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エノモト Research Memo(1):パワー半導体向けリードフレームが成長を押し上げ
配信日時:2022/07/13 15:11
配信元:FISCO
■要約
1. 高機能のカスタマイズ品や微細な精密プレス金型技術に特徴
エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じてカスタマイズされた高機能品や微細加工の精密プレス金型技術に特徴があり、生産体制は日本、中国、フィリピンの3極体制となっている。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル、産業用機械などの内部で使われている。2022年3月期の製品群別売上構成比は、IC・トランジスタ用リードフレーム36.5%、オプト用リードフレーム13.5%、コネクタ用部品47.5%、その他2.5%で、用途別量産品の売上構成比は、車載30.2%、スマートフォン28.3%、ウェアラブル3.5%、民生・産機・その他38.0%だった。
2. 複合加工技術や高品質・大量生産技術、3極生産体制などに強み
同社の強みは、一貫生産体制と機動力にある。一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術と高品質・大量生産技術に支えられている。同社の複合加工技術は、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形を一体化して製造し、極めて厳しい寸法精度の要求にまで応じることができる。また、億単位で大量生産する技術は、高精度で長寿命の金型製作技術や最適なタイミングで行われる金型のメンテナンスによって裏付けられている。機動力の源泉は、3極の生産体制と独立系としてのポジションにある。同社の海外工場では国内工場と同水準の一貫生産体制を構築しており、国内と同品質の製品を製造することができる。また、独立系の強みとして精密・微細加工など加工難易度の高い製品や、メッキ・樹脂加工など加工度の高い製品への特化に加え、様々な顧客が求める諸々の製品や技術、ロットに柔軟に対応することができる。
3. パワー半導体向けリードフレームの好調で業績好調を持続
2022年3月期の業績は、売上高27,250百万円(前期比18.5%増)、営業利益2,012百万円(同28.7%増)となった。スマートフォン向けコネクタ用部品の需要が高止まる一方、自動車の電装化や産械向けにパワー半導体向けリードフレーム、特に高電圧・高電流に対応したクリップボンディングリードフレームの需要が拡大し、期初予想を上回る業績となった。同社は2023年3月期業績予想について、売上高28,600百万円(同5.0%増)、営業利益2,200百万円(同9.3%増)を見込んでいる。引き続き、クリップボンディングタイプをを含むパワー半導体は、車載やデータセンター、産機向けに強い需要が予想されている。また、より大きな電流の流せる炭化ケイ素などの素材を使ったパワー半導体が普及し始めており、同社にとってますます強みを生かせる状況になっていく見通しである。
4.業績好調につき中期経営計画を上方修正、併せて中期環境計画を策定
同社は、「ビジョン2030」の1stSTEPとして中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定、津軽工場の増設や燃料電池部品の開発といった戦略が順調に進捗し、パワー半導体向けリードフレームの好調などにより、初年度で最終年度の目標数値を達成した。このため、最終年度の目標数値を売上高290億円、営業利益24億円へとそれぞれ40億円、4億円上方修正した。併せて3年間の投資計画も、パワー半導体向けクリップボンディングリードフレームの増産などに向けて10億円増額している。中期経営計画の上方修正と併せて、カーボンニュートラルへ向けた中期環境計画を策定した。太陽光発電設備など再生エネルギーの活用とコンプレッサーなどの省エネ対策により、生産プロセスにおけるGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の総排出量を、2030年度に2012年度比で33.33%削減することを目指している。
■Key Points
・精密プレス金型技術に特徴、複合加工技術、高品質・大量生産技術、3極生産体制・独立系に強み
・車載用などパワー半導体向けリードフレームが好調で2023年3月期も好業績継続へ
・好業績を背景に中期経営計画を上方修正、2024年3月期の営業利益24億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 高機能のカスタマイズ品や微細な精密プレス金型技術に特徴
エノモト<6928>は大手電子部品メーカーで、リードフレームやコネクタ用部品など精密部品を製造販売している。顧客のニーズに応じてカスタマイズされた高機能品や微細加工の精密プレス金型技術に特徴があり、生産体制は日本、中国、フィリピンの3極体制となっている。顧客は半導体パッケージやコネクタなどの電子部品メーカーが中心で、製品は自動車やスマートフォン、ウェアラブル、産業用機械などの内部で使われている。2022年3月期の製品群別売上構成比は、IC・トランジスタ用リードフレーム36.5%、オプト用リードフレーム13.5%、コネクタ用部品47.5%、その他2.5%で、用途別量産品の売上構成比は、車載30.2%、スマートフォン28.3%、ウェアラブル3.5%、民生・産機・その他38.0%だった。
2. 複合加工技術や高品質・大量生産技術、3極生産体制などに強み
同社の強みは、一貫生産体制と機動力にある。一貫生産体制は、金属と樹脂の複合加工(インサート成形)技術と高品質・大量生産技術に支えられている。同社の複合加工技術は、超精密な金属打ち抜き部品と樹脂成形を一体化して製造し、極めて厳しい寸法精度の要求にまで応じることができる。また、億単位で大量生産する技術は、高精度で長寿命の金型製作技術や最適なタイミングで行われる金型のメンテナンスによって裏付けられている。機動力の源泉は、3極の生産体制と独立系としてのポジションにある。同社の海外工場では国内工場と同水準の一貫生産体制を構築しており、国内と同品質の製品を製造することができる。また、独立系の強みとして精密・微細加工など加工難易度の高い製品や、メッキ・樹脂加工など加工度の高い製品への特化に加え、様々な顧客が求める諸々の製品や技術、ロットに柔軟に対応することができる。
3. パワー半導体向けリードフレームの好調で業績好調を持続
2022年3月期の業績は、売上高27,250百万円(前期比18.5%増)、営業利益2,012百万円(同28.7%増)となった。スマートフォン向けコネクタ用部品の需要が高止まる一方、自動車の電装化や産械向けにパワー半導体向けリードフレーム、特に高電圧・高電流に対応したクリップボンディングリードフレームの需要が拡大し、期初予想を上回る業績となった。同社は2023年3月期業績予想について、売上高28,600百万円(同5.0%増)、営業利益2,200百万円(同9.3%増)を見込んでいる。引き続き、クリップボンディングタイプをを含むパワー半導体は、車載やデータセンター、産機向けに強い需要が予想されている。また、より大きな電流の流せる炭化ケイ素などの素材を使ったパワー半導体が普及し始めており、同社にとってますます強みを生かせる状況になっていく見通しである。
4.業績好調につき中期経営計画を上方修正、併せて中期環境計画を策定
同社は、「ビジョン2030」の1stSTEPとして中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定、津軽工場の増設や燃料電池部品の開発といった戦略が順調に進捗し、パワー半導体向けリードフレームの好調などにより、初年度で最終年度の目標数値を達成した。このため、最終年度の目標数値を売上高290億円、営業利益24億円へとそれぞれ40億円、4億円上方修正した。併せて3年間の投資計画も、パワー半導体向けクリップボンディングリードフレームの増産などに向けて10億円増額している。中期経営計画の上方修正と併せて、カーボンニュートラルへ向けた中期環境計画を策定した。太陽光発電設備など再生エネルギーの活用とコンプレッサーなどの省エネ対策により、生産プロセスにおけるGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)の総排出量を、2030年度に2012年度比で33.33%削減することを目指している。
■Key Points
・精密プレス金型技術に特徴、複合加工技術、高品質・大量生産技術、3極生産体制・独立系に強み
・車載用などパワー半導体向けリードフレームが好調で2023年3月期も好業績継続へ
・好業績を背景に中期経営計画を上方修正、2024年3月期の営業利益24億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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