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ウイルプラスH Research Memo(4):成長戦略はマルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略(2)
配信日時:2021/10/12 15:14
配信元:FISCO
■ウイルプラスホールディングス<3538>の事業戦略
(3) M&A戦略
M&A戦略は、1) 新たなエリアへの進出、2) 新たなブランドの獲得(マルチブランド戦略)、3) 既存ブランドのシェア拡大になる。なお、進出候補エリアは、人口100万人超の政令指定都市※と40万人超の中核都市となる。
※人口100万人超の政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市。
ウイルプラスアインスが2018年12月に「ポルシェセンター仙台」を事業譲受し、東北エリアに進出した。同ケースでは、新たなエリアへの進出と新たなブランドの獲得を同時に行った。東北エリアの全商圏をカバーするため、2019年1月に福島県に2店舗目の「ポルシェセンター郡山」を出店している。通常、新たなエリア進出では、飛び地での成功率が低いため、既存の拠点に近接している地域を選ぶ。高級スポーツカーの代名詞となるPORSCHEは、安定的な販売実績を上げており、2020年の外国メーカー車新規登録台数では第9位とトップ10入りしていることから、戦略的に新ブランドの獲得を図ったと言える。
輸入車の全国正規ディーラー網は国産車ほど多くはないものの、同社の拡大余地は大きい。具体的には、日本国内の新車・中古車、サービスを含む拠点数は、BMWが246ヶ所、MINIが207ヶ所、VOLVOの新車ディーラーが123ヶ所ある(2021年9月時点)。
M&A案件の紹介は、インポーター、金融機関、仲介会社と同社もしくは先方からの直接アプローチになる。今後の成長性や事業シナジーなどを検討し、各種デューデリジェンスを経て、事業計画を策定し、投資回収期間などの確認をする。優先的に案件を紹介してもらえるよう、インポーターとは良好な関係構築を心掛けている。一方、金融機関や仲介会社の場合は、競争入札になることが多い。同社は、社内の投資回収基準などに沿って入札する。
また、同社が取扱うブランドの車種や価格帯はバラエティーに富んでいる。販売価格は、FIATが200万円から344万円、MINIは277万円から609万円、PORSCHEは729万円から3,235万円となる(2021年9月時点)。以前は、「輸入車のオーナーは富裕層」「輸入車は壊れやすい」などのイメージがあったが、輸入車と国産車の価格差は縮小し、品質も改善した。価格面で手の届く範囲になり、ユーザー層も広がっている。
(4) 店舗投資など
店舗への投資は、来場客数や顧客満足度(CS)向上によるリピーターの増加につながるため、既存店舗への投資により最新CIに準拠してサービス品質の向上を図るとともに、より好立地で経営効率の向上が見込まれるロケーションに移転することを進めている。インポーターは、拡販のための新CIへの投資、納期短縮化のための手厚いディーラー在庫などを求めている。小規模で既存のエリア販売権に安住したディーラーの中には、店舗への投資負担、デモカーの増加、新CIへの対応、事業承継問題などで、事業を譲渡するケースが見られる。
新規出店は、商圏の拡大や既存エリアの補完、既存ブランドの業容拡大を狙う。持続的な成長のために、新規出店と事業譲受により継続的に店舗数を増やす必要がある。企業買収や事業譲受は、前もって時期を決めることができず、投資タイミングを逃すのも得策でない。そのため、M&Aを含めた投資には、波が生じる。同社では、2017年6月期から2020年6月期に積極的な店舗投資を行った。その結果、この期間のCAGRは営業利益が1.4%減に対しEBITDAが10.0%増であった。店舗改装はおおむね一巡していることから、今後は収穫期に入ることが見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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(3) M&A戦略
M&A戦略は、1) 新たなエリアへの進出、2) 新たなブランドの獲得(マルチブランド戦略)、3) 既存ブランドのシェア拡大になる。なお、進出候補エリアは、人口100万人超の政令指定都市※と40万人超の中核都市となる。
※人口100万人超の政令指定都市は、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市。
ウイルプラスアインスが2018年12月に「ポルシェセンター仙台」を事業譲受し、東北エリアに進出した。同ケースでは、新たなエリアへの進出と新たなブランドの獲得を同時に行った。東北エリアの全商圏をカバーするため、2019年1月に福島県に2店舗目の「ポルシェセンター郡山」を出店している。通常、新たなエリア進出では、飛び地での成功率が低いため、既存の拠点に近接している地域を選ぶ。高級スポーツカーの代名詞となるPORSCHEは、安定的な販売実績を上げており、2020年の外国メーカー車新規登録台数では第9位とトップ10入りしていることから、戦略的に新ブランドの獲得を図ったと言える。
輸入車の全国正規ディーラー網は国産車ほど多くはないものの、同社の拡大余地は大きい。具体的には、日本国内の新車・中古車、サービスを含む拠点数は、BMWが246ヶ所、MINIが207ヶ所、VOLVOの新車ディーラーが123ヶ所ある(2021年9月時点)。
M&A案件の紹介は、インポーター、金融機関、仲介会社と同社もしくは先方からの直接アプローチになる。今後の成長性や事業シナジーなどを検討し、各種デューデリジェンスを経て、事業計画を策定し、投資回収期間などの確認をする。優先的に案件を紹介してもらえるよう、インポーターとは良好な関係構築を心掛けている。一方、金融機関や仲介会社の場合は、競争入札になることが多い。同社は、社内の投資回収基準などに沿って入札する。
また、同社が取扱うブランドの車種や価格帯はバラエティーに富んでいる。販売価格は、FIATが200万円から344万円、MINIは277万円から609万円、PORSCHEは729万円から3,235万円となる(2021年9月時点)。以前は、「輸入車のオーナーは富裕層」「輸入車は壊れやすい」などのイメージがあったが、輸入車と国産車の価格差は縮小し、品質も改善した。価格面で手の届く範囲になり、ユーザー層も広がっている。
(4) 店舗投資など
店舗への投資は、来場客数や顧客満足度(CS)向上によるリピーターの増加につながるため、既存店舗への投資により最新CIに準拠してサービス品質の向上を図るとともに、より好立地で経営効率の向上が見込まれるロケーションに移転することを進めている。インポーターは、拡販のための新CIへの投資、納期短縮化のための手厚いディーラー在庫などを求めている。小規模で既存のエリア販売権に安住したディーラーの中には、店舗への投資負担、デモカーの増加、新CIへの対応、事業承継問題などで、事業を譲渡するケースが見られる。
新規出店は、商圏の拡大や既存エリアの補完、既存ブランドの業容拡大を狙う。持続的な成長のために、新規出店と事業譲受により継続的に店舗数を増やす必要がある。企業買収や事業譲受は、前もって時期を決めることができず、投資タイミングを逃すのも得策でない。そのため、M&Aを含めた投資には、波が生じる。同社では、2017年6月期から2020年6月期に積極的な店舗投資を行った。その結果、この期間のCAGRは営業利益が1.4%減に対しEBITDAが10.0%増であった。店舗改装はおおむね一巡していることから、今後は収穫期に入ることが見込まれる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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