注目トピックス 日本株ニュース一覧
注目トピックス 日本株
ブランディング Research Memo(2):中小・地方企業を対象にデジタルシフトを推進
■会社概要1. 会社概要ブランディングテクノロジー<7067>は、中小・地方企業を対象に、ブランディングやデジタルマーケティング、デジタルシフトを支援している。電通グループ<4324>をはじめとする総合大手広告代理店や大手インターネット広告代理店も同様の事業を手掛けているが、上場企業など大手企業を対象に事業展開しており、中堅・中小企業や地方企業を顧客基盤とはしていないことが多い。というのも、中小・地方企業は大手企業に比べて人材や資金の制約が多いことに加え、「ブランド」に対する認識が相対的に低い点が否めないからである。したがって、中小・地方企業にブランディングなどを支援する際は、ブランドとは何かから始まり、ブランドを構築することの重要性を説き、ともにブランド戦略を練り上げ、ブランドが浸透するよう効率的なマーケティング戦略まで支援するなど、より丁寧できめ細かい作業が必要になる。同社では、独自のデータベースから業界別に成功パターンを導き出しノウハウを体系化することで、これらの作業を収益化することに成功している。2. 沿革同社は2001年8月、歯科医院専門のポータルサイト「歯科タウンドットコム」の運営・販売を目的に「有限会社フリーセル」として設立された。2006年4月には、Webコンサルティング事業に進出し、Webサイトの問題調査や原因分析、改善策の提案などのソリューションを提供するようになった。これが、主軸のブランド事業の起源となる。また、2006年から2007年にかけてグーグル(同)(米Google LLCの日本法人)及びヤフー(株)と代理店契約を締結し、広告代理店事業に進出した。こちらは、現在のデジタルマーケティング事業につながっている。2012年にWebサイト回りのソリューション(Webサイトの制作、保守、ソフトウェア開発)を目的に、ベトナムに子会社FREESALE VIETNAM CO.,LTD.(現VIETRY CO.,LTD.)を設立、2013年には(株)アザナを設立して沖縄でのマーケティング支援を本格化した。2018年11月に商号を現社名のブランディングテクノロジー株式会社に変更し、2019年6月には東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場、2022年4月からの東証市場再編に伴い東証グロース市場へ移行した。なお、2022年10月、医療機関・医療関連ビジネスにおけるブランディング及びデジタルシフトに関する事業の移管を目的に、(株)シンフォニカルを設立した。3. 事業環境同社が主要事業領域としている国内インターネット広告市場は、総広告費が67,998億円(前年比10.4%増)と回復基調にあるが、なかでも「インターネット広告費」は27,052億円と、「マスコミ四媒体広告費」総計(24,538億円)を初めて上回った。さらに、「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」及び「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いた「インターネット広告媒体費」は、動画広告やソーシャル広告の伸びが成長をけん引し、21,571億円(同22.8%増)と大きく伸長した※。一方、中堅・中小企業におけるデジタル化に対する優先度はコロナ禍により大きく高まっている。デジタル化に積極的に取り組む文化が定着・醸成されつつあり、市場機会となっている。実際、国内中小企業の生産性は米国中小企業の約6割にとどまっていることからも、DX化による生産性向上が急務である。これらの結果、同社の事業環境は好調であると言える。※出所:(株)電通「2021年日本の広告費」。このような業界の先行きを予見してのことと弊社では予想しているが、インターネット広告業界の同社周辺で巨大企業による再編が起きている。一例を挙げると、2021年6月にソフトバンク<9434>がイーエムネットジャパン<7036>をTOBによって子会社化した。イーエムネットジャパンは主に中小企業をターゲットに運用型広告などを提供するインターネット広告代理店で、1人の担当者が営業から企画、分析、改善までワンストップで担う専任制に特長がある。また、2022年5月には、博報堂DYホールディングス<2433>がソウルドアウト(株)を子会社化し、ソウルドアウトは上場廃止となった。ソウルドアウトは中小・地方企業に特化してデジタル広告を提供しており、中小・地方企業の販売促進や経営課題への理解を強みとしている。なお、これらの再編により、競合であるソウルドアウトやイーエムネットジャパンは親会社の業務補を請け負う可能性があり、市場での競争緩和につながることも考えられると弊社では予想している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/12/08 17:02
注目トピックス 日本株
ブランディング Research Memo(1):V字回復後の収益は好調に拡大、一段の成長を期待
■要約1. 会社概要ブランディングテクノロジー<7067>は、中小・地方企業を対象に、ブランディングやデジタルマーケティング、デジタルシフトを支援している。「ブランドを軸に中小・地方企業様のデジタルシフトを担う」をミッションに掲げ、ブランドを軸にした企業経営を行うことで企業ブランドを向上させ、中長期的な企業成長へと導く「ブランドファースト」をコンセプトとしている。中小・地方企業のブランディングは収益化が難しいことが多いが、同社は独自のデータベースから業界別に成功パターンを導き出しノウハウを体系化することで収益化に成功している。なお、同社の属するインターネット広告業界は引き続き高い成長を維持しており、中小・地方企業のデジタルシフトニーズの拡大が期待されている。同社は、4つの競争優位(「業界別に体系化されたノウハウ」「フロント人材」「カスタマーサクセス」「ブランディングバンク」)による課題解決サイクルを「マーケティングDX※」とし、マーケティングDXを推進することで中小・地方企業が抱える課題の解決を支援している。また、セグメント・ユニット事業構造として、「ブランド事業」「デジタルマーケティング事業」「オフショア関連事業」の事業3セグメントを「中小・地方企業向けブランド×デジタルシフト」「医療業界向けブランド×デジタルシフト」「中堅・中小企業向けコンテンツマーケティング・メディア制作」「中堅・中小企業向けデジタルマーケティング支援」「沖縄ニアショア・地域振興」「ベトナムオフショア」の事業6ユニットに分け、効率的な運営を推進している。※Digital Transformationの略で、ビッグデータやAIなどのデジタル技術を活用し、業務プロセスや社会システムを改善していくこと。2. 業績動向2023年3月期第2四半期の連結業績については、売上高2,545百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益58百万円(同47.3%増)となった。通期業績に対する進捗率は、売上高で48.5%、営業利益で37.0%であったが、計画どおり順調に推移しているようだ。各利益の進捗率はV字回復を果たした前年同期を上回っており、好調を持続していると言えよう。売上向上のための打ち手として、新規顧客獲得・既存顧客からのアップセルを強化したほか、業界特化ノウハウ発信を中心としたマーケティング強化による新規顧客獲得の効率の向上に注力した。一方、利益向上のための打ち手として、2023年3月期上期に立ち上げた新規サービスの営業を強化したほか、新規サービスや蓄積したノウハウを生かした提案を既存顧客に提案することで、プロジェクトごとの採算改善を進めた。これらの結果、売上高は2ケタ増となり、営業利益率も前期比0.5ポイント改善した。なお、利益率の改善は中期的な施策が背景にあることから、今後もしばらく続く見込みである。2023年3月期の連結業績については、売上高5,250百万円(前期比6.3%増)、営業利益158百万円(同42.3%増とする期初計画を据え置いている。2023年3月期第2四半期はブランド事業が減収減益となったものの、デジタルマーケティング事業の好調や販管費率の改善によっておおむね計画どおりに推移している。これに加え、下期はブランド事業の回復を見込んでいることから、期初計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。3. 成長戦略同社は中長期的な成長戦略として、ニューノーマルの新たな時代に適応するために構築した「マーケティングDX」というビジネスモデルを軸に、中小・地方企業のデジタル化ニーズに対応していく方針である。具体的には、「顧客獲得チャネルのオンライン化」「ブランディングバンクの強化による顧客1社当たりのタスク数拡大」「業界別の提携パートナー強化」「組織内部の強化」という4つの戦略を展開していく計画だ。また、これに加え、効率化を中心とした「守り」のマーケティングDX支援だけではなく、成長を目指した「攻め」の支援も強化する考えである。ニューノーマルに適応した経営体制を確立し収益性が向上したことで2022年3月期はV字回復を果たしたこと、2023年3月期第2四半期のストック売上比率は平均86%と高水準を維持しており、好調を持続していることなどから、高成長ステージに入っていると弊社では見ている。また、提携・サービス開発の強化、セグメント・ユニット事業構造による事業ユニットごとの効率化・収益向上により、長期的な成長も期待される。■Key Points・中小・地方企業を対象に、ブランディングやデジタルマーケティング、デジタルシフトを支援・課題解決サイクル「マーケティングDX」をビジネスモデル化したほか、セグメント・ユニット事業構造で効率的な運営を推進・ 2022年3月期のV字回復に続き、2023年3月期も好調持続、将来の成長を見据え、提携やサービス開発を加速・中小・地方企業のデジタルシフトニーズを背景にさらなる成長を期待(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/12/08 17:01
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酒井重 Research Memo(8):2023年3月期の期末配当予想を増額修正、年間180.0円配当の予定
■株主還元策酒井重工業<6358>は、長期にわたり安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、配当についても安定的な配当の継続を重視し、業績と健全な財務体質に裏付けられた成果の配分を基本方針とし、配当政策と自己株式の取得を行っている。既述のとおり、中期的な株主還元方針としては、ROE3%未満の場合は配当性向100%、ROE3%~6%の間はDOE3%、ROE6%超の場合は配当性向50%の還元を行うとしている。また、自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式取得の実施を検討している。上記の配当政策に基づき、配当については、2022年3月期は期初に配当性向100%(年間配当120.0円)を発表していたものの、業績が好調に推移しROEが6%を上回ったことから、配当性向を50%とし、年間配当165.0円(中間配当60.0円、期末配当105.0円)に上方修正を行った。2023年3月期については、期初は年間配当165.0円(中間80.0円、期末85.0円)を予定していたが、足元の業績は堅調でありROEが6.0%を上回る見込みであることから、公約どおり配当性向50%として、年間配当を180.0円(中間80.0円、期末100.0円)に増配することを発表した。また、自己株式の取得については、中期的な経営方針に基づき、2022年3月期中に130,000株(340百万円)を取得済みである。このように、ROEの改善に向けて明白な方針を発表し、それに沿った株主還元策を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:38
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酒井重 Research Memo(7):2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円を目指す
■中長期の成長戦略酒井重工業<6358>は2021年6月に、2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表した。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針である。また、定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE4%)を維持することを目指す。なお、初年度である2022年3月期の売上高は計画を上回るペースで進捗したが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。1. 事業戦略(1) 国内市場:安定化及び次世代事業開発による付加価値創造ロードローラの国内市場は既に成熟期にあることに加えて同社のシェアも高いことから、既存製品に新たな付加価値(高機能等)を付けること、つまり次世代事業開発による成長を目指す。(2) 海外市場:シェア拡大と事業領域の拡大海外市場においては、需要が拡大している地域(国)も多いこと、また同社のシェアも低いことから成長の余地は大きい。このため、既存市場の深耕と事業領域の拡大の2つの戦略により成長を目指す。(3) 定量的目標中長期的な数値目標としては、2024年3月期に売上高265億円、営業利益20億円、ROE5.5%、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す。なお、既述のとおり2023年3月期の業績予想を上方修正し、営業利益は2,020百万円の見込みとしているが、現時点では数値目標を据え置いている。2. 資本戦略資本政策の基本方針として同社は、ROE8%を目標としてそれを支えるための株主還元を実施するとし、株主価値の向上(資本効率の改善)を掲げている。2026年3月期の最終目標として、ROE8%かつ配当性向50%、すなわちDOE4%を掲げている。一般的に、ROEの向上のためには2つの改善が必要である。1つは言うまでもなく親会社株主に帰属する当期純利益の改善(上昇)であるが、もう1つは株主資本の抑制(必要以上に株主資本を増加させない、あるいは減少させること)である。同社では、前者の事業利益向上のためには既述のような事業戦略を推進していく計画だが、同時に必要以上に株主資本を増加させないために、「ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元」「ROE3%~6%の間はDOE3%の還元」「ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元」とする配当政策を実行する方針である。自己株式の取得については、2026年3月期までに5~20億円規模を上限とした機動的な自己株式の取得を行うとしている。また、投資有価証券についても、事業戦略観点からの見直しを進める方針だ。なお、成長投資については、資本収益性(ROIC)を重視し、レバレッジの活用も検討するとしている。3. ESGへの取り組み同社では、本業を通じたSDGsやESG、脱炭素など社会的課題に積極的に取り組んでいる。ESGに関する主な取り組みは以下のとおりである。(1) 気候変動への対応と付加価値提供の両立a) TCFD提言に基づく情報開示の実施カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、2022年6月より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候関連の情報「TCFD提言への対応」を開示している。国内の2019年度におけるScope1+2のCO2排出量3,300トンを対象に、「2030年度までに50%削減」「2050年度までにカーボンニュートラル」を達成する目標を設定している。対応状況のうち、国内については、工場のCO2排出量2,000トンのうち約1,000トンは、再生可能電力への切替により削減対策実施済である。国内の残るCO2排出量については、再生可能電力の対象拡大、車輛の電動化、設備省エネ化等の対策を検討し、実施する予定だ。b) 建設施工現場のCO2削減への貢献による付加価値提供建設施工現場のCO2削減に貢献する付加価値の提供に取り組んでいる。一例を挙げると、建設機械のCO2排出削減に貢献するEVローラのデモ機が完成予定となっており、研究開発段階から舗装現場での実践的テスト段階へのシフトを予定している。また、業界標準機開発に向け、複数の大手ゼネコンの参画を得て、建設施工全体の省力化及び効率化に貢献する自律走行式ローラの施工現場での実証試験を継続中である。(2) コーポレートガバナンスの強化a) サステナビリティ基本方針の制定同社は、2022年10月にサステナビリティ基本方針を制定した。企業グループとして、道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献するという経営の基本方針の下、ESG経営の実践を通じて持続可能な社会への貢献とグループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を目指す。b) 取締役会の多様化コーポレートガバナンス・コードの改訂を踏まえ、取締役及び執行役員によって構成される同社の取締役会が備えるべきスキルを、「経営」「道路機械」「グローバル」「資本市場」「管理」「モノづくり」「マーケティング」の7項目に設定し、2023年3月期より取締役会のスキルマトリックスとして公表している。2022年6月の株主総会では同社初の女性社外取締役を選任し、取締役会としてのダイバーシティの確保及び機能強化にも取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:37
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酒井重 Research Memo(6):2023年3月期業績は期初予想を上方修正し、前期比46.0%の営業増益を見込む
■今後の見通し● 2023年3月期の業績見通し酒井重工業<6358>の2023年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比12.8%増)、営業利益で2,020百万円(同46.0%増)、経常利益で2,050百万円(同45.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,520百万円(同6.5%増)を見込んでいる。好調な上期決算を受け、期初予想(売上高29,300百万円、営業利益1,500百万円)を上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が低いのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。為替レートについては、135円/米ドルを前提としている。既述のとおり第2四半期の業績は、国内では部品調達や製品価格転嫁の遅れなどがあったが、好調な海外市場によって全体では予想以上の結果となった。仮に部品調達や価格転嫁の遅れがなければ、さらに伸びていた可能性が高い。そのため弊社では、通期予想が再度上方修正される可能性もあると見ており、今後の展開を注視する必要があるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:36
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酒井重 Research Memo(5):財務基盤は安定、手元の現金及び預金は9,385百万円と豊富
■業績動向3. 財務状況酒井重工業<6358>の2023年3月期第2四半期末の財務状況について、流動資産は前期末比3,022百万円増の28,098百万円となったが、主に現金及び預金の増加1,391百万円、受取手形及び売掛金(電子記録債権を含む)の増加835百万円、棚卸資産の増加853百万円などによる。固定資産は同331百万円増の13,114百万円となったが、主に有形固定資産の増加491百万円、無形固定資産の減少90百万円、投資その他の資産の減少70百万円などによる。この結果、資産合計は同3,353百万円増の41,212百万円となった。なお、2023年3月期第2四半期末の現金及び預金は9,385百万円と高水準だ。一方で、負債合計は前期末比1,753百万円増の16,450百万円となったが、主に流動負債のうち買掛債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の増加1,083百万円、短期借入金の増加370百万円、固定負債の減少69百万円などによる。純資産合計は同1,600百万円増の24,762百万円となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加387百万円、為替換算調整勘定の増加1,217百万円、その他有価証券評価差額金の減少89百万円などによる。この結果、2023年3月期第2四半期末の自己資本比率は59.9%(前期末は61.1%)となった。同社では、バランスシートのスリム化に注力しているが、その成果として2023年3月期第2四半期末の正味運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は前年同期末比21.1%増(同1,808百万円増)の10,384百万円となった。主に売上債権の増加(同1,667百万円増)、棚卸資産の増加(同1,329百万円増)、仕入債務の減少(同1,188百万円減)によるが、販売(売上高)が堅調に推移したことから、売上高/棚卸資産回転数は、前年同期比0.10回減の年間3.54回に減少した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:35
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酒井重 Research Memo(4):国内外市場ともに需要回復が本格化、特に海外が好調に推移
■業績動向1. 2023年3月期第2四半期の業績概要酒井重工業<6358>の2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が14,891百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益が1,067百万円(同47.2%増)、経常利益が1,095百万円(同49.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が818百万円(同60.8%増)となった。国内は、国土強靭化加速化対策を背景として売上高は堅調に推移したが、原材料費やエネルギー価格の高騰などコストアップに比べて価格転嫁が遅れたことに加え、サプライチェーン再編圧力の高まりにより、営業利益は減益となった。一方で海外は、米国とアジア(特にインドネシアやベトナム)が好調に推移し、増収増益となった。この結果、第2四半期の営業利益は期初予想(650百万円)を大きく上回る着地となった。足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。売上総利益率は25.7%(前年同期は24.8%)と改善したが、主に販売価格の改定が浸透してきたことや円安効果による。これに増収効果も加わり売上総利益は3,821百万円(前年同期比18.7%増)となった。一方で販管費は、行動制約状態からの事業活動再開に伴い旅費交通費が増加したほか、人件費の増加などにより同10.4%増となったが、増収により販管費率は前年同期の19.2%から18.5%へ低下した。この結果、営業利益は大幅な増益となった。営業利益の増減要因を分析すると、増収による増益が471百万円、原価率の改善による増益が128百万円、販管費の増加による減益が258百万円(内訳は人件費102百万円増加、技術研究費36百万円増加、旅費交通費30百万円増加、その他費用90百万円増加)であった。2. 地域区分別の動向2023年3月期第2四半期の地域区分別売上高については、全体的に堅調に推移した。国内では国土強靭化加速化対策を背景に道路・土木関連工事などの公共投資関連が堅調に推移したことから、売上高は7,181百万円(前年同期比3.1%増)となったが、計画に対してはやや下回ったようだ。需要そのものは堅調であったが、世界的な物流の混乱等による部品調達の遅れにより一部で生産・出荷が停滞したためで、別の見方をすれば、部品が計画どおり調達できていれば、売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。海外では、主要な市場での建機需要の回復が進んだことから、売上高は7,709百万円(同28.1%増)と大幅な増収となった。このうち北米は、好調な建設投資を背景として市場そのものが拡大していることに加え、代理店開拓を進めたことによるシェアアップ効果もあり、売上高は3,307百万円(同43.9%増)となった。アジアでは、以前から好調であったベトナムに加え、インドネシア市場でも需要回復が進んだ結果、売上高は4,119百万円(同24.9%増)となった。その他(アフリカ・オセアニア・中南米等)は282百万円(同33.2%減)となったが、全体への影響は軽微であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:34
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酒井重 Research Memo(3):高付加価値化と海外シェアの拡大で成長を図る
■事業概要1. 事業内容酒井重工業<6358>の主たる事業は、道路舗装などに使われるロードローラの製造・販売で、ロードローラ関連が売上高の約95%を占める。また、「道路建設機械事業を通じて世界の国土開発という社会事業に貢献する」を企業理念に掲げている。一口でロードローラと言っても、能力や大きさなどは多岐にわたっている。同社の製品数はプラットフォームだけでも20種ほどあり、これにバリエーションを加えた最終製品数は70~80種に及ぶ。大きさも約1トンから20トン(大型土木向け)と幅広い。中心の価格帯は500万円(中型ローラ)~1,000万円(大型ローラ)だが、ロードカッタなど数千万円するものもある。なお、生産は見込み生産であり、受注生産は行っていない。製品の耐用年数は20~30年であるが、ここまで使い切る顧客は少なく、多くの場合は法定償却(7~10年)後に買い換え需要が発生する。また、償却済み機材の多くは中古品として海外(特に発展途上国)へ転売される。2022年3月期の地域区分別売上高は、国内14,292百万円(売上高比率53.7%)、北米5,039百万円(同18.9%)、アジア6,492百万円(同24.4%)、その他775百万円(同3.0%)であった。また、2023年3月期第2四半期の地域区分別売上高は、国内7,181百万円(同48.2%)、北米3,307百万円(同22.2%)、アジア4,119百万円(同27.7%)、その他282百万円(同1.9%)となっている。2. 特色、強み既述のとおり同社はロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーであるが、以下のような特色や強みを持っている。(1) 専業メーカーとしての長い歴史同社の最大の特色(強み)は、ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとしての長い歴史であろう。言い換えれば、選択と集中によるグローバルニッチ戦略によって専門性を高め、独自の技術を蓄積してきたことだ。(2) 技術力単に「道路を固める、舗装する」と言っても、それぞれの土地や土質・土壌などによって必要な圧力・回転力等(締固め技術)は異なる。そのため、工事会社はそれぞれの工事現場(地盤等)に合った異なる種類のロードローラを必要とする場合も多い。同社は、長い間ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーとして歩んできたことから、この「締固め技術」について高い技術力を誇っており、同業他社が追い付くことは容易ではない。(3) 信用力経験工学と実績に裏付けられた信用力も同社の強みだ。地下の締固め品質を確保する技術についてはブラックボックスであり、後発メーカーや非専業メーカーが容易に真似できるものではない。例えば、高温で運ばれてくるアスファルト合材は限られた時間のなかで施工する必要があることに加え、施工不良の場合は再施工という大きな代償を伴う。また、道路や盛土の施工品質問題の発生は遅効性があり、完工時の締固め品質はブラックボックスになる傾向にある。このような経験工学は、長年使い慣れたブランドと様々な現場経験による長年の知見が強みとなっており、これらの点が多くの顧客から信頼を得ている。3. シェア及び競合(一社)日本建設機械工業会のデータによれば、2021年度の国内建設機械出荷額は2.9兆円、このうち同社の主要製品であるロードローラ等の道路機械は2.6%となっている。この道路機械市場で、同社のシェアは70%超とトップメーカーとなっている。競合先としては日立建機<6305>などがあるが、いずれも専業メーカーではない。また、海外メーカーも一部進出しているものの存在感は薄い。したがって、国内においては、市場の浮沈がそのまま同社の業績につながっているとも言える。世界市場(海外市場)では、正確な統計がないものの、同社のシェア(生産台数ベース)は5~6%と推定される。ただし、これは全世界をベースにしたもので、同社が主戦場としている日本、ASEAN、北米の市場に限ればシェアは20%程度のようだ。なお、世界市場での主な競合はCaterpillar、FAYAT SAS、Deere&Company、Volvo Personvagnar ABなどであるが、ロードローラの専業メーカーは見当たらない。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:33
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酒井重 Research Memo(2):国内シェア70%超を誇るロードローラのトップメーカー
■会社概要酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカーで、国内シェア70%超を誇るトップメーカーである。1970年にはインドネシアに合弁会社を設立するなど、早くから海外展開を進めており、2022年3月期末現在、国内子会社4社、海外子会社5社(米国、中国、インドネシア3社)を有している。株式については、1964年に東京証券取引所市場第2部に上場、その後1981年に同市場第1部に指定替えされ、2022年4月からの同市場再編に伴いプライム市場へ移行した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:32
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酒井重 Research Memo(1):2023年3月期第2四半期は期初予想を上回り、前年同期比47.2%の営業増益
■要約酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。1. 2023年3月期第2四半期の業績概要2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が14,891百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益が1,067百万円(同47.2%増)、経常利益が1,095百万円(同49.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が818百万円(同60.8%増)となった。国内は、国土強靭化加速化対策を背景として売上高は堅調に推移したが、原材料費やエネルギー価格の高騰などコストアップが先行し、営業利益は減益となった。一方で海外は米国とアジア(特にインドネシアやベトナム)が好調で、増収増益となった。この結果、第2四半期の営業利益は期初予想(650百万円)を大きく上回る着地となった。足元の受注は堅調であり、部材等のサプライチェーン問題がなければ売上高・利益はさらに伸びていたと思われる。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の連結業績は、売上高で30,000百万円(前期比12.8%増)、営業利益で2,020百万円(同46.0%増)、経常利益で2,050百万円(同45.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で1,520百万円(同6.5%増)を見込んでおり、期初予想(売上高29,300百万円、営業利益1,500百万円)を大幅に上方修正した。親会社株主に帰属する当期純利益の伸び率が低いのは、前期に発生した一過性の繰延税金資産計上(381百万円)の剥落が主因である。所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅い回復基調であるものの、部材価格のさらなる上昇やサプライチェーン再編圧力の高まりに加え、ロシア・ウクライナ情勢の見通しなど不透明な要因も多いことから、上方修正したとは言え、通期予想は慎重な見通しとなっている。3. 中長期の成長戦略同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE(株主資本配当率)4%)を維持することを目指す。初年度である2022年3月期の売上高は計画を上回るペースで進捗したが、現時点で方針は変わらず、数値目標も据え置いている。2023年3月期の配当については、期初は年間配当165.0円(配当性向73.6%)を予定していたが、足元の業績は堅調でありROEが6.0%を上回る見込みであることから、公約どおり配当性向50%として、年間配当を180.0円(中間80.0円、期末100.0円)に増配することを発表した。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。■Key Points・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る・2023年3月期は期初計画を上方修正し、前期比46.0%の営業増益予想・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/12/08 16:31
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セグエグループ---配当予想を修正(増配)
セグエグループ<3968>は、7日、2022年12月期の期末配当予想について、修正(増配)することを発表した。業績予想を上方修正及び修正値達成の蓋然性が高まっていることを勘案し、1株当たりの期末配当予想を従来計画の16 円から2円増配し、18 円に修正する。同社では、内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資を積極的に行っていく一方、株主への利益還元を重要な経営課題であると認識したうえで、各事業年度の経営成績を勘案しながら、配当も継続的に実施していくことを基本方針としているとしている。
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2022/12/08 16:22
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エコモット Research Memo(10):内部留保の充実による将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資を優先
■株主還元エコモット<3987>は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しているものの、現在は成長段階にあるため、内部留保の充実による将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資を優先している。この方針に基づき、2023年8月期の配当は計画していない。■SDGsへの取り組み同社はサステナビリティに配慮し、独自のIoT×AIテクノロジーを生かしたソリューションを創造し、世界全体の持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。この方針に基づき、SDGsの7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、11「住み続けられるまちづくり」、13「気候変動に具体的な対策を」に取り組んでいる。7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、クリーンエネルギーを提案している。「ゆりもっと」では、自動で制御されていた融雪用のボイラーを24時間監視センターで制御することにより、平均約40%以上のエネルギー削減を実現している。11「住み続けられるまちづくり」では、安心してすめるまちづくりを目指している。防災ソリューションの提案を行っており、災害の予兆を検知する水位計測・地滑り検知などのソリューションを提供している。また、災害時でも利用可能なソーラーバッテリー搭載の遠隔カメラも提供している。13「気候変動に具体的な対策を」では、エコドライブ支援機能を提供している。「Pdrive」には急発進や急ブレーキのカウントや、アイドリング時間を集計する機能を搭載しているが、これによりおおよその燃料消費量を算出し、燃費の悪い運転を抽出することができる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:10
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エコモット Research Memo(9):経営体制を一新する抜本的な組織改編を断行(2)
■エコモット<3987>の今後の見通し(2) コンストラクションソリューション事業コンストラクションソリューション事業では、主力事業「現場ロイド」のさらなる育成と拡大を成長の基盤としつつ、積極的に新領域へも挑戦する方針だ。急速なデジタル化を遂げている建設市場において、累計約15,000現場の実績を強みに、常にイノベーションを創出し、市場をけん引する存在を目指す。現在のキャッシュを生み出すコア分野は、各種計測器(水位計や雨量計、騒音振動計等)やWebカメラ、ソーラー電源システムであるが、新たに戦略製品領域を設定し、成長分野と新規分野に分類した。成長分野については、AI関連(画像認識等)、動態観測関連(地表面変位や地中変位等)、PoC(Proof of Concept)案件、遠隔臨場システムとした。次世代のキャッシュの創出源であり、投資を増やし売上高規模の拡大を目指す。一方、新規分野は将来のコア事業を生み出すために体制を強化し、事業化による売上高創出を目指す。新規分野のトピックスである配筋検査ARアプリ「バイアス」及び遠隔臨場システム「Gリポート」については、以下のとおり。a) 配筋検査ARアプリ「バイアス」同社は、村本建設(株)と配筋検査ARアプリ「バイアス」を共同開発し、2022年5月に開催された建設・測量生産性向上展「CSPI-EXPO 2022」に参考出品した。「バイアス」は、タブレット端末iPad Proで鉄筋を撮影するだけで配筋間隔を自動計測でき、構造物の鉄筋出来形計測に係る事前準備・帳簿作成の省人化及び計測時の省力化を実現した。計測結果や画像はWebブラウザからも参照でき、PDF出力も可能だ。現在、同サービスのモニターを募り、試験導入を進めている。b) 遠隔臨場システム「Gリポート」「Gリポート」は、遠隔臨場に特化したモバイルコミュニケーションツールである。国土交通省策定「建設現場における遠隔臨場に関する試行要領(案)」に示された仕様、並びに「令和4年関東地方整備局における建設現場の試行方針」に準拠し、スムーズな映像とクリアな音声で現場と隔地の円滑な相互コミュニケーションを実現する。受注者が施工現場で撮影した映像については、発注者が事務所等でリアルタイムに確認でき、移動時間や立会調整時間の削減に寄与している。なお、対象にフォーカスして検査することに適したハンディ型基本パッケージに加え、2022年1月からは両手が自由に使えるウェアラブルカメラの提供を開始した。スタビライザー(ブレ防止機構)を内蔵した高性能小型カメラをヘルメットに固定して使用する。災害発生現場や急斜面、高所など足元が不安定な現場でも円滑な相互コミュニケーションが可能となり、活用シーンが大幅に拡がっている。なお、2022年度から遠隔臨場を本実施に移行するとした国土交通省の発表が当該市場にとって追い風となり、累計稼働台数は2021年8月期比で3.3倍まで増加のペースで進行するなど、好調を維持している。(3) IoTパワード事業a) 設備監視メンテナンス市場同社は、リモートモニタリングサービスの強化を目的に、子会社のストークをゴモジーへ社名変更し、リブランディングした。社名の由来は「Go more to Gratify(満足のもっと先へ)」となる。組織体制を強化し既存の暖房設備、空調設備メンテナンス事業に加え、市場規模及び成長性が大きいとされる水関連市場を皮切りに、リモートモニタリング事業の普及拡大を目指す。足下では浄水場、下水処理場、汚泥処理施設向けの水処理施設監視パッケージを開発している。b) 太陽光発電EPC事業への参入同社は、2022年9月にパワーでんきイノベーションを設立し、2022年10月に(有)パワーでんきカンパニーより事業譲渡を受け、太陽光発電EPC※1市場に参入した。太陽光設備に係る造成・販売施工・電気工事事業を請け負う。太陽光発電は、FITによる売電価格の引き下げと電力料金の上昇により、FITを活用した売電から自家消費を目的とした導入へ移行しつつあり、自家消費の形態としてPPA※2モデルが増えると予想されていることから、IoT×AI技術や蓄電池製品を生かし、差別化を図ることでこれらのマーケットへの販売を強化する。なお、パワーでんきカンパニーの直近(2021年8月期)の売上高は865百万円であった。※1 EPCとは、Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)の頭文字を取った言葉。※2 Power Purchase Agreementの略で、電力販売契約のこと。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:09
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エコモット Research Memo(8):経営体制を一新する抜本的な組織改編を断行(1)
■今後の見通し2. ソリューション区分の変更エコモット<3987>は、新・中期経営ビジョンで掲げた各プランの実現可能性をより高めるべく、2023年8月期より事業体系を「IoTビジネスイノベーション事業」「コンストラクションソリューション事業」「IoTパワード事業」の3つへ再編した。既存ソリューションの営業リソース集約を進め、子会社同士の連携を強固にすることで、新規ビジネス創出へのリソースを確保し、売上拡大と収益性の向上を実現する考えだ。IoTビジネスイノベーション事業では、中核事業であるIoTインテグレーションを中心にDXを支援するほか、「ゆりもっと」やモビリティサービスなどのIoTプロダクト販売等も行う。コンストラクションソリューション事業は旧 コンストラクションソリューションを引き継いだもので、建設現場の安全性、生産性、施工品質水準をデジタルテクノロジーによって向上させ、日本国土の発展並びに防災に貢献する。IoTパワード事業は、連結子会社であるゴモジー及び事業譲受による新規子会社(株)パワーでんきイノベーションからなる。IoTの力を駆使し差別化できる既存産業に自らが参入し、自社の強みを発揮する。ソリューション別の売上高予想としては、IoTビジネスイノベーション事業が前期比4.7%増の1,217百万円、コンストラクションソリューション事業が同23.4%の1,207百万円、IoTパワード事業が同1,104.7%増の921百万円としており、各事業の売上構成比のバランスがとれる形となった。なお、IoTパワード事業はパワーでんきイノベーションが2023年8月期からの連結化となるため、売上高は前期比10倍以上、構成比も3割近くになる計画だ。(1) IoTビジネスイノベーション事業IoTビジネスイノベーション事業では、IoTクラウドStandard(ICS)のUI/UX改善やKDDIグループとの他社連携を拡大し、既存顧客の深堀や新規顧客の獲得を図る。また、API機能拡充によって、顧客システム・サービスへの連携を図る。国内IoT市場は、中期的に高成長が続くとが予想されており、KDDIとの協業関係を強化することで持続的な成長を目指す。2023年8月期はa) KDDIとのシナジー強化、b) ユアスタンドとの提携、c) 合弁会社設立に注力する。a) KDDIとのシナジー強化鉄道のリアルネットワークを提供する東日本旅客鉄道<9020>(JR東日本)と通信のバーチャルネットワークを担うKDDIは、時間・場所にとらわれない豊かなくらしづくりに向けて、新たな分散型まちづくり「空間自在プロジェクト」の共同事業化を推進している。従来の都市を中心とした拠点集約型スマートシティから、都市部のコアシティと郊外・地方のサテライトシティが一体となって機能する新たな分散型まちづくりの実現を目指す。同社は、同プロジェクトにWeb会議システムの運用、保守、設置、機器で関わっている。b) ユアスタンドとの提携同社は2021年7月、EVスタンドの販売・導入・運用管理を行うユアスタンドと資本業務提携した。「ゆりもっと」顧客への付加価値提案としてEVスタンドの販売を推進し、顧客満足度の向上を図るとともに、ユアスタンドへデバイスを提供することでシナジー創出を図る。国際エネルギー機関(IEA)によると、2021年の国内EVスタンド設置数は3万基弱と、米国(11万基)、EU(33万基)、中国(114万基)と比較し少なく、1人当たり設置数としても見劣りするが、日本政府が2030年までにEVスタンド設置数を15万基に増やす目標を掲げていることから、伸びしろのあるマーケットであると言える。なお、ユアスタンドは関東を基盤とし中部地区や関西へ市場開拓を進めているが、北海道・青森地区の市場開拓は「ゆりもっと」の顧客基盤を生かし同社が担当する。c) モビリティサービスの合弁会社設立同社は2022年7月、プレステージ・インターナショナル<4290>の子会社である(株)プレミア・エイドと合弁会社「(株)プレミア・ブライトコネクト」を設立した。プレミア・ブライトコネクトの資本金は1億円で、出資比率はプレミア・ブライトコネクト51%、同社49%となる。事業内容は、主にテレマティクス・サービスを提供するための機器、装置、システム類の設計・開発・販売・保守・レンタル及び代理店業務と第三者緊急通報サービスを提供するための機器、装置、システム類の設計・開発・販売・保守・レンタル及び代理店業務になる。プレミア・ブライトコネクトは、通信型高性能ドライブレコーダーなどのIoT機器を、プレステージ・インターナショナルグループの顧客(損害保険会社、自動車ディーラー、リース会社、カー用品店等)へ販売供給する。同社は、これまで競合先の大手損害保険会社などに対し事業規模の点で見劣りしていたが、プレミア・ブライトコネクト設立により営業力が高まると弊社では期待している。なお、同社の登録顧客もプレミア・ブライトコネクトに移管するが、製品供給は引き続き同社からとなる。原価で提供することになるが、プレミア・ブライトコネクトの利益が持株比率に応じて営業外収益における持分法投資損益として計上される。d) 「Pdrive」で新機能の提供開始2022年4月の道路交通法の一部改正により、「酒気帯びの有無の確認」においてアルコール検知器を常時有効に保持することが定められた。これに伴い同社は、(株)デジタルロジスティクスが提供しているモバイルアルコール探知ソリューション「KOSUKE PLUS/FUGOsmartシリーズ」と同社が提供する「Pdrive」を連携し、アルコール探知器を用いた酒気帯びの確認・記録保存までを「Pdrive」上で一元管理できるアルコールチェック記録機能の提供を開始した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:08
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エコモット Research Memo(7):2023年8月期業績は大幅な増収・営業増益予想も、堅実な計画
■今後の見通し1. 2023年8月期の業績見通しエコモット<3987>の2023年8月期の連結業績は、売上高が前期比50.8%増の3,345百万円、営業利益が同202.7%増の59百万円、経常利益が同12.9%増の38百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.8%減の21百万円を見込んでいる。親会社株主に帰属する当期純利益が減益となるのは、前期の実効税率が14.8%と低かったことによる。なお、新・中期経営ビジョンの業績予想から変更が生じていることから、中期経営計画の目標値は取り下げた。2期連続して期初計画を下回って着地したことを鑑み、2023年8月期の業績予想については、売上計上の確度が高いものを予算に入れ、不確定要素の大きな開発案件を伸び代とした。大幅な増収要因としては、前期に伸び悩んだコンストラクションソリューション事業のNETIS登録製品のパッケージ販売拡大、並びに事業譲受による新規子会社の連結寄与となる。前期は売上高の計画未達により販管費率が上昇したことを踏まえ、2023年8月期は売上高、売上総利益率、販管費率を慎重に精査したようだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:07
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エコモット Research Memo(6):インテグレーションソリューションや遠隔臨場システムが好調に推移
■業績動向1. 2022年8月期の業績概要エコモット<3987>の2022年8月期の連結業績は、売上高が前期比2.5%増の2,217百万円、営業利益が同68.3%減の19百万円、経常利益が同54.6%減の34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同102.6%増の27百万円となった。また期初計画比では、売上高で13.6%減、営業利益で81.8%減となった。インテグレーションソリューション及びモビリティサービスの売上高は計画を上回る良好な結果となったものの、その他ソリューションの売上高不足が影響した結果、売上総利益以下も計画を下回って着地した。2. ソリューション別売上高(1) インテグレーションソリューション前期比58.4%増の599百万円、計画比で2.6%増と好調に推移した。KDDI及び他チャネルにおける営業活動が順調に進行した。(2) コンストラクションソリューション前期比6.6%減、計画比22.2%減の978百万円となった。遠隔臨場システム「Gリポート」が好調に推移し顧客基盤は堅調に拡大したが、開発案件の受注が伸び悩んだ。(3) モニタリングソリューション前期比11.4%減、計画比23.9%減の296百万円となった。ベース案件が堅調に推移し、事業部単体では計画どおりの着地となったものの、ストークの失注や納期遅延が響いた。(4) モビリティサービス前期比14.7%減、計画比2.4%増の342百万円となった。3G端末の解約が続き、前期を下回ったものの、ベース案件の獲得は順調に推移し、計画どおりの着地となった。3. 財務状況(1) 貸借対照表2022年8月期末の資産合計は前期末比91百万円減の1,871百万円となった。流動資産は同282百万円減の1,369百万円となった。これは主に現金及び預金が195百万円、電子記録債権が52百万円それぞれ減少したこと等による。固定資産は同190百万円増の502百万円となった。これは主に投資その他の資産が170百万円、有形固定資産が28百万円それぞれ増加したこと等による。負債合計は同119百万円減の768百万円となった。流動負債は同172百万円減の469百万円となった。これは主に支払手形及び買掛金が18百万円増加した一方、1年内償却予定社債が100百万円、1年内返済予定の長期借入金が10百万円それぞれ減少したこと等による。固定負債は、長期借入金が45百万円増加したこと等により同53百万円増の298百万円となった。また、有利子負債は同64百万円減の427百万円と、現金及び預金の546百万円を下回った。これらの結果、流動比率は291.6%、自己資本比率は58.9%となり、財務の健全性が示された。(2) キャッシュ・フロー計算書2022年8月期末の現金及び現金同等物の期末残高は前期末比194百万円減の546百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の減少(51百万円)等により84百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、持分法適用会社株式の取得による支出98百万円等により213百万円の支出となったが、出資に付随する契約により2023年8月期に投資分を上回る回収が確定している。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債償還や長期借入金返済等により64百万円の支出となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:06
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エコモット Research Memo(5):「つなぐ力」「構築力」「組織力」と「圧倒的な現場力」が強み(3)
■事業概要(3) モニタリングソリューション「ゆりもっと」創業事業である融雪システム遠隔制御代行サービス「ゆりもっと」は、北海道・北東北を中心に展開している。エコモット<3987>は他社に先駆けて市場に参入したうえ、数々の賞を受賞しており、市場をほぼ独占している。一方で、同ソリューションの普及率は高く、市場が成熟化していることに加え、稼働期間も12月から3月の冬季に限定される。このため、今後はEVスタンドの普及事業に注力する方針だ(詳細は後述)。(4) モビリティサービス「Pdrive」「Pdrive」は、主に社有車を保有する事業者向けに、危険運転時のリアルタイム動画を提供し、運転状況を「見える化」することで、交通事故削減を図るカーテレマティクス※サービスを提供している。モバイル通信を搭載した高性能ドライブレコーダーを車両に取り付け、加速度センサーが急ブレーキや急ハンドルといった交通事故の兆候(ヒヤリハット)である危険運転を感知すると、搭載するモバイル通信端末を介し、車載カメラの動画をクラウドへ保存し、安全管理者にメール配信する。※カー(Car、自動車)とテレコミュニケーション(Telecommunication、遠隔通信)及びインフォマティクス(Informatics、情報学・情報処理)から作られた造語で、移動体通信を用いて自動車や輸送車両等に対して提供するサービスの総称。一般的に、カーテレマティクス導入には3つの効果があると言われる。危険運転の見える化による交通事故の減少、稼働実績の「見える化」による車両経費の削減、運行履歴の見える化による業務効率の向上だ。「Pdrive」を活用することで、交通事故の発生件数を低減し、事故にかかる諸費用や自動車保険の保険料を節約できる。また、車両利用の偏りや余剰が見つかることで、不要車両の処分などコスト削減にもつながる。このほかにも、日報機能を活用することで運転日報の作成時間が短縮でき、1日当たりの訪問件数が増加するといった業務効率向上の効果もある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:05
注目トピックス 日本株
エコモット Research Memo(4):「つなぐ力」「構築力」「組織力」と「圧倒的な現場力」が強み(2)
■エコモット<3987>の事業概要3. 事業戦略(1) インテグレーションソリューション「FASTIO」「FASTIO」(= FAST +IoT)はデータ収集基盤として、業務アプリケーションや分析ツールといった、よりビジネスと密接に関連するサービスに対して適切にデータをデリバリーする役割を担う。DXは、視覚や触覚など五感に相当するIoTから得た情報をAIが理解し、適切な判断をすることで価値が創出されるが、これには環境データやオペレーショナルテクノロジーなどのデータを的確に分析するオートメーションシステムの構築が必要となる。「FASTIO」は、DX推進により適切な判断ができるように、状況に合った機能をセレクトし、ワンストップで提供する。一例を挙げると、「3密対策」対応のIoTサービスでは、混雑状況確認や換気促進などのソリューションをワンストップで提供し、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)でも社員や来店客の安全を確保できる。「FASTIO」の特長は、クラウド環境で提供するため、短期間で安価にIoTサービスを利用できることである。また、8つ(ウィズコロナ、インフラ・防災、設備、オフィス、店舗・小売、農業、観光、IoT監視センター)のソリューションに分類し、パッケージ化しており、汎用性が高い点も挙げられる。なお、KDDIとの協業としては、「KDDI顧客向けのカスタマイズ」「IoTパッケージ製品の共同開発」「大規模IoTインテグレーション事業の共同受注」に大別される。また、5Gなどの新技術に対する情報連携や実証実験などを行い、今後市場投入するサービスも構築している。(2) コンストラクションソリューション事業同社は、建設業界の人手不足、労働環境と安全性の向上、生産性の引き上げ、デジタル化を推進する国土強靱化対策、有用な新技術の積極的な活用を促進する施策などを背景として、コンストラクションソリューションのさらなる成長を目指している。a) 建設業界の人手不足建設業界にとって、生産性の向上は喫緊の課題だ。厚生労働省「労働経済動向調査」によると、コロナ禍の影響を受け、2020年8月の正社員等労働者の過不足状況判断指数(D.I.=不足-過剰)(調査産業計)は21(同年2月は38)まで低下したものの、直近の2022年8月は41まで回復している。これに対し建設業は2020年8月で39、直近の2022年8月で57と、調査産業計と比べ労働者不足感が高い。日本建設連合会の長期ビジョンによると、今後10年以内に、著しい高齢化に伴う建設技能者の大量離職時代が到来する。2014年の技能労働者数は約343万人であったが、60歳以上が全体の23.2%、50代が21.2%を占めており、2025年度までに全体の3分の1に当たる約109万人が退職すると予測されている。同社は、コンストラクションソリューションの各種サービスを拡大することで、これらの建設業界での人手不足解消の実現を目指している。b) 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」政府は2020年12月に、2021年度から2025年度までの5年間で大規模地震対策などを実施する新たな国土強靱化対策を閣議決定した。防災・減災のための国土強靱化計画は、2018年度から2020年度までの3か年の事業規模が7兆円だった。これに対し、新たな5か年対策では15兆円が見込まれている。豪雨対策や交通網維持に対し約12.3兆円、インフラ老朽化対策を加速するために2.7兆円、防災のための災害情報の充実などデジタル化の推進に2,000億円を充て、大規模地震対策など123事業を実施する。重点プログラムは、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進が挙げられている。同社は、創業以来、一貫してIoTインテグレーション専業プロバイダーとして、工事現場の「安全管理」「生産性向上」「作業精度向上」等の総合情報化ソリューションを提供してきた。また、増水、豪雨、突風、倒壊、土石流、土砂崩れなどの自然災害の予兆・監視等の防災ソリューションも手がけている。このことから、国がデジタル化及び情報化を推進することは、同社にとって追い風となると弊社では見ている。c) 「NETIS」(公共工事における新技術情報提供システム)国土交通省は2006年度に、公共工事等に関する優れた技術を持続的に創出していくため、民間事業者等により開発された有用な新技術を積極的に活用する目的で、データベース「NETIS(ネティス)※」を整備した。新技術情報の収集・共有、積極的な現場導入、導入現場での活用効果の調査、調査結果に基づく事後評価という一連の流れを制度化し、有用な新技術の活用と技術開発のスパイラルアップを図る総合的な仕組みとなっている。評価結果が優れている新技術については、総合評価落札方式や工事成績評定において加点対象となるなどのインセンティブが付与される。※New Technology Information Systemの略で、新技術情報提供システムのこと。同社の風向風速計、傾斜計、振動騒音計、水位計や広角高画質動画カメラ、車両検知システム、モバイル式コンクリート養生温度管理システムなどがNETIS登録製品となっている。それら製品の活用シーンは、土木、共通工、コンクリート工、仮設工、河川海岸、砂防工、道路維持補修工、建築、建築設備(電気)と多岐にわたる。代表的なサービスには、遠隔クラウド計測システム「クラウドロガー」、コンクリート養生温度管理システム「おんどロイド」、ワイヤレス警報検知システム「Tbox」がある。これらは工事現場に設置され、工事現場の安全性向上、業務効率化、品質向上に大きく貢献している。d) 建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」建設情報化施工支援ソリューションの「現場ロイド」は、多くの経験と実績に裏打ちされた高い技術力で、現場の安全対策・進捗管理・防犯対策等をしっかりとサポートする。「現場ロイド」は、業務効率化の実現や安心安全の確立をサポートする約300種類のサービスラインナップをそろえている。2009年3月の提供開始以来、累計14,000件以上(2022年8月現在)の工事現場で利用されている。屋外に設置した環境センサーやネットワークカメラからのデータにより建設現場を見える化し、センサーによる常時警戒や迅速な警報発報など、人手不足を補い遠隔臨場※を可能とするシステムを提供している。一方、土木建築や災害現場においては、管理者や作業員がより高度で本質的な働きに集中できるよう、ワイヤレスコネクティビティ技術で現場を支えている。このほかにも、現在の風速を始めとする気象データをAIで解析し、設置エリアの風速を高精度で予測する「サインロイド2」(NETIS登録製品)や、エッジAIカメラ、配筋検査ARアプリ、3D地中変位クラウド計測システム、遠隔臨場システム「Gリポート」などがある。※2020年3月に国土交通省より試行要領が発表されたもので、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)により撮影した映像と音声をWeb会議システム等を利用して「段階確認」材料確認」「立会」を行うもの。収入形態は、工事期間の機器レンタル料とサービス利用料になる。1件当たり平均3~4ヶ月程度利用され、利用料は約80~100万円となる。同サービスはパッケージ化されていることから、保安安全用品・建機レンタル業者等の販売店経由で提供する。保安安全用品の販売及びレンタル事業を行う(株)仙台銘板が最大の販売店であり、2022年8月期の仙台銘板への売上高依存度は20.2%であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:04
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エコモット Research Memo(3):「つなぐ力」「構築力」「組織力」と「圧倒的な現場力」が強み(1)
■事業概要1. 事業内容と売上構成比エコモット<3987>はIoTインテグレーション事業の単一セグメントであるが、提供スタイル・ソリューションで売上高を区分している。提供スタイルは「IoTプラットフォーム※をベースとしたSIによるソリューション」と「パッケージサービスを中心としたソリューション」に分けられ、前者はインテグレーションソリューション、後者はモニタリングソリューション、コンストラクションソリューション、モビリティサービスが該当する。※IoTを実現するためのプラットフォームのこと。現在では広く解釈されており、データの収集や蓄積に特化したものやデータ解析に特化したもの、モバイル通信サービスに特化したものなどもIoTプラットフォームと総称される。インテグレーションソリューションでは顧客ニーズに合わせて的確にIoT導入を支援しており、IoTデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」を提供している。モニタリングソリューションでは遠隔でのカメラ監視によるソリューションを提供しており、融雪システム遠隔監視ソリューション「ゆりもっと」を展開している。コンストラクションソリューションでは工事現場の安全管理、生産性向上、作業精度向上等の総合情報化ソリューションを提供しており、建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」を展開している。モビリティサービスではGPS技術を活用したソリューションを提供しており、交通事故削減ソリューション「Pdrive」を展開している。2022年8月期の売上高(2,217百万円)の内訳は、インテグレーションソリューションが599百万円(構成比27.0%)、コンストラクションソリューションが978百万円(同44.1%)、モニタリングソリューションが296百万円(同13.4%)、モビリティサービスが342百万円(同15.5%)であった。IoTシステムの構築ではモノが介在する現実社会とインターネットのサイバー空間をカバーするため、各分野で優位性を持つ企業とのアライアンスが必要となる。同社はIoTプラットフォームを自社開発しているが、クラウドインフラとしてはアマゾン・ドット・コムのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトのMicrosoft Azureを利用している。アマゾンからは、札幌に本店を置く企業としては初めてテクノロジーパートナーとして認定された。また、資本業務提携しているKDDIとは、「IoTクラウド Standard」の強化、5G等の新技術を活用した通信デバイスの共同開発、KDDI顧客基盤への営業活動強化等で協業している。2. 3つの強みIoT利活用に必要なエコシステムは、モノ・コトからのデータ「収集」、クラウド上にデータ「蓄積」、クラウド上でデータ「分析」、分析結果を現実世界の「モノ・人」にフィードバックし「活用」するという4つの機能で成り立つ。IoTは、センサーをインターネットにつなぐことで、離れた場所の状態を知ることや遠隔でモノを操作することを可能にする。具体的には、現実世界で起こる温度、湿度、気圧、照度、騒音、振動などの物理現象をセンサーにより電気信号に変換し、通信デバイスにより通信回線でインターネットに接続してクラウド上のサーバーにデータを収集する。サイバー空間では、クラウドサーバーからの計測データの表示、画像監視、遠隔操作、車両の運行管理を行い、機械の稼働状況などを解析する。なお、データ解析にはAIを活用することもある。データをビジネスに生かすため、グループウェアやBIツール※とリンクさせる。※Business Intelligenceツールの略。企業の業務システムの一種で、膨大なデータを蓄積・分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめる。昨今は、情報の収集や成型といった入り口側の機能を簡略化し、美しく直感的なアウトプットに特化したものが注目されている。同社の強みは、「つなぐ力」「構築力」「組織力」である。「つなぐ力」では、パートナープログラムを通じて2,000種類以上の接続実績があるセンサーを用意し、モノ・コトからデータを収集し、多彩なニーズに対応可能としている。多様な顧客ニーズに適応するため、豊富な自社開発の通信デバイスを製品化している。また、顧客の利用形態に応じて、自社エンジニアがカスタマイズもする。多くの導入実績に基づき、多種多様な屋内外の設置場所において最もセンシングに適した場所の選定などフィールドでの設置ノウハウを蓄積している。「構築力」では、豊富なノウハウに裏付けられたシステムの構築力とサービス運用力を併せ持つことが強みで、コンサルティングにより顧客ニーズに即したソリューションをワンストップで提供できる独自性を持つ。累計16,000以上の案件にIoTシステムを提供している。「組織力」では、IoT専業システムインテグレータとして、多岐にわたる分野をカバーしている。ワークフロー順に並べると、マーケティング、商品・サービス企画、ハードウェア設計・製造、組込ソフト・プラットフォーム設計・開発、ネットワーク設計・開発、Webアプリケーション設計・開発、コンサルティング、システムインテグレーション、他社アプリ連携、設置・工事、保守運用・アフターサポートとなる。バーチャルの世界で完結するネットビジネスとは異なり、IoTは現場での活用で真価が問われるが、同社の最大の強みは圧倒的な現場力にある。同社のIoTビジネスを構成するのは、「センシング技術」「システム構築力」「サービス運用力」の3つの現場力になる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:03
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エコモット Research Memo(2):IoT×AIを活用し社会課題を解決するIoTリーディングカンパニーを目指す
■会社概要1. 会社概要エコモット<3987>は創業以来、一貫してIoTインテグレーション専業プロバイダーとしてソリューションを提供している。IoTという言葉が広まる以前から、Iot×AIを活用することで社会の課題を解決するリーディングカンパニーを目指している。「未来の常識を創る」をミッションに、IoTを通じてより安心な社会の実現に貢献するため、「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げている。2. 沿革同社は、2007年2月、現 代表取締役の入澤拓也(いりさわたくや)氏により設立された。北海道札幌市に本社を置く同社が創業時に手掛けたビジネスは、融雪装置遠隔制御代行サービスであった。2年目に「融雪装置遠隔制御システム」を開発し、特許を取得した。その後、遠隔でのカメラ監視によるモニタリングソリューションとして、融雪システム遠隔監視ソリューションを「ゆりもっと」の名称でパッケージ化した。なお、「ゆりもっと」は、降雪地域のなかでも特に気温が低くロードヒーティングが普及したエリアに限定されるため、札幌本社と2009年に開設した青森営業所が対応している。2009年に建設情報化施工支援ソリューション「現場ロイド」をリリースするなど、幅広い地域をターゲットにできるサービスを拡充したことにより、現在は北海道から九州までをカバーする全国9ヶ所に営業所を展開している。具体的には、北から本社・札幌営業所(札幌市中央区)、青森営業所(青森県青森市)、仙台営業所(宮城県仙台市)、北信越営業所(新潟県新潟市)、東京営業所(東京都千代田区)、東海営業所(愛知県名古屋市)、関西営業所(大阪府吹田市)、中四国営業所(広島県広島市)、九州営業所(福岡県久留米市)となる。2014年にはデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」の提供を開始、2016年からはKDDI向けにカスタマイズして「KDDI IoTクラウド Standard」として提供されている。2016年3月には交通事故削減ソリューション「Pdrive」のOEM提供を開始した。2019年1月にはKDDIと資本業務提携を行った。これにより、KDDIは同社株式の20.53%(2022年2月末現在)を所有する第2位の株主となった。法人向けIoTビジネスの拡大を目的としており、同社の「つなぐ力」と、KDDIの持つ通信、プラットフォーム、アプリケーションの強みを生かし、新たな業種業界に特化した新規パッケージの共同開発及び共同販売に取り組んでいる。また、2019年8月には、経済性に強みを持つ暖房設備機器の製造、販売、メンテナンス事業を行うストークを子会社化した。2019年10月には、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格認証「JIS Q 27001:2014」を取得した。IoTインテグレータとして大量のデータを取り扱うことから、セキュリティ対策を継続し、常に安全なサービスを提供し続けられるよう業務運営体制を強化しており、大手協業先との共同開発や共同販売の拡大につながっている。株式関係では、2017年6月に札幌証券取引所アンビシャス市場に株式を公開、2018年6月に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。2022年4月の同新市場区分見直しに伴い、グロース市場へ移行している。3. M&A戦略とグループ企業同社は成長戦略として、1) 垂直統合領域の「拡大」、2) 既存ソリューション領域の「深化」、3) 事業領域の「拡大」を掲げている。このうち、3) 事業領域の「拡大」については、シナジー効果を有する企業への出資やM&Aは不可欠であると考えており、これまでも資本業務提携、合弁会社設立、事業譲受、企業買収を行ってきた。資本業務提携の代表例となるKDDIとの提携は、インテグレーションソリューションの持続的な拡大に貢献している。また、2021年7月には、電気自動車の充電スタンド(以下、EVスタンド)の販売・導入・運用管理を行うユアスタンドと資本業務提携した。「ゆりもっと」顧客への付加価値提案としてEVスタンドの販売を推進し、顧客満足度の向上を図るとともに、ユアスタンドへデバイスを提供することでシナジー創出を図る。2022年8月期末時点の連結子会社はストーク及び(株)フィットで、いずれも企業買収により子会社化した。このうちフィットは、電気・電子回路設計(E)、機械設計(M)、ソフトウェア開発設計(S)を主な事業領域とする。直近では、生体認証を活用したセキュリティ機器の販売・設置事業を開始している。電気・電子回路設計部門のなかでも画像及び通信(5G)分野を注力領域に掲げており、グループシナジーを見込んでいる。4. 各種表彰同社は、IoT/M2M※技術で各種表彰されている。一例を挙げると、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)が開催する「MCPC award」において、過去3回受賞している。「MCPC award」は、モバイルシステムの導入により、IoT/M2M分野での「業務効率化」「業績向上」「顧客満足度向上」「社会貢献の推進」「先進的なモバイル活用」等の成果を上げた事例を顕彰し、モバイルソリューション、IoT/M2Mシステムのさらなる普及促進を図るものである。2015年12月には、データコレクトプラットフォーム「FASTIO」がプロバイダー部門のグランプリ及び優秀賞を受賞した。※M2M:Machine to Machine(マシーン・ツー・マシーン)の略で、機器同士が人間の介在なしにコミュニケーションをし、動作するシステムのこと。2008年3月には、業界初のエコロードヒーティング遠隔操作システム「ゆりもっと」がモバイル中小企業賞、2011年4月には建設現場の見える化システム「現場ロイド」が特別賞、2019年11月には飲食店向け自動応対サービス「AITELL」がサービス&ソリューション部門奨励賞を受賞している。直近では、2022年1月に、札幌商工会議所より令和3年SDGs経営表彰「気候変動アクション部門」を受賞した。「ゆりもっと」でロードヒーティングをIoT技術で24時間遠隔監視することで、年間9億円の燃料コストと25,000トンのCO2削減に貢献したことが評価された。また、同年4月には、「札幌DX推進方針」を打ち出している札幌市より、同社代表取締役の入澤氏がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のアドバイザーとして、北海道大学の山本強名誉教授とともにCDO(最高デジタル責任者)補佐官に任命された。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:02
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エコモット Research Memo(1):新規ビジネス創出へのリソースを確保し、売上拡大と収益性向上を目指す
■要約エコモット<3987>は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)インテグレーション専業プロバイダーとしてソリューションを提供し、IoT×AIを活用することで社会の課題を解決するリーディングカンパニーを目指している。2007年の創業以来、IoT専業ソリューションベンダーとして累計16,000件以上の案件に携わった「圧倒的な現場力」が強みとなる。IoTの事業領域はセンサー、通信デバイス、ネットワーク、クラウドサーバー、アプリケーションと多岐にわたることに加え、IoTシステムの構築は、モノが介在する現実社会とインターネットのサイバー空間をカバーするため、各分野で優位性を持つ企業とのアライアンスが必要となる。成長に向けた事業領域拡大に当たり、シナジー効果を有する企業との資本業務提携、合弁会社設立、事業譲受、企業買収などを行っている。1. 2022年8月期の業績概要2022年8月期の連結業績※は、売上高が前期比2.5%増の2,217百万円、営業利益が同68.3%減の19百万円となった。インテグレーションソリューション及びモビリティサービスの売上高は計画を上回る良好な結果となったものの、その他ソリューションの売上高不足が影響し、期初計画比では売上高で13.6%減、営業利益で81.8%減となった。ソリューション別売上高では、インテグレーションソリューションがKDDI<9433>及び他チャネルにおける営業活動が順調に進行した結果、前期比及び計画比ともに上回り好調に推移した。コンストラクションソリューションは、遠隔臨場システム「Gリポート」が好調に推移し顧客基盤は堅調に拡大したものの、開発案件の受注が伸び悩んだ。モニタリングソリューションはベース案件が堅調に推移し、事業部単体では計画どおりの着地となったものの、(株)ストーク(現 (株)ゴモジー)の失注や納期遅延が響いた。モビリティサービスは、3G端末の解約が続き、前期を下回ったものの、ベース案件の獲得は順調に推移し、計画どおりの着地となった。※2022年8月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、前期比は当該基準適用前の数値との比較となる。2. 2023年8月期の業績見通し2023年8月期の連結業績は、売上高が前期比50.8%増の3,345百万円、営業利益が同202.7%増の59百万円を見込んでいる。2期連続して期初計画を下回って着地したことを鑑み、2023年8月期の業績予想については、売上計上の確度が高いものを予算に入れ、不確定要素の大きな開発案件を伸び代とした。大幅な増収要因としては、前期に伸び悩んだコンストラクションソリューション事業のNETIS登録製品のパッケージ販売拡大、並びに事業譲受による新規子会社の連結寄与となる。前期は売上高の計画未達により販管費率が上昇したことを踏まえ、2023年8月期は売上高、売上総利益率、販管費率を慎重に精査したようだ。3. 経営体制を一新する抜本的な組織改編新・中期経営ビジョンで掲げた各プランの実現可能性をより高めるべく、2023年8月期より事業体系を「IoTビジネスイノベーション事業」「コンストラクションソリューション事業」「IoTパワード事業」の3つへ再編した。既存ソリューションの営業リソース集約を進め、子会社同士の連携を強固にすることで、新規ビジネス創出へのリソースを確保し、売上拡大と収益性の向上を実現する考えだ。IoTビジネスイノベーション事業では、KDDIとの協業関係強化、ユアスタンド(株)との提携、モビリティサービスの合弁会社設立による事業拡大に注力する。コンストラクションソリューション事業では、主力事業「現場ロイド」のさらなる育成と拡大を成長の基盤としつつ、積極的に新領域へも挑戦する。IoTパワード事業では、設備管理メンテナンス市場でのリモートモニタリングサービス強化に取り組むほか、太陽光発電EPC市場への参入を果たした。同市場では、IoT×AI技術や蓄電池製品を生かし、差別化を図ることでこれらのマーケットへの販売を強化する。■Key Points・IoT×AIを活用し、社会の課題を解決するIoTリーディングカンパニーを目指す・2022年8月期業績は計画比で未達となるも、インテグレーションソリューションや遠隔臨場システムが好調に推移・2023年8月期業績は大幅な増収・営業増益予想も、堅実な計画・経営体制を一新する抜本的な組織改編を断行。新規ビジネス創出へのリソースを確保し、売上拡大と収益性向上を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022/12/08 16:01
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新興市場銘柄ダイジェスト:ハウテレビジョンはストップ安、アイパートナーズがストップ高
<4892> サイフューズ 1881 +219大幅に4日ぶり反発。新たな取引材料は出ていないが、最近の新規株式公開(IPO)銘柄を循環物色する流れに乗って買われている。サイフューズは1日に新規上場し、公開価格(1620円)を6.2%上回る1720円で初値を付けた。一時2468円まで上昇したが、その後は初値を下回る1640円まで値を下げた。公開価格を底値と見た向きが値頃感から買い戻しを入れているようだ。<4263> サスメド 1770 +300ストップ高。厚生労働省が19日夕に開催する薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会で、サスメドの「不眠障害治療用アプリ Med CBT-i」について非公開で審議すると5日に発表したことが引き続き買い材料視され、投資資金が流入している。サスメドは2月に同アプリの製造販売承認を申請しており、承認された場合は不眠障害の新たな治療手段となることが期待されるとの認識を示していた。<7345> アイパートナーズ 669 +100ストップ高。子会社がオリックス<8591>傘下のオリックス銀行(東京都港区)と信託契約代理店の業務委託契約を締結したと7日の取引時間中に発表し、引き続き買い材料視されている。子会社のAIPコンサルタンツ(横浜市)が取り扱うオリックス銀行の遺言代用信託「未来に託す」は、申込人に相続が発生してから最短5営業日で受取人に金銭を渡すことが可能で、葬儀費用の支払いや遺族の生活などに備えることができるという。<2342> トランスG 339 +1もみ合い。23年3月期の期末配当を従来予想の3.00円から5.00円(前期末実績6.00円、特別配当3.00円含む)に増額修正している。上場20周年を迎えたことから、1株当たり2.00円の記念配当を加えた。年間配当も同額となる見通し。<7064> ハウテレビジョン 3520 -700ストップ安。23年1月期第3四半期累計(22年2-10月)の営業損益を2.59億円の黒字(前年同期実績は0.33億円の赤字)と発表している。キャリアプラットフォーム事業の累積取引社数や累積会員数が伸び、黒字転換に寄与した。通期予想は前期比542.4%増の3.00億円の黒字で据え置いた。進捗率は86.3%。ただ、第2四半期累計(2.25億円の黒字)からの伸びが低いため、材料出尽くし感から売り優勢となっているようだ。<4431> スマレジ 1728 +180大幅に5日ぶり反発。各種クラウドサービスの利用料金を23年1月1日から改定すると発表している。1店舗当たりの月額料金(税抜き)をスマレジサービスのプレミアムプランで4000円から5000円に、フード&リテールプランで1万5000円から1万7000円に引き上げる。タイムカードサービスでは、スタンダードプランが1000円から1100円になる。料金改定で業績予想の修正が必要と判断される場合には速やかに知らせるとしている。
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2022/12/08 15:38
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三菱総研 Research Memo(9):安定配当を重視した配当方針。事業規模拡大のなかで10期連続増配を達成
■株主還元策三菱総合研究所<3636>は株主還元策として安定的に配当を実施することを基本方針としている。具体的な配当性向目標等は公表していないが、配当方針を「継続的な安定配当を基本に、業績や将来の資金需要、財務健全性のバランス等も総合的に勘案しつつ、配当水準の引き上げに努める」と定めている。2022年9月期通期の1株当たり配当金は、既に実施した中間配当60円に加えて、期末配当80円実施を2022年11月に決定したため、前期比25円増の140円となった。好調な業績を受け、期末配当は2022年4月の予想から15円上乗せした格好だ。今後は中期経営計画、次期中期経営計画のもとで資本効率をさらに高めながら株主還元を充実させていく構えだ。具体的にはM&Aも含めたノンオーガニックと既存事業からの成長によって利益を積み上げ、ROEを高めていくことを計画している。なお、成長投資の一環としてM&Aを実行し、利益の積み上げを目指すという姿勢をより明確にするために「将来の資金需要」という文言を新たに配当方針に加えている。2023年9月期の配当予想に関しては、前期比10円増の150円(中間75円、期末75円)と11期連続の増配を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:29
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三菱総研 Research Memo(8):VCP経営・連結経営のもと、社会実装機能強化に注力(2)
■三菱総合研究所<3636>の中長期の成長戦略(2) 基盤事業改革成長事業への投資を継続的なものとするために収益の基盤であるリサーチ・コンサルティング事業、金融ソリューション事業における質・生産性の向上を目指すものである。VCP経営における「D:社会実装」までつなげることを意識しながらリサーチ・コンサルティング事業においては、重点分野であるヘルスケア、エネルギー、都市・モビリティ、人財、情報通信、食農などの領域で官公庁・自治体・民間企業に対して能動的な事業展開・案件形成を実施している。金融ソリューション事業では、グループ企業やパートナー企業との連携を深めつつ、金融機関が保有するデータの多面的活用、DX事業など新事業を創出することによって業績拡大を図る計画だ。基盤事業改革の成果も2022年9月期の業績に表れた。案件数で見ると1億円超えの大型案件が4倍超に増加した一方で、500万円未満の小型案件は7割減少した(いずれも2011年9月期比)。案件の大型化が進んだことによって案件数が減少するなかでも、売上と利益はそれぞれ1.7倍と4.1倍(2011年9月期比)に拡大した。また、ITサービスの利益率も8%目前まで上昇した。経営基盤強化とリソース配分見直しによる生産性向上の効果が表出した格好だ。ITサービスに関しては先述のとおり、より高付加価値化が見込める上流部分に人員を重点配置する計画であり、案件の大型化に加えて利益率が高まることが期待される。(3) シンクタンク事業改革VCP経営のスタート地点、同社グループの価値創造プロセスの土台である「A:研究・提言」機能をシンクタンク事業の改革を通じて強化するものである。例えば、同社ホームページに「新型コロナウイルス(COVID-19)危機対策:分析と提言」というページを開設し、経済からカーボンニュートラルに至るまで多岐にわたる分野で中長期的な視点からの情報発信を継続している。また、研究・提言を担う人財の育成、社外ネットワークとの連携などにより、研究・提言力の強化も図っている。さらに、今後AIがシンクタンク事業にも破壊的創造をもたらすという認識に基づき、将来的な事業展開を視野にシンクタンクDXを社内で推進し、同社のシンクタンク事業プロセスに積極的にICT・AIの活用を進めている。シンクタンク事業における創造と破壊を自ら先導し、そこから得た経験やノウハウを外部顧客に提供し始めている※。※同社は「企画業務のDX化」全般を支援するサービスの開始を2021年6月30日に発表した。(4) 人財・風土改革同社グループの提供価値を生み出すための土台である人財を確保・育成していくために、働き方改革を含めた人財・風土の改革を進めている。人財戦略では、VCP経営や連結経営に適した人財ポートフォリオを構築するために新卒・中途両面で採用を強化している。また、ダイバーシティや専門性を意識した人事制度、人材育成プランの策定により、優秀な人財を惹き付け、定着させることを目指している。働き方改革においては、リアルとリモートを併用した最適な就労環境の整備を行っている。組織風土面においては、新たに策定した経営理念や行動規準を全社に浸透させ、変革に挑戦する風土づくりに努めている。(5) 経営システム改革同社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためにガバナンスの向上を実現しようとするものである。具体的には、経営会議において重要事項を諮問する各種社内委員会をはじめとして審査・管理体制を一層充実させている。また、連結経営における総合的なリスク管理体制も強化し、新事業などに伴うリスクに対して迅速かつ能動的に対処する仕組みを構築している。さらに、事業活動を支える基盤システムにおいては高い頑強性を備えたインフラを整え、攻守両面で対策を実施している。先述のとおり中期経営計画の成果は具体的に数字となって業績に結実し、一部財務目標は前倒しで達成している。中期経営計画の推進を強化する重点4分野(「人財」「研究・提言」「R&D投資」「事業基盤」)への成長投資によって、さらなる業績の拡大と企業価値の向上が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:28
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三菱総研 Research Memo(7):VCP経営・連結経営のもと、社会実装機能強化に注力(1)
■三菱総合研究所<3636>の中長期の成長戦略1. 中期経営計画の概要2020年11月に発表した中期経営計画において、同社グループは「VCP経営」「連結経営」「新常態経営」の3つを基本的方針として設定し、「A:研究・提言」「D:社会実装」機能の強化とDX事業をはじめとする新事業の創出・拡大により持続的成長企業への土台を構築することを目指している。そのうえで財務価値の具体的目標として、2023年9月期に経常利益100億円(年平均成長率12%)、ROE10%を掲げている。なお、前述のとおり経常利益及びROE目標は2022年9月期に前倒しで達成した。経常利益に関しては、さらに高い目標を目指す構えである。基本方針の1つとして掲げた「VCP経営」において、同社グループのバリューチェーンを「A:研究・提言」「B:分析・構想」「C:設計・実証」「D:社会実装」と定義付けた。従来強みとしてきた「B:分析・構想」「C:設計・実証」機能の強化に加えて、世の中に存在する社会課題を起点に「D:社会実装」までを意識した現実性の高い「A:研究・提言」を行うなど各機能のつながりを意識した事業活動を展開することによって課題解決と事業機会の拡大を目指す。また、「D:社会実装」まで主体的に関与することで社会に変革を根付かせることを目的としている。重点分野として、ヘルスケア、人財、都市・モビリティ、エネルギー、情報通信、食農、循環、レジリエンスを設定した。例えば、エネルギー分野においては、将来のあるべきエネルギー政策の研究・提言からメガソーラー事業の運営まで手掛けており、AからDまでを一気通貫で提供するVCP経営を実行している。これらの重点分野を中心にVCP経営を推進することにより、社会価値(社会課題の解決)、非財務価値(人と組織の持続的成長)、財務価値(事業の成長)の3つの価値の拡大化を目指す考えだ。「連結経営」に関しては、「D:社会実装」機能を強化することで「VCP経営」の実効性をさらに高めるために重要となる。「VCP経営」の実効性を高めることを目的にグループの中核企業であるDCS、JBS、INESとの協業をより一層推進し、グループ内の資産を有効活用する方針だ。また、DXなどの新規事業創出においては、グループ企業に留まらず、ベンチャー企業、海外企業、大手企業など、外部企業・機関との連携も積極的に模索していく。「新常態経営」とは、ポストコロナ社会に伴う様々な変革を同社グループが先駆けて行うもので、働き方改革を社内でも加速していくものである。これにより、従業員のワーク・ライフ・バランスの最適化・企業パフォーマンスの最大化を実現するとともに、変革を先導するなかから得た知見をVCP経営の「A:研究・提言」、「D:社会実装」へとつなげ、新たな事業機会を創出することも狙っている。同社グループは、これらの3つの基本方針のもと、さらに5つの改革戦略「成長事業改革」「基盤事業改革」「シンクタンク事業改革」「人財・風土改革」「経営システム改革」を策定し、具体的な活動に落とし込んでいる。2. 5つの改革路線(1) 成長事業改革同社グループは持続的成長に向けて、「DX事業」「ストック型事業」「海外事業」を成長事業として設定した。これらの事業を軸に新収益基盤の構築を実行し、事業モデル及び事業ポートフォリオの転換を実行する構えだ。「DX事業」においては、「DXジャーニー」「ニューノーマル」「データ駆動経営」「自治体DX」を重点テーマとして設定した。2020年10月に同社内に新設したデジタル・トランスフォーメーション部門を中心にDCS、JBS、INESとの連携を加速し、DX事業の強化に取り組んでいる。2022年9月期においては、デジタル地域通貨「Region Ring」の提供開始、卸電力取引情報の「MPX」の提供開始、MD連携による海運会社向けGHG排出量管理・削減ツールの提供開始をはじめとして着実に実績が積み上がった。同社決算説明資料によると、DX事業の順調な拡大を受けて2022年9月期の売上高に占めるDX事業の割合は約3割(約32,000百万円)まで高まっている状況だ。2020年9月期のDX関連事業の売上高約27,000百万円と比較すると約1.2倍に拡大している。また、中長期的にDX事業の対連結売上高シェアを5割超にするという目標に向けて順調に前進している(M&Aによるノンオーガニックの成長も想定)。「ストック型事業」は、同社グループのノウハウ・知的資産を活用して効率的かつ継続的に安定した収益を上げることを意図している。具体的には、ICTソリューションの提供を通じた社会課題解決の実装と社会課題解決サービスの提供という2タイプのストック型事業に取り組んでいる。既に卸電力取引のためのオンライン情報サービス「MPX」、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「Region Ring」、エントリーシート優先度診断サービス「PRaiO」、タレントマネジメントシステム「crexta」、住民からの問い合わせにAIチャットボットが対応する「AIスタッフ総合案内サービス」、ジョブマッチングシステム「JOBMINEs」、人事給与BPOサービス「PROSRV」、インターネット出願サービス「miraicompass」など、多くのサービスを市場に投入している。今後は、既にローンチした事業の規模拡大と新サービスの継続的な投入を計画している。「海外事業」に関しては、課題先進国日本で培ったノウハウを生かし、アジア、中東諸国を中心に展開している。ハノイにおいては、少子高齢化に伴うシンポジウムを開催するなど、問題意識の醸成と日本型システムの有用性に対する理解を促進中である。中東のドバイにおいては、同社の環境・エネルギー分野における実績とノウハウを武器に、政府の課題解決パートナーとしての地位を確立していく。他国の社会問題に対して日本の経験を応用できる余地は大きく、今後、売上高に占める海外事業の割合が高まっていくものと弊社は推察している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:27
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三菱総研 Research Memo(6):2023年9月期も増収増益を見込む。成長投資に注力
■今後の見通し三菱総合研究所<3636>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比1.2%増の118,000百万円、営業利益で同1.5%増の9,300百万円、経常利益で同1.0%増の10,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同15.7%減の6,500百万円を見込んでいる。売上高の伸び率が2022年9月期に比べて低いのは、シンクタンク・コンサルティングサービスが減収を見込んでいるためだ。2022年9月期から継続している大型案件の規模が縮小することが要因だ。利益面に関しては、中期経営計画に沿った成長投資を実行することから減益を見込んでいる。投資は、人財や働き方改革、研究開発に1,200百万円を充当する計画だ。それでも、経常利益は前期比で増益を見込んでいる。事業成長による増益効果に加えて、生産性向上を目的としたオフィス統合などによってコスト削減を想定しているためだ。この点に関しても中期経営計画の効果が着実に業績に寄与しているということが言える。なお、親会社株主に帰属する当期純利益に関しては、2022年9月期に計上した投資有価証券売却益等の影響が剥落することによる反動減を想定している。セグメント別では、シンクタンク・コンサルティングサービスの売上高は前期比5.3%減の46,000百万円、経常利益が同5.6%減の4,900百万円を見込んでいる。官公庁向け重点政策分野案件や民間企業向けの業務・事業革新コンサルティング及びパッケージ・ソリューション活用形ICTコンサルティング等の分野で引き続き堅調な需要を見込むものの、成長投資による減益を見込んでいる。成長投資は、人材採用、リソース再配置、働き方改革、研究開発に資金を投じる方針だ。ITサービスでは、売上高が同5.8%増の72,000百万円、経常利益が同7.5%増の5,700百万円を見込んでいる。売上高に関しては、引き続き金融・カードの案件が好調に推移することを見込んでいる。加えて、海運会社向けGHG排出管理・削減ツールをはじめとするビッグデータ活用基盤などのシステム、中高大学向けサービスの「miraicompass」、人事給与BPOサービス「PROSRV(プロサーブ)」が好調なことを受け、これらサービスの拡大にも注力していく。またDCSとの連携をさらに進め、民間企業向けDX案件の実績も積み増しする方針だ。利益面に関しては、将来の成長拡大に向けた投資を実行しつつも、費用の抑制に努めることによって利益率を高めていく。さらに、案件のより上流である概念設計や要件定義といったより高い付加価値を提供できる分野に人財リソースをシフトさせ、利益率を高めることも計画している。2023年9月期は将来の業績と企業価値拡大に向けて先行投資に注力する年度になりそうだ。次期中期経営計画にかけて先行投資で蒔いた種が業績に寄与することが期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:26
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MRO Research Memo(5):速い増配ペースに期待。2022年12月期は、配当金2.0円増配の13.5円予想
■株主還元策MonotaRO<3064>は業績に合わせて安定配当していく方針である。過去10年以上にわたり連続して増配を続けており、配当性向は近年では32%から35%のレンジで推移してきた。2021年12月期の1株当たり配当金は、年間配当11.5円(配当性向32.5%)を実施した。2022年12月期の配当金は前期比2.0円増配の年間配当13.5円(配当性向は39.3%)、を予想する。同社は利益の成長率が高いため、速い増配ペースが期待できる。また、同社は株主優待として、決算期末(12月末日)に100株以上を半年以上継続して保有している株主に対し、継続保有期間に応じた金額相当分のPB商品を贈呈している(半年以上:3,000円分、3年以上:5,000円分、5年以上:7,000円分)。商品への変換率も高く好評を得ていると言う。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/08 15:25
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三菱総研 Research Memo(5):利益剰余金の積み上げにより、自己資本に厚み。流動比率、固定比率ともに健全
■業績動向2. 財務状況と経営指標三菱総合研究所<3636>の2022年9月期の財務状況を見ると、総資産は前期末比14,947百万円増加の114,652百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産において売上、受注の増加及び収益認識会計基準等の適用の影響によって売掛金が5,779百万円、契約資産が14,561百万円増加した。また、短期資金運用目的の有価証券が5,000百万円増加した。一方で、棚卸資産が9,517百万円減少した。負債合計は前期末比7,632百万円増加の43,500百万円となった。主な増加要因は、流動負債において未払費用が4,793百万円、未払法人税等が2,928百万円増加である。純資産合計は前期末比7,315百万円増加の71,151百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、利益剰余金が6,971百万円増加したことによる。経営指標を見ると、自己資本比率が5割を超えているほか、流動比率が244.5%、固定比率が64.6%と長短の手元流動性に問題がないことが窺える。このことから財務状況は良好であると言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:25
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MRO Research Memo(4):物流体制移行が進捗。商品情報管理システムの運用開始
■トピックス1. 猪名川DCへの移行、尼崎DCの設備譲渡などが進捗進行期は物流体制の移行期にあたり、MonotaRO<3064>最大の新物流拠点である猪名川DCの第1期分が計画どおり稼働した。自動搬送ロボット(AGV、800台)や自動荷揃え装置、システムによる配送区分設定の自動化などのDXやロボットなどのテクノロジーを活用した効率的なオペレーションが特徴である。使用延床面積は東京ドーム4個分に相当する約194千m2、在庫能力は60万SKUとなる。出荷能力は1日当たり9万行(9万件の出荷処理、第1期工事)となり、2023年の第2期工事を経て18万行が可能となる。同社の売上高に換算すると、売上高900億円(第1期)~1,800億円(第2期工事完成時)の処理能力が確保できたと言えるだろう。尼崎DCは猪名川DCと並行稼働してきたが、出荷を徐々に猪名川DCへシフトし、2022年10月に尼崎DCからの出荷は終了した。第2期工事は2023年第2四半期を目途に計画しており、出荷能力が倍増することになる。2022年12月期の物流関連コストは売上比8.0%(前期実績は6.5%)を計画する。猪名川DC開設や尼崎DCの閉鎖などにおいて一時コスト(売上比1.0%)がかかるのに加え、通常コストに関しても、減価償却費や設備賃借料などの比率が高くなり、前期比で売上比0.5%増加するのがその内訳である。第3四半期を終えて、物流関連コスト合計は売上比で7.7%(一時コストが0.9%分、通常コストが6.8%分)となっている。これは、注文単価の上昇に伴う人件費率の改善や外部倉庫賃借の見直しなどによる設備賃借料率の改善が要因である。なお、尼崎DCの設備に関しては譲渡が決定した。2022年度の業績における尼崎DC閉鎖関連費用・損失は、合計で965百万円(現状回復費用などの販管費124百万円、固定資産処分損やリース差入保証金等の特別損失841百万円)と見込まれる。当初の計画では、費用・損失合計で869百万円の計画であったが96百万円上回ったことになる。2. 商品情報管理システムの運用開始物流プラットフォームとともにITプラットフォームも同社の強みの根幹である。同社では、ITプラットフォームを自社で構築する方針により開発を行っている。2022年1月に運用を開始したOMSは、配送方法・ルート最適化による顧客の「商品を待つ時間短縮」及び荷別れ抑制・オペレーション負荷平準化による「配送・物流関連コスト抑制」を目的としたシステムであり、順調に稼働している。2022年9月には、PIMの運用が開始された。このシステムは、商品情報をより充実させていくための起点となるもので、情報の詳細化により商品検索をよりスムースにし、「商品を見つける時間」のさらなる短縮を図ることを目的としている。OMS及びPIMが稼働したことにより、間接資材販売事業における成長加速と、それに伴うオペレーションの拡大を安定して支える体制が整った。今後は、顧客満足度やコスト削減などの具体的な成果の顕在化が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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2022/12/08 15:24
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三菱総研 Research Memo(4):2022年9月期の売上高は2期連続の過去最高、経常利益は中計目標を前倒し達成
■業績動向1. 2022年9月期の業績三菱総合研究所<3636>の2022年9月期の連結業績は、売上高が前期比13.2%増の116,620百万円、営業利益が同33.7%増の9,165百万円、経常利益が同38.6%増の10,493百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同53.9%増の7,707百万円となった。増収増益の要因は中期経営計画の順調な進捗だ。売上高に関してはDX関連事業の実績が着実に積み上がったほか、ITサービスにおいては新規顧客の開拓も進んだ。これを受け、2年連続の売上高過去最高を達成した。また、利益面に関しても経常利益が初の10,000百万円を突破した。増収による増益効果に加えて、中期経営計画の施策の1つである「基盤事業の品質・生産性の向上」が寄与した。案件の大型化・高付加価値化も着実に進捗した。また、顧客としっかりとコミュニケーションを取りながら人財リソースの最適配置を進め、より利益率・生産性の高い案件に注力した。これにより、連結ベースでの営業利益率は前期比プラス1.2ポイントの7.9%まで高まった。特に、利益率に課題があったITサービスにおいて品質・生産性の向上は顕著であり、同セグメントの営業利益は前期比58.2%増に急伸した(営業利益率は同プラス2.3ポイントの7.4%に上昇)。これらの質的改革によって、経常利益は中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。また、ROEに関しても中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した。中期経営計画が順調に進捗し、売上高・各利益ともに伸長したことによって、2022年9月期のROEは前期比プラス3.7ポイントの12.8%まで高まった。同社は、2022年9月期期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用している。前期との業績比較は参考値として記載した。会計基準変更が業績に与えた影響は、売上高が2,582百万円、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ1,030百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が567百万円の増加となった。会計基準変更の影響を取り除いた業績値は、売上高が前期比10.7%増の114,038百万円、営業利益が同18.7%増の8,135百万円、経常利益が同25.0%増の9,463百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同42.5%増の7,139百万円となった。なお、同社有価証券報告書にあるとおり、主要な取引先の官公庁や民間企業の会計年度の関係により、例年3月から4月にかけて完了する案件が多く、特に第2四半期の稼働率が高くなる傾向がある。会計基準変更後は、上期に業績が偏重する傾向が強まっており、業績の季節変動要因には留意が必要である。セグメント別の業績は、シンクタンク・コンサルティングサービスの売上高が前期比20.2%増の48,548百万円、営業利益が同12.7%増の4,115百万円、経常利益が同23.7%増の5,190百万円となった。成長事業としているDX関連事業の展開を積極的に行うなかで、官公庁向けの大型案件であるAIシミュレーションとローカル5G、最先端ICT、省エネ関連案件がトップラインを押し上げた。これにより、セグメント売上高は過去最高を記録した。同セグメントにおけるDX関連事業のトピックスとしては、「Region Ring(デジタル地域通貨)」の提供開始(2022年4月)、アトラス情報サービス(株)が構築している情報基盤を活用した自治体向け科学的介護予防パッケージの提供の開始(同8月)、卸電力取引向けオンライン情報サービスのMPX(MRI Power Price Index)事業の分社化・事業開始(同10月)※などが挙げられる。※同社はMPX事業を事業分割、別会社化することを2022年8月4日に発表した。ITサービスの売上高は、前期比8.6%増の68,072百万円、営業利益は同58.2%増の5,048百万円、経常利益は同57.7%増の5,301百万円となった。売上高に関しては、引き続き基盤事業である金融・カード分野が伸長した。加えて、官公庁向けの案件が増えたことや金融・カード分野以外でのDX関連事業の実績が積み上がったことも増収に寄与した。利益面に関しては、基盤事業の品質・生産性向上と人財リソースの最適配置によって収益性が大きく高まった。これらの要因により、売上、利益共に過去最高を達成している。なお、ITサービスにおけるDX関連事業のトピックスとしては、セキュリティ対策とデータ保護対策を総合的に行える「ランサムウェア対策ソリューション」、特別支援・学級向けコミュニケーションロボットサービス「Link&Robo for グローイング」の提供を2022年9月に開始した。また、MD連携によって、同社が出資している仏 ForePaaS※のビッグデータ解析ツールを活用した海上輸送向けGHG(温室効果ガス)管理ツールの提供も開始した。このように金融・カード分野以外での実績も積み上がった状況だ。※ForePaaSは欧州最大のクラウドサービス会社OVH Cloudに買収された。OVH Cloudと同社グループは事業提携し、さらなる事業拡大を図っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/12/08 15:24