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ワイエイシイ Research Memo(6):生産活動改革が結実し、2022年3月期は前期比大幅増益を達成
配信日時:2022/07/04 16:36
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年3月期の連結業績概要
ワイエイシイホールディングス<6298>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。売上高と営業利益はコロナ禍による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受け、期初の想定(売上高30,000百万円、営業利益1,600百万円)を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録した(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。
セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円(当初計画は13,470百万円)、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円(同5,690百万円)、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円(同3,720百万円)、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円(同7,120百万円)、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。メカトロニクス関連事業においては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上は予算未達だったものの、5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が好調に推移した。ディスプレイ関連事業に関しては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上が予算未達となったものの、在宅ワークによって創出された需要をうまく掴んだこと、消耗品の販売に注力したことなどが寄与し、黒字を確保している。産業機器関連事業においては、ホームクリーニング向けの売上は市場の低迷により横ばいだったものの、リネン事業への進出など、各施策が奏功し、前期比で損失額を大きく減らしている。電子機器関連事業に関しては、電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だったことによって計画を上回って着地している。
今回の業績のポイントは、各利益段階の利益率が上昇したことだ。ここ数年の営業改革・生産活動改革が業績に結実した。今後も同社は営業改革による受注の拡大、生産活動改革による稼働率アップ、量産型ビジネスモデルへの変革などを着実に実行していく構えであり、さらなる利益率の上昇が期待できると弊社は見ている。
また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。利益率と同じくROEに関しても順調に推移することが見込まれる。なお、EPSも前期比プラス84.30円と急伸している。
流動比率と固定比率が改善し、長短の手元流動性に問題なし
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期末時点の同社の財務状況は、事業活動の結果としてしっかりと利益を計上したことにより、利益剰余金が前期末比プラス953百万円の9,406百万円に膨らんでいる。流動資産の現金及び預金が1,313百万円減少しているものの、これは短期借入金の返済1,637百万円を実施し、財務の健全化を図ったことが大きい。実際、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し純資産が増加するなかで負債を減少させたことによって、自己資本比率は前期末比プラス3.8ポイントの41.3%に改善している。
同社の財務の健全性に関して弊社は問題がないと考える。2022年3月期末時点の現金及び現金同等物の残高は8,619百万円としっかりと積み上がっていることに加えて、流動比率と固定比率も208.8%、53.2%であり、長短の手元流動性には問題がないと弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
1. 2022年3月期の連結業績概要
ワイエイシイホールディングス<6298>の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%減の22,796百万円、営業利益で同115.3%増(約2.2倍)の1,566百万円、経常利益で同101.6%増(約2.0倍)の1,491百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同228.1%増(約3.3倍)の1,107百万円と各利益が前期を大きく上回った。売上高と営業利益はコロナ禍による営業活動への制約、部品納期遅延などの影響を受け、期初の想定(売上高30,000百万円、営業利益1,600百万円)を下回ったものの、全社的に進める生産活動の稼働率アップなどの施策が実を結び、売上総利益率が前期比プラス5.8ポイントの26.9%に上昇するなど各段階の利益率は過去5年間で最高を記録した(営業利益率は前期比プラス3.9ポイントの6.9%、経常利益率は同プラス3.4ポイントの6.5%、当期純利益率は同プラス3.5ポイントの4.9%)。
セグメント別の業績は、メカトロニクス関連事業が売上高で前期比6.9%増の10,866百万円(当初計画は13,470百万円)、営業利益で同66.9%増の957百万円、ディスプレイ関連事業が売上高で同45.6%減の3,639百万円(同5,690百万円)、営業利益で10百万円(前期は262百万円の損失)、産業機器関連事業が売上高で同24.8%増の1,021百万円(同3,720百万円)、営業損失が171百万円(前期は259百万円の損失)、電子機器関連事業が売上高で同11.5%増の7,269百万円(同7,120百万円)、営業利益で同34.0%増の629百万円だった。メカトロニクス関連事業においては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上は予算未達だったものの、5G関連、EV等向けのキャリアテープ、パワー半導体関連の需要が好調に推移した。ディスプレイ関連事業に関しては、顧客の投資計画の変更による期ズレなどの影響を受けて売上が予算未達となったものの、在宅ワークによって創出された需要をうまく掴んだこと、消耗品の販売に注力したことなどが寄与し、黒字を確保している。産業機器関連事業においては、ホームクリーニング向けの売上は市場の低迷により横ばいだったものの、リネン事業への進出など、各施策が奏功し、前期比で損失額を大きく減らしている。電子機器関連事業に関しては、電力会社向け制御通信機器、人工透析装置が好調だったことによって計画を上回って着地している。
今回の業績のポイントは、各利益段階の利益率が上昇したことだ。ここ数年の営業改革・生産活動改革が業績に結実した。今後も同社は営業改革による受注の拡大、生産活動改革による稼働率アップ、量産型ビジネスモデルへの変革などを着実に実行していく構えであり、さらなる利益率の上昇が期待できると弊社は見ている。
また、ROEが前期比プラス5.1%の7.5%に急進している点も見逃せない。これは親会社株主に帰属する当期純利益をしっかりと生み出した結果であり、ここでも営業改革と生産活動改革の効果が現れていると弊社は考える。利益率と同じくROEに関しても順調に推移することが見込まれる。なお、EPSも前期比プラス84.30円と急伸している。
流動比率と固定比率が改善し、長短の手元流動性に問題なし
2. 財務状況と経営指標
2022年3月期末時点の同社の財務状況は、事業活動の結果としてしっかりと利益を計上したことにより、利益剰余金が前期末比プラス953百万円の9,406百万円に膨らんでいる。流動資産の現金及び預金が1,313百万円減少しているものの、これは短期借入金の返済1,637百万円を実施し、財務の健全化を図ったことが大きい。実際、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し純資産が増加するなかで負債を減少させたことによって、自己資本比率は前期末比プラス3.8ポイントの41.3%に改善している。
同社の財務の健全性に関して弊社は問題がないと考える。2022年3月期末時点の現金及び現金同等物の残高は8,619百万円としっかりと積み上がっていることに加えて、流動比率と固定比率も208.8%、53.2%であり、長短の手元流動性には問題がないと弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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