注目トピックス 日本株
ワイエイシイ Research Memo(1):2022年3月期は大幅増益、社内改革が利益率の向上に結実(1)
配信日時:2022/07/04 16:31
配信元:FISCO
■要約
ワイエイシイホールディングス<6298>はHDD(ハードディスクドライブ)や半導体などを対象事業領域とする「メカトロニクス関連事業」、有機EL(OLED)やFPD(フラットパネルディスプレイ)などを対象事業領域とする「ディスプレイ関連事業」、祖業のクリーニングや新規事業である紙包装などを対象事業領域とする「産業機器関連事業」、電力・医療などを対象事業領域とする「電子機器関連事業」の4つの事業セグメントで事業を展開している。持株会社制をとる専門分野におけるリーディングカンパニー合計16社の集合体として社会に積極的に価値を提供している。
近年は同社の事業をさらに拡大させ、株主利益の最大化を図るとともに社会貢献を促進すべく、ビジネスモデルの変革を実行中だ。従来のプロ向け少量多品種の受注生産モデルから量産生産型モデルへの転換を図ると同時に営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の上昇を実現している。また、量産型ビジネスモデルのもとでSDGsを意識した新製品の開発を加速している。人工透析装置、高感度デジタルバイオマーカー測定装置、マグネシウム電池、海水淡水化装置、紙包装機など、事業活動を通じて社会課題を解決することを意識した新製品の開発・販売を積極的に行っている点も特徴だ。
1. 2022年3月期の連結業績概要
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が旺盛だったメカトロニクス関連事業と電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だった電子機器関連事業が業績を牽引した格好だ。また、ディスプレイ関連事業と産業機器関連事業に関しても、ディスプレイ製造装置に関する消耗品の販売、リネン事業への展開などに注力することによって、前期比で損失を改善させている。
全体に関して見てみると、売上高のみ新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受けて前期を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。受注額に関しても前期比38.8%増の28,632百万円に膨らんでいる。このことからも同社が注力している営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の向上という施策の妥当性とその効果が業績に結実していることが見て取れる。
また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。これらの活動は今後も継続していることから、同社の利益率、ひいてはROEは今後も順調に推移することが見込まれると弊社は見ている。
2. 2023年3月期の連結業績見通し
2023年3月期の業績に関して同社は、売上高で前期比31.6%増の30,000百万円、営業利益で同91.5%増の3,000百万円、経常利益で同87.7%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で53.5%増の1,700百万円と増収増益を見込んでいる(営業利益率は前期比プラス3.1ポイントの10.0%、経常利益率は同プラス2.8ポイントの9.3%、当期純利益率は同プラス0.8ポイントの5.7%を見込む)。営業改革による受注の拡大と生産活動改革による稼働率アップ、経費最適化によって前期比増収増益と利益率の向上を実現する考えだ。また、量産型ビジネスモデルへの変革に向けてSDGsに対応した新製品も順次市場に投入していくことを計画している。
5GやIoT関連で引き続き旺盛な需要が見込まれるメカトロニクス関連事業、再エネ、医療関連が引き続き好調に推移することが見込まれる電子機器関連事業、コロナ禍による在宅ワークの広がりなどの影響を受けて設備投資が堅調に推移することが見込まれるディスプレイ関連事業など外部環境が好調に推移することが見込まれる3セグメントに加えて、産業機器関連事業においてもリネン業界とEC物流業界への拡販を実行する計画であること、ここ数年にわたって指導を継続してきた営業改革・生産活動改革の効果が顕在化していること、新製品も順調に開発が進んでいることなどを考慮すると業績予想の達成と各段階利益率の向上を実現する可能性は高いと弊社は考える。
また、2023年3月期のEPSと年間配当金はそれぞれ186.21円、50.00円を計画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
ワイエイシイホールディングス<6298>はHDD(ハードディスクドライブ)や半導体などを対象事業領域とする「メカトロニクス関連事業」、有機EL(OLED)やFPD(フラットパネルディスプレイ)などを対象事業領域とする「ディスプレイ関連事業」、祖業のクリーニングや新規事業である紙包装などを対象事業領域とする「産業機器関連事業」、電力・医療などを対象事業領域とする「電子機器関連事業」の4つの事業セグメントで事業を展開している。持株会社制をとる専門分野におけるリーディングカンパニー合計16社の集合体として社会に積極的に価値を提供している。
近年は同社の事業をさらに拡大させ、株主利益の最大化を図るとともに社会貢献を促進すべく、ビジネスモデルの変革を実行中だ。従来のプロ向け少量多品種の受注生産モデルから量産生産型モデルへの転換を図ると同時に営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の上昇を実現している。また、量産型ビジネスモデルのもとでSDGsを意識した新製品の開発を加速している。人工透析装置、高感度デジタルバイオマーカー測定装置、マグネシウム電池、海水淡水化装置、紙包装機など、事業活動を通じて社会課題を解決することを意識した新製品の開発・販売を積極的に行っている点も特徴だ。
1. 2022年3月期の連結業績概要
2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が旺盛だったメカトロニクス関連事業と電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だった電子機器関連事業が業績を牽引した格好だ。また、ディスプレイ関連事業と産業機器関連事業に関しても、ディスプレイ製造装置に関する消耗品の販売、リネン事業への展開などに注力することによって、前期比で損失を改善させている。
全体に関して見てみると、売上高のみ新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受けて前期を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。受注額に関しても前期比38.8%増の28,632百万円に膨らんでいる。このことからも同社が注力している営業改革による受注の拡大と生産活動の稼働率アップによる利益率の向上という施策の妥当性とその効果が業績に結実していることが見て取れる。
また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。これらの活動は今後も継続していることから、同社の利益率、ひいてはROEは今後も順調に推移することが見込まれると弊社は見ている。
2. 2023年3月期の連結業績見通し
2023年3月期の業績に関して同社は、売上高で前期比31.6%増の30,000百万円、営業利益で同91.5%増の3,000百万円、経常利益で同87.7%増の2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で53.5%増の1,700百万円と増収増益を見込んでいる(営業利益率は前期比プラス3.1ポイントの10.0%、経常利益率は同プラス2.8ポイントの9.3%、当期純利益率は同プラス0.8ポイントの5.7%を見込む)。営業改革による受注の拡大と生産活動改革による稼働率アップ、経費最適化によって前期比増収増益と利益率の向上を実現する考えだ。また、量産型ビジネスモデルへの変革に向けてSDGsに対応した新製品も順次市場に投入していくことを計画している。
5GやIoT関連で引き続き旺盛な需要が見込まれるメカトロニクス関連事業、再エネ、医療関連が引き続き好調に推移することが見込まれる電子機器関連事業、コロナ禍による在宅ワークの広がりなどの影響を受けて設備投資が堅調に推移することが見込まれるディスプレイ関連事業など外部環境が好調に推移することが見込まれる3セグメントに加えて、産業機器関連事業においてもリネン業界とEC物流業界への拡販を実行する計画であること、ここ数年にわたって指導を継続してきた営業改革・生産活動改革の効果が顕在化していること、新製品も順調に開発が進んでいることなどを考慮すると業績予想の達成と各段階利益率の向上を実現する可能性は高いと弊社は考える。
また、2023年3月期のEPSと年間配当金はそれぞれ186.21円、50.00円を計画している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
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