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アートネイチャ Research Memo(6):売上高は前年比大幅増、営業利益は黒字転換
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の業績アートネイチャー<7823>の2022年3月期第2四半期の業績は、売上高19,329百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益1,561百万円(同2,153百万円増)、経常利益1,492百万円(同1,923百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純利益857百万円(同1,303百万円増)となった。売上高は前年比大幅増となり、コロナ禍前の水準が視野に入るところまで戻すことができ、利益は前年同期の赤字から黒字に転換した。今期に入って4月、5月の売上高は、前年同期の1回目の緊急事態宣言による落ち込みの反動増に加え、前期受注分の納品が進捗したため大幅に増加した。6月以降は、感染者再拡大もあってほぼ前年同月並みの水準で推移した。利益面では、規制緩和に伴う工場稼働率上昇や売上拡大によって売上総利益率が大きく改善、前年同期に抑制した販管費は広告費を中心に前年同期を上回るペースで推移したが、売上回復と一部費目の下期への期ズレにより販管費率としては大幅な改善となった。なお、収益認識会計基準等を第1四半期期首より適用したため、第2四半期までの売上高が74百万円減少している。メンズ、レディースともにコロナ禍前の水準に近づく2. セグメント別業績メンズ、レディースともに売上高は、営業自粛や工場の一時休止などが解消された結果、大きく伸びてコロナ禍前の水準に近づくことができた。特にレディースは、新商品の発売や再開した展示試着会などが寄与した。その他は対照的に低い伸びとなった。その他に含まれる通販事業がメインのため前年同期は巣ごもり需要で伸びたが、今期はテレビ通販の放映回数の減少などにより伸び悩んでいる。また、増毛商品と育毛ケア・サービスの伸びが相対的に低いが、これはコロナ禍における接触を敬遠する傾向が依然残っていることから、新規顧客の伸びがいずれも20%前後の減少となったことが要因である。なお、顧客からの問い合わせを受け付けるコンタクトセンターに、今期よりAI自動応答システムを試験導入した。これにより、瞬間的な着信数増大やオペレーター不在の際の問い合わせをカバーすることができ、「反響」の獲得拡大につながっている。10月には本格稼働により24時間受付体制となったことから、さらなる受注拡大につながることが期待されている。セグメントの中のメンズ売上高は11,078百万円(前年同期比26.7%増)となった。新規顧客の「反響」獲得には苦戦したが、リピート顧客は堅調に推移、コロナ禍でも堅調に業績を上げることができた。なお、9月に発売した増毛商品「マープワンダー」は、新開発の結び目「ワンダー結着法」(特許出願中)により、頭頂部や分け目の周囲などの短い自毛への増毛が容易になることに加え、商品のクオリティを維持しつつ、従来の施術時間を半分に短縮することが可能となった。サービス提供時間の劇的な改善により、施術に関わる顧客の負担が軽減されるだけでなく、従業員の業務効率化にもつながっている。レディース売上高は5,683百万円(前年同期比43.4%増)となった。コロナ禍による外出自粛やイベントの中止などから、同社製品の使用機会が減少する傾向が見られたが、新規顧客の「反響」数は非常に好調で、計画を上回る受注につながった。特に9月に発売したオーダーメイドウィッグ「フィーリン」は、新開発の「プッシュdeフィット」(特許出願中)方式による、レディースアートネイチャー史上初のピンでとめないウィッグで、自毛を絡めて簡単に装着できるうえ、風が吹いても安心感のあるフィット性を実現した。このため注目度が非常に高く、9月は過去最高の月間反響数を獲得、10月以降も好調を持続している模様である。新規では、メンズ、レディースともに広告による露出を高めた。メンズは、新規全体の「反響」は苦戦したが、新たに投入した広告でウィッグ顧客の獲得が進んだうえ、「プレミアム増毛体験」サービスを投入したことで増毛の成約率が向上した。レディースは、3月発売の「フリーディア3」や9月発売の「フィーリン」などウィッグを中心に新規顧客の「反響」が拡大した。リピートでは、大都市圏を中心に上期のほぼ全期間が緊急事態宣言下となる中、メンズは来店数を前年同期と同水準に維持できたが、レディースは外出自粛やイベント中止の影響がメンズ以上に大きかった。なお、社内ブランドの垣根を越え、幅広い商品・サービスを取り揃えた新形態店舗をそごう大宮店に出店した。また、コロナ禍における研修体制を構築し、オンラインを活用した研修を機動的に実施、スタッフのスキルの維持・向上に努めた。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:26
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SIGG Research Memo(6):2022年3月期通期は上方修正して2ケタ増収増益予想、さらに再上振れ余地
■今後の見通し● 2022年3月期通期連結業績予想の概要SIGグループ<4386>の2022年3月期通期連結業績予想は2021年11月11日付で上方修正して、売上高が4,930百万円、営業利益が359百万円、経常利益が400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が266百万円としている。従来予想に対して、売上高は230百万円、営業利益は54百万円、経常利益は53百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は35百万円、それぞれ上回る見込みとした。2021年3月期の非連結業績との比較で見ると、売上高は12.1%増収、営業利益は10.5%増益、経常利益は24.6%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は11.3%増益となる。営業利益は従来の小幅減益予想から一転して2ケタ増益予想となった。売上面はシステム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業とも引き続き好調に推移する見込みだ。コスト面では、人員増による人件費の増加(従業員数が2020年6月末417名から2021年6月末438名に増加)や、持株会社への移行関連費用の発生、さらに先行投資などで費用が増加するが、増収効果や受託案件増加などによる利益率改善などで吸収する見込みだ。なお営業外収益では持分法による投資利益47百万円の計上を見込んでいる。事業別売上高の計画は、システム開発事業が前期(非連結)との比較で13.8%増の3,800百万円(従来予想は3,570百万円)、インフラ・セキュリティサービス事業が7.3%増の1,129百万円(同1,129百万円)としている。システム開発事業は、製造系の請負案件が下期も増加し、公共系、エネルギー系、サービス系の主要領域も好調に推移する見込みだ。インフラ・セキュリティサービス事業は、2021年4月1日にスタートしたCSソリューションセンターのプロジェクトを中心に、クラウドソリューションが順調に伸長する見込みだ。修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.5%、営業利益が38.2%、経常利益が43.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益が48.5%となる。やや低水準だが、第4四半期の構成比が高い収益特性があることを勘案すれば順調な水準と考えられる。高水準の企業IT・DX投資も勘案すれば全体として保守的な印象が強く、弊社では会社予想に再上振れ余地があると考えている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:26
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アートネイチャ Research Memo(5):様々な課題のある内外環境
■中期経営計画1. 取り巻く環境これまでも一部触れてきたが、アートネイチャー<7823>を取り巻く内外環境には様々な課題が生じている。マクロ的には、コロナ禍や米中摩擦などを背景に、国内外経済の先行き不透明感が増している。国内毛髪市場においては、高齢化社会の進展や定年延長、女性労働の活性化、アンチエイジング志向の高まりなどにより需要の拡大が見込める一方、毛髪業界の成熟化や他社・隣接業界との競争激化、代替商品・サービスの台頭など、厳しさを増している。ほかにも、労働市場の縮小や優秀な従業員確保、SDGsなど株式市場や社会への向き合い方、技術革新による急速な変化(DXの進展)などへの対応も課題といえる。「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築く2. 中期経営計画そこで同社は、こうした課題を解消し「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築いて成長を持続するため、3ヶ年(2021年3月期~2023年3月期)の中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」を策定した。また、プラン達成のため、(1)業績伸長、(2)新領域の開拓、(3)採用の強化、(4)人財の育成、(5)市場との対話、(6)業務の刷新——の6つを重点Challenge施策として実行することになった。具体的には、(1)業績伸長では、引き続き顧客ニーズに応えた高品質な製品とサービスを開発し、定期的に市場投入するとともに商品ラインナップを増やし、「反響営業」によって需要を掘り起こし、定着に向けた施策を実践することを目指す。また、ECサイトや海外市場など各媒体や地域にフィットした施策を講じてさらなる需要を掘り起こし、国内外の市場で顧客数の増加を図る。(2)新領域の開拓では、近年進出した比較的手ごろな価格帯のウィッグ事業や医薬品販売事業、医療機関サポート事業を着実に軌道に乗せる一方、国内外でのM&Aや新規事業の立ち上げなどにより一層の業容拡大を図る。(3)採用の強化と(4)人財の育成では、まず、従業員の約8割に当たる1,856名(2021年3月31日現在)の理・美容師の資格取得者に対し、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう様々な研修や施策を講じるほか、女性活躍推進法に基づく優良企業としてダイバーシティマネジメントや、ワークライフ・バランスを重視した「働き方改革」を積極的に推進する。これらにより、優秀な人財を安定的に確保、従業員の定着化を推進、現場力・接客力の向上を図る。営業部門以外の従業員についても、様々な企画立案やグループ会社の経営管理を担える人財を育成する教育研修や自己研鑽支援の制度を確立し、各分野のエキスパートを増やす仕組みを構築、本社における企画力や経営管理力の引き上げを図る。(5)市場との対話では、すでにSDGsに関わる様々な取り組みを実践しているが、新たに「プラスチックの削減」と「新しいサービス体制の構築」に挑むとともに、IR活動などを通じて市場との対話やコーポレートガバナンスを強化し、中長期的な企業価値の向上を図る。(6)業務の刷新では、ペーパーレス化やシステム化など各種制度の見直しや本社業務の刷新により、無駄を省き、固定費を圧縮し、損益分岐点を引き下げ、生産性を向上させ、より収益を生み出せる体制への転換を図る。コロナ禍でも課題解消~持続的成長という中期経営計画の目的は変わらない3. 重点項目と進捗同社は、「アートネイチャーChallengeプラン」で年度ごとの目標を定めている。初年度「Challenge 2020」では、既存事業の事業基盤を再整備するとともに、スタンダードウィッグ、発毛剤、医療機関サポートなど新規事業の基盤の拡充に挑む。2年目の「Challenge 2021」では、既存事業の再拡大に挑むとともに、さらなる新領域の拡充に向けた体制を整える。最終年度「Challenge 2022」では、既存事業の安定的な拡大に挑むとともに、さらなる新領域に踏み出す。毎年着実にプランをこなすことで、同社は2023年3月期に売上高440億円、経常利益率8.5%(約38.5億円)、ROE9.1%を目指している。しかし、コロナ禍の影響が想定以上に大きかったため、課題解消~持続的成長という中期経営計画の目的は変わらないものの、目標達成には既存事業や新規事業でもうひと踏ん張りが必要な状況といえる。そのコロナ禍の影響だが、中期経営計画の初年度となった2021年3月期第1四半期が、国内でのコロナ禍の第1波に当たり、1回目の緊急事態宣言(2020年4月~5月)が発出された。世界的規模でも感染が急速に広まった時期だったため、国内の販売拠点は時短営業や臨時休業となり、フィリピンの工場は臨時休業や部分操業となった。同社の組織体制の根幹をなす生産~販売が一時的に機能しなくなったため、中期経営計画の進捗に相応の影響を残したことは残念だが仕方のないことだろう。一方、同第2四半期以降は、一部のジュリア・オージェ店舗を除き全店で通常営業を再開、フィリピンの工場も一部規制は残ったがほぼ通常操業に戻った。このため、比較的早期にほぼ通常どおりの業務に戻れたことは、顧客への影響も最低限で済んだという点で好印象である。後に詳述するが、このため業績も堅調な推移へと戻ってきた。なお、3回目の緊急事態宣言(2021年4月~9月)が明けた後の業績についても、比較的堅調に推移している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:25
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SIGG Research Memo(5):2022年3月期第2四半期累計は大幅増収増益
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期連結業績の概要SIGグループ<4386>の2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が2,341百万円、営業利益が137百万円、経常利益が172百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が129百万円だった。第1四半期から連結決算を開始したため、前年同期の非連結業績との比較で見ると、売上高は11.4%増収、営業利益は19.3%増益、経常利益は54.2%増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は71.2%増益だった。2021年8月12日に公表された従来予想(売上高2,226百万円、営業利益94百万円、経常利益131百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益87百万円)を上回る大幅増収増益で着地した。システム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業とも好調に推移し、受託案件増加などによる利益率の改善や、一部販管費の先送りも寄与した。売上総利益は13.9%増加し、売上総利益率は0.4ポイント上昇して22.4%となった。販管費は12.1%増加し、販管費比率は0.1ポイント上昇して16.6%となった。営業外収益には、2020年10月に資本業務提携したアクロホールディングスに係る持分法による投資利益39百万円を計上した。なお第1四半期から収益認識に関する会計基準を適用しているが、損益に与える影響は軽微である。システム開発事業が2ケタ伸長2. 事業別の動向2022年3月期第2四半期累計のシステム開発事業の売上高は前年同期(非連結)との比較で12.3%増の1,805百万円(四半期別に見ると、第1四半期が同11.0%増の869百万円、第2四半期が同13.4%増の935百万円)だった。公共系は自治体のDX推進に伴い、システム標準化・共通化関連の需要が好調に推移して計画を上回った。製造系は電子部品実装装置の市況好調を背景に、組み込み系の開発及びIoT投資による上位システム開発の請負案件が伸長した。エネルギー系・サービス系は顧客別の案件流動があったものの、全体として概ね計画水準だった。この他に、不動産分野の既存システムの2次開発・エンハンス開発の受注及び売上も貢献した。インフラ・セキュリティサービス事業の第2四半期累計の売上高は前年同期(非連結)との比較で8.5%増の536百万円(四半期別に見ると、第1四半期が同5.4%増の254百万円、第2四半期が同11.3%増の281百万円)だった。エネルギー系・保守系は、クラウド及びセキュリティソリューションの請負受注が伸長して計画を大幅に上回った。セキュリティ系は一部顧客のオリンピック開催中の計画業務が縮小して計画を僅かに下回った。この他では、派遣比率の高い公共、金融、サービスの各分野が安定的に推移し、計画をやや上回った。財務面の高い健全性維持3. 財務の状況財務面で見ると、2022年3月期第2四半期末の資産合計は2021年3月期末(非連結)との比較で56百万円増加して2,653百万円となった。主に現金及び預金が増加した。負債合計は47百万円減少して1,001百万円となった。主に長期借入金が減少した。純資産合計は104百万円増加して1,651百万円となった。利益剰余金が順調に増加した。この結果、自己資本比率は2.7ポイント上昇して62.3%となった。引き続き財務面の高い健全性が維持されていると言えるだろう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:25
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アートネイチャ Research Memo(4):「反響営業」で新規顧客を獲得
■事業概要2. ビジネスモデル前述した高品質な物づくり体制、全国をカバーする店舗ネットワーク、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者というアートネイチャー<7823>の組織体制をスムーズに回し、収益向上や成長につなげる仕組みが「反響営業」と「リピート契約・定着」であり、同社ビジネスモデルの根幹をなす。まず、髪にまつわる様々な課題を抱えている人やウィッグでおしゃれを楽しみたい人などをターゲットに、テレビや新聞、インターネットなどターゲットそれぞれへの強みを持つ各広告媒体を使い分けて訴求する。その結果、同社商品・サービスに関心を持ち、電話やメール、来店などでコンタクトしてきた人を新規顧客として取り込んでいく。これを「反響営業」という。さらに、全国の店舗などで充実したアフターサービスや顧客のニーズに合わせた様々な提案を行うことで、新規顧客との間に信頼関係を築き、リピート契約へとつなげていく。これを「リピート契約・定着」という。このビジネスモデルをより有効に、より効率的に機能させるため、様々な案件に取り組んでいる。一つ目は、顧客管理手法の高度化である。2005年1月に顧客管理システムを導入し、潜在顧客からの資料請求や既存顧客への商品提供、顧客毎のサービス・施術の履歴までを一元管理できるようになり、顧客のニーズに合った商品提案が従来以上の確度で可能となった。二つ目は、自社工場体制による商品の安定供給と高品質の担保である。2006年4月にフィリピンにある製造委託先を買収して完全子会社化すると共に、2008年2月には同社100%出資の製造子会社を設立した。これらにより、同社製品の安定的な供給元の確保と共に、顧客ニーズに応じた商品開発が可能となり、商品仕様に応じた高品質の担保と仕入コストの削減を実現させた。三つ目は、個人情報保護の強化である。2006年8月にプライバシーマークを取得し、現在も定期的に更新取得する等、個人情報管理体制を強化して顧客の信頼を強固なものとした。さらに同社の顧客は髪に関する悩みを有する一般個人であり、その情報は重要情報となるため、情報管理には細心の注意を払っている。このため、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」に準拠した個人情報保護マネジメントシステムを策定し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のプライバシーマークを取得・更新している。また、顧客に関するデータについては、顧客管理システムで顧客情報の電子化、集中管理を実施する等、顧客情報の管理体制の強化に万全を期している。顧客情報を外部に委託するにあたっては、「個人情報保護マネジメントシステム−要求事項(JIS Q 15001)」により、業務委託先における個人情報管理体制が同社の定める個人情報保護基準を充足していることを事前に確認したうえで、秘密保持に関する契約書を取り交わしている。加えて、同社の担当者が訪問調査等を実施し、定期的に委託先の見直しを行っている。新規顧客獲得~リピート契約の際に発揮する強み3. 同社の強み「反響営業」で新規顧客を獲得し「リピート契約・定着」していくプロセスで重要な要素となるのが、他社との差別化を促進する同社の強みである。同社ホームページなどで示している商品開発力、技術力、接客力という3つの強みに加え、ブランド力、財務体質・収益力も強みといえる。高品質な物づくり体制による商品開発力は、スピーディーに商品・サービスを開発することで、時代や顧客のニーズに素早く対応することができる。スキルやノウハウといった技術力や、コミュニケーション能力やカウンセリング力といった接客力は、職種や階層に応じて様々な研修を受けることで身につけることができる。そうして毛髪のプロとなった店舗スタッフが、くつろぎと安らぎを感じる店舗で心を込めてサービスを提供し接客することで、顧客の定着化を推し進めるのである。さらに、50年以上ウィッグビジネスを続けてきた信頼と、業界唯一の上場企業としての社会的信用に裏付けられたブランド力は、顧客にとって大きな拠り所となる。ところで、コロナ禍などにより毛髪業界が厳しい環境にある中、同社の財務体質は2021年3月期自己資本比率(55.8%)やフリーキャッシュフロー(黒字持続)などが良好なうえ、営業利益率(5.4%)といった収益性も安定している。一方、最大のライバルである(株)アデランスは、決算公告などによると非常に厳しい業績だった模様で、現状の財務体質や収益力は同社に劣ると考えられる。例えば、2021年2月期のアデランス(単体ニアリーイコール国内)の売上高は321億円で、店舗数が491店、従業員数が2,630人、一方、2021年3月期の同社単体の売上高は346億円、店舗数361店、従業員数2,291人である。簡便計算だが、アデランスの1店舗当たり売上高は6,540万円、1人当たり売上高が1,220万円、同社はそれぞれ9,580万円、1,510万円である。生産性に大きな差があることがわかるが、生産性は施策とリーダーシップに基づくため、端的にいえば経営力の差を示しているということになる。また、こうした生産性などの差は投資の差となって現れ、特に毛髪業界の場合は「反響営業」のための広告の質や投入量に影響する。利益がなければ訴求できないし、無理して訴求すれば体力が衰え、その後のブランド力や収益力にさらに差が出ることになる。一般にはわかりづらいが、こうした良好な財務体質・収益力も同社の強みといえよう。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:24
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SIGG Research Memo(4):幅広い業種・業態にソリューション提供
■SIGグループ<4386>の事業概要4. 特徴・強み顧客は大手企業が中心で、システム開発では地方自治体や電力会社などへの基幹システム系の導入実績が多数あり、創業以来30年の積み重ねで幅広い業種・業態の導入ノウハウを蓄積している。顧客のシステムニーズに応える技術と実績をベースとして、DX対応を含めて、幅広い業種・業態にソリューション提供できることを特徴・強みとしている。なお主要販売先は、日立製作所<6501>(2021年3月期の売上高に占める割合16.0%)、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ(株)(同9.5%)などである。進捗・品質管理を徹底してプロジェクトの不採算化防止5. リスク要因・収益特性システム開発・情報サービス産業における一般的なリスク要因としては、景気変動などによる企業のIT・DX投資抑制、市場競合の激化、不採算プロジェクトや品質不具合の発生、技術革新への対応遅れ、人材の確保・育成、協力会社・販売パートナーとの関係、法的規制などがある。企業のIT・DX投資については、一時的な抑制・停滞が発生しても、中長期的には高水準に推移することが予想され、同社にとって事業環境悪化への懸念は小さい。不採算プロジェクトや品質不具合の発生については、同社は受注前に顧客要件を十分に分析して見積決済書による社内手続きの上で受注し、受注後も開発工程ごとに進捗・品質管理を徹底することで、個別プロジェクトの不採算化や不具合発生を防ぐことに努めている。技術革新への対応については、資本提携しているベンチャー企業やIT企業との協業も行いながら、AI(Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)といった先端技術の習得にとどまらず、人の身体とインターネットをつなぐIoB(Internet of Bodies)という新たなトレンドの習得などにも努めている。なお収益に関する季節要因として、顧客である官公庁・地方自治体及び一般企業の多くの年度末にあたる3月に案件クローズが集中しやすいため、売上高、営業利益とも第4四半期(1~3月)の構成比が高い傾向がある。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:24
注目トピックス 日本株
アートネイチャ Research Memo(3):毛髪に関わる様々な商品・サービスを提供
■事業概要1. サービス内容アートネイチャー<7823>は、「髪を増やしたい」人にはオーダーメイドウィッグや既製品ウィッグ、増毛、医薬品販売、「髪を育てたい」人には育毛ケア・サービス、「髪を整えたい」人にはアフターサービス、「美しく健康でありたい」人にはヘアケア商品や健康食品など、髪に関する課題を抱えている人からおしゃれを楽しみたい人まで、様々なニーズに対応した商品・サービスを提供している。なお、主要な顧客層は男性で40-60代、女性で60-80代である。(1) オーダーメイドウィッグ創業以来の同社商品ラインナップの中心が、ハイエンドのオーダーメイドウィッグである。「アートネイチャー」「レディースアートネイチャー」というブランドで、顧客一人ひとりの要望、毛髪の状態に合わせ、最適な製品をハンドメイドで製造している。製造にあたっては、スタッフが顧客の要望をしっかり把握したうえで頭部の形状を計測するが、快適なつけ心地を実現するには、頭部にフィットするベースネットの型取りが最も重要な作業といえる。このため同社は2006年に業界初の「3D型取りシステム」を導入、素早く高精度な測定を行うことができるようになっている。これにスタイルやカラーなどの様々なオーダーを加えたデータをフィリピンの自社工場に送信、工場では、送られてきたデータを基にベースネットを作成し、熟練した職人が1本1本丁寧にすべて手作業で植毛し、髪色から毛流れまで自然なウィッグに仕上げている。顧客の手に届くまでに手間と時間を必要とし、価格※は男性では50万円~60万円、女性では40万円~50万円と比較的高額だが、自身の髪のような自然な仕上がりと抜群のフィット感を実感できるのは、高品質のオーダーメイドウィッグならではの特長といえる。なお、使用期間は個人の状況によって異なるが、概ね2年間となっている。※価格に関しては一人ひとりの状況によって異なるため、同社にお問い合わせください(以下同じ)。(2) 既製品ウィッグオーダーメイドウィッグで培ってきた高い商品開発力を活かし、気軽にヘアスタイルを楽しみたい顧客に対し、男性向けに「MJO(エムジェイオー)」、女性向けにハイエンドの「JO(ジュリア・オージェ)」とスタンダードの「NAO-ART(ナオアート)」、医療用ウィッグの「ANCS(アンクス)」というブランドで既製品ウィッグも提供している。「MJO」では、10万円~30万円台後半の手ごろな価格で良質な既製品ウィッグを提供している。首都圏のターミナル駅近くに5店舗を展開し、髪色や大きさの異なる既製品ウィッグを豊富に取り揃えているだけでなく、サイズや毛量などがパターン化されたパーツを組み合わせるセレクトオーダーウィッグも取り扱っている。「ジュリア・オージェ」では、オリジナルスタイルに仕上げる高品質な既製品ウィッグを10万円~20万円からとオーダーメイドウィッグよりも求めやすい価格で提供しており、全国の百貨店やショッピングモールを中心に86店舗を展開している。「ANCS(アンクス)」では、素肌に優しい素材を採用し、毛量やサイズ調整も可能な医療用ウィッグを全国の店舗やジュリア・オージェ店舗、アンクス病院内サロンなどで販売している。2019年に子会社化した「NAO-ART社」は、さらに手ごろな価格帯の既製品ウィッグを扱っており、首都圏をはじめ主要都市にある総合スーパーを中心に34店舗を展開している。(3) 増毛商品増毛商品は、「アートネイチャー」で「MRP(マープ)」ブランド、「レディースアートネイチャー」では「Beauty Up(ビューティアップ)」ブランドで展開している。専門技術を習得しているアートネイチャーのスタイリストが、自毛の根元に数本の人工毛を結び付けるという方法で増毛を行う。数本単位で増やせるため、求める部分に少しずつ増やすことが可能で、好みのボリュームに調整しながら違和感なく髪の毛を増やすことができる。また、汗や雨に濡れても形状が安定しているため、自毛のようにシャンプーをしたり手ぐしで整えたりすることもでき、自然な仕上がりと高い自由度が特徴となっている。増毛する部位や一度に結び付ける本数や結び目、人工毛の太さ、髪色など、細部にこだわった豊富なラインナップによって顧客の要望に幅広く応えている。(4) 医薬品販売(発毛剤)/医療機関サポート同社は、総合毛髪企業として多様化するニーズに対応するため、医薬品販売や医療機関サポートの分野に進出している。毛包に直接作用して細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することで発毛及び毛髪の成長を促す、発毛有効成分「ミノキシジル」を配合した発毛剤(第1類医薬品)を2019年に発売した。現在、男性用発毛剤「LABOMO ヘアグロウ ミノキシ5」と女性用発毛剤「LABOMO ヘアグロウ ハナミノキ」を「LABOMO」ブランドで、主に自社通販サイトで販売している。「LABOMO ヘアグロウ ミノキシ5」については、店頭での購入を希望する顧客のために、薬剤師が常駐する「アートドラッグ銀座」でも取り扱っている。また、医療機関に対する医薬品販売や業務受託を目的に、2020年1月、アートメディカルサービスを設立した。アートネイチャーが持つ毛髪への知見を活かし、医療行為以外の商品・サービスを提供していく考えである。(5) 育毛ケア・サービス同社は、頭皮や毛髪のケアを継続的に行うことでヘアサイクルの正常化を促し、豊かな髪を育む環境を保つ育毛ケア・サービスを「LABOMO」ブランドで展開している。生活習慣に起因する頭皮のダメージやヘアサイクルの乱れなどが抜け毛や細毛の原因となると言われているが、そのような原因を発見し抑制することで、再び豊かな髪を育む環境を取り戻すことを目的としている。店舗では、毛髪のプロである同社のスタッフが、専用機器を使って頭皮と髪の状態をチェックし、経験とデータに基づいた最善のアドバイスと最適なヘアケアを提案している。2019年10月には、一人ひとりに適したパーソナルコースを提供するメンズ育毛専用サロン「LABOMO銀座」もオープンした。(6) アフターサービス同社ウィッグのメンテナンスをはじめ、充実したアフターサービスも提供している。店舗では、顧客一人ひとりに理・美容師の資格を有する担当スタイリストが付き、自毛カットや毛染めなどの施術を行っている。様々な事情で来店できない顧客には、オーダーメイドウィッグを送れば、メンテナンスして返送するというサービスもある。製品を購入した顧客向けに不定期でイベントを開催しており、ウィッグの使い方やメンテナンス方法ばかりでなく、洋服とのカラーコーディネートといったファッションアイテムとしてのウィッグに関するアドバイスなども行っている。このようなアフターサービスの場で、コミュニケーションを通じて顧客と良好な関係を構築することは、リピート率を上げるための有効な方法といえる。(7) ヘアケア商品/健康食品ヘアケア商品や健康食品などこだわりの自社製品も品揃えしており、気軽に購入してもらうため自社通販サイトや各種サイト・メディアを活かした販売を行っている。自社通販サイト「アートネイチャー・オンラインショップ」では、シャンプー・コンディショナーなどヘアケア商品や健康食品を販売している。「楽天市場」や「Amazon」といった他社ECモールでも同様の商品を扱っている。テレビショッピング専門チャンネルでは、人気の白髪隠しファンデーション「アートミクロン」や、白髪染めとトリートメントを同時に叶える「LABOMOヘアカラートリートメント」などを、同社製品の使い方や効果をわかりやすく実演しながら販売している。ほかにも、全国の店頭でこだわりのヘアケア商品を、カタログ総合通販各社でも各種商品を販売している。また、同社は阿里巴巴集団(アリババグループ)が運営する中国向け越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」に海外旗艦店を出店している。今後もヘアケア商品や健康食品の販売増加に向けて、販路を広げていく方針である。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:23
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SIGG Research Memo(3):システム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業
■事業概要1. 事業概要SIGグループ<4386>は独立系システムインテグレーターとして、システム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業を展開している。売上高構成比は概ねシステム開発事業が8割弱、インフラ・セキュリティサービス事業が2割強で推移しているが、インフラ・セキュリティサービス事業の構成比が上昇傾向である。システム開発事業は公共関連などに豊富な実績2. システム開発事業システム開発事業は、官公庁・地方自治体等に加えて、サービス業、製造業、流通業、金融業など、様々な業種・分野向けに幅広く、顧客の業務内容・目的に応じた企画提案から、ハードウェア・ソフトウェアの選定、システム開発・構築・運用までの総合的なサービスを提供している。特に以下の分野において、長年にわたる豊富な開発実績とノウハウを誇っている。1) 公共関連分野のシステム開発政令指定都市向け人事給与システム、共済・年金システム、国民健康保険に関するシステム開発など。2) 産業用ロボット組み込みシステム開発電子部品実装装置の生産ライン制御システムや生産計画・管理システムの設計・開発・保守、半導体製造装置のシステム開発支援など。3) 移動体通信技術を利用して車載器に各種情報提供を行うテレマティクスサービスの開発通信(テレコミュニケーション)と情報処理(インフォマテックス)を組み合わせた、大手自動車メーカー向け次世代情報提供サービスにおける車載器とデータセンター間の通信システム、契約者向けWebサービスのシステム開発など。4) 文教向け証明書自動発行機システムの開発大学事務システムの効率化を支援する証明書申込・発行・各種決済機能を有した証明書自動発行機システムの開発、キャンパスのデジタル化に向けたマイナンバーカード対応証明書自動発行機の開発など。5) エネルギー分野に関するシステム開発の支援2016年4月の電力自由化関連での送配電事業者の受付・託送システムの開発支援・保守、発電事業者向けHMI(Human Machine Interface)のPoC(Proof of Concept)の構築など。6) 不動産関連業務に関するシステムの開発支援不動産業における契約関連書類(契約書や重要事項説明書など)の効率化を図るドキュメント管理システムの開発など。7) インターネットサービス事業者向けの開発支援インターネットサービス事業者が提供する法人・個人向け各種サービスに伴うシステムの開発・保守・運用、5G対応の次世代ブランド向けサービスの開発支援、クラウドサービスのセキュリティ強化対策関連のアプリケーション開発など。8) IT企業が金融分野で展開するFinTech(FinanceとTechnologyの造語)に関するシステム開発の支援生命保険販売支援システムの開発支援など。インフラ・セキュリティサービス事業は一元的なサービスを提供3. インフラ・セキュリティサービス事業インフラ・セキュリティサービス事業は、ITインフラソリューションとセキュリティサービスを一元的に提供している。ITインフラソリューションでは、情報を管理する各種サーバやストレージなどの機器構成にとどまらず、ネットワーク、データベース、バックアップなどの設計・構築から導入支援、運用管理まで、長年の実績とノウハウに基づく信頼性・拡張性を重視したサービスを提供している。セキュリティサービスでは、米国SecuGen社製品、セキュリティホール探索や侵入・攻撃を試みるペネトレーションテストなどに用いる脆弱性対策ツールなど、セキュリティ商材の販売及び設計・構築・保守・運用までのサービスを提供している。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:23
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アートネイチャ Research Memo(2):ウィッグで「ふやしたいのは、笑顔です。」
■会社概要1. 会社概要アートネイチャー<7823>は、男性向け・女性向けのオーダーメイドウィッグの製造・販売を主力とした日本初の総合毛髪企業で、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、トータル・ヘアコンサルタント企業として、より美しく輝きのあるライフスタイルを提案していくことを使命としている。オーダーメイドウィッグは、店舗で3D型取りシステムを用いて顧客頭部の形状を型取りし、作成したデータを基に海外の自社工場においてハンドメイドで製造される。毛髪に関する顧客ニーズは時代を追って多様化・高度化しており、現在ではオーダーメイドウィッグのほか、既製品ウィッグや増毛商品、育毛ケア・サービス、理・美容サービスなど、毛髪に関連する広範な商品・サービスによって、男女を問わず一人ひとりの個性に合わせた最適なソリューションを提供している。磨きをかけた商品開発力とさらなる成長へ向けた新領域への進出2. 沿革1965年に個人営業の「アートネイチャー」として創業された同社は、1967年に株式会社として設立、1969年には男性向けウィッグ販売を目的に、顧客相談からアフターサービスまでを一貫して提供できる理容室を備えた店舗体制を確立した。1980年には全国販社体制を確立し、「マープ」増毛法のヒットや広告展開もあって広くブランドが浸透した。こうしたブランド力を背景に、1987年に「レディースアートネイチャー」など女性向けの市場に本格進出、2002年には全国の販売会社を合併・統合し総合力を十分に発揮できる体制を構築したことに加え、フィリピンの製造委託先を子会社化して自社製造を開始した。2007年に株式市場へ上場を果たした同社は、その後生産体制を拡充するとともに、これまでのノウハウを活かして女性向け既製品ウィッグや医療用ウィッグの分野に進出、自社通販サイトも開設するなど業容を広げていった。2019年以降は、比較的安い価格帯のウィッグ事業会社をM&Aで取得し、第1類医薬品である発毛剤を販売開始し隣接市場に参入、医療機関からの業務受託会社の設立、毛髪分野や美容分野で新たな商品・サービスを開発すべく企業への出資を決定するなど、さらなる成長へ向けて新領域への進出を強化している。一方、こうした間にも、年に2回コンスタントに新製品を市場へ投入するなど商品開発力には磨きをかけており、現在、日本初の総合毛髪企業の大手として業界をリードしているところである。毛髪業界でトップポジション3. 毛髪業界と組織体制ウィッグなどの毛髪市場は、2008年秋のリーマンショック以降の消費低迷に加え、ヘアケア剤や発毛・育毛剤などの隣接市場との競争激化やスキンヘッドスタイルの社会的認知向上などを背景に低迷していたが、毛髪業界各社による女性用ウィッグ強化策や男性顧客へのリピート販売が実を結び、2012年度以降は拡大に転じた。しかし、2016年度になると新規参入企業が増え、中小事業者による低価格ウィッグの拡販もあり、毛髪市場は一転して縮小傾向となった。現在では、新規参入や低価格ウィッグも一巡して市場は沈静化、2019年度の市場規模は1,291億円とほぼ横ばいで推移している。なお、2020年度は、年度初頭からのコロナ禍による顧客の来店減少や延期、及び感染予防対策などにより、毛髪業やヘアケア商材やクリニックなど広くヘアケア業界において、接客販売や施術業務に影響が生じた。足もとはコロナ禍というリスクから徐々に回復しているところである。こうしたリスクの高い時期は、体力のある大手企業が優位性を発揮してシェアを伸ばすことが多いが、中でも男性市場でシェア第1位、女性市場で第2位となっている同社は、着実にシェアを伸ばすことができ、男女合わせたシェアはトップポジションにあると推定される。こうした同社の安定感は、後に触れるが、2大総合毛髪企業の戦略や強みの違いが、売上の伸びや収益性の差になって現れた結果といえる。毛髪市場におけるトップポジションを支えているのが、50年以上にわたる高品質な物づくり体制、全国をカバーする店舗ネットワーク、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者という特徴的な同社の組織体制である。物づくり体制は、生え際やつむじ、前髪、自然なボリュームなど細部へのこだわりと、自然さと機能性を兼ね備えた人工毛や地肌の色が透けて見えるほどの極薄な素材といった高機能製品の開発によって培われた独創的な商品開発力が背景にある。また、主力のオーダーメイドウィッグに関しては企画・開発から製造、販売までグループ会社との連携を垂直統合させ消費者ニーズに迅速に対応できるSPA(製造小売業)の形態をもつことも特徴で、現在でも春と秋の年2回、コンスタントに新商品を市場へ投入している。こうした高品質のオーダーメイドウィッグを提供する場が、最高の環境と最良のサービスを兼ね備えた、全都道府県を網羅した店舗ネットワークである。くつろぎと安らぎにこだわった店内は、顧客のプライバシーに配慮して個室タイプになっており、従業員の約8割に当たる1,856名(2021年3月31日現在)の専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者が、契約した商品の納品からアフターサービスまで徹底的にサポートしている。なお、製造拠点はフィリピンに2工場、販売拠点は国内275店舗(2021年3月31日現在)。また、既製品ウィッグは中国やベトナムなどの製造委託先で製造されており、販売拠点は国内120店舗(ジュリア・オージェ86店舗、ナオアート34店舗、2021年3月31日現在)、海外4カ国となっている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:22
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SIGG Research Memo(2):2021年10月1日付で持株会社に移行して商号変更
■会社概要1. 会社概要SIGグループ<4386>は「社会を変革するITイノベータ」を目指す独立系システムインテグレーターである。経営理念には「ITイノベーションにより社会の高度化に貢献する」「自己革新と研鑽により社会のニーズにこたえる」「幅広く人材を受け入れプロフェッショナルとして育成する」「会社の発展と業績の拡大によって社員の幸福を目指す」を掲げている。2021年10月1日付で、旧(株)SIGが会社分割方式によって持株会社に移行し、商号をSIGグループに変更した。本社所在地は東京都千代田区九段北で、グループは同社、連結子会社の新(株)SIG、持分法適用関連会社のアクロホールディングス及び(株)Y.C.O.で構成されている。連結子会社の新SIGは、旧SIGからシステム開発事業及びインフラ・セキュリティサービス事業(本社管理部門、事業戦略室及び新規事業推進部に関する業務を除く)を承継した。アクロホールディングスは2020年10月に資本業務提携(出資比率33.4%)した。ITソリューション・プロダクトの提供などを展開し、傘下に連結対象子会社15社、グループ人員約1,200名の規模を誇る。Y.C.O.は2021年9月に資本業務提携(出資比率34.0%、2022年3月期第3四半期から持分法適用)した。独立行政法人・国立大学・公益法人向けを中心に、財務会計システムなど管理業務系システムの構築・運用支援を展開している。2022年3月期第2四半期末時点(連結ベース)の総資産額は2,653百万円、純資産額は1,651百万円、資本金は507百万円、自己資本比率は62.3%、発行済株式数は5,924,580株(自己株式177,410株含む)である。なお2022年4月4日に移行予定の新市場区分に関しては、2021年7月9日付で東京証券取引所から新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果を受領した。この結果に基づいてスタンダード市場の選択申請に関わる所定の手続きを進める。また株主層の拡大、株式の分布状況の改善及び流動性の向上を目的として2021年11月に株式売出しを行うとともに、一時的な株式需給への影響を緩和する観点から売出しの一部を自己株式として取得している。2. 沿革1991年12月に(株)エスアイインフォジェニック(東京都品川区東五反田)を住友金属工業(株)(現:日本製鉄<5401>)グループ2社50%と他の出資者50%の同比率出資で設立、1997年8月に本社を東京都文京区本郷に移転、2000年9月に住友金属工業から独立した。その後、2005年12月に(株)ビジネスブレインと合併、2016年2月に商号をSIGに変更、本社を東京都千代田区九段北に移転、2018年6月に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に上場、2019年6月に東京証券取引所市場第2部に市場変更、2021年10月に持株会社へ移行して商号をSIGグループに変更した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:22
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アートネイチャ Research Memo(1):日本初の総合毛髪企業として業界をリード
■要約1. トータル・ヘアコンサルタント企業としてライフスタイルを提案(株)アートネイチャー<7823>は毛髪業界をリードする総合毛髪企業の大手で、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、トータル・ヘアコンサルタント企業として、より美しく輝きのあるライフスタイルを顧客に提案している。男女それぞれに向けたハイエンドのオーダーメイドウィッグの製造・販売が主力事業だが、毛髪に関する幅広い商品・サービスを取り扱っており、多様化・高度化する顧客ニーズに合わせ、男女を問わず一人ひとりの個性に合わせた最適なソリューションを提供している。特徴としては、高品質なウィッグをフィリピンの自社工場で製造し、くつろぎにこだわった全国275の店舗(2021年3月末時点)で、専門的な技術を持つ理・美容師資格取得者が、購入からアフターサービス、日常のアドバイスまで、徹底的にサポートしている点があげられる。2. 強みは商品開発力、技術力、接客力同社商品・サービスには、オーダーメイドウィッグのほか、オリジナルのスタイルに仕上げるハイエンドな既製品ウィッグや、気軽に使えるスタンダードな既製品ウィッグ、自然な仕上がりと高い自由度が特徴の増毛商品、発毛有効成分を配合した発毛剤、豊かな髪を育む環境を保つ育毛ケア・サービスなどがある。こうした商品・サービスを展開する同社のビジネスモデルは、テレビやインターネットなどの広告媒体で訴求し、電話やメールなどでコンタクトしてきた人を新規顧客として取り込む「反響営業」、そしてアフターサービスなどを通じて新規顧客と信頼関係を築き、定着させる「リピート契約・定着」を軸としている。こうした「反響営業」→「リピート契約・定着」というサイクルをスムーズに回す原動力となっているのが、商品開発力、技術力、接客力であり、さらに業界唯一の上場企業としての社会的信用に裏付けられたブランド力や良好な財務体質、収益力が顧客にとっての大きな拠り所となっている。3. 「アートネイチャーChallengeプラン」で次代を切り拓く内外経済の先行き不透明感や毛髪業界の成熟化、他社・隣接業界との競争激化など、同社を取り巻く環境には様々な課題が生じている。そこで同社は、こうした課題を解消し「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築いて成長を持続するため、2021年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「アートネイチャーChallengeプラン」を策定した。そして、プラン達成のため、(1)業績伸長、(2)新領域の開拓、(3)採用の強化、(4)人財の育成、(5)市場との対話、(6)業務の刷新——という6つの重点Challenge施策を実行している。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が想定以上に大きく、課題解消~持続的成長という中期経営計画の目的は変わらないが、2023年3月期売上高440億円などの目標達成には、既存事業や新規事業でもうひと踏ん張りする必要がある状況といえる。4. 新商品への期待から通期業績予想を上方修正する余地は大きくなった2022年3月期第2四半期の業績は、売上高19,329百万円(前年同期比30.7%増)、営業利益1,561百万円(同2,153百万円増)となった。前年同期の緊急事態宣言の反動により売上高が大きく伸び、利益は赤字から黒字に転換するなど順調な回復となった。同社は2022年3月期通期業績見通しを、売上高40,363百万円(前期比12.5%増)、営業利益2,023百万円(同4.7%増)と見込んでいる。ところが、下期の業績見通しは、前年同期に比べて利益水準が低いだけでなく、上期との比較でも低くなっている。同社は保守的な予想としているが、「フィーリン」などの新商品が注目を集めており、同社も積極営業を展開する方針である。また、下期の販管費の伸びが非常に大きくなっている。このため、通期業績予想を上方修正する余地は大きくなったといえる。■Key Points・トータル・ヘアコンサルタントとしてライフスタイルを提案する総合毛髪企業・「次代を切り拓くアートネイチャー」の礎を築き成長を持続するため中計を策定・2022年3月期第2四半期は順調に回復。加えて、通期業績予想には上方修正余地(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2022/01/07 15:21
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SIGG Research Memo(1):「社会を変革するITイノベータ」を目指す独立系システムインテグレーター
■要約SIGグループ<4386>(旧SIGが2021年10月1日付で持株会社に移行して商号変更)は「社会を変革するITイノベータ」を目指す独立系システムインテグレーターである。1. システム開発事業とインフラ・セキュリティサービス事業システム開発事業(システム企画提案・開発・構築・運用までの総合的なサービスを提供)と、インフラ・セキュリティサービス事業(ITインフラソリューションとセキュリティサービスを一元的に提供)を展開している。売上高構成比はシステム開発事業が8割弱、インフラ・セキュリティサービス事業が2割強で推移している。顧客は大手企業が中心で、システム開発では地方自治体や電力会社などへの基幹システム系の導入実績が多数あり、創業以来30年の積み重ねで幅広い業種・業態の導入ノウハウを蓄積している。顧客のシステムニーズに応える技術と実績をベースとして、DX(Digital Transformation)対応を含めて、官公庁・地方自治体等に加えて、サービス業、製造業、流通業、金融業など、幅広い業種・業態にソリューション提供できることを特徴・強みとしている。2. 2022年3月期第2四半期累計は従来予想を上回る大幅増収増益2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が2,341百万円、営業利益が137百万円、経常利益が172百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が129百万円だった。第1四半期から連結決算を開始したため、前年同期の非連結業績との比較で見ると、売上高は11.4%増収、営業利益は19.3%増益、経常利益は54.2%増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は71.2%増益だった。従来予想(2021年8月12日公表)を上回る大幅増収増益で着地した。システム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業とも好調に推移し、受託案件増加等による利益率の改善や、一部販管費の先送りも寄与した。営業外収益には、2020年10月に資本業務提携した(株)アクロホールディングスに係る持分法による投資利益39百万円を計上した。3. 2022年3月期通期は上方修正して2ケタ増収増益予想、さらに再上振れ余地2022年3月期通期連結業績予想は上方修正して、売上高が4,930百万円、営業利益が359百万円、経常利益が400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が266百万円としている。2021年3月期の非連結業績との比較で見ると、売上高は12.1%増収、営業利益は10.5%増益、経常利益は24.6%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は11.3%増益となる。営業利益は従来の小幅減益予想から一転して2ケタ増益予想となった。システム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業とも引き続き好調に推移し、人件費増加や先行投資を吸収する見込みだ。高水準の企業IT・DX投資も勘案すれば全体として保守的な印象が強く、弊社では会社予想に再上振れ余地があると考えている。4. M&Aも積極推進して成長ポテンシャル大きい長期ビジョンでは企業のビジネス変革(DX)を支援するITトータルソリューションカンパニーを目指している。実績のある既存事業の得意領域と新規事業の注力分野を融合させ、DXソリューションを提案できる体制の構築を推進する。第1フェーズの目標は2024年3月期の売上高60億円、営業利益6億円、第2フェーズの目標は2027年3月期の売上高170億円(既存事業60億円、新規事業110億円)、第3フェーズの目標は2030年3月期の売上高300億円、従業員2,000名体制としている。第1フェーズの目標は既存事業のオーガニック成長で達成可能、第2フェーズと第3フェーズの目標達成に向けてはM&A戦略を積極推進するとしている。市場環境は良好であり、意欲的な長期ビジョン達成に向けた戦略推進によって成長ポテンシャルは大きいと弊社では考えている。■Key Points・独立系のシステムインテグレーターで幅広い業種・業態にソリューション提供できることが強み・2022年3月期通期は上方修正して2ケタ増収増益予想、さらに再上振れ余地・M&Aも積極推進して成長ポテンシャル大きい(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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2022/01/07 15:21
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FB Research Memo(5):3領域の革命に経営資源をフォーカス。成長ポテンシャルの拡大が続く見通し
■フリービット<3843>の中長期の成長戦略1. 新中期経営計画「SiLK VISION 2024」「SiLK VISION 2024」は同社グループの10ヶ年計画の第1弾であり、5G時代におけるPlatformer Makerとして“指数関数的に成長する技術”による事業の拡大を目指している。持続可能な社会の実現に貢献しつつ、同社グループが世界的な成長領域と考える「モバイル革命領域」「生活革命領域」「生産革命領域」にフォーカスして経営資源を集中的に投下することで、2024年4月期での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向けた事業展開を推進している。2. モバイル革命モバイル革命領域では5GやIoT関連市場をターゲットとしており、同社は5Gインフラ支援事業の中で具体的なサービスを提供している。ISP向けの事業支援サービス、MVNO事業への参入支援サービス、事業法人がクラウドやIoT等を導入するための支援サービス、5GやeSIMを活用した新サービスといったように展開する事業の裾野は広く、今後もサービスの拡充や機能改善などに伴って、収益に大きく寄与してくると弊社は考える。足元では、「freebit MVNO Pack」を中心に事業展開は堅調に推移している。格安スマホ業界でのこれまでの活動実績や、独自の高い技術、足元で広がるシェアなどを踏まえ、今後もサービスの拡充や機能改善などに伴って、収益に大きく寄与してくると弊社は考える。3. 生活革命生活革命領域とは、5G時代の安全・安心・持続性を担保しながら「ヒト+モノ →コト」のより高次の欲求を満たす市場をターゲットとした領域で、同社は5G生活様式支援事業の中で具体的なサービスを提供している。旧来のセグメントであるインフラテック事業でのトーンモバイルや、不動産テック事業でのマンションインターネットなどがベースとなっており、これらを「5G Workstyle」「5G Healthstyle」「5G Homestyle」「5G Lifestyle」といった新事業へと展開する計画だ。足元では、AIを活用した次世代オフィス「SiLK Alignment(SA)」の商品化が進むなどしており、今後の収益増に向けた期待材料になると弊社は考える。4. 生産革命生産革命領域とは、企業だけでなくクリエイター・インフルエンサーが5G時代における様々な価値を自由に創り出していくモノづくり市場をターゲットとした領域で、同社は企業・クリエイター5G DX支援事業の中で具体的なサービスを提供している。もともとはアドテク事業として提供していたインターネットマーケティングやアフィリエイトサービスがベースとなっている。■株主還元策従前は年7.00円を安定配当。2022年4月期は現時点で未定2022年4月期の配当予想額は未公表である。同社は中長期的な観点による事業拡大及び企業成長により株主の期待に応えることを重視しており、そのための投資原資の確保が肝要であると考えている一方で、株主還元を継続的に実施していくことも重要と考えている。2020年及び2021年4月期の配当額はともに7.00円であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/07 15:15
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FB Research Memo(4):サービス利用増加継続と体制強化で高い成長性が続く
■今後の見通し1. 2022年4月期の業績予想2022年4月期の連結業績予想についてフリービット<3843>は、売上高で43,000百万円、営業利益で2,500百万円、経常利益で2,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で600百万円を予想している。第2四半期末時点での各項目の進捗率は売上高で49.7%、営業利益で82.1%、経常利益で85.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益で186.7%と高い水準となった。ただ、同社は第3四半期後半から第4四半期にかけて集中して投資を実施する計画であり、現時点では業績予想の上方修正を期待するのは時期尚早と考える。2. 5Gインフラ支援事業新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴うテレワークや自宅学習の普及などに伴い、オンライン形式の授業や会議、ネット動画視聴、ゲームなどのリッチコンテンツやSNSの利用が増加する中、インターネットを介した多くのサービスの利用増加が継続し、ネットワーク原価は上昇傾向にある。大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドでの展開が独自型MVNOサービス事業者の成長に影響を与える傾向は続いているものの、モバイル市場全体としての成長基調は続いており、今後も拡大していく見込みである。こうした需要の拡大を受け、需要を取り込むサービス提供体制の強化、次世代ネットワークインフラシステム及びデータセンターの最適化プロジェクトの始動、5G本格提供に向けたMNO等との各種調整を開始している。3. 5G生活様式支援事業固定回線網サービス市場において、ネット動画視聴やゲームなどのリッチコンテンツの利用増、クラウドサービスの利用拡大などによる通信トラフィックの増加、SNSやサブスクリプション型ネットサービスのようなアクセス頻度の高い製品の普及により、ネットワーク原価は上昇している。ただ、同社の主要サービスの一つである5G Homestyle(集合住宅向けインターネット・サービス)においては、高速ブロードバンド環境導入による資産価値や入居率の向上を目的にその導入が着実に進んでおり、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴などの利用がスタンダードなものとして認識されたことから、その規模は今後も拡大していくと考えている。また、AIやIoT等のテクノロジーを活用した新たなサービスへの関心度が高く、各種IoT機器を活用することで地域の課題を解決して暮らしに安全・安心等の価値を創出するスマートシティや、多様化する生活スタイルに合わせたスマートホームの実現等、新たなサービスの需要も拡大する見込みである。4. 企業・クリエイター5G DX支援事業コロナ禍の影響を見極めながらの柔軟なセールスターゲットの調整、インターネットマーケティング関連事業での新サービスの展開、クリエイター・インフルエンサー向けプラットフォーム「StandAlone」の実市場における実証実験を進める。また、第2四半期でサービスを開始したNFT発行支援サービスなどによる訴求力向上を背景とした市場浸透も期待できると弊社は考える。5. NTTドコモのエコノミーMVNO参画第2四半期での5G生活様式支援事業における大きな動きとして、NTTドコモの「ドコモのエコノミーMVNO」への参画が挙げられる。同社はNTTドコモの「dポイントを活用したエコノミーMVNOとの連携」において最初のエコノミーMVNOとして連携し、トーンモバイルの新たな販路を拡大させる。「ドコモのエコノミーMVNO」は低廉な価格帯において10~60代と広範な層をターゲットにしており、従来学生(10代~)やシニア層(60歳~)に強みを持っていたトーンモバイルにとっては対象が広がる。同社はその第1弾として、「トーンモバイル for docomo」で10代向けのiPhone用プラン「TONE for iPhone」を2021年12月末に提供開始した。従来トーンモバイルが備えていたAIによる子供見守り機能のほか、動画以外使い放題であり、dポイントも貯まる内容となっている。上記の通り、ドコモとの提携によって短期的にはアプローチできる客層が大きく広がるほか、ブランド力強化によって中長期的にも同社の市場に対する訴求力向上が期待できると弊社は予想する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/07 15:14
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FB Research Memo(3):NTTドコモとの提携で5G生活様式支援も事業拡大続く
■業績動向1. 2022年4月期第2四半期累計の業績概要フリービット<3843>の2022年4月期第2四半期累計の業績は、売上高は21,370百万円、営業利益は2,053百万円、経常利益は1,999百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,120百万円となった。同社は事業収益力の前期比較を行うための参考として、補正数値とベース利益という数値を公表している。補正数値は、「収益認識に関する会計基準」「前期オフバランスした事業」「前期戦略投資」「前期DTI決算期変更」の影響額を補正した数値となる。ベース利益とは、当期に発生した一時的な投資額を除いた事業利益数値となる。これらで前年同期と業績比較すると、売上高は補正数値基準で前年同期比1.6%増、営業利益はベース利益基準で同8.4%増、経常利益はベース利益基準で同6.0%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は補正数値基準で同4.5%増となった。2. 5Gインフラ支援事業コロナ禍においても通信事業者向けの支援事業やISP向けの支援事業が堅調に推移した。また、インターネット関連事業を支えるクラウド関連サービスといった一般事業法人向けサービスも堅実に推移した。同セグメントについて、「収益認識会計基準」を適用してMVNO事業者に対する帯域卸売上の一部を純額計上したこと、安価なかけ放題サービスの提供を可能とする新音声通話サービスを導入したことなどにより、売上高は4,471百万円(前年同期比24.8%減)となった。なお、サービスの実利用は堅調に推移した。セグメント利益については、モバイルの利用帯域拡大や固定網の原価改善などによって大幅に増加し、544百万円(同156.3%増)となった。3. 5G生活様式支援事業NTTドコモの「ドコモのエコノミーMVNO」に参画したことで販路は拡大しており、これによって同社のトーンモバイルブランド商材を「トーンモバイル for docomo」として、全国のドコモショップ約2,300店舗で提供できることとなった。同セグメントの売上高は10,690百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は5G Homestyleの原価増や新規事業への戦略投資などによって1,122百万円(同19.9%減)となった。4. 企業・クリエイター5G DX支援事業コロナ禍による需要の急減から脱却し、経済活動の復調に伴って回復基調にあるなか、既存事業においてはアドテクノロジー関連サービスの拡大に注力したほか、インターネットマーケティング関連サービスであるDSP広告や動画広告市場向けの商材を中心としたインターネット広告サービスの提供を進めた。また、中期的成長を企図した新規事業への取り組みとして、クリエイター向けプラットフォ—ムや、クリエイター向けNFT発行支援サービスの提供を開始した。同セグメントについて、「収益認識会計基準」を適用し売上の一部を純額計上したことなどにより、売上高は7,691百万円(前年同期比3.1%減)となったものの、セグメント利益は既存事業の堅調な推移などが寄与し、395百万円(同26.1%増)となった。5. 財務状況2022年4月期第2四半期末の資産合計は32,214百万円となり、前期末と比べて2,621百万円減少した。これは主として、現金及び預金が2,709百万円減少したことによる。なお、受取手形、売掛金及び契約資産の増加と流動資産のその他に含まれている未収入金の減少の主な要因は「収益認識会計基準」等を適用したことによる組み替えである。負債合計は20,700百万円となり、前期末と比べて1,986百万円減少した。これは主として、未払金が352百万円、未払法人税等が266百万円、引当金が222百万円、長期借入金が825百万円減少したことによる。純資産合計は、利益剰余金が1,116百万円増加したものの、自己株式を2,027百万円取得したことなどにより、前期末と比べて634百万円減少の11,514百万円となった。この結果、自己資本比率は24.1%となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/07 15:13
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FB Research Memo(2):5G世界を見据え、3領域での革命図るネットインフラ提供企業
■会社概要1. 会社概要フリービット<3843>は、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)へのインフラ提供やMVNEとしてのMVNO事業への参入支援、バーチャルデータセンターを中心とするクラウドインフラの提供、インターネット・サービスにおけるコンサルティングやソリューションなどの様々なサービスを、主に法人向けに提供する。また、グループ会社を通じて、個人向けのISPやMVNOサービス、Webマーケティングサービス、集合住宅向けのインターネット関連サービスなどの事業も手掛けている。グループには、ギガプライズ<3830>、フルスピード<2159>、DTIなどが含まれる。2. 事業内容同社の事業セグメントは、前期までインフラテック事業、不動産テック事業、アドテク事業で構成されていたが、後に詳述する新中計「SiLK VISION 2024」の始動を経て、5Gインフラ支援事業、5G生活様式支援事業、企業・クリエイター5G DX支援事業という構成へと変更された。1) 5Gインフラ支援事業5Gインフラ支援事業は、同社の推進する「モバイル革命領域」を担っている。「モバイル革命領域」とは、環境問題、高齢化社会、経済の低成長などの様々な社会問題を解決し、持続可能な社会を実現するために、人々の生活の効率化と知の生産革命の基盤となるインフラを提供する領域である。5Gインフラ支援事業では、5GとeSIM(SIMのソフトウェア化)・AI・ブロックチェーンにより、「ヒト」だけでなく膨大な「モノ」を安心・安価につながった状態とすることで、その先につながる「コト(消費)」市場の創出までを支援するプラットフォームを提供する。2) 5G生活様式支援事業5G生活様式支援事業は、同社の推進する「生活革命領域」を担っている。「生活革命領域」とは、持続可能な社会への移行のために人々の働き方、学び方、生活の仕方が変化するなかで、そのために必要な社会問題を解決し、新しい社会と価値を創造する領域である。5G生活様式支援事業では、5Gインフラ支援事業によって生み出されるプラットフォームを活用し、5G時代ならではの「安心・安全な生活」「健康」「働き方」「住まい」などの様々な「コト」市場の創造を支援する事業プラットフォームを構築・提供する。3) 企業・クリエイター5G DX支援事業企業・クリエイター5G DX支援事業は、同社の推進する「生産革命領域」を担っている。「生産革命領域」とは、社会問題の解決のために、膨大な知識の中から適切な知識を動員するための「知の構造化」を行い、それによる「知の生産革命」によってイノベーションを起こす領域である。企業・クリエイター5G DX支援事業では、5G時代のモノづくりを、企業だけでなく、今後のモノづくりの中心となるクリエイターやインフルエンサーに寄り添って、「(市場創出)→価値創造→検証→市場投入→顧客関係維持」までを可能とするプラットフォーム構築を、独自のDX手法により支援する。(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/07 15:12
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FB Research Memo(1):2022年4月期第2四半期累計は5Gインフラ支援が好調
■要約フリービット<3843>は、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)へのインフラ提供やMVNE(Mobile Virtual Network Enabler:仮想移動体通信サービス提供者)としてのMVNO※1事業への参入支援、バーチャルデータセンター(VDC)※2を中心とするクラウドインフラの提供、インターネット・サービスにおけるコンサルティングやソリューションなどの様々なサービスを、主に法人向けに提供する。※1 Mobile Virtual Network Operatorの略。(株)NTTドコモ、KDDI<9433>、ソフトバンク<9434>のような無線通信基盤を有する事業者から回線を借りて独自の通信事業を行う事業者。※2 データセンターの機能を仮想的に構築し、インターネット上から利用できる仕組みまたはサービス。1. 2022年4月期第2四半期累計の業績動向2022年4月期第2四半期累計の業績は、売上高は21,370百万円、営業利益は2,053百万円、経常利益は1,999百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,120百万円となった。同社は事業収益力の前期比較を行うための参考として、補正数値とベース利益という数値を公表している。補正数値は、「収益認識に関する会計基準」「前期オフバランスした事業」「前期戦略投資」「前期DTI決算期変更」の影響額を補正した数値となる。ベース利益とは、当期に発生した一時的な投資額を除いた事業利益数値となる。これらで前年同期と業績比較すると、売上高は補正数値基準で前年同期比1.6%増、営業利益はベース利益基準で同8.4%増、経常利益はベース利益基準で同6.0%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は補正数値基準で同4.5%増となった。2. 2022年4月期通期の業績見通し2022年4月期の連結業績予想について同社は、売上高で43,000百万円、営業利益で2,500百万円、経常利益で2,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で600百万円を予想している。第2四半期末時点での各項目の進捗率は売上高で49.7%、営業利益で82.1%、経常利益で85.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益で186.7%と高い水準となった。ただ、同社は第3四半期後半から第4四半期にかけて今後の収益拡大を見据えた投資を実施する計画であり、現時点では業績予想の上方修正を期待するのは時期尚早と考える。3. 中長期の成長戦略「SiLK VISION 2024」は同社グループの10ヶ年計画の第1弾であり、5G時代におけるPlatformer Makerとして“指数関数的に成長する技術”による事業の拡大を目指している。持続可能な社会の実現に貢献しつつ、同社グループが世界的な成長領域と考える「モバイル革命領域」「生活革命領域」「生産革命領域」にフォーカスして経営資源を集中的に投下することで、2024年4月期での売上高500億円、営業利益50億円の達成に向けた事業展開を推進している。■Key Points・2022年4月期第2四半期累計はモバイル利用帯域拡大などの奏功で5Gインフラ支援好調・2022年4月期通期はNTTドコモとの提携でさらなる顧客増に期待・「SiLK VISION 2024」にて、3領域での革命で売上高500億円・営業利益50億円狙う(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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2022/01/07 15:11
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萩原電気HD Research Memo(10):2022年3月期は年間80.0円配当(配当性向30.5%)を予定
■株主還元策萩原電気ホールディングス<7467>は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、配当性向30%を目途としている。2018年3月期は、創業70周年記念配当5.0円を含めて年間95.0円の配当を実施、2019年3月期は、普通配当100.0円に記念配当5.0円を加えて年間105.0円配当(配当性向32.8%)、2020年3月期は、普通配当で年間105.0円(配当性向34.2%)を行った。2021年3月期の配当については、コロナ禍の影響により減益であったことから第2四半期は30.0円(前期比20.0円減)とし、期末は45.0円予定だったものの配当方針及び業績を踏まえて当初予定より5.0円増配の50.0円(前期比5.0円減)を行った。これにより年間80.0円の配当となり、配当性向は30.6%と30%以上を維持した。なお、2022年3月期については前期同額の年間80.0円配当(予想配当性向30.5%)の見込みだが、今後の業績によっては増配の可能性もありそうだ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:10
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萩原電気HD Research Memo(9):2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円を目指す(3)
■萩原電気ホールディングス<7467>の中長期の成長戦略3. 数値目標数値目標としては、最終年度である2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円、ROE8.0%を掲げている。売上高に対しては、成長基調を継続するとともにコア事業での着実な伸長を目指す。営業利益に対しては、新高付加価値事業創出などにより営業利益率の確保を目指す。ROEに対しては、コア事業の利益率を向上させるとともに新高付加価値事業創出への投資を行う。また、業務効率の改善にも取り組む方針だ。これらの数値目標を達成した場合、2021年3月期から2024年3月期の成長率は、売上高で33.0%、営業利益で44.2%となり、営業利益は過去最高を更新する。一方で営業利益率については、2024年3月期の予想は2.9%となり、コロナ禍の影響を受けた2021年3月期は上回っているものの、2020年3月期(3.3%)、2019年3月期(3.6%)を下回ることになる。この点について同社は、「中期経営計画の大きな目的の1つは『稼ぐ力を蓄える』ことであり、多少の利益率の低下があっても、まずはトップライン(売上高)の確保(成長)を目指す。その次のステップとして利益率の改善を進め、最終的に強い体質(高い収益力)の企業を目指す」としている。このような成長過程は、人間の成長期と似ているかもしれない。まず身長が伸びるが、その間に体重はそれほど増えない。しかしその後、体力をつけることで体重も増加し、筋肉質な大人へと成長していく。今後同社が、どのように本来の高収益企業へ成長していくか、大いに注目したい。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:09
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萩原電気HD Research Memo(8):2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円を目指す(2)
■萩原電気ホールディングス<7467>の中長期の成長戦略2. 重点戦略中期経営計画の重点戦略としては「コア事業拡大」「新高付加価値事業創出」「事業基盤強化」「企業価値向上」を掲げ、イノベーションによる価値創造と経営基盤強化により、企業価値を最大化させる。加えて、SDGs/ESG経営の社内浸透を図り、中期経営計画に定める重点施策の推進を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。(1) コア事業拡大デバイス事業では、「車載SoC事業の拡大」と「ソフトウェア・エンジニアリングの確立」に注力する。ソリューション事業では、「DXファクトリー統合サービス市場での価値提供」に注力する。また、両事業共通で、「グローバルビジネス拡大」を目指す。a) デバイス事業機能別組織体制を構築し、業務品質の向上と効率化を図る。またソフトウェア・エンジニアリングの領域の拡大を目指す。そのために、自社オリジナル製品販売、新製品の開発、さらにVehicle OSに対する取組み強化などを開始している。b) ソリューション事業DXファクトリー統合サービス市場での価値提供に注力していく。一例を挙げると、同社の強みであるITとOTの知見を生かした3事業(IT、組込、計測)融合サービスの整備や、DX領域での簡易アセスメントサービス開始、SaaSビジネス拡大に向けたITサービス戦略の設計着手などがある。具体的なサービスとしては、IT/OT関連部門を対象とした業務棚卸し「工場アセスメントサービス」や、アセスメント結果からデジタル化の恩恵を最大化するための「DX化ロードマップ作成支援」などを提供している。c) グローバルビジネス拡大2021年のトピックとしては、10月に米国スタートアップ企業のSheeva.AIに出資した。Sheeva.AIは、MaaS(Mobility as a Service)に活用できる高精度位置情報を算出する技術を持っており、位置情報を高精度にするソフトウェア販売やMaaSのためのクラウド環境を同社が提供している。今後は同ソフトウェアのECU組込みを提案するほか、将来的には駐車予約や決済など高度位置情報を活用した新サービスを開発し、MaaS関連市場への参入を狙う。このほかにも、ソリューション事業における中国ビジネスを立ち上げる予定だ。(2) 新高付加価値事業創出新高付加価値事業を創出するために、「ビジネスイノベーション企画推進活動」と「エンジニアリングビジネス強化」を挙げている。ビジネスイノベーション企画推進グループを組織化し、グループ会社横断で探索を開始する。「ものづくりの高度化」を横軸に、「クルマの高機能化」を縦軸に推進し、最終的には「ものづくりのスマート化」を目指す。具体的な製品サービス事例としては、「高精度AIカメラシステム」と「自動運転評価システム」がある。高感度AIカメラシステムでは、建設機械やフォークリフトの「人」と「モノ」を検知、接触事故の防止に貢献している。また、自動運転評価システムでは、自動運転開発の評価に必要となる高品質な走行テスト・検証データを提供している。(3) 事業基盤強化成長戦略を確実に進めるために事業基盤の強化を図るとともに、社会課題の解決に貢献する活動をより一層推進しながら、ステークホルダーの信頼向上と企業価値向上に努める方針だ。具体的には、社内DXプロジェクトの発足、在宅勤務制度推進やスーパーフレックス制度導入、人事関連システムの多機能化、健康管理システムの導入、各事業会社にてSFAの導入活動などを推進している。(4) SDGs/ESG経営の推進「企業価値向上を目指した取り組み」として同社は、SDGs(持続可能な開発目標)/ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の推進を挙げている。a) ホームページにサステナビリティサイトを掲載2021年9月に、同社ホームページにサステナビリティサイトを開設した。これは、先進エレクトロニクスで未来を創造するソリューションデザインカンパニーを標榜し、SDGsの推進と社会課題の解決を通じ、持続可能な未来に挑戦し続けるための同社活動を伝えることを目的に開設された。中長期視点での事業活動の推進と社会適応力の向上によるサステナビリティ経営を推進していく。b) 安心・安全・快適な自動車社会実現への貢献安心・安全・快適な自動車社会実現へ貢献として、デバイス事業では、電動化や自動運転に関わる高度なエレクトロニクス技術を実装した電子デバイスの販売強化や、高度化・複雑化する車載組込ソフトウェアの検証や開発支援を進める。またソリューション事業では、多機能で複雑化する自動車の試作や量産工程の強化など、計測領域での完成車メーカーへの工程を支援する。c) 事業基盤やパートナーシップを生かした新規領域や新事業へのチャレンジデバイス事業では、得意とする画像技術とAIを応用し、建機の安全性向上に貢献する製品を提供するほか、車載ビジネスで培ったノウハウを応用し、産業の活性化や社会課題の解決にアプローチしていく。ソリューション事業では、SI領域とFA領域を融合した先端IT技術による新たなサービスの創出やモノづくりにおけるDXビジネスを推進する。d) 社会貢献活動同社では、SDGs/ESG経営の一環として以下のような様々な社会貢献活動を行っている。・障がい者雇用創出農園活動・母子保健活動支援(ピープルズ・ホープ・ジャパン賛助会員)・ソーラーパネル発電による売電収入の寄付・社内設置自動販売機の売上寄付・スポーツ振興(グランパスエイト後援会)・青少年育成寄付(豊田少年少女発明クラブ)・能楽振興(NPO名古屋能楽振興協会賛助会員)(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:08
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萩原電気HD Research Memo(7):2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円を目指す(1)
■中長期の成長戦略萩原電気ホールディングス<7467>は、2022年3月期から2024年3月期を対象とする中期経営計画「Make New Value 2023」を発表した。新たな価値を創造し提供できる企業グループへの変革を加速させ、顧客から選ばれる存在を目指すとともに、社員一人ひとりが自ら価値を高めることを目指す。重点戦略としては「コア事業拡大」「新高付加価値事業創出」「事業基盤強化」「企業価値向上」を掲げ、イノベーションによる価値創造と経営基盤強化により、企業価値を最大化させる。加えて、SDGs/ESG経営の社内浸透を図り、中期経営計画に定める重点施策の推進を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。なお、数値目標としては、2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円、ROE8.0%としている。1. 経営ビジョンと経営方針同社は、経営理念として「創造と挑戦」を掲げている。このうち、「創造」は全従業員が変化に適応し、新たな価値を創造し続けること、「挑戦」は全従業員が現状に満足することなく、さらなる成長に挑戦し続けることとしている。また、中期経営計画では、「先進エレクトロニクスで未来を創造するソリューションデザインカンパニー」を目指すことを新しい経営ビジョンに掲げている。「モビリティ社会」の未来と「製造業のものづくり」の未来に対して、DXで新しい価値をデザインし、持続可能な社会に貢献する企業グループを目指す。経営方針としては、「SDGs/ESG経営を推進、企業価値を向上させる」ことを掲げ、「コア事業の拡大により強固で持続的な成長を目指す」「新高付加価値事業の創出で収益性向上を目指す」「ヒトと組織とシステムの高度化によって事業基盤強化を目指す」「企業価値の向上によりステークホルダーから信頼され選ばれる企業グループを目指す」の4つを挙げている。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:07
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萩原電気HD Research Memo(6):積極的な拡販活動により2ケタ増収予想も、利益面では堅めの予想
■今後の見通し● 2022年3月期の業績見通し萩原電気ホールディングス<7467>の2022年3月期の連結業績については、売上高で150,000百万円(前期比17.3%増)、営業利益で3,600百万円(同3.8%増)、経常利益で3,580百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で2,320百万円(同0.2%増)とする期初予想を据え置いている。既述のとおり上期業績は前年同期から大きく回復したが、コロナ禍の影響により依然として先行き不透明な状況が続くと予想されること、主要顧客の設備投資や情報化投資の回復に期待がかかる一方で半導体や原材料の世界的な供給不足をリスク要因として抱えていることなどから、慎重な予想となっている。ただし、売上高が予想を達成できれば、利益は予想を上回る可能性は高いと思われる。なお、セグメント別の売上高予想は開示されていないが、デバイス事業の伸び率が高くなる見込みのようだ。また、東京証券取引所の新市場区分に対しては、「プライム市場」を選択申請することを決議している。今後は必要な手続きを進めていく予定だ。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:06
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萩原電気HD Research Memo(5):財務基盤は安定、手元の現金及び預金は93億円と豊富
■業績動向(2) 財務状況萩原電気ホールディングス<7467>の2022年3月期第2四半期末の財務状況は、流動資産は68,291百万円(前期末比537百万円増)となったが、主に現金及び預金の減少368百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(電子記録債権を含む)の減少6,053百万円、たな卸資産の増加5,590百万円などによる。固定資産は5,521百万円(同66百万円減)となったが、主に有形固定資産の減少3百万円、投資その他の資産の減少46百万円による。この結果、2022年3月期第2四半期末の資産合計は73,813百万円(同471百万円増)となった。一方で、負債合計は35,968百万円(前期末比321百万円減)となったが、これは主に流動負債のうち、支払手形及び買掛金(電子記録債権を含む)の減少1,981百万円、短期借入金等の増加710百万円、固定負債のうち、長期借入金の増加375百万円などによる。純資産合計は37,845百万円(同792百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加676百万円などによる。この結果、2022年3月期第2四半期末の自己資本比率は48.4%(前期末は47.7%)となった。(3) キャッシュ・フローの状況2022年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは1,107百万円の支出となった。主な収入科目は、税金等調整前四半期純利益の計上1,795百万円、減価償却費137百万円、売上債権の減少6,149百万円など。主な支出科目は、たな卸資産の増加5,589百万円、仕入債務の減少1,980百万円などとなっている。投資活動によるキャッシュ・フローは、特に大きな投資等がなかったことから28百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは567百万円の収入だったが、主な収入科目は長短借入金の増加(ネット)1,084百万円、主な支出科目は配当金の支払額442百万円などとなっている。この結果、現金及び現金同等物は368百万円の減少となり、2022年3月期第2四半期末残高は9,345百万円となった。2. 2022年3月期第2四半期のセグメント別状況(1) デバイス事業売上高は61,138百万円(前年同期比41.2%増)、営業利益は1,188百万円(同29.6%増)、営業利益率は1.9%(前年同期は2.1%)となった※。※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、売上高は61,150百万円、営業利益は1,189百万円となる。得意先の自動車生産台数が大きく回復したことにより売上高は大幅な増収となり、それに伴い営業利益も回復したが、営業利益率は若干低下した。これは主に、液晶関連など新商材の拡販に注力していることによる。これらの新商材は競争も激しく経費もかかることから、従来品に比べて利益率が低くなるためだ。同社の方針としては、従来品を伸ばすと同時に新商材にも注力することから利益率自体は低下するものの、セグメント利益の増加を目指すとしている。また、引き続き人材を中心とした投資を継続していることも、利益率低下の要因となっている。なお同社では、「増収増益にはなったが、一時的な自動車生産停止の影響を受けており、これがなければ売上高・営業利益ともにさらに増加しただろう」としている。a) デバイス事業:得意先別売上高デバイス事業における得意先別売上高では、デンソー向け35,773百万円(前年同期比23.8%増)、東海理化<6995>向け1,960百万円(同12.9%増)、トヨタ自動車向け930百万円(同16.1%減)、その他8,841百万円(同111.8%増)、海外拠点得意先13,632百万円(同85.1%増)となった。その他及び海外拠点得意先が大きく増加した要因はデンソーグループ内での商流変更に伴うもので、トヨタ自動車向けが減少したのも同様の理由((トヨタ自動車の広瀬工場向けがデンソーの広瀬製作所に振り替わったため)による。また、その他の中では特にデンソーテン向けが好調であった。b) デバイス事業:地域別売上高デバイス事業における地域別売上高は、日本47,505百万円(構成比77.7%、前年同期比32.2%増)、アジア5,701百万円(同9.3%、同115.3%増)、アメリカ6,454百万円(同10.6%、同57.0%増)、欧州1,476百万円(同2.4%、同143.9%増)となった。すべての地域で増収となったが、アジアでは、比較的中国向けが堅調であった。また、アメリカでは、同社製品が採用されている車種の販売が比較的堅調であったことから売上増となった。欧州は売上規模が小さいことから、担当する顧客の状況によって売上高は変動する。この結果、海外売上高は13,632百万円(同22.3%、同85.1%増)となった。(2) ソリューション事業売上高は10,466百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は566百万円(同22.2%増)、営業利益率は5.4%(前年同期は4.9%)となった※。コロナ禍の影響からの回復により主要顧客企業で生産が回復基調となり、設備投資や情報化投資を取り込んだことで増収増益となった。事業別売上高では、IT、組込、計測のすべてで増収となったほか、営業利益率もほぼ2020年3月期第2四半期の水準(5.5%)まで回復した。※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、売上高は10,928百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益は598百万円となる。a) ソリューション事業:事業別売上高ソリューション事業における事業別売上高は、ITが3,336百万円(構成比31.9%、前年同期比3.4%増)、組込が5,406百万円(同51.7%、同13.8%増)、計測が1,722百万円(同16.5%、同11.9%増)となった※。組込、計測が大きく伸びた。※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、事業別売上高はITで3,558百万円(前年同期比10.3%増)、組込で5,586百万円(同17.6%増)、計測で1,783百万円(同15.8%増)となる。特にITで「収益認識に関する会計基準」変更の影響を受け、この影響を除いた場合は前年同期比10.3%増収となる。組込では、工作機械向け等の回復に加え、各種搬送機器などのマテリアルハンドリング向けが引き続き堅調であったことから2ケタ増収となった。計測は、数年前からデザインインとして継続している長期案件(主にデンソー向け)が引き続き継続していることもあり増収となった。b) ソリューション事業:業種別売上高ソリューション事業における業種別売上高では、自動車が3,234百万円(構成比30.9%、前年同期比2.3%増)、FA・産業機器が4,850百万円(同46.3%、同18.2%増)、その他が2,381百万円(同22.8%、同5.6%増)となった※。※「収益認識に関する会計基準」変更の影響を除いた場合、業種別売上高は自動車で3,549百万円(前年同期比12.2%増)、FA・産業機器で4,931百万円(同20.2%増)、その他で2,447百万円(同8.5%増)となる。自動車は主にデンソー向けとなる。FA・産業機器は、工作機械向けの回復に加えマテリアルハンドリング機器メーカー向けの組込関連の製品が好調に推移した。その他はリース案件等を中心に底堅く推移した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:05
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萩原電気HD Research Memo(4):2022年3月期第2四半期は得意先の生産回復により27.1%営業増益
■業績動向1. 2022年3月期第2四半期の連結業績概要(1) 損益状況萩原電気ホールディングス<7467>の2022年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が71,604百万円(前年同期比35.6%増)、営業利益が1,754百万円(同27.1%増)、経常利益が1,723百万円(同25.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,145百万円(同30.6%増)となった。主要顧客である自動車メーカーの生産が前年同期に比べて大きく上向いたことなどから大幅増収となった。セグメント別では、デバイス事業、ソリューション事業ともに増収増益となった。デバイス事業の売上比率が高まったことや新商材の拡販等によって全体の売上総利益率はやや低下したが、販管費の増加が小幅にとどまったことから営業利益は大幅増益となった。売上総利益率は9.2%と前年同期比で0.8ポイント低下したが、これは製品構成の変化(デバイス事業の売上比率の上昇)に加えて新商材の拡販に努めていること等による。新商材は既存事業と比較して相対的に利益率が低いため、新商材の売上高が増えると全体の売上総利益率は低下するが、「まずはトップライン(売上高)を増やす」という同社の方針に沿ったものであり、懸念される内容ではない。一方で販管費は、人件費を中心に前年同期比23.2%増加したが、売上総利益の増加(同24.2%増)を下回ったことから、最終的に営業利益は大幅増益となった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
2022/01/07 15:04
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泉州電業 Research Memo(4):2022年10月期は1.2%営業増益予想、銅価格は現水準を予想
■今後の見通し1. 2022年10月期の連結業績見通し泉州電業<9824>の2022年10月期通期の連結業績※は、売上高97,000百万円(前期比4.9%増)、営業利益4,800百万円(同1.2%増)、経常利益5,100百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,600百万円(同0.5%増)と予想されている。平均銅価格は、1,050千円/t(前期比3.8%増)と見ている。※2022年10月期から「収益認識に関する会計基準」を適用。前期数値は未適用のため前期比増減は参考値。半導体製造装置向け、自動車や工作機械向けなどの需要は堅調に推移すると予想されるが、前期(2021年10月期)の業績が高水準であったことから、慎重な予想となっている。そのため、この予想はボトムラインと思われ、達成される可能性は高いだろう。今後の各需要先の動向によっては上方修正の可能性もあるだろう。設備投資額は1,112百万円、減価償却費は551百万円が見込まれている。主な投資は、名古屋支店物流センター用地取得やシステム開発・強化などが計画されている。なお東京証券取引所の新市場区分に対しては、同社は「プライム市場」を選択することを取締役会で決議し、今後は申請を含めて必要な手続きを進める。全商品で増収予想だが上振れの可能性も2. 商品別の売上高見通し(単体ベース)同社では商品別の売上高(単体ベース)を以下のように予想している。(1) 機器用・通信用電線売上高は前期比3.6%増の30,400百万円と予想されている。半導体製造装置関連は引き続き好調だが、工作機械関連では今までの中国に加えて欧米でも動きが出てきたとのことで、さらなる増収の可能性もありそうだ。(2) 電力用ケーブル売上高は前期比4.9%増の32,500百万円が予想されている。ビル建設工事にも動きが出ていることから、銅価格の上昇+αの増収を予想している。(3) 汎用被覆線売上高は前期比1.4%増の9,000百万円が見込まれている。需要そのものは弱含みとなる見込みで、銅価格の上昇により増収を予想している。(4) その他電線銅価格は上昇する見込みであるが、需要増はあまり期待せずに、売上高は前期比1.1%増の4,600百万円と予想されている。(5) 非電線加工品及びソーラー関連の需要は引き続き堅調に推移すると予想されることから、売上高は前期比2.8%増の13,500百万円を見込んでいる。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:04
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萩原電気HD Research Memo(3):自動車向けを中心とした半導体商社だが、ソリューション事業にも注力
■事業概要1. 事業内容及びセグメント別概要萩原電気ホールディングス<7467>の主たる事業は、SoCやマイクロコンピュータ(マイコン)、各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それに加えIT機器の仕入れ、販売やインテグレーション、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。売上高の約85%が自動車関連企業向けであり、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、システム開発なども行っている。ハイブリッド車やEVの普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。同社は、2018年4月1日から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業(旧 デバイスビジネスユニット事業)」と「ソリューション事業(旧 ソリューションビジネスユニット事業)」へ変更した。また重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。概要は次のとおり。(1) デバイス事業(2022年3月期第2四半期売上高比率85.4%)主に自動車関連企業向けに、SoC、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。また、カスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートビジネスも展開する。具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供する。(2) ソリューション事業(同14.6%)IT機器、組込機器及び計測・FAシステムの販売とITプラットフォーム基盤構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。また、自動車をはじめとする製造業を中心にFA領域のシステムやIoTプラットフォームなどソリューション提案型のビジネスを行っている。2020年1月よりAI/IoTの分析技術、分析教育、データ統合等のサービス及びソフトウェア販売を行うパートナー企業と資本・業務提携し、AI分野でのビジネス強化を図っている。(3) 開発生産本部ソリューション事業セグメントの中に含まれ、同事業配下の1つの事業部門として分かれている。電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器や組込みソリューションを提案する。同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。2. 特色、強み同社の主力事業はルネサスエレクトロニクス<6723>から半導体を仕入れ、主にトヨタグループ企業に販売する「商社機能」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流す商社機能だけでなく、以下のような特色や強みを持っている。(1) 提案力・開発力同社は自社内に開発、技術サポート部門(技術者)を有していることから、提案力・開発力に優れている。特にトヨタグループと密接であることから、同グループのニーズを的確に把握し、その内容を半導体メーカーにフィードバックすることで最適なデバイスを提供することが可能になっている。また、独自の知識や技術を結集し、ユーザーのニーズに最適な製品やモジュール等を提案するほか、顧客の要求に応じ開発支援も行っている。同社は顧客に対して「提案できる」、さらに顧客が求める製品を「開発できる」商社と言えるだろう。(2) トヨタグループとの太いパイプトヨタグループとの密接な関係も同社の強みだ。単に生産面での恩恵(生産増→同社売上増)だけでなく、ハイブリッド車、EVなどの次世代自動車で高い技術を有するトヨタグループとのビジネスで、同社自身の技術力・開発力・提案力にも一段と磨きがかかるだろう。将来はこの技術力・開発力・提案力を自動車関連企業だけでなく各種の産業用機器やFA機器、生産システム、検査システムなどに応用することで事業の拡大が可能になってくる。要求が世界で最も厳しいと言われるトヨタグループと関係があること自体が、同社の財産とも言える。一方で、売上高の多くをトヨタグループに依存していることはリスクが高いとの見方もあるが、必ずしもそうではない。現在、トヨタ自動車は世界市場での勝ち組であり、そのトヨタグループ向けの売上高が多いことは、同社にとってプラスと考えられる。(3) 非自動車向けの技術力同社の売上高の約15%は非自動車関連企業向けだが、この大部分は単なる商社機能ではなく、むしろIT企業としてのシステム構築等によるものである。特に生産現場でのシステムや検査工程でのシステム構築などに強い。ソリューション事業の売上規模(2021年3月期は21,924百万円)は、一般的な上場システムインテグレーター(SI)企業の売上規模に匹敵し、このようなSI機能を持っていることも同社の特色であり、強みでもある。以上のように同社は、単にデバイスを右から左へ流す商社機能だけでなく、「付加価値を付ける」ことができる商社である。これは売上総利益率の高さからもうかがえる。同社の直近通期(2021年3月期)の売上総利益率が9.3%※だったのに対し、同じようにルネサスエレクトロニクスの製品を多く扱う主な半導体商社の同期の売上総利益率は、三信電気<8150>が9.8%、新光商事<8141>が9.1%、グローセル<9995>が9.3%、佐鳥電機<7420>が8.6%(2021年5月期)となっている。同社が持つ技術力・開発力・提案力によって「付加価値」がオンされた結果と言えるだろう。※2021年3月期は、同社の主要顧客である自動車向けが特に大きく落ち込んだことから売上総利益率も落ち込んだが、2020年3月期は9.9%、2019年3月期は10.2%であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:03
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泉州電業 Research Memo(3):2021年10月期は銅価格急騰、需要回復で51.8%の営業増益
■業績動向1. 2021年10月期の連結業績(1) 損益状況泉州電業<9824>の2021年10月期の連結業績は、売上高92,463百万円(前期比24.5%増)、営業利益4,743百万円(同51.8%増)、経常利益5,004百万円(同47.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,583百万円(同52.4%増)となり、売上高と親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を更新した。期中の平均銅価格は1,012千円/t(前期比48.8%増)であった。増収の最大の要因は銅価格が上昇したことであるが、半導体製造装置向けや、工作機械向けなどに加えて自動車業界向けが回復したことから実需も堅調に推移した。また子会社群も好調であり、特にエヌビーエス(株)とアシ電機(株)が連結業績に大きく寄与した。銅価格が上昇したことから売上総利益率は低下したが、増収により売上総利益は前期比15.3%増となった一方で、販管費の伸び率が2.5%にとどまったことから営業利益は大幅増益となった。営業利益の増減要因を分析すると、増益要因としては銅価格の上昇を含めた増収による増益(売上総利益の増加)が1,843百万円、コロナ対策による旅費交通費及び通信費の減少が25百万円、減価償却費の減少が16百万円などで、減益要因としては、運賃及び荷造費の増加66百万円、給与及び賞与の増加20百万円、賞与引当金繰入額の増加76百万円、退職給付費用の増加6百万円、その他費用の増加44百万円などであった。期間中の設備投資額は409百万円(前期223百万円)、減価償却費は572百万円(同588百万円)であった。投資の主な内訳は、沖縄物流センター関連20百万円、土地取得200百万円など。(2) 財務状況2021年10月期末の資産合計は、前期末比16,588百万円増の83,990百万円となった。流動資産は同16,668百万円増の60,333百万円となったが、主に現金及び預金の増加7,873百万円、受取手形及び売掛金の増加5,017百万円、電子記録債権の増加2,678百万円、商品の増加1,069百万円などによる。固定資産は同79百万円減の23,657百万円となったが、主に減価償却費増や除却による有形固定資産の減少486百万円、投資有価証券の増加による投資その他資産の増加417百万円などによる。負債合計は前期末比14,112百万円増の41,104百万円となった。流動負債は同14,163百万円増の38,426百万円となったが、主に支払手形及び買掛金の増加13,770百万円、未払法人税等の増加562百万円などによる。固定負債は同50百万円減の2,678百万円となったが、主に退職給付に係る負債の増加109百万円、その他固定負債の減少124百万円などによる。純資産合計は、主に当期純利益の計上による利益剰余金の増加2,885百万円などにより、同2,476百万円増の42,886百万円となった。(3) キャッシュ・フローの状況2021年10月期の営業キャッシュ・フローは、9,397百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前当期純利益5,109百万円、減価償却費572百万円、仕入債務の増加13,756百万円などで、主な支出は売上債権の増加7,661百万円などであった。投資キャッシュ・フローは63百万円の収入となったが、主な収入は有形固定資産の売却386百万円、保険積立金の解約342百万円などで、主な支出は有形固定資産の取得363百万円、保険積立金の積立350百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは1,742百万円の支出であったが、主に自己株式の取得1,000百万円、配当金の支払い697百万円による。この結果、2021年10月期中に現金及び現金同等物は7,775百万円増加し、期末残高は25,496百万円となった。2. 2021年10月期の商品別概況(単体ベース)商品別の状況(単体ベース)は以下のとおりであった。(1) 機器用・通信用電線取扱商品の中では比較的付加価値が高く、銅価格の変動の影響が少ない商品である。売上高は29,353百万円(前期比20.8%増)となった。半導体製造装置関連が期を通して堅調に推移したことに加え、下半期には工作機械向けや自動車関連向けも回復した。(2) 電力用ケーブル主に建設用(ビル、工場、病院及び学校等の大型施設など)に使われる電線であるが、競争も激しく利益率は低い。オリンピック関連等は既に竣工済みの一方で、住宅・建設関連で回復が見られたが、数量ベースではほぼ横ばいで、銅価格の上昇により売上高は30,995百万円(同28.2%増)となった。(3) 汎用被覆線主に電力用より細い電線で、住宅などに用いられる。傾向は電力用ケーブルと同様で、期の後半に回復傾向が見られた。加えて銅価格の影響を受けやすいので、売上高は8,872百万円(同28.5%増)となった。(4) その他電線主に中小メーカー向けの銅裸線の販売であるため、販売価格はほぼ銅価格にスライドする。末端での需要そのものは低調であったが、銅価格の上昇から、売上高は4,552百万円(同52.4%増)となった。(5) 非電線電線以外の商品が含まれる。各種の加工品、付属品、周辺機器などで、主要製品はソーラー関連の部品及び加工品※とワイヤーハーネス関連だが、銅価格の影響は比較的小さく相対的に利益率の高い部門である。半導体関連向けや太陽光関連、小型コネクターが比較的堅調であった。売上高は13,126百万円(同17.8%増)となった。※ソーラー関連は、ケーブルだけの場合は「電力用ケーブル」に、コネクター及び加工品が付いた場合は「非電線」に区分けされている。(6) 子会社の状況会社は「近年は連結決算において子会社の貢献度が大きくなってきている」と述べているが、2021年10月期においても子会社の健闘が大きかったようだ。個別の業績動向は開示されていないが、国内・海外子会社8社が黒字化(利益計上)しているとのこと。特に半導体製造装置関連を扱うエヌビーエスと自動車の製造ライン向け制御盤等を扱うアシ電機が好調であった。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:03
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萩原電気HD Research Memo(2):名古屋を基盤とする半導体商社。トヨタグループが最大の顧客
■会社概要萩原電気ホールディングス<7467>は、創業者である萩原忠臣(はぎわらただおみ)氏がアンリツ<6754>勤務を経て1948年に無線機などの電気製品の修理業として創業した。当初は、日本電気(NEC<6701>)の販売特約店として電子管販売をしており、1960年代後半に自動車分野へ進出、これを機に事業を拡大し、現在はデンソー<6902>などトヨタグループ企業を主要取引先としている。1995年に店頭市場(現 東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2014年11月には東京証券取引所市場第1部、名古屋証券取引所市場第1部に市場変更した。(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:02
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萩原電気HD Research Memo(1):名古屋を地盤とする半導体・電子部品商社で主要顧客はトヨタグループ
■要約萩原電気ホールディングス<7467>は名古屋を地盤とする半導体、電子部品、電子機器の商社及び自社製品の開発・製造・販売のメーカーである。売上高の約85%が自動車関連企業向けで、トヨタ自動車<7203>をはじめとしたトヨタグループを主要顧客に持つ。近年はソリューション事業の伸長が著しい。1. 2022年3月期第2四半期連結業績(実績)2022年3月期第2四半期の連結業績※は、売上高が71,604百万円(前年同期比35.6%増)、営業利益が1,754百万円(同27.1%増)、経常利益が1,723百万円(同25.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,145百万円(同30.6%増)となった。主要顧客である自動車メーカーの生産が前年同期に比べて大きく上向いたことなどから大幅増収となったが、セグメント別でも、デバイス事業、ソリューション事業ともに増収増益となった。デバイス事業の売上高比率が高まったことや新商材の拡販等によって全体の粗利率はやや低下したが、販管費の増加が小幅にとどまったことから営業利益は大幅増となった。※2022年3月期から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)(以下、「収益認識に関する会計基準」)を適用している。これにより、システムの保守契約等一定期間にわたりサービスを提供することを履行義務とする契約において、従来は顧客の検収時点で収益を認識していたものを、2022年3月期よりサービス提供期間にわたり定額で収益を認識することに変更している。なお、前年同期については組替えを行っておらず、前年同期比は参考値となる。2. 2022年3月期連結業績(予想)2022年3月期の連結業績は、売上高で150,000百万円(前期比17.3%増)、営業利益で3,600百万円(同3.8%増)、経常利益で3,580百万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で2,320百万円(同0.2%増)とする期初予想を据え置いている。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により依然として先行き不透明な状況が続くと予想されること、主要顧客の設備投資や情報化投資の回復に期待がかかる一方で半導体や原材料の世界的な供給不足をリスク要因として抱えていることなどから慎重な予想となっている。ただし、売上高が予想を達成できれば、利益は予想を上回る可能性は高いだろう。3. 中期経営計画同社は2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。重点戦略として「コア事業拡大」「新高付加価値事業創出」「事業基盤強化」「企業価値向上」を掲げ、2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円、ROE8.0%を数値目標としている。同社を取り巻く環境は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速や自動車関連領域におけるCASEの進展、ADAS(先進運転支援システム)、EV化など、事業機会拡大のチャンスと業界の垣根を越えた競争の激化によるリスクが並存する大きな変革が進んでいる。このような環境下で、中期経営計画の目的は「稼ぐ力を蓄える」ことであり、今後の動向に注目したい。■Key Points・自動車関連企業向けが売上高の約85%を占める半導体商社。ADASやIoT関連にも展開・2022年3月期は積極的な拡販活動により2ケタ増収予想も、利益面では3.8%営業増益と堅めの予想・中期経営計画を発表。2024年3月期に売上高1,700億円、営業利益50億円、ROE8.0%を目指す(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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2022/01/07 15:01
注目トピックス 日本株
出来高変化率ランキング(14時台)~クシム、エンJPNなどがランクイン
※出来高変化率ランキングでは、直近5日平均の出来高と配信当日の出来高を比較することで、物色の傾向など市場参加者の関心を知ることができます。■出来高変化率上位 [1月7日 14:34 現在](直近5日平均出来高比較)コード⇒銘柄⇒出来高⇒5日平均出来高⇒出来高変化比率⇒株価変化率<4558> 中京医薬 13408400 587980 2180.42% 18.12%<3186> ネクステージ 5797100 526160 1001.78% 22.02%<3604> 川本産業 3366500 350980 859.17% 26.6%<3558> ロコンド 619100 71480 766.12% 5.83%<3482> ロードスター 1264700 176640 615.98% 15.81%<8200> リンガハット 793800 148700 433.83% -4.38%<6897> ツインバード 471400 92240 411.06% 6.83%<9919> 関西スパ 360400 75640 376.47% -1.25%<1436> フィット 69700 15580 347.37% 0.76%<6619> WSCOPE 4154200 963200 331.29% 11.23%<6334> 明治機 3760400 895840 319.76% -5.33%<6235> オプトラン 306500 82680 270.71% 5.08%<5704> JMC 2184200 606980 259.85% 0.53%<1366> 225Dベア 1475802 423228 248.70% 0.68%<2345>* クシム 661000 192980 242.52% 4.14%<1305> ETFTPX 549620 163838 235.47% -0.36%<8008> 4℃HD 309500 94580 227.24% -3.53%<3457> ハウスドゥ 183400 56140 226.68% -1.93%<7599> IDOM 937800 303460 209.04% 6.91%<4565> そーせい 3841200 1280440 199.99% -1.9%<8163> SRSHD 542900 181240 199.55% -2.19%<4745> 東京個別 382300 128280 198.02% -1.4%<3823> アクロディア 577700 200060 188.76% -1.99%<9250> GRCS 392200 135860 188.68% -10.09%<1486> 上場米債ヘッジ無 5368 1951.4 175.08% -0.16%<7199> プレミアグループ 107200 39660 170.30% 7.74%<1473> DIAMトピ 20250 7720 162.31% -0.2%<2039> 原油ベア 116467 45297.8 157.11% -2.94%<4849>* エンJPN 582700 230480 152.82% -1.48%<4373> シンプレクスHD 1107900 439460 152.10% -5.65%(*)はランキングに新規で入ってきた銘柄20日移動平均売買代金が5000万円以下のものは除外
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2022/01/07 14:43