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注目トピックス 日本株 プラズマ、松屋◆今日のフィスコ注目銘柄◆ プラズマ<6668>3Q業績は、売上高が前年同期比52.2%増の89.23億円、営業利益は同149.3%増の19.92億円だった。半導体・液晶関連事業においては大型案件はないものの、リピート品や小型案件を獲得するとともに、研究機関における定期点検等の保守サービスを確保した。あわせて今期2度目となる通期業績予想の修正を発表しており、売上高は117億円から121億円、営業利益を23億円から28億円に上方修正した。松屋<8237>6月29日につけた直近戻り高値961円をピークに調整を継続していたが、切り上がる75日線が支持線として機能しており、リバウンドを試す展開が意識されそうだ。一目均衡表では雲の薄い局面に位置しているため、雲を上放れてくる動きが期待されよう。遅行スパンは実線を下回っているものの、6月9日の高値を通過してくるため、上方シグナルを発生へのハードルは低くなる。 <FA> 2022/07/14 08:41 注目トピックス 日本株 ADR日本株ランキング~全般小動き、シカゴは大阪比45円高の26485円~ ADR(米国預託証券)の日本株は、任天堂<7974>、富士フイルム<4901>、エーザイ<4523>が小じっかりな半面、ファナック<6954>、ファーストリテ<9983>、デンソー<6902>、HOYA<7741>、富士通<6702>が小安いなど、対東証比較(1ドル137.39円換算)で全般小動き。シカゴ日経225先物清算値は大阪比45円高の26485円。ダウ平均は208.54ドル安の30772.79ドル、ナスダックは17.15ポイント安の11247.58で取引を終了した。6月消費者物価指数(CPI)が前年比で41年ぶりの高水準に加速したため7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で1.0%利上げ観測も浮上したため売りが先行し、寄り付き後、下落。金利高が重しとなり、終日軟調推移となったが、景気後退観測が強まると、同時に引き締めも想定された程、進まないとの見方も広がり長期金利が低下に転じると売り圧力も後退した。引けにかけて下げ幅を縮小。13日のニューヨーク外為市場でドル・円は、137円01銭から137円87銭まで上昇後、137円33銭まで下げており、137円44銭で引けた。米6月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったため7月連邦公開市場委員会(FOMC)で一部1%利上げ観測も強まり金利上昇に伴うドル買いに拍車がかかった。ただ、大幅な利上げにより、景気後退に陥るとの懸念も浮上し、金利の上昇が一段落するとドル買いも後退。30年債入札も好調でドル売りを支援した。その後、ボスティック米アトランタ連銀総裁が6月CPIの結果に懸念を表明し全てが選択肢になると言及したほか、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した最新の米地区連銀経済報告(ベージュブック)でも著しい物価の上昇が報告されたため、7月の1%利上げ確率は一段と高まった。ユーロ・ドルは0.9998ドルまで下落後、1.0122ドルまで反発し、1.0061ドルで引けた。米6月CPIの結果を受け欧米金利差拡大観測にドル買い・ユーロ売りが加速。その後、欧州中央銀行(ECB)報道官が「ECBは特別な為替目標を設けていないが、インフレへの為替相場の影響を注視していく」と発言すると当局のユーロ安是正などを警戒しユーロ売りが一服。さらに、米国の景気後退懸念を受けたドル売りに上昇。NY原油先物8月限は小幅高(NYMEX原油8月限終値:96.30 ↑0.46)。■ADR上昇率上位銘柄(13日)<7205> 日野自 52.07ドル 715円 (15円) +2.14%<8309> 三井トラスト 3.15ドル 4328円 (71円) +1.67%<6460> セガサミーHD 4.03ドル 2215円 (33円) +1.51%<7733> オリンパス 19.72ドル 2709円 (35.5円) +1.33%<6479> ミネベア 33.26ドル 2285円 (19円) +0.84%■ADR下落率下位銘柄(13日)<6753> シャープ 1.85ドル 1017円 (-34円) -3.24%<6723> ルネサス 4.33ドル 1190円 (-16円) -1.33%<5201> AGC 6.64ドル 4561円 (-54円) -1.17%<1812> 鹿島 10.84ドル 1490円 (-14円) -0.93%<7731> ニコン 10.22ドル 1404円 (-9円) -0.64%■その他ADR銘柄(13日)<1925> 大和ハウス 23.41ドル 3216円 (3円)<1928> 積水ハウス 17.17ドル 2358円 (13円)<2503> キリン 16.11ドル 2214円 (9円)<2802> 味の素 24.94ドル 3426円 (-3円)<3402> 東レ 10.39ドル 714円 (-3円)<3407> 旭化成 15.09ドル 1036円 (2円)<4523> エーザイ 44.98ドル 6180円 (28円)<4704> トレンド 51.92ドル 7133円 (13円)<4901> 富士フイルム 54.26ドル 7455円 (25円)<4911> 資生堂 40.47ドル 5560円 (0円)<5108> ブリヂストン 18.2ドル 5002円 (-11円)<5201> AGC 6.64ドル 4561円 (-54円)<5802> 住友電 10.67ドル 1466円 (7円)<6301> コマツ 21.02ドル 2888円 (3.5円)<6503> 三菱電 21.08ドル 1448円 (2円)<6645> オムロン 49.63ドル 6819円 (3円)<6702> 富士通 25.62ドル 17600円 (-55円)<6723> ルネサス 4.33ドル 1190円 (-16円)<6758> ソニーG 81.52ドル 11200円 (10円)<6762> TDK 28.25ドル 3881円 (1円)<6902> デンソー 26.43ドル 7262円 (-34円)<6954> ファナック 15.28ドル 20993円 (-82円)<6988> 日東電 30.33ドル 8334円 (-26円)<7201> 日産自 7.45ドル 512円 (2.4円)<7202> いすゞ 10.67ドル 1466円 (-2円)<7203> トヨタ 155.44ドル 2136円 (1.5円)<7267> ホンダ 24.42ドル 3355円 (20円)<7270> SUBARU 8.31ドル 2283円 (-1円)<7733> オリンパス 19.72ドル 2709円 (35.5円)<7741> HOYA 91.6ドル 12585円 (-45円)<7751> キヤノン 22.65ドル 3112円 (-6円)<7974> 任天堂 54.7ドル 60122円 (222円)<8001> 伊藤忠 54.98ドル 3777円 (8円)<8002> 丸紅 86.01ドル 1182円 (2円)<8031> 三井物 414.41ドル 2847円 (11.5円)<8053> 住友商 13.4ドル 1841円 (4円)<8267> イオン 19.1ドル 2625円 (8.5円)<8306> 三菱UFJ 5.35ドル 735円 (3.3円)<8309> 三井トラスト 3.15ドル 4328円 (71円)<8316> 三井住友 5.95ドル 4087円 (-7円)<8411> みずほFG 2.31ドル 1587円 (8円)<8591> オリックス 83.54ドル 2296円 (-4円)<8604> 野村HD 3.71ドル 510円 (2.8円)<8766> 東京海上HD 57.8ドル 7940円 (0円)<8802> 菱地所 14.06ドル 1932円 (-7.5円)<9202> ANA 3.58ドル 2459円 (17.5円)<9432> NTT 28.31ドル 3890円 (-16円)<9735> セコム 15.94ドル 8761円 (-29円)<9983> ファーストリテイ 50.11ドル 68846円 (-254円)<9984> ソフトバンクG 19.37ドル 5322円 (-16円) <ST> 2022/07/14 07:42 注目トピックス 日本株 前日に動いた銘柄 part2 ジーダット、ボードルア、坪田ラボなど 銘柄名<コード>13日終値⇒前日比東京海上<8766> 7940 -266高値圏でリバランスの動きも強まるか。パンパシHD<7532> 2070 -65カネ美食品のTOB負担などを意識か。SCSK<9719> 2278 -76シティグループ証券では投資判断を格下げ。レーザーテック<6920> 16285 -165半導体市場の先行き鈍化懸念が続く形に。INPEX<1605> 1366 -23NY原油市況が節目の100ドル割れで。ジーダット<3841> 902+150液晶・OLEDパネル向け新製品開発を発表。メディアリンクス<6659> 166 +50韓国放送ネットワークに同社伝送技術採用と伝わり12日から急伸。アクサスHD<3536> 134 +23業績・配当予想を上方修正している。ガーラ<4777> 610 +100メタバース関連として関心が再燃か。セルム<7367> 735 +84自己株式取得総額の上限を引き上げ。Shinwa<2437> 972 +179日のオークションで落札価格合計5.8億円と伝わり前日から買い優勢。白鳩<3192> 298 +4013日第1四半期の決算発表が予定されているが。ERI HD<6083> 1003 -147今期の2ケタ営業減益見通しをネガティブ視。オーネックス<5987> 989 -1112日にかけて大幅連騰となった反動。ヘリオス<4593> 344 -1米バイオ企業と商業用iPS細胞株提供で合意、カナダ企業とも独占交渉開始。WACUL<4173> 640 -36第1四半期の営業利益は前年同期比61.3%減の0.26億円と発表。ボードルア<4413> 2099 +14623年2月期第1四半期の営業利益1.10億円、成長分野への取り組みが奏功。トライステージ<2178> 563 ±0第1四半期の営業利益は前年同期比13.9%減の2.99億円。サンバイオ<4592> 1181 +78米系証券で投資判断の格上げ観測。アルー<7043> 689 +40東京学芸大学の学びが交錯するラボに参加することによる人材育成モデルの開発開始。坪田ラボ<4890> 1130 +104直近IPO銘柄、引き続き物色意欲旺盛で一時1244円まで上昇。SKIYAKI<3995> 522 +80音声プラットフォーム事業を手掛けるVoicyと資本提携。キャリア<6198> 356 +71コロナ禍の第7波入りとの見方で思惑的な物色か。ウェッジHD<2388> 115 -9引き続き資金流出が続く。 <FA> 2022/07/14 07:32 注目トピックス 日本株 前日に動いた銘柄 part1 東宝、パルグループHD、竹内製作所など 銘柄名<コード>13日終値⇒前日比まぐまぐ<4059> 700 +62音声プラットフォーム運営企業に出資。ジャムコ<7408> 1262 +132米ボーイングの4-6月納入機数が前年同期比53%増。アビスト<6087> 2832 +103株主優待制度を拡充。ホギメディカル<3593> 3380 +95第1四半期営業利益24%増。マイクロ波化学<9227> 870 +150マイクロ波加熱を用いる省エネ・CO2削減精製技術でリチウム実鉱石の溶解に成功。エコス<7520> 2124 -217第1四半期営業利益21%減。パルグループHD<2726> 2049 +297想定以上の収益拡大がポジティブインパクトに。エーアイテイー<9381> 1789 +189引き続き業績上方修正をポジティブ視へ。竹内製作所<6432> 2450 +245第1四半期大幅増益で通期予想を上方修正。三協立山<5932> 616 +64今期2ケタ増益転換見通しや増配計画を評価。三光合成<7888> 350 +23今期2ケタ営業増益見通しをポジティブ視。東宝<9602> 5270 +305第1四半期大幅増益決算を好感。ファーマフーズ<2929> 1542 +89買い戻し優勢など需給面主体か。関西ペイント<4613> 1920 +96新規材料見当たらないが自社株買いなど需給妙味強く。リクルートHD<6098> 4364 +123「Airペイ」を通じた決済流通総額が22年度1兆円に達する見込みと。インターアクション<7725> 1772 +44今期大幅増益・増配計画を好感。リソー教育<4714> 308 +10第1四半期決算受けて12日は大幅安に。ZOZO<3092> 2894 +58売り方の買い戻しがあらためて強まる格好か。東邦チタニウム<5727> 2198 -87原油安などによる資源関連株下落の影響で。エムアップ<3661> 1347 -35高値圏で利食い売り集まる形か。大阪チタニウムテクノロジーズ<5726> 2842 -178資源株下落によって利食い売りが優勢か。SREHD<2980> 2494 -44リバウンド一巡感から手仕舞い売り優勢の流れ。日揮HD<1963> 1687 -25原油安をマイナス視の動きへ。日本通信<9424> 219 -1011日に急騰の反動が強まる形へ。 <FA> 2022/07/14 07:15 注目トピックス 日本株 イード---高級ギフト・美術品通販サイト「JTOPIA」を事業取得 イード<6038>は7日、「JTOPIA」をG2より事業取得したと発表。「JTOPIA」は、有田焼を中心に2012年よりインターネット通販事業を展開、知られざる日本の伝統工芸品を累計5万人にのぼる顧客に届けてきたという。今回の事業取得を機に「30min.(サンゼロミニッツ)」や「ミズマガ」などの各メディアとのシナジーを発揮し、EC事業の売上アップと、伝統工芸という新たな領域の開拓を図り、更なる企業価値の向上を指す。 <ST> 2022/07/13 19:04 注目トピックス 日本株 日経平均寄与度ランキング(大引け)~日経平均は反発、ソフトバンクGとファーストリテが2銘柄で約50円分押し上げ 7月13日大引け時点の日経平均構成銘柄の騰落数は、値上がり147銘柄、値下がり69銘柄、変わらず9銘柄となった。日経平均は反発。12日の米株式市場でダウ平均は192ドル安と3日続落。新型コロナ感染拡大を受けた中国上海市の都市封鎖入りや消費者物価指数(CPI)の発表を控えた警戒感から売りが優勢。飲料メーカーのペプシコなどの好決算を受けて一時上昇に転じたが、引けにかけてはCPIの悪化を示す偽造のリーク報道を材料に売りが加速した。ナスダック総合指数は-0.94%と続落。一方、ナスダック100先物が堅調に推移していたことで、前日に大きく下落していた日経平均は67.13円高からスタート。朝方は買い戻しが先行し、一時26500円を回復。ただ、今晩に控える米6月CPIの発表を前に上値は重く、その後は戻り待ちの売りから失速。後場はやや持ち直したが26500円を超えることができずに終えた。大引けの日経平均は前日比142.11円高の26478.77円となった。東証プライム市場の売買高は8億9356万株、売買代金は2兆0665億円だった。セクターでは電気・ガス、空運、パルプ・紙が上昇率上位となった一方、鉱業、水産・農林、保険が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の66%、対して値下がり銘柄は29%となった。値上がり寄与トップはソフトバンクG<9984>となり1銘柄で日経平均を約26円押し上げた。同2位はファーストリテ<9983>となり、東エレク<8035>、リクルートHD<6098>、信越化<4063>、ホンダ<7267>、ファナック<6954>がつづいた。一方、値下がり寄与トップはKDDI<9433>となり1銘柄で日経平均を約7円押し下げた。同2位は東京海上<8766>となり、花王<4452>、コナミG<9766>、NTTデータ<9613>、オリンパス<7733>、塩野義<4507>などがつづいた。*15:00現在日経平均株価  26478.77(+142.11)値上がり銘柄数 147(寄与度+186.10)値下がり銘柄数  69(寄与度-43.99)変わらず銘柄数  9○値上がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<9984> ソフトバンクG   5338          125 +26.36<9983> ファーストリテ   69100          690 +24.25<8035> 東エレク       42280          570 +20.03<6098> リクルートHD   4364          123 +12.97<4063> 信越化        15965          210 +7.38<7267> ホンダ         3335           81 +5.69<6954> ファナック     21075          155 +5.45<4543> テルモ         4248           34 +4.78<4021> 日産化         6570          130 +4.57<6971> 京セラ         7087           58 +4.08<2413> エムスリー      3930           46 +3.88<7203> トヨタ自      2134.5           18 +3.16<4568> 第一三共       3626           27 +2.85<4519> 中外薬         3721           26 +2.74<6861> キーエンス     49450          700 +2.46<3382> 7&iHD      5550           70 +2.46<6902> デンソー       7296           65 +2.28<6506> 安川電         4180           65 +2.28<6645> オムロン       6816           62 +2.18<6981> 村田製         7466           76 +2.14○値下がり上位銘柄コード  銘柄       直近価格        前日比 寄与度<9433> KDDI       4398          -36 -7.59<8766> 東京海上       7940         -266 -4.67<4452> 花王          5712          -82 -2.88<9766> コナミG       7420          -70 -2.46<9613> NTTデータ     1876          -13 -2.28<7733> オリンパス     2673.5         -11.5 -1.62<4507> 塩野義薬       7143          -43 -1.51<7269> スズキ         4209          -40 -1.41<4911> 資生堂         5560          -35 -1.23<7751> キヤノン       3118          -22 -1.16<4502> 武田薬         3940          -32 -1.12<4704> トレンド       7120          -30 -1.05<1963> 日揮HD         1687          -25 -0.88<8001> 伊藤忠         3769          -25 -0.88<8267> イオン       2616.5          -22 -0.77<8031> 三井物産      2835.5         -21.5 -0.76<2802> 味の素         3429          -21 -0.74<6758> ソニーG       11190          -20 -0.70<4578> 大塚HD       4928          -18 -0.63<1928> 積水ハウス      2345         -17.5 -0.62 <FA> 2022/07/13 16:22 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(6):2023年3月期も年間46円配当を予想、株主還元も積極的 ■中長期の成長戦略と株主還元1. 長期目標は売上高2,000億円超、営業利益200億円超イチネンホールディングス<9619>は正式には中期経営計画等を公表していないものの、成長戦略として掲げている既存事業の規模の拡大、海外展開の強化、積極的なM&Aの展開により、今後も各事業部門をすべて伸ばしていく計画だ。定量的な長期目標としては売上高2,000億円超、営業利益200億円超を掲げている。足元の状況はウクライナ情勢等の影響により不透明であるが、現時点でこの目標は変えていない。2. 株主還元にも前向き同社は明確な配当方針等は発表していないが、「配当性向20~30%を目途に配当を行う」と述べている。年間配当については、2021年3月期は40円であったが、2022年3月期は好調な業績により46円の配当を実施した。さらに進行中の2023年3月期も46円配当を宣言している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:06 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(5):2023年3月期は不透明感強く11.2%営業減益予想 ■今後の見通しイチネンホールディングス<9619>の2023年3月期の業績は、売上高が122,000百万円(前期比1.1%増)、営業利益が7,660百万円(同11.2%減)、経常利益が7,700百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,880百万円(同13.6%減)を予想している。ケミカル、パーキング、機械工具は増益予想となっているが、自動車リース関連は中古車販売や燃料販売の販売単価が2022年3月期よりは利益が落ちる見込みであることから減益予想となっている。また合成樹脂も、遊技機の新基準移行に伴う特需の反動で減益の見込みとしている。しかし全体的には各種の前提をかなり保守的に見ており、今後の状況によっては計画を上振れする可能性もありそうだ。(1) 自動車リース関連事業自動車リース関連事業はセグメント売上高53,412百万円(前期比0.8%減)、セグメント利益4,462百万円(同14.8%減)を見込んでいる。リースにおいては、引き続き比較的競合の少ない地方市場及び中小口規模の企業をメインターゲットとして新規販売を積極的に行い、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。そのほか、購買原価の低減、走行距離に応じた適切な料金設定、メンテナンスコストの抑制並びに車両処分方法の多様化を図り収益向上に努めるとしている。自動車メンテナンス受託においては、今後も独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを提供しつつ、EV等の次世代自動車に対応したメンテナンスサービスネットワークの構築にも取り組むとともに、契約台数及び契約残高の増加を図っていく。車体修理に関する総合管理業務については、法人顧客の新規開拓に注力し、収益の拡大を目指す。燃料販売は、主に自動車用燃料給油カードの需要が低燃費車の普及により減少傾向にあるが、既存顧客に対する満足度の追求並びに新規顧客の拡大を図り、販売数量の増加に努めるとしている。(2) ケミカル事業ケミカル事業においては、セグメント売上高12,094百万円(同4.5%増)、セグメント利益1,280百万円(同5.5%増)を見込んでいる。今後もセールスエンジニアの育成を行い、特定の専門業界への販売、新たなマーケットへの参入模索、新製品の開発及び既存製品・商品のリニューアルに取り組んでいく。また、汎用樹脂向けバイオマス添加剤等の脱炭素社会を見据えた製品開発を強化し、国内・海外を問わず販売先・販売数量の拡大を目指していく。(3) パーキング事業セグメント売上高6,848百万円(同22.9%増)、セグメント利益794百万円(同67.7%増)を見込んでいる。長期的に安定した収益基盤を築くため今後も営業力を強化し、駐車場数の拡大を図っていく。また、キャッシュレス決済の導入促進等により他社との差別化を図り、既存駐車場の売上拡大に注力していく。また病院や商業施設等に附帯した駐車場にも積極的に取り組み、安定的な収益を稼ぐ事業に育成していく方針だ。(4) 機械工具販売事業セグメント売上高36,402百万円(同3.2%増)、セグメント利益832百万円(同20.5%増)を見込んでいる。主に、取扱商品・オリジナル製品の拡充、ネット販売強化、海外展開強化、組織再編による収益力の強化に取り組んでいく方針だ。取扱商品・オリジナル製品の拡充については、併せて脱炭素社会に向けた商品等の取り扱い品目も拡大していく。また、2022年4月に実施した事業再編による経営の効率化や、商品調達コストの軽減、適正な在庫水準の実現、製造部門における原価低減、物流の内製化等の取り組みを進め、課題としている収益性の改善に注力するとしている。ネット販売については、自社サイトを中心に販売の強化を継続していく。なお同事業においては、中期的にはセグメント売上高500億超を目指す方針を掲げている。(5) 合成樹脂事業セグメント売上高12,022百万円(同15.4%減)、セグメント利益274百万円(同75.7%減)と、主に2022年3月期の遊技機の新基準機への移行に伴う販売増加の反動減を見込んだ格好である。同事業では、主にイチネン製作所において自社で保有する合成樹脂の再生技術を強みとし、高付加価値の樹脂材料等の開発・販売を強化することを目指すことになる。遊技機部品事業においては、一貫受注体制を構築し、多品種/小ロット/短リードタイムに対応できる開発・量産体制を構築し、既存顧客との取引拡大に注力する。ガス検知器・セラミックヒーターの販売については、シェアの拡大により業界の標準メーカーとなることを目指し、開発・製造・販売・メンテナンス部門の強化を推進する。また、新たな収益の柱を構築するため、これまでに培った合成樹脂のリサイクル技術をベースに、環境負荷の低い樹脂製品の開発・販売等、脱炭素社会に向けた新商材の採用、商品開発に注力する方針だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:05 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(4):設備投資により有形固定資産と社債が増加 ■イチネンホールディングス<9619>の業績動向2. 財務状況とキャッシュ・フロー2022年3月期末の流動資産は71,806百万円となり、前期末比3,147百万円増加した。主に現金及び預金の減少945百万円、リース投資資産の増加2,156百万円、商品及び製品の増加1,143百万円などが要因となった。固定資産は96,638百万円(前期末比3,379百万円増)となった。主に賃貸資産を含む有形固定資産の増加3,695百万円、無形固定資産の減少184百万円、投資その他資産の減少130百万円などによる。以上から、期末の資産合計は168,507百万円となり、前期末比で6,559百万円増加した。流動負債は52,629百万円となり前期末比で7,648百万円減となった。主に短期借入金等(1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、コマーシャル・ペーパーを含む)の減少9,763百万円などによる。固定負債は同10,242百万円増の72,204百万円となった。主に社債の増加9,740百万円、長期借入金の増加395百万円による。この結果、負債合計は124,834百万円となり前期末比で2,593百万円増加した。純資産合計は43,673百万円となり前期末に比べて3,966百万円増加した。要因として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加4,235百万円等による。2022年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは5,093百万円の収入となり、主な収入は税金等調整前当期純利益の計上8,668百万円、減価償却費16,898百万円、主な支出は賃貸資産の純増15,430百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは4,671百万円の支出となった。主に有形及び無形固定資産の取得による支出2,446百万円、子会社株式取得による支出2,419百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは1,543百万円の支出となったが、主な支出は配当金の支払い1,036百万円などであった。その結果、2022年3月期中に現金及び現金同等物は1,093百万円減少し、期末残高は10,890百万円となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:04 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(3):2022年3月期は各利益で2ケタ増。すべてのセグメントで増収達成 ■業績動向1. 2022年3月期の業績概要イチネンホールディングス<9619>の2022年3月期の業績は、売上高が120,644百万円(前期比7.1%増)、営業利益が8,623百万円(同14.7%増)、経常利益が8,728百万円(同16.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が5,646百万円(同87.2%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益となったのは、前期に自動車リース関連事業における基幹システムの開発中止等に伴う固定資産除売却損2,483百万円を特別損失に計上したことによる。セグメント別状況では、売上高は、すべてのセグメントで増収となった。セグメント利益は、機械工具販売が販管費の増加により減益となったが、それ以外は増益となった。特にパーキングと合成樹脂は、前期の反動増もあるものの、回復が大きかった。(1) 自動車リース関連事業自動車リース関連事業のセグメント売上高は53,841百万円(前期比4.1%増)、同利益は5,240百万円(同10.0%増)となった。リース事業では、比較的競合の少ない地方市場及び中小口企業への拡販、既存顧客への取引深耕を積極的に進めたことなどから契約数は順調に拡大、期末の契約台数は89,973台(前期末比2,719台増)、リース契約高は36,595百万円(前期比5.6%減)、リース未経過契約残高は84,022百万円(前期末比3.7%増)となった。自動車メンテナンス受託では、独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとしながら、さらなる契約台数及び契約残高の増加に努めたが、大口契約先の受注台数が減少したことやコロナ禍の影響もあり、メンテナンス受託契約台数は82,975台(前期末比1,888台減)となった。メンテナンス受託契約高は6,458百万円(前期比14.3%増)、メンテナンス未経過契約残高は8,627百万円(同4.3%増)となった。利益面では主力である自動車リースの販売が増加したことに加え、車両処分の販売単価が増加したことにより利益は増加した。燃料販売では、低燃費車の普及により全体の需要は減少傾向にある。カード発券枚数は減少したが、既存顧客へのサービス向上並びに新規顧客の獲得に注力したことで販売数量は増加した。車両販売では、コロナ禍の影響で中古車価格が上昇したことから、採算は大きく改善した。車体修理管理サービスの売上台数は7,711台(前期末比555台増)、売上高は963百万円(前期比7.1%増)と増加した。利益面では燃料販売は前期に仕入価格が下落して大幅利益増となったことの反動により利益は減少した。(2) ケミカル事業ケミカル事業は、セグメント売上高は11,573百万円(同3.1%増)、セグメント利益は1,213百万円(同2.7%増)となった。商品開発力の強化及び品質向上に取り組むとともに、付加価値の高い商品の販売に注力した。販売面では、化学品関連の自動車整備工場向けケミカル製品及び機械工具商向けケミカル製品の販売、一般消費者向けケミカル製品の販売並びに工業薬品関連の燃料添加剤及び石炭添加剤の販売は順調に推移した。一方で、船舶用燃料添加剤の販売は低調に推移した。(3) パーキング事業パーキング事業のセグメント売上高は5,571百万円(同9.5%増)となり、セグメント利益は473百万円(同103.1%増)と大幅増益となった。なお、同事業は固定費率の高い事業であるため、売上高が落ちると利益の落ち込みも大きくなる特徴がある。中長期的に安定した収益基盤を築くために積極的な営業活動を継続して行ったこと、新規連結子会社となったオートリが寄与したことなどから、2022年3月末現在駐車場管理件数は1,716件(前期末比256件増)、管理台数は37,150台(同3,830台増)となった。(4) 機械工具販売事業機械工具販売事業のセグメント売上高は35,272百万円(同4.1%増)、セグメント利益は690百万円(同22.5%減)となった。さらなる事業規模の拡大並びに収益性の向上を実現させるため、取扱アイテムの拡充、自社オリジナル製品の開発・販売の強化、商品調達コスト及び物流コストの低減に努めた。向け先別では、自動車整備向け、建設機械部品向け、空調向けなどが比較的堅調であった。また、注力しているネット販売も、まだ目標とする利益化には届いていない。利益面では、建設機械部品や比較的利益率の高い空調用工具の販売が順調に推移したが、東京物流センターの新設に伴い賃借料等の販売費及び一般管理費が増加した。(5) 合成樹脂事業合成樹脂事業のセグメント売上高は14,203百万円(同26.6%増)、セグメント利益は1,126百万円(同82.5%増)となった。遊技機の新基準機への移行に伴う入替需要の増加により、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売が大幅に増加した。また、科学計測器の販売並びに半導体実装装置メーカー等へのセラミックヒーターの販売も堅調に推移した。(6) その他その他事業のセグメント売上高は1,151百万円(同278.5%増)、セグメント損失は139百万円 (前期は185百万円のセグメント損失)となった。農業においては、農作物の販売数量が減少したが、販売単価は上昇した。また、2021年10月に新規連結子会社となった新光硝子工業及び新生ガラスが販売増加に寄与した。損益面では、農業において、前期にコロナ禍の影響で在庫評価額を切り下げたことの反動により、前期比で損失幅が縮小した。また、新光硝子工業及び新生ガラスが利益増に寄与した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:03 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(2):自動車リース関連を主力とし6事業で構成 ■事業概要1. 主な事業内容イチネンホールディングス<9619>の事業セグメントは、自動車リース関連、ケミカル、パーキング、機械工具販売、合成樹脂、その他に分けられている。各セグメントの2022年3月期の売上高は自動車リース関連53,841百万円(内部売上高消去前の構成比44.3%)、ケミカル11,573百万円(同9.5%)、パーキング5,571百万円(同4.6%)、機械工具販売35,272百万円(同29.0%)、合成樹脂14,203百万円(同11.7%)、その他1,151百万円(同0.9%)となっている。(1) 自動車リース関連事業各サブセグメントの詳細売上高は開示されていないが、部門売上高に占める大体の比率は、リースが約74%、メンテナンスが約22%、燃料販売が約3%、残りがその他となっている。a) オートリーストヨタレンタリースやオリックス<8591>などと同様に、自動車のリースを行う事業である。競合は多いが、同社の特色は比較的大型車(4トン以上)の取り扱いが少ないことである。またメンテナンス部門を有していることから、メンテナンス付きで受注する場合も多い。リースは一度受注すると数年間継続することから、比較的安定した部門である。b) 自動車メンテナンス受託全国約8,500の自動車整備工場と提携し、他のリース会社からのメンテナンス契約を受託するもの。この部門に計上される売上高は他社から受託したものだけで、自社リースに付随したメンテナンス分はオートリース売上高に含まれる。また「フォークリフトメンテナンス」などの独自サービスも行っている。今後の課題として、次世代自動車(HV、EVなど)の整備ネットワークも進めている。c) 車両販売リース満了車両や法人車両などを買い取り、中古車販売を行う事業である。販売について現状は国内オートオークションでの売却が中心となっている。今後は、収益増強のため2016年10月に設立したICHINEN AUTOS (N.Z.) LIMITEDを中心に販売方法の多様化を図っていく。d) 燃料販売石油元売各社から発行されるガソリンスタンド(GS)用の給油カードを主に販売する事業である。車両1台に対して1枚のカードが発行されるが、販売先は必ずしも同社のリース先とは限らない。ガソリンの販売価格は同社が決定し、全国一律価格で提供される。顧客にとっては、全国の支店や事業所等において同一価格で利用できるうえ一括で支払いが可能となるため、業務効率の改善につながるメリットがある。なお同社の売上高として計上されているのは、末端販売金額から仕入金額を差引いた分である。e) 車体修理管理サービス主に鈑金修理の斡旋を行う事業である。損害保険会社出身のアジャスター(損害査定士)と呼ばれる社員が、顧客からの修理依頼に基づいて適正価格の見積もりを行い、全国各地の鈑金工場と交渉を行う。引取手数料無料・代車の無料手配・修理箇所の永久保証などのサービスを付加し他社との差別化を図っている。(2) ケミカル事業主力製品は、プロ向けケミカル(潤滑剤、防錆剤、各種洗浄剤、補修塗料等)。そのほかには発電用大型ボイラー及び船舶エンジン向け燃料添加剤、一般消費者向けケミカル(自動車用クリンビュー等)、特殊ケミカル(ゴム、エラストマーなどの難密着素材へのコーティングや各種OA部品向けケミカル製品等)などを扱っている。部門の約79%が自社製品で残り約21%が仕入商品であるため、部門の粗利率は高い(30~50%)。(3) パーキング事業土地所有者から土地を借りて駐車場事業を行うもので、コイン式・立体式・管理受託など契約形態は様々である。全国展開しているが、関西地区の比率(約62%)が高くなっている。総合病院や大型の商業施設に付帯する駐車場の一括運営管理にも注力している。また2022年には、パーキング事業を行う(株)オートリをグループ化した。(4) 機械工具販売事業既述のように、同社は自動車メンテナンス受託事業の関連で全国約8,500の自動車整備工場と提携している。同社は、これらの整備工場向けに機械工具を販売することでシナジーを得られるとして、この事業に参入した。同事業は、子会社である(株)イチネンアクセス(旧 (株)アクセス※)、(株)イチネンMTM 、(株)イチネンTASCO、(株)イチネンネット、(株)イチネンロジスティクスが行っている。イチネンアクセスは、自動車用品、自動車整備用機器、電動工具やDIY用品、自動梱包機等を扱っており、オリジナルブランドによる幅広い製品ラインナップを揃えている。イチネンMTMは、産業・建機部品、自動車・農機部品の販売を行っている。イチネンTASCOは空調工具や環境計測器を扱っており、空調工具の「TASCO」ブランドは業界一の売上実績がある。そして、イチネンネットは機器工具等のインターネット販売を、イチネンロジスティクスは物流業務を行っている。なお同事業はタイの合弁会社を設立し、海外販売も行っている。※アクセスは、2022年にイチネンMTMの事業の一部を吸収分割により継承し、社名をイチネンアクセスに変更した。(5) 合成樹脂事業このセグメントはさらに3つのサブセグメントに分けられるが、合成樹脂事業では熱可塑性の合成樹脂原料を扱っている。遊技機部品事業は、主にパチスロ・パチンコ機の筐体部分を設計・製造するもので、商社及びメーカー機能を併せ持っている。科学計測器事業では酸素濃度計、ガス検知警報機の開発・製造・販売も行っている。なお、同セグメントに属する(株)イチネンジコーと(株)浅間製作所は、後者を存続会社として2022年4月に合併し、社名を(株)イチネン製作所へ変更した。(6) その他新規事業である農業、不動産の賃貸・管理事業などが含まれる。農業分野は、ミニトマトの生産を行っており、生産量は順調に拡大している。ガラス加工事業については、2021年10月に新光硝子工業(株)及び新生ガラス(株)を子会社化したことで参入した。曲げガラス、樹脂合わせガラスなどの製造・販売を行っている。2. 特色、強み(1) 変化に強く、安定性がある多角化経営により、環境の変化に対して柔軟な対応が可能。さらに業績の増減をそれぞれの事業でカバーし合うことで、全体として安定した経営を継続的に行うことが可能である。(2) グループ一体経営グループ間における人・モノ・資産の共有化、ノウハウの融合などシナジーを最大限に生かし、グループ全体で成長を続けている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:02 注目トピックス 日本株 イチネンHD Research Memo(1):2022年3月期は計画を上回り営業利益は前期比14.7%増 ■要約イチネンホールディングス<9619>は自動車リース関連事業(自動車リース、自動車メンテナンス受託、燃料販売等)、ケミカル事業、パーキング事業、機械工具販売事業、合成樹脂事業等の幅広い事業を手掛けている。自動車関連が中心だが、それ以外にも事業が分散されていることから業績は比較的安定しており、利益の急変動が少ない企業であると言える。1. 2022年3月期の業績概要2022年3月期の業績は、売上高が120,644百万円(前期比7.1%増)、営業利益が8,623百万円(同14.7%増)、経常利益が8,728百万円(同16.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が5,646百万円(同87.2%増)となった。売上高は、すべてのセグメントで増収となった。セグメント利益は、機械工具販売が販管費の増加により減益となったが、それ以外のセグメントはすべて増益となった。前期の反動もあるが、特にパーキングと合成樹脂の回復が大きかった。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益となったのは、前期に自動車リース関連事業における基幹システムの開発中止等に伴う固定資産除売却損2,483百万円を特別損失に計上したことによる。なお、営業利益は19期連続で増益を達成した。2. 2023年3月期の業績見通し2023年3月期の業績は、売上高が122,000百万円(前期比1.1%増)、営業利益が7,660百万円(同11.2%減)、経常利益が7,700百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が4,880百万円(同13.6%減)の予想となっている。ケミカル、パーキング、機械工具は増益予想である。自動車リース関連は、中古車販売や燃料販売の販売単価が2022年3月期よりも落ち込む見込みで、減益予想となっている。また合成樹脂も、2022年3月期に遊技機の新基準機への移行に伴う入替の特需があった反動で、減益の見込みとなっている。しかし全体では、2023年3月期における各事業の前提をかなり保守的に見ている印象で、今後の状況によっては計画を上振れする可能性もありそうだ。3. 中長期の成長戦略及び株主還元新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響により先行きは依然として不透明であるが、中長期的には今後も各事業分野を伸ばしていく方針で、M&Aも積極的に行う考えだ。社内に向けた長期経営数値目標として、売上高2,000億円超、営業利益200億円超を掲げている(時期は明示していない)。今後のコロナ禍の影響や原油価格の動向等によっては計画の見直しもあり得るが、現時点ではこの目標は変えていない。株主還元においては、2021年3月期は年間40円、2022年3月期も同46円の配当を行った。2023年3月期も年間46円の配当を予定している。加えて、過去には自己株式の取得・消却も行っており、株主還元にも前向きである。■Key Points・自動車リース関連事業が主力で、安定した収益力が特色・2022年3月期は19期連続で営業増益を達成。2023年3月期は減益予想だが上振れの可能性も・社内的な長期経営数値目標として、売上高2,000億円超、営業利益200億円超を掲げる(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇) <EY> 2022/07/13 16:01 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(10):業績好調につき配当計画を前倒し ■株主還元策エノモト<6928>は、株主に対する利益還元を経営の最重要政策と位置付けており、将来の事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続を重視し、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としている。ビジョン2030の1stSTEPでは、津軽工場など積極投資もあり、配当性向25%を目途に安定配当を継続する方針である。このため、2022年3月期の1株当たり配当金を、業績好調により45円予想から50円(中間配当金20円、期末配当金30円)へと増配した。2023年3月期の1株当たり配当金は、中期経営計画を上方修正したこともあり、中期経営計画最終年度(2024年3月期)の目標値を前倒して60円(中間配当金30円、期末配当金30円)を予定している。なお、最終年度の2024年3月期の1株当たり配当金は70円を予定している。2ndSTEP以降は、投資案件を勘案しつつ、配当性向をさらに引き上げていくことも検討している。■情報セキュリティ同社は、「情報セキュリティ基本方針」を制定し、情報セキュリティ推進責任者を中心に、全社的な情報漏えいのリスク回避に努めている。なお、事業会社向けの取引が主体のため、同社の扱う個人情報は限定されている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:20 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(9):2023年3月期もパワー半導体向けリードフレームがけん引 ■業績動向3. 2023年3月期の業績見通しエノモト<6928>は2023年3月期業績予想について、売上高28,600百万円(前期比5.0%増)、営業利益2,200百万円(同9.3%増)、経常利益2,200百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,650百万円(同6.8%増)を見込んでいる。日本経済は、コロナ禍の影響が発生初期と比較して限定的となったものの、ウクライナ情勢によるエネルギーや金属資源の高騰など新たな不透明要因が生じている。電子部品業界は、EVなど自動車の電動化やADAS技術の発展、政府によるDX推進策を背景とした5GやIoTを支えるデータセンターや基地局など情報処理関連施設の建設増、クリーンエネルギーにおけるパワーマネジメントの需要増などにより、パワー半導体が強い追い風を受けている。このため、コロナ禍や半導体・原材料の供給不足によるサプライチェーン全体の停滞などが引き続き懸念されるが、同社の2023年3月期業績もパワー半導体向けリードフレームなどがけん引していくことが予想される。同社は品質向上とコスト低減を目的に製造工程の自動化・効率化を推進する一方、強みである金属と樹脂の精密複合加工技術をベースに新たな顧客を積極的に開拓するなど、引き続き収益向上に取り組んでいる。過去数年同社の業績をけん引したスマートフォン向けコネクタの需要は高止まりしているものの、車載向けなどパワー半導体向けリードフレームのマーケットは拡大している。このような環境下、同社はIC・トランジスタ用リードフレームで、クリップボンディングリードフレームが車載やデータセンター、産機向けに引き続き需要が強いため増強投資を行っており、2022年3月期末頃から部品の採用で後発となった日系メーカー向けの販売が収益寄与する見込みである。また、より電流の流せる炭化ケイ素や窒素ガリウムといった素材を使ったパワー半導体が普及し始めており、クリップボンディングリードフレームの需要が広がる可能性が高まったと考えられる。オプト用リードフレームも需要は根強いが、中国向けがやや軟調となりそうである。コネクタ用部品は、スマートフォンの新機種発売のタイミングなどから、通常は上期が強気で下期が弱気になるが、上海のロックダウンにより、弊社では2023年3月期は上期を弱気、下期を強気に見ている。得意の超精密コネクタは、スマートフォンからウェアラブル、電源系に用途を広げており、マーケットが広がる状況になってきた。以上から、2023年3月期も好業績が続く見込みである。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:19 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(8):様々なリスクが生じているが、大きな影響はないもよう ■業績動向1. リスク対応これまで長らく新型コロナウイルス感染症が非常に大きなリスクだったが、このリスクが希薄化するのと反比例する形で、円安、原燃料高、ウクライナ情勢、上海ロックダウンといったリスクが2022年3月期末に向けて急浮上した。しかし、リスク対策を講じていることもあり、弊社ではエノモト<6928>への大きな影響はないと見ている。円安についてはヘッジしているため、急激な変動でなければ収益への影響は大きくならないと思われる。ウクライナ情勢に関しては依然不確定なこと多いが、エネルギーコストや銅など材料となる貴金属価格がすでに高騰しており、できるだけ価格に転嫁していく方針である。上海のロックダウンはすでに2022年6月に入って解除しているが、顧客のスマートフォン生産に若干影響が生じているようである。このため新機種発表の先送りの可能性はあるが、年度内トータルの受注数量に変化はない見込みである。スマートフォン向けから車載向けに成長ドライバーをシフト2. 2022年3月期の業績動向2022年3月期の業績は、売上高27,250百万円(前期比18.5%増)、営業利益2,012百万円(同28.7%増)、経常利益2,054百万円(同31.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,545百万円(同3.8%増)となった。期初予想と比べると、売上高で4,250百万円、営業利益362百万円、経常利益454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益195百万円の超過達成となった。日本経済は、引き続き国内外のコロナ感染状況や各国政策の影響を受けている。電子部品業界においては、世界的な半導体や資源の供給不足への対策として、各社が発注の前倒しに動いたことから上期に実態以上の需要が一部で生じ、特に季節的要因の影響が強い製品は例年より早い時期にピークアウトが発生した。このような環境下、同社はさらなる品質の改善と製造工程の自動化・効率化を進め、製造コスト低減に組織的に取り組んだ。IC・トランジスタ用リードフレームは、2021年3月期下期から車載向けの需要が回復に転じた。2022年3月期も車載向けでは電装化の加速やADAS(Advanced Driver-Assistance Systems:先進運転支援システム)技術の発展と普及により、産機向けなどその他の分野においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)といった追い風によりパワー半導体の需要が拡大、特に新機軸のクリップボンディングリードフレームが好調で、売上高は9,929百万円(同36.3%増)と好調に推移した。オプト用リードフレームは、中国など海外の交通インフラ向けやアドバタイズメント用途の屋外ディスプレイ向け、車載用インテリアパネル向けなどを中心に需要が増加し、売上高は3,686百万円(同39.7%増)と、こちらも好調な推移となった。コネクタ用部品は、スマートフォン向けがピークアウトして横ばい推移となった模様だが、ウェアラブル向けの復調と車載向けの堅調な動きでカバー、売上高は12,955百万円(同4.6%増)と増収を確保した。リレー用部品を主体とするその他の売上高は679百万円(同1.4%減)となった。用途別量産品の売上構成比では、車載向けが、自動車の需要回復によりパワー半導体用リードフレームやエアバッグ用コネクタ、各種照明向けLED用リードフレームなどが高い伸びとなった。スマートフォン向けは、新機種の立ち上がりが早く2022年3月期第1四半期から出荷が始まったが、季節要因により2021年12月頃にピークアウトしたため構成比を下げた。ウェアラブル向けは、季節的要因と2021年3月期下期以降の急伸により2022年3月期上期に一時的な調整があって構成比を下げたが、2021年10月からは回復傾向に転じた。民生・産機・その他向けは、汎用的用途のパワー半導体用リードフレームや交通インフラなどのディスプレイ向けLED用リードフレームがけん引して構成比を高めた。利益面では、概ね売価に転嫁したとはいえ、銅など素材高によって売上総利益率が若干低下した。販管費は、取引量増大と物流単価の高騰による運賃搬送費の増加、業務効率化を目的に導入した新ERPの初期費用などにより同社としてはやや強めの伸びとなったが、増収効果で販管費率は低下した。この結果、営業利益は売上高の伸びを上回る伸びとなった。なお、期初予想に対して売上高が超過達成した理由は、パワー半導体が車載向けのみならず電力制御エアコンなど省エネ向けに想定以上に需要を伸ばしたことにある。なお、営業利益の超過達成は増収効果による。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:18 注目トピックス 日本株 新興市場銘柄ダイジェスト:坪田ラボは上場来高値、マイクロ波化学がストップ高 <7043> アルー 689 +40大幅に反発。社会人向け教育のための人材育成モデルの開発に向け、東京学芸大学と共同研究を開始したと発表している。東京学芸大学が主催する「学びが交錯するラボ」に参加し、偶発的な学びによる人材育成モデルを開発する。具体的には、企業人にラボ活動や事務局活動へ参加してもらい、どのような変容が見いだされるかを調査しながら人材育成のプログラムを実践的に開発するという。<4890> 坪田ラボ 1130 +104上場来高値。近視進行抑制のための医療機器開発で検証的臨床試験を開始し、ジンズホールディングス<3046>と締結したライセンス契約のマイルストーン達成で一時金2億円を受領する見通しと8日に発表したことが引き続き材料視されている。また、次回の新規株式公開(IPO)が今月下旬まで予定されていないことから、最近のIPO銘柄を改めて物色する流れも買いを後押ししているようだ。<9227> マイクロ波化学 870 +150ストップ高。レアメタルの新たな省エネ精製技術として化学処理とマイクロ波加熱を組み合わせた実証試験を進め、リチウム鉱山で実際に採鉱された約100グラムのリチウム鉱石を溶解させることに成功したと発表している。従来技術と比較し、設備投資と運用コストは70%程度、CO2排出量は90%以上削減できる見通しを得たという。今回の結果は、リチウム以外のレアメタル鉱物の溶解にも反映できるとしている。<4173> WACUL 640 -36大幅に続落。23年2月期第1四半期(22年3-5月)の営業利益を前年同期比61.3%減の0.26億円と発表している。前年同期にあった大型制作案件の影響が剥落し、プロジェクト課金型売上が減少したことなどが響いた。販管費が21.4%増の2.01億円に膨らんだことも利益を圧迫した。通期予想は前期比3.3%減の1.79億円で据え置いた。進捗率は14.5%にとどまっており、第1四半期の出足の鈍さが嫌気され、売り優勢となっているようだ。<4413> ボードルア 2099 +146大幅に反発。23年2月期第1四半期(22年3-5月)の営業利益を1.10億円と発表している。説明資料によると、前年同期(単体ベース)比60.0%増。成長分野であるSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)やロードバランサー、セキュリティなどに重点的に取り組んだことが奏功した。また、専門人材などの配属替えを下期に実施する予定。売上高や営業利益は下期に偏重する見込みという。通期予想は8.75億円で据え置いた。<4593> ヘリオス 344 -1朝高後、値を消す。ヘリオスのGMPグレードの商業用iPS細胞株を非独占的に提供するライセンス契約に関する基本条件合意書を米バイオテクノロジー企業のRxCell社と締結したと発表している。細胞株の提供に関する一時金50万米ドルとのロイヤルティをRxCell社から受け取る。また、カナダのバイオベンチャー、ステムアクソン社とiPS細胞を含めた幹細胞から視細胞への分化誘導技術に関するライセンス契約締結に向け、独占交渉を開始している。 <ST> 2022/07/13 15:17 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(7):長期ビジョン「金型の技術で未来を創る」 ■中期経営計画の進捗1. 「ビジョン2030」と中期経営計画の前提半導体に対して高精密化・ハイスペック化と安定した大量生産という要求が強まっており、エノモト<6928>に対しても同様のニーズが強まっていくことが予想される。そこで同社は、「金型の技術で未来を創る」という長期の「ビジョン2030」を策定し、高付加価値製品でマーケットの成長を上回る利益成長を図るとともに、先端製品の研究開発や需要急拡大が見込まれる分野への対応を継続する方針で、次世代情報通信や次世代自動車などの分野でも成長していくことを狙っている。同社は「ビジョン2030」を3つのステップに分け、2022年3月期~2024年3月期の1stSTEPで、EV・車載向けパワー半導体など成長分野への投資や、金型製作の自動化や一貫生産体制強化による収益力向上、津軽工場でのスマートファクトリー化の実装実験、先端技術の燃料電池部品の開発を進める計画である。2025年3月期以降の2ndSTEPでは、パワー半導体用部品の生産能力の増強や次世代情報通信分野への対応、金型技術の進化による海外拠点の競争力向上、全工場のスマートファクトリー化、先端製品(燃料電池部品)の実用化を目指す。3rdSTEPでは2ndSTEPからのオーガニックな成長で営業利益35億円を目指すが、さらに新商品に対応した部品を開発~成長させることで利益の上積みを狙っていく考えである。その1stStepとなる中期経営計画では、3年間で60億円~70億円の設備投資を実行し、2024年3月期に売上高250億円、営業利益20億円、ROE8%を達成する計画としていた。中期経営計画初年度で早くも目標を上方修正2. 中期経営計画の進捗計画は好調な滑り出しとなり、中期経営計画初年度の2022年3月期の業績が目標数値に早くも到達する結果となった。IC・トランジスタ用リードフレームで車載向けや産機向けパワー半導体リードフレームなどが好調を継続し、オプト用リードフレームではディスプレイや自動車向けLEDなどの需要が増加した。コネクタ用部品では車載向けが堅調だったうえウェアラブル向けが復調し、2022年3月期業績が売上高27,250百万円、営業利益2,012百万円、ROE8.7%と、順調に進捗したことが要因である。こうした好業績と足元の状況、特にパワー半導体向けリードフレームとウェアラブル向けコネクタ用部品の需要拡大、津軽工場増築分の貢献を見込み、同社は中期経営計画の目標数値、売上高290億円、営業利益24億円、ROE9%へと上方修正した。併せて、パワー半導体向けクリップボンディングリードフレームの増産や環境投資を前倒し、中期経営計画の設備投資額も60億円~70億円から70億円~80億円へと増額、減価償却費も2億円増額した。なお、研究開発費は3億円~5億円で据え置いた。1stSTEPにおける重要戦略は順調に進捗している。成長分野への投資では、津軽工場増築が2021年11月末に竣工し、2022年1月より本格稼働を開始した。パワー半導体やウェアラブル向けなど最先端製品とメッキ加工の生産能力が増強される予定である。進捗は計画通りで、まだ全設備が導入されておらず、生産ラインも随時立ち上げている段階だが、納期への対応は今のところ順調のようだ。収益力強化に関しては、コア技術の金型製作が、熟練の技術者育成に長期間かかり加工工数も多いため、自動化を推進して低コスト化を進めている。自動化は順を追って投資していくため、成果も段階を経ながら生じていく計画で、最終的には自動一貫生産体制のスマートファクトリー化を目指している。その結果、短中期的な収益性改善だけでなく、価格競争力の維持や需要獲得に向けた提案、蓄積したノウハウによる他の工場への横展開、加工データを活用した技術伝承なども進めていく方針である。先端技術の燃料電池部品もこの1年、電動アシスト自転車への「ガス拡散層一体型セパレータ」の搭載や、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共通課題解決型産学官連携研究開発事業への採択、山梨大学などと寄稿した論文の『Journal of Power Sources』(Elsevier社)への掲載(オープンアクセス版)、流路付きガス拡散層(GDLFC+)の結露や拡散過電圧上昇の抑制の実証などが順調に進捗した。特にNEDOのプロジェクトに「ガス拡散層一体型セパレータ」が採択されたことは、国の予算がつくうえ、専門家や専門機関のフォローも期待できるため、実用化に向けてステージが一段上がったという印象である。2030年度にGHGを2012年度比33.33%削減する計画3. 中期環境計画(SDGsへの取り組み)今般、2030年に向けた中期環境計画を策定した。カーボンニュートラルへ向けて、再生エネルギーと省エネ対策により、生産プロセスにおけるGHGの排出量を2012年度(基準)8,311t-CO2※、2020年度(直近)8,702t-CO2から2030年度(目標)5,541t-CO2へと基準比で33.33%削減することを計画している。基準からの削減は2,770t-CO2となり、内訳は、津軽工場への太陽光発電設備の導入とカーボンフリー電力の購入など再生エネルギーの活用で1,400t-CO2、コンプレッサーや空調設備など省エネ対策により1,370t-CO2である。なお、津軽工場の太陽光発電設備は2023年1月完成を予定しており、発電容量約1.7MW、年間発電量約200万kWhを計画している。発電量はすべて自家消費に回し、着雪対策や積雪・浸水対策、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策も施している。太陽光発電設備は本社(塩山・上野原)、フィリピン、中国に設置済みで、国内外の既存設備ですでに約1.6MWの発電容量がある。※t-CO2(トンCO2):温室効果ガスの発生量(重量トン)を表す単位。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:17 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(6):強みは複合加工技術、高品質・大量生産技術、3極生産体制、独立系ポジション ■電子部品の市場環境2. エノモト<6928>の強み同社の強みは一貫生産体制と機動力にあり、一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術と高品質・大量生産体制を支える生産技術力に支えられ、機動力は、中国とフィリピンにおいても日本と同様の品質の製品を一貫製造できる3極生産体制と独立系としてのサービスポジションに裏付けられている。同社は、金型製作では自社設計・自社開発により狭ピッチ品用プレス金型を2週間で試作できる高精度微細加工技術、金と銀に対応する微細なスポットメッキ技術、熱膨張係数の異なる金属と樹脂の複合加工技術などを有している。いずれも競争優位性のある技術だが、なかでも複合加工技術は、厳しい寸法精度が要求される、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形の一体成形部品を製造できる技術で、あらゆるパターンのインサート成形にも対応することができる。また、金型設計・金型製作~金属プレス~貴金属メッキ~インサートモールドの一貫生産体制を構築しているうえ、プレス時の金型の摩耗を考慮して最適なタイミングでメンテナンスする量産技術もあり、億単位の高品質・大量生産体制を支えている。機動力の面では、同社は国内4工場のほか、自動車やスマートフォンなどのセットアップメーカーの立地に近いフィリピンと中国に工場を有している。ともに、日本と同水準の高い品質基準と万全な一貫大量生産体制を構築しており、顧客のコストや納期に対する要求に国内同様適切に対応している。このため、中国工場では国内に先駆けてクリップボンディングリードフレームを大量生産、フィリピン工場では車載向け部品が成長するなど、海外での販売実績は確かなものがある。また、部品メーカーは素材系、電機系、独立系に分けることができ、素材系は金属加工領域に特化しているためロットが大きく汎用性の高いオープン品をメインに扱い、電機系は各社親会社の意向に沿った製品を中心に製造している。これに対し、同社のような独立系は、精密・微細加工など加工難易度の高い製品や、メッキ・樹脂加工など加工度の高い製品に特化しているため、様々な顧客が求める諸々のニーズに対応する柔軟性を持っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:16 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(5):高い成長が期待されるクリップボンディングリードフレーム ■電子部品の市場環境1. 電子部品業界の動きと見通し(1) 電子部品業界の動き1990年代の電子部品業界は、パソコンの普及やデジタル化の流れのなかで半導体向け需要が拡大したが、2000年代に入ってITバブルが崩壊すると低迷期に入った。その後、LEDの普及とともにいったん環境は改善したが、2008年のリーマンショックで再び低迷し、2011年の東日本大震災、急激な円安、中韓メーカーの低価格での参入などが続き、国内の電子部品業界にとって厳しい時代となった。2015年頃になるとスマートフォン普及という追い風が強まったが、これまでの業界環境の悪化や価格競争によって市場を退出したメーカーが多く、メーカーのハイスペック化に対応する「メイドインジャパン」品質の電子部品を安定かつ大量に供給できるメーカーが少なくなっていた。高い技術力と適応力で荒波を乗り越えてきたエノモト<6928>にとって、「残存者メリット」を享受しやすい環境となったと言える。さらに、装置産業であることに加え、高精密化やハイスペック化により、現在でも年々参入障壁が高くなっているようだ。足元では、普及と高機能化が一段落したスマートフォン向けの成長スピードが鈍る一方、車載用やウェアラブルでは電子部品の高機能化・高精度化・超小型化や製品1台当たりの電子部品搭載数の増加が加速している。また、コロナ禍や環境問題などをきっかけに広がる新しい生活様式のなかで、環境にやさしく効率的な機器へのニーズも増している。このように急速な広がりを見せる電子部品へのニーズに対し、同社は付加価値の高い製品を安定大量生産できる強みを生かして、既存市場、新市場ともに積極的に開拓している。特に、需要が高止まりしているスマートフォンや機能向上と用途拡大が並行して進むウェアラブルは、次世代モデル向けに難易度の高い要望が舞い込んでいる。一方、日産自動車<7201>の新型車投入の加速やトヨタ自動車<7203>の「EV本気宣言」ばかりでなく、電機メーカーなどが開発に名乗りを上げるなど、EVなど電動車の国内における開発もピッチが上がってきた。これらのキーデバイスが、同社が早くから狙いを定め技術を蓄積してきたパワー半導体である。(2) パワー半導体とはパワー半導体は、スマートフォンやパソコンのみならず、エアコンや自動車、産業機器といった幅広い用途で使用されている。CPUやメモリなど小さな電力で演算や記憶を行う集積回路と異なり、単体で電力の制御や変換を行うことができ、大きな電圧・電流の電力も扱えることが特徴で、パワーデバイスまたはディスクリート半導体とも呼ばれている。パワー半導体の機能には、交流から直流に変換するコンバーター、直流から交流に変換するインバーター、直流の電圧を変換するレギュレーターがあり、いずれか1つの機能をもって電力を制御する。このため、モーターの動作やバッテリーの充電、CPU・LSIといった半導体の駆動などに用いられるほか、制御することで各機器の省エネ化にも役立っている。また、パワー半導体は、スマートフォンやパソコンから、冷蔵庫やエアコンなど一般家庭向け機器、EV、データセンター、太陽光発電まで幅広く使われている。特に足元で、自動車の電動化や自動運転、センシング技術などの普及により車載向け需要が急拡大、自動車の進化とともに将来的にも需要拡大が継続すると見られている。パワー半導体は高度な技術が要求されるうえ、アナログ的な部分も残る多品種少量生産の電子部品であるため、国内外を問わず新規参入のハードルが高い分野と言われている。(3) 市場環境とクリップボンディングリードフレームこのため、リードフレームを含むパワー半導体構成部材の市場規模は、コロナ禍の影響でボトムを形成した2020年を起点に10年で2倍近くになるとの予測もあり、足元で実際に、世界の半導体メーカーがパワー半導体の設備投資や研究開発を加速している。また、構成部材のうち約47%近くが同社のターゲットとなるリードフレームと推定されているが、なかでも、同社が世に先駆けて本格量産を開始したクリップボンディングリードフレームが業界で注目されている。車載用電子制御装置や産業機器向けのパワー半導体は、省スペース化とともに高電圧化・高電流化が求められているからである。クリップボンディングリードフレームは、クリップとリードフレームでチップを挟み込むため、接触面積が広くなって構造上通電容量が大きくなることから、従来のリードフレームを大きく上回る電気特性と熱特性があるうえ、高い信頼性も得られる。この際、非接触部分ができて電流量が低下することを防ぐため、高い平坦度や清浄度、位置精度が求められる。このため非常に付加価値の高い製品ということができるが、同社はすでに中国工場で本格量産を開始している。EVなど車載向けパワー半導体が長期的に2ケタ成長を続けると見られるなか、国内でもすでに引き合いが強まっており、同社は2023年3月期中にクリップボンディングリードフレームの生産能力を前倒して増強する計画である。また、パワー半導体はもともとリードフレームの上にチップを乗せワイヤー線でつないで樹脂を被せる構造になっているが、高電圧化・高電流化に対してワイヤー線では限界がある。そのうえ、素材がシリコンより電流を流せる炭化ケイ素や窒素ガリウムに変わると、接触面積が広いクリップボンディングがより有利になると言われている。したがって、同社のクリップボンディングリードフレームへの需要は、今後ますます強まっていくと予想されている。(4) オプト用リードフレーム、コネクタ用部品の市場環境オプト用リードフレームは、デジタル化が進む自動車の表示装置など1台当たりの部品搭載率の上昇や、デジタルサイネージや大型ディスプレイの安定した需要により、堅調な成長が見込まれている。コネクタ用部品は、超微細で高品質大量生産されるスマートフォン・ウェアラブル向けの極小部品から、自動車の特殊で大きな部品まで幅広く対応している。スマートフォン向けは高止まり傾向にあるものの、車載向けの部品搭載数の増加やウェアラブル向けの高機能化・ワイヤレス化によって、中期的に引き続き成長していくと予想されている。パワー半導体向けリードフレーム以外でも、同社製品へのニーズは強く、強みを生かすことで市場を上回る成長を狙っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:15 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(4):高度な要望を満たす生産体制と厳格な品質管理基準 ■事業概要2. 生産体制エノモト<6928>の工場はどの工場も、蓄積してきた技術と独創的で効率的な生産ラインにより、顧客の要求を満たす高品質な製品を生み出すことができる。日々強まる顧客の高度な技術への要望を実現するため、国内の各工場では、インサート成形の本社工場(上野原サイト)、リードフレームの本社工場(塩山サイト)、コネクタ用部品の津軽工場、リードフレーム及びコネクタ用部品の岩手工場と、それぞれの工場が得意とする分野で様々な技術やノウハウを集積している。海外の製造拠点のフィリピンと中国の工場でも、日本と同様の製品を安定して大量に一貫生産することができる。このため、中国や東南アジアにおけるスマートフォンや自動車などの生産拡大に伴い、アジアでの売上高は2021年3月期までの10年間で約2倍の高成長を遂げた。こうした生産体制を支えているのが品質管理である。同社は、全工場でISO9001とISO14001を取得、海外でも国内生産と同じ基準で品質管理を実施している。三次元SEM(走査電子顕微鏡)による分析や品質に厳しい車載用デバイス向け製品の供給実績から、同社の品質管理技術が高水準にあることが理解できる。さらに、車載用製品におけるさらに厳しい品質管理・環境管理に対応するため、自動車産業の国際的な品質マネジメントシステムであるIATF16949の認証を中国・フィリピンで取得、2019年9月には岩手工場でも認証を取得した。IATF16949認証とは、自動車部品及び自動車用材料メーカーを対象に制定された、「欠陥の予防」と「バラツキとムダの削減」を達成するための自動車業界特有の品質マネジメントシステム要求事項で、ISO9001:2015をベースにつくられたセクター規格である。認証があれば、自動車産業における受注活動が大きく効率化されるため、他の工場でも本年度中の認証取得を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:14 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(3):自動車やスマートフォンなどに向けて高付加価値部品を製造 ■事業概要1. 事業内容エノモト<6928>は主として、半導体チップを支持固定し外部配線と接続するリードフレームや、電子回路や光通信において配線を接続するためのコネクタ用部品のプレス加工、メッキ加工、インサート成形、及びそれらの製造に使われる精密金型や周辺装置の製造販売を行っている。同社の製品は、主にパワー半導体部品となるIC・トランジスタ用リードフレーム、オプト※用リードフレーム、コネクタ用部品、その他といった製品群に分けられ、すべての製品群において技術力が差別化の要因となる。用途別では、IC・トランジスタ用リードフレームは自動車やデータセンター、産機などのパワー半導体向け、オプト用リードフレームは自動車や信号・照明・ディスプレイ向け、コネクタ用部品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル向けの部品が多く、その他はリレー用部品などである。2022年3月期の製品群別売上構成比はIC・トランジスタ用リードフレームが36.5%、オプト用リードフレームが13.5%、コネクタ用部品が47.5%、その他が2.5%で、用途別量産品の売上構成比は、車載30.2%、スマートフォン28.3%、ウェアラブル3.5%、民生・産機・その他38.0%となっている。同社グループは、同社と子会社4社(連結子会社3社、非連結子会社1社)で構成され、国内4工場、海外2工場(フィリピン1工場、中国1工場)という生産体制になっている。※オプト:光電子工学(オプトエレクトロニクス)の略称。(1) IC・トランジスタ用リードフレームIC・トランジスタ用リードフレーム製品群では、IC・トランジスタ用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器を製造し、各種部品メーカーに販売している。IC・トランジスタは民生用機器や産業用機器、自動車部品など広範に使用される電子部品で、同社は金属材を精密加工してIC・トランジスタの部品となるリードフレームを製造している。同社はパワー半導体向けリードフレームをはじめとする技術的要求の高い製品も安定した品質で大量に製造することができるが、なかでも、様々な異形状材料への対応力や、パワー半導体などに使用される放熱効果の高いカシメ※部品などに強みがある。また同社は、基本の「抜く・曲げる」に「つぶす(コイニング)・絞る」など多彩で高度な技術を組み合わせることができるため、あらゆる分野において顧客の高度な要求に対応することができる。製品の性質上、製造原価における材料費率(主に銅及び鉄)が高いため、こうした技術力の違いが大きな差別化要因となる。こうした強みを背景に、機械部品や太陽電池関連といった分野にも高難易度の製品をこれまで多数開発してきた。様々な加工技術を有する同社は、厳しい顧客ニーズに対応するだけでなく、環境に配慮した製品づくりも推進し、新たな付加価値も提供している。近年、EV(Electric Vehicle:電気自動車)など電動車やスマートフォンなどデジタル機器の電力損失低減のため、また、新たな電源技術の開発・発展や高効率な電力供給といった環境的側面から、高出力・省エネを支える高機能のパワー半導体の需要が急増している。それらに使用されるリードフレームには高電圧・高電流及び高温への対応に加えて、従来品を超える精度が要求されることから、同社の高いプレス加工技術を最も生かせる分野の1つとなっている。※カシメ:金属の塑性変形(変形が増すにつれてより硬くなること)を利用した接合方法。(2) オプト用リードフレームオプト用リードフレーム製品群では、LED用リードフレームとその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。現在、様々な分野で樹脂成形を含めた一貫生産の要求が増しており、金型と樹脂成形を融合した同社の技術がオンリーワンとして不可欠になってきた。同社はLED用リードフレームについて、金型の設計・製作から試作品開発、大量生産まで一貫して対応しているが、LED製品の形状を決定する重要な部品であることから、LEDメーカーと連携して生産している。主要製品はLEDディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト、自動車の各種ランプ、そのほか産業用や民生用、照明用のLEDに使用されるリードフレームである。なかでも同社は大型ディスプレイ向けに強みがあり、タテ型(砲弾型)LED用リードフレームは国内トップシェアを誇る。また、輝度や耐久性といった面で難易度の高いデザインへの要求も多く、長年の経験とノウハウによってカスタマイズした最適な提案で応えている。(3) コネクタ用部品コネクタ用部品製品群では、コネクタ用部品とその製造に使用する精密金型や周辺機器の製造販売を行っている。コネクタは電子回路や光通信において配線を接続するために用いられる部品・器具のことで、同社はスマートフォンなどに利用される基板対基板用(Board to Board)コネクタやFPC(Flexible Printed Circuits)コネクタ、細線同軸コネクタなどの金属端子部品を製造している。近年、スマートフォンやウェアラブルのハイスペック化に伴って、コネクタやコンタクトピンの極小化が求められるようになり、付加価値の高い狭ピッチ品へのニーズが高まっている。これに対して同社は、金属プレス加工の複雑な曲げ形状の技術と樹脂成形加工の技術を融合することで、世界最小クラスの狭ピッチコネクタ部品の生産も手掛けている。このように、長年培ってきたプレス技術と成形技術を背景に、難易度の高い様々な要求に対して、同社は最適なソリューションを提供することができる。このため同社は、OEM(Original Equipment Manufacturer)による供給にも対応しているほか、近年では精密性と堅牢性が厳しく求められる自動車の電装化向け需要も増加してきている。なお、同社は国内外の工場において、金型の設計から金属端子部品のプレス加工やメッキ加工、樹脂成形加工といった量産工程までの一貫生産を行っている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:13 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(2):強みと市場拡大を背景に業績好調を継続 ■会社概要1. 会社概要エノモト<6928>は、リードフレーム※1やコネクタ用部品※2といった精密部品を製造する大手電子部品メーカーである。主な販売先は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーで、同社の製品は家電や自動車、スマートフォンなど様々な機器の内部で使用されており、市場は中長期的に拡大傾向にある。そのような市場で同社は、微細の複合加工技術や高品質・大量生産技術、日本、中国、フィリピンの3極体制、独立系のポジションといった強みを有している。依然として新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が残るところに、ウクライナ情勢など新たなリスクが発生し、世界の景気の先行き不透明感がぬぐえない。しかし同社は、強みと市場の拡大を背景にピーク利益を更新するなど、業績好調を続けている。※1 リードフレーム:半導体パッケージに使われ、半導体チップを支持固定して外部配線と接続する部品。※2 コネクタ用部品:電子回路や光通信などにおいて機器や部品を接続する部品。津軽工場の増築や最先端技術の開発など積極的に事業を推進2. 沿革同社は1967年に神奈川県相模湖町で、精密金型の製作と金型による電子部品のプレス加工を目的に、株式会社榎本製作所という社名で設立された。1969年に山梨県に上野原工場を設立、1973年に本社を上野原に移転、その後はコネクタ用部品やLED用リードフレームなどへと製造の幅を広げ、国内の営業・生産拠点を拡充していった。1990年に社名を現在の株式会社エノモトに改めるとともに、日本証券業協会に店頭登録した(旧東京証券取引所JASDAQ市場)。1995年にフィリピン、2000年には中国に進出して3極体制の事業基盤を構築し、2017年に東京証券取引所市場第2部に、2018年には東京証券取引所第1部に上場し、現在は東証プライム市場に移行している。中長期成長のカギとなる津軽工場の増築を果たし、足元は津軽工場のスマートファクトリー化を推進している。また、クリップボンディングリードフレームや燃料電池部品など最先端技術の開発も引き続き積極的に進めている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:12 注目トピックス 日本株 エノモト Research Memo(1):パワー半導体向けリードフレームが成長を押し上げ ■要約1. 高機能のカスタマイズ品や微細な精密プレス金型技術に特徴エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じてカスタマイズされた高機能品や微細加工の精密プレス金型技術に特徴があり、生産体制は日本、中国、フィリピンの3極体制となっている。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル、産業用機械などの内部で使われている。2022年3月期の製品群別売上構成比は、IC・トランジスタ用リードフレーム36.5%、オプト用リードフレーム13.5%、コネクタ用部品47.5%、その他2.5%で、用途別量産品の売上構成比は、車載30.2%、スマートフォン28.3%、ウェアラブル3.5%、民生・産機・その他38.0%だった。2. 複合加工技術や高品質・大量生産技術、3極生産体制などに強み同社の強みは、一貫生産体制と機動力にある。一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術と高品質・大量生産技術に支えられている。同社の複合加工技術は、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形を一体化して製造し、極めて厳しい寸法精度の要求にまで応じることができる。また、億単位で大量生産する技術は、高精度で長寿命の金型製作技術や最適なタイミングで行われる金型のメンテナンスによって裏付けられている。機動力の源泉は、3極の生産体制と独立系としてのポジションにある。同社の海外工場では国内工場と同水準の一貫生産体制を構築しており、国内と同品質の製品を製造することができる。また、独立系の強みとして精密・微細加工など加工難易度の高い製品や、メッキ・樹脂加工など加工度の高い製品への特化に加え、様々な顧客が求める諸々の製品や技術、ロットに柔軟に対応することができる。3. パワー半導体向けリードフレームの好調で業績好調を持続2022年3月期の業績は、売上高27,250百万円(前期比18.5%増)、営業利益2,012百万円(同28.7%増)となった。スマートフォン向けコネクタ用部品の需要が高止まる一方、自動車の電装化や産械向けにパワー半導体向けリードフレーム、特に高電圧・高電流に対応したクリップボンディングリードフレームの需要が拡大し、期初予想を上回る業績となった。同社は2023年3月期業績予想について、売上高28,600百万円(同5.0%増)、営業利益2,200百万円(同9.3%増)を見込んでいる。引き続き、クリップボンディングタイプをを含むパワー半導体は、車載やデータセンター、産機向けに強い需要が予想されている。また、より大きな電流の流せる炭化ケイ素などの素材を使ったパワー半導体が普及し始めており、同社にとってますます強みを生かせる状況になっていく見通しである。4.業績好調につき中期経営計画を上方修正、併せて中期環境計画を策定同社は、「ビジョン2030」の1stSTEPとして中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定、津軽工場の増設や燃料電池部品の開発といった戦略が順調に進捗し、パワー半導体向けリードフレームの好調などにより、初年度で最終年度の目標数値を達成した。このため、最終年度の目標数値を売上高290億円、営業利益24億円へとそれぞれ40億円、4億円上方修正した。併せて3年間の投資計画も、パワー半導体向けクリップボンディングリードフレームの増産などに向けて10億円増額している。中期経営計画の上方修正と併せて、カーボンニュートラルへ向けた中期環境計画を策定した。太陽光発電設備など再生エネルギーの活用とコンプレッサーなどの省エネ対策により、生産プロセスにおけるGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の総排出量を、2030年度に2012年度比で33.33%削減することを目指している。■Key Points・精密プレス金型技術に特徴、複合加工技術、高品質・大量生産技術、3極生産体制・独立系に強み・車載用などパワー半導体向けリードフレームが好調で2023年3月期も好業績継続へ・好業績を背景に中期経営計画を上方修正、2024年3月期の営業利益24億円を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) <ST> 2022/07/13 15:11 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(11):カイカコインによる株主優待を導入 ■株主還元CAICA DIGITAL<2315>は、財務基盤の強化を進めながらも、暗号資産交換所システムの開発やM&Aを含めた各事業の立ち上げ、暗号資産交換所への参入などに積極的に投資を行ってきたことから、2014年3月期以降、配当実績はない。なお、2022年10月期については現時点で配当は未定である。ただ、将来的には利益成長に伴う復配の可能性は十分に考えられる。なお、2022年4月19日に暗号資産カイカコイン(CICC)による株主優待の実施について決議した。2022年4月末及び2022年10月末時点の株主(10単元株以上保有)を対象として、年2回一律500円相当のカイカコインを進呈する内容となっている。カイカコインへの関心をより深めてもらうことが目的となっているようだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:11 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(10):積極的なM&Aにより事業構造変革に取り組む ■CAICA DIGITAL<2315>の業績推移2016年10月期からの売上高を振り返ると、既存の大手SIer向けの開発案件は総じて堅調に推移してきた。2017年10月期の売上高が伸び悩んだのは、ブロックチェーン技術者の育成と実証実験にリソースを配分したことなどが理由である。2018年10月期は、ネクス・ソリューションズやeワラント証券(現 カイカ証券(株))などの連結効果により大幅な増収を実現した。ただ、2019年10月期は外部要因やネクス・ソリューションズの連結除外等により下振れるとともに、2020年10月期についてもコロナ禍の影響やクシムの連結除外等により低調に推移した。2021年10月期はクシムの連結除外による影響が残ったものの、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化(6ヶ月間の上乗せ)によりほぼ横ばいを確保した。一方、利益面に目を向けると、2017年10月期の営業利益率は5.6%の水準を確保したものの、2018年10月期から営業損失を計上している。「暗号資産交換所システム」の開発コストや「金融商品取引事業」における基盤整備など、将来を見据えた先行費用のほか、2020年10月期はコロナ禍の影響を受けたトレーディング収益の悪化などが利益を圧迫。2021年10月期も相場下落に伴う暗号資産関連ビジネスの下振れなどにより営業損失が継続した。一方、経常利益については、持分法投資損益や暗号資産売却損益などの影響により大きく増減してきたことに注意が必要である。特に2018年10月期は暗号資産売却益(915百万円)により営業損失を大きくカバーする格好となったが、2019年10月期はFDAGによる持分法投資損失により、損失幅がさらに拡大する要因となっている。財政状態については、積極的なM&Aにより2018年10月期末の総資産が100億円を超える水準に到達すると、2021年10月期末には「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスの連結化により、1,000億円を超える規模にまで大きく拡大した。一方、自己資本比率については、2016年10月期末は21.7%にとどまっていたものの、新株予約権の行使や内部留保の積み増し、2017年11月に実施した第三者割当増資により改善を図ってきたことに加え、2020年9月にはライツ・オファリングによる資本増強を実現し、2020年10月期末の自己資本比率は81.8%と大きく改善した。ただ、既述のとおり、カイカエクスチェンジホールディングスの連結化に伴い、2021年10月期末の財政状態は大きく変化し、自己資本比率も10.3%に低下しているが、財務の安全性に懸念はない。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:10 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(9):システム開発業として約50年にわたる実績 ■沿革CAICA DIGITAL<2315>は、1989年7月の設立以来、システム開発業を営んできた。後に経営統合した企業の実績を含めると、システム開発業としての実績は約50年にわたる。金融業界向けのシステム開発を主力として業績を伸ばし、2003年3月には日本証券業協会に店頭登録した(その後、東京証券取引所JASDAQ市場に上場。2022年4月の同市場区分再編に伴い、スタンダード市場へ移行)。その後も中国への展開等により業容は大きく拡大してきた。同社にとって大きな転機となったのは、中国における業績面の悪化や有利子負債の増加、さらには過去における不適切な取引の発覚(2014年10月)などから、経営体制の刷新、中国事業からの撤退、ネクスグループとの資本業務提携を相次いで実施し、2015年10月期より新たなスタートを切ったことである。成長性の期待できるブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野と位置付け、とりわけフィスコグループとの連携により、暗号資産関連ビジネスに経営資源を投入してきた。また、M&Aにも積極的であり、2017年2月に(株)東京テック、同年8月に(株)ネクス・ソリューションズを連結化(ただし、2019年9月に売却)した。2017年11月には戦略子会社(株)CCCTを設立し、「暗号資産関連事業」の本格的な事業化に向けた体制を整えると、2018年2月にはカイカ証券などを買収したことで、新たに「金融商品取引事業」を開始した。さらに2018年12月には暗号資産交換所「Zaif」や「フィスコ仮想通貨取引所」※を有するFDAG((株)フィスコデジタルアセットグループ(現 カイカエクスチェンジホールディングス))を持分法適用関連会社化し、自社グループ内に取り込むなど、FinTech分野のトップランナーとしてのポジションや新たな事業モデル(金融プラットフォーマー構想)の実現に向けて着々と基礎固めを行ってきた。2020年3月にはグループ経営体制を強化すべく、持株会社体制へと移行し、商号も「株式会社CAICA」へと変更。2021年3月には暗号資産交換所を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを連結子会社とし、「CAICAテクノロジーズ」「カイカエクスチェンジグループ」「カイカ証券グループ」の3本柱の体制を構築するとともに、同社商号も「CAICA DIGITAL」へと再変更した。※「フィスコ仮想通貨取引所」については2020年2月に「Zaif」に統合した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:09 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(8):「Zaif」とのシナジー創出等により成長加速を目指す ■CAICA DIGITAL<2315>の今後の方向性1. 今後の方向性2期目を迎えた中期経営計画については、新サービス提供開始の遅れや暗号資産の相場低迷の影響を受け、計画数値を下回って推移しているが、今後の方向性や「2030年に向けた将来ビジョン」(詳細は後述)に大きな見直しはなく、最終年度(2023年10月期)の計画数値も現時点で据え置いている。すなわち、新しい金融資産である暗号資産、普及拡大が間近に迫ったブロックチェーン(トークンエコノミーを含む)、コロナ禍によりさらに加速するデジタル化を背景として、他社に例を見ない事業基盤を生かし、金融とITをシームレスに統合した新たな「金融プラットフォーマー構想」の実現を目指しており、戦略の軸は、復活に向けて本格的に動き出した「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスの拡大にある。特に、カイカ証券との連携を含む新商品の開発や「Zaif」の顧客基盤を活用したマーケティングなど、シナジー創出のポテンシャルは大きい。以下に掲げるグループ戦略の実行により、最終年度(2023年10月期)の計画数値(売上高11,758百万円、営業利益1,810百万円)の達成に向けて、成長を加速させていく考えだ。2. グループ戦略(1) ITサービス事業自社製品(CAICAブランド)の販売を強化し、ソリューション型商品の比率を上げていく戦略である。特に、ブロックチェーンコミュニケーションサービス「Gu-Gu」や、セキュリティ・コンサルティング・サービス、NFTプラットフォームの販売強化などに取り組む。また、SI事業者向け業務効率化プラットフォームのほか、ブロックチェーンを活用した新サービスを順次リリースしていく計画となっている。(2) 金融サービス事業各事業の連携により、「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスを加速させる戦略である。具体的には、1) 「Zaif」の次世代システムへの移行(機能・処理能力向上)や広告宣伝強化による顧客獲得、2) カイカ証券やNFTプラットフォームとの連携による新サービスの販売強化、3) カイカコインの活用、4) 新商品の投入など、同社ならではの取り組みを事業拡大につなげていく。3. 2030年に向けた将来ビジョン「デジタル金融の世界を切り拓く」をスローガンとして、「あらゆる事がデジタル化される未来。中央集権型から分散型(DeFi)へ、業界構造そのものが大きく変革していく金融。CAICAはその変革者になります。」を目指す姿に掲げ、2030年10月期に売上高500億円を目標としている。もっとも、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)に取り組む方向性に変化はない。すなわち、金融に暗号資産という新概念が登場し、パラダイムシフトの黎明期にあるなかで、新しいプレイヤーが垣根を越えて参入できるチャンスが広がっていることから、金融とITに高度に精通した同社ならではの新しい価値創造を実現していく考えである。中長期的には海外展開や社会インフラ関連ソリューションへの進出も視野に入れているようだ。4. 弊社による注目点弊社でも、足元業績に回復の兆しが出てきたことや、外部要因(デジタル化の進展、暗号資産・ブロックチェーンの普及)及び内部要因(「Zaif」とのシナジー創出の進展等)から判断すると、本格的な成長に向けた転換期にあると捉えている。特に、暗号資産やブロックチェーン技術のポテンシャルに対して注目が集まるなかで、他社に先駆けてブロックチェーン技術を活用したFinTech分野に注力し、高い信頼性やセキュリティ機能などが求められる暗号資産交換所システムで実績を積み上げてきた同社には、暗号資産関連ビジネスを展開するうえで大きなアドバンテージがあると見ている。また、金融とITをシームレスに統合した新しいタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)に取り組む方向性についても、第一種金融商品取引業であるカイカ証券や暗号資産交換所を自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かせるうえ、暗号資産関連ビジネスを展開するための差別化要因としても期待ができる。当面は、「Zaif」との連携を軌道に乗せ、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けた基盤をいかに強化していくのかがポイントとなるだろう。また、長期的視点からは、金融プラットフォーマー構想(トークンエコノミーの構築)やステーブルコインの動きなど、ポテンシャルの大きな分野への展開にも注目したい。短期から中長期まで、デジタル化の潮流に合致した戦略を設定しており、今後の成長期待は大きい。また、注目されるカイカコインの活用についても、2021年12月20日に公表された「カイカコイン(CICC)」のホワイトペーパーによると、「Zaif」の取引所コインとして様々なサービスへの展開が検討されており、そうなれば、取引所コインとしての価値が高まるとともに、「Zaif」自体の活性化に向けた起爆剤として、同社の業績にも大きく貢献することが想定される。さらに言えば、同社グループが提供する各種金融サービス(例えば、暗号資産レバレッジトラッカー・CFDサービスやレンディングサービス、NFTプラットフォームなど)への活用機会の拡充により、様々な方面での保有者の拡大、流通の促進が図られ、その結果、サービスの差別化とコインの価値向上が相互に働き合う相乗効果が発揮されるシナリオも描くことができるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:08 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(7):2022年10月期は期初予想を据え置き、増収増益(黒字転換)を目指す ■業績見通し1. 2022年10月期の業績予想2022年10月期の連結業績についてCAICA DIGITAL<2315>は、期初予想を据え置き、売上高を前期比28.4%増の7,632百万円、営業利益を211百万円(前期は915百万円の損失)、経常利益を201百万円(同929百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益を472百万円(同799百万円の損失)と増収増益による黒字転換を目指している。売上高については、引き続き「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」の伸びが増収に大きく寄与する見通しとなっている。「ITサービス事業」は好調な事業環境が続くなか、大手SIer等の既存顧客からの受注の継続及び拡大を見込んでいる。また、「金融サービス事業」については、カイカエクスチェンジホールディングスの通年寄与(6ヶ月分の上乗せ)に加え、カイカ証券とのシナジー創出による暗号資産関連ビジネスの拡大を想定している。利益面でも、「Zaif」の次世代システム導入や広告投資(YouTube広告の開始等)の拡大など、今後の事業拡大に向けた先行費用を予定しているものの、増収による収益の底上げにより大幅な増益を実現し、黒字転換を目指す想定となっている。特に「金融サービス事業」については、「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスの本格化により、収益基盤の確立を図っていく方針である。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、既述のとおり、特別利益の計上により上期の段階で既に通期予想を上回っている。2. 弊社の見方通期業績予想の達成のためには、下期の売上高3,971百万円(上期比310百万円増)、営業利益147百万円(同83百万円増)が必要となり、上期実績からさらなる積み上げが必要となる。弊社では、同社業績のドライバーとなる暗号資産関連ビジネスはポテンシャルが大きな事業であるものの、暗号資産市場全体の不安定な動きによる影響を含め、未だ不確実性が高い事業であるところについては慎重に判断する必要があるものと見ているが、そのうえで、外部要因(暗号資産市場の健全な成長)及び内部要因(暗号資産関連ビジネスにおける収益基盤の確立)が想定どおりに整ってくれば、同社の業績予想の達成も十分に視野に入ってくるものと見ている。収益を積み上げていくためのポイントは、「マーケット状況に影響されにくい収益構造の構築」をいかに進めていくのかにある。特に、コイン積立や自動売買ツールなどストック型収益商品の拡充がカギを握るであろう。また、次世代システムへの移行によるサービスの向上はもちろん、暗号資産を活用した新規サービスの販売強化や新たな暗号資産の取り扱いが、「Zaif」の活性化にいかに寄与していくのかについても注目していきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:07 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(6):「マーケット状況に影響されにくい収益構造」の構築に取り組む ■主な活動実績と今後の展開CAICA DIGITAL<2315>戦略の軸は、「Zaif」を中核とする暗号資産関連ビジネスを加速させるところにあり、CAICAグループの強みを生かしながら、1) 顧客獲得の強化、2) 新規サービスの販売強化、3) 新商品の投入などに取り組んでいる。特に、「マーケット状況に影響されにくい収益構造の構築」を重点テーマに掲げており、独自コインの取扱による経済圏の構築(カイカコイン、Skeb Coin(仮称)など)やストック型収益商品の拡充(コイン積立、自動売買ツールなど)、独自の金融商品の販売(暗号資産トラッカーなど)により収益基盤の強化及び安定化を推進していく方針である。これまでの主な活動実績と今後の展開については、以下のとおりである。1. 暗号資産IEO実施の検討2022年6月10日に、(株)スケブ及び(株)スケブベンチャーズとIEO実施検討に関する覚書を締結した。スケブは、国内外から日本のクリエイターに対して、イラストや音声、映像等を有償でリクエストすることができるコミッションサービス「Skeb」を展開している。昨今の情勢の変化により、新たな収入源を求めるクリエイターの登録が急増しており、登録者数約210万人、クリエイター登録者数約11万人、月間取引高4億円以上と国内最大級のコミッションサービスとなっている(スケブ調べ)。今後、受託販売契約を締結し、スケブベンチャーズによるSkeb Coin(仮称)発行による資金調達及び「Zaif」での取引開始を目指していく(2022年9月頃を計画)。両社の経済圏を融合することで新たな価値を創出するところに狙いがあり、とりわけ同社グループ(Zaif)にとっては、新規顧客の獲得やWeb3時代の生活口座の囲い込みにつなげていきたい考えだ。2. コイン積立の拡充2022年6月15日より、「Zaif」のコイン積立における対象暗号資産を新たに5種類追加し、合計7種類の暗号資産の積み立てが可能となった。すなわち、これまでのビットコイン(BTC)及びネム(XEM)に加え、イーサリアム(ETH)、シンボル(XYM)、フィスココイン(FSCC)、カイカコイン(CICC)、ネクスコイン(NCXC)が可能となっており、長期ストック収益の拡大に向けて弾みをつけた。3. 取扱暗号資産の拡充2022年6月1日には、新たに暗号資産5種類の取扱予定について公表を行った。具体的には、2022年10月までに、ポルカドット(DOT)、イーサリアム クラシック(ETC)、ライトコイン(LTC)、ステラルーメン(XLM)、リップル(XRP)の取扱を予定している。さらには、既述のとおり、Skeb Coin(仮称)のIEOの実施も検討しており、暗号資産取扱数で国内No.1を目指していく方針である。4. 「暗号資産トラッカー」の全面リニューアルカイカ証券では、シンプルでわかりやすく取引ができるように、「暗号資産トラッカー」の取引画面のリニューアルを実施した。課題となっていたコンバージョン率※1の改善を図り、今後の売上拡大につなげていく考えである。「暗号資産トラッカー」は、現物取引と比べて、1) 申告分離課税の対象※2となることや、2) ハッキングリスクがないところに特長があり、暗号資産関連商品の目玉として注力していく方針である。また、高レバレッジ型の「暗号資産レバレッジトラッカー」についても、2022年10月期第4四半期頃のリニューアルを予定している。※1 取引画面に入ってきた利用者が取引制約に至る割合。※2 他の所得と分離され、一律20.315%の税率が適用されるため、特に高所得者層にはメリットが大きい。5. カイカコインプロジェクトの進捗保有者の拡大に向けて、Webセミナー第1弾、第2弾及び第3弾を開催したほか、コイン積立にカイカコインを追加するなど、カイカコインプロジェクトに沿って着々と進捗を図っている。2022年10月期下期にはIEO優遇策やカイカキャピタルによるレンディングサービスの拡充を実施予定である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:06 注目トピックス 日本株 CAICAD Research Memo(5):「ITサービス事業」が堅調に推移したほか、暗号資産の投融資・運用が好調 ■決算概要1. 2022年10月期上期決算の概要CAICA DIGITAL<2315>の2022年10月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比36.9%増の3,661百万円、営業利益が64百万円(前年同期は243百万円の損失)、経常利益が59百万円(同237百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比151.1%増の515百万円と増収増益となり、営業(及び経常)黒字化を実現した。また、期初予想に対しても総じて計画線で推移している。売上高は、好調な受注環境を背景として「ITサービス事業」が堅調に推移するとともに、「金融サービス事業」についても、2021年10月期第3四半期から連結化したカイカエクスチェンジホールディングスが期初から寄与したことや、カイカキャピタルによる暗号資産の投融資・運用が好調であったことから大きく拡大した。一方、暗号資産市場全体が低調に推移するなか、「Zaif」における受入手数料が想定を下回ったほか、カイカ証券においてもこれまでの主力商品であったeワラントの販売減を暗号資産関連商品でカバーするには至らなかった。利益面では、のれん償却費が増加したことに加え、「Zaif」の次世代システム導入やブランド強化に向けた広告投資など先行費用を積極投入したものの、「ITサービス事業」の収益性改善や、「金融サービス事業」における収益の底上げ(セグメント損失の縮小)により営業黒字化を実現した。また、過去の訴訟に係る受取和解金(550百万円)や、償却債権取立益(150百万円)を特別利益に計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な増益となった。財政状態については、「Zaif」の業容拡大に伴う利用者暗号資産の増加等により総資産は前期末比5.2%増の112,837百万円に拡大した。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同5.4%増の11,667百万円に拡大したことから、自己資本比率は前期比ほぼ横ばいの10.3%で推移した。また、短期の支払い能力を示す流動比率は106.0%と100%を超え、ネット有利子負債比率もマイナス(実質無借金)の状態が継続されていることから、財務の安全性に懸念はない。各事業別の業績及び活動実績は以下のとおりである。(1) ITサービス事業売上高(内部取引を含む)は前年同期比0.3%減の2,479百万円、セグメント利益は同46.2%増の278百万円と、売上高はほぼ横ばいながら大幅な増益となった。主力となる金融機関向けのシステム開発は、大型案件が少なかったものの、好調な受注環境を背景として堅調に推移した。とりわけ一次請けである保険会社向け案件が拡大し、収益性の向上にも大きく寄与した。非金融向けシステム開発分野においても顧客のIT投資意欲は強く、大手SIer等の既存顧客からの受注の継続及び拡大に加え、新規案件の引き合いも常に確保できている状況にあるようだ。また、暗号資産を含むFinTech関連システムでは、内部取引となる「Zaif」向け案件(次世代システムの導入等)に注力するとともに、自社プロダクト(NFTプラットフォーム、セキュリティソリューション)の販売強化にも取り組んだ。(2) 金融サービス事業売上高(内部取引を含む)は前年同期比571.7%増の1,283百万円、セグメント損失は27百万円(前期は210百万円の損失)と大幅な増収となり、損失幅が縮小した。2021年10月期第3四半期より連結化したカイカエクスチェンジホールディングスが期初から寄与したほか、商品ラインナップの拡充にも取り組んだ。ただ、暗号資産市場全体が低調に推移するなか、取引顧客の出来高や新規顧客のペースが鈍化し、想定を下回る進捗となっている。また、カイカ証券についても、暗号資産を対象とした独自の商品・サービスの開発・提供に注力したものの、これまでの主力商品であったeワラントの販売については、(株)SBI証券が新規eワラントの銘柄追加を中止したことにより低調に推移しており、その減少分を暗号資産関連商品の伸びでカバーするには至らなかった。一方、カイカキャピタルにおける暗号資産の投融資・運用が好調であり、セグメント損失の縮小に大きく貢献した。2. 2022年10月期上期の総括以上から、2022年10月期上期を総括すると、暗号資産市場全体が低調に推移するなかでも、「ITサービス事業」における収益の伸びや、暗号資産のトレーディング収益の確保により大幅な損益改善(営業黒字化)を実現したところは、これまで厳しい業績が継続してきただけに、潮目の変化となる可能性も含めて前向きに評価したい。また、活動面においても、「Zaif」における次世代システム導入をはじめ、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて、様々な先行投資や取り組みが本格化してきた点でも大きな成果を残すことができた。一方、「Zaif」の活性化に向けて、暗号資産を対象とする独自の商品・サービスをいかに軌道に乗せていくのかは引き続き課題となっており、本格的な成長加速に向けた今後の展開とブレークスルーのタイミングに注目していきたい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫) <YM> 2022/07/13 15:05

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