注目トピックス 日本株
アイル Research Memo(1):2021年7月期は売上・利益ともに過去最高。BXによる価値創造支援で成長加速へ
配信日時:2021/10/12 15:01
配信元:FISCO
■要約
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。ITによるリアル(システムソリューション事業)とWeb(Webソリューション事業)の融合でデジタル変革(DX※1)を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、「BX※2」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術により変革し、新たな価値を創造すること。
※2 ITによるリアルとWebの融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーション(BACKSIDE TRANSFORMATION)のこと。
自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力として、基幹システム構築、システムサポート保守、ネットワーク構築、人材教育、Webコンサルティング、ECサイト構築、基幹業務パッケージソフト、複数ECサイト一元管理ソフト、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフトなどを提供し、顧客企業の販売力強化、業務効率化(店舗管理・受発注・在庫管理・バックヤード運用など)、人材教育など、企業の経営力アップを支援している。
同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、(10) リアルとWebの両方への対応力と高シェア、などが挙げられる。リアルとWebの両面から複合提案できる「CROSS-OVER シナジー」戦略の結果、攻めの力も守りの力も強く、顧客企業数は増加基調である。また、顧客企業数の増加に伴って保守やクラウドサービスのストック売上も拡大基調となっている。
同社は利益重視戦略へ方針転換しており、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを重点施策として推進している。この結果、全社ベースの売上総利益率は2021年7月期に過去最高の46.5%(2017年7月期は38.6%)まで上昇しており、収益力の大幅な向上が鮮明になっている。
1. 2021年7月期の業績概要
2021年7月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の13,203百万円、営業利益が同7.6%増の1,829百万円、経常利益が同8.2%増の1,856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の1,224百万円となった。2020年7月期にあった特需※の剥落があったものの、DXニーズの増加とオンライン商談やウェビナーの活用により、売上・利益ともに過去最高を更新し、2021年3月5日に公表した上方修正値も超過して着地した。事業別では、システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに増収増益となった。また、売上総利益は前期比8.3%増、売上総利益率は同1.8ポイント上昇して過去最高の46.5%となった。Webとのセット提案による他社との差別化の進展、引き合い増加による選別受注に加え、売上総利益率向上施策やストック売上拡大も寄与した。
※2019年10月の消費税率引き上げ・軽減税率導入及び2020年1月のWindows7のOSサポート終了に伴う受注の増加。
2. 2022年7月期の業績見通し
2022年7月期の連結業績予想については、売上高が13,300百万円、営業利益が2,000百万円、経常利益が2,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,297百万円を見込んでいる。2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、対前期比増減率は公表していないものの、旧基準の2021年7月期との単純比較では売上高が0.7%増、営業利益が9.3%増、経常利益が9.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益が6.0%増となる。会計基準変更により一時的に成長率が鈍化したように見えるが、各利益への影響は軽微であることから、実質的には増収増益予想と弊社では見ている。中小企業の旺盛なDXニーズや、生産性向上・ストック売上拡大により売上総利益率が上昇基調であることなどを勘案すれば、予想は上振れて着地する可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中期成長戦略
新3ヶ年中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高16,000百万円、営業利益2,800百万円、営業利益率17.5%、経常利益2,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,809百万円を目指す。基本戦略としては、DX支援のリーディングカンパニーを目指し、(1) システムソリューション事業の安定成長による強固な収益基盤の構築、(2) Webソリューション事業を第二の収益柱に育成、(3) 新技術を取り込んだ新たな業務システム領域への進出、を掲げている。また、新たに掲げた事業ポリシーである「BX」を推進し、あらゆる企業のバックサイドを変革で支えることによって、同社のさらなる成長加速が期待できると弊社では見ている。
■Key Points
・「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴のトータルシステムソリューション企業
・2021年7月期は売上・利益ともに過去最高を更新。好調なシステムソリューション事業に加え、CROSS事業がけん引
・事業展開は順調に推移していることから、2022年7月期業績も上振れて着地する可能性が高い
・BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。ITによるリアル(システムソリューション事業)とWeb(Webソリューション事業)の融合でデジタル変革(DX※1)を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、「BX※2」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術により変革し、新たな価値を創造すること。
※2 ITによるリアルとWebの融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーション(BACKSIDE TRANSFORMATION)のこと。
自社開発の基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズを主力として、基幹システム構築、システムサポート保守、ネットワーク構築、人材教育、Webコンサルティング、ECサイト構築、基幹業務パッケージソフト、複数ECサイト一元管理ソフト、実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフトなどを提供し、顧客企業の販売力強化、業務効率化(店舗管理・受発注・在庫管理・バックヤード運用など)、人材教育など、企業の経営力アップを支援している。
同社の特徴・強みとしては、(1) 中堅・中小企業市場への特化、(2) 特化業種の深耕戦略、(3) 高い販売・在庫管理ノウハウ、(4) トータルソリューションを実現する商品生態系戦略、(5) 社員の約7割が技術職の体制、(6) 個別カスタマイズ対応力、(7) 小売業へのオムニチャネル戦略、(8) 自社製品・サービス比率の高さ、(9) パートナー戦略、(10) リアルとWebの両方への対応力と高シェア、などが挙げられる。リアルとWebの両面から複合提案できる「CROSS-OVER シナジー」戦略の結果、攻めの力も守りの力も強く、顧客企業数は増加基調である。また、顧客企業数の増加に伴って保守やクラウドサービスのストック売上も拡大基調となっている。
同社は利益重視戦略へ方針転換しており、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを重点施策として推進している。この結果、全社ベースの売上総利益率は2021年7月期に過去最高の46.5%(2017年7月期は38.6%)まで上昇しており、収益力の大幅な向上が鮮明になっている。
1. 2021年7月期の業績概要
2021年7月期の連結業績は、売上高が前期比4.1%増の13,203百万円、営業利益が同7.6%増の1,829百万円、経常利益が同8.2%増の1,856百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.9%増の1,224百万円となった。2020年7月期にあった特需※の剥落があったものの、DXニーズの増加とオンライン商談やウェビナーの活用により、売上・利益ともに過去最高を更新し、2021年3月5日に公表した上方修正値も超過して着地した。事業別では、システムソリューション事業、Webソリューション事業ともに増収増益となった。また、売上総利益は前期比8.3%増、売上総利益率は同1.8ポイント上昇して過去最高の46.5%となった。Webとのセット提案による他社との差別化の進展、引き合い増加による選別受注に加え、売上総利益率向上施策やストック売上拡大も寄与した。
※2019年10月の消費税率引き上げ・軽減税率導入及び2020年1月のWindows7のOSサポート終了に伴う受注の増加。
2. 2022年7月期の業績見通し
2022年7月期の連結業績予想については、売上高が13,300百万円、営業利益が2,000百万円、経常利益が2,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,297百万円を見込んでいる。2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、対前期比増減率は公表していないものの、旧基準の2021年7月期との単純比較では売上高が0.7%増、営業利益が9.3%増、経常利益が9.2%増、親会社株主に帰属する当期純利益が6.0%増となる。会計基準変更により一時的に成長率が鈍化したように見えるが、各利益への影響は軽微であることから、実質的には増収増益予想と弊社では見ている。中小企業の旺盛なDXニーズや、生産性向上・ストック売上拡大により売上総利益率が上昇基調であることなどを勘案すれば、予想は上振れて着地する可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中期成長戦略
新3ヶ年中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高16,000百万円、営業利益2,800百万円、営業利益率17.5%、経常利益2,826百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,809百万円を目指す。基本戦略としては、DX支援のリーディングカンパニーを目指し、(1) システムソリューション事業の安定成長による強固な収益基盤の構築、(2) Webソリューション事業を第二の収益柱に育成、(3) 新技術を取り込んだ新たな業務システム領域への進出、を掲げている。また、新たに掲げた事業ポリシーである「BX」を推進し、あらゆる企業のバックサイドを変革で支えることによって、同社のさらなる成長加速が期待できると弊社では見ている。
■Key Points
・「CROSS-OVER シナジー」戦略が特徴のトータルシステムソリューション企業
・2021年7月期は売上・利益ともに過去最高を更新。好調なシステムソリューション事業に加え、CROSS事業がけん引
・事業展開は順調に推移していることから、2022年7月期業績も上振れて着地する可能性が高い
・BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
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