注目トピックス 日本株ニュース一覧

注目トピックス 日本株 フォーバル---中小企業経営のための情報分析プラットフォーム「きづなPARK」を開設 フォーバル<8275>は10日、中小企業経営のための情報分析プラットフォーム「きづなPARK」を、「デジタルの日(10月10日)」に合わせて開設したことを発表。「きづなPARK」は、中小企業の大切な経営情報を「つなぎ」、企業と企業を「つなぐ」次世代に継承され続けるような、さまざまなコンテンツが集う場所というコンセプトで構築された、中小企業の経営情報を収集・蓄積・分析活用できるプラットフォーム。自社の情報をデータとして格納することにより、企業経営に役立つ多くのアウトプットが得られる。同社は、今後、「きづなPARK」を活用して、中小企業のデジタル化、DX化を推進しながら、中小企業の経営改善につなげていく方針としている。 <ST> 2021/10/12 15:30 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(10):2022年6月期より配当性向の目途を20.0%へ引き上げ予定 ■株主還元策1. 配当政策ウイルプラスホールディングス<3538>は株主還元を経営の重要課題と位置付けており、企業価値向上に向けた内部留保とのバランスを取りながら、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としている。また、配当性向については、これまではおおむね15%前後を目途としていたが、2021年6月期より配当性向の目途を17.5%へ、さらに2022年6月期からは20.0%への引き上げを予定している。2020年6月期は1株当たり14.0円(中間配当5.0円、期末配当9.0円)の配当を実施し、配当性向は16.4%であった。これに対し2021年6月期は、当初1株当たり13.59円(中間配当5.0円、期末配当8.59円)を計画していたが、業績及び財政状況等を鑑み、期末配当金を2021年5月10日に発表した計画値から2.47円増配の23.26円(年間配当金は前期比14.26円増の28.26円)とした。なお、2022年6月期は配当性向20.0%を目途とし、1株当たり29.13円(中間配当5.0円、期末配当24.13円)を予定している。2. 株主優待制度同社株式への投資の魅力を高め、より多くの人が株式を保有することを目的に、株主還元策の一環として株主優待制度を導入している。毎年6月末の基準日に株主名簿に記載され、1単元(100株)以上を保有する株主を対象として、1,000円分のQUOカードを提供している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:20 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(9):SDGs達成を通じた持続的成長、企業価値向上を目指す ■SDGsの取り組みウイルプラスホールディングス<3538>は、省資源化など従来の施策の見直しや新しい取り組みの導入などを順次行い、SDGs※達成を通じた持続的成長、企業価値向上を目指している。具体的には、14のゴールに関わる取り組みを行っている。※SDGs(Sustainable Development Goals)は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成される。(1) 働きやすい環境づくり働きやすい環境づくりとしては、社員ひとりひとりが能力を最大限に発揮し、長く働き続けられる職場環境の整備に取り組んでいる。具体的には、「人材育成」「ハラスメントの防止」「働き方改革の推進」「ダイバシティの推進」を掲げている。一例を挙げると「ダイバシティの推進」では、女性活躍推進、シニア人材の雇用、外国人雇用、障害者雇用、中途入社社員の活躍推進などに取り組んでおり、実績を上げている。(2) 環境負荷の低減環境負荷の低減としては、CO2排出量の削減を図り、社会とともに発展する成長企業を目指す。具体的には、「EV販売推進のための設備導入」「グリーン購入」「WEB会議、オンライン商談の活用」「紙資源の使用量削減」「水使用量の削減」「電力使用量の削減」「整備工場排水の管理、油水分離槽の設置」「フロンガスの回収」「廃棄物およびリサイクル」「店舗の屋上の緑地化」「環境に配慮した店舗づくり」に取り組んでいる。(3) 社会貢献社会貢献としては、地域社会とともに発展していく企業を目指す。具体的には、「企業版ふるさと納税を通じた地域振興支援」「株主優待を通じた被災地支援」「特定商品を通じた環境団体支援」に取り組んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:19 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(8):足元の状況から、2022年6月期業績は慎重な予想 ■今後の見通し● 2022年6月期の業績見通しウイルプラスホールディングス<3538>の2022年6月期の連結業績予想については、売上高で41,067百万円、営業利益で前期比6.1%減の2,149百万円、経常利益で同7.4%減の2,132百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.6%減の1,386百万円を見込んでいる。なお、2022年6月期の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用し、当該基準に基づいた予想となるため、売上高のうち従来売上計上していたインポーターから受け取る販売奨励金(インセンティブ)を除外し、これを仕入価格からの控除とする予定である。コロナ禍の収束期待が高まる一方、再び感染拡大の兆しが見られるなど、先行きは依然として不透明である。これに加えて半導体不足等の影響により、新車では供給の不安定が続くほか、中古車では受給の変化により多少の影響が想定される。輸入車の半導体不足については、2021年2~3月頃に発生し、3月に起きたスエズ運河でのコンテナ船座礁事故が状況をさらに悪化させたものの、現在は改善の方向にあり時間の経過とともに正常に戻ると見込まれている。半導体不足が解消し新車供給が安定すれば、下取り車が市場に出て中古車市場の活況になることが想定されるが、これにより商品調達に多少の影響が出ると同社では見込んでいる。このため、新車供給状況や中古車市場の変化の影響を鑑み、営業利益は前期比微減を予想している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:18 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(7):上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益ともに過去最高を更新(2) ■業績動向2. 財務状況と経営指標(1) 財務状況と経営指標ウイルプラスホールディングス<3538>の2021年6月期末の資産合計は前期末比326百万円増の16,972百万円となった。流動資産は同219百万円増の9,488百万円となったが、これは主に現金及び預金が854百万円増加した一方、たな卸資産が711百万円減少したことによる。大幅な増収増益で現金及び預金が増加したものの、新車供給が不安定なことや中古車市場の活況によりたな卸資産が減少した。負債合計は同1,080百万円減の9,441百万円となった。流動負債は同750百万円減の8,510百万円となった。これは主に、顧客らの受注が増加していることに伴い前受金が546百万円増加した一方、資金の回転率を改善する取り組みにより買掛金が1,122百万円、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が803百万円減少したことによる。なお、前受金は前期末比では546百万円増加しているものの、2021年6月期第3四半期末比では357百万円減少していることから、第4四半期は予想を上回る納車があったことが伺える。純資産は同1,407百万円増の7,530百万円となった。これは、新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ4百万円増加したこと、また、配当金支払が133百万円あったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が1,533百万円あったこと等により利益剰余金が増加したこと等による。収益性の指標となるROE(自己資本当期純利益)及びROA(総資産経常利益率)については、財務レバレッジが低下したにもかかわらず収益性及び回転性が上がったことから、ROEは前期比8.6ポイント上昇の22.5%、ROAは同6.1ポイント上昇の13.7%と、いずれも大幅に向上した。また、長期的な財務の安全比率である自己資本比率は、前期比7.6ポイント改善の44.4%となった。大幅増益によって有利子負債が減少したことに加え、現金及び預金が増加したことによって、財務の安全性は向上したと言える。(2) キャッシュ・フロー計算書2021年6月期末の現金及び現金同等物の期末残高は、前期末比854百万円増の3,376百万円となった。営業活動によるキャッシュ・フローは2,890百万円の収入となった。税金等調整前当期純利益(2,313百万円)、減価償却費(1,100百万円)及びたな卸資産の減少(176百万円)が、仕入債務の減少(1,121百万円)を上回った。投資活動によるキャッシュ・フローは、店舗展開など有形固定資産の取得による支出(708百万円)があり、676百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済と配当金の支払いにより1,359百万円の支出となった。(3) EBITDA2021年6月期のEBITDA※は、前期比1,156百万円増の3,463百万円と大きく伸長した。これは、減価償却費が横ばいであるのに対して営業利益が同97.3%増と好調に推移したことが寄与している。なお、減価償却費が横ばいとなった要因としては、店舗展開に関わる投資は継続したものの、エンジンの多様化に対応した店舗当たりのデモカー台数の増加が一段落したことによる。※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:17 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(6):上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益ともに過去最高を更新(1) ■業績動向1. 2021年6月期の業績概要ウイルプラスホールディングス<3538>の2021年6月期の業績は、売上高が前期比16.3%増の40,776百万円、営業利益が同97.3%増の2,290百万円、経常利益が同92.3%増の2,301百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同91.1%増の1,533百万円となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。また、2021年5月に発表した2度目の上方修正値に対しては売上高で3.4%、営業利益で8.7%上回った。引き続き堅調な需要と店舗投資効果により、ニューモデルを中心に新車販売が好調に推移したことに加え、中古車販売が堅調に推移した。また、車輌整備、保険等のストック型ビジネスも好調に推移した。利益面では、利益率の高い中古車売上の割合が増加したことや利益率改善の取り組みを継続したこと等により、売上総利益率は前期比0.7ポイント上昇し20.2%となった。販管費については、店舗及び人員数増加に伴う人件費や地代家賃が前期比増となった一方で、会議や社内外の研修をWeb上で実施したこと等により研修費や旅費交通費が減少したことに加え、無駄の削減に取り組んだ結果、販管費率は同1.6ポイント減の14.6%となった。この結果、営業利益率は同2.3ポイント上昇の5.6%となった。(1) 品目別売上高品目別売上高では、新車、中古車を中心にすべての品目で増加した。新車販売は、世界的なコロナ禍による新車供給時期の遅れが回復基調となったことに加え、店舗投資効果やニューモデルの販売が好調に推移した結果、前期比15.3%増の20,477百万円となった。新車供給時期が不安定なことから注力した中古車販売は引き続き堅調に推移し、同30.0%増の10,238百万円となった。中古車販売は仕入れから販売のサイクルが短く、利益率が高いため、大幅増益も牽引した。また、業販は同9.5%増の3,662百万円、車輌整備は同6.4%増の4,709百万円、その他は同1.4%増の1,688百万円となった。(2) 店舗展開2021年6月期は新規出店2店舗、店舗改装・移転改装4店舗(いずれも最新のCIに準拠)の結果、期末店舗数は34店舗となった。新規出店のうち、2021年2月にオープンした「ジャガー・ランドローバー相模原」は、好立地に位置するうえ、同じ敷地に認定中古車展示エリアも設けていることに特徴がある。また、同月オープンしたMINI認定中古車専売店「MINI NEXT福岡東」は、福岡市のベッドタウンとして近年エリアポテンシャルが高まっている福岡東エリアのカバー率を強化するため、最新のCIに準拠した店舗として出店した。店舗改装・移転改装については、「フィアット/アバルト平塚」移転オープンのほか、ディーラーネットワークである同社子会社のチェッカーモータースが2020年12月、認定中古車販売の「アプルーブド平塚」及びサービス拠点の「ジャガー・ランドローバー湘南サービス」を「ジャガー・ランドローバー・アプルーブド湘南、ジャガー・ランドローバー湘南サービス」に統合し、新築移転オープンした(最新のCIに準拠)。その他、「ジープ藤沢湘南」及び「アルファロメオ藤沢湘南」をリニューアルオープンした。なお、M&Aや事業譲受についても検討しているものの、前もって時期を決めることができないこともあり、2021年6月期はなかった。同社ではここ数年、年4~5店舗の店舗改装・移転改装をコンスタントに実施している。これは、コロナ禍で来店頻度が制限されるなか、最新のCIに準拠した店舗に改装することで、ブランド毎の様々なリテール体験を提供するほか、最新の設備等による高品質なサービスを提供できるようになり、顧客満足度向上が見込めるからだ。また、移転改装については、好立地に移転することで来場顧客増加が見込める。これらの結果として、リピーターの増加、そして収益向上につながる。(3) 来店客数の推移輸入車市場については、コロナ禍当初の2020年に比べると回復基調ではあるものの、依然先行きは不透明である。外国乗用車の新規登録台数の推移からコロナ禍の影響を見てみると、消費税増税前(2019年7~9月)で前年同期比4.8%増、駆け込み需要の反動(同年10~12月)で同13.5%減であったのに対し、コロナ禍では2020年4~6月で同38.1%減、7~9月で同15.0%減とコロナ禍の影響を大きく受けていることがわかる。その後は飲食業などの一部業種を除きウィズコロナの対応策を講じて経済活動が持続していることから回復基調となり、2021年1~3月は同0.5%減、2021年4~6月は同51.1%増まで回復している。同社の売上高計上は納車ベースであるため、上記の新規登録台数の推移に遅行すると予想できる。しかしながら、先行指標となる来店客数(前年同月比、既存店ベース)を見ると、緊急事態宣言が発出された2020年4月は前年同月比29%減と落ち込んだものの、感染防止対策の徹底、時短営業、商談予約制などの取り組みにより、5月は同15%減に改善、6月は同2%増とプラスに転じ、それ以降は高い伸びを維持して12月は同34%増となった。2021年6月期下期に入っても客足は落ちず、2021年4月は同47%増、5月は同35%増、2021年6月期第4四半期では前年同期比20%増と、来店客数は高水準で推移している。これらの結果から、同社の来店客数が際立って伸びていることがわかる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:16 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(5):加速するEV化に積極的に対応することで、先行者利得を追求 ■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略3. 加速するEV化に向けた取り組み日本政府は2021年4月に、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする『脱炭素社会の実現』達成のために、2030年度のCO2排出量を2013年度比で26%削減から46%削減に引き上げることを発表した。また、6月に発表された『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売の全てを電動車化するための包括的な措置を講じている。具体的には、電動車(EV、PHV、FCV)の普及促進のためにサービスステーションに急速充電器1万基等、公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現することを目指す。この脱炭素化の潮流で、ガソリン車・ディーゼル車の新車販売を禁止する動きが加速している。一例を挙げると英国及びフランスは、2040年までにEV以外の新車販売を禁止することを2017年に表明していた。英国はさらにこれを前倒しにし、ガソリン車・ディーゼル車を2030年に、ハイブリッド車を2035年に販売禁止することとした。その他、米国カリフォルニア州や中国でも同様の取り組みが進んでいる。これに対し日本は、遅くとも2030年半ばまでに乗用車の新車販売のすべてを電動車化することを検討している。また、小池東京都知事は国に先駆け、2030年までに都内でのガソリン車の新車販売禁止を宣言している。脱炭素化で先頭を走る欧州では、各自動車メーカーがEV化で日本に先行しているが、これは同社にとっては追い風と言える。同社が取扱うブランドのEVとしては、Jeep「Regegade 4Xe」(PHV)、FIAT「500e」、BMW「iX」「iX3」、MINI「ミニクーバーSE」、VOLVO「XC40 Recharge」(PHV)、PORSCHE「タイカン」などがあり豊富である。なお、ボルボは2030年にすべての新車のEV化を予定しているほか、ジャガー/ランドローバーは2025年にJAGUARをフルEVブランドにシフト、MINIは2030年代初期にフルEVのブランドにシフトするなど、完全EV化に向けて各社が意欲的な目標を掲げている。攻めの経営をする同社では、加速するEV化での先行者利得を追求する方針である。具体的には、全店舗に最新の充電器の設置を推進(全店舗の84%に設置済、加えて急速充電器を順次設置中)している。また、いち早くEVの試乗体験を提供するために、EVのデモカー導入も推進している。一般的に、ICE(内燃エンジン)車の寿命は13.6年と言われている。これに対してEVは、バッテリーの性能もあり7~8年とされているものの、今後EVが市場に出回ることで、性能が短期間で向上するだけでなく、買い替えサイクルの短縮化も予想できる。欧州ではEVの整備作業は高電圧システムの取扱いとみなされており、高電圧システムが取り扱える資格取得が重要になる。これらを踏まえ同社では、販売だけでなく整備面でも人材育成に取り組む方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:15 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(4):成長戦略はマルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略(2) ■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略(3) M&A戦略M&A戦略は、1) 新たなエリアへの進出、2) 新たなブランドの獲得(マルチブランド戦略)、3) 既存ブランドのシェア拡大になる。なお、進出候補エリアは、人口100万人超の政令指定都市※と40万人超の中核都市となる。※人口100万人超の政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市。ウイルプラスアインスが2018年12月に「ポルシェセンター仙台」を事業譲受し、東北エリアに進出した。同ケースでは、新たなエリアへの進出と新たなブランドの獲得を同時に行った。東北エリアの全商圏をカバーするため、2019年1月に福島県に2店舗目の「ポルシェセンター郡山」を出店している。通常、新たなエリア進出では、飛び地での成功率が低いため、既存の拠点に近接している地域を選ぶ。高級スポーツカーの代名詞となるPORSCHEは、安定的な販売実績を上げており、2020年の外国メーカー車新規登録台数では第9位とトップ10入りしていることから、戦略的に新ブランドの獲得を図ったと言える。輸入車の全国正規ディーラー網は国産車ほど多くはないものの、同社の拡大余地は大きい。具体的には、日本国内の新車・中古車、サービスを含む拠点数は、BMWが246ヶ所、MINIが207ヶ所、VOLVOの新車ディーラーが123ヶ所ある(2021年9月時点)。M&A案件の紹介は、インポーター、金融機関、仲介会社と同社もしくは先方からの直接アプローチになる。今後の成長性や事業シナジーなどを検討し、各種デューデリジェンスを経て、事業計画を策定し、投資回収期間などの確認をする。優先的に案件を紹介してもらえるよう、インポーターとは良好な関係構築を心掛けている。一方、金融機関や仲介会社の場合は、競争入札になることが多い。同社は、社内の投資回収基準などに沿って入札する。また、同社が取扱うブランドの車種や価格帯はバラエティーに富んでいる。販売価格は、FIATが200万円から344万円、MINIは277万円から609万円、PORSCHEは729万円から3,235万円となる(2021年9月時点)。以前は、「輸入車のオーナーは富裕層」「輸入車は壊れやすい」などのイメージがあったが、輸入車と国産車の価格差は縮小し、品質も改善した。価格面で手の届く範囲になり、ユーザー層も広がっている。(4) 店舗投資など店舗への投資は、来場客数や顧客満足度(CS)向上によるリピーターの増加につながるため、既存店舗への投資により最新CIに準拠してサービス品質の向上を図るとともに、より好立地で経営効率の向上が見込まれるロケーションに移転することを進めている。インポーターは、拡販のための新CIへの投資、納期短縮化のための手厚いディーラー在庫などを求めている。小規模で既存のエリア販売権に安住したディーラーの中には、店舗への投資負担、デモカーの増加、新CIへの対応、事業承継問題などで、事業を譲渡するケースが見られる。新規出店は、商圏の拡大や既存エリアの補完、既存ブランドの業容拡大を狙う。持続的な成長のために、新規出店と事業譲受により継続的に店舗数を増やす必要がある。企業買収や事業譲受は、前もって時期を決めることができず、投資タイミングを逃すのも得策でない。そのため、M&Aを含めた投資には、波が生じる。同社では、2017年6月期から2020年6月期に積極的な店舗投資を行った。その結果、この期間のCAGRは営業利益が1.4%減に対しEBITDAが10.0%増であった。店舗改装はおおむね一巡していることから、今後は収穫期に入ることが見込まれる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:14 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(3):成長戦略はマルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略(1) ■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略1. 国内の自動車市場動向少子高齢化により、日本の人口は2008年に1億2,808万人でピークを打ち減少傾向にある。2020年12月の概算値では、1億2,571万人とピークより約237万人減少した。若者のクルマ離れや高齢者の運転免許返上が取りざたされているが、(一社)日本自動車工業会の統計によると2021年3月末の普通車、小型車、軽自動車を合わせた乗用車保有台数は、6,192万台と過去最高を更新し続けている。乗用車保有台数は10年間で378万台増加したが、その内訳は普通車が314万台増、小型車が409万台減、軽乗用車が473万台増となり、構成比は普通車が29.0%から32.3%へ、小型車が40.1%から31.0%へ、軽乗用車が31.0%から36.7%へと変化した。この結果から、消費者の購買行動が二極化したことで、小型車がシェアを落としたと言える。また、軽自動車の規格が、エンジンの排気量が360ccから550cc、さらに660ccへ増加し、ボディサイズも全長が3メートルから3.4メートルへ、全幅は1.3メートルから1.48メートルへ拡大されたことで、実用本位の消費者は軽自動車に流れ、趣味性やライフスタイル、価値観を重視する人は普通車に向かった。新車販売は、景気や金利、新型モデルの発売時期などの影響を受ける。弊社の調べによると、乗用車の新規登録台数は2004年の476.8万台がピークとなり、リーマンショックの影響が出た2009年に392.4万台と400万台を割った。その後、2011年に東日本大震災が発生したことで352.5万台まで落ち込んだが、その後は2019年に430.1万台まで回復した。しかしながら2020年はコロナ禍により、380.9万台(前年比11.4%減)に減少している。輸入車(外国メーカー)の新規登録台数は、2000年の26.8万台からリーマンショック後の2009年に16.8万台まで縮小したが、その後は回復に転じ、2020年は29.7万台(前年比8.9%減)となっている。日本の独自規格である軽自動車を含まない、登録車(普通車及び小型車の乗用車)に対する輸入乗用車のシェアは、2000年が9.0%、2009年が6.4%、2020年は12.0%であった。世界最大規模の自動車メーカーであるVWや、高級車ブランドのMercedes-Benz、日本でも人気ブランドのBMWを擁するドイツでも、輸入車のシェアは39.5%と高い。なお、米国は24.7%、イタリアは76.1%であることから、日本の輸入車シェアは8.9%にとどまり拡大余地は大きいと同社では見ている。ちなみに同社によると、日本の輸入車新車マーケット規模は1兆3,100億円(2020年)であり、市場では中小規模ディーラーの集約化が進んでいる。同社のシェアは約3%であることから、今後もM&Aでシェア拡大を目指すとしている。2. 同社の成長戦略同社の成長戦略は、(1) マルチブランド戦略、(2) ドミナント戦略、(3) M&A戦略である。(1) マルチブランド戦略同社は、10ブランドを扱うマルチブランド戦略を採っている。自動車のモデルチェンジのパターンは、国産車のフルモデルチェンジがおおむね5~7年間隔であるのに対し、欧米車はおおむね7~8年間隔と長い。販売量の波は小さくなっているものの、モデル末期の販売低下や競合車種の新モデル投入には影響を受ける。同社はマルチブランド戦略を採ることで、モデルチェンジによる販売サイクルの波をブランド間の新型モデル投入時期の差異により打ち消し、平準化を図っている。2020年(暦年)の外国メーカー車新規登録台数のランキングにおいて、同社が取扱う10のブランドはいずれもトップ20に入っている。同社のブランドの選択基準は、1)ブランド内において主要なディーラーとなる可能性と2)ブランド力が強くコンスタントな販売が見込まれることである。同社は、未取扱いブランドの9以上をターゲットブランドとしている。一般的には、海外メーカーの日本子会社であるインポーターが、ディーラー契約に基づくエリアごとの販売権をディーラーに付与し販売させるが、エリアは既に埋まっていることが多いため、既存のディーラーを買収もしくは事業譲受するM&A戦略が重要になる。(2) ドミナント戦略ドミナント戦略は特定の地域に店舗を集中的に出店する戦略を言う。商圏とするエリア内に、新車販売店やショールームだけでなく、アプルーブドカー(認定中古車)を扱う中古車店や整備・点検を行うサービスセンターを併設することで、購入者の選択肢を広げるとともに購入後のアフターサービスなどを提供する。同社にとっては、自社で販売した車輌であれば履歴が把握しやすく適切な下取り価格を提示できるほか、取扱いブランドの車種の買取を通して中古車の仕入れを行うことができるというメリットがある。また、同社ではマルチブランド戦略を活用したドミナント戦略を行っている。その狙いは、顧客に複数の選択肢を提供することによる囲い込みと、グループ内での人材の流動化・最適配置による効率性にある。顧客のモデルサイクルの谷間における他ブランドへの乗り換え、もしくは他ブランドの別車種(例えばSUV)を試したいなどのニーズに対応する。同社のドミナント戦略の具体例として、神奈川エリアと北九州エリアのディーラーネットワークが挙げられる。神奈川エリアでは6店舗を展開しており、その内訳はジャガー・ランドローバー湘南(アプルーブド湘南/サービスセンター)、ジャガー・ランドローバー湘南(湘南ショールーム・新車販売)、ジープ藤沢湘南、アルファロメオ藤沢湘南、フィアット・アバルト平塚、ジャガー・ランドローバー相模原となる。北九州エリアでは、ボルボ・カー北九州、ジープ北九州、BMW小倉、BMW八幡、MINI小倉、ジャガー・ランドローバー北九州、MINI NEXT 福岡東の7店舗に加え、マルチブランドの正規輸入中古車専門店としてチェッカーモータース アプルーブド宗像(福岡県宗像市)を展開している。ブランド別では、MINIに積極投資をしている。2019年11月に「MINI博多/MINI NEXT博多」をリニューアルオープンして、最新のCI(コーポレート・アイデンティティ)に準拠した。2020年1月には、「MINI山口/MINI NEXT山口」をより好立地なロケーションに移転し、最新のCIに準拠した新築店舗をオープンした。さらに2021年2月には、最新のCIに準拠したMINI認定中古車専売店「MINI NEXT 福岡東」を新規出店した。また、2019年3月に中国エリアへ初進出を果たしたが、既存の九州エリアの福岡県と比較的近いロケーションの山口県が選ばれた。2021年2月末時点でMINI店舗は、山口県に2ヶ所、福岡県に5ヶ所あり、同エリアでは同ブランドのメジャーな正規ディーラーとなっている。なお、2020年12月には、認定中古車販売の「ジャガー・ランドローバー アプルーブド平塚」及びサービス拠点の「ジャガー・ランドローバー湘南サービス」を「ジャガー・ランドローバー・アプルーブド湘南、ジャガー・ランドローバー湘南サービス」に統合し、新築移転オープンした(最新のCIに準拠)。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:13 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(2):34店舗で外国メーカー車10ブランドを扱う ■会社概要1. 会社概要ウイルプラスホールディングス<3538>は、輸入車販売事業を行う4社の連結子会社を持つ純粋持株会社である。国内に34店舗を展開(2021年6月末現在)し、ALFA ROMEO、FIAT、ABARTH、Jeep、JAGUAR、LAND ROVER、BMW、MINI、VOLVO、PORSCHEの主要10ブランドを販売している。また、店舗については宮城県、福島県、東京都、神奈川県、山口県、福岡県に配置している。「未来に+αの喜びを」という企業理念から、社名は「輸入車とともにある未来(=WILL)のご提供と、プラス(=PLUS)して、関わるすべての皆さまに『喜びのある生活』をご提案できるよう挑戦し続ける」ことに由来している。2017年6月期から2021年6月期までの5期で、新規出店数が10舗、事業譲受が4店舗、既存店の新築移転を6店舗、店舗改装を13店舗行い、CAGRは売上高で14.7%増となった。一方で、営業利益については、2019年6月期に先行投資負担増により落ち込んだが、2020年6月期から先行投資の収穫を見込んでいたものの、コロナ禍により小幅な増益にとどまった。なお、2021年6月期はコロナ禍での事業環境に対応する販売活動を行ったことにより、営業利益は前期比97.3%増と大幅に改善し、売上高・営業利益とも過去最高を更新した。2. 沿革1997年に現 代表取締役社長 成瀬隆章(なるせたかあき)氏の父が、福岡県北九州市で設立した株式会社さんふらわあシージェイに始まる。設立後すぐに米クライスラーのディーラーシップを得て、正規ディーラーとして事業を開始した。成瀬氏は、新車及び中古車販売事業に携わり、2004年10月に福岡クライスラーの全株式を取得して独立した。2005年に東京都大田区に店舗を開設し、東京に進出した。その後、2007年に株式会社ウイルプラスホールディングスを設立した。株式公開は、2016年3月に東証JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2017年9月の東証2部への市場変更を経て、2018年2月に東証1部へ指定替えとなった。同社は、積極的なM&Aにより、有力ブランドの輸入車販売権と商圏を獲得するとともに、新規出店により急速に店舗網を拡大してきた。2008年にチェッカーモータース(株)を完全子会社化し、FIAT・ALFA ROMEOの取扱いを開始し、関東エリアに本格進出した。2009年には事業譲受によりJeepを扱う首都圏の2店舗とBMW及びMINIの5店舗を譲受し、2014年にはVOLVOを販売する帝欧オート(株)を完全子会社した。また、2017年に設立したウイルプラスアインス(株)は、2018年にポルシェセンター仙台を事業譲受し、PORSCHEの取扱いと東北エリア初進出を果たした。なお、2019年11月に、同社初となる正規輸入中古車専門店のチェッカーモータース アプルーブド宗像を新規オープンしている。同社グループは、2021年6月期末で34店舗を展開している。運営する連結子会社別の内訳は、ALFA ROMEO、FIAT、ABARTH、Jeep、JAGUAR、LAND ROVERを扱うチェッカーモータースが18店舗、BMWとMINIを扱うウイルプラスモトーレン(株)が10店舗、VOLVOを扱う帝欧オートが4店舗、PORSCHEを扱うウイルプラスアインスが2店舗となる。3. 事業内容(1) ビジネスモデル正規ディーラーとしての輸入車販売は、新車をインポーター(海外自動車メーカーの日本子会社)から仕入れ、販売する。インポーターの詳細として、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)グループの日本法人となるFCAジャパン(株)は、イタリアのALFA ROMEO、FIAT、ABARTHと米国のJeepブランドを手掛ける。ジャガー・ランドローバー・ジャパン(株)はJAGUARとLAND ROVERを、ビー・エム・ダブリュー(株)がBMWとMINIを扱う。VOLVOはボルボ・カー・ジャパン(株)、PORSCHEがポルシェジャパン(株)となる。中古車の仕入れはオートオークションや下取りになる。また、同社が扱っていないブランドの下取車は、オートオークションで売却する。その他、車輌の販売に伴う自動車保険販売や、その後のアフターサービス(整備・修理)も提供している。(2) 売上高構成2021年6月期の品目別売上高構成比は、新車が50.2%、中古車が25.1%、業販が9.0%、車輌整備が11.5%、その他が4.1%となった。一方で収益率については、車輌の原価率が高いため、新車の収益率が中古車より低くなっている。また、その他については、手数料収入が主体であることに加えて保険手数料が安定収益源となっていることから、収益率が高くなっている。なお、業販は下取車で同社グループが扱っていないブランドの車輌販売を行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:12 注目トピックス 日本株 ウイルプラスH Research Memo(1):2021年6月期は上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益とも過去最高 ■要約ウイルプラスホールディングス<3538>は、輸入車販売事業を行う4社の連結子会社を持つ純粋持株会社である。Jeep、FIAT、BMW、MINI、VOLVO、PORSCHEなど10ブランドの正規ディーラーを営む。祖業の地である福岡県を始め、東京都や神奈川県、山口県、東北エリアなどで34店舗を展開している(2021年6月末現在)。1. 加速するEV化に向けた取り組み日本政府は2021年4月に、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする『脱炭素社会の実現』達成のために、2030年度のCO2排出量を2013年度比で26%削減から46%削減に引き上げることを発表した。また、6月に発表された『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』では、遅くとも2030年代半ばまでに乗用車の新車販売の全てを電動車化するための包括的な措置を講じている。脱炭素化で先頭を走る欧州では、各自動車メーカーがEV化で日本に先行しているが、同社が取扱うブランドのEVは豊富であることから、同社にとっては追い風と言える。攻めの経営をする同社では、加速するEV化での先行者利得を追求する方針で、全店舗に最新の充電器の設置を推進するほか、いち早くEVの試乗体験を提供するために、EVのデモカー導入も推進している。また、販売だけでなく整備面でも人材育成に取り組む方針である。2. 業績動向2021年6月期の業績は、売上高が前期比16.3%増の40,776百万円、営業利益が同97.3%増の2,290百万円となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。また、2021年5月に発表した2度目の上方修正値に対しては売上高で3.4%、営業利益で8.7%上回った。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の移動手段として自動車が見直されたこともあり、引き続き需要が堅調に推移したことや店舗投資効果により、新車販売が好調に推移したことに加え、中古車販売が堅調に推移した。中古車販売は仕入れから販売のサイクルが短く、利益率が高いため、大幅増益も牽引した。また、店舗展開に関わる投資は継続したものの、エンジンの多様化に対応した店舗当たりのデモカー台数の増加が一段落したことにより減価償却費は前期比横ばいとなった。2022年6月期の連結業績予想については、売上高で41,067百万円、営業利益で前期比6.1%減の2,149百万円を見込んでいる※。コロナ禍の収束期待が高まる一方、再び感染拡大の兆しが見られるなど、先行きは依然として不透明である。これに加えて半導体不足等の影響により、新車では供給の不安定が続くほか、中古車では受給の変化により多少の影響が想定される。このため、新車供給状況や中古車市場の変化の影響を鑑み、営業利益は前期比微減を予想している。※2022年6月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、連結業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、売上高の対前期増減率は記載していない。3. 株主還元策配当性向について同社は、これまではおおむね15%前後を目途としていたが、2021年6月期より配当性向の目途を17.5%へ、さらに2022年6月期からは20.0%への引き上げを予定している。この方針に基づき、2022年6月期は1株当たり29.13円(中間配当5.0円、期末配当24.13円)を予定している。なお、2021年6月期は、当初1株当たり13.59円を計画していたが、業績及び財政状況等を鑑み、期末配当金を2021年5月10日に発表した計画値から2.47円増配の23.26円とした。■Key Points・加速するEV化に積極的に対応することで、先行者利得を追求・2021年6月期業績は上方修正後の計画値を上回り、売上高、利益ともに過去最高を更新・2022年6月期より配当性向の目途を20.0%へ引き上げ予定(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健) <YM> 2021/10/12 15:11 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(9):配当性向30%台、純資産配当率8%以上を目標かつ安定配当を指標とする ■アイル<3854>の株主還元策利益還元については、業界における競争力の維持強化のための内部留保、株主資本利益率の水準、経営などを総合的に勘案して成果の配分を行っていくことを基本方針とし、配当性向30%台、純資産配当率(DOE)8%以上を目標かつ安定配当を指標としている。この基本方針に基づいて、2021年7月期の配当は前期比2.00円増配の年間17.00円(普通配当15.00円、記念配当2.00円)、配当性向34.8%とした。また、2022年7月期の配当は前期同額の年間17.00円(第2四半期末8.00円、期末9.00円)とし、配当性向は32.8%を予定している。収益拡大に伴い、株主還元のさらなる充実も期待される。■ESG経営・SDGsへの取り組み同社はSDGsへの取り組みも積極化している。一例を挙げると、社会貢献活動の一環として、2019年と2021年には難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の啓発活動を行う一般社団法人WITH ALSによるイベント「MOVE FES.2019」に協賛した(2020年はコロナ禍のため開催中止)。また地域支援(島根県松江市)の取り組みとして、2017年に開設した「アイル松江ラボ」では、島根大学や松江工業高等専門学校を中心とする現地採用や、オフィス1Fを「IT交流スペース」として開放し、ITのスキルや関心を高められるように活動を行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:09 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(8):BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す ■アイル<3854>の中期成長戦略1. 成長に向けた基本戦略新3ヶ年中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高16,000百万円、営業利益2,800百万円、営業利益率17.5%、経常利益2,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,809百万円を目指す。成長に向けた基本戦略としては、DX支援のリーディングカンパニーを目指し、(1) システムソリューション事業の安定成長による強固な収益基盤の構築、(2) Webソリューション事業を第二の収益柱に育成、(3) 新技術を取り込んだ新たな業務システム領域への進出、を掲げている。独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略を推進し、新技術を取り込んだ独自開発のサービス・製品を有機的に結合させ、高付加価値トータルソリューションパッケージとして市場に提供することで、高収益体質の構築に取り組む方針だ。また、利益率の高いストックビジネスの比重を拡大することにより、利益率のさらなる向上も目指す。具体的には、クラウド商材を積極的に展開することで、粗利率の高いストック売上比率を上げる。また、パッケージ機能の強化や製販一体体制によるプロジェクトの管理強化などにより、さらなる粗利率向上も目指す。(1) システムソリューション事業の安定成長による強固な収益基盤の構築各業種パッケージの製品強化、現行5業種特化(アパレル・ファッション業界、食品業界、医療機器業界、ねじ・金属部品業界、鉄鋼・非鉄業界)における顧客層拡大、新営業拠点の設置や商圏エリアの拡大、ERP市場やBtoB EC市場の開拓などを加速する。顧客層拡大では、従来は業態として卸売業がメイン顧客層だったが、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」の業種特化型標準パッケージ展開で培った機能・ノウハウを生かして、特化5業種のなかで製造・輸入・小売業といった業態に顧客層の拡充を推進する。(2) Webソリューション事業を第二の収益柱に育成次世代クラウドサービスの開発や新料金プランの策定などにより、BtoB EC市場のバックヤード支援強化を推進する。(3) 新技術を取り込んだ新たな業務システム領域への進出ブロックチェーンやAI(人工知能)を活用したサービスの開発を推進する。また、ビジネスパートナーとの連携強化や、資本業務提携しているシビラとの共同開発も推進する。2. 研究開発への積極投資(1) シビラと資本業務提携してブロックチェーン技術を活用資本業務提携しているシビラの独自開発ブロックチェーン技術「Broof」を活用して、クラウドサービスのセキュリティ向上、在庫データのオープン化、企業・店舗・サービスを横断したオープンなプラットフォームの企画・開発・販売に共同で取り組んでいる。2017年8月には業務管理クラウドサービス「CROSSシリーズ」において、シビラのブロックチェーン技術「Broof」の運用を開始している。(2) 次世代クラウド研究開発用オフィス「アイル松江ラボ」次世代クラウド研究開発用オフィスとして島根県松江市に「アイル松江ラボ」を開設している。島根県松江市は、日本で開発されたプログラミング言語としては初めて国際規格に認証された「Ruby(ルビー)」の街を標榜し、エンジニアにとっては聖地とも言える都市の1つである。シンプルかつ高い生産性・柔軟性を持つプログラミング言語「Ruby」に開発言語を統一することで、既存のクラウドサービス「CROSSシリーズ」次世代版の開発を、より効率的に高品質で行う。(3) AIを活用したサービスなど研究開発に積極投資同社によると、中堅・中小企業の受注方法は85.8%がアナログ手段(Fax、電話、メール、対面営業、展示会)であり、BtoB EC導入率は14.2%にとどまっている。一方で、BtoB EC導入に対して前向きに検討中と回答した企業が約28%と、4割以上がデジタルシフトの傾向にある。市場環境としては、今後、DX実現に向けたIT投資の拡大、働き方改革(生産性向上)推進によるERPなどIT投資の拡大、EC市場の拡大、新技術(ブロックチェーンやAIなど)市場の拡大が予想される。こうした市場環境のもとで、競争力向上に向けた取り組みとして、業務システム分野においてAIを活用したデータ分析・業務自動化の研究開発活動を推進する。また基幹システムやクラウドサービスで培ったノウハウをCROSS-OVERプラットフォームとして構築し、基幹システムとクラウドサービスの相互連携をさらに加速させる方針だ。3. 事業ポリシー利益重視へと方針転換した結果、同社の営業利益率は成長が持続している。ストックの継続的な成長とイニシャルの利益改善施策により、中期目標として2025年7月期に営業利益率20%を目指している。また同社は、事業ポリシーとして新たに「BX」を掲げた。これは、ITによるリアルとWebの融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーションのことで、単なるDXによる効率化だけでなく、有機的なサービス提案とコンサルティングによる変革により価値創造を実現することを目指す。この概念は、オンラインの効率化と現場・オフィス・店舗のデジタル化を切り離さず、相乗効果を発揮できるようにすることが企業の価値創造として重要になってきていることが背景にある。あらゆる企業のバックサイドを変革で支えることによって、同社のさらなる成長加速が期待できると弊社では見ている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:08 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(7):事業展開は順調に推移、2022年7月期業績も上振れて着地する可能性が高い ■今後の見通し1. 2022年7月期の業績見通しアイル<3854>の2022年7月期の連結業績予想については、売上高が13,300百万円、営業利益が2,000百万円、経常利益が2,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,297百万円を見込んでいる。また、2022年7月期第2四半期累計業績については、売上高が6,130百万円、営業利益が759百万円、経常利益が768百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が495百万円としている。2020年7月期の特需以前のように、下期の構成比が高くなる見込みだ。2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、対前期比増減率は公表していないものの、旧基準の2021年7月期との単純比較では売上高が0.7%増、営業利益が9.3%増、経常利益が9.1%増、親会社株主に帰属する当期純利益が6.0%増となる。会計基準変更により、検収基準(顧客検収時点で一括して売上を計上)から進行基準(進行度に応じて売上が発生)に変更することに加え、システムソリューション事業におけるサプライ品販売で売上が粗利純額計上に変更となる。売上高及び売上総利益への下押し圧力となるものの、会計上の一過性の問題であり、事業展開は順調に推移している。会計基準変更により一時的に成長率が鈍化したように見えるが、各利益への影響は軽微であることから、実質的には増収増益予想と弊社では見ている。なお同社は、期初時点では保守的な数値を公表する傾向が強く、中小企業の旺盛なDXニーズや、生産性向上・ストック売上拡大により売上総利益率が上昇基調であることなどを勘案すれば、予想は上振れて着地する可能性が高いと弊社では見ている。2. 重点施策コロナ禍の影響でBtoB・BtoCのECビジネスが加速していることから、補助金を活用したIT投資も活発化すると予想される。このため同社では、DXニーズに対応した重点施策を推進することで、売上・利益拡大戦略を加速する方針だ。具体的には、Webを活用した新規顧客発掘、ウェビナー開催による新たなチャネルでの顧客開拓、ビジネスパートナーとの連携強化、営業・開発SE一体体制による案件精度の向上、開発フェーズごとの多段階契約による手戻りの減少、システムの機能強化、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズのカスタマイズ部品テンプレート化によるSEの生産性向上、脱Fax化に対応したBtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」の拡販、複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」の拡販、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」のアプリ制作セット受注による単価上昇などを推進する方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:07 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(6):好調なシステムソリューション事業に加え、CROSS事業がけん引 ■業績動向1. 2021年7月期の業績概要アイル<3854>の2021年7月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の13,203百万円、営業利益が同7.6%増の1,829百万円、経常利益が同8.2%増の1,856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の1,224百万円となった。2020年7月期にあった特需の剥落があったものの、DXニーズの増加とオンライン商談やウェビナーの活用により、売上・利益ともに過去最高を更新し、2021年3月5日に公表した上方修正値も超過して着地した。事業別では、システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに増収増益となった。好調なシステムソリューション事業に加え、Webソリューション事業ではCROSS事業がけん引役となった。なお、2021年7月期における新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響は軽微であった。売上総利益は前期比8.3%増、売上総利益率は同1.8ポイント上昇して過去最高の46.5%となった。Webとのセット提案による他社との差別化の進展、引き合い増加による選別受注に加え、売上総利益率向上施策やストック売上拡大も寄与した。一方、販管費は同8.6%増、販管費比率は同1.3ポイント上昇して32.6%となった。これは主に、将来の成長に向けた人材投資により人件費が増加したことによる。この結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇して過去最高の13.9%となった。保守サービス料やクラウド利用料などのストック売上は前期比14.6%増の5,259百万円、構成比は同3.6ポイント上昇して39.8%となった。また、ストック売上総利益は同18.1%増の2,832百万円、構成比は同3.9ポイント上昇して46.2%、売上総利益率は同1.7ポイント上昇して53.9%となった。ストック売上・売上総利益ともに過去最高を更新し、ストック構成比も好調に推移しており、利益体質に寄与している。なお四半期別では、2021年7月期第1四半期は前年同期の特需の反動により減収減益となったものの、第2四半期は反動影響が和らいだこともあり増収増益に転じ、通期でも回復基調となっている。2. 事業別動向(1) システムソリューション事業システムソリューション事業の売上高は前期比3.1%増の11,452百万円、売上総利益は同7.0%増の5,298百万円、売上総利益率は同1.7ポイント上昇して46.3%となった。売上高、売上総利益ともに特需のあった前期を上回り、好調に推移した。ストック売上拡大による利益体質の強化、営業・開発SE一体体制による案件精度の向上、オプション充実による利益向上開発フェーズごとの多段階契約による手戻りの減少などが寄与した。なお同社試算によると、前期の特需分を除いた場合、売上高は同19.2%増、売上総利益は同24.0%増であった。(2) Webソリューション事業Webソリューション事業の売上高は11.7%増の1,751百万円(CROSS事業は同19.1%増の1,239百万円、その他Web事業は同2.8%減の512百万円)、売上総利益は同17.5%増の838百万円(CROSS事業は同17.2%増の667百万円、その他Web事業は同19.6%増の171百万円)となった。クラウド型の複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」及び実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」がともに伸長した。一方、CROSS事業の売上総利益率は同0.9ポイント低下して53.8%となったが、これは将来に向けた開発強化により一時的に低下したものである。3. 財務状況と経営指標2021年7月期末の資産合計は前期末比864百万円増加の8,449百万円、負債合計は11百万円減少の3,860百万円となった。資産では主に現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加し、負債では借入金が減少した。純資産合計は利益剰余金の積み上げにより876百万円増加の4,589百万円となった。この結果、自己資本比率は同5.3ポイント上昇して54.3%となった。財務の健全性は良好と言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:06 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(5):「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴(3) ■事業概要5. 利益重視戦略アイル<3854>は、2017年7月期から利益重視へ方針転換している。具体的には、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを重点施策として推進している。開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上としては、受注段階で営業と開発が連携を強化することでカスタマイズ工数を削減することや、トラブル未然防止に取り組むなど、総合的な品質・生産性向上策と売上総利益率上昇策を推進している。2020年7月期からは、組織変更によって営業とサポートを一体化(システム営業、システムサポート)し、連携を一段と強化している。また個別カスタマイズ対応を基本戦略とする一方で、カスタマイズを最小限に抑え、パッケージ機能に沿った受注の拡大や、品質・生産性向上によるリードタイム短縮などにより、さらなる売上総利益率の上昇を推進している。さらにシステムソリューション事業におけるシステム保守サービス、Webソリューション事業における「CROSS MALL」及び「CROSS POINT」など、ストック売上の拡大も推進している。2021年7月期のストック売上は前期比14.6%増の5,259百万円、売上総利益は同18.1%増の2,832百万円、売上総利益率は同1.7ポイント上昇の53.9%となり、全社ベースの売上高・利益拡大及び利益率向上をけん引している。6. 売上総利益率が上昇基調生産性向上への取り組みやストック項目の拡販を推進した結果、全社ベースの売上総利益率は2021年7月期に過去最高の46.5%(2017年7月期は38.6%)まで上昇しており、収益力の大幅な向上が鮮明になっている。7. ビジネスパートナーとのサービス連携強化同社は、さらなる売上成長と利益拡大に向けた施策として、既存製品のバージョンアップや、様々な分野でのビジネスパートナーとのサービス連携などの戦略を推進している。既存製品のバージョンアップとしては、2020年1月に基幹業務管理システム「アラジンオフィス」に生産管理オプションを追加した。これにより、製造業の顧客は自社に必要な生産管理機能を効率的にシステム化できるようになった。一方、従来はカスタマイズで対応していた機能をオプションとして提供することで、同社にとってはSE工数削減と品質確保で粗利改善のメリットがある。また、2021年6月には、ねじ製造業・卸売業向け「アラジンオフィス」をバージョンアップした。具体的には、ねじ業界における商品点数増加の傾向に合わせ、商品コード30ケタ登録や加工・輸入業務に対応した。ビジネスパートナーとのサービス連携としては、システムソリューション事業の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」がラクス<3923>のWeb帳票発行システム「楽楽明細」と帳票データ連携(2019年11月)した。また、BtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」はSBペイメントサービス(株)の決済サービスと連携(2019年11月)したほか、オービックビジネスコンサルタント<4733>の「奉行クラウド」とも連携(2020年8月)している。Webソリューション事業の複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」では、Zホールディングス<4689>の「PayPayモール」と受注・在庫・商品連携(2019年11月)、(株)フューチャーショップの「futureshop」のCMS機能に対応(2020年3月)、BASE<4477>の「BASE」と連携(2020年6月)、(株)ブレインウェーブの「はぴロジ」と連携(2020年7月)、ロジザード<4391>の「ロジザードZERO」と完全自動連携(2020年10月)、w2ソリューション(株)の「w2Commerce」と連携(2020年11月)、(株)ロジクラの「ロジクラ」と自動連携(2021年1月)、東日本旅客鉄道<9020>のECショッピングモール「JRE MALL」と連携(2021年3月)、丸井グループ<8252>のネット通販「マルイウェブチャネル」と連携(2021年3月)、関通<9326>のクラウド倉庫管理システム「クラウドトーマス」と完全自動連携(2021年7月)、Facebook及びInstagramのショップ機能と連携(2021年9月)している。また、2021年5月に同社が提供するITサービスが経済産業省「IT導入補助金2021」に認定されたほか、2020年12月にはクラウド基盤マルチチャネルコマースプラットフォーム「Shopify」のパートナープログラム「Shopify Experts」に認定された。なお、資本業務提携しているシビラに対しては、シビラと電通グループ<4324>の資本業務提携に伴い、出資比率を維持するため、2021年6月に追加出資を行った。さらなる連携強化により、セキュリティと利便性が両立した新しいサービスを追求する方針である。8. リスク要因・収益特性と対策情報システム・サービス産業における一般的なリスク要因としては、受注競合、案件大型化に伴う開発期間の長期化、個別プロジェクトの不採算化、技術革新への対応遅れ、人件確保などがある。ただし同社の場合はパッケージソフト開発・販売が主力のため、受託開発が主力のシステム開発会社に比べて個別プロジェクト不採算化のリスクは小さい。一方で、顧客に適合した柔軟な個別カスタマイズによって競合他社との差別化を図っていることが特徴のため、開発・カスタマイズ時における工数増加やバグ発生などが利益率低下要因となるが、この対策としては、既述のとおり利益重視への方針転換を打ち出し、営業と開発の連携強化によるカスタマイズ工数削減やトラブル未然防止への取り組みを推進するとともに、職場環境改善による品質・生産性向上などにも取り組んでいる。また情報システム・サービス産業においては、大型案件の売上計上や顧客側の検収の時期によって四半期業績が変動しやすいという季節特性がある。同社(7月期決算)の場合も、上期(8月~1月)よりも下期(2月~7月)に売上高が偏重する傾向がある。また販管費については、社員の入社やインセンティブなどの関係で、第4四半期(5月~7月)に増加する傾向がある。このような傾向に対して、受注の平準化及び継続的な保守サービス等の受注拡大により、売上計上時期偏重の是正に取り組んでおり、徐々に平準化が進展する見込みだ。なお2020年7月期及び2021年7月期については、特需要因及びその反動によって、四半期別及び半期別構成比がイレギュラーな形となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:05 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(4):「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴(2) ■アイル<3854>の事業概要3. 「CROSS-OVER シナジー」戦略顧客に対する提案をより効果的に進めるとともに強力なシナジー効果を生み出すため、リアルとWebの両面から顧客ニーズに合わせた複合提案を行い、中堅・中小企業の経営力アップを支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略を特徴としている。業務効率化を支援するシステムソリューション事業(リアル)の基幹業務システムと、販売力強化を支援するWebソリューション事業(Web)のサービスを有機的に結合させて「オール・ワンストップ」サービスを実現し、強力なシナジー効果を生み出すことを狙った戦略である。この戦略によって攻めの力も守りの力も強固となり、顧客企業数は増加基調である。2021年7月期の顧客企業数は前期比6.8%増の6,774社(システムソリューション事業が同4.0%増の4,773社、Webソリューション事業が同14.3%増の2,001社)であった。また、顧客企業数の増加に伴って、保守やクラウドサービスのストック売上も拡大基調となっている。4. 特徴・強み同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、(10) リアルとWebの両方への対応力と高シェア、などが挙げられる。(1) 中堅・中小企業市場への特化会社創業以来、中堅・中小企業市場に特化して独自サービスを提供しており、顧客企業数に占める割合は年商50億円未満の中小企業が約9割となっている。それらの取り組みが評価され、2011年には経済産業省「中小企業IT経営力大賞2011」の特別賞(商務情報政策局長賞)を受賞している。また、「アラジンオフィス」「アラジンEC」「CROSS MALL」「CROSS POINT」「CROSS STAFF」は、経済産業省が推進する「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の「IT導入支援事業者」に認定されている。(2) 特化業種の深耕戦略卸売業・小売業や製造業のなかでも、特に中堅・中小企業の多い業種に絞り込んだ特化業種の深耕戦略も強みである。業種特化型システム開発や業種別専門チーム体制などサービス力・営業力で負けない体制を形成し、新規顧客獲得力アップにつなげている。具体的にはアパレル・ファッション業界、食品業界、医療機器業界、ねじ・金属部品業界、鉄鋼・非鉄業界を主力5業種と位置付けて、業種特化型パッケージソフト「アラジンオフィス」シリーズなどによる市場深耕を推進している。(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ会社創業以来、顧客の業務への理解が求められる販売・在庫管理ソフトの提供を続けている。製造・卸・小売などの業態や各業種、さらには個社ごとに管理方法が異なる販売・在庫管理において、リアル・Web問わず豊富な導入事例とノウハウを有している。(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略複数の商品群からなる商品生態系戦略も強みである。ネットショップ構築・運営支援サービスのインターネット領域、店頭での売上管理やバックヤードの在庫管理のリアル店舗・本部領域、さらにリアルとWebの在庫やポイントを一元管理するリアル・ネット融合領域をすべてカバーし、自社製品・サービスを開発・提供している。そして様々な商品を組み合わせることで複合的な提案を可能にし、顧客へのトータルソリューションを実現している。(5) 社員の約7割が技術職の体制2021年7月末時点の社員数766人(前期末比43人増)の構成は、技術職73%、営業18%、スタッフ9%となっている。社員の約7割が技術職の体制で、システム提供後のサポートも重視している。今後も1人3役(業界・業務ノウハウ、基幹システム、Web)をこなす人材育成と技術力強化を促進する組織構成を目指し、技術部門の人員強化を継続する。一方で、労働集約型の生産体制から脱却するための環境整備や商品開発も推進している。(6) 個別カスタマイズ対応力中堅・中小企業は、業種ごともしくは個別企業ごとに業務運営方法が多様なため、多様なニーズに対応するソフトの個別カスタマイズ対応を基本戦略としている。ソフト開発市場における近年の動向として、ソフトの個別カスタマイズに対応できる企業が減少傾向となっているため、受注競合が減少して利益率の向上につながっている。(7) 小売業へのオムニチャネル戦略近年の小売業においては、リアル店舗とWeb店舗を融合して、あらゆるチャネル(販路、顧客接点)から顧客が同じように商品を購買できる環境・流通経路を実現するオムニチャネル戦略が注目されている。同社は創業時からリアルとWebの融合を事業化し、一朝一夕では実現できない事業ノウハウ・事例を蓄積しているため、小売業におけるオムニチャネル戦略の進展に対しても、他社にはまねできない優位性を確立していると言えるだろう。(8) 自社製品・サービス比率の高さ同社は、価格変動に左右されやすく利益率も低いハードウェアなどといった他社製品の売上に依存しない収益構造構築を経営方針の重要事項としており、自社製品・サービスを中心とする拡販を推進している。その結果、売上高に占める自社製品・サービス(ソフトウェア・運用・保守・会費など)の比率は約7割と高水準である。(9) パートナー戦略新規案件紹介元・営業協力会社であるパートナー(銀行、SIer、IT機器メーカー、コンサルタント、会計事務所など)からの高い信頼も特徴である。システムソリューション事業の新規受注(金額ベース、2021年7月期末)のうち、パートナー紹介の割合は36.2%であることに加え、自社ホームページを通じての引き合いも35.1%と増加基調となっている。パートナー紹介及び自社ホームページを通じての引き合いといったPull型営業の比率上昇が、営業効率化につながっていると言える。このように業界・業務に精通し、基幹システムとWebの知識を備える人材を揃えている優位性やパートナー戦略の結果、受注競合勝率は90.8%(2021年7月期),リピート受注率98.4%(同)となっている。(10) リアルとWebの両方への対応力と高シェア市場競合優位性として、中堅・中小企業に特化してリアルとWebの両方を独自開発・提供できるという点が挙げられる。リアルとWebとも10%超の市場シェアを獲得しているのは同社のみであることや、受注競合勝率及びユーザーリピート受注率の高さなどから、競合優位性は高いと言える。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:04 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(3):「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴(1) ■事業概要1. サービス概要アイル<3854>は、ITの有効活用が必要な中堅・中小企業の経営課題を解決するための商材として、自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力に、基幹システム構築、システムサポート保守、ネットワーク構築、人材教育、Webコンサルティング、ECサイト構築、基幹業務パッケージソフト、複数ECサイト一元管理ソフト、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフトなどを提供している。これらを提供することで、顧客企業の販売力強化、業務効率化(店舗管理・受発注・在庫管理・バックヤード運用など)、人材教育支援といった幅広い分野において、顧客企業の経営力アップを支援している。その他、個人・企業向け研修を行う教育機関として、ICC大阪校・東京校を運営している。事業区分は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズが主力のシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」や実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」が主力のWebソリューション事業(CROSS事業、その他Web事業)からなる。2021年7月期の事業別売上高構成比はシステムソリューション事業が86.7%、Webソリューション事業が13.3%(CROSS事業が9.4%、その他Web事業が3.9%)となっている。その他Web事業は求人・求職情報サイト「@ばる」サービスを2019年11月に終了したため減少傾向であるものの、主力のシステムソリューション事業及びCROSS事業は拡大基調が続いており、売上構成比に大きな変動はない。(1) システムソリューション事業システムソリューション事業は、顧客企業に対して基幹システム設計・開発、ハードウェア保守、システム運用サポート、ネットワーク構築、セキュリティ管理などをほぼ自社で提供している。具体的には、5,000社以上の導入実績を誇る自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力として、ファッション業界向け店舗管理システム「アラジンショップ」や、Web化に対応したBtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」を展開している。顧客企業の属する業種・業態に適合したシステム開発と柔軟なカスタマイズを行うことにより、商品力強化や競合他社との差別化を図っていることが特徴である。各業種別に特化した製品バリエーションの充実を図るとともに、販売後においても保守・運用サポートとしての収入を得るストック型ビジネスを重視している。業種別では、2006年にIT企業として初めて関西ねじ協同組合の賛助会員に認定されたことをはじめ、複数の組合の賛助会員として認められ、つながりを活用した営業を展開するとともに、業界での最新の情報をシステムに取り入れて製品価値を高めている。また、顧客企業の人材教育を目的としたIT・OAリテラシー教育、技術者育成、資格取得支援、ビジネススキルなどの教育サービスを提供するICCの運営も行っている。(2) Webソリューション事業Webソリューション事業は、クラウド型で提供するCROSS事業の複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」及び実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」を主力としている。ストック型サービスのため利益率が高い。その他Web事業としては、人材派遣会社向けスタッフ管理クラウドシステム「CROSS STAFF」(2016年開始)、BtoB EC支援やWebマーケティング支援(企業ホームページ制作・運用支援、ECサイト構築支援、顧客の事業分析・事業戦略コンサルティング、プロモーション、ホームページ制作後のログ解析結果を基にした更新・改良など)などを提供している。なお求人・求職情報サイト「@ばる」サービスは2019年11月末に終了している。2. 主要製品主要製品及び主要導入企業例は以下のとおりである。(1) 中小企業向け基幹業務管理システム「アラジンオフィス」、店舗管理システム「アラジンショップ」(リアル)販売・在庫・生産・店舗管理など企業における業務管理をデジタル化し、業務効率化による働き方改革推進や内部統制強化による経営力アップを支援する。主要導入企業例として、シャツ・ネクタイのメーカーズシャツ鎌倉(株)、ストッキング・靴下の福助(株)、レディースファッションのANAP<3189>、高級革靴のマドラス(株)、環境にやさしい製品の輸入・卸のイーオクト(株)、名古屋名物天むすの(株)地雷也、DOG DEPT(ドッグデプト)ブランドでアパレル・飲食事業を展開する(株)ネットワーク、食塩・岩塩卸売のジャパン・シーズニング(株)、ネジ類専門商社の(株)トウヨーネジなどがある。(2) BtoB EC・Web受発注システム「アラジンEC」(Web)企業間・社内間などの受発注業務管理をデジタル化し、業務効率化による働き方改革推進や他社差別化による売上アップを支援する。主要導入企業例として、食品商社のPRECO GROUP(グループ統括会社(株)プレコフーズ)、酒類・酒類関連備品販売のサントリーマーケティング&コマース(株)、化粧品や美容健康器具・機材の(株)コンフォートジャパン、業務用酒類卸売の(株)柴田屋酒店、乳製品・洋菓子の黒川乳業(株)、自転車のRITEWAY(ライトウェイプロダクツジャパン(株))、メンズ・レディースアパレルの(株)ゲストリスト、医療機器販売のシーマン(株)などがある。(3) 複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」(Web)各種ECモール・ECカートなど複数ネットショップを一元管理し、業務効率化による働き方改革推進やEC展開強化による売上アップを支援する。主要導入企業例として、クラフトビール製造・販売の(株)ヤッホーブルーイング、スポーツ用品販売の(株)ムラサキスポーツ、レディースファッションのANAP、メンズファッション通販のSilver Bullet((株)ピー・ビー・アイ)、環境にやさしい製品の輸入・卸のイーオクト、呉服卸・ネット通販「きもの京小町」の(株)マルヒサなどがある。(4) 実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」(Web)実店舗・ECのオムニチャネル化やスマートフォンアプリ活用などにより実店舗とECの顧客・ポイントを一元管理し、オムニチャネル化による売上アップやブランディング強化によるファン層の拡大を支援する。主要導入企業例として、シャツ・ネクタイのメーカーズシャツ鎌倉、ストッキング・靴下の福助、ベビー服・子供服・ママ服のBRANSHES(ブランシェス(株))、カジュアル婦人服のw closet(ダブルクローゼット:(株)ウェアーズ)、アメリヴィンテージ「Ameri」通販のB STONE(株)、レディースファッション通販「flower」の(株)ソラオブトウキョウ、カバンなどアパレル企画製造販売のCOO COMPANY LIMITED.((株)クー)などがある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:03 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(2):中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業 ■会社概要1. 会社概要アイル<3854>は中堅・中小企業を主たる顧客として、顧客の抱える経営課題全般に対して、ITを通じてデジタル変革を支援するトータルシステムソリューション企業である。自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力に、ITの有効活用が必要な中堅・中小企業の経営力アップを支援するための商材を提供することで、リアルとWebを融合した「オール・ワンストップ」サービスの実現を目指している。2021年7月期末時点で本社所在地は大阪市北区にあり、事業拠点は大阪本社、東京本社(東京都港区)、名古屋支店(名古屋市中区)、福岡支店(福岡市博多区)、仙台支店(仙台市青葉区)及び研究開発拠点のアイル松江ラボ(島根県松江市)となっている。また個人・企業向け研修を行う教育機関として、ICC(アイルキャリアカレッジ)大阪校・東京校を運営している。グループは同社及び連結子会社1社((株)ウェブベース)で構成されている。また、2017年6月にシビラ(株)に出資(2021年6月に追加出資)して資本業務提携している。2021年7月期末時点の資産合計は8,449百万円、純資産は4,589百万円、資本金は354百万円、自己資本比率は54.3%、発行済株式数(2019年11月1日付で株式2分割)は25,042,528株(自己株式6,994株含む)である。なお、2022年4月に予定されている東京証券取引所の市場区分移行については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場への適合を確認し、2021年9月6日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議している。2. 沿革同社は、オフィスコンピュータ販売会社として1991年2月に設立され、その後、ソフトウェアの自社開発・販売に展開した。2003年1月にDBD(デジタル・ビジネス・デザイン)事業を開始して独自戦略を確立し、同年11月にWeb事業へ本格参入した。そして2004年10月に自社オリジナル販売管理ソフト「アラジンオフィス」をリリースした。2007年6月に大阪証券取引所ヘラクレス市場に新規上場(2010年10月の大阪証券取引所の市場統合に伴い大阪証券取引所JASDAQ市場に上場、2013年7月には大阪証券取引所と東京証券取引所の市場統合に伴い東京証券取引所JASDAQグロースに上場)した。その後、2018年6月に東京証券取引所市場第2部へ市場変更、2019年7月には東京証券取引所市場第1部へ指定替えとなった。2009年3月にはクラウド型の複数ECサイト一元管理サービス「CROSS MALL」をリリースし、2013年4月には実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」をリリースした。また、2016年9月にはISO27001(ISMS)認証を取得、2020年12月にはクラウド基盤マルチチャネルコマースプラットフォーム「Shopify」のパートナープログラム「Shopify Experts(ショッピファイエキスパート)」に認定されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:02 注目トピックス 日本株 アイル Research Memo(1):2021年7月期は売上・利益ともに過去最高。BXによる価値創造支援で成長加速へ ■要約アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。ITによるリアル(システムソリューション事業)とWeb(Webソリューション事業)の融合でデジタル変革(DX※1)を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、「BX※2」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術により変革し、新たな価値を創造すること。※2 ITによるリアルとWebの融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーション(BACKSIDE TRANSFORMATION)のこと。自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力として、基幹システム構築、システムサポート保守、ネットワーク構築、人材教育、Webコンサルティング、ECサイト構築、基幹業務パッケージソフト、複数ECサイト一元管理ソフト、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフトなどを提供し、顧客企業の販売力強化、業務効率化(店舗管理・受発注・在庫管理・バックヤード運用など)、人材教育など、企業の経営力アップを支援している。同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、(10) リアルとWebの両方への対応力と高シェア、などが挙げられる。リアルとWebの両面から複合提案できる「CROSS-OVER シナジー」戦略の結果、攻めの力も守りの力も強く、顧客企業数は増加基調である。また、顧客企業数の増加に伴って保守やクラウドサービスのストック売上も拡大基調となっている。同社は利益重視戦略へ方針転換しており、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを重点施策として推進している。この結果、全社ベースの売上総利益率は2021年7月期に過去最高の46.5%(2017年7月期は38.6%)まで上昇しており、収益力の大幅な向上が鮮明になっている。1. 2021年7月期の業績概要2021年7月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の13,203百万円、営業利益が同7.6%増の1,829百万円、経常利益が同8.2%増の1,856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の1,224百万円となった。2020年7月期にあった特需※の剥落があったものの、DXニーズの増加とオンライン商談やウェビナーの活用により、売上・利益ともに過去最高を更新し、2021年3月5日に公表した上方修正値も超過して着地した。事業別では、システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに増収増益となった。また、売上総利益は前期比8.3%増、売上総利益率は同1.8ポイント上昇して過去最高の46.5%となった。Webとのセット提案による他社との差別化の進展、引き合い増加による選別受注に加え、売上総利益率向上施策やストック売上拡大も寄与した。※2019年10月の消費税率引き上げ・軽減税率導入及び2020年1月のWindows7のOSサポート終了に伴う受注の増加。2. 2022年7月期の業績見通し2022年7月期の連結業績予想については、売上高が13,300百万円、営業利益が2,000百万円、経常利益が2,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,297百万円を見込んでいる。2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、対前期比増減率は公表していないものの、旧基準の2021年7月期との単純比較では売上高が0.7%増、営業利益が9.3%増、経常利益が9.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益が6.0%増となる。会計基準変更により一時的に成長率が鈍化したように見えるが、各利益への影響は軽微であることから、実質的には増収増益予想と弊社では見ている。中小企業の旺盛なDXニーズや、生産性向上・ストック売上拡大により売上総利益率が上昇基調であることなどを勘案すれば、予想は上振れて着地する可能性が高いと弊社では見ている。3. 中期成長戦略新3ヶ年中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高16,000百万円、営業利益2,800百万円、営業利益率17.5%、経常利益2,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,809百万円を目指す。基本戦略としては、DX支援のリーディングカンパニーを目指し、(1) システムソリューション事業の安定成長による強固な収益基盤の構築、(2) Webソリューション事業を第二の収益柱に育成、(3) 新技術を取り込んだ新たな業務システム領域への進出、を掲げている。また、新たに掲げた事業ポリシーである「BX」を推進し、あらゆる企業のバックサイドを変革で支えることによって、同社のさらなる成長加速が期待できると弊社では見ている。■Key Points・「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴のトータルシステムソリューション企業・2021年7月期は売上・利益ともに過去最高を更新。好調なシステムソリューション事業に加え、CROSS事業がけん引・事業展開は順調に推移していることから、2022年7月期業績も上振れて着地する可能性が高い・BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) <YM> 2021/10/12 15:01 注目トピックス 日本株 トヨタ自---もみ合い、電動化コア技術の活用を評価し米系証券が買い推奨 トヨタ自<7203>はもみ合い。モルガン・スタンレーMUFG証券では自動車業界のカバレッジを開始、業界判断は「インライン」としている。22年度に向けて高マージンはピークアウトを想定、来年度の収益は市場コンセンサスを下回るとみている。その中でもトヨタについては、投資判断を「オーバーウェイト」、目標株価を2300円としている。直近のバッテリー投資積極化に見られるアジリティ、HEVで培った電動化コア技術の活用を評価している。 <YN> 2021/10/12 14:42 注目トピックス 日本株 出来高変化率ランキング(13時台)~ローツェ、ライクなどがランクイン ※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [10月12日 13:27 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<3840> PATH       3078000  272040  1031.45% 4.08%<4326>* インテージHD    471100  80120  487.99% 3.18%<3168> 黒谷         620100  108720  470.36% -9.13%<6323> ローツェ       687700  133060  416.83% 19.58%<2462> ライク        557000  122480  354.77% -9.7%<3542> VEGA       192100  44140  335.21% 10.7%<6335> 東京機        1798400  455500  294.82% 20.47%<6289> 技研製作所     161800  41020  294.44% -7.04%<7379> サーキュ       417800  108460  285.21% 13.46%<3927> F−ブレイン     2323900  608760  281.74% 14.96%<4173> WACUL      407200  119300  241.32% -19.21%<8473> SBI        3642400  1075080  238.80% 4.71%<4673> 川崎地質       178200  52800  237.50% 12.35%<7777> 3Dマトリクス    9235400  2750940  235.72% -12.04%<1487> 米国債券(為替ヘッジ)    6135  1851.2  231.41% 0.22%<3768> リスモン       101000  31840  217.21% -1.27%<9381>* AIT        74700  26320  183.81% -0.34%<4176> ココナラ       1016300  402280  152.63% -6.11%<7516> コーナン商事     360700  142980  152.27% -3.27%<6659> メディアL    777900  308460  152.19% 6.02%<5702> 大紀アルミ      1302500  530940  145.32% 2.85%<6580>* ライトアップ     378500  159060  137.96% 5.2%<7456> 松田産業       164000  70720  131.90% 5.51%<7510> たけびし       154300  66760  131.13% -3.61%<3409> 北日紡        300300  131800  127.85% 2.16%<3349> コスモス薬品     396500  176980  124.04% -8.78%<4571>* ナノキャリア     2498700  1119320  123.23% 2.86%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外 <FA> 2021/10/12 14:28 注目トピックス 日本株 パイプドHD---パイプドビッツとメディクト「医療業界向け 医師への資材提供、評価収集ツール」の共同開発を発表 パイプドHD<3919>は11日、子会社のパイプドビッツが、メディクトと共同で、製薬企業のMR/MSLが簡単に医師向け資材閲覧ページの作成とメール通知を行うことができ、医師が資材の閲覧、評価、コメントを行うことで、意見収集をオンライン上で完結できる「医療業界向け 医師への資材提供、評価収集ツール」を開発したと発表した。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、製薬企業のMR/MSLの医療機関への訪問等が自粛となり、Web面談などデジタルチャネルを活用した情報提供にシフトしていることから、プロモーション活動の適正化や、セキュアな環境での資材提供、医師との新たなコミュニケーション手段の構築などが課題となっている。こうしたことから、パイプドビッツと、医療分野のマーケティングの知見を持つメディクトは、MR/MSLと医師がオンラインでコミュニケーションを行えるための「医療業界向け 医師への資材提供、評価収集ツール」の共同開発に至ったとしている。「医療業界向け 医師への資材提供、評価収集ツール」は、管理者が、社内審査・承認済の資材をアップロード、登録を行う。MR/MSLは登録資材リストから選択、組み合わせにより医師向け資材閲覧ページを作成し、対象医師にメールで通知できる。また、メールを受け取った医師は、専用ページにログインし、資材を閲覧、評価やコメントを返答することができるとしている。また、特長としては、利用資材を監理し適正なモーションが可能、簡単な操作でページ作成・メール作成、医師情報をセキュアに一元管理できることなどとしている。パイプドビッツは今後、高セキュリティなデータ利活用環境を追求し、顧客の業務効率化、開発生産性向上に寄与できる安全・安心な開発プラットフォームの提供に努めるとしている。 <ST> 2021/10/12 14:16 注目トピックス 日本株 技研製作所---急落、今期業績見通しや中計目標をマイナス視 技研製作所<6289>は急落。前日に21年8月期の決算を発表、営業利益は40億円で前期比59.9%増益、従来計画38.5億円をやや上回る着地に。一方、22年8月期は45億円で同12.6%増益の見通し、市場コンセンサスを5億円強下回る水準に。さらに、中期計画を発表しているが、24年8月期営業利益は55億円をしている。19年8月期は67億円の水準であったため、先行きの目標値は想定以上に低水準と捉えられている。 <YN> 2021/10/12 14:13 注目トピックス 日本株 コスモス薬品---急落、第1四半期は市場想定を下回るスタート コスモス薬品<3349>は急落。前日に第1四半期決算を発表、営業利益は85.6億円(前年同期は106.6億円、「収益認識に関する会計基準」を期首より適用で増減率記載なし)となった。市場予想を10億円程度下振れる着地に。粗利益率の低下などが背景とみられている。通期出店計画の100店に対して、第1四半期の出店が13店にとどまっていることも警戒視されているが、会社側では10月以降の出店ペース加速化を見込んでいるようだ。 <YN> 2021/10/12 13:59 注目トピックス 日本株 コーナン商事---急落、上半期営業益は従来計画下振れ着地 コーナン商事<7516>は急落。前日に上半期決算を発表、営業利益は160億円で前年同期比25.6%減益、従来計画の170億円を下振れる着地になった。日用品やDIY用品での前期からの反動減、8月の長雨による季節商品の不振などが影響した。通期計画は据え置いているものの、下振れ懸念などが意識されているもよう。一方、配当計画は上方修正しており、年間配当金は従来の64円から70円に引き上げ、前期比9円の増配となる。 <YN> 2021/10/12 13:45 注目トピックス 日本株 シーアールイー---急落、新株発行による希薄化や需給悪化を警戒視 シーアールイー<3458>は急落。公募及び第三者割当による新株式発行並びに株式の売出しを発表している。公募増資180万2400株、オーバーアロットメントによる売出27万300株、ケネディクスを割当先とする第三者割当増資35万7900株を行う。増加する株式数は最大で発行済み株式数の8.8%となる。株式価値の希薄化や需給悪化を警戒する動きが優勢になっている。調達資金の使途は開発用地取得資金の一部に充当する予定としている。 <YN> 2021/10/12 13:19 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(前引け)~日経平均は4日ぶり反落、ファーストリテが1銘柄で約72円分押し下げ 12日前引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり72銘柄、値下がり145銘柄、変わらず8銘柄となった。日経平均は4日ぶり反落。265.88円安の28232.32円(出来高概算6億株)で前場の取引を終えている。週明け11日の米株式市場でNYダウは続落し、250ドル安となった。原油先物相場が一時1バレル=82ドル台に乗せるなど商品市況の上昇が続き、インフレ懸念がくすぶった。また、金融大手ゴールドマン・サックスが2021~22年度の経済成長見通しを引き下げるなど、経済や企業業績の先行きに慎重な見方が広がった。なお、コロンバス・デーの祝日で為替・債券市場は休場だった。本日の日経平均は米株安の流れを引き継いで39円安からスタートすると、寄り付き後も下げ幅を拡大。日経平均への寄与が大きい値がさ株を中心に売りが出たほか、中国・上海株や香港株が軟調な出足だったこともあり、前場中ごろを過ぎると28166.38円(331.82円安)まで下落する場面があった。個別では、ソフトバンクG<9984>とファーストリテ<9983>が揃って3%近く下落し、2銘柄で日経平均を約113円押し下げた。レーザーテック<6920>や東エレク<8035>といった半導体関連株もさえない。業績上方修正のコーエーテクモ<3635>は伸び悩んでマイナス転換。また、新株発行による資金調達を発表したシーアールイー<3458>、決算発表のライク<2462>やコスモス薬品<3349>などが東証1部下落率上位に顔を出している。一方、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株は堅調。円安進行を支えにトヨタ自<7203>は小高く、非鉄金属市況の上昇で住友鉱<5713>などの上げが目立つ。また、業績・配当予想の大幅上方修正が好感されたローツェ<6323>はストップ高を付け、東証1部上昇率トップとなっているセクターでは、電気・ガス業、小売業、情報・通信業などが下落率上位。一方、非鉄金属、海運業、鉄鋼などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の78%、対して値上がり銘柄は18%となっている。値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>となり1銘柄で日経平均を約72円押し下げた。同2位はソフトバンクG<9984>となり、アドバンテス<6857>、ファナック<6954>、テルモ<4543>などがつづいた。一方、値上がり寄与トップは住友鉱山<5713>となり1銘柄で日経平均を約3円押し上げた。同2位は豊田通商<8015>となり、三菱商事<8058>、NTTデータ<9613>、日東電工<6988>などがつづいた。*11:30現在日経平均株価  28232.32(-265.88)値上がり銘柄数  72(寄与度+32.10)値下がり銘柄数 145(寄与度-297.98)変わらず銘柄数  8○値上がり上位銘柄コード  銘柄         直近価格        前日比 寄与度<5713> 住友鉱          4311          170 +3.00<8015> 豊通商          4885           65 +2.29<8058> 三菱商          3682           63 +2.22<9613> NTTデータ        2148           10 +1.76<6988> 日東電          7760           50 +1.76<5108> ブリヂストン      5313           41 +1.45<7272> ヤマハ発         3205           40 +1.41<7269> スズキ          5017           39 +1.37<7267> ホンダ          3451           18 +1.27<7203> トヨタ          1994           7 +1.23<7270> SUBARU         2181.5           27 +0.95<4507> 塩野義          7570           26 +0.92<6902> デンソー         7548           21 +0.74<7951> ヤマハ          6970           20 +0.70<9104> 商船三井         7110          190 +0.67<6301> コマツ          2694         16.5 +0.58<5019> 出光興産         3270           40 +0.56<5707> 東邦鉛          2838          141 +0.50<2914> JT           2217.5         13.5 +0.48<1928> 積水ハウス       2382           13 +0.46○値下がり上位銘柄コード  銘柄         直近価格        前日比 寄与度<9983> ファーストリテ    71450         -2070 -72.96<9984> ソフトバンクG     6226         -190 -40.18<6857> アドバンテ       8770         -270 -19.03<6954> ファナック       22820         -365 -12.86<4543> テルモ          4955          -89 -12.55<8035> 東エレク        46460         -350 -12.34<4911> 資生堂          7479         -246 -8.67<9433> KDDI           3641          -41 -8.67<4063> 信越化         18915         -230 -8.11<6506> 安川電          4905         -165 -5.82<2413> エムスリー       7208          -67 -5.67<6861> キーエンス       64960         -990 -3.49<6981> 村田製          8548         -121 -3.41<4452> 花王           6566          -94 -3.31<2502> アサヒ          5505          -93 -3.28<6645> オムロン        10190          -90 -3.17<9766> コナミHD         6260          -90 -3.17<4523> エーザイ         7942          -88 -3.10<6971> 京セラ          6652          -38 -2.68<6367> ダイキン        24395          -75 -2.64 <CS> 2021/10/12 12:32 注目トピックス 日本株 リソー教育---2022年2月期、配当予想の上方修正を発表 リソー教育<4714>は11日、最近の業績動向等を踏まえ、2021年5月26日付「2022年2月期配当予想に関するお知らせ」にて公表済の2022年2月期の配当予想について、上方修正したと発表した。同社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つとして捉え、また、今後の経営環境を勘案して、期末・通期の1株当たり配当金を、前回予想12.00円から、14.00円に上方修正した。 <ST> 2021/10/12 12:09 注目トピックス 日本株 【M&A速報:2021/10/12(1)】寺田倉庫、訪日旅行者向けWebメディア運営のMATCHAと資本業務提携 ■寺田倉庫、訪日旅行者向けWebメディア運営のMATCHAと資本業務提携■オーケー、関西スーパーマーケット<9919>とH2Oリテイリング<8242>の経営統合に関する見解を発表■営業代行プラットフォーム展開のカクトク、資金調達を実施■アウトドア宿泊サービス「TENAR」展開のCountryWorks、シードラウンドで資金調達を実施■周産期の女性の体調・生活管理サービスを手がける京都大学発ベンチャーのFamileaf、シードラウンドで資金調達を実施■暗号資産のマネーロンダリング対策ソリューション提供の英Elliptic Enterprises、6000万ドルのシリーズC資金調達を実施■阪和興業<8078>、中国の鍛造用鋼材切断・ピーリング・研磨等加工業の江陰市暁達金属製品製造に出資■未来査定型資金調達プラットフォーム提供のYoii、インクルージョン・ジャパンをリード投資家として資金調達を実施■法人カードサービス提供のUPSIDER、シリーズBのエクステンションラウンドを実施■新生銀行<8303>、「TOBに反対の意向を表明する方針を固めた」との報道について「事実は一切ない」【ニュース提供・MARR Online(マールオンライン)】 <CS> 2021/10/12 12:08

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