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飯野海運 Research Memo(4):不動産業は東京都心部の一等地でオフィスビルを賃貸
配信日時:2022/06/17 15:34
配信元:FISCO
■飯野海運<9119>の事業概要と特徴・強み
4. 不動産業
不動産業はオフィスビル賃貸・管理・メンテナンスを行っている。本社ビルである飯野ビルディング(イイノホール&カンファレンスセンター含む)など、東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。また、レンタルフォトスタジオ事業(イイノ・広尾スタジオ、イイノ・南青山スタジオ)など関連事業も展開している。
1983年竣工の東京富士見ビル(東京都千代田区)、1988年竣工の飯野竹早ビル(東京都文京区)、2006年竣工の汐留芝離宮ビルディング(東京都港区)のほか、2009年に飯野ビルディング(東京都千代田区)の建替え工事に着手し、2011年10月に1期工事が完了して開業、2014年11月に2期工事が完了してグランドオープンした。2017年12月にはNS虎ノ門ビル(東京都港区、2016年竣工)の一部持分を取得した。2020年3月には英国ロンドンのオフィスビルBRACTON HOUSEを取得(2020年1月設立の現地連結子会社が取得)し、海外不動産を事業ポートフォリオに加えた。
なお事業ポートフォリオ見直しに伴い、2017年3月に笹塚センタービル(1995年竣工)を売却した。また、旧東京桜田ビルを解体して参画した新橋田村町地区市街地再開発事業で、日比谷フォートタワー(東京都港区)が2021年6月に竣工した。
この結果、2022年3期末時点の所有賃貸ビルは7棟(飯野ビルディング、東京富士見ビル、日比谷フォートタワー、汐留芝離宮ビルディング、NS虎ノ門ビル、飯野竹早ビル、ロンドンBRACTON HOUSE)となっている。同社にとって不動産業は長期的な視野における安定収益源の柱の1つであり、従前のターゲットエリアに指定していた都心に限定せず、今後は海外や地方にも目を向けて優良物件の獲得を目指す方針としている。
高度な環境性能を追求した飯野ビルディング
5. 飯野ビルディング
飯野ビルディング(2011年開業、2014年グランドオープン)は「100年先にも愛されるビル」をコンセプトとして、通常の外壁・窓ガラスを二重構造にして断熱空気層を作ることで熱負荷を軽減する「ダブルスキン外壁」を採用するなど、高度な環境性能を追求したビルである。
そしてLEED-CI(米国グリーンビルディング協会による環境性能評価システム)の最高位であるプラチナ認証を日本で初めて取得した。2015年には生物多様性保全に取り組むオフィスビルや商業施設を評価する「いきもの共生事業所®認証」(ABINC認証)を取得し、2016年にはABINC認証事業所のうち特にABINCの普及啓発や生物多様性の主流化への貢献度の高い施設として「第1回ABINC特別賞」を受賞した。同年に東京都環境確保条例における2015年度「優良特定地球温暖化対策事業所(トップレベル事業所)」に認定(2021年3月に2020年度の認定を再取得)された。
2018年2月には東京消防庁による優良防火対象物認定表示制度に基づく「優良防火対象物認定証」(優マーク)を取得(2021年2月に継続取得)した。2018年3月には東京都環境局の在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」の優良緑地として登録された。2018年10月には飯野ビルディングの事務所基準階部分(7階~27階)がBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で最高ランク5つ星を取得した。2019年3月には(株)日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証で、飯野ビルディングが最高ランク5つ星、汐留芝離宮ビルディングが4つ星を取得(いずれも2021年12月に継続取得)した。また2022年5月には、再生可能エネルギーの活用を推進してCO2排出量を削減するための取り組みの一環として、飯野ビルディングの屋上に太陽光発電設備を設置し、運用を開始した。
2021年6月に竣工した日比谷フォートタワーも、太陽光パネルの設置、屋上緑化、低蓄熱型舗装、日光による放射熱を低減するLow-Eガラスの採用、庇による直射日光の遮蔽など、環境面に配慮した施設となっている。また、ペットボトル自動回収機を通じたSDGsへの取り組みなども実施している。なお日比谷フォートタワーは(株)日本格付研究所によるグリーンボンド評価およびグリーン評価において最上位の「Green1」総合評価を取得し、日本政策投資銀行からはDBJ環境格付において「環境への配慮に対する取り組みが先進的」との格付を取得している。
市況変動リスクに対して安定収益源積み上げを推進
6. リスク要因・収益特性
リスク要因として、いずれの事業も市況変動の影響を受けやすいが、安定収益源の積み上げを推進することによって盤石な事業基盤の構築を目指している。
特に外航海運業は海運市況、燃料油価格、為替等の影響を受けやすく、業績が大きく変動する可能性がある。この対策として同社は、中長期の定期用船契約が中心の大型原油タンカーやガス船では安定収益源の積み上げを推進している。またケミカルタンカーでは、輸送数量の約7割を占める1年程度の複数のCOA(数量輸送契約)と約3割を占めるスポット貨物を組み合わせることで、利益の最大化を図っている。なおCOAでは一般的に、燃料油価格変動に伴う燃料費調整係数(BAF)を付けているが、契約によっては燃料油価格が小幅に上昇した場合に燃料油価格上昇分が価格転嫁されず、採算に影響を与えることがある。さらに内航・近海海運業も含めて、効率的配船やコスト増加に対応した契約有利更改を推進して採算性向上を目指している。
不動産業は不動産市況、空室率、賃料などの影響を受けやすいが、同社保有の賃貸ビルはいずれもオフィスビル賃貸市況が堅調な東京都心部の一等地に立地しているため、市況の影響を比較的受けにくい。収益柱の飯野ビルディングは立地面の優位性や高度な環境性能を強みとして、引き続き安定収益源として牽引するだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SI>
4. 不動産業
不動産業はオフィスビル賃貸・管理・メンテナンスを行っている。本社ビルである飯野ビルディング(イイノホール&カンファレンスセンター含む)など、東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。また、レンタルフォトスタジオ事業(イイノ・広尾スタジオ、イイノ・南青山スタジオ)など関連事業も展開している。
1983年竣工の東京富士見ビル(東京都千代田区)、1988年竣工の飯野竹早ビル(東京都文京区)、2006年竣工の汐留芝離宮ビルディング(東京都港区)のほか、2009年に飯野ビルディング(東京都千代田区)の建替え工事に着手し、2011年10月に1期工事が完了して開業、2014年11月に2期工事が完了してグランドオープンした。2017年12月にはNS虎ノ門ビル(東京都港区、2016年竣工)の一部持分を取得した。2020年3月には英国ロンドンのオフィスビルBRACTON HOUSEを取得(2020年1月設立の現地連結子会社が取得)し、海外不動産を事業ポートフォリオに加えた。
なお事業ポートフォリオ見直しに伴い、2017年3月に笹塚センタービル(1995年竣工)を売却した。また、旧東京桜田ビルを解体して参画した新橋田村町地区市街地再開発事業で、日比谷フォートタワー(東京都港区)が2021年6月に竣工した。
この結果、2022年3期末時点の所有賃貸ビルは7棟(飯野ビルディング、東京富士見ビル、日比谷フォートタワー、汐留芝離宮ビルディング、NS虎ノ門ビル、飯野竹早ビル、ロンドンBRACTON HOUSE)となっている。同社にとって不動産業は長期的な視野における安定収益源の柱の1つであり、従前のターゲットエリアに指定していた都心に限定せず、今後は海外や地方にも目を向けて優良物件の獲得を目指す方針としている。
高度な環境性能を追求した飯野ビルディング
5. 飯野ビルディング
飯野ビルディング(2011年開業、2014年グランドオープン)は「100年先にも愛されるビル」をコンセプトとして、通常の外壁・窓ガラスを二重構造にして断熱空気層を作ることで熱負荷を軽減する「ダブルスキン外壁」を採用するなど、高度な環境性能を追求したビルである。
そしてLEED-CI(米国グリーンビルディング協会による環境性能評価システム)の最高位であるプラチナ認証を日本で初めて取得した。2015年には生物多様性保全に取り組むオフィスビルや商業施設を評価する「いきもの共生事業所®認証」(ABINC認証)を取得し、2016年にはABINC認証事業所のうち特にABINCの普及啓発や生物多様性の主流化への貢献度の高い施設として「第1回ABINC特別賞」を受賞した。同年に東京都環境確保条例における2015年度「優良特定地球温暖化対策事業所(トップレベル事業所)」に認定(2021年3月に2020年度の認定を再取得)された。
2018年2月には東京消防庁による優良防火対象物認定表示制度に基づく「優良防火対象物認定証」(優マーク)を取得(2021年2月に継続取得)した。2018年3月には東京都環境局の在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」の優良緑地として登録された。2018年10月には飯野ビルディングの事務所基準階部分(7階~27階)がBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で最高ランク5つ星を取得した。2019年3月には(株)日本政策投資銀行のDBJ Green Building認証で、飯野ビルディングが最高ランク5つ星、汐留芝離宮ビルディングが4つ星を取得(いずれも2021年12月に継続取得)した。また2022年5月には、再生可能エネルギーの活用を推進してCO2排出量を削減するための取り組みの一環として、飯野ビルディングの屋上に太陽光発電設備を設置し、運用を開始した。
2021年6月に竣工した日比谷フォートタワーも、太陽光パネルの設置、屋上緑化、低蓄熱型舗装、日光による放射熱を低減するLow-Eガラスの採用、庇による直射日光の遮蔽など、環境面に配慮した施設となっている。また、ペットボトル自動回収機を通じたSDGsへの取り組みなども実施している。なお日比谷フォートタワーは(株)日本格付研究所によるグリーンボンド評価およびグリーン評価において最上位の「Green1」総合評価を取得し、日本政策投資銀行からはDBJ環境格付において「環境への配慮に対する取り組みが先進的」との格付を取得している。
市況変動リスクに対して安定収益源積み上げを推進
6. リスク要因・収益特性
リスク要因として、いずれの事業も市況変動の影響を受けやすいが、安定収益源の積み上げを推進することによって盤石な事業基盤の構築を目指している。
特に外航海運業は海運市況、燃料油価格、為替等の影響を受けやすく、業績が大きく変動する可能性がある。この対策として同社は、中長期の定期用船契約が中心の大型原油タンカーやガス船では安定収益源の積み上げを推進している。またケミカルタンカーでは、輸送数量の約7割を占める1年程度の複数のCOA(数量輸送契約)と約3割を占めるスポット貨物を組み合わせることで、利益の最大化を図っている。なおCOAでは一般的に、燃料油価格変動に伴う燃料費調整係数(BAF)を付けているが、契約によっては燃料油価格が小幅に上昇した場合に燃料油価格上昇分が価格転嫁されず、採算に影響を与えることがある。さらに内航・近海海運業も含めて、効率的配船やコスト増加に対応した契約有利更改を推進して採算性向上を目指している。
不動産業は不動産市況、空室率、賃料などの影響を受けやすいが、同社保有の賃貸ビルはいずれもオフィスビル賃貸市況が堅調な東京都心部の一等地に立地しているため、市況の影響を比較的受けにくい。収益柱の飯野ビルディングは立地面の優位性や高度な環境性能を強みとして、引き続き安定収益源として牽引するだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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