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天昇電 Research Memo(1):2022年3月期は減価償却費の増加により営業減益となるも、内容は好転
配信日時:2022/07/04 16:11
配信元:FISCO
■要約
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が約60%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充する一方で、北米での事業を拡大する方針である。同社は長い間、業績低迷に苦しんでいたが2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)するまで業績が向上し、現在も継続して配当を実施している。2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で大幅減益となった。2022年3月期も営業減益となったが、減価償却費の増加によるもので、内容は好転した。
1. 2022年3月期の業績:減価償却費の増加により営業減益となるも、内容は好決算
2022年3月期の連結業績は、売上高19,449百万円(前期比25.0%増)、営業利益225百万円(同22.6%減)、経常利益355百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同54.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売がコロナ禍や半導体不足等により停滞したことから、同社の単体売上高は前期比0.4%増に止まったが、新規連結となった竜舞プラスチック(株)の寄与と米国子会社の好調により連結売上高は大幅増収となった。金型を中心に設備投資を積極的に行ったことから減価償却費が増加し、営業利益は減益となったが、償却前営業利益は前期比36.2%増となった。キャッシュ・フローも改善しており、内容は見かけほど悪くはなく、むしろ好決算だったと言える。
2. 2023年3月期の見通し:償却負担は続くが増益を目指す
2023年3月期の連結業績は、売上高24,000百万円(前期比23.4%増)、営業利益600百万円(同165.7%増)、経常利益540百万円(同52.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益350百万円(同42.2%増)と予想している。竜舞プラスチックが通年で寄与すること(2022年3月期は9ヶ月間)、自動車生産がある程度回復することを前提に20%超の増収を見込んでいる。営業利益については、減価償却費も増加すると推測されるものの、これを吸収して大幅な増益を見込んでいる。国内の自動車生産の動向が業績を左右すると思われるが、業績だけでなく財務基盤も着実に改善している点は注目する必要があるだろう。
3. 中長期の成長戦略:内需型製品及び海外事業の拡大により成長を加速する
現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透資材などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。その一方で、米国での事業をさらに拡大することでも成長を目指す。容易な道のりではないが、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。定量的な数値と同時に、同社の事業体質がどう変わっていくか、今後に注目したい。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い
・2022年3月期は営業減益だが、減価償却費の増加によるもので、内容は好決算
・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
天昇電気工業<6776>は、1936年(昭和11年)に創業した歴史のある合成樹脂(プラスチック)成形品メーカーである。長い歴史のなかで培われた技術力は高く、顧客との信頼関係も厚い。製品の向け先は幅広い業種に及んでいるが、現在は自動車向けの比率が約60%と高い。今後は、内需向けの製品を拡充する一方で、北米での事業を拡大する方針である。同社は長い間、業績低迷に苦しんでいたが2017年3月期に9年ぶりに復配(年間3円)するまで業績が向上し、現在も継続して配当を実施している。2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で大幅減益となった。2022年3月期も営業減益となったが、減価償却費の増加によるもので、内容は好転した。
1. 2022年3月期の業績:減価償却費の増加により営業減益となるも、内容は好決算
2022年3月期の連結業績は、売上高19,449百万円(前期比25.0%増)、営業利益225百万円(同22.6%減)、経常利益355百万円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益246百万円(同54.9%増)となった。主たる向け先である自動車メーカーの生産・販売がコロナ禍や半導体不足等により停滞したことから、同社の単体売上高は前期比0.4%増に止まったが、新規連結となった竜舞プラスチック(株)の寄与と米国子会社の好調により連結売上高は大幅増収となった。金型を中心に設備投資を積極的に行ったことから減価償却費が増加し、営業利益は減益となったが、償却前営業利益は前期比36.2%増となった。キャッシュ・フローも改善しており、内容は見かけほど悪くはなく、むしろ好決算だったと言える。
2. 2023年3月期の見通し:償却負担は続くが増益を目指す
2023年3月期の連結業績は、売上高24,000百万円(前期比23.4%増)、営業利益600百万円(同165.7%増)、経常利益540百万円(同52.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益350百万円(同42.2%増)と予想している。竜舞プラスチックが通年で寄与すること(2022年3月期は9ヶ月間)、自動車生産がある程度回復することを前提に20%超の増収を見込んでいる。営業利益については、減価償却費も増加すると推測されるものの、これを吸収して大幅な増益を見込んでいる。国内の自動車生産の動向が業績を左右すると思われるが、業績だけでなく財務基盤も着実に改善している点は注目する必要があるだろう。
3. 中長期の成長戦略:内需型製品及び海外事業の拡大により成長を加速する
現在は売上高の約60%が自動車向けとなっているが、今後は雨水貯留浸透資材などの内需型製品の売上高を伸ばすなどして自動車向け比率を35%程度とすることで成長を図る。その一方で、米国での事業をさらに拡大することでも成長を目指す。容易な道のりではないが、これが達成できれば、同社の体質は大きく変わるだろう。定量的な数値と同時に、同社の事業体質がどう変わっていくか、今後に注目したい。
■Key Points
・プラスチック製品の老舗メーカー。技術力が高く顧客からの信頼は厚い
・2022年3月期は営業減益だが、減価償却費の増加によるもので、内容は好決算
・今後は内需型製品及び海外事業の拡大で収益基盤の安定化を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
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