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ワイエイシイ Research Memo(8):2024年3月期に売上高370億円、営業利益率10%を目指す
■中長期の成長戦略● 2024年3月期に売上高370億円、営業利益率10%を目指すワイエイシイホールディングス<6298>は創立50周年を迎える2024年3月期を最終年度とした中期経営計画を2021年3月に策定している。基本テーマ1. 粗利率アップによる高収益経営(最終年度には、営業利益率10%以上)、2. 経営効率重視経営(最終年度には、従業員1人当たりの売上高35百万円以上)、3. SDGsを加味した量産新製品(最終年度には、売上高の20%以上)として3つを設定。1. 営業改革:受注型営業の深耕と提案型営業の推進(「しなやか先端技術企業集団」として、取引先の様々なニーズを具現化しつつ、生活への安心と豊かさを与える商品開発を推進する)、2. グループ内効率経営(グループ内企業、事業及びシステムの統廃合により、高い効率経営を目指す)、3. 中国ビジネスモデル改善(最大のマーケットである中国との取引への柔軟な対応のため、各社各様の対応を効率性と安全性の観点から改善する)の3つの改革テーマの実行によって基本テーマを実現していく考えだ。ここでいう「受注型営業の深耕と提案型営業の推進」とは、顧客との毎回の接点を大事にし、同社の別の製品やソリューションを提供すること、他の企業に同社の製品を提案し、新たな顧客の獲得につなげることを意味している。また、現中期経営計画が終了したその先もさらなる事業拡大に向けて邁進する考えだ。2031年3月期を目標年度として、連結売上高1,000億円超え、粗利率(事業会社平均)32%超え、営業利益率15%超え、従業員1人当たりの売上高7,000万円以上を数値目標としている。2031年3月期までの9年間を3年単位の中期経営計画に基づき進めること、既存事業による成長を10%、量産新製品の上市による成長を60%、M&A・アライアンスによる成長を30%と想定し、グループ会社のうち、6社が売上高100億円超えを達成することなどを基本的な戦略として掲げ、目標を達成していくことを計画している。2022年3月期も営業改革による受注拡大と生産活動改革による利益率の向上が実現されていた。SDGsに対応した量産新製品の開発も順調に進んでおり、今後は同社の成長スピードの加速が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:38
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ワイエイシイ Research Memo(7):2023年3月期は好調な外部環境、順調な社内改革を背景に増収増益を予想
■今後の見通し1. 2023年3月期の連結業績見通し2023年3月期の業績に関してワイエイシイホールディングス<6298>は、売上高で前期比31.6%増の30,000百万円、営業利益で同91.5%増の3,000百万円、経常利益で同87.7%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で53.5%増の1,700百万円と増収増益を見込んでいる(営業利益率は前期比プラス3.1ポイントの10.0%、経常利益率は同プラス2.8ポイントの9.3%、当期純利益率は同プラス0.8ポイントの5.7%を見込む)。全社的には、営業改革による受注の拡大と生産活動改革による稼働率アップ、経費最適化によって前期比増収増益と利益率の向上を実現する考えだ。また、量産型ビジネスモデルへの変革に向けてSDGsに対応した新製品も順次市場に投入していくことを計画している。引き続きサプライチェーンの混乱や原料高によるコスト増などの影響が見込まれるものの、受注の早期化、販売価格の値上げなどを実施することによってリスク低減を図る構えだ。また、セグメント別では、ディスプレイ関連事業においては利益率の高いアフターサービスに注力するほか、電子機器関連事業においてはよりユーザーオリエンテッドな新型の人工透析装置の上市などを計画している。5GやIoT関連で引き続き旺盛な需要が見込まれるメカトロニクス関連事業、再エネ、医療関連が引き続き好調に推移することが見込まれる電子機器関連事業、コロナ禍による在宅ワークの広がりなどの影響を受けて設備投資が堅調に推移することが見込まれるディスプレイ関連事業など外部環境が好調に推移することが見込まれる3セグメントに加えて、産業機器関連事業においてもリネン業界とEC物流業界への拡販を実行する計画であること、ここ数年にわたって指導を継続してきた営業改革・生産活動改革の効果が顕在化していること、新製品も順調に開発が進んでいることなどを考慮すると業績予想の達成と各段階利益率の向上を実現する可能性は高いと弊社は考える。2. SDGsに対応した量産型新製品の投入同社は量産型ビジネスモデルへの変革と事業活動を通じた社会課題の解決を実現するために2023年3月期からSDGsに対応した新製品を本格的に市場に投入していくことを計画している。以下は同社が進めるSDGsを加味した量産型新製品の一例である。a. 海水淡水化装置海水中のマグネシウムを採取し、淡水化プロセスの効率を向上させる装置。海水中には1,800兆トンものマグネシウムが存在すると言われており、これを淡水化することができれば世界の飲料水不足などの問題や半導体工場などで使用する水の供給など社会的な問題、産業的な問題の解決に資することが期待される。b. マグネシウム電池海水中に存在する大量のマグネシウムをエネルギー原とする小型電池。従来のマグネシウム空気電池の20倍以上の出力を有しており、将来的にはバイク用、家庭用、電気自動車用の充電器としての活用を見込んでいる。c. 高感度デジタルバイオマーカー測定装置血中アミロイドβ、タウ蛋白などの疾病マーカーを検出し、認知症の早期発見を目指す装置の開発に着手している。将来的には薬局に設置し、血液・毛髪を採取すれば測定が可能になるといったような使用法を目指している。これによりコストの削減と質の高い医療を遍く多くの人に普及させることを目指す。d. 人工透析装置世界中で増加する糖尿病患者が透析を受けるために必要となる装置。2023年3月期中にはよりユーザーオリエンテッドな製品の上市も目指しており、より多くの患者に質の高い医療を届ける一翼となることが期待される。e. 自動紙包装機紙包装に対応した自動包装機。現在は試作機は開発済みで、試作品イベントで高い評価を得ている。EC業界での脱プラ支援など、環境問題などに貢献することが期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:37
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ワイエイシイ Research Memo(6):生産活動改革が結実し、2022年3月期は前期比大幅増益を達成
■業績動向1. 2022年3月期の連結業績概要ワイエイシイホールディングス<6298>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。売上高と営業利益はコロナ禍による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受け、期初の想定(売上高30,000百万円、営業利益1,600百万円)を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録した(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円(当初計画は13,470百万円)、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円(同5,690百万円)、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円(同3,720百万円)、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円(同7,120百万円)、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。メカトロニクス関連事業においては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上は予算未達だったものの、5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が好調に推移した。ディスプレイ関連事業に関しては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上が予算未達となったものの、在宅ワークによって創出された需要をうまく掴んだこと、消耗品の販売に注力したことなどが寄与し、黒字を確保している。産業機器関連事業においては、ホームクリーニング向けの売上は市場の低迷により横ばいだったものの、リネン事業への進出など、各施策が奏功し、前期比で損失額を大きく減らしている。電子機器関連事業に関しては、電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だったことによって計画を上回って着地している。今回の業績のポイントは、各利益段階の利益率が上昇したことだ。ここ数年の営業改革・生産活動改革が業績に結実した。今後も同社は営業改革による受注の拡大、生産活動改革による稼働率アップ、量産型ビジネスモデルへの変革などを着実に実行していく構えであり、さらなる利益率の上昇が期待できると弊社は見ている。また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。利益率と同じくROEに関しても順調に推移することが見込まれる。なお、EPSも前期比プラス84.30円と急伸している。流動比率と固定比率が改善し、長短の手元流動性に問題なし2. 財務状況と経営指標2022年3月期末時点の同社の財務状況は、事業活動の結果としてしっかりと利益を計上したことにより、利益剰余金が前期末比プラス953百万円の9,406百万円に膨らんでいる。流動資産の現金及び預金が1,313百万円減少しているものの、これは短期借入金の返済1,637百万円を実施し、財務の健全化を図ったことが大きい。実際、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し純資産が増加するなかで負債を減少させたことによって、自己資本比率は前期末比プラス3.8ポイントの41.3%に改善している。同社の財務の健全性に関して弊社は問題がないと考える。2022年3月期末時点の現金及び現金同等物の残高は8,619百万円としっかりと積み上がっていることに加えて、流動比率と固定比率も208.8%、53.2%であり、長短の手元流動性には問題がないと弊社は考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:36
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ワイエイシイ Research Memo(5):各セグメントの外部環境は今後も順調に推移する見通し(2)
■ワイエイシイホールディングス<6298>の事業概要2. ディスプレイ関連事業液晶・有機EL(OLED)などの製造企業に対して、高度な加工技術と加熱技術(ドライエッチング技術と精密加熱技術)を土台として様々なソリューションを提供している。近年、外部環境が鈍化していた同セグメントだが、直近ではコロナ禍における在宅勤務によってディスプレイへの需要が高まっていることなどが追い風だ。3. 産業機器関連事業同セグメントは、同社の祖業のセグメントである。蒸気と温風を利用した衣料・生地の仕上げ技術、包装技術などをコア技術としながらクリーニング業界やアパレル業界の顧客に対して省力化・自動化などのソリューションを提供している。同事業においては、中国クリーニング産業の自動化を好機と捉え、積極的に本土への進出を行っているほか、日本においては民生クリーニングから産業クリーニング(リネン)の分野に軸足を移している。また、EC分野における紙包装にも積極的に進出を模索している。2022年4月にプラスチック資源循環促進法が施行されたことに伴い電子商取引において紙包装への需要が増すことを見込んでいる。同法の施行により脱プラが加速すること、EC事業の伸びは今後も堅調に推移することが見込まれることなどを考慮すると、新事業領域での事業拡大が期待される。4. 電子機器関連事業同セグメントは電力、医療、先端自動車部品の分野において、制御通信技術、精密温度制御技術などをコア技術としながら計測・制御通信機器、メディカル・防災関連製品、加熱装置関連製品など幅広いソリューションを提供している。特に近年は医療分野における人工透析装置が好調だ。透析を必要とする患者の原疾患が糖尿病性腎症となり、潜在的需要は拡大の一途となっている。国際糖尿病連合によると2021年時点での全世界における糖尿病患者は5億3,700万人であり、その数は2030年に6億4,300万人、2045年までには7億8,300万人に膨れ上がることが予想されており、同社の人工透析装置が貢献できる余地は大きいと言えるだろう。また、政府が2021年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画において、2030年度に総発電量に占める再生可能エネルギーの割合を36〜38%に高めるという野心的な目標を設定したことからも再生可能エネルギーの今後のさらなる普及が予測される状況だ。天候に発電量が左右される再エネの分野においては、電力の効率的な管理・使用が重要になってくる。そのなかで今後も同社の電力制御通信機器への需要は堅調に推移することが見込まれる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:35
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ワイエイシイ Research Memo(4):各セグメントの外部環境は今後も順調に推移する見通し(1)
■ワイエイシイホールディングス<6298>の事業概要1. メカトロニクス関連事業主にHDD、半導体、LED、太陽電池の分野で事業活動を行う顧客に対して、製造装置、搬送装置、切断装置などの製造、販売、保守サービスまでを一貫して提供している。半導体デバイス、電子部品等の製造プロセスにおいて必須の熱処理と微細加工を高い精度で可能にする「レーザ技術」「イオンビーム技術」、電子部品の繊細な裁断を可能にする「切断技術」、HDD製造プロセスおいて必要となる「精密研磨技術」、太陽電池ウエハを製造する際に重要となる「薬液応用技術」、半導体などの検査、搬送に必要となる「高速ハンドリング技術」「キャリアテープ技術」の7つのコア技術を土台に顧客が抱える事業上の課題を解決している。同セグメントを取り巻く外部環境は今後も順調に推移することが見込まれる。(一社)電子情報技術産業協会が2021年11月に公開した調査によると、2015~2020年の世界の半導体市場規模は年平均成長率5.6%と安定して成長してきたほか、今後も5G、IoTなど、企業活動にITが今以上に組み込まれていく中で半導体への需要は順調に推移することが予想されている。また、これに合わせて半導体製造装置の販売高も堅調に推移することが見込まれる。2022年1月に(一社)日本半導体製造装置協会が公開した調査によると、2015~2020年の販売高は年平均成長率12.7%と高い成長を誇ってきたことに加えて、2023年には3兆7,000億円まで販売高が拡大することが予想されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:34
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ワイエイシイ Research Memo(3):半導体、ディスプレイ、電力・医療など全4セグメントで事業展開
■会社概要1. 会社概要ワイエイシイホールディングス<6298>は「1. 技術集約社会、2. 旺盛なバイタリティー、3. リスクに果敢にチャレンジする、4. 少数精鋭主義」を創業理念として1973年に東京都で設立された企業である。食品業界・クリーニング業界向け包装機の開発・販売から事業を始め、長い歴史のなかで同社技術の横展開とM&Aにより積極的に事業領域を拡大させながら、売上の増大を図ってきた。現在では、HDDや半導体などを対象事業領域とする「メカトロニクス関連事業」、有機EL(OLED)やFPDなどを対象事業領域とする「ディスプレイ関連事業」、祖業のクリーニングや新規事業である紙包装などを対象事業領域とする「産業機器関連事業」、電力・医療などを対象事業領域とする「電子機器関連事業」の4つの事業セグメントで事業を展開している。持株会社制をとる専門分野におけるリーディングカンパニー合計16社の集合体として社会に積極的に価値を提供している。16社のグループ会社からなる同社だが、その技術は半導体製造、ディスプレイ製造、クリーニング・包装、医療、電力など幅広い領域で活用され、顧客の省エネ、省電力、極小化など経営効率の向上に貢献している。今後も同社ビジョン(目指す姿)「常に、先へ進む、挑戦する企業グループを目指す」のもと、共存共栄型のM&Aも視野に入れながら事業領域と業績の拡大、社会貢献と株主利益の最大化を実現していく構えだ。2. ビジネスモデル変革による業績安定化、営業・生産活動改革による高利益率体質を目指す全16社のグループ企業の集合体として事業を行ってきた同社は現在、ビジネスモデルの変革によって安定して売上を上げることができる仕組みの構築を実行中だ。今まではプロ向け(製造業者向けの製品)に多くの種類の製品を受注生産方式で製造・販売してきた。しかし、少量多品種の受注生産方式だと顧客の設備投資計画の影響を大きく受け、業績の不確実性が高いことから一定の売上を安定してあげることができる大量生産型ビジネスモデルへの変革を行っている最中だ。これにより、事業活動を通じて社会課題の解決も積極的に推進していく構えである。量産を意識して開発している製品は人工透析装置、マグネシウム電池などSDGsに対応している(詳細は後述)。また、収益の安定化に加えて利益率のさらなる向上にも着手している。具体的には、各グループ会社の営業活動、営業要員を細かく指導することによって営業活動の高度化と受注拡大を実現しているほか、生産活動に従事する要員の時間管理を徹底することによって稼働率アップを実現している。受注の拡大と稼働率のアップによって、粗利率の上昇を実現している。中期経営計画の達成に向けた営業改革と生産活動改革による利益率向上は、2022年3月期の業績に数字となって効果が表出した。2023年3月期以降はSDGsに対応した量産型新製品の市場への投入によるさらなる業績の拡大が期待される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:33
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ワイエイシイ Research Memo(2):2022年3月期は大幅増益、社内改革が利益率の向上に結実(2)
■要約3. 中期経営計画ワイエイシイホールディングス<6298>は足元で量産型ビジネスモデルへの変革と営業改革・生産活動改革による粗利率アップの取り組みを実践しながら創立50周年を迎える2024年3月期に売上高370億円、営業利益37億円への企業に成長すべく日々精力的に事業を行っている。2021年3月に策定した中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)において同社は1. 粗利率アップによる高収益経営(最終年度には、営業利益率10%以上)、2. 経営効率重視経営(最終年度には、従業員1人当たりの売上高35百万円以上)、3. SDGsを加味した量産新製品(最終年度には、売上高の20%以上)を基本テーマに設定。具体的には1. 営業改革:受注型営業の深耕と提案型営業の推進(「しなやか先端技術企業集団」として、取引先の様々なニーズを具現化しつつ、生活への安心と豊かさを与える商品開発を推進する)、2. グループ内効率経営(グループ内企業、事業及びシステムの統廃合により、高い効率経営を目指す)、3. 中国ビジネスモデル改善(最大のマーケットである中国との取引への柔軟な対応のため、各社各様の対応を効率性と安全性の観点から改善する)の3つを改革のテーマとして掲げ、目標を達成する構えだ。そして、現中期経営計画の終了後もさらなる成長を目指していく構えである。2031年3月期に連結売上高1,000億円超え、そのなかで粗利率(事業会社平均)32%超え、営業利益率15%超え、従業員1人当たりの売上高7,000万円以上を実現と成長のスピードを加速させていく方針だ。同社の各セグメントを取り巻く事業環境が今後も順調に推移することが予想されること、量産型ビジネスモデルへの変革、営業改革・生産活動改革などの各種施策が順調に進行していることなどを考慮すると中期経営計画、さらにはその先の2031年3月期度売上高1,000億円企業への到達も視界良好であると弊社は考える。■Key Points・専門分野リーディングカンパニー16社の集合体として事業を推進・量産型ビジネスモデルへの変革、営業改革・生産活動改革による利益率アップを実行中・2022年3月期は前期比で大幅増益、各段階利益率も過去5年間で最高を記録・2023年3月期も好調な外部環境と社内改革を追い風に増収増益を見込む(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:32
注目トピックス 日本株
日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は4日ぶり反発、ソフトバンクGとダイキンの2銘柄で約44円押し上げ
4日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり179銘柄、値下がり43銘柄、変わらず3銘柄となった。日経平均は4日ぶり反発。先週末1日の米株式市場でNYダウは321ドル高と反発。6月ISM製造業景況指数が予想以上に悪化したことで景気後退懸念が再燃し、一時下落に転じる場面があった。一方、FRBの急速な利上げの思惑が後退したことからNYダウはその後上昇に転じ、取引終了にかけて上げ幅を広げた。堅調だった先週末の米株式相場を受けた今日の東京株式市場は買いが先行した。日経平均が先週末までの3日続落で1100円を超す下げとなったことから、押し目買いも入りやすかった。前場はダウ平均先物が軟調なことなどから日経平均は伸び悩む場面もあった。今晩の米市場が休場となることもあり、後場はやや見送りムードが広がる中、ダウ平均先物の下値が堅かったことなどもあり、日経平均は取引終了にかけて底堅く推移した。大引けの日経平均は前日比218.19円高の26153.81円となった。東証プライムの売買高は10億9779万株、売買代金は2兆4396億円だった。セクターでは電気・ガス業、鉱業、卸売業などが上昇。一方、石油石炭製品、保険業の2業種が下落した。東証プライムの値上銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は15%となった。値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>、同2位はダイキン<6367>となり、2銘柄で日経平均を約44円押し上げた。また、日経平均構成銘柄の上昇率トップは東京電力HD<9501>で12.95%高、同2位は三菱商事<8058>で3.98%高だった。一方、値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位はKDDI<9433>となり、2銘柄で日経平均を約45円押し下げた。KDDIは、2日に発生した大規模通信障害が売り材料視された。今後の損害賠償の発生、信頼性の低下に伴う他社への乗り換え増加などを警戒する動きが強まったもよう。また、日経平均構成銘柄の下落率トップはJフロント<3086>で5.63%安、同2位は三越伊勢丹<3099>で4.24%安だった。*15:00現在日経平均株価 26153.81(+218.19)値上がり銘柄数 179(寄与度+295.72)値下がり銘柄数 43(寄与度-77.53)変わらず銘柄数 3○値上がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG 5283 152 +32.05<6367> ダイキン工 22025 365 +12.83<2413> エムスリー 3933 147 +12.40<6098> リクルートHD 3994 114 +12.02<4063> 信越化 15710 300 +10.54<7203> トヨタ自 2113 46 +8.08<6758> ソニーG 11035 225 +7.91<4543> テルモ 4062 49 +6.89<4503> アステラス薬 2095.5 37 +6.50<9613> NTTデータ 1899 36 +6.33<6954> ファナック 21230 175 +6.15<4452> 花王 5573 165 +5.80<4519> 中外薬 3529 53 +5.59<3382> 7&iHD 5409 157 +5.52<8058> 三菱商事 3972 152 +5.34<7832> バンナムHD 9784 143 +5.03<4523> エーザイ 5825 134 +4.71<9735> セコム 8440 132 +4.64<9766> コナミグループ 7720 130 +4.57<4021> 日産化 6370 120 +4.22○値下がり上位銘柄コード 銘柄 直近価格 前日比 寄与度<9983> ファーストリテ 67370 -870 -30.57<9433> KDDI 4241 -72 -15.18<8035> 東エレク 42410 -250 -8.79<6762> TDK 3905 -35 -3.69<6724> エプソン 1921 -38 -2.67<1928> 積水ハウス 2295.5 -66 -2.32<7731> ニコン 1449 -63 -2.21<3099> 三越伊勢丹 1061 -47 -1.65<8252> 丸井G 2346 -33 -1.16<3086> Jフロント 1107 -66 -1.16<7751> キヤノン 3084 -20 -1.05<6988> 日東電 8560 -30 -1.05<6976> 太陽誘電 4355 -25 -0.88<7752> リコー 1039 -21 -0.74<7735> スクリーンHD 8710 -100 -0.70<9009> 京成 3610 -35 -0.62<8233> 高島屋 1414 -33 -0.58<5713> 住友鉱 4117 -19 -0.33<2871> ニチレイ 2376 -18 -0.32<9008> 京王 4815 -35 -0.25
<FA>
2022/07/04 16:31
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ワイエイシイ Research Memo(1):2022年3月期は大幅増益、社内改革が利益率の向上に結実(1)
■要約ワイエイシイホールディングス<6298>はHDD(ハードディスクドライブ)や半導体などを対象事業領域とする「メカトロニクス関連事業」、有機EL(OLED)やFPD(フラットパネルディスプレイ)などを対象事業領域とする「ディスプレイ関連事業」、祖業のクリーニングや新規事業である紙包装などを対象事業領域とする「産業機器関連事業」、電力・医療などを対象事業領域とする「電子機器関連事業」の4つの事業セグメントで事業を展開している。持株会社制をとる専門分野におけるリーディングカンパニー合計16社の集合体として社会に積極的に価値を提供している。近年は同社の事業をさらに拡大させ、株主利益の最大化を図るとともに社会貢献を促進すべく、ビジネスモデルの変革を実行中だ。従来のプロ向け少量多品種の受注生産モデルから量産生産型モデルへの転換を図ると同時に営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の上昇を実現している。また、量産型ビジネスモデルのもとでSDGsを意識した新製品の開発を加速している。人工透析装置、高感度デジタルバイオマーカー測定装置、マグネシウム電池、海水淡水化装置、紙包装機など、事業活動を通じて社会課題を解決することを意識した新製品の開発・販売を積極的に行っている点も特徴だ。1. 2022年3月期の連結業績概要2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が旺盛だったメカトロニクス関連事業と電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だった電子機器関連事業が業績を牽引した格好だ。また、ディスプレイ関連事業と産業機器関連事業に関しても、ディスプレイ製造装置に関する消耗品の販売、リネン事業への展開などに注力することによって、前期比で損失を改善させている。全体に関して見てみると、売上高のみ新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受けて前期を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。受注額に関しても前期比38.8%増の28,632百万円に膨らんでいる。このことからも同社が注力している営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の向上という施策の妥当性とその効果が業績に結実していることが見て取れる。また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。これらの活動は今後も継続していることから、同社の利益率、ひいてはROEは今後も順調に推移することが見込まれると弊社は見ている。2. 2023年3月期の連結業績見通し2023年3月期の業績に関して同社は、売上高で前期比31.6%増の30,000百万円、営業利益で同91.5%増の3,000百万円、経常利益で同87.7%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で53.5%増の1,700百万円と増収増益を見込んでいる(営業利益率は前期比プラス3.1ポイントの10.0%、経常利益率は同プラス2.8ポイントの9.3%、当期純利益率は同プラス0.8ポイントの5.7%を見込む)。営業改革による受注の拡大と生産活動改革による稼働率アップ、経費最適化によって前期比増収増益と利益率の向上を実現する考えだ。また、量産型ビジネスモデルへの変革に向けてSDGsに対応した新製品も順次市場に投入していくことを計画している。5GやIoT関連で引き続き旺盛な需要が見込まれるメカトロニクス関連事業、再エネ、医療関連が引き続き好調に推移することが見込まれる電子機器関連事業、コロナ禍による在宅ワークの広がりなどの影響を受けて設備投資が堅調に推移することが見込まれるディスプレイ関連事業など外部環境が好調に推移することが見込まれる3セグメントに加えて、産業機器関連事業においてもリネン業界とEC物流業界への拡販を実行する計画であること、ここ数年にわたって指導を継続してきた営業改革・生産活動改革の効果が顕在化していること、新製品も順調に開発が進んでいることなどを考慮すると業績予想の達成と各段階利益率の向上を実現する可能性は高いと弊社は考える。また、2023年3月期のEPSと年間配当金はそれぞれ186.21円、50.00円を計画している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
2022/07/04 16:31
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天昇電 Research Memo(8):2023年3月期は年間3円配当予想だが、業績動向により増配の可能性も
■株主還元策天昇電気工業<6776>は2016年3月期までの9年間は業績が不振であったことから無配を続けていた。しかし2017年3月期には大幅増益を達成、収益基盤も安定してきたとの判断から、年間3円の復配を果たした。その後、2018年3月期から2022年3月期まで年間3円配当を継続した。同社は「復配したとはいえ決して高い水準ではない。今後も業績を安定させ、少しずつ増配を行っていきたい。しかし設備投資を優先することも有り得る」と述べた。同社のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた額)は、増配を行うのに十分な水準であり、本来であれば2022年3月期にも増配の可能性があったと弊社は見ている。しかし現時点ではコロナ禍の影響が見定められないことや海外で大型投資を行ったことから、2023年3月期の配当予想も年間3円としている。今後業績の回復が明白となり海外事業が軌道に乗ってくれば、増配の可能性もあると予想している。今後の業績動向や設備投資計画や配当水準には注目する必要がありそうだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:18
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天昇電 Research Memo(7):内需型製品及び海外事業の拡大で持続的成長を図る
■中長期の成長戦略天昇電気工業<6776>は中期経営計画などの発表は行っていない。しかし、同社内では目標を掲げて、必要な施策を実行していくとしている。現在はコロナ禍の影響で先行きが不透明であるが、以下の施策を粛々と実行していく方針である。(1) 持続的な成長が可能な企業体質への足場固め人材の採用を積極的に行い、設備への投資も継続する。キャッシュ・フローが安定してきたことから、増産投資だけでなく、機械の入れ替えなどの更新投資も積極的に行う考えだ。(2) 内需型の製品を拡充し、自動車向けの比率を下げる現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、この比率を35%程度までにすることを目標としている。これは自動車向けの売上高を減らすのではなく、内需型の製品を拡充して全体の売上高を増加させることで、相対的に自動車向けの比率を下げようというものだ。その代表的な製品が、雨水貯留浸透資材である。同社によれば、既に少しずつ市場に浸透していると言う。加えて、昨今の台風による洪水被害の影響により各自治体において「雨水の貯留」に対する考えが高まることが予想され、長期的な視点から同社製品にとっては追い風となるだろう。(3) 海外事業の拡大同社の連結子会社であるSanko America Corporation(旧 天昇アメリカコーポレーション、2021年10月に社名変更)が約45億円の設備投資計画(メキシコでの新工場の建設)を発表した。この新工場の稼働開始は2022年9月の予定であるが、2023年3月期の業績には織り込んでいない。本格的な寄与は2024年3月期からになる見込みで、今後は海外での非自動車事業を一段と拡大する計画だ。同社がこれだけの投資を決議したことは、将来に対する自信の表れと言え、今後の動向は多いに注目される。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:17
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天昇電 Research Memo(6):2023年3月期の営業利益は600百万円予想
■今後の見通し天昇電気工業<6776>の2023年3月期の連結業績は、売上高24,000百万円(前期比23.4%増)、営業利益600百万円(同165.7%増)、経常利益540百万円(同52.0%増)、親会社に帰属する当期純利益350百万円(同42.2%増)と予想されている。依然として今後のコロナ禍の影響や原油高など不透明要因が多いものの、自動車生産はある程度回復すると予想していること、竜舞プラスチックの業績が通年で寄与することなどから、増収増益を見込んでいる。メキシコ工場の稼働開始時期が未定であることなどから、設備投資額と減価償却費の見込みは開示されていない。しかし弊社では、少なくとも設備投資額は2022年3月期以上、減価償却費は2,000~2,200百万円の水準になると推測している。仮に減価償却費が2,200百万円とすると、償却前営業利益は2,800百万円(前期比37.1%増)となり、好決算が続くと思われる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:16
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天昇電 Research Memo(5):2022年3月期は営業減益も、子会社の新規連結、米国子会社の好調が増収に寄与
■業績動向1. 2022年3月期の業績概要(1) 損益状況天昇電気工業<6776>の2022年3月期の連結業績は、売上高19,449百万円(前期比25.0%増)、営業利益225百万円(同22.6%減)、経常利益355百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同54.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売が、上期にコロナ禍の影響を受け、下期に入ってからは半導体不足等の影響を受けて停滞した。この結果、同社の単体売上高は前期比0.4%増に止まったが、竜舞プラスチックの9ヶ月間の連結寄与、米国子会社の好調により連結売上高は大幅増収となった。売上総利益率は14.8%(前期は16.7%)と1.9ポイント低下した。主力の自動車向け製品の稼働率が低迷したこと、減価償却費が大幅増となった(1,208百万円→1,816百万円)ことが要因だ。販管費は、竜舞プラスチックの連結化などもあり前期比14.8%増となった一方で、販管費率は前期の14.8%から13.6%へ低下した。この結果、営業利益は前期比22.6%減となった。しかし、償却前営業利益は2,041百万円となり、前期比36.2%増となった。経常利益は、営業外収益で為替差益や受取補償金が前期比で増加したことなどから、前期比で増益となった。また、特別損益については、前期に特別利益として計上した補助金収入451百万円、特別損失として計上した固定資産圧縮損439百万円が消失した。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益の増益率は経常利益を上回った。営業利益は減益となったが、償却前営業利益は大幅増益であり、実質的には好決算だったと言えるだろう。(2) セグメント別状況日本成形関連事業の売上高は16,218百万円(前期比22.4%増)、セグメント損失70百万円(前期は50百万円の利益)となった。単体ベースの売上高は前期比0.4%増に止まっていることから、増収の大部分は子会社化した竜舞プラスチックによるものと思われる。利益面については、金型の減価償却費が増加したことにより損失となった。中国成形関連事業の売上高は482百万円(同33.4%増)、セグメント利益は32百万円(同212.7%増)となった。金額は比較的小さいが、増収増益となった。アメリカ成形関連事業の売上高は2,461百万円(同48.6%増)、セグメント利益は36百万円(同70.9%増)となった。コロナ禍の影響を受けていた家電向け等が回復した。不動産関連事業は、売上高287百万円(同0.4%減)、セグメント利益227百万円(同8.0%減)となった。(3) 設備投資額と減価償却費2022年3月期の設備投資額(有形固定資産取得額)は1,821百万円(前期は1,984百万円)となり、引き続き高水準であった。射出成形機等の生産設備への大型投資は一巡したが、金型投資が増加した。減価償却費は1,816百万円(同1,208百万円)となった。自己資本比率は33.1%を維持2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況2022年3月期末の財務状況は次のとおり。流動資産は10,644百万円(前期末比2,773百万円増)となった。主要科目では現金及び預金が前期末比1,112百万円増、売上債権(電子記録債権含む)が同1,341百万円増、たな卸資産が同402百万円増となったことによる。固定資産は10,674百万円(同1,220百万円増)となった。内訳は有形固定資産が同1,194百万円増、無形固定資産が11百万円増、投資その他の資産が同14百万円増となったことによる。この結果、資産合計は21,318百万円(同3,994百万円増)となった。流動負債は9,004百万円(同1,908百万円増)となった。主な変動要因は、仕込債務(電子記録債務含む)の増加735百万円、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金等の増加221百万円である。固定負債は4,224百万円(同1,146百万円増)となった。主に長期借入金の増加886百万円による。純資産は8,089百万円(同939百万円増)となった。主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加195百万円、非支配株主持分の増加628百万円による。この結果、2022年3月期末の自己資本比率は33.1%となり、前期末の39.0%から5.9ポイント低下した。竜舞プラスチックの新規連結により資産全体が膨らみ、その結果自己資本比率が低下した。また2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,427百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益の計上373百万円、減価償却費1,816百万円、売上債権の減少49百万円、主な支出は、たな卸資産の増加191百万円、仕入債務の減少191百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローは1,869百万円の支出となった。主な支出は有形固定資産の取得による支出1,821百万円による。財務活動によるキャッシュ・フローは545百万円の収入となった。主な収入は長短借入金の増加(ネット)306百万円で、主な支出はリース債務の返済262百万円となった。この結果、現金及び現金同等物は1,184百万円増加し、2022年3月期末の残高は4,075百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:15
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天昇電 Research Memo(4):プラスチック成形品メーカー。長い間に蓄積された技術力と顧客の信頼が強み(3)
■天昇電気工業<6776>の会社概要(2) 設計・解析・材料選定a) 最先端技術顧客のメリットを追求するため、製品の軽量化、生産の高効率化、リサイクル材料への転換など、最先端技術を用いて顧客ニーズに臨機応変に対応し、コストダウンも追求する。b) 設計CAE/CADを駆使した製品設計により、モックアップ評価、金型構造検討、機能検討など、無駄なく効率のよい生産と金型構造を考慮した設計提案を行う。c) 解析同社が自信を持っている技術の1つがCAE(Computer Aided Engineering)による解析技術だ。3次元CADで作成した製品モデルにより、コンピュータによる流動、冷却、収縮などの解析を行い、あらゆる角度から十分に検討を重ねたうえで試作段階に移行する。d) 材料選定同社は、鉄、非鉄金属材料から樹脂材料への切り替えの際、従来の機能や品質を低下させることなく、コストパフォーマンスに優れた最適形状を実現する樹脂材料の選定にも対応している。材料の解析から新規ポリマー開発、ポリマーアロイの検討など、材料と設計、あるいは生産ラインとをリンクさせ、迅速な提案を実現している。(3) 樹脂溶着技術アセンブリー工数を大きく削減し、顧客のコストダウンとリードタイム削減に大きく寄与する。a) 振動溶着溶着面を振動させ、摩擦熱で樹脂を溶融させて接合する方法である。b) 熱板溶着被溶着材の溶着面の間に熱板を挟み、適正な温度で溶着面を加熱し、圧着させて接合する方法である。(4) 特殊形成技術同社の成形技術が、製品設計のフレキシビリティを高める。現在では、光沢生地部品の成形技術を生かし、顧客の要望、ニーズに的確に応えている。同社が創業以来培ってきた成形技術は膨大なものであり、これこそが同社の最大の強みとも言える。以下はその一部である。a) E-Mold電熱を利用して数十秒以内に樹脂の溶融温度まで金型表面(加熱コアー)だけを加熱して、充填した後30秒以内に冷却させる超高温金型温度制御技術である。成形工程での外観仕上がり向上により、通常成形後に行われていた塗装工程を省き、トータルコストの改善につながる。b) emCo電熱を利用して数十秒以内に金型表面を加熱して、充填後に電熱外周に水を通して冷却させる超高温金型温度制御技術である。c) Heat&Cool金型内部にスチーム(蒸気)を一定時間通して、一時的に金型温度を上昇させることにより、製品表面に発生するウエルド、フローマーク等の外観不良が改善される。シボ転写率の向上、成形残留応力歪の低減により製品のソリ成形が解消される。d) 3D ウエルドレスHeat&Cool一般のHeat&Coolでは平面もしくはそれに近い製品形状にしか対応できないが、同社の最新技術「3D ウエルドレスHeat&Cool」は立体的な形状にも対応していることから、立体的な高光沢、ウエルドレス成形が可能となる。今後の応用分野が期待される。e) AGI射出成形において、樹脂の射出に引き続き窒素ガスを注入し、これで保圧することにより成形品の品質(ヒケ、ソリ等)の改善、形状の簡略化、偏肉設計による強度アップ等を図る。この方法を用いることで、新しいデザイン、コストダウンへの対応が可能となる。f) カウンタープレッシャー成型法金型内を加圧状態に保ち、表面の発泡を抑えて冷却固化することにより平滑な成形品が得られる。ヒケ、ソリが改善され、厚肉の成形品にも対応できる。また、型内圧力が低く比較的大型の成形品を得られる。(5) 製品評価・測定同社では、開発段階で試作品による寸法測定や各環境下での評価を実施しており、これにより顧客が十分に満足するものづくりを目指している。同社における特徴ある代表的な装置は以下のとおり。a) 3次元測定機ルビー・セラミック等の材質の球体プローブで、製品を点・線で測定し、立体を3次元的に観測できる測定機である。b) キセノンウエザーメーター太陽光・温度・湿度・降雨などの屋内外の条件を人工的に再現し、退色・劣化を促進させ、製品・材料の寿命を予測する装置である。c) 車両格納型大型恒温室実物大の車両(自動車)を格納できる実験装置で、これによって温度・湿度環境変化に対する耐久性/信頼性評価を行う。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:14
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天昇電 Research Memo(3):プラスチック成形品メーカー。長い間に蓄積された技術力と顧客の信頼が強み(2)
■会社概要c) 家電・OA家電メーカーからの依頼により、主に液晶テレビ、照明器具などの筐体や各種OA機器・精密機器・医療機器等の機構部品や機能部品を製造している。「毎日目にするものだから、毎日手にするものだから」 こそ、美しい外観と高品質を常に意識している。機能とデザイン性の両立が求められる家電製品の世界では、部品においても高い外観品質と精度が要求されるが、天昇電気工業<6776>では多様な金型技術・成形技術を駆使することに加え、アセンブリー、塗装までも一貫して行うことが可能で、顧客の高度な要望に応えられる体制を整えている。金型温度を瞬時に上昇・下降させて成形する技術は、ウエルドやフローマーク等の外観不良を改善できると同時に、金型への樹脂の転写性能を向上することで高光沢やシボデザインの製品をより丁寧に仕上げ、塗装を施さなくとも美しい外観を作り上げることができる。また、これらの成形技術に「射出圧縮成形」「ガスアシスト成形」といった特殊な成形方法を組み合わせることで、ヒケやソリといった不具合も軽減し、高い外観品質の維持が可能となっている。d) OAオフィス機器メーカーからの依頼により、外装品や機能部品の設計、成形、加飾、組立等のサポートを行っている。家電で培った外観を美しく魅せる仕上げる技術を生かし、オフィスの様々なシーンで同社製品が使われている。具体例としては、人間工学に基づき座り心地を追求した高級オフィスチェアがある。椅子の背もたれは、異材質成形技術を用いて硬い材質を骨格に柔らかい材質で被覆し、人間工学の理想を具現化することを可能にした。また、高い透明性が重視されるLED照明機器のレンズも挙げられる。成形技術のみならず経験から養われる熟練の目と徹底した品質管理体制から、高い透明性を持つ製品を生み出すことを可能にした。(2) 特色と強みa) 長い間に培われた技術力と顧客からの信頼同社は創業当初からプラスチック製品の製造を手掛けており、この間に培われた技術力は高い。さらに、単に最終製品を製造するための設備だけでなく、様々な設備を保有しており、これらのコンビネーションにより多くの顧客の多様なニーズに応えることができる。そのため顧客からの信頼の獲得につながり、新製品の企画段階から同社に声がかかることも多い。b) 最先端技術と様々な生産設備同社は単に製品を製造する射出成形機だけでなく、様々な設備を持っている。例えば、金型製作/設計設備、フィルム加飾設備、試作設備、印刷/ホットスタンプ設備、塗装設備、組立設備、測定/試験設備等があり、これにコンピュータを駆使した最先端の技術と組み合わせることで、常に顧客へ最良の提案ができる体制を築いている。c) 特殊技術さらに同社は、顧客からの多様なニーズに応えられるよう、特殊技術も有している。主な特殊技術は以下のとおり。1) ウエルドレス/光沢成形技術:特殊金型、成形技術を用いて塗装レスを実現し、漆器のような光沢を出す。2) 特殊印刷(炭素繊維品塗装):独自の技術を使って炭素繊維(カーボン)への特殊塗装を行う。3) フィルム加飾:真空・圧空技術によって製品へフィルムを貼り付け転写する。手触り感も表現できる。(3) 競合射出成形製品の市場には多くのメーカーが存在する。しかし同社が手掛ける製品の多くは、価格が決め手となる汎用品ではなく、同社が企画段階から参画してそれぞれのユーザー向けに設計された製品が多い。したがって同社と真正面から競合する企業は少ないが、同社は射出成形製品だけではなく幅広い分野への参入を視野に入れている。4. 主要な技術(1) 表面華飾(加飾)技術a) 3次元表面加飾技術(TOM)真空/圧空技術により、製品へフィルムを貼付・転写する。これにより、デザインだけでなく、手触りの感触も表現できる。b) 水圧転写水溶性フィルムを使用し、水圧により絵柄を転写する技術で、素材を生かしたデザインを表現できる。c) 塗装技術独自の塗装技術を駆使し、高光沢・高輝度塗装をはじめ、炭素繊維(カーボン)製品への特殊な塗装も手掛けている。主に自動車部品の塗装に用いる。今後、自動車のEV化が進むとさらに軽量化が要求され、プラスチック部品の需要が一段と高まると期待される。d) 印刷/転写技術スクリーン印刷、パッド印刷、ホットスタンプなど、様々な印刷/転写技術を保有している。平面や凹凸面といった形状に合わせ、ノウハウを生かし、小さな物から大きな物まで多機種にわたって提案できる。フィルム華飾とのコラボレーションも可能であり、スマートフォンのケースなど、様々な分野での応用が期待される。e) 漆器の光沢技術特殊金型、成形技術を用いて、塗装レスを実現し、漆器のような光沢感を表現できる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
2022/07/04 16:13
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天昇電 Research Memo(2):プラスチック成形品メーカー。長い間に蓄積された技術力と顧客の信頼が強み(1)
■会社概要1. 会社概要天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。ラジオのキャビネットを木製からプラスチック化したのは同社が初めてである。その後も長い歴史のなかで、様々な合成樹脂の成形加工を手掛けてきた。その間に培われた技術力をベースに、金型事業、塗装などの加工工程へも事業領域を拡げ、生産においても国内のみならず海外生産へも進出している。現在では自動車部品、家電・OA機器や機構部品、さらに大型コンテナや感染性医療廃棄物専用容器など多分野へ展開している。2. 沿革同社の創業は1936年に遡る。以降は一貫してプラスチックの成形加工を事業として行ってきた。言い換えれば、プラスチック加工の老舗であり名門でもある。株式については、1961年に東証2部に上場し、現在は東証スタンダート市場に上場している。これまでに幾多の主要株主の変遷があったが、現在はプラスチックコンテナやパレットの大手メーカーである三甲(株)の関連会社が筆頭株主(2022年3月期末現在33.6%保有)、三井物産<8031>が第2位(同13.8%)となっている。なお、代表取締役社長である石川忠彦(いしかわただひこ)氏は三井物産の出身である。3. 事業内容(1) 事業領域と生産類型分類主力事業は、各種プラスチック製品や部品の製造・販売である。プラスチックの加工にはいくつかの方法があるが、同社は射出成形によって製品を製造している。また単に最終製品の製造だけでなく、開発当初から顧客と共同で製品設計、金型設計・製造、成形、塗装、印刷、検査、納品と一貫して行う場合もある。同社の事業を事業領域で分類すると、「受託生産」「共同開発」「自社ブランド」の3領域に分けられ、さらに生産類型では以下の4つに分けられる。a) 成型事業(受託生産)自動車・家電・OA機器などの顧客から生産委託を受けて各種部品等を製造する。微細な顧客の要望に応えるため、同社の「顧客本位・品質重視」の姿勢と、強度や美しさなどを生み出す幅広い技術を掛け合わせて事業を遂行している。b) 成型事業(共同開発)顧客の商品企画・開発力と同社の商品企画・開発力を持ち寄って共同開発を行っている。同事業は、結果を足し算以上、掛け算にまで高めることを目的としており、得意分野を適確に見定める“企業力”が問われる分野であると言う。芳香剤自動拡散器、樹脂製把手などユニークな製品実績が多数ある。c) 金型事業(受託生産)顧客からの委託を受けて金型を製造する事業である。金型製造のための最先端設備と金型を知り尽くした同社の高度な加工技術で、スピーディ、かつハイクオリティな金型供給を実現している。d) 最終製品事業(自社ブランド)自社ブランド製品を同社が独自に開発する事業である。生産品のストック&フローに不可欠なプラスチックコンテナから、医療廃棄物容器、集中豪雨の被害から生活を守る雨水貯留槽まで、多種多様なオリジナル製品が上市している。「プラスチックという材料の特性を最大限に生かしきる」という同社の最高品質へのこだわりが、数々のベストセラーを生み、生産の現場や医療の最前線で使用されていると言う。(2) 主要製品と主な向け先決算短信で公表されているセグメントは「日本成形関連事業」「中国成形関連事業」「アメリカ成形関連事業」「不動産関連事業」に分けられており、売上高比率(2022年3月期)は、日本成形関連事業83.4%、中国成形関連事業2.5%、アメリカ成形関連事業12.7%、不動産関連事業1.5%となっている。セグメント名となっている日本、中国、アメリカは国別販売地域で分けられており、製品別ではない。不動産関連事業については、神奈川県相模原市の土地・建物及び福島県二本松市の土地を賃貸する事業で、毎期安定した収益を上げている。なお、2021年7月に子会社化した竜舞プラスチックは「日本成形関連事業」に含まれる。また正式に開示されている数値ではないが、同社によれば不動産関連事業を除いた近年の成形関連事業の主な向け先(概算値)は、自動車関連が約60%、オリジナル(自社)製品が約25%、家電・OA機器が約15%としている。製品は国内5工場(福島、矢吹、群馬、埼玉、三重)、国内子会社1工場、海外3工場(中国、ポーランド、メキシコ)で製造されている。a) 自動車関連各種内外装品、エンジンルーム用部品、ダッシュボードなど様々な製品を製造・販売している。主要な大手自動車メーカーとはすべて取引があるが、特定のグループには属していない。また部品メーカーでもティア1、ティア2の多くの部品メーカーと取引がある。自動車向けでは、「製品設計~金型製作~成形~塗装~各種組立」まで同社のネットワークを活用して最適地生産を行い、技術力と総合力で顧客の多種多様なニーズに応えている。特に近年注力しているのが、加飾分野におけるカーボン塗装技術だ。同社の経験・ノウハウを生かした同技術は、自動車のみに特化せず多分野に展開することが可能である。b) オリジナル製品同社が独自に開発した商品で、各種製品類の搬送用に使われるテンバコ(多目的通い箱)、テンタル(樽型容器)、ミッペール(医療廃棄物専用容器)、雨水貯留浸透資材、テンサートラック(導電性プリント基板収納ラック)などがある。オリジナル製品の利益率は高い。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/07/04 16:12
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天昇電 Research Memo(1):2022年3月期は減価償却費の増加により営業減益となるも、内容は好転
■要約天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が約60%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充する一方で、北米での事業を拡大する方針である。同社は長い間、業績低迷に苦しんでいたが2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)するまで業績が向上し、現在も継続して配当を実施している。2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で大幅減益となった。2022年3月期も営業減益となったが、減価償却費の増加によるもので、内容は好転した。1. 2022年3月期の業績:減価償却費の増加により営業減益となるも、内容は好決算2022年3月期の連結業績は、売上高19,449百万円(前期比25.0%増)、営業利益225百万円(同22.6%減)、経常利益355百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同54.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売がコロナ禍や半導体不足等により停滞したことから、同社の単体売上高は前期比0.4%増に止まったが、新規連結となった竜舞プラスチック(株)の寄与と米国子会社の好調により連結売上高は大幅増収となった。金型を中心に設備投資を積極的に行ったことから減価償却費が増加し、営業利益は減益となったが、償却前営業利益は前期比36.2%増となった。キャッシュ・フローも改善しており、内容は見かけほど悪くはなく、むしろ好決算だったと言える。2. 2023年3月期の見通し:償却負担は続くが増益を目指す2023年3月期の連結業績は、売上高24,000百万円(前期比23.4%増)、営業利益600百万円(同165.7%増)、経常利益540百万円(同52.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益350百万円(同42.2%増)と予想している。竜舞プラスチックが通年で寄与すること(2022年3月期は9ヶ月間)、自動車生産がある程度回復することを前提に20%超の増収を見込んでいる。営業利益については、減価償却費も増加すると推測されるものの、これを吸収して大幅な増益を見込んでいる。国内の自動車生産の動向が業績を左右すると思われるが、業績だけでなく財務基盤も着実に改善している点は注目する必要があるだろう。3. 中長期の成長戦略:内需型製品及び海外事業の拡大により成長を加速する現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透資材などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。その一方で、米国での事業をさらに拡大することでも成長を目指す。容易な道のりではないが、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。定量的な数値と同時に、同社の事業体質がどう変わっていくか、今後に注目したい。■Key Points・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い・2022年3月期は営業減益だが、減価償却費の増加によるもので、内容は好決算・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/07/04 16:11
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nms Research Memo(6):2023年3月期も安定した配当を実施予定
■株主還元策株主還元について、nmsホールディングス<2162>は配当と自社株買いを合わせた総還元性向を株主還元の指標としており、配当性向20%を中期目標に還元を行っている。2022年3月期の配当実績は1株当たり5.0円と前期比プラス1.0円であった。2023年3月期は、今後の業績回復などを見据えて前期と同じ1株当たり5.0円を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/07/04 16:06
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nms Research Memo(5):製造業でのデジタル化普及遅延解決へ。独自ビジネスモデル構築でDX需要を取り込む
■中長期の成長戦略nmsホールディングス<2162>は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入・運用の遅れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、これに対して同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。日本企業の製造現場におけるデジタル化の遅延は国の課題として認知されており、政府主導で解決を図っている。「デジタル化による効果を事前にイメージしづらい」「ITが分かる人材がいない」など様々なボトルネックはあるものの、デジタル化は国の生産性向上に向けた喫緊の課題であり、今後あらゆる方面でデジタル化普及に向けた潮流が強まると予想する。そうしたなか、DXの推進サービスを手掛ける同社にとっては、中長期的に大きなビジネスチャンスが訪れると弊社は考える。さらに、同社は国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進める。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。同社のビジネスモデルでは人材こそが競争力・成長力の源泉であり、こうした積極的な取り組みが、中長期的に同社の業績を押し上げていくと弊社は期待する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:05
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nms Research Memo(4):2023年3月期は市場の需要も旺盛で増収増益の見込み
■今後の見通し1. 2023年3月期の業績予想nmsホールディングス<2162>の2023年3月期の業績予想は、売上高が77,100百万円(前期比21.8増)、営業利益が600百万円(前期は361百万円の損失)、経常利益が450百万円(前期比266.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円(前期は1,980百万円の損失)となっている。旺盛な需要を背景に受注は堅調に推移しており、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注は底堅く推移しており、各事業とも部材不足解消時を見据えた取り組みを進めている。2023年3月期にコロナ禍の影響がどれだけ緩和されるかは見通しづらいものの、需要が旺盛な外部環境に加えて、事業構造改革などの内部変革の効果が影響緩和後に顕在化する見通しだ。同社の成長に弊社は注目したい。なお、同社は2021年12月6日に兼松<8020>との資本提携を解消すると発表した。両社は2015年に資本・業務提携契約を締結し、EMS事業の拡大や海外事業展開における協業など、様々な取り組みを進めてきた。今回、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とする体制の確保が必要との判断に至り、資本提携を解消する。なお、業務提携は継続するとしている。2. セグメント別業績概要(1) HS事業需要は引き続き高水準を維持しており、製造業の人手不足も継続するなど、HS事業の市場状況は良好である。こうしたなか、同事業では顧客ニーズに合わせた多様なサービス・人材の提案・提供、製造業の海外進出・製造支援サービス事業の拡大、デジタルプラットフォームの構築・展開を主眼に据え、事業規模拡大を図る。事業環境の変化に対応する形でグループ内製造受託インフラ・ノウハウを顧客ニーズに合わせて提案・提供するほか、製造業のファブレス化に即応するため、顧客シニアエキスパート人材の転籍支援にも注力し、幅広い人材の雇用機会を創出することで、採用枠の拡大、生産性の向上につなげている。人材教育・育成に関しては、エンジニア採用・育成プログラムの強化、ジョブグレードアップ制度の高度化と効果の可視化を行い、実績を他地域に展開していく考えだ。また、外国人技能実習生についても、同社独自のスキームを有しており、アフターコロナを見据え、引き続き注力していく。さらに、利益率の適正化も積極的に推進する。同社は、それぞれのプロセスにおける適正価格の見直し、原価率の改善によりしっかりと利益を確保していく構えだ。製造業の海外進出・製造支援サービス事業については、住友商事<8053>との業務提携をきっかけに、ベトナム・タンロン工業団地でワンストップサービスを提供するほか、「人材ソリューション+製造支援」に則り顧客の安定した生産をサポートするなど、事業の拡大を図っていく。目先は部材価格の高騰などネガティブな要素もあるものの、こうした積極的な取り組みを通じ、同社はアフターコロナを見据えた訴求力の高いデジタルプラットフォームを構築する。具体的には、人材ビジネスノウハウをベースとした製造業のファブレス化、モノづくり高度化に貢献する独自のデジタルプラットフォーム「製造DX」を構築していく考えである。(2) EMS事業EMS事業では、2022年3月期は部材不足やコロナ禍による影響を受けているものの、2023年3月期から新規受注・生産拡大が活発化する見通しである。こうしたなか、同社はベトナム拠点とメキシコ拠点において各種活動に注力していく。2021年6月に新規品生産立ち上げを開始したベトナム拠点では、車載用ワイヤレス充電器関連やAV・音響機器関連など、プレス技術を核に完成品まで生産できる特長を生かし、ベトナムへの生産移管を進める日系企業のニーズに合わせた対応に注力する。これにより売上を倍増させることを計画している。メキシコ拠点では生産計画が後ろ倒しになっていた顧客からの受注が再開され、2023年3月期第1四半期から量産を開始している状況だ。主軸の車載関連部品に加え、北米において大きなマーケットを有し、需要が安定している家電や電動工具、産業機器などの顧客にフォーカスし事業を推進していく計画である。市場規模の大きい車載関連市場を中心に、足元では海外事業での事業体制が整いつつあり、着実に成長基盤は強まっている。加えて日本基準の高品質な商材・サービスを提供できることも強みであり、価格高騰の安定化が進むにつれて、収益は長期安定的に伸びると弊社は見ている。(3) PS事業PS事業では、高圧電源、マグネットロールを中心に安定した収益体質への足掛かりを構築するほか、マグネットロールではASEANにおける販売に着手するなど、主軸製品の収益基盤を強化していく。また、産業機器市場への製品展開、新規顧客の獲得・拡販も進めていく。さらに、部材調達難・部材価格高騰といった厳しい事業環境ではあるものの、省人化・自動化ニーズによるロボティクス市場の拡大や、コロナ禍を背景とした殺菌・滅菌機器市場への製品展開を実行するなど、新たな市場を開拓していく考えだ。加えて、電池パック技術を横展開し、新分野需要に対応していく。具体的には、安心安全の電源設計技術と蓄電・充電技術・ノウハウを生かしてターゲット分野を拡大するほか、建機・農機の電動化ニーズによる販売拡大を推進する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/07/04 16:04
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nms Research Memo(3):2022年3月期は営業減益も、旺盛な需要により今後の市場見通しは明るい
■業績動向1. 2022年3月期の連結業績概要nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の連結業績は、売上高が63,277百万円(前期比15.4%増)、営業損益が361百万円の損失(前期は689百万円の利益)、経常利益が122百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損益が1,980百万円の損失(前期は735百万円の損失)となった。受注が堅調に推移したことによって売上高は伸びたものの、コロナ禍による影響や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益697百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用、想定収益の後ズレによる減損損失をそれぞれ164百万円、1,433百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではある。しかし、部材不足の背景には製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社の売上高も増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かうだろうと弊社は考える。また、2022年3月期に実施した事業構造改革に関しても、2023年3月期下期からその効果が業績に反映されてくることが予想される。2. セグメント別業績概要(1) HS事業HS事業の売上高は22,088百万円(前期比15.4%増)、セグメント利益は647百万円(同26.0%減)となった。国内事業についてはコロナ禍や半導体関連などの部材不足による影響があったものの、事業規模拡大に向けた施策が奏功したこと、コロナ禍に伴う顧客企業の稼働調整の影響が前期に比べて軽微となったことから、事業全体で増収となった。利益については、人材の募集関連費用といった事業規模拡大のための先行投資の影響があり、減益となった。海外事業については、ASEANにおける新型コロナウイルス感染症の再拡大により顧客企業の稼働調整などの影響はあったものの、前年同期に比べるとその影響は軽微であった。特に中国、タイの業績は改善傾向となった。(2) EMS事業EMS事業の売上高は28,400百万円(前期比18.1%増)、セグメント損失は536百万円(前期は29百万円の損失)となった。同事業は中国・ASEAN・北中米において生産活動を展開しており、戦略投資の実行期にある。コロナ禍に伴う影響として、マレーシア、メキシコの両政府方針によるロックダウンや部材不足などの影響が残ったものの、ベトナム拠点での新規品生産立ち上げの開始のほか、中国・ASEAN地域においてコロナ禍による影響が前期に比べて軽減されたこともあり、増収となった。利益面では、重点施策として生産立ち上げを進めているメキシコ拠点の先行投資コストに加え、事業全体において部材不足に起因した顧客企業の減産や生産計画の後ろ倒しや部材価格高騰などによる影響が大きく、利益圧迫要因となった。足元では、ベトナム拠点に続いて生産計画が後ろ倒しになっていたメキシコ拠点において、顧客企業からの受注が再開され、2023年3月期第1四半期から量産を開始した。(3) PS事業PS事業の売上高は12,788百万円(前期比9.6%増)、セグメント利益は1百万円(前期比99.5%減)となった。抜本的コスト構造改革による体質強化の効果もあり、第1四半期は想定を上回る状況で推移したものの、第2四半期に入って部品調達難や副資材も含む価格高騰の影響が顕著となった。また、顧客企業やサプライヤーの生産拠点が集中するベトナムやマレーシアにおけるコロナ禍によるロックダウンの影響で大幅な生産減となった。利益面では、部材調達難などの影響により、前期に対して減益となった。ただ需要は高い水準を維持していることから、部材不足解消時や2023年3月期以降を見据えた取り組みを進めている。3. 財務状況2022年3月期末における資産合計は前期末比3,334百万円増の34,842百万円となった。流動資産は26,349百万円となり、4,690百万円増加した。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が1,435百万円、原材料及び貯蔵品が2,279百万円、その他流動資産が302百万円増加したことによる。固定資産は8,453百万円となり、1,342百万円減少した。有形固定資産が1,192百万円減少したことによる。負債合計は前期末比5,343百万円増の32,148百万円となった。流動負債は26,333百万円となり、8,873百万円増加した。これは主に短期借入金が7,287百万円、支払手形及び買掛金が1,261百万円増加したことによる。固定負債は5,814百万円となり、3,529百万円減少した。これは主に長期借入金が3,103百万円、その他固定負債が199百万円減少したことによる。純資産合計は前期末比2,008百万円減の2,693百万円となった。利益剰余金が2,046百万円減少したことが大きく影響した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:03
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nms Research Memo(2):日本のモノづくり品質で世界展開
■会社概要nmsホールディングス<2162>は1985年に製造派遣・製造請負を柱とする人材サービス(ヒューマンソリューション=HS)事業を基盤に創業し、2007年にJASDAQに上場した。その後、2010年7月に(株)志摩電子工業、2011年7月に(株)テーケィアール(現 TKR)を買収して電子・電気機器の製造受託(エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス=EMS)事業を発足した。さらに2013年10月に(株)日立メディアエレクトロニクスの一部事業を、2014年10月にパナソニック(現 パナソニックホールディングス)<6752>から一般電源事業をそれぞれ譲受して、電源関連製品の開発から設計・製造・販売まで行うメーカー(パワーサプライ=PS)事業を発足した。2019年には、ソニー(現 ソニーグループ)<6758>の米国法人からメキシコ工場を含む米国の事業部門を譲受した。同社は、「ニッポンのモノづくり品質を世界へ」を標榜し、3つの事業を組み合わせて「人材ビジネス」×「モノづくり」の強みを最大化することを経営の主眼としている。なお、同社は2017年4月より持株会社制へ移行した。(1) HS事業HS事業では、国内・海外におけるマニュファクチャリングサービス全般を日本・中国・ASEAN諸国で提供している。具体的には、製造事業、生産系エンジニアリング事業、IT・設計開発エンジニアリング事業、テクニカルサービス事業、ロジスティクスサービス事業、省力化装置事業などである。また、研修施設や日本語教育システムなどを活用し、外国人材定着支援サービスも展開している。(2) EMS事業EMS事業では、実装・プレス・成形・完成品組み立てのほか、試作、部品調達、検査など広範囲にわたるノウハウを有し、高い実装品質と低コストの生産ライン構築により一貫生産・量産のほか、プロセス単体・少量多品種での生産対応を手掛けている。具体的な事業内容は、電子機器製造受託サービス、電子機器修理サービス、車載関連機器・部品の設計・開発・製造、スタートアップソリューション等を行うシェアビジネス、3Dプリンター事業などである。(3) PS事業PS事業では、電源専業メーカーとして電源及び関連部品を提供しているほか、新事業の柱として自動車や産業機器類の電動化に対応するEV関連製品を開発し、新規分野への参入を図っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<EY>
2022/07/04 16:02
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nms Research Memo(1):2022年3月期はコロナ禍の影響と部材高騰が損益圧迫も、需要旺盛で受注は好調
■要約1. 2022年3月期の連結業績概要nmsホールディングス<2162>の2022年3月期の連結業績は、売上高が63,277百万円(前期比15.4%増)、営業損益が361百万円の損失(前期は689百万円の利益)、経常利益が122百万円(前期比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純損益が1,980百万円の損失(前期は735百万円の損失)となった。受注が堅調に推移したことによって売上高は伸びたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)や部材不足による影響が大きく、営業損益では損失を計上した。経常損益は、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益697百万円の発生を背景に利益を計上した。親会社株主に帰属する当期純利益については、EMS事業における米国・メキシコ拠点で実行した事業構造改革費用、想定収益の後ズレによる減損損失をそれぞれ164百万円、1,433百万円を計上したため、損失となった。事業全体としては、部材不足や先行投資などを要因に依然として厳しい事業環境ではある。しかし、部材不足の背景については、製造業における生産活動活発化を通じた需要のひっ迫であること、同社も売上高は増加していることから、事業環境は徐々に快方に向かうものと弊社は考える。また、2022年3月期に実施した事業構造改革に関しても、2023年3月期下期からその効果が業績に反映されてくることが予想される。2. 2023年3月期の連結業績予想2023年3月期の業績予想は、売上高が77,100百万円(前期比21.8%増)、営業利益が600百万円(前期は361百万円の損失)、経常利益が450百万円(前期比266.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円(前期は1,980百万円の損失)となっている。旺盛な需要を背景に受注は堅調に推移しており、今後の業績成長のポテンシャルは大きい。部材不足による顧客企業の一時的な生産減や計画の後ろ倒しなどがあるものの、受注は底堅く推移しており、各事業とも部材不足解消時を見据えた取り組みを進めている。2023年3月期にコロナ禍の影響がどれだけ緩和されるかは見通しづらいものの、需要が旺盛な外部環境に加えて、事業構造改革などの内部変革の効果が影響緩和後に顕在化する見通しだ。同社の成長に弊社は注目したい。3. 中長期の成長戦略同社は「生産現場におけるデジタルテクノロジーの導入・運用の遅れ」「正規社員削減による生産性の低下、品質問題、安定した生産現場の確立」を日本の製造業の大きな課題と捉え、同社独自のビジネスモデルを構築する計画である。まずは、必要技術・ツールをワンストップで提供し、製造業のDX推進のサポートをしていく。様々な特性を持つAI企業・パートナー企業、海外の政府・大学とのネットワークを活用し、人材・生産管理・自動化・部材調達・物流といった顧客ニーズに合ったDXを実現していく考えである。さらに、国内外の製造業ファブレス化に貢献できる高度人材の育成・提供も進めていく。グループ内EMS・PS事業とのシナジーに加え、ジョブグレードアップ制度の展開や技術・技能教育の拡充により、様々なニーズに貢献する即戦力人材を育成していく。なお、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画に関しても、事業環境の変化を注視しながら今後時機を得て開示する予定としている。■Key Points・2022年3月期は、部材価格高騰や先行投資が損益を圧迫・2023年3月期通期は、依然として事業環境不透明も、構造改革などの成果が下期に結実の見込み・膨らむデジタル化需要取り込みに向け、独自性の高いビジネスモデル構築へ(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/07/04 16:01
注目トピックス 日本株
新興市場銘柄ダイジェスト:メドレックは年初来高値、ウェッジHDがストップ高
<3906> ALBERT 4325 +240大幅に3日ぶり反発。22年12月期の純利益を従来予想の4.46億円から6.44億円(前期実績3.53億円)に上方修正している。AI・高性能チャットボット スグレス事業の譲渡に伴い、2.85億円の特別利益が発生したため。営業利益予想は6.57億円(同4.36億円)で据え置いた。5月20日に直近高値(5490円)を付けてから株価が右肩下がりで推移していたため、自律反発に期待する買いも入っているようだ。<4169> エネチェンジ 1271 -64大幅に続落。東証が1日から信用取引に関する規制措置を強化したことが引き続き嫌気されている。新規の売付及び買付に係る委託保証金率が70%以上(うち現金40%以上)となった。日証金も増担保金徴収措置を実施している。同日から委託保証金率が50%以上(うち現金20%以上)となった東京通信<7359>も大幅に続落している。両株とも短期間で急騰していただけに、利益確定売りも重なっているようだ。<2388> ウェッジHD 107 +30ストップ高。持分法適用関連会社のGroup Lease PCL(GL)と同社の元取締役2名に対してJトラスト<8508>傘下のJトラストアジアが行っていた刑事告発について、タイ特別捜査局が棄却したと発表している。同局は刑事告訴に根拠がないことを示す最終不起訴処分を決定したという。Jトラストアジアは誤った財務諸表によって騙されてGLに投資したと主張し、刑事告訴していた。<3498> 霞ヶ関キャピタル 2294 +239大幅に続伸。23万株(5.00億円)を上限として自社株買いを実施すると発表している。発行済株式総数(自社株を除く)に対する割合は2.82%。取得期間は4日-9月30日。譲渡制限付株式やストックオプションへの充当など経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の遂行を可能とするため。また、22年8月期第3四半期累計(21年9月-22年5月)の営業損益が3.15億円の赤字(前年同期実績6.01億円の赤字)に縮小したことも開示している。<3913> sMedio 794 +100ストップ高。国際的な衛生管理手法のHACCPに対応した流通・小売業界向け温度管理ソリューションなどを手掛ける台湾のKiwi Tech社と資本業務提携すると発表している。同社子会社で日本法人のキーウィテクノロジー(東京都港区)を割当予定先として新株30万6000株を発行する。調達資金の約1.91億円はIoTソリューション事業の立ち上げ・拡大などに充てる。sMedioはKiwi Tech株を0.50億円を限度に市場で購入する予定。<4586> メドレック 133 +20年初来高値。出願中の「メマンチン含有経皮吸収型液剤」について、特許庁から特許査定が通知されたと発表している。メドレックス独自の経皮吸収技術を用いたアルツハイマー治療貼付剤MRX-7MLLをカバーするもの。1日1回の経口剤に対し、貼付剤は投薬状況を目視確認できる上、3日に1回などの選択肢を提供できるという。特許の有効期限は2038年まで。日本のほか米国で登録されており、欧州や中国でも権利化を目指している。
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2022/07/04 15:54
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日新 Research Memo(10):2022年3月期の年間配当金は4円増配の60円、2023年3月期も4円増配予定
■株主還元策日新<9066>は、将来の経営環境の変化や事業展開などを見据え、業績、財務状況、配当性向水準などを総合的に勘案し、安定的配当の継続を基本に利益還元する方針を掲げている。内部留保資金については、安定的経営基盤の確立に向け、中長期的見地に立ったグローバルな事業展開をはじめ、物流施設やIT関連の整備・拡充及び財務体質の強化のために活用するとしている。同社の基本方針である「安定配当の継続」については、過去10年間配当の増配・維持を継続していることや、コロナ禍の影響による旅行事業の急速な収益悪化のなかでも配当を維持したことなどに現れている。今後もこの基本方針は継続していく予定である。2022年3月期については、前期比4.0円増配の年間60.0円の配当を実施した。また、2023年3月期については、前期比4.0円増配の年間64.0円(中間配当金32.0円、期末配当金32.0円)の配当を予定している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:40
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日新 Research Memo(9):2023年3月期業績も過去最高水準を維持
■今後の見通し1. 2023年3月期の業績見通し地政学リスクの高まりによる資源価格の高騰や新型コロナウイルスの新たな変異株の影響等、世界経済の先行き不透明な状況は継続するものと日新<9066>では見込んでいる。物流事業では旺盛な貨物需要は当面継続すると見込まれるものの、スポット案件の剥落等が見込まれる。一方、旅行事業においては海外業務渡航の取扱いは徐々に回復に向かうものの、本格的な回復にはなお時間を要するものと予想される。このような状況の下で同社は、2023年3月期の連結業績について、売上高で190,000百万円(前期比1.4%減)、営業利益で8,500百万円(同6.6%減)、経常利益で9,000百万円(同8.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で6,500百万円(同2.1%増)と見込んでいる。なお、営業利益及び経常利益が減益予想であることに対し、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となっている要因は、2022年3月期に倉庫解体による特別損失を計上したことの反動による。2. セグメント別計画(1) 物流事業売上高は前期比2.7%減の183,800百万円、営業利益は同12.5%減の8,200百万円を見込んでいる。国際物流環境については、海上コンテナ不足や米国西海岸の港湾混雑による航空需要の高止まりや、米国内トラック便代替輸送、緊急貨物輸送など、現在の不安定な環境は当面継続するものと思われるが、荷動きは徐々に安定化に向かうと予想される。一方、半導体や自動車部品の供給不足解消は依然先行きの見えない状況で、世界経済の本格的回復には時間を要することには注意が必要である。このような前提の下、物流事業では旺盛な貨物需要が当面継続すると見込まれるものの、スポット案件(代替輸送、緊急輸送)の剥落等が予想されることから、減収減益の見通しとなっている。(2) 旅行事業売上高は前期比84.0%増の4,600百万円、コスト削減施策をさらに推進することで営業損失は450百万円(前期は1,053百万円の損失)の見通し。本格的回復には時間を要するものと思われるが、徐々に海外業務渡航の取扱人数は回復に向かうと同社では予想しており、営業利益の黒字化は2024年3月期の見込みとなっている。(3) 不動産事業売上高は前期比20.3%増の1,600百万円、営業利益は前期同額の765百万円を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:39
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日新 Research Memo(8):事業活動を通じ、地球規模での持続的な社会の発展への貢献を目指す
■ESGへの取り組み日新<9066>は、社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本に、自己革新を続けながら、安全・迅速に高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、顧客との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、すべてのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としている。この基本方針を実現するために同社は、経済・社会の発展に不可欠である物流事業をはじめ旅行業などの関連事業を、企業倫理・法令遵守の徹底及び地球環境保全への積極的な取り組みなど企業の社会的責任(CSR)を果たしながら、グローバルに展開していくことを目指している。2022年3月期のトピックスとしては、2021年12月に「サステナビリティ基本方針」を制定したほか、以下のような取り組みを実施した。(1) Environment(環境)同社では、TCFDのフレームワークに従い、気候変動(機会、リスク)への取り組み状況や影響などを評価しCSRレポートに公開している。具体的には、環境対応施設として、平和島冷蔵物流センターを建設した。自然冷媒を使用した冷凍機を導入したほか、トラック予約受付システム導入によりトラック待機時間を削減しCO2削減に貢献した。このほか、事業者クラス分け評価制度(経済産業省)で7年連続の優良事業者(Sクラス評価)※となった。※直近5年間のエネルギー使用量平均原単位1%以上低減した事業者。(2) Social(社会)人材育成カリキュラムの充実のほか、多様な働き方の導入やダイバーシティなどを推進している。一例を挙げると、数年前から「女性が活躍する会社」の実現に向けて力を入れており、新卒採用での男女同数採用、子育て支援での男性社員の育児休暇取得などで成果が表れている。また、管理職登用では管理・営業で部長職での女性登用が相次ぎ、女性管理職比率は8.5%まで向上した。これらの活動が評価され、「えるぼし」(女性活躍推進法)及び「くるみん」(子育て支援)の認定を取得した。(3) Governance(ガバナンス)2021年6月23日付で女性取締役を登用しているほか、2020年10月には指名報酬委員会を設置している。サステナビリティ推進体制としては、経営会議の諮問機関として「サステナビリティ委員会」(2022年3月新設)が全社的サステナビリティ方針を策定し、「サステナビリティ推進室」(同年4月新設)にてサステナビリティ計画へ落し込み、現場部門に直結した「推進チーム(E、S、G」)がサステナビリティ活動を担っている。そして、「サステナビリティ委員会」がサステナビリティの重要課題に対して、課題解決に向けた目標の設定、進捗管理を行い、経営会議に答申する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:38
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日新 Research Memo(7):第6次中期経営計画の定量目標と重点施策はほぼ達成。第7次中期経営計画を始動(3)
■日新<9066>の中期経営計画(5) 重点施策外部環境変化に柔軟に対応できる強靭な事業構造の構築を目指し、「事業基盤強化」及び「経営基盤強化」を重点施策としている。事業基盤強化としては、事業ポートフォリオの再構築、産業別営業力強化、新規事業創出(DXを活用した新商品・サービス展開)を推進していく。また経営基盤強化としては、ESG経営を強力に推進する。(6) DXの推進「DXの推進」としては、最先端デジタル技術の活用により、DXを加速・強化していく計画だ。DXを「営業拡大」と「業務効率化」の2つに区分けし、推進していく。「営業拡大」では、デジタルフォワーディングサービスのオンライン化を進める。従来の電話・対面営業業務をオンラインで対応できるようにする。また、荷物にタグを付与することにより、ドアToドアでの追跡管理を可能とするなど、IoTを活用した国際物流の可視化サービスも展開していく。現状はリターナブル容器を管理しているが、商品も紐付けして管理・追跡できるよう進化させる。このほか、2021年8月に同社と東京大学協創プラットフォーム開発、三井倉庫ホールディングス、TW Linkの4社が、貿易情報連携プラットフォーム「TreadeWaltz®」を運営するトレードワルツに共同出資した。トレードワルツの貿易プラットフォーム基盤を活用することで、フォワーディングサービスのデジタル化を進め、荷主にわかりやすく、よりスピーディな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。また、トレードワルツへの共同出資によりさらに高度な電子貿易業務ノウハウを獲得し、同社のDXプロジェクトを加速化・発展させていきたいと考えている。業務効率化としては、貨物情報共有システムの構築を進めていく。これにより、荷主が貨物の状況を確認したい場合、リアルタイムで画像を送信できるようになる。ロケーション管理などIoTによる現場の最適化も推進する。また、サイバーポートやCONPASとの連携により書類の簡素化や港での待ち時間短縮が見込まれるほか、AI・OCRによる手配業務の効率化(画像認識による書類作成)も計画している。(7) 事業ポートフォリオ戦略の推進2021年7月に稼働した新基幹システムにより、事業ごとの収益を明確にアウトプットすることで、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入が可能となった。このため、営業体制を産業別の体制に変更するとともに、3次元(事業別、産業別、地域別)での事業管理体制を整え、さらなる事業拡大を目指していく。フェーズ1では事業ポートフォリオ管理を確立し、フェーズ2で効率的な事業運営と的確な投資判断につなげる方針だ。各地域のポートフォリオポジション及び施策としては、重点投資領域を日本とし、システム投資、人材育成、倉庫建設などインフラの整備及び拡充と、さらなる収益力向上を目指す。成長促進領域をアジア、中国、米州とし、効率性を高め、さらなる収益拡大を目指す。また、収益改善領域を欧州とし、食品や医薬品等に特化した独自サービスの開発を推進する。(8) 営業組織の再編従来は特定の産業・顧客(自動車や化学品など)が複数部門にまたがり、重複して非効率な営業活動となっていた。そこで、2022年4月に7つの産業別営業組織へ再編し、1営業部門が1つの産業を担当することとした。営業組織は7つの産業別営業部門(モビリティ、ケミカル、食品、電機・電子、機械・設備、メディカル・バイオ、展示会・イベント)からなり、今後は産業別に営業活動が一本化され、営業予算と利益責任も負うことになる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:37
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日新 Research Memo(6):第6次中期経営計画の定量目標と重点施策はほぼ達成。第7次中期経営計画を始動(2)
■中期経営計画2. 第7次中期経営計画第6次中期経営計画は2022年3月期が最終年度となり、2023年3月期から第7次中期経営計画がスタートする。第7次中期経営計画については日新<9066>内の専門部署で検討され、2038年の創立100周年を見据え、2038年の目指すべき企業像を明確にし、それに向けた施策を第7次中期経営計画にて策定した。また、これまでの物流事業の「規模の経済」から脱却して、「利益/キャッシュフロー」重視へ方向転換し、経営の効率化と安定的高収益体質の確立を目指している。第7次中期経営計画は「Nissin Next 7th」(NN7)とし、2022年3月に公表した。「Next」には、 “次の姿”を目指して、“次のSTEP”へ、という同社の強い思いが込められている。また、基本方針は「グローバル・ロジスティクス・プロバイダーとして、新領域事業への挑戦とコア事業の深耕化を図るとともに、ESG経営に取組む。」としている。(1) 3つのポイント第7次中期経営計画では、「コア事業の深耕化」「ESG経営」「新領域事業」の3つのポイントを掲げている。「コア事業の深耕化」は事業ポートフォリオの見直しに該当する。営業体制を産業別の体制へ変更し、3次元(事業別、産業別、地域別)での事業管理体制を整えることで、事業拡大を目指す。「ESG経営」としては、持続可能な社会の実現に向け、責任ある企業活動を推進する。「新領域事業」では、従来とは異なる発想により新たな物流関連事業を創出する。特に、物流業の業際分野で物流業者が関われるテーマやDXに関わるテーマを重点的に模索し、中長期に物流フィールドを拡大することで、より大きなスケールの物流事業者を目指していく。(2) 期間第7次中期経営計画は2023年3月期~2027年3月期の5年間となるが、新たな試みとして5年間を2つの期間にわけ、フェーズ1の2年間で強固な経営基盤を確実に構築し、フェーズ2の3年間で大きな飛躍の実現とより高い企業価値の創造を目指す。a) フェーズ1(2023年3月期~2024年3月期)フェーズ1の2年間では、次世代(Society5.0)に適応する事業基盤・経営基盤の構築を実行する。中長期的な視野で新しい社会に対応していくために、新基幹システムで得たデータを営業施策に有効活用するほか、新領域事業創出のための基盤作りを推進する。一方、ESG経営にも積極的に取り組む方針で、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応などを予定している。このほか、IT商品の進化なども進めていく。b) フェーズ2(2025年4月期~2027年3月期)フェーズ2の3年間では、施策の確実な実行とさらなる成長の実現を目指す。フェーズ1で構築した事業基盤・経営基盤を活用し、企業価値を高める新しい施策を実行していく。具体的には、これまで培ってきたグローバル・ロジスティクス・プロバイダーとしてのサービス提供や産業ごとの構造変化に合わせたサービスの提供に加え、新領域事業として従来とは異なる発想によって生み出す新たな物流関連事業にも挑戦し、企業価値を高めていく方針だ。(3) 数値目標数値目標についてもフェーズごとに設定している。フェーズ1では、2024年3月期に売上高1,900億円、営業利益85億円、経常利益90億円、親会社株主に帰属する当期純利益65億円、ROE8.0%程度を目指す。トップ水準の売上高及び2022年3月期に達成した過去最高益を2024年3月期まで維持していく。アフターコロナを想定すると、この数値目標は過去の業績を一段階上げた高水準と言える。フェーズ2では、2027年3月期に売上高2,750億円、営業利益110億円、経常利益115億円、親会社株主に帰属する当期純利益86億円、ROE9.0%程度を目指す。第6次中期経営計画当初、同社では「2027年3月期に売上高3,000億円、営業利益100億円」達成を目指していた。今回の第7次中期経営計画の数値目標は売上高が下回っているものの、「収益認識に関する会計基準」等の適用によるもので、当該基準を適用しないと仮定した場合、3,200~3,300億円に相当し、過去最高売上高となる。(4) 投資計画第7次中期経営計画期間中の投資計画は総額250~300億円としている。このうち、「施設関連投資」としては、神奈川埠頭50億円、栃木芳賀倉庫50億円、その他国内・海外施設100~150億円程度を重点的に投資する。また「戦略投資枠」として50億円を計画しており、IT/DX、ESG、M&A、人材開発などに投資する計画だ。なお、M&A投資は、物流機能の補完や顧客層の拡大などを目的とした案件について、今後調査企画及び具体的検討に入る。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:36
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日新 Research Memo(5):第6次中期経営計画の定量目標と重点施策はほぼ達成。第7次中期経営計画を始動(1)
■中期経営計画日新<9066>は2017年5月に、2022年3月期を最終年度とする第6次中期経営計画を策定した。基本方針として『「グローバル・ロジスティクス・プロバイダー」~世界最高品質の物流企業への更なる進化~』を掲げ、定量目標を設定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響による世界経済環境の変化が著しく、達成が困難なものと判断し、2020年11月に取り下げることとした。しかしながら、結果的に2022年3月期営業利益は、当初目標である7,400百万円に対し9,098百万円と大幅に上回って着地した。第6次中期経営計画の1年目(2018年3月期)は順調に進捗したものの、2年目(2019年3月期)下期より米中摩擦の影響で主に自動車関連貨物の荷動きが弱まり、特に航空貨物の減少が目立ちはじめた。3年目(2020年3月期)に入っても世界経済の減速に回復の動きが見られず、第4四半期には新型コロナウイルスの世界的蔓延が表面化し、物流、旅行ともに収益に大きな影響を受けた。4年目(2021年3月期)もコロナ禍の影響が継続したが、物流事業は2020年7月以降徐々に貨物量の回復がはじまり、下期以降は世界的な海上コンテナ不足による航空需要の拡大などもあり、業績が急回復した。しかしながら旅行事業は、旅客便の減便や各国の入国制限が継続し営業損失が続いた。そして、5年目(2022年3月期)は一転し、物流事業では旺盛な貨物需要の下、同社の専門性とネットワーク力を生かしたスポット案件(代替輸送、緊急輸送)を着実に受注に結びつけ、旅行事業では徹底的な経費削減の努力をした結果、短期間で収益が改善し、過去最高益を達成した。1. 第6次中期経営計画の振り返り(1) 重点3分野の進捗状況同社は第6次中期経営計画で「自動車関連物流」「化学品・危険品物流」「食品物流」を重点3分野として設定し、連結売上においてバランスの取れた売上構成を目指した。なお重点3分野は、それぞれ業界トップの得意先との取引を長年継続しており、安定した市場・顧客構造となっている。a) 自動車関連物流第6次中期経営計画3年目(2020年3月期)は米中摩擦やコロナ禍、半導体や自動車部品の供給不足解消は依然先行きの見えない状況であったが、4年目となる2021年3月期下期以降は米国を中心に日本やアジアでも、自動車関連貨物は航空輸出入ともに一転好調に転じた。この結果、当初計画(2022年3月期に454億円)に対し21.6%増の552億円となった。第6次中期経営計画の実績としては、インドで二輪車用倉庫を拡張したほか、中国で深セン発欧州向け鉄道輸送併用サービスを開始した。また米州では、コロンバス、デトロイト、ナッシュビルの3拠点に自動車部品を対象とした倉庫を開設した。b) 化学品・危険品物流コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に195億円)に対し7.7%増の210億円となった。c) 食品物流コロナ禍の影響が少ないこともあり、当初計画(2022年3月期に120億円)に対し17.5%増の141億円となった。2022年3月期の実績としては、タイ発メキシコ向け清涼飲料の輸出や米国発日本・アジア向けコーヒー飲料の材料などの輸出などが挙げられる。(2) 2022年3月期の取り組み第6次中期経営計画最終年度(2022年3月期)の取り組みは、以下のとおりである。a) EV・FCV関連市場の開拓次世代モビリティ関連の部品取扱倉庫建設用地を栃木県に取得した。b) 化学品・危険品、食品物流の国内外事業強化平和島冷蔵物流センターの貨物集荷強化のほか、横浜地区危険物倉庫開設に向けた準備を進めている。c) 物流施設再編による収益拡大天井クレーンなどの大型重量貨物の荷役設備が整った横浜重量物梱包センターへ重量貨物を集約し、取扱物量が増加した。d) 新基幹システムの軌道化同社は2021年7月に、新基幹システムを稼働した。このシステムは事業ごとの収益を明確にアウトプットできる機能を有していることから、同社の事業ポートフォリオを改めて精査し、より効果的な経営資源の投入を目指していく。e) DXへの積極的な取り組み同社では以前より「物流商品開発室」にてITを駆使した物流商品の開発や顧客へのシステム提案を活発に行っていたが、2021年4月より新たに機能を充実させた「物流DX推進室」を設立した。今後はデジタルと物流の融合を全面に出した物流商品開発や新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいく。また、2021年7月には、オンラインで「見積もり」「発注」「作業進捗」の一元管理ができるデジタルフォワーディングサービス「Forward ONE」を開設した。これは、オンラインサイトを通じて複雑な国際物流管理を可視化し、シンプルなフォワーディングを目指したサービスとなる。これにより、顧客が同サイトで見積もりを作成し、同社営業スタッフが顧客訪問を行うなど、営業プロセス改革が見込まれる。2021年8月には、同社と東京大学協創プラットフォーム開発(株)、三井倉庫ホールディングス<9302>、(株)TW Linkの4社が、貿易情報連携プラットフォーム「TreadeWaltz®」を運営する(株)トレードワルツに共同出資することを発表した。トレードワルツの貿易プラットフォーム基盤を活用することで、フォワーディングサービスのデジタル化を進め、荷主にわかりやすく、よりスピーディな国際物流ポータルサービスの提供を目指す。f) グループ会社のガバナンス機能強化同社米国子会社を業務プロセス統制の対象に追加した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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2022/07/04 15:35