実施等で増収となったが、各利益については、いずれも原料相場の急激な高騰による原価の大幅上昇が大きく影響し、減益という着地である。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。売上高は、新基準ベースで前期の概算値と比較すると、前期比20.6%の増収となった。
営業利益は、2,030百万円の減益となった。原料穀物相場の急激な高騰、高止まりによる原価上昇の35,900百万円のコスト上昇分を販売額の改定31,800百万円でカバーしきれなかったことが主な要因である。
2. セグメント別業績
(1) 製粉事業
製粉事業の売上高は78,154百万円(前期比5.2%増)、営業利益は3,555百万円(同108.5%増)となった。コロナ禍において外食産業のテイクアウトやデリバリー分野の市場が拡大したほか、近年の健康志向の高まりなどを受けニーズに対応した結果、業務用プレミックスの販売数量が増加した。また、2021年4月に外食産業にフォーカスした部門横断型組織「ソリューション営業部」を創設した。これにより外食向けの提案強化や、コンビニ向け焼成パン事業の収益構造改革などの効果が表れた。
(2) 油脂食品事業
油脂食品事業の売上高は100,426百万円(前期比13.4%増)、営業利益は1,020百万円(同67.3%減)となった。価格改定を最優先で実施した。全体としては、ボーソー油脂の新規連結や大豆たん白の販売増といったプラス要因があったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできず、営業利益ベースで減益となった。
業務用では、製粉事業や糖質事業を含めた積極的なアプローチによる事業化シナジーの取り組みや、ベーカリー向け半流動状油脂・長持ち油といった付加価値油脂の開発・販売を推進した。固形油脂は作業効率が悪く、液状油脂はテイクアウトやデリカの売場において揚げ物の油染みが気になるといった両方の課題を解決した、半流動状油脂が高い評価を得ていると言う。また、顧客のコストや作業効率の改善といった課題解決策を具体的に提示する、今までより一歩進んだ提案型の営業を進めた。そのほか、大豆たん白の拡販やボーソー油脂との取り組みも実施した。家庭用については、2022年3月に発売した大豆ミートを使ったパスタソース「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」を発売した。好評と言う「もう包まない!混ぜ餃子の素」もリニューアル発売するなど、既存商品を含め拡販に努めた。
(3) 糖質事業
糖質事業の売上高は51,349百万円(前期比40.3%増)、営業利益は550百万円(同67.2%減)となった。長引くコロナ禍の影響や原料穀物相場及びエネルギーコストの高騰によって、事業環境は厳しい状況が続いた。コスト対策として、原料調達チャネルのさらなる多様化を進めたほか、敷島スターチやサンエイ糖化を含めたグループの生産拠点の最適化により生産性向上や物流費削減等を推進し、収益改善を図った。また、他事業と連携して独自商品の粉末水あめや結晶ぶどう糖の拡販に注力した。しかしながら、サンエイ糖化の新規連結効果などはあったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできなかった。
(4) 飼料事業
飼料事業の売上高は52,819百万円(前期比2.3%増)、営業利益は484百万円(同52.4%減)となった。同事業においては、コロナ禍による影響は限定的であった。グループ会社である昭和鶏卵(株)や九州昭和産業(株)との連携や、複数の飼料用原料を取り扱う優位性を生かした提案型営業のほか、畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材である「人工乳」や「オリゴ糖飼料」の拡販を行った。配合飼料の販売価格については、価格改定により前年を上回ったが、配合飼料価格安定基金の費用負担の増加によって減益となった。鶏卵相場が前期を上回る水準で推移したことから鶏卵の販売価格は前期を上回ったほか、販売数量についても前期を上回った。
(5) その他
その他の売上高は4,886百万円(前期比0.7%減)、営業利益は1,543百万円(同15.5%減)となった。倉庫業は、コロナ禍の影響による荷動きの停滞により貨物収容スペースが圧迫されるなか、隣接する同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
1. 2022年3月期の業績
昭和産業<2004>の2022年3月期の業績は、売上高287,635百万円(前期比12.4%増)、営業利益5,564百万円(同26.7%減)、経常利益6,576百万円(同28.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,006百万円(同60.4%減)となった。コロナ禍の影響が長期化するなか、消費関連業種の景況感が下振れするなど、期を通じて厳しい状況となった。さらにコロナ禍による影響から停滞していた経済が上向き、荷動きが活発化するなか、ウクライナ情勢の深刻化による供給懸念により原料穀物相場が高値で推移し続け、為替相場での円安ドル高の進行による輸入コスト上昇、天候不順による原料穀物の品質懸念もあり厳しい環境が続いた。同社は2022年3月期第3四半期以降も厳しい環境が続くと判断し、2022年1月24日に業績予想の修正を発表したが、食品事業の価格改定の取り組みが進展したことにより利益が改善し、修正予想値に対しては売上高及び各利益いずれも100%以上での着地となった。
売上高については、ボーソー油脂(株)とサンエイ糖化を子会社化したことや価格改定の実施等で増収となったが、各利益については、いずれも原料相場の急激な高騰による原価の大幅上昇が大きく影響し、減益という着地である。なお、同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」等の適用を開始した。売上高は、新基準ベースで前期の概算値と比較すると、前期比20.6%の増収となった。
営業利益は、2,030百万円の減益となった。原料穀物相場の急激な高騰、高止まりによる原価上昇の35,900百万円のコスト上昇分を販売額の改定31,800百万円でカバーしきれなかったことが主な要因である。
2. セグメント別業績
(1) 製粉事業
製粉事業の売上高は78,154百万円(前期比5.2%増)、営業利益は3,555百万円(同108.5%増)となった。コロナ禍において外食産業のテイクアウトやデリバリー分野の市場が拡大したほか、近年の健康志向の高まりなどを受けニーズに対応した結果、業務用プレミックスの販売数量が増加した。また、2021年4月に外食産業にフォーカスした部門横断型組織「ソリューション営業部」を創設した。これにより外食向けの提案強化や、コンビニ向け焼成パン事業の収益構造改革などの効果が表れた。
(2) 油脂食品事業
油脂食品事業の売上高は100,426百万円(前期比13.4%増)、営業利益は1,020百万円(同67.3%減)となった。価格改定を最優先で実施した。全体としては、ボーソー油脂の新規連結や大豆たん白の販売増といったプラス要因があったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできず、営業利益ベースで減益となった。
業務用では、製粉事業や糖質事業を含めた積極的なアプローチによる事業化シナジーの取り組みや、ベーカリー向け半流動状油脂・長持ち油といった付加価値油脂の開発・販売を推進した。固形油脂は作業効率が悪く、液状油脂はテイクアウトやデリカの売場において揚げ物の油染みが気になるといった両方の課題を解決した、半流動状油脂が高い評価を得ていると言う。また、顧客のコストや作業効率の改善といった課題解決策を具体的に提示する、今までより一歩進んだ提案型の営業を進めた。そのほか、大豆たん白の拡販やボーソー油脂との取り組みも実施した。家庭用については、2022年3月に発売した大豆ミートを使ったパスタソース「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」を発売した。好評と言う「もう包まない!混ぜ餃子の素」もリニューアル発売するなど、既存商品を含め拡販に努めた。
(3) 糖質事業
糖質事業の売上高は51,349百万円(前期比40.3%増)、営業利益は550百万円(同67.2%減)となった。長引くコロナ禍の影響や原料穀物相場及びエネルギーコストの高騰によって、事業環境は厳しい状況が続いた。コスト対策として、原料調達チャネルのさらなる多様化を進めたほか、敷島スターチやサンエイ糖化を含めたグループの生産拠点の最適化により生産性向上や物流費削減等を推進し、収益改善を図った。また、他事業と連携して独自商品の粉末水あめや結晶ぶどう糖の拡販に注力した。しかしながら、サンエイ糖化の新規連結効果などはあったものの、急激な原料コスト上昇をカバーできなかった。
(4) 飼料事業
飼料事業の売上高は52,819百万円(前期比2.3%増)、営業利益は484百万円(同52.4%減)となった。同事業においては、コロナ禍による影響は限定的であった。グループ会社である昭和鶏卵(株)や九州昭和産業(株)との連携や、複数の飼料用原料を取り扱う優位性を生かした提案型営業のほか、畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材である「人工乳」や「オリゴ糖飼料」の拡販を行った。配合飼料の販売価格については、価格改定により前年を上回ったが、配合飼料価格安定基金の費用負担の増加によって減益となった。鶏卵相場が前期を上回る水準で推移したことから鶏卵の販売価格は前期を上回ったほか、販売数量についても前期を上回った。
(5) その他
その他の売上高は4,886百万円(前期比0.7%減)、営業利益は1,543百万円(同15.5%減)となった。倉庫業は、コロナ禍の影響による荷動きの停滞により貨物収容スペースが圧迫されるなか、隣接する同社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めた。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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