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マイクロアド Research Memo(4):統合マーケティング基盤「UNIVERSE」のアカウント数拡大
配信日時:2025/12/26 11:04
配信元:FISCO
*11:04JST マイクロアド Research Memo(4):統合マーケティング基盤「UNIVERSE」のアカウント数拡大
■マイクロアド<9553>の会社概要
b) 「UNIVERSE」の稼働アカウント数
「UNIVERSE」の主要なKPIである稼働アカウント数は、人員強化及び業務効率化の取り組みにより大幅な増加を見せている。2025年9月期第4四半期(7月~9月の3ヶ月間)における累積稼働アカウント数は前年同期比28.0%増の2,202件に拡大した。
新卒社員の本格的な営業活動が始まったことや新設した広島、仙台、北海道などの地方拠点での新規代理店開拓がアカウント数の急増をもたらしており、販売体制の強化が成果として表れている。顧客基盤として安定的な成長が期待できる中小顧客にフォーカスし、新人社員の配属や営業拠点の拡大など重点的にリソースを投下した。平均顧客単価は67万円(前年同期比18万円減)と新規の中小顧客の増加により若干低下しているが、おおむね現状水準で下げ止まる見通しである。過去推移を見ても特段低すぎる水準ではない模様だ。一方で、大手顧客の単価は季節要因により伸びる時期があるため、時期によっては平均顧客単価が上昇する局面もあるだろう。
また、新プロダクトのタイムリーな市場投入やデータ連携による既存プロダクトの性能強化、顧客属性ごとに最適化した営業体制や地方拠点による営業活動の推進などがアカウント数の増加に寄与してきた。各業界業種に特化することによって顧客ニーズは今後も高まることが予想され、稼働アカウント数も順調に推移すると弊社は推察する。また顧客企業のKPIを深く理解することにもつながり、データから抽出したインサイトを適切にKPIと関連付けながら顧客に提案できるという点も同社プロダクトの訴求力を高める要因となっている。顧客企業のKPIに対する深い理解とそれに基づく提案は同社の長い事業活動のノウハウによるもので、他社には模倣が難しく、同社が競争優位にしているポイントと言える。
加えて、レポートの自動化などの営業外の業務を削減したことで、営業活動時間が5割増加し、1人当たりの提案数も約1.5倍に伸びたため、将来の売上につながる案件の提案数が大幅に増加している。また、提案準備や顧客訪問に費やす時間が増えたことで提案の質も向上し、より大きな予算を獲得できるケースも増えている。
さらに、累計リピート月数が長くなるにつれて、顧客当たりの月額単価が拡大する傾向にある。顧客が広告活動に投じる予算を段階的に増やしていることが要因だ。今後も新規アカウントの拡大と並行して、リピートアカウントが積み上がることにより、同社の業績も順調に拡大するものと想定される。
今後も高い需要が見込まれる「海外コンサルティングサービス」に注力
3. コンサルティング
「コンサルティング」では、メディア企業向けプロダクト「MicroAd COMPASS」と子会社エンハンスによるサービス「Enhance」を提供する「メディア向けコンサルティングサービス」、海外を拠点にデジタルマーケティングの総合的な支援や日本企業の海外向けプロモーション(インバウンドマーケティング)を支援する「海外コンサルティングサービス」を行っている。
(1) 「メディア向けコンサルティングサービス」
「メディア向けコンサルティングサービス」は、「MicroAd COMPASS」と「Enhance」から構成される。
a) 「MicroAd COMPASS」
「MicroAd COMPASS」は、インターネット広告を掲載するメディア企業向け広告収益最大化サービスである。RTBによるオークションによってリアルタイムで最も収益が見込める広告を瞬時に選択し、顧客の広告収益最大化に貢献している。そのほかの特徴として無償で利用できる豊富なアドサーバー機能、マルチデバイスへの対応、ブランド価値を守る柔軟な掲載可否設定などがある。2025年9月期末時点で累計2,000社を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて多くのDSP(Demand-Side Platform)に接続している。2025年9月期末時点の月間広告配信回数は580億回となった。収益は、メディア企業へ支払われる広告費の一部をプラットフォーム利用料として得ている。
b) 「Enhance」
連結子会社であるエンハンスは、主にメディア企業の広告収益拡大に向けたコンサルティングサービスを提供している。各メディアの広告枠の運用を預かる形で、様々な広告サービスを組み合わせることで収益の最大化を実現し、コンサルティングフィーの形で収益を計上している。
(2) 「海外コンサルティングサービス」
台湾を中心とした中華圏及び東南アジアにおいて、デジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開している。提供内容はプロモーション施策の立案から、LINE、Google、Facebookといった主要プラットフォームにおける広告枠の買い付け・運用、さらに広告クリエイティブ制作まで一体的に手掛ける点に特徴がある。
また、クロスボーダー事業では、国内外の有力パートナーとの連携を生かし、訪日観光客向けマーケティング支援や中華圏への事業進出支援など、多面的なサービスを提供している。資本業務提携においては、訪日観光客への商品訴求が可能な、訪日外国人向けショッピングサポートアプリを展開する「Payke」、日本の宿泊施設において、訪日観光客に便利で快適なサービス提供が可能になるDXソリューションを展開する「Tabi Life」、「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つお店」をつなぐシェアリングサービス「ecbo cloak」を提供するecbo(株)との連携が挙げられる。戦略的業務提携としては、中国の旅行予約データを活用した訪日中国人向けプロモーション支援を展開している「Eternity X」との協業がある。事業拡大の面では、台湾最大級の親日女性向けメディアである「Japaholic」の多言語化を進め、新たに中国・インドネシア・タイ・韓国・英語圏向けに事業を拡大している。これにより、訪日旅行者の70%以上へリーチ可能となり、同メディアの情報発信力は大幅に拡大した。以上の連携と事業展開により、同社は訪日観光客に対してあらゆる場面でアプローチできる体制を構築している。
さらに2025年2月からは、BtoC向けの物販事業を新たに開始した。子会社として設立した(株)IPmixerが、日本の人気VTuberなどのIPと商品メーカーを繋ぎ、タイアップ企画からブランディング、マーケティング、販売までを一貫して担うモデルを採用している。
具体的な事例として、VTuber以外でも、台湾で人気のある料理研究家とのコラボによるフライパン販売などが挙げられる。IPmixerは、現地のニーズに合致する製品やコラボ相手の選定から、その後のマーケティング・販売までをすべて引き受ける。そのため、IP側にとっては、リソースを割かずに物販展開ができる点で非常に有用なスキームとなっている。また、メーカーやブランドにとっても、IPmixerを活用することで、リスクを抑えながら効果的に海外進出と新たな収益機会の創出が可能になる。IPを起点としたマーケティングを通じて、より強力なブランド訴求を実現する体制が整いつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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b) 「UNIVERSE」の稼働アカウント数
「UNIVERSE」の主要なKPIである稼働アカウント数は、人員強化及び業務効率化の取り組みにより大幅な増加を見せている。2025年9月期第4四半期(7月~9月の3ヶ月間)における累積稼働アカウント数は前年同期比28.0%増の2,202件に拡大した。
新卒社員の本格的な営業活動が始まったことや新設した広島、仙台、北海道などの地方拠点での新規代理店開拓がアカウント数の急増をもたらしており、販売体制の強化が成果として表れている。顧客基盤として安定的な成長が期待できる中小顧客にフォーカスし、新人社員の配属や営業拠点の拡大など重点的にリソースを投下した。平均顧客単価は67万円(前年同期比18万円減)と新規の中小顧客の増加により若干低下しているが、おおむね現状水準で下げ止まる見通しである。過去推移を見ても特段低すぎる水準ではない模様だ。一方で、大手顧客の単価は季節要因により伸びる時期があるため、時期によっては平均顧客単価が上昇する局面もあるだろう。
また、新プロダクトのタイムリーな市場投入やデータ連携による既存プロダクトの性能強化、顧客属性ごとに最適化した営業体制や地方拠点による営業活動の推進などがアカウント数の増加に寄与してきた。各業界業種に特化することによって顧客ニーズは今後も高まることが予想され、稼働アカウント数も順調に推移すると弊社は推察する。また顧客企業のKPIを深く理解することにもつながり、データから抽出したインサイトを適切にKPIと関連付けながら顧客に提案できるという点も同社プロダクトの訴求力を高める要因となっている。顧客企業のKPIに対する深い理解とそれに基づく提案は同社の長い事業活動のノウハウによるもので、他社には模倣が難しく、同社が競争優位にしているポイントと言える。
加えて、レポートの自動化などの営業外の業務を削減したことで、営業活動時間が5割増加し、1人当たりの提案数も約1.5倍に伸びたため、将来の売上につながる案件の提案数が大幅に増加している。また、提案準備や顧客訪問に費やす時間が増えたことで提案の質も向上し、より大きな予算を獲得できるケースも増えている。
さらに、累計リピート月数が長くなるにつれて、顧客当たりの月額単価が拡大する傾向にある。顧客が広告活動に投じる予算を段階的に増やしていることが要因だ。今後も新規アカウントの拡大と並行して、リピートアカウントが積み上がることにより、同社の業績も順調に拡大するものと想定される。
今後も高い需要が見込まれる「海外コンサルティングサービス」に注力
3. コンサルティング
「コンサルティング」では、メディア企業向けプロダクト「MicroAd COMPASS」と子会社エンハンスによるサービス「Enhance」を提供する「メディア向けコンサルティングサービス」、海外を拠点にデジタルマーケティングの総合的な支援や日本企業の海外向けプロモーション(インバウンドマーケティング)を支援する「海外コンサルティングサービス」を行っている。
(1) 「メディア向けコンサルティングサービス」
「メディア向けコンサルティングサービス」は、「MicroAd COMPASS」と「Enhance」から構成される。
a) 「MicroAd COMPASS」
「MicroAd COMPASS」は、インターネット広告を掲載するメディア企業向け広告収益最大化サービスである。RTBによるオークションによってリアルタイムで最も収益が見込める広告を瞬時に選択し、顧客の広告収益最大化に貢献している。そのほかの特徴として無償で利用できる豊富なアドサーバー機能、マルチデバイスへの対応、ブランド価値を守る柔軟な掲載可否設定などがある。2025年9月期末時点で累計2,000社を超えるインターネットメディアに導入されており、RTBを通じて多くのDSP(Demand-Side Platform)に接続している。2025年9月期末時点の月間広告配信回数は580億回となった。収益は、メディア企業へ支払われる広告費の一部をプラットフォーム利用料として得ている。
b) 「Enhance」
連結子会社であるエンハンスは、主にメディア企業の広告収益拡大に向けたコンサルティングサービスを提供している。各メディアの広告枠の運用を預かる形で、様々な広告サービスを組み合わせることで収益の最大化を実現し、コンサルティングフィーの形で収益を計上している。
(2) 「海外コンサルティングサービス」
台湾を中心とした中華圏及び東南アジアにおいて、デジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開している。提供内容はプロモーション施策の立案から、LINE、Google、Facebookといった主要プラットフォームにおける広告枠の買い付け・運用、さらに広告クリエイティブ制作まで一体的に手掛ける点に特徴がある。
また、クロスボーダー事業では、国内外の有力パートナーとの連携を生かし、訪日観光客向けマーケティング支援や中華圏への事業進出支援など、多面的なサービスを提供している。資本業務提携においては、訪日観光客への商品訴求が可能な、訪日外国人向けショッピングサポートアプリを展開する「Payke」、日本の宿泊施設において、訪日観光客に便利で快適なサービス提供が可能になるDXソリューションを展開する「Tabi Life」、「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つお店」をつなぐシェアリングサービス「ecbo cloak」を提供するecbo(株)との連携が挙げられる。戦略的業務提携としては、中国の旅行予約データを活用した訪日中国人向けプロモーション支援を展開している「Eternity X」との協業がある。事業拡大の面では、台湾最大級の親日女性向けメディアである「Japaholic」の多言語化を進め、新たに中国・インドネシア・タイ・韓国・英語圏向けに事業を拡大している。これにより、訪日旅行者の70%以上へリーチ可能となり、同メディアの情報発信力は大幅に拡大した。以上の連携と事業展開により、同社は訪日観光客に対してあらゆる場面でアプローチできる体制を構築している。
さらに2025年2月からは、BtoC向けの物販事業を新たに開始した。子会社として設立した(株)IPmixerが、日本の人気VTuberなどのIPと商品メーカーを繋ぎ、タイアップ企画からブランディング、マーケティング、販売までを一貫して担うモデルを採用している。
具体的な事例として、VTuber以外でも、台湾で人気のある料理研究家とのコラボによるフライパン販売などが挙げられる。IPmixerは、現地のニーズに合致する製品やコラボ相手の選定から、その後のマーケティング・販売までをすべて引き受ける。そのため、IP側にとっては、リソースを割かずに物販展開ができる点で非常に有用なスキームとなっている。また、メーカーやブランドにとっても、IPmixerを活用することで、リスクを抑えながら効果的に海外進出と新たな収益機会の創出が可能になる。IPを起点としたマーケティングを通じて、より強力なブランド訴求を実現する体制が整いつつある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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