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京葉瓦斯 Research Memo(2):都市ガスを軸に周辺事業・サービスを展開。電力小売や不動産などへ業容拡大
配信日時:2025/12/26 12:32
配信元:FISCO
*12:32JST 京葉瓦斯 Research Memo(2):都市ガスを軸に周辺事業・サービスを展開。電力小売や不動産などへ業容拡大
■会社概要
1. 会社概要
京葉瓦斯<9539>は、千葉県北西部を主要な供給区域として、都市ガスの製造・供給・販売を行っている。加えて、主に都市ガスの顧客向けに電力を小売販売しているほか、不動産の賃貸、ガス内管工事・ガス機器販売、ガスメーターの検針、情報処理サービスといった事業も手掛けている。また、「ハウスクリーニング」、ガス機器や水回りの「まるごとサポート」、リフォームサービス「クラシモ」など、地域の顧客の生活を幅広く支援する「くらしサポートサービス」も提供している。
電力・ガスの自由化や資源価格の高騰などエネルギー業界を取り巻く環境が変化するなかで、2030年のありたい姿として「“つぎの「うれしい!」”をご提供することで、お客さまの“期待を超える”存在となる」ことを掲げ、エネルギー、ライフサービス、リアルエステート3つの事業領域において新しい価値を提供し、持続的な企業成長を実現するため「長期経営ビジョン2030」を策定した。さらにビジョンの実現に向け、2024年11月に「中期経営計画2025-2027」も策定した。これに伴い、報告セグメントを従来の「ガス」「電力小売」「不動産」「その他(ガス工事・ガス機器販売等)」から、「エネルギー」「ライフサービス」「リアルエステート」へと変更した。なお、本レポートでは、前年同期のセグメント情報について、変更後の区分により遡及修正した数値を使用している。
2. 沿革
同社は、創業者である田中知一郎氏が、都市ガスの供給を目的に同社の前身となる葛飾瓦斯(株)を1927年に設立したことに始まる。第2次世界大戦後の1955年に、中興の祖とも言える菊池寛実氏により経営が引き継がれた。その後は2000年に向け、ガス供給力の強化、天然ガス化の推進、サービス体制や保安体制の充実、供給元の多様化などを進めた。2000年以降は、家庭用コージェネレーションシステム「エコウィル」や家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」、太陽光発電システムの販売を開始するなど、業容を拡大した。2016年には小売電気事業者として電気の販売を開始し、2017年のガス小売全面自由化(導管事業・小売事業の会計分離)後はガス販売事業者として他エリアへの進出を図った。また、市川工場跡地で「リーフシティ市川」事業を開始、賃貸マンションが2025年に竣工するなど、開発を推進している。
3. 都市ガス事業の概要
都市ガス事業は、主に都市部に敷設された導管を通じてガスを一般家庭・工場・商業施設などへ供給する。導管網の敷設と運営には多額の投資とコストがかかるため、規模の経済性を生かせる都市部を中心に発展した。都市ガスの主な原料である天然ガスの大部分は液化天然ガス(LNG)として海外から輸入される。このため、ガス導管網は、輸入拠点の港湾地域にあるLNG受入基地を起点に扇状に整備された。
この結果、全国各地の都市部を中心に約200(千葉県で16)の都市ガス事業者(一般ガス導管事業者)が点在する構造となっている。普及エリアも国土面積の約6%に留まる。これは、戦後復興期に安定電力の確保が優先され、送電網が全国的に統合された結果、事業者(一般送配電事業者)が10社に集約された電気事業とは対照的である。
ガス小売は、1995年の大口顧客への自由化を皮切りに段階的に自由化範囲が拡大し、2017年4月には、小口(家庭用)を含むすべての顧客に対して全面自由化された。これにより、既存の都市ガス事業者が担ってきた保安業務のうち、ガス機器の調査や危険発生防止の周知に関する業務は、新規参入事業者を含むガス小売事業者が担うこととなった。
近年、オール電化の普及により熱源として電力の利用が増加傾向にあるなか、台風や地震などの自然災害による停電リスクが懸念されている。これに対し、地中に敷設されている導管網ガスの災害時における優位性が再評価されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
<HN>
1. 会社概要
京葉瓦斯<9539>は、千葉県北西部を主要な供給区域として、都市ガスの製造・供給・販売を行っている。加えて、主に都市ガスの顧客向けに電力を小売販売しているほか、不動産の賃貸、ガス内管工事・ガス機器販売、ガスメーターの検針、情報処理サービスといった事業も手掛けている。また、「ハウスクリーニング」、ガス機器や水回りの「まるごとサポート」、リフォームサービス「クラシモ」など、地域の顧客の生活を幅広く支援する「くらしサポートサービス」も提供している。
電力・ガスの自由化や資源価格の高騰などエネルギー業界を取り巻く環境が変化するなかで、2030年のありたい姿として「“つぎの「うれしい!」”をご提供することで、お客さまの“期待を超える”存在となる」ことを掲げ、エネルギー、ライフサービス、リアルエステート3つの事業領域において新しい価値を提供し、持続的な企業成長を実現するため「長期経営ビジョン2030」を策定した。さらにビジョンの実現に向け、2024年11月に「中期経営計画2025-2027」も策定した。これに伴い、報告セグメントを従来の「ガス」「電力小売」「不動産」「その他(ガス工事・ガス機器販売等)」から、「エネルギー」「ライフサービス」「リアルエステート」へと変更した。なお、本レポートでは、前年同期のセグメント情報について、変更後の区分により遡及修正した数値を使用している。
2. 沿革
同社は、創業者である田中知一郎氏が、都市ガスの供給を目的に同社の前身となる葛飾瓦斯(株)を1927年に設立したことに始まる。第2次世界大戦後の1955年に、中興の祖とも言える菊池寛実氏により経営が引き継がれた。その後は2000年に向け、ガス供給力の強化、天然ガス化の推進、サービス体制や保安体制の充実、供給元の多様化などを進めた。2000年以降は、家庭用コージェネレーションシステム「エコウィル」や家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」、太陽光発電システムの販売を開始するなど、業容を拡大した。2016年には小売電気事業者として電気の販売を開始し、2017年のガス小売全面自由化(導管事業・小売事業の会計分離)後はガス販売事業者として他エリアへの進出を図った。また、市川工場跡地で「リーフシティ市川」事業を開始、賃貸マンションが2025年に竣工するなど、開発を推進している。
3. 都市ガス事業の概要
都市ガス事業は、主に都市部に敷設された導管を通じてガスを一般家庭・工場・商業施設などへ供給する。導管網の敷設と運営には多額の投資とコストがかかるため、規模の経済性を生かせる都市部を中心に発展した。都市ガスの主な原料である天然ガスの大部分は液化天然ガス(LNG)として海外から輸入される。このため、ガス導管網は、輸入拠点の港湾地域にあるLNG受入基地を起点に扇状に整備された。
この結果、全国各地の都市部を中心に約200(千葉県で16)の都市ガス事業者(一般ガス導管事業者)が点在する構造となっている。普及エリアも国土面積の約6%に留まる。これは、戦後復興期に安定電力の確保が優先され、送電網が全国的に統合された結果、事業者(一般送配電事業者)が10社に集約された電気事業とは対照的である。
ガス小売は、1995年の大口顧客への自由化を皮切りに段階的に自由化範囲が拡大し、2017年4月には、小口(家庭用)を含むすべての顧客に対して全面自由化された。これにより、既存の都市ガス事業者が担ってきた保安業務のうち、ガス機器の調査や危険発生防止の周知に関する業務は、新規参入事業者を含むガス小売事業者が担うこととなった。
近年、オール電化の普及により熱源として電力の利用が増加傾向にあるなか、台風や地震などの自然災害による停電リスクが懸念されている。これに対し、地中に敷設されている導管網ガスの災害時における優位性が再評価されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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