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パリミキHD Research Memo(2):「パリミキ」を展開する国内大手メガネ小売業のチェーン
配信日時:2022/06/17 16:02
配信元:FISCO
■会社概要
1. 会社概要
パリミキホールディングス<7455>の源流は、創業者・多根良尾(たねよしお)氏が1930年に兵庫県姫路市に開業した正確堂時計店である。1950年に姫路市に時計、貴金属、メガネを販売する(株)三城時計店を設立し、1960年には社名を(株)メガネの三城に改めた。その後は主に兵庫県を中心に店舗数を増やしていたが、1973年に二代目である多根裕詞氏がフランス・パリの三越の近くにミキブランドの店をオープンしたことを契機に同社の成長が始まった。パリへの出店の後、1974年に東日本地区での本格出店の拠点として(株)パリーミキ(後に関西のメガネの三城と合併、社名を(株)三城に変更)を設立し、全国での拡大を進めた。2009年には、(株)三城ホールディングスを設立し、持株会社制へ移行した。なお、同社は2022年4月から社名をパリミキホールディングスへ変更した。併せて子会社の三城もパリミキへ社名を変更した。
2022年3月期末現在、国内650店舗、海外109店舗を有しており、国内大手のメガネ小売チェーンである。
株式は1995年に日本証券業協会に店頭登録し、1996年には東証第2部に上場した。その後1998年には東証第1部へ指定替えした。現在は、東証プライムへ移行した。
国内店舗はコンセプト戦略にのっとり改装を進め、業績復活目指す
2. 事業概要
(1) 店舗の形態及び平均客単価
同社は、店舗数で国内大手のメガネ類の小売業者である。国内店舗の形態は大きく分けて、同社にとっての主力業態である「パリミキ」(通常店)、百貨店を中心とした店舗展開をしている「金鳳堂」となる。「パリミキ」は欧米、中国、東南アジアなど海外にも展開しており、2022年3月期の売上高(比率)は国内が39,377百万円(89.3%)、海外が4,924百万円(11.2%)となっている。
ファストファッションを打ち出す同業他社との差別化を図るため、立地の顧客構成に合わせた新コンセプト店(メゾン、ロッジ、ベルエポック、サロン)へ改装を行うのと同時に、視力測定室や補聴器の聴力測定室設置を充実させる戦略を打ち出している。これにより、従来の顧客層だけでなく、ファミリー層顧客の増加を目指す。平均組単価(2022年3月期平均)は、全店で32.8千円(2021年3月期は31.1千円、2020年3月期は31.7千円)、百貨店内店舗(主に「金鳳堂」)では108.5千円(2021年3月期は109.2千円、2020年3月期は109.0千円)となっている。
(2) 店舗数
店舗数(2022年3月期末)は国内が650店(うち93店がのれん自立店)、海外が109店(中国34店、韓国39店、その他アジア25店、その他欧米11店)となっている。国内のうち、「パリミキ」が631店、「金鳳堂」が19店となっており、郊外型、ビルイン型、テナント型などがある。ほとんどの店舗が賃貸借物件によるもので、自社所有店舗は少ない。海外店はテナント型が主であり、ベトナムの1店舗、カンボジアの1店舗は病院に併設している。
(3) 商品別売上高比率
国内の商品別売上高比率を見ると、レンズとフレームが74.5%を占める。商品の平均粗利率は70%ほどであり、主力商品であるフレームとレンズは平均より高く、サングラスなどその他の商品は平均より低い。ただし、度付きサングラスの売上は新コンセプトの店舗が寄与しており、今後は後述するような「オーディオライフケアの充実」が進むに伴い、補聴器事業も順調に推移していくと期待される。
(4) 商品の主な仕入先
商品の主な仕入先は、金額ベースでは国内メーカーの比率が高いが数量ベースでは海外メーカー(主に中国)が高くなっている。商品売上数量の約80%は同社が独自に企画・設計したプライベートブランド(PB)となっており、百貨店店舗では著名なデザイナーブランドなどが多いことから、PBの比率は低く90%以上がナショナルブランド(NB)となっている。また日本製の優れた商品を広めていくことを目的とした“MADE IN JAPAN project”が5年目に入り、PB商品のブランド力を高めることで日本製の販売数量比も40~50%と増えている。
3. 競合、特色、強み
メガネの国内市場は業界で約4,000~5,000 億円と一般に推定されており、同社は業界第3位(第1位は(株)メガネトップ、2位は(株)ジンズ)である。しかしメガネの小売市場では、依然として小規模の家族経営店や数店だけのチェーン店が市場の半分を占めると言われている。その意味では国内には数多くの競合が存在すると言える。
そのような業界環境のなかで、同社の特色(強み)として挙げられるのは、専門的な知識を備えた経験豊富なスタッフが多いこと、高いブランド力、大手チェーンとしてのスケールメリット、上場企業としての信用力、強固な財務基盤などが挙げられる。そのためメガネ店としての知名度は高く、多くのリピート顧客を抱えている。
しかし過去10年、Zoff((株)ゾフ)などの登場により日本のメガネ市場が低価格化にシフトするなかで、これらの強みの一部は両刃の剣として同社の弱みとなってきた面も否定できない。そのため同社では、現在の強みを維持しつつも、今後は「変えるべきは変える」との方針から、ニューファミリー層が来店しやすく低価格でも質の良いメガネ購入体験を提供する新しい店舗戦略を打ち出してる。同時に「ビジュアルライフケア」を推進することで、ファストファッション化する同業他社との徹底的な差別化を強化する戦略である。また団塊世代が高齢化することで、今後需要が伸びる補聴器市場の開拓にも同社は注力しており、技術者が多く在籍する同社ならではの提案力で訴求をしていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 会社概要
パリミキホールディングス<7455>の源流は、創業者・多根良尾(たねよしお)氏が1930年に兵庫県姫路市に開業した正確堂時計店である。1950年に姫路市に時計、貴金属、メガネを販売する(株)三城時計店を設立し、1960年には社名を(株)メガネの三城に改めた。その後は主に兵庫県を中心に店舗数を増やしていたが、1973年に二代目である多根裕詞氏がフランス・パリの三越の近くにミキブランドの店をオープンしたことを契機に同社の成長が始まった。パリへの出店の後、1974年に東日本地区での本格出店の拠点として(株)パリーミキ(後に関西のメガネの三城と合併、社名を(株)三城に変更)を設立し、全国での拡大を進めた。2009年には、(株)三城ホールディングスを設立し、持株会社制へ移行した。なお、同社は2022年4月から社名をパリミキホールディングスへ変更した。併せて子会社の三城もパリミキへ社名を変更した。
2022年3月期末現在、国内650店舗、海外109店舗を有しており、国内大手のメガネ小売チェーンである。
株式は1995年に日本証券業協会に店頭登録し、1996年には東証第2部に上場した。その後1998年には東証第1部へ指定替えした。現在は、東証プライムへ移行した。
国内店舗はコンセプト戦略にのっとり改装を進め、業績復活目指す
2. 事業概要
(1) 店舗の形態及び平均客単価
同社は、店舗数で国内大手のメガネ類の小売業者である。国内店舗の形態は大きく分けて、同社にとっての主力業態である「パリミキ」(通常店)、百貨店を中心とした店舗展開をしている「金鳳堂」となる。「パリミキ」は欧米、中国、東南アジアなど海外にも展開しており、2022年3月期の売上高(比率)は国内が39,377百万円(89.3%)、海外が4,924百万円(11.2%)となっている。
ファストファッションを打ち出す同業他社との差別化を図るため、立地の顧客構成に合わせた新コンセプト店(メゾン、ロッジ、ベルエポック、サロン)へ改装を行うのと同時に、視力測定室や補聴器の聴力測定室設置を充実させる戦略を打ち出している。これにより、従来の顧客層だけでなく、ファミリー層顧客の増加を目指す。平均組単価(2022年3月期平均)は、全店で32.8千円(2021年3月期は31.1千円、2020年3月期は31.7千円)、百貨店内店舗(主に「金鳳堂」)では108.5千円(2021年3月期は109.2千円、2020年3月期は109.0千円)となっている。
(2) 店舗数
店舗数(2022年3月期末)は国内が650店(うち93店がのれん自立店)、海外が109店(中国34店、韓国39店、その他アジア25店、その他欧米11店)となっている。国内のうち、「パリミキ」が631店、「金鳳堂」が19店となっており、郊外型、ビルイン型、テナント型などがある。ほとんどの店舗が賃貸借物件によるもので、自社所有店舗は少ない。海外店はテナント型が主であり、ベトナムの1店舗、カンボジアの1店舗は病院に併設している。
(3) 商品別売上高比率
国内の商品別売上高比率を見ると、レンズとフレームが74.5%を占める。商品の平均粗利率は70%ほどであり、主力商品であるフレームとレンズは平均より高く、サングラスなどその他の商品は平均より低い。ただし、度付きサングラスの売上は新コンセプトの店舗が寄与しており、今後は後述するような「オーディオライフケアの充実」が進むに伴い、補聴器事業も順調に推移していくと期待される。
(4) 商品の主な仕入先
商品の主な仕入先は、金額ベースでは国内メーカーの比率が高いが数量ベースでは海外メーカー(主に中国)が高くなっている。商品売上数量の約80%は同社が独自に企画・設計したプライベートブランド(PB)となっており、百貨店店舗では著名なデザイナーブランドなどが多いことから、PBの比率は低く90%以上がナショナルブランド(NB)となっている。また日本製の優れた商品を広めていくことを目的とした“MADE IN JAPAN project”が5年目に入り、PB商品のブランド力を高めることで日本製の販売数量比も40~50%と増えている。
3. 競合、特色、強み
メガネの国内市場は業界で約4,000~5,000 億円と一般に推定されており、同社は業界第3位(第1位は(株)メガネトップ、2位は(株)ジンズ)である。しかしメガネの小売市場では、依然として小規模の家族経営店や数店だけのチェーン店が市場の半分を占めると言われている。その意味では国内には数多くの競合が存在すると言える。
そのような業界環境のなかで、同社の特色(強み)として挙げられるのは、専門的な知識を備えた経験豊富なスタッフが多いこと、高いブランド力、大手チェーンとしてのスケールメリット、上場企業としての信用力、強固な財務基盤などが挙げられる。そのためメガネ店としての知名度は高く、多くのリピート顧客を抱えている。
しかし過去10年、Zoff((株)ゾフ)などの登場により日本のメガネ市場が低価格化にシフトするなかで、これらの強みの一部は両刃の剣として同社の弱みとなってきた面も否定できない。そのため同社では、現在の強みを維持しつつも、今後は「変えるべきは変える」との方針から、ニューファミリー層が来店しやすく低価格でも質の良いメガネ購入体験を提供する新しい店舗戦略を打ち出してる。同時に「ビジュアルライフケア」を推進することで、ファストファッション化する同業他社との徹底的な差別化を強化する戦略である。また団塊世代が高齢化することで、今後需要が伸びる補聴器市場の開拓にも同社は注力しており、技術者が多く在籍する同社ならではの提案力で訴求をしていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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